(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】クレーン装置およびクレーン装置の自動運転による載置方法
(51)【国際特許分類】
B66C 13/48 20060101AFI20240910BHJP
B66C 1/28 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B66C13/48 A
B66C1/28 F
(21)【出願番号】P 2021212559
(22)【出願日】2021-12-27
【審査請求日】2023-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】593005644
【氏名又は名称】JFE物流株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【氏名又は名称】宮坂 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】大桑 甲
(72)【発明者】
【氏名】續木 悠介
(72)【発明者】
【氏名】吉田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】八尋 和広
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-109764(JP,A)
【文献】特開平05-132287(JP,A)
【文献】特開平06-032586(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02805904(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/48
B66C 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を保持する保持装置と、前記保持装置を垂直方向に縦移動させる縦移動装置と、前記縦移動装置を備え水平方向に横移動する横移動装置と、前記荷物を着床させる床面に置かれた固定部材の位置を前記床面の上方から計測する広域距離センサと、前記保持装置に掛かる前記荷物による負荷の有無を検知する負荷検知手段と、前記広域距離センサおよび前記負荷検知手段に接続し、前記保持装置、前記縦移動装置および前記横移動装置を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記広域距離センサに基づき前記固定部材の位置を認識し、
前記荷物が着床した場合に前記荷物が前記固定部材の側面と接触する水平方向の位置である目標降下位置から前記荷物が前記固定部材の側面と接触しない方向に第1オフセット量だけ水平方向に離れた位置である第1降下位置まで、前記横移動装置を横移動させ、
前記第1降下位置で前記荷物を保持した前記保持装置を降下させ、
前記負荷検知手段が前記負荷は無いと検知すると、前記保持装置を前記固定部材の前記床面からの高さより低い所定の高さまで上昇させて、前記横移動装置を前記固定部材の方向に向けて横移動させ、前記荷物を前記固定部材の側面に接触した状態で着床させることを自動で行う機能を有することを特徴とするクレーン装置。
【請求項2】
前記固定部材は、前記床面に置かれた台木もしくは既に床面に置かれた先行荷物であることを特徴とする請求項1に記載のクレーン装置。
【請求項3】
前記荷物が着床される前記床面は、車両の荷台の載置面であって、前記車両は前記載置面に前記荷物が着床すると、着床した前記荷物の重量に応じて前記荷台が沈み込む車両であり、
前記保持装置を前記所定の高さまで上昇させる場合の上昇量は、前記載置面に前記荷物を着床させた場合に、着床した当該荷物の重量に応じて沈み込む量より多いことを特徴とする請求項1または2に記載のクレーン装置。
【請求項4】
前記荷物が前記載置面に着床して前記車両の沈み込みが停止した場合に、前記負荷検知手段は、前記荷物による負荷は無いと検知することを特徴とする請求項3に記載のクレーン装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記保持装置を前記所定の高さまで上昇させた後、前記横移動装置を前記固定部材の方向に向けて、前記第1オフセット量より多い移動量である実移動量だけ横移動させて前記荷物を前記固定部材の側面に接触させた状態とし、
前記荷物を前記固定部材の側面に接触した状態で着床させることを自動で行う機能を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のクレーン装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記荷物を前記固定部材の側面に接触した状態で着床させた後、前記横移動装置を前記実移動量から前記第1オフセット量を引いた量だけ戻る方向に横移動をさせて、前記保持装置による前記荷物の保持を解除し、前記保持装置を上昇させる機能を有することを特徴とする請求項5に記載のクレーン装置。
【請求項7】
前記荷物は中心に穴を有するコイルであり、
前記保持装置は、一対のアームと、一対の前記アームの下端側に対向して設けられて前記コイルの穴に出入りする爪を備えたチャック機構と、を有し、
前記横移動装置は、走行レールに沿って走行するガータと、前記ガータに設置された横行レールを横行するクラブと、を有し、
