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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】シースルーセキュリティエレメント
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20240910BHJP
   B42D 25/351 20140101ALI20240910BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20240910BHJP
   G02B 5/32 20060101ALI20240910BHJP
   G02B 5/23 20060101ALI20240910BHJP
   B41M 3/14 20060101ALI20240910BHJP
   G02B 5/26 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G02B5/20 101
B42D25/351
G02B5/18
G02B5/32
G02B5/23
B41M3/14
G02B5/26
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021571858
(86)(22)【出願日】2020-06-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 EP2020065543
(87)【国際公開番号】W WO2020245308
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-05-09
(31)【優先権主張番号】102019115391.3
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506151626
【氏名又は名称】オーファウデー キネグラム アーゲー
(73)【特許権者】
【識別番号】507370644
【氏名又は名称】レオンハード クルツ シュティフトゥング ウント コー. カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アトナー ジュリ
(72)【発明者】
【氏名】シューラー フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】シュタウプ ルネ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルター ハラルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーバー クラウス
【審査官】内村 駿介
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-533760(JP,A)
【文献】特表2014-500811(JP,A)
【文献】特表2016-513271(JP,A)
【文献】特開2009-216722(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0113200(US,A1)
【文献】特開2012-045744(JP,A)
【文献】特開2016-107466(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0054621(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20-5/28
B42D 25/351
G02B 5/18
G02B 5/32
G02B 5/23
B41M 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シースルーセキュリティエレメント(2)の第1の主要面(201)によって形成される表面と、前記シースルーセキュリティエレメント(2)の第2の主要面(202)によって形成される裏面と、を有する前記シースルーセキュリティエレメント(2)であって、
前記シースルーセキュリティエレメント(2)は、前記第1の主要面(201)に広がる平面に対して垂直に見たときに、少なくとも1つの第1の領域(41)又は少なくとも1つの第2の領域(42)を有し、
前記シースルーセキュリティエレメント(2)は、透明である1つ又は複数の第1の部分領域(211)と、反射性である少なくとも1つの第2の部分領域(212)と、を有する第1のエレメント(21)を有し、
前記シースルーセキュリティエレメント(2)は第2のエレメント(22)を有し、当該第2のエレメント(22)は、透過時に、それぞれに割り当てられた色に一致するカラーフィルタを形成する1つ又は複数の第1の部分領域(221)と、無色に形成されるか、又は透過若しくは反射時に前記第2のエレメントの1つ又は複数の前記第1の部分領域のいずれにも割り当てられていない色に一致するカラーフィルタを形成する少なくとも1つの第2の部分領域(222)と、を有し、
前記第1のエレメント(21)の前記第1の部分領域(211)及び前記第2のエレメント(22)の前記第1の部分領域(221)は、前記第1の主要面(201)に広がる前記平面に対して垂直に見たときに少なくとも部分的に重な
前記第1の主要面に広がる前記平面に対して垂直に見たときに、前記第2のエレメントの一つ又は複数の前記第1の部分領域は、前記第1のエレメントの一つ又は複数の前記第2の部分領域と部分的に重なり、
前記シースルーセキュリティエレメント(2)は、透明である1つ又は複数の第1の部分領域と、反射性である少なくとも1つの第2の部分領域と、を有する第3のエレメントを有し、前記第2のエレメントは、前記第1のエレメントと前記第3のエレメントとの間で前記シースルーセキュリティエレメント(2)に配置され、
前記第3のエレメントの前記少なくとも1つの第2の部分領域(212)は、少なくとも1つの金属層(60)又は少なくとも1つの金属層(60)を含む一連の層によって形成される、ことを特徴とするシースルーセキュリティエレメント(2)。
【請求項2】
前記シースルーセキュリティエレメント(2)の前記第1の領域(41)において、前記第1のエレメント(21)の前記1つ又は複数の第1の部分領域(211)と、前記第2のエレメント(22)の前記1つ又は複数の第1の部分領域(221)とは、透過光で見たときに、前記第1の領域(41)において、第1の着色された特徴部(31)が、視認可能になり、前記第1の主要面(201)に広がる前記平面に対して垂直に見たときに、正確な見当合わせで互いに配置され、又は、
前記シースルーセキュリティエレメント(2)の前記第2の領域(42)において、前記第1のエレメント(21)の前記第1の部分領域(211)の少なくとも1つと、前記第2のエレメント(22)の前記第1の部分領域(221)の少なくとも1つとは、透過光で見たとき、前記第2の領域(42)において、第2の着色された特徴部(32)が、視認可能になり、前記表面及び前記裏の少なくとも一方から反射光で見たとき視認可能な第3の特徴部(33、34)に直接隣接するように、前記第1の主要面(201)に広がる前記平面に対して垂直に見たときに、相対的に正確な見当合わせで互いに配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載のシースルーセキュリティエレメント(2)。
【請求項3】
前記シースルーセキュリティエレメント(2)の前記第1の領域(41)び前記第2の領域(42)の少なくとも一方において、前記第2のエレメント(22)の前記第1の部分領域(221)は、前記第1の主要面(201)に広がる前記平面に対して垂直に見たときに、各々の場合、前記第1のエレメント(21)の前記少なくとも1つの第2の部分領域(212)に対して、100μm以下の重なり(t)を有し、又は、
前記シースルーセキュリティエレメント(2)の前記第1の領域(41)び前記第2の領域(42)の少なくとも一方において、前記第1の主要面(201)に広がる前記平面に対して垂直に見たときに、前記第2のエレメント(22)の前記第1の部分領域(221)は、前記第1のエレメント(21)の前記少なくとも1つの第2の部分領域(212)と重ならず、又は、
前記シースルーセキュリティエレメント(2)の前記第1の領域(41)び前記第2の領域(42)の少なくとも一方において、前記第1のエレメント(21)の前記少なくとも1つの第2の部分領域(212)と前記第2のエレメント(22)の前記1つ又は複数の第1の部分領域(221)とは、前記第1の主要面(201)に対して垂直に見たとき、重なることなく互いに隣接し、300μm未満の幅(S)を有する隙間を備える、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシースルーセキュリティエレメント(2)。
【請求項4】
前記シースルーセキュリティエレメント(2)の前記第1の領域(41)において、前記第1のエレメント(21)の前記1つ又は複数の第1の部分領域(211)は、各々の場合、前記第1のエレメント(21)の前記少なくとも1つの第2の部分領域(212)によって完全に囲まれ、又
前記シースルーセキュリティエレメント(2)の前記第1の領域(41)において、前記第2のエレメント(22)の前記1つ又は複数の第1の部分領域(221)は、各々の場合、前記第2のエレメント(22)の前記少なくとも1つの第2の部分領域(222)によって完全に囲まれ、又は、
前記シースルーセキュリティエレメント(2)の前記第1の領域(41)において、そこに設けられた前記第1のエレメント(21)の前記1つ又は複数の第1の部分領域(211)又はそこに設けられた前記第2のエレメント(22)の前記1つ又は複数の第1の部分領域(221)は、各々の場合、少なくとも1つの横方向において、500μm未満の寸法を有し、又は、
前記第1の領域(41)において、前記第1のエレメント(21)の前記1つ又は複数の第1の部分領域(211)及び前記第2のエレメント(22)の前記1つ又は複数の第1の部分領域(221)は、各々の場合、少なくとも1つの横方向において、5μm~300μmの寸法を有する、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のシースルーセキュリティエレメント(2)。
【請求項5】
前記シースルーセキュリティエレメント(2)の前記第1の領域(41)において、前記第2のエレメント(22)の前記第1の部分領域(221)は、各々の場合、前記第1の主要面(201)に広がる前記平面に対して垂直に見たときに、前記第1のエレメント(21)の割り当てられた第1の部分領域(211)と重なり、又は、
前記シースルーセキュリティエレメント(2)の前記第1の領域(41)において、前記第1のエレメント(21)の前記第1の部分領域(211)は、第1のグループの第1の部分領域(211)と、第2のグループの第1の部分領域(211)とに割り当てられ、
前記第1のグループに割り当てられた前記第1のエレメント(21)の前記1つ又は複数の第1の部分領域(211)は、前記第1の主要面(201)に広がる前記平面に対して垂直に見たときに、各々の場合、前記第2のエレメント(22)の割り当てられた第1の部分領域(221)と重なり、
前記第2のグループに割り当てられた、前記第1のエレメント(21)の前記1つ又は複数の第1の部分領域(211)は、各々の場合、前記第2のエレメント(22)の前記少なくとも1つの第2の部分領域(222)と重なる、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のシースルーセキュリティエレメント(2)。
【請求項6】
前記第1の領域(41)において、前記第1のエレメント(21)の前記1つ又は複数の第1の部分領域(211)及び前記第2のエレメント(22)の前記1つ又は複数の第1の部分領域(221)は、各々の場合、線及びラスタエレメントの少なくとも一方として形成され、又は、
前記第1の領域(41)び前記第2の領域(42)の少なくとも一方において、前記第1のエレメント(21)の前記1つ又は複数の第1の部分領域(211)及び前記第2のエレメント(22)の前記1つ又は複数の第1の部分領域(221)は、各々の場合、連続する細い線又は線の部分として形成され、又は、
前記ラスタエレメントは、正方形、円板状、長方形及び楕円形のうち少なくとも1つの形状を有するラスタエレメントとして、又は英数字を形成するラスタエレメントとして形成される、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のシースルーセキュリティエレメント(2)。
【請求項7】
前記第1の領域(41)において、前記第1のエレメントの前記1つ又は複数の第1の部分領域(211)は、1次元又は2次元のラスタの形態で配置される、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のシースルーセキュリティエレメント(2)。
【請求項8】
前記ラスタは、ラスタエレメントが互いに線の方向に沿っている線形のラスタであり、又
記ラスタのラスタ幅、ラスタドットのサイズ、前記線の間隔及び前記線の幅のうち少なくとも1つを局所的に変化させ、又
1の特徴部(31)のデザインは、前記第1のエレメントの前記第1の部分領域(211)及び前記第2のエレメントの前記第1の部分領域(221)のうち少なくとも一方の配置によって決定される、ことを特徴とする請求項7に記載のシースルーセキュリティエレメント(2)。
【請求項9】
前記第1のエレメント(21)の前記1つ又は複数の第1の部分領域(211)の表面比(F)は、20%未満であり
前記表面比は、前記第1のエレメント(21)の前記1つ又は複数の第1の部分領域(211)が占める前記第1の領域(41)の表面積と、前記第1のエレメント(21)の前記1つ又は複数の第1の部分領域(211)及び前記少なくとも1つの第2の部分領域(212)が占める前記第1の領域の表面積との比であり、又は、
前記シースルーセキュリティエレメント(2)の前記第1の領域(41)は、可能な限り小さい長方形領域であり、前記第1の主要面(201)に広がる前記平面に対して垂直に見たときに、前記長方形領域のすべてのエッジが、各々の場合に少なくとも1点で前記第1の特徴部(31)に隣接する、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のシースルーセキュリティエレメント(2)。
【請求項10】
前記第1のエレメント(21)の前記少なくとも1つの第2の部分領域(212)は、前記第1の主要面(201)に広がる前記平面に対して垂直に見たときに、前記シースルーセキュリティエレメント(2)の前記第1の領域(41)を完全に囲んでおり、又は、
前記シースルーセキュリティエレメント(2)の前記第1の領域(41)から出発して、前記第1のエレメント(21)の前記少なくとも1つの第2の部分領域(212)は、前記第1の主要面(201)に広がる前記平面に対して垂直に見たときに、少なくとも距離(d)だけ延在し、前記距離(d)は、0.5mm超であり、又は、
前記第2のエレメント(22)の前記第1の部分領域(221)の少なくとも1つが、前記第1のエレメント(21)の前記第1の部分領域(211)と部分的にのみ重るように、前記シースルーセキュリティエレメント(2)の前記第2の領域(42)において、前記第2のエレメント(22)の前記少なくとも1つの第1の部分領域(221)は、前記第1の主要面(201)に広がる前記平面に対して垂直に見たときに、前記第1のエレメント(21)の前記第1の部分領域(211)と重なる、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のシースルーセキュリティエレメント(2)。
【請求項11】
前記第2のエレメント(22)の前記第1の部分領域(221)の少なくとも1つは、前記第1のエレメント(21)の重なった前記第1の部分領域(211)のデザインとは異なるモチーフを形成し、透過光で見たとき着色された第2の特徴部(32)として前記第2の領域(42)において視認可能となり、又は、
前記第2の領域(42)において、前記第1のエレメント(21)の前記第1の部分領域(211)の少なくとも1つの前記デザインによって決定される第4の特徴部(35)は、透過光で見たとき視認可能となり、又は、
前記第1の領域(41)び前記第2の領域(42)の少なくとも一方において、前記第1のエレメント(21)の前記第2の部分領域(212)の少なくとも1つによって決定される第3の特徴部(33)は、前記表面から反射光で見たとき視認可能となり、又は、前記第1のエレメント(21)の前記第2の部分領域(212)の少なくとも1つによって決定される第3の特徴部(34)は、前記裏面から反射光で見たとき視認可能となる、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載のシースルーセキュリティエレメント(2)。
【請求項12】
前記第1の主要面(201)に広がる前記平面に対して垂直に見たときに、前記第1のエレメントの前記第1の部分領域(211)と、前記第3のエレメントの前記第1の部分領域とは、少なくとも部分的に重なり、又は、
前記第1の主要面(201)に広がる前記平面に対して垂直に見たときに、前記第1のエレメントの前記少なくとも1つの第2の部分領域(212)と、前記第3のエレメントの前記少なくとも1つの第2の部分領域とは、少なくとも部分的に重なり、又は、
