特許 7553398 窓

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-09-09

(45)【発行日】2024-09-18

(54)【発明の名称】窓

(51)【国際特許分類】

   E06B 1/12 20060101AFI20240910BHJP

   E06B 1/36 20060101ALI20240910BHJP

【ＦＩ】

E06B1/12 A

E06B1/36 Z

【請求項の数】 1

(21)【出願番号】P 2021068734

(22)【出願日】2021-04-14

(65)【公開番号】P2022163653

(43)【公開日】2022-10-26

【審査請求日】2023-10-25

(73)【特許権者】

【識別番号】000175560

【氏名又は名称】三協立山株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100184066

【弁理士】

【氏名又は名称】宮崎 恭

(72)【発明者】

【氏名】高橋 政則

(72)【発明者】

【氏名】永田 孫史

【審査官】砂川 充

(56)【参考文献】

【文献】特開２０２０－９０８１５（ＪＰ，Ａ）

【文献】実公昭６３－１３３４５（ＪＰ，Ｙ２）

【文献】実公昭５３－２９４１９（ＪＰ，Ｙ２）

【文献】特開２０１９－２１４９２７（ＪＰ，Ａ）

【文献】実開平１－１１２２８９（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開２０１６－２０４８７０（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｅ０６Ｂ １／００－１／７０

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

左右の縦枠と、縦枠を連結する連結材を備え、
連結材は、中空形状の連結材本体と、連結材本体の室内側見付壁及び室外側見付壁にそれぞれ固定される一組の平板状の枠連結材を備えており、
左右の縦枠は、室内側及び室外側においてそれぞれ前記枠連結材を介して連結材本体に連結されている窓。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、建物開口部に配置される窓に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、例えば、窓を左右に連結してなる連窓が知られている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】特開２０２０－１３３３０７号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

連窓は、連結材で連結する際に、連結材部分の見付け寸法が大きくなるという課題があった。

【0005】

本発明は、連窓の窓の連結部分の見付寸法を小さくして開口面積を大きくとることを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

一実施形態の窓は、左右の縦枠と、縦枠を連結する連結材を備え、連結材は、中空形状の連結材本体と、連結材本体の室内側見付壁及び室外側見付壁にそれぞれ固定される一組の平板状の枠連結材を備えており、左右の縦枠は、室内側及び室外側においてそれぞれ前記枠連結材を介して連結材本体に連結されている窓である。

【発明の効果】

【0007】

本実施形態によれば、連窓の窓の連結部分の見付寸法を小さくして開口面積を大きくとることができる。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】一実施形態の連窓を室内側から見た模式図である。

【図2】一実施形態の連窓を構成する窓の縦断面図である。

【図3】一実施形態の連窓を形成する窓の横断面図である。

【図4】一実施形態の連窓の左右の窓の連結部分の横断面図であり、（ａ）は連結部分の全体図であり、（ｂ）は連結材及び縦枠の図である。

【図5】一実施形態の連窓の連結部分を示す縦断面図である。

【図6】他の実施形態の連窓の左右の窓の連結部分の横断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0009】

一実施形態の窓について、片引き窓が左右に並べられて配置され、連結材によって連結されてなる連窓の例を用いて、図面を参考にして説明する。
－全体の構成－
本実施形態の連窓１は、図１に示すように、左右に配置される窓２，３が連結材（図示はされていない）によって左右方向に連結されて形成されている。

【0010】

連窓１を形成する左右の窓２，３は、ほぼ同様の構成をしており、枠材を四周に組んでなる枠体２１，３１の内周で左右方向一方側にＦＩＸ窓２２，３２が形成され、左右方向他方側に形成される開口部を開閉する障子２３，３３が配置されてなる片引き窓である。
本実施形態の連窓１を形成する左右の窓２，３について、連窓１の左側に位置する窓２を用いて、さらに説明する。

【0011】

－窓の枠体―
本実施形態の窓２の枠体２１は、図２，３に示すように、上枠２１１，下枠２１２及び左、右縦枠２１３，２１４を四周に組んで形成されており、枠体２１の見付け方向右側（窓２，３が連結される側）の室内側にＦＩＸ窓２２が形成されている。

