(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】糞便の悪臭の知覚を制限又は排除するための揮発性組成物の使用
(51)【国際特許分類】
A61L 9/01 20060101AFI20240910BHJP
C11B 9/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
A61L9/01 H
A61L9/01 J
A61L9/01 K
C11B9/00 J
C11B9/00 L
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021017611
(22)【出願日】2021-02-05
(62)【分割の表示】P 2019526493の分割
【原出願日】2017-11-17
【審査請求日】2021-03-08
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-06
(32)【優先日】2016-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2017-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン マルゴ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ロジャーズ
(72)【発明者】
【氏名】ゲアリー マー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーヌ ヴィユミエ
(72)【発明者】
【氏名】ベン スミス
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン シャピュイ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン シュタルケンマン
(72)【発明者】
【氏名】シャルル シャピュイ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス オレーリー
【合議体】
【審判長】三崎 仁
【審判官】原 賢一
【審判官】増山 淳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-509116(JP,A)
【文献】特表2014-534282(JP,A)
【文献】国際公開第2013/018805(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L9/00-9/22
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
糞便の悪臭の知覚を減少、制限、又は排除するための、
(i)(2,5-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)メタノール、フェニルエチルアセテート、(+-)-2,2,2-トリクロロ-1-フェニルエチルアセテート、(+-)-2-ペンチルシクロペンタノン、アリル(3-メチルブトキシ)アセテート+(+-)-アリル(2-メチルブトキシ)アセテート、
(3aRS、5aSR、9aSR、9bSR)-3a
,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、(+-)-3,7-ジメチル-1-オクテン-3-オール、(+)-(R)-3,7-ジメチル-6-オクテナール、(+-)-3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナール、(+-)-1-フェニルエチルアセテート
及びベンジルアセテー
トから成る
成分の群から選択される少なくとも3つを含む悪臭受容体アンタゴニスト系2質量%~85質量%、
(ii)イソメチル-アルファ-イオノン+アルファ-メチルイオノン、α-イオノン、(E)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエナール+(Z)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエナール、(+-)-3,7-ジメチル-6-オクテン-1-オール、(-)-(R)-3,7-ジメチル-6-オクテンニトリル、(2E)-1-[(1RS,2RS)-2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]-2-ブテン-1-オン、(1RS,2RS)-2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド+(1RS,2SR)-2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン
-1-カルバルデヒド、1-メチル-4-(2-プロパニリデン)シクロヘキセン、デカナール、オクタナール
及びノナナールから成る
付香成分の群から選択される少なくとも2つを含む機能的香料アコード15質量%~98質量%、ここで、前記アコードは、フローラル、シトラス及びジャスミンから選択される香調を有し、
(iii)任意に非機能的香料アコード
を含む組成物の使用。
【請求項2】
前記悪臭受容体アンタゴニスト系が、(2,5-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)メタノール、フェニルエチルアセテート、(+-)-2,2,2-トリクロロ-1-フェニルエチルアセテート、(+-)-2-ペンチルシクロペンタノン、アリル(3-メチルブトキシ)アセテート+(+-)-アリル(2-メチルブトキシ)アセテート、
(3aRS、5aSR、9aSR、9bSR)-3a
,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、(+-)-3,7-ジメチル-1-オクテン-3-オール、(+)-(R)-3,7-ジメチル-6-オクテナール、(+-)-3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナール、(+-)-1-フェニルエチルアセテート
及びベンジルアセテートから成る
成分の群から選択された少なくとも4つを含むことを特徴とする、請求項
1に記載の使用。
【請求項3】
前記組成物が、さらに、マイクロカプセル又は微粒子を形成するためのカプセル化材料
、又は組成物のための液体送達系を形成するための材
料を含むことを特徴とする、請求項1
または2に記載の使用。
【請求項4】
前記組成物が、ルースパウダー又は圧縮された形での多孔質又は多孔質ではない基材上で吸収され、ここで、基材は、セルロース(紙/厚紙)、バーミキュライト、他の工業用吸収剤、パーライト、炭酸カルシウム、軽石、木材、おがくず、粉砕したトウモロコシの穂軸、粉砕した籾殻、籾殻灰、バイオ炭、デンプン、加工デンプン及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
以下、
a)(2,5-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)メタノール、フェニルエチルアセテート、(+-)-2,2,2-トリクロロ-1-フェニルエチルアセテート、(+-)-2-ペンチルシクロペンタノン、アリル(3-メチルブトキシ)アセテート+(+-)-アリル(2-メチルブトキシ)アセテート、
(3aRS、5aSR、9aSR、9bSR)-3a
,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、(+-)-3,7-ジメチル-1-オクテン-3-オール、(+)-(R)-3,7-ジメチル-6-オクテナール、(+-)-3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナール、(+-)-1-フェニルエチルアセテート
及びベンジルアセテー
トから成る
成分の群から選択される少なくとも3つを含む悪臭受容体アンタゴニスト系を有効量の2~85質量%、
b)イソメチル-アルファ-イオノン+アルファ-メチルイオノン、α-イオノン、(E)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエナール+(Z)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエナール、(+-)-3,7-ジメチル-6-オクテン-1-オール、(-)-(R)-3,7-ジメチル-6-オクテンニトリル、(2E)-1-[(1RS,2RS)-2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]-2-ブテン-1-オン、(1RS,2RS)-2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド+(1RS,2SR)-2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン
-1-カルバルデヒド、1-メチル-4-(2-プロパニリデン)シクロヘキセン、デカナール、オクタナール
及びノナナールから成る
成分の群から選択される少なくとも2つを含む機能的香料アコードを15~98質量%、
c)任意に、少なくとも2つの付香成分を含む非機能的香料アコード
を含む、糞便の悪臭の知覚を減少、制限、又は排除するための、悪臭中和組成物。
【請求項6】
前記悪臭受容体アンタゴニスト系が、(2,5-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)メタノールを含み、かつ機能的香料アコードが、イソメチル-アルファ-イオノン+アルファ-メチルイオノン
及びα-イオノ
ンを含むことを特徴とする、請求項
5に記載の組成物。
【請求項7】
(2,5-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)メタノールが、組成物の少なくとも2%で存在することを特徴とする、請求項
6に記載の組成物。
【請求項8】
さらに、エマルション、分散液、マイクロエマルション、ミニエマルション、ゲル、ミクロゲル、マイクロカプセル又は微粒子を形成するためにカプセル化材料又は他の材料を含むことを特徴とする、請求項
5から7までのいずれか1項に記載の悪臭中和組成物。
【請求項9】
請求項
5から7のいずれか1項において定義した悪臭中和組成物の有効量を含む着香消費者製品。
【請求項10】
エアケア製品、ホームケア製品及びランドリーケア製品から選択される、請求項
9に記載の
着香消費者製品。
【請求項11】
エアロゾル及び/又は水性エアフレッシュナースプレー、ウィック/リードエアフレッシュナー、液体電動(プラグイン)エアフレッシュナー、固体支持体エアフレッシュナー、ゲル状エアフレッシュナー、膜含有エアフレッシュナー、漂白剤、清浄剤、洗浄洗剤粉末、多目的液体クリーナー、特殊クリーナー及び液体洗剤の形であることを特徴とする、請求項
9又は10に記載の
着香消費者製品。
【請求項12】
糞便の悪臭を中和するための非治療的方法であって、
請求項5に記載の組成物で表面を処理すること又は
請求項5に記載の組成物を少なくとも部分的に空気中に分配することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年11月18日に出願された米国仮特許出願番号第62/424,072号(U.S. Provisional Patent Application Serial No. 62/424,072)、2017年4月13日に出願された米国仮特許出願番号第62/485,060号(U.S. Provisional Patent Application Serial No. 62/485,060)、2017年6月8日に出願された欧州特許出願番号第17175114.2号(European Patent Application Serial No. 17175114.2)、及び2017年9月11日に出願された米国仮特許出願番号第62/556,714号(U.S. Provisional Patent Application Serial No. 62/556,714)に対して優先権を主張し、その全記載内容は参照をもってその全体を本明細書に組み込まれたものとする。
【0002】
技術分野
本開示は、悪臭中和の分野に関する。より詳述すれば、本開示は、糞便の悪臭の知覚を制限、低減又は排除するための揮発性組成物の使用に関する。かかる組成物は、悪臭中和剤として機能する付香成分に関連する悪臭アンタゴニスト系を、糞便の悪臭の知覚を著しく低減させる組み合わせで含む。かかる組成物、送達系と組み合わせたそれらの使用、及び消費者製品におけるそれらの適用が、本開示の目的である。
【0003】
背景技術
悪臭として知覚されるにおいは、多くの環境中に存在し、日常生活で体験される。この負の関係を誘発するにおい物質は、例えば、廃棄物、ゴミ箱、トイレ、キャットリター、並びに食品取扱い及び食品加工によって生じうる商業的環境及び居住環境の悪臭からなりうる。トイレ(特に糞便)、キッチン及び体臭は、まさに、日常生活における悪臭のいくつかの慣習的な環境源である。悪臭は、通常、種々のアミン、チオール、スルフィド、単鎖脂肪族及び不飽和の酸、例えば脂肪酸、及びそれらの誘導体を典型的に含みうる1種超の悪臭物質化合物の複雑な混合物である。
【0004】
居住又は身体に関連する悪臭は、典型的に、種々の化学化合物、例えば、糞便の悪臭において見られるインドール、スカトール及びメタンチオール;尿において見られるピペリジン及びモルホリン;キッチン及び生ゴミの悪臭において見られるピリジン及びトリエチルアミン;洗濯場の悪臭において見られるゲオノール(geonol)、1-オクテン-3-オール、ジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィド、3-メチル-1-ブタノール;並びに腋の悪臭において見られる単鎖脂肪酸、例えば3-メチル-3-ヒドロキシヘキサン酸、3-メチルヘキサン酸又は3-20 メチル-2-ヘキサン酸による。
【0005】
かかる悪臭は、人間を不快にさせ、従って、悪臭の知覚を減少又は抑制するための悪臭中和技術(MOC)について一定の要求がある。しかしながら、そのタスクは、一般的に非常に困難であり、それというのも、悪臭の原因である化学物質が、極めて強力なにおいを誘発し、かつそれらを隠すために典型的に使用されるにおい物質よりも非常に低い検出閾値を有しうるためである。したがって、1つは、過剰量のMOC組成物/化合物を使用して許容できる悪臭中和作用を達成しなければならない。
【0006】
