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特許7553415認証方法、認証システム、及び認証サーバ
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  • 特許-認証方法、認証システム、及び認証サーバ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】認証方法、認証システム、及び認証サーバ
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240910BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021151456
(22)【出願日】2021-09-16
(65)【公開番号】P2023043697
(43)【公開日】2023-03-29
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】521042770
【氏名又は名称】ウーブン・バイ・トヨタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山岡 正明
(72)【発明者】
【氏名】舛田 靖智
(72)【発明者】
【氏名】奥山 紘子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴博
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 英男
【審査官】青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-084960(JP,A)
【文献】特開2020-038443(JP,A)
【文献】特開2013-250936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービスの提供を受けようとする顧客の認証と前記顧客を担当する係員の認証とを、前記顧客が有する顧客端末及び前記係員が有する係員端末と通信するサーバを用いて行う認証方法であって、
前記顧客端末からトリガー信号を受信することと、
前記顧客端末からの前記トリガー信号の受信を受けて、前記顧客端末に表示させる前記係員への提示用の第1識別情報を前記顧客端末に送信することと
記係員端末に入力された第2識別情報を前記係員端末から受信することと、
前記係員端末から受信した前記第2識別情報と前記顧客端末に送信した前記第1識別情報とを照合して、前記第1識別情報と前記第2識別情報とが一致するか確認することと、
前記第1識別情報と前記第2識別情報とが一致することを受けて、認証通知を前記顧客端末と前記係員端末とに送信することと、を前記サーバに実行させる
ことを特徴とする認証方法。
【請求項2】
請求項に記載の認証方法において、
前記係員端末に送信される前記認証通知は前記顧客により事前登録された前記サービスの予約情報を含む
ことを特徴とする認証方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の認証方法において、
前記サービスは前記顧客から預けられる車両の管理を伴うサービスであり、
前記係員は前記サービスを提供する際に前記車両を扱う係員である
ことを特徴とする認証方法。
【請求項4】
請求項に記載の認証方法において、
前記サービスはバレーパーキングサービスである
ことを特徴とする認証方法。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の認証方法において、
前記第1識別情報は、ランダムに決定される複数の文字、数字、及びそれらの組合せであり、
前記第2識別情報は、任意に入力可能な複数の文字、数字、及びそれらの組合せである
ことを特徴とする認証方法。
【請求項6】
サービスの提供を受けようとする顧客の認証と前記顧客を担当する係員の認証とを行う認証サーバであって、
少なくとも1つのプログラムを記憶した少なくとも1つのメモリと、
前記少なくも1つのメモリに結合された少なくとも1つのプロセッサと、を備え、
前記少なくとも1つのプログラムは、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記顧客が有する顧客端末からトリガー信号を受信することと、
前記トリガー信号に応答して前記顧客端末に前記係員への提示用の第1識別情報を送信することと、
前記係員が有する係員端末から第2識別情報を受信することと、
前記係員端末から受信した前記第2識別情報と前記顧客端末に送信した前記第1識別情報とを照合して、前記第1識別情報と前記第2識別情報とが一致するか確認することと、
前記第1識別情報と前記第2識別情報とが一致することを受けて、認証通知を前記顧客端末と前記係員端末とに送信することと、を実行させるように構成された
