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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】チャネル負荷を予測するための方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/16 20090101AFI20240910BHJP
   H04W 4/44 20180101ALI20240910BHJP
   H04W 4/46 20180101ALI20240910BHJP
   H04W 72/02 20090101ALI20240910BHJP
【FI】
H04W48/16
H04W4/44
H04W4/46
H04W72/02
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021549149
(86)(22)【出願日】2020-02-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-06
(86)【国際出願番号】 EP2020054179
(87)【国際公開番号】W WO2020169568
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-09-17
(31)【優先権主張番号】19158381.4
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19171569.7
(32)【優先日】2019-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20154605.8
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596107062
【氏名又は名称】フォルクスヴァーゲン アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
【住所又は居所原語表記】Berliner Ring 2, 38440 Wolfsburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ライマン
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム ジョルノ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス プファードラー
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-028541(JP,A)
【文献】特開2016-015755(JP,A)
【文献】特開2015-171018(JP,A)
【文献】特開2017-041749(JP,A)
【文献】特開平11-086197(JP,A)
【文献】特表2011-508539(JP,A)
【文献】特開2010-103945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャネル負荷を予測するための第1の車両(10)の方法であって、
少なくとも1つの通信チャネルのチャネル輻輳を伴う臨界エリア(A1)を予測するステップと、
少なくとも1つの第2の車両(63)の進行軌道を決定し、前記少なくとも1つの第2の車両の前記進行軌道と前記臨界エリア(A1)とを比較するステップと、
前記少なくとも1つの第2の車両(63)に対する前記進行軌道と前記臨界エリア(A1)との時空間的な重なりを示す前記比較に基づいて、前記臨界エリアに関する情報を含むメッセージを前記少なくとも1つの第2の車両(63)に選択的に送信するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
少なくとも1つの通信チャネルの前記チャネル輻輳は、所定の第1の閾値を下回るチャネル品質情報(CQI)および/または所定の第2の閾値を上回るチャネル負荷に対応している、請求項1記載の方法。
【請求項3】
臨界エリアを予測する前記ステップが、所定数を超える車両を含む高密度エリアを決定するステップを含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
高密度エリアを予測する前記ステップが、複数の第2の車両(63)に関連付けられた交通流データを予測するステップを含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記交通流データは、前記第1の車両(10)のセンサ読み取り値を介して取得された前記第2の車両(63)の軌道情報、または第2の車両(63)によって送信されて前記第1の車両(10)によって受信された少なくとも1つのメッセージから取得された前記第2の車両(63)の軌道情報に基づいている、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記高密度エリアが、前記第1の車両(10)によって取得された道路情報および/または交通情報に基づいて決定される、請求項3から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記道路情報が、前記第1の車両(10)のセンサ読み取り値によって取得され、かつ/またはエリアに関連する静的情報を含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記交通情報が、前記第1の車両(10)のセンサ読み取り値によって取得され、かつ/または前記第1の車両(10)による少なくとも1つのメッセージから取得され、かつ/またはエリアに関連する動的情報を含む、請求項6または7記載の方法。
【請求項9】
前記高密度エリアが、地理座標および該地理座標の周囲のエリアによって、かつ/または前記高密度エリアに関連付けられた少なくとも1つの第2の車両(63)の識別子によって定義される、請求項3から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
