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  • 特許-ゴムホース及びゴムホースの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】ゴムホース及びゴムホースの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 11/12 20060101AFI20240910BHJP
   F16L 11/08 20060101ALI20240910BHJP
   B32B 25/04 20060101ALI20240910BHJP
   B32B 1/08 20060101ALI20240910BHJP
   B32B 25/10 20060101ALI20240910BHJP
   B29C 70/16 20060101ALI20240910BHJP
   B29C 70/32 20060101ALI20240910BHJP
   B29K 21/00 20060101ALN20240910BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20240910BHJP
   B29L 23/00 20060101ALN20240910BHJP
【FI】
F16L11/12 H
F16L11/08 A
B32B25/04
B32B1/08
B32B25/10
B29C70/16
B29C70/32
B29K21:00
B29K105:08
B29L23:00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021011610
(22)【出願日】2021-01-28
(65)【公開番号】P2022115139
(43)【公開日】2022-08-09
【審査請求日】2023-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】517413605
【氏名又は名称】ニッタ化工品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003465
【氏名又は名称】弁理士法人OHSHIMA&ASSOCIATES
(74)【代理人】
【識別番号】100106024
【弁理士】
【氏名又は名称】稗苗 秀三
(74)【代理人】
【識別番号】100167841
【弁理士】
【氏名又は名称】小羽根 孝康
(74)【代理人】
【識別番号】100168376
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 清隆
(72)【発明者】
【氏名】浅図 真吾
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-078008(JP,A)
【文献】特開2007-146996(JP,A)
【文献】特開2015-055291(JP,A)
【文献】特公昭46-036036(JP,B1)
【文献】特開2007-239516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 11/12
F16L 11/08
B32B 25/04
B32B 1/08
B32B 25/10
B29C 70/16
B29C 70/32
B29K 21/00
B29K 105/08
B29L 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面ゴム層の外周側に複数の補強層が積層され、前記内面ゴム層の摩耗によって内面に露出する摩耗表示部が設けられたゴムホースであって、前記摩耗表示部は、内面ゴム層を構成するゴムとは素材の異なる別材料を螺旋状に配置してなり、前記複数の補強層のうちの最内層との間に間隔をあけつつ前記内面ゴム層に埋設されたことを特徴とするゴムホース。
【請求項2】
前記摩耗表示部として、化繊コードが螺旋状に配置されたことを特徴とする請求項1に記載のゴムホース。
【請求項3】
筒状の未加硫ゴム成形体を別材料と一体に成形する方法であって、
リボン状の未加硫ゴムからなるゴムリボンに前記別材料を重ね、前記未加硫ゴム成形体の縦断面における前記ゴムリボンの幅方向をマンドレルの長さ方向に対して傾斜させつつ、前記ゴムリボンに前記別材料を重ねた状態で、前記マンドレルに螺旋状かつ隙間なく巻き付けて筒状に成形することを特徴とする未加硫ゴム成形体の成形方法。