化合物の種類は、ある悪臭の知覚を減少させるために有用であると特定及び報告されている。例えば、米国特許番号第20100111889号(US20100111889)は、アルデヒド、エステル、イオノン、及び大環状ムスクを含む使い捨て物品、例えば使い捨て掃除用ワイプ、乳児用ワイプ又はスキンケアワイプにおいて使用するために適した悪臭制御システムを記載している。酸及び非環式ケトンを含有する悪臭中和組成物は、米国特許番号第9774180号(US9774180)においても開示されている。他の刊行物は、イオノン、イロン及びダマスコンを含む組成物の使用を同様の記載内容で記載している。これらの種類の化合物は、パーソナルケア組成物におけるにおいマスキング基剤の一部として(米国特許番号第2919440号(US2919440))又は空気を清浄するための方法の一部として(米国特許番号第20040223871号(US20040223871))も記載されている。
【0007】
悪臭の知覚の減少において低濃度で有効である組成物を見出すことが依然として必要である。特に、パブリックアクセプタンス及びトイレの使用を促進し、かつ開放的な排便を妨げるために、トイレで発生する悪臭、特に糞便の悪臭の知覚を制限、減少又は排除するであろう効率的な製品を提供する必要がある。本開示は、悪臭標的の特定の受容体を遮断する化合物からなる悪臭アンタゴニスト系を添加することによって、それらの悪臭中和のために公知の成分の種類の効果を著しく向上させることによって前記問題に対する解決策を提供する。
【0008】
要約
本開示は、いくつかの悪臭中和の性質を有するにおい成分から製造される機能的香料アコードと一緒に、国際公開番号第2014210585号(WO2014210585)において開示されているものを含む糞便の悪臭の特定の受容体を遮断することが見出された成分から形成される悪臭アンタゴニスト系を含む組成物の使用に関する。本開示の組み合わせは、糞便の悪臭の知覚の制限又は排除に関して予想外の結果を提供することが見出された。
【0009】
第一の目的において、したがって、本開示は、糞便の悪臭の知覚を減少、制限、又は排除するための、
(i)表1の群から選択される少なくとも1つの成分を含む悪臭受容体アンタゴニスト系を約2質量%~約85質量%、
(ii)少なくとも2つの付香成分を含み、フローラル、シトラス及びジャスミンから選択される香調を有する機能的香料アコードを約15質量%~98質量%、但し表1において挙げた任意の成分を除く、
(iii)任意に非機能的香料アコード
を含む組成物の使用に関する。
【0010】
表1の群から選択される少なくとも2つの成分からなる悪臭受容体アンタゴニスト系も本開示の目的でもある。
【0011】
本開示の他の目的は、
a)少なくとも1つ、あるいは少なくとも3つの表1から選択される成分を含む悪臭受容体アンタゴニスト系を有効量の約2~約85質量%、
b)イオノン、イロン、ダマスコン、シトラール、メチルシンナムアルデヒド、ペラルゴジエナール、オリバン、並びにそれらの誘導体及び混合物からなる群から選択される少なくとも2つの成分を含む機能的香料アコードを約15~約98質量%、並びに
c)任意に、少なくとも2つの付香成分を含む非機能的香料アコード
を含む悪臭中和組成物である。
【0012】
前記で定義した悪臭中和組成物の有効量を含む着香消費者製品は、本開示の他の目的である。
【0013】
糞便の悪臭を中和するための非治療的方法であって、前記で定義された組成物で表面を処理すること又は前記で定義された組成物を少なくとも部分的に空気中に分配することを含む方法も、本開示の一部でもある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1a】
図1aは、インドールの悪臭標的に対する生ニューロンアッセイアンタゴニストスクリーニングの結果を示す。
【
図1b】
図1bは、ジメチルトリスルフィド(DMTSとも言う)の悪臭標的に対する生ニューロンアッセイアンタゴニストスクリーニングの結果を示す。
【
図1c】
図1cは、p-クレゾールの悪臭標的に対する生ニューロンアッセイアンタゴニストスクリーニングの結果を示す。
【
図1d】
図1dは、酪酸の悪臭標的に対する生ニューロンアッセイアンタゴニストスクリーニングの結果を示す。
【
図2】
図2は、(2,5-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)メタノール(LILYFLORE(登録商標)とも言う)からなる悪臭アンタゴニスト系を、α-イオノン(バイオレットATとも言う)及びisoraldeine(イソラルディン)(イソメチル-アルファ-イオノン及びアルファ-メチルイオノンからなる)からなる機能的香料アコードと組み合わせる場合に残っている糞便評点の結果を報告する。
【
図3】
図3は、糞便の悪臭再構成物に対する3つの単一化合物の性能及びそれらの混合物(フローラルアコード)の性能を示す。
【
図4】
図4は、糞便再構成物のみ(全試験にわたって単一濃度で)について及び異なる組成物の組み合わせについての糞便、新鮮度及び心地よさの特性の評点を表すグラフを示す。
図4a(i)(ii)(iii):糞便再構成物に対して3.4μg/l(C1)(空気)で試験した組成物、(i)フローラル、(ii)シトラス、(iii)ジャスミン;
図4b:糞便再構成物に対して1.1μg/l(C2)(空気)で試験した組成物;
図4c:糞便再構成物に対して0.33μg/l(C3)(空気)で試験した組成物。
【
図5】
図5は、キャビン内で測定した平均悪臭強度を示す。
【
図6】
図6は、キャビン内で測定した平均悪臭強度を示す。
【
図7】
図7は、キャビン内で測定した平均悪臭強度を示す。
【
図8】
図8は、キャビン内で測定した平均悪臭強度を示す。
【
図9】
図9は、キャビン内で測定した平均悪臭強度を示す。
【
図10】
図10は、キャビン内で測定した平均悪臭強度を示す。
【
図11】
図11はモデル仮設トイレを示す。左:モデル仮設トイレの側面図。A:層状フィルター。B:ダンパー。C:におい発生装置。右:モデル仮設トイレの後ろに配置されたにおい発生装置の正面図。D:シリンジポンプ。E:加熱プレート上に取り付けた丸底ガラス。F:モデル仮設トイレ内のにおい処理剤を運搬する空気を導く吸気口パイプ。
【
図12】
図12は、モデル仮設トイレにおけるトイレの悪臭に対する構成成分の予測される量と測定された量の関係を示す。トイレ内及び3つのトイレ間のにおい物質の均質性。予測される値と比較した測定された気相濃度の平均±標準偏差(SD)。N=9。
【
図13】
図13は、モデル仮設トイレにおいて知覚される心地よさ、入りたい欲求、糞便の特徴及び糞便の強度に対する本開示に従った香料組成物の効果を示す感覚データを示す。感覚プロトコルの検証。心地よさ、入りたい意欲、糞便の特徴、及びにおい評価の強度の平均±95%信頼区間(CI)。Mo:悪臭。Perf:香料配合物フローラルD 4.9μg/l(表14を参照されたい)。
【
図14】A)一定のMukuru糞便再構成物の悪臭で香料濃度が増加する感覚刺激の強度の評価。におい処理、温度、及び相対湿度の関数としての強度の平均±95%CI。B)22℃及び35℃での強度評価;湿度30%及び80%でのデータを組み合わせる。C)湿度30%及び80%での強度評価;22℃及び35℃でのデータを組み合わせる。アスタリスクは、平均での有意差のレベルを示す、***P<0.0001、*P<0.05。
【
図15】応答変数、糞便の特徴に対する参考悪臭又は香料の影響の感覚評価。におい処理の糞便の特徴の平均±95%CI。青色(2)は悪臭と比較したにおいの群を示し、ピンク色(1)は香料と比較した群を示す。ANOVAに基づいたペアワイズ検定にしたがって、異なる後者の平均は著しく異なる。
【
図16】応答変数、心地よさに対する参考悪臭又は香料の影響の感覚評価。におい処理の関数として心地よさの等級の平均±95%CI。青色(2)は悪臭と比較したにおいの群を示し、ピンク色(1)は香料と比較した群を示す。ANOVAに基づいたペアワイズ検定にしたがって、異なる後者の平均は著しく異なる。
【
図17】心地よさの評点の関数としての入ることの評点。線は、心地よさの評点によって評点を予測する線形モデルを示す。
【
図18】
図18は、25℃(上の3つのグラフ)及び40℃(下の3つのグラフ)でのMukuru糞便再構成物の悪臭(MO)+フローラルV、悪臭+ジャスミンE及びMukuru糞便再構成物の悪臭のみについての時間の関数としての試験用仮設トイレにおける心地よさ(黒線)及び糞便の特徴(灰色線)の評点の平均±95%信頼区間(CI)を示す。
【
図19】
図19は、25℃(濃い線)及び40℃(薄い線)で観察された、フローラルV配合物(三角)及びジャスミンE配合物(丸)で示されるアンタゴニスト化合物についての時間の関数としての気相濃度の平均を示す。水平の実線はODTである。
【
図20】
図20は、双方の国(上段:ダーバン、南アフリカ共和国、下段:プーナ、インド)での試験配合物、ジャスミンE(左縦列);フローラルV(中央縦列);及びシトラス259389 B(右縦列)についての心地良さ評点の平均±SEMを示す。番号1、2、3は、試験した3つの仮設トイレに対応する。星は、処理なしで及び処理して得られた評点における有意差を示す:nsP>0.05;*P<=0.05;**P<0.01;***P<0.001。黒棒は、試験配合物について観察された心地よさの評点を示す。灰色の棒は、試験配合物の不在下で観察された心地よさの評点を示す。
【
図21】
図21は、双方の国(上段:ダーバン、南アフリカ共和国、下段:プーナ、インド)での試験配合物、ジャスミンE(左縦列);フローラルV(中央縦列);及びシトラス259389 B(右縦列)についての糞便の特徴の評点の平均±SEMを示す。番号1、2、3は、試験した3つの仮設トイレに対応する。星は、処理なしで及び処理して得られた評点における有意差を示す:nsP>0.05;*P<=0.05;**P<0.01;***P<0.001。黒い棒は、試験配合物について観察された糞便の特徴の評点を示す。灰色の棒は、試験配合物の不在下で観察された糞便の特徴の評点を示す。
【
図22】
図22は、ダーバンにおける2つの個々の仮設トイレについての時間の関数としての、心地よさ、糞便の特徴及び強度評点の平均±SEMを示す。「WO」は試験配合物なし(基準線)。「W」は試験配合物あり。左の縦列は、仮設トイレ番号1(ジャスミンE配合物で処理した又は処理していない)において観察された値を示す。右の縦列は、仮設トイレ番号2(フローラルV配合物で処理した又は処理していない)において観察された値を示す。
【
図23】
図23は、ダーバンにおける2つの個々の仮設トイレについての時間の関数としての、心地よさ、糞便の特徴及び強度評点の平均±SEMを示す。「WO」は試験配合物なし(基準線)。「W」は試験配合物あり。左の縦列は、仮設トイレ番号3(フローラルV配合物で処理した又は処理していない)において観察された値を示す。右の縦列は、仮設トイレ番号2(シトラス259389 B配合物で処理した又は処理していない)において観察された値を示す。
【
図24】
図24は、ダーバン及びプーナにおける2つの個々の仮設トイレについての時間の関数としての、心地よさ、糞便の特徴及び強度評点の平均±SEMを示す。「WO」は試験配合物なしである(基準線)。「W」は試験配合物あり。左の縦列は、仮設トイレ番号2(ダーバンにおけるフローラルV配合物で処理した又は処理していない)において観察された値を示す。右の縦列は、仮設トイレ番号2(プーナにおけるフローラルV配合物で処理した又は処理していない)において観察された値を示す。
【
図25】
図25は、それぞれのトイレにおける2つの異なる高さで収集された空気試料中に含まれる化合物の実測気相濃度を示す。「低い」0.15~0.3m;「高い」1.5~1.7m。「amy」アミルシンナムアルデヒド;「benz」ベンジルアセテート:「benzph」ベンジルフェニルアセテート;「dihyd」ジヒドロリナロール;「io」α-イオノン;「iso」イソラリディン(isoraldeine);「jas」シスジャスモン(cis jasmone);「lily」リリフローラ(lyliflore);「lina」リナリルアセテート(linalyl acetate);「ros」ロジノール(rosinol);「zest」ゼストバー(zestover)。左上のパネルは、ダーバンにおける仮設トイレ番号2においてで観察された値を示す。右上のパネルは、ダーバンにおける仮設トイレ番号3においてで観察された値を示す。左下のパネルは、プーナにおける仮設トイレ番号1においてで観察された値を示す。右下のパネルは、プーナにおける仮設トイレ番号2においてで観察された値を示す。
【
図26】野外で採取した大気試料(三角)及びモデル仮設トイレ(丸)において見出される化合物の気相濃度(log10(μg/L))。「amy」アミルシンナムアルデヒド;「benz」ベンジルアセテート:「benzph」ベンジルフェニルアセテート;「dihyd」ジヒドロリナロール;「io」α-イオノン;「iso」イソラリディン(isoraldeine);「jas」シスジャスモン(cis jasmone);「lily」リリフローラ(lyliflore);「lina」リナリルアセテート(linalyl acetate);「ros」ロジノール(rosinol);「zest」ゼストバー(zestover)。
【
図27】
図27は、Mukuru糞便再構成物の悪臭と組み合わせて評価された試験配合物及び3つの対照配合物の平均計数評点を示す。
【
図28】
図28は、Mukuru糞便再構成物の悪臭と組み合わせて評価された試験配合物及び3つの対照配合物の平均計数評点を示す。
【
図29】
図29は、Mukuru糞便再構成物の悪臭と組み合わせて評価された試験配合物及び4つの対照配合物の平均計数評点を示す。
【0015】
発明の詳細な説明
定義
特に明記されない限り、パーセンテージは質量百分率を示すことを意味する。
【0016】
本明細書において使用されるように、「含む(include)」又は「含有する(comprise)」という用語は限定されないことを意味する。
【0017】
本明細書で使用されるように、群Iとも言われる悪臭受容体アンタゴニスト、悪臭アンタゴニスト系又は悪臭アンタゴニスト成分という用語は、悪臭標的に応答する少なくとも1つの嗅覚受容体を阻害する能力をそれぞれ有する1つ又は複数の化合物を示し、以下の実施例に記載されるように、その応答が受容体によって駆動される培養細胞株における嗅覚ニューロン又は単離された受容体の活性を測定することによって同定される。
【0018】
