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特許7553461柔軟なストランドを有する剛直な多軸線形アクチュエータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】柔軟なストランドを有する剛直な多軸線形アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F16H 19/02 20060101AFI20240910BHJP
   F16H 19/04 20060101ALI20240910BHJP
   F16G 13/20 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
F16H19/02 B
F16H19/04 B
F16H19/04 E
F16H19/04 J
F16G13/20
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021559768
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-06
(86)【国際出願番号】 EP2020059688
(87)【国際公開番号】W WO2020207933
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】1903853
(32)【優先日】2019-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】518171133
【氏名又は名称】セラピド フランス
【氏名又は名称原語表記】SERAPID - FRANCE
【住所又は居所原語表記】ZI bleu Louis Delaporte,76370 Rousmesnil-Bouteilles,France
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プレヴォー,ロマン
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0047700(US,A1)
【文献】特開2013-056764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 19/02
F16H 19/04
F16G 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差する軸に沿う少なくとも2つの異なる方向に沿って引く力および押す力を伝達することができる多軸線形アクチュエータ(1)であって、
柔軟な合成材料をベースに形成された少なくとも2つの相補的な作動ストランド(2,3)を備え、
前記作動ストランドの第1の面には、等間隔に配置されたスタッド(7)が設けられ、
前記スタッド(7)の各々には、互いに反対側にある2つの前面(8)と、前部横方向能動面(9)と、後部横方向能動面(10)と、前記前部横方向能動面(9)と前記後部横方向能動面(10)とを分離する縦方向能動面(11)と、前記ストランドとの接続のための縦方向面(12)と、が設けられ、
前記スタッド(7)は、互いに対向するように位置し且つ互いに係合する前記2つの作動ストランド(2,3)のそれぞれの前記第1の面(5)を有し、
一方の前記作動ストランド(2,3)の前記スタッド(7)の前記前部横方向能動面(9)および前記後部横方向能動面(10)は、他方の前記作動ストランド(3,2)に関連する2つの隣接スタッド(7)のそれぞれの前記後部横方向能動面および前記前部横方向能動面に当接して、2つの前記作動ストランド(2,3)が確実に接続される直線に沿って延在する部分を画定し、
前記作動ストランドの前記スタッド(7)の間に形成される空間の形状および寸法は、他方の前記作動ストランドに関連する前記隣接スタッド(7)の形状および寸法と相補的であり、
前記スタッド(7)を分離する前記2つの作動ストランド(2,3)のそれぞれの前記第1の面(5)および前記スタッド(7)の前記縦方向面のセグメント(16)には、切り欠き部が設けられ、
一方の前記作動ストランド(2,3)の1つの前記スタッド(7)の前記縦方向面の前記切り欠き部は、前記2つの作動ストランド(2,3)が確実に接続されたときに、対応する前記切り欠き部に入り込むことで、前記スタッド(7)に関連する前記2つのスタッド(7)の間に位置する他方の前記ストランドの前記第1の面の前記セグメントの対応する前記切り欠き部と協働するようになっており、これにより、前記線形アクチュエータ(1)の一部が一体型の剛直なバーのように機能することができ、
前記作動ストランド(2,3)は、前記第1の面(5)とは反対側にある第2の面上に等間隔に配置された歯部(20)を備え、
前記アクチュエータ(1)は、前記作動ストランド(2,3)ごとに1つの駆動部材(21)を備え、
前記駆動部材(21)の各々は、一方の前記作動ストランド(2,3)の前記第2の面(6)の前記歯部(20)と係合して、前記作動ストランド(2,3)を並進させ、
前記作動ストランド(2,3)が係合する第1の直線部(40)と、前記作動ストランド(2,3)が係合する第2の直線部(50)と、前記第1の直線部(40)と前記第2の直線部(50)との間に位置し、前記作動ストランド(2,3)が離間している湾曲した領域(60)と、を備える、
アクチュエータ(1)。
【請求項2】
前記作動ストランド(2,3)は、前記湾曲した領域(60)において、互いに独立しており、
