IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎エナジーシステム株式会社の特許一覧

特許7553378需要情報提供システム、需要情報提供システム用の車載器および需要情報提供プログラム
<>
  • 特許-需要情報提供システム、需要情報提供システム用の車載器および需要情報提供プログラム 図1
  • 特許-需要情報提供システム、需要情報提供システム用の車載器および需要情報提供プログラム 図2
  • 特許-需要情報提供システム、需要情報提供システム用の車載器および需要情報提供プログラム 図3
  • 特許-需要情報提供システム、需要情報提供システム用の車載器および需要情報提供プログラム 図4
  • 特許-需要情報提供システム、需要情報提供システム用の車載器および需要情報提供プログラム 図5
  • 特許-需要情報提供システム、需要情報提供システム用の車載器および需要情報提供プログラム 図6
  • 特許-需要情報提供システム、需要情報提供システム用の車載器および需要情報提供プログラム 図7
  • 特許-需要情報提供システム、需要情報提供システム用の車載器および需要情報提供プログラム 図8
  • 特許-需要情報提供システム、需要情報提供システム用の車載器および需要情報提供プログラム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】需要情報提供システム、需要情報提供システム用の車載器および需要情報提供プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
G08G1/123 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021022513
(22)【出願日】2021-02-16
(65)【公開番号】P2022124720
(43)【公開日】2022-08-26
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】杉本 伸
【審査官】佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-065396(JP,A)
【文献】特開2013-134641(JP,A)
【文献】特開2007-041897(JP,A)
【文献】特開2002-074119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定時間毎にタクシーの稼働に関する空車情報を取得する空車情報取得部と、
見込み乗客の位置情報を含む見込み乗客情報を一定時間毎に取得する見込み乗客情報取得部と、
前記タクシーが搬送業務を行う営業エリアの地図データを格納する地図データ格納部と、
前記空車情報および前記見込み乗客情報を外部装置に送信する送信部と、
前記空車情報および前記見込み乗客情報を前記地図データに重畳した需要情報を生成する需要情報生成部と、
前記タクシーに搭載され、前記需要情報を表示する表示部を有する車載器と、
前記タクシーの運行を管理し、前記外部装置である運行管理サーバと、
を備え
前記空車情報取得部、前記見込み乗客情報取得部、前記地図データ格納部及び前記送信部は、前記車載器に備えられ、
前記需要情報生成部は、前記運行管理サーバに備えられている需要情報提供システム。
【請求項2】
他のタクシーの位置情報を取得し、前記運行管理サーバに備えられたタクシー位置情報取得部をさらに備え、
前記需要情報生成部は、前記地図データに前記他のタクシーの位置情報を重畳して前記需要情報を生成する請求項1に記載の需要情報提供システム。
【請求項3】
記車載器は、前記運行管理サーバから前記需要情報を受信する受信部を備える請求項1または請求項2に記載の需要情報提供システム。
【請求項4】
前記空車情報は、前記タクシーの位置情報、進行方向の情報、前記営業エリアに関する情報の何れかを含む請求項1から請求項3の何れか1項に記載の需要情報提供システム。
【請求項5】
前記見込み乗客情報は、乗車予定時間および料金区分要求を含む請求項1から請求項4の何れか1項に記載の需要情報提供システム。
【請求項6】
需要情報提供システム用の車載器であって、
一定時間毎にタクシーの稼働に関する空車情報を取得する空車情報取得部と、
見込み乗客の位置情報を含む見込み乗客情報を一定時間毎に取得する見込み乗客情報取得部と、
前記タクシーが搬送業務を行う営業エリアの地図データを格納する地図データ格納部と、
前記空車情報および前記見込み乗客情報を外部装置に送信する送信部と、