臨界エリアを予測する前記ステップが、
エリア内の車両の数を決定するステップと、
前記エリア内に位置する車両(63)ごとの所定のチャネル負荷に基づいて前記エリア内のチャネル負荷を決定するステップと
を含む、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記車両ごとのチャネル負荷が、車両クラスおよび/または前記車両(63)のチャネル使用量の履歴に基づいて決定される、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、
少なくとも1つの第2の車両の前記進行軌道が臨界時に前記臨界エリア内に存在することを示すかどうかを判別するステップと、
臨界時に前記臨界エリアに存在する少なくとも1つの第2の車両(63)に前記メッセージを送信するステップと、
臨界時に前記臨界エリアに存在しない少なくとも1つの第2の車両に前記メッセージを送信しないステップと
をさらに含む、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記メッセージは、共有チャネル品質(SCQ)メッセージまたは協調通信メッセージ(CCM)である、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
車両(10)であって、別の車両(63)および通信ネットワークのステーション(62,70,90)と通信するように構成された通信モジュール(20)と、別の車両(63)の進行軌道を検出するための複数の第1のセンサ(11,12,13)と、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法を実行するように構成された制御ユニット(40)とを含む、車両(10)。
【請求項15】
車両の制御ユニットによって実行される際に、前記制御ユニットに請求項1から13までのいずれか1項記載の方法を実行させるための命令を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャネル負荷を予測するための方法、特にある領域の交通流データに基づいてその領域内の少なくとも1つの通信チャネルのチャネル負荷を予測するための方法に関する。本発明はさらに、かかる方法を実行するように構成された車両、特にかかる方法を実行するように構成された制御ユニットを含む車両に関する。本発明はさらに、制御ユニットが本発明の方法を実行することを可能にするためのコンピュータプログラムに関する。
【0002】
発明の背景
自動車アプリケーションおよびモバイル通信は、特に従来の運転と比較して大量のデータを必要とする自動運転への関心が高まっていることから、ますます関連し合うようになっている。これらのデータ量は、部分的には車両自体によって(つまり、そのセンサによって)提供され、部分的には無線インタフェースを介して提供されている。無線インタフェースを介して、車車間(V2V)通信または車車間/路車間(V2X)通信が実行されており、後者には路側機(RSU)との通信が含まれている。ここで、V2V通信およびV2X通信は、ポイントツーポイント(ユニキャスト)通信またはポイントツーマルチポイント(マルチキャスト/ブロードキャスト)通信として実行できる。
【0003】
V2X通信が、例えばLTEまたは5G通信ネットワークなどのセルラーモバイルネットワークを介して実行される場合、これは、セルラー-V2X(C-V2X)と称される。V2V通信およびC-V2X通信は、LTEまたは5Gネットワークにおいて、PHY層でのサイドリンク通信(PC5サイドリンク)、またはIEEE802.11p規格に準拠したWLAN通信に基づいて実行できる。
【0004】
V2V通信およびV2X通信を使用する最新の車両の増加に伴い、これらの通信プロトコルのユーザ数が増加している。ユーザ数の増加およびアプリケーションの複雑化に伴い、送信されるデータ量が継続的に増大している。しかしながら、帯域幅およびデータレートが制限されているため、データ量の増大に伴ってチャネル品質が低下し、通信リンクのサービス品質(QoS)が低下する可能性がある。
【0005】
ただし、特に自動運転に関しては、無線リンクのQoSは、自動化されたプロセスの安全性、ひいてはドライバの安全性に直結する場合がある。例としては、いわゆる「隊列走行」が挙げられる。これは、参加車両が最小の間隔で高密度の車列を形成して、個々の車両のエネルギおよび燃料消費量を削減できるようにする協調運転操作である。かかる隊列走行では、隊列リーダーは、ユニキャストメッセージを介して他の隊列メンバに必要なブレーキ操作などを通知する必要がありうる。かかるメッセージがチャネル品質の低い環境で送信されると、送信エラーまたは遅延が発生しやすくなり、パフォーマンスが低下し、リスクが生じる可能性がある。
【0006】
従来の技術では、モバイル通信ネットワークの要素、例えばモバイル通信ネットワークの基地局(4GのeNB)は、車両から受信した経路情報に基づいて通信リソースの不足を予測するために、複数の車両と通信することが知られている。かかる通信リソースの不足が検出された場合、基地局は、車両にルートを変更するように通知することができ、または基地局はデータ送信を再スケジュールするか、もしくはデータベアラを隣接セルに引き渡すことができる。しかしながら、従来技術の既知の方法では、それ自体に大量に信号を送ることを必要とするため、その性能自体が通信リソースの不足の一因となっている。
【0007】
したがって、本発明の目的は、本方法自体に基づく通信リソースの不足を回避しながら、従来技術の欠点の少なくとも一部を克服または低減し、予測されたチャネル負荷に基づいて自動車両の運転操作の適応化を可能にする、チャネル負荷を予測するための方法を提供することである。
【0008】
発明の概要