前記第1の主要面に広がる前記平面に対して垂直に見たときに、前記第2のエレメントの1つ又は複数の前記第1の部分領域は、前記第3のエレメントの1つ又は複数の第2の領域と少なくとも部分的に重なる、ことを特徴とする請求項に記載のシースルーセキュリティエレメント(2)。
【請求項13】
前記第1のエレメント(21)及び前記第3のエレメントの少なくとも一方の前記1つ又は複数の第1の部分領域(211)は、可視波長域の平均で、10%超の反射率を有し、又は、
前記第1のエレメント(21)の前記少なくとも1つの第2の部分領域(212)は、少なくとも1つの金属層(60)又は少なくとも1つの金属層(60)を含む一連の層によって形成される、ことを特徴とする請求項1~1のいずれか一項に記載のシースルーセキュリティエレメント(2)。
【請求項14】
前記第1のエレメント(21)及び前3のエレメントのうち少なくとも一方の前記少なくとも1つの第2の部分領域(212)は、第2のレリーフ構造と、少なくとも1つの主要面(201、202)上において前記第2のレリーフ構造の輪郭に沿った少なくとも1つの反射層と、を有し、又は、
前記第1のエレメント(21)及び前記第3のエレメントのうち少なくとも一方の前記1つ又は複数の第1の部分領域(211)は、第1のレリーフ構造を有する、ことを特徴とする請求項1~1のいずれか一項に記載のシースルーセキュリティエレメント(2)。
【請求項15】
前記表面及び前記裏の少なくとも一方から反射光で見たときに、前記第2のレリーフ構造は、光学的に可変の第3の特徴部(33、34)をもたらし、又は、
透過光で見たとき、前記第2のレリーフ構造は、透過光で見たときの第の特徴部(31)び第2の特徴部(32)の少なくとも一方に、光学的に可変の特徴部及び光学的に可変のデザインエレメントの少なくとも一方を提供する、ことを特徴とする請求項14に記載のシースルーセキュリティエレメント(2)。
【請求項16】
前記シースルーセキュリティエレメント(2)の前記第1の領域(41)び前記第2の領域(42)の少なくとも一方において、前記第2のエレメント(22)の前記第1の部分領域(221)は、第1の部分領域(211)の2つ以上のグループに割り当てられ、
各々の色が、前記第1の部分領域(211)の前記グループの各々に割り当てられ、
前記グループに割り当てられた前記色が互いに異なり、前記第1の部分領域(221)に形成されたカラーフィルタが、各々に割り当てられた前記色に一致し、又は、
各々の場合、第1の色が第2の層の第1の部分領域(221)の第1のグループに割り当てられ、
各々の場合、第2の色が前記第2の層の第1の部分領域(221)の第2のグループに割り当てられ
記第1の色、前記第2の色及び第3の色が互いに異なる、ことを特徴とする請求項1~1のいずれか一項に記載のシースルーセキュリティエレメント(2)。
【請求項17】
請求項1~1のいずれか一項に記載のシースルーセキュリティエレメント(2)を製造するための方法であって、
露光によって溶解度又はカラーフィルタリング効果が変化する1つ又は複数のカラー層(70、71)を前記第1のエレメント(21)に適用し、
前記第1のエレメント(21)を露光マスクとして使用して、前記第1のエレメント(21)を介して前記1つ又は複数のカラー層(70、71)を露光する、ことを特徴とする方法。
【請求項18】
前記第1のエレメント(21)は、少なくとも1つの金属層(60)を有し、当該少なくとも1つの金属層(60)は、前記第1のエレメント(21)の前記1つ又は複数の第1の部分領域(211)に設けられておらず、又は、
前記カラー層(70)の1つ又は複数は、各々の場合、染色されたネガ型フォトレジストによって形成される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
請求項1~1のいずれか一項に記載のシースルーセキュリティエレメント(2)又は請求項1又は1に記載の方法によって製造されたシースルーセキュリティエレメント(2)を有するセキュリティ文書(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シースルーセキュリティエレメント、シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法、及びシースルーセキュリティエレメントを有するセキュリティ文書に関する。
【背景技術】
【0002】
セキュリティ文書、特に銀行券において、通常はセキュリティスレッドとして形成されるシースルーセキュリティエレメントを使用することが知られている。このために、プラスチックフィルムに不透明なコーティングを設けられている。次に、不透明なコーティングに、反転した英数字として形成された開口部を導入する。透過光で見たとき、これらの文字は、暗い背景の前にある無色の明るい文字の特徴部として視認可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、改良されたシースルーセキュリティエレメント及びそれを製造するための方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本目的は、シースルーセキュリティエレメントの第1の主要面によって形成される表面と、シースルーセキュリティエレメントの第2の主要面によって形成される裏面とを有するシースルーセキュリティエレメントであって、シースルーセキュリティエレメントが、第1の主要面に広がる平面に対して垂直に見たときに、少なくとも1つの第1の領域及び/又は少なくとも1つの第2の領域を有し、シースルーセキュリティエレメントが、1つ又は複数の透明な第1の部分領域と、少なくとも1つの反射性の第2の部分領域とを有する第1のエレメントを有し、シースルーセキュリティエレメントが、各々の場合、透過時に、それぞれに割り当てられた色に一致するカラーフィルタを形成する1つ又は複数の第1の部分領域と、無色、特に無色透明に形成されるか、又は透過及び/若しくは反射時に第2のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域のいずれにも割り当てられていない色に一致するカラーフィルタを形成する少なくとも1つの第2の部分領域とを有する第2のエレメントを有し、第1のエレメントの第1の部分領域及び第2のエレメントの第1の部分領域が、第1の主要面に広がる平面に対して垂直に見たときに、少なくとも部分的に重なる、シースルーセキュリティエレメントによって達成される。
【0005】
このシースルーセキュリティエレメントの製造のために、好ましくは、露光によって溶解度及び/又はカラーフィルタリング効果が変化可能な1つ又は複数のカラー層が、第1のエレメントに適用され、第1のエレメントを露光マスクとして使用して、1つ又は複数のカラー層を第1のエレメントを通して露光する。
【0006】
本発明は、シースルーセキュリティエレメントの偽造に対する保護性能をさらに改良するという利点を達成する。したがって、本発明は、透過光で見たとき着色された特徴部を示し、特に反射光及び透過光で見たときは異なる着色された外観及び/又は異なるモチーフを示すシースルーセキュリティエレメントを提供することを可能にする。セキュリティエレメントの相互に連結されたエレメントを介して、これらの異なるセキュリティ特徴部を提供することにより、その複製や偽造の試みがより困難になる。また、これは、さらに本発明によって新たに提供されるセキュリティ特徴部は、特に人目を引きかつ印象的であり、その結果、偽造の試みも迅速に認識できるという事実によるものでもある。
【0007】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0008】
シースルーセキュリティエレメントの第1の領域では、好ましくは、第1のエレメントの第1の部分領域及び第2のエレメントの第1の部分領域は、第1の主要面に広がる平面に対して垂直に見たときに、互いに正確に見当(位置)合わせされて配置され、それにより、第1の領域において透過光で見たとき、第1の着色された特徴部は視認可能となるが、特に表面及び裏面から反射光で見たときには、視認不能又はほとんど視認不能になる。したがって、例えば、透過光では視認可能だが反射光では視認不能かほとんど視認不能である単色又は多色に染色されたデザインエレメントが、透過光で第1の特徴部として観察者に対して現れる。そのようなセキュリティエレメントを製造するためには、第1及び第2のエレメントの部分領域の配置の位置合わせに高い見当精度が必要であり、その結果、これらセキュリティエレメントの偽造や模造は非常に困難になり得る。
【0009】
見当(register)若しくは見当合わせ(registration)、又は見当精度(register accuracy)若しくは見当合わせ精度(registration accuracy)は、好ましくは2つ以上のエレメント及び/又は層、ここでは特にエレメント及び/又は部分領域の位置精度を意味する。
【0010】
見当精度は、所定の公差内で変化するものであり、その公差は可能な限り小さいことが求められる。同時に、いくつかのエレメント、部分領域、特に1つ又は複数のフィルムエレメント、フィルム、層及び/又は層の相対的な見当精度は、プロセスの信頼性を高めるための重要な特性である。
【0011】
位置的に正確な位置決め(見当合わせ)は、特にマーキングによって、特に感覚的に、好ましくは光学的に検出可能な、見当(位置)合わせマーク又は見当(位置)マークによって行われる。これらのマーキング、特に見当(位置)合わせマーク又は見当(位置)マークは、好ましくは、特別な別個のエレメント又は領域又は層を表すか、又は好ましくは、それ自体が位置決めされるエレメント又は領域又は層の一部である。
【0012】
着色された特徴部とは、好ましくは、1つ又は複数の着色された領域、つまり、少なくとも領域内で1つの色で染色された領域を有する特徴部を表す。このタイプの着色された領域に加えて、着色された特徴部は、例えば、交互に明るく又は暗く現れるいくつかの無色領域を有してもよい。
【0013】
透過光又は反射光の色度は、カラーシステムの色位置を指定することで定量化できる。本出願の枠組みでは、特徴部の色度又は特徴部の部分領域の色度は、CIE L色空間における彩度又は色度Cによって記述される。Cは、以下のように定義される。
【数1】
【0014】
色平面(a,b)に対して垂直なL値は、色の明るさを表す単位である。
【0015】
透過光で垂直に見たとき、着色された特徴部は、好ましくは、10超の彩度C、特に好ましくは20超の彩度Cを有する少なくとも1つの部分領域を有する。光源としての標準光源D65、及び10°CIE標準観察者を想定している。
【0016】
好ましくは、シースルーセキュリティエレメントの第1の領域において、第1のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域は、各々の場合、第1のエレメントの少なくとも1つの第2の部分領域によって完全に囲まれており、及び/又は第2のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域は、各々の場合、第2のエレメントの少なくとも1つの第2の部分領域によって完全に囲まれる。第1の領域の第1及び第2のエレメントがこのように形成されると、透過光で見たときシースルーセキュリティエレメントが第1の領域において示す色と、表面及び/又は裏面から反射光で見たとき、シースルーセキュリティエレメントが第1の領域において示す色との間に、特に大きな色コントラストが達成され得ることが試験によって示された。その結果、偽造に対する保護性能がさらに改良される。
【0017】
好ましくは、シースルーセキュリティエレメントの第1の領域において、そこに設けられた第1のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域、及び/又はそこに設けられた第2のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域は、各々の場合、少なくとも1つの横方向において、500μm未満、好ましくは300μm未満の寸法を有する。さらに好ましくは、第1の領域において、第1のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域及び第2のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域は、各々の場合、少なくとも1つの横方向において、5μm~300μmの寸法、好ましくは10μm~200μmの寸法、さらに好ましくは15μm~150μmの寸法を有する。
【0018】
横方向とは、ここでは、シースルーセキュリティエレメントの第1の主要面に広がる平面内の方向を意味する。したがって、例えば、部分領域は、シースルーセキュリティエレメントの第1の主要面に広がる平面に対して垂直に見たときに、500μm未満、好ましくは300μm未満の幅寸法を有し、任意選択に、より好ましくは500μm未満、好ましくは300μm未満の長さ寸法も有する。
【0019】
これにより、一方では、透過光で見たとき第1の着色された特徴部の視認性が十分に保持され、他方では、表面及び/又は裏面から反射光で見たとき第1の着色された特徴部がほとんど認識できないことが試験によって示された。
【0020】
別の実施形態では、第1の着色された特徴部は、反射光で見たときと透過光で見たときとの両方で、部分的又は完全に視認可能であることが有利であり得る。このためには、第1の領域において、第1のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域及び第2のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域が、各々の場合、少なくとも1つの横方向において、300μm超、好ましくは500μm超、特に好ましくは700μm超の寸法を有する場合に有利である。
【0021】
シースルーセキュリティエレメントの第1の領域において、好ましくは、第2のエレメントの第1の部分領域は、各々の場合、第1の主要面に広がる平面に対して垂直に見たときに、第1のエレメントの割り当てられた部分領域と重なり合う。その結果、反射光で見たときと透過光で見たときとの、第1の領域の光学的外観の色コントラストがさらに向上する。したがって、これにより、表面及び裏面から反射光で見たときに、第2のエレメントの第1の部分領域が、第1の領域において、色に影響を与えることを防止及び/又は大きく防止できることが試験によって示された。これにより、見当精度に対する要求がさらに高まり、その結果、偽造に対する保護性能がさらに改良される。
【0022】
シースルーセキュリティエレメントの第1の領域において、第1のエレメントの第1の部分領域が、好ましくは、第1の部分領域の第1のグループと第1の部分領域の第2のグループとに割り当てられる。第1のグループに割り当てられた第1のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域は、第1の主要面に広がる平面に対して垂直に見たときに、各々の場合、第2のエレメントの割り当てられた第1の部分領域と重なり合う。第2のグループに割り当てられた第1のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域は、各々の場合、第2のエレメントの少なくとも1つの第2の部分領域と重なる。これにより、透過光で見たときに、多色であり、異なる色で着色された部分領域を有する及び/又は着色された部分領域に加えて無色の部分領域も有する着色された第1の特徴部を提供することが可能になる。
【0023】
第1のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域及び第2のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域は、好ましくは、各々の場合、線及び/又はラスタエレメントとして形成される。したがって、反射光及び透過光で見たとき、特に大きなコントラスト差が、特に第1の特徴部のモチーフ又は部分モチーフが微細な連続する線又は点線からなる場合に、線をベースとした部分領域の形成によって達成可能であることが試験によって示された。
【0024】
第1及び/又は第2の領域において、第1のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域及び第2のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域は、したがって好ましくは、各々の場合、細い連続する線又は線の一部として形成される。ここで、線の幅は、好ましくは5μm~300μmの間、好ましくは10μm~200μmの間、さらに好ましくは15μm~150μmの間から選択される。各々の場合、線は、好ましくは第1の特徴部のモチーフ又は部分モチーフの線を形成する。
【0025】
さらに、線の間隔及び/又は線の幅を局所的に変化させるてもよい。その結果、1つには、第1の特徴部の明度を局所的に変化させることが可能であり、さらに任意選択により、例えばルーペや顕微鏡などの技術的な支援によってのみ認識可能な、さらに付加的な「第2の線」セキュリティ特徴部をセキュリティエレメントに組み込むことも可能である。
