(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20240910BHJP
G03G 15/16 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G15/16
G03G21/00 310
(21)【出願番号】P 2021014027
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2024-01-29
(31)【優先権主張番号】P 2020155020
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169155
【氏名又は名称】倉橋 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075638
【氏名又は名称】倉橋 暎
(72)【発明者】
【氏名】久保田 一史
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-211672(JP,A)
【文献】特開2007-047550(JP,A)
【文献】特開2001-109338(JP,A)
【文献】特開2001-075449(JP,A)
【文献】特開2019-219606(JP,A)
【文献】特開2020-012938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上にトナー像を形成する画像形成部と、
装置本体に対して着脱可能であり、前記像担持体からトナー像が転写されるベルトを備えた中間転写ユニットと、
前記中間転写ユニットに対して着脱可能であり、前記ベルトに接触している際に前記ベルトの表面をクリーニングするクリーニング部材を備えたクリーニングユニットと、
前記クリーニングユニットに設けられ、通電により非導通状態とされるヒューズと、
前記ヒューズを通して電流が流れたか否かを検知する検知部と、
を有し、
前記中間転写ユニットは、前記ベルトを張架する張架ローラと、前記張架ローラの回転軸線と交差する揺動軸線の周りに前記張架ローラを揺動させることで前記ベルトを幅方向に移動させるステアリングユニットと、を備え、
前記クリーニングユニットは、前記ステアリングユニットと一体的に揺動可能なように前記ステアリングユニットに位置決めされており、
前記クリーニングユニットは、前記ヒューズを前記クリーニングユニットに対して前記揺動軸線の周りを揺動可能なように支持する支持部材を備え、
前記装置本体は、前記装置本体内で前記支持部材と係合する係合部材を備え、
前記クリーニングユニットに対する前記支持部材の最大揺動量は、前記ステアリングユニットの最大揺動量よりも大きいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記検知部が前記ヒューズを通して電流が流れたことを検知した場合に、前記ベルト上に所定のトナー像が形成され、該所定のトナー像が前記クリーニング部材と前記ベルトとの接触部に供給される動作を実行するように前記画像形成部を制御する制御部を更に有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記クリーニングユニットが新たに装着されて前記クリーニングユニットの使用が開始されてからの前記クリーニングユニットの使用量に関する指標値をカウントするカウンタと、
前記カウンタによりカウントされた値が所定の値に到達した場合に、前記クリーニングユニットの交換に関する情報を報知する報知手段と、
を更に有し、
前記カウンタによりカウントされた値は、前記検知部が前記ヒューズを通して電流が流れたことを検知した場合に、初期値にリセットされることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
像担持体上にトナー像を形成する画像形成部と、
装置本体に対して着脱可能であり、前記像担持体からトナー像が転写されるベルトを備えた中間転写ユニットと、
前記中間転写ユニットに対して着脱可能であり、前記ベルトに接触している際に前記ベルトの表面をクリーニングするクリーニング部材を備えたクリーニングユニットと、
前記クリーニングユニットに設けられ、前記クリーニングユニットが新たに装着されたか否かに関する情報を記憶するメモリと、
を有し、
前記中間転写ユニットは、前記ベルトを張架する張架ローラと、前記張架ローラの回転軸線と交差する揺動軸線の周りに前記張架ローラを揺動させることで前記ベルトを幅方向に移動させるステアリングユニットと、を備え、
前記クリーニングユニットは、前記ステアリングユニットと一体的に揺動可能なように前記ステアリングユニットに位置決めされており、
前記クリーニングユニットは、前記メモリを前記クリーニングユニットに対して前記揺動軸線の周りを揺動可能なように支持する支持部材を備え、
前記装置本体は、前記装置本体内で前記支持部材と係合する係合部材を備え、
前記クリーニングユニットに対する前記支持部材の最大揺動量は、前記ステアリングユニットの最大揺動量よりも大きいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記係合部材は、凸部を備え、
前記支持部材には、前記凸部が挿入される凹部又は貫通穴と、前記中間転写ユニットが前記装置本体に装着される過程で前記凸部を前記凹部又は前記貫通穴に導くことが可能な斜面と、が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記斜面は、略円錐状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記凸部は、前記斜面に接触可能な面取り部を備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ステアリングユニットは、前記ステアリングユニットと前記ベルトとの間の摩擦力により前記揺動軸線の周りに揺動させられることで、前記ベルトの調芯を行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記支持部材は、前記クリーニングユニットに対して前記揺動軸線と交差する方向に移動可能なように構成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式や静電記録方式を用いた、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、あるいはこれらのうち複数の機能を備えた複合機などの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば電子写真方式を用いた複写機などの画像形成装置として、像担持体としての感光体などから無端状のベルトなどで構成された中間転写体に1次転写したトナー像を記録材に2次転写する中間転写方式を採用したものがある。また、中間転写方式の画像形成装置では、中間転写体から記録材にトナー像を2次転写した後に中間転写体上に残留したトナー(転写残トナー)などの付着物を、クリーニング部材を備えたクリーニング装置によって除去することが行われる。
【0003】
中間転写方式の画像形成装置では、画像形成装置の装置本体(以下、単に「装置本体」ともいう。)の寿命よりも中間転写体やクリーニング装置の寿命が短いため、中間転写体やクリーニング装置を消耗品として交換することが必要な場合が多い。そして、中間転写体とクリーニング装置とを備えたユニットが一体的に装置本体に対して着脱可能とされることがある。
【0004】
ここで、従来、中間転写体とクリーニング装置とを備えたユニットをユーザーやサービス担当者などの操作者が交換した場合に、操作者がそのことを示す情報を装置本体に設けられた操作部などから画像形成装置の制御部に入力することが行われている。そして、制御部が、その情報に基づいて、新品のユニットが装置本体に装着された場合の所定の制御(ここでは「初期制御」ともいう。)を実行するようになっている場合がある。
【0005】
例えば、クリーニング装置としては、中間転写体などの被清掃体に当接するクリーニングブレードを有し、移動する被清掃体の表面から転写残トナーなどの付着物を掻き取って除去するものが広く用いられている。クリーニングブレードは、ゴムなどの弾性体で形成されており、クリーニングブレードと被清掃体との当接部には摩擦力が働く。この摩擦力が大きすぎると、クリーニングブレードのめくれなどの不具合が生じる可能性がある。そこで、クリーニングブレードと被清掃体との当接部にトナーを供給し、トナー(又はその外添剤)を潤滑剤として利用して、クリーニングブレードと被清掃体との当接部の摩擦力を低減する方法が知られている。また、クリーニングブレードが新品である場合には、クリーニングブレードと被清掃体との当接部に働く摩擦力が大きくなりやすいことがある。
【0006】
特許文献1では、像担持体とクリーニングブレードとを備えたカートリッジが新品である場合には、新品ではない場合よりも、クリーニングブレードと像担持体との当接部にトナーを供給する動作によるトナーの供給量を多くする構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、中間転写体とクリーニング装置とを備えたユニットにおいて、中間転写体と クリーニング装置とで寿命が異なる場合がある。典型的には、中間転写体の寿命よりも、クリーニングブレードなどを備えたクリーニング装置の寿命の方が短い。そのため、これらを一体的なユニットとして交換すると、寿命が比較的短いクリーニング装置の交換のために、中間転写体も一体的に交換せざるを得ず、画像形成装置のランニングコストの上昇につながってしまう。
【0009】
そこで、中間転写体とクリーニング装置とを備えたユニットにおいて、寿命が比較的短いクリーニング装置を、中間転写体を含む他の構成に対して更に着脱可能とすることが考えられる。これにより、必要最小限の構成のみ交換可能として、画像形成装置のランニングコストの上昇を抑制することが可能となる。
【0010】
しかしながら、この場合に、ユニットが交換されたことを示す情報を操作者が入力する構成とさていると、例えば該ユニットにおいて寿命が比較的短いクリーニング装置のみを交換した場合などに、操作者がその情報の入力を忘れることがあり得る。その場合、クリーニング装置が新品に交換された場合に行う必要のある初期制御が正しく行われなくなり、クリーニングブレードのめくれなどの不具合が生じる原因となり得る。
【0011】