本明細書において使用されるように、「悪臭標的」は、インドール、酪酸、p-クレゾール、スカトール及びジメチルトリスルフィドを含む、Linら(Environ. Sci. Technol., 2013, 47 (14), pp 7876~7882)において特徴付けられる糞便の悪臭の分子成分を示すことを意味する。
【0019】
本明細書において使用されるように、機能的香料アコード(群IIと言われる)という用語は、例えば糞便の悪臭の少なくとも1つの要素に対して実行する官能測定によって確立されている機能的付香成分と言われる少なくとも2つの付香成分の混合物を示すことを意味する。
【0020】
本明細書において使用されるように、非機能的香料アコード(群IIIと言われる)という用語は、糞便の悪臭中和剤として機能しない非機能的付香成分、すなわち群I又は群IIの一部ではない付香成分と言われる、少なくとも1つの、あるいは少なくとも2つの付香成分の混合物であることを意味する。
【0021】
本明細書において使用されるように、香料又は香油又は香料アコードという用語は、付香成分の混合物を示すために使用される。
【0022】
さらに、「付香成分」に関しては、本明細書では、少なくとも快楽作用を付与するための付香調製物又は組成物において使用されてよい化合物を意味する。言い換えれば、付香成分であると考えられるべきかかる成分は、ポジティブ又は好ましい方法で組成物のにおいを付与又は改質することができると、及び単に1つのにおいを有するだけでないと香料の当業者によって認識される必要がある。
【0023】
いずれにしても網羅的とはならないであろう付香成分の性質及びタイプは、ここでより詳細な記載を保証するものではなく、その際当業者は、一般の知識に基づいて、及び任意の使用又は適用及び所望された感覚刺激性効果に従って、それらを選択することができる。一般的な用語で、これらの付香成分は、アルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、窒素又は硫黄の複素環化合物及び精油と多様な化学品種に属し、かつ該付香補助成分は、天然又は合成由来のものであってよい。
【0024】
特に、香料配合物において慣用的に使用される付香成分を挙げることができ、例えば以下のものである:
- アルデヒド成分:デカナール、ドデカナール、2-メチル-ウンデカナール、10-ウンデカナール、オクタナール及び/又はノネナール;
- 芳香性ハーブ成分:ユーカリ油、樟脳、オイカリプトール、メントール及び/又はアルファ-ピネン;
- バルサム成分:クマリン、エチルバニリン及び/又はバニリン;
- シトラス成分:ジヒドロミリセノール、シトラール、オレンジ油、リナリルアセテート、シトロネリルニトリル、オレンジテルペン、リモネン、1-P-メンテン-8-イルアセテート及び/又は1,4(8)-P-メンタジエン;
- フローラル成分:メチルジヒドロジャスモネート、リナロール、シトロネロール、フェニルエタノール、3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナール、ヘキシルシンナムアルデヒド、ベンジルアセテート、ベンジルサリチレート、テトラヒドロ-2-イソブチル-4-メチル-4(2H)-ピラノール、ベータイオノン、メチル2-(メチルアミノ)ベンゾエート、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、ヘキシルサリチレート、3,7-ジメチル-1,6-ノナジエン-3-オール、3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナール、バージルアセテート、ゲラニオール、P-メンタ-1-エン-8-オール、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアセテート、4-シクロヘキシル-2-メチル-2-ブタノール、アミルサリチレート、高シスメチルジヒドロジャスモネート、3-メチル-5-フェニル-1-ペンタノール、バージルプロピオネート、ゲラニルアセテート、テトラヒドロリナロール、シス-7-P-メタノール、プロピル(S)-2-(1,1-ジメチルプロポキシ)プロパノエート、2-メトキシナフタレン、2,2,2-トリクロロ-1-フェニルエチルアセテート、4/3-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、アミルシンナムアルデヒド、4-フェニル-2-ブタノン、イソノニルアセテート、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、バージルイソブチレート及び/又はメチルイオノン異性体の混合物;
- フルーティー成分:ガンマウンデカラクトン、4-デカノリド、エチル2-メチル-ペンタノエート、ヘキシルアセテート、エチル2-メチルブタノエート、ガンマノナラクトン、アリルヘプタノエート、2-フェノキシエチルイソブチレート、エチル2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-アセテート及び/又はジエチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート;
- グリーン成分:2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート、スチラリルアセテート、アリル(2-メチルブトキシ)アセテート、4-メチル-3-デセン-5-オール、ジフェニルエーテル、(Z)-3-ヘキセン-1-オール及び/又は1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン;
- ムスク成分:1,4-ジオキサ-5,17-シクロヘプタデカンジオン、ペンタデカノリド、3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-シクロペンタ-g-2-ベンゾピラン、(1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエート、ペンタデカノリド及び/又は(1S,1’R)-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノエート;
- ウッディー成分:1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン、パチュリ油、パチュリ油のテルペン画分、(1’R,E)-2-エチル-4-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-2-ブテン-1-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、メチルセドリルケトン、5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-3-メチルペンタン-2-オール、1-(2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-2-イル)エタン-1-オン及び/又はイソボルニルアセテート;
- 他の成分(例えばアンバー、パウダリースパイシー又はウォータリー):ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチル-ナフト[2,1-b]フラン及び任意のその立体異性体、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、オイゲノール、シンナムアルデヒド、チョウジ油、3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール及び/又は3-(3-イソプロピル-1-フェニル)ブタナール。
【0025】
付香成分は、これらに制限されないが前記したものであってよく、多くの他のこれらの成分は、いずれにしても、参考文献、例えばS. ArctanderによるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USA、又はその最新版において、又は同様の種類の他の著作において、並びに香料の分野における特許文献において挙げられている。補助成分は、制御された方法で種々のタイプの付香化合物を放出することが公知の化合物であってもよいことも理解される。
【0026】
驚くべきことに、表1の群から選択される少なくとも1つの成分を含む悪臭受容体アンタゴニスト系と、糞便の悪臭に対して機能する付香成分からなる機能的香料アコードとの関係が、糞便の悪臭の知覚を制限、減少、又は排除することにおいて機能的香料アコードの効果を改善することが立証されている。
【0027】
したがって、本開示に従った第一の目的は、糞便の悪臭の知覚を減少、制限、又は排除するための、
(i)表1の群から選択される少なくとも1つの成分を含む悪臭受容体アンタゴニスト系約2質量%~約85質量%、
(ii)少なくとも2つの付香成分(但し表1において挙げた任意の成分を除く)、あるいは表2から選択される付香成分を含み、フローラル、シトラス及びジャスミンから選択される香調を有する機能的香料アコード約15質量%~98質量%、並びに
(iii)任意に非機能的香料アコード
を含む組成物の使用である。
【0028】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【0029】
【0030】
群I:
表1からの成分は、本開示に従って使用される組成物の2~85質量%で含まれる。一態様に従って、本開示に従って使用される組成物は、6~70質量%の量で前記で定義した悪臭アンタゴニスト系を含む。他の態様に従って、本開示に従って使用される組成物は、8~60質量%の量で前記で定義した悪臭アンタゴニスト系を含む。他の態様に従って、本開示に従って使用される組成物は、8~46質量%の量で前記で定義した悪臭アンタゴニスト系を含む。
【0031】
本開示の特定の態様に従って、本開示に従って使用される組成物からの悪臭受容体アンタゴニスト系(群I)は、表1から選択される少なくとも3つの成分を含む。他の態様に従って、表1から選択される少なくとも4つ、あるいは少なくとも5つ、あるいは少なくとも6つ、又は少なくとも8つの成分は、悪臭受容体アンタゴニスト系の一部である。
【0032】
群II:
本開示における群IIは、前記で定義した機能的香料アコードである。それは、本開示に従って使用される組成物の15~98質量%の範囲の量で存在する。一態様に従って、それは30~94質量%の範囲の量で存在する。他の態様に従って、それは組成物の40~92質量%の範囲の量で存在する。他の態様に従って、それは組成物の29~92質量%の範囲の量で存在する。
【0033】
特定の態様に従って、群IIは、イオノン、イロン、ダマスコン、シトラール(citral)、シトロネロールBJ(citronellol BJ)、シトロネリルニトリル(citronellyl nitrile)、レモニル(lemonile)、メチルシトラール(methylcitral)、シンナムアルデヒド(cinnamic aldehyde)、メチルシンナムアルデヒド、ヘキシルシンナムアルデヒド、ペラルゴジエナール(pelargodienal)、アルデヒドC11ウンデシル酸塩(aldehyde C11 undecylic)、アルデヒドスペラ(aldehyde supra)、ドデカナール、アルデヒドC8、アルデヒドC9、アルデヒドC12、オリボン(orivone)及びそれらの混合物からなる群から選択される成分からなる。
【0034】
特定の態様に従って、群IIは、表2の群からの成分からなる。
【0035】
特定の態様に従って、群IIは、イオノン、イロン、ダマスコン、シトラール、メチルシンナムアルデヒド、ペラルゴジエナール、オリボン、それらの誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択されるものからなる。
【0036】
ある態様において、イオノン、イロン、ダマスコンは、ダマスコンアルファ、ダマスコンベータ、デルタダマスコン、フィラスコン(firascone)、ガリオン(galione)、ガンマダマスコン、イロンアルファ、イロンベータ、イソラルディン70P、メチイオノン(methyionone)ベータ、メチルイオノンガンマCoeur IFF、バイオレットAI、バイオレットAT、及びバイオレットBCを含む。
【0037】
ある態様において、メチルシンナムアルデヒドは、シンナムアルデヒド、メチルシンナムアルデヒド、ヘキシルシンナムアルデヒドを含むアルキル誘導体を含む。
【0038】
ある態様において、メチルシンナムアルデヒドは、シンナムアルデヒド、メチルシンナムアルデヒド、ヘキシルシンナムアルデヒドを含むアルキル誘導体を含む。
【0039】
群III:
特定の態様に従って、本開示に従って使用される組成物は、前記で定義した非機能的香料アコードを含む。非機能的香料アコードは、群IIの一部でも群Iの一部でもない前記で定義した付香成分からなる。本開示に従った組成物中に存在する場合に、非機能的香料アコードは、典型的に、前記態様のいずれかにおいて定義した組成物の0.5~70質量%、あるいは0.5~50質量%の範囲の量で含まれてよい。
【0040】
群IV:送達系
特定の態様に従って、前記で定義した組成物は、送達系と組み合わせて使用されてよい。送達系の使用は、組成物中の活性成分の任意の気相濃度を達成することを可能にする。本開示の目的に適した送達系は、以下を含むがそれらに制限されない:
・ 受動メッキ支持体であって、次の制限のない例:セルロース(紙/厚紙)、バーミキュライト、他の工業用吸収剤、パーライト、炭酸カルシウム、軽石、他の鉱物、木材、おがくず、粉砕したトウモロコシの穂軸、粉砕した籾殻、籾殻灰、他の農業副産物、バイオ炭、デンプン、加工デンプンから選択されるルースパウダー又は圧縮された形で多孔質又は多孔質ではない基材の1つ以上を含む、受動メッキ支持体;
・ 噴霧乾燥湿潤活性カプセル化系であって、本開示に従った組成物が、これらに制限されないが、マルトデキストリン、オクテニルコハク酸デンプン(加工デンプン)の1つ以上を含むマトリックス内で噴霧乾燥法によってカプセル化されている、噴霧乾燥湿潤活性カプセル化系;
・ コアシェルカプセル化系、例えば不浸透性シェル(例えばポリウレア、ポリウレタン等)及びコアにおいて本開示に従った組成物を有する機械活性化マイクロカプセル;
・ 界面活性剤を含む液体混合物;
・ ポリマー材料。
【0041】
したがって、前記態様のいずれかにおいて定義された組成物であって、さらに、マイクロカプセル又は微粒子を形成するためのカプセル化材料、例えばポリマー、又は組成物のための液体送達系を形成するための材料、例えばエマルション、マイクロエマルション、ミニエマルション、ゲル、ミクロゲル、無水物ゲルもしくは分散液を含む組成物の使用も、本開示の目的である。
【0042】
