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特許7553481軌道のレールを切断する切断削正機および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】軌道のレールを切断する切断削正機および方法
(51)【国際特許分類】
   E01B 31/04 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
E01B31/04
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021572266
(86)(22)【出願日】2020-05-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2020062542
(87)【国際公開番号】W WO2020244874
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-05-02
(31)【優先権主張番号】202019103132.8
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507069564
【氏名又は名称】ローベル バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBEL Bahnbaumaschinen GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 31, D-83395 Freilassing, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ディーター ルートヴィヒ カムル
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ヘルツルヴィマー
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-513041(JP,A)
【文献】特開2012-254488(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0120436(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0199958(US,A1)
【文献】実開平04-130809(JP,U)
【文献】実開昭63-067064(JP,U)
【文献】特公昭49-040401(JP,B1)
【文献】特表2017-527059(JP,A)
【文献】特開2016-124061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 27/00-37/00
B24B 23/02
27/06
27/08
B25F 1/00-5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道のレールを切断する切断削正機(1)であって、
基体(2)と、
切断削正ディスク(5)を取り付ける切断削正ディスクホルダ(3)と、
回転軸線(A)を中心として前記切断削正ディスクホルダ(3)を回転駆動する駆動装置(4)と、を備えており、
前記駆動装置(4)は、前記切断削正ディスクホルダ(3)に直接に結合されており、
前記駆動装置(4)は、電気駆動モータ(15)を含んでおり、
前記電気駆動モータ(15)の駆動軸線(A)と前記回転軸線(A)とは整合して位置している、
切断削正機(1)において、
前記駆動装置(4)は、最大で、前記切断削正ディスク(5)を前記切断削正ディスクホルダ(3)に取り付ける少なくとも1つの緊締部材(13)の直径(D)に等しくなっている最大横方向延在長さ(E)を有しており、
前記電気駆動モータ(15)は、0.5kW/kg以上の出力密度PSpezを有していることを特徴とする、切断削正機(1)。
【請求項2】
前記電気駆動モータ(15)の駆動軸(10)は、前記切断削正ディスクホルダ(3)と一体に形成されている、請求項1記載の切断削正機。
【請求項3】
前記電気駆動モータ(15)の駆動軸(10)と、前記切断削正ディスクホルダ(3)とは、2つの部分から形成されている、請求項1記載の切断削正機。
【請求項4】
前記駆動装置(4)は、前記基体(2)の第1の側(G)に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の切断削正機。
【請求項5】
前記駆動装置(4)のケーシング(9)に第1の軸受(11)が支持されており、前記基体(2)に第2の軸受(12)が支持されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の切断削正機。
【請求項6】
前記駆動装置(4)のケーシング(9)に第1の軸受(11)と第2の軸受(12)とが支持されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の切断削正機。
【請求項7】
前記電気駆動モータ(15)は、ブラシレス電動モータとして形成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の切断削正機。
【請求項8】
前記出力密度PSpezには、PSpez≧0.8kW/kgが当てはまる、請求項1から7までのいずれか1項記載の切断削正機。
【請求項9】