本開示の一態様によれば、チャネル負荷を予測するための方法が提供され、これは、以下に説明するように、本発明による第1の車両によって実行することができる。本方法の第1のステップにおいて、第1の車両は、エリア内に提供される少なくとも1つの通信チャネルのチャネル輻輳(channel congestion)を有することによって定義される臨界エリア(critical area)を予測する。通信チャネルは、好ましくは、例えば、モバイル通信ネットワーク(4G,5G)の基地局またはV2X通信(IEEE802.11p)用の路側機などの、エリア内でモバイル通信サービスを提供する少なくとも1つのアクセスポイントのデータベアラである。
【0009】
臨界エリアでは、データベアラを介したデータ転送を確実に提供することはできない。つまり、臨界エリアでは、データベアラを介したデータ通信に障害が発生し、かつ/または遅延する傾向がある。本開示の文脈において、臨界エリアにおけるデータ通信の臨界度は、過剰な通信要件、すなわち、通信要求の量が許容可能な(実現可能な)通信要求の最大数を超えていることに起因する。本開示の文脈において、臨界度は、アクセスポイントハードウェアの障害によるものではない。
【0010】
臨界エリアは、好ましくは地理的エリアとして、すなわち少なくとも1つの地理的座標に基づいて決定される。しかしながら、臨界エリアはまた、例えば、基地局などの少なくとも1つのアクセスポイントの識別子として、かつ/または少なくとも1つのアクセスポイントなどのカバレッジエリアとして、通信チャネルのアクセスポイントに関連して決定することができる。さらに、臨界エリアは、好ましくは、一時的に制限された臨界度を有するように決定される。換言すると、アクセスポイントの地理的エリアまたはカバレッジエリアは、第1の時点では臨界に達している可能性があるが、第2の時点では臨界に達していない可能性がある。したがって、臨界エリアに関する情報は、さらに好ましくは、臨界の時点または期間に関する情報を含む。
【0011】
本開示の方法では、さらに、少なくとも1つの第2の車両の進行軌道が予測される。ここで、予測進行軌道は、好ましくは、少なくとも1つの第2の車両の少なくとも1つの予測速度および少なくとも1つの予測進行方向を含む。追加的または代替的に、予測進行軌道は、少なくとも1つの第2の車両の少なくとも1つの予測された座標をさらに含みうる。ここで、予測情報は、少なくとも1つの将来の時点に関連付けられた情報を指すものであり、したがって、時間情報のみならず、空間情報も含まれる。
【0012】
好ましい実施形態では、進行軌道は、実際の進行軌道、すなわち、少なくとも1つの第2の車両の実際の速度および進行方向に基づいて予測される。追加的または代替的に、進行方向は、少なくとも1つの第2の車両の経路情報または目的地情報に基づいて予測される。第2の車両の進行軌道を予測する方法の詳細を以下に示す。
【0013】
少なくとも1つの第2の車両の予測進行軌道が、次に、第1の車両によって予測された臨界エリアと比較される。かかる比較には、好ましくは、予測進行軌道および予測臨界エリアとの相関関係を決定することが含まれる。
【0014】
例として、かかる相関関係は、予測進行軌道と臨界エリアとの時空間的な重なりによるものである。しかしながら、相関関係はまた、例えば、予測された軌道が所定の最小距離未満で臨界エリアを通過するか、または決定された臨界期間に近い臨界エリアを通過して横切ることに基づいて、予測進行軌道と臨界エリアとの間の時空間的近接性に起因していてもよい。臨界エリアの空間的な広がりは確実に予測することができるが、臨界期間の予測では、それぞれの開始点および終了点の周辺に、非常に大きな不確実性の間隔を有する傾向がありうる。好ましくは、進行軌道と臨界エリアとの間の決定された相関関係は、好ましくは、予測された軌道に対応する第2の車両が臨界時(a time of criticality)に臨界エリア内または少なくともその近傍にある確率の指標となる。
【0015】
本開示の方法の最後のステップでは、臨界エリアに関する情報を含むメッセージが、比較に基づいて、少なくとも1つの第2の車両に選択的に送信される。ここで、メッセージには、好ましくは、臨界エリアの空間的広がりに関する情報、ならびに臨界エリアの臨界期間に関する情報が含まれる。さらに、メッセージには、臨界度のレベル、すなわち臨界エリアにおけるチャネル輻輳のレベルに関する情報が含まれうる。この情報には、臨界エリアで提供されうるチャネル品質情報(CQI)またはサービス品質(QoS)に関する情報が含まれうる。
【0016】
本開示の方法によれば、メッセージは、臨界エリアとその第2の車両の予測軌道との比較が、予測軌道に対応する第2の車両が所定の閾値を超える臨界時に臨界エリア内または少なくともその近傍にある確率をもたらす場合のみ、第2の車両に送信される。換言すると、臨界時に第2の車両が臨界エリア内またはその近傍にあると合理的に予想できる場合にのみ、臨界エリアに関する情報を含むメッセージがその第2の車両に送信される。したがって、本開示の方法では、臨界エリアでの不要なメッセージの送信が効果的に回避されるため、チャネル負荷を予測してチャネル輻輳を回避する方法が、チャネル輻輳自体に有利に寄与することはない。
【0017】
さらに、メッセージを受信する第2の車両は、臨界エリアについて有利に通知されるため、臨界エリアに関してその自動運転アプリケーションを有利に適応化することができる。本方法の好ましい実施形態では、メッセージは、臨界エリアの周囲の所定の送信範囲(すなわち、送信電力)内でのみブロードキャストされる。換言すると、臨界エリアに関するメッセージは、チャネル輻輳をさらに低減するために、臨界エリアの周囲の予め定義された範囲でのみ共有される。さらに好ましくは、メッセージの送信はまた、チャネル輻輳をさらに低減するために、その場所の周囲の所定の距離内でのみ開始される。
【0018】