【0026】
さらに、有利には、ラスタエレメントによって第1の特徴部の平面モチーフ又は部分モチーフを形成し、この目的のために、第1のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域及び/又は第2のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域を、1次元又は2次元のラスタの形態で配置された対応するラスタエレメントとして形成する。ここで、ラスタエレメントは、少なくとも1つの横方向において、好ましくはすべての横方向において、5μm~300μm、好ましくは10μm~200μm、さらに好ましくは15μm~150μmの寸法を有する。ラスタエレメントは、正方形、円板状、長方形及び/若しくは楕円形、並びに/又は英数字及び/若しくはモチーフ状ラスタエレメントとして形成できる。さらに、ラスタエレメントは任意の他の所望のデザインを有してもよく、したがって、例えば、英数字として、特にマイクロプリントとして形成することができる。
【0027】
ラスタエレメントを形成する第1及び/又は第2のエレメントの第1の部分領域は、好ましくは、第1及び/又は第2の特徴部のモチーフ又は部分モチーフを形成するように空間的に相対的に配置され、したがって、例えば、モチーフ又は部分モチーフのデザインに対応するデザインの領域に設けられる。ここで、特に第1の特徴部の部分モチーフ又はモチーフの明度を局所的に対応して変化させるために、ラスタのラスタ幅及び/又はラスタのドットのサイズを局所的に変化させることもさらに可能である。これにより、異なる色度又は彩度だけでなく、異なる明度の領域を有する第1及び/又は第2の着色された特徴部を提供することが可能である。
【0028】
ラスタのラスタ幅は、好ましくは5μm~300μmの間、さらに好ましくは10μm~200μmの間、さらに好ましくは15μm~150μmの間から選択される。さらに、ラスタは、ラスタエレメントが線方向に互いに沿った線形ラスタであってもよい。これにより、第1及び/又は第2の着色された特徴部の線ベースの形成及び領域ベースの形成の利点を互いに組み合わせることが可能である。
【0029】
第1のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域の表面比Fは、好ましくは20%未満、好ましくは10%未満、さらに好ましくは5%未満である。表面比Fとは、第1のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域が占める第1の領域の表面積と、第1のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域及び少なくとも1つの第2の部分領域が占める第1の領域の表面積との比率である。ここで、シースルーセキュリティエレメントの第1の領域は、好ましくは可能な限り小さい長方形領域であり、第1の主要面に広がる平面に対して垂直に見たときに、長方形領域のすべてのエッジは、各々の場合に少なくとも1点で第1の特徴部に隣接する。
【0030】
これにより、第1の着色された特徴部の視認性が反射光で見たとき低下するか、又は好ましくはほぼ完全に防止され、透過光で見たときのみ可能になり、この第1の着色された特徴部が特に人目を引くように視認可能となるという利点が達成される。
【0031】
第1のエレメントの少なくとも1つの第2の部分領域は、好ましくは、第1の主要面に広がる平面に対して垂直に見たときに、シースルーセキュリティエレメントの第1の領域を完全に囲む。シースルーセキュリティエレメントの第1の領域から出発して、第1のエレメントの少なくとも1つの第2の領域は、好ましくは、第1の主要面に広がる平面に対して垂直に見たときに、少なくとも距離dだけ延在する。ここで、dは、0.5mm超、特に0.8mm超、さらに好ましくは1mm超である。したがって、第1の領域から出発して、第1のエレメントの第2の部分領域は、好ましくは、少なくとも距離dだけ、すべての方向で第1の領域を完全に囲んでいる。
【0032】
また、これらの手段によって、透過光で見たとき第1の着色された特徴部の視認性がさらに改良され、したがって、第1の特徴部が観察者に対して人目を引くように現れる。
【0033】
シースルーセキュリティエレメントの第2の領域において、第1のエレメントの第1の部分領域の少なくとも1つ及び第2のエレメントの第1の部分領域の少なくとも1つは、透過光で見たとき、第2の領域において、第2の着色された特徴部が視認可能となるように、好ましくは第1の主要面に広がる平面に対して垂直に見たときに、互いに相対的に正確な見当合わせで配置され、これが表面及び/又は裏面から反射光で見たときに見える第3の特徴部に直接隣接している。これにより、第3の特徴部が第2の着色された特徴部の基準として機能し、したがって偽造の試みや見当合わせのズレが、観察者に対して容易に認識可能であるという利点が達成される。その結果、セキュリティエレメントの偽造に対する保護性能がさらに改良される。
【0034】
シースルーセキュリティエレメントの少なくとも第2の領域において、第2のエレメントの少なくとも1つの第1の部分領域は、第1の主要面に広がる平面に対して垂直に見たときに、第1のエレメントの第1の部分領域と好ましくは重なり、それにより、第2のエレメントの少なくとも1つの第1の部分領域は、第1のエレメントの第1の部分領域と部分的に重り、好ましくは50%未満重なり、さらに好ましくは30%未満重なる。
【0035】
これにより、透過光で見たとき、第1のエレメントのデザインとは異なる第2の着色された特徴部を、第2の領域に設けることが達成される。さらに、ここで、第2のエレメントの少なくとも1つの第1の部分領域が、第1のエレメントの重なった第1の部分領域のデザインとは異なるモチーフを形成し、透過光で見たとき着色された第2の特徴部として第2の領域において視認可能となる場合に有利である。これにより、透過光で見たとき、第2の着色された特徴部の認識性がさらに改良される利点が達成される。
【0036】
第2のエレメントの少なくとも1つの第1の部分領域は、好ましくは、異なるモチーフの形成にかかわらず、好ましくは、重ならずかつ視認可能な隙間なしで、第1のエレメントの少なくとも1つの第2の部分領域に、この領域において大部分が直接隣接する。これにより、見当合わせのズレを容易に認識することができ、したがって偽造に対する保護性能がさらに改良されるという利点が達成される。
【0037】
シースルーセキュリティエレメントの第1及び/又は第2の領域において、第2のエレメントの第1の部分領域は、好ましくは、第1の主要面に広がる平面に対して垂直に見たときに、各々の場合、第1のエレメントの少なくとも1つの第2の部分領域と100μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは10μm以下の重なりを有する。これにより、透過光で見たとき及び反射光で見たときのセキュリティエレメント間で、特に高い色コントラストが達成され得るという利点が達成される。
【0038】
シースルーセキュリティエレメントの第1及び/又は第2の領域において、第2のエレメントの第1の部分領域は、好ましくは、第1の主要面に広がる平面に対して垂直に見たときに、第1のエレメントの少なくとも1つの第2の部分領域と重ならない。
【0039】
シースルーセキュリティエレメントの第1及び/又は第2の領域において、第1のエレメントの少なくとも1つの第2の部分領域と第2のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域とは、第1の主要面に対して垂直に見たとき、好ましくは重ならずに互いに隣接し、少なくとも領域内で、300μm未満、好ましくは50μm未満、さらに好ましくはシームレスな幅Sを有する隙間を有する。これにより、1つには、反射光及び/又は透過光で見る色コントラストが改良され、さらに見当合わせのズレや偽造の試みを観察が即座に認識可能になるという利点が達成される。
【0040】
好ましくは、第1及び/又は第2の領域において、第1のエレメントの第2の部分領域の少なくとも1つによって決定される第3の特徴部は、表面から反射光で見たとき視認可能になり、及び/又は第1のエレメントの第2の部分領域の少なくとも1つによって決定される第3の特徴部は、裏面から反射光で見たとき視認可能となる。表面及び裏面から反射光で見たとき視認可能な第3の特徴部は、好ましくは、ここでは互いに異なり、特にその色が異なる。その結果、偽造に対する保護性能がさらに改良される。
【0041】
第1のエレメントの第1の部分領域の少なくとも1つのデザインによって決定される無色の第4の特徴部の第2の領域では、好ましくは、透過光で見たとき視認可能となる。その結果、偽造に対する保護性能がさらに向上する。
【0042】
第1のエレメントの少なくとも1つの第2の部分領域は、好ましくは、可視波長域での平均で、0.8OD超、好ましくは1.1OD超、さらに好ましくは1.3OD超、特に好ましくは1.5OD超の光学濃度を有する。ヒトが視認可能な色は、電磁スペクトルの380nm(紫)~780nm(暗赤色)の範囲であり、430nm未満と690nm超の眼の相対感度は、555nmの最大値の1%未満である。このため、ここでは可視波長域とは、特に430nm~690nmの波長域を意味する。
【0043】
第2のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域は、好ましくは、透過で測定したときに、5超、好ましくは10超、さらに好ましくは20超の関連するL値(CIE L色空間)を有する。
【0044】
前述の手段によって、コントラストが明らかに改良されるので、第1の特徴部及び第4の特徴部の視認性は透過光で見たときさらに改良される。
【0045】
第1のエレメントの少なくとも1つの第2の部分領域は、特に純粋な鏡面に対して、可視波長域での平均で40%超、さらに好ましくは70%超の反射率を有する。
【0046】
反射率とは、ここでは、照射光のうち、反射して戻ってくる、後方散乱される、又は回折されて戻ってくる照射光の割合を意味する。
【0047】
「透明」とは、特に、好ましくは可視波長域(特に430nm~690nm)、特に可視光の全スペクトルにおいて、可視光の少なくとも1つの波長域で30%超、さらに好ましくは50%超、好ましくは80%超の平均光透過率を意味する。この光透過率は、好ましくは、セキュリティエレメントを貫通して垂直方向に測定される。
【0048】
第1のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域は、好ましくは反射性に形成される。反射性とは、ここでは、1つ又は複数の第1の部分領域に入射した光の10%超、さらに好ましくは20%超が、表面及び/又は裏面から反射光で見たとき、少なくとも1つの波長域、好ましくは可視波長域(特に430nm~690nm)での平均で、反射して戻ってくる、後方散乱する、又は回折して戻ってくることを意味する。第1のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域は、例えば、高屈折率材料、例えばZnS若しくはTiOを適用することによって、又は非常に薄い金属層、例えば0.1OD~0.5ODの透過率のアルミニウム層を適用することによって、反射性を形成できる。
【0049】
1つ又は複数の第1の部分領域がこのように形成されているときに、反射光で見たとき第1の特徴部の視認性が「不鮮明」であることが試験によって示された。このため、特に、前述の手段と組み合わせて、すなわち、特に、第1のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域を、少なくとも1つの横方向の寸法が300μm未満、好ましくは5μm~300μm、さらに好ましくは10μm~200μm、さらに好ましくは15μm~150μmで対応して形成する。
【0050】
第1のエレメントの少なくとも1つの第2の部分領域は、好ましくは少なくとも1つの金属層又は少なくとも1つの金属層を含む一連の層によって形成される。ここで、少なくとも1つの金属層は、好ましくは、第1のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域に設けられておらず、かつ/あるいは除去されている。1つ又は複数の金属層が使用される場合、ここでは、第1のエレメントの少なくとも1つの第1の部分領域の反射率及び光学濃度に関する前述の要件を目指し、それによって第1の着色された特徴部が、透過光で見たとき視認可能となるが、反射光で見たときは「不鮮明」であることを確実にすることが効果的であることが証明された。
【0051】
メタライゼーションプロセス、例えば、真空蒸着によって適用される1つ又は複数の金属層の代わりに、金属顔料を含む層に印刷することも可能である。
【0052】
第1のエレメントの少なくとも1つの第2の部分領域は、好ましくは、第2のレリーフ構造と、少なくとも1つの主要面、好ましくは両方の主要面でレリーフ構造の輪郭に沿った少なくとも1つの反射層とを有する。ここで、反射層は、好ましくは、金属層である。
【0053】
反射層と組み合わせた第2のレリーフ構造によって、光学的可変の第3の特徴部が、好ましくは、特にシースルーセキュリティエレメントの第1及び/又は第2の領域に提供される。ここで、第1のエレメントの少なくとも1つの第2の部分領域が、少なくとも1つの主要面上のレリーフ構造の輪郭に沿う1つの反射層を有するだけでなく、好ましくは2つ以上のそのような反射層が設けられ、これらの反射層が、好ましくは少なくとも1つの主要面上の異なるレリーフ構造に沿うこともさらに可能である。これにより、表面及び裏面から反射光で見たとき異なる光学的可変の第3の特徴部を生成することが可能であり、したがって、セキュリティエレメントの偽造に対する保護性能をさらに改良することができる。
【0054】
シースルーセキュリティエレメントは、好ましくは、1つ又は複数の透明な第1の部分領域と、少なくとも1つの反射性の第2の部分領域とを有する第3のエレメントをさらに有する。第2のエレメントは、ここでは好ましくは、特に第1の主要面に広がる平面に対して垂直に見たときに、第1のエレメントと第3のエレメントとの間でシースルーセキュリティエレメントに配置される。
【0055】
第3のエレメントは、好ましくは、第1のエレメントと同様に形成されるため、第1のエレメントに関する関連する先の記述を参照されたい。
【0056】
第1のエレメントの1つ又は複数の透明な第1の部分領域と、第3のエレメントの1つ又は複数の透明な第1の部分領域とは、好ましくは、少なくとも領域内で重り、特に重なり合う。第1のエレメントの少なくとも1つの反射性の第2の部分領域と、第3のエレメントの少なくとも1つの反射性の第2の部分領域とが、第1の主要面に広がる平面に対して垂直に見たときに、少なくとも領域内で重なり、好ましくは重なり合う場合に、さらに有利である。
【0057】
さらに、これにより、第1のエレメントと第2のエレメントとが対応して設計されるとき、シースルーセキュリティエレメントの光学的外観が、表面及び裏面から反射光で見たとき、対応する異なる光学的効果を示し、加えて、本発明の先に述べた利点、特に反射光又は透過光における先に述べた挙動が保持されるという利点を達成することができる。
【0058】
第2のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域が、第1のエレメント及び/又は第3のエレメントの少なくとも1つの第2の部分領域と少なくとも部分的に重なる場合さらに有利である。これにより、第2のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域は、各々の場合、透過時、それぞれに割り当てられた色に一致したカラーフィルタを形成するが、染色されたワニス層によって提供することができ、この染色されたワニス層は、第1のエレメント及び/又は第3のエレメントの第2の領域と一部及び部分的に重なって適用することができる。染色されたワニス層は、好ましくは、互いに重なって位置する2つの不透明な反射層の間に設けられ、一方は第1のエレメントによって設けられ、他方は第3のエレメントによって設けられる。
【0059】
第1のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域は、好ましくは、第1のレリーフ構造を有する。第1のレリーフ構造は、好ましくは、透過光で見たとき光学的に可変の効果を有するレリーフ構造である。これにより、第1及び/又は第2の特徴部に、さらなる光学的に可変の効果を組み込むことが可能である。
【0060】
第1及び/又は第2のレリーフ構造は、好ましくは、前述したように、光学的に可変の効果を生成するレリーフ構造である。これらのレリーフ構造は、好ましくは、回折構造、特にホログラム、ゼロ次回折格子(zero-order diffraction grating)、マット構造、特に異方性マット構造、色消し構造、特にマイクロレンズ構造、マイクロミラー構造、又はマイクロプリズム構造から選択されるレリーフ構造である。
【0061】
移動効果及び/又は色変化効果は、ここでは好ましくは光学的に可変の効果として提供される。反射光で見たとき第1の特徴部の視認性が、これにより追加的に、さらにヒトの観察者に対してさらに不鮮明であることが試験によって示された。