したがって、本発明の目的は、中間転写体とクリーニング装置とを備えたユニットにおいてクリーニング装置の交換を可能とすると共に、クリーニング装置が交換されたことを適切に検知することを可能とする画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明の一態様によると、像担持体上にトナー像を形成する画像形成部と、装置本体に対して着脱可能であり、前記像担持体からトナー像が転写されるベルトを備えた中間転写ユニットと、前記中間転写ユニットに対して着脱可能であり、前記ベルトに接触している際に前記ベルトの表面をクリーニングするクリーニング部材を備えたクリーニングユニットと、前記クリーニングユニットに設けられ、通電により非導通状態とされるヒューズと、前記ヒューズを通して電流が流れたか否かを検知する検知部と、を有し、前記中間転写ユニットは、前記ベルトを張架する張架ローラと、前記張架ローラの回転軸線と交差する揺動軸線の周りに前記張架ローラを揺動させることで前記ベルトを幅方向に移動させるステアリングユニットと、を備え、前記クリーニングユニットは、前記ステアリングユニットと一体的に揺動可能なように前記ステアリングユニットに位置決めされており、前記クリーニングユニットは、前記ヒューズを前記クリーニングユニットに対して前記揺動軸線の周りを揺動可能なように支持する支持部材を備え、前記装置本体は、前記装置本体内で前記支持部材と係合する係合部材を備え、前記クリーニングユニットに対する前記支持部材の最大揺動量は、前記ステアリングユニットの最大揺動量よりも大きいことを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明の他の態様によると、像担持体上にトナー像を形成する画像形成部と、装置本体に対して着脱可能であり、前記像担持体からトナー像が転写されるベルトを備えた中間転写ユニットと、前記中間転写ユニットに対して着脱可能であり、前記ベルトに接触している際に前記ベルトの表面をクリーニングするクリーニング部材を備えたクリーニングユニットと、前記クリーニングユニットに設けられ、前記クリーニングユニットが新たに装着されたか否かに関する情報を記憶するメモリと、を有し、前記中間転写ユニットは、前記ベルトを張架する張架ローラと、前記張架ローラの回転軸線と交差する揺動軸線の周りに前記張架ローラを揺動させることで前記ベルトを幅方向に移動させるステアリングユニットと、を備え、前記クリーニングユニットは、前記ステアリングユニットと一体的に揺動可能なように前記ステアリングユニットに位置決めされており、前記クリーニングユニットは、前記メモリを前記クリーニングユニットに対して前記揺動軸線の周りを揺動可能なように支持する支持部材を備え、前記装置本体は、前記装置本体内で前記支持部材と係合する係合部材を備え、前記クリーニングユニットに対する前記支持部材の最大揺動量は、前記ステアリングユニットの最大揺動量よりも大きいことを特徴とする画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、中間転写体とクリーニング装置とを備えたユニットにおいてクリーニング装置の交換を可能とすると共に、クリーニング装置が交換されたことを適切に検知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】中間転写ベルトユニットを示す概略斜視図である。
【
図3】ベルトクリーニング装置を示す概略斜視図である。
【
図4】中間転写ベルトユニットを示す概略斜視図である。
【
図5】中間転写ベルトユニットの着脱時の画像形成装置の概略断面図である。
【
図6】画像形成装置の要部の制御態様を示す概略ブロック図である。
【
図7】中間転写ベルトユニットの装着時の処理を示すフローチャート図である。
【
図8】画像形成装置の他の例の要部の制御態様を示す概略ブロック図である。
【
図9】中間転写ベルトの交換時期を報知する処理のフローチャート図である。
【
図11】中間転写ベルトと摺動リング部との関係を説明するための模式図である。
【
図12】実施例3のベルトクリーニング装置及び接続部を示す概略斜視図である。
【
図13】実施例3の被検知部を説明するための斜視図である。
【
図14】実施例3の被検知部を説明するための斜視図である。
【
図15】実施例3の接続部を説明するための概略斜視図である。
【
図16】実施例3の被検知部を説明するための側面図である。
【
図17】実施例3の被検知部の動作を説明するための斜視図である。
【
図18】実施例3の被検知部の動作を説明するための側面図である。
【
図19】実施例4の画像形成装置の要部の制御態様を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0016】
[実施例1]
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本実施例の画像形成装置1の概略断面図である。本実施例の画像形成装置1は、電子写真方式を用いてフルカラー画像を形成することが可能な、中間転写方式を採用したタンデム型の複合機であり、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置の機能を有している。画像形成装置1は、例えば、パーソナルコンピュータなどの外部装置から送られた画像信号に応じてシート状の記録材Pに画像を形成することができる。
【0017】
画像形成装置1は、複数の画像形成部として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像を形成する第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKを有する。各画像形成部SY、SM、SC、SKにおける同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、いずれかの色用の要素であることを表す符号の末尾のY、M、C、Kを省略して総括的に説明することがある。本実施例では、画像形成部Sは、後述する感光ドラム11、帯電ローラ12、露光装置13、現像装置14、1次転写ローラ106、ドラムクリーニング装置15などを有して構成される。
【0018】
像担持体としてのドラム型(円筒形)の感光体(電子写真感光体)である感光ドラム11は、図中矢印R1方向(時計回り)に、所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。回転する感光ドラム11の表面(外周面)は、帯電手段としての帯電ローラ12によって、所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に一様に帯電処理される。帯電処理された感光ドラム11の表面は、露光手段としての露光装置(レーザスキャナ)13によって画像情報に応じて走査露光され、感光ドラム11上に静電潜像(静電像)が形成される。本実施例では、露光装置13は、各感光ドラム11Y、11M、11C、11Kをそれぞれ露光可能な1つのユニットとして構成されている。つまり、露光装置13は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像信号が入力され、これらの画像信号に応じて各感光ドラム11の表面にレーザ光を照射し、電荷を中和して、静電潜像を形成する。感光ドラム11上に形成された静電潜像は、現像手段としての現像装置14により現像剤としてのトナーが供給されて現像(可視化)され、感光ドラム11上にトナー像が形成される。本実施例では、一様に帯電処理された後に露光されることで電位の絶対値が低下した感光ドラム11上の露光部(イメージ部)に、感光ドラム11の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーが付着する(反転現像)。本実施例では、現像時のトナーの帯電極性であるトナーの正規の帯電極性は負極性である。
【0019】
各画像形成部SY、SM、SC、SKの感光ドラム11Y、11M、11C、11Kに対向して、中間転写体としての無端状のベルトで構成された中間転写ベルト101が配置されている。中間転写ベルト101は、複数の張架ローラにより張架されている。本実施例では、複数の張架ローラは、2次転写内ローラ102と、第1の補助ローラ103と、第2の補助ローラ104と、テンションローラ105と、を有する。中間転写ベルト101は、駆動ローラの機能を有する2次転写内ローラ102に駆動力が入力されることにより駆動され、図中矢印R2方向(反時計回り)に、感光ドラム11の周速度とほぼ同じに設定された周速度(プロセススピード)で回転(周回移動)する。第1、第2の補助ローラ103、104は、中間転写ベルト101の略平坦な画像転写面を形成する。テンションローラ105は、中間転写ベルト101に所定の張力(テンション)を付与する。なお、中間転写ベルト101を張架するローラの数は、4個に限定されるものではない。中間転写ベルト101の内周面側において、第1の補助ローラ103と第2の補助ローラ104との間には、各感光ドラム11に対応して、1次転写手段を構成する1次転写部材としての1次転写ローラ106が配置されている。1次転写ローラ106は、中間転写ベルト101の内周面を感光ドラム11に向けて押圧する。これにより、感光ドラム11と中間転写ベルト101とが接触する1次転写部(1次転写ニップ部)T1が形成される。複数の張架ローラのうち2次転写内ローラ102以外の張架ローラ、及び各1次転写ローラ106は、中間転写ベルト101の回転に伴って従動回転する。
【0020】
感光ドラム11上に形成されたトナー像は、1次転写部T1において所定の加圧力及び静電的負荷バイアスを付与されることで、回転している中間転写ベルト101上に転写(1次転写)される。1次転写工程時に1次転写ローラ106には、1次転写電源(図示せず)からトナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の直流電圧である1次転写電圧(1次転写バイアス)が印加される。例えば、フルカラー画像の形成時には、各感光ドラム11に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が、中間転写ベルト101上に重ね合わせるようにして順次転写される。各画像形成部Sにより並列処理される各色の画像形成プロセスは、中間転写ベルト101上に上流側で1次転写されたトナー像の上に下流側で1次転写されるトナー像を重ね合わせるタイミングで行われる。なお、画像形成部Sの数は4色分に限定されるものではなく、また各色用の画像形成部Sの並び順も本実施例における並び順に限定されるものではない。
【0021】
中間転写ベルト101の外周面側において、対向部材としての2次転写内ローラ102と対向する位置には、2次転写手段を構成する2次転写部材としての2次転写外ローラ16が配置されている。2次転写外ローラ16は、2次転写内ローラ102に向けて押圧され、中間転写ベルト101を介して2次転写内ローラ102に外力を加える。これにより、中間転写ベルト101と2次転写外ローラ16とが接触する2次転写部(2次転写ニップ部)T2が形成される。2次転写外ローラ16は、中間転写ベルト101の回転に伴って従動回転する。中間転写ベルト101上に形成されたトナー像は、2次転写部T2において所定の加圧力及び静電的負荷バイアスが付与されることで、中間転写ベルト101と2次転写外ローラ16とに挟持されて搬送される記録材P上に転写(2次転写)される。2次転写工程時に2次転写外ローラ16には、2次転写電源(図示せず)からトナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の直流電圧である2次転写電圧(2次転写バイアス)が印加される。
【0022】
記録材(シート、転写材、記録媒体)Pは、記録材収容部としての記録材カセット21内に積載されて収容されている。記録材カセット21に収容されている記録材Pは、給送手段としての給送ローラ22などにより記録材カセット21から1枚ずつ送り出される。記録材カセット21から送り出された記録材Pは、搬送手段としての搬送ローラ対24などにより搬送パス23を通って搬送手段としてのレジストローラ対25へと搬送される。この記録材Pは、レジストローラ対25によって、斜行補正が行われた後に、中間転写ベルト101上のトナー像とタイミングが合わされて2次転写部T2へと送られる。
【0023】
トナー像が転写された記録材Pは、定着手段としての定着装置30へと搬送される。定着装置30は、熱源を備えた定着ローラ31と、定着ローラ31に圧接する加圧ローラ32と、によって、未定着のトナー像を担持した記録材Pを加圧及び加熱して、トナー像を記録材Pに定着(溶解、固着)させる。定着装置30は、定着ローラ31と加圧ローラ32との間で記録材Pに所定の加圧力と熱量を付与する。トナー像が定着された記録材Pは、排出ローラ対41などにより画像形成装置1の装置本体2の外部に設けられた排出トレイ42上に排出(出力)される。
【0024】