前記駆動装置(4)の温度(T)および/または制御ユニット(26)の温度(T)を検出するために、少なくとも1つの温度センサ(32,33)が設けられている、請求項1から8までのいずれか1項記載の切断削正機。
【請求項10】
前記駆動装置(4)を、検出温度(T,T)に応じて制御する制御ユニット(26)が設けられている、請求項1から9までのいずれか1項記載の切断削正機。
【請求項11】
検出温度(T,T)が第1の温度限界値(TG1)を超えた場合には、前記電気駆動モータ(15)の供給可能な出力(P)が低下され、かつ/または、検出温度(T,T)が第2の温度限界値(TG2)を超えた場合には、前記電気駆動モータ(15)が遮断されるように形成された制御ユニット(26)が設けられている、請求項1から10までのいずれか1項記載の切断削正機。
【請求項12】
前記電気駆動モータ(15)および/または制御ユニット(26)を冷却する冷却手段(34)が設けられている、請求項1から11までのいずれか1項記載の切断削正機。
【請求項13】
請求項1から12までの少なくとも1項記載の切断削正機(1)を準備するステップと、
前記切断削正機(1)により回転駆動される切断削正ディスク(5)を用いてレールを切断するステップと、
を有する、軌道のレールを切断する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、独国実用新案出願第202019103132.8号明細書の優先権を主張するものであり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、軌道のレールを切断する切断削正機および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
軌道のレールを切断する、直接駆動装置を備えた切断削正機は、従来技術から周知である。このような切断削正機は、切断削正ディスクの軸に作用結合された液圧駆動装置を有している。周知の切断削正機の製造ならびにメンテナンスには手間がかかる。
【0004】
欧州特許出願公開第3216567号明細書から公知の切断機の切断ディスクは、電気駆動モータによって回転駆動される。電気駆動モータは、駆動軸でもって直接に切断ディスクホルダに結合されている。切断ディスクまたは切断ディスクホルダの回転軸線は、駆動モータの駆動軸線に対して同軸にまたは駆動軸線に対して平行にずらされて延びている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、軌道のレールの切断を確実に、効率良く、ユーザフレンドリーにかつローメンテナンスで可能にする、簡単な切断削正機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1記載の特徴を有する切断削正機によって解決される。本発明による切断削正機において、駆動装置には電気駆動モータが含まれる。電気駆動モータは、駆動軸と駆動軸線とを有しており、この場合、駆動軸は切断削正ディスクホルダに直接に結合されている。駆動軸線と、切断削正ディスクホルダの回転軸線とが整合して位置していることにより、駆動軸と切断削正ディスクホルダとの間での簡単な力伝達が達成される。整合または合致しているとは、回転軸線と駆動軸線とが同軸または同一であることを意味する。特に、電気駆動モータはブラシレス電動モータである。
【0007】
電気駆動モータの使用により、-液圧駆動装置に比べて-例えば液圧導管、ノズルまたは弁等の追加的な部材を切断削正機に取り付ける必要がなくなる。これらの追加的な部材を省くことにより、例えば温度変化に基づく粘度の変化による漏れ損失およびギャップ損失の問題も同時に解消される。
【0008】
追加的な部材の削減はさらに、切断削正機がより小さなエネルギ損失、ひいてはより高い効率を有している、という利点を有している。特に、この切断削正機における効率は90%超近く、特に95%超近く、有利には99%超近くである。つまり、切断削正機は電気駆動モータに基づき、エネルギ消費量もより少ない。同時に切断削正機は、追加的な部材を省くことで、構成部材がより少ない、特に摩耗構成部材がより少なく、これにより、メンテナンスの手間とメンテナンスコストとを大幅に下げられると共に、個別のメンテナンスインターバルの時間を増やすことができる。同時に、この切断削正機は、総重量がより小さい。
【0009】
追加的に、電気駆動モータの使用により、圧力・運動振動が頻発することで切換ショックや不均一な運動が生じるという、周知の切断削正機の問題が解消される。これにより、切断削正ディスクの傾斜が回避されると同時に、レールが確実に効率良く切断されることが保証される。
【0010】
駆動軸線は、回転軸線に対して同軸に延びている。駆動装置の最大横方向延在長さが、最大で、切断削正ディスクを切断削正ディスクホルダに取り付ける少なくとも1つの緊締部材の直径に等しくなっていることにより、駆動装置または駆動装置のケーシングが切断削正ディスクの切断削正領域内に侵入し、切断削正領域を縮小することが回避される。これにより、レールの切断に際して直径が摩耗によって徐々に縮小する切断削正ディスクを最適に利用することが保証される。換言すると、これにより、切断深さの制限が考慮されなくなる。駆動装置の最大横方向延在長さは、特に電気駆動モータの高い出力密度PSpezに基づき短縮される。
【0011】