前記縦移動装置は、前記クラブに設置されてワイヤにより前記保持装置を巻き上げる巻上装置と、を有し、
前記広域距離センサは、前記ガータに複数設置され、前記負荷検知手段は前記チャック機構に配置されていること特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のクレーン装置。
【請求項8】
荷物を保持する保持装置と、前記保持装置を垂直方向に縦移動させる縦移動装置と、前記縦移動装置を備え水平方向に横移動する横移動装置と、前記荷物を着床させる床面に置かれた固定部材の位置を前記床面の上方から計測する広域距離センサと、前記保持装置に掛かる前記荷物による負荷の有無を検知する負荷検知手段と、を備えたクレーン装置によって、前記荷物を前記固定部材の側面に接触した状態で着床させるクレーン装置の自動運転による載置方法であって、
前記荷物が着床した場合に前記固定部材の側面と接触する水平方向の位置を目標降下位置と定め、
前記目標降下位置から、前記荷物が前記固定部材の側面と接触しない方向に第1オフセット量だけ水平方向に離れた位置である第1降下位置まで、前記横移動装置を横移動させ、
前記第1降下位置まで、前記横移動装置を横移動させた後、前記第1降下位置で前記荷物を保持した前記保持装置を降下させ、
前記負荷検知手段が前記負荷は無いと検知すると、前記保持装置を前記固定部材の前記床面からの高さより低い所定の高さまで上昇させて、
前記所定の高さまで前記保持装置を上昇させてから、前記横移動装置を前記固定部材の方向に向けて横移動させて、前記保持装置を降下させ前記荷物を前記固定部材の側面に接触した状態で着床させることを特徴とするクレーン装置の自動運転による載置方法。
【請求項9】
前記荷物が着床される前記床面は、車両の荷台の載置面であって、前記車両は前記載置面に前記荷物が着床すると、着床した前記荷物の重量に応じて前記荷台が沈み込む車両であり、
前記保持装置を所定の高さまで上昇させる場合の上昇量は、前記載置面に前記荷物を着床させた場合に、着床した当該荷物の重量に応じて沈み込む量より多いことを特徴とする請求項8に記載のクレーン装置の自動運転による載置方法。
【請求項10】
前記荷物が前記載置面に着床して前記車両の沈み込みが停止した場合に、前記負荷検知手段は、前記荷物による負荷は無いと検知することを特徴とする請求項9に記載のクレーン装置の自動運転による載置方法。
【請求項11】
前記保持装置を前記所定の高さまで上昇させた後、水平方向における前記第1降下位置から前記第1オフセット量よりも多い移動量である実移動量だけ前記横移動装置を横移動させて前記荷物を前記固定部材の側面に接触させ、
前記実移動量だけ前記横移動装置を横移動させて前記荷物を前記固定部材の側面に接触させた後、前記保持装置を降下させて前記荷物を前記床面に着床させることを特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記載のクレーン装置の自動運転による載置方法。
【請求項12】
前記荷物を前記固定部材の側面に接触した状態で着床させた後、前記横移動装置を前記実移動量から前記第1オフセット量を引いた量だけ戻る方向に横移動をさせて、前記荷物の保持を解除し、前記保持装置を上昇させることを特徴とする請求項11に記載のクレーン装置の自動運転による載置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送用のクレーン装置およびクレーン装置の自動運転による載置方法に関し、より詳しくは、倉庫内に載置された鋼板コイルなどの吊荷(荷物)をクレーンで搬送して、コイル運搬トレーラなどの車両の荷台に自動運転によって載置することができるクレーン装置およびクレーン装置の自動運転による載置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、倉庫内に載置された鋼板コイルなどの吊荷をクレーンで搬送して、コイル運搬トレーラなどの車両の荷台に自動運転によって載置するクレーン自動制御装置が示されている。特許文献1に示すクレーン自動制御装置は、X、Y、Z方向を計測できる3次元レーザスキャナーなどの広域距離センサにより、倉庫内に載置された吊荷のコイルや車両の荷台の位置を計測して、コイル運搬用の天井クレーンを用いた自動運転を行い、コイルを車両の荷台に自動搬送している。
【0003】
コイルを車両の荷台に載せる(着床)場合、走行中に荷台上に積載したコイルが前方にずれないようにするため、ずれ防止用のストッパとして台木が荷台に設けられており、この台木の後ろ側で台木にコイルを密着させて載置する必要がある。そのため、目標位置である台木に密着させるように着床させるために、台木の後方側にコイルを下げてから、横移動させてコイルを台木に密着させて荷台に載置する。
【0004】