好ましくは、臨界エリア内の少なくとも1つの通信チャネルのチャネル輻輳は、所定の第1の閾値を下回るチャネル品質情報(CQI)に対応する。ここで、CQIは、好ましくは、例えば、パケットエラー損失率またはビットエラー率などの、当該通信のエラー率に関する情報に関連している。チャネル品質情報(CQI)は、さらに、LTE-Aによるサービス品質(QoS)クラス識別子(QCI)、またはチャネル品質インジケータ(CQI)と同様に構成されうるが、かかる実施形態に限定されるものではない。さらに好ましくは、臨界エリア内の少なくとも1つの通信チャネルのチャネル輻輳は、所定の第2の閾値を上回るチャネル負荷に対応する。ここで、チャネル負荷は、実際に利用可能な通信チャネルの帯域幅と理論上の帯域幅との比率として決定されうる。第1および/または第2の閾値は、ネットワークオペレータによって定義されてよく、すなわち概してネットワーク(アクセスポイント)の障害のない動作の指標として定義されてよく、あるいは少なくとも1つの第2の車両に対して定義されてもよく、すなわち第2の車両の通信要求を特別に考慮して(例えば、全自動車両は、半自動車両よりも高い閾値を有する可能性がある)、個別に定義されてもよい。さらに、第1の閾値および/または第2の閾値は、例えば、少なくとも1つの第2の車両の過去のデータ消費量または予測されたデータ消費量に基づいて、第2の車両自体によって定義されてもよい。
【0019】
本方法の好ましい実施形態では、臨界エリアを予測するステップは、所定数を超える車両を含む高密度エリアを決定することを含む。換言すると、エリアの臨界度は、そのエリアの通信チャネルのユーザの予測数に関連している。臨界エリアで通信チャネルを提供するアクセスポイントが、車両専用のサービスを提供する路側機である場合、高密度エリアは、車両の数のみに基づいて決定することができる。しかしながら、臨界エリアに通信チャネルを提供するアクセスポイントが多目的モバイル通信ネットワークの基地局である場合、高密度エリアは、所定数を超える車両および他のユーザを含むエリアとして決定されることが好ましい。ここで、他のユーザは、スマートフォン、タブレットなどのユーザ機器を用いて通信チャネルに接続されうる。他のユーザの予測は本開示の一部ではないが、実際のユーザ数は、臨界エリアの予測において考慮されてもよい。さらに、所定の車両の数は、他のユーザの実際の数に基づいて可変的に設定することができる。その上で、所定の車両の数は、例えば、収集された経験的データに基づいて、ネットワークオペレータまたは車両製造者によって選択されてもよい。
【0020】
本方法の特に好ましい実施形態では、高密度エリアを予測するステップは、複数の第2の車両に関連付けられた交通流データを予測することを含む。ここで、交通流データは、複数の第2の車両の軌道情報に基づいており、複数の第2の車両によって作成された交通状況を推定(決定)することを可能にする。本開示の文脈において、交通状況は、主に、特定の時間ウィンドウ内の近傍またはあるエリアに位置する第2の車両の量によって特徴付けられる。ただし、交通状況によっては、以下に説明する追加の態様が考慮される場合がある。
【0021】
エリアに関して、交通流データは、特定の時間ウィンドウ内にそのエリアに接近している第1の数の車両と、特定の時間ウィンドウ内にその場所から出発している第2の数の車両とを特徴付けることができる。かかる車両の数、すなわち、車両の流入および流出に基づいて、エリアおよび時間ウィンドウに関連付けられた車両の総数の変化は、そのエリアの連続方程式に基づいて決定することができる。
【0022】
さらに好ましくは、交通流データは、第2の車両の軌道情報に基づいている。ここで、軌道情報は、予測された軌道情報に関して上記のような情報を含みうる。特に好ましくは、軌道情報は、第1の車両のセンサ読み取り値(sensor readings)を介して取得される。かかるセンサの読み取り値は、好ましくは、例えば、LIDAR、超音波、またはレーザー距離センサなど、車両の距離測定に通常使用される第1の車両のセンサによって取得される。かかるセンサの読み取り値に基づいて、第2の車両の実際の速度および進行方向が取得され、第2の車両に関連付けられた交通流データを決定するために使用されうる。
【0023】
代替的に、第2の車両の軌道情報は、第2の車両によって送信されて第1の車両によって受信される、少なくとも1つのメッセージから取得される。かかるメッセージは、第2の車両によってユニキャストまたはブロードキャストすることができ、第2の車両のナビゲーションアプリケーションから導出されたルート情報または目的地情報を含みうる。さらに好ましくは、かかるメッセージは、実際の速度および進行方向に関する情報、さらには第2の車両自体によって予測される速度および進行方向に関する情報を含みうる。特に好ましくは、少なくとも1つのメッセージは、少なくとも1つの第2の車両によって送信された少なくとも1つの協調認識メッセージ(CAM)である。かかるCAMは、車両の場所および進行方向に関する情報を含むため、送信車両の将来の所在を予測することが可能となる。したがって、実際のセンサ読み取りを実行しなくても、交通流の予測を行うことができる。これは、大雨、霧、雪などの劣悪な計測条件で役立つ。CAMメッセージに含まれる情報は、好ましくは、送信車両自体によって取得されたデータ、例えば、GPS座標および移動軌道、速度などに基づいている。特に好ましくは、センサの読み取り値は、本開示の方法で交通流データを高精度に予測するために、受信したCAM情報と組み合わせられる。
【0024】
本方法のさらに好ましい実施形態によれば、所定数を超える車両を含む高密度エリアは、第1の車両によって取得された道路情報および/または交通情報に基づいて決定される。好ましくは、第1の車両によって取得された交通流データに加えて、道路および/または交通情報が考慮される。
【0025】