【0012】

枠体２１を構成する上枠２１１は、開口部の内周面に配置される見込壁部２１１ａと、見込壁部２１１ａの室内側内周面に設けられる中空部２１１ｂを有しており、中空部２１１ｂの下方にＦＩＸ窓部が設けられ、中空部２１１ｂの室外側に開閉窓部が設けられている。

【0013】

上枠２１１のＦＩＸ窓部は、中空部２１１ｂの室内側壁が下方に延びて形成され複層ガラス等のパネル体２２５の上辺室内側を保持する室内側壁２１１ｃと、中空部２１１ｂの室外側下方から下方に伸びる垂下壁２１１ｄと、垂下壁２１１ｄの下端に取付けられパネル体２２５の上辺室外側を保持する押縁２１１ｅを有している。
室内側壁２１１ｃは、下端室外側にバックアップ材Ｂ及びシール材Ｓを保持するシール材保持部２１１ｈを有しており、室内側壁２１１ｃと押縁２１１ｅによってパネル間口２１１ｇが形成されている。

【0014】

上枠２１１の開閉窓部は、見込壁部２１１ａの下面から下方に延設される上レール２１１ｆを有しており、中空部２１１ｂの室外側面に障子２３の上框２３１に当接する気密材ｓ１が配置されている。

【0015】

枠体２１を構成する下枠２１２は、開口部の内周面に配置される見込壁部２１２ａと、見込壁部２１１ａの室内側内周面に設けられる中空部２１２ｂと、中空部２１２ｂの上壁が室外側に延設されてなる室内側見込壁２１２ｃを有しており、中空部２１２ｂと室内側見込壁２１２ｃの上方にＦＩＸ窓部が形成され、室内側見込壁２１２ｃの室外側に開閉窓部が形成されている。

【0016】

下枠２１２のＦＩＸ窓部は、中空部２１２ｂの室内側壁が内周方向に延設して形成され複層ガラス等のパネル体２２５の下辺室内側を保持する室内側間口壁２１２ｄと、室内側見込壁２１２ｃの上面に取付けられパネル体２２５の下辺室外側を保持する押縁２１２ｅを有しており、室内側間口壁２１２ｄと押縁２１２ｅによってパネル間口２１２ｇが形成されている。

【0017】

下枠２１２の開閉窓部は、見込壁部２１２ａの室外側上面から上方に延設される下レール２１２ｆを有しており、室内側見込壁２１２ｃの室外側に障子２３の下框２３２に当接する気密材ｓ２が配置されている。

【0018】

枠体２１を構成する左縦枠２１３は、躯体の内周面に配置される見込壁部２１３ａと、見込壁部２１３ａの室内側内周面に設けられる中空部２１３ｂと、中空部２１３ｂの室内側壁が内周方向に延設されてなる室内側見付壁２１３ｃを有しており、中空部２１３ｂの室外側に開閉窓部が設けられている。

【0019】

左縦枠２１３の開閉窓部は、見込壁部２１３ａの室外側内周面から内周方向に延設される引寄せ片２１３ｄを有しており、中空部２１３ｂの室外側面に障子２３の左縦框２３３に当接する気密材ｓ３が配置されている。

【0020】

枠体２１を構成する右縦枠２１４は、躯体の内周面に配置される見込壁部２１４ａを有し、見込壁部２１４ａの室内側内周側にＦＩＸ窓部が形成され、見込壁部２１４ａの室外側内周に開閉窓部が形成されている。

【0021】

右縦枠２１４のＦＩＸ窓部は、見込壁部２１４ａの室内側端から内周方向に延設して形成されパネル体２２５の右辺室内側を保持する室内側間口壁２１４ｂと、見込壁部２１４ａの見込方向略中央の内周面に取付けられパネル体２２５の右辺室外側を保持する押縁２１４ｃを有しており、室内側間口壁２１４ｂと押縁２１４ｃによってパネル間口２１４ｇが形成されている。