【請求項4】
前記ゴムリボンの側縁から中央側に離れた位置に前記別材料を重ねることを特徴とする請求項3に記載の未加硫ゴム成形体の成形方法。
【請求項5】
前記ゴムリボンに、前記別材料としてのコードを重ねることを特徴とする請求項3又は4に記載の未加硫ゴム成形体の成形方法。
【請求項6】
請求項3、4又は5に記載の方法を用いて成形した筒状の未加硫ゴム成形体を内面未加硫ゴム層として、その外周側に補強層及び外面未加硫ゴム層を積層して積層体を成形し、この積層体を加熱及び加圧してゴムホースに加硫成形することを特徴とするゴムホースの製造方法。
【請求項7】
中心軸周りに回転可能かつ長さ方向に移動可能なマンドレルと、リボン状の未加硫ゴムからなるゴムリボンを押し出す押出機と、を備え、前記押出機からゴムリボンを供給しつつ、前記マンドレルを回転させながら長さ方向に移動させて、前記マンドレルの周囲にゴムリボンを螺旋状かつ隙間なく巻き付けて筒状の未加硫ゴム成形体を成形する成形装置であって、
前記未加硫ゴム成形体の縦断面における前記ゴムリボンの幅方向をマンドレルの長さ方向に対して傾斜させるよう設定され、
前記押出機に、未加硫ゴム成形体を別材料と一体に成形するよう、ゴムリボンを吐出する吐出口に別材料を供給する供給路が設けられたことを特徴とする未加硫ゴム成形体の成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、生コンクリートの圧送に用いられるゴムホース及びゴムホースの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、建築現場などにおける生コンクリートの打設に使用されるゴムホースは、ゴム状弾性体よりなる内面層及び外面層とその間に挟まれた補強層とにより管状に構成されている。
【0003】
このようなゴムホースは、セメントに土砂等の固形物を混合した生コンクリートなどを圧送するものであり、ゴム状弾性体製の内面層が大きな内圧を受けて徐々に摩耗し、その摩耗が補強層に達することによってゴムホースが突発的に破損するため、摩耗の程度を的確に把握して、破損に至る前にゴムホースを交換する必要がある。
【0004】
これに対して、例えば特許文献1は、内面層と補強層との間に、内面層とは明確に色の異なる摩耗検出層を設けたゴムホース(耐摩耗ホース)を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-146996号公報(請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1のゴムホースは、内面層と補強層との間に摩耗検出層を設けたものであり、ある部位の内面層が摩耗によって失われて初めて、摩耗検出層が現れて内面層の摩耗を検出することができる。
【0007】
したがって、例えば、内面層が失われる直前まで摩耗が進行したゴムホースを長時間に及ぶ生コンクリートの打設に使用するような場合、使用前の確認の段階では、内面層の補強層までの残厚の減少を確認することができず、その一回の使用中に、内面層が失われると共に、内面層を欠く状態で使用が継続されて、ゴムホースの突発的な破損に至るおそれがある。
【0008】
本発明は、内面ゴム層の摩耗状態を的確に把握して、ゴムホースをその破損に至る前に確実に交換することのできるゴムホース及びゴムホースの製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係るゴムホースは、内面ゴム層の外周側に複数の補強層を積層し、内面ゴム層の摩耗によって内面に露出する摩耗表示部を設けたものであり、その摩耗表示部を、内面ゴム層を構成するゴムとは素材の異なる別材料を螺旋状に配置して構成し、複数の補強層のうちの最内層との間に間隔をあけつつ内面ゴム層に埋設したものである。
【0010】
上記構成によれば、摩耗表示部を補強層との間に間隔をあけつつ内面ゴム層に埋設するので、内面ゴム層が摩耗した際、内面ゴム層に必要十分な厚さを残した状態で、別材料からなる摩耗表示部を露出させて、ゴムホースの交換時期に至ったことを知らせることができる。これにより、ゴムホースを長時間に亘って連続して使用するような場合であっても、その一回の使用中に、補強層が露出するまで内面ゴム層が摩耗して、ゴムホースが突発的な破損に至るのを防止することができる。
【0011】