好適には、切断削正機は、最大呼び径Dを備えた切断削正ディスクを適用するように形成されている。最大横方向延在長さEには特に、E≦0.6×D、特にE≦0.5×D、特にE≦0.4×Dが当てはまる。好適には、E≧0.2Dが当てはまる。最大横方向延在長さは、特に駆動軸線もしくは回転軸線に対して垂直に、かつ/または切断削正ディスクの切断削正領域の対称平面の方向に規定されている。
【0012】
好適には、駆動装置には、電気駆動モータと、内部に電気駆動モータが配置、特に支持されたケーシングとが含まれる。電気駆動モータは、ステータとロータとを有している。駆動軸は、ロータに結合されているまたはロータの一部である。好適には、ステータは、内部にロータが配置された内部空間を画定している。つまり、ロータは、インナロータを形成している。ロータは、好適には永久磁石を有している。永久磁石は、特に駆動軸に取り付けられている。ステータは、好適には電磁石を有している。
【0013】
電気駆動モータは、高い出力密度または高い比出力PSpezを有している。この場合、出力密度とは、電気駆動モータの定格出力P:電気駆動モータの質量Mの比を意味する。電気駆動モータの出力密度には、PSpez≧0.5kW/kg、有利にはPSpez≧0.8kW/kg、有利にはPSpez≧1.0kW/kgが当てはまる。好適には、電気駆動モータは所定の定格出力Pを有しており、この場合、P≧2kW、特にP≧3kW、特にP≧5kWが当てはまる。定格出力Pには、好適にはP≦10kW、特にP≦8kW、特にP≦6kW、特にP≦4kWが当てはまる。比較的小さな重量に基づき、切断削正機はユーザフレンドリーであると共にガイドしやすくなっている。駆動装置または電気駆動モータはそのコンパクトさに基づき、切断深さが損なわれないことが保証される。
【0014】
駆動装置の直接結合により、伝達部材の利用を概ね省き、伝達部材の数を最小限に削減することができる。したがって、例えば伝動装置またはベルト等の調整可能なまたはエンドレスの伝達部材は最早不要である。なぜなら、トルクは駆動装置から駆動軸を介して切断削正ディスクホルダに直接に伝達されるからである。
【0015】
駆動装置と切断削正ディスクホルダとの直接結合に基づき、駆動装置が、切断削正ディスクまたは切断削正ディスクホルダの回転軸線の領域に配置されていることが必要となる。このことは、切断削正機が最適な重量配分を有しているという利点を有している。なぜなら、切断削正機の重心が回転軸線の方に移動するからである。これにより、軌道のレールの切断が確実に効率良く、同時にユーザフレンドリーに可能になる。
【0016】
「直接結合」という用語は特に、伝達部材を可能な限り十分に回避することまたは伝達部材を最小限に削減することを意味する。さらに、この用語は、特に切断削正ディスクホルダと駆動軸との間接的または直接的な係合、特に間接的または直接的な接触を意味する。
【0017】
「直接結合」という用語は特に、ベルトまたはチェーンの形態のエンドレスの伝達部材の使用ならびに伝動装置、特に様々な伝達比の調整を可能にする調整可能な伝動装置の使用を排除するものである。
【0018】
有利には、駆動軸と切断削正ディスクホルダとの間に伝達比nが形成されており、この場合特に、n=1が当てはまる。n=1の伝達比は、電気駆動モータが切断削正ディスクの回転数を有するように設計されていることを意味する。伝達比nは固定である、つまり不変または調整不能である。
【0019】
切断削正ディスクは、少なくとも1つの緊締部材を介して切断削正ディスクホルダに作用結合されており、これにより、切断削正ディスクホルダの回転が切断削正ディスクの回転を生じさせる。少なくとも1つの緊締部材が、切断削正ディスクを切断削正ディスクホルダに固定するために用いられる。特に、少なくとも1つの緊締部材が切断削正ディスクホルダに直接に固定されており、少なくとも1つの緊締部材に切断削正ディスクが固定または緊締されていることが可能である。つまり、切断削正ディスクは少なくとも1つの緊締部材を介して間接的に切断削正ディスクホルダに作用結合されている。ただし、少なくとも1つの緊締部材は同様に、切断削正ディスクが少なくとも1つの緊締部材によって直接、切断削正ディスクホルダに固定可能であるように形成されていてもよい。有利には、少なくとも1つの緊締部材は、緊締部材保持体を介して切断削正ディスクホルダに取り付けられる。
【0020】
1つの有利な構成は、第1の緊締部材と第2の緊締部材とを有しており、第1の緊締部材と第2の緊締部材との間に切断削正ディスクを挟んで固定することができる。第1および第2の緊締部材は、例えば回転軸線を起点としてそれぞれの外縁の方向に、それぞれ切断削正ディスクに向かって延びておりかつ弾発するように形成された変形部を有している。これにより、少なくとも1つの緊締部材を用いて異なる厚さの切断削正ディスクを振動減衰式に固定することが可能になる。
【0021】
少なくとも1つの緊締部材に対して追加的に、切断削正ディスクホルダと少なくとも1つの緊締部材との間に、かつ/または、少なくとも1つの緊締部材と切断削正ディスクとの間に配置された別の部材を設けることが可能である。
【0022】
基体は、基体を通りかつ回転軸線に対して垂直に延びる基体平面Gを規定している。基体平面Gは、互いに反対の側に位置する、基体の第1の側と第2の側とを規定している。
【0023】
有利には、切断削正機は、駆動装置を制御する制御ユニットを有しており、この場合、制御ユニットを介して、特に駆動装置の2つの異なる回転方向を設定することができる。
【0024】
切断削正機は、レールの手動ガイド式の切断に用いられる。