【0022】

－ＦＩＸ窓―
本実施形態の窓２のＦＩＸ窓２２は、枠体２１の上枠２１１のＦＩＸ窓部と、下枠２１２のＦＩＸ窓部と、右縦枠２１４のＦＩＸ窓部と、上枠２１１と下枠２１２との間に配置される縦骨２２３を枠体として、枠体の内周にパネル体２２５が配置されて形成されている。

【0023】

縦骨２２３は、図３に示すように、中空部２２３ａを有する本体部と、中空部２２３ａの室内側壁が内周方向に延設して形成されパネル体２２５の左辺室内側を保持する室内側間口壁２２３ｂと、中空部２２３ａの室外側内周面に取付けられパネル体２２５の左辺室外側を保持する押縁２２３ｃを有しており、室内側間口壁２２３ｂと押縁２２３ｃによってパネル間口２２３ｇが形成されている。

【0024】

縦骨２２３は、パネル間口２２３ｇに断面略Ｌ字形の補強部材７２が配置され、中空部２２３ａの内部にスチール等の補強部材７１が配置されており、両補強部材７１，７２が中空部２２３ａの内周側の壁を挟んでビス等によって連結されている。
縦骨２２３は、室外側面に煙返し片２２３ｄ及び気密材ｓ４が設けられており、外周面にクレセント錠６１が取付けられている。

【0025】

そして、上枠２１１、下枠２１２、右縦枠２１４及び縦骨２２３に形成されるパネル間口にバックアップ材及びシール材を介して、複層ガラス等のパネル体２２５が保持されて、ＦＩＸ窓２２が形成されている。

【0026】

－障子―
本実施形態の窓２の障子２３は、図２，３に示すように、上框２３１と、下框２３２と、左、右縦框２３３，２３４を四周に組んでなる框体の内周にパネル体２３５が配置されて形成されている。

【0027】

障子２３を構成する上框２３１は、上枠２１１の上レール２１１ｆに案内される案内部２３１ａを有する本体部と、案内部２３１ａの内周側に形成されるパネル間口２３１ｇを有している。

【0028】

障子２３を構成する下框２３２は、下枠２１２の下レール２１２ｆに案内される案内部２３２ａを有する本体部と、案内部２３２ａの内周側に形成されるパネル間口２３２ｇを有しており、案内部２３２ａの内部に戸車９１が配置されているとともに、外れ止め部材９２が取付けられている。

【0029】

障子２３を構成する左縦框２３３は、中空部２３３ａと外周側に開口する戸先部２３３ｂを有する本体部と、中空部２３３ａの内周側に形成されるパネル間口２３３ｇを有しており、戸先部２３３ｂに障子２３の閉鎖時に左縦框２３３を室内側に引き寄せる引寄せ部材９３が配置されているとともに、左縦枠２１３に当接する気密材ｓ５が配置されている。

【0030】

本実施形態の左縦框２３３は、パネル間口２３３ｇの室内側面に網戸枠２６４が一体的に形成されており、左縦枠２１３の中空部２１３ｂと網戸枠２６４との間に折り畳み式の網戸２６０が配置され、障子２３を開放する際に生じる開口を網戸２６０によって覆うように構成されている。

【0031】

障子２３を構成する右縦框２３４は、中空部２３４ａを有する本体部と、中空部２３４ａの内周側に形成されるパネル間口２３４ｇを有している。
右縦框２３４は、パネル間口２３４ｇに断面略Ｕ字形の補強部材７４が配置され、中空部２３４ａの内部にスチール等の補強部材７３が配置されており、両補強部材７３，７４が中空部２３４ａの内周側の壁を挟んでビス等によって連結されている。
右縦框２３４は、室内側面に煙返し片２３４ｅ及びＦＩＸ窓２２のパネル体２２５に近接する気密材ｓ６が設けられており、室内側面にクレセント受６２が取付けられている。

【0032】

そして、上框２３１、下框２３２、左縦框２３３及び右縦框２３４に形成されたパネル間口にバックアップ材及びシール材を介して、複層ガラス等のパネル体２３５が保持されて、障子２３が形成されている。

