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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】医用寝台装置および医用画像診断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20240910BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
A61B6/03 523E
A61B5/055 366
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020200669
(22)【出願日】2020-12-03
(65)【公開番号】P2022031087
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2023-10-17
(31)【優先権主張番号】202010782392.7
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヂャオ ヨンジュン
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-520629(JP,A)
【文献】実開昭53-156473(JP,U)
【文献】特開平09-056711(JP,A)
【文献】特開2002-165788(JP,A)
【文献】特開2017-086160(JP,A)
【文献】実開昭53-149576(JP,U)
【文献】特開平07-148156(JP,A)
【文献】特開2012-016538(JP,A)
【文献】特開平07-100131(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0033437(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055、 6/00 - 6/58 、
34/00 -90/98 、
A61G 9/00 -15/12 、99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を載置する天板と、
前記天板を支持し駆動する駆動支持部と、
床面に設けられ、前記駆動支持部を支持する基台と
を備え、
前記駆動支持部は、前記天板を挟んで前記天板の表面側及び裏面側に設けられた支持部材を有し、前記天板、前記支持部材で形成された通路の中で前記天板の長手方向に沿って移動させ
前記天板は、中心部に肉厚部を有し、
前記肉厚部には、前記天板の長手方向に直交する方向である幅方向における両端から外へ突き出しており、前記肉厚部より厚さが小さく、裏面が前記肉厚部の裏面と同一面となる2つの突出部が形成され、
前記支持部材は、前記突出部の表面側及び裏面側に設けられ、
前記肉厚部の表面と前記駆動支持部の表面とが同一面である、
医用寝台装置。
【請求項2】
前記駆動支持部は、
前記基台に設けられたモータと、
ベルトを介して前記モータに接続され、前記モータの回転に応じて回転することで、天板を移動させる摩擦ローラ
をさらに有する請求項1に記載の医用寝台装置。
【請求項3】
前記天板の長手方向においては、前記駆動支持部と前記基台からなる寝台本体が前記天板の一部分のみに重なり、前記天板の大部分が前記寝台本体から伸び出し、
前記天板の長手方向は、前記天板の長手方向と同じ方向である前記基台の長手方向よりも長い
請求項2に記載の医用寝台装置。
【請求項4】
前記支持部材が上下方向において対向に設けられており、前記天板の長手方向に直交する方向である前記駆動支持部の幅方向における両側で、少なくとも前後の両端には前記支持部材がそれぞれ設けられている
請求項1~3のいずれか1項に記載の医用寝台装置。
【請求項5】
前記支持部材は、前記天板に回転接触し且つ前記天板を支持することが可能なローラである
請求項1~3のいずれか1項に記載の医用寝台装置。
【請求項6】
前記支持部材は、前記天板にスライド接触し且つ前記天板を支持することが可能なスライドブロックであり、前記支持部材と前記天板との間で潤滑材料が付与されている
請求項1~3のいずれか1項に記載の医用寝台装置。
【請求項7】
前記摩擦ローラが、前記天板の長手方向と同じ方向である前記駆動支持部の長手方向における前後の両端にそれぞれ1つ設けられており、前記モータが前記摩擦ローラを駆動して時計回りまたは反時計回りに回転させ、前記天板を、前記天板が挿入される空間を有する架台側に近付ける、または、前記架台側から遠ざけて移動させる
請求項2に記載の医用寝台装置。
【請求項8】
前記摩擦ローラは、前記天板の長手方向と同じ方向である前記駆動支持部の長手方向に沿って並んだ最先端と最後端の2つの支持部材間の位置に1つ設けられており、前記モータが前記摩擦ローラを駆動して時計回りまたは反時計回りに回転させ、前記天板を、前記天板が挿入される空間を有する架台側に近付ける、または、前記架台側から遠ざけて移動させる
