(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】固体内に少なくとも1つの改質を形成する方法および装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/53 20140101AFI20240910BHJP
B23K 26/03 20060101ALI20240910BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B23K26/53
B23K26/03
H01L21/304 611Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021164678
(22)【出願日】2021-10-06
(62)【分割の表示】P 2020075525の分割
【原出願日】2020-04-21
【審査請求日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】10 2019 205 847.7
(32)【優先日】2019-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599158797
【氏名又は名称】インフィニオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Infineon Technologies AG
【住所又は居所原語表記】Am Campeon 1-15, 85579 Neubiberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ リースケ
(72)【発明者】
【氏名】マルコ スヴォボダ
(72)【発明者】
【氏名】アルブレヒト ウルリッヒ
【審査官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-036213(JP,A)
【文献】特開2010-010209(JP,A)
【文献】特開2017-022283(JP,A)
【文献】特開2013-258253(JP,A)
【文献】特開2012-164801(JP,A)
【文献】特開2017-159369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00-26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体(2)の内部に改質(1)を形成する方法であって、前記方法は、
前記固体(2)を準備するステップであって、前記固体(2)は、第1の表面(4)と、前記第1の表面(4)から垂直方向(z)で離間された第2の表面(6)と、を有し、前記固体(2)の厚さは、前記第1の表面(4)に沿った横方向ポジション(x,y)の関数であるステップと、
前記固体(2)の体積部分(8)に、前記第1の表面(4)を介して種々の波長の複数の光波(10)を印加するステップであって、前記光波は、部分的に前記第1の表面(4)のところで反射するステップと、
少なくとも部分的に前記第1の表面(4)のところで反射した前記光波(11)の光パラメータをセンサ装置(12)により少なくとも部分的に捕捉し、捕捉された前記光パラメータの少なくとも一部分から間隔情報を求めるステップであって、前記間隔情報は、前記第1の表面(4)と前記センサ装置(12)との間の間隔に関する情報を含むステップと、
前記固体(2)の内部に少なくとも1つの改質(1)を形成するために、前記第1の表面(4)を介して前記固体(2)の前記体積部分(8)にレーザ放射(14)を導入するステップであって、前記レーザ放射(14)の少なくとも1つのレーザパラメータを、前記間隔情報に少なくとも応じて調整するステップと、
少なくとも、前記体積部分(8)に前記改質(1)を形成した後、前記固体(2)の前記体積部分(8)に、前記第1の表面(4)を介して種々の波長の複数の前記光波(10)および種々の波長の複数のさらなる光波を印加するステップであって、前記光波(10)および前記さらなる光波は、部分的に前記第1の表面(4)のところで反射し、部分的に前記固体(2)内に入射して少なくとも1つの前記改質(1)のところで反射するステップと、
反射した前記光波(11)および反射した前記さらなる光波の光パラメータをセンサ装置(12)およびさらなるセンサ装置により少なくとも部分的に捕捉するステップと、
捕捉された前記光パラメータの少なくとも一部分から前記改質(1)の位置情報を求めるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記方法は、少なくとも1つの前記改質(1)と前記第1の表面(4)との間の間隔を、前記固体(2)の前記体積部分(8)において前記位置情報から特定するステップをさらに含む、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
捕捉された前記光パラメータは、反射し前記センサ装置(12)を用いて検出された前記光波の強度を含み、
前記強度から強度情報を求め、前記強度情報に応じて少なくとも1つの前記レーザパラメータを調整する、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記光パラメータを捕捉するために、同じ前記体積部分(8)のところで反射した光波を少なくとも2回、前記センサ装置(12)により検出し、ただし反射した前記光波(11)を少なくとも2回、それぞれ異なる長さで検出し、
それぞれ異なる長さで捕捉された前記光波を表す前記強度情報の補償を行う、
請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記厚さの特定および前記光波の前記強度の特定を、前記固体(2)の同じ部分に対し2秒よりも短い時間窓内で生じさせる、
請求項3または4記載の方法。
【請求項6】
固体(2)の内部に改質(1)を形成する方法であって、前記方法は、
前記固体(2)を準備するステップであって、前記固体(2)は、第1の表面(4)と、前記第1の表面(4)から垂直方向(z)で離間された第2の表面(6)と、を有し、前記固体(2)の透過度は、前記第1の表面(4)に沿った横方向ポジション(x,y)の関数であるステップと、
前記固体(2)の体積部分(8)に、前記第1の表面(4)を介して種々の波長の複数の光波(10)を印加するステップであって、前記光波は、部分的に前記第1の表面(4)のところで反射するステップと、
反射した前記光波(11)の光パラメータをセンサ装置(12)により少なくとも部分的に捕捉し、捕捉された前記光パラメータの少なくとも一部分から強度情報を求めるステップと、
前記強度情報から、前記固体(2)の前記体積部分(8)における前記固体(2)の透過度を特定するステップと、
前記固体(2)の内部に少なくとも1つの改質(1)を形成するために、前記第1の表面(4)を介して前記固体(2)の前記体積部分(8)にレーザ放射(14)を導入するステップであって、前記レーザ放射(14)の少なくとも1つのレーザパラメータを、前記体積部分(8)の前記透過度に少なくとも応じて調整するステップと、
少なくとも、前記体積部分(8)に前記改質(1)を形成した後、前記固体(2)の前記体積部分(8)に、前記第1の表面(4)を介して種々の波長の複数の前記光波(10)および種々の波長の複数のさらなる光波を印加するステップであって、前記光波(10)および前記さらなる光波は、部分的に前記第1の表面(4)のところで反射し、部分的に前記固体(2)内に入射して少なくとも1つの前記改質(1)のところで反射するステップと、
反射した前記光波(11)および反射した前記さらなる光波の光パラメータをセンサ装置(12)およびさらなるセンサ装置により少なくとも部分的に捕捉し、捕捉された前記光パラメータの少なくとも一部分から前記改質(1)の位置情報を求めるステップと、
を含む方法。
【請求項7】
固体(2)の内部に改質(1)を形成する方法であって、前記方法は、
前記固体(2)を準備するステップであって、前記固体(2)は、第1の表面(4)と、前記第1の表面(4)から垂直方向(z)で離間された第2の表面(6)と、を有し、前記固体(2)の透過度は、前記第1の表面(4)に沿った横方向ポジション(x,y)の関数であるステップと、
前記固体(2)の体積部分(8)に、前記第1の表面(4)を介して種々の波長の複数の光波(10)を印加するステップであって、前記光波は、部分的に前記第1の表面(4)のところで反射するステップと、
反射した前記光波(11)の光パラメータをセンサ装置(12)により少なくとも部分的に捕捉し、捕捉された前記光パラメータの少なくとも一部分から強度情報を求めるステップと、
前記強度情報から、前記固体(2)の前記体積部分(8)における前記固体(2)の透過度を特定するステップと、
前記固体(2)の内部に少なくとも1つの改質(1)を形成するために、前記第1の表面(4)を介して前記固体(2)の前記体積部分(8)にレーザ放射(14)を導入するステップであって、前記レーザ放射(14)の少なくとも1つのレーザパラメータを、前記体積部分(8)の前記透過度に少なくとも応じて調整するステップと、
を含む方法。
【請求項8】
前記方法は、少なくとも1つの前記改質(1)と前記第1の表面(4)との間の間隔を、前記固体(2)の前記体積部分(8)において前記改質(1)の位置情報から特定するステップをさらに含む、
請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記光パラメータを捕捉するために、同じ前記体積部分(8)のところで反射した前記光波(11)を少なくとも2回、前記センサ装置(12)により検出し、ただし反射した前記光波(11)を少なくとも2回、それぞれ異なる長さで検出し、
それぞれ異なる長さで捕捉された前記光波を表す前記強度情報の補償を行う、
請求項6から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記固体(2)の厚さは、前記第1の表面(4)に沿った横方向ポジション(x,y)の関数であり、捕捉された前記光パラメータの少なくとも一部分から間隔情報を求め、
前記間隔情報は、前記第1の表面(4)と前記センサ装置(12)との間の間隔に関する情報を含み、
前記間隔情報から、前記固体(2)の前記体積部分(8)における前記固体(2)の厚さを特定し、
少なくとも1つの前記レーザパラメータを付加的に、前記体積部分(8)の前記厚さに応じて調整する、
請求項6から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの前記レーザパラメータは、前記レーザ放射(14)のエネルギーおよび前記レーザ放射(14)の焦点ポジション(26)を含む、
請求項6から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
捕捉された前記光パラメータは、反射し前記センサ装置を用いて検出された前記光波(11)の偏光を含み、
前記偏光からから前記体積部分の偏光情報を求め、前記偏光情報に応じて少なくとも1つの前記レーザパラメータを調整する、
請求項6から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記センサ装置(12)および前記光波(10)を生成する放射源(9)は、前記第1の表面(4)に対し、離間されて配置されている、