ことを特徴とする認証サーバ。
【請求項7】
サービスの提供を受けようとする顧客の認証と前記顧客を担当する係員の認証とをコンピュータに実行させる認証プログラムであって、
前記顧客が有する顧客端末からトリガー信号を受信することと、
前記トリガー信号に応答して前記顧客端末に前記係員への提示用の第1識別情報を送信することと、
前記係員が有する係員端末から第2識別情報を受信することと、
前記係員端末から受信した前記第2識別情報と前記顧客端末に送信した前記第1識別情報とを照合して、前記第1識別情報と前記第2識別情報とが一致するか確認することと、
前記第1識別情報と前記第2識別情報とが一致することを受けて、認証通知を前記顧客端末と前記係員端末とに送信することと、を前記コンピュータに実行させるように構成された
ことを特徴とする認証プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、認証方法、認証システム、及び認証サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には自動運転車両の自動バレーパーキングに係る技術の一例が開示されている。特許文献1に開示された技術では、入庫を予約したユーザ向けに認証コードを送信し、駐車場内で認証コードを用いたチェックインが行われた場合、自動運転車両に対して自動バレーパーキングの指示が開始される。その際、予約対象車両の位置と現在時刻及び入庫予定時刻の関係を考慮することによって、認証コードの送信に関するセキュリティを向上させている。
【0003】
ところで、バレーパーキングは特許文献1に開示されたような自動バレーパーキングだけではない。顧客から預けられた車を係員が入庫・出庫させる人手によるバレーパーキングも普及している。本明細書では、単にバレーパーキングという場合、それは人手によるバレーパーキングを意味するものとする。バレーパーキングでは、入庫時には顧客から乗降場所で待機している係員に車が預けられ、出庫時には顧客からの求めに応じて係員から顧客に車が返される。
【0004】
しかし、入庫の際、顧客が車を預けようとしている係員が必ずしも真正な係員であるとは限らない。また、出庫の際、係員が車を返そうとしている顧客が必ずしも真正な顧客であるとは限らない。相手が真正かどうかの確認の問題は、バレーパーキングだけではなく、サービスを受けようとする顧客と顧客を担当する係員との間において広く生じ得る問題でもある。
【0005】
なお、本開示の技術分野における出願時の技術レベルを示す文献としては、特許文献1の他にも下記の特許文献2及び3を例示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2021-064117号公報
【文献】特開2007-133522号公報
【文献】特開2018-041381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は上述のような課題に鑑みてなされたものである。本開示はサービスの提供を受けようとする顧客と顧客を担当する係員との間でお互いが真正であるかどうかを確認することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は認証方法を提供する。本開示の認証方法はサービスの提供を受けようとする顧客の認証と顧客を担当する係員の認証とを、顧客が有する顧客端末及び係員が有する係員端末と通信するサーバを用いて行う方法である。
【0009】
本開示の認証方法は以下のステップを含む。第1のステップは顧客端末からサーバにトリガー信号を送信することである。第2のステップは顧客端末からのトリガー信号の送信を受けて、サーバから顧客端末に第1識別情報を送信することである。第3のステップはサーバから送信された第1識別情報を顧客端末に表示することである。第4のステップは係員端末への第2識別情報の入力を受け付けることである。第5のステップは係員端末に入力された第2識別情報を係員端末からサーバに送信することである。第6のステップは係員端末から送信された第2識別情報と顧客端末に送信された第1識別情報とを照合することである。そして、第7のステップは第1識別情報と第2識別情報とが一致することを受けて、認証通知をサーバから顧客端末と係員端末とに送信することである。
【0010】
本開示の認証方法によれば、顧客端末に表示される第1識別情報と同じ情報が第2識別情報として係員端末に入力されれば、顧客と係員の双方に認証通知が送信される。ゆえに、サービスの提供を受けようとする顧客は、その顧客を担当しようとする係員が真正な係員かどうか認証通知によって確認することができる。また、サービスの提供を頼まれた係員は、その係員が担当しようとしている顧客が真正な顧客かどうか認証通知によって確認することができる。