請求項2に記載の医用寝台装置。
【請求項9】
前記駆動支持部の長手方向に沿って並んだ最先端と最後端の2つの支持部材間の距離が、2つの摩擦ローラ間の距離よりも小さい
請求項7に記載の医用寝台装置。
【請求項10】
前記天板の一端部には突起部が設けられ、前記駆動支持部において、前記天板が挿入される空間を有する架台側から離れた端部にはストッパが設けられ、前記突起部が前記ストッパに突き当たることによって、前記天板の一端部が前記架台側へ移動するのを阻止する
請求項1~9のいずれか1項に記載の医用寝台装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の医用寝台装置を備える
医用画像診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用寝台装置および医用画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線コンピュータ断層撮影(Computed Tomography:CT)装置および核磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置などの走査部を有する医用画像診断装置は、必要に応じて寝台の天板に載置された被検体を撮像して医用画像を得ることがある。
【0003】
従来の医用画像診断装置では、独立に設けられた架台と寝台を有し、架台は中心部に撮影空間としての開口を有し、撮影空間を介在して対向した両側にX線発生器およびX線検出器を有し、寝台は、被検体を載置する天板と、天板を駆動し長手方向に沿って移動させるガイドレールと、天板をガイドレールに固定した移動ブロックとを有する。被検体の特定の部位を撮像するために、ガイドレールの駆動により寝台を寝台に載置された被検体と共に架台の開口された撮影空間に挿入させる必要がある。
【0004】
このような寝台では、寝台全体(以下、寝台本体と記載する)の寸法、ガイドレールの寸法および天板のストローク(即ち、移動ブロックが移動できる長さ)の間に以下のような関係がある。例えば、寝台本体の寸法、ガイドレールの寸法および天板のストロークにおいて、寝台本体の寸法が最も長く、天板のストロークが最も短い。そのため、寝台本体の寸法がガイドレールの寸法により制限され、ガイドレールの寸法が天板移動の要求により制限される。通常、天板移動の要求に応じて、ガイドレールの寸法を設定し、例えば、寝台本体の寸法が2650mmまでの長さに達してしまう。
【0005】
この場合、寝台本体の寸法が大き過ぎ、輸送および据え付けに困難がある。また、大き過ぎる寝台の寸法も、大きなスキャン室の空間を占めることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-86160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、簡単な構造で寝台本体の寸法の小型化を実現できることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決される課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態に係る医用寝台装置は、被検体を載置する天板と、前記天板を支持し駆動する駆動支持部と、床面に設けられ、前記駆動支持部を支持する基台とを備え、前記駆動支持部は前記天板を挟んで前記天板の表面側及び裏面側に設けられた支持部材を有し、前記天板は前記支持部材で形成された通路の中で長手方向に沿って移動させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る医用寝台装置の概略斜視図である。
図2図2は、第1実施形態に係る医用寝台装置の概略正面図である。
図3図3は、第1実施形態における駆動支持部およびそれに接続したモータを示す斜視図である。
図4図4は、第1実施形態における駆動支持部を他の角度から観察した際の概略斜視図である。
図5A図5Aは、比較例における医用寝台装置の天板が架台装置に挿入される前の概略図である。
図5B図5Bは、比較例における医用寝台装置の天板が架台装置に挿入された後の概略図である。
図6A図6Aは、第1実施形態に係る医用寝台装置の天板が架台装置に挿入される前の概略図である。
図6B図6Bは、第1実施形態に係る医用寝台装置の天板が架台装置に挿入された後の概略図である。
図7図7は、第2実施形態に係る医用寝台装置に用いられた駆動支持部の概略正面図である。
図8図8は、突起部を有する天板の概略図であり、当該天板が寝台本体に取り付けられる時の当該寝台本体と架台装置との相対的位置関係を示す図である。
図9図9は、突起部に対応したストッパを有する駆動支持部の概略図である。