一方、1次転写工程後に感光ドラム11上に残ったトナー(1次転写残トナー)は、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置15によって、感光ドラム11上から除去されて回収される。また、2次転写工程後に中間転写ベルト101上に残ったトナー(2次転写残トナー)や紙粉などの付着物は、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置108によって中間転写ベルト101上から除去されて回収される。ベルトクリーニング装置108によって回収されたトナーや紙粉などの回収物は、廃トナー搬送経路(図示せず)を介して廃トナー容器(図示せず)へと搬送される。
【0025】
本実施例では、各画像形成部Sにおいて、感光ドラム11、帯電ローラ12、現像装置14、及びドラムクリーニング装置15は、一体的に装置本体2に対して着脱可能なプロセスカートリッジ10を構成している。
【0026】
また、本実施例では、中間転写ベルト101、複数の張架ローラ102~105、各1次転写ローラ106、及びベルトクリーニング装置(クリーニングユニット)108は、一体的に装置本体2に対して着脱可能な中間転写ベルトユニット(中間転写ユニット)100を構成している。また、中間転写ベルトユニット100において、ベルトクリーニング装置108は、中間転写ベルト101を含む他の構成に対して更に着脱可能とされている。中間転写ベルトユニット100については、後述して更に説明する。
【0027】
なお、本実施例では、装置本体2は、画像形成装置1におけるプロセスカートリッジ10及び中間転写ベルト100以外の部分に相当する。
【0028】
本実施例では、装置本体2内の上下方向の中段位置に、中間転写ベルトユニット100が着脱可能に配置される。中間転写ベルトユニット100は、装置本体2への装着時に、装置本体2内に設けられた支持フレーム(図示せず)上に支持される。中間転写ベルトユニット100に設けられたベルトクリーニング装置108は、中間転写ベルトユニット100が装置本体2に装着されると、装置本体2内に設けられた廃トナー搬送経路(図示せず)に接続される。そして、本実施例では、中間転写ベルトユニット100の下部に、中間転写ベルト101の画像転写面の移動方向に沿って上流側から下流側へと4個のプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Kが配置される。
【0029】
2.中間転写ベルトユニット
次に、本実施例における中間転写ベルトユニット100及びその周辺の構成について更に説明する。ここで、画像形成装置1、及びその要素に関して、画像形成装置1の運転時における
図1の紙面手前側を「手前側」、紙面奥側を「奥側」とする。この「手前側」と「奥側」とを結ぶ前後方向は、画像形成装置1の運転時における感光ドラム11や中間転写ベルト101の張架ローラ102~105のそれぞれの回転軸線方向と略平行であるものとする。また、画像形成装置1、及びその要素に関して、上下方向は重力方向(鉛直方向)の上下方向を言うものであるが、それぞれ直上、直下のみを意味するものではなく、注目する要素又は位置を通る水平面より上側、下側を含むものである。
【0030】
図2は、装置本体2内の所定位置に装着される直前の状態の中間転写ベルトユニット100、及び装置本体2に設けられた後述する接続部5を示す概略斜視図である。
図3は、中間転写ベルトユニット100から取り外された状態のベルトクリーニング装置108、及び装置本体2に設けられた後述する接続部5を示す概略斜視図である。
図4は、装置本体2内の所定位置に装着された状態の中間転写ベルトユニット100、及び装置本体2内に設けられた後述する接続部5を示す概略斜視図である。また、
図5は、中間転写ベルトユニット100を装置本体2に着脱する様子を示す画像形成装置1の概略断面図である。
【0031】
中間転写ベルトユニット100は、ユニットフレーム107と、ユニットフレーム107に回転可能に保持された複数の張架ローラ102~105(
図1)と、を有する。また、中間転写ベルトユニット100は、複数の張架ローラ102~105に張架された中間転写ベルト101と、各1次転写ローラ106(
図1)と、ベルトクリーニング装置108と、を有する。
【0032】
図1、
図3に示すように、ベルトクリーニング装置108は、クリーニング部材としてのクリーニングブレード181と、ブレード支持部材としての固定板金182と、を有する。また、ベルトクリーニング装置108は、搬送部材としての搬送スクリュー183と、筐体としてのクリーニング容器184と、を有する。クリーニングブレード181は、中間転写ベルト101の表面の移動方向と略直交する方向と略平行に配置される長手方向と、該長手方向と略直交する短手方向と、にそれぞれ所定の長さを有し、所定の厚さを有する、弾性体で形成された板状の部材である。本実施例では、クリーニングブレード181は、弾性体としてのウレタンゴムで形成されている。クリーニングブレード181は、中間転写ベルト101の表面の移動方向に対してカウンタ方向となる角度で、中間転写ベルト101を介してテンションローラ105に対向して配置される。つまり、クリーニングブレード181は、短手方向における自由端部が、中間転写ベルト101の表面の移動方向に関して上流側を向くように配置される。そして、クリーニングブレード181は、その短手方向における自由端部のエッジ部が中間転写ベルト101の表面に当接させられて、中間転写ベルト101を介してテンションローラ105に外力を加える。クリーニングブレード181は、その短手方向における固定端部が固定板金182に接着されて固定されている。クリーニングブレード181が固定された固定板金182は、クリーニング容器184にビスなどで固定されて保持されている。なお、ベルトクリーニング装置108、及びその要素に関して、クリーニングブレード181の長手方向(中間転写ベルト101の表面の移動方向と略直交する方向)と略平行な方向を長手方向とする。
【0033】
クリーニングブレード181により中間転写ベルト101から回収されたトナーなどの回収物は、クリーニング容器184内に形成された回収トナー収容部184aに収容される。回収トナー収容部184a内には、搬送スクリュー183(
図1)が配置されている。搬送スクリュー183は、回収トナー収容部184a内のトナーなどの回収物を、ベルトクリーニング装置108の長手方向に沿って、クリーニング容器184の一端部(例えば手前側の端部)に向けて搬送する。そして、搬送スクリュー183によって搬送されたトナーなどの回収物は、クリーニング容器184の該一端部に設けられた排出口(図示せず)から排出されて、装置本体2内に設けられた廃トナー搬送経路(図示せず)へと送られる。廃トナー搬送経路に送られた回収物は、装置本体2に着脱可能に装着された廃トナー容器(図示せず)へと搬送される。廃トナー容器は、満杯になった際などに交換される。
【0034】
中間転写ベルトユニット100は、装置本体2に対して着脱可能とされている。また、中間転写ベルトユニット100において、ベルトクリーニング装置108は、中間転写ベルト101を含む他の構成であるベルト搬送部109に対して更に着脱可能とされている。本実施例では、ベルト搬送部109は、ユニットフレーム107と、複数の張架ローラ102~105(
図1)と、中間転写ベルト101と、各1次転写ローラ106(
図1)と、を有する。
【0035】
図5に示すように、画像形成装置1は、装置本体2を手前側から見た際の右側の側部に、装置本体2の内部を開放する開閉部材としての右扉ユニット3を有する。右扉ユニット3は、下方に設けられた、前後方向に伸びる回動軸3aを中心として、上部を下方(
図5中の矢印A方向)に回動させて開放し、上部を上方(
図5中の矢印A方向とは反対方向)に回動させて閉鎖するように構成されている。右扉ユニット3は、ユーザーやサービス担当者などの操作者によって右扉ユニット3に設けられた把手部などが操作されることによって開閉される。右扉ユニット3は、記録材カセット21から2次転写部T2を経て定着装置30に至る記録材Pの搬送経路の少なくとも一部を、記録材Pのオモテ面(トナー像が転写される面)側とウラ面側とを分割するようにして開放される。2次転写外ローラ16は、右扉ユニット3側に取り付けられている。右扉ユニット3を開放すると、2次転写外ローラ16が中間転写ベルト101から離間されるようにして、右扉ユニット3が開放される。操作者は、右扉ユニット3を開放すると、装置本体2内に装着されている中間転写ベルトユニット100にアクセスすることができる。そして、操作者は、ユニットフレーム107などに設けられている把手部などを操作することで、中間転写ベルトユニット100を、装置本体2を手前側から見た際の右側(
図5中の矢印B方向)へと引き出して、装置本体2から取り外すことができる。逆に、操作者は、中間転写ベルトユニット100を、装置本体2を手前側から見た際の左側(
図5中の矢印B方向とは反対方向)へと挿入して、装置本体2に装着することができる。また、操作者は、装置本体2から取り外された中間転写ベルトユニット100のベルト搬送部109に対してベルトクリーニング装置108を着脱することができる。中間転写ベルトユニット100は、ベルト搬送部109にベルトクリーニング装置108が装着された状態で装置本体2に対して着脱される。
【0036】
なお、中間転写ベルト101は、ベルト搬送部109に対して中間転写ベルト101のみを交換可能となっていてもよいし、ベルト搬送部109ごと交換可能となっていてもよい。また、ベルトクリーニング装置108と中間転写ベルト101とを同時に交換する場合は、中間転写ベルトユニット100ごと交換してもよい。
【0037】
本実施例では、中間転写ベルト101は、その寿命が装置本体2の寿命よりも短い。そのため、中間転写ベルト101は、中間転写ベルトユニット100を装置本体2に対して着脱可能とすることで、新品に交換できるようになっている。また、本実施例では、ベルトクリーニング装置108、特に、そのクリーニングブレード181は、その寿命が装置本体2の寿命及び中間転写ベルト101の寿命よりも短い。そのため、ベルトクリーニング装置108は、中間転写ベルトユニット100のベルト搬送部109に対して着脱可能とすることで、新品に交換できるようになっている。このように、本実施例では、中間転写ベルトユニット100において、中間転写ベルト101と比較して寿命の短いベルトクリーニング装置108が、ベルト搬送部109に対して更に着脱可能とされている。これにより、中間転写ベルトユニット100においてベルトクリーニング装置108のみを交換して、ベルトクリーニング装置108と比較して寿命の長い中間転写ベルト101の使用は継続することができる。したがって、必要最小限の構成のみ交換可能として、画像形成装置1のランニングコストの上昇を抑制することが可能となる。
【0038】
ここで、本実施例の画像形成装置1は、ベルトクリーニング装置108を新品に交換した場合には、詳しくは後述するように、所定の初期制御を行うことが必要である。このとき、従来のように、操作者がユニットを交換した旨の情報を入力する構成であると、中間転写ベルトユニット100において寿命が比較的短いベルトクリーニング装置108のみを交換した場合などに、操作者がその情報の入力を忘れることがあり得る。その場合、ベルトクリーニング装置108が新品に交換された場合に行う必要のある初期制御が正しく行われなくなり、クリーニングブレード181のめくれなどの不具合が生じる原因となり得る。
【0039】
そこで、本実施例では、中間転写ベルトユニット100において、中間転写ベルト101と比較して寿命の短いベルトクリーニング装置108に、新品か否かにより状態変化する被検知部4を設ける。また、本実施例では、装置本体2に、ベルトクリーニング装置108に設けられた被検知部4の状態変化によりベルトクリーニング装置108が新品か否かを検知するための接続部5を設ける。
【0040】
更に説明すると、
図2、