需要情報を前記外部装置から受信する受信部と、
前記需要情報を表示する表示部と、
を備える需要情報提供システム用の車載器。
【請求項7】
タクシーに搭載された車載器と前記タクシーの運行を管理する運行管理サーバとを備える需要情報提供システムで実行され、
一定時間毎に前記タクシーの稼働に関する空車情報を取得する空車情報取得過程と、
見込み乗客の位置情報を含む見込み乗客情報を一定時間毎に取得する見込み乗客情報取得過程と、
前記タクシーが搬送業務を行う営業エリアの地図データを格納する地図データ格納過程と、
前記空車情報および前記見込み乗客情報を前記地図データに重畳した需要情報を生成する需要情報生成過程と、
前記需要情報を表示部に表示させる表示過程と、
を有し、
前記空車情報取得過程、前記見込み乗客情報取得過程、前記地図データ格納過程及び前記表示過程は、車載器で実行され、
前記需要情報生成過程は、前記運行管理サーバで実行される需要情報提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシー等の配車などに適用される需要情報提供システム、需要情報提供システム用の車載器および需要情報提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からタクシー業務について、配車などを管理する技術は種々提案されている(特許文献1)。
【0003】
ところで、タクシー等の潜在的な需要として、タクシーに乗車したい意思はあるが、タクシーが容易に見つからないなどの事情により実際には配車まで至らない場合が多々ある。
【0004】
したがって、タクシー等のタクシー業務において、潜在的な需要(見込み乗客の需要)を取り込むためには、乗客側にて乗車したいという需要条件と、タクシー側が乗車サービスを提供したいという供給条件とをマッチングさせる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-3950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来においてもタクシー等の需要予測を行うことはあったが、見込み乗客側の需要条件と、タクシー側の供給条件を効率的にマッチングさせるという技術は存在しなかった。
【0007】
特に、例えば、見込み乗客が歩きながらタクシーを探すような場合に、所謂「流し」で顧客を探している空車のタクシーと積極的にマッチングさせることが可能な情報提供システムは未だ開発されていない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、タクシー業務について見込み乗客側の需要条件と、サービス提供側の供給条件を効率的にマッチングさせることのできる需要情報提供システム、需要情報提供システム用の車載器および需要情報提供プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様に係る需要情報提供システムは、一定時間毎にタクシーの稼働に関する空車情報を取得する空車情報取得部と、見込み乗客の位置情報を含む見込み乗客情報を一定時間毎に取得する見込み乗客情報取得部と、前記タクシーが搬送業務を行う営業エリアの地図データを格納する地図データ格納部と、前記空車情報および前記見込み乗客情報を外部装置に送信する送信部と、前記空車情報および前記見込み乗客情報を前記地図データに重畳した需要情報を生成する需要情報生成部と、前記タクシーに搭載され、前記需要情報を表示する表示部を有する車載器と、を備える。
【0010】
また、他のタクシーの位置情報を取得するタクシー位置情報取得部を備え、前記需要情報生成部は、前記地図データに前記他のタクシーの位置情報を重畳して前記需要情報を生成することが好ましい。
【0011】
前記外部装置は、前記タクシーの運行を管理する運行管理サーバで構成され、前記需要情報生成部は、前記運行管理サーバが備え、前記車載器は、前記運行管理サーバから前記需要情報を受信する受信部を備えることが好ましい。
見込み乗客情報取得部は、前記見込み乗客情報について、当該見込み乗客が所持する情報端末から取得することが好ましい。
前記運行管理サーバは、前記車載器および前記情報端末に対して前記需要情報を配信する配信部を備えることが好ましい。
前記空車情報は、前記タクシーの位置情報、進行方向の情報、前記営業エリアに関する情報の何れかを含むことが好ましい。
前記見込み乗客情報は、乗車予定時間および料金区分要求を含むことが好ましい。
【0012】