図10図10は、医用画像診断装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、医用寝台装置および医用画像診断装置の実施形態について説明を行う。後述の実施形態は、これに限定されない。なお、以下の説明において、略同一の機能および構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行うこととする。
【0011】
図10は、医用画像診断装置の概略図である。図10に示す医用画像診断装置は、例えば、X線CT装置1である。図10において、X線CT装置1は、架台装置10と、コンソール装置20と、医用寝台装置30と、を備える。
【0012】
架台装置10は、X線管11と、X線検出器12と、回転フレーム13と、X線高電圧装置14と、制御装置15と、ウェッジ16と、コリメータ17と、DAS(Data Acquisition System)18と、架台操作パネル19と、を有する。ここで、架台装置10は、単に、架台と記載する場合がある。
【0013】
X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射することでX線を発生する真空管である。X線検出器12は、X線管11から照射され、被検体Pを通過したX線を検出し、当該X線量に対応した電気信号をDAS18へ出力する。回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧を発生する機能を有する高電圧発生装置と、X線管11が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを含む。
【0014】
制御装置15は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理回路と、モータ及びアクチュェータ等の駆動機構とを含む。制御装置15は、コンソール装置20若しくは架台装置10に取り付けられた、後述する入カインターフェース23からの入力信号を受けて、架台装置10及び医用寝台装置30の動作制御を行う機能を有する。例えば、制御装置15は、入力信号を受けて回転フレーム13を回転させる制御や、架台装置10をチルトさせる制御、及び医用寝台装置30及び天板33を動作させる制御を行う。なお、制御装置15は、架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置20に設けられても構わない。
【0015】
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線量を調節するためのフィルタである。コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組み合わせによってスリットを形成する。DAS18は、X線検出器12の各X線検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、検出データを生成する。DAS18が生成した検出データは、コンソール装置20へと転送される。架台操作パネル19は、架台装置10を操作するための操作ボタン等を有する。
【0016】
コンソール装置20は、メモリ21と、ディスプレイ22と、入カインターフェース23と、処理回路24と、を有する。メモリ21は、例えば、投影データや再構成画像データを記憶する。ディスプレイ22は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ22は、処理回路24によって生成された医用画像(CT画像)や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。入カインターフェース23は、投影データを収集する際の収集条件や、CT画像を再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件等を操作者から受け付ける。処理回路24は、X線CT装置1全体の動作を制御する。なお、本実施形態では、コンソール装置20は、架台装置10と別体であるが、架台装置10にコンソール装置20またはコンソール装置20の構成要素の一部が含まれていてもよい。
【0017】
医用寝台装置30は、スキャン対象である被検体Pを載置・移動させる装置である。図10に示す例では、天板33と、天板支持フレーム34と、ガイドレール及び天板33をガイドレールに固定した移動ブロックが内蔵された基台31とを、医用寝台装置30の構成要件として示している。基台31は、支持フレーム34を支持する筐体である。支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被検体Pが載置される板である。
【0018】
図10に示す医用寝台装置30は、医用寝台装置の一例であり、既にガイドレールに固定された移動ブロックに天板を取り付けることで、ガイドレールにより天板を移動させる。ガイドレールの寸法が所望の天板の移動ストロークにより定められるため、寝台本体の寸法が天板の移動ストロークに制限されて大きく形成される。
【0019】