しかも、内面ゴム層を構成するゴムとは素材の異なる別材料を螺旋状に配置して摩耗表示部を構成するので、その別材料がなす螺旋模様によって摩耗表示部の視認性を高めることができる。さらに、摩耗表示部を螺旋状に構成することにより、摩耗表示部が占める部分の割合を小さくすると共に、摩耗表示部の内外の内面ゴムを一体化させることができ、別材料としての摩耗表示部を配置することによる内面ゴム層への影響を抑えることができる。
【0012】
また、摩耗表示部として、化繊コードを螺旋状に配置するようにしてもよい。ここで、摩耗表示部に用いる化繊コードとしては、例えばナイロンコードやポリエステルコードを採用することができ、その構成を940dtex/2~1670dtex/2とすれば好適である。
【0013】
この構成によると、化繊コードを螺旋状に配置して摩耗表示部とするので、摩耗表示部が占める部分の割合を極めて小さくして、内面ゴム層への影響を十分に抑えることができる。しかも、化繊コードは、内面ゴムと同様に摩耗させることができ、別材料としての摩耗表示部が内面ゴムから分離してゴムホースの耐摩耗性を低下させるのを防止することができる。
【0014】
なお、摩耗表示部を構成する別材料としては、化繊コードに限らず、スチールコードや着色ゴム、粒体、粉体など、どのようなものであってもよいが、粒体や粉体で構成した摩耗表示部は、その占める部分の割合が比較的に大きくなりやすく、着色ゴムで構成した摩耗表示部は、その部分の耐摩耗性や耐圧強度を比較的に低下させやすく、スチールコードで構成した摩耗表示部は、内面ゴムと同様の摩耗をさせ難いという点で、化繊コードが特に好適である。
【0015】
また、本発明は、筒状の未加硫ゴム成形体を別材料と一体に成形する方法を提供する。すなわち、本発明は、リボン状の未加硫ゴムからなるゴムリボンに別材料を重ね、未加硫ゴム成形体の縦断面におけるゴムリボンの幅方向をマンドレルの長さ方向に対して傾斜させつつ、ゴムリボンに別材料を重ねた状態で、マンドレルに螺旋状かつ隙間なく巻き付けて筒状に成形する未加硫ゴム成形体の成形方法を提供する。
【0016】
上記構成によれば、ゴムリボンをその幅方向をマンドレルの長さ方向に対して傾斜させつつ、マンドレルに螺旋状かつ隙間なく巻き付けるので、すなわち、ゴムリボンを先に巻き付けた部位に順に重ねながらマンドレルの長さ方向に少しずつずらすように巻き付けるので、ゴムリボンを厚肉の筒状に成形することができる。この場合、ゴムリボンの幅及び傾斜角度を適宜調節することにより、所望の厚さの筒状の未加硫ゴム成形体を成形することができる。その際、ゴムリボンに別材料を重ねた状態で巻き付けることにより、別材料を螺旋状に構成しつつ未加硫ゴム成形体と一体化することができ、別材料及び未加硫ゴム成形体を一体化するための特別の工程を省略することができる。
【0017】
また、ゴムリボンの側縁から中央側に離れた位置に別材料を重ねるようにしてもよい。
【0018】
この構成によると、別材料を螺旋状に構成しつつ、未加硫ゴム成形体にその外周面との間に間隔をあけて埋設することができ、未加硫ゴム成形体に別材料を埋設するのに要する工程を少なくすることができる。つまり、一般に考え得る方法を用いて別材料を埋設するには、内側の未加硫ゴムを成形する工程と、その外側に螺旋状の別材料を配置する工程と、その外側に外側の未加硫ゴムを成形する工程とを要するが、本発明の構成を採用することにより、ゴムリボンの側縁から中央側に離れた位置に別材料を重ねて巻き付けるという1工程で、未加硫ゴム成形体に別材料を埋設することができる。
【0019】
また、ゴムリボンに、別材料としてのコードを重ねるようにしてもよい。
【0020】
この構成によると、別材料としてのコードに適度の張力を負荷してゴムリボンの正確な位置に重ねることができ、未加硫ゴム成形体を精度よく形成することができる。なお、別材料としては、化繊コードやスチールコードなどのコードに限らず、着色ゴムや粒体、粉体、塗料など、どのようなものであってもよい。
【0021】
また、本発明は、上記の方法を用いて成形した筒状の未加硫ゴム成形体を内面未加硫ゴム層として、その外周側に補強層及び外面未加硫ゴム層を積層して積層体を成形し、この積層体を加熱及び加圧してゴムホースに加硫成形するゴムホースの製造方法を提供する。
【0022】
この構成によると、上記の未加硫ゴム成形体の成形方法の構成を採用することによる効果と同じ効果を奏することができる。
【0023】