前記湾曲した領域において、湾曲部の内側に位置する前記作動ストランドは凹状になっており、前記湾曲部の外側に位置する前記作動ストランドは凸状、凹状および凸状になっており、
前記湾曲した領域(60)において、前記湾曲部の外側に位置する前記作動ストランドは、前記湾曲部の内側に位置する前記作動ストランドよりも多くの前記スタッド(7)を有する、
請求項1に記載のアクチュエータ(1)。
【請求項3】
前記作動ストランド(2,3)が係合する偶数個の直線部(40,50)と、前記直線部(40,50)の間に位置し、前記作動ストランド(2,3)が離間して配置される湾曲した領域(60)と、を備え、
一方の前記作動ストランド(2,3)は、2つの直線部(40,50)に属しており、前部作動ストランドおよび後部作動ストランドと角度を付けて係合し、
角度を付けて隣接する前記直線部は、移動するときに、一方が入ってきて、他方が出ていくようになっている、
請求項1に記載のアクチュエータ(1)。
【請求項4】
前記駆動部材(21)を支持するフレームを備え、
前記フレームは、前記駆動部材(21)の軸に平行な軸に沿ってヒンジ結合された第1の部分および第2の部分と、選択された角度に応じて前記第1の部分および前記第2の部分を互いに対して解放可能にブロックすることができるヒンジロックと、を備え、
前記選択された角度は、前記第1の直線部(40)と前記第2の直線部(50)とがなす角度を画定する、
請求項1~3のいずれか1項に記載のアクチュエータ(1)。
【請求項5】
4つの駆動部材(21)を備え、
前記第1の直線部(40)の前記作動ストランドの前記第2の面(6)ごとに1つの前記駆動部材(21)が設けられ、前記第2の直線部(50)の前記作動ストランドの前記第2の面(6)ごとに1つの前記駆動部材(21)が設けられる、
請求項1~4のいずれか1項に記載のアクチュエータ(1)。
【請求項6】
前記駆動部材(21)の各々は、一方では前記第1の直線部(40)において、他方では前記第2の直線部(50)において、一方の前記作動ストランド(2,3)の前記第2の面(6)の前記歯部(20)と係合する第1の歯部(22)と、前記第1の歯部(22)と同心である第2の歯部(23)と、を備え、前記第2の歯部(23)は、他方の前記作動ストランドの前記第2の面(6)の前記歯部(20)と係合する前記駆動部材(21)の前記第2の歯部(23)と係合し、
2つの前記駆動部材(21)の前記第2の歯部には、前記直線部ごとに1つのモータピニオン(26)が係合する、
請求項1~5のいずれか1項に記載のアクチュエータ(1)。
【請求項7】
前記第2の歯部(23)は、前記駆動部材(21)の軸に沿って、前記第1の歯部(22)に対してずれて、且つ前記スタッド(7)の前面の近傍に配置され、
前記第1の歯部(22)は、平形またはヘリンボーン形であり、
前記第2の歯部(23)は、はすば形またはヘリンボーン形であり、
前記駆動部材(21)の各々は、前記第1の歯部(22)の両側に2つの前記第2の歯部を備える、
請求項に記載のアクチュエータ(1)。
【請求項8】
前記モータピニオン(26)は、前記湾曲した領域(60)において、前記作動ストランド(2,3)の間に配置された軸を有し、前記湾曲した領域(60)の内側または外側に配置された2つの前記駆動部材(21)の前記第2の歯部(23)と係合する、
請求項6に記載のアクチュエータ(1)。
【請求項9】
前記作動ストランド(2,3)と係合する4つのガイドピニオン(24)を備え、
前記第1の直線部(40)の前記作動ストランドの前記第2の面(6)ごとに1つの前記ガイドピニオンが設けられ、前記第2の直線部(50)の前記作動ストランドの前記第2の面(6)ごとに1つの前記ガイドピニオンが設けられ、前記ガイドピニオン(24)の軸は、前記駆動部材(21)の軸から離れた位置に設けられ、前記ガイドピニオン(24)は、遊びを有するように取り付けられるか、前記駆動部材(21)によって駆動される、
請求項1~8のいずれか1項に記載のアクチュエータ(1)。
【請求項10】
前記湾曲した領域(60)の外側に配置された前記作動ストランド(3)の第2の面(6)と接触するように、ガイド(72,73)が配置される、
請求項1~9のいずれか1項に記載のアクチュエータ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剛直なバーのように機能して、引く力および押す力を伝達するように設計された線形アクチュエータの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの用途において、油圧式アクチュエータはその遅さ、縦方向の大きさおよびオイルの存在が不適切であり、電動式スクリュージャッキアクチュエータはその遅さと縦方向の大きさに加えて、機械的特性が限られている。
【0003】
そのため、荷物を持ち上げるためのプッシュチェーンが提案されてきた。プッシュチェーンは、逆T字型の構成を有する。T字の脚部は、高さが変更可能であるように制御される。T字の脚部は、剛直なバーを形成する。
【0004】
脚部の軸に沿った大きさは、小さい。
【0005】
本出願人は、広く流通している欧州特許第1399683号の線形アクチュエータを用いて、小型の自動化システムに当該技術を利用することを可能にした。2つの柔軟なストランドは、互いに入れ子になってロックするように設計された剛直なスタッドを有する。この機構の質量は、非常に小さくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
