(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】グリース軸受軌道
(51)【国際特許分類】
F16C 23/04 20060101AFI20240910BHJP
F16C 17/02 20060101ALI20240910BHJP
F16C 35/02 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
F16C23/04 Z
F16C17/02 Z
F16C35/02 C
(21)【出願番号】P 2020571718
(86)(22)【出願日】2019-06-24
(86)【国際出願番号】 US2019038665
(87)【国際公開番号】W WO2020005804
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-24
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガラト、マイケル エス.
【審査官】鈴木 貴晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-133230(JP,A)
【文献】実開昭49-101127(JP,U)
【文献】特開2001-187590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 17/00-17/26,
21/00-27/08,
33/00-33/28,
33/72-33/82
F16G 1/00-17/00
B62D 41/00-67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道チェーンアセンブリ(200)であって、
第1の軌道リンク(202)であって、
上面(206)と、底面(208)と、第1側面(210)及び第2側面(212)と、近位端(214)及び遠位端(216)と、それらの両者間の長さ(L)と、を画定する第1の本体(204)であって、
前記第1側面(210)及び前記第2側面(212)はそれらの両者間の厚み(T)を画定し、
前記第1の本体(204)は、前記近位端(214)に隣接して配置された第1の直径(220)を有する第1のボア(218)及び前記遠位端(216)に隣接して配置された第2の直径(224)を有する第2のボア(222)を画定し、前記第1の直径(220)は、前記第2の直径(224)よりも大きくなっている、第1の本体(204)を含む、第1の軌道リンク(202)と、
第2の軌道リンク(226)であって、
上面(230)と、底面(232)と、第1側面(234)及び第2側面(236)と、近位端(238)及び遠位端(240)と、それらの両者間の長さ(L´)と、を画定する第2の本体(228)であって、
前記第1側面(234)及び前記第2側面(236)は、それらの両者間の厚み(T´)を画定し、
前記第2の本体(228)は、前記近位端(238)に隣接して配置された第3の直径(244)を有する第3のボア(242)及び前記遠位端(240)に隣接して配置された第4の直径(248)を有する第4のボア(246)を画定し、前記第3の直径(244)は、前記第4の直径(248)よりも大きくなっており、
前記第3のボア(242)は、前記第2のボア(222)と整列されており、共通の軌道リンクボアの縦方向軸(250)を画定する、第2の本体(228)を含む、第2の軌道リンク(226)と、
前記第3のボア(242)内に配置された軸受アセンブリ(300)と、を含み、前記軸受アセンブリ(300)は、
半径方向(R)、円周方向(C)を有し、前記共通の軌道リンクボアの縦方向軸(250)と同軸の軸受アセンブリの縦方向軸(302)、第1の軸方向端部(304)、及び第2の軸方向端部(306)を画定する円筒形状構成と、
内側半径方向レース(308)と、
外側半径方向レース(322)と、
前記内側半径方向レース(308)と前記外側半径方向レース(322)との間に半径方向に配置された軸受部材(312)と、
前記内側半径方向レース(308)と係合し、前記外側半径方向レース(310)と係合する保持リング(314)と、を含み、前記保持リング(314)は、前記外側半径方向レース(322)に対する前記内側半径方向レース(308)の縦方向の移動を制限するように構成され、前記外側半径方向レース(310)は、前記第1の軸方向端部(304)に隣接して配置された第1のノッチ(318)を画定する内側半径方向面(316)を含み、前記第1のノッチ(318)は、前記保持リング(314)を受け入れるように構成され、前記内側半径方向面(316)はまた、前記第1のノッチ(318)に軸方向に隣接して配置された第1の軸受部材受入スロット(320)を画定する、軌道チェーンアセンブリ(200)。