また、本発明は、筒状の未加硫ゴム成形体を成形する成形装置を提供する。すなわち、本発明は、中心軸周りに回転可能かつ長さ方向に移動可能なマンドレルと、リボン状の未加硫ゴムからなるゴムリボンを押し出す押出機と、を備え、その押出機からゴムリボンを供給しつつ、マンドレルを回転させながら長さ方向に移動させて、マンドレルの周囲にゴムリボンを螺旋状かつ隙間なく巻き付けて筒状の未加硫ゴム成形体を成形する成形装置であって、未加硫ゴム成形体の縦断面におけるゴムリボンの幅方向をマンドレルの長さ方向に対して傾斜するよう設定し、その押出機に、未加硫ゴム成形体を別材料と一体に成形するよう、ゴムリボンを吐出する吐出口に別材料を供給する供給路を設けた未加硫ゴム成形体の成形装置を提供する。
【0024】
この構成によると、未加硫ゴム成形体の成形装置を用いて、上記の未加硫ゴム成形体の成形方法を実施することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上のとおり、本発明によると、ゴムホースのうちの内面ゴム層に、その外周側の補強層との間に間隔をあけつつ摩耗表示部を埋設するようにしている。これにより、内面ゴム層が摩耗した際、内面ゴム層に必要十分な厚さを残した状態で、摩耗表示部を露出させることができ、内面ゴム層の摩耗状態を的確に把握して、ゴムホースをその破損に至る前に確実に交換することができる。
【0026】
また、ゴムリボンをその幅方向をマンドレルの長さ方向に対して傾斜させつつ、別材料を重ねた状態で、マンドレルに螺旋状かつ隙間なく巻き付けて筒状の未加硫ゴム成形体を成形するようにしている。これにより、ゴムリボンの幅及び傾斜角度を適宜調節して、所望の厚さの未加硫ゴム成形体を成形することができ、その際、特別の工程を設けることなく、別材料を螺旋状に構成しつつ未加硫ゴム成形体と一体化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係るゴムホースの要部断面図
図2】未加硫ゴム成形体の成形装置の側面図
図3】未加硫ゴム成形体の成形装置の平面図
図4】未加硫ゴム成形体の成形装置の正面図
図5図4の要部拡大図
図6図3の要部拡大図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係るゴムホース及びゴムホースの製造方法の実施の形態について、図面を用いて説明する。まず、ゴムホースの構成について説明する。
【0029】
図1に示すように、ゴムホース1は、例えば、生コンクリートの圧送に用いられるものであり、内面ゴム層2の外周側に補強層3、4及び外面ゴム層5をこの順に積層し、さらに、内面ゴム層2の摩耗によって内面に露出する摩耗表示部としての化繊コード6を例えば等ピッチの螺旋状に構成し、この化繊コード6を内面ゴム層2に埋設すると共に、補強層3、4との間にコード表面からの間隔として例えば1~2mm程度の純間隔(a1)をあけたものである。ここで、化繊コード6は、例えば940dtex/2~1670dtex/2のナイロンコードやポリエステルコードである。
【0030】
補強層3、4は、化繊コードやスチールコードなどからなる主補強コード3a、4aをゴムホース1の長さ方向に対して傾斜させて偶数層に配置すると共に、その主補強コード3a、4aの傾斜方向を互いに交差するよう設定したものであり、いわゆるパンタグラフ作用によってゴムホース1の伸縮、拡径、縮径及び曲げ変形を許容しつつ、生コンクリートによるゴムホース1の内圧を受け持つようになっている。
【0031】
ゴムホース1を例えば生コンクリートの圧送に用いることにより、内面ゴム層2が大きな内圧を受けて徐々に摩耗し、やがて、化繊コード6による螺旋模様が現れて、ゴムホース1が寿命に達したことを把握することができる。化繊コード6による螺旋模様が現れた時点では、内面ゴム層2の残厚として、補強層3、4との純間隔(a1)以上の余裕があり、ゴムホース1の使用中に、化繊コード6による螺旋模様が現れた後、そのまま摩耗が補強層3、4に達してゴムホース1が突発的に破損することはない。
【0032】
なお、摩耗表示部としての化繊コード6は、ゴムホース1の全長に亘って配置してもよく、ゴムホース1のうちの特に摩耗しやすい部位のみに配置してもよい。
【0033】
次に、ゴムホースの製造方法について説明する。まず、未加硫ゴム成形体の成形装置7を用いて内面未加硫ゴム層2aを成形する方法を説明する。
【0034】