請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記固体(2)に対し、前記間隔情報および/または前記強度情報および/または前記固体(2)の厚さおよび/または前記固体(2)の透過度および/または捕捉された前記光パラメータを、少なくとも、前記第1の表面(4)に沿った前記横方向ポジションの関数として、かつ/または、前記体積部分(8)の関数として、データ担体に基準データとして格納する、
請求項3から5、10のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記固体(2)は、半導体部品の部品構造(16)を有する、
請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記固体(2)から固体層(3)を切り離すために、かつ/または、半導体部品を製造するために、前記方法を使用する、
請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
請求項1から16までのいずれか1項記載の方法を実施するための装置であって、前記装置は、少なくとも、
予め定められたスペクトル内の種々の波長の複数の光波(10)を生成する放射源(9)と、
前記光波(10)の少なくとも一部分の光パラメータを捕捉するセンサ装置(12)と、
捕捉された前記光パラメータから、以下の情報すなわち間隔情報、強度情報、位置情報、偏光情報のうちの少なくとも1つを求める評価ユニットと、
前記固体(2)の内部に改質(1)を形成するためにレーザ放射(14)を生成するレーザ装置(13)と、
前記センサ装置(12)により求められた情報に応じて前記レーザ装置(13)を制御する制御ユニット(20)と、
を有し、前記レーザ装置(13)は、前記センサ装置(12)により求められた前記情報に応じて、前記レーザ放射(14)の少なくとも1つのレーザパラメータを変化させるように構成されている、
装置。
【請求項18】
前記放射源(9)および前記センサ装置(12)は、1つの第1のセンサユニット(22)を形成し、前記第1のセンサユニット(22)は、前記レーザ装置(13)に対し一定の相対ポジションに配置されている、
請求項17記載の装置。
【請求項19】
少なくとも1つの第2のセンサユニット(24)が設けられており、前記第2のセンサユニット(24)も放射源(9)とセンサ装置(12)とを有し、
前記第1のセンサユニット(22)と、前記第2のセンサユニット(24)と、前記レーザ放射(14)を前記固体(2)内に集束させる前記レーザ装置(13)の光学系の構成要素と、が1つの直線内に配置されており、
前記レーザ装置(13)の前記光学系の前記構成要素は、前記第1のセンサユニット(22)と前記第2のセンサユニット(24)との間に配置されている、
請求項18記載の装置。
【請求項20】
請求項1から16までのいずれか1項記載の方法を実施するための装置の一部分としての、プログラミング可能な回路であって、前記回路は、
センサ装置(12)からセンサ信号を受信する入力側と、
捕捉された前記光パラメータから、以下の情報すなわち間隔情報、強度情報、位置情報、偏光情報のうちの少なくとも1つを求める処理ユニットと、
前記処理ユニットにより求められた前記情報を出力する出力側と、
を含む、プログラミング可能な回路。
【請求項21】
請求項20記載のプログラミング可能な回路をプログラミングするための命令および/または請求項1および/または請求項6、7記載の方法のステップを実施する装置を制御するための命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項22】
固体(2)の内部に複数の改質(1)を形成する方法であって、前記方法は、
前記固体(2)を準備するステップであって、前記固体(2)は、第1の表面(4)と、前記第1の表面(4)から垂直方向(z)で離間された第2の表面(6)と、を有し、前記固体(2)の厚さは、前記第1の表面(4)に沿った横方向ポジション(x,y)の関数であるステップと、
前記固体(2)の体積部分(8)に、前記第1の表面(4)を介して予め定められたスペクトル内の種々の波長の複数の光波(10)を印加するステップであって、前記光波は、部分的に前記第1の表面(4)のところで反射するステップと、
前記第1の表面(4)のところで少なくとも部分的に反射した前記光波(11)の光パラメータをセンサ装置(12)により少なくとも部分的に捕捉し、捕捉された前記光パラメータの少なくとも一部分から間隔情報を求めるステップであって、前記間隔情報は、前記第1の表面(4)と前記センサ装置(12)との間の間隔に関する情報を含むステップと、
前記固体(2)の内部に前記複数の改質(1)を1つの剥離面の形態で形成するために、前記第1の表面(4)を介して前記固体(2)の前記体積部分(8)にレーザ放射(14)を導入するステップであって、前記レーザ放射(14)の少なくとも1つのレーザパラメータを、前記間隔情報に少なくとも応じて調整するステップと、
を含
み、
反射した前記光波(11)を用いて、前記改質(1)の位置情報および前記固体(2)の透過度を特定する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下で説明される対象は、例えば半導体処理の技術分野にあり、特にインゴットまたはウェハまたはブールの加工の分野にある。加工とは例えば、処理される固体の厚さを低減することであり、特に固体を物質的に互いに分離された複数の部分、特に固体層、に分解することである。
【背景技術】
【0002】
固体の厚さを低減するために可能な方法は、例えばポリッシングまたはラッピングである。これらの方法によれば、材料が切削されて固体から取り去られる。切削加工は、一方では高価な固体材料の損失を引き起こす可能性があり、他方では工具の摩耗を引き起こす可能性があり、これによって高いコストが生じる可能性がある。
【0003】
固体から固体層を切り離すためにさらに可能性として考えられる方法は、ソーイング法である。その際、ソーブレードまたはソーワイヤが固体と接触させられる。次いでソーイング工具が固体中を切削しながら進む。この場合、細断された材料部分は損失と見なされる。さらにソーが著しく摩耗し、これによって高いコストがかかってしまう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの態様は、固体内部に改質を形成する方法に関する。この方法は以下のステップを含む。すなわち、固体を準備するステップであって、この固体は、第1の表面と、この第1の表面から垂直方向で離間された第2の表面とを有し、固体の厚さおよび/または透過度は、第1の表面に沿った、かつ/または、第2の表面に沿った、横方向ポジションの関数であるステップと、固体の体積部分に、第1の表面を介して種々の波長の複数の光波を印加するステップであって、この光波は、部分的に第1の表面のところで反射し、部分的に固体内に入射して第2の表面のところで反射するステップと、反射した光波の光パラメータをセンサ装置により少なくとも部分的に捕捉し、捕捉された光パラメータの少なくとも一部分から間隔情報および/または強度情報を求めるステップと、間隔情報および/または強度情報から、固体の体積部分における固体の厚さおよび/または透過度を特定するステップと、固体内部に少なくとも1つの改質を形成するために、第1の表面を介して固体の体積部分にレーザ放射を導入するステップであって、レーザ放射の少なくとも1つのレーザパラメータを、少なくとも1つの改質が第2の表面に対し予め規定された間隔を有するように、体積部分の厚さおよび/または透過度に少なくとも応じて調整するステップと、を含む。
【0005】
本開示のさらなる態様は、特に固体内部に少なくとも1つの改質を形成するための方法を実施する装置に関する。この装置は、種々の波長の複数の光波を予め定められたスペクトル内で生成する放射源を含む。さらにこの装置は、光波の少なくとも一部分の光パラメータを捕捉するセンサ装置と、捕捉された光パラメータから、以下の情報すなわち間隔情報、強度情報、位置情報、偏光情報のうちの少なくとも1つを求める評価ユニットとを含む。この装置は、固体内部に改質を形成するためにレーザ放射を生成するレーザ装置を含む。この装置はさらに、センサ装置により求められた情報に応じてレーザ装置を制御する制御ユニットを含む。このレーザ装置は、センサ装置により求められた情報に応じて、レーザ放射の少なくとも1つのレーザパラメータを変化させるように構成されている。
【0006】
本開示のさらなる態様は、コンピュータプログラム製品、プログラミング可能な回路、ならびに固体から固体層を切り離すための、かつ/または、半導体部品を製造するための、本明細書で説明される方法の使用に関する。
【0007】
さらなる実施形態、目的および/または特性は、以下の説明、従属請求項に基づき、ならびに添付の図面に基づき説明され、それらの図面には、本明細書で説明される方法および本明細書で説明される装置に関する実施例が、往々にして例示的に描かれている。この方法の複数の実施例において使用することができ、かつ/または、図面において少なくとも実質的にそれらの機能に関して一致している構成要素を、その際に同じ参照符号によって表すことができ、ただしそれらの構成要素についてすべての図面において参照符号が付されているとは限らないし、または説明されているとは限らない。図面に示された要素、構造および/または部品は、必ずしも互いに原寸の比率どおりに描かれたものではない。
【0008】
それらの図面は実施例を具体的に示したものに過ぎず、明細書と併せてそれらの実施例を説明する役割を果たすものである。自明のとおり、さらに別の実施例も存在し、構造的または論理的な変更を、その際に特許請求の範囲により定義された範囲から逸脱することなく加えることができる。この限りでは、実施例の説明はそれに限定しようというものではない。特に、文脈から他のことが明示的に判明しない限り、以下で説明されている実施例の要素を、説明されているそれらの実施例のうち他の実施例の要素と組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】固体内に改質を形成可能な1つの実施例による装置を概略的に示す図である。
【
図2】例えば
図1に示したセンサ装置から出力可能な測定値を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の1つの態様は、固体内部に改質を形成する方法に関する。この方法は例えば、固体を準備するステップを含む。固体を固体結晶とすることができ、特に半導体結晶とすることができ、または固体は固体結晶を有することができる。例えば固体はウェハ(例えば成長基板)を含み、または固体はウェハである。択一的または付加的に、固体はブールおよび/またはインゴットを含むことができ、あるいは固体をブールおよび/またはインゴットとすることができる。インゴットを、(例えば六角形、円形または楕円形の底面を有する)プリズム状の半導体ボディとすることができる。1つのインゴットから複数のウェハを得ることができる。ブールをインゴットとすることができ、特に主として単結晶の固体材料から成るインゴットとすることができる。固体は、例えばエピタキシャル成長させた層、金属化部および/またはパッシベーション層など、さらなる構成要素を含むことができ、かつ/または、かかる構成要素を固体の上に被着させることができる。