特定の態様に従って、前記態様のいずれかにおいて定義された組成物は、ルースパウダー又は圧縮された形での多孔質又は多孔質ではない基材上で吸収され、ここで、基材は、セルロース(紙/厚紙)、バーミキュライト、他の工業用吸収剤、パーライト、炭酸カルシウム、軽石、木材、おがくず、粉砕したトウモロコシの穂軸、粉砕した籾殻、籾殻灰、バイオ炭、デンプン、加工デンプン及びそれらの混合物から選択される。
【0043】
本開示の第二の目的は、表1の群から選択される少なくとも3つ、あるいは少なくとも4つの成分からなる悪臭受容体アンタゴニスト系からなる。
【0044】
本開示の他の目的は、
a)少なくとも1つ、あるいは少なくとも3つの表1から選択される成分を含む悪臭受容体アンタゴニスト系を有効量の約2~約85質量%、
b)表2から選択される成分からなる群から選択される少なくとも2つの成分を含む機能的香料アコードを約15~約98質量%、並びに
c)任意に、少なくとも2つの付香成分を含む非機能的香料アコード
を含む悪臭中和組成物である。
【0045】
特定の態様に従って、前記組成物は、群Iの約6~約70質量%を含む。他の態様に従って、前記組成物は、群Iの約8~約60質量%を含む。
【0046】
特定の態様に従って、悪臭受容体アンタゴニスト系は、組成物の少なくとも2質量%、あるいは少なくとも3質量%の量で、(2,5-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)メタノール(LILYFLORE(登録商標))を含む。
【0047】
あらゆる特定の理論に限定されることを意図しないが、悪臭受容体アンタゴニスト系内の成分の組み合わせは、糞便の悪臭の知覚の相乗的な減少又は排除を示しうる。かかる悪臭中和組成物の例は以下の実施例16において示されている。したがって、ある態様において、悪臭受容体アンタゴニスト系は、(2,5-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)メタノール(LILYFLORE(登録商標))を含み、かつ機能的香料アコードは、イソラルディン(アルファ-メチルイオノン及びイソメチル-アルファ-イオノン)及びα-イオノン(バイオレットATともいわれる)を含む。代わりに、機能的香料アコードは、さらにシトラールを含む。
【0048】
代わりに、ある態様において、悪臭受容体アンタゴニスト系は、(2,5-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)メタノール(LILYFLORE(登録商標))及び(+-)-3,7-ジメチル-1-オクテン-3-オール(ジヒドロリナロール)を含み、かつ機能的香料アコードは、イソラルディン(アルファ-メチルイオノン及びイソメチル-アルファ-イオノン)及びα-イオノン(バイオレットATともいわれる)を含む。
【0049】
本開示の組成物は、少なくともMOC活性を有するために有用であってよい、任意の消費者製品においても有利に使用されうる。したがって、本開示の他の目的は、活性成分として、前記で定義した少なくとも1つの本開示に従った組成物を含むMOC消費者製品により示される。
【0050】
前記組成物は、本明細書において示される態様に従ったMOC組成物(送達系を含む)自体又はその一部として添加されてよい。
【0051】
前記MOC消費者製品は、その性質により、付香消費者製品であってもよいことが理解される。
【0052】
明確性の理由から、「MOC消費者製品、及び任意に付香消費者製品」又は同様の語句に関しては、少なくともMOC効果を、及び任意に心地よい付香効果も、付香効果が適用される表面(例えば皮膚、髪、織物、又は家の表面だけでなく空気も)に提供することが期待された消費者製品を意味することに注意すべきである。言い換えれば、本開示に従った消費者製品は、機能的な配合物、並びに任意に所望の消費者製品に対応する追加の有効物質、例えば洗剤又はエアフレッシュナー、及び有効量の本開示からの化合物又は組成物の少なくとも1つを含む、着香消費者製品である。明確性の理由から、前記消費者製品は、食用でない生成物である。
【0053】
いずれにしても網羅的とはならないであろうMOC消費者製品の成分の性質及びタイプは、ここでより詳細な記載を保証するものではなく、その際当業者は、一般的な知識に基づいて、及び該製品の性質及び所望の効果に従って、それらを選択することができる。
【0054】
適した付香消費者製品の制限のない例は、以下であってよい:
- 布地用ケア製品、例えば液体洗剤、粉末洗剤、錠剤型洗剤、棒状洗剤、ペースト状洗剤、液体布地用柔軟剤、シート状布地用柔軟剤、布地用加香剤(fabric sent booster)、洗濯前処理剤(laundry pre-treatment)、布地用リフレッシャー、アイロン水、洗濯用漂白剤、カーペットパウダー又はカーペットクリーナー;このタイプの製品についての使用は、消費者に利用可能な標準水が記載された悪臭に関連しうる場合に特に有益である(特に腐敗した水);
- トイレットペーパー又はナプキン;
- エアフレッシュ製品、例えばスプレー状エアフレッシュナー、ゲル状エアフレッシュナー、リキッドウィックエアフレッシュナー、多孔質物質(例えば、紙もしくはカードブロッター、多孔質セラミック、又は多孔質プラスチック)を含む固体エアフレッシュナー、透過性の膜を含む液体もしくはゲル状のエアフレッシュナー、電動エアフレッシュナー、及び二重目的のエアフレッシュナー/消毒スプレー;並びに/又は
- 表面ケア製品、例えば万能クリーナー、家具用艶出し剤、ウッドフロアクリーナー、トイレ用ケア製品(例えば、便器洗浄液、タンク投入型トイレ洗浄剤(in-cistern toilet cleaner)、トイレリムブロック(toilet rim block)、又はトイレリムリキッド(toilet rim liquid));ペットリター(pet-litter)。
【0055】
いくつかの前記MOC消費者製品は、本開示のある態様に従った化合物にとってアグレッシブな媒体であることもあるため、適切な外部刺激、例えば酵素、光、熱又はpHの変化に対して、例えばカプセル化によって、又は成分の放出に適した他の化学物質との化学的結合によって該化合物を早すぎる分解から保護する必要があってよい。
【0056】
開示されている概念及び特定の態様が、本開示の同様の目的を実施するための他の調製物を改質又は配合するための基礎として容易に使用されてよいことは、当業者により評価されるべきである。かかる同等の配合物は、添付した特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱するものではないことは、当業者により十分に理解されるべきでもある。
【0057】
種々の前記製品又は組成物中に組込まれてよい本開示に従った化合物における割合は、広い範囲の値で変動する。これらの値は、MOC消費者製品の性質に、及び所望の感覚受容性効果に、並びに本開示に従った化合物が他の成分、溶剤又は当該技術分野において通常使用される添加剤と混合される場合に所与の組成物における補助成分の性質に依存する。
【0058】
例えば、付香組成物の場合において、典型的に濃度は、組込まれる組成物の質量に対して、本開示の組成物の0.01質量%~60質量%、又はさらに1質量%~10質量%、又はそれ以上の範囲である。これらより低い濃度、例えば0.01質量%~2質量%の範囲は、これらの化合物がMOC消費者製品中に組込まれる場合に使用されてよく、その際パーセンテージは消費者製品の質量に対する。
【0059】
特に、種々の前記消費者製品において使用される本開示に従ったMOC化合物の濃度は、消費者製品の性質に依存して、種々の広範な値の範囲内で変動する。
【0060】
糞便の悪臭を中和するための非治療的方法であって、前記態様のいずれかにおいて定義された組成物で表面を処理すること又は前記態様のいずれかにおいて定義された組成物を少なくとも部分的に空気中に分配することを含む方法も、本開示の目的である。
【0061】
実施例
本開示は、次の実施例によってさらに詳細に記載され、その際略語は、当該技術分野において通常の意味を有し、温度は、摂氏度(℃)で示される。
【0062】
実施例1
アンタゴニストの同定 - ex vivoでの生ニューロンアッセイによる悪臭受容体アンタゴニストの同定
ex vivo生ニューロンアッセイにおいて、嗅神経細胞(olfactory sensory neuron(OSN))を、マウスの嗅上皮から抽出し、順次送達された刺激に対する応答について試験する。その際、応答を、生細胞のカルシウムイメージング顕微鏡によって検出する。少なくとも1000個及び約5000~10000個のOSNを、表1に挙げたあらゆる化合物について試験した。当該技術分野における先行研究を通して、抽出されたOSNの大多数が、マウスのゲノムに存在する約1200個のにおい物質受容体(OR)のうちの1個を発現することが確立されており、抽出されたOSNの試料において、1200個のORの大部分が少なくとも1つのOSNで示される。送達された刺激に対するOSNの応答は発現されたORによって完全に駆動されるため、OSNは、におい物質の同一性及び強度を選択的に検出し、まとめてコードする。MO分子でOSNを刺激し、それぞれのOSNの応答を測定することによって、応答が誘導されるサブセットは、MOを検出し、したがっておそらくMOをコードするものである。続いてMOと候補のアンタゴニストとの混合物を同じ細胞に送達することによって、それぞれのMO応答性OSNにおけるシグナルの抑制の程度(「阻害のレベル」)を決定することができる。それぞれの細胞における阻害の程度を、3つの群:低い阻害(10~25%)、中程度の阻害(25~75%)及び強い阻害(75~100%)のうちの1つに分類した。さらに、低い、中程度及び高い阻害を示すMO応答性OSNの割合を計算した。これらのデータの例を
図1a~dにおいて示す。最小の強度で最小の割合を超えるOSNを阻害した化合物を、アンタゴニスト「ヒット」及び推定の悪臭抑制化合物と見なした。最小レベルは、それぞれ、強い阻害を示す集団の10%及び/又は中程度の阻害を示す集団の25%及び/又は弱い阻害を示す集団の40%であった。
【0063】
マウスとヒトの受容体の間の遺伝的類似性は、それらの共有された進化の歴史及び進化的な時間尺度にわたるおそらく同様の天然のにおい環境により、たとえ個々のオルソログ受容体(すなわち、共通の祖先を共有し、典型的には遺伝的配列において最も類似していると考えられているもの)がマウス由来の受容体と異なるレベルの機能的類似性を示しうる場合であっても、マウスORのMO応答集団に関する全体的な観察がヒトのORから得られたものと正に相関すべきであることが推定されることを導く。
【0064】
図1a~dは、標的糞便MOに対する生ニューロンアッセイアンタゴニストスクリーニングからの結果の例を示し、MO受容体の拮抗作用の証拠を提供する。ニューロン集団の阻害レベルを、高い(75~100%、黒)、中程度(25~75%、ハッシュ)及び低い(10~25%、白)に分類した。アンタゴニスト又は「ヒット」と考えられる化合物は、垂直線(A、B、C)により示される集団量を通過する必要があり、ここで、高い阻害は、A(MO応答性OSNの集団の10%)を通過しなければならず、及び/又は中程度の阻害は、B(MO応答性OSNの集団の25%)を通過しなけらばならず、及び/又は低い阻害はC(MO応答性OSNの集団の40%)を通過しなけらばならない。
【0065】
実施例2
個々の悪臭受容体アンタゴニスト系、個々の機能的付香成分及び本開示に従った組成物についての残留糞便臭評点の感覚測定
悪臭受容体アンタゴニスト系及び組成物を、3.4μg/l(空気)の特有の気相濃度で提示した。
【0066】
組成物を評価するための感覚的方法は、対象群に対して組成物及び悪臭の十分に制御され安定した気相濃度を達成するためにFirmenich設計の空気希釈オルファクトメーターの使用を必要とする。
【0067】
30人の被験者は、最初に糞便再構成物*のみを評価し、そして3つの属性「新鮮度」、「心地よさ」及び「糞便」(悪臭の特徴)を0から10の尺度で評価した。次の評価は、においの適応を避けるために30秒後に行った。糞便の悪臭再構成物をオルファクトメーター中で試験組成物と一緒に注入した。同一のディスクリプタの評点を記録した。
【0068】
*モデル悪臭は、インドール、メチルメルカプタン、p-クレゾール及び酪酸から製造した糞便再構成物である。糞便の悪臭再構成物及びその成分の気相濃度は、トイレの気相サンプリングからのヘッドスペース分析結果に対応する(Charles JF Chappuis, Yvan Niclass, Christine Vuilleumier, and Christian Starkenmann Quantitative Headspace Analysis of Selected Odourants from Latrines in Africa and India Environ. Sci. Technol. 2015, 49, 6134-6140)。
【0069】
結果を、糞便再構成物のみ及び試験した組成物と組み合わせた糞便再構成物について、3つのディスクリプタについての平均した評点として表す。
【0070】
図2は、(2,5-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)メタノール(LILYFLORE(登録商標))からなる悪臭アンタゴニスト系を、α-イオノン(バイオレットATとも言われる)及びイソラルディン(isoraldeine)からなる機能的香料アコードと組み合わせた場合に残っている評点の結果を報告する。
【0071】
同位置の濃度で提示した場合に、糞便再構成物の知覚の有意な低下(残留糞便臭<50%)が得られたことが分かる:
- 独立して悪臭アンタゴニスト系、特に(2,5-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)メタノール(LILYFLORE(登録商標))、及び機能的香料アコード(バイオレットAT又はイソラルディン)の単独成分、OR
- (2,5-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)メタノール(LILYFLORE(登録商標))からなる悪臭受容体アンタゴニスト系と、機能的香料アコード(「混合物」で)ORとの組合せ
- 表1からの多数のアンタゴニストを有する悪臭受容体アンタゴニスト系を機能的及び非機能的香料アコードを含む組成物に添加。
【0072】