【0011】
本開示の認証方法において、係員端末はサーバに係員としてアクセスする権利を付与された登録端末であってもよい。これによれば、第3者が顧客の第1識別情報を不正に入手したとしても、それを用いてサーバにアクセスすることは防止される。
【0012】
本開示の認証方法において、係員端末に送信される認証通知は顧客により事前登録されたサービスの予約情報を含んでもよい。これによれば、顧客の予約情報が認証通知とともに自動的に送信されてくるので、予約情報にアクセスする上での係員の負担を低減することができる。
【0013】
また、本開示の認証方法において、サービスは顧客から預けられる車両の一時保管を伴うサービスであり、係員はサービスを提供する際に車両を扱う係員であってもよい。そして、そのサービスはバレーパーキングサービスであってもよい。
【0014】
また、本開示の認証方法において、第1識別情報はランダムに決定される複数の文字、数字、及びそれらの組合せであってもよい。第2識別情報は任意に入力可能な複数の文字、数字、及びそれらの組合せであってもよい。複数の文字、数字、及びそれらの組合せを識別情報として用いることで、顧客端末の表示の見間違いや係員端末への入力の間違いを低減することができる。
【0015】
本開示は認証サーバを提供する。本開示の認証サーバはサービスの提供を受けようとする顧客の認証と顧客を担当する係員の認証とを行うサーバである。本開示の認証サーバは少なくとも1つのプログラムを記憶した少なくとも1つのメモリと、上記少なくも1つのメモリに結合された少なくとも1つのプロセッサと、を備える。
【0016】
本開示の認証サーバが備える上記少なくとも1つのプログラムは上記少なくとも1つのプロセッサに以下の処理を実行させるように構成されている。第1の処理は顧客が有する顧客端末からトリガー信号を受信することである。第2の処理はトリガー信号に応答して顧客端末に第1識別情報を送信することである。第3の処理は係員が有する係員端末から第2識別情報を受信することである。第4の処理は係員端末から受信した第2識別情報と顧客端末に送信した第1識別情報とを照合することである。そして、第5の処理は第1識別情報と第2識別情報とが一致することを受けて、認証通知を顧客端末と係員端末とに送信することである。
【0017】
さらに、本開示は認証プログラムを提供する。本開示の認証プログラムはサービスの提供を受けようとする顧客の認証と顧客を担当する係員の認証とをコンピュータに実行させるプログラムである。本開示の認証プログラムはコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよいし、ネットワーク経由で提供されてもよい。
【0018】
本開示の認証プログラムは以下の処理をコンピュータに実行させるように構成されている。第1の処理は顧客が有する顧客端末からトリガー信号を受信することである。第2の処理はトリガー信号に応答して顧客端末に第1識別情報を送信することである。第3の処理は係員端末から第2識別情報を受信することである。第4の処理は係員が有する係員端末から受信した第2識別情報と顧客端末に送信した第1識別情報とを照合することである。そして、第5の処理は第1識別情報と第2識別情報とが一致することを受けて、認証通知を顧客端末と係員端末とに送信することである。
【0019】
上述の本開示の認証サーバ、及び本開示の認証プログラムによれば、サービスの提供を受けようとする顧客はその顧客を担当しようとする係員が真正な係員かどうか認証通知によって確認することができる。また、サービスの提供を頼まれた係員はその係員が担当しようとしている顧客が真正な顧客かどうか認証通知によって確認することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本開示の技術によれば、サービスの提供を受けようとする顧客と顧客を担当する係員との間でお互いが真正であるかどうかを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】バレーパーキングサービスに適用された本開示の実施形態に係る認証システムの概要を説明する図である。
図2】本開示の実施形態においてバレーパーキングによる車両の入庫時に実施される認証方法の手順を示すフローチャートである。
図3】本開示の実施形態においてバレーパーキングによる車両の出庫時に実施される認証方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。ただし、以下に示す実施形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、本開示に係る思想が限定されるものではない。また、以下に示す実施形態において説明する構造等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、本開示に係る思想に必ずしも必須のものではない。