本発明の態様に係る需要情報提供システム用の車載器は、一定時間毎にタクシーの稼働に関する空車情報を取得する空車情報取得部と、見込み乗客の位置情報を含む見込み乗客情報を一定時間毎に取得する見込み乗客情報取得部と、前記タクシーが搬送業務を行う営業エリアの地図データを格納する地図データ格納部と、前記空車情報および前記見込み乗客情報を外部装置に送信する送信部と、前記需要情報を前記外部装置から受信する受信部と、前記需要情報を表示する表示部と、を備える。
【0013】
本発明の態様に係る需要情報提供プログラムは、需要情報提供システムで実行され、一定時間毎にタクシーの稼働に関する空車情報を取得する空車情報取得過程と、見込み乗客の位置情報を含む見込み乗客情報を一定時間毎に取得する見込み乗客情報取得過程と、前記タクシーが搬送業務を行う営業エリアの地図データを格納する地図データ格納過程と、前記空車情報および前記見込み乗客情報を前記地図データに重畳した需要情報を生成する需要情報生成過程と、前記需要情報を表示部に表示させる表示過程と、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、タクシー業務について見込み乗客側の需要条件と、サービス提供側の供給条件を効率的にマッチングさせることのできる需要情報提供システム、需要情報提供システム用の車載器および需要情報提供プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態に係る需要情報提供システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態に係る需要情報提供システムの機能構成を示す機能ブロック図である。
図3】実施の形態に係る需要情報提供システムに適用されるタクシーメータの構成例を示すブロック図である。
図4】実施の形態に係る需要情報提供システムで実行される需要情報提供処理の処理手順の例を示すフローチャートである。
図5】実施の形態に係る需要情報提供システムのタクシーメータにおける表示例を示す説明図である。
図6】実施の形態に係る需要情報提供システムの情報端末における表示例を示す説明図である。
図7】他の実施の形態に係る需要情報提供システムの構成例を示す説明図である。
図8】他の実施の形態に係る需要情報提供システムにおける表示例を示す説明図である。
図9】実施の形態に係る需要情報提供システムのタクシーメータおよび情報端末における表示例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1から図9を参照して、本発明の実施の形態に係る需要情報提供システムS1について説明する。
【0017】
(需要情報提供システムの機能構成)
図1および図2を参照して、本実施の形態に係る需要情報提供システムS1の機能構成等について説明する。
図1および図2に示すように、需要情報提供システムS1は、タクシーVに搭載される車載器(タクシーメータ)TM1と、無線回線N1を介してタクシーメータTM1と情報の送受信を行う外部装置としての運行管理サーバSA1と、乗車の可能性がある見込み乗客A、B…等が所持して近隣を走行する空車のタクシーを探す情報端末(タブレット、スマートフォン等)TB1、TB2…とで構成される。
タクシーメータTM1は、CPU151等で構成され、一定時間毎にタクシーVの稼働に関する空車情報を取得する空車情報取得部152を備える。
また、タクシーメータTM1は、見込み乗客A、B…の位置情報を含む見込み乗客情報を一定時間毎に取得する見込み乗客情報取得部153を備える。
なお、空車情報には、タクシーVの位置情報、進行方向の情報、営業エリアに関する情報の何れかを含むようにできる。
また、見込み乗客情報には、見込み乗客A、B…等の乗車予定時間および料金区分要求を含むようにできる。
【0018】
また、タクシーメータTM1は、各種データを格納するフラッシュメモリ(不揮発性メモリ)160で構成される情報格納部161を備える。また、フラッシュメモリ160は、タクシーVが搬送業務を行う営業エリアの地図データを格納する地図データ格納部162を構成する。
【0019】
また、タクシーメータTM1は、空車情報および見込み乗客情報を、無線回線N1(4G、5G等の規格を含む)を介して運行管理サーバSA1に送信する通信部17で構成される送信部170を備える。また、通信部17は、運行管理サーバSA1で生成される需要情報を受信する受信部を構成する。
また、タクシーメータTM1は、受信した需要情報を表示するタッチパネル等で構成される表示部16を備える。
なお、タクシーメータTM1の構成例については後述する。
【0020】