【0011】
固体は、第1の表面と、この第1の表面から垂直方向で離間された第2の表面とを有する。固体を横方向に沿って延在させることができる。横方向に対し直立して垂直方向で、固体は横方向における固体の広がりよりも薄い(例えば最大で30%または最大で10%の)厚さを有する。ただしインゴットの場合には、厚さを固体の横方向の広がりよりも大きくしてもよく、例えばプリズムの高さに対応させることができる。インゴットおよび/またはブールの場合、固体の厚さを少なくとも2mm(または少なくとも5mmまたは少なくとも10mmまたは少なくとも1cm)とすることができる。ウェハの場合、厚さを少なくとも40μm、最大で1mm(または最大で500μm)とすることができる。例えば第1および/または第2の表面は、横方向に張設された平面と最大で10°の角度を成す。横方向ポジションを、横方向に張設された平面上の点に対応させることができる。横方向のポジションを例えば、デカルト座標および/または極座標において表すことができる。
【0012】
多くの実施形態において、固体のパラメータを、第1の表面に沿った、かつ/または、第2の表面に沿った、横方向ポジションの関数とすることができる。特にこのパラメータは、横方向ポジションに沿って変化する可能性がある。固体のパラメータを、厚さ、透過性、結晶パラメータのうちの少なくとも1つとすることができる。結晶パラメータを、例えば以下のうちの少なくとも1つとすることができる。すなわち、固体の結晶構造および/または結晶の配向、固体の結晶格子におけるポリタイプの変化、固体、特に固体の結晶、における引張応力状態、転位(例えば螺旋転位)、固体内の欠陥。
【0013】
可能性として考えられるのは、固体の厚さは、第1の表面に沿った、かつ/または、第2の表面に沿った、横方向ポジションの関数である、ということである。多くの実施例において、例えば表面の非平坦性に起因して、かつ/または、複数の表面が面平行に延在していないことに起因して、固体の厚さが横方向ポジションに沿って変化している可能性がある。例えばいわゆるTotal Thickness Variation(TTV)に従って、変化が生じる可能性がある。例えばTTVは、最大で10μmまたは最大で7μmおよび/または少なくとも1μmまたは少なくとも3μmである。固体を例えば楔形に形成することができる。例えば固体は、一方の側面において他方の側面におけるよりも厚い。第1および/または第2の表面を、複合構造内部の自由に接近できない界面としてもよい。これは例えば、第1および/または第2の表面にさらなる構成要素(例えばさらなる層)および/または部品構造が設けられている場合である。
【0014】
択一的または付加的に、固体の透過度および/または吸収度および/または屈折率を、第1の表面に沿った、かつ/または、第2の表面に沿った、横方向ポジションの関数とすることができる。可能性として考えられるのは、固体の透過度が横方向に沿って変化する、ということである。例えば、固体のドーパント濃度が横方向に沿って変化する。ドーパント濃度は、固体材料の固体の屈折率および/または透過度に影響を及ぼす可能性がある。屈折率および/または透過度は、例えば層および/または部品構造などのような、さらなる(例えば部分的に反射性かつ/または部分的に吸収性の)構成要素によっても、影響を受ける可能性がある。したがって固体はある横方向ポジションにおいて、他の横方向ポジションとは異なる透過度を有する可能性がある。
【0015】
さらに択一的または付加的に可能性として考えられるのは、結晶パラメータは、第1の表面に沿った、かつ/または、第2の表面に沿った、横方向ポジションの関数である、ということである。例えば固体は横方向ポジションに沿って、結晶配向の局所的な変化および/または転位および/またはポリタイプの変化を含む。
【0016】
この方法は、種々の波長の複数の光波を固体の第1の体積部分に印加するステップを有することができる。これらの光波は、少なくとも2つの(または少なくとも4つまたは少なくとも10個の)種々の波長を有することができる。可能性として考えられるのは、光波は最大で10個の、または最大で20個の、または最大で50個の、または最大で100個の、または最大で200個の、種々の波長を有する、ということである。本明細書において「種々の波長を有する」とは、光波の波長スペクトルが電磁スペクトルの1つの範囲内で複数のピークを有する、かつ/または、少なくとも部分的に連続している、ということを意味することができる。例えば光波は多色光であり、または多色光を含む。印加を連続的に、または時間的に間隔をおいた光パルスとして、行うことができる。
【0017】
例えば、種々の波長の光波を、印加時に空間的かつ/または時間的に互いに分離することができる。可能性として考えられるのは、光波を空間的にスペクトルについて散開させる、かつ/または、それらの波長に応じて種々の強さで集束させる、ということである。この場合に光波の種々の波長成分は、種々の軸線方向の焦点距離および/または種々の焦点ポジションを有することができる。典型的には、光波の少なくとも2つの焦点が印加時に固体内に存在する。特に、光源まで最も近い焦点(「最内焦点」)と、光源から最も遠くに隔てられた焦点(「最外焦点」)とを存在させることができる。最内焦点のポジションと最外焦点のポジションとの距離を、以下では「散開」(英語ではfan-out)とも称する。散開をセンサユニットの測定範囲に対応させることができ、またはこれと相関させることができる。
【0018】
散開をおおよそ(すなわち例えば散開の±20%の精度で)、固体の平均化された厚さに対応させることができ(例えば少なくとも200μmまたは少なくとも300μm、および最大で500μmまたは最大で400μm)、あるいはそれどころか固体の平均化された厚さよりも大きくすることができる(例えば少なくとも500μm、特にウェハの場合)。散開を拡げることによって、広範囲にわたる固体の測定を実現することができる。とはいえ散開を、固体の平均化された光学的厚さよりも小さくすることもできる(例えば少なくとも50μmまたは少なくとも100μm、および最大で200μmまたは最大で150μm)。散開を狭めることによって例えば、固体内部の1つの平面(例えば剥離面)のいっそう精密なポジション特定を実現することができる。散開を、光波が内部を伝播する媒体の屈折率に依存させることができる。散開に関する上述の値を、空気中および/または固体中の伝播に対して適用することができる。
【0019】
光波は、例えば第1の表面を介して体積部分に導入され、かつ/または、第1の表面に光波が印加される。光波は部分的に第1の表面のところで反射する可能性がある。さらに光波は部分的に固体内に入射されて、第2の表面のところで例えば部分的に反射する可能性がある。
【0020】
体積部分は例えば、光波が固体内に導入される、かつ/または、光波の少なくとも一部分が反射するところである第1の表面の第1の表面部分と、光波の少なくとも一部分が反射するところである第2の表面の第2の表面部分との間に延在している。第1の表面の表面部分は、第2の表面の表面部分とは異なる横方向の広がりを有することができる。例えば少なくとも第1の表面部分は、少なくとも1μmおよび最大で40μm、例えば最大で20μm、の横方向の広がりを有する。体積部分を例えば、固体内の光波のコーンビームのサイズにより特定することができる。換言すれば、光波は、第1の表面と第2の表面との間の固体の領域を照射することができ、その際にこの領域の少なくとも一部分または領域全体が体積部分に対応する。体積部分は、垂直方向に対し傾斜して、または垂直方向に沿って、延在する可能性がある。第1の表面の表面部分と第2の表面の表面部分とが、垂直方向の投影で少なくとも部分的にオーバラップする可能性がある。
【0021】
多くの実施例において可能性として考えられるのは、反射光波の光パラメータの少なくとも部分的な(例えば大半またはすべての)捕捉を行う、ということである。光パラメータを以下のパラメータのうちの少なくとも1つとすることができ、または光パラメータは以下のパラメータのうちの少なくとも1つを含むことができる。すなわち、波長、強度、波長に依存する強度、偏光、波長に依存する偏光、時間に依存する強度。これらの光パラメータを、センサ装置によって、特にセンサ装置のセンサを用いて、捕捉することができる。このため、光波をセンサ装置により検出することができ、検出された光波から光パラメータを特定することができる。センサ装置は、捕捉された光パラメータを信号および/またはデータの形態で出力することができる。捕捉された光パラメータから、間隔情報および/または強度情報および/または位置情報および/または偏光情報などの情報を求めることができる。ただし、これ以外の情報を求めることも可能であり、例えば欠陥情報(転位および/または欠陥に関する情報)および/または引張応力情報(引張応力状態に関する情報)および/または色情報(固体内の欠陥および/または改質の色に関する情報)などを求めることも可能である。求められた情報から例えば、体積部分における固体の平均化されたパラメータを特定することができる。この場合、評価ユニットを用いて求めることができる。例えばこの目的で評価ユニットは、プログラミング可能な回路および/またはコンピュータを含み、かつ/または、コンピュータの一部分である。
【0022】
センサ装置は、少なくとも1つの共焦点クロマティックセンサを含むことができる。共焦点クロマティックセンサは特に、間隔を特定するために色収差を利用する。一般的に可能性として考えることができるのは、固体の以下のようなパラメータを測定するために共焦点クロマティックセンサを利用する、ということであり、すなわちそれらのパラメータは、固体に沿った横方向ポジションに依存して変化する可能性があり、かつ固体の少なくとも1つの光学的特性にポジションに応じて影響を及ぼすものである。例えばセンサ装置は、以下のセンサ構成要素のうちの少なくとも1つまたは厳密に1つを、あるいはそれらのセンサ構成要素のうちの少なくとも2つから成る組み合わせを含む。すなわち、CCDセンサ(CCDチップとも称する)、フォトダイオード(例えば一次元または二次元のフォトダイオードアレイ、英語ではone- or two-dimensional photodiode array)、マイクロチャネルプレート(英語ではmicrochannel plate、例えば窒素冷却式マイクロチャネルプレート)、アクティブピクセルセンサ(例えば二次元のアクティブピクセルセンサおよび/またはCMOSセンサ)。センサ装置を、第1の表面のところで反射した光波の少なくとも一部分と、第2の表面のところで反射した光波の少なくとも一部分とを検出するように、構成することができる。特に、これら両方の表面のところで反射した光波の種々のスペクトル成分が、センサ装置により求められる。検出を、時間について分解して、かつ/または、スペクトルについて分解して、かつ/または、偏光について分解して、かつ/または、位置について分解して、行うことができる。
【0023】
