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特許7553346タグ付き製品、及び、通信タグの固定方法
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  • 特許-タグ付き製品、及び、通信タグの固定方法 図1
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  • 特許-タグ付き製品、及び、通信タグの固定方法 図4A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】タグ付き製品、及び、通信タグの固定方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20240910BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20240910BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G06K19/077 224
B41J2/175 175
G03G21/00 388
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020213048
(22)【出願日】2020-12-23
(65)【公開番号】P2022099350
(43)【公開日】2022-07-05
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】冨永 大貴
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-211170(JP,A)
【文献】特開2005-234115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/077
B41J 2/175
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信タグと、
前記通信タグを被固定部分に固定するための接着剤と、
前記通信タグと前記接着剤との間に位置する剥離剤とを備え、
前記接着剤は、前記通信タグ及び前記剥離剤を覆って前記被固定部分に付着する
とを特徴とするタグ付き製品。
【請求項2】
通信タグと、
前記通信タグを被固定部分に固定するための接着剤と、
前記通信タグと前記接着剤との間に位置する剥離剤とを備え、
前記被固定部分は、凹部であり、
前記通信タグは、前記凹部に収容されている
ことを特徴とするタグ付き製品。
【請求項3】
製品の被固定部分に通信タグを配置する工程と、
前記通信タグに剥離剤を塗布する工程と、
前記通信タグとの間に前記剥離剤を介在させるように接着剤を供給することにより、前記接着剤を、前記通信タグ及び前記剥離剤を覆って前記被固定部分に付着させ、前記通信タグを前記被固定部分に固定する工程と
を含む通信タグの固定方法。
【請求項4】
製品の被固定部分である凹部に通信タグを配置する工程と、
前記通信タグに剥離剤を塗布する工程と、
前記通信タグとの間に前記剥離剤を介在させるように接着剤を供給することにより、前記通信タグを前記凹部に固定し、収容する工程と
を含む通信タグの固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信タグを備えるタグ付き製品と、通信タグを製品に固定する通信タグの固定方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RFID(radio frequency identification)タグなどの通信タグを製品に固定するために、ホットメルトなどの接着剤が用いられる(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
また、製品側に剥離層が設けられ、接着剤を有する通信タグが剥離層に固定される通信タグが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-355847号公報
【文献】特開2007-65088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のように通信タグを接着剤によって製品に固定すると、通信タグに接着剤が付着する。そのため、特に、接着剤によって通信タグが製品に強固に固定されている場合などに、通信タグと接着剤とを分離することができなくなる。したがって、通信タグを再利用することができない。
【0006】
また、上述のように接着剤を有する通信タグが剥離層に固定される場合には、通信タグを強固に剥離層に固定することができない。そのため、通信タグが製品から剥がれやすい。また、通信タグを強固に剥離層に固定することができないと、通信タグとの無線通信を行う無線通信部に対する通信タグの位置が変動しやすいため、位置精度が求められる通信タグに適用するのが困難である。
【0007】
本発明の目的は、強固に固定された通信タグを再利用することができるタグ付き製品及び通信タグの固定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの態様では、タグ付き製品は、通信タグと、前記通信タグを被固定部分に固定するための接着剤と、前記通信タグと前記接着剤との間に位置する剥離剤とを備える。
他の1つの態様では、通信タグの固定方法は、製品の被固定部分に通信タグを配置する工程と、前記通信タグに剥離剤を塗布する工程と、前記通信タグとの間に前記剥離剤を介在させるように接着剤を供給することにより、前記通信タグを前記被固定部分に固定する工程とを含む。
【発明の効果】
【0009】
前記態様によれば、強固に固定された通信タグを再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施の形態におけるインクカートリッジの凹部に固定された通信タグを示す断面図である。