Aliasは、表1からのアンタゴニストを含まず、かつ当業者に周知の香料成分を含まずに設計されたフローラル組成物である。しかしながら、それは糞便再構成物に限られた効果しかない。この組成物を糞便再構成物と組み合わせた場合に残った糞便評点は>50%である。これは、アンタゴニストによる悪臭低減効果が特異的であり、香料成分による単純な遮蔽によるものではないことを証明している。
【0073】
実施例3
本開示に従った組成物の感覚的性能
以下、
- 悪臭アンタゴニスト系としてのLILYFLORE(登録商標)((2,5-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)メタノール)
- 機能的香料アコードとしてのイソラルディン及びバイオレットAT(α-イオノン)
からなる本開示に従った組成物の混合物の糞便のモデル悪臭*を抑制する能力は、混合物中のその投与量でのそれぞれの成分単独での能力(最大58%)と比較して著しく増加する(70%)。
【0074】
実例:
図3は、糞便再構成物に対する3つの単一化合物の性能及びそれらの混合物(フローラルアコード)の性能を示す。
【0075】
図3は特に、本開示に従った組成物が糞便モデル悪臭を抑制する能力を示す。それぞれの成分を混合物中のその投与量で単独で試験した。混合物を3.4μg/l(空気)で試験した。
【0076】
ブラインド感覚評価をまとめた;ランダムに提示されたにおい物質刺激について、31人の参加者に情報を開示しなかった。試験を二重化し、観察結果を蓄積した。
【0077】
実施例4
本開示に従った組成物
次の表は本開示に従った組成物を示す。
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
実施例5
本開示に従った組成物の感覚的評価
実施例4で記載された組成物を評価するための感覚的方法は、対象群に対して組成物及び悪臭の十分に制御され安定した気相濃度を達成するためにFirmenich設計の空気希釈オルファクトメーターの使用を必要とする。
【0086】
30人の被験者は、最初に糞便再構成物のみを評価し、そして以前に等分目盛で表現したものと同一のディスクリプタを評価した。次の評価は、においの適応を避けるために30秒後に行った。糞便の悪臭再構成をオルファクトメーター中で試験組成物と一緒に注入した。同一のディスクリプタの評点を記録した。
【0087】
結果を、糞便再構成物のみ及び試験した組成物と組み合わせた糞便再構成物について、3つのディスクリプタについての平均した評点として表す。
【0088】
実例:グラフ(
図4)は、糞便再構成物のみ(試験にわたって特有の濃度で)及び次の組成物と糞便再構成物との組み合わせについての糞便、新鮮度及び心地よさの特性の評点を示す:
- 同定したアンタゴニストを有さない組成物(Aliasという)
- 段階的にアンタゴニスト系を含むフローラル組成物(フローラルE、P及びRDという)の繰り返し
- 段階的にアンタゴニスト系を含むシトラス組成物(シトラスB及びHという)の繰り返し
- アンタゴニスト系を含むジャスミン組成物(ジャスミンEという)の繰り返し。
【0089】
クラスI(アンタゴニスト系)、II(機能的香料アコード)及びIII(非機能的香料アコード)からの成分の数及び質量%を示す。
【0090】
全てのこれら組成物を、3つの減少させた濃度C1、C2及びC3で試験した。
【0091】
糞便評点が低いほど、組成物の拮抗はより高性能である。
【0092】
図4a:糞便再構成物に対して3.4μg/l(空気)(C1)で試験した組成物。
図4b:糞便再構成物に対して1.1μg/l(空気)(C2)で試験した組成物。
図4c:糞便再構成物に対して0.33μg/l(空気)(C3)で試験した組成物。
【0093】
3つのグラフ上の点線は、C1濃度でフローラルRD、シトラスH又はジャスミンEを単独で(糞便再構成物と組み合わせずに)評価した場合の3つの属性についての評点を示す。3つのグラフは、糞便評点について予想される最小値と、新鮮度及び心地よさについての最大評点を示す。
【0094】
C1濃度で単独で評価したフローラルRD、シトラスH又はジャスミンEについての糞便評点は、C1濃度でも試験し、かつ糞便再構成物と組み合わせたこれらの組成物の糞便評点と統計的に異ならない(Student’s testによる検証、信頼度99%)。
- アンタゴニスト系を添加する場合にフローラル及びシトラス組成物の性能は改善する。フローラルE~フローラルRDは、糞便の悪臭の知覚が大いに減少する。同様の観察を、シトラスBに対してシトラスHの向上した性能を有するシトラス組成物についても実施することができる。
- 繰り返しは、アンタゴニスト系においてより多くの成分を段階的に含む。
- ジャスミン組成物も、アンタゴニスト系を含むことへの利益を証明する。
- フローラルRD、シトラスH及びジャスミンEは、糞便の悪臭の知覚を排除する。
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
実施例7
本開示に従ったフレグランス組成物を含むセルロース系エアフレッシュナーの仮設トイレの悪臭低減効果試験
本実施例において使用したエアフレッシュナー装置はセルロース型エアフレッシュナーであった。これらのエアフレッシュナーは、特定の量のフレグランスを染み込ませた吸収材料から構成される。そしてこの材料を容器に置き、フレグランス組成物の送達を制御する。本実施例について、アルミニウム缶に配置された吸収材料としてセルロースパッドを使用する。
【0099】
試験試料を、丸いアルミニウム缶(直径3インチ)に置いたセルロースパッド(2.5インチ2)上に3グラムのフレグランス組成物を適用することによって調製した。この試験のために使用したフレグランス組成物は、「フローラルV」(実施例6)、「シトラスB2」(実施例6)及び「ジャスミンE」(実施例6)の2つの試料であった。
【0100】
仮設トイレの合成悪臭配合物を以下のように調製した:
【数1】
【0101】
70質量%の仮設トイレ悪臭を詰めたバーミキュライトを、350gの仮設トイレ悪臭を150gのバーミキュライト(ファイングレード、Specialty Vermiculite Corp、Enoree、SC)と混和することにより調製した。
【0102】
本開示に従ったフレグランス配合物を含むセルロース系エアフレッシュナーの有効性を、ASTM E 1593-06「Method for Assessing the Efficacy of Air Care Products in Reducing Sensorialy Perceived Indoor Air Malodour Intensity」に記載された手法に従って評価した。ドア内ににおいを嗅ぐための窓がある6個の72ft3の評価用キャビンを試料の感覚評価のために使用した。5つのキャビンは、9グラムの仮設トイレの悪臭を詰めたバーミキュライトを備えた直径3インチのアルミニウム缶を含み、1つのキャビンは9グラムのバーミキュライト(悪臭なし)を備えた直径3インチのアルミニウム缶を含んだ。
【0103】
悪臭のみを含む(試験製品は含まない)キャビンのうちの1つを、参照として同定し、他の5つのキャビンを、ランダムに生成した3桁のコードでラベル付けした。キャビンの設定は以下であった:
【数2】
【0104】
キャビンを、21人の訓練を受けていないが経験豊富な評価者によって評価した。「訓練を受けていないが経験豊富な評価者」に関しては、正式な嗅覚訓練を受けていないが、フレグランス評価に参加しており、においの属性を評価する経験がある個人を意味する。
【0105】
試験中のキャビンにおける環境条件は、1時間毎に5回換気して72°F、35%RHであった。室内の空気を循環させるために、低く設定した携帯用卓上送風機をキャビンの床に配置した。悪臭に慣れるために、全ての評価者に、最初に基準キャビンのにおいを嗅ぐように指示した。次に、試験キャビンのにおいを嗅ぎ悪臭の強さを1~7のカテゴリーの尺度で評価するように評価者に指示した。その際、1は知覚できる悪臭がないことを示し、7は非常に強い悪臭を示す。試験キャビンの提示は、ブラインドで、偏りなく、無作為に、そして連続して単一体で行った。評価者に、それぞれの試料を評価するためににおいを嗅ぐための窓を開け、次に進む前に60秒間待つように指示した。
【0106】
データを、一元配置分散分析(one-way ANOVA)を使用し、続いて多重比較のためにFischerの最小有意差(LSD)法により分析した(α=0.05)。評価者の数(N)及びLSDは以下であった:N=21、LSD=0.60。キャビンの平均悪臭強度を
図5に示す。
【0107】
シトラスB2のみのキャビン(悪臭なし)の知覚された悪臭強度は、全ての他のキャビンよりも著しく低い。本開示に従った悪臭組成物及びフレグランス組成物を含むキャビンの知覚された悪臭強度は、悪臭のみのキャビンの強度よりも著しく低く、したがって、本開示に従ったフレグランス組成物を含有するセルロース系エアフレッシュナーは、仮設トイレの悪臭の知覚の減少に有用である。
【0108】
実施例8
本開示に従ったフレグランス組成物を含むキャンドルの仮設トイレの悪臭低減効果試験
本実施例において使用したエアフレッシュナー装置はキャンドルであり、かかる装置は2つの方法でフレグランスを送達する。まず、キャンドルに導入されたフレグランスが、ロウを介してキャンドルの表面上に移動するにつれてゆっくりと蒸発する。第二の方法は、はるかに大きく、「溶融物プール」によるものである。溶融物プールは、キャンドルが点灯している間に生じ、炎がキャンドルの一部を溶かして上部にプールを形成する。温かい混合物は、より高い割合でフレグランスを送達する。
【0109】
この試験のために使用したフレグランス組成物は、「フローラルRD」(実施例4)、「シトラスH」(実施例4)及び「ジャスミンE」(実施例6)の2つの試料であった。フレグランス付けしたキャンドルを、前述のフレグランス組成物と以下の表に示すキャンドル配合物とを混合することによって調製した。そして、ロウ混合物100グラムを、高さ3インチの、直径3インチ及びロウで被覆したフェルト芯(CD#6、高さ0.5インチに切り取ったもの)を有する円形ガラス容器に入れた。悪臭のみを含む試験試料について、フレグランスを有さないキャンドルを調製した(Candle wax 4625A IGI、88%)。
【数3】
【数4】
【0110】
悪臭調製物及び試験方法は実施例6における概要と同一であった。キャビンを、15人の訓練を受けていないが経験豊富な評価者によって評価した。データを、一元配置分散分析(one-way ANOVA)を使用し、続いて多重比較のためにFischerの最小有意差(LSD)法により分析した(α=0.05)。評価者の数(N)及びLSDは以下であった:N=15、LSD=0.70。キャビンの平均悪臭強度を
図6に示す。
【0111】
ジャスミンEのみのキャビン(悪臭なし)の知覚された悪臭強度は、全ての他のキャビンよりも著しく低い。本開示に従った悪臭組成物及びフレグランス組成物を含むキャビンの知覚された悪臭強度は、悪臭のみのキャビンの強度よりも著しく低く、したがって、本開示に従ったフレグランス組成物を含有するキャンドルは、仮設トイレの悪臭の知覚の減少に有用である。
【0112】
実施例9
本開示に従ったフレグランス組成物を含むエアロゾルエアフレッシュナーの仮設トイレの悪臭低減効果試験
本実施例において使用したエアフレッシュナー装置はエアロゾルであり、かかる装置は、加圧された水性フレグランス溶液により環境中にフレグランスを送達する。
【0113】
この試験のために使用したフレグランス組成物は、「フローラルV」(実施例6)、「シトラスB2」(実施例6)及び「ジャスミンE」(実施例6)の2つの試料であった。フレグランス付けしたエアロゾルを、フレグランス組成物と以下の表に示すエアロゾル配合物とを混合することによって調製した。
【数5】
【0114】
悪臭調製物及び試験方法は実施例6における概要と同一であった。キャビンを、19人の訓練を受けていないが経験豊富な評価者によって評価した。データを、一元配置分散分析(one-way ANOVA)を使用し、続いて多重比較のためにFischerの最小有意差(LSD)法により分析した(α=0.05)。評価者の数(N)及びLSDは以下であった:N=19、LSD=0.70。キャビンの平均悪臭強度を
図7に示す。
【0115】
ジャスミンEのみのキャビン(悪臭なし)の知覚された悪臭強度は、全ての他のキャビンよりも著しく低い。本開示に従った悪臭組成物及びフレグランス組成物を含むキャビンの知覚された悪臭強度は、悪臭のみのキャビンの強度よりも著しく低く、したがって、本開示に従ったフレグランス組成物を含有するエアロゾルエアフレッシュナーは、仮設トイレの悪臭の知覚の減少に有用である。
【0116】
実施例10
本開示に従ったフレグランス組成物を含むサッシェ型エアフレッシュナーの仮設トイレの悪臭低減効果試験
本実施例において使用したエアフレッシュナー装置は、サッシェ型エアフレッシュナーであり、かかる装置は、紙、織布又は不織布材料から形成されている透過性の小袋中に含まれたフレグランスを染み込ませた粒状基材を利用する。
【0117】
この試験のために使用したフレグランス組成物は、「フローラルV」(実施例6)、「シトラスB2」(実施例6)及び「ジャスミンE」(実施例6)の2つの試料であった。フレグランス付けしたサッシェを、フレグランス組成物と、20質量%の充填量で粉砕したトウモロコシの穂軸粒子(NatureZorb(登録商標)-100、供給源:Aproa)とを混合することによって調製した。そして得られた混合物12グラムを、2.5インチ×2.5インチの紙の小袋中に入れた。フレグランスを有さないトウモロコシの穂軸を含む試料を、悪臭のみのキャビン用に調製した。
【0118】
悪臭調製物及び試験方法は実施例8における概要と同一であった。キャビンを、21人の訓練を受けていないが経験豊富な評価者によって評価した。データを、一元配置分散分析(one-way ANOVA)を使用し、続いて多重比較のためにFischerの最小有意差(LSD)法により分析した(α=0.05)。評価者の数(N)及びLSDは以下であった:N=21、LSD=0.62。キャビンの平均悪臭強度を
図8に示す。
【0119】
ジャスミンEのみのキャビン(悪臭なし)の知覚された悪臭強度は、悪臭のみのキャビン及びフローラルV+悪臭のキャビンよりも著しく低い。ジャスミンE+悪臭のキャビン及びシトラスB2+悪臭のキャビンは、悪臭のないキャビンよりも悪臭強度が著しく高いと知覚されておらず、これら2つの組成物がどのように効果的に仮設トイレの悪臭の知覚を減少させているかを実証している。本開示に従った悪臭組成物及びフレグランス組成物を含むキャビンの知覚された悪臭強度は、悪臭のみのキャビンの強度よりも著しく低く、したがって、本開示に従ったフレグランス組成物を含有するサッシェ型1エアフレッシュナーは、仮設トイレの悪臭の知覚の減少に有用である。