【0033】

－左右の窓の連結構造－
本実施形態の連窓１は、以上で説明した左右に配置される窓２，３の縦枠同士が、連結材によって連結されて形成されている。
以下、左右に配置される片引き窓２，３の連結構造について、図面を参考に、さらに説明する。

【0034】

左右に配置される窓２，３を連結する連結材４は、図４（ａ）（ｂ）に示すように、中空形状の連結材本体４１と、連結材本体４１の室内側に固定される室内側枠連結材４２と、連結材本体４１の室外側に固定される室外側枠連結材４３を有している。

【0035】

連結材本体４１は、スチール等の金属材料からなり、断面略Ｕ字状の曲げ材４１１，４１２の開口側同士を合わせ、溶接等によって接合して形成されており、室内側見付壁４１ａ、室外側見付壁４１ｂ及び左右の見込壁４１ｃ，４１ｄを有する断面略中空矩形の長尺部材である。

【0036】

連結材本体４１は、左右の見込壁４１ｃ，４１ｄの上端近傍及び下端近傍にビス孔が形成されており、図５に示すように、躯体開口部Ａの上下面に固定される上下のアンカー部材５１，５２にビスによって固定されている。なお、アンカー部材５１，５２に形成されるビス孔は、長孔として形成されており、火災時などに連結材４が熱伸びした場合にビスによる連結部がずれて伸びを吸収することができる。

【0037】

室内側枠連結材４２は、スチール等の金属材料からなり、連結材本体４１の見付け幅寸法よりも大きな幅を有する平板状の長尺部材であり、連結材本体４１の室内側見付壁４１ａに沿って配置され、ビスｂ１により固定されている。

【0038】

連結材本体４１の室内側見付壁４１ａに固定された室内側枠連結材４２は、左右両端が連結材本体４１の室内側見付壁４１ａよりも左右に突出している。

【0039】

室外側枠連結材４３は、スチール等の金属材料からなり、連結材本体４１の見付け幅寸法よりも大きな幅を有する平板状の長尺部材であり、連結材本体４１の室外側見付壁４１ｂに沿って配置され、ビスｂ１により固定されている。

【0040】

連結材本体４１の室外側見付壁４１ｂに固定された室外側枠連結材４３は、左右両端が連結材本体４１の室外側見付壁４１ｂよりも左右に突出している。

【0041】

左に配置される窓２の右縦枠２１４及び右に配置される窓３の左縦枠３１３は、見込壁部２１４ａ，３１３ａの室内側端から外周側に延びたのち室外側に屈曲して形成される室内側取付片２１４ｈ，３１３ｈと、見込壁部２１４ａ，３１３ａの外周面から外周方向に延びる室外側取付片２１４ｉ，３１３ｉと、見込壁部２１４ａ，３１３ａの外周面で室内側取付片２１４ｈ，３１３ｈと室外側取付片２１４ｉ，３１３ｉとの間から外周方向に延び見込み面を有する位置決め片２１４ｊ，３１３ｊを有している。

【0042】

右縦枠２１４及び左縦枠３１３は、位置決め片２１４ｊ，３１３ｊの見込み面が連結材本体４１の左右の見込壁４１ｃ，４１ｄに当接した状態で室内側枠連結材４２及び室外側枠連結材４３を介して連結材本体４１に連結されている。

【0043】

具体的には、右縦枠２１４及び左縦枠３１３は、室内側枠連結材４２の連結材本体４１の室内側見付壁４１ａから左右に突出した部分に、室内側取付片２１４ｈ，３１３ｈが室外側から当接されており、室内側枠連結材４２と室内側取付片２１４ｈ，３１３ｈが屋内側からビスｂ２によって固定されている。

【0044】

また、右縦枠２１４及び左縦枠３１３は、室外側枠連結材４３の連結材本体４１の室外側見付壁４１ｂから左右に突出した部分に、室外側取付片２１４ｉ，３１３ｉが室外側から当接されており、室外側枠連結材４３と室外側取付片２１４ｉ，３１３ｉが屋外側からビスｂ３によって固定されている。