異なる軸に沿って組み合わされた動作を行うアクチュエータが求められている。2つの異なるアクチュエータは、2つの異なる軸に沿って動作することができるが、これらを同期させる必要がある。
【0007】
本出願人は、複数の軸に沿って力を加えることができるアクチュエータを開発した。このアクチュエータは、少なくとも2つの方向、特に平行ではない2つの方向に沿って押す力を発揮するように設計されているという点で、多軸線形であると言える。
【課題を解決するための手段】
【0008】
多軸線形アクチュエータは、少なくとも2つの異なる方向に沿って引く力および押す力を伝達することができる。アクチュエータは、柔軟な合成材料をベースに形成された少なくとも2つの相補的な作動ストランドを備える。その第1の面には、等間隔に配置されたスタッドが設けられる。スタッドの各々には、互いに反対側にある2つの前面と、前部横方向能動面と、後部横方向能動面と、前部横方向能動面と後部横方向能動面とを分離する縦方向能動面と、ストランドとの接続のための縦方向面と、が設けられる。スタッドは、互いに対向するように位置し且つ互いに係合する2つの作動ストランドのそれぞれの第1の面を有する。一方の作動ストランドのスタッドの前部横方向能動面および後部横方向能動面は、他方の作動ストランドに関連する2つの隣接スタッドのそれぞれの後部横方向面および前部横方向面当接して、2つの作動ストランドが確実に接続される直線部に沿って延在する部分を画定する。作動ストランドのスタッドの間に形成される空間の形状および寸法は、他方の作動ストランドに関連する隣接スタッドの形状および寸法と相補的である。スタッドを分離する2つの作動ストランドのそれぞれの第1の面およびスタッドの縦方向面のセグメントには、切り欠き部が設けられる。一方の作動ストランドの1つの縦方向面の切り欠き部は、2つの作動ストランドが確実に接続されたときに、対応する切り欠き部に入り込むことで、当該スタッドに関連する2つのスタッドの間に位置する他方のストランドの第1の面のセグメントの対応する切り欠き部と協働するようになっている。これにより、線形アクチュエータの一部が一体型の剛直なバーのように機能することができる。作動ストランドは、第1の面とは反対側にある第2の面上に等間隔に配置された歯部を備える。アクチュエータは、作動ストランドごとに1つの駆動部材を備える。駆動部材の各々は、一方の作動ストランドの第2の面の歯部と係合して、作動ストランドを並進させる。アクチュエータは、作動ストランドが係合する第1の直線部と、作動ストランドが係合する第2の直線部と、第1の直線部と第2の直線部との間に位置し、作動ストランドが離間している湾曲した領域と、を備える。
【0009】
一実施形態において、アクチュエータは、非磁性材料から形成される。
【0010】
一実施形態において、作動ストランドは、湾曲した領域において、互いに独立している。
【0011】
一実施形態において、湾曲した領域において、湾曲部の内側に位置する作動ストランドは凹状になっており、湾曲部の外側に位置する作動ストランドは凸状、凹状および凸状になっている。
【0012】
一実施形態において、湾曲した領域において、湾曲部の外側に位置する作動ストランドは、湾曲部の内側に位置する作動ストランドよりも多くのスタッドを有する。
【0013】
一実施形態において、アクチュエータは、作動ストランドが係合する偶数個(例えば4つや6つなど)の直線部と、直線部の間に位置し、作動ストランドが離間して配置される湾曲した領域と、を備える。作動ストランドは、角度を付けて隣接する2つの直線部に属している。作動ストランドは、前部作動ストランドおよび後部作動ストランドと角度を付けて係合する。角度を付けて隣接する直線部は、移動するときに、一方が入ってきて、他方が出ていくようになっている。
【0014】
一実施形態において、アクチュエータは、駆動部材を支持するフレームを備える。フレームは、駆動部材の軸に平行な軸に沿ってヒンジ結合された第1の部分および第2の部分と、選択された角度に応じて第1の部分および第2の部分を互いに対して解放可能にブロックすることができるヒンジロックと、を備えてもよい。選択された角度は、第1の直線部と第2の直線部とがなす角度を画定する。選択された角度は、70°~110°の範囲であってもよい。したがって、用途に応じて剛直なバーの間の角度を調整することができる。用途に応じたカスタマイズ製造を回避することができる。
【0015】
一実施形態において、アクチュエータは、4つの駆動部材を備える。第1の直線部の作動ストランドの第2の面ごとに1つの駆動部材が設けられ、第2の直線部の作動ストランドの第2の面ごとに1つの駆動部材が設けられる。
【0016】
一実施形態において、駆動部材の各々は、第1の直線部において、一方の作動ストランドの第2の面の歯部と係合する第1の歯部と、第1の歯部と同心である第2の歯部と、を備え、第2の歯部は、他方の作動ストランドの第2の面の歯部と係合する駆動部材の第2の歯部と係合する。
【0017】
一実施形態において、駆動部材の各々は、第2の直線部において、一方の作動ストランドの第2の面の歯部と係合する第1の歯部と、第1の歯部と同心である第2の歯部と、を備え、第2の歯部は、他方の作動ストランドの第2の面の歯部と係合する駆動部材の第2の歯部と係合する。
【0018】
一実施形態において、2つの駆動部材の第2の歯部には、直線部ごとに1つのモータピニオンが係合する。アクチュエータには、モータピニオンおよび駆動部材を介して作動ストランドを同期させて駆動する1つの電動式モータが設けられてもよい。
【0019】
一実施形態において、第2の歯部は、駆動部材の軸に沿って、第1の歯部に対してずれて配置される。第2の歯部は、スタッドの前面の近傍に配置される。