図2~6に示すように、成形装置7は、中心軸周りに回転可能かつ長さ方向に移動可能なマンドレル8と、未加硫ゴムからなるゴムリボン9に化繊コード6を重ねて押し出す押出機10と、を備えている。押出機10は、先細で先端側が扁平な断面形状の押出路11を有する押出ヘッド12を備え、その先端に装着された口金13に薄い平行四辺形の吐出口14が形成されている。押出ヘッド12の上方には、化繊コード6を供給するボビン15が設けられ、押出ヘッド12に、ボビン15から供給された化繊コード6を吐出口14に導く供給路16が形成されている。
【0035】
図5及び図6に示すように、成形装置7を作動させることにより、吐出口14から薄い平行四辺形の断面形状を有するゴムリボン9が一定の吐出量で吐出されると共に、そのゴムリボン9の側縁から中央側に幅(b)だけ離れた位置に、供給路16を通って吐出口14に導かれた化繊コード6が重ねられる。
【0036】
吐出口14から吐出されたゴムリボン9は、その平行四辺形の断面形状の斜辺がマンドレル8の外周面に沿うように、幅方向がマンドレル8の長さ方向に対して傾斜して、マンドレル8の周囲に供給される。
【0037】
押出機10からゴムリボン9を供給しつつ、マンドレル8が回転しながら長さ方向に移動することにより、傾斜したゴムリボン9がマンドレル8の周囲に螺旋状かつ隙間なく巻き付けられる。すなわち、ゴムリボン9が先に巻き付いた部位に順に重なりつつ、マンドレル8の長さ方向に少しずつずれるように巻き付き、厚肉で筒状の内面未加硫ゴム層2aが成形される。内面未加硫ゴム層2aには、その外周面から純間隔(a2)をあけた位置に、等ピッチの螺旋状で摩耗表示部としての化繊コード6が埋設される。
【0038】
内面未加硫ゴム層2の肉厚は、ゴムリボン9の幅及び傾斜角を調節することにより、所望の厚さに設定することができ、化繊コード6の位置(a2)は、ゴムリボン9の側縁からの幅(b)及び傾斜角を調節することにより、所望の位置に設定することができる。また、化繊コード6のピッチは、マンドレル8の回転速度及び移動速度の調節を伴ってゴムリボン9の厚さを調節することにより、所望のピッチに設定することができる。また、マンドレル8の回転速度及び移動速度は、ゴムリボン9の吐出速度に対応して調節する。
【0039】
その後、内面未加硫ゴム層2aの外周側に補強層3、4及び外面未加硫ゴム層を積層して積層体を成形する。この積層体を加熱及び加圧することにより、化繊コード6の位置(a2)を位置(a1)に変化させながら、内面未加硫ゴム層2a及び外面未加硫ゴム層が加硫成形されて、ゴムホース1が得られる。
【0040】
上記構成によれば、ゴムホース1の内面ゴム層2に摩耗表示部としての化繊コード6を埋設するので、内面ゴム層2が摩耗してゴムホース1の寿命に達した際には、ゴムホース1の内面に化繊コード6の螺旋模様が現れて、ゴムホース1を交換すべきことを知らせることができる。さらに、化繊コード6と補強層3、4との間に純間隔(a1)をあけているので、内面ゴム層2を残した状態で、余裕を持ってゴムホース1を交換すべきことを知らせることができ、ゴムホース1の使用中に突発的に補強層3、4が損傷するのを防止することができる。
【0041】
また、ゴムリボン9の側縁から中央側に離れた位置に化繊コード6を重ね、そのゴムリボン9をマンドレル8に螺旋状かつ隙間なく巻き付けて内面未加硫ゴム層2aを成形するようにしている。これにより、内面未加硫ゴム層2aを化繊コード6の内外に分けて成形することなく、1工程で、化繊コード6を埋設した内面未加硫ゴム層2aを成形することができる。
【0042】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、適宜変更を加えることができる。例えば、摩耗表示部としては、内面ゴム層2を構成するゴムとは素材の異なる別材料を螺旋状に埋設したものであればよく、化繊コード6に代えて、スチールコードや着色ゴム、粒体、粉体、塗料など、あらゆるものを採用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 ゴムホース
2 内面ゴム層
2a 内面未加硫ゴム層
3、4 補強層
3a、4a 主補強コード
5 外面ゴム層
6 化繊コード
7 成形装置
8 マンドレル
9 ゴムリボン
10 押出機
11 押出路
12 押出ヘッド
13 口金
14 吐出口
15 ボビン
16 供給路
a1、a2 純間隔
b 幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6