【請求項2】
前記第
3のボア(
242)
および前記第2のボア(222)内に配置される軌道ピン(254)をさらに含み、前記軌道ピン(254)は、第1の軸方向端部(258)、第2の軸方向端部(260)、及び中間軸方向部分(262)を含み、前記第1の軸方向端部(258)は、第1の端部直径(264)を画定し、前記第2の軸方向端部(260)は、第2の端部直径(266)を画定し、前記中間軸方向部分(262)は、前記第1の端部直径(264)および前記第2の端部直径(266)よりも大きい中間直径(268)を画定し、前記第2の本体(228)は、前記第3のボア(242)を少なくとも部分的に画定し、前記軸受アセンブリ(300)と接触するように構成される内側軸方向隆起部(256)を含む、請求項1に記載の軌道チェーンアセンブリ(200)。
【請求項3】
前記第1の軸方向端部(258)は、前記第2のボア(222)内に圧入され、前記第1の軸方向端部(258)は、前記軸受アセンブリ(300)内に圧入され、前記軸受アセンブリ(300)は、前記第3のボア(242)内に圧入される、請求項2に記載の軌
道チェーンアセンブリ(200)。
【請求項4】
軸受アセンブリ(300)であって、
半径方向(R)、円周方向(C)を有し、軸受アセンブリの縦方向軸(302)、第1の軸方向端部(304)及び第2の軸方向端部(306)を画定する円筒形状構成を含み、
内側半径方向レース(308)と、
外側半径方向レース(310)と、
前記内側半径方向レース(308)と前記外側半径方向レース(310)との間に半径方向に配置されるように構成された軸受部材(312)と、
前記内側半径方向レース(308)及び前記外側半径方向レース(310)と係合するように構成された保持リング(314)と、を含み、
前記保持リング(314)は、組み立てられると、前記外側半径方向レース(310)に対する前記内側半径方向レース(308)の縦方向の移動を制限するように構成され、前記外側半径方向レース(310)は、前記第1の軸方向端部(304)に隣接して配置された第1のノッチ(318)を画定する内側半径方向面(316)を含み、前記第1のノッチ(318)は、前記保持リング(314)を受け入れるように構成され、前記内側半径方向面(316)はまた、前記第1のノッチ(318)に軸方向に隣接して配置された第1の軸受部材受入スロット(320)を画定する、軸受アセンブリ(300)。
【請求項5】
前記内側半径方向レース(308)は、前記第1の軸方向端部(304)に隣接して配置された第2のノッチ(324)を画定する外側半径方向面(322)を含み、前記第2のノッチ(324)は、前記保持リング(314)を受け入れるように構成され、前記外側半径方向面(322)は、前記第2のノッチ(324)に軸方向に隣接して配置された第2の軸受部材受入スロット(326)をさらに画定する、請求項4に記載の軸受アセンブリ(300)。
【請求項6】
前記軸受アセンブリ(300)は、前記軸受アセンブリの縦方向軸(302)に沿って中間面(328)を画定し、前記内側半径方向レース(308)は、前記中間面(328)に対して対称であり、前記内側半径方向レース(308)は、第3のノッチ(330)を画定し、前記アセンブリは、前記第3のノッチ(330)内に配置されるように構成されたOリング(332)をさらに含む、請求項5に記載の軸受アセンブリ(300)。
【請求項7】
前記外側半径方向レース(310)は、前記軸受アセンブリ(300)の前記第2の軸方向端部(306)に近くに配置された隆起部(334)を含み、前記隆起部(334)は、前記第1の軸受部材受入スロット(320)を少なくとも部分的に画定し、前記外側半径方向レース(310)は、組み立て中に、前記Oリング(332)及び前記軸受部材(312)を越えて摺動するように構成される、請求項6に記載の軸受アセンブリ(300)。
【請求項8】
前記軸受部材(312)は、前記軸受部材(312)を通って軸方向及び円周方向に完全にスリット(336)され、前記軸受部材(312)は、前記内側半径方向レース(308)の周りをくるむように構成される、請求項7に記載の軸受アセンブリ(300)。
【請求項9】