本実施形態では、図10に示した医用寝台装置の代わりに、後述する医用寝台装置を用いることにより、寝台本体の寸法を小さくすることができる。以下、本実施形態に係る医用寝台装置について詳しく説明するが、架台装置10およびコンソール装置20に対しては、図10に示した構造を用いても良いので、説明を省略する。
【0020】
図10に示した医用寝台装置において、便宜上に、X線CT装置を例に説明したが、これに限定されるものではない。本実施形態に係る医用画像診断装置は、MRI装置などの医用寝台装置を備える他の医用画像診断装置であっても良い。
【0021】
以下、医用寝台装置が設置された床面に対して水平な天板の短手方向、即ち天板の幅方向をX軸方向とし、X軸方向に直交し、床面に対し垂直な方向、即ち天板の厚さ方向をY軸方向とし、X軸方向およびY軸方向に直交する方向、即ち天板の長手方向をZ軸方向として規定する。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る医用寝台装置300の概略斜視図である。図2は、第1実施形態に係る医用寝台装置300の概略正面図である。
【0023】
図1に示すように、医用寝台装置300は、被検体Pを載置し、駆動支持部302に対して着脱自在に組立可能な天板301と、天板301を支持しそれを長手方向に沿って移動させる駆動支持部302と、床面に設けられ、駆動支持部302を下から支持する基台303とを備える。基台303は、内部にモータなどを有する筐体である。ここで、医用寝台装置300、天板301、基台303は、それぞれ、例えば、図10に示した医用寝台装置30、天板33、基台31に相当する。
【0024】
図1に示す例では、駆動支持部302の長手方向の寸法と基台303の長手方向の寸法とが一致しているが、両方は一致しなくても良い。図1では、本実施形態の一例として、駆動支持部302が基台303と共に寝台本体304を構成した場合を例にしている。
【0025】
図1では、寝台本体304が寝台装置の全体として、Z軸方向において天板301の一部分のみに重なり、天板301のZ軸方向における他の部分、即ち天板301のZ軸方向における大部分が当該寝台本体304から伸び出している。ここで、天板301の長手方向は、基台303の長手方向よりも長い。具体的には、本実施形態における寝台本体304の長手方向の寸法が天板301の長手方向の寸法よりも明らかに小さく、例えば、天板301の長手方向の寸法の1/2以下である。
【0026】
図2に示すように、天板301は中心部に厚肉部を有し、幅方向における両端に外へ突き出した厚さが厚肉部よりも小さい左右2つの突出部310(以下、左右の突出部310と記載する)が形成されており、当該左右の突出部310の上面と下面が床面に対して平行となる。一例として、天板301は、突出部310を有する側部がL字状に形成されているが、側部には駆動支持部302の支持部材に突き当て可能な突出部310が形成されていれば、側部が他の形状に形成されても良い。
【0027】
駆動支持部302は、突出部310を挟んで天板301の表面側及び裏面側に設けられた支持部材311を有する。取付時において、天板301は支持部材311で形成された通路に沿って駆動支持部302へ挿入されることで、駆動支持部302の中に取り付けられる。また、メンテナンスまたは搬送が必要の時、天板301を駆動支持部302から取り外すことが可能であり、この場合、天板301を支持部材311で形成された通路に沿って抜き出すだけで良い。このことにより、天板301を寝台本体304に取り付けることが容易になり、また、寝台本体304と天板301とを分解して別々に輸送することができるため、医用寝台装置300の搬送上の便利性が高くなる。
【0028】
天板301が駆動支持部302に挿入された後、その厚肉部の表面と駆動支持部302の表面とがほぼ同一の水平面となり、突出部310が支持部材311に挟まされることで、当該天板301が移動する時、当該突出部310が当該支持部材311で形成された通路の中で長手方向、即ちZ軸方向に沿って移動する。
【0029】
天板301には左右の突出部310がなくても構わない。この場合、駆動支持部302の支持部材311で天板301を直接挟んでいる。天板301が移動する時、天板301が支持部材311で形成された通路の中で長手方法、即ちZ軸方向に沿って移動する。この時、天板301の表面の高さは駆動支持部302の表面よりも少し低い。
【0030】
図3は、第1実施形態における駆動支持部302およびそれに接続したモータを示す斜視図である。図4は、他の角度から第1実施形態における駆動支持部302を観察した際の概略斜視図である。
【0031】
以下、図3図4を参照しながら、駆動支持部302の具体的な構造について説明する。図3に示すように、支持部材311は、天板301の突出部310に対して回転接触し且つ天板301を支持することが可能なローラである。X軸方向において、駆動支持部302は、外側から天板301の左右の突出部310を被覆する左右の側壁が形成されており、当該左右の側壁が例えば、「コ」字状に形成され、支持部材311が駆動支持部302の幅方向における左右の側壁の内側に固定されている。