【0025】
請求項2記載の切断削正機は、確実で効率の良い、ローメンテナンスのレール切断を可能にする。一体に形成されているとは、切断削正ディスクホルダと駆動軸とがまとめられていて、互いに分離不能に結合されていることを意味する。したがって、駆動軸と切断削正ディスクホルダとは、1つの共通の軸を形成している。よって、駆動装置のトルクは、1つの軸のみを介して少なくとも1つの緊締部材に、ひいては切断削正ディスクに伝達される。このことは、より少ない構成部材、特により少ない摩耗構成部材が切断削正機に取り付けられているという利点を有している。
【0026】
請求項3記載の切断削正機は、効率の良いローメンテナンスのレール切断を可能にする。2つの部分から成る構成は、切断削正ディスクホルダと駆動軸とが個別に交換可能であるという利点を有している。2つの部分から形成されているとは、駆動軸と切断削正ディスクホルダとが独立した部材であることを意味する。駆動軸と切断削正ディスクホルダとは、係合領域において間接的にまたは直接に作用結合している。特に、駆動軸と切断削正ディスクホルダとは係合領域に歯列を有していてよく、歯列を介して駆動軸と切断削正ディスクホルダとは直接に接触し合う。駆動軸と切断削正ディスクホルダとは、互いに相対回動不能に結合されている。
【0027】
駆動軸と切断削正ディスクホルダとは、好適には係合領域において互いに相対回動不能にまたは形状結合式に、相対回動不能の受容部を介して作用結合している。有利には、駆動軸と切断削正ディスクホルダとの間の直接的な作用結合部は、形状結合式に形成されていてよい。特に、駆動軸が係合領域において内部歯列を備えた中空軸として形成されていてよい一方で、切断削正ディスクホルダは、中空軸として形成された駆動軸の内部歯列に直接に係合する外部歯列を有している。同様に、切断削正ディスクホルダが係合領域において中空軸として形成されておりかつ内部歯列を有しており、この場合、駆動軸は、中空軸として形成された切断削正ディスクホルダの内部歯列に係合する外部歯列を有していることも可能である。代替的に、駆動軸と切断削正ディスクホルダとの間の作用結合部は、結合構成部材、例えば嵌合キーを介して形成されていてよい。
【0028】
請求項4記載の切断削正機は、特に確実で効率の良いレール切断を可能にする。有利には、駆動装置はケーシングを有しており、ケーシングでもって駆動装置を、固定手段により基体の固定領域に固定することができる。有利には、ケーシングと固定領域との間に緩衝部材が配置されており、これにより、駆動装置から基体への振動伝達が低減される。固定領域は、特に切断削正ディスクが配置されたまたは取付け可能な基体の第2の側とは反対の側に位置する、基体の第1の側に配置されている。固定領域は、特に基体の最大幅Bとは異なり、より小さな幅bを有している。これにより、駆動装置は基体のより近くに配置されていることになり、よって切断削正機の重心が、第1の側の方向に移動しないようになっている。特に、固定領域の幅bには、b≦0.3×B、特にb≦0.2×B、有利にはb≦0.1×Bおよび/またはb≧0.05×Bが当てはまる。好適には、基体平面Gは、基体を通り回転軸線に対して垂直に延びている。基体平面Gは、特に固定領域を通って延びている。基体平面Gは、基体の第1の側と第2の側とを規定している。駆動装置が、好適には第1の側に配置されているのに対し、切断削正ディスクは、第2の側において切断削正ディスクホルダに取付け可能である。
【0029】
請求項5記載の切断削正機は、効率の良い、ユーザフレンドリーなレール切断を可能にする。第2の軸受がケーシングの外側で基体に、特に固定領域に配置されていることにより、駆動装置は基体のより近くに配置されていることになり、これにより、切断削正機の重心が、第1の側の方向に移動しないようになっている。
【0030】
請求項6記載の切断削正機は、特に効率の良い、ローメンテナンスのレール切断を可能にする。第1の軸受と第2の軸受とが駆動装置のケーシング内に配置されていることにより、駆動装置の交換を迅速かつ簡単に実行できることが保証される。さらに、レールの切断時に生じる力が、駆動装置のケーシングを介して基体に伝達される。
【0031】
請求項7記載の切断削正機は、特に確実で効率の良いレール切断を可能にする。ブラシレス電動モータは、ローメンテナンスである。ブラシレス電動モータにより、駆動装置が小さな横方向延在長さE、ひいては大幅に高い出力密度または比出力PSpezを有していることが保証される。特に、ブラシレス電動モータの出力密度PSpezには、PSpez≧0.5kW/kg、特にPSpez≧0.8kW/kg、特にPSpez≧1.0kW/kgが当てはまる。ブラシレス電動モータは、特にBLDCモータである。
【0032】
請求項8記載の切断削正機は、特に確実で効率の良いレール切断を可能にする。出力密度PSpezが高いほど、電気駆動モータはより小型かつ/または軽量になる。
【0033】
請求項9記載の切断削正機は、確実で効率の良いレール切断を保証する。運転中の駆動装置および/または制御ユニットの温度を検出するために、少なくとも1つの温度センサが用いられる。少なくとも1つの検出温度が、レール切断中の切断削正機、特に駆動装置もしくは電気駆動モータおよび/または制御ユニットの過熱を回避するために用いられる。好適には、温度センサは特にケーシング内で駆動装置に配置されている。温度センサは、特に電気駆動モータに配置されている。追加的にまたは代替的に、温度センサは制御ユニットに配置されている。各温度センサは、特に警告部材および/または制御ユニットに信号接続されている。各温度センサによって駆動装置および/または制御ユニットの危機的な温度が確認された場合には、少なくとも1つの対策を講じることができる。可能な対策は、例えば警告部材を作動制御してオペレータに警告すること、および/または、電気駆動モータの消費可能なもしくは供給可能な出力を低下させること、および/または、電気駆動モータを遮断することである。