前記保持リング(314)は、前記保持リング(314)が前記第1のノッチ(318)内に落ち込むまで前記外側半径方向レース(310)が前記保持リング(314)を越えて摺動することを可能とするように構成される第1のリードイン(lead-in)(340)及び前記保持リング(314)が前記内側半径方向レース(308)を越えて摺動し、前記第2のノッチ(324)内に落ち込むことを可能とするように構成される第2のリードイン(344)を含む、請求項5に記載の軸受アセンブリ(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、土工、建設、採鉱装備等で用いられる無端アンダーキャリッジドライブ(endless undercarriage drive)の軌道チェーンアセンブリにおいて使用されるグリース軸受アセンブリのための方法及び装置に関する。具体的には、本開示は、かかる軌道チェーンアセンブリとともに使用するための密封されたグリースジャーナル軸受アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
土工、建設、及び採鉱装備などは、荒地、オフロード地形で使用されることが多い。これらの機械は、障害物や不整地などでそのような環境でよく推進させることができる軌道シュー(track shoe)を備える無端ドライブを使用することが多い。
【0003】
想像できるように、軌道チェーン上には大きな張力と負荷がかかる可能性がある。機械が重くなり、馬力が増加するにつれ、軌道チェーンのアンダーキャリッジリンクアセンブリは、構成部品の疲労や摩耗のリスクがさらに高くなる。結局、機械及び軌道は、整備を必要とするようになり、これは利益損失をもたらす。
【0004】
より具体的に、スプロケットによって軌道チェーンのブッシング及び軌道ピンに加えられる荷重は、これらの構成部品、もしくは軌道リンクを摩耗又は疲労をもたらす可能性がある。あるいは、摩擦領域の付近に潤滑剤を保持するための軸受及び軌道リンクに関連するシールが損傷される可能性があり、潤滑剤を漏出させる。これは軌道チェーンの移動式構成部品に摩耗の問題を誘発させる可能性がある。
【0005】
従来の軌道チェーンは、様々な性能に関する。たとえば、米国特許第9,227,679号は、本開示の譲受人が共同所有している。‘679特許は、ピンの外面の円周の周りに360度未満に延びられるテクスチャ領域を含む環状の外面を有する軌道ピンに関する。この特許は、構成部品の疲労や摩耗を必ずしも防ぐことではなく、軌道チェーンアセンブリの軌道ピンが歩く(walking)ことを防ぐことに重点を置いている。
【0006】
したがって、メンテナンスの傾向が少ない軌道チェーンを開発することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態による軌道チェーンアセンブリは、上面と、底面と、それらの両者間の厚みを画定する第1側面及び第2側面と、近位端及び遠位端と、そしてそれらの両者間の長さとを画定する第1の本体を含む、第1の軌道リンクを含み得る。第1の本体はまた、近位端に隣接して配置された第1の直径を有する第1のボア及び遠位端に隣接して配置された第2の直径を有する第2のボアを画定し、第1の直径は第2の直径よりも小さい。アセンブリは、上面と、底面と、それらの両者間の厚みを画定する第1側面及び第2側面と、近位端及び遠位端と、そしてそれらの両者間の長さとを画定する第2の本体を含む、第2の軌道リンクをさらに含む。第2の本体は、近位端に隣接して配置された第3の直径を有する第3のボア及び遠位端に隣接して配置された第4の直径を有する第4のボアを画定することができ、第3の直径は第4の直径よりも大きい。第3のボアは、第1のボアと整列され、共通の軌道リンクボアの縦方向軸を画定することができる。アセンブリは、第3のボア内に配置された軸受アセンブリをさらに含み得る。軸受アセンブリは、半径方向、円周方向を有し、組み立てられると、共通の軌道リンクボアの縦方向軸と同軸である軸受アセンブリの縦方向軸を画定する円筒形状構成を含み得る。軸受アセンブリは、第1の軸方向端部及び第2の軸方向端部をさらに画定することができ、内側半径方向レースと、外側半径方向レースと、内側半径方向レースと外側半径方向レースとの間に半径方向に配置された軸受部材と、内側半径方向レースと係合して外側半径方向レースと係合する保持リングと、をさらに含み得、保持リングは、外側半径方向レースに対する内側半径方向レースの縦方向の移動を制限するように構成される。
【0008】
本開示の一実施形態による軸受アセンブリは、半径方向、円周方向を有し、軸受アセンブリの縦方向軸、第1の軸方向端部及び第2の軸方向端部を画定する、円筒形状構成と、内側半径方向レースと、外側半径方向レースと、内側半径方向レースと外側半径方向レースとの間に半径方向に配置されるように構成された軸受部材と、内側半径方向レース及び外側半径方向レースと係合するように構成された保持リングと、を含み得、保持リングは、組み立てられると、外側半径方向レースに対する内側半径方向レースの縦方向の移動を制限するように構成される。
【0009】