特に好ましくは、道路情報には、静的情報が含まれており、この静的情報は、エリアに関連しており、好ましくはその場所のインフラストラクチャをさらに特徴付ける。例えば、かかる道路情報により、その場所が交差点(信号機の有無を問わない)、横断歩道(信号機の有無を問わない)、踏切(ゲートの有無を問わない)であることが特定される。さらに好ましくは、かかる道路情報には、例えば、信号機の切り替え時間、踏切でのゲートの閉鎖時間、踏切での列車の交差時間などに関する追加のデータが含まれる。さらに好ましくは、道路情報は、第1の車両のセンサ読み取り値に基づいて、すなわち、道路に沿って運転している間に第1の車両が取得したデータに基づいて取得される。さらに好ましくは、かかる道路情報は、車両に存在するナビゲーション情報から導出され、または道路情報は、少なくとも1つの第2の車両から受信された少なくとも1つのメッセージから第1の車両によって取得される。
【0026】
さらに好ましくは、交通情報は、エリアに関連する動的情報を含み、この動的情報により、好ましくは、エリア内またはエリアの近傍の実際の交通シナリオがさらに特定される。例えば、交通情報により、エリア内またはエリアの近傍で渋滞が発生していること、エリア内またはエリアの近傍で事故が発生していること、またはエリア内またはエリアの近傍で別の理由で道路の封鎖もしくは閉鎖が発生していることが特定される。したがって、交通情報は、エリア内もしくはエリアの近傍の車両の滞留時間を検討する場合、またはエリアからの車両の流出を妨げる障害物を検討する場合に、特に適している。交通情報はまた、好ましくは、第1の車両のセンサ読み取り値によって、すなわち、道路に沿って運転している間に第1の車両が取得したデータに基づいて取得される。代替的に、交通情報は、第1の車両によって受信された少なくとも1つのメッセージから取得される。ここで、かかるメッセージは、第2の車両、交通情報サービス、ラジオ局などによって送信されうる。
【0027】
臨界エリアに関してすでに上述したように、高密度エリアもまた、地理座標(geographic coordinate)および座標の周囲の領域によって定義されることが好ましい。高密度エリアのかかる地理的定義に基づいて、通信チャネルのアクセスポイントに関連する高密度エリアの定義は、例えば、少なくとも1つのアクセスポイント(基地局)の識別子またはアクセスポイントのカバレッジエリアに基づいて決定することができる。さらに好ましくは、高密度エリアは、高密度エリアに関連付けられた少なくとも1つの第2の車両の識別子に基づいて定義される。概して、高密度エリアは、第2の車両のクラスタを移動することによって生成される傾向がある。高密度エリアは、第2の車両が同じ通信ネットワークインフラストラクチャを使用している場合、臨界エリアとなる可能性がある。このような移動する高密度エリアは、第2の車両の位置に関連付け可能であり、これらの第2の車両の識別子を知ることによって、その実際の位置を確実に決定することができる。
【0028】
さらに好ましくは、臨界エリアを予測するステップは、エリア内、好ましくは高密度エリア内の車両の数を決定することと、次に、エリア内に位置する車両の車両ごとの所定のチャネル負荷に基づいて、通信チャネルのチャネル負荷を決定することとを含む。換言すると、決定される車両数とは、実際には、同じ通信チャネルを使用している車両の数、例えば、基地局などの同じアクセスポイントを介して通信ネットワークにアクセスしている車両の数を意味している。
【0029】
上記の実施形態では、チャネル使用量とは、好ましくは、そのチャネルを使用する単一の車両によって占有されるチャネルの通信帯域幅の一部を指す。ここで、車両ごとのチャネル使用量は、個々の車両または車両のクラスに個別に適応化することができる。例示的に、車両ごとのチャネル使用量は、そのグループの車両のクラスに基づいて車両のグループに対して決定可能であり、例えば、移動用コーチは、従来の乗用車よりも高いデータ使用量を有するように設定される。車両ごとのチャネル使用量の個々の適応化は、その個々の車両の送信履歴またはデータ使用量の履歴に基づきうる。かかる履歴情報は、好ましくは、少なくとも1つの第2の車両から受信された少なくとも1つのメッセージを介して第1の車両によって受信される。すなわち、かかる個々の適応化は、好ましくは、それ自体が第1の車両によって少なくとも1つの第2の車両から受信されたメッセージに基づく交通流の予測において実行される。さらに好ましくは、第1の車両によって第2の車両から受信されたメッセージは、第2の車両の進行方向を決定するため、かつ高密度エリア(すなわち、臨界エリア)を予測するために使用されうる。
【0030】
特に好ましくは、メッセージを選択的に送信するステップは、少なくとも1つの第2の車両の進行情報が、臨界時に臨界エリア内の存在を示すかどうかを判別するステップと、臨界時に臨界エリアに存在する少なくとも1つの第2の車両にメッセージを送信するステップとをさらに含む。また、メッセージを選択的に送信するステップは、好ましくは、臨界時に臨界エリアに存在しない少なくとも1つの第2の車両にメッセージを送信しないステップを含む。
【0031】
さらに好ましい実施形態では、欧州特許出願第19158381.4号明細書に詳細に記載されているように、臨界エリア上のメッセージは、高いチャネル負荷で臨界エリアを通過する車両に通知するように構成された共有チャネル品質(shared channel quality;SCQ)メッセージであり、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれている。さらに好ましくは、第1のメッセージおよび/または第2のメッセージは、欧州特許出願第18184352.5号明細書に詳細に記載されているように、チャネルおよびチャネル品質に影響を与える可能性のある周囲構造に関する情報を含むように構成された協調通信メッセージ(cooperative communication message;CCM)であり、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれている。しかしながら、本開示の方法については、第2のCQIを送信するためのフォーマットは、むしろ重要ではない。
【0032】