一方、運行管理サーバSA1は、タクシーメータTM1から受信した空車情報および見込み乗客情報を地図データに重畳した需要情報を生成する処理部401で構成される需要情報生成部411を備える。需要情報の具体例等については後述する。
【0021】
また、運行管理サーバSA1は、他のタクシーの位置情報を取得するタクシー位置情報取得部415を備える。そして、需要情報生成部411は、地図データに他のタクシーの位置情報を重畳して需要情報を生成するようにできる。
【0022】
また、運行管理サーバSA1は、タクシーメータTM1および情報端末TB1、TB2…に対して需要情報を、無線回線N3(4G、5G等の規格を含む)を介して配信する配信部412を備える。また、各種情報を格納するハードディスク装置等で構成される格納部400を備える。
情報端末(タブレット、スマートフォン等)TB1、TB2…は、タッチパネル等で構成される表示部500を備えている。
【0023】
また、情報端末TB1、TB2…は、近隣を走行する空車のタクシーを探すための配車アプリ(配車アプリケーションソフトウェア)501がインストールされている。なお、配車アプリ501が行う処理例等については後述する。
【0024】
なお、タクシーメータTM1と、各情報端末TB1、TB2…とは、通信回線N2(4G、5G等の規格を含む)を介して各種情報の送受信を行うようになっている。
【0025】
このような構成の需要情報提供システムS1によれば、タクシー営業について見込み乗客側の需要条件と、サービス提供側の供給条件を効率的にマッチングさせることができる。
【0026】
即ち、見込み乗客A、B…のタクシーへの需要と、タクシー側の供給をマッチングさせるために、見込み乗客側から配車アプリ501を介した要求があった際に、タクシーメータTM1は、タクシーVの稼働に関する空車情報および見込み乗客A、B…の位置情報を含む見込み乗客情報を一定時間毎に取得する。
【0027】
そして、これらの情報に基づいて運行管理サーバSA1で生成され、配信される需要情報をタクシーメータTM1の表示部16および見込み乗客A、B…が所持する各情報端末TB1、TB2…の表示部500に表示する。
これにより、タクシーV側の乗務員は、乗車を期待できる見込み乗客A、B…等が営業区域内のどの辺りに居るのかなどの情報を得ることができる。
また、タクシーを探している見込み乗客A、B…等は、どの辺りに空車のタクシーVが走行しているのかなどの情報を得ることができる。
したがって、タクシーV側の乗務員が、需要情報を参照して見込み乗客A、B…の居る方面に走行したり、或いは見込み乗客A、B…が需要情報を参照して空車のタクシーが走行している方面に向かうことにより、両者が出会ってタクシーに乗車する確率を向上させることができる。
【0028】
(タクシーメータの構成例)
図3を参照して、本実施の形態に係る需要情報提供システムS1に適用される車載器としてのタクシーメータTM1の構成例について説明する。
タクシーメータTM1は、タクシーVに搭載され、例えばカーナビゲーションユニット(所謂カーナビ)機能、タクシーメータ機能等を備えている。
カーナビ機能としては、例えば車両の現在位置を検出する機能や、現在位置を含む地図の情報を出力する機能などが含まれる。
なお、後出の図7等に示すように、タクシーメータTM1に別体のカーナビ700を接続した構成とすることもできる。
【0029】
図3に示す構成例では、タクシーメータTM1の内部に、空車情報取得部152、見込み乗客情報取得部153等を構成するマイクロコンピュータ(CPU)151、演算処理の作業領域等を構成する記憶部(RAM)52を備える。
【0030】
また、演算プログラム等のソフトウェアや運賃データ等の各種データを格納する固定情報記憶部(ROM)53、タッチパネル型の表示部(LCD)16を備える。
また、入力インタフェース56、57、59、60および演算タイミング等を図るクロック信号を生成する時計IC(RTC)58を備える。
さらに、位置情報取得部を構成するGPS(Global Positioning System)受信器10を備える。
【0031】
また、各種データを書き込み可能なメモリカード64を装着可能なカードR/Wインタフェース54、空車、賃走、累計、迎車等の操作を行う操作部40a~40cを備える。
また、運行管理サーバSA1との間で空車情報、見込み乗客情報等の送受信を行う通信部17を備える。
また、報知部18を構成するスピーカ、運賃等を印刷する印字部を構成する感熱式等のプリンタ65等が設けられている。
なお、メモリカード64には、例えば、乗務員の認証に必要なデータ、タクシー車両の走行履歴、運賃履歴等の営業データや時系列データ等を保存する。