【0023】
1.認証システムの概要
本実施形態に係る認証システムの概要は図1を用いて説明される。本実施形態に係る認証システム2は空港のバレーパーキングサービスに適用される。
【0024】
空港のバレーパーキングサービスでは、空港ターミナルビル(空港TB)60の前の降車場において顧客30から係員40に車両52が預けられる。また、空港TB60の前の乗車場において係員40から顧客30に車両54が返される。顧客30はバレーパーキングサービスの提供を受ける者である。典型的には、空港の利用者が顧客30となり得る。係員40はバレーパーキングサービスの提供のために顧客30を担当する者である。降車場において顧客30から係員40に預けられた車両52は、係員40によって或いは係員40とは別の担当者によって駐車場50に入庫される。また、乗車場において係員40から顧客30に返される車両54は、係員40によって或いは係員40とは別の担当者によって駐車場50から出庫される。
【0025】
バレーパーキングサービスの入庫時には、顧客30は乗降場にいる係員40を探して係員40に車両52を預ける。しかし、乗降場にいる人は係員40だけとは限らない。顧客30にとっては、係員40でない人物に車両52を預けてしまうことは避けなければならない。ゆえに、車両52を預けようとしている人物が真正な係員40かどうかは、顧客30にとって重要な関心事である。
【0026】
一方、バレーパーキングサービスの出庫時には、降車場にいる係員40は顧客30からの要請を受けて車両54を顧客30に返却する。このとき、係員40にとっては、顧客30でない人物に車両54を返却してしまうことは避けなければならない。ゆえに、車両54の返却を要請してきた人物が本当に車両54を返却していい人物なのか、すなわち、真正な顧客30なのかは、係員40にとって重要な関心事である。
【0027】
認証システム2は顧客30と係員40のそれぞれがお互いに真正であるかどうか確認できるようにするシステムである。認証システム2はインターネット上の認証サーバ10を備える。認証サーバ10に顧客30が有する顧客端末32と係員40が有する係員端末42とが接続されることによって認証システム2が構成される。
【0028】
認証サーバ10は少なくとも1つのプロセッサ12とプロセッサ12に結合された少なくとも1つのメモリ14とを備えている。メモリ14には、プロセッサ12で実行可能な少なくとも1つのプログラム20と種々のデータとが記憶されている。メモリ14は主記憶装置と補助記憶装置とを含む。プログラム20及びデータは、主記憶装置に記憶されることもできるし、補助記憶装置を含むコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されることもできる。
【0029】
プログラム20は認証プログラムを含む。認証プログラムは認証サーバ10に本実施形態に係る認証方法を実施させるインストラクションを含む。認証プログラムがプロセッサ12により実行されることで、認証サーバ10による顧客30及び係員40の認証が実行される。認証サーバ10による本実施形態に係る認証方法の手順については後述する。
【0030】
メモリ14に記憶されたデータはデータベースによって管理されるものを含む。データベースは以下に説明するパスコードデータベース22、予約情報データベース24、及び保管車両情報データベース26を含む。
【0031】
パスコードデータベース22は、パスコードを管理するデータベースである。パスコードは顧客30と係員40との間で行う認証のための識別情報である。パスコードは典型的には複数の数字からなるPINである。ただし、複数の文字、或いは数字と文字の組合せからなるパスワードや、QRコード(登録商標)を含む電子コードがパスコードとして用いられてもよい。
【0032】
予約情報データベース24は、バレーパーキングサービスの予約情報を管理するデータベースである。予約情報は顧客30がバレーパーキングサービスを便利に利用するための情報である。予約情報は顧客ID、車両を預ける時刻、車両の返却時刻、車両を預ける場所、車両の返却場所、希望サービスなどの情報を含む。ただし、バレーパーキングサービスの利用にあたって予約は必ずしも必要ではない。ゆえに、予約情報が予約情報データベース24によって管理されるのは予約が行われた場合に限定される。
【0033】
保管車両情報データベース26は、バレーパーキングサービスによって駐車場50に保管されている車両の情報を管理するデータベースである。保管車両情報は顧客30に対して車両を速やかに返却可能にするための情報である。保管車両情報は保管されている車両の登録番号、車両を返却すべき顧客30の顧客ID、パスコード、車両の保管場所、車両の返却時刻、車両の返却場所などの情報を含む。ただし、少なくとも車両の返却時刻と返却場所は、保管車両情報として必須の情報ではない。