本発明の一実施形態による軸受アセンブリを組み立てる方法は、内側半径方向レースの周りにスプリット軸受部材をくるむことと、内側半径方向レース及び外側半径方向レースのいずれかに保持リングを連結することと、を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書に含まれ、その一部を構成する添付の図面は、本開示の幾つかの実施形態を示し、本説明と一緒に本開示の原理を説明する役割をする。図面において、
【
図1】本開示の多様な実施形態による軸受アセンブリを備える多様な軌道チェーンアセンブリを使用し得る機械の斜視図である。
【
図2】本開示の一実施形態による軸受アセンブリを備える軌道チェーンアセンブリの斜視図である。
【
図3】
図2の軌道チェーンアセンブリの分解組立図である。
【
図4】
図2の軸受アセンブリ及び軌道ピンの縦方向軸を含む平面を取った軌道チェーンアセンブリの断面図である。
【
図5】軌道チェーンアセンブリから分離して示される
図3及び
図4の軸受アセンブリの斜視図である。
【
図6】軸受アセンブリの縦方向軸を含む中心面に沿って取られた
図5の軸受アセンブリの断面図である。
【
図8】本開示の一実施形態による軸受アセンブリを組み立てる方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで本開示の実施形態に対して詳細に参照されるが、これらの例は、添付図に示されている。可能な限り、図面全体にかけて同一の参照番号が同一または類似部分を指すために使用されるであろう。幾つかの場合、参照番号が本明細書に表示され、図面は文字の後に付してある参照番号、たとえば、100a、100b又はプライムの後にある参照番号、たとえば100’、100”などを示すことができる。参照番号の後に次ぐ文字又はプライムの使用は、これらの特徴が類似した形状であり、たまに幾何学的構造が対称平面に対してミラーリンクされる場合のように類似する機能を有していることを理解されたい。本明細書では説明の便宜のために、文字及びプライムが本明細書に含まれない場合もたまにあるが、記述された本明細書内で説明される類似又は同一の機能又は幾何学的構造を有する特徴の重複を表示するために図面に示すこともできる。
【0012】
ここで、軌道チェーンアセンブリ及び軸受アセンブリに関する様々な実施形態が説明される。いくつかの実施形態においては、密封されたグリースジャーナル軸受アセンブリが提供され得る。他の実施形態において、ピン及びブッシングは、結合されて単一の構成部品になる。このような様々な実施形態は、軌道チェーンアセンブリを交換する必要がある可能性を低減させることができる。すなわち、本明細書に説明される様々な軌道チェーンアセンブリは、堅牢であり得る。
【0013】
図1は、作業を行うために協力する多数のシステム及び構成部品を有する例示的な機械100を示す。機械100は、鉱業、建設業、農業、輸送業、あるいは当業界によく知られた任意の他の産業のような産業と関連した一部類型の動作を行う可動機械を具現することができる。例えば、機械100は、掘削機、ドーザ、ローダ、バックホー、モータグレーダ、もしくは任意の他の土工機械のような土工機械であり得る。機械100は、動力源102と、及び動力源102によって駆動され、一つ以上の離間されたアイドラホイール106によって支持されることができるアンダーキャリッジアセンブリ104とを含み得る。
【0014】
動力源102は、出力速度及びトルクの範囲内で機械100のアンダーキャリッジアセンブリ104を駆動することができる。動力源102は、例えばディーゼルエンジン、ガソリンエンジン、ガス燃料動力エンジン、又は任意の他の適宜なエンジンのようなエンジンであり得る。また動力源102は、たとえば燃料電池、蓄電装置、又は当業界に知られたか、塔業界で考案されるであろう任意の他の動力源のような非燃焼動力源であり得る。
【0015】
アンダーキャリッジアセンブリ104は、機械100の両側に一つずつある2つの個別的な連続軌道108を含み得る(それらのうち一つだけを
図1に示した)。各軌道108は、一つ以上の駆動スプロケット110を介して動力源102によって駆動されることができる。なお、各軌道108は、軌道チェーンアセンブリ200と、表面、たとえば地面と選択的に係合されるようにそれぞれ構成された複数の軌道シュー114と、を含み得る。各軌道チェーンアセンブリ200は、複数の軸受アセンブリ300(
図1には明確に示されず)を含み得る。さらに、支持ローラ152が軌道チェーンアセンブリ300を支持するために軌道の底部に提供される。
【0016】
ここで、
図2~
図7を参照すると、本開示の様々な実施形態による軸受アセンブリ300が使用できる軌道チェーンアセンブリ200が説明される。