【0062】
第1のエレメントの少なくとも1つの第2の部分領域は、好ましくは、表面及び/又は裏面から反射光で見たとき、カラーフロップ効果を有する。この目的のために、第1のエレメントの少なくとも1つの第2の部分領域は、特に、干渉によってカラーフロップ効果を生成するための薄膜積層、及び/若しくは、少なくとも1つの液晶層、並びに/又は光学的可変顔料、特に干渉層顔料を含む1つ又は複数の層を有する。これにより、表面及び/又は裏面から反射光で見たとき、特に第3の特徴部において、さらなる光学的に可変の効果が提供され、その結果、偽造に対する保護性能がさらに改良される。
【0063】
第1のエレメントの1つ又は複数の第2の部分領域は、好ましくは、体積ホログラムを含む。この体積ホログラムにより、表面及び/又は裏面から反射光で見たとき、第3の特徴部に、好ましくは、光学的に可変の効果が提供される。これにより、偽造に対する保護性能もさらに改良される。
【0064】
第1のエレメントの少なくとも1つの第2の部分領域は、好ましくは、特に着色剤、特に染料及び/又は着色顔料によって染色される1つ又は複数のワニス層を有する。これらの手段により、表面及び裏面から反射光で見たとき、異なる色で着色された第3の特徴部の提供が可能になり、したがって、偽造に対する保護性能がさらに改良される。
【0065】
第1のエレメントの少なくとも1つの第2の部分領域を形成するための前述の手段は、任意の所望の手法で互いに組み合わせることができる。さらに、このために前記提案した層は、第1のエレメントの少なくとも1つの第2の部分領域において、所定の領域のみで提供され、特にパターン化されることもでき、その結果、このために各々の場合で前述した効果は、第1のエレメントの少なくとも1つの第2の部分領域によって所定の領域のみで提供され得る。したがって、第1のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域を透明に設計するために、上で指定された層は、ここでは好ましくは、第1のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域に設けられていないか、あるいは除去される。
【0066】
第1及び/又は第2の着色された特徴部の色(複数を含む)は、好ましくは、第2のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域に割り当てられている色(複数を含む)に対応する。
【0067】
シースルーセキュリティエレメントの第1の主要面に広がる平面に対して垂直に見たときに、シースルーセキュリティエレメントが、第2のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域と少なくとも部分的に重なる別の1つ又は複数のさらなるカラーフィルタ層を有することもさらに可能である。これにより、第1の着色された特徴部の色(複数を含む)に、対応する色混合によって追加的に影響を与え、第2のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域に割り当てられた色(複数を含む)から、第1の着色された特徴の色(複数を含む)の対応するズレを達成することができる。
【0068】
第1の着色された特徴部の色(複数を含む)は、好ましくは、表面及び/又は裏面から反射光で見たとき、シースルーセキュリティエレメントが第1の領域で示すいかなる色とも対応しない。その結果、第1の着色された特徴部の認識性がさらに改良され、さらに、その結果、シースルーセキュリティエレメントの偽造に対する保護性能もさらに改良される。
【0069】
一実施例によれば、第1及び/又は第2の着色された特徴部は、単色で形成される。これは、特に、好ましくは、シースルーセキュリティエレメントの第1及び/又は第2の領域で第2のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域において、各々の場合、同じ色を割り当てることによって達成される。
【0070】
第1及び/又は第2の特徴部の単色デザインによって、第1及び/又は第2の着色された特徴部の認識性が改良される。
【0071】
さらなる実施例によれば、第1及び/又は第2の着色された特徴部は、多色に形成され、異なる色の部分領域を有する。
【0072】
このため、シースルーセキュリティエレメントの第1及び/又は第2の領域において、第2のエレメントの第1の部分領域は、好ましくは2つ以上の部分領域のグループに割り当てられる。第1の部分領域の各グループは、それぞれの色に割り当てられる。グループに割り当てられた色は、ここでは互いに異なる。それぞれの第1の部分領域に形成されるカラーフィルタは、それぞれに割り当てられた色に一致する。
【0073】
したがって、各々の場合、特に第1の色は第2の層の第1の部分領域の第1のグループに割り当てられ、各々の場合、第2の色は第2の層の第1の部分領域の第2のグループに割り当てられ、任意選択により、各々の場合、第3の色は第2の層の第1の部分領域の第3のグループに割り当てられる。第1の色、第2の色及び第3の色は、ここでは互いに異なる。
【0074】
これにより、第1及び/又は第2のセキュリティ特徴部を多色で形成することが可能になり、したがって、対応する異なるカラーフィルタを正確な見当合わせで配置する必要があるため、偽造に対する保護性能をさらに改良できる。
【0075】
第2のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域は、好ましくは、少なくとも1つの透明カラー層によって形成される、又は少なくとも1つの透明カラー層を含む一連の層で形成される。ここで、少なくとも1つの透明カラー層は、好ましくは、第2のエレメントの少なくとも1つの第2の部分領域に設けられておらず、かつ/あるいは除去されている。
【0076】
透明カラー層は、好ましくは、ワニス、特にフォトレジストからなり、これは対応して、着色剤、特に染料又は顔料で染色されており、その透過時、カラー層は、割り当てられた色に一致するカラーフィルタを形成する。
【0077】
第2のエレメントは、さらに好ましくは、フォトクロミック層を有するか、又はフォトクロミック層によって形成され、当該フォトクロミック層は、照射によって第2のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域で活性化され、第2のエレメントの少なくとも1つの第2の部分領域では活性化されないか、又はその逆である。フォトクロミック層の活性化は、ここでは好ましくは、可視光以外の波長の照射、例えば、紫外線照射によって行われる。フォトクロミック層は、ここでは、第2のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域及び少なくとも1つの第2の部分領域において、露光後に、前述のような対応するカラーフィルタ効果を対応して提供するために対応して配合される。
【0078】
シースルーセキュリティエレメントの製造において、まず第1のエレメントを作成し、次に第2のエレメントの1つ又は複数の層を構造化するための「露光マスク」として第1のエレメントを使用することが効果的であることがさらに証明された。これにより、第2のエレメントの第1及び/又は第2の部分領域を、第1のエレメントの第1及び/又は第2の部分領域に対して正確な見当合わせにより「位置決め」することが可能となり、これにより前述の効果を達成できる。
【0079】
既に述べたように、第1のエレメントは、好ましくは、少なくとも1つ又は複数の金属層を有する。これらの1つ又は複数の金属層は、好ましくは、脱金属によって第1の領域の1つ又は複数の第1の部分領域で除去され、1つ又は複数の第1の部分領域において前述の光学特性を達成する。
【0080】
第1のエレメントが完了するとすぐに、1つ又は複数のカラー層が、好ましくは印刷プロセスによって、好ましくは各々の場合、第1のエレメント上に部分的にのみ印刷される。ここで、1つ又は複数のカラー層は、好ましくは、互いに隣り合って、及び/又は重なり合って、第1のエレメント上に印刷される。ここで、2つ以上の異なるカラー層が印刷されるとさらに有利である。特にカラー層は、各々の場合、透過時異なる色に一致したカラーフィルタを形成するように印刷される。これらの2つ以上の異なるカラー層は、ここでは、互いに隣り合う、及び/又は部分的に重なる第1のエレメントに適用することができる。
【0081】
ここで、1つ又は複数のカラー層は、好ましくは、各々の場合、前述のように、染色された、ネガ型、放射感受性又は放射活性化フォトレジスト及び/若しくはフォトクロミック材料によって形成される。
【0082】
さらに、1つ又は複数の特に着色されたブロッキング層を、第1のエレメントに追加的に適用し、特にパターン化して印刷することが可能である。
【0083】
ここでブロッキング層は、その下に位置するフォトレジスト層及び/又はフォトクロミック層が露光によって活性化されないように、露光又は照射のために使用される波長に対して「不透過性」である層を意味する。
【0084】
染色されたフォトレジスト層と同様に、ブロッキング層は、例えば、インクジェット印刷などのデジタル印刷によって部分的に適用することができる。これにより、個々のシースルーセキュリティエレメントの個々のマーカを生成することができる。
【0085】
染色されたフォトレジスト層を全面に適用し、露光を部分的にのみ実施することもできる。この露光は、例えばマスクを介して、及び/又は制御可能な紫外線発光ダイオードによって行うことができる。
【0086】
この層の適用後、次に1つ又は複数のカラー層の対応する露光が、第1のエレメントを介して行われ、その結果、フォトクロミック層又は特にネガ型フォトレジストの対応する活性化が、第1のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域に対して正確な見当合わせで行われる。
【0087】
セキュリティエレメントは、好ましくは、積層フィルムとして、転写フィルムとして、又はインレイとして形成される。
【0088】
シースルーセキュリティエレメントは、好ましくは、セキュリティスレッドの形態、又はセキュリティストリップの形態、又はパッチの形態である。しかし、シースルーセキュリティエレメントは、さらに、セキュリティ文書、例えばID文書の全面に設けることもできる。
【0089】
シースルーセキュリティエレメントは、好ましくは、セキュリティエレメントとして、セキュリティ文書、例えば、ID文書、銀行券、セキュリティ及び/又は証明書に組み込まれる。ここで、セキュリティ文書が透明又は半透明の層構造を有するか、又は少なくとも所定の領域にウインドウ形態の1つ又は複数の開口部を有すると有利である。ここで、シースルーセキュリティエレメントは、セキュリティエレメントの第1の主要面に広がる平面に対して垂直に見たときに、シースルーセキュリティエレメントが、少なくとも所定の領域で、セキュリティ文書の透明若しくは半透明の領域、及び/並びにセキュリティ文書に導入された1つ若しくは複数のウインドウに重なるようにセキュリティ文書に適用される、並びに/又はセキュリティ文書の層構造に組み込まれる。
【0090】
別の実施形態では、シースルーセキュリティエレメントは、セキュリティ文書の透明又は半透明の領域及び/又はセキュリティ文書に導入された1つ若しくは複数のウインドウと重ならないように、セキュリティ文書に適用されるか、又はセキュリティ文書に組み込まれる。ここで、セキュリティ文書が、適用されたシースルーセキュリティエレメントの領域において、光に対して十分に透過性があり、銀行券の透かしと同様にシースルーセキュリティエレメントを確認できる場合に有利である。十分な光透過性を有するセキュリティ文書とは、例えば紙幣であり、この場合、明るい光源にかざすと、ヒトの眼がシースルーセキュリティエレメントを確認するのに十分な光量が透過する。
【図面の簡単な説明】
【0091】
以下、本発明を、いくつかの実施例を参照して、添付の図を用いて、例として説明する。
【0092】
図1a】シースルーセキュリティエレメントを有するセキュリティ文書の上面図である。
図1b】シースルーセキュリティエレメントを有するセキュリティ文書の上面図である。
図1c】シースルーセキュリティエレメントの上面図である。
図1d】シースルーセキュリティエレメントの断面図である。
図2】シースルーセキュリティエレメントの上面図である。
図3】シースルーセキュリティエレメントの上面図である。
図4a】シースルーセキュリティエレメントの上面図である。
図4b】シースルーセキュリティエレメントの上面図である。
図5a】シースルーセキュリティエレメントの上面図である。
図5b】シースルーセキュリティエレメントの上面図である。
図5c】シースルーセキュリティエレメントの上面図である。
図5d】シースルーセキュリティエレメントの上面図である。
図6a】シースルーセキュリティエレメントの上面図である。
図6b】シースルーセキュリティエレメントの上面図である。
図7a】シースルーセキュリティエレメントの部分上面図である。
図7b】シースルーセキュリティエレメントの部分上面図である。
図8】シースルーセキュリティエレメントの部分上面図である。
図9】シースルーセキュリティエレメントの部分上面図である。
図10】シースルーセキュリティエレメントのそれぞれの部分のいくつかの上面図である。
図11a】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図11b】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図11c】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図11d】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図11e】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図11f】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図12a】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図12b】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図12c】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図12d】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図12e】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図12f】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図13a】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図13b】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図13c】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図13d】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図13e】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図13f】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図13g】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図13h】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図14a】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図14b】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図14c】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図14d】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図14e】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図14f】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図15a】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図15b】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図15c】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図15d】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図15e】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図15f】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図15g】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図15h】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図15i】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図16】シースルーセキュリティエレメントの上面図及びこのシースルーセキュリティエレメントの一部分を示す図である。