【0032】
また、マイクロコンピュータ(CPU)151には、車両から出力される走行パルスPが入力され、実走運賃に相当するメータ値を算出する。また、マイクロコンピュータ(CPU)151には、タリフ情報が入力されるようになっている。また、入力インタフェース56には、ドライブレコーダ等が接続される。
【0033】
(需要情報提供処理について)
次に、図4のフローチャートおよび図5等の説明図を参照して需要情報提供システムS1で実行される需要情報提供処理の処理手順の例などについて説明する。
なお、本処理は、例えば車載器(タクシーメータ)TM1側のCPU151等で実行され、車載器(タクシーメータ)が備えるOS(オペレーティングシステム)と所定のアプリケーションプログラム(配車アプリ等)との協働により実現することができる。但し、配車アプリ等の各種機能の一部または全部をハードウェアで実現するようにしてもよい。
【0034】
この処理が開始されると、ステップS10で、情報端末TB1、TB2…等で配車アプリが起動されたか否かが判定される。判定結果が「No」の場合には待機し、「Yes」の場合にはステップS11に移行する。
【0035】
ステップS11では、情報端末TB1、TB2…等の位置情報を取得する。即ち、各情報端末TB1、TB2…等が備えるGPS機能により得られた位置情報を無線回線N2を介してそれぞれ取得する。
【0036】
次いでステップS12では、情報端末TB1、TB2…等の位置情報に基づいて、当該位置が車両の駐車禁止等の場所である場合には、「お客様の現在位置は駐車禁止となっております。恐れ入りますが、駐車可能な位置まで移動をお願い致します。」等のメッセージを送信するなどして、見込み乗客A、B…に場所の移動を依頼してステップS13に移行する。
ステップS13では、営業区域(営業エリア)内における空車のタクシーの位置情報TX1、TX2等を表示する(図5参照)。
ステップS14では、タクシーメータTM1の表示部16に見込み乗客A、B…の位置情報P1、P2等を表示する(図5参照)。
【0037】
なお、実際には、空車のタクシーの位置情報TX1、TX2等および見込み乗客A、B…の位置情報P1、P2等は、道路情報や建物等の情報を含む地図データM1に重畳された需要情報(本実施の形態では、運行管理サーバSA1で生成される)に基づいて、例えば図5のように表示される。
図5の表示例の詳細については後述する。
【0038】
ステップS15では、タクシーメータTM1の表示部16に表示された見込み乗客A、B…の位置情報P1、P2等に基づいて、例えば見込み乗客A、B…の何れかの所へタクシーVを走行させて向かう。
【0039】
ステップS16では、見込み乗客A、B…の移動速度が一定以上になったか否かが判定される。判定結果が「No」の場合には、タクシーVの見込み乗客への走行を継続し、「Yes」の場合にはステップS17に移行する。
ステップS17では、見込み乗客A、B…の移動速度が一定以上になり、他のタクシーなどに乗ったとして配車アプリを自動的に終了して処理を終了する。
【0040】
配車アプリを自動的に終了する際には、例えば図9(a)に示すように、タクシーメータTM1の表示部16に、「見込み乗客について他の手段での移動を検出したため、表示を終了します。」などのメッセージを表示するようにできる。これにより、タクシーVの乗務員は、見込み乗客までの移動を中止して、他の客を探すように行動することができる。
また、見込み乗客A、B…の情報端末TB1、TB2…には、「移動を検知したため終了します。」などのメッセージを表示して、配車アプリを終了させるようにできる。
【0041】
(タクシーメータ等の表示例について)
図5等を参照してタクシーメータTM1等の表示例について説明する。
【0042】
図5には、需要情報に基づいて、タクシーメータTM1の表示部16に、空車のタクシーの位置情報TX1、TX2等および見込み乗客A、B…の位置情報P1、P2等が、地図データM1に重畳された状態で表示される。なお、地図データM1上には、タクシーVの位置も表示される。
【0043】
図5の表示例では、例えば道路R1上に、タクシーVが先行する状態で、他のタクシーTX1の位置が表示されている。また、道路R1に繋がる道路R2付近に見込み乗客Aの位置P1が表示されている。さらに、道路R1に繋がる道路R3には見込み乗客Bの位置P2が表示されると共に、その位置P2の近くには他のタクシーTX2の位置が表示されている。
【0044】