また、製品としてのコイルなどは、コイルの表面に傷が付くことや、変形するのを防ぐために梱包材で覆われている。従って、車両の荷台上で天井クレーンによる横移動を行う場合、梱包材が破れたりするのを防ぐため、コイルと荷台の間にわずかな隙間を設けて横移動させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのためには、正確に高さ方向を計測・制御する必要がある。一方、3次元レーザスキャナーなどの広域距離センサはX、Y方向については精度よく計測できるが、高さ方向であるZ方向については、車両の荷台にコイル保護用ゴム材、固縛材などがある場合が多く、X、Y方向ほど精度よく計測できないことがある。また、精度良く測定できたとしても、クレーン自体の撓みやワイヤー伸び等の影響で、目標となる測定結果の高さ方向位置に精度よく停止させることができなかった。そのため、停止精度に誤差があることから、梱包材で覆われたコイルを車両の荷台上で天井クレーンにより横移動する場合、車両の荷台にコイルが接触した状態で横移動させてしまうため梱包材を破いてしまったり、コイル自身を傷つけたり、変形させてしまうということが発生するという課題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題に着目してなされたものであり、荷物と床面との間に隙間を設けながら横移動させて、荷物を床面に置かれた停止部材の側面に接触した状態で着床させることを自動運転で行うクレーン装置およびクレーン装置の自動運転による載置方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、荷物を保持する保持装置と、保持装置を垂直方向に縦移動させる縦移動装置と、縦移動装置を備え水平方向に横移動する横移動装置と、荷物を着床させる床面に置かれた固定部材の位置を床面の上方から計測する広域距離センサと、保持装置に掛かる荷物による負荷の有無を検知する負荷検知手段と、広域距離センサおよび負荷検知手段に接続し、保持装置、縦移動装置および横移動装置を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、広域距離センサに基づき固定部材の位置を認識し、荷物が着床した場合に荷物が固定部材の側面と接触する水平方向の位置である目標降下位置から荷物が固定部材の側面と接触しない方向に第1オフセット量だけ水平方向に離れた位置である第1降下位置まで、横移動装置を横移動させ、第1降下位置で荷物を保持した保持装置を降下させ、負荷検知手段が負荷は無いと検知すると、保持装置を固定部材の床面からの高さより低い所定の高さまで上昇させて、横移動装置を固定部材の方向に向けて横移動させ、荷物を固定部材の側面に接触した状態で着床させることを自動で行う機能を有するクレーン装置である。
【0009】
本発明の他の態様は、荷物を保持する保持装置と、保持装置を垂直方向に縦移動させる縦移動装置と、縦移動装置を備え水平方向に横移動する横移動装置と、荷物を着床させる床面に置かれた固定部材の位置を床面の上方から計測する広域距離センサと、保持装置に掛かる荷物による負荷の有無を検知する負荷検知手段と、を備えたクレーン装置によって、荷物を固定部材の側面に接触した状態で着床させるクレーン装置の自動運転による載置方法であって、荷物が着床した場合に固定部材の側面と接触する水平方向の位置を目標降下位置と定め、目標降下位置から、荷物が固定部材の側面と接触しない方向に第1オフセット量だけ水平方向に離れた位置である第1降下位置まで、横移動装置を横移動させ、第1降下位置まで、横移動装置を横移動させた後、第1降下位置で荷物を保持した保持装置を降下させ、負荷検知手段が負荷は無いと検知すると、保持装置を固定部材の床面からの高さより低い所定の高さまで上昇させて、所定の高さまで保持装置を上昇させてから、横移動装置を固定部材の方向に向けて横移動させて、保持装置を降下させ荷物を固定部材の側面に接触した状態で着床させるクレーン装置の自動運転による載置方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、荷物と床面との間に隙間を設けながら横移動させて、荷物を床面に置かれた停止部材の側面に接触した状態で着床させることを自動運転で行うクレーン装置およびクレーン装置の自動運転による載置方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るクレーン装置の概略構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る負荷検知手段の概略図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るコイルが載置される車両を示す概略図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るクレーン装置がコイルを着床させる場合の実施形態を示す説明図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るクレーン装置がコイルを台木に密着させて着床させる場合の実施形態を示す説明図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るクレーン装置がコイルを着床させる場合の他の実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な説明では、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる場合が含まれる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0013】