図17a】2つのシースルーセキュリティエレメントを有するセキュリティ文書の断面図である。
図17b】シースルーセキュリティエレメント及び画像情報のアイテムの概略上面図である。
図17c】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図18a】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
図18b】シースルーセキュリティエレメントを製造するための方法を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0093】
図1は、セキュリティ文書1の概略上面図である。セキュリティ文書1は、好ましくは銀行券である。しかし、セキュリティ文書1は、例えば、ID文書、証明書、チケットなどであってもよい。
【0094】
セキュリティ文書1は、透明ウインドウ11が導入された基板10を有する。
【0095】
基板10は、好ましくは、紙基板、プラスチック基板、並びに/又は紙層及びプラスチック層を含む基板である。ウインドウ11は、ここでは、この領域でセキュリティ文書1の基板10に導入された開口部によって、及び/又はこの領域で透明に設けられた基板10の層を形成することによって、基板10に導入することができる。
【0096】
セキュリティ文書1のウインドウ11領域には、ウインドウセキュリティエレメント2が設けられる。図1aに示すように、ウインドウセキュリティエレメント2は、ここでは、例えば、28mm×21mmのサイズのパッチ形状を有することができる。シースルーセキュリティエレメント2は、好ましくは、ここでは少なくともある領域においてウインドウ11と重なり、好ましくはウインドウ11を完全に覆う。例えば、図1aに示すように、ここでは、シースルーセキュリティエレメント2は、好ましくは、ウインドウ11よりも大きな寸法を有し、ウインドウ1に完全に重なり、さらに、ウインドウ11とは異なる外側輪郭、ここでは、例えば、ウインドウ11の円形の境界線と比較して、角が丸い長方形の外側輪郭を有する。
【0097】
ここで、セキュリティエレメント2は、好ましくは、基板10の主要面の1つに適用され、例えば、積層フィルム又は転写フィルムの形態で基板10の主要面の1つに適用される。
【0098】
しかし、シースルーセキュリティエレメント2は、例えば、製造プロセス中に、基板10の2つの紙層の間に、及び/又は任意選択により、基板10のプラスチック層の間に全面にわたって、基板の紙層に導入することによって、基板10の層構造に組み込むことも可能である。
【0099】
さらに、また、シースルーセキュリティエレメント2は異なるデザインを有してもよい。例えば、シースルーセキュリティエレメント2は、特に、一方の長手方向エッジから別の長手方向エッジまで、このセキュリティ文書の全領域に広がるセキュリティスレッド又はセキュリティストリップとして形成することができる。
【0100】
さらに、シースルーセキュリティエレメントは、基板10と同じサイズの範囲を有し、基板10の全面に適用されても、又は基板10の層間に組み込まれてもよい。これは特に、セキュリティ文書1が、例えば、ID文書又はブック状文書のデータページの形態などの、カード状セキュリティ文書である場合に有利である。
【0101】
セキュリティ文書1は、好ましくは、表面及び/若しくは裏面に印刷され、並びに/又はさらなるセキュリティエレメントが設けられる。したがって、セキュリティ文書1は、例えば、図1aに示される表面に、さらに多くのセキュリティ特徴部12を有する。セキュリティ特徴部12は、各々の場合で、例えば、光学的可変インクなどのセキュリティインクのオーバープリントであり、及び/又はさらに好ましくは、基板10に適用される、若しくは基板10に組み込まれる光学的可変セキュリティエレメントである。
【0102】
図1a及び図1bによる実施例では、図1aはセキュリティ文書1の表面の概略上面図を示し、図1bはセキュリティ文書1の裏面の概略上面図を示す。
【0103】
本実施例では、シースルーセキュリティエレメント2は基板10の表面に適用される。表面から反射光で見ると、シースルーセキュリティエレメント2によって特徴部33、特に光学的に可変の特徴部33が生成され、裏面から反射光で見たとき、特徴部34、特に光学的に可変の特徴部34が生成され、透過光で見たとき着色された特徴部31が生成される。ここで、光学的に可変の特徴部33,34は、鏡像であること除いて、同一のモチーフを表してもよい。しかし、光学的に可変の特徴部33,34は、異なるモチーフを表してもよい。
【0104】
図1cは、例として、それぞれの領域41において透過光で見たときに視認可能となる着色された特徴部31を示す。これらの着色された特徴部31は、ここでは、1つは、「太陽」の形態の着色されたシンボルであり、もう1つは、「KINEGRAM」の文字であり、前記特徴部は、ここでは、透過光で見たときに視認可能となる。図1cでは、着色された領域が白い線で示されている。
【0105】
シースルーセキュリティエレメント2の基本構造が、図1dに模式的に示されている。シースルーセキュリティエレメント2は、第1の主要面201と、それに対向して位置する第2の主要面202とを有する。ここで、主要面201はシースルーセキュリティエレメント2の表面を形成し、主要面202はシースルーセキュリティエレメント2の裏面を形成する。
【0106】
シースルーセキュリティエレメント2は、第1のエレメント21、第2のエレメント22、及び任意選択により別の1つ又は複数のさらなる層を有し、そのうちのキャリア層23、ワニス層24及び接着剤層25が図1dに示されている。
【0107】
キャリア層23は、例えば、PETフィルム又はPCフィルム(PC=ポリカーボネート)などのプラスチックフィルムによって形成され、その厚さは10μm~300μmである。この基板層23は、ここではさらに、1つ又は複数の追加のワニス層、接着促進層、及び/又は剥離層などの、いくつかの層を含み得る。ここで、キャリア層23は、好ましくは、ワニス層24に向かって配向された側に1つ又は複数の剥離層又は接着促進層を有する。ここで、1つ又は複数の剥離層が設けられる場合、シースルーセキュリティエレメント2は転写フィルムである。ここで1つ又は複数の接着促進層が設けられる場合、シースルーセキュリティエレメントは積層フィルムである。しかし、そのような剥離層、接着促進層、及び/又はキャリア層23を省略することも可能である。これは、特に、シースルーセキュリティエレメント2がセキュリティ文書1の1つ又は複数の層の間に配置されている場合、及び/又はウインドウ11がセキュリティ文書の基板10の貫通孔ではなく、セキュリティ文書1の透明領域によって形成される場合である。
【0108】
ワニス層24は、好ましくは、保護ワニス層及び/又はレリーフ構造が成形されたワニス層からなる。ここでは、そのようなワニス層24を、シースルーセキュリティエレメント2に2つ以上設けることも可能である。
【0109】
ここで、ワニス層24は、好ましくは、シースルーセキュリティエレメント2のキャリア層23と第1のエレメント21との間に配置される。
【0110】
第1のエレメント21は、1つ又は複数の第1の透明部分領域211と、少なくとも1つの反射性、特に高反射性の第2の部分領域212と、を有する。
【0111】
ここで、第1のエレメント21は、好ましくは、例えばアルミニウム、銅、金、銀、クロムからなる1つ又は複数の金属層を有する。ここで、第1のエレメント21の1つ又は複数の金属層は、好ましくは、1つ又は複数の第1の部分領域211に設けられていないか、又は脱金属によって再び除去され、その結果、この部分領域における第1のエレメント21の透明性は、1つ又は複数の金属層によって損なわれない。したがって、好ましくは、第1のエレメント21の1つ又は複数の第1の部分領域211には、第1のエレメント21の層が設けられていないか、又は第1のエレメント21の透明層のみが設けられる。しかし、さらに、1つ又は複数の金属層が、第1のエレメントの1つ又は複数の第1の部分領域211に、1つ又は複数の第2の部分領域212に比べてはるかに小さい層厚で設けられることも可能である。
【0112】
ここで、1つ又は複数の金属層は、好ましくは、例えば、蒸着プロセスによって、5nm~300nm、さらに好ましくは10nm~100nmの層厚で適用され、その後、脱金属プロセスによって1つ又は複数の第2の部分領域212で再び完全に又は大部分が除去される。あるいは、蒸着マスクを用いた対応する構造で、対応する構造化された金属層を適用することも可能であり、それにより、1つ又は複数の金属層が、1つ又は複数の第2の部分領域212の領域のみに実質的に又は完全に存在するが、1つ又は複数の第1の部分領域211の領域には存在しないか、又はいずれにしても非常に小さい層厚でしか存在しないようになる。
【0113】
1つ又は複数の金属層の代わりに、又はこれに加えて、第1のエレメント21は、特に金属顔料で染色された1つ又は複数のカラー層、干渉によって色変化効果を生成する薄膜層システム、1つ又は複数の体積ホログラム層及び/又は液晶層を有してもよい。
【0114】
さらに、特に光学的に可変の効果を生成するレリーフ構造を、第1のエレメント21の1つ又は複数の層に成形することも可能である。これは、例えば、回折及び/又は屈折レリーフ構造などのレリーフ構造、又は熱複製及び/又は紫外線複製によるワニス層24のホログラムを、例えば、第1のエレメント21の1つ又は複数の第2の部分領域212に対して正確な見当合わせで成形し、その後1つ又は複数の金属層を蒸着し、第1のエレメント21の対応する層を製造し、その中で、好ましくは反射光で見たときに光学的に可変の効果を生成する対応するレリーフ構造が金属層の表面に成形されることによって達成可能である。
【0115】
さらに、このため、第1のエレメント21は、好ましくは透明ワニス層を有してもよく、このワニス層には、対応するレリーフ構造が表面及び/又は裏面に成形され、このワニス層には、次に、片面又は両面に反射層が設けられる。
【0116】
同様に、対応するレリーフ構造は、例えば、1つ又は複数の第1の部分領域211に対して正確な見当合わせで成形することができ、ワニス層24の境界面の1つ又は複数の第1の部分領域211において、異なる屈折率を有する透明ワニス層を適用することができ、次にその上側に、そこに設けられたレリーフ構造に対応して反転して成形することができる。
【0117】
1つ又は複数の第1の部分領域211のレリーフ構造は、ここでは、好ましくは、透過光で見たときに回折及び/又は散乱効果、特に光学的に可変の効果を生成するように設計される。
【0118】
したがって、例えば、図1a、図1b及び図1cによる実施形態では、少なくとも1つの第2の部分領域212に全面金属層が設けられており、その表面には回折及び/又は屈折微細構造が成形されており、この微細構造は、表面から反射光で見たときに、特徴部33として、水上の帆船の表現とデノミネーション45及び架空の通貨記号UTとを生成する。ここで、特徴部33は、好ましくは光学的に可変の特徴部を表し、例えば、シースルーセキュリティエレメント2を傾けたり回転させたりすると、特徴部33の部分モチーフ、例えば、帆船、通貨記号、デノミネーション、水などの色及び/又は位置が変化する。
【0119】
ここで、1つ又は複数の第2の部分領域212に設けられたこれらのレリーフ構造が、1つ又は複数の金属層の表面及び裏面の両方にわたって成形される場合、裏面から見たときに、図1bに模式的に表されているように、対応する「鏡面反転した」光学的に可変の印象がさらに生じ、それによって特徴部34が対応する光学的な印象を示す。
【0120】
しかし、さらに、異なるレリーフ構造が成形された2つ以上の反射層、特に不透明な金属層を、1つ又は複数の第2の部分領域212に重ねて設けることもまた可能である。これにより、それぞれ表面及び裏面から見たときに異なり、反射光で見たときに視認可能となる光学的に可変の特徴部33,34が実現可能である。したがって、例えば、裏面から反射光で見たときに示される特徴部34は、完全に異なって形成されたモチーフ又は部分的に異なるモチーフ、すなわち、例えば、完全に異なる形の帆船や、例えば肖像画や建物などのまったく異なるモチーフ、又は多数のデノミネーション45の表現を規則的に配置したような無限パターンなどを示すことができる。
【0121】
上下に重なり位置する少なくとも2つ以上の不透明な反射層を有する本実施形態では、透過時に、それぞれに割り当てられた色に一致するカラーフィルタを形成する第2のエレメント22の1つ又は複数の第1の部分領域221を、染色されたワニス層によって提供し、この染色されたワニス層を、第1のエレメント21の第2の部分領域212と重なって部分的に適用することも可能である。
【0122】
好ましい実施形態によれば、図1dには示されていないが、1つ又は複数の第1の透明部分領域と、少なくとも1つの反射性、特に高反射性の第2の部分領域と、を有する第3のエレメントが、第2のエレメント22の下にさらに設けられる。
【0123】
第3のエレメントの1つ又は複数の第1の透明部分領域は、ここで、好ましくは、第1のエレメント21の1つ又は複数の第1の透明部分領域211のように形成される。第3のエレメントの少なくとも1つの反射性の第2の部分領域は、好ましくは、第1のエレメント21の少なくとも1つの反射性の第2の部分領域212のように形成される。したがって、第3のエレメント及びその第1及び第2の部分領域の形成に関しては、第1のエレメント21に関する前述した説明を参照されたい。
【0124】
さらに、第1のエレメント21の1つ又は複数の第1の透明部分領域211及び第3のエレメントの1つ又は複数の透明部分領域は、好ましくは第1の主要面201に広がる平面に対して垂直に見たときに、互いに一致して形成される。第1のエレメント21の少なくとも1つの反射性の第2の部分領域212は、それに対応して、好ましくは、第3のエレメントの少なくとも1つの反射性の第2の部分領域と一致して形成される。
【0125】
第2のエレメント22の染色されたワニス層は、好ましくは、第1のエレメント21及び第3のエレメントの互いに重なり合って位置する2つの不透明な反射層の間に設けられる。その結果、第1のエレメント22の第2の部分領域221及び/又は第3のエレメントの第2の部分領域と重なる染色されたワニス層の領域は、表面からの反射光でも裏面からの反射光でも、また透過光でも視認可能でない。カラーフィルタ機能は、第1の領域211においてのみ視認可能である。
【0126】
さらに、反射光で見たとき表面及び/又は裏面から視認可能な特徴部33又は34の色の印象に影響する別の1つ又は複数のカラー層を、1つ又は複数の第2の部分領域212に設けることも可能である。したがって、例えば、少なくとも1つの第2の部分領域212の金属層の裏面に半透明のカラーワニス層を設けると、反射光で見たとき裏面から示される特徴部34を、対応して追加的に染色することができ、これにより特徴部33,34に対応する異なる色の印象を達成できる。
【0127】
これは、金属層の表面の部分領域212に対応する半透明のカラー層を設けることによって達成できる。
【0128】
可能な限り簡単な伝達性及び認識性のために、反射光で見たとき認識可能な特徴部33,34の色の印象は、透過光で見たとき認識可能な特徴部31の色の印象と可能な限り異なるべきである。特に、色の印象の違いは、色覚異常者、特に赤/緑の色覚異常者や全色覚異常者も違いを感知できるように選択すべきである。特に、色の印象は、反射光及び透過光で、明度及び/又は彩度が可能な限り明確に異なるべきである。
【0129】
第1のエレメント21の1つ又は複数の層は、表面及び/又は裏面から反射光で見たとき、1つ又は複数の第2の部分領域212が、可視波長域の平均で0.8OD超、好ましくは1.1OD超の光学濃度、さらに好ましくは1.3OD超、特に好ましくは1.5OD超の光学濃度を有し、及び/又は可視波長域での平均で、40%超、さらに好ましくは70%超の純粋な鏡面に対する可視波長域にわたる反射率を有するように好ましくは形成される。
【0130】
第2のエレメント22は、各々の場合、透過時に、それぞれに割り当てられた色に一致したカラーフィルタを形成する1つ又は複数の第1の部分領域221を有する。さらに、第2のエレメントは、少なくとも1つの第2の部分領域222を有する。少なくとも1つの第2の部分領域222では、第2のエレメント22は無色、好ましくは無色透明に形成される。これは、例えば、1つ又は複数の第1の部分領域221に設けられた、透過時にカラーフィルタを形成する1つ又は複数の層が、1つ又は複数の第2の部分領域222では設けられていないか、又は再び除去されている理由により達成される。さらに、第2のエレメント22の1つ又は複数の第1の部分領域221のいずれにも割り当てられていない色に一致するカラーフィルタが、少なくとも1つの第2の部分領域222に、透過及び/又は反射で形成されることも可能である。