【0020】
一実施形態において、第1の歯部は、平形である。
【0021】
一実施形態において、第1の歯部は、ヘリンボーン形である。
【0022】
一実施形態において、第2の歯部は、はすば形である。
【0023】
一実施形態において、第2の歯部は、ヘリンボーン形である。
【0024】
一実施形態において、駆動部材の各々は、第1の歯部の両側に2つの第2の歯部を備える。これにより、力が対称的にかかるようになる。
【0025】
一実施形態において、モータピニオンは、湾曲した領域において、作動ストランドの間に配置された軸を有する。
【0026】
一実施形態において、モータピニオンは、湾曲した領域の内側に配置された2つの駆動部材の第2の歯部と係合する。
【0027】
一実施形態において、モータピニオンは、湾曲した領域の外側に配置された2つの駆動部材の第2の歯部と係合する。
【0028】
一実施形態において、アクチュエータは、作動ストランドと係合する4つのガイドピニオンを備える。第1の直線部の作動ストランドの第2の面ごとに1つのガイドピニオンが設けられ、第2の直線部の作動ストランドの第2の面ごとに1つのガイドピニオンが、駆動部材から離れた位置に設けられる。ガイドピニオンは、遊びを有するように取り付けられる。これにより、剛直なバーを正確に案内することができる。
【0029】
一実施形態において、アクチュエータは、作動ストランドと係合する4つのガイドピニオンを備える。第1の直線部の作動ストランドの第2の面ごとに1つのガイドピニオンが設けられ、第2の直線部の作動ストランドの第2の面ごとに1つのガイドピニオンが、駆動部材から離れた位置に設けられる。ガイドピニオンは、駆動部材によって駆動される。伝達可能なトルクが非常に高くなる。
【0030】
一実施形態において、湾曲した領域の外側に配置された作動ストランドの第2の面と接触するように、ガイドが配置される。
【0031】
一実施形態において、駆動部材には、確実な取り付けのためのインデックスキーが設けられる。
【0032】
言い換えれば、本発明は、複数の異なる軸、特に交差する軸で作動するアクチュエータを目的としている。モータの駆動は、アクチュエータの軸数に関わらず、固有のものを使用することができる。複数のモータを駆動する変形例において、モータを制御することで、剛直なバーを形成する各部分の動きを同期することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して以下に記載する詳細な説明から明らかになるであろう。
図1】本発明の一態様によるアクチュエータを模式的に示す側面図である。
図2】部分的に取り外された本発明の一態様によるアクチュエータを模式的に示す斜視図である。
図3】スタッドを省略した本発明の一態様によるアクチュエータを模式的に示す斜視図である。
図4】スタッドを省略した本発明の一態様によるアクチュエータを模式的に示す斜視図である。
図5】スタッドを省略した本発明の一態様による、角度が調整可能なアクチュエータを模式的に示す斜視図である。
図6】本発明の一態様による4軸線形アクチュエータを模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
添付の図面は、本発明を構成するのに役立つだけでなく、必要に応じてその定義にも貢献する。
【0035】
多くの用途において、数十ニュートンから数百ニュートンの力を加えて、数センチメートルから数十センチメートルの直線的なストロークで物体を動かすには、重くて大きい、環境に不適切であり騒音を伴う機構が必要となる。
【0036】
スクリーン、シャッター、パネルやディスプレイの展開の分野において、複動式の双方向アクチュエータおよび/またはT字型ではなくL字型のアクチュエータが求められている。
【0037】
ここでは、2つの3次元基準フレームが定義されている。これらのフレームは、第1の直線部に対応する一方のフレーム(X1,Y1,Z)と、第2の直線部に対応する他方のフレーム(X2,Y2,Z)と、を含む。軸X1,X2は、直線部の縦軸である。軸Y1,Y2は、一方のストランドから他方のストランドからまで延在する直線部の横軸である。共通軸Zは、アクチュエータの回転要素の回転軸を画定する。平面(X1,Y1)および(X2,Y2)は、一致している。
【0038】
図に示す実施形態において、アクチュエータ1は、2つの相補的な作動ストランド2および3を備える。作動ストランド2および3は、同一の形状を有する。作動ストランド2および3は、例えばPUなどの柔軟な合成材料から形成されており、場合によっては、例えばアラミド繊維などによって補強されている。作動ストランド2および3は、縦軸X1,X2に沿って、アクチュエータ1の一部に沿って互いに平行に配置され、アクチュエータ1の別の部分に沿ってさらに離間するように配置される。
【0039】
作動ストランド2および3は、数十センチメートルから数メートルの範囲の長さ、軸Zに沿って数センチメートルの範囲の幅、および数ミリメートルの範囲の厚さを有するベルトのような形状を有する。作動ストランド2および3は、厚さ方向に延在する滑らかな縁部4を有する。縁部4は、互いに平行である。縁部4は、平面(X1,Y1)または(X2,Y2)において平面的である。作動ストランド2および3は、幅方向に延在する第1の面5および第2の面6を有する。第1の面5および第2の面6は、互いに反対側に位置する。第1の内部面5は、他方の作動ストランドと対向するように配置され、第2の外部面6は、他方の作動ストランドに対向する側に配置される。第1の面5および第2の面6は、軸Zに向けて配置される。