図4に示すように、ベルトクリーニング装置108には、被検知部4が設けられている。本実施例では、被検知部4は、電気的に切断可能なヒューズを構成するヒューズ基板4aと、ヒューズ基板4aを保持する支持部材としてのヒューズホルダ4bと、を有する。ヒューズ基板4aは、ヒューズの両極にそれぞれ接続された接点部としてのヒューズ接点4c、4cを有する。本実施例では、被検知部4は、ベルトクリーニング装置108におけるクリーニング容器184の外側面のうち、中間転写ベルトユニット100の装置本体2への装着方向(挿入方向)に関する先端に位置する側面に設けられている。ヒューズ基板4aのヒューズ接点部4c、4cは、該側面側に露出している。本実施例では、ヒューズホルダ4bは、クリーニング容器184の長手方向に関して中央近傍に配置されている。
【0041】
一方、
図2、
図3に示すように、装置本体2には、接続部5が設けられている。接続部5は、装置本体2内の枠体(図示せず)に固定されている。接続部5は、装置本体2に中間転写ベルトユニット100が装着された状態で被検知部4と接続部5とが対向する位置に設けられている。本実施例では、接続部5は、被検知部4におけるヒューズ基板4aのヒューズ接点部4c、4cとそれぞれ接触可能な電気接点部(接点部材)としての接点バネ5a、5aと、接点バネ5a、5aを保持する接点ホルダ5bと、を有する。接点バネ5a、5aは、装置本体2に設けられた電気束線(図示せず)を介して装置本体2に設けられた検知部としての検知回路6(
図6)に接続されている。被検知部4のヒューズ基板4aと接続部5とは、それぞれのヒューズ接点4c、4cと接点バネ5a、5aとが接触することにより、電気的に接続される。そして、検知回路6は、接点バネ5a、5a、ヒューズ接点4c、4cを介して、ヒューズ基板4aの電気的な導通の有無を検知できるようになっている。
【0042】
新品のベルトクリーニング装置108の被検知部4のヒューズ基板4aは、電気的に導通可能な状態になっている。新品のベルトクリーニング装置108が装置本体2に装着されると、被検知部4のヒューズ接点4c、4cと、接続部5の接点バネ5a、5aと、がそれぞれ接続される。そして、画像形成装置1の稼働(通電)が開始されると、所定のタイミングで、検知回路6から接点バネ5a、5a、ヒューズ接点4c、4cを介してヒューズ基板4aに対する通電が行われる。その結果、ヒューズ基板4aに電流が流れると共に、その通電によりヒューズが電気的に切られる。そのため、一度ヒューズが電気的に切られた、新品ではないベルトクリーニング装置108が装置本体2に装着された状態で、画像形成装置1の稼働(通電)が開始された場合には、検知回路6はヒューズ基板4aの電気的な導通を検知できない。つまり、本実施例では、画像形成装置1の制御部50(
図6)は、より詳細には、検知回路6によってヒューズ基板4aの電気的な導通を検知することで、ベルトクリーニング装置108が新品であることを検知できるようになっている。
【0043】
このように、本実施例では、ベルトクリーニング装置108に、ベルトクリーニング装置108が新品か否かにより状態変化する被検知部4を設ける。また、装置本体2に、その被検知部4の状態変化を検知するための接続部5を設ける。これにより、ベルトクリーニング装置108のみを交換した場合などに、その旨の情報を操作者が入力し忘れることで、ベルトクリーニング装置108が新品に交換された場合に行う必要のある初期制御が正しく行われなくなることを防止することができる。したがって、クリーニングブレード181のめくれなどの不具合が発生することを抑制することができる。
【0044】
3.交換タイミング
本実施例では、画像形成装置1は、ベルトクリーニング装置108の使用開始(新品時)からの使用量に関する指標値の累積値を、操作者にベルトクリーニング装置108の交換時期の目安として提供(報知)できるようになっている。また、本実施例では、画像形成装置1は、中間転写ベルト101の使用開始(新品時)からの使用量に関する指標値の累積値を、操作者に中間転写ベルト101の交換時期の目安として提供(報知)できるようになっている。
【0045】
つまり、本実施例では、画像形成装置1には、ベルトクリーニング装置108の使用開始からの使用量に関する指標値を計数(カウント)して計数値(カウント値)を記憶する、計数手段としてのクリーニングカウンタ71(
図6)が設けられている。また、本実施例では、画像形成装置1には、中間転写ベルト101の使用開始からの使用量に関する指標値を計数(カウント)して計数値(カウント値)を記憶する、計数手段としてのベルトカウンタ72(
図6)が設けられている。本実施例では、ベルトクリーニング装置108の使用開始からの使用量に関する指標値としては、所定のサイズに換算した場合の印刷枚数(画像を形成した記録材Pの枚数)を用いた。また、本実施例では、中間転写ベルト101の使用開始からの使用量に関する指標値としては、所定のサイズに換算した場合の印刷枚数(画像を形成した記録材Pの枚数)を用いた。ただし、これらの指標値はそれぞれ、画像形成装置1の動作に伴う、ベルトクリーニング装置108、中間転写ベルト101の使用量と相関する値であればよい。例えば、印刷時間、中間転写ベルト101の搬送距離(あるいは回転回数)や搬送時間(あるいは回転時間)などを用いてもよい。
【0046】
本実施例では、画像形成装置1の制御部50(
図6)は、記録材Pに画像を形成するごとに、記憶部であるクリーニングカウンタ71及びベルトカウンタ72にそれぞれカウント値(印刷枚数)を更新(加算)して記憶させる。また、本実施例では、制御部50は、ベルトクリーニング装置108が新品であることを検知すると、クリーニングカウンタ71のカウント値(印刷枚数)を初期値(本実施例ではゼロ)にリセットする。なお、本実施例では、制御部50は、中間転写ベルト101が新品に交換された場合、画像形成装置1の操作部60(
図6)での操作者による所定の操作に応じて、ベルトカウンタ72のカウント値(印刷枚数)を初期値(本実施例ではゼロ)にリセットする。
【0047】
そして、本実施例では、制御部50は、操作部60における操作者による所定の操作に応じて、クリーニングカウンタ71のカウント値を操作部60に表示させることができる。これにより、操作者は、操作部60において、適宜、クリーニングカウンタ71のカウント値(ベルトクリーニング装置108の使用開始からの印刷枚数)を確認することができる。操作者は、クリーニング不良による画像の汚れなどの不具合が生じた場合や、クリーニングカウンタ71のカウント値を確認して該カウント値が予め設定された所定の寿命値を超えている場合などに、ベルトクリーニング装置108を交換することができる。本実施例では、ベルトクリーニング装置108の寿命の目安は印刷枚数(クリーニングカウンタ71のカウント値)で20万枚に設定されている。
【0048】
同様に、本実施例では、制御部50は、操作部60における操作者による所定の操作に応じて、ベルトカウンタ72のカウント値を操作部60に表示させることができる。これにより、操作者は、操作部60において、適宜、ベルトカウンタ72のカウント値(中間転写ベルト101の使用開始からの印刷枚数)を確認することができる。操作者は、中間転写ベルト101の劣化による画像不良などが生じた場合や、ベルトカウンタ72のカウント値を確認して該カウント値が予め設定された所定の寿命値を超えている場合などに、中間転写ベルト101を交換することができる。本実施例では、中間転写ベルト101の寿命の目安は印刷枚数(ベルトカウンタ72のカウント値)で50万枚に設定されている。
【0049】
なお、画像形成装置1は、クリーニングカウンタ71のカウント値に基づいて、操作部60(あるいは外部装置の表示部)などにおいて、ベルトクリーニング装置108の交換を促す情報を自動的に報知(表示など)するようにしてもよい。例えば、制御部50が、クリーニングカウンタ71のカウント値と、ベルトクリーニング装置108の寿命を示す予め設定された所定の閾値と、を比較して、カウント値が閾値を超えたと判断した場合に、操作部60などに上記情報を報知することができる。同様に、画像形成装置1は、ベルトカウンタ72のカウント値に基づいて、操作部60(あるいは外部装置の表示部)などにおいて、中間転写ベルト101の交換を促す情報を自動的に報知(表示など)するようにしてもよい。例えば、制御部50が、ベルトカウンタ72のカウント値と、中間転写ベルト101の寿命を示す予め設定された所定の閾値と、を比較して、カウント値が閾値を超えたと判断した場合に、操作部60などに上記情報を報知することができる。
【0050】
4.初期制御
クリーニングブレード181は、その自由端部のエッジ部が中間転写ベルト101に当接している。クリーニングブレード181は、弾性体で形成されており、ベルトクリーニング装置108の使用開始からの印刷枚数が所定値を超えると、その自由端部のエッジ部の摩耗が進んでしまう。その結果、中間転写ベルト101上の転写残トナーなどの付着物を除去する能力が低下し、印刷画像が汚れてしまう可能性がある。そのため、ユーザーやサービス担当者などの操作者は、前述のように画像の汚れや印刷枚数を確認してベルトクリーニング装置108の交換を行うことができる。そして、本実施例では、画像形成装置1の制御部50(
図6)は、検知回路6からの信号に基づいてベルトクリーニング装置108が新品に交換されたことを検知した場合、所定の初期制御を実行するように制御する。
【0051】
本実施例では、制御部50は、初期制御として、クリーニングブレード181と中間転写ベルト101との当接部に潤滑剤としてトナーを供給する制御(ここでは「供給制御」ともいう。)を実行する。これは、クリーニングブレード181と中間転写ベルト101との当接部に働く摩擦力が、クリーニングブレード181が新品である場合の方が新品ではない場合よりも大きい場合があるからである。新品のクリーニングブレード181と中間転写ベルト101との当接部に働く摩擦力が過大となると、クリーニングブレード181のめくれなどの不具合が生じてしまう可能性がある。
【0052】
本実施例では、供給制御は、次のようにして行う。制御部50は、新品のベルトクリーニング装置108が装置本体2に装着されたことを検知した場合、その後最初の印刷動作を行う前に、クリーニングブレード181と中間転写ベルト101との当接部にトナーを供給する供給制御を行う。供給制御では、複数の画像形成部Sのうちの少なくとも1つにおいて、感光ドラム11上に、感光ドラム11(及び中間転写ベルト101)の表面の移動方向と略直交する方向(主走査方向)に沿って延びる帯状又はライン状の所定のトナー像が形成される。ここでは、この所定のトナー像を「供給トナー像」ともいう。本実施例では、供給トナー像は、前述した通常の画像形成時と同様のプロセスで帯電工程、露光工程、現像工程を経て形成される。感光ドラム11上に形成された供給トナー像は、1次転写部T1で中間転写ベルト101上に転写される。中間転写ベルト101上に転写された供給トナー像は、中間転写ベルト101の回転により、クリーニングブレード181と中間転写ベルト101との当接部に供給される。なお、供給トナー像が2次転写部T2を通過する際には、2次転写外ローラ16にトナーの正規の帯電極性と同極性(2次転写時とは逆極性)の電圧が印加されて、供給トナー像の2次転写外ローラ16への付着が抑制される。あるいは、供給トナー像が2次転写部T2を通過する際に2次転写外ローラ16を中間転写ベルト101から離間させる手段を設けてもよい。本実施例では、供給トナー像は、感光ドラム11(及び中間転写ベルト101)の表面の移動方向と略直交する方向における画像形成可能領域の略全域にわたる帯状又はライン状のトナー像とされる。ただし、このトナー像は、感光ドラム11(及び中間転写ベルト101)の表面の移動方向と略直交する方向に任意の長さで形成された、単数又は複数のトナー像であってよい。例えば、本実施例では、供給トナー像は、上記略直交する方向の長さが画像形成可能領域の略全域にわたる長さであり、感光ドラム11(及び中間転写ベルト101)の表面の移動方向と略平行な方向(副走査方向)の長さが10mmの帯状のトナー像である。また、本実施例では、この供給トナー像の濃度は、FFH(0~255の256段階のうちの最高濃度レベル(ベタ画像))である。供給制御においてクリーニングブレード181と中間転写ベルト101との当接部に供給されたトナー(又はその外添剤)の潤滑性を利用して、クリーニングブレード181と中間転写ベルト101との当接部に働く摩擦力を低減させることができる。これにより、クリーニングブレード181のめくれなどの不具合の発生を抑制することができる。