図2から始めると、軌道チェーンアセンブリ200は、上面206と、底面208と、それらの両者間の厚みTを画定する第1側面210及び第2側面212と、近位端214及び遠位端216と、それらの両者間の長さLと、を画定する第1の本体204を含む、第1の軌道リンク202を含み得る。第1の本体204はまた、近位端214に隣接して配置された第1の直径220を有する第1のボア218及び遠位端216に隣接して配置された第2の直径224を有する第2のボア222を画定する。第1の直径220は、示されるように、第2の直径224よりも大きい場合があるが、必ずしもそうである必要はない。
【0017】
同様に、ここで
図2及び
図3を参照すると、上面230と、底面232と、それらの両者間の厚みT´を画定する第1側面234及び第2側面236と、近位端238及び遠位端240と、それらの両者間の長さL´と、を画定する第2の本体228を含む、第2の軌道リンク226が提供され得る。第2の本体228は、近位端238に隣接して配置された第3の直径244を有する第3のボア242及び遠位端240に隣接して配置された第4の直径248を有する第4のボア246を画定する。第3の直径244は、示されるように、第4の直径248よりも大きい場合があるが、必ずしもそうである必要はない。
【0018】
図4に最良に見られるように、軌道チェーンアセンブリ200が組み立てられるとき、第3のボア242は、第2のボア222と整列される。したがって、第1のボア218及び第2のボア222は、共通の軌道リンクボアの縦方向軸250を画定することができる。
【0019】
図2~
図4に示されるように、第1の軌道リンク202及び第2の軌道リンク226は、類似に又は同一に構成される可能性があるが、必ずしもそうである必要はない。また、第1の軌道リンク202及び第2の軌道リンク228は、それらの本体204、228が軸方向にジョグ(jog)するため、オフセットリンクであることが示されている。他の実施形態において、第1及び第2の軌道リンク202、226は、直線リンクなどであり得る。
図4に最良に見られるように、軌道チェーンアセンブリ200は、軌道ピン254の軸方向長さの中間点における対称面252を画定することができる。したがって、第2のセットの別の第1の軌道リンク202’、別の第2の軌道リンク226’及び別の軸受アセンブリ300’が提供される。これは他の実施形態においてはそうでない場合がある。
【0020】
図3~
図6に重点を置くと、軸受アセンブリ300は、第3のボア242内に配置され得る。
図5を見ると、軸受アセンブリ300は、半径方向R、円周方向Cを有し、(
図4に示されるように)共通の軌道リンクボアの縦方向軸250と同軸である軸受アセンブリの縦方向軸302を画定する、環状円筒形状構成を含み得る。
【0021】
図5及び
図6を参照すると、軸受アセンブリ300は、第1の軸方向端部304及び第2の軸方向端部306をさらに画定することができる。軸受アセンブリ300は、内側半径方向レース308(半径方向の内向きに配置されるため、このように称する)及び外側半径方向レース310(半径方向の外向きに配置されるため、このように称する)をさらに含む。軸受部材312(たとえば、スリーブ軸受)は、内側半径方向レース308と外側半径方向レース310との間に半径方向に配置され得る。保持リング314は、内側半径方向レース308と係合し、かつ外側半径方向レース310と係合することも提供され得る。したがって、保持リング314は、外側半径方向レース310に対する内側半径方向レース308の縦方向/軸方向の移動を制限するように構成され得る。この構成は、軸受アセンブリ300を自立型にすることができ、軸受アセンブリ300が、その中に潤滑剤が密封された状態で予め組み立てられた後、単一段階で第3のボア242(
図4参照)内に挿入できるようにする。
【0022】
図6に最も見られるように、外側半径方向レース310は、第1の軸方向端部304に隣接して配置された第1のノッチ318を画定する内側半径方向面316(半径方向の内向きに配置されるため、このように称する)を含む。第1のノッチ318は、保持リング314が第1のノッチ318内に着座するように、保持リング314を受け入れるように構成され得る。また、内側半径方向面316は、第1のノッチ318に縦方向に隣接して配置された第1の軸受部材受入スロット320をさらに画定することができる。軸受部材312は、このスロット320内に配置されるが、保持リング314によってトラップされることもあり、両軸方向への軸受部材312の軸方向の移動を制限する。
【0023】