【0040】
アクチュエータ1は、ストランドの第1の面5上で等間隔に配置された複数のスタッド7を備える。スタッド7は、互いに同一の形状を有する。スタッド7は、相補的である。そのため、1つのスタッド7は、他方のストランドの対応する2つのスタッド7と係合するように構成される。係合したスタッド7は、頭から尾までの位置にある。スタッド7は、必要に応じてガラス繊維のような鉱物が加えられた、例えばPOMなどの剛直な合成材料から形成される。スタッド7は、形状を一致させて、ねじ込みやリベット留めによって、ストランドに取り付けられる。
【0041】
スタッド7の各々には、互いに反対側にある2つの前面8が設けられる。前面8は、平面(X1,Y1)または(X2,Y2)において平面的である。前面8は、対応するストランドの縁部と同一平面上にある。前面8は、相補的なスタッド7の前面8と、対向するストランドの縁部4と同一平面上にある。
【0042】
スタッド7の各々には、軸Zに沿って、前部横方向能動面9と、後部横方向能動面10と、が設けられる。アクチュエータ1は前後に動くため、本明細書では前後の概念が存在する。能動面とは、相補的なスタッド7および/または相補的なストランドと協働する面であることに理解されたい。
【0043】
スタッド7の各々には、前部横方向能動面9と後部横方向能動面10とを分離する縦方向能動面11と、スタッド7が取り付けられるストランドと接続するための縦方向面12と、が設けられる。縦方向能動面11は、通常、平面(X1,Z)または(X2,Z)にある。縦方向能動面11には、対向するストランドの内部面5とは相補的なレリーフが設けられる。
【0044】
接続される縦方向面12は、軸Zに沿って輪郭が形成されている。接続される縦方向面12には、ストランドの内部面5とは相補的なレリーフが設けられる。ストランドの内部面5には、接続される縦方向面12の溝14に嵌る台形状の断面を有する突起部13が設けられてもよい。突起部13は、軸Zに沿った高さが縦方向能動面11の相補的なレリーフの高さよりも大きくてもよい。突起部13は、軸X1,X2に沿って、スタッド7のスカート15で囲まれており、スタッド7が突起部13の中央に配置されるようになっている。スタッド7のスカート15は、突起部13に隣接するストランドの内部面5の底部と接触する。
【0045】
したがって、スタッド7は、アクチュエータ1のストロークの全部または一部にわたって互いに対向して配置された2つの作動ストランド2,3のそれぞれの第1の面5を有する。スタッド7は、作動ストランド2,3が互いに接近する係合領域において互いに係合し、作動ストランド2,3が互いから離間する係合解除領域において互いから係合解除するように構成される。係合領域において、一方の作動ストランド2,3のn番目のスタッド7図1参照)の前部横方向能動面9および後部横方向能動面10は、他方の作動ストランド3,2に関連する2つの隣接スタッド7n-1および7n+1のそれぞれの後部横方向能動面10および前部横方向能動面9にそれぞれ当接する。隣接スタッド7n-1および7n+1は、スタッド7の直前および直後のものである。係合後には、2つのストランドおよび係合したスタッド7n-1、7および7n+1は、直線であるように延在する部分を画定する。この直線部は、圧縮や屈曲に強く、スタッド7の間のせん断にも強い。
【0046】
スタッド7の前部横方向能動面9および後部横方向能動面10は、中央領域と、中央領域を囲む2つの縁部領域と、を有する。図に示す実施形態において、中央領域は、平面(Y1,Z)または(Y2,Z)に沿って実質的に平面である。
【0047】
中央領域は、スタッド7の移動軸または縦軸X1,X2に対して垂直である。縁部領域は、縦軸を通過して、スタッド7の側面から等距離にある平面(X1,Y1)に関して対称である。縁部領域は、スタッドに固定された作動ストランド2,3の近位凹部および遠位凸部を有する二重の曲率を有する。スタッド7は、平面(Y1,Z)に関して対称である。
【0048】
縁部領域と中央領域との間には、平面(X1,Y1)に平行な安定化面または段差面が設けられる。縁部領域は、中央領域に対して凹部では凹んでおり、凸部では盛り上がっている。軸Zに垂直な安定化面は、軸Zに沿って係合した2つの隣接スタッドに対する1つのスタッド7のずれを防止する。互いに係合した2つのスタッド7は、一方では縁部領域、他方では中央領域の間の形状の違いによって、横方向(軸Z)において互いに対して滑動することを防止することができる。係合した2つのスタッド7は、凹部と凸部との間の形状を一致させることによって、横方向(軸Y1,Y2)において互いから離脱することを防止することができる。n番目の1つのスタッド7の前部凸部は、n+1番目のスタッド7n+1の作動ストランド3,2に隣接するn+1番目のスタッド7n+1の後部凹部に嵌る。n番目のスタッド7の作動ストランド2,3に隣接するn番目のスタッド7nの前部凹部は、n+1番目のスタッド7n+1の後部凸部を受容する。相互ロックを得ることができる。
【0049】
同じ作動ストランド2,3に固定された連続する2つのスタッド7は、係合領域の外側で互いに対して自由に揺動することができる。揺動は、横軸Zに沿って行われる。係合領域において、スタッド7の各々は、隣接するスタッド7に当接する。これにより、圧縮強度を確保することができる。引っ張られた剛直な作動ストランド2,3によって、高い引張強度を確保することができる。
【0050】
形状を一致させること、スタッド7の相互当接、および作動ストランド2,3の引張剛性によって、ねじれや曲げに対する強さを確保することができる。