【0034】
請求項10記載の切断削正機は、確実で効率の良いレール切断を保証する。制御ユニットが駆動装置または電気駆動モータを検出温度に応じて制御することにより、簡単な温度監視を達成することができる。温度センサにより、危機的な温度または温度限界値を超える温度が検出された場合には、制御ユニットを介して少なくとも1つの対策を講じることができる。可能な対策は、例えば警告部材を作動制御すること、電気駆動モータの消費可能なもしくは供給可能な出力を低下させること、および/または、電気駆動モータを遮断することである。少なくとも1つの対策は、一時的に働く。
【0035】
請求項11記載の切断削正機は、確実で効率の良いレール切断を保証する。検出温度が第1の温度限界値TG1を超えた場合には、電気駆動モータの供給可能なまたは消費可能な出力を低下させることにより、温度がさらに上昇しないようにする。電気駆動モータから生じる熱が減らされるため、電気駆動モータおよび/または制御ユニットを冷却することができる。供給可能な出力の低下は、好適には暫定的または一時的に行われる。このことは特に、予め規定された継続時間に応じてかつ/または予め規定された温度限界値を下回ることに応じて行われる。下回るべき温度限界値は、第1の温度限界値TG1以下であってよい。好適には、第1の温度限界値TG1には、80℃≦TG1≦120℃、特に90℃≦TG1≦110℃が当てはまる。最大限に低下された供給可能なまたは消費可能な出力Pには特に、0.5×P≦P≦P、特に0.6×P≦P≦0.9×P、特に0.7×P≦P≦0.8×Pが当てはまる。
【0036】
第2の温度限界値TG2を超えた場合には、電気駆動モータの遮断が行われる。この遮断は特に、切断削正機の供給可能な出力の低下が上手く行かなかった場合に行われる。好適には、第2の温度限界値TG2は、第1の温度限界値TG1よりも高い。好適には、第2の温度限界値TG2には、110℃≦TG2≦140℃、特に120℃≦TG2≦130℃が当てはまる。電気駆動モータの遮断は、特に暫定的または一時的に行われる。一時的な遮断は、例えば予め規定された継続時間に応じてかつ/または予め規定された温度限界値を下回ることに応じて行われる。下回るべき温度限界値は、第2の温度限界値TG2以下であってよい。好適には、下回るべき温度限界値は、第1の温度限界値TG1よりも低い。
【0037】
制御ユニットは、好適には、レール切断時に電気駆動モータが少なくとも一時的に、P≦P≦4×P、特に1.5×P≦P≦3.5×P、特に2×P≦P≦3×Pが当てはまる出力Pで運転されるように形成されている。Pは、電気駆動モータの定格出力を表している。
【0038】
請求項12記載の切断削正機は、確実で効率の良いレール切断を保証する。冷却手段は、特に冷却流体の移動を生じさせる能動的な冷却手段として形成されている。好適には、冷却手段は、少なくとも1つの駆動可能なまたは駆動される冷却部材を有している。少なくとも1つの冷却部材は、特に冷却流体の移動を生じさせるために用いられる。好適には、少なくとも1つの冷却部材には、ファンホイールが含まれる。ファンホイールは、特に駆動装置もしくは電気駆動モータおよび/または制御ユニットを冷却する空気流を生じさせる。少なくとも1つの冷却部材は、電気駆動モータにより駆動可能であってよく、かつ/または専用の駆動モータにより駆動可能であってよい。好適には、少なくとも1つの冷却部材は、電気駆動モータの駆動軸線のところおよび/または切断削正ディスクホルダに取り付けられている。好適には、少なくとも1つの冷却部材は、電気駆動モータの、切断削正ディスクに面した側および/または電気駆動モータの、切断削正ディスクとは反対の側において、駆動軸線または回転軸線に対して同心的に配置されている。好適には、切断削正機は、ファンホイールと付属の駆動モータとを備えたファン、特にアキシャルファンを有している。ファンは、例えば制御ユニットを冷却するためにかつ/または駆動装置を冷却するために基体に配置されておりかつ/または制御ユニットに配置されておりかつ/または駆動装置に配置されている。
【0039】
本発明の根底を成す課題はさらに、軌道のレールを切断する、簡単、確実、ユーザフレンドリーで効率の良い方法を提供することにある。
【0040】
この課題は、請求項13記載の特徴を有する方法によって解決される。本発明による方法の利点は、既述した本発明による切断削正機の利点に相当する。本発明による方法は、特に本発明による切断削正機に関連して説明した少なくとも1つの特徴によって改良することができる。電気駆動モータは、レール切断時に好適には少なくとも一時的に、P≦P≦4×P、特に1.5×P≦P≦3.5×P、特に2×P≦P≦3×Pが当てはまる出力Pで運転され、この場合、Pは電気駆動モータの定格出力を表す。
【0041】
本発明の別の特徴、利点および詳細は、以下の複数の実施例の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】第1の実施例による切断削正機を示す斜視図である。
図2図1に示した切断削正機の平面図である。