【0120】
実施例11
本開示に従ったフレグランス組成物を含む液体電気式エアフレッシュナーの仮設トイレの悪臭低減効果試験
本実施例において使用したエアフレッシュナー装置は、電気芯エアフレッシュナーであり、かかる装置は、加熱要素を利用してフレグランスと共にリザーバに挿入された芯からフレグランス組成物を送達する。
【0121】
この試験のために使用したフレグランス組成物は、「フローラルRD」(実施例4)、「シトラスH」(実施例4)及び「ジャスミンE」(実施例6)の2つの試料であった。フレグランス組成物を、等しい質量部のAugeo Clean Multi(Solvay)と混合した。そして得られた混合物20グラムを、芯(焼結プラスチック)を有するリザーバに入れた。使用した加熱ユニットを、70℃まで芯を加熱するように設定した。
【0122】
悪臭調製物及び試験方法は実施例8における概要と同様であった。しかし、本実施例において、試験キャビンは、812ft
3の容積で構成され、評価者はそれぞれのキャビンに入ることによりにおいを評価した。他の詳細は前記したとおりであった。キャビンを、23人の訓練を受けていないが経験豊富な評価者によって評価した。データを、一元配置分散分析(one-way ANOVA)を使用し、続いて多重比較のためにFischerの最小有意差(LSD)法により分析した(α=0.05)。評価者の数(N)及びLSDは以下であった:N=23、LSD=0.56。キャビンの平均悪臭強度を
図9に示す。
【0123】
ジャスミンEのみのキャビン(悪臭なし)の知覚された悪臭強度は、悪臭のみのキャビン及びフローラルRD+悪臭のキャビンよりも著しく低い。ジャスミンE+悪臭のキャビン及びシトラスH+悪臭のキャビンは、悪臭のないキャビンよりも悪臭強度が著しく高いと知覚されておらず、これら2つの組成物がどのように効果的に仮設トイレの悪臭の知覚を減少させているかを実証している。本開示に従った悪臭組成物及びフレグランス組成物を含むキャビンの知覚された悪臭強度は、悪臭のみのキャビンの強度よりも著しく低く、したがって、本開示に従ったフレグランス組成物を含有する液体電気式エアフレッシュナーは、仮設トイレの悪臭の知覚の減少に有用である。
【0124】
実施例12
本開示によって記載されるフレグランス組成物の悪臭低減を、漂白剤洗浄粉末中で測定した。
【0125】
漂白剤洗浄粉末は、噴霧乾燥させたフレグランスと合した漂白剤粉末である。この製品の標準的な使用法は、粉末を処理すべき領域に適用して水で溶解し、続いて全ての粒子をばらばらにするために擦り洗いし、そしてすすぐことである。
【0126】
フレグランス付けした漂白剤試料を、噴霧乾燥させた粉末(香料50%(w/w)、オクテニルコハク酸加工デンプン50%(w/w)から構成される)0.15グラムを、Stable Bleaching Powder(Grade I、Gujarat Alkalies and Chemicals Limited、Gujarat、India)9.85グラムに添加することによって調製した。
【0127】
表1において詳述した悪臭組成物を、細かいバーミキュライト(Specialty Vermiculite Corp、Enoree、SC)上に70質量%の充填量で適用した。そして、組成物9グラムを、丸いアルミニウム缶中で評価者に提示した。アルミニウム缶の直径は3インチ、高さは1インチである。フレグランスのみを有する試験試料については、未処理のバーミキュライトを含む缶を使用する。
【0128】
【0129】
70質量%の公衆トイレ悪臭を詰めたバーミキュライトを、350gの公衆トイレ悪臭を150gのバーミキュライト(ファイングレード、Specialty Vermiculite Corp、Enoree、SC)と混和することにより調製した。本開示に従ったフレグランス配合物を含むセルロース系エアフレッシュナーの有効性を、ASTM E 1593-06「Method for Assessing the Efficacy of Air Care Products in Reducing Sensorialy Perceived Indoor Air Malodour Intensity」に記載された手法に従って評価した。悪臭の缶のみを含む「参照」とラベル付けしたブースを、悪臭に慣れるために最初に評価者に提示した。そして、1~7の尺度(1は無臭、4は中程度のにおい、及び7は非常に強い悪臭を示す)を使用して、評価者は指定された順序でそれぞれの試料を評価し、悪臭強度及び合計におい強度を評価した。
【0130】
試料を、19人の訓練を受けていない評価者により評価した。「訓練を受けていない」に関しては、正式な嗅覚訓練を受けていないが、フレグランス評価に参加しており、においの属性を評価する経験があるエアフレッシュナーの使用者を意味する。
【0131】
60ft3の評価室を使用して、キャビンの床を水で濡らし、試料が溶解するまで試料を床の上にこすった。そして悪臭を付与した。試験中の環境条件は、1時間毎に5回換気して72°F、40%RHであった。室内の空気を循環させるために、低く設定した携帯用卓上送風機をキャビンの床に配置する。ブースを、ランダムに生成した3桁のコードでラベル付けした。試料提示は、ブラインドで、偏りなく、無作為に、そして連続して単一体で行った。活性化から5分後に、評価者に、それぞれの試料を評価するためににおいを嗅ぐための窓を開け、60秒間待ってから室内で知覚されるにおいに関する一連の質問に答えるように指示した。評価者に、悪臭強度及び合計のにおい強度を評価するように依頼した。
【0132】
分散分析(ANOVA)を使用してデータを分析し、そして2つの平均間の差を最小有意差(α=0.05)を使用して決定した。キャビンの平均の悪臭強度を以下に示す。平均間の最小有意差は0.61であった。
【0133】
【0134】
フローラルRD+漂白剤のみのキャビン(悪臭なし)の知覚された悪臭強度は、悪臭のみのキャビンよりも著しく低い。フローラルRD+漂白剤のキャビンは、悪臭のないキャビンよりも悪臭強度が著しく高いと知覚されておらず、この組成物がどのように効果的に仮設トイレの悪臭の知覚を減少させているかを実証している。本開示に従った悪臭組成物及びフローラルRD組成物を含むキャビンの知覚された悪臭強度は、悪臭のみのキャビンの強度よりも著しく低く、したがって、本開示に従ったフレグランス組成物を含有する漂白剤洗浄粉末は、仮設トイレの悪臭の知覚の減少に有用である。
【0135】
実施例13
モデル仮設トイレにおける本開示に従ったフレグランス組成物の仮設トイレの悪臭低減効果試験
本実施例において、本開示に従った組成物の性能を評価するために、モデル仮設トイレを構築した。モデル仮設トイレに、トイレの悪臭のヘッドスペースを正確かつ確実に再構成することができる、硫化水素、メチルメルカプタン、酪酸、パラクレゾール、及びインドールを注入するにおい発生装置を備え付けた。モデル仮設トイレにおける悪臭濃度は、アフリカ及びインドのトイレにおいて実施した定量的ヘッドスペース分析と一致した。トイレの悪臭のヘッドスペース性能を、化学分析及び感覚分析により検証した。嗅覚刺激を、においの知覚に対する気候の影響を評価するために、異なる気候で参加者に提示した。感覚データは、温度及び湿度の上昇は悪臭の強度評価を低下させたが、それらの品質は低下させなかったことを示した。香料配合物を、ヘッドスペース濃度を制御するための強制蒸発によって、又は送達系、例えばセルロースパッド、液体、及び粉末によって、これらのモデル仮設トイレで送達することができる。本発明者らの実験設定は、トイレ悪臭の低減及び心地よさの増加における香料配合物の性能を評価するための用量反応曲線を提供した。
【0136】
材料及び方法
化学物質
トリエチルアミン、N-エチルマレイミド(NEM)、及びメチルオクタノエートの化合物を、Sigma-Aldrich(Buchs、Switzerland)から購入し、酪酸、p-クレゾール、インドール、及びL-システインは自社製品であった。ジエチルエーテル、メタノール、酢酸エチル、及びアセトンの溶媒を、Carlo Erba(Val de Reuil、France)から購入した。メチルメルカプタン及び硫化水素について、Carbagas(Carouge、Switzerland)から購入した加圧シリンダー中で、15ppm(v/v)の窒素混合物を使用した。Oasis HLB 1-gカートリッジを、Waters(Montreux-Chailly、Switzerland)から購入した。本実施例において使用した香料配合物を以下に記載する。
【0137】
【0138】
モデル仮設トイレ
8mmの透明ポリエチレンテレフタレート製の3つの1.7m
3のモデル仮設トイレ(1.95m×0.985m×0.89m)を人工気象室に入れ、それぞれの仮設トイレに29cm×39cmの回転ドアを備え付けてにおいを評価した(
図11)。人工気象室からの空気は、後壁の45cmの高さに配置されたにおい発生装置を介してそれぞれの仮設トイレに入った(におい発生装置を以下に詳細に説明する)。空気を、それぞれの仮設トイレの屋根から、100mmのアルミニウム製排気管を介して、両面82cm×91cmの層状フィルター(厚手の綿織物)を通して吸い込んだ(
図11)。3本の排気管を、主管の100mmステンレス鋼管を介して調整可能な送風機に連結した。それぞれの仮設トイレの気流は、排気管に配置されたダンパー(SPI 160、Systemair、Skinnskatteberg、Sweden)を使用して個別に調整できる(
図11)。主な排気流を制御するために熱線風速計を主管排気管内に配置した。適宜送風機によって生じる吸引力を変化させることにより空気流を調整することができる。主管排気管内の風速を、それぞれの仮設トイレにおいて17m
3/hの空気流に維持した。この気流及び得られる1時間あたりの空気交換(およそ10)は、換気された改良型ピット型仮設トイレにおける測定の範囲内である。
【0139】
におい発生装置
液体を蒸発させるために、公的に入手可能なオルファクトメーターの下部の容器を変更した。150L/hの窒素流で500mlの丸底フラスコをフラッシュし、そこに1mlのポリプロピレン製シリンジに連結したポリテトラフルオロエチレン(PTFE)キャピラリーを介して液体を導入した(
図11)。液体の流速を、シリンジポンプにより送達し、0.04ml/h~10ml/hの範囲であった。フラスコをガラスハットで覆い、加熱プレート上に取り付けられたステンレス鋼ヒートオンブロックで160℃まで加熱した(
図11)。フラスコの出口(内径2mm)を、仮設トイレの後壁を横切る直径109mmの長さ15cmのステンレス鋼管に配置した。この管を、仮設トイレ内の熱風を吸い込まないために、後壁に配置された直径127mmのアルミニウム製排気管(長さ80cm)に接続した(
図11)。におい分子が豊富な窒素を、仮設トイレに入った空気と混ぜた。強制蒸発放出システムに加えて、2つのステンレス鋼管を、パイプの内側にはんだ付けして6mmのPTFE管を保持させ、加圧シリンダーからメタンチオール及び硫化水素を放出させた。PTFE管をパラフィルムで閉じ、PTFE管1本あたり2つの0.8mmの開口部を針で突き刺した(
図11)。
【0140】
それぞれの仮設トイレの窒素流速を、3つのロータメーター(25L/h~250L/h;Krohne、Duisburg、Germany)で制御した。メタンチオール及び硫化水素の流量を、6つの質量流量計(3つのトイレ、2つのガス)(Red-y、Voegtlin Instruments AG、Aesch、Switzerland)で独立して制御した。
【0141】
人工気象室
人工気象室の寸法は、3.42m×2.95m×2.5mであり、得られた体積は25m3であった。人工気象室の温度及び湿度を、540m3/hの密閉サイクルで制御した。新鮮な空気が51m3/hの速度で人工気象室に入り、空気が同じ速度で人工気象室を出た。温度及び相対湿度(RH)の作業範囲は、それぞれ12℃~45℃及び30%RH~90%RHであった。人工気象室に、温度及び湿度制御サイクルの入口及び出口に配置し温度プローブ及びRHプローブを取り付けた。実験中に人工気象室内の空気の温度及びRHを測定できる入り口のプローブからのデータを5分毎に記録した。さらに、人工気象室内の空気と仮設トイレ内の空気との温度及びRHにおける差が最小であることを確実になるようにRH及び温度を正確に測定するために、仮設トイレ内にプローブ(Traceable(登録商標)湿度計、VWR International、Radnor、PA、USA)を設置した。1.5℃未満の温度差及び5%未満のRH差を維持した。
【0142】
参加者
参加者はFirmenich SA(Geneva、Switzerland)の研究センターの従業員であった。10回のセッションを計画し、それぞれのセッションについての参加者数は以下の通りであった:26、24、26、27、26、30、25、27、25、23。参加者は研究に参加する前に同意書に署名した。同意書及び実験プロトコルは、ヒトを対象とした医学的研究についてのヘルシンキ宣言に同意してFirmenichの内部審査委員会により承認された。
【0143】
刺激
参加者を、4つの異なる人工気象室における仮設トイレにおいて送達された6種のにおい物質混合物に触れさせた。におい物質混合物は、Mukuru(Nairobi)UDTの悪臭のみ、香料(フローラルD)のみ、及び悪臭と香料の混合物であり、4つの異なる濃度(0.18μg/L、0.54μg/L、1.62μg/L、4.9μg/L)で放出させた。
【0144】
悪臭をMukuruトイレから再構成させた。それというのも、それは全ての有意な分子を含んでおり、手入れの行き届いたトイレから生じたからである。Mukuru悪臭源を、硫化水素、メタンチオール、酪酸、p-クレゾール及びインドールから構成し、その気相濃度は、それぞれ0.26μg/l、0.018μg/l、0.004μg/l、0.0027μg/l及び0.00018μg/lであった。硫化水素及びメタンチオールを、それぞれ20.8l/h及び9.8l/hで加圧シリンダーから放出した。残った悪臭生成物を、それぞれ0.775mg/ml、0.526mg/ml及び0.035mg/mlの酪酸、p-クレゾール及びインドールを含有するプロピレングリコール溶液を蒸発させることにより仮設トイレ中に放出させた。香料配合物を、強制蒸発室において純粋な形で放出し、4.9μg/lの気相濃度をもたらした。香料のより低い気相濃度を、プロピレングリコールで香料を希釈することにより得た。0.18μg/l、0.54μg/l及び1.62μg/lの気相濃度を、それぞれ3.62%、11.13%及び33.31%(w/w)のプロピレングリコール溶液で得た。悪臭及び香料を同じ仮設トイレ中で放出するために、2つのPTFEキャピラリーを介した2つのシリンジを同じ強制蒸発室に接続した。一方のシリンジは悪臭溶液を含み、他方のシリンジは純粋な形で又はプロピレングリコールで希釈して香料配合物を含んでいた。双方のシリンジを同じシリンジポンプに取り付け、それらのピストンを0.088mm/hで押し、0.088ml/hの放出速度をもたらした。悪臭又は香料を単独で提示した場合に、純粋なプロピレングリコールを、第二のシリンジで強制蒸発室に注入した。それぞれのにおいを、4つの気候で提示した:30%RHで22℃、80%RHで22℃、30%RHで35℃、及び80%RHで35℃。