【0051】
2つの作動ストランド2,3が確実に接続されたときに、作動ストランド2,3のスタッド7の間に形成される空間の形状および寸法は、他方の作動ストランド3,2に関連する隣接スタッド7の形状および寸法と相補的である。
【0052】
さらに、2つの作動ストランド2,3のそれぞれの第1の面5は、スタッド7を分離させるセグメントを備える。スタッド7を分離させるセグメント16は、作動ストランドが離間しているときに自由である。セグメント16は、全体的に、直線部において、平面(X1,Z)または(X2,Z)に沿って配置される。
【0053】
セグメント16には、切り欠き部17が設けられる。スタッド7を有する作動ストランドの第1の面5に対向し、他方の作動ストランドの第1の面5に対向するまたは接触しているスタッド7の縦方向能動面12には、切り欠き部18が設けられる。セグメント16の切り欠き部17およびスタッド7の切り欠き部18は、互いに相補的である。セグメント16の切り欠き部17には、横軸Zに沿って輪郭が形成されている。
【0054】
切り欠き部17および18は、一方の作動ストランド2,3および他方の作動ストランド3,2のスタッド7の間の縦方向のせん断をブロックする。切り欠き部17および18は、係合解除を可能にするためのかなり低い傾斜を有する。
【0055】
一方の作動ストランドのスタッド7の縦方向能動面12の切り欠き部17は、スタッド7に関連する2つのスタッド7n-1と7n+1との間に位置する他方の作動ストランドの第1の面5の対応する切り欠き部18と協働する。2つの作動ストランド2および3が確実に接続されたときに、切り欠き部17が対応する切り欠き部18に入り込む。したがって、線形アクチュエータ1の一部は、剛直なバーのように機能する。
【0056】
作動ストランド2,3は、第1の面5とは反対側にある第2の面6を有する。第2の面6は、特に直線部に対して外側にある。作動ストランド2,3は、第2の面6上に、ラックを形成する等間隔に配置された歯部20を備える。歯部20は、横方向の軸に沿って輪郭が形成されている。歯部20は、均等に配置されている。歯部20は、一定の周期を有する。歯部20は、一定の高さを有する。
【0057】
アクチュエータ1は、作動ストランド2,3ごとに1つの駆動部材21を備える。駆動部材21の各々は、一方のストランドの第2の面6の歯部20と係合する。したがって、駆動部材21は、作動ストランド2,3を軸X1,X2に沿って並進させることができる。
【0058】
アクチュエータ1は、作動ストランド2,3が係合する第1の直線部40と、作動ストランド2,3が係合する第2の直線部50と、第1の直線部40と第2の直線部50との間に位置し、作動ストランド2,3が離間している湾曲した領域60と、を備える。第1の直線部40および第2の直線部50は、交差するまたは平行な縦軸X1およびX2を有する。
【0059】
作動ストランド2,3は、湾曲した領域60において、互いに独立している。交差する縦軸X1およびX2を有する第1の直線部40および第2の直線部50の場合、湾曲部の内側に位置する作動ストランド2は凹状になっている。湾曲部の外側に位置する作動ストランド3は凸状、凹状および凸状になっている。言い換えれば、作動ストランド3は、第1の直線部40からは軸X1から離れ、その後、軸X1に近づいて交差し、第2の直線部50からは軸X2から離れ、その後、軸X2に近づいて交差する。
【0060】
湾曲した領域60において、湾曲部の外側に位置する作動ストランド3は、湾曲部の内側に位置する作動ストランド2よりも多くのスタッド7を有する。
【0061】
ここでは、外部ストランド3は、内部ストランドよりも6つ多くスタッド7を有する。
【0062】
駆動部材21の各々は、ストランドの第2の面6の歯部20と実質的に等しい幅を有するピニオンを備える。歯部20は、ストランドの一方の縁部から他方の縁部まで延在する。ここでは、ストランドの歯部20およびピニオンの歯部は、直線状である。ピニオンは、第1の歯部22を形成する。代替的に、ヘリンボーン形歯部は、ストランドの第2の面6のラックのヘリンボーン形歯部と協働するように設けられる。駆動部材21の各々は、軸Zに平行な回転軸を有する。図1図3に示す実施形態において、4つの駆動部材21が取り付けられている。第1の駆動部材21は、湾曲した領域60において、湾曲部の外側に位置する第1の直線部40の作動ストランド3の第2の面6と係合することで協働する。第2の駆動部材21は、湾曲した領域60において、湾曲部の外側に位置する第2の直線部50の作動ストランド3の第2の面6と係合することで協働する。第3の駆動部材21は、湾曲した領域60において、湾曲部の内側に位置する第1の直線部40の作動ストランド2の第2の面6と係合することで協働する。
【0063】
第4の駆動部材21は、湾曲した領域60において、湾曲部の内側に位置する第2の直線部50の作動ストランド2の第2の面6と係合することで協働する。したがって、作動ストランド2,3の各々は、湾曲した領域60の両側に位置する2つの駆動部材21によって動かされる。別の態様によれば、第1の直線部40は、第1の直線部40の両側に位置する2つの駆動部材21によって動かされる。第2の直線部50は、第2の直線部50の両側に位置する2つの駆動部材21によって動かされる。
【0064】
有利には、一方の直線部40,50の両側に取り付けられた1対の駆動部材21のうちの駆動部材21は、直線部の縦軸X1,X2に垂直な同一平面内に位置する軸を有する。
【0065】