図3図1に示した切断削正機の側面図である。
図4図1に示した切断削正機の背面図である。
図5図2に示した切断線V-Vに沿って切断削正機を断面した図である。
図6】第2の実施例による切断削正機を示す断面図である。
図7】第3の実施例による切断削正機を示す側面図である。
図8図7に示した切断線VIII-VIIIに沿って切断削正機を断面した図である。
図9図7に示した切断線IX-IXに沿って切断削正機を断面した図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1図5には、第1の実施例による切断削正機1が示されている。切断削正機1は、軌道のレールの切断に用いられる。見やすさの理由から、軌道は図示されていない。
【0044】
図1図4に示す切断削正機1は、基体2と、駆動軸線Aを有する駆動装置4と、切断削正ディスク5とを有している。駆動装置4は、回転軸線Aを中心として切断削正ディスク5を駆動するために用いられる。図示の実施例では、回転軸線Aと駆動軸線Aとは整合している。つまり、回転軸線Aは、駆動軸線Aと同一である。
【0045】
基体2は、切断削正機1を保持しかつ手動でガイドするための旋回可能なハンドル8を有している。基体2は、基体2を通り回転軸線Aに対して垂直に延びる基体平面Gを規定している。駆動装置4と切断削正ディスク5とは、基体平面Gのそれぞれ異なる側に配置されている。駆動装置4が基体2の第1の側Gに配置されているのに対し、切断削正ディスク5は基体2の第2の側Gに配置されている。第1の側Gは、第2の側Gとは反対の側に位置している。
【0046】
駆動装置4はケーシング9を有しており、ケーシング9でもって駆動装置4は基体2の固定領域16に、固定手段17を介して固定されている。固定手段17は、特に図5から看取される。固定領域16は、基体2の最大幅Bとは異なり、大幅に小さな幅bを有している。幅bには:b≦0.1×Bが当てはまる。固定領域16がこのようにより小さな幅bを有していることによって、駆動装置4は基体2のより近くに配置されることになり、これにより、切断削正機1の重心が、第1の側Gの方向に移動しないようになっている。
【0047】
火花の飛散を制御しかつオペレータを保護するために、基体2には、切断削正ディスク7を部分的に包囲して係合する火花保護部7が配置されている。
【0048】
図5から、図2に示した切断線V-Vに沿って切断削正機1を断面した図が看取される。図示の実施例では、切断削正ディスク5が第1の緊締部材13aと第2の緊締部材13bとを介して切断削正ディスクホルダ3に配置されている。緊締部材13aと13bとは、それぞれ同じ直径Dを有している。この場合、切断削正ディスク5は、2つの緊締部材13aと13bとの間で切断削正ディスクホルダ3に配置され、これに取り付けられている。
【0049】
火花保護部7ならびに緊締部材13aおよび13bにより、火花保護部7または第1の緊締部材13aまたは第2の緊締部材13bによって包囲されて係合されてはいない切断削正ディスク5の領域に形成された切断削正領域6が規定される。切断削正領域6は、切断過程中に切断削正ディスク5がレールに接触するかまたは接触可能な領域である。切断削正領域6は、対称平面Sを形成している。
【0050】
第2の緊締部材13bは、貫通開口を有しており、これにより、第2の緊締部材13bを切断削正ディスクホルダ3に被せ嵌め、ひいては切断削正ディスクホルダ3のストッパ20に当接させることができる。
【0051】
第1の緊締部材13aを取り付けるために、ひいては第1の緊締部材13aと第2の緊締部材13bとの間に切断削正ディスク5を取り付けるために、切断削正ディスクホルダ3は、雌ねじ山を備えた軸線方向の孔19を有しており、孔19内には、雄ねじ山を備えたねじの形態の緊締部材保持体18を挿入することができる。このために、第1の緊締部材13aは、緊締部材保持体18のねじ山部分を貫通案内することができる貫通開口を有している。第1の緊締部材13aは、緊締部材保持体18の螺入後に、緊締部材保持体18によって切断削正ディスクホルダ3の一方の端部21に取り付けられる。
【0052】
緊締部材13aおよび13bは、切断削正ディスク5を固く挟んで固定するように形成されており、これにより、切断削正ディスクホルダ3の回転時に、2つの緊締部材を介して切断削正ディスク5の回転が行われる。図示の実施例では、緊締部材13aおよび13bは、それぞれ回転軸線Aを起点としてその外縁22aまたは22bの方向に、緊締部材13aおよび13bが切断削正ディスク5に向かって変形しかつ弾発するように形成されている。この変形に基づき、異なる幅を有する多数の様々な切断削正ディスクを、緊締部材13aおよび13bによって固定することができる。なぜなら、緊締部材13aおよび13bは、取り付けようとする切断削正ディスク5の幅に応じて変形し、それでもなお相応する緊締作用を有しているからである。
【0053】
駆動装置4のケーシング9内には、駆動軸10を有する電気駆動モータ15が配置されている。電気駆動モータ15は、図示の実施例ではブラシレス電動モータとして形成されている。電気駆動モータ15は、駆動軸10と、駆動軸10に配置された永久磁石とを有するロータを有している。電気駆動モータ15はさらに、複数の電磁石を有するステータを有している。永久磁石および電磁石は、詳細に図示されてはいない。電気駆動モータ15は、0.5kW/kg以上の出力密度PSpezを有している。駆動軸10は、駆動軸線Aを規定している。駆動装置4は、ねじの形態の固定手段17を介して基体2の固定領域16に固定されている。