【0145】
感覚プロトコル
参加者を、無作為に異なる気候でにおい刺激に触れさせた。利用可能な仮設トイレは3つのみであったため、6つのにおいを、それぞれ悪臭のみ又は香料のみ、悪臭プラス低量の香料、及び悪臭プラス高量の香料を含む2つのグループに分けた。最初及び最後のセッションを、パネルの信頼性を評価するための対照として使用し、悪臭のみ、香料のみ、及び双方の混合物から構成した。参加者は、人工気象室に入り、そしてソフトウェアFIZZ(Biosystems、Courtenon、France)で作成された紙の調査用紙に回答することにより、3つの仮設トイレのにおいを直接評価した。参加者は、気候に3分間順応した後にそれぞれの仮設トイレのにおいを再評価した。参加者に、0~10の等分目盛で、「嫌い(I don’t like)」から「好き(I like)」までの心地よさ、「馴染みのない(not familiar)」から「非常に馴染みのある(very familiar)」までの馴染みやすさ、「無臭(no odour)」から「非常に強い(very strong)」の強度、「糞便/トイレではない(not fecal/toilet)」から「非常に糞便/トイレである(very fecal/toilet)」への糞便/トイレの特徴、及び「全くない(not at all)」から「非常に進んで(very willingly)」への仮設トイレへの入室を希望したかどうか、を評価するように求めた。
【0146】
ヘッドスペース分析
Mukuru悪臭を、前記したようにモデル仮設トイレ中で放出した。気候を50%RHで25℃に設定した。空気中に放出させた化合物を、脱イオン水20ml、メタノール20ml、アセトン20ml、及びジエチルエーテル20mlで調整したOasisカートリッジで集め、炉中50℃で1時間乾燥させた。硫化水素及びメチルメルカプタンを、NEM25mg及びトリエチルアミン100μlを含有するジエチルエーテル2mlを充填したOasisカートリッジ中でNEMで誘導体化し、50℃で1時間乾燥させた。空気を、シリコンチューブに接続したGilAir Plusポンプを使用することにより、カートリッジを通して1l/分でポンプ注入した。試料の容量は100lであった。3つのカートリッジを使用して1つの仮設トイレの空気をサンプリングした。1つ目のカートリッジを、モデル仮設トイレの中央に、2つ目を評価ドアから23cm、及び3つ目を仮設トイレの右上(地面から171cm)の深さに配置した。カートリッジを、酢酸エチル中で10ng/μlメチルオクタノエート(内部標準[IS])溶液100μlに添加したジエチルエーテル10mlで取り除いた。過剰なNEMを取り除くために、溶出液を、0.1Mリン酸カルシウムでpH8で干渉させた水中で10mg/mlのL-システイン溶液3mlで洗浄した。その水相を取り出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。水相を、水中で37%HCl溶液100μlで酸性化し、酪酸を、IS100μlに添加したジエチルエーテル4mlで抽出した。GC-MSに注入する前に、双方の有機層を、アルゴン流下で1mlに徐々に濃縮した。分析を、以下に記載したようにGC-MSに溶出液1μlを注入することにより実施した。
【0147】
オルファクトメーターを使用したヘッドスペース分析較正
オルファクトメーターを使用して、ヘッドスペースを、公知の濃度の酪酸、インドール、p-クレゾール、メチルメルカプタン及び硫酸で作成し、分析方法を較正した。簡単に、公知の量の化合物を有する空気を、オルファクトメーターの出口で誘導体化剤NEM(上記のもの)を装填したOasisカートリッジでサンプリングした。メチルメルカプタン及び硫化水素を、窒素中で15ppmの双方の硫黄化合物の混合物を含有する加圧シリンダーからオルファクトメーターに放出した。双方の硫黄化合物の流れをロータメーター(VoegtlinTV 100)で制御した。酪酸、インドール及びp-クレゾールを、0.101ml/hを供給するシリンジポンプに取り付けられた1mlポリプロピレンシリンジからプロピレングリコール溶液を蒸発させることによって放出させた。溶液を下部容器に導入し、下部容器を油浴を使用して150℃に加熱した。窒素を下部容器に60l/hで導入して蒸発した生成物を集め、そして上部容器の空気流と混合した。空気流を540l/hに設定し、蒸留水で満たしたウォータージャケット付き洗浄ボトル中で泡立たせることによって加湿した。オルファクトメーターの上部容器は、ウォータージャケット付きであり、その温度を、水浴で29℃に維持した。オルファクトメーターの出口で、温度は30℃でありかつRHは40%であった。オルファクトメーター中のメチルメルカプタン及び硫化水素化合物の得られた濃度は、0.1μg/l、0.05μg/l、0.0250μg/l及び0.0125μg/lであった。酪酸、p-クレゾール及びインドールの得られた濃度は、0.0001μg/l、0.001μg/l、0.01μg/l、0.1μg/lであった。
【0148】
ガスクロマトグラフィ-質量分析(GC-MS)
GC 6890 N(Agilent、Palo Alto、CA、USA)を使用して化合物を同定した。融解石英SPB-1キャピラリーカラム(内径30m×0.25mm、膜厚0.25μm、Supelco、Bellefonte、PA、USA)をGCに取り付けた。キャリヤーガスは、He(52kPa)であり、注入温度を250℃に設定した。注入を、Combi-Pal autosampler(Zwingen、Switzerland)で実施した。酪酸、p-クレゾール、インドール、並びにメチルメルカプタン及び硫化水素のNEM誘導体を分析するために、初期の炉温度を、50℃で5分間保持し、そして5℃/分で250℃までスプリットモード1/5で上昇させた。GCを、Agilent社製のMS 5975B Inert XL MSPに連結させた。電子衝撃モードでの質量スペクトルを、SIMモードで70eVで測定した。観察したイオンは、酪酸(60)、p-クレゾール(107)、インドール(117)、NEM-S-CH3(127)、及びNEM-S-NEM(127)であった。
【0149】
データ分析
調査用紙をスキャンし、データをFIZZに保存し、R(https://cran.r-project.org)で分析した。応答変数-心地よさ、仮設トイレに入ること、強度、馴染みやすさ、及び糞便の特徴-を、分散分析(ANOVA)を使用することにより分析し、有意な効果を、ノンパラメトリックなKruskal-Wallis試験で確認した。ペアワイズ比較試験を、Tukey正味差試験(RにおけるTukey HSD関数)で行った。異なるにおい処理の心地よさとトイレに入る意欲との関係を線形モデルで調べた。さらに、におい処理からの心地よさの評価及び気候からの心地よさの評価を線形モデルで分析した。有意水準をP<0.05に設定した。モデル仮設トイレの気相中の悪臭化合物の濃度を決定するために、検量線を、オルファクトメーター中の気相濃度の関数としての揮発性物質のピーク面積とISの比に関する線形モデルを使用することによって確立した。これらの検量線とR(chemCalパッケージ)における逆予測関数を使用して、モデル仮設トイレ内の気相濃度を、揮発性物質のピーク面積とISの比から予測した。
【0150】
結果
1.7m3の3つのトイレモデルを、25m3の人工気象室に建設した。それぞれのトイレを1時間に10回換気した。トイレ内に、液体及び粉末の湿量の増減を監視するために秤を設置し、液体や粉体を受けるための硬表面を設置した。被験者が人工気象室に入った場合に、被験者を、実験のために設定した温度及び湿度に触れさせ、したがって、本研究のために、被験者に、最初に人工気象室に入った直後ににおいを評価し、そして気候への適応の数分後に二回目の評価を求めた。適応は、においを評価するために使用した基準に有意な影響を及ぼさなかった。そして、適応あり及び適応なしのデータを平均した。
【0151】
典型的なMukuruの糞便の悪臭を、ガスをスプレーし、窒素でフラッシュされた高温容器内で液体を気化させることによって、メタンチオール、硫化水素、酪酸、p-クレゾール及びインドールの制御された放出により作成した(
図11)。ヘッドスペースを、トイレの異なる三箇所で、及び3つのトイレで分析した。予想濃度と比較した定量の結果を
図12に示す。メタンチオール、硫化水素、酪酸、p-クレゾール及びインドールの目標濃度を、それぞれ期待値の101%、66%、130%、93%及び138%で達成した。標準偏差は、人工気象室間の再現可能なヘッドスペースに加えて人工気象室内の均一なヘッドスペースを示す比較的小さい間隔を示した。
【0152】
4つのディスクリプタを被験者に提案した:心地よさ、トイレに入る、糞便の特徴及び強度。最初と最後のセッションを繰り返した場合にパネルを使用して得られた結果が著しく異ならないため、パネルは信頼性があった(
図13)。
【0153】
気候は強度に著しい影響を及ぼしたが、心地よさ、馴染みやすさ、糞便の特徴、及びトイレに入る意欲の他の基準に著しい影響はなかった。温度の上昇は、においとは無関係に全体の強度(ANOVA、P<0.0001;Kruskal-Wallis、P<0.001)を著しく減少させた(
図14)。同様に、しかしより少ない程度ではあるが、湿度の増加は、
図14に示すように、強度を著しく減少させた(ANOVA、P<0.05;Kruskal-Wallis、P<0.05)。しかしながら、湿度及び温度の双方における増加は、全体の強度をさらに低下させるため有意に組み合わされなかった。温度の著しい影響は、主に、悪臭のみ、悪臭及び高濃度の香料の混合物、並びに香料のみで得られた平均における差異によるものであった。湿度の著しい影響は、主に、悪臭及び高濃度の香料の混合物、並びに香料のみによるものであった。ペアワイズ比較(Tukey honest差)は有意差を示さなかったため、においは強度に著しい影響を及ぼさなかった(
図14)。
【0154】
次に、適切な対照を評価した。選択肢は、悪臭(青い棒(2)、
図15及び16)又は香料(ピンクの棒(1)、
図15及び16)であった。
図15において示すように、香料濃度が増加した場合に、糞便の特徴は著しく低下した。悪臭の糞便の特徴の割合としてのこの特徴における減少も
図15に示されている。しかしながら、悪臭及び香料の混合物を香料のみで提示した場合に、香料の効果は低下した(青い棒(2)、
図15)。対照的に、香料の効果は、混合物を悪臭のみで提示した場合により高かった(ピンクの棒(1)、
図15)。
【0155】
糞便の特徴の評価の方向とは対照的に、心地よさの評価は、香料濃度の増加の関数として著しく増加した(
図16)。処理群も心地よさに影響を与えたが、より低い香料濃度でのみであった(
図16)。
【0156】
心地よさの評価と比較して、仮説トイレに入る意欲の評価で同様の結果が得られた。意欲の評価は、香料濃度の増加に応じて著しく増加した。トイレに入る意欲は、心地よさと強く相関していた(
図17、線形モデル、勾配=0.97、P<0.0001;切片=0.27、P<0.001、調整済みR
2=0.7986)。この線形モデルは、横座標に対する心地よさと共に、入ることの評価の分散の約80%を説明した。入ることの評価に対する処理群の効果は、心地よさの評価に対する効果よりもはるかに低かった。
【0157】
温度測定
人工気象室を、4つの気候条件に設定した:30%RHで22℃、80%RHで22℃、30%RHで35℃、及び80%RHで35℃。温度及びRH条件は、温度制御システムを使用することにより達せられた(表15)。人工気象室内及びモデル仮設トイレ内の温度及びRHは、それぞれ1.5℃未満及び5%未満であった(表15)。
【0158】
【0159】
実施例14
受動的な送達系を使用した仮設トイレにおける本開示に従ったフレグランス組成物の仮設トイレの悪臭低減効果試験
特定の理論に限定されることを意図するものではないが、組成物の性能は、要因、例えば配合物中の化合物の揮発性、温度、空気流、境界層の深さ、化合物と受動的送達系の基質との相互作用、化合物間の相互作用、送達系におけるそれぞれの化合物の濃度、気候等によって影響されうる。かかる要因は、糞便悪臭の持続時間及び/又は知覚された減少の大きさ、及び/又は他の感覚効果の持続時間及び/又は変化の大きさ、例えば知覚される心地よさの増加に影響しうる。
【0160】
これをさらに探求するために、本実施例において、本発明のいくつかの態様による組成物の性能を仮設トイレで評価し、その際組成物を受動的送達系に導入した。モデル系を使用した最初の一連の実験において、次の2つの配合物を試験した:フローラルV(表10に記載の通り)及びジャスミンE(表9に記載の通り)。19~32人の評価者団を、10日間にわたって試験組成物の性能を評価するために現場で訓練した。モデル仮設トイレのヘッドスペースも、サンプリングして分析し、仮設トイレ内の香料成分の気相濃度を決定した。
【0161】
パネリストを、3つのモデル仮設トイレのにおいにさらした。2つの仮設トイレのにおいを、前記実施例において記載したように、強制蒸発システムにより送達された悪臭Mukuruの再構成物に加えて、セルロースパッドから放出させた香料ジャスミンE及びフローラルVから構成した。3番目のモデル仮設トイレのにおいを、ブランクのセルロースパッドに加えて悪臭のみから構成した。セルロースパッドは、10.8cm×7.3cm×0.15cmであり、60%香油及び40%ミリスチン酸イソプロピル(IPM)の混合物2.2gを充填した。パッドを、それぞれの仮設トイレを備えた秤上に置いた。秤をコンピューターに接続し、5分毎にそれぞれパッドの質量の減少を監視した。パッドの導入時間は0であった。感覚分析及びヘッドスペース分析を、前記実施例において記載した方法に従って実施した。
【0162】
図18(糞便の悪臭の知覚された強度及び報告した心地よさの評点を報告)に関して、フローラルV及びジャスミンEの配合物の双方は、仮設トイレの悪臭の糞便の特徴を減少させ、かつ心地よさを増加させた。双方の配合物についての最も高い性能は、実験の開始時(0日目)に得られ、その際心地よさは最も高く、かつ糞便の特徴は最も低かった。
【0163】