この方法の多くの実施形態において、捕捉された光パラメータの少なくとも一部分から、間隔情報を求めることができる。間隔情報は例えば、体積部分におけるセンサ装置と第1の表面との間およびセンサ装置と第2の表面との間の間隔に関する情報を含むことができる。択一的または付加的に、間隔情報は、体積部分における第1の表面と第2の表面との間の間隔に関する情報を含むことができる。間隔情報から、体積部分における固体の厚さを特定することができる。この場合、光波の種々のスペクトル成分が、それぞれ異なるように固体中に伝播する、かつ/または、固体内で種々の焦点を有する、という着想が、往々にして実践される。この場合、センサ装置と体積部分における第1の表面および/または第2の表面との間隔を、例えばクロマティック共焦点間隔測定に基づき求めることができる。センサ装置とこれら両方の表面との間隔を間隔情報とすることができ、または間隔情報をこの間隔に対し相関させることができる(例えば間隔に直接依存させることができる)。
【0024】
1つの実施例において、固体の体積部分における固体の厚さを、特に平均化された厚さまたは二乗平均された厚さを、情報から、特に間隔情報にから、特定することができる。この方法の実施例において、複数の体積部分について、特に固体全体について、厚さを特定することができる。
【0025】
多くの実施例において、捕捉された光パラメータは、反射しセンサ装置を用いて検出された光波の強度を含む。この場合、捕捉された光パラメータから、例えば強度情報を求めることができる。例えば強度情報は、第1の反射光波および/または第2の反射光波のスペクトルについて分解された強度を含む。
【0026】
この方法は、多くの実施形態において、強度情報から固体の体積部分における固体の透過度を特定するステップを含むことができる。例えばこのために、反射光波の少なくとも1つの波長について、特に少なくとも2つの波長について、強度情報が評価される。付加的に、透過度を特定するために間隔情報を利用することができる。
【0027】
次のステップにおいて、固体内部に少なくとも1つの改質を形成するために、第1の表面を介して固体の体積部分にレーザ放射を導入することができる。可能性として考えられるのは、レーザ放射の少なくとも1つのレーザパラメータが、体積部分の厚さおよび/または透過度に少なくとも応じて、少なくとも1つの改質が第2の表面に対し予め規定された間隔を有するように調整される、ということである。したがってレーザ放射を、体積部分における第2の表面と第1の表面との間の特定の間隔に応じて改質を形成するように、コンフィギュレーションすることができる。
【0028】
レーザパラメータの調整を例えば、レーザ装置の構成要素(例えば電気的に制御可能な構成要素)、評価ユニットを用いて、レーザ装置の光学系を用いて、かつ/または、外部の光学系を用いて、行うことができる。厚さおよび/または透過度(および/またはレーザパラメータを調整する際のベースとなるその他のパラメータ)から、レーザパラメータに対する補正値を特定することができる。この補正値を例えば、レーザ装置および/または制御ユニットにリアルタイムで転送することができ、かつ/または、一時記憶させて、以降の時点にレーザ装置および/または制御ユニットを用いて読み出すことができる。補正値を記憶することに対し、択一的または付加的に可能性として考えられるのは、求められた厚さおよび/または求められた透過度を一時記憶させる、ということである。
【0029】
多くの実施例において、少なくとも1つのレーザパラメータが、特に複数のレーザパラメータが、体積部分の厚さおよび透過度に応じて調整される。これにより、改質、特に剥離面、の精密なポジショニングを実現することができる。
【0030】
一般に、厚さおよび/または透過度に加え、体積部分における固体のさらに別のパラメータも、センサ装置を用いて捕捉された光パラメータに基づき特定することができる。固体のそれらのパラメータを、同様にレーザパラメータの調整に利用することができ、かつ/または、それらのパラメータから、レーザパラメータを調整する際のベースとなる情報を求めることができる。したがって例えば可能性として考えられるのは、レーザ放射に対し相対的な(例えばレーザ放射の偏光および/またはポインティングベクトルに対し相対的な)固体の結晶構造の配向(例えば回転および/または傾斜)を求める、ということである。特に異方性かつ/または複屈折性の固体(例えば六方晶系のSiC、特に4H-SiCなど)の場合、改質の形成を、レーザ放射の空間的配向に対し相対的な(例えばポインティングベクトルに対し相対的な)、かつ/または、レーザ放射の偏光に対し相対的な、固体内の結晶面の配向に依存させることができる。配向を例えば、光パラメータの少なくとも2つの比較測定から求めることができ、この測定の場合、少なくとも1つの測定パラメータ(例えばセンサ装置に対し相対的な固体の傾斜および/または回転および/または光波の偏光)が変化させられる。
【0031】
さらに択一的または付加的に可能性として考えられるのは、体積部分の屈折率を例えば波長に依存して特定する、ということである。1つまたは複数の波長における屈折率を例えば、1つもしくは複数の波長における透過度および/または吸収度の測定から特定することができる。屈折率は、体積部分における固体のドーパント濃度に依存する可能性がある。例えばドーパント濃度は、吸収性および透過性に作用を及ぼす。レーザパラメータを屈折率に応じて調整することができる。例えばレーザ装置の光学系(例えばレンズまたはレンズ系の焦点距離)を、体積部分に対しその体積部分における屈折率に応じて、以下のように整合させることができる。すなわち、形成された改質と第1および/または第2の表面との間隔が、それぞれ異なる屈折率を有する(例えばそれぞれ異なるドーパントノードを有する)種々の体積部分に関してほぼ(すなわち±20%またはそれどころか±10%の精度で)等しくなるように、整合させることができる。このため例えば、光学系内部における複数のレンズの間隔、および/または、光学系と第1および/または第2の表面との間隔を、特に圧電素子を用いて、変化させることができる。
【0032】
さらに可能性として考えられるのは、1つまた複数の波長について求められた屈折率から、レーザ放射の波長における、または少なくともその波長付近の屈折率を、特にアッベ数に基づき、算出することができる、ということである。
【0033】
少なくとも1つの改質は、多くの実施形態において、特に同じ平面(例えば1つの剥離面)内に形成され、その際にこの平面は特に、第2の表面に対し平行またはほぼ平行に(すなわち最大で4°または最大で2°または最大で1°の角度で)配向されている。可能性として考えられるのは、1つの剥離面を形成するために複数の改質が、特に10個よりも多い、または100個よりも多い、または1000個よりも多い改質が、固体内に形成される、ということである。
【0034】
多数の形質を、特に1つの剥離面の形態で、かつ/または、1つの剥離面に沿って、導入した後、本明細書で説明される方法は、固体層を固体から切り離すステップを含むことができる。特に固体を、少なくとも2つの部分に分割することができる。例えば、分割された固体のうち部品構造を備えた部分は、分割された固体のうち部品構造を備えていない部分よりも僅かな厚さを有する。分割された固体のうち部品構造を備えていない部分に、この方法のさらなるステップにおいて部品構造を設けることができる。例えばこれに続いて、固体層の新たな切り離しを行うことができる。ただし、分割された固体の両方の部分のいずれも部品構造を備えていない、ということも可能性として考えられる。
【0035】
例えば、本明細書で説明される方法を用いることによって可能性として考えられるのは、第2の表面と少なくとも1つの改質との間の間隔を、特に第2の表面と剥離面との間の間隔を、この間隔が規定された間隔に対応するように、著しく精密に規定する、ということである。このことを特に以下のことによってもたらすことができる。すなわち、第1の表面の表面非平坦性および/または横方向に沿った厚さ変動は、ポジション形成の位置に対し作用を及ぼさない、またはごく僅かにしか、または無視できる程度にしか作用を及ぼさないのである。
【0036】
択一的または付加的に、本明細書で説明される方法を用いることで、固体の透過度をポジションに応じて特定することができる。1つの体積部分に対する透過度を求めることによって、レーザ放射を、特にその強度および/または焦点を、その体積部分について所期のように調整することができる。したがって例えば、変化する透過度の作用が、特に変化するドーピングおよび/またはドーパント濃度が、改質形成に及ぼす作用を、制限することができ、または少なくとも補償することができる。固体に沿ってそれぞれ異なる透過度を引き起こしかねない結晶パラメータの起こり得る変化も、これによって補償することができる。
【0037】
多くの実施例によれば、光波の一部分は第1の表面のところで反射し(第1の反射光波)、光波のさらなる部分は第2の表面のところで反射する(第2の反射光波)。用語「反射光波」とは以下では、第1の反射光波および/または(特に「および」)第2の反射光波のことを表す。光波の両方の反射部分の光パラメータのそれぞれ一部分を、センサ装置によって捕捉することができ、次いで例えば評価ユニットによって評価することができる。光パラメータを捕捉するためにセンサ装置により検出する前、光波の両方の反射部分が少なくとも部分的にオーバラップしている可能性がある。例えばこの場合に、コヒーレントなオーバラップとは異なるオーバラップが想定されており、これは特に干渉測定方式ではない場合である。択一的に、空間的かつ/または時間的な分離も想定することができる。第1および第2の反射光波は、それぞれ異なる波長成分を有する可能性があり、かつ/または、第1および第2の反射光波の波長成分は、時間的かつ/または空間的にそれぞれ異なるように推移する可能性がある。第1の反射光波および第2の反射光波を、多くの実施例において互いに別々にセンサ装置を用いて、特に同じセンサ装置を用いて、検出することができる。
【0038】
固体を、種々の波長の光波に対し透過性とすることができる。固体にさらに別の光波を照射することができ、その際にそれらの光波は、固体が透過性ではない波長を有することができる。固体がある波長の光波に対し透過性と見なされるのは、その波長に対する透過度が少なくとも60%となる場合であり、特に少なくとも70%または少なくとも80%または少なくとも90%となる場合である。例えば種々の波長は、電磁スペクトルの可視領域(380nm~780nm)に位置している。択一的または付加的に、波長は近赤外(780nm~3μm、特に900nm~1200nm)に位置している。
【0039】
少なくとも1つの実施形態によれば、レーザ放射の調整されるレーザパラメータは、以下のパラメータのうちの少なくとも1つを含むことができ、またはレーザ放射の調整されるレーザパラメータを、以下のパラメータのうちの少なくとも1つとすることができる。すなわち、レーザ放射の焦点ポジション(すなわち焦点)、レーザ放射の焦点サイズ(すなわち焦点距離)、レーザ放射の強度および/またはエネルギー、レーザ放射の波長(特にピーク波長)、レーザ放射のレーザパルスにおける強度分布、レーザ放射のレーザパルスのパルス持続時間、レーザ放射の偏光、レーザ放射の繰り返し率。特にレーザパラメータは、レーザ放射の焦点ポジションおよび強度を含むことができる。可能性として考えられるのは、上述のレーザパラメータを介して、特に焦点ポジションおよび強度を介して、改質の位置を所期のように調整可能である、ということである。レーザパラメータの調整を、1つまたは複数の改質を形成するために用いられるレーザパルスごとに、かつ/または、少なくとも1つの改質が形成される体積部分ごとに、行うことができる。
【0040】