本実施形態によるクレーン装置は、荷物を保持する保持装置と、保持装置を垂直方向に縦移動させる縦移動装置と、縦移動装置を備え水平方向に横移動する横移動装置と、荷物を着床させる床面に置かれた固定部材の位置を床面の上方から計測する広域距離センサと、保持装置に掛かる荷物による負荷の有無を検知する負荷検知手段と、広域距離センサおよび負荷検知手段に接続し、保持装置、縦移動装置および横移動装置を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、広域距離センサに基づき固定部材の位置を認識し、荷物が着床した場合に荷物が固定部材の側面と接触する水平方向の位置である目標降下位置から荷物が固定部材の側面と接触しない方向に第1オフセット量だけ水平方向に離れた位置である第1降下位置まで、横移動装置を横移動させ、第1降下位置で荷物を保持した保持装置を降下させ、負荷検知手段が負荷は無いと検知すると、保持装置を固定部材の床面からの高さより低い所定の高さまで上昇させて、横移動装置を固定部材の方向に向けて横移動させ、荷物を固定部材の側面に接触した状態で着床させることを自動で行う機能を有するクレーン装置である。以下において、本実施形態に係るクレーン装置の詳細を
図1、
図2に基づき説明する。
【0014】
図1は、実施形態に係るクレーン装置1の概略構成図である。
図1に示すクレーン装置1は、例えば、倉庫(図示せず)内の所定の置場に載置された被移送物である荷物としての中心穴36を有するコイル34を他の置場に搬送する際に使用される。このクレーン装置1は、天井クレーンで構成され、倉庫の床面上に設けられた2本の柱15の上に設置された2条の走行レール2を走行するガータ3と、ガータ3上に設置された横行レール16を横行するクラブ5と、クラブ5に設置された巻上装置7と、巻上装置7にワイヤ8により吊下げられて荷物を把持するリフター10とを備えている。走行レール2、ガータ3、横行レール16がクラブ5を水平方向に横移動させる。また、巻上装置7はリフター10を垂直方向に縦移動させる。リフター10は、荷物としてのコイル34を保持する保持装置である。
【0015】
ガータ3は、走行レール2上を走行する走行車輪4と、走行車輪4を駆動する走行モータ(図示せず)とを備えている。また、クラブ5は、ガータ3の横行レール16上を横行する横行車輪6と、横行車輪6を駆動する横行モータ(図示せず)とを備えている。巻上装置7は、駆動モータで駆動するウインチで構成され、ワイヤ8により吊下げられて荷物を把持するリフター10を巻上げ及び巻下げする。巻上装置7には、ウインチの回転軸の回転角度を検出してリフター10の巻下げ量を検出する巻下げ量検出センサとしてのエンコーダ9が設置されている。巻上装置7によるワイヤ8の巻上によってリフター10は垂直方向に縦移動するため、巻上装置7がリフター10の縦移動装置となる。巻上装置7が設置されたクラブ5とクラブ5が設置されたガータ3が水平方向に横移動することによりリフター10が横移動するため、クラブ5とガータ3がリフター10の横移動装置となる。走行レール2、ガータ3、横行レール16、クラブ5、巻上装置7が、保持装置としてのリフター10を水平方向の横移動と垂直方向の縦移動させる移動装置である。
【0016】
ガータ3の下部には、広域距離センサ14が所定の間隔で4か所配置されている。広域距離センサ14は3次元の広い範囲の距離を計測することができるセンサである。そのため、広域距離センサ14は、リフター10により保持されたコイル34を着床させる位置の目標物である後述する台木33の位置や、
図6に示す載置面32に既に置かれた先行コイル35の位置を載置面32の上方から計測する。本実施形態では、広域距離センサ14を4か所配置させることで、1か所ではカバーすることができない広い範囲の距離を測定することができる。
【0017】
リフター10は、可動自在に対向配置された左右一対の左側のアーム11L及び右側のアーム11Rを備えている。左側のアーム11L及び右側のアーム11Rのそれぞれには、コイル34の中心穴36内に挿入されてコイル34を支持する爪12L、12Rを備えたチャック機構17R、17Lが設けられている。チャック機構17R、17Lは、図示しないアクチェータを有し、爪12L、12Rの出し入れを行う。チャック機構17R、17Lには、コイル34の荷重である負荷を検出する負荷検知手段13L、13Rが設置されている。
【0018】
また、クレーン装置1は、図示しない上位コンピュータ、負荷検知手段13および広域距離センサ14に接続して、保持装置および移動装置を制御する制御装置20を備えている。すなわち、制御装置20はガータ3の走行車輪4を駆動する走行モータ、クラブ5の横行車輪6を駆動する横行モータの駆動を制御するとともに巻上装置7、および、チャック機構17を制御する。尚、上位コンピュータは、コイル34の製品情報として、コイル34の幅、外径、内径、重量などの情報を有し、必要に応じて制御装置20にコイル34の製品情報を送る。
【0019】
次に、
図2(a)を用いて、本実施形態の負荷検知手段13について説明する。尚、
図2(a)においては、左右の負荷検知手段13R、13Lのうち、右の負荷検知手段13Rのみを示し、また、符号におけるアルファベットのRを省略している。
図2(a)に示す他の構成についても同様に符号のアルファベットRを省略している。省略した左の負荷検知手段13Lは右の負荷検知手段13Rと同じである。
図2(b)、
図2(c)についても同様である。
【0020】