同様に、内側半径方向レース308は、第1の軸方向端部304に隣接して配置された第2のノッチ324を画定する外側半径方向面322(半径方向の外向きに配置されるため、このように称する)を含み得る。第2のノッチ324はまた、保持リング314が第2のノッチ324内に配置され得るように、保持リング314を受け入れるように構成される。外側半径方向面322は、第2のノッチ324に縦方向/軸方向に隣接して配置された第2の軸受部材受入スロット326をさらに画定する。軸受部材312は、このスロット326内に配置され、両軸方向への軸方向の移動を制限することができる。
【0024】
軸受アセンブリ300は、軸受アセンブリ300の軸方向長さの中間点における軸受アセンブリの縦方向軸302に沿って中間面328を画定することができる。内側半径方向レース308は、中間面328に対して対称であり得る。したがって、内側半径方向レース308は、第2の軸方向端部306に隣接して配置された第3のノッチ330をさらに画定することができる。軸受アセンブリ300内にグリースなどの潤滑剤を密封するために、Oリング332が第3のノッチ330内に配置される場合がある。Oリングは、内側半径方向レース308の第3のノッチ330内に落ち込むように第2の軸方向306を越えて軸方向に摺動され得る。
【0025】
より具体的に、外側半径方向レース310は、軸受アセンブリ300の第2の軸方向端部306に近くに配置された隆起部334を含む。隆起部は、第1の軸受部材受入スロット320を少なくとも部分的に画定し、軸受部材312が第1の軸方向に隆起部334を越えて軸方向に移動するのを防ぐ。外側半径方向レース310は、第1の軸方向端部304近くに別の隆起部がなく、これは外側半径方向レース310が軸受アセンブリ300の組み立て中に、Oリング332及び軸受部材312を越えて軸方向に摺動するように構成されることを意味する。
図4に最良に見られるように、第2の軌道リンク226の内側軸方向隆起部256は、第3のボア242を少なくとも部分的に画定し、軸受アセンブリ300と接触するように構成される。この構成は、軸受アセンブリ300が軸受アセンブリ300自体の完全な支持を必要とせず、第3のボア242の底部に向かって保持リング314とともに挿入される場合に、内向き軸方向に沿って外側半径方向レース310の移動を制限する。
【0026】
図6及び
図7に重点を置くと、軸受部材312は、軸受部材312を通って軸方向、半径方向及び円周方向に完全にスリット336される。その結果、軸受部材312は、内側半径方向レース308の周りに広げてくるまれるように構成される。
【0027】
図4を参照すると、軌道ピン254は、組み立てられると、第
2のボア
222及び第
3のボア242内に配置され得る。より具体的に、軌道ピン254は、軸受アセンブリ300を通って第1のボア218内に延びられる第1の軸方向端部258を含む。同様に、第1の軸方向端部258と類似に又は同一に構成され得る第2の軸方向端部260が提供される。軌道ピン254はまた、第1の軸方向端部258と第2の軸方向端部260との間に配置された中間軸方向部分262を含み得る。第1の軸方向端部258は、第1の端部直径264を画定し、第2の軸方向端部260は、第2の端部直径266を画定し、中間軸方向部分262は、第1の端部直径264と第2の端部直径266の両方よりも大きい中間直径268を画定する。これは他の実施形態においてはそうでない場合がある。
【0028】
したがって、中間軸方向部分262は、軌道ブッシングの機能を提供することができる。軌道ピンと軌道ブッシングを単一の構成部品に結合すると、コストを削減することができ、より堅牢な設計を提供することができる。また、潤滑剤が軸受アセンブリ300内に密封されるため、潤滑剤の供給通路が軌道ピン254に必要でない場合がある。このようなボイド(void)がなければ、より多くの材料を提供し、軌道ピンがより大きな構造的強度を持たせてすべての領域でより深い深さに硬化できるようにする。これは軌道ピン254をより堅牢にすることができる。
【0029】
軌道チェーンアセンブリ200が組み立てられるとき、第1の軸方向端部258は、第2のボア222内に圧入され得る。ほぼ同時に又は直前に、第1の軸方向端部258が軸受アセンブリ300内に圧入され得る。その前に、軸受アセンブリ300は、第3のボア242内に圧入され得る。軸受アセンブリ300の組み立ては、最初に軸受アセンブリ300が自立型ユニットとして第3のボア242内に挿入されるか、
図3によって示されるように同時に挿入かつ組み立てられ得るように達成される場合がある。いずれの場合も、本明細書の後半でさらに詳細に説明される軸受アセンブリ300を組み立てる方法は、依然として正確であろう。
【0030】