【0032】
支持部材311が、駆動支持部302の幅方向における両側で、例えば駆動支持部302の内壁上で、Y軸方向、即ち上下方向において対向するように設けられている。また、支持部材311は、当該対向に設けられた支持部材311間の距離が天板301の突出部310の厚さに対応し、天板301の突出部310を収容でき、天板301の移動時に当該天板301の突出部310と支持部材311であるローラとの間で回転接触を生じるように、設置されている。以下、Y軸方向において対向に設けられた2つの支持部材311を、1組の支持部材と記載する。なお、図3および図4に示す例では、駆動支持部302の一方側の内壁上に3組の支持部材311が設けられている場合を示しているが、これに限定されるものではない。また、支持部材311は、天板301を支えることができれば、駆動支持部302の内壁上でY軸方向に対向配置されていなくてもよい。例えば、駆動支持部302の一方側の内壁上に、上段の支持部材311がX方向に沿って3個設けられているのに対して、下段の支持部材311がX方向に沿って2個設けられ、下段の支持部材311が上段の支持部材311と対応配置されずに、X方向にずれて配置されてもよい。
【0033】
ここで、本実施形態において、支持部材311が天板301を安定に支持できることを保証するために、駆動支持部302の一方側の内壁上に少なくとも2組の支持部材311(つまり、4つの支持部材311)が設けられ、且つ、当該2組の支持部材311がそれぞれ駆動支持部302の内壁のZ軸方向における前後の両端に配置される。2組の支持部材311が設けられた場合、寝台の長手方向に並んだ2組の支持部材311間の距離が400mm以上とされる。
【0034】
また、駆動支持部302には天板301を駆動するための2つの摩擦ローラ312が設けられており、当該2つの摩擦ローラ312がZ軸方向において駆動支持部302の前後の両端に位置され、X軸方向において中心部に位置される。駆動支持部302の同一側に位置する、Z軸方向に沿って並んだ最先端と最後端の2つの支持部材311(つまり、2組の支持部材311)間の距離が、Z軸方向に沿った2つの摩擦ローラ312間の距離以下となっている。
【0035】
本実施形態では、図3に示すように、摩擦ローラ312が駆動支持部302の底面に設けられているが、摩擦ローラ312は側壁に設けられても良く、モータによる駆動下で天板301の移動を駆動できるだけで十分である。
【0036】
本実施形態では、摩擦ローラ312が2つ設けられる。これは、1つの摩擦ローラ312のみを設けると、天板301が極限位置にある時、天板301の重心が摩擦ローラ312から離れるため、摩擦ローラ312と天板301間の圧力が小さくなることにより滑る可能性があるためである。よって、長手方向における前後の両端にそれぞれ1つの摩擦ローラ312を設けることで滑りの発生を防止できる。
【0037】
2つの摩擦ローラ312がベルトを介してモータ313に接続されており、モータ313が時計回りまたは反時計回りに回転する時に2つの摩擦ローラ312を駆動して時計回りまたは反時計回りに回転させることで、天板301を架台装置10に挿入する側または架台装置10から離れる側へ移動させる。
【0038】
本実施形態では、駆動支持部302の前後に設けられた摩擦ローラ312が天板301を駆動し前または後ろへ移動させる機能を果たし、駆動支持部302の左右の側壁に設けられた複数組の支持部材311が天板301を回転支持する機能を果たした。上記構成により、レールを使用せず天板301を安定に支持し且つ前後移動させることが可能であるので、寝台本体304の長手方向の寸法がレールの寸法に制限されず、600mm~800mmのような小さい寸法に設置されても良い。
【0039】
以下、図5A図5Bおよび図6A図6Bを参照しながら、比較例における医用寝台装置の構造および駆動方式と本実施形態に係る医用寝台装置300の構造および駆動方式との違いについて説明する。
【0040】
図5Aおよび図5Bは、比較例における医用寝台装置の天板1301が架台装置10に挿入される前および挿入された後の概略図である。
【0041】
図5A図5Bに示すように、比較例では、天板1301が移動ブロック1302を介してガイドレール1303に固定され、ガイドレール1303に沿って移動ブロック1302が前後方向へ駆動されることにより、天板1301を連れて共に移動させる。比較例では、天板1301のストロークがガイドレール1303の長さに制限され、天板1301を所定のストロークで移動させるために、ガイドレール1303の寸法を考える必要がある。なお、ガイドレール1303が設けられた寝台本体1304の寸法もガイドレール1303の長さに制限されるので、寝台本体1304の寸法が2650mmほどに達して、大きな空間を占めることがある。
【0042】