【0054】
駆動装置4は、図示の実施例では緊締部材13aおよび13bの直径Dに等しい最大横方向延在長さEを有している。最大横方向延在長さEは、対称平面S内で駆動軸線Aに対して垂直に規定されている。駆動装置4の最大横方向延在長さEが、最大で緊締部材13aおよび13bの直径Dに等しくなっていることにより、駆動装置4が切断削正領域6内に侵入し、ひいては切断削正領域6が縮小されることはないことが保証されている。切断削正機1は、最大呼び径Dを有する切断削正ディスク5を適用するために用いられる。最大呼び径Dは、特に火花保護部7によって規定され、特にE≦0.5×Dが当てはまる。
【0055】
図示の実施例では、駆動軸10は第1の軸受11を介して駆動装置4のケーシング9に支持されているのに対し、切断削正ディスクホルダ3は第2の軸受12を介して基体2の固定領域16に支持されている。切断削正機1は、駆動装置4を制御する制御ユニット26を有している。
【0056】
駆動装置4の駆動軸10は、図示の実施例では係合領域23に中空軸として形成されており、切断削正ディスクホルダ3を受容する受容開口を有している。嵌合キー14を介して、駆動軸10は切断削正ディスクホルダ3に形状結合式に結合されており、これにより、駆動装置4は駆動軸10を介して切断削正ディスクホルダ3に直接に結合されている。よって、駆動軸10が回転すると、切断削正ディスクホルダ3の回転が行われる。切断削正ディスクホルダ3は、回転軸線Aを規定している。
【0057】
切断削正機1の機能形式は以下の通りである。
【0058】
最初に、切断削正ディスク5が緊締部材13aと13bとを介して切断削正ディスクホルダ3に取り付けられる。このために、第2の緊締部材13bは切断削正ディスクホルダ3に被せ嵌められ、ストッパ20に当接させられる。次いで、切断削正ディスク5が切断削正ディスクホルダ3に被せ嵌められる。次いで、第1の緊締部材13aが緊締部材保持体18によって切断削正ディスクホルダ3に固定され、これにより、切断削正ディスク5は2つの緊締部材13aと13bとの間に固く挟み込まれる。これにより、切断削正ディスク5は切断削正ディスクホルダ3に作用結合されていることになる。駆動装置4の制御に用いられる制御ユニット26を介して、駆動軸10を回転させる。駆動軸10が嵌合キー14を介して切断削正ディスクホルダ3に直接に結合されていることにより、駆動軸10の回転動作は切断削正ディスクホルダ3に直接に伝達される。切断削正ディスク5が緊締部材13aおよび13bを介して切断削正ディスクホルダ3に作用結合した後に、切断削正ディスクホルダ3の回転動作が切断削正ディスク5に伝達される。切断過程中、切断削正ディスク5は徐々に摩耗し、これにより、切断削正ディスク5の直径は減少することになる。駆動装置4の最大横方向延在長さEが、最大で緊締部材13aおよび13bの直径Dに等しくなっていることにより、利用可能な切断削正領域6が、緊締部材13aおよび13bにまで達している。
【0059】
電気駆動モータ15は、制御ユニット26を介して異なる回転方向に回転駆動可能である。回転方向は、手動でかつ/または自動的に設定可能である。回転方向は、例えば少なくとも1つの操作スイッチを用いて、好適にはそれぞれの操作スイッチを用いて、かつ/または例えばセンサにより切断削正機1の保持位置に応じて自動的に設定される。
【0060】
図6に基づき、切断削正機1の第2の実施例を説明する。第2の実施例では、切断削正ディスクホルダ3は駆動軸10と一体に形成されている。つまり、切断削正ディスクホルダ3と駆動軸10とは、1つの共通の軸24を形成している。したがって、駆動装置4のトルクは、共通の軸24を介して第1および第2の緊締部材13aまたは13bに、ひいては切断削正ディスク5に伝達される。第1の軸受11および第2の軸受12は、ケーシング9に支持されている。別の構成および別の機能形式については先行実施例を参照されたい。
【0061】
次に、図7図9に基づき本発明の第3の実施例を説明する。基体2は、極コンパクトに形成されている。基体2には、複数の第1のハンドル8が不動に配置されている。追加的に、基体2には複数の第2のハンドル8’が配置されている。第2のハンドル8’は筒状に形成されており、互いに間隔をあけて平行に延びている。第2のハンドル8’は、基体2の、第1のハンドル8に関して駆動装置4とは反対の側において駆動軸線Aに対して実質的に垂直に延びている。これらのハンドル8’は、スペーサ27を介して互いに結合されかつ安定させられている。
【0062】
電気駆動モータ15は、ケーシング9内に配置されている。ケーシング9は、2つの部分から形成されている。ケーシング9は、ポット形の第1のケーシング構成部分28と、蓋形の第2のケーシング構成部分29とを有している。第1のケーシング構成部分28内には第1の軸受11が支持されているのに対し、第2のケーシング構成部分29内には第2の軸受12が支持されている。第2のケーシング構成部分29は、固定領域16に固定されており、第1のケーシング構成部分28に解離可能に結合されている。駆動軸10は、切断削正ディスクホルダ3に一体に結合されている。駆動軸線Aと回転軸線Aとは、互いに同軸に配置されている。
【0063】