【0034】
各データベース22,24,26は認証サーバ10に取り付けられた外部記憶装置に記憶されていてもよい。或いは、各データベース22,24,26は認証サーバ10とネットワークで接続されたデータサーバに記憶されていてもよい。
【0035】
顧客端末32と係員端末42とは相互の真正の確認のためのツールとして用いられる。顧客端末32は無線通信が可能な携帯端末であって、その具体例としてはスマートフォンを挙げることができる。顧客端末32はモバイルネットワークを介してインターネット上の認証サーバ10と接続される。顧客端末32にはバレーパーキングサービスを利用するための専用アプリがインストールされている。顧客端末32の専用アプリは例えばインターネット上のダウンロードサービスから無料または有料で入手することができる。専用アプリをインストールすることによって任意の携帯端末が顧客端末32として使用可能である。ただし、専用アプリのインストールは携帯端末を顧客端末32として使用する上で必ずしも必須ではない。バレーパーキングサービス利用者のためのWebサイトが設けられている場合には、そのWebサイトに携帯端末でアクセスすることによって携帯端末を顧客端末32として使用することができる。
【0036】
係員端末42もまた無線通信が可能な携帯端末であって、その具体例としてはタブレットとスマートフォンを挙げることができる。係員端末42はモバイルネットワークを介してインターネット上の認証サーバ10と接続される。係員端末42には顧客30にバレーパーキングサービスを提供するための専用アプリがインストールされている。ただし、専用アプリがインストールされていたとしても全ての携帯端末が係員端末42として使用可能とは限らない。認証サーバ10に係員としてアクセスする権利を付与された登録端末のみが係員端末42として使用できる。認証サーバ10或いは認証サーバ10に接続するためのネットワークには、接続を許可された係員端末42のMACアドレスが登録されている。
【0037】
後述するように本実施形態に係る認証方法は顧客端末32から係員端末42へのパスコードの伝達を必要とする。しかし、顧客端末32と係員端末42との間での通信は必ずしも必須ではない。例えばパスコードがPINである場合、顧客端末32のディスプレイに表示されたパスコードを係員端末42に手入力することでパスコードが伝達される。また、パスコードがQRコードである場合、顧客端末32のディスプレイに表示されたパスコードを係員端末42のカメラで撮影することでパスコードが伝達される。なお、通信によってパスコードの伝達を行う場合、規格化されている近距離無線通信を利用することができる。
【0038】
2.認証方法の手順
2-1.バレーパーキングによる車両の入庫時に実施される認証方法の手順
図2は認証システム2によりバレーパーキングによる車両の入庫時に実施される認証方法の手順を示すフローチャートである。バレーパーキングの利用の予定のある顧客30は、必要に応じて顧客端末32に予約情報を入力する(ステップS111)。
【0039】
予約情報として車両を預ける時刻が入力されていれば、その時刻に降車場で係員40が待機してくれている。また、車両を預ける場所を指定することで、降車場以外の場所で車両を係員40に預けることができる。車両の返却時刻と返却場所を予め入力しておけば、バレーパーキングによる車両の出庫時、係員40が予め車両を出庫させて返却場所で待機してくれる。また、顧客30は予約情報として希望サービスを入力することができる。入力可能な希望サービスは、例えば、車両への給油、車両の洗車、車両のメンテナンスなど保管時に提供可能な有償サービスを含む。
【0040】
顧客30は顧客端末32を操作し、予約情報を顧客端末32から認証サーバ10に送信する(ステップS112)。認証サーバ10は顧客端末32が送信した予約情報を受信する(ステップS121)。ただし、前述のようにバレーパーキングの予約は任意である。顧客30から予約情報が送られた場合、認証サーバ10は予約情報を予約情報データベース24に登録する(ステップS122)。
【0041】
顧客30が駐車場50への車両52の入庫にバレーパーキングの利用を望む場合、顧客30は係員40を探してバレーパーキングの利用を要求する。その際、顧客30は顧客端末32を操作し、トリガー信号を顧客端末32から認証サーバ10に送信する(ステップS112)。トリガー信号はバレーパーキングサービスの提供を要求する合図である。バレーパーキングサービスの予約が事前に行われているのであれば、その予約を識別する信号を含んだトリガー信号が送信される。
【0042】
認証サーバ10は顧客端末32が送信したトリガー信号を受信する(ステップS123)。トリガー信号の受信を受けて、認証サーバ10はパスコードをランダムに生成し、生成したパスコードを第1識別情報としてパスコードデータベース22に登録する(ステップS124)。ここでは、パスコードは所定桁数のPINであるとする。認証サーバ10は生成したパスコードを顧客端末32に送信する(ステップS125)。