本開示の別の態様は、別の車両および通信ネットワークの少なくとも1つのステーションと通信するように構成された通信モジュールを含む車両に関する。通信モジュールは、モバイル通信システム内の別の車両とのかかる通信を可能にするためのさらなる構成要素(すなわち、別の車両の同一または類似の通信モジュール)を含みうる。かかる構成要素には、1つ以上の低雑音増幅器(LNA)、1つ以上の電力増幅器(PA)、1つ以上のデュプレクサ、1つ以上のダイプレクサ、1つ以上のフィルタまたはフィルタ回路、1つ以上のコンバータ、1つ以上のミキサ、これに応じて適応化された無線周波数成分などの送受信機(送信機および/または受信機)構成要素が含まれうる。これらの構成要素はさらに、1つ以上のアンテナに結合することができ、ホーンアンテナ、ダイポールアンテナ、パッチアンテナ、セクタアンテナなどの任意の送信および/または受信アンテナに対応することができる。アンテナは、均一アレイ、線形アレイ、円形アレイ、三角アレイ、(均一)フィールドアレイなどの定義済みの幾何学的な設定で配置することができる。
【0033】
本開示の車両は、少なくとも1つの他の車両、好ましくは複数の他の車両の進行方向および/または速度を検出するように構成された複数の第1のセンサをさらに含む。これらのセンサは、例えば、LIDAR技術、レーダ技術、超音波センサ、またはレーザーベースのセンサを利用することによって、車両と別の車両または障害物との間の距離を検出するための分野で一般的なものとして構成されることが好ましい。センサに加えて、車両の通信モジュールは、好ましくは、その車両の進行方向および/または速度に関する情報などの種々の情報を含む少なくとも1つの他の車両から(CAM)メッセージを受信するようにさらに構成される。車両は、好ましくは、車両自体の状態、例えば、車両の速度または進行方向などに関連付けられた少なくとも1つの値を検出するように構成された第2のセンサをさらに含む。通信モジュールは、かかる情報を含む(CAM)メッセージを送信するようにさらに構成されうる。
【0034】
本発明による車両は、特に、それぞれのインタフェースを介して通信モジュールに接続され、それぞれのデータを送受信するように通信モジュールを制御するように構成された制御ユニットをさらに含む。制御ユニットは、少なくとも1つの通信チャネルのチャネル輻輳を伴う臨界エリアを予測し、少なくとも1つの第2の車両の進行軌道を決定して、少なくとも1つの第2の車両の進行軌道と臨界エリアとを比較し、その比較に基づいて、臨界エリアに関する情報を含むメッセージを少なくとも1つの第2の車両に選択的に送信するように、特に構成される。車両の好ましい実施形態は、本発明の方法の好ましい実施形態に対応する。
【0035】
本発明の別の態様は、車両の制御ユニットによって実行される際に、制御ユニットに上記のチャネル負荷を予測するための方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムに関する。
【0036】
本発明のさらなる態様は、従属請求項または以下の説明から学習することができる。
【0037】
以下の添付の図面を参照して例示的な実施形態を詳細に説明することにより、当業者には特徴が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の方法を実施するための車両を概略的に示す図である。
図2図1の車両、モバイル通信ネットワークの基地局および路側機(RSU)を含む、本発明の方法を実行するためのスマート環境を概略的に示す図である。
図3】本発明の方法の適用事例を示す図である。
【0039】
発明の詳細な説明
次に、図面に示されている実施形態を詳細に参照する。例示的な実施形態の効果および特徴は、添付の図面を参照して説明される。ここで、同様の参照番号は同様の要素を示し、冗長な説明は省略されている。しかしながら、本発明は、種々の異なる形態で実施することができものであり、本明細書に例示された実施形態のみに限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本発明の態様および特徴を当業者に完全に伝えるための例としてのみ提供されている。
【0040】
したがって、本発明の態様および特徴を完全に理解するために当業者に必要でないと考えられるプロセス、要素、および技術は、説明されない場合がある。同時に、図面内では、要素、層、および領域の相対的なサイズは、明確にするために誇張されている場合がある。
【0041】
本明細書で使用される場合、「および/または」なる用語は、関連する列挙された項目の1つ以上の任意およびすべての組み合わせを含む。さらに、本発明の実施形態を説明するときの「可能である(may)」の使用は、「本発明の1つ以上の実施形態」を指す。さらに、本発明の実施形態の以下の説明において、単数形の用語は、文脈が別段明示しない限り、複数形を含みうる。
【0042】
「第1」および「第2」なる用語は種々の要素を説明するために使用されるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、ある要素を別の要素から区別するためにのみ使用される。例えば、第1の要素は、本発明の範囲から逸脱することなく、第2の要素と名付けてもよく、同様に、第2の要素は、第1の要素と名付けてもよい。本明細書では、「および/または」なる用語は、関連するリストの1つ以上の項目のあらゆる組み合わせを含み、要素のリストの前にある場合の「少なくとも1つの」などの表現は、要素のリスト全体を修飾するものである。
【0043】
本明細書で使用される場合、「実質的に」および「約」なる用語は、程度の用語としてではなく、近似の用語として使用され、当業者によって認識されるであろう測定値または計算値の固有の偏差を説明することを意図している。ただし、「実質的に」なる用語が数値を使用して表現された特徴と組み合わせて使用される場合、「実質的に」なる用語は、その値を中心とした値の+/-5%の範囲を示す。
【0044】