いくつかの実施形態において、軸受アセンブリ300は、キットとして組み立て又は分解されるように提供されるか、交換部品/アセンブリとして自立型ユニットとして提供され得る。
図5~
図7を見ると、このような軸受アセンブリ300は、半径方向R、円周方向Cを有し、軸受アセンブリの縦方向軸302、第1の軸方向端部304及び第2の軸方向端部306を画定する、円筒形状構成を含み得る。内側半径方向レース308、外側半径方向レース310及び軸受部材312もまた提供され得る。軸受部材312は、組み立てられると、内側半径方向レース308と外側半径方向レース310との間に半径方向に配置され得る。内側半径方向レース308及び外側半径方向レース310と係合するように構成された保持リング314もまた提供され得る。保持リング314は、外側半径方向レース310に対する内側半径方向レース308の縦方向の移動を制限するように構成され得る。
【0031】
外側半径方向レース310は、第1の軸方向端部304に隣接して配置された第1のノッチ318を画定する内側半径方向面316を含み得る。また、第1のノッチ318は、保持リング314を受け入れるように構成され得る。内側半径方向面316はまた、第1のノッチ318に軸方向に隣接して配置された第1の軸受部材受入スロット320を画定することができる。
【0032】
同様に、内側半径方向レース308は、第1の軸方向端部304に隣接して配置された第2のノッチ324を画定する外側半径方向面322を含み得る。第2のノッチ324は、保持リング314を受け入れるように構成され得る。外側半径方向面322は、第2のノッチ324に軸方向に隣接して配置された第2の軸受部材受入スロット326をさらに画定することができる。
【0033】
組み立てられると、軸受アセンブリ300は、軸受アセンブリの縦方向軸302に沿って中間面328を画定することができる。内側半径方向レース308は、中間面328に対して対称であり得る。アセンブリ300は、第3のノッチ330内に配置されるように構成されたOリング332をさらに含む。
【0034】
外側半径方向レース310は、軸受アセンブリ300の第2の軸方向端部306に近くに配置された隆起部334を含む。隆起部334は、少なくとも部分的に一側のみに第1の軸受部材受入スロット320を画定することができる。すなわち、スロット320は、第1の軸方向端部304まで完全に延びられる。したがって、外側半径方向レース310は、組み立て工程中に、Oリング332及び軸受部材312を越えて軸方向に摺動するように構成され得る。
【0035】
本明細書で前述したように、軸受部材312は、軸受部材312を通って軸方向、半径方向及び円周方向に完全にスリット336され得る。軸受部材312は、内側半径方向レース308の周りにくるまれるように構成され得る。他の実施形態において、このスリット336は、内側及び外側半径方向レース308、310が、同様に軸受部材312の移動を1つの軸方向のみに制限する隆起部334、334’で構成されるときに必要でない場合がある。すなわち、第1及び第2の軸受部材受入スロット320、326は、軸受部材312が第1の軸方向端部304から挿入され得るように、両方とも第1の軸方向端部304まで完全に延びられ得る。このような場合、軸受アセンブリ300は、保持リング314以外にも他の軸方向に追加の軸方向支持を提供するために、第2の軌道リンク226の内側軸方向隆起部256を必要とする場合がある。
【0036】
図6に重点を置くと、保持リング314は、保持リング314が第1のノッチ318内に落ち込むまで外側半径方向レース310が保持リング314を越えて軸方向に摺動することを可能とするように構成された第1のリードイン(lead-in)340(たとえば、面取り部、半径など)を含む。外側半径方向レース310が最初に保持リング314と接触するとき、保持リング314は、摺動軸方向の移動が継続され得るように変形されるか、後方に曲がる場合がある。変形は、第1のノッチ318が保持リング314に到達するとき、保持リング314が第1のノッチ314内に落ち込むように弾性であり得る。第1のリードイン340は、保持リング314の頂部近くの保持リング314の一方の軸方向側部のみにあるため、反対の軸方向への分解を防ぐのに役立つキャッチポイント342(たとえば、鋭い角)が形成される。
【0037】