【0043】
顧客端末32は認証サーバ10が送信したパスコードを受信する(ステップS114)。顧客端末32は受信したパスコードをディスプレイに表示する(ステップS115)。パスコードのディスプレイへの表示は、パスコードの受信を受けて顧客端末32が自動で行ってもよいし、顧客30による顧客端末32の操作が伴われてもよい。顧客30は顧客端末32のディスプレイに表示されたパスコードを係員40に提示する(ステップS116)。
【0044】
係員40は顧客30から提示されたパスコードを目視する(ステップS131)。そして、係員40は目視により確認したパスコードを係員端末42に手入力する(ステップS132)。ただし、係員40がパスコードを入力する係員端末42は認証サーバ10に対するアクセス権を有する登録端末であることが求められる。係員端末42の認証サーバ10への接続を受けて、係員40は係員端末42を操作し、入力したパスコードを係員端末42から認証サーバ10に送信する(ステップS133)。
【0045】
認証サーバ10は係員端末42が送信したパスコードを第2識別情報として受信する(ステップS126)。認証サーバ10は係員端末42から受信した第2識別情報としてのパスコードと、顧客端末32に送信した第1識別情報としてのパスコードとをパスコードデータベース22を用いて照合する(ステップS127)。
【0046】
照合の結果、第1識別情報と第2識別情報とが一致することを受けて、認証サーバ10は認証通知を顧客端末32に送信する(ステップS128)。また、第1識別情報と第2識別情報とが一致することを受けて、認証サーバ10は認証通知を係員端末42にも送信する(ステップS129)。顧客30から事前に送信された予約情報が予約情報データベース24に登録されており、その予約情報に希望サービスが含まれている場合には、認証サーバ10は希望サービスを含んだ認証通知を送信する。
【0047】
顧客端末32は認証サーバ10が送信した認証通知を受信する(ステップS117)。係員端末42もまた認証サーバ10が送信した認証通知を受信する(ステップS134)。顧客端末32と係員端末42の両方において認証通知が受信されることで、顧客30と係員40は互いに相手が真正であることを確認することができる。特に、顧客30は目前にいる係員40が真正であることが確認されれば、車両52を安心して係員40に預けることができる。車両52を預ける場合には物理キーを係員40に渡してもよいし、仮想キーを発行してオンラインで係員端末42にダウンロードさせてもよい。
【0048】
認証通知に希望サービスが含まれる場合、係員40により或いは別の担当者によって給油、洗車などの顧客30が希望するサービスが車両52に対して施される。認証通知に希望サービスが含まれていない場合、顧客30から預けられた車両52はそのまま駐車場50に入庫される。
【0049】
2-2.バレーパーキングによる車両の出庫時に実施される認証方法の手順
図3は認証システム2によりバレーパーキングによる車両の出庫時に実施される認証方法の手順を示すフローチャートである。顧客30が駐車場50からの車両54の出庫にバレーパーキングの利用を望む場合、顧客30は出庫させたい車両54の情報である出庫車両情報を顧客端末32に入力する(ステップS211)。
【0050】
顧客30が入力する出庫車両情報は、例えば車両の登録番号、顧客ID、パスコード等、少なくとも出庫させたい車両54を特定することができ、且つ、車両54の出庫を要求する資格の証明となる情報であればよい。顧客IDは例えば入庫後に認証サーバ10から顧客端末32に与えられる有効期限付きのIDでもよい。パスコードは入庫時に与えられたパスコードでもよいし、それとは別に入庫後に認証サーバ10から顧客端末32に新たに与えられてもよい。
【0051】
顧客30は係員40を探してバレーパーキングの利用を要求し、その際、トリガー信号を顧客端末32から認証サーバ10に送信する(ステップS212)。トリガー信号はバレーパーキングサービスの提供を要求する合図である。顧客端末32からは顧客30により入力された出庫車両情報を含んだトリガー信号が送信される。
【0052】
認証サーバ10は顧客端末32が送信したトリガー信号を受信する(ステップS221)。認証サーバ10は保管車両情報データベース26に登録された保管車両情報とトリガー信号に含まれる出庫車両情報とを照合する(ステップS222)。すなわち、認証サーバ10はトリガー信号の送信主である顧客30が車両54を出庫させる資格を有しているかどうかを確認する。
【0053】