レーザ放射は、パルス化された部分および/または連続的な部分を有することができる。典型的には、レーザ放射はパルス化されている。焦点ポジションおよび/または焦点サイズを、例えば光学系を用いて調整することができる。レーザパラメータは部分的に依存し合っている可能性があり、例えばレーザパラメータの波長と強度とは相関している可能性がある。
【0041】
多くの実施例において、捕捉された光パラメータは、反射しセンサ装置を用いて検出された光波の偏光または偏光の変化を含む。偏光から、体積部分の偏光情報を求めることができる。ここで特に可能性として考えられるのは、反射光波の偏光が局所分解されて検出される、ということである。択一的または付加的に、偏光情報を例えばデータの形態で準備することができ、その際にそれらの偏光情報によって、反射放射および/またはレーザ放射の偏光が表される。
【0042】
可能性として考えられるのは、体積部分に改質を形成するために、少なくとも1つのレーザパラメータが体積部分の偏光情報に応じて調整される、ということである。典型的には、レーザ放射の偏光が偏光情報に応じて調整される。例えば少なくとも1つのレーザパラメータが、もっぱら偏光情報に応じて、または付加的に他の情報に応じて、調整される。
【0043】
例えば偏光情報から、かつ/または、偏光から、固体の少なくとも1つの結晶パラメータの推定を実施することができ、特に以下のパラメータのうちの少なくとも1つの推定を実施することができる。すなわち、固体の結晶構造および/または結晶の配向、固体の結晶格子におけるポリタイプの変化、固体、特に固体の結晶、における引張応力状態、転位(例えば螺旋転位)、固体内の欠陥。
【0044】
固体、特に固体の結晶骨格、における引張応力状態は例えば、固体の材料における亀裂の形成および/または伝播に影響を及ぼす可能性がある。相応に必要とされる可能性があるのは、引張応力がいっそう低い領域と対比して、引張応力がいっそう高い領域において改質を形成するために、少なくとも1つのレーザパラメータを整合することである。亀裂形成および/または亀裂伝播は、択一的または付加的に、少なくとも1つの形成された改質に対し相対的な結晶の配向によって、影響を受ける可能性がある。結晶の配向に対する改質の配向は、往々にして結晶格子のポリタイプに依存する可能性がある。同様に亀裂形成および/または亀裂伝播に対し、転位が作用を及ぼす可能性がある。特に、体積部分における固体の材料の複屈折を、1つまたは複数のレーザパラメータの相応の調整によって補償することができる。
【0045】
偏光から結晶パラメータを求めるために、センサ装置は多くの実施形態において、直線偏光で形成されている可能性がある。特にこの場合には、センサ装置に対し相対的に規定された(例えば固定的に規定された)偏光だけしか測定されない。光波のそれぞれ異なる入射方向で、かつ/または、それぞれ異なるようにセンサを回転させて、少なくとも2度にわたり測定することによって、結晶パラメータの推定を実施することができる。択一的または付加的に、光波は少なくとも部分的に、特に完全に、直線偏光されている可能性があり、この場合には光波の偏光を回転させることができる。次いで少なくとも2度にわたり測定することによって、結晶パラメータに関する画像がもたらされる。
【0046】
捕捉すべき光パラメータは、1つの実施形態によれば、反射し特にセンサ装置を用いて検出された光波の強度を含むことができる。これらの強度について、かつ/または、これらの強度から、強度情報を求めることができ、その際に少なくとも1つのレーザパラメータが強度情報に応じて調整される。可能性として考えられるのは、体積部分における固体の厚さが少なくとも部分的に強度情報から特定される、ということである。択一的または付加的に可能性として考えられるのは、体積部分における固体の透過度が強度情報から求められ、少なくとも1つのレーザパラメータが透過度に応じて調整される、ということである。例えば強度情報は、反射光波(特に第1および第2の反射光波)の少なくとも2つの波長成分に関する強度を含む。例えば強度情報から一般に、固体内部における間隔を特定することができる。体積部分の厚さに加えて、択一的または付加的に、先在損傷および/または含有物および/または既に形成されている改質のポジションを特定することができる。さらに強度値から、(例えば差分形成を用いるなどして)体積部分における吸収性を特定することができる。例えばこのことから付加的に、体積部分のために必要とされるレーザパラメータ(例えばエネルギーおよび/または焦点ポジション)を特定することができる。
【0047】
センサ装置は、さらなる実施形態によれば、例えば強度信号を特定する目的で光パラメータを捕捉するために、同じ体積部分において少なくとも2回または厳密に2回、反射光波を検出する。この場合、反射光波を、少なくとも2回(特に毎回)、それぞれ異なる長さで捕捉および/または検出することができる。択一的または付加的に、さらなる測定パラメータを変更することができる(例えば光波および/または反射光波の偏光、センサ装置と第1の表面との間隔および/または光波の散開)。光パラメータを、センサ装置により検出された光波に応じて特定することができる。この場合に同様に可能性として考えられるのは、体積部分ごとに2つよりも多くの信号(例えば2つよりも多くの強度信号)が、特に波長ごとに2つよりも多くの信号が評価される、ということである。例えば、それぞれ異なる長さで検出された光波を表す強度情報の補償が行われる。例えば、それぞれ異なる捕捉時間(検出時間)によって、間隔情報を著しく精密に特定することができる。
【0048】
光波を放射源から、特に連続的に、放出させることができる。放射源を固体の一方の側に、特に第1の表面のところに、かつ/または、第1の表面の上方に、配置することができる。センサ装置の検出時間を調整可能とすることができる。検出時間は、その間に反射光波が検出および/または捕捉される期間である。センサ装置の検出時間を、種々の波長について異ならせることができる。例えばセンサ装置を、反射光波が同じ場所で、特に同じ体積部分に対し、少なくとも2回の測定についてそれぞれ異なる検出時間にわたり検出されるように、調整可能であり、かつ/または、調整された状態とすることができる。択一的または付加的に、体積部分に(時間的に)それぞれ異なる長さで光波を印加することができる。したがって例えば、体積部分に最初に第1の検出時間t1にわたり光波を印加することができ、次いで第2の検出時間t2にわたり光波を印加することができ、ただし第1の検出時間と第2の検出時間とを異ならせることができる。例えば以下のことが成り立つ。すなわち、t1*1.1<t2またはt1*1.3<t2またはt1*1.5<t2またはt1*1.8<t2またはt1*2<t2またはこの逆に、つまりt2*1.1<t1またはt2*1.3<t1またはt2*1.5<t1またはt2*1.8<t1またはt2*2<t1。
【0049】
多くの実施例の場合、(例えば厚さを特定するための)間隔情報も、(例えば透過度を特定するための)強度情報も求められる。厚さの特定および(特に透過度を特定するための)光波の強度情報の特定を、固体の同じ部分について、特に同時に、または2秒未満または1秒未満または0.5秒未満の時間窓内で、または同じ時点に、生じさせることができる。例えばこれによって可能であるのは、個々の体積部分を短時間のうちに測定する、ということである。このことは、複数のマップ、特にエネルギーマップと厚さマップとを形成するために、役立つ可能性がある。用語「マップ」とはここでは、例えば局所分解して固体の特性を表すものである。
【0050】
一般的に可能性として考えられるのは、複数の体積部分についてそれぞれ厚さおよび/または透過度および/または偏光が特定される、ということである。このことは、個々の違いを考慮して、光波を用いて特定することのできる固体のさらなるパラメータについて適用される。特に、厚さおよび/または透過度を、固体全体に沿って厚さの変化および/または透過度の変化を特定できる程度に多くの体積部分について、特定することができる。種々の体積部分を、横方向で部分的にオーバラップさせることができる。つまり第1の表面における光波の横方向の広がり(第1の表面部分の横方向の広がりに対応)は、隣り合う体積部分の中央から中央までの間隔よりも大きい。種々の体積部分は、例えば体積でみると実質的に等しい、または少なくとも80%または少なくとも90%または少なくとも95%等しい体積(mm3)を有する。択一的または付加的に、種々の体積部分を横方向でオーバラップさせてもよいしオーバラップさせなくてもよく、後者の場合には、隣り合う体積部分を互いに直に隣接させてもよいし、または互いに離間させてもよい。第1の表面における光波の横方向の広がりは、この場合には隣り合う体積部分の中央から中央までの間隔よりも小さいかそれと等しい。
【0051】
多くの実施例において、隣り合う体積部分の中央から中央までの間隔を、少なくとも150μm(または少なくとも250μm、または少なくとも400μm、または少なくとも800μm、または少なくとも1.5mm)とすることができる。このことを、オーバラップした体積部分についても互いに離間された体積部分についても、当てはまるものとすることができる。体積部分がオーバラップしているのか、または互いに隣接しているのか、または互いに離間されて配置されているのか、にかかわらず、各体積部分間において求められたパラメータの補間を行うことができる。特に、離間された体積部分の場合には、体積部分の間の領域に改質を形成するためのレーザパラメータの整合を可能にする目的で、かかる補間が多くの実施例において必要とされる可能性がある。
【0052】
例えば種々の体積部分を測定するために、光波および固体が互いに相対的に動かされ、その際に相前後する2つの運動の間に、光波により照射された体積部分の厚さおよび/または透過度が特定される。可能性として考えられるのは、最初に1つの体積部分について厚さおよび/または透過度が特定され、次いでこの体積部分において少なくとも1つの改質が形成される、ということである。択一的に、最初に複数の体積部分について、例えばすべての体積部分について、個々の厚さおよび/または個々の透過度が特定され、次いでこれら複数の体積部分の各々に、少なくとも1つの改質が形成される。
【0053】
さらなる実施形態によれば、この方法はさらに以下のステップを有する。すなわち、少なくとも体積部分に改質を形成した後、固体の体積部分に、第1の表面を介して種々の波長の複数の光波および/または種々の波長の複数のさらなる光波を印加するステップ。この場合、光波および/またはさらなる光波は、部分的に第1の表面のところで反射し、部分的に固体内に入射して、少なくとも1つの改質のところで反射する。さらに、反射した光波および/または反射したさらなる光波の光パラメータを、既述のセンサ装置および/またはさらなるセンサ装置により少なくとも部分的に捕捉する。
【0054】
さらなるセンサ装置を、既述のセンサ装置のように形成することができる。択一的にさらなるセンサ装置は、既述のセンサ装置とは異なる光学系を有することができる。一般に、さらなるセンサ装置により捕捉された光パラメータから、例えば位置情報、強度情報および/または偏光情報などのような情報を求めることができる。さらなる光波を、既述の光波のように生成することができる。択一的にさらなる光波を、既述の光波とは以下の特性のうち少なくとも1つの特性の点で異ならせることができる。すなわち、さらなる光波を生成するための光源と第1の表面および/または第2の表面との間隔、固体内における種々の波長部分の焦点のポジション、光波の散開、光波の偏光。