【0131】
このため、第2のエレメント22は、好ましくは、1つ又は複数の透明カラー層及び/又はフォトクロミック層を有し、これらの層は1つ又は複数の第1の部分領域221及び第2の部分領域222の形成に対応して構造化される。
【0132】
第1のエレメントの第1の部分領域211及び第2のエレメント22の第1の部分領域221は、ここでは、第1の主要面に広がるxy平面に対して垂直に少なくとも部分的に重なり、それにより透過光で見たとき得られる色の印象は、好ましくは表面及び/又は裏面から反射光で見たときに示される色の印象をこれにより損なうことなく、第2のエレメント22によって調整可能である。
【0133】
したがって、1つ又は複数の第1の領域41において、第1のエレメント21の第1の部分領域211及び第2のエレメント22の第1の部分領域221は、第1の主要面201に広がる平面に対して垂直に見たときに、好ましくは互いに相対的に正確な見当合わせで配置されており、それにより、透過光で、それぞれの領域41において、第1の着色された特徴部31が視認可能になり、特に表面又は裏面から反射光で見たときに視認不能である。
【0134】
したがって、例えば、図1cに示した実施例では、透過光で見たとき第1の領域41に、第1の特徴部31として、着色された文字「KINEGRAM」が、例えば赤色で示され、同様に、第1の領域41にさらに、第1の特徴部31として、同じ色の概略的な太陽が表示される。したがって、透過光では、特徴部31のこれらのモチーフは、観察者に対して、例えば不透明な暗い背景の前に赤色で現れる。
【0135】
図1cに示した実施例では、第1の部分領域211は第1の領域41にのみ設けられており、シースルーセキュリティエレメント2の残りの領域のすべては、全面が第2の部分領域212によって占められている。したがって、シースルーセキュリティエレメント2は、図1a及び図1bにも見られるように、表面及び裏面から見たときの両方で、例えばメタリックシルバーで現れ、モチーフ(帆船、水、デノミネーション、通貨記号)は、前述のように、対応する光学的可変レリーフ構造によって生成される。透過光で見たとき、図1cに示された着色された特徴部31は、観察者に対して、全面的に暗い背景の前に前述のモチーフの形態で現れる。
【0136】
第1の領域41において、図1dにも示されているように、第1の部分領域211及び第1の部分領域221は、好ましくは、第1の主要面201に広がる平面に対して垂直に見たときに、第1の部分領域221は、それぞれ割り当てられた第1の部分領域211と重なり合うように、互いに相対的に位置決めされて配置される。これにより、1つ又は複数の第1の部分領域221の色が、実質的に「透過光で見たとき」のみ光学的効果を表示し、「反射光で見たとき」には光学的効果を表示しないことが達成される(表面及び裏面の両方から見た場合)。さらに、第1の領域41において、第1の部分領域211及び221は、好ましくは、少なくとも1つの横方向において、500μm未満、好ましくは300μm未満、特に150μm未満の寸法を有し、したがって、好ましくは、細い線又はラスタエレメントとして形成される。また、これにより、第1の部分領域211及び221の光学的効果は、実質的に、透過光で見たときにのみ認識可能であり、したがって、図1a~図1cを参照して図示した反射光/透過光効果の生成も達成される。
【0137】
さらに、シースルーセキュリティエレメント2が、1つ又は複数の第1の領域31の外側の第2の部分領域212によって全面に亘っては形成されず、そこに第1の部分領域211を有することも可能である。
【0138】
これは、図2に例として示されている。図2は、セキュリティエレメント2を示す。図2に示されるように、透過光で見たとき着色されたセキュリティ特徴部31が視認可能となる領域41の外側には、第1の部分領域211も設けられており、透過光で見たときに、特に無色で認識可能なモチーフ、ここでは水線(ウォーターライン)や、例えば帆船の様式化された輪郭が、さらなる特徴部35として視認可能である。このシースルーセキュリティエレメント2は、したがって、例えば、反射で見るように設計された部分的なメタライゼーションを表現し、これは、この例では、帆船及び水の波として形成されている。帆及び船体には、前述のようなさらなる追加のセキュリティ特徴部31が設けられており、これらは、透過光で見たときのみ着色されたセキュリティ特徴部31として現れる。
【0139】
本実施例では、レリーフ構造、特に回折及び/又は屈折微細構造を第2の部分領域212に設けることも可能であり、したがって、例えば、帆船の船体を形成する第2の部分領域212に、シースルーセキュリティエレメント2の平面から船体が飛び出したような幻想を生成するフレネル型微細構造を設けることも可能である。ボートの帆を形成する第2の部分領域212には、帆のはためきを模した、色消しではない回折型又は反射型の微細構造を設けることができる。
【0140】
ここで、シースルーセキュリティエレメント2が、表面及び/又は裏面からの反射を、反射光で見たときと透過光で見たときとで異なる色で表示する場合にさらに有利である。例えば、特徴部31の色として赤色が選択された場合、特徴部33のモチーフは、好ましくは光沢のある銀色又は赤色以外の色で現れる。
【0141】
さらに、好ましくは、特徴部31は、いくつかの異なる色を有し、及び/又は「着色された部分領域」に加えて無色の部分領域も有する。図3では、シースルーセキュリティエレメント2のそのような形成が示されており、これは、透過光で見たとき、第1の特徴部31として赤色の文字「KINEGRAM」を生成し、第1の特徴部31として「青色」で様式化された太陽(ここでは点線で示されている)を生成する。
【0142】
そのような効果は、第2のエレメント22の1つ又は複数の第1の部分領域221に、異なる色に割り当てられたカラーフィルタを形成し、これらを第1の特徴部31又は第1の特徴部31の異なる色の部分モチーフ又はモチーフに対して相対的に正確な見当合わせで設けることによって達成できる。さらに、ここでは、第2のエレメント22の割り当てられた第1の部分領域221とは重ならず、第2のエレメント22の少なくとも1つの第2の部分領域222と重なる第1のエレメント21の第1の部分領域211を、第1の領域41に設けることが可能である。これにより、第1の特徴部31は、着色された部分領域又は部分モチーフに加えて、無色/白色で現れる部分領域又は部分モチーフを有することも可能であり、したがって、1つ又は複数の第1の特徴部31の外観がさらに改良される。
【0143】
さらに、第1の領域41において、第1のエレメント21の1つ又は複数の第1の部分領域211が、各々の場合、少なくとも表面積の80%の範囲、好ましくは表面積の90%超、特に完全に、第1のエレメント21の少なくとも1つの第2の部分領域212によって囲まれていること、及び/又は第1の領域41において、第2のエレメント22の1つ又は複数の第1の部分領域221が、それぞれ、少なくとも表面積の80%、好ましくは表面積の90%超、特に完全に、第2のエレメント22の少なくとも1つの第2の部分領域222によって囲まれていることが有利である。反射光で見たときの第1の特徴部31の不鮮明さが、第1及び第2の部分領域211、212、221、222のそのような形成によってさらに改良されることが試験によって示された。
【0144】
前述したように、このため、1つ又は複数の第1の部分領域211、221は、さらに好ましくは、500μm未満、好ましくは300μm未満、特に好ましくは150μm未満の幅又は直径を有する線及び/又はラスタドットとして形成される。
【0145】
さらに、このため、第1の領域41の第2の部分領域212が、反射光で見たとき可能な限り「鮮やか」に現れることが有利である。このためには、好ましくは、反射光で見たとき、部分領域212で可能な限り高い反射率を達成すること、可能であれば30%超、さらに好ましくは50%超、さらに好ましくは70%超の反射率を達成することが目的となる。
【0146】
反射率とは、ここでは、前述したように、可視波長域の照射光と、反射して戻ってくる光、回折して戻ってくる光、又は後方散乱光(つまり、反射光で見たとき観察者の方向に「戻ってくる」可視波長域の光の「総量」)との比率を意味する。
【0147】
ここでは、少なくとも1つの第2の部分領域212、特に第1の領域41に、光学的に活性なレリーフ構造、特にレインボー効果を生成する回折レリーフ構造及び/又は色消しの移動効果を生成する回折、光回折、又は反射性色消しレリーフ構造を設けることが特に効果的であることが証明されている。これらの移動効果は、ラスタの形態で配置されるか、又はその他の方法でさらなる光学的に可変の効果と組み合わせることができる。これは、少なくとも1つの第2の部分領域212が複数のゾーンに細分化され、各々の場合で、効果の1つに割り当てられたレリーフ構造が、少なくとも1つの第2の部分領域212に設けられた反射層に成形されることを意味する。
【0148】
1つ又は複数の第1の部分領域211及び1つ又は複数の第1の部分領域221が、少なくとも1つの横方向において、5μm~300μm、好ましくは10μm~200μm、さらに好ましくは15μm~150μmの寸法を各々の場合に有することによって、反射光で見たとき、第1の特徴部31の不鮮明さがさらに改良されることがさらに示された。
【0149】
図8にも示すように、1つ又は複数の第1の部分領域211及び221は、好ましくは、微細な連続した線として形成される。
【0150】
領域41の第1の部分領域211及び221の少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも90%の幅ΔLは、好ましくは300μm未満である。
【0151】
第1の領域41の線の幅ΔLは、好ましくは5μm~300μm、さらに好ましくは10μm~200μm、さらに好ましくは15μm~150μmである。
【0152】
さらに、ここでは、1つ又は複数の第1の領域211及び221を細い線の形態で設計する場合、これらの線は、例えば、破線又は点線として形成され、これは次に「グループ化」されて対応する線を形成し、透過光で見たとき最終的に視認可能な第1の特徴部31を形成するように部分構造化されてもよい。
【0153】
1つ又は複数の第1の部分領域211及び/又は221を線として形成するような場合に加えて、第1の部分領域211及び221をラスタドットとして形成することも有利である。これらのラスタドットは、1次元又は2次元のラスタによってそれぞれの第1の領域41に配置される。ここで、個々のラスタドットは、例えば、上面図において、円板状、正方形、長方形などの任意の所望の形状を有していてもよいし、英数字などの複雑な構造を有していてもよい。ここで、ラスタドットは、5μm~300μm、好ましくは10μm~200μm、さらに好ましくは15μm~150μmの幅寸法を、一方の横方向、さらに好ましくは両方の横方向に有することが好ましい。最も単純なケースでは、ラスタドットを「円板」として設計する場合、この円板の直径は、第1の主要面201に広がる平面に対して垂直に見たときに、5μm~300μm、好ましくは10μm~200μm、さらに好ましくは15μm~150μmである。
【0154】
透過光で見たとき、「平面」効果を有する着色された第1の特徴部31は、そのような設計によって提供することができる。個々の「ラスタドット」は、ここでは、ヒトの観察者が、可能な限り「一体的な」効果を感知するようにラスタに配置され、感知可能な「表面プロファイル」が観察者に対して現れ、このプロファイルは、好ましくは、ラスタによってラスタドットが設けられる領域の輪郭によって縁取られ、その明度は、ラスタドットのそれぞれの局所的な間隔及びサイズによって決定される。
【0155】
ラスタのラスタドットの間隔及び/又はラスタの周期は、好ましくは5μm~300μm、好ましくは10μm~200μm、さらに好ましくは15μm~150μmの範囲である。
【0156】
第1の主要面201に広がる平面に対して垂直に見たときに、第1のエレメント21の少なくとも1つの第2の部分領域212が、第1の領域41の1つ又は複数の第1の部分領域211を完全に囲み、さらに、シースルーセキュリティエレメント2のそれぞれの第1の領域41を完全に囲むとさらに有利である。
【0157】
ここで、第1の領域41に設けられた第1の部分領域211が、すべての横方向において、少なくとも距離dで、少なくとも1つの第2の部分領域212に囲まれているとさらに有利である。これは、例えば、図9に示されており、そこでは、第2の部分領域212は、それぞれの第1の部分領域211から始まり少なくとも距離dだけ延在している。
【0158】
ここで、距離dは、好ましくは0.5mm超、さらに好ましくは0.8mm超、さらに好ましくは1mm超から選択される。
【0159】
第1の領域41から始まる少なくとも1つの第2の部分領域212は、第1の主要面に広がる平面に対して垂直に見たときに、少なくとも距離dだけ延在することがさらに有利である。
【0160】
例えば、図10に示すように、シースルーセキュリティエレメントの第1の領域41は、第1の主要面201に広がる平面に対して垂直に見たときに、長方形領域の各エッジがそれぞれ第1の特徴部31に隣接する可能な限り小さい長方形領域によって形成されている場合、第2の部分領域212は、幅dを有する1つのストリップ内で、この「長方形」を完全に取り囲む。
【0161】
図10に示すように、第1の特徴部31の輪郭は、ここでは第1の部分領域211の横方向の配置によって画定される。これは、第1の部分領域211がラスタドットとして形成される場合、対応する手法で適用される。図10に示すように、第1の領域41のこの定義では、領域41の形態の、一連の文字列「KINGEGRAM」として形成された第1の特徴部31に対しては、図10で下方の図に示した長さb及び幅aを有する長方形として示される。
【0162】
図10に示すように、ここでは、より小さな表面積を達成することができる場合、ここで長方形を「回転」させてもよい。したがって、図10の場合、対応する最小の長方形として、下方に配置した長方形は、傾斜が文字と一致しており、最小の長方形として領域41の定義の基準となる。
【0163】
そのような設計は、1つには、第1の特徴部31の認識性がさらに改善され、さらには、反射光で見たときの第1の特徴部31の「不鮮明さ」もさらに改良されることが試験によって示された。第1の部分領域211は、対応する大きなマージンを有する第2の部分領域212によって囲まれているので、透過光でシースルーセキュリティエレメント2を見る観察者に対して、光学的コントラストが向上し、したがって観察者による特性の確実な確認が簡略化される。
【0164】
領域41の全表面積に対する、第1の領域41に設けられた第1の部分領域211の表面比Fが、20%未満、さらに好ましくは10%未満、さらに好ましくは5%未満である場合、有利であることがさらに証明された。
【0165】
この計算の基となる第1の領域は、ここでは、好ましくは、図10を参照して前述のように、つまり、第1の特徴部31を形成する第1の部分領域211を囲む可能な限り最小の長方形によって画定される。したがって、表面比Fは、領域41内の第1の部分領域211及び第2の部分領域212の合計に対する、領域41内の第1の部分領域211の合計から決定される。
【0166】
好ましい実施形態は、シースルーセキュリティエレメントが、1つ又は複数の透明な第1の部分領域211と、少なくとも1つの反射性の第2の部分領域212とを有する第1のエレメント21を有し、かつ第2のエレメント22であって、各々の場合、透過時に、それぞれに割り当てられた色に一致するカラーフィルタを形成する1つ又は複数の第1の部分領域221と、無色、特に無色透明に形成されるか、又は透過及び/若しくは反射時に第2のエレメント22の1つ又は複数の第1の部分領域221のいずれにも割り当てられていない色に一致するカラーフィルタを形成する少なくとも1つの第2の部分領域222と、を有する第2のエレメント22を有し、第1のエレメント21の第1の部分領域211及び第2のエレメント22の第1の部分領域221が、第1の主要面に広がる平面に対して垂直に見たときに、少なくとも部分的に重なることを提供する。
【0167】
透明な第1の部分領域211は、反射性の第2の部分領域212とともに、表面及び裏面から反射光で見たとき、認識可能なメタリックシルバーのグレースケール画像を製造する。第2のエレメント22の着色された第1の部分領域221は、透過光で見たとき単色又は多色で認識可能である。
【0168】