図2】一実施の形態におけるインクカートリッジを示す斜視図である。
図3】一実施の形態における通信タグの固定方法を説明するための工程図である。
図4A】一実施の形態における通信タグの固定方法を説明するための断面図(その1)である。
図4B】一実施の形態における通信タグの固定方法を説明するための断面図(その2)である。
図4C】一実施の形態における通信タグの固定方法を説明するための断面図(その3)である。
図5A】一実施の形態における通信タグの剥離方法を説明するための断面図(その1)である。
図5B】一実施の形態における通信タグの剥離方法を説明するための断面図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係る、タグ付き製品、及び、通信タグの固定方法について、通信タグ20を備えるタグ付き製品の一例をインクカートリッジ1として、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、インクカートリッジ1の凹部11に固定された通信タグ20を示す断面図である。
【0013】
図2は、インクカートリッジ1を示す斜視図である。
【0014】
図2に示すインクカートリッジ1は、ケース10と、このケース10内に収容された図示しないインク容器とを備える。また、図1に示すように、インクカートリッジ1は、通信タグ20と、剥離剤30と、接着剤40とを更に備える。
【0015】
ここで、インクカートリッジ1は、通信タグ20を備えるタグ付き製品の一例である。このタグ付き製品としては、トナーを収納するトナーカートリッジ、孔版印刷に用いられる孔版原紙(マスタ)などの、インクカートリッジ1以外の印刷装置用消耗品であってもよい。また、タグ付き製品としては、印刷装置用消耗品以外の消耗品や、消耗品以外の製品であってもよい。
【0016】
ケース10の内部の面には、図1に示すように通信タグ20を収容する凹部11(図2では、かくれ線である破線で図示)が設けられている。凹部11は、後述する印刷装置等の機器に配置された無線通信部と通信タグ20との通信のために、無線通信部の近傍の位置に設けられていることが望ましい。凹部11の形状の一例は、この凹部11が形成される面と平行な断面形状が円形の円形穴である。なお、ケース10は、通信タグ20が固定される被着体の一例である。
【0017】
凹部11は、通信タグ20が固定される被固定部分の一例である。この被固定部分は、凹部11が設けられていない平面部分などであってもよいが、通信タグ20を収容する凹部11であることが望ましい。
【0018】
また、通信タグ20は、上述のようにインクカートリッジ1(ケース10)の内部に固定されるが、インクカートリッジ1(ケース10)の外部に露出するように固定されていてもよい。
【0019】
ケース10には、インク供給口12が設けられている。このインク供給口12から上記インク容器内のインクが印刷装置に供給される。
【0020】
図1に示す通信タグ20は、例えばRFIDタグであり、印刷装置等の機器の無線通信部と非接触で通信を行う。例えば、印刷装置に配置された無線通信部は、通信タグ20の図示しない記憶手段(例えば、不揮発性メモリ)に記憶されたインクカートリッジ1の情報の読み書きを行う。通信タグ20と無線通信部との通信方式は、例えばパッシブ方式であるが、アクティブ方式やセミアクティブ方式であってもよい。
【0021】
インクカートリッジ1の情報は、例えば、互換性情報(適合する印刷装置の機種を特定する情報)、インク色情報(インク容器内に充填されるインクの色情報)、有効期限情報(インクカートリッジ1の製造年月日から割り出される製品の保証有効期限を示す情報)、インク残量情報(インク容器内に充填されるインクの総量から使用量を差し引いて割り出されたインクの残量を示す情報)、空情報(インク容器内のインクが所定量以下となったときにインク容器が空となったことを示す情報)、プロテクト情報(適合品と非適合品とを区別し、非適合品使用による印刷装置の故障を防止するための情報)、リユース情報(インク容器などのインクカートリッジ1を構成する各部品のリユース回数を示す情報)、トレーサビリティ情報(製造元の工場、販売先店舗(営業所)の情報)などの少なくとも1つの情報を含むとよい。
【0022】
通信タグ20は、基板21と、保護層22とを有する。通信タグ20の形状は、一例ではあるが、厚さ1mm、縦10mm、横10mm程度、又はそれ以下の正方形の薄板形状を呈する。
【0023】
基板21には、保護層22とは反対側(凹部11の底面側)の面にアンテナを含む回路が設けられている。
【0024】
保護層22は、基板21を保護する例えば樹脂製の層である。
【0025】
なお、通信タグ20の構成は任意であり、通信タグ20は、基板21と保護層22とを有するものに限れられない。
【0026】
剥離剤30は、通信タグ20と接着剤40との間に位置する。剥離剤30は、通信タグ20と接着剤40との剥離を促すものであり、例えばシリコーン樹脂である。
【0027】
接着剤40は、通信タグ20を凹部11に固定するためのものであり、例えば凹部11内からはみ出さない量で供給されている。なお、接着剤40の表面が部分的に隆起していれば、その隆起部分から例えば人が冶具又は手で接着剤40を凹部11から取り出しやすくなる。
【0028】
接着剤40は、例えば、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合)系ホットメルト、PO(ポリオレフィン)系ホットメルト、PA(ポリアミド)系ホットメルト、SR(合成ゴム)系ホットメルト、ACR(アクリル)系ホットメルト、PUR(ポリウレタン)系ホットメルトなどのホットメルトであることが望ましい。但し、接着剤40は、光硬化樹脂、湿気硬化樹脂などの他の接着剤であってもよい。また、接着剤40は、ラベルシールなどの一部として用いられる粘着部分などであってもよいが、接着剤40が単体で用いられることでコストダウンを図ることができる。