【0055】
既述のセンサ装置および/またはさらなるセンサ装置により捕捉された光パラメータの少なくとも一部分から、位置情報を求めることができる。これらの位置情報から、少なくとも1つの改質と第1の表面との間の間隔、および/または、少なくとも1つの改質と第2の表面との間の間隔を、固体の体積部分において特定することができる。これにより例えば、固体内部における1つまたは複数の改質のポジションを検査可能である。この場合、位置情報を、間隔情報と同じものとすることができ、かつ/または、間隔情報と同じようにして特定することができる。よって、間隔情報についてこれまでに開示したことは、個々の違いを考慮して位置情報についても適用され、また、これとは逆のことも適用される。
【0056】
択一的または付加的に、既述のセンサ装置および/またはさらなるセンサ装置により捕捉された光パラメータのさしあたり一部分から、色情報を求めることができる。色情報から、改質の品質を特定することができる。色情報を、少なくとも1つの改質、特に剥離面、の光沢画像に対応させることができる。光沢画像は種々の色成分を有することができる。可能性として考えられ得るのは、光沢画像の色から、レーザ放射のエネルギーおよび/または強度が適正に選択されたか否か、を求める、ということである。さらに、十分な個数の改質が固体内に導入されたか否か、を検査することができる。択一的または付加的に、後者を位置情報からも求めることができる。前述の情報を基準データとして格納することができ、後続の固体内に改質を形成する際、レーザパラメータを調整するために再利用することができる。択一的または付加的に、同じ固体をもう一度、レーザ放射により処理することができ、その際にレーザ放射のエネルギーおよび/または強度および/または焦点ポジションを、再度の処理の際の光沢画像からの情報に従い整合させることができる。例えばこれによって、過小のエネルギーおよび/または強度によって導入された改質の補正および/または改質の個数が不十分なときの改質の付加的な導入が可能となる。
【0057】
色情報を求めるために、少なくとも1つの改質を第1の測定において光波により測定することが必要となる可能性がある。これに続く第2の測定において、少なくとも1つの改質を既述の光波とは異なるさらなる光波により測定することができる。さらなる光波は特に、それらの散開の点で、かつ/または、同じ波長の焦点ポジションの点で、既述の光波とは異なる。可能性として考えられるのは、さらなる光波が既述の光波と同じ光源によって生成される、ということである。この場合、散開を、例えば光源の光学系の整合によって変化させることができる。択一的または付加的に、焦点ポジションを、固体に対し相対的に光源をシフトさせることによって変化させることができる。ただし、さらなる光波が既述の光源とは異なるさらなる光源によって生成される、ということも可能性として考えられる。
【0058】
さらなる実施形態によればセンサ装置および光波を生成する放射源は、第1の表面に対し、第2の表面に対するよりも近くに離間されて配置されている。複数のセンサ装置および/または光波を生成する複数の放射源を設けるのが望ましいならば、それらを第1の表面に対し、第2の表面に対するよりも近くに離間させて配置することができる。第2の表面は例えば、層(例えば金属コーティングまたはパッシベーション)、浸漬液および/または部品構造といった構成要素を有することができ、それゆえに第1の表面を介した光波の改善された入射を行うことができる。
【0059】
固体について、特に具体的な固体について、さらなる実施形態によれば、間隔情報および/または強度情報および/または厚さおよび/または透過度および/または光パラメータが、少なくとも、第1の表面に沿った、かつ/または、第2の表面に沿った、横方向ポジションおよび/または体積部分の関数として、データ担体に基準データとして格納される。択一的または付加的な実施例において可能性として考えられるのは、上述の情報とは異なる情報(例えば位置情報、偏光情報、結晶パラメータ、光沢画像および/または色情報)が基準データとして格納される、ということである。横方向ポジションおよび/または体積部分を、位置座標(例えばデカルト座標または極座標)の形態で、かつ/または、第1の表面の表面部分の形態で、かつ/または、他の手法で識別可能に(例えば表面部分および/または体積部分のナンバリング)、格納することができる。三次元の位置座標も記憶させることができ、かつ/または、体積部分および/または位置に関する他の手法による識別データも記憶させることができる。
【0060】
さらなる実施形態によれば、固体内に改質が形成され、そのための基準データが準備され、かつ/または、出力され、かつ/または、記憶され、次いでさらなる固体内に、または上述の固体内のさらなる平面上に、改質が形成され、その際、さらなる固体内に、またはさらなる平面上に、改質を形成するためのレーザ放射の少なくとも1つのレーザパラメータが付加的に、格納されたまたは準備されたまたは出力された基準データの少なくとも一部分に少なくとも応じて調整される。事前に、特に直前に、処理された固体または第1の固体に対する基準データを、特に格納することができる。レーザ放射のコンフィギュレーションを、固体の処理中、情報の組み合わせ(例えばデータおよび/または信号の組み合わせ)に応じてもたらすことができ、この場合、情報の一部分は、(例えばセンサ装置および/または評価ユニットを用いた)固体の処理中に求められた情報であり、情報の一部分は、1つまたは複数の部分的にまたは完全に処理された固体について格納されたデータである。ここで「完全に処理された」とは、固体内に剥離面を形成するための改質形成が完了した、というように解されたい。ただし可能性としてあり得るのは、さらなる改質が同じ固体内の別の平面上に形成される、ということである。
【0061】
固体は、1つの実施形態によれば、炭化ケイ素(SiC)、特に4H-SiCを有し、または炭化ケイ素から成る。「固体はある材料から成る」とはここでは一般的に、固体がその固体を形成する材料に加えて、製造に起因する不純物および/またはドーパントを有し得る、というように解されたい。例えば固体は、(質量の)80%よりも多く、または(質量の)99%よりも多く、SiCを有する。「固体」とは、それが同じ材料から成る限りは、第1の表面と第2の表面との間の部分のみであると解することができる。換言すれば、固体の材料とは異なる付加的な構成要素(例えばコーティング、パッシベーション、部品構造など)を設けることができる。特に固体を、複合構造の一部分とすることができる。別の実施形態において、固体は、以下の材料のうちの少なくとも1つを有することができるか、または以下の材料のうちの少なくとも1つから成る。すなわち、窒化ガリウム(GaN)、ケイ素(Si)、サファイア(Al2O3)、酸化ガリウム(III)(Ga2O3)、ヒ化ガリウム(GaAs)。
【0062】
固体は、1つの実施形態によれば、第2の表面のところに半導体部品の部品構造を有する。部品構造を、種々の波長の光波に対し少なくとも部分的に非透光性に、かつ/または、少なくとも部分的に反射性に、形成することができる。択一的または付加的に、固体は第2の表面のところに、例えば金属化部など、光波に対し非透光性かつ/または反射性の、少なくとも1つの層を有することができる。改質形成を特に、部品構造が既に取り付けられた状態で行うことができる。取り付けられた部品構造および/または層のところに残された(例えばさらなる固体層の形態の)固体部分を、ここでは著しく薄いものとすることができ、その理由は、取り付けられた部品構造および/または層により十分な堅牢性を達成できるからである。例えばこれによって、材料全体の歩留まりを高めることができ、かつ/または、固体部分の研磨を低減することができる(例えば摩損を回避することができる)。
【0063】
さらなる実施形態によれば、固体層を固体から切り離すための、かつ/または、半導体部品を製造するための、これまで挙げてきた対象のうちの1つによる方法の使用が提供される。この半導体部品は、これまで挙げてきた部品構造のうちの少なくとも1つを含むことができる。ここでは半導体部品は例えば、特に電流をスイッチングするための、電気的な半導体部品である。半導体部品は特にpn接合部を含む。例えば半導体部品を、ダイオード(例えばショットキーダイオード)、電界効果トランジスタ(例えばMOSFET)および/またはIGBTとすることができ、あるいはここで挙げた部品のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0064】
さらなる実施形態によれば、装置が提供される。この装置を特に、これまで挙げてきた方法を実施するように構成することができ、かつ/または、そのために設けることができる。つまり、方法との関連で開示したすべての特徴は、装置のためにも開示されているものとすることができ、また、その逆もあり得る。
【0065】
この装置は、固体を規定どおりに配向するために、少なくとも1つの保持装置を有することができる。さらにこの装置は、種々の波長の複数の光波を予め定められたスペクトル内で生成する放射源(例えば広帯域の放射源、白色光源)を有することができる。放射源を例えば広帯域の放射源とすることができ、この放射源は、電磁スペクトルの可視領域および/または赤外領域における多色光を放出する。放射源として、または放射源において使用することのできる例示的な構成要素は、以下のうちの少なくとも1つを含む。すなわち、白色光源、光を放出するダイオード(例えば波長変換蛍光体を備えた発光ダイオードまたはレーザダイオード)、非線形ファイバ、ハロゲンランプ、キセノンランプ。しかもこの装置は、光波の少なくとも一部分の光パラメータを捕捉するセンサ装置を有することができる。光パラメータを捕捉する目的でこのセンサ装置を、光パラメータを求めるために光波を検出するように構成することができる。
【0066】
さらにこの装置は、光パラメータから以下の情報すなわち間隔情報、強度情報、位置情報、偏光情報、色情報のうちの少なくとも1つを求める評価ユニットを有することができる。評価ユニットは計算ユニットを有することができる。例えば評価ユニットは、プログラミング可能な回路を含み、かつ/または、計算ユニットである。評価ユニットは、コンピュータの一部分を含むことができる。評価ユニットに対し付加的または択一的に、計算ユニットを設けることができる。
【0067】
さらに可能性として考えられるのは、この装置は、固体内部に改質を形成するためにレーザ放射を生成するレーザ装置を有する、ということである。この装置は、センサ装置により求められた情報に応じてレーザ装置を制御する制御ユニットを含むことができる。制御ユニットは、電気的なコントローラ、電圧供給部、電流供給部のうちの少なくとも1つを含むことができる。制御ユニットは、メモリプログラミング可能な制御部を含むことができ、または制御ユニットを、そのような制御部とすることができ、かつ/または、少なくとも部分的に、プログラミング可能なユニット(例えば特にコンピュータの一部分としてのマイクロチップなど)により制御することができる。求められた情報を、間隔情報、強度情報、位置情報、偏光情報のうちの少なくとも1つとすることができる。求められた情報から例えば、体積部分における固体のパラメータを少なくとも部分的に特定することができる。このレーザ装置を、センサ装置により求められた情報に応じて、レーザ放射の少なくとも1つのレーザパラメータを変化させるように、構成することができる。レーザ装置(および/または場合により制御ユニット)はこの目的で、少なくとも1つの電気的に制御可能な構成要素(例を挙げると、電気光学的構成要素例えば電気光学変調器および/またはポッケルスセルなど、電気機械的構成要素例えば圧電素子など、および/または、電動モータ)および/または音響光学素子を含むことができる。付加的または択一的に、レーザ装置の光学系は、レーザパラメータの調整を可能にする少なくとも1つの光学的構成要素を含むことができる。電気的に制御可能な構成要素および/または光学的構成要素を、センサ装置により求められた情報に応じて、かつ/または、体積部分における固体の少なくとも1つのパラメータに応じて、調整することができる。