これを花のモチーフを参照して図16に例示する。拡大部分は、グレースケール画像を生成するためのラスタ化を示す。ここでは、反射性の第2の部分領域212は暗い領域で表し、透明の第1の部分領域211は明るい領域で表している。反射性の第2の部分領域212と見当合わせを行いネガ型フォトレジストによって構成されたカラー層221が、透明な第1の部分領域211に存在する。2つ以上の異なる染色されたフォトレジストを、任意選択により部分領域211に重ねて使用することも可能である。例えば、花全体の領域に黄色に染色されたフォトレジストを使用し、追加的に黄色に染色されたフォトレジスト上の花の丸い中心部(めしべ)に赤色に染色されたフォトレジストを使用することが可能である(図18a及び図18b参照)。両方の染色されたフォトレジストはいずれも透明又は半透明のフォトレジストであり得るので、透過光で見たとき、花の丸い中心部(めしべ)の部分領域211に黄色及び赤色からなる混合色が形成される。花の花びらは、透過光で見たとき、部分領域211に黄色で現れる。その結果、花は、透過光で見たとき、部分領域211において2色で現れる。あるいは、2つ以上のフォトレジストを、重ならないように、又は部分的にしか重ならないように適用することも可能である。異なる部分領域211には、異なる色で着色されたフォトレジストが配置される。花の周囲の部分領域212からなる反射性の不透明な枠を用いて、ネガ型フォトレジストを部分的に適用した場合の印刷公差を吸収することができる。
【0169】
透明な第1の部分領域211の色が、反射光で見たとき、視認不能、又は可能な限り視認不能であるように、透明な第1の部分領域211は、好ましくは、グレースケール画像の表面積の少なくとも50%において、第1のエレメント21の30%未満の表面比、さらに好ましくは第1のエレメント21の20%未満の表面比、特に好ましくは第1のエレメント21の10%未満の表面比を含む。さらに好ましくは、透明な第1の部分領域211は、グレースケール画像の表面積の少なくとも70%において、第1のエレメント21の30%未満の表面比、さらに好ましくは第1のエレメント21の20%未満の表面比、特に好ましくは第1のエレメント21の10%未満の表面比を含む。
【0170】
鮮やかな光学的に可変の効果、特に移動効果は、さらに好ましくは、部分領域212における第1のエレメント21のグレースケール画像の領域に存在する。ここで、1mm当たり(線/mm)500~2000、さらに好ましくは、1mm当たり600~1500の線の数を有する回折格子構造、主に色消しの光学的効果を有する屈折作用マイクロミラー、及び/又は屈折作用構造を用いることが好ましい。そのような鮮やかな効果は、部分領域212のメタライゼーションに対する見当合わせで存在する部分領域211の色を隠すのに特に良好である。
【0171】
急激な明度遷移を回避する可能性は、グレースケール画像による実施形態において特に有利である。それにより、反射光で見たときは明度遷移の認識がより困難になるが、透過光で見たとき画像情報は依然として容易に認識可能である。
【0172】
さらに、第2のエレメント22の1つ又は複数の第1の部分領域221を、第1の領域41の外側にも設けることもできる。これは、図4a及び図4bに例として示されている。
【0173】
図4aは、そのようなシースルーセキュリティエレメント2を表面から反射光で見たときを示し、図4bは透過光で見たときを示す。
【0174】
本実施例では、透過光で見たときは前述の特徴部31が視認可能であり、反射光で見たときは前述の特徴部33,34が視認可能である。さらに、各々の場合、透過光で見たとき、「雲」の一部として形成された着色された特徴部32も視認可能となる。これらの特徴部32は、ここでは、第2のエレメント22の対応する形状の第1の部分領域221によって形成されており、これらは、第1のエレメント21の広い第1の部分領域211の内側に対応して重なるように配置される。これらの第1の着色された特徴部32は、好ましくは、ここでは、図4aに示すように、反射光で見たときにも視認可能である。
【0175】
ここで、特徴部32を形成する第1の部分領域221は、好ましくは、着色された特徴部32が、表面及び裏面から反射光で見たとき視認可能な第3の特徴部に直接隣接するように、したがって図5a及び図5bに表されるように、例えば特徴部33及び特にその部分的な「帆」のモチーフに直接隣接するように、第1のエレメントの第1の部分領域211に対して正確な見当合わせで配置される。
【0176】
したがって、セキュリティエレメント2は、図1dに示すように、第2のエレメントの第1の部分領域221の少なくとも1つが、好ましくは、領域内の第1の主要面201に広がる平面に対して垂直に見たときに、第2の部分領域212に直接隣接する1つ又は複数の第2の領域42を有する。したがって、各々の場合、例えば「雲」として形成された部分領域221は、例えば、帆船の「ネガ型」として形成された第1のエレメントの第1の部分領域211と、この部分領域221がこの第1の部分領域211に隣接する第2の部分領域212と領域内で直接隣接するように重なる。これは、例えば、図5a及び図5bに示されるように、「雲」の右側エッジ又は「雲」の左側エッジが、「帆」として形成されている第2の部分領域212に直接隣接しているからである。
【0177】
ここで、図5bにも示されているように、それぞれ重なっている第1及び第2の部分領域211,221は、好ましくは、ここでは異なるデザインを有する、又は異なるモチーフを形成し特に相補的なモチーフを形成する。
【0178】
ここではさらに、第1の部分領域221だけでなく、2つ以上のそのような部分領域が、各々の場合おいて、特に異なる色に一致するカラーフィルタを形成して、第1の部分領域211の内側に設けられることも可能である。
【0179】
これについて、図5c及び図5dを参照して以下に説明する。
【0180】
図5cは、シースルーセキュリティエレメント2を表面から反射光で見たときの図であり、図5dは、このシースルーセキュリティエレメント2を透過光で見たときの図である。図5c及び図5dに示すように、特徴部32はここでは、雲として形成され、透過光で見たとき「青色」で現れる第1の部分領域221と、それに対して正確な見当合わせで配置され、半分の「太陽」として形成され透過光で見たとき「黄色」で現れる第1の部分領域221とによって形成される。
【0181】
2つの第1の部分領域221は、互いに直接接合されているので、重なり合った領域に、見たときの印象を著しく損なうような混合色が形成されない。2つの色の境界領域に混合色がない、この完全な2つの色の見当精度は、偽造者に対して非常に高いハードルとなり、偽造に対する保護性能をさらに向上させる。境界領域で色が重なると混合色が形成され、正確な完全な見当精度が得られない。
【0182】
図6a及び図6bは、特徴部32を形成する第1の部分領域221が線として形成され、図4a~図5bを参照して既に説明したように第2の領域212に正確な見当合わせで隣接するシースルーセキュリティエレメント2を示す。ここでは、これらの線は様式化された雲として形成されている。
【0183】
図6aはここで、セキュリティエレメント2を表面から反射光で見たときの上面図を示し、図6bはそれを透過光で見たときの上面図を示す。特徴部32は、透過光で見たときここでは青色で現れる。
【0184】
ここで、第1の部分領域221が第2の部分領域212にシームレスに隣接するだけでなく、図7aに示すように、第1の部分領域221と第2の部分領域212との間に幅sの隙間を設けることもさらに可能である。隙間の幅sは、好ましくは500μm未満、好ましくは300μm未満、さらに好ましくは150μm未満、特に好ましくは50μm未満である。したがって、一方では反射光で見たとき重なりがなく、第2の部分領域212の光学的効果に影響がなく、他方では、依然として2つのエレメントの見当精度がヒトの観察者によって非常に良好に評価可能であり、それにより偽造の容易な確認が可能であることを確実にする。
【0185】
さらに、各々の場合、第1の部分領域221及び第2の部分領域212は、100μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは10μm以下の重なりtを有してもよい。重なりtは、図7bに示されている。
【0186】
第2の部分領域212の対応する光学的変化は、反射光で見たとき、そのような小さな重なりでは感知できないか、又はほとんど感知できないことが試験によって示された。
【0187】
さらに好ましい実施形態では、特に、セキュリティ文書、好ましくは図1によるセキュリティ文書1は、2つ以上のシースルーセキュリティエレメントを有することを提供する。
【0188】
ここで、第1のシースルーセキュリティエレメントは、好ましくは、第1のエレメント21及び第2のエレメント22を有する。ここで、第2のシースルーセキュリティエレメントは、好ましくは、第1のエレメント21及び第2のエレメント22を有する。
【0189】
第1のシースルーセキュリティエレメントが第1のエレメント21及び第2のエレメント22を有する場合、第2のシースルーセキュリティエレメントは、第1のエレメント21のみを有してもよい。
【0190】
第2のシースルーセキュリティエレメントが第1のエレメント21及び第2のエレメント22を有する場合、第1のシースルーセキュリティエレメントは第1のエレメント21のみを有してもよい。
【0191】
しかし、第1のシースルーセキュリティエレメントが第1のエレメント21及び第2のエレメント22を有し、第2のシースルーセキュリティエレメントが第1のエレメント21及び第2のエレメント22を有してもよい。
【0192】
第1のシースルーセキュリティエレメントは、1つ又は複数の透明な第1の部分領域211と、1つ又は複数の反射性の第2の部分領域212と、を有する第1のエレメント21を有し、第1のシースルーセキュリティエレメントは、第2のエレメント22であって、各々の場合、透過時に、それぞれに割り当てられた色に一致するカラーフィルタを形成する1つ又は複数の第1の部分領域221と、無色、特に無色透明に形成されるか、又は透過及び/若しくは反射時に第2のエレメント22の1つ又は複数の第1の部分領域221のいずれにも割り当てられていない色に一致するカラーフィルタを形成する1つ又は複数の第2の部分領域222と、を有する第2のエレメント22を有し、第1のエレメント21の第1の部分領域211及び第2のエレメント22の第1の部分領域221が、第1の主要面に広がる平面に対して垂直に見たときに、少なくとも部分的に重なる。
【0193】
第2のシースルーセキュリティエレメントは、1つ又は複数の透明な第1の部分領域211と、1つ又は複数の反射性の第2の部分領域212とを有する第1のエレメント21を有し、第2のシースルーセキュリティエレメントは、第2のエレメント22であって、各々の場合、透過時に、それぞれに割り当てられた色に一致するカラーフィルタを形成する1つ又は複数の第1の部分領域221と、無色、特に無色透明に形成されるか、又は透過及び/若しくは反射時に第2のエレメント22の1つ又は複数の第1の部分領域221のいずれにも割り当てられていない色に一致するカラーフィルタを形成する1つ又は複数の第2の部分領域222と、を有する第2のエレメント22を有し、第1のエレメント21の第1の部分領域211及び第2のエレメント22の第1の部分領域221が、第1の主要面に広がる平面に対して垂直に見たときに、少なくとも部分的に重なる。
【0194】
図17aは、第1及び第2のシースルーセキュリティエレメント2a、2bを概略断面表現で示している。前記エレメントは、セキュリティ文書、特にポリマー基板製の銀行券の基板10の両側の透明領域、特に透明ウインドウ領域に配置され、距離hで互いに離間している。第1のシースルーセキュリティエレメント2aは、ここでは発光層として機能し、第2のシースルーセキュリティエレメント2bは、マスク層として機能する。
【0195】
好ましくは、第1のエレメント21及び第2のエレメント22は、第2のシースルーセキュリティエレメント2bに配置され、第1のエレメント21のみが第1のシースルーセキュリティエレメントに配置される。
【0196】
したがって、第1のシースルーセキュリティエレメント2aの第1のエレメント21は、モアレアイテムの情報形態で配置された、第1の部分領域211及び第2の部分領域212を有する。このため、第1のシースルーセキュリティエレメント2aの第2のエレメント22、したがって、構造化されたカラー層は、見当合わせで配置される。
【0197】
このように、第2のシースルーセキュリティエレメント2bの第1のエレメントも、第1の部分領域211及び第2の部分領域212を有し、第1の部分領域211は透明な開口部を製造し、第2の部分領域212は不透明の(反射性の)領域を製造する。このため、第2のエレメントの第1の部分領域221及び第2の部分領域222、したがって第1の部分領域221の構造化されたカラー層は、見当合わせで配置される。
【0198】
構造化されたカラー層は、好ましくは、1つのシースルーセキュリティエレメントのみに、好ましくは、第2のシースルーセキュリティエレメント2b(マスク層)に配置される。
【0199】
可視面から透過光で見た第2のシースルーセキュリティエレメント2bが、図17aに示されている。光は、第1のシースルーセキュリティエレメント2a、つまり、発光層(例えば、セキュリティエレメントの保護層)に当たり、光を、例えば構造化されたカラー層の形態で第2のエレメント22、またモアレ情報(Moire information)の形態で第1のエレメント21に伝送する。光は、透明な開口部を介して基板10及び第2のシースルーセキュリティエレメント2b(マスク層)を透過して、所望の効果、例えばモアレ拡大及び/又は移動効果を生成する。
【0200】
図17bは、第2のシースルーセキュリティエレメント2b(マスク層)、第1のシースルーセキュリティエレメント2a(発光層)、及び視認可能な画像情報36の概略上面図である。
【0201】
本例では、第2のシースルーセキュリティエレメント2b(マスク層)は、ラインラスタ(線形ラスタ)の形態をなす第1のエレメントと、構造化されたカラー層の形態をなす第2のエレメントとを有する、ラインラスタとして生成される。本例では、第1のシースルーセキュリティエレメント2a(発光層)は、モアレ情報の形態をなす第1のエレメントを有する。本例では、透過光で見たときに視認可能な画像情報36は、文字の組み合わせ「OK」に対応する。
【0202】
第2のシースルーセキュリティエレメント2b(マスク層)では、ラインラスタの代わりに、ドットラスタであってもよい。
【0203】
第1のシースルーセキュリティエレメントのモアレ情報は、例えば、マイクロ画像ラスタとして形成可能であり、いわゆるモアレ拡大効果によってヒトの観察者に大きな画像として視認可能となるマイクロ画像が、周期的なラスタで配置されている。透過光で見たときに銀行券が傾いていたり、見る角度が変わったりすると、視認可能な大きな画像が動いているように見える。
【0204】
好ましくは、2つのシースルーセキュリティエレメント2a、2bの一方、又は両方は、図17cに模式的に表されているように、第2のエレメント22の(着色された)第1の部分領域221が、第1のエレメント21の(反射性の)第2の部分領域212と見当合わせで配置される。その結果、移動効果は、透過光において単色又は多色で現れる。
【0205】
シースルーセキュリティエレメント、特に先の実施例によるシースルーセキュリティエレメント2、2a、2bを製造するための可能な方法を、次に図11a~図15iを参照して以下で説明する。
【0206】
まず、前述したように、キャリア層23及びこれに任意選択により適用された1つ又は複数のワニス層24を含む基板を製造する。
【0207】
まず、不透明な金属層60がこの基板の全面に堆積され、基板は、好ましくは、ワニス層24として、熱複製及び/又は紫外線複製によって微細構造が成形される複製層を有する。図11aは、そのような基板を示す。金属層60は、例えば、アルミニウム、銀、クロム又は銅からなる。これは、例えば、真空中での熱蒸気によって実現することができる。
【0208】
さらに、層60に加えて、前述の層のうちの1つ又は複数を適用することもさらに可能であり、これらは、第1のエレメント21を形成するために提供され得る。
【0209】
次に、図11bに示すように、層60を部分的に除去する。これは、例えば、エッチングレジストに印刷してからエッチングするか、又は洗浄プロセスによって行うことができる。洗浄プロセスを使用する場合、層60を適用する前に、対応する領域に洗浄ワニスを印刷し、次に、層60が適用された後に、その上に位置する層60の領域とともに洗浄プロセスで溶解又は除去する。
【0210】
このプロセスは、層をさらに適用して複数回繰り返すことも可能である。さらに、部分的にパターン化された第1のエレメント21のために、さらに別の前述した1つ又は複数の層を、特に層60と見当合わせして適用することも可能である。
【0211】
上記のようなプロセスを実施して第1のエレメント21が製造された後、ネガ型フォトレジストであるフォトレジスト層70が、図11cに示されるように全面に適用される。
【0212】
前述のように、第1のエレメント21は、ここでは、1つ又は複数の第1の部分領域211と、1つ又は複数の第2の部分領域212と、からなる。図11cに表された実施例に示すように、第1のエレメント21の1つ又は複数の層を、ここでは部分領域212に設けるが、部分領域211には設けない。したがって、最も単純なケースでは、第1のエレメント21は、構造化プロセスを実施した後、部分領域212に設けられるが、部分領域211には設けられない金属層60からなる。
【0213】
ここで、フォトレジストは、好ましくは、所定の色、例えば「青色」に一致するカラーフィルタを透過時に提供するために対応して染色されるネガ型フォトレジストである。