図6Aおよび図6Bは、第1実施形態に係る医用寝台装置300の天板301が架台装置10に挿入される前および挿入された後の概略図であって、且つ、内部構造が省略された寝台の長手方向に沿った断面図である。
【0043】
ここで、上述した図3および図4に示す例では、駆動支持部302の内壁のZ軸方向における両端に配置された2組の支持部材311のうち、下段の支持部材311と、摩擦ローラ312とが、X軸方向に沿って配置されているが、図6Aおよび図6Bに示す例では、下段の支持部材311と、摩擦ローラ312とが、Z軸方向に沿って配置されている。また、図3および図4に示す例では、駆動支持部302の内壁上にZ軸方向に沿って3組の支持部材311が設けられている場合を示しているが、図6Aおよび図6Bに示す例では、駆動支持部302の内壁上にZ軸方向に沿って2組の支持部材311が設けられている場合を示している。
【0044】
また、上述した図3および図4に示す例では、駆動支持部302の同一側で、長手方向に沿って並んだ最先端と最後端の2つの支持部材311間の距離が、2つの摩擦ローラ312間の距離以下となっている場合について説明したが、図6Aおよび図6Bに示す例では、駆動支持部302の同一側で、長手方向に沿って並んだ最先端と最後端の2つの支持部材311間の距離が、2つの摩擦ローラ312間の距離よりも小さい。
【0045】
本実施形態では、図6A図6Bに示すように、図中の中空円は長手方向における前後の両端に設けられた、上下方向において対向に配置された2対の支持部材311と、天板301が2対の支持部材311の間で挟まれ、2対の支持部材311が天板301を回転支持し、黒い中空円は長手方向における前後の両端に設けられた摩擦ローラ312とを有し、天板301を移動させる必要がある時、モータ313がベルトを介して2つの摩擦ローラ312を駆動し同時に回転させることにより、天板301を移動させる。上記構造により、寝台本体304において、比較例のガイドレール1303を設置する必要がなく、寝台本体304の寸法を600mmほどに減少することができる。
【0046】
上述したように、本実施形態では、医用寝台装置300が用いられることにより、寝台本体304の寸法を小型化し、医用寝台装置300の輸送および据え付け上の便利性を向上させ、コストの低減を実現し、且つ、スキャン室の利用可能空間を大きくすることが可能になる。
【0047】
(変形例)
第1実施形態には、駆動支持部302の前後の両側にそれぞれ1つの摩擦ローラ312が設けている場合が例示されたが、駆動支持部302に1つの摩擦ローラ312のみを設けても良い。
【0048】
1つの摩擦ローラ312が設けられる場合、該当摩擦ローラ312を、Z軸方向に沿って並んだ最先端と最後端の2組の支持部材311の間に位置する駆動支持部302に設ける必要があり、中心位置にあるとより良い。且つ、第1実施形態と同じく、当該摩擦ローラ312もベルトを介してモータ313に接続され、モータ313による駆動下で時計回りまたは反時計回りに回転する。
【0049】
しかし、1つの摩擦ローラ312を用いて天板301を駆動する場合、上述の滑りやすい現象が発生する。よって、摩擦ローラ312と天板301間の充分な圧力を保証する必要がある。この場合、組み立てる時、摩擦ローラ312と天板301間の位置関係を調整することで、摩擦ローラ312と天板301間の圧力を増やしてもよい。摩擦ローラ312と摩擦ローラ312が取り付けられた駆動支持部302間に1つのバネ機構を設置し、該当バネ機構により摩擦力を増大してもよい。
【0050】
従って、変形例の構造にしても、寝台本体304の寸法を小型化し、医用寝台装置300の輸送および据え付け上の便利性を向上させ、コストの低減を実現し、且つ、スキャン室の利用可能空間を大きくすることが可能である。
【0051】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態に係る医用寝台装置300に用いられた駆動支持部302の概略正面図である。
【0052】
第2実施形態と第1実施形態との相違点は、ローラである支持部材311の代わりにスライドブロックが天板301の支持部材311として用いられることにある。それ以外の構造が第1実施形態と同一であるため、重複な説明は省略する。
【0053】
第2実施形態では、駆動支持部302の左右の側壁上にそれぞれ上下対向したスライドブロック314が設けられており、当該上下対向したスライドブロック314を1組のスライドブロックとすると、少なくとも駆動支持部302の左右の側壁の前後端部にはそれぞれ1組のスライドブロック314が設けられている。各スライドブロック314の突出部310に対向した一方側の表面上で潤滑材料が付与されており、スライドブロック314が当該潤滑材料を介して天板301の突出部310に接触する。当該スライドブロック314の材料は、一般的なプラスチックより高い強度の材料として、例えば、POM(ポリオキシメチレン)であり、潤滑材料は例えば、グリースである。天板301がスライドブロック314に対して移動する時、スライドブロック314が天板301の突出部310をスライド支持する。