【0053】
一方、本実施例では、新品ではないベルトクリーニング装置108が装置本体2に装着された状態で画像形成装置1の稼働(通電)が開始された場合には、その後最初の印刷動作を行う前に供給動作は実行されない。例えば、新品ではないベルトクリーニング装置108が装置本体2に再装着された場合や、新品ではないベルトクリーニング装置108が装置本体2に装着された状態で画像形成装置1の電源がONされたりした場合である。
【0054】
なお、本実施例では、初期制御は、新品のベルトクリーニング装置108が装置本体2に装着された後、最初の印刷動作が行われる前に実行される供給制御であるが、本発明は斯かる態様に限定されるものではない。例えば、供給制御は、ベルトクリーニング装置108の使用が開始された後に、例えば、所定の印刷枚数ごとなどの所定のタイミングで非画像形成時に繰り返し実行されることがある。このとき、クリーニングブレード181の使用開始からの使用量が比較的少ない所定の期間においては、該所定の期間より後よりも、クリーニングブレード181と中間転写ベルト101との当接部に働く摩擦力が大きくなりやすいことがある。このような場合、新品のベルトクリーニング装置108が装置本体2に装着された後の所定の期間の間に初期制御として実行される供給制御では、該所定の期間より後に実行される供給制御よりも、供給トナー像のトナー量を多くすることができる。該所定の期間は、例えば、ベルトクリーニング装置108の寿命が印刷枚数20万枚に設定されている場合における使用開始から印刷枚数5万枚までの期間などである。供給トナー像のトナー量は、例えば、次のようにして多くすることができる。つまり、供給トナー像の副走査方向の長さ(幅)又は主走査方向の長さのうち少なくとも一方を大きくすることができる。また、供給トナー像の濃度を高くすることができる。また、単位印刷枚数あたりに実行する供給制御の回数(供給制御の実行頻度)を多くすることができる。
【0055】
5.制御態様
図6は、本実施例の画像形成装置1の要部の制御態様を示す概略ブロック図である。画像形成装置1には、制御部50が設けられている。制御部50は、演算処理を行う中心的素子である演算制御手段としてのCPU51、記憶手段としてのROM、RAMなどのメモリ(記憶媒体)52、インターフェース部(入出力回路)(図示せず)などを有して構成される。書き換え可能なメモリであるRAMには、制御部50に入力された情報、検知された情報、演算結果などが格納され、ROMには制御プログラム、予め求められたデータテーブルなどが格納されている。CPU51とメモリ52とは互いにデータの転送や読込みが可能となっている。インターフェース部は、制御部50とこれに接続された機器との間の信号の入出力(通信)を制御する。
【0056】
制御部50には、画像形成装置1の各部(画像形成部S、中間転写ベルト101及び記録材Pの搬送に関する部材の駆動装置、各種電源、各種センサなど)が接続されている。本実施例との関係では、制御部50には、クリーニングカウンタ71、ベルトカウンタ72が接続されている。また、制御部50には、ベルトクリーニング装置108が新品か否かを検知するための検知回路6が接続されている。検知回路6は、上述のように、ベルトクリーニング装置108に設けられたヒューズ基板4aに対する通電を行うことで、ヒューズ基板4aの電気的な導通の有無を検知することができる。検知回路6の検知結果を示す信号は、制御部50に入力される。制御部50は、検知回路6からの信号に基づいて、ベルトクリーニング装置108が新品か否か(本実施例では、より詳細には新品であること)を検知することができる。また、制御部50には、画像形成装置1に設けられた操作部(操作パネル、操作画面)60が接続されている。操作部60は、制御部50の制御によって情報を表示する表示部(表示手段)、及びユーザーやサービス担当者などの操作者による操作によって制御部50に情報を入力する入力部(入力手段)を有する。操作部60は、表示手段及び入力手段の機能を有するタッチパネルを有して構成されていてよい。また、制御部50には、画像形成装置1に設けられるか又は画像形成装置1に接続された画像読取装置(図示せず)や、画像形成装置1に接続されたパーソナルコンピュータなどの外部装置(図示せず)が接続されていてよい。
【0057】
画像形成装置1は、1つの開始指示により開始される、単一又は複数の記録材Pに画像を形成して出力する一連の動作であるジョブを実行する。ジョブは、一般に、画像形成工程(画像形成動作、プリント動作、印刷動作)、前回転工程、複数の記録材Pに画像を形成する場合の紙間工程、及び後回転工程を有する。画像形成工程は、実際に記録材Pに形成して出力する画像の静電像の形成、トナー像の形成、トナー像の1次転写、2次転写を行う期間であり、画像形成時(画像形成期間)とはこの期間のことをいう。より詳細には、これら静電像の形成、トナー像の形成、トナー像の1次転写、2次転写の各工程を行う位置で、画像形成時のタイミングは異なる。前回転工程は、開始指示が入力されてから実際に画像を形成し始めるまでの、画像形成工程の前の準備動作を行う期間である。紙間工程は、複数の記録材Pに対する画像形成を連続して行う際(連続画像形成)の記録材Pと記録材Pとの間に対応する期間である。後回転工程は、画像形成工程の後の整理動作(準備動作)を行う期間である。非画像形成時(非画像形成期間)とは、画像形成時以外の期間であって、上記前回転工程、紙間工程、後回転工程、更には画像形成装置1の電源投入時又はスリープ状態からの復帰時の準備動作である前多回転工程などが含まれる。
【0058】
制御部50は、ジョブの情報に基づいて画像形成装置1の各部を制御して画像形成動作を行なわせる。ジョブの情報は、操作部60や外部装置から入力される開始指示(開始信号)、記録材Pの種類などの画像形成条件に関する情報(指令信号)と、画像読取装置や外部装置から入力される画像情報(画像信号)と、を含む。また、制御部50は、新品のベルトクリーニング装置108が装置本体2に装着された場合に、非画像形成時に上述の初期制御を実行することができる。
【0059】
6.処理手順
次に、本実施例における中間転写ベルトユニット100が装置本体2に装着された際の処理について更に説明する。
図7は、該処理の手順の概略を示すフローチャート図である。
【0060】
ベルトクリーニング装置108を交換する場合、
図2、
図5に示すように、操作者は、装置本体2からベルトクリーニング装置108が装着された状態の中間転写ベルトユニット100を一体的に取り出す。そして、操作者は、取り出した中間転写ベルトユニット100のベルト搬送部109から更にベルトクリーニング装置108だけを取り外す。その後、操作者は、新品のベルトクリーニング装置108をベルト搬送部109に装着する。そして、操作者は、新品のベルトクリーニング装置108を装着した中間転写ベルトユニット100を一体的に装置本体2に挿入する。中間転写ベルトユニット100が装置本体2に挿入されていくと、
図4に示すように、中間転写ベルトユニット100が装置本体2内の所定の位置に到達する。すると、ベルトクリーニング装置108に設けられた被検知部4のヒューズ基板4aと装置本体2に設けられた接続部5とが、それぞれのヒューズ接点4c、4cと接点バネ5a、5aとが接触することにより、電気的に接続される。本実施例では、画像形成装置1は、中間転写ベルトユニット100を装置本体2から取り外す際には、画像形成装置1の電源がOFFされるようになっている。このとき、画像形成装置1の電源は、操作者によって電源スイッチが操作されることでOFFとされてもよいし、右扉ユニット3が開放されたことが開閉センサ(図示せず)により検知されることに基づいて制御部50などによりOFFとされてもよい。
【0061】
図7を参照して、制御部50は、中間転写ベルトユニット100が装置本体2に装着され、画像形成装置1の電源がON状態とされると(S101)、その後最初の印刷動作を行う前の所定のタイミングでヒューズ基板4aの導通を確認する(S102)。つまり、制御部50は、検知回路6により接続部5を介してヒューズ基板4aに対する通電を行い、検知回路6からヒューズ基板4aの導通が検知されたことを示す信号が取得されたか否かを判断する。このとき、画像形成装置1の電源は、操作者によって電源スイッチが操作されることでONとされてもよいし、右扉ユニット3が閉鎖されたことが開閉センサ(図示せず)により検知されることに基づいて制御部50などによりONとされてもよい。また、このとき、ベルトクリーニング装置108が新品である場合には、ヒューズ基板4aに電流が流れると共に、その通電によってヒューズが電気的に切断(溶断)される。S102において、制御部50は、検知回路6からヒューズ基板4aの導通が確認されたことを示す信号が取得された場合には、ベルトクリーニング装置108が新品に交換されたと判断することができる。一方、S102において、制御部50は、検知回路6からヒューズ基板4aの導通が確認されたことを示す信号が取得されない場合は、ベルトクリーニング装置108が新品ではないと判断することができる。
【0062】
そして、制御部50は、S102でベルトクリーニング装置108が新品である場合には、クリーニングカウンタ71を初期値にリセットし(S103)、前述の初期制御としての供給制御を実行する(S104)。その後、制御部50は、画像形成装置1をジョブを待機するスタンバイ状態とし、ジョブの情報が入力された場合にはジョブを実行する(S105)。また、制御部50は、S102でベルトクリーニング装置108が新品ではない場合には、S105の処理に進む。
【0063】
以上のように、本実施例では、画像形成装置1は、中間転写体101と、中間転写体101に当接するクリーニング部材181を備え、中間転写体101をクリーニングするクリーニング装置108と、を有し、画像形成装置1の装置本体2に対して一体的に着脱可能なユニット100を有する。このユニット100は、クリーニング装置108が該ユニット100に対して着脱可能である。また、本実施例では、画像形成装置1は、クリーニング装置108に設けられ、通電されることで導通が切断されるヒューズ4aと、クリーニング装置108が装着されたユニット100が装置本体2に装着された際にヒューズ4aと電気的に接続可能に設けられ、ヒューズ4aに通電可能な電気接続部5aと、を有する。また、本実施例では、画像形成装置1は、ユニット100が装置本体2に装着された場合、該ユニット100を用いた最初の画像の形成を行う前に、ヒューズ4aに対する通電を行ってヒューズ4aの導通を切断するようにヒューズ4aへの通電を制御する制御部50を有する。さらに、本実施例では、画像形成装置1は、ヒューズ4aに電流が流れたか否かを検知する検知部6を有する。
【0064】
そして、本実施例によれば、中間転写ベルトユニット100においてベルトクリーニング装置108のみを交換することができる。そのため、使用可能な状態の中間転写ベルト101は継続して使用することができ、画像形成装置1のランニングコストの上昇を抑制することが可能となる。また、本実施例によれば、ベルトクリーニング装置108が新品に交換されたことを装置本体2側で自動的に検知することができるため、操作者が自ら交換したことを示す情報を入力するといった特別な操作を必要としない。そのため、操作者による情報の入力し忘れにより初期制御が適切に行われないことを抑制することが可能となる。また、メンテナンスにかかる時間や手間を削減することが可能となる。