第1の歯部22またはピニオンは、一方の作動ストランド2,3の第2の面6の歯部20(ラック)と係合する。駆動部材21の各々は、第1の歯部22と同心である第2の歯部23を備える。第2の歯部23は、同じ直線部において、他方の作動ストランドの第2の面6の歯部20と係合する駆動部材21の第2の歯部23と係合する。第1の歯部22は小さい直径を有し、第2の歯部23は大きい直径を有する。駆動部材21の第1の歯部は、同じ数の歯部を有する。駆動部材21の第2の歯部は、同じ数の歯部を有する。したがって、第1の直線部40において、駆動部材21は、係合によって同期している。第2の直線部50において、駆動部材21は、係合によって同期している。
【0066】
モータピニオン26は、1つの直線部とそれぞれ関連する2つの駆動部材21の第2の歯部と係合する。モータピニオン26は、軸として軸Zを有する。モータピニオン26は、1対の駆動部材21のそれぞれの第1の駆動部材21を駆動する。駆動部材21の各対は、係合によって同期している。
【0067】
図に示す実施形態において、モータピニオン26は、湾曲した領域60において、作動ストランド2,3の間に位置する軸を有するように配置される。モータピニオン26のシャフト27は、この軸に沿って、湾曲した領域60における作動ストランド2,3の間を通って取り付けられてもよい。モータピニオン26は、湾曲部の内側に位置する作動ストランド2の凹部側に位置する軸を有する駆動部材21と係合する。モータピニオン26が備える歯部の数は、駆動部材21の第2の歯部の数よりも大きい。
【0068】
別の実施形態において、モータピニオン26は、湾曲した領域60において、作動ストランド2,3の間に位置する軸を有するように配置される。モータピニオン26は、湾曲部の外側に位置する作動ストランド3の側に位置する軸を有する駆動部材21と係合する。モータピニオン26が備える歯部の数は、第2の歯部の数よりも大きく、先の実施形態のモータピニオン26の歯部の数よりも大きい。
【0069】
別の実施形態において、モータピニオン26は、湾曲部の内側に位置する作動ストランドの凹部側に位置する軸を有するように配置される。モータピニオン26は、湾曲部の内側に位置する作動ストランド2の側に位置する軸を有する駆動部材21と係合する。モータピニオン26が備える歯部の数は、先の2つの実施形態のモータピニオン26の歯部の数よりも小さい。モータピニオン26の歯部の数は、第2の歯部の数よりも小さいか、等しい。同じ線形速度であれば、モータピニオン26の回転速度が高くなり、トルクが小さくなる。これにより、湾曲部の外側に位置する作動ストランドの近傍における大きさを小さくすることができる。モータピニオン26は、電動式モータによって、減速機を用いてあるいは直接係合することで、駆動される。
【0070】
駆動部材21において、第2の歯部23は、駆動部材21の軸に沿って、第1の歯部22に対してずれて配置される。第2の歯部23は、スタッド7の前面に対向して、その近傍に配置される。
【0071】
一実施形態において、駆動部材21の各々は、その軸に垂直で、第1の歯部22の中央を通る平面(X1,Y1)に関して対称である。したがって、駆動部材21の各々は、第1の歯部22の両側に配置された2つの第2の歯部23を備える。1対の駆動部材21の第2の歯部23は、1対の駆動部材21の第1の歯部22と係合する作動ストランド2,3の直線部40,50の両側に取り付けられる。1対の駆動部材21の第2の歯部23は、互いに係合する。
【0072】
第1の歯部22は、平形またはヘリンボーン形である。第2の歯部23は、はすば形またはヘリンボーン形である。
【0073】
さらに、作動ストランド2,3を案内するための4つのピニオン24が取り付けられる。直線部ごとに、1対のガイドピニオン24が設けられる。ガイドピニオン24は、対応する直線部の安定性を向上させる。
【0074】
ガイドピニオン24は、作動ストランド2,3と噛み合って係合する。ガイドピニオン24のうちの1つは、第1の直線部40の作動ストランドの第2の面6の各々と協働する。ガイドピニオン24のうちの1つは、第2の直線部50の作動ストランド2,3の第2の面6の各々と協働する。ガイドピニオン24の軸は、駆動部材21の軸から離間して配置される。ガイドピニオン24の軸は、軸Zに平行である。ガイドピニオン24の軸は、同一平面(Y1,Z)または(Y2,Z)に配置される。ガイドピニオン24は、駆動部材21の第1の歯部から離間して配置される。ガイドピニオン24によって、直線部40,50の各々は、埋込み式の梁と同様に機能することができる。
【0075】
図に示す実施形態において、ガイドピニオン24は、遊びを有するように取り付けられる。別の実施形態において、ガイドピニオン24は、駆動部材21によって駆動される。これにより、高いトルクを対応する直線部に伝達することができる。駆動は、ベルトによって行われてもよく、好ましくは、図示しない中間ピニオンを介して行われてもよい。
【0076】
本明細書に記載の第1の歯部22の数は、26である。駆動部材21の第1の歯部22の直径および全体的な大きさを減少させるために、より低い弾性率を有する歯部を設けてもよい。
【0077】