負荷検知手段13は、リフター10に掛かるコイル34による負荷の有無を検知する。負荷検知手段13は、検出ピン40とリミットスイッチ41を備えている。検出ピン40は、コイル34の中心穴36の内周面に係止する爪12の係止面18に配置されている。検出ピン40は係止面18に対して出没自在に設けられており、爪12がコイル34を係止しない場合は先端が係止面18から突出し、爪12がコイル34を係止した状態で先端は係止面18から突出せず爪12内に埋没する。リミットスイッチ41は、検出ピン40の出没を検出する。検出ピン40およびリミットスイッチ41により、爪12の係止面18がコイル34の中心穴36の内周面(以下、コイル34の内周面という。)に係止していることを直接検知する。リフター10がコイル34を把持し、左右の爪12R、12Lの係止面18がコイル34の内周面を係止すると、制御装置20は、リミットスイッチ41からの信号により、コイル34による負荷があると判断する。リフター10が降下して、コイル34が載置面32に着床し、左右の爪12R、12Lの係止面18がコイル34の内周面から離れると、制御装置20は、リミットスイッチ41からの信号により、コイル34による負荷が無いと判断する。
【0021】
図2(b)、(c)は、他の実施形態の負荷検知手段13である。
図2(b)は、負荷検知手段13は、近接スイッチ42を備えている。近接スイッチ42は、爪12の内部であって係止面18側に配置されている。近接スイッチ42は、係止面18にコイル34の内周面が係止していることを直接検知する。
【0022】
図2(c)の負荷検知手段13は、検出ピン40と近接スイッチ42を備えている。アーム11は、爪12がアーム11から出た状態で爪12の下面である爪部下面21を支持する支持面19を有している。検出ピン40は、爪部下面21に配置されている。検出ピン40は爪部下面21に対して出没自在に設けられており、爪12がコイル34を係止しない場合は先端が爪部下面21から突出し、爪12がコイル34を係止した状態で先端は爪部下面21から突出せず爪12内に埋没する。近接スイッチ42は、爪12の内部に配置されて検出ピン40の出没を検出する。検出ピン40および近接スイッチ42により、係止面18にコイル34の内周面が係止していることを間接的に検知する。
【0023】
次に、
図3を用いて、本実施形態におけるコイル34を着床させる床面について説明する。本実施形態の床面は車両30の荷台31の載置面32である。
図3(a)に示すように、車両30の載置面32には、車両30の運転時にコイル34が移動しないように固定する固定部材として台木33が置かれている。台木33の載置面32からの垂直方向の高さはAである。本実施形態では、台木33の載置面32からの垂直方向の高さは200mmである。また、車両30は、コイル34が着床すると着床したコイル34の重量に応じて荷台31が沈み込む車両であり、沈み込む量の最大である最大沈み込み量はBである。本実施形態では、最大沈み込み量Bは40mmである。
【0024】
次に、
図4を用いて、本実施形態に係るクレーン装置が自動運転を用いてコイル34を着床させる場合について説明する。尚、実施形態の特徴は、コイル34を固定部材である台木33の側面に接触した状態で着床させることを自動運転で行うクレーン装置であるため、クレーン装置1のリフター10が床面においてあるコイル34を保持してコイル34を着床させる目標位置の近傍に移動するまでの制御については、公知の自動運転技術で対応するため、省略し、リフター10がコイル34を保持して目標位置の近傍に移動している状態から説明する。
【0025】
制御装置20は、広域距離センサ14からの情報により、車両30の荷台31の載置面32に置かれた台木33の位置情報を認識する。また、制御装置20は、図示しない上位コンピュータが有するコイル34の製品情報としての幅、外径、内径を取得して、台木33の位置情報とコイル34の製品情報からコイル34を降下させる目標降下位置を定める。目標降下位置は、コイル34が着床した場合に台木33の側面と接触する水平方向における位置である。次に制御装置20は、水平方向において、目標降下位置から台木33の側面とコイル34とが接触しない方向に第1オフセット量L1だけ離れた位置である第1降下位置を定める。
【0026】
図4ではガータ3、クラブ5は示されていないが、リフター10はガータ3もしくはクラブ5の移動により横移動する。また、クラブ5に設置された巻上装置7によりリフター10は縦移動する。尚、以降では、便宜的にクラブ5によっての移動を横移動として説明する。
図4(a)に示すように、クラブ5を移動させることによって、リフター10を第1降下位置まで横移動させ、第1降下位置まで横移動させた後、横移動を停止させ、巻上装置7によって、リフター10を垂直方向に降下(縦移動)させる。リフター10が垂直方向に降下すると、やがて、コイル34の下端が載置面32に接触する。車両30は、コイル34が着床すると着床したコイル34の重量に応じて荷台31が沈み込む車両であるため、
図4(b)に示すように、コイル34が載置面32に載置し始めると載置面32は沈み込み、沈み込み量がBとなった時点で載置面32の沈み込みは停止する。載置面32の沈み込みが停止すると、コイル34の全重量による負荷は載置面32にかかるため、コイル34を保持していたリフター10の負荷検知手段13は、コイル34による負荷は無いと検知する。負荷検知手段13がコイル34による負荷は無いと検知すると、制御装置20は、
図4(c)に示すように、巻上装置7によってリフター10を垂直方向に上昇(縦移動)させる。
【0027】