【0029】
次に、通信タグ20の固定方法について説明する。
【0030】
図3は、通信タグ20の固定方法を説明するための工程図である。
【0031】
図4A図4Cは、通信タグ20の固定方法を説明するための断面図である。
【0032】
なお、図3に示す各工程(ステップS1~S3)は、例えば、単一の装置(固定装置)によって行われてもよいし、或いは、工程ごとに異なる装置によって行われてもよい。
【0033】
図3に示すように、まず、通信タグ20がケース10の凹部11に配置される(ステップS1)。
【0034】
例えば、図4Aに示すように、通信タグ20は、基板21が凹部11の底面側に位置するように凹部11の中央に配置される。
【0035】
次に、通信タグ20に剥離剤30が塗布される(ステップS2)。
【0036】
例えば、図4Bに示すように、剥離剤30の表面張力が低い場合には、剥離剤30は、通信タグ20における凹部11の外側に露出する面(上面)に塗布されると、通信タグ20の側面に垂れ落ちる。これにより、通信タグ20への接着剤40の付着を完全に防止することができる。
【0037】
なお、剥離剤30の塗布工程(ステップS2)は、通信タグ20の配置工程(ステップS1)よりも前に行われてもよい。
【0038】
次に、通信タグ20との間に剥離剤30を介在させるように接着剤40が供給されることにより、通信タグ20が凹部11に固定される(ステップS3)。
【0039】
例えば、図4Cに示すように、供給された接着剤40は、通信タグ20及び剥離剤30を覆って凹部11(例えば、凹部11の底面や側面など)に付着する。接着剤40は、凹部11からはみ出さないことが望ましいが、上述のように、接着剤40の表面を部分的に隆起させる場合には、隆起部分が凹部11からはみ出してもよい。
【0040】
図5A及び図5Bは、通信タグ20の剥離方法を説明するための断面図である。
【0041】
図5Aに示すように、例えば人が冶具又は素手で接着剤40を凹部11から取り出すと、接着剤40とともに通信タグ20及び剥離剤30が凹部11から取り出される。
【0042】
その後、図5Bに示すように、例えば人が冶具又は素手で通信タグ20を剥離剤30から剥離する。これにより、通信タグ20を、剥離剤30及び接着剤40が付着していない状態で取り出すことができる。そのため、通信タグ20の再利用が可能となる。
【0043】
なお、図5Aに示すように接着剤40を凹部11から取り出した場合に、通信タグ20のみ、又は、通信タグ20及び剥離剤30の両方が凹部11に残る場合もある。この場合にも、通信タグ20を凹部11から取り出したり、通信タグ20を剥離剤30から剥離したりすることで、通信タグ20を、剥離剤30及び接着剤40が付着していない状態で取り出すことができる。
【0044】
以上説明した本実施の形態では、タグ付き製品の一例であるインクカートリッジ1は、通信タグ20と、この通信タグ20を被固定部分の一例である凹部11に固定するための接着剤40と、通信タグ20と接着剤40との間に位置する剥離剤30とを備える。
【0045】
他の観点では、通信タグ20の固定方法は、製品の一例であるインクカートリッジ1の被固定部分の一例である凹部11に通信タグ20を配置する工程(図3に示すステップS1)と、通信タグ20に剥離剤30を塗布する工程(ステップS2)と、通信タグ20との間に剥離剤30を介在させるように接着剤40を供給することにより、通信タグ20を凹部1に固定する工程(ステップS3)とを含む。
【0046】
このように通信タグ20と接着剤40との間には剥離剤30が位置するため、通信タグ20をインクカートリッジ1から取り出す場合に、接着剤40を剥離するのが容易となる。そのため、通信タグ20を強固に固定する接着剤40が用いられても、通信タグ20を接着剤40から剥離することができる。よって、本実施の形態によれば、強固に固定された通信タグ20を再利用することができる。また、接着剤40が通信タグ20を覆うように供給されることで、通信タグ20を保護することができる。これにより、通信タグ20が破損したり、或いは、人の手が引っ掛かったりするのを防止することができる。
【0047】
また、本実施の形態では、通信タグ20が固定される被固定部分が凹部11であり、通信タグ20は、凹部11に収容されている。
【0048】
これにより、通信タグ20の固定位置を凹部11内に位置決めすることができる。そのため、通信タグ20の固定後の位置精度を高めることができ、ひいては、通信タグ20の無線通信部との通信精度を向上させることができる。また、通信タグ20、剥離剤30、及び接着剤40が凹部11内で保持されるため、通信タグ20を強固に固定することもできる。
【0049】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0050】
[付記1]
通信タグと、
前記通信タグを被固定部分に固定するための接着剤と、
前記通信タグと前記接着剤との間に位置する剥離剤と
を備えることを特徴とするタグ付き製品。
【0051】
[付記2]
前記被固定部分は、凹部であり、
前記通信タグは、前記凹部に収容されている
ことを特徴とする付記1記載のタグ付き製品。
【0052】
[付記3]
製品の被固定部分に通信タグを配置する工程と、
前記通信タグに剥離剤を塗布する工程と、
前記通信タグとの間に前記剥離剤を介在させるように接着剤を供給することにより、前記通信タグを前記被固定部分に固定する工程と
を含む通信タグの固定方法。
【符号の説明】
【0053】
1 インクカートリッジ
10 ケース
11 凹部
12 インク供給口
20 通信タグ
21 基板
22 保護層
30 剥離剤
40 接着剤
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B