【0068】
例えばレーザ装置の光学系は、少なくとも1つのレンズ、特に複数のレンズ、例えば対物レンズ、を含む。ここでは、また、以下では、レーザ放射の焦点の変位をもたらすどのような構成要素も、レンズと見なされる(例えば凹面鏡または付加的な光路区間など)。光学系の少なくとも1つの構成要素または光学系全体を、構成要素のポジションつまりはレーザ放射の焦点を電気的に制御可能な構成要素を用いて(例えば圧電素子を用いて)シフトできるように、支承することができる。
【0069】
放射源およびセンサ装置は、さらなる実施形態によれば、1つのセンサユニット(多くの実施例において「第1のセンサユニット」とも称する)を形成する。このセンサユニットを、レーザ装置に対し固定的な相対ポジションに配置することができる。これにより例えば、ユニットの個々の構成要素を互いに精密に配向可能とすることができる。例えばこのユニットは、部分的にハウジングにより取り囲まれる。例えばこれによって、このユニットを損傷および汚れから保護することができる。さらにユニット全体を交換可能とすることができる。
【0070】
さらなる実施形態によれば、少なくとも1つの第2のセンサユニットが設けられている。第2のセンサユニットも放射源およびセンサ装置を含む。第1のセンサユニットと、第2のセンサユニットと、レーザ放射を固体内に集束させるレーザ装置の光学系の構成要素とを、1つの直線に沿って配置することができる。可能性として考えられるのは、レーザ装置の光学系の構成要素がセンサユニットの間に配置されている、ということである。その結果として得られた装置を用いることで、固体の精密な測定つまりは改質の精密な形成を実現することができる。さらにこの装置によって、形成された改質のポジションの検査を実現することができる。かくして著しく迅速かつ精密な加工を、特に連続的に行われる検査を伴って実施させることができる。
【0071】
さらなる実施例はプログラミング可能な回路に関する。プログラミング可能な回路は、例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含むことができ、またはこの回路をFPGAとすることができる。この回路は、入力側、出力側および処理ユニットを有することができる。入力側を、センサ装置からセンサ信号を受信するように構成することができる。例えばセンサ装置はこのために、回路の入力側と結合された出力側を有することができる。
【0072】
処理ユニットを、センサ装置のセンサ信号から情報を求めるように構成することができる。特にプログラミング可能な回路を、処理ユニットがセンサ装置のセンサ信号から情報を求めることができるように、プログラミングすることができる。求められた情報を、例えば信号および/またはデータとすることができる。例えば求められた情報は、間隔情報、強度情報、位置情報、偏光情報、色情報のうちの少なくとも1つを含む。択一的または付加的に、求められた情報は、レーザ装置の制御ユニットを制御するための制御信号を含むことができ、かつ/または、求められた情報の少なくとも一部分から、レーザ装置の制御ユニットを制御するための制御信号を求めることができる。択一的または付加的に、これらの情報は、レーザ装置により利用可能にされることになるレーザパラメータを含むことができる。
【0073】
出力側を、回路から求められた情報を出力するように構成することができる。例えば、求められた情報は回路内のさらなる構成要素に出力され、例えばさらなる処理ユニットに出力される。択一的または付加的に、求められた情報を出力信号の形態で、回路外部のさらなる構成要素に転送することができる。求められた情報の少なくとも一部分を、例えばレーザ装置の制御ユニットに出力することができる。例えばこのために、回路の出力側が制御ユニットの入力側と結合されている。
【0074】
多くの実施形態においてプログラミング可能な回路を、固体の体積部分における透過度および/または厚さおよび/または結晶パラメータを特定するために設けることができ、かつ/または、そのように構成することができる。プログラミング可能な回路を、センサ装置から到来するセンサ信号をプログラミング可能な回路を用いて評価できるように、コンフィギュレーションすることができる。センサ信号は、センサ装置を用いて検出された光波の光パラメータを表すことができ、かつ/または、含むことができる。
【0075】
プログラミング可能な回路(特に処理ユニット)を、多くの実施例においてリアルタイム対応とすることができる。「リアルタイム対応」がこの関連において意味するのは、プログラミング可能な回路のデータレート(すなわちプログラミング可能な回路がセンサ信号から情報を求め、出力側を介して出力するときのレート)が、それらの情報が入力側で利用可能にされるときのデータレートに少なくとも対応する、ということである。例えばプログラミング可能な回路(特に処理ユニット)のクロックレートは、少なくとも50kHzであり、特に少なくとも1MHzである。情報が入力側で利用可能にされるときのデータレートは、一方では光パラメータが測定されるときのデータレートに、他方ではセンサ装置のピクセル数に、左右される可能性がある。センサ装置内に多数のセンサがある場合には、総ピクセル数を考慮しなければならない。プログラミング可能な回路を用いることで、著しく多くの量の情報を著しく短時間のうちに、特にリアルタイムで、処理可能とすることができる。
【0076】
さらなる実施形態としてコンピュータプログラム製品が設けられており、この場合、コンピュータプログラム製品は命令を含む。それらの命令を、本明細書で説明されるプログラミング可能な回路をプログラミングするために設けることができ、かつ/または、そのように構成することができる。択一的または付加的に、それらの命令を、本明細書で説明される方法を実施する装置を制御するために設けることができ、かつ/または、そのように構成することができる。特にそれらの命令によってもたらすことができるのは、本明細書で説明される装置または択一的な装置が本明細書で説明される方法を実施する、ということである。
【0077】
図1に示された概略的な装置に基づき、本明細書で説明される方法ならびに本明細書で説明される装置の実施例について詳しく説明する。
【0078】
図1に示されている装置は、単に例示に過ぎないが、固体2、センサユニット22、レーザ装置13、および、固体2を保持するための保持装置341を含む。センサユニット22、レーザ装置13、放射源9および保持装置341を、固体内部に少なくとも1つの改質1を形成する方法を実施するための装置の一部とすることができる。
【0079】
固体2は、第1の表面4と、この第1の表面4から垂直方向zで離間された第2の表面6と、を有する。第1の表面4と第2の表面6との間の間隔は、固体2の厚さに対応する。固体2の厚さは、第1の表面4に沿ったかつ/または第2の表面6に沿った、横方向ポジションx,yの関数である。本実施例の場合、固体2は、単に例示に過ぎないが、いくらか楔形に形成されており、したがって固体2の厚さは、横方向ポジションx,yに沿って変化している。ただし固体2の厚さが、横方向ポジションx,yに沿ってこれとは異なるように変化することも考えられる。例えば、横方向ポジションx,yに沿った厚さの(特に二次元の)関数は、波状の関数、直線、二乗関数または不規則な関数に対応する。択一的に、横方向ポジションx,yに沿った固体の厚さを一定とすることができ、その場合には厚さの関数は1つの定数である。
【0080】
ここで考えられる固体2の択一的または付加的な実施形態によれば、固体は横方向ポジションx,yに沿って変化する透過性および/または結晶パラメータを有する。固体2の他のパラメータも、横方向ポジションx,yに沿って変化する可能性がある。
【0081】
保持装置341は、支持体装置34と結合層32とを含むことができる。例えば結合層32は、注型材料、接着剤および/または発泡体を含む。結合層32を、支持体装置34と固体2とを互いに機械的に結合するように、特に機械的かつ/または化学的に非破壊で取り外し可能な結合を介して結合するように、構成することができる。支持体装置34を、一時的な支持体として形成することができ、これは例えば後続のプロセスステップにおいて再び固体2から取り外され、かつ/または、新たな固体2の機械的な保持のために利用可能である。支持体装置34を、固体2のために、特に固体2の切り離すべき部分のために、機械的に安定化するように形成することができる。支持体装置34を、ガラス、金属、半導体および/またはプラスチックにより形成することができる。例えば支持体装置34はガラス支持体、フィルムまたはチャックであり、あるいはこれらのうちの1つを含む。特にフィルムの場合、結合層32は任意選択である。
【0082】
保持装置341に向いた固体2の側において、かつ/または、第2の表面6において、固体2は部品構造16を有することができる。さらに1つまたは複数の金属化部161を設けることができ、これらの金属化部161を、部品構造16の電気的な接触接続のために用いることができる。部品構造16を、固体2の第2の表面6に形成することができる。部品構造16および/または金属化部161を、少なくとも部分的に結合層32に埋め込むことができ、かつ/または、結合層32に直に隣接させることができる。
【0083】
この装置のセンサユニット22は、少なくとも1つの放射源9およびセンサ装置12を有することができる。図示の実施例に対する代案として、センサ装置12および放射源9を、構造的に互いに分離させて、かつ/または、互いに離間させて、かつ/または、互いに独立させて、構成することもできる。放射源9を、種々の波長の複数の光波10を予め定められた電磁スペクトル内で放出するように、構成することができる。例えば放射源9は白色光源であり、かつ/または、広帯域の光を放出する。センサ装置12を、放射源9から放出され場合によっては反射した光波10、11の少なくとも一部分の光パラメータを捕捉するように、特に光波10、11を検出するように、構成することができる。
【0084】
レーザ装置13は、例えばレーザ源を含むことができる。レーザ装置13を、レーザ放射14を特に近赤外で生成するように構成することができる。レーザ装置13は、光学系(例えばレンズ、対物レンズ、テレスコープ、偏向ミラーおよび/または回折光学素子)を有することができ、この光学系を用いてレーザ放射を固体2の内部に向けることができ、かつ/または、集束させることができる。レーザ放射14の少なくとも1つのレーザパラメータを調整することができる。少なくとも1つのレーザパラメータを、例えば光学系のうちの少なくとも1つを用いて、かつ/または、レーザ装置13のレーザ源のパラメータを変化させることにより、調整することができる(例えばパルス持続時間または波長の場合)。