【0065】
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1と同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0066】
本実施例では、ベルトクリーニング装置108の交換回数を記録して、それを中間転写ベルト101の交換時期に関する情報を操作者に提供(報知)するために利用する。
【0067】
つまり、本実施例では、実施例1と同様、中間転写ベルトユニット100において、ベルトクリーニング装置108の寿命は中間転写ベルト101の寿命よりも短い。そのため、中間転写ベルトユニット100において、ベルトクリーニング装置108のみの交換が行われる場合がある。また、本実施例では、実施例1と同様、中間転写ベルト101の寿命は装置本体2の寿命よりも短い。そのため、中間転写ベルト101を交換することも必要となる。
【0068】
このとき、本実施例では、装置本体2に、新品のベルトクリーニング装置108を検知した回数(ベルトクリーニング装置108が新品に交換された回数)を記憶する記憶部を設ける。そして、そのベルトクリーニング装置108が新品に交換された回数に基づいて、中間転写ベルト101の交換時期に関する情報を操作者に提供(報知)する。例えば、ベルトクリーニング装置108が新品に交換された回数が予め設定された所定の回数に到達した場合に、操作部60(あるいは外部装置の表示部)などにおいて、中間転写ベルト101の交換を促す情報を報知(表示など)することができる。
【0069】
例えば、本実施例では、中間転写ベルト101の寿命の目安は印刷枚数で50万枚に設定されており、ベルトクリーニング装置108の寿命の目安は印刷枚数で20万枚に設定されている。この場合、ベルトクリーニング装置108が新品に交換された回数が、50/20=2.5を超えない整数である2回に到達した場合に、中間転写ベルト101の交換時期に関する情報を操作者に提供(報知)することができる。例えば、操作部60などにおいて、「遅くとも次にベルトクリーニング装置を交換する際に、中間転写ベルトを同時に交換することを推奨します。」などと表示することができる。この表示は、例えば、クリーニングカウンタ71のカウント値やベルトカウンタ72のカウント値の表示画面、あるいはベルトクリーニング装置108の交換手順を案内する画面などで行うことができる。これにより、操作者は、遅くともベルトクリーニング装置108を3回目に交換する際に中間転写ベルト101も同時に交換することができる。
【0070】
なお、中間転写ベルト101の交換タイミングは、上記の例に限定されるものではない。中間転写ベルト101の寿命の目安の設定が印刷枚数でN1枚に相当する期間であり、ベルトクリーニング装置108の寿命の目安の設定が印刷枚数でN2枚(N1>N2)に相当する期間であるものとする。このとき、中間転写ベルト101の交換タイミングは、ベルトクリーニング装置108が新品に交換された回数がN1/N2を超えない整数回に到達した時以降のタイミングに設定することができる。上記の例に即していえば、ベルトクリーニング装置108が新品に交換された回数が2.5を超えない整数である2回に到達した時以降のタイミング(例えば、2回目、3回目など)に設定すればよい。この中間転写ベルト101の交換タイミングは、画像形成装置1の使用環境や印刷画像の状況などにより適宜設定することができる。ただし、この交換タイミングは、典型的には、ベルトクリーニング装置108が新品に交換された回数が、N1/N2を超えない整数回に到達した時以降、かつ、N1/N2を超えない整数回に1回を加えた回数に到達した時以前のタイミングとする。
【0071】
図8は、本実施例の画像形成装置1の要部の制御態様を示す概略ブロック図である。
図8に示す本実施例における制御態様は、
図6に示す実施例1における制御態様と概略同様である。ただし、本実施例では、制御部50には、新品のベルトクリーニング装置108を検知した回数(ベルトクリーニング装置108が新品に交換された回数)を記憶する記憶部である交換カウンタ73が接続されている。制御部50は、実施例1で説明したのと同様にして新品のベルトクリーニング装置108を検知するごとに、交換カウンタ73にカウント値(交換回数)を更新(加算)して記憶させる。また、制御部50は、中間転写ベルト101が新品に交換されると、交換カウンタ73のカウント値(交換回数)を初期値(本実施例ではゼロ)にリセットする。
【0072】
図9は、本実施例における中間転写ベルト101の交換時期を報知する処理の手順の概略を示すフローチャート図である。ここでは、上記の例のように、ベルトクリーニング装置108が新品に交換された回数が2回に到達した時以降のタイミングで、その3回目の交換に合わせて中間転写ベルト101を交換することを促す表示を操作部60において行うものとする。
【0073】
制御部50は、例えば装置本体2に対する中間転写ベルトユニット100の挿抜が行われた後に、画像形成装置1の電源がON状態とされると(S201)、ベルトカウンタ72が初期値にリセットされたか否かを判断する(S202)。つまり、中間転写ベルト101が新品に交換されたか否かを判断する。制御部50は、S202でベルトカウンタ72が初期値にリセットされた(中間転写ベルト101が新品に交換された)と判断した場合には、交換カウンタ73のカウント値を初期値にリセットする(S203)。
【0074】
また、制御部50は、S202でベルトカウンタ72が初期値にリセットされていない(中間転写ベルト101が新品に交換されていない)と判断した場合には、クリーニングカウンタ71が初期値にリセットされたか否かを判断する(S204)。つまり、ベルトクリーニング装置108が新品に交換されたか否かを判断する。次に、制御部50は、S204でクリーニングカウンタ71が初期値にリセットされた(ベルトクリーニング装置108が新品に交換された)と判断した場合には、交換カウンタ73のカウント値に1を加算する(S205)。次に、制御部50は、交換カウンタ73のカウント値が2回に到達したか否かを判断する(S206)。そして、制御部50は、S206において交換カウンタ73のカウント値が2回に到達したと判断した場合は、操作部60において中間転写ベルト101の交換を促す表示を行うように制御する(S207)。例えば、上述のように、クリーニングカウンタ71のカウント値の表示画面などに、「遅くとも次にベルトクリーニング装置を交換する際に、中間転写ベルトを同時に交換することを推奨します。」などと表示することができる。一方、制御部50は、S204でクリーニングカウンタ71がリセットされていない(ベルトクリーニング装置108が新品に交換されていない)と判断した場合には、処理を終了する。また、制御部50は、S206で交換カウンタ73のカウント値が2回に到達していないと判断した場合には、処理を終了する。
【0075】
以上のように、本実施例によれば、中間転写ベルトユニット100において、寿命が比較的短いベルトクリーニング装置108が新品か否かを検知する構成を利用して、寿命が比較的長い中間転写ベルト101の交換時期を報知することが可能となる。
【0076】
[実施例3]
次に、本発明の更に他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1及び2の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1及び2の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1及び2と同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0077】
本実施例では、実施例1及び2と同様、中間転写ベルトユニット100において、ベルトクリーニング装置108の寿命は中間転写ベルト101の寿命よりも短い。そのため、中間転写ベルトユニット100において、ベルトクリーニング装置108のみの交換が行われる場合がある。
【0078】
また、本実施例では、中間転写ベルト101に所定の張力を付与する張架ローラであるテンションローラ105は、中間転写ベルト101を幅方向(表面の移動方向と略直交する方向)に移動させるステアリングローラの機能を備えている。つまり、本実施例では、テンションローラ105は、中間転写ベルト101が幅方向のいずれかの端部側に移動する「寄り」を補正するための、ステアリング機構としてのステアリングユニット110(
図10)に含まれている。
【0079】
<ステアリングユニット>
図10は、本実施例における中間転写ベルト101の自動調芯構成を示す概略斜視図である(中間転写ベルト101の図示は省略されている。)。
図11は、中間転写ベルト101と、ステアリングユニット110を構成する摺動リング部203との関係を説明するための模式図である。
【0080】
図10に示すように、ステアリングユニット110は、ステアリングフレーム111、ステアリング軸部112、軸受部113、摺動リング部203、及びテンションローラ105などを有して構成される。ステアリングフレーム111は、テンションローラ105の回転軸線方向Hに沿って延び、その長手方向の両端部に軸受部113が設けられている。テンションローラ105は、その回転軸線方向の両端部が、軸受部113において回転可能に支持されている。なお、テンションローラ105の回転軸線方向に関する両端部の各軸受部113には、それぞれテンションローラ105を中間転写ベルト101の内周面側から外周面側に向けて付勢するための圧縮コイルバネなどで構成された付勢手段が設けられている。ステアリング軸部112は、テンションローラ105の回転軸線方向Hに関して中央部に設けられている。ステアリング軸部112は、テンションローラ105の回転軸線方向Hと略直交する方向に沿って延び、一端部がステアリングフレーム111に固定され、他端部がユニットフレーム107に回動可能(揺動可能)に支持されている。これにより、ステアリングフレーム111及びこれに支持されたテンションローラ105を含むステアリングユニット110の全体が、揺動軸線Jを中心として回動可能(揺動可能)である。揺動軸線Jは、ステアリング軸部112の略中心を通り、テンションローラ105の回転軸線方向Hと略直交する。
【0081】
テンションローラ105は、ステアリングフレーム111に揺動可能に支持された状態で中間転写ベルト101に連れ回り回転する。そして、テンションローラ105の回転軸線方向の両端部に、テンションローラ105よりも中間転写ベルト101に対する摩擦抵抗が大きい、固定部材としての摺動リング部203が設けられている。摺動リング部203は、テンションローラ105と摺動リング部203とが同軸上に連結されて配置されるようにして、回転しないように軸受部113に固定されている。テンションローラ105は、中間転写ベルト101が回転する際に、中間転写ベルト101に連れ回るため、中間転写ベルト101の内周面を摺擦しない。一方、摺動リング部203は、回転しないように固定して配置されているため、中間転写ベルト101が回転する際に、中間転写ベルト101の内周面を摺擦する。そして、摺動リング部203と中間転写ベルト101との接触する領域が所定量以上になると、ステアリングユニット110がステアリングを開始して中間転写ベルト101の自動調芯が可能となる。
【0082】
なお、摺動リング部203は、回転可能に支持される構成であってもよい。ただし、その場合は、中間転写ベルト101の回転方向における摺動リング部203を回転させるために必要なトルクが、同方向におけるテンションローラ105を回転させるために必要なトルクよりも大きいことが必要である。これにより、ステアリングが可能となる。また、本実施例では、テンションローラ105の回転軸線方向の両端部に設けられる摺動リング部203は、それぞれ外周面がテンションローラ105の回転軸線方向の中央側から外側に行くにつれて拡径するテーパー形状とされている。ただし、摺動リング部203は、外径が略均一な円筒形状であってもよい。