【0045】

左右の窓２，３が連結されてなる連窓１は、左右の窓２，３の連結部の室内側に耐火部材８が取付けられている。
耐火部材８は、耐火部材保持材８１と、耐火部材本体８２と、カバー部材８３を有している。

【0046】

耐火部材保持材８１は、アルミ等の金属材料からなり、見付壁部８１ａと、見付壁部８１ａの左右両端が室内側に延びて形成される左右の見込壁部８１ｂ，８１ｂを有しており、見付壁部８１ａがビスｂ４によって連結材４の室内側にビス止めされている。

【0047】

耐火部材本体８２は、耐火性の材料からなる断面略矩形の柱状の部材であり、耐火部材保持材８１の見付壁部８１ａの室内側に配置され、耐火部材保持材８１とともに連結材４に対してビスｂ５によって取付けられている。

【0048】

カバー部材８３は、アルミ等の金属材料からなり、見付壁部８３ａと、見付壁部８３ａの左右両端から室外側に延びる左右の見込壁部８３ｂ，８３ｂを有している。
カバー部材８３は、耐火部材本体８２の室内側面及び左右側面を覆うように配置されており、左右の見込壁部８３ｂ，８３ｂが耐火部材保持材８１の左右の見込壁部８１ｂ，８１ｂに係止されて取付けられている。

【0049】

連窓１は、連結材４によって連結された右縦枠２１４及び左縦枠３１３の間であって、室外側取付片２１４ｉ，３１３ｉと室外側枠連結材４３との連結位置よりも室外側において、バックアップ材Ｂが配置されており、シール材Ｓが充填されている。

【0050】

また、連窓１は、躯体開口部Ａと左右の窓２，３の上枠２１１，３１１、下枠２１２，３１２との間にクッション材Ｃが配置されており、躯体開口部Ａと耐火部材８との間には、樹脂等からなる塞ぎ材Ｈが適宜配置されている。

【0051】

－本実施形態の窓の効果－
以上のように、本実施形態の連窓は、左右には位置される窓２，３の縦枠を連結する連結材４が、断面略中空矩形状の連結材本体４１と、連結材本体４１の室内側見付壁及び室外側見付壁に固定される平板状の枠連結材によって構成されているので、構成がシンプルで施工性に優れている。

【0052】

また、連結材４は、枠連結材が連結材本体４１の見込壁に固定されずに、連結材本体４１の見付壁に固定されており、左右の窓の縦枠を連結材に固定するための取付片が枠連結材に対して室外側から当接し室内外方向のビスによって固定されているので、連結材４による取付のための見付け幅を小さくすることができ、窓の開口面積を広くとることができる。

【0053】

さらに、本実施形態の連窓は、左右の窓の連結部分の室内側に耐火部材を配置する場合には、比較的幅寸法の小さい耐火部材によって見付け幅の小さい連結部分を十分に覆うことができ、防火性能を向上させることができる。

【0054】

－他の実施形態－
連窓は、図６に示すように、左右で異なる窓種が配置されていてもよい。
すなわち、連窓は、左右に配置される窓の縦枠の外周面に、同様の室内側取付片と、室外側取付片と、位置決め片が設けられていれば、左右の窓の種類は限定されない。
以上の実施形態は，請求項に記載された発明を限定するものではなく，例示として取り扱われることはいうまでもない。

【符号の説明】

【0055】

２ ：窓
２１４ ：右縦枠
２１４ｈ ：室内側取付片
２１４ｉ ：室外側取付片
２１４ｊ ：位置決め片
３ ：窓
３１３ ：左縦枠
３１３ｈ ：室内側取付片
３１３ｉ ：室外側取付片
３１３ｊ ：位置決め片
４ ：連結材
４１ ：連結材本体
４１ａ ：室内側見付壁
４１ｂ ：室外側見付壁
４１ｃ ：見込壁
４１ｄ ：見込壁
４２ ：室内側枠連結材
４３ ：室外側枠連結材

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】