【0085】
任意選択的に第2のセンサユニット24を設けることができ、この場合、第2のセンサユニット24も放射源9およびセンサ装置12を有することができる。択一的に、互いに分離させて第2の放射源と第2のセンサ装置とを設けることができる。第2のセンサユニット24の放射源9および/またはセンサ装置12を、(第1の)センサユニット22の放射源9および/またはセンサ装置12のように形成することができ、あるいはそれぞれまたは両方とも、(第1の)センサユニット22の放射源および/またはセンサ装置12とは異ならせることができる。可能性として考えられるのは、第1のセンサユニット22と、第2のセンサユニット24と、レーザ放射14を固体2内に向けるかつ/または集束させるレーザ装置13の光学系の構成要素と、が1つの直線内に配置されている、ということである。レーザ装置13の光学系の構成要素を、両方のセンサユニット22、24の間に配置することができる。光学系の構成要素を例えば、レンズまたは偏向ミラーおよび/または回折光学素子とすることができる。ただし、先に挙げた光学系のうちの他の光学系も考えられる。とはいえこの装置を、第2のセンサユニット24なしで形成してもよい。
【0086】
固体2内に改質1を形成する方法において、種々の波長の複数の光波10を固体2の体積部分8に導入することができる。体積部分8を、光波10により照射される固体2の部分に対応させることができ、またはこの部分と相関させることができる。体積部分8において固体は、厚さ、透過性および/または結晶パラメータを有する。各体積部分8は、第1の表面4の第1の表面部分を有することができ、さらにこの部分に続いて第2の表面6まで延在しており、そこにおいて体積部分8は、第2の表面6の第2の表面部分を有することができる。例えば体積部分8における厚さ/透過性/結晶パラメータは、体積部分8の横方向の広がりにわたり平均化された固体の厚さ/透過性/結晶パラメータに対応する。例えば第1の表面4に光波10が印加される。
【0087】
光波10の少なくとも一部分は、第1の表面4のところで反射する可能性があり、さらに光波10の少なくともさらなる一部分は、固体2内に入射する可能性がある。固体内に入射した光波10の一部分は、第2の表面6のところで少なくとも部分的に反射する可能性がある。例えば光波10は第2の表面6において、少なくとも部分的に部品構造16および/または金属化部161のところで反射する。第1の表面4および第2の表面6のところで反射した光波11を、次いで少なくとも部分的にセンサ装置12により検出することができる。特に、反射光波11の光パラメータがセンサ装置12により捕捉される。
【0088】
可能性として考えられるのは、複数の光波10の種々の波長および/または偏光が、固体2内において垂直方向zでそれぞれ異なるように伝播させられる、かつ/または、固体2内にそれぞれ異なるように吸収させられる、かつ/または、固体2のところでそれぞれ異なるように反射する、ということである(
図1では体積部分8内部のハッチングを変化させることで示唆されている)。特に、光波を散開させることができる。したがって例えば可能性として考えられるのは、(いっそう狭いハッチングで表された)いっそう短い波長の焦点ポジションは、(いっそう幅の広いハッチングで表された)いっそう長い波長の焦点ポジションよりも、第1の表面4の近くに位置している、ということである。第1の表面4および第2の表面6のところで反射した光波11は、オーバラップする可能性がある。波長に依存する伝播により結果として、スペクトル成分および/または偏光成分の時間差が生じる可能性がある。このような差から例えば、第1の表面4と第2の表面6との間の間隔および/または体積部分8における透過性および/または結晶パラメータおよび/または改質1のポジションの推定を実施することができる。例えば、共焦点クロマティック間隔測定を行うことができる。
【0089】
一般に、センサ装置12を用いて捕捉された光パラメータから、複数の情報(例えば間隔情報、強度情報、偏光情報、位置情報、色情報)を求めることができる。これらの情報を、体積部分8における固体2のパラメータ(例えば厚さ、透過度、結晶パラメータ)および/または体積部分8における改質1のパラメータ(例えばポジション、光沢画像)を特定するために、利用することができる。
【0090】
この方法においてさらにレーザ装置13を用いて、固体2の体積部分8に改質1が形成される。例えばこの目的で、レーザ放射14が固体2内に集束され、その際に固体2の材料が焦点ポジション26で損傷させられる(例えば溶融させられる)。例えば損傷は、多光子プロセスによって行われる。この場合、レーザ放射14の少なくとも1つのレーザパラメータが、体積部分8において事前に求められたパラメータ(例えば厚さ、透過度、結晶パラメータ)に応じて、少なくとも1つの改質1が第2の表面6に対し予め規定された間隔を有するように、調整される。レーザ放射14を、第1の表面4を介して固体2内に導入することができる。既述のパラメータに応じて、例えばレーザ装置13の一部分、特に光学系の一部分、の垂直方向zにおける偏向を、制御装置20により生じさせることができる。
【0091】
この方法は、多数の体積部分8の分析を含むことができ、その際に体積部分8ごとに間隔情報を求めることができる。個々の体積部分8を、横方向で互いに隣り合わせることができ(例えば互いに隣接させることができ)、あるいは部分的にまたは大部分をオーバラップさせることができる。可能性として考えられるのは、体積部分8各々について、ポジション(特に横方向ポジションx,y)および/または固体2内の空間的位置が求められる、ということである。例えば、センサユニット22を用いて第1の体積部分8を検査することができる一方、さらなる体積部分8において、捕捉された光パラメータおよび求められた間隔情報、特にさらなる体積部分8において特に求められた厚さ、に応じて、少なくとも1つの改質1を形成するためにレーザ放射14を導入することができる。
【0092】
本明細書で説明される方法によって例えば可能性として考えられるのは、複数の改質1を、特に1つの改質平面に沿って、固体2内に導入する、ということである。一般に、改質1各々と第2の表面6との予め規定された間隔を、固体2のすべての体積部分8について等しくすることができる。
【0093】
単に例示に過ぎないが、
図1では第1の表面4は第2の表面6に対し傾斜して描かれている(いわゆる楔形の形状)。その結果として生じる厚さの変化を、本明細書で説明される方法によれば例えば、いっそう厚い領域では改質1が、固体2のいっそう薄い領域におけるよりも第1の表面4に対し広い間隔を有する、というようにして補償することができる。これによって、第2の表面6に対し均一な間隔を有する改質平面を形成することができる。改質平面を、第2の表面6に対し平行にまたは実質的に平行に形成することができる。改質1を、第1の表面4よりも第2の表面6の近くに配置することができ、または形成することができる。改質1と第2の表面6との間の間隔を、改質1と第1の表面4との間の間隔よりも小さくすることができる(例えば最大で90%または最大で80%)。
【0094】
周縁領域において、固体2は任意選択的な切欠き28を有する。この切欠き28を、周囲全体にわたり改質1の高さに形成することができる。例えばこれによって、固体2の周縁部まで改質平面を拡げることができる。
【0095】
多くの実施例において、改質1を炭化ケイ素(SiC)の改質とすることができる。改質1を、局所的に制限されたSiCの相転移とすることができる。「局所的に制限された」とは例えば、相転移を1mm3よりも小さく、または0.1mm3よりも小さく、または0.01mm3よりも小さくすることができる、ということを意味する。相転移を、レーザ放射14の焦点26のところで生じさせることができ、かつ/または、多光子励起の結果として生じさせることができる。改質1を、部分的にオーバラップさせることができ、かつ/または、互いに離間させることができる。改質1によって、固体2内に圧縮応力を生じさせることができ、これによって改質1の領域で固体2に亀裂を入れることができ、特に臨界未満で亀裂を入れることができる。「臨界未満」とは、最大長が5mm未満、特に2mm未満または1mm未満、の亀裂(微小亀裂とも称する)が形成される、ということを意味することができる。
【0096】
これらの亀裂は例えば、固体2内に力を加えることによって互いに結合可能である。亀裂が結合した結果、固体層を固体2から切り離すことができる。亀裂の結合によって、固体層3を特に剥離面に沿って固体2から切り離すことができる。その際に固体層3を、固体2から固体層3を切り離した結果として生じる残りの固体よりも薄くすることができる。切り離し後、亀裂を有する固体2の領域が例えば露出する。
【0097】
例えば波、特に音響波、を用いることによって、かつ/または、機械的負荷によって、かつ/または、固体2内に応力を生じさせることによって、力をもたらすことができる。例えば、応力および/または機械的負荷を生じさせるために、ポリマー層(特にPDMSを有するポリマー層)が第1の表面4に配置され、次いで冷却される。多くの実施例において、ポリマー層の少なくとも1つの成分のガラス転移温度よりも低い温度まで、ポリマー層を冷却することができる。
【0098】
図2には、センサ装置12を用いて検出および/または捕捉された値が例示的に示されている。例えばこれらの値(ここでは波長に依存する強度)は光パラメータに対応し、または光パラメータの一部分であり、またはこれらの値から光パラメータの少なくとも一部分が求められる。この場合、反射し検出された光波11の強度38が、反射し検出された光波11の波長の関数として書き込まれている。第1の波長λ
1の場合、スペクトルは第1の強度I
1を有する第1のピークを含む。第2の波長λ
2の場合、スペクトルは第2の強度I
2を有する第2のピークを含む。第1のピークを、反射光波11のうち第1の表面4のところで反射した成分に対応させることができ、第2のピークを、反射光波11のうち第2の表面6のところで反射した成分に対応させることができる。例えば第1のピーク(特にそのスペクトルポジションすなわち第1の波長λ
1)から、第1の表面4までの第1の距離D
1を、さらに第2のピーク(特にそのスペクトルポジションすなわち第2の波長λ
2)から、第2の表面6までの第2の距離D
2を、それぞれ個々のピークのスペクトルポジションだけから、またはさらなる光パラメータと組み合わせて、求めることができる。第1の強度I
1と第2の距離I
2との差を、体積部分8の吸収性に対応させることができる。この吸収性から単独で、またはさらなる光パラメータと組み合わせて、例えば体積部分8における透過性を求めることができる。
【0099】
両方のピークのスペクトル距離36を、体積部分8における厚さに相関させることができる。この情報に応じてレーザ放射14の焦点ポジション26を、特に横方向ポジションx,yに沿った厚さの変化を補償するために、極めて精密に調整することができる。
【0100】
本明細書において特定の実施形態について具体的に示して説明してきたけれども、当業者であればわかるように、図示し説明したそれら特定の実施形態を、本発明の保護範囲から逸脱することなく、数多くの代替構成および/または等価構成によって置き換えることができる。本願は、本明細書で述べた特定の実施形態のいかなる適合または変形もカバーするものである。