いくつかの実施形態において、このような摺動移動の前に、保持リング314が内側半径方向レース308の第1の端部304を越えて軸方向に摺動し、第2のノッチ324内に落ち込むことを可能とするように構成された第2のリードイン344が提供され得る。第1及び第2のリードイン342、344の両方は、保持リング314の同一の軸方向側部にある場合があり、保持リング314の底部に配置される類似したキャッチポイント342’が内側半径方向レース308から保持リング314を反対の軸方向に分解するのを防ぐのに役立つように提供される場合がある。いくつかの実施形態において、保持リングは、内側半径方向レース、外側半径方向レース又はその両方にインサート成形され得ることが考慮される。このような場合、リードインの一方又は両方が省略され得る。
【0038】
内側半径方向レースの様々な特徴は、本開示の他の実施形態において、外側半径方向レースと交換又は共有される可能性があり、その逆も可能である。
【0039】
軌道チェーンアセンブリ200及び軸受アセンブリの様々な構成部品は、任意の適切な製造工程又は材料を使用して製造され得る。軌道リンクは、鋼、鋳鉄、鋼鋳鉄(steel-cast iron)などを使用して鍛造、鋳造、又は機械加工される可能性がある。レース及び軸受部材は、鋼を含む任意の適切な金属から鍛造、鋳造又は機械加工される可能性がある。軸受部材には、窒化物などの一部のコーティングが適用され得る。軸受部材の様々な表面は、コーティングが施されていても施されていなくてもよい。Oリングは、ゴムなどで製造され得る。保持リングは、ナイロン、ポリウレタンなどのプラスチックで製造され得る。構成部品の材料を選択するときに、オイル又はグリースなどの潤滑剤との化学的適合性が考慮され得る。
【産業上の利用可能性】
【0040】
実際に、本明細書に説明される任意の実施形態による軌道チェーンアセンブリ及び/又は軸受アセンブリは、OEMあるいはアフタ-マーケットコンテキストで販売、購入、製造又は別な方法で取得され得る。
【0041】
図8は、本開示の一実施形態による軸受アセンブリを組み立てる方法を含む。方法400は、内側半径方向レースの周りにスプリット軸受部材をくるむこと(ステップ402)と、内側半径方向レース及び外側半径方向レースのいずれかに保持リングを連結すること(ステップ404)と、を含み得る。このステップ404は、本明細書で前述したように、インサート射出成形又は保持リングをレース上に(たとえば、軸方向に)摺動させることを含む様々な方法で達成され得る。ステップ402は、いくつかの実施形態において、本明細書で前述したように、レース部材上にスリットする必要のない軸受部材を(たとえば、軸方向に)摺動させることによって代替され得る。
【0042】
方法400は、保持リングが連結される外側半径方向レース及び内側半径方向レースの一方に沿って内側半径方向レース及び外側半径方向レースの他方を(たとえば、軸方向に)摺動させるステップ(ステップ406)をさらに含み得る。ステップ406は、レースが保持リングと接触するまでOリング及び/又は軸受部材上にレースを(たとえば、軸方向に)摺動させること(ステップ406a)を含み得る。
【0043】
レースが軸受部材と接触すると、方法400は、保持リングのリードインを使用して保持リングを変形させることをさらに含み得る(ステップ408)。レースの一方又は両方もおそらくわずかな量のみが変形され得る。
【0044】
方法400は、保持リングが内側半径方向レースと外側半径方向レースの他方に連結するまで保持リングが連結される内側半径方向レースと外側半径方向レースの一方に沿って内側半径方向レースと外側半径方向レースの他方を(たとえば、軸方向に)摺動させることをさらに含み得る(ステップ410)。
【0045】
方法400は、軸受アセンブリ300を軌道リンク内に挿入する前に達成され得るか、軌道リンクのボアなどに少なくとも部分的にその場で実行され得る。
【0046】
本明細書に述べられる装置及び組み立ての方法の実施形態に対して、本発明(単数又は複数)の範囲又は精神から逸脱することなく、様々な修正及び変形を加えることは当業者には明らかであろう。本明細書及び本願に開示した様々な実施を考慮することから、本開示の他の実施形態が当業者には明らかであろう。たとえば、装備の一部は本明細書で説明されたものと異なるように構成され機能することができ、任意の方法の特定の段階は省略されるか、具体的に言及されたものとは異なる手順で行われるか、ある場合は同時又は下位段階で行われることができる。なお、多様な実施形態の特定の態様又は特徴に対する変形や修正が、また他の実施形態を生成するために加えられることができ、多様な実施形態の特徴及び態様がさらなる実施形態を提供するために他の実施形態の他の特徴又は態様に追加又は代替されることができる。
【0047】
よって、本明細書及び具体例は、単に例示的なものと見なされるべきであり、本発明(単数又は複数)の真の範囲及び精神が以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって示されることが意図されている。