駆動モータ15は、ブラシレス電動モータとして形成されている。駆動モータ15は、ケーシング9に対して相対回動不能に配置されたステータを有している。ステータ30は、一般に電磁石(詳しくは図示せず)を有している。ステータ30は、ロータ31が配置された内部空間を包囲して画定している。ロータ31は、一般に永久磁石31’と駆動軸10とを有している。永久磁石31’は、駆動軸10に固定、例えば接着されている。ロータ31は、ステータ30により駆動軸線Aを中心として回転駆動可能である。
【0064】
切断削正機1は、ケーシング9の内側において電気駆動モータ15に配置された第1の温度センサ32を有している。第1の温度センサ32は、制御ユニット26に信号接続されており、制御ユニット26に、電気駆動モータ15の第1の温度Tの測定値を伝える。切断削正機1はさらに、第2の温度センサ33を有している。第2の温度センサ33は、制御ユニット26に配置されており、制御ユニット26と共に基体2に組み込まれている。第2の温度センサ33は、制御ユニット26に信号接続されており、制御ユニット26に、制御ユニット26の第2の温度Tの測定値を伝える。
【0065】
制御ユニット26では、例えば100℃の第1の温度限界値TG1と、例えば120℃の第2の温度限界値TG2とが予め規定されている。制御ユニット26は、第1の温度Tおよび第2の温度Tの測定値を、温度限界値TG1およびTG2と繰り返し比較する。温度Tおよび/またはTのうちの一方が第1の温度限界値TG1を超えると、切断削正機1の消費可能なまたは供給可能な出力Pが低下する。切断削正機1は、2kW≦P≦3kW、例えばP=2.5kWの定格出力を有している。温度Tおよび/またはTが第1の温度限界値TG1を超えると、制御ユニット26により、供給可能な出力Pを例えばP=0.7×Pに低下させる。この出力低下は、予め規定された継続時間だけ行われる。温度Tおよび/またはTのうちの一方が第2の温度限界値TG2を超えると、制御ユニット26によって切断削正機1が遮断される。この遮断は、予め規定された継続時間だけ行われる。これにより、温度監視が実現され、駆動装置4および/または制御ユニット26の過熱が回避される。
【0066】
切断削正機1は、駆動装置4および/または制御ユニット26を冷却するための能動的な冷却手段34を有している。能動的な冷却手段34は、冷却媒体Lの移動を生じさせる。冷却媒体Lは、本実施例では空気である。冷却手段34は、流入通路35と、ファンホイール36と、流出通路37とを有している。ファンホイール36は、電気駆動モータ15と第2の緊締部材13bとの間で共通の軸24に取り付けられており、電気駆動モータ15によって回転駆動可能である。ファンホイール36は、例えば第2の緊締部材13bと一体に形成されている。流入通路35は、横断面においてL字形に形成されている。流入通路35は、まず基体2とケーシング9との間で駆動軸線A1の向きに延びている。固定領域16において、流入通路35はその向きを変え、固定領域16ではケーシング9と第2の緊締部材13bとの間に延びている。流入通路35は、ファンホイール36まで延びている。吸い込まれた空気Lは、ファンホイール36においてその流れ方向を変え、ファンホイール36を駆動軸線Aの向きに通過する。次いで、流出通路37が始まる。流出通路37は、ファンホイール36から基体2と火花保護部7との間に延びている。流出する空気Lは、駆動軸線Aに対して実質的に垂直に流れる。
【0067】
電気駆動モータ15は、制御ユニット26を介して第1の回転方向dまたは第2の逆の回転方向dに回転駆動可能である。各回転方向d,dを設定するために、切断削正機1は、第1の制御スイッチSと第2の制御スイッチSとを有している。第1の制御スイッチSを作動させると、電気駆動モータ15は第1の回転方向dに回転駆動される。これに対して第2の制御スイッチSを作動させると、電気駆動モータ15は第2の回転方向dに回転駆動される。
【0068】
レールの切断に際して、切断削正機1は、定格出力Pよりも高い出力Pで運転される。レールの切断は約1分~2分間続き、これが続いている間に切断削正機1の過熱が生じることはない。軸24の回転中、特にレールの切断中、電気駆動モータ15と制御ユニット26とは冷却手段34によって冷却される。別のレールの切断前に切断削正機1が十分に冷却されていると、別のレールを、説明した方式で切断削正機1によって、切断削正機1が過熱すること無しに切断することができる。
【0069】
切断過程が繰り返されることに基づき切断削正機1が強力に過熱されると、温度監視手段により、切断削正機1の確実な運転が保証される。温度Tおよび/またはTのうちの一方が第1の温度限界値TG1を超えると、まず出力Pを出力Pに低下させ、切断削正機1は、低下した出力Pでもって運転される。これにより、切断削正機1のさらなる過熱および引き続く過熱が回避される。それにもかかわらず温度Tおよび/またはTのうちの一方が第2の温度限界値TG2を超えると、切断削正機1が一時的に遮断される。別の構成および別の機能形式については先行実施例を参照されたい。
【0070】
全体的に当てはまるのは:
切断削正機1は、エネルギ供給接続部を介して外部エネルギ供給ユニットに接続されていてよく、かつ/または、固有のエネルギ供給ユニットを有していてよい、という点である。エネルギ供給ユニットとして、例えばアキュムレータまたはアキュムレータユニットが用いられてよい。エネルギ供給ユニットは、例えば基体2に取り付けられていてよく、かつ/または基体2に組み込まれていてよい。好適には、エネルギ供給ユニットは再充電可能かつ/または交換可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9