配合物の性能は、25℃で時間の関数として減少する傾向があり、かつ40℃で明らかに減少した。フローラルVについて、心地よさは、25℃で10日後、及び40℃で4日後に、中立限界(5)を下回り、負の価(嫌い)に達した。実際に、心地よさと糞便の特徴との間の逆転を観察した。ジャスミンE配合物は、調査中に心地よさは正の価(好き)のままであり、かつ糞便の特徴の評価がフローラルV配合物で観察されたものよりも低かったため、双方の気候において良好な性能を実証した。フローラルV配合物とは異なり、ジャスミンE配合物についての逆転は観察されなかった。関連する評価は、経時的に非常に安定していたため、変動は悪臭とは関係がなかった。
【0164】
試験用仮設トイレのヘッドスペースの分析は、フローラルV配合物の全ての化合物及びジャスミンE配合物について選択された化合物についての気相濃度の変動を明らかにした。
図19は、双方の試験配合物によって共有されるアンタゴニスト分子の展開(すなわちヘッドスペース濃度)を示す。
【0165】
図19に関して、ジヒドロリナロール濃度は、40℃で4日目及び25℃で5日目に、急速に減少して嗅覚検出閾値(ODT)に達した。ジヒドロリナロールは酪酸受容体のアンタゴニストである。これらのデータは、ジヒドロリナロールの気相濃度がそのODTを下回る場合に、酪酸知覚の抑制は小さいか又はゼロであるべきであることを示唆している。
【0166】
バイオレットAT及びイソラルディン70Pは、ヘッドスペース濃度における同様の減少を示した。ここでは、それらの気相濃度は25℃で安定していたが、一方で40℃ではそれらはより高く始まり、より速く減少した。
【0167】
LILYFLORE(登録商標)は実験期間を通して安定していたが、25℃と比較して40℃では高濃度であった。ここでは、これらのデータは、温度の上昇がLILYFLORE(登録商標)の放出を補助することを示唆している。ジヒドロリナロールを除く全てのアンタゴニスト化合物は、実験期間を通して空気中で知覚可能な量であった。
【0168】
【0169】
以下の表17に関して、40℃でのフローラルV配合物の性能を例として使用して、0日で、配合物の性能が(糞便悪臭の減少と心地よさの知覚の増加の双方について)最大であった場合に、大部分の成分のヘッドスペース濃度は、少なくとも1つの悪臭標的に対して有効なアンタゴニスト濃度以上であった。2日目に、成分のヘッドスペース濃度は低下し、その際1つの成分のみが少なくとも1つの悪臭標的に対して有効なアンタゴニスト濃度以上であった。4つの成分は、少なくとも1つの悪臭標的に対して有効なアンタゴニスト濃度に近く、かつ7つの成分は、少なくとも1つの悪臭標的に対して有効なアンタゴニスト濃度より低かった。配合物の性能における対応する低下を観察した(
図18)。心地よさと糞便の特徴との逆転が観察され(
図18)、全ての成分のヘッドスペース濃度が、少なくとも1つの悪臭標的に対して有効なMOC濃度未満であった。
【0170】
【0171】
ダーバン(南アフリカ共和国)、及びプーナ(インド)における仮設トイレを使用した他の研究において、以下の2つの配合物の性能を試験した:フローラルVジャスミンE及びシトラス259389B(表8に記載)。配合物をセルロースパッドに導入した。評価者団を、3日間にわたって試験組成物の性能を評価するために現場で訓練した。仮設トイレのヘッドスペースも、サンプリングして分析し、仮設トイレ内の香料成分の気相濃度を決定した。
【0172】
においての評価を11人の被験者により実施した。試験配合物をミリスチン酸イソプロピル(IPM;60%油、40%IPM)中で希釈し、そして42%(w/w)乾燥基質で平坦なセルロースパッド(10.8cm×7.3cm×0.15cm)上に載せた。実施した場合に得られる香料の強度に従って、1つの仮設トイレにつき1~2つのパッドを使用した。双方の国で配合物1つにつき3つの仮設トイレ(3つの複製)を使用した。ダーバンにおいて、ジャスミンE及びフローラルVは、6つの私用及び個人用換気ピット型仮設トイレで実施され、シトラス259389B(表7に記載)を、公衆のアブリューションブロック(ablution block)の3つの換気改良ピット型仮設トイレで実施した。プーナにおいて、それぞれの試験配合物を、専用のアブリューションブロックの3つのトイレで実施した。
【0173】
被験者は、社内で開発され、以下のリンクでインターネット上で入手可能な我々の調査用紙で嗅覚刺激を評価した:http://www.pacchiani.ch/firmenich/ 。被験者に、等分目盛(0~100)で、「嫌い(I don’t like)」から「好き(I like)」までの心地よさ、「無臭(no odour)」から「非常に強い(very strong)」の強度、「糞便ではない(not fecal)」から「非常に糞便である(very fecal)」への糞便の特徴を評価するように求めた。被験者は、調査用紙の最後にコメントを追加することができた。
【0174】
仮設トイレのにおいをパッドの設置前後に評価した。基準線を確立するために午後に最初の評価を実施した。そしてパッドを装着し、設置10~30分後に2回目の評価を実施した。設置後の翌日の朝に3回目と4回目の評価を実施した。評価のために、評価者に、1人ずつトイレに入るように求めた。トイレを通常のように使用した。
【0175】
ヘッドスペース分析:試験配合物の設置翌日に、試験配合物で処理した2つのトイレの空気をサンプリングした。仮設トイレの壁に吊したOASIS HLB 1gカートリッジを通して空気を1L/分でポンプ注入した。1つ目のカートリッジを、地面の近くに0.15~0.3mの高さで配置し、2つ目のカートリッジを1.5~1.7mの高さに配置した。ポンプ注入した合計量は87L~100Lであった。分析及び定量を、標準的なプロトコルに従って得た。試験配合物が心地よさ及び糞便の特徴の評価を有意に変化させたかどうかを決定するために、試験配合物の設置前後の評価を比較する、それぞれのトイレのデータに対してWilcoxサインランク試験を使用した。設置後に実施した評価から得たデータをプールした。パッドが盗まれた、移動された、又は取り出されたトイレからの評価のデータを破棄した。
【0176】
図20及び21に関して、セルロースパッドへの導入によるフローラルV、ジャスミンE、又はシトラス259389Bの使用は、試験に使用した大部分の仮設トイレにおいて心地よさの評価を著しく増加させた(
図20)。さらに、ほとんどの場合に、双方の配合物は、不快な基準線のにおいを有する仮設トイレでさえも、正の価に心地よさが増加した(
図20)。心地よさの増加は、糞便の特徴の著しい減少と関連しており(
図21)、糞便の悪臭分子のアンタゴニストを含有する配合物の悪臭抑制効果を示している。
【0177】
観察された糞便の悪臭は、試験した全ての仮設トイレにわたって一定ではなかった。例えば、プーナにおいて、糞便悪臭のレベルは、ダーバンにおいて試験した仮設トイレにおいて観察された糞便悪臭と比較して、非常に低くかつ仮設トイレのプールの中でより類似していた(
図21)。
【0178】
プーナにおいて、試験配合物を、約10個の水洗トイレから構成される3つの公衆アブリューションブロックにおいて設置した。それらを良好に維持し、一日に数回掃除した。換気を、それぞれのトイレにおいて窓を開けることにより確実にした。対照的に、ダーバンにおける仮設トイレは、汚い個人用のピット型仮設トイレであり、維持が不十分であった。いくつかの仮設トイレについて、穴がいっぱいであり換気口がなかった。これは異なるトイレにおける悪臭レベルの変動を説明できる。例は、ジャスミンEで処理した仮設トイレ番号2及びフローラルVで処理した仮設トイレ番号1であり、これらの配合物は、時間内で安定しておらず平均的な心地よさほとんど増加させなかった(
図22)。さらに、悪臭は、双方の仮設トイレの不快なにおいの唯一の原因ではなかった:悪臭は、も尿及び鶏の排泄物でもあった。適切な換気システムを備えた仮設トイレにおいて悪臭が強い場合に、試験配合物は悪臭を減少し、この効果は時間内で安定していた(
図23)。
図24は、アフリカ及びインドにおける清潔で手入れの行き届いたトイレの結果を報告している。興味深いことに、悪臭が糞便の特徴及び強度に関して非常に強い場合に、試験配合物は、糞便の特徴だけでなく総強度も低下させ(
図23)、悪臭抑制の効果が悪臭を圧倒する芳香に関連していないことを示している。
【0179】
仮設トイレのヘッドスペースを分析は、α-イオノン、イソラルディン、LILYFLORE(登録商標)、ジヒドロリナロールのMOC分子が、プーナ及びダーバンにおいてサンプリングされた空気中で著しい量で見出されたことを明らかにした。検出した気相濃度は、別々に決定されたそれらのそれぞれの嗅覚検出閾値(ODT)、すなわちそれぞれ5.08×10
-4μg/L、1.92×10
-4μg/L、1.28×10
-4μg/L、1.37×10
-3μg/Lを超えた(
図25)。驚くべきことに、ダーバンにおけるトイレ番号3を除いて、全てのトイレにおいて高低で同様の濃度を観察した(
図25)。
【0180】
ヘッドスペース分析は、気流制御の欠如にもかかわらずある程度の均一性を示す。トイレ番号3の例外は、サンプリング中に高さの高いカートリッジがパッドから離れすぎていた事実により説明されうる。さらに、気相濃度は双方の国で同様であった。しかしながら、プーナではトイレ1個あたり2個のパッドが使用されており、換気率はダーバンよりもプーナの方が高いことが示唆されている。
【0181】
分析は、現場で得られた化合物濃度の分布が、同一温度でモデル仮設トイレにおいて見出された分布と同一であることも明らかであった(
図26)。気温は、ダーバン、プーナ、及びモデル仮設トイレにおいてそれぞれ28℃、25℃、及び25℃であった。気相濃度は、ダーバン及びインドの仮設トイレにおいて観察した濃度よりもモデル仮設トイレの方が約2倍高く、実際の仮設トイレにおける換気率がモデル仮設トイレよりも高いことを示唆していた。
【0182】
まとめると、これらのデータは、モデル仮設トイレと屋外仮設トイレとの相関関係を示しており、制御された条件下で実験を実施するためのモデル仮設トイレの使用のさらなるステップを確認している。さらに、ジャスミンE配合物は、25℃及び40℃でトイレの悪臭再構成物を抑制することにおいて、フローラルV配合物よりも長く機能するように思われた。ヘッドスペース分析は、それらの配合物中でそれらの存在を疑うMOC化合物の気相濃度が、双方の香料を比較して類似しており、かつトップノート化合物が、悪臭の抑制に関与していないことを明らかにした。
【0183】
糞便の悪臭のアンタゴニストを含有する配合物(ジャスミンE、フローラルV、シトラス259389B)は、異なる困難な環境下で糞便の特徴を低下させることによりトイレのにおいの心地よさを増大した。しかしながら、換気がなく、穴が多い汚れたトイレ、つまりこの研究において対象とされていない環境では、性能の限界に達した。さらに、MOCは、過酷な環境下でさえも著しい量であり、糞便の特徴の抑制効果が、悪臭を圧倒する香料によるものではなかった。
【0184】
実施例15
本発明のいくつかの態様による特定の悪臭受容体アンタゴニストの相乗効果
糞便の悪臭の再構成物から知覚された糞便の悪臭を中和するためのLILYFLORE(登録商標)、バイオレットAT及びイソラルディンを含有する試験配合物の性能を試験した。試験配合物中のそれぞれの単一成分の量は、フローラル組成物中に導入された成分の対応する濃度と同一であった。試験配合物中のそれぞれの単一成分と同一濃度で、LILYFLORE(登録商標)、バイオレットAT及びイソラルディンをぞれぞれ含む別々の対照配合物も含まれた。感覚評価はブラインドであり、オルファクトメーター及びブラインドで評価する30人以上の評価者団により実施した。並行して、試験及び3つの対照配合物からの成分のヘッドスペース濃度を決定した。結果を以下の表18及び
図27に示す。
【0185】
【0186】
まとめると、これらのデータは、LILYFLORE(登録商標)、バイオレットAT及びイソラルディンの混合物を含む試験配合物が、混合物内で同一の濃度で試験した単一成分を含む対照配合物と比較して、糞便の評点、及びしたがって糞便の悪臭の知覚を低下させ、さらに心地よさ及び新鮮度の評点を向上させる点で優れていたことを証明する。
【0187】
糞便の悪臭の再構成物から知覚された糞便の悪臭を中和するためのLILYFLORE(登録商標)、バイオレットAT及びジヒドロリナロールを含有する他の試験配合物の性能を試験した。試験配合物中のそれぞれの単一成分と同一濃度で、LILYFLORE(登録商標)、バイオレットAT及びジヒドロリナロールをぞれぞれ含む別々の対照配合物も含まれた。感覚評価はブラインドであり、オルファクトメーター及びブラインドで評価する30人以上の評価者団により実施した。並行して、試験及び3つの対照配合物からの成分のヘッドスペース濃度を決定した。結果を以下の表19及び
図28に示す。
【0188】
【0189】
まとめると、これらのデータは、LILYFLORE(登録商標)、バイオレットAT及びジヒドロリナロールの混合物を含む試験配合物が、混合物内で同一の濃度で試験した単一成分を含む対照配合物と比較して、糞便の評点、及びしたがって糞便の悪臭の知覚を低下させ、さらに心地よさ及び新鮮度の評点を向上させる点で優れていたことを証明する。
【0190】
糞便の悪臭の再構成物から知覚された糞便の悪臭を中和するためのLILYFLORE(登録商標)、イソラルディン、バイオレットAT及びジヒドロリナロールを含有する他の試験配合物の性能を試験した。試験配合物中のそれぞれの単一成分と同一濃度で、LILYFLORE(登録商標)、バイオレットAT、イソラルディン及びジヒドロリナロールをぞれぞれ含む別々の対照配合物も含まれた。感覚評価はブラインドであり、オルファクトメーター及びブラインドで評価する30人以上の評価者団により実施した。並行して、試験及び3つの対照配合物からの成分のヘッドスペース濃度を決定した。結果を以下の表20及び
図29に示す。
【0191】
【0192】
まとめると、これらのデータは、LILYFLORE(登録商標)、バイオレットAT、イソラルディン及びジヒドロリナロールの混合物を含む試験配合物が、混合物内で同一の濃度で試験した単一成分を含む対照配合物と比較して、糞便の評点、及びしたがって糞便の悪臭の知覚を低下させ、さらに心地よさ及び新鮮度の評点を向上させる点で優れていたことを証明する。
【0193】
本明細書を通して引用された刊行物は、その全体を参照をもって本明細書に組み込まれたものとする。本発明の種々の態様は、実施例及び好ましい態様を参照することにより前記で例示されているが、本発明の範囲は上記の説明によってではなく特許法の原理の下で適切に解釈される特許請求の範囲により評価される。