リフター10を垂直方向に縦移動させる場合の移動量Yは、B<Y<Aである。本実施形態では、移動量Yは100mmである。移動量Yは荷台31の最大沈み込み量B(=40mm)より多いため、リフター10を垂直方向に移動量Yだけ縦移動させると、コイル34の下端と載置面32との間にクリアランス60mm(=100mm-40mm)を確保することができる。また、移動量Yは台木33の載置面32からの垂直方向の高さはA(=200mm)より小さいため、リフター10を垂直方向に移動量Yだけ縦移動させた後、台木33の方向に向かってクラブ5を横移動させた場合、コイル34が確実に台木33の側面に接触することができる。すなわち、リフター10を垂直方向に上昇する移動量Yは最大沈み込み量Bより大きく、クラブ5の横移動によりコイル34を台木33に向けて横移動させた場合にコイル34が台木33の側面に接触できる高さであれば良い。尚、台木33の載置面32からの垂直方向の高さAと、荷台31の最大沈み込み量はBについては、予め、制御装置20の図示しない記憶装置または図示しない上位コンピュータに記憶されている。また、台木33の載置面32からの垂直方向の高さAと、荷台31の最大沈み込み量はBについては、複数記憶させておき、選択できるようにしておいても構わない。
【0028】
コイルは、通常、コイルの表面に傷が付くことや、変形するのを防ぐために梱包材で覆われているが、本実施形態では、リフター10を垂直方向に縦移動させる場合の移動量Yは、荷台31の最大沈み込み量Bより多いため、コイル34の下端と載置面32との間にクリアランスを確保することができる。従って、車両30の載置面32上で、リフター10がコイルを保持した状態で横移動を行う場合でも、梱包材が破れたりすることを防ぐことができる。
【0029】
リフター10を垂直方向に移動量Yだけ縦移動させた後、
図4(d)に示すように、台木33に向かってクラブ5を後述する第2降下位置まで横移動させる。横移動させた後、停止し、
図4(e)に示すようにリフター10を垂直方向に降下(縦移動)させる。リフター10が垂直方向に降下すると、やがて、コイル34の下端が載置面32に接触する。車両30は、コイル34が着床すると着床したコイル34の重量に応じて荷台31が沈み込む車両であるため、コイル34が載置面32に載置し始めると載置面32は沈み込み、沈み込み量がBとなった時点で載置面32の沈み込みは停止する。載置面32の沈み込みが停止すると、コイル34の全重量による負荷は載置面32にかかるため、コイル34を保持していたリフター10の負荷検知手段13は、コイル34による負荷は無いと検知する。負荷検知手段13がコイル34による負荷は無いと検知すると、クラブ5は後述する第2オフセット量L2だけ戻る方向に横移動する。クラブ5が第2オフセット量L2だけ戻る方向に横移動すると、
図4(f)に示すように、リフター10は目標降下位置に到達する。リフター10が目標降下位置に到達すると、コイル34から爪12の係止を外し、垂直方向に上昇(縦移動)させる。
図4(d)~
図4(f)の移動についての詳細は、
図5を用いて説明する。
【0030】
図5は、
図4(c)に示す、水平方向における第1降下位置から台木33に向かって横移動させる場合を示す説明図である。リフター10が第1降下位置から移動量Yだけ縦移動(上昇)した後、停止し、クラブ5は台木33の方向に向けて第1オフセット量L1に第2オフセット量L2を加えたL1+L2だけ横移動する。このL1+L2がクラブ5の横移動における実移動量である。目標降下位置は、コイル34が着床した場合に台木33の側面と接触する水平方向における位置であり、第1降下位置は目標降下位置から第1オフセット量L1だけ、水平方向において離れた位置であるため、クラブ5が台木33の方向に向けて実移動量L1+L2だけ移動すると、第1降下位置から目標降下位置までの距離は第1オフセット量L1であるため、コイル34は確実に台木33の側面に接触する。クラブ5が台木33の方向に向けて実移動量L1+L2だけ移動した水平方向の位置が第2降下位置となる。尚、第2オフセット量L2は、予め、制御装置20または図示しない上位コンピュータの図示しない記憶装置に記憶されている。
【0031】
クラブ5が台木33の方向に向けて実移動量L1+L2だけ移動して、第2降下位置に到達した後、停止し、リフター10は垂直方向に降下する。リフター10が垂直方向に降下すると、やがて、コイル34の下端が載置面32に接触する。車両30は、コイル34が着床すると着床したコイル34の重量に応じて荷台31が沈み込む車両であるため、コイル34が載置面32に載置し始めると載置面32は沈み込み、沈み込み量がBとなった時点で載置面32の沈み込みは停止する。載置面32の沈み込みが停止すると、コイル34の全重量による負荷は載置面32にかかるため、コイル34を保持していたリフター10の負荷検知手段13は、コイル34による負荷は無いと検知する。この状態では、クラブ5とリフター10の水平方向の位置が第2オフセット量L2だけズレている。そのため、この状態でリフター10を上昇させるとリフター10のアーム11がコイル34の側面に接触してしまいコイル34を傷つけたり破損させたりするおそれがある。そのため、負荷検知手段13がコイル34による負荷は無いと検知すると、クラブ5は第2オフセット量L2だけ戻る方向に横移動する。クラブ5が第2オフセット量L2だけ戻る方向に横移動するとクラブ5は目標降下位置に到達する。クラブ5が目標降下位置に到達することにより、クラブ5とリフター10の水平方向の位置は同じとなる。クラブ5が目標降下位置に到達すると、制御装置20は、