顧客30が車両54を出庫させる資格を有しているのであれば、認証サーバ10はパスコードをランダムに生成し、生成したパスコードを第1識別情報としてパスコードデータベース22に登録する(ステップS223)。ここでは、パスコードは所定桁数のPINであるとする。認証サーバ10は生成したパスコードを顧客端末32に送信する(ステップS224)。
【0054】
顧客端末32は認証サーバ10が送信したパスコードを受信する(ステップS213)。顧客端末32は受信したパスコードをディスプレイに表示する(ステップS214)。パスコードのディスプレイへの表示は、パスコードの受信を受けて顧客端末32が自動で行ってもよいし、顧客30による顧客端末32の操作が伴われてもよい。顧客30は顧客端末32のディスプレイに表示されたパスコードを係員40に提示する(ステップS215)。
【0055】
係員40は顧客30から提示されたパスコードを目視する(ステップS231)。そして、係員40は目視により確認したパスコードを係員端末42に手入力する(ステップS232)。ただし、入庫時と同様、係員40がパスコードを入力する係員端末42は認証サーバ10に対するアクセス権を有する登録端末であることが求められる。係員端末42の認証サーバ10への接続を受けて、係員40は係員端末42を操作し、入力したパスコードを係員端末42から認証サーバ10に送信する(ステップS233)。
【0056】
認証サーバ10は係員端末42が送信したパスコードを第2識別情報として受信する(ステップS225)。認証サーバ10は係員端末42から受信した第2識別情報としてのパスコードと、顧客端末32に送信した第1識別情報としてのパスコードとをパスコードデータベース22を用いて照合する(ステップS226)。照合の結果、第1識別情報と第2識別情報とが一致することを受けて、認証サーバ10は認証通知を顧客端末32に送信する(ステップS227)。また、第1識別情報と第2識別情報とが一致することを受けて、認証サーバ10は認証通知を係員端末42にも送信する(ステップS228)。
【0057】
顧客端末32は認証サーバ10が送信した認証通知を受信する(ステップS216)。係員端末42もまた認証サーバ10が送信した認証通知を受信する(ステップS234)。顧客端末32と係員端末42の両方において認証通知が受信されることで、顧客30と係員40は互いに相手が真正であることを確認することができる。特に、係員40は目前にいる顧客30が真正であることが確認されれば、車両54を安心して顧客30に返却することができる。
【0058】
3.その他の実施形態
上述の実施形態では、本開示の技術は空港のバレーパーキングサービスに適用されているが、本開示の技術はホテルやレストランを含む他の様々な施設でのバレーパーキングサービスに適用可能である。
【0059】
また、本開示の技術は車両の修理サービスにおける顧客と係員との認証にも適用可能である。修理サービスの場合、顧客から係員に車両が預けられ、車両は修理が完了するまでの間修理工場にて管理される。そして、修理の完了後、係員から顧客に車両が返却される。本開示の技術は顧客が係員に車両を預ける際の認証と、係員が顧客に車両を返却する際の認証とに適用することができる。
【0060】
さらに、本開示の技術は車両をレンタカーサービスにおける顧客と係員との認証にも適用可能である。バレーパーキングサービスや修理サービスは顧客から預けられる車両の管理を伴うサービスであるのに対し、レンタカーサービスは顧客が車両の管理責任を有するサービスである。レンタカーサービスの場合、係員から顧客に車両が貸し渡され、返却までの間車両は顧客にて管理される。そして、顧客にて用が済めば、顧客から係員に車両が返却される。本開示の技術は係員が顧客に車両を貸し出す際の認証と、顧客が係員に車両を返却する際の認証とに適用することができる。
【0061】
以上に例示したサービスはいずれも車両の管理責任の移動を伴うサービスであったが、本開示の技術は様々なサービスにおける顧客と係員との認証に幅広く適用可能である。本開示の技術によれば、顧客端末に表示される第1識別情報と同じ情報が第2識別情報として係員端末に入力されれば、顧客と係員の双方に認証通知が送信される。この認証通知を受けて、サービスの提供を受けようとする顧客は、その顧客を担当しようとする係員が真正な係員かどうか確認することができる。一方、サービスの提供を頼まれた係員は、その係員が担当しようとしている顧客が真正な顧客かどうか確認することができる。なお、本明細書においてサービスは物品の売買を含む。また、本明細書において顧客はサービスの享受者であり、係員はサービスの提供者そのものを含む。
【符号の説明】
【0062】
2 認証システム
10 認証サーバ
12 プロセッサ
14 メモリ
20 プログラム
22 パスコードデータベース
24 予約情報データベース
26 保管車両情報データベース
30 顧客
32 顧客端末
40 係員
42 係員端末
50 駐車場
52,54 車両
図1
図2
図3