【0083】
図11を参照して更に説明する。本実施例では、テンションローラ105の回転軸線方向に関し、中間転写ベルト101の幅W1は、テンションローラ105の幅W2よりも広く、かつ、テンションローラ105の両端部の摺動リング部203の外側の端部間の幅W3よりも狭く設定されている。理想的な定常調芯状態にあるとき、テンションローラ105の両端部の摺動リング部203に対する中間転写ベルト101の掛かり幅wは等しくなる。中間転写ベルト101の幅が上述のような関係にあるとき、仮に中間転写ベルト101の寄りが発生しても、必ず中間転写ベルト101はいずれか一方の摺動リング部203と掛かり幅を有しながら摺擦することになる。つまり、中間転写ベルト101の回転中(画像形成動作中)に、中間転写ベルト101は常に少なくとも一方あるいは両方の摺動リング部203と摺擦している状態である。これにより、中間転写ベルト101が幅方向に移動すると、それぞれの摺動リング部203と中間転写ベルト101との掛かり幅に応じて生じる摩擦力の差によって、テンションローラ105が回動(揺動)する。そして、上記理想的な定常調芯状態に戻るように、中間転写ベルト101の自動調芯がなされる。このように、本実施例では、ステアリングユニット110は、摩擦力のバランスにより揺動軸線Jの周りに揺動して、中間転写ベルト101の自動調芯を行う。
【0084】
<被検知部及び接続部の構成>
図12は、本実施例におけるベルトクリーニング装置108及び接続部5を示す概略斜視図であり、ベルトクリーニング装置108が装着された中間転写ベルトユニット100が装置本体2に挿入される途中の状態を示している。
図13及び
図14は、それぞれ本実施例における移動可能な被検知部4を説明するための斜視図である。
図15は、本実施例における装置本体2に固定された接続部5の概略斜視図である。
図16は、本実施例における被検知部4を説明するための側面図であり、中間転写ベルトユニット100が装置本体2に装着される過程でベルトクリーニング装置108が傾いている状態を示している。また、
図17は、本実施例における被検知部4の動作を説明するための斜視図であり、中間転写ベルトユニット100が装着位置の直前にある時の被検知部4のヒューズホルダ4bと接続部5の状態を示している。さらに、
図18は、本実施例における被検知部4の動作を説明するための側面図であり、中間転写ベルトユニット100が装着位置の直前にある時の被検知部4のヒューズホルダ4bと接続部5の状態を示している。
【0085】
図12に示すように、ベルトクリーニング装置108は、ステアリングユニット110(より詳細にはステアリングフレーム111(
図10))に位置決めされて中間転写ベルトユニット100に取り付けられている。そのため、ベルトクリーニング装置108は、ステアリングユニット110(テンションローラ105)と一体的に揺動可能なように支持されている。そして、本実施例では、ベルトクリーニング装置108は、ヒューズ基板4aを、ベルトクリーニング装置108に対して上述の揺動軸線Jを法線とする平面内を移動可能なように支持する、支持部材としてのヒューズホルダ4bを備えている。
【0086】
図13(a)は、被検知部4がベルトクリーニング装置108のクリーニング容器184から取り外された状態の被検知部4及びクリーニング容器184の側面を、中間転写ベルトユニット100の装置本体2への挿入方向の下流側から見た様子を示している。また、
図13(b)は、被検知部4のヒューズホルダ4を、クリーニング容器184の側面に沿って配置される側面側から見た様子を示している。
図13(a)、(b)に示すように、本実施例では、ヒューズホルダ4bのクリーニング容器184側の側面には、取付部としての取付突起4gが設けられている。本実施例では、取付突起4gはヒューズホルダ4bに一体的に形成されている。取付突起4gは、クリーニング容器184の長手方向に沿って配置されるヒューズホルダ4bの長手方向に関して、中央よりも一方の端部(奥側の端部)の近くに設けられている。取付突起4gは、揺動軸線Jに沿ってクリーニング容器184側に延びる軸部4g1と、該軸部4g1の先端に設けられ該軸部4g1の軸線方向と交差(本実施例では略直交)する方向に延びる抜け止め部4g2と、を有する。取付突起4gは、軸部4g1がクリーニング容器184に設けられた支持部としての支持穴184gに隙間を持って嵌められると共に、抜け止め部4g2が支持穴184gの縁部に係合することで抜け止めされてクリーニング容器184に保持されている。
【0087】
また、
図13(a)、(b)に示すように、本実施例では、ヒューズホルダ4bのクリーニング容器184側の側面には、規制受け部としての規制凸部(凸形状部)4fが設けられている。本実施例では、規制凸部4fはヒューズホルダ4bに一体的に形成されている。規制凸部4fは、クリーニング容器184の長手方向に沿って配置されるヒューズホルダ4bの長手方向に関して、中央よりも上記取付突起4gが設けられている側とは反対側の端部(手前側の端部)の近くに設けられている。規制凸部4fは、揺動軸線Jに沿ってクリーニング容器184側に延びている。規制凸部4fは、クリーニング容器184に設けられた規制部としての規制穴184fに隙間を持って嵌められる。
【0088】
本実施例では、ヒューズホルダ4bは、クリーニング容器184の長手方向に関して中央近傍に配置されている。より詳細には、ヒューズホルダ4bは、クリーニング容器184の長手方向(テンションローラ105の回転軸線方向)に関して、揺動軸線Jと交差し、かつ、上記取付突起4gの方が規制突起4fよりも揺動軸線Jに近くなるような位置に配置されている。
【0089】
上述のような構成により、ヒューズホルダ4bは、ベルトクリーニング装置108に対して、揺動軸線Jの近傍でクリーニング容器184に対してガタを持って保持される。そのため、
図14に示すように、ヒューズホルダ4bは、揺動軸線Jに沿って中間転写ベルトユニット100の装置本体2への挿入方向の下流側から見た場合に上下左右(以下、単に「上下左右」という。)に移動可能である。なお、この左右方向は、前述の装置本体2の前後方向に対応する。
【0090】
また、
図13(a)、
図14に示すように、本実施例では、ヒューズホルダ4bには、後述する接続部5の位置決め凸部5d、5d(
図15)が挿入される位置決め受け部としての貫通穴4e、4eが設けられている。貫通穴4e、4eは、中間転写ベルトユニット100の挿入方向(揺動軸線Jと略平行な方向)に沿って延び、ヒューズホルダ4bを貫通している。本実施例では、クリーニング容器184の長手方向に沿って配置されるヒューズホルダ4bの長手方向に関して、一方の貫通穴4eは取付突起4gよりも奥側に位置し、他方は取付突起4gと規制凸部4fとの間に位置する。また、ヒューズホルダ4bの長手方向に関して、2つの貫通穴4e、4eの間にヒューズ基板4aが配置される。なお、この位置決め受け部は、後述する接続部5の位置決め凸部5d、5dが挿入される凹部であってもよい。その場合、その凹部は、中間転写ベルトユニット100の装置本体2への挿入方向に沿って延び、該方向の下流側に向けて開口するように形成される。また、本実施例では、ヒューズホルダ4bには、クリーニング容器184側とは反対側の側面における貫通穴4e、4eの縁部に位置して、ガイド部としての斜面4d、4dが形成されている。斜面4d、4dは、中間転写ベルトユニット100が装置本体2に装着される過程で、後述する接続部5の位置決め凸部5d、5dを貫通穴4e、4eに導くことが可能である。本実施例では、この斜面4d、4dは、それぞれ中間転写ベルトユニット100の装置本体2への挿入方向の上流側から下流側に行くにつれて拡径する略円錐状に形成されている。なお、この斜面は、辺(平面)を有する略角錐状(例えば四角錘状)などであってもよい。また、この斜面は、曲面と平面とを有する錐体形状であってもよい。
【0091】
一方、装置本体2は、装置本体内でヒューズホルダ4bと係合する係合部材を備えている。本実施例では、
図15に示すように、装置本体2に固定された接続部5のベルトクリーニング装置108側の側面には、上記係合部材を構成する位置決め部としての位置決め凸部(凸形状部)5d、5dが設けられている。位置決め凸部5d、5dは、中間転写ベルトユニット100の装置本体2への挿入方向に沿ってベルトクリーニング装置108側に延びている。本実施例では、略円柱形状とされる位置決め凸部5d、5dは、その先端部に、上述の斜面4e、4eと接触可能なガイド受け部としての面取り部(面取り形状部)5c、5cを備えている。このガイド受け部は、半球状の面などであってもよい。また、装置本体2の前後方向(クリーニング容器184の長手方向と略平行な方向)に関して、2つの位置決め凸部5d、5dの間に、接点バネ5a、5aが配置されている。接点バネ5a、5aは、装置本体2に設けられた電気束線6aを介して装置本体2に設けられた検知回路6(
図6)に接続されている。
【0092】
<装着時の動作>
ベルトクリーニング装置108が装着された中間転写ベルトユニット100が装置本体2に装着される際のステアリングユニット110及びベルトクリーニング装置108の動作について説明する。
【0093】
図12に示すように、中間転写ベルトユニット100は、装着本体2に装着される過程で、ユニットフレーム107が装置本体2に設けられたレール(図示せず)に姿勢を規制されながら、装着位置に向かう。一方、ベルトクリーニング装置108及びステアリングユニット110は、ユニットフレーム107及び装置本体2に対して揺動軸線Jを中心に揺動可能である。また、ヒューズホルダ4bは、ベルトクリーニング装置108に対して上下左右に移動可能に支持されている。中間転写ベルトユニット100は、ベルトクリーニング装置108及びステアリングユニット110が揺動可能な状態のまま、またヒューズホルダ4bが移動可能な状態のまま、装着位置に向けて挿入される。そのため、中間転写ベルトユニット100が装着位置に到達する直前における、装置本体2に固定された接続部5に対するヒューズホルダ4bの姿勢は、中間転写ベルトユニット100の装置本体2への装着動作ごとに異なることが想定される。例えば、
図16に示すように、ステアリングユニット110及びベルトクリーニング装置108の一端(図中右側)が他端(図中左側)に比べて鉛直下方向になるように傾いている状態があり得る。また、そのステアリングユニット110及びベルトクリーニング装置108に対して、ヒューズホルダ4bが更に傾いている状態があり得る。
【0094】
本実施例では、位置変動要因を考慮しても必ずヒューズホルダ4bの斜面4d、4dが接続部5の面取り部5c、5cに当接するように設定されている。この位置変動要因は、次のものを含む。まず、各部品のバラつきである。また、ステアリングユニット110及びベルトクリーニング装置108の最大揺動量(揺動軸線Jの周りに±1.5°)である。また、ベルトクリーニング装置108に対するヒューズホルダ4bの最大移動量(±2.6°、左右方向±1.4mm、上下方向±2.45mm)である。
【0095】
すなわち、
図17に示すように、中間転写ベルトユニット100が装着位置の直前まで到達した状態で、接続部5の位置決め凸部5d、5dの軸線が、ヒューズホルダ4bの斜面4d、4dに投影される位置にある。そして、
図18に示すように、中間転写ベルトユニット100が装着位置まで到達すると、ヒューズホルダ4bの斜面4d、4dは、接続部5の面取り部5c、5cに当接し始める。ヒューズホルダ4bは、斜面4d、4dが面取り部5c、5cから力を受けて、位置決め凸部5d、5dに倣うようにして移動する。これにより、ヒューズホルダ4bは、