【0214】
ネガ型フォトレジストは、このワニスが適切な波長の光、例えば、紫外線によって十分に露光されることによって硬化し、それによって、露光された領域において特定の溶媒、例えば、酸性又は塩基性水溶液に不溶性となることを特徴とする。その結果として、定義した形状とサイズの染色領域が、光のマスクされた露光によって達成され得る。
【0215】
エポキシ樹脂をベースにしたネガ型フォトレジストの主成分は、一般的に1分子あたり1個を超えるエポキシ基を有する低分子有機化合物である。
【0216】
フォトレジスト製造用樹脂成分は、好ましくは、ビスフェノールAをベースとするエポキシ樹脂、エポキシ化フェノールノボラック、レゾルシノールグリシジルエーテル、シクロ脂肪族系樹脂である。
【0217】
いわゆる樹脂/硬化剤系は、架橋剤(硬化剤)と組み合わせて、エポキシ基の重合により高分子ネットワークを製造する。ここでは、オキシラン基の開環反応が異なる様々な硬化剤を用いることができる。好ましくは、酸無水物、アミン類又はフェノール含有化合物が用いられ、又は光活性成分としてトリアリールスルホニウム塩が用いられる。
【0218】
さらに、好ましくは、例えばルイス塩基及び酸などの触媒が用いられる。硬化剤は、三次元網目構造に組み込まれる。塩基性促進剤の場合、触媒はエステル塩橋を介して網目形成を促進する。
【0219】
g-ブチロラクトンは、好ましくは、そのようなエポキシ樹脂系フォトレジストの印刷インクの溶媒として用いられる。
【0220】
さらに、好ましくは、例えば、長鎖エポキシ樹脂などの添加剤が、1つには接着促進剤、反応性希釈剤として作用するために、又は粘度を増減させるために使用される。
【0221】
例えば、ビスフェノールA、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、g-ブチロラクトンをベースにしたSU-8エポキシノボラックフォトレジスト(例えば、マイクロケム社(MicroChem.Corporation)から販売されている)がネガ型フォトレジストとして使用される。このフォトレジストは、オラソル染料(Orasol dye)又はマイクロリスカラー顔料(Microlith color pigments)で染色される。
【0222】
水性ネガ型フォトレジストは、例えば、ルコニル(Luconyl)で染色することができる。
【0223】
フォトレジスト層70は、図11cに示すように、例えば、グラビア印刷によって、全面にわたって第1のエレメント21に適用される。
【0224】
さらに、第1のエレメント21とフォトレジスト層70との間に、別の1つ又は複数のさらなる層を設けることもできる。しかし、そのような層の合計の厚さは、好ましくは15μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。
【0225】
この厚さを超えると、対応する良好な見当精度がもはや達成できず、さらに負の光学的効果も生じることが試験によって示された。
【0226】
これらの中間層は、例えば、特にさらなるプロセス工程で金属層60を保護するための追加のワニス層、フォトレジストの接着を改良するための接着促進層、複製層、全面又は部分的なHRI層、SiOx層、又は染色されていない光パターン化が可能なさらなる層であり得る。
【0227】
図11dに示すように、フォトレジスト層70は、次に、第1のエレメント21を介して、例えば、紫外線照射80によって、適切な波長の光で露光される。ここで、特に、部分的な金属層60は、露光のためのマスクとして機能する。
【0228】
フォトレジストがネガ型フォトレジストであるため、露光後に実施される洗浄プロセスでは、図11eに示すように、フォトレジスト層70の露光部分のみが残る。その特性により、こうして残ったフォトレジスト層70の部分領域は、第2のエレメント22の第1の部分領域221を形成し、これらの第1の部分領域221は、シースルーセキュリティエレメント2の第1の部分領域211と完全に見当を合わせで形成される。次に、任意選択により、接着剤、接着促進層及び/又は保護層が適用される。図11fでは、ここで、接着剤層25が、例えば、グラビア印刷によって、さらなる工程で全面に適用されることが示されている。
【0229】
さらに、フォトレジスト層70を全面に適用するのではなく、領域内に適用することも可能である。これにより、例えば、グラビア印刷によって適用された部分的なフォトレジスト層の場合の公差を吸収し、第1の部分領域211が第1の部分領域221と重なっていない、又は面の一部のみが重なる、さらなる領域を形成することが可能である。
【0230】
まず、図12a及び図12bに示すように、手順は、図11a及び図11bを参照して既に説明したものと同じである。この点に関しては、前述の説明を参照されたい。
【0231】
次に、図12cに示すように、フォトレジスト70は、特にグラビア印刷によって領域のみに印刷され、次に、図12dに示すように露光される。その後、現像し、続いて未露光のフォトレジストを洗い流すことにより、図12eに示すように、第1の部分領域211と第1の部分領域221との間の領域に完全な見当合わせが達成される。
【0232】
さらに、第1の部分領域211と部分的にしか重ならない第1の部分領域221を形成することも可能である。
【0233】
次に、図12fに示すように、任意選択により、さらなる層、特に接着剤層25が適用される。
【0234】
さらに、図12a~図12fによる方法では、異なって染色されたフォトレジスト層を互いに隣り合って印刷することも可能である。
【0235】
ここで、好ましくは、部分的なフォトレジスト層70及び/又は異なって染色されたフォトレジスト層70の層境界が第2の部分領域212に位置するように印刷される。これにより、この層の適用に使用される印刷プロセスの不十分な見当精度が、その後の露光プロセスによって補償されるという利点が達成される。
【0236】
これにより、前述したように、第1の部分領域211に形成された第1の部分領域221を、完全な見当精度で製造することが可能であり、その際、透過カラーフィルタは異なる色に一致する。
【0237】
次に、さらなる製造方法を、図13a~図13hを参照して説明する。
【0238】
この方法では、最初の手順は、既に図12a~12cを参照して説明したものと同じである。これは、図13a~図13cを参照して説明される。
【0239】
図13cに示すように、ここではネガ型に染色されたフォトレジストが、1つ又は複数の第1の部分領域211だけでなく、それらを囲む第2の部分領域212も覆うように適用される。ここで、フォトレジスト層70は、例えば、グラビア印刷によって適用される。この適用により、印刷プロセスの進行方向に対して横方向に±0.1mmの範囲のグラビア印刷プロセスのかなりの公差を吸収することができる。
【0240】
次に、図13dに示されるように、ブロッキング層75が部分的に印刷、例えば、グラビア印刷によってインプリントされる。
【0241】
ブロッキング層75は、染色されると同時に使用される照射によるフォトレジストの露光をブロックする層である。ブロッキング層75は、好ましくは、紫外線ブロッキング層である。ブロッキング層75は、露光に使用される紫外線長さ範囲の少なくとも一部の範囲で入射する紫外線照射をブロックし、それにより、入射強度の最大25%、さらに好ましくは最大15%がブロッキング層75を通過する。
【0242】
紫外線波長域とは、好ましくは、250nm~405nmの範囲を意味する。
【0243】
前述したように、ブロッキング層75は、好ましくは、ネガ型フォトレジスト70と異なる色に染色される。ここで、ブロッキング層75は、好ましくは、透過時に、染色されたフォトレジスト層70の色とは異なる色に一致するカラーフィルタを形成するように染色される。
【0244】
さらに、そのようなブロッキング層を、例えば、キャリア層23、又は1つ又は複数のワニス層24の上に適用される層の層構造に組み込むことも可能である。
【0245】
任意選択の次の工程では、図13eに示すように、別の1つ又は複数のさらなるフォトレジスト層70を上に印刷することができ、これらのフォトレジスト層は、好ましくは、前述のように既に印刷されたフォトレジスト層70とは異なって形成される。ここでも、1つ又は複数のフォトレジスト層70による部分的なコーティングは、好ましくは前述のように、印刷プロセスの見当の変動を対応して「吸収」するために、フォトレジスト層70がブロッキング層及び/又は第1の部分領域212と部分的に重なるように行われる。
【0246】
次に、図13fに表されるように、対応する露光を行う。次に、フォトレジスト層70の未露光領域が洗い流され、その結果、異なる染色領域と第1の部分領域211との完全な見当合わせが達成される。
【0247】
前述のように、さらなる中間層、例えば、バリア層及び/又は接着促進剤層及び/又は安定化層を導入することができる。特に、ここでは、染色されていないネガ型フォトレジスト層を構造化可能なバリア層として使用することができる。これらは、例えば、染料が染色されたネガ型フォトレジストからブロッキング層に意図せず拡散することを防止する。このバリア層は、例えば、金属層16の部分的な溶解を防止することもでき、したがって、洗浄プロセスで使用できる溶媒の選択を広げたり、及び/又は可能な滞留時間を延長したりすることができる。
【0248】
次に、図13hに示すように、別の1つ又は複数のさらなる層、例えば接着剤層25を適用することができる。
【0249】
染色されたフォトレジスト層70と同様に、ブロッキング層75は、デジタル印刷、例えば、インクジェット印刷によって部分的に適用することができる。それにより、個々のシースルーセキュリティエレメントの個々のマーカを生成できる。
【0250】
染色されたフォトレジスト層70を全面に適用し、部分的にのみ露光を実施することもできる。この露光は、例えばマスクを介して、及び/又は制御可能な紫外線発光ダイオードによって行うことができる。
【0251】
さらに、シースルーセキュリティエレメント2を製造するための手順は、図14a~図14eを参照して以下に表すようになり得る。
【0252】
まず、手順は、図11a及び図11bを参照して前述したものと同じである。これについては、図14a及び図14bを参照されたい。この点に関しては、前述の説明を参照されたい。
【0253】
次に、図14cに示すように、フォトレジストの代わりに、フォトクロミック層71を全面に適用する。
【0254】
フォトクロミック層とは、ここでは、適切な波長の照射の露光によってその色を恒久的に変化させるか、又は適切な波長の照射の露光によってその色を恒久的に得る層を意味する。適切な波長とは、特に紫外線である。
【0255】
フォトクロミック層71を全面に適用する代わりに、この層を、図12及び図13を参照して先に説明したのと同様に、領域内のみ印刷することもでき、又は照射によってその色が異なるように変化するか、それに対応して照射中に異なる色を得る異なるフォトクロミック層71を、隣り合って印刷することもできる。
【0256】
次に、好ましくは紫外線照射80によって露光が行われる。これは、図14dに示されている。
【0257】
しかし、露光後、フォトクロミック層の露光された部分は、(フォトレジスト層70に関して先に説明したようには)洗い流されない。むしろ、露光されたフォトクロミック層71は、積層内に完全に残る。ここで、紫外線照射80による照射により、フォトクロミック層71は、可視波長域で透明状態から、可視波長域で染色状態、好ましくは透過時に、これらの領域のフォトクロミック層71が所定の色に一致するカラーフィルタを形成するように染色された状態に変化する。
【0258】
さらに、フォトクロミック層71が既に染色されており、照射された領域のみで色が変化することが可能である。ここで、フォトクロミック層71は、好ましくは、前述したように、露光領域では、透過時に対応するカラーフィルタが形成され、未露光領域では、反射及び/又は透過時、これとは異なるカラーフィルタが形成されるように配合される。
【0259】
露光後、フォトクロミック層21は、対応する第2のエレメント22を形成し、この第2のエレメント22は、第1の部分領域221に、透過時に、割り当てられた色に一致するカラーフィルタを形成し、第2の部分領域222に、無色/透明に形成されるか、又は反射及び/又は透過時に、第1の部分領域221のカラーフィルタと一致する色とは異なる色に一致するカラーフィルタを形成する。
【0260】
次に、図14fに示すように、1つ又は複数のさらなる層、例えば接着剤層25の適用も任意選択により行われる。
【0261】
さらに、シースルーセキュリティエレメントが、追加的に、第2のエレメントの下に設けられた第3のエレメントを有することも可能である。そのようなシースルーセキュリティエレメントを製造するための好ましい製造方法を、図15a~図15iを参照して以下に説明する。
【0262】
最初に、図15a及び図15bに表されているように、手順は、図11a及び図11bを参照して前述したものと同じである。この点に関しては、前述の説明を参照されたい。
【0263】
次に、図15cに示すように、フォトレジスト70が、好ましくは領域のみに、特にグラビア印刷によって印刷される。しかし、フォトレジストの代わりに、染色されたワニスを印刷することもできる。図12cに示すように、フォトレジスト70は、少なくとも領域内で第1のエレメントの少なくとも1つの第1の部分領域と重なる。さらに、フォトレジスト70は、少なくとも領域内で第1のエレメント21の第2の部分領域と重なってもよい。
【0264】
次に、図12dに示すように、任意選択の中間層26と1つ又は複数の層27とを適用する。
【0265】
ここで、任意選択の中間層26は、好ましくは透明ワニス層、特に好ましくは5μm未満の層厚の透明層からなる。任意選択の中間層26は、好ましくは複製層であり、その中で微細構造が熱複製及び/又は紫外線複製によって成形される。
【0266】
次に以下のプロセス工程で第3のエレメントが製造されることによって、1つ又は複数の層27が中間層26に適用される。層27は、好ましくは、図11aによる金属層60のように形成される不透明な金属層である。この点に関しては、前述の説明を参照されたい。
【0267】
金属層60及び層27が異なる金属からなり、好ましくは、異なる固有色を有する異なる金属からなり、例えば、一方がアルミニウム、他方が銅からなるなどの場合にもさらに有利である。
【0268】
次に、図15eに示すように、フォトレジスト層28を層27に適用する。フォトレジスト層28は、ここでは、図11cによるフォトレジスト層70のように形成され得る。この点に関しては、前述の説明を参照されたい。
【0269】
図15fに示すように、次に、フォトレジスト層28は、第1のエレメント21を介して、例えば、紫外線照射80によって、適切な波長で露光される。ここで、第1のエレメント21の部分的な金属層は、露光のためのマスクとして機能する。露光後、露光された領域の層27は除去され、フォトレジスト層28の残りの領域は、図15gに表されるように、好ましくは、エッチング又は洗浄プロセスによって剥離される。ここで、照射されたフォトレジスト層28は、エッチングプロセス及び/又は洗浄プロセスで、エッチングマスク又は洗浄マスクとして使用される。
【0270】
その後、接着剤及び/又は接着促進層及び/又は保護層が適用される。図15hでは、接着剤層25が、さらなる工程で、例えばグラビア印刷によって全面に適用されることが示されている。
【0271】
前述のように、微細構造を、特に熱複製及び/又は紫外線複製によってワニス層24及び中間層26に成形することができる。これは、図15iに対応して示されている。
【0272】
ここで、一方では、同じ微細構造だけでなく、異なる微細構造をワニス層24及び中間層26に成形することができ、これにより、例えば、表面及び裏面から反射光で見たとき、異なる、特に光学的に可変の効果を達成できる。
【符号の説明】
【0273】
1 セキュリティ文書
2 シースルーセキュリティエレメント
2a,2b 第1/第2のシースルーセキュリティエレメント
10 基板
11 ウインドウ
12 セキュリティ特徴部
21 第1のエレメント
22 第2のエレメント
23 キャリア層
24 ワニス層
25 接着剤層
26 中間層
27 層
28 フォトレジスト層
31,32 着色された特徴部
33,34,35 特徴部
36 画像情報
41 第1の領域
42 第2の領域
60 層
70 フォトレジスト層
71 フォトクロミック層
75 ブロッキング層
80 紫外線照射
201 第1の主要面
202 第2の主要面
211,221 第1の部分領域
212,222 第2の部分領域
図1a-1b】
図1c
図1d
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
図5d
図6a
図6b
図7a
図7b
図8
図9
図10
図11a
図11b
図11c
図11d
図11e
図11f
図12a
図12b
図12c
図12d
図12e
図12f
図13a
図13b
図13c
図13d
図13e
図13f
図13g
図13h
図14a
図14b
図14c
図14d
図14e
図14f
図15a
図15b
図15c
図15d
図15e
図15f
図15g
図15h
図15i
図16
図17a
図17b
図17c
図18a
図18b