このような表示例において、タクシーVの乗務員は、例えば、見込み乗客Bは近傍を走行中のタクシーTX2に乗車してしまう虞が多いのに対して、近傍に他のタクシーがいない見込み乗客Aについては乗車できる可能性があると判断することができる。
そして、このような判断に基づいて、タクシーVの乗務員は見込み乗客Aの位置P1へ移動を開始することができる。
これにより、通常の流しの営業を行う場合に比して、見込み乗客の需要を取り込んで乗車できる可能性が高まり、効率的なタクシー営業を行うことができる。
一方、図6(a)、(b)には、情報端末TB1(TB2…)の表示例を示す。
まず、図6(a)の表示例では、配車アプリを起動して、例えば、半径・・Km以内のタクシーを検索する。
【0045】
そして、図6(b)の表示例では、情報端末TB1(TB2…)の現在位置P10を表示すると共に、近い順に、タクシーVおよびタクシーTX1等が表示される。
なお、図6(b)では簡略化のため省略するが、図5に表示例のように地図データ上に位置情報を重畳して表示するとよい。
これにより、情報端末TB1(TB2…)を所持する見込み乗客A(B…)は、所望のタクシーの近くまで移動するなどの行動をとることができる。
【0046】
したがって、タクシーへの乗車を希望している見込み乗客A(B…)は、普通に道路を流しているタクシーを拾う場合に比して、効率的に乗車可能なタクシーを見つけることができる。
【0047】
(他の実施の形態)
図7および図8を参照して、他の実施の形態に係る需要情報提供システムS1a、S1bについて説明する。
図7に示す他の実施の形態に係る需要情報提供システムS1aでは、タクシーVに搭載されるタクシーメータTM1に、外付けのカーナビ(カーナビゲーションシステム)700が接続され、連動して動作する構成となっている。
【0048】
需要情報提供システムS1aでは、見込み乗客A、B…が所持する各情報端末TB1、TB2…との間の各種情報(見込み乗客A、B…の位置情報等を含む)の送受信は、カーナビ700を介して行うようにできる。
【0049】
そして、各情報端末TB1、TB2…は、配車アプリが起動している状態において、一定時間毎に見込み乗客A、B…の現在位置の情報をカーナビ700側に送信する。但し、見込み乗客A、B…の移動速度が、例えば時速10km以上となった場合には、他のタクシーに乗車するなどしたと判断して、現在位置の情報を送信しないように処理することができる。
【0050】
また、カーナビ700側は、配車アプリが起動している状態において、タクシーVの現在地情報を各情報端末TB1、TB2…に対して送信するようにできる。但し、タクシーVが、見込み乗客A、B…の設定した距離内において空車である場合に限定するようにできる。
【0051】
これにより、需要情報提供システムS1aは、見込み乗客A、B…側の需要条件と、サービス提供側であるタクシーVの供給条件を効率的にマッチングさせることができ、タクシー営業の効率化や、乗客側の利便性を向上させることができる。
【0052】
また、図8に示す他の実施の形態に係る需要情報提供システムS1bでは、タクシーメータTM1に外付けされたカーナビ(カーナビゲーションシステム)700が乗客探しモードを有している。
カーナビ700の乗客探しモードは、例えば、前出の図5に示すタクシーメータTM1における位置情報等の表示をカーナビ700側で行うものである。
【0053】
即ち、タクシーVの現在地情報、他のタクシーTX1、TX2の位置情報および顧客(見込み乗客A、B…)の位置情報を地図データ上に重畳して、カーナビ700の画面に表示することができる。
【0054】
これにより、タクシーVの乗務員は、カーナビ700に表示された情報を参考にして、見込み乗客A、B…の所へ向かうなどすることができ、通常の流しの営業を行う場合に比して、見込み乗客の需要を取り込んで乗車できる可能性が高まり、効率的なタクシー営業を行うことができる。
また、顧客側の立場では、迎車料金が発生せず、タクシーV等に流しで発見してもらえる可能性が向上し、利便性を高めることができる。
【0055】
以上、本発明の需要情報提供システムS1を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【符号の説明】
【0056】
S1、S1a、S1b 需要情報提供システム
SA1 運行管理サーバ
V タクシー
TB1、TB2・・・ 情報端末(配車タブレット)
TM1 車載器(タクシーメータ)
152 空車情報取得部
153 見込み乗客情報取得部
162 地図データ格納部
411 需要情報生成部
501 配車アプリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9