図18中の矢印I方向に回動するように移動して、略水平へと姿勢が変化する。そのまま中間転写ベルトユニット100が装着位置に向けて挿入されていくと、最終的に装着位置に到達してヒューズホルダ4bの貫通穴4e、4eと接続部5の位置決め凸部5d、5dとが係合して、ヒューズホルダ4bが位置決めされる。その結果、接続部5を介したヒューズ基板4aに対する通電が可能となり、実施例1及び2と同様の動作によってベルトクリーニング装置108が新品に交換されたか否かを判断することが可能となる。
【0096】
<中間転写ベルトの回転中の動作>
次に、中間転写ベルト101の回転中(画像形成動作中)のステアリングユニット110及びベルトクリーニング装置108の動作について説明する。
【0097】
装置本体2内でヒューズホルダ4bと接続部5とが係合した状態のまま、中間転写ベルト101の回転(画像形成動作)が行われる。形成される画像、記録材Pの種類(紙種)、中間転写ベルトユニット100内の張架ローラの回転軸のアライメントなどにより、中間転写ベルト101の回転中に中間転写ベルト101の寄り(幅方向への移動)が発生する可能性がある。本実施例では、中間転写ベルト101は、上述のようにステアリングユニット110によって寄りが補正されながら回転(画像形成動作)が継続される。ここで、本実施例では、上述のようにベルトクリーニング装置108はステアリングユニット110と一体的に揺動する。そして、本実施例では、ヒューズホルダ4bはそのベルトクリーニング装置108に対してガタを持って上下左右に移動可能に支持されている。そのため、ヒューズホルダ4bは、装置本体2に固定された接続部5と係合したままであっても、揺動軸線Jを法線とする平面内において自在に移動可能であり、ステアリング動作による中間転写ベルト101の調芯を阻害することはない。なお、本実施例とは異なり、接続部5がステアリングユニット110の揺動に伴って揺動する構成であると、次のようになる可能性がある。つまり、接続部5が電気束線や電気接点と共に揺動することになり、ステアリングの負荷により中間転写ベルト101の調芯が不十分となって画像不良が発生したり、電気束線の断線や電気接点の削れにより導通不良が発生したりする可能性がある。
【0098】
以上のように、本実施例によれば、実施例1及び2と同様の効果が得られる。また、本実施例によれば、ベルトクリーニング装置108が揺動可能な構成において、中間転写ベルトユニット100を装置本体2に装着する際のベルトクリーニング装置108の姿勢に拘わらず、ヒューズ基板4aと接続部5との良好な接続が可能となる。また、本実施例によれば、ベルトクリーニング装置108が揺動可能な構成において、ヒューズ基板4aと接続部5との接続が中間転写ベルト101の回転中のベルトクリーニング装置108の揺動に影響することを抑制することができる。
【0099】
なお、本実施例では、取付突起4gや規制凸部4fはヒューズホルダ4bに一体的に形成されていたが、本発明は斯かる態様に限定されるものではない。例えば、取付部や規制受け部として、径方向にガタを持ってクリーニング容器に抜け止めされる段ビス(段付きボルト)を用い、これを支持部材に固定した構成としてもよい。このような構成によっても、本実施例と同様に、支持部材は上下左右に移動可能となり、本実施例と同様の効果が得られる。
【0100】
また、本実施例では、ステアリング機構が中間転写ベルトとの摩擦力の差による自動調芯構成である場合を例として説明したが、本発明は斯かる態様に限定されるものではない。ステアリング機構は、モータなどの動力により張架ローラを揺動させて中間転写ベルトの調芯を行う構成であってもよい。また、揺動可能(傾動可能)な張架ローラの揺動軸(傾動軸)は、中間転写ベルトの幅方向に関して略中央部に位置することに限定されるものではなく、端部に位置してもよい。その場合には、そのステアリングユニットの揺動軸の近傍に、被検知部の支持部材の揺動軸及び装着本体の接続部を配置することができる。これにより、本実施例と同様の効果が得られる。
【0101】
[実施例4]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1と同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0102】
上述の実施例では、ベルトクリーニング装置108にヒューズ基板が設けられていた。本実施例では、ベルトクリーニング装置108に情報を記憶可能なメモリを構成するメモリ基板93(
図19)が設けられている。このメモリ基板93には、ベルトクリーニング装置108が新品か否かを判断するのに用いることができる情報が書き込まれる。
【0103】
図19は、本実施例の画像形成装置1の要部の制御態様を示す概略ブロック図である。
図19に示す本実施例における制御態様は、
図6に示す実施例1における制御態様と概略同様である。ただし、本実施例では、制御部50には、ベルトクリーニング装置108に設けられたメモリ基板93からの情報の読み取り、及び該メモリ基板93への情報の書き込みが可能な、読み取り書き込み部としての読み取り書き込み回路91が接続されている。読み取り書き込み回路91には、メモリ基板93に電気的に接続可能な接続部92が接続されている。読み取り書き込み回路91は、接続部92を介してメモリ基板93から読み取った情報を制御部50に入力する。また、読み取り書き込み回路91は、制御部50の制御により接続部92を介してメモリ基板93に情報を書き込む。制御部50は、メモリ基板93からの情報(所定の情報が無いことを含む。)に基づいて、ベルトクリーニング装置108が新品か否かを検知することができる。
【0104】
メモリ基板93は、上述の実施例で説明したヒューズホルダ4aに対応する支持部材としてのメモリホルダ94に支持されていてよい。そして、メモリ基板93の電気接点部と、上述の実施例で説明した接続部5に対応する接続部92に設けられた電気接点部とが接続されることで、読み取り書き込み回路91によるメモリ基板93に対する情報の読み書きが可能となる。なお、メモリ基板93、接続部92には、それぞれメモリ基板93の構成に応じた任意の数の電気接点部が設けられていてよい。
【0105】
特に、実施例3で説明したようにベルトクリーニング装置108が揺動可能な構成の場合、メモリホルダ94は実施例3におけるヒューズホルダ4aと同様の構成とすることができる。これにより、実施例3と同様に、ベルトクリーニング装置108が揺動可能な構成において、中間転写ベルトユニット100を装置本体2に装着する際のベルトクリーニング装置108の姿勢に拘わらず、メモリ基板93と接続部92との良好な接続が可能となる。また、これにより、実施例3と同様に、ベルトクリーニング装置108が揺動可能な構成において、メモリ基板93と接続部92との接続が中間転写ベルト101の回転中のベルトクリーニング装置108の揺動に影響することを抑制することができる。
【0106】
制御部50は、例えば、メモリ基板93における所定の記憶領域に記憶される所定の情報を取得すること、あるいは所定の記憶領域における所定の情報の有無を検知することで、ベルトクリーニング装置108が新品か否かを判断することができる。例えば、制御部50は、メモリ基板93からベルトクリーニング装置108が新品であることを示す情報を取得することで、ベルトクリーニング装置108が新品であると判断することができる。この場合、ベルトクリーニング装置108の使用が開始された場合に、その情報は消去されるか又は新品ではないことを示す情報に更新されるようになっていてよい。また、制御部50は、メモリ基板93からベルトクリーニング装置108が新品ではない(使用が開始されている)ことを示す情報を取得することで、ベルトクリーニング装置108が新品ではないと判断することができる。この場合、ベルトクリーニング装置108の使用が開始された場合に、ベルトクリーニング装置108が新品ではないことを示す情報が書き込まれるか、新品であることを示す情報から新品ではないことを示す情報に書き換えられるようになっていてよい。また、メモリ基板93には、例えば交換ユニット(ベルトクリーニング装置、中間転写ベルトユニットなど)の製造情報など、ベルトクリーニング装置108の識別情報が書き込まれていてもよい。このような情報は、例えばベルトクリーニング装置108の製造時や工場出荷時にメモリ基板93に書き込まれる。この場合、制御部50は、例えば、制御部50のメモリ52などに記憶されているそれまでに当該画像形成装置1において使用されたベルトクリーニング装置108の識別情報と、新たに装着されたベルトクリーニング装置108の識別情報とを照合する。これによって、ベルトクリーニング装置108が新品か否かを判断することができる。
【0107】
なお、本実施例のベルトクリーニング装置108にメモリ基板93を設ける構成は、ベルトクリーニング装置108が新品か否かを判断するための情報に限らず、任意の情報を記憶するためのメモリ基板93を設ける場合にも応用可能である。
【0108】
[その他]
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
【0109】
上述の実施例では、制御部50は、中間転写ベルト101が新品に交換された場合に、操作部60における操作者による所定の操作に応じて、ベルトカウンタ71のカウント値(印刷枚数)を初期値にリセットした。これに対し、例えば、中間転写ベルトユニット100において中間転写ベルト101を新品に交換する場合には、必ずベルトクリーニング装置108も同時に新品に交換することとする場合が考えられる。例えば、このような場合に、制御部50が、ベルトクリーニング装置108が新品に交換されたことを検知した際に、クリーニングカウンタ71を初期値にリセットすると共に、ベルトカウンタ72も初期値にリセットするようにすることができる。
【0110】
また、上述の実施例では、ベルトクリーニング装置108の交換時期の目安を提供(報知)するなどのためにクリーニングカウンタ71によるベルトクリーニング装置108の使用量に関する指標値の計数を行った。ただし、画像形成装置1は、中間転写ベルトユニット100においてベルトクリーニング装置108が新品に交換されたことを検知できればよく、クリーニングカウンタ71による計数機能を有していなくてもよい。
【0111】
また、上述の実施例では、ベルトクリーニング装置108が備えたクリーニング部材が弾性体で形成されたブレード(クリーニングブレード)181である場合について説明した。しかし、本発明は斯かる態様に限定されるものではなく、使用により摩耗するなどして交換が必要であり、また中間転写体ユニットにおいて中間転写体よりも寿命が短いクリーニング部材であれば、本発明を適用することで上述の実施例と同様の効果が得られる。例えば、クリーニング部材としては、ブレード状の部材の他、ブラシ状の部材、シート状の部材などが例示できる。ただし、前述の供給制御などとされる初期制御の必要性が比較的高いことなどから、クリーニング部材がクリーニングブレードである場合に特に本発明の効果は顕著であるといえる。
【0112】
また、上述の実施例では、中間転写体が無端状のベルトである場合について説明した。しかし、本発明は斯かる態様に限定されるものではなく、中間転写体は、枠体にシートが張設されて形成されたドラム状のものなどであってもよい。
【符号の説明】
【0113】
1 画像形成装置
2 装置本体
3 右扉ユニット
4 被検知部
4a ヒューズ基板
4b ヒューズホルダ(支持部材)
4d 円錐状斜面
4e 貫通穴
5 接続部
5a 接点バネ(電気接続部)
5b 接点ホルダ(係合部材)
5c 面取り部
5d 位置決め凸部
6 検知回路(検知部)
50 制御部
71 クリーニングカウンタ
72 ベルトカウンタ
73 交換カウンタ
100 中間転写ベルトユニット
101 中間転写ベルト
108 ベルトクリーニング装置