【0054】
第2実施形態の構造により、寝台本体304の寸法を小型化し、医用寝台装置300の輸送および据え付け上の便利性を向上させ、コストの低減を実現し、且つ、スキャン室の利用可能空間を大きくすることも可能になる。
【0055】
(第3実施形態)
第1実施形態では、駆動支持部302に対して着脱自在な天板301について説明した。第3実施形態では、更に、位置決めと当該位置のモニタリングを容易にする天板301について説明する。
【0056】
図8は、突起部321を有する天板301の概略図であり、天板301が寝台本体304に取り付けられる時の当該寝台本体304と架台装置10との相対的位置関係を示す図である。図9は、天板301の突起部321に対応したストッパ322を有する駆動支持部302の概略図である。
【0057】
第3実施形態では、図8に示すように、天板301の後端部には突起部321が設けられ、図9に示すように、駆動支持部302の後端部、即ち、架台装置10側から離れた端部に、且つ、突起部321の停止位置に対応した位置に、ストッパ322が設けられている。突起部321の停止位置は、天板301を寝台本体304に対して架台装置10側へ引き続き移動させることができない位置とした。
【0058】
図8では、突起部321が天板301の後端部に天板301の下面から下へ突出するように設けられており、図9では、ストッパ322が駆動支持部302の後端部の底面に上へ突出するように設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、ストッパ322も駆動支持部302の側壁に内へ突出するように設けられても良い。
【0059】
天板301を寝台本体304へ取り付ける時、天板301を寝台本体304の架台装置10から離れた一方側から駆動支持部302へ挿入し、駆動支持部302の支持部材311および摩擦ローラ312の上に載せて、天板301の突起部321が駆動支持部302のストッパ322と突き当たるまで架台装置10の方向へ移動させる。この後、天板301が架台装置10の方向へ引き続き進むことができず、その架台装置10の方向への移動が停止する。この時の天板301が初期位置にあり、天板301の前端部が架台装置10の撮影空間に挿入した。
【0060】
天板301の突起部321が、寝台本体304に対する天板301の初期位置を位置決めするために設けられるものであり、天板301の初期位置で、天板301の位置を記録するためのエンコーダーが、位置を0とした設定を行う。その後、天板301の使用過程において、エンコーダーが天板301の移動に従い各時点の位置を記録することで、天板301の位置のモニタリングをリアルタイムに行うことができる。
【0061】
また、天板301を取り外す時、天板301を架台装置10から離れた一方側へ水平に抜き出し、この場合、突起部321がストッパ322による影響を受けず、邪魔なく後ろに移動できるので、天板301を寝台本体304から取り外すことは順調になる。
【0062】
第3実施形態では、第1実施形態と同様に、天板301と寝台本体304の着脱が容易になり、且つ、天板301と寝台本体304とを簡単に分離することができるので、装置に対する輸送も容易になる。また、第3実施形態では、天板301の一端部には突起部321が設けられ、駆動支持部302の架台側から離れた端部にはストッパ322が設けられ、突起部321がストッパ322に突き当たることによって、天板301の一端部が架台装置10側へ移動するのを阻止するため、天板301の位置決めと当該天板301の位置のモニタリングを容易に行うことができる。
【0063】
なお、第3実施形態は、一例に過ぎず、簡単な取外しが実現できれば、他の方法を用いても良い。また、第3実施形態では、第1実施形態における天板301に対して、天板301の一端部に突起部321が設けられ、駆動支持部302の架台側から離れた端部にストッパ322が設けられているが、これに限定されない。例えば、第3実施形態では、第2実施形態における天板301に対して、天板301の一端部に突起部321が設けられ、駆動支持部302の架台側から離れた端部にストッパ322が設けられてもよい。
【0064】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、簡単な構造で寝台本体の寸法の小型化を実現することができる。
【0065】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例示したもののみであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
300 医用寝台装置
301 天板
302 駆動支持部
303 基台
311 支持部材
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10