フレーム70は、駆動部材21およびガイドピニオン24を支持するように適宜設けられる。フレーム70は、モータピニオン26、駆動部材21およびガイドピニオン24のシャフトを支持するプレート71を備える。さらに、2つのガイド72,73は、湾曲した領域60において、外部作動ストランド3の凹部内に外部作動ストランド3を案内するように取り付けられる。ガイド72,73は、図に示す実施形態のように低摩擦層、または円筒状のローラでコーティングされたパッドから構成される。ガイド72,73は、外部作動ストランド3の第2の面6と接触する。ガイド72,73は、プレート71に支持される。内部作動ストランド2の位置は、取り付けの際に、内部作動ストランド2と係合して前側に位置する駆動部材21の第1の歯部22と、内部作動ストランド2と係合して後ろ側に位置する駆動部材21の第1の歯部22との間の歯部20の数によって決定される。操作者による取り付けを容易にするために、湾曲した領域60の内側に、ガイド74が設けられてもよい。ガイド74は、湾曲した領域60の内部作動ストランド2の凹部に内部作動ストランド2を案内することができる。ガイド74は、図に示す実施形態のように低摩擦層、または円筒状のローラでコーティングされたパッドを備えてもよい。ガイド74は、内部作動ストランド2の第2の面6と接触する。ガイド74は、プレート71に支持される。
【0078】
図1図4に示す実施形態において、フレーム70は、剛直である。外部作動ストランド3のスタッド7は、前部横方向能動面9および後部横方向能動面10によって、互いに近接しており、互いに接触している場合もある。したがって、図に示す実施形態は、湾曲した領域60の外側の大きさの点で、可能な限り小さくなっている。外部作動ストランド3から外側への突出が大きくなるように、湾曲した領域60を設けてもよい。本明細書における内外の概念は、軸X1とX2とがなす角度に関するものである。
【0079】
図4に示す実施形態において、アクチュエータは、直線部の両側に取り付けられたガイドピニオン24の間の(軸Y1,Y2に沿った)距離を設定するための部材81を備える。この設定部材81は、駆動凹部を有するねじを備える。ねじは、フレーム70の一部80に支持されたねじ穴と係合する。
【0080】
図5に示す実施形態において、フレーム70は、駆動部材21の軸に平行な軸に沿ってヒンジ結合される第1の部分および第2の部分と、選択された角度に応じて第1の部分および第2の部分を互いに対して解放可能にブロックすることができるヒンジロックと、を備えてもよい。選択された角度は、第1の直線部40と第2の直線部50とがなす角度を画定する。角度は、70°~110°の範囲で設定され、より詳細には75°~90°の範囲で設定される。
【0081】
駆動部材21には、確実な取り付けのためのインデックスキー25が設けられる。したがって、操作者は、駆動部材21の向きを調整して、アクチュエータ1を適切に動作させることができる。
【0082】
作動ストランドと直線部のどちらかを採用するかに応じて、アクチュエータ1は、少なくとも1対の作動ストランド、または第1の直線部、湾曲した領域および第2の直線部を備える。
【0083】
別の実施形態において、アクチュエータ1は、図6に示すように4軸線形であり、あるいは、6軸や8軸であり得る。言い換えれば、アクチュエータ1は、偶数個の直線部を有する。図6では、見やすさのためにスタッドを省略している。アクチュエータ1は、その枝部が上述した角度をなす十字形の形状を有する。図6において、その角度は90°である。隣接する2つの直線部がなし得る角度は、先の実施形態よりも広い範囲にわたっており、例えば、5°または10°から170°または175°までである。
【0084】
第1の作動ストランド101は、一部が第1の直線部40に属しており、一部が第2の直線部50に属している。第2の作動ストランド102は、第1の作動ストランド101と係合しながら一部が第2の直線部50に属しており、一部が第3の直線部60に属している。第3の作動ストランド103は、第2の作動ストランド102と係合しながら一部が第3の直線部60に属しており、一部が第4の直線部70に属している。第4の作動ストランド104は、第3の作動ストランド103と係合しながら一部が第4の直線部70に属しており、第1の作動ストランド101と係合しながら一部が第1の直線部40に属している。作動ストランドの各々は、アクチュエータ1の中心に向けて凸状になっている部分を有する。作動ストランドの各々には、曲率の変化がない。作動ストランドの各々は、1つの直線部内の第1の直線部と、別の直線部内の第2の直線部と、第1の直線部と第2の直線部との間で曲率を有する湾曲部と、を有する。
【0085】
モータピニオン26は、アクチュエータ1の中心に配置される。モータピニオン26は、2つの遊びピニオン28と係合する。遊びピニオン28の各々は、2つの駆動部材21を駆動する。2つの駆動部材21は、互いから離間している。各遊びピニオン28は、2つの駆動部材21のそれぞれの第2の歯部23と係合する。直線部40,50,60および70の各々は、遊びピニオン28によって駆動される一方の駆動部材21、および先行する駆動部材21によって駆動される駆動部材21と係合する。第1および第3の作動ストランド101の各々は、遊びピニオン28によって駆動される駆動部材21によって駆動される。第2および第4の作動ストランド101の各々は、遊びピニオン28によって駆動される駆動部材21によって駆動される別の駆動部材21によって駆動される。駆動部材21を回転させると、一方向において第1および第3の直線部が伸びて第2および第4の直線部が縮み、逆方向において第2および第4の直線部が伸びて第1および第3の直線部が縮む。モータピニオン26は、固有のものであって、4つのマスター駆動部材21を駆動するものであってもよい。マスター駆動部材の各々は、共に同じ直線部の1対の駆動部材21を形成するスレーブ駆動部材を駆動してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6