図1は、例示的な車両10、特に内燃機関、電気モータまたはハイブリッド機関を備えた車両を概略的に示している。車両10は、複数の1次センサ、特に第1のセンサ11、第2のセンサ12、および第3のセンサ13を含む。1次センサ11,12,13は、車両の環境情報を検出するように構成され、例えば、車両10の前方の道路の画像を検出するためのカメラ、例えば、超音波ベースのセンサまたはLIDARベースのセンサなどの距離センサを含む。1次センサ11,12,13は、検出された信号を車両10の制御ユニット40に送信する。
【0045】
車両10は、複数の2次センサ、特に第4のセンサ51、第5のセンサ52、および第6のセンサ53をさらに含む。2次センサ51,52,53は、車両10自体に関する情報、特に車両10の実際の位置および運動状態を再評価するデータを検出するように構成される。したがって、2次センサ51,52,53は、好ましくは速度センサ、加速度センサ、傾斜センサなどを含む。2次センサは、検出された信号を車両10の制御ユニット40に送信する。
【0046】
車両10は、メモリおよび1つ以上のトランスポンダ22を備えた通信モジュール20をさらに含む。トランスポンダ22は、無線、WLAN、GPS、および/またはBluetoothトランスポンダなどとして構成されうる。通信モジュール20は、トランスポンダ22を介して、GPS衛星61、モバイル通信ネットワークの基地局62、および少なくとも1つの第2の車両63と通信するように構成される。トランスポンダ22は、適切なデータバスを介して通信モジュールの内部メモリ21と通信する。通信モジュール20は、V2Vおよび(C-)V2Xを実行するように構成される。通信モジュール20はまた、制御ユニット40と通信する。通信モジュール20は、WLAN p通信システム(IEEE802.11p)および/またはLTE-Vモード4通信システムに従ってメッセージを通信するように適応化されている。
【0047】
車両10は、車両10の完全または部分的に自律的な運転を実行するために、特にその縦方向および横方向の制御のために構成された運転システム30をさらに含む。運転システム30は、ユーザによって入力された開始点と終了点との間のナビゲーションルートを決定するように構成されたナビゲーションモジュール32を含む。運転システムは、例えば、適切なデータバスを介してナビゲーションモジュール32と通信する、例えば、地図資料用の内部メモリ31をさらに含む。2次センサ51,52,53の少なくとも一部は、特に車両10の実際の位置および動きの情報を含めて、その信号を運転システム30に直接に送信する。
【0048】
車両は、以下に詳細に記載される本発明の方法を実行するように構成された制御ユニット40をさらに含む。このタスクおよび他のタスクを実行するために、制御ユニット40は、適切なデータバスを介して互いに通信する内部メモリ41およびCPU42を含む。その上で、制御ユニットは、例えば、1つ以上のCAN、SPI、または他の適切な接続を介して、少なくとも1次センサ11,12,13、2次センサ51,52,53、通信モジュール20および運転システム30と通信する。
【0049】
図2は、図1の車両、モバイル通信ネットワークの基地局62、および車両製造者によって操作されるサーバ70および路側機(RSU)90を含む、本発明の方法を実行するためのスマート環境を概略的に示している。
【0050】
図2に示すシステムでは、通信すなわち送信、受信もしくはその両方が車両10間で直接に行われ、かつ/または車両10と、ネットワーク構成要素、特に基地局62、路側機90、および/またはアプリケーションもしくはバックエンドサーバ70との間で行われる。したがって、通信には、モバイル通信システムまたは車車間(V2V)通信のいずれかが利用される。ここで、基地局62は、通常、モバイル通信ネットワークのネットワークオペレータによって操作され、一方、路側機90は、車両製造者またはそのサービスパートナーによって操作されうる。さらに、路側機90は、車両10とも直接に通信しうるサーバ70と通信する。
【0051】
V2V通信および/またはV2X通信に使用されるモバイル通信システムは、例えば、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)で標準化されたモバイル通信システムの1つに対応しうる。ここで、モバイル通信システムなる用語は、モバイル通信ネットワークと同義で使用される。モバイル通信システムまたは無線通信システム400は、第5世代(5G)のモバイル通信システムに対応することができ、ミリ波技術を使用することができる。モバイル通信システムは、例えば、ロングタームエボリューション(LTE)、LTE-アドバンスト(LTE-A)、高速パケットアクセス(HSPA)、ユニバーサルモバイルテレコミュニケーションシステム(UMTS)、もしくはUMTS地上無線アクセスネットワーク(UTRAN)、進化型UTRAN(e-UTRAN)、モバイル通信用グローバルシステム(GSM)、もしくはGSM進化用拡張データレート(EDGE)ネットワーク、GSM/EDGE無線アクセスネットワーク(GERAN)、または異なる規格のモバイル通信ネットワーク、例えば、マイクロ波アクセス(WIMAX)ネットワークIEEE802.16もしくは無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)IEEE802.11のワールドワイド相互運用性、概して直交周波数分割多元接続(OFDMA)ネットワーク、時分割多元接続(TDMA)ネットワーク、符号分割多元接続(CDMA)ネットワーク、広帯域CDMA(WCDMA)ネットワーク、周波数分割多元接続(FDMA)ネットワーク、空間分割多元接続(SDMA)ネットワークなどに対応してもよく、またはこれらを含んでもよい。
【0052】
図3は、本発明による方法、特に本発明の一実施形態によるチャネル負荷を予測するための方法の適用事例を示している。
【0053】
図示の状況では、第1の乗用車V1は、本開示の方法を実行するように構成される。したがって、第1の車両10,V1は、上記のように内蔵の第1のセンサ11~13のセンサ読み取り値を使用するとともに、第2の車両63からのメッセージを介して受信した情報を使用することにより、複数の第2の車両63に関連する交通流データを予測する。ここで、第2の車両から受信されたメッセージには、好ましくは、それぞれの第2の車両63のナビゲーションシステムから出力された経路情報が含まれる。