図4(f)に示すように、コイル34から爪12の係止を外し、リフター10を垂直方向に上昇(縦移動)させる。
【0032】
本実施形態では、クラブ5が台木33に向けて実移動量L1+L2だけ移動した後、リフター10が降下することにより、コイル34は確実に台木33の側面に接触する。また、クラブ5が台木33に向けて実移動量L1+L2だけ移動した後、リフター10を降下させ、その後、クラブ5が第2オフセット量L2だけ戻る方向に横移動することによりクラブ5は目標降下位置に到達する。クラブ5は目標降下位置に到達した後、コイル34から爪12の係止を外し、リフター10を垂直方向に上昇させる。クラブ5は目標降下位置に到達した後、リフター10を垂直方向に上昇(縦移動)させることにより、アーム11がコイル34に接触してコイル34を傷つけたり破損させたりすることを防止できる。
【0033】
上記した実施形態では、固定部材として台木33を用いたが、第2実施形態として、固定部材は台木33ではなく、既に載置面32に載置されているコイルである先行コイル35の場合について、
図6を用いて説明する。
【0034】
第2実施形態における、最大沈み込み量B、目標降下位置、第1オフセット量L1、第2オフセット量L2、第1降下位置、第2降下位置は、第1実施形態の場合と同じである。第2実施形態における、載置面32からの垂直方向の高さAは、台木ではなく先行コイル35の載置面32からの垂直方向の高さを示し、第2実施形態ではA=1000mmである。
【0035】
制御装置20は、広域距離センサ14からの情報により、車両30の荷台31の載置面32に置かれた先行コイル35の位置情報を認識する。また、制御装置20は、図示しない上位コンピュータが有するコイル34の製品情報としての外径、内径を取得し、先行コイル35の位置情報とコイル34の製品情報からコイル34を降下させる目標降下位置を定める。目標降下位置は、コイル34が着床した場合に先行コイル35の側面と接触する水平方向における位置である。次に制御装置20は、水平方向において、目標降下位置から先行コイル35の側面とコイル34とが接触しない方向に第1オフセット量L1だけ離れた位置である第1降下位置を定める。
【0036】
図6ではガータ3、クラブ5は示されていないが、リフター10はガータ3もしくはクラブ5の移動により横移動する。また、クラブ5に設置された巻上装置7によりリフター10は縦移動する。尚、以降では、便宜的にクラブ5によっての移動を横移動として説明する。
図6(a)に示すように、クラブ5を移動させることによって、リフター10を第1降下位置まで横移動させ、第1降下位置まで横移動させた後、横移動を停止させ、巻上装置7によって、リフター10を垂直方向に降下(縦移動)させる。リフター10が垂直方向に降下すると、やがて、コイル34の下端が載置面32に接触する。車両30は、コイル34が着床すると着床したコイル34の重量に応じて荷台31が沈み込む車両であるため、
図6(b)に示すように、コイル34が載置面32に載置し始めると載置面32は沈み込み、沈み込み量がBとなった時点で載置面32の沈み込みは停止する。載置面32の沈み込みが停止すると、コイル34の全重量による負荷は載置面32にかかるため、コイル34を保持していたリフター10の負荷検知手段13は、コイル34による負荷は無いと検知する。負荷検知手段13がコイル34による負荷は無いと検知すると、制御装置20は、
図6(c)に示すように、巻上装置7によってリフター10を垂直方向に上昇(縦移動)させる。
【0037】
リフター10を垂直方向に縦移動させる場合の移動量Yは、B<Y<Aである。本実施形態では、移動量Yは100mmである。移動量Yは荷台31の最大沈み込み量B(=40mm)より大きいため、リフター10を垂直方向に移動量Yだけ縦移動させると、コイル34の下端と載置面32との間にクリアランス60mm(=100mm-40mm)を確保することができる。また、移動量Yは先行コイル35の載置面32からの垂直方向の高さはA(=1000mm)より小さいため、リフター10を垂直方向に移動量Yだけ縦移動させた後、先行コイル35の方向に向かってクラブ5を横移動させた場合、コイル34が確実に先行コイル35の側面に接触ることができる。すなわち、リフター10を垂直方向に上昇する移動量Yは最大沈み込み量Bより大きく、クラブ5の横移動によりコイル34を先行コイル35に向けて横移動させた場合にコイル34が先行コイル35の側面に接触できる高さであれば良い。尚、先行コイル35の載置面32からの垂直方向の高さAと、荷台31の最大沈み込み量はBについては、予め、制御装置20の図示しない記憶装置または図示しない上位コンピュータに記憶されている。また、先行コイル35の載置面32からの垂直方向の高さAと、荷台31の最大沈み込み量はBについては、複数記憶させておき、選択できるようにしておいても構わない。
【0038】
コイルは、通常、コイルの表面に傷が付くことや、変形するのを防ぐために梱包材で覆われているが、本実施形態では、リフター10を垂直方向に縦移動させる場合の移動量Yは、荷台31の最大沈み込み量Bより多いため、コイル34の下端と載置面32との間にクリアランスを確保することができる。従って、車両30の載置面32上で、リフター10がコイルを保持した状態で横移動を行う場合でも、梱包材が破れたりすることを防ぐことができる。