【0054】
特に、第1の乗用車V1は、これらの受信した経路情報を、第1の乗用車V1が工事現場A2を通過している間に得られたセンサ読み取り値と組み合わせる。工事現場A2の領域では、一方の運転車線のみが利用可能であり、この一方の運転車線へのアクセスは、信号機によって制御されている。第1の乗用車V1は、信号機の切り替え時間の知識を有しているため、エリアA1に存在するであろう車両の数を予測することができる。この予測された車両の数に基づいて、第1の乗用車V1は、エリアA1を高密度エリアであると判別する。この知識と車両ごとの特定のチャネル使用量の仮定とに基づいて、第1の車両は、エリアA1が、少なくとも1つの通信チャネルのチャネル輻輳を伴い、特に当該チャネルのチャネル負荷が70%の所定の閾値を上回る臨界エリアであると判別する。
【0055】
第1の乗用車V1は、臨界エリアA1に関するこの情報を、この情報に関連性を有する車両とのみ共有する。そのため、第1の乗用車V1は、複数の車両の進行軌道を予測し、予測進行軌道を臨界エリアA1と比較する。これにより、第1の乗用車V1は、臨界エリアA1の方向に走行する車両を決定し、ひいては、予測されるチャネル輻輳について通知する必要がある。
【0056】
図3に示すシナリオでは、3台の貨物車両で構成される隊列PL1が、ルート情報を第1の乗用車V1に送信する。これにより、第1の乗用車V1は、隊列が臨界エリアA1を通過するかどうかを判別できる。第1のシナリオAでは、隊列PL1は臨界エリアA1を通過するので、第1の乗用車V1は、臨界エリアに関するメッセージを隊列PL1、特に隊列リーダーに送信する。シナリオBでは、隊列PL1は臨界エリアA1を通過せず、第1の乗用車V1はエリアA1のメッセージを隊列PL1に送信しない。
【0057】
図3にさらに示されているように、第3の乗用車V3は、第1の乗用車V1と同じルートを辿るため、第1の乗用車V1と同じ臨界エリアA1の予測を導出する。さらに、第3の乗用車V3は、第1の乗用車V1の送信範囲内にあり、その進行方向が臨界エリアA1内に存在することを示していた。しかしながら、第3の乗用車V3は、隊列PL1にすでにメッセージを送信した第1の乗用車V1からかかるメッセージがすでに受信されているので、臨界エリアA1上でメッセージを再び送信することはない。したがって、メッセージの受信に基づいて、隊列PL1は、例えば、エリアA1に到着する前に貨物車両の距離を増大することによって、その自動運転性能を適応化することができる。
【0058】
本明細書に記載の本発明の実施形態による電子もしくは電気デバイスおよび/または他の関連するデバイスもしくは構成要素は、ハードウェアとして明示的に説明されているものを除き、任意の適切なハードウェア、ファームウェア(例えば、特定用途向け集積回路)、ソフトウェア、またはソフトウェア、ファームウェア、およびハードウェアの組み合わせを利用して実装できる。例えば、これらのデバイスの種々の構成要素は、1つの集積回路(IC)チップ上または別個のICチップ上に形成されうる。さらに、これらのデバイスの種々の構成要素は、可撓性プリント回路フィルム、テープキャリアパッケージ(TCP)、プリント回路基板(PCB)上に実装されうるか、または1つの基板上に形成されうる。本明細書に記載の電気的接続または配線は、例えば、PCBまたは別の種類の回路キャリア上のワイヤまたは導電性要素によって実現されうる。導電性要素には、メタライゼーション、例えば、表面メタライゼーションおよび/またはピンが含まれてよく、かつ/または導電性ポリマーまたはセラミックが含まれてよい。さらなる電気エネルギは、例えば電磁放射および/または光を使用して、無線接続を介して送信されてもよい。さらに、これらのデバイスの種々の構成要素は、1つ以上のプロセッサ上で、1つ以上のコンピューティングデバイスで実行され、コンピュータプログラム命令を実行し、本明細書に記載の種々の機能を実行するために他のシステム構成要素と相互作用するプロセスまたはスレッドであってもよい。コンピュータプログラム命令は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの標準的なメモリデバイスを使用してコンピューティングデバイスに実装されうるメモリに格納される。コンピュータプログラム命令はまた、例えば、CD-ROM、フラッシュドライブなどの他の非一時的コンピュータ可読媒体に格納されてもよい。
【0059】
当業者は、本発明の例示的な実施形態の範囲から逸脱することなく、種々のコンピューティングデバイスの機能が単一のコンピューティングデバイスに組み合わせ可能または統合可能であり、または特定のコンピューティングデバイスの機能が、1つ以上の他のコンピューティングデバイスに分散可能であることを認識すべきである。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用されている辞書で定義されている用語は、関連技術および/または本明細書の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、明示的に定義されない限り、理想化された意味または過度に形式的な意味で解釈されるべきではないことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0060】
10 車両
11 第1のセンサ
12 第2のセンサ
13 第3のセンサ
20 通信モジュール
21 メモリ
22 トランスポンダ
30 運転システム
31 メモリ
32 CPU
40 制御ユニット
41 メモリ
42 CPU
51 第4のセンサ
52 第5のセンサ
53 第6のセンサ
61 GPS衛星
62 基地局
63 第2の車両
70 バックエンドサーバ
90 路側機
V1 第1の乗用車
V3 第3の乗用車
PL1 第1の隊列
A1 臨界エリア
A2 工事現場
図1
図2
図3