【0039】
図6(d)は、リフター10が第1降下位置から移動量Yだけ縦移動(上昇)した後、上昇を停止させ、クラブ5は先行コイル35の方向に向けて第1オフセット量L1に第2オフセット量L2を加えたL1+L2だけ横移動した場合を示している。
図5に示す場合と同様に、このL1+L2がクラブ5の横移動における実移動量である。目標降下位置は、コイル34が着床した場合に先行コイル35の側面と接触する水平方向における位置であり、第1降下位置は目標降下位置から第1オフセット量L1だけ、水平方向において離れた位置であるため、クラブ5が先行コイル35の方向に向けて実移動量L1+L2だけ移動すると、第1降下位置から目標降下位置までの距離は第1オフセット量L1であるため、コイル34は確実に先行コイル35の側面に接触する。クラブ5が先行コイル35の方向に向けて実移動量L1+L2だけ移動した水平方向の位置が第2降下位置となる。尚、第2オフセット量L2は、予め、制御装置20または図示しない上位コンピュータの図示しない記憶装置に記憶されている。
【0040】
クラブ5が先行コイル35の方向に向けて実移動量L1+L2だけ移動して、第2降下位置に到達した後、停止し、リフター10は垂直方向に降下する。ここで、
図6(f)に示すように微調整をする。リフター10が垂直方向に降下すると、やがて、コイル34の下端が載置面32に接触する。車両30は、コイル34が着床すると着床したコイル34の重量に応じて荷台31が沈み込む車両であるため、コイル34が載置面32に載置し始めると載置面32は沈み込み、沈み込み量がBとなった時点で載置面32の沈み込みは停止する。載置面32の沈み込みが停止すると、コイル34の全重量による負荷は載置面32にかかるため、コイル34を保持していたリフター10の負荷検知手段13は、コイル34による負荷は無いと検知する。この状態では、クラブ5とリフター10の水平方向の位置が第2オフセット量L2だけズレている。そのため、この状態でリフター10を上昇させるとリフター10のアーム11がコイル34の側面に接触してしまいコイル34を傷つけたり破損させたりするおそれがある。そのため、負荷検知手段13がコイル34による負荷は無いと検知すると、クラブ5は第2オフセット量L2だけ戻る方向に横移動する。クラブ5が第2オフセット量L2だけ戻る方向に横移動するとクラブ5は目標降下位置に到達する。クラブ5が目標降下位置に到達することにより、クラブ5とリフター10の水平方向の位置は同じとなる。クラブ5が目標降下位置に到達すると、制御装置20は、
図6(g)に示すように、コイル34から爪12の係止を外し、リフター10を垂直方向に上昇(縦移動)させる。
【0041】
上記した実施形態では、コイル34を着床させる床面として、コイル34が着床すると着床したコイル34の重量に応じて載置面32が沈み込む車両の載置面を用いたが、必ずしもこれに限定されず、載置面32が沈み込まない工場や倉庫の床面であっても構わない。第1降下位置でコイル34を保持したリフター10を降下させ、負荷検知手段13がコイル34による負荷は無いと検知すると、リフター10を所定の高さであるまで上昇させてコイル34を台木33または先行コイル35に向けて横移動させる場合の所定の高さは、コイル34を台木33または先行コイル35に向けて横移動させた場合にコイル34が台木33または先行コイル35の側面に接触できる高さ、すなわち、台木33または先行コイル35の載置面32からの高さより低い高さであればよい。
【0042】
上記した実施形態における負荷検知手段13は、アーム11に設け、爪12の動作状態により負荷の有無を検知するが、必ずしもこれに限定されず、例えば、ワイヤ8に係る張力の状態を検知して負荷の有無を検知するものでも構わない。
【0043】
また、上記した実施形態では、保持装置であるリフター10は、一対のアーム11と、一対のアーム11の下端側に対向して設けられてコイルの穴に出入りする爪12を備えたチャック機構17と、を有し、横移動装置は、走行レール2に沿って走行するガータ3と、ガータ3に設置された横行レール16を横行するクラブ5とし、縦移動装置はクラブ5に設置されてワイヤ8により保持装置を巻き上げる巻上装置7としたが、必ずしもこれに限定されない。例えば、横移動装置および縦移動装置として、水平旋回作動自在に取り付けた旋回台に起伏作動自在に取り付けられて伸縮作動自在なブームと、ワイヤを介してブームの先端部に巻上巻下作動自在に吊下したフックの当該ワイヤを巻上巻下するウインチとを有し、保持装置として当該フックを備えた、ブーム式クレーンであっても構わない。
【0044】
以上、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく実施形態の改変は、当業者にとって自明のことである。
【符号の説明】
【0045】
1…クレーン装置、2…走行レール、3…ガータ、4…走行車輪、5…クラブ、6…横行車輪、7…巻上装置、9…エンコーダ、10…リフター、11…アーム、12…爪、13…負荷検知手段、14…広域距離センサ、15…柱、16…横行レール、17…チャック機構、18…係止面、19…支持面、20…制御装置、21…爪部下面、30…車両、31…荷台、32…載置面、33…台木、34…コイル、35…先行コイル、36…中心穴、40…検出ピン、41…リミットスイッチ、42…近接スイッチ