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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】車輌用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/241 20180101AFI20240910BHJP
   F21S 43/239 20180101ALI20240910BHJP
   F21S 43/237 20180101ALI20240910BHJP
   F21S 43/27 20180101ALI20240910BHJP
   F21S 43/245 20180101ALI20240910BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20240910BHJP
   F21V 15/01 20060101ALI20240910BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20240910BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20240910BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20240910BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20240910BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240910BHJP
【FI】
F21S43/241
F21S43/239
F21S43/237
F21S43/27
F21S43/245
F21V8/00 330
F21V8/00 360
F21V15/01 300
F21V8/00 310
F21V17/00 402
F21W103:00
F21W103:35
F21W103:20
F21Y115:10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021573976
(86)(22)【出願日】2021-01-21
(86)【国際出願番号】 JP2021002077
(87)【国際公開番号】W WO2021153419
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-10-20
(31)【優先権主張番号】P 2020015341
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020015342
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太
(72)【発明者】
【氏名】山本 和也
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02354637(EP,A2)
【文献】仏国特許出願公開第02934353(FR,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0049795(KR,A)
【文献】特開2017-010840(JP,A)
【文献】特開2011-198536(JP,A)
【文献】特開2018-32487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/241
F21S 43/239
F21S 43/237
F21S 43/27
F21S 43/245
F21V 8/00
F21V 15/01
F21V 17/00
F21W 103/00
F21W 103/35
F21W 103/20
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する光源と、
前記光源から出射される光が入射され入射された光を出射するインナーレンズとを備え、
前記インナーレンズは前記光源から出射された光が入射される入射面が形成された入射制御部と入射された光を導く導光部と前記導光部に連続され少なくとも二つに分岐された形状に形成された分岐部とを有し、
前記導光部は厚み方向が上下方向にされた板状に形成され左右方向に延びる形状に形成され、
前記導光部には前記入射制御部の前方に位置され前記入射面から入射された光を内面反射する第1の全反射面と前記分岐部の後方に位置され前記第1の全反射面で反射された光を前記分岐部へ向けて内面反射する第2の全反射面とが形成され、
前記第1の全反射面が左右方向において前記分岐部より外側に位置され、
前記第1の全反射面がエクステンションによって覆われ、
前記分岐部は第1の出射面を有する第1の部分と第2の出射面を有する第2の部分とによって構成され、
前記第1の部分と前記第2の部分が上下に位置され、
前記導光部において導かれた光が前記分岐部において分離され前記第1の出射面と前記第2の出射面から出射される
車輌用灯具。
【請求項2】
前記インナーレンズには前記光源から出射される光を入射する入射面を有し入射された光を平行光にする入射制御部が設けられた
請求項1に記載の車輌用灯具。
【請求項3】
前記導光部に入射された光を内面反射する全反射面が形成され、
前記導光部には厚み方向において外側に突出され前記全反射面に連続する突起部が設けられた
請求項1又は請求項2に記載の車輌用灯具。
【請求項4】
前記第1の出射面と前記第2の出射面にそれぞれ拡散ステップが形成された
請求項1、請求項2又は請求項3に記載の車輌用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射された光を所定の方向へ導いて出射するインナーレンズを有する車輌用灯具についての技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌用灯具には、カバーとランプハウジングによって構成された灯具外筐の内部に光源とインナーレンズが配置され、光源から出射された光がインナーレンズによって導かれインナーレンズの出射面から外部へ向けて照射されるタイプがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
インナーレンズは光源から出射された光が入射される入射面と入射された光を出射する出射面とを有し、入射面から入射された光を所定の方向へ導いて出射面から出射する構成にされている。このようなインナーレンズには、入射面から入射された光が直進されて出射面から出射されるタイプ(特許文献1の図1及び図2参照)の他に、入射面から入射された光が全反射面で内面反射されて出射面から出射されるタイプ(特許文献1の図4参照)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-208192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような車輌用灯具においては、他の車輌の搭乗者や歩行者等の視認性の向上等を図るために、光を広範囲の領域へ向けて照射することが望まれる場合も多い。
【0006】
ところが、特許文献1に記載されたようなインナーレンズを用いて、例えば、上下方向において光を広範囲の領域へ向けて照射する場合には、インナーレンズの全体を上下方向において厚みの厚い形状に形成する必要があるが、インナーレンズの厚みを厚くすると成形時間が長くなり製造コストが高くなってしまう。
【0007】
そこで、本発明車輌用灯具は、製造コストの低減を図った上で光の広範囲の領域への照射を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1に、本発明に係る車輌用灯具は、光を出射する光源と、前記光源から出射される光が入射され入射された光を出射するインナーレンズとを備え、前記インナーレンズは入射された光を導く導光部と前記導光部に連続され少なくとも二つに分岐された形状に形成された分岐部とを有し、前記分岐部は第1の出射面を有する第1の部分と第2の出射面を有する第2の部分とによって構成され、前記導光部において導かれた光が前記分岐部において分離され前記第1の出射面と前記第2の出射面から出射されるものである。
【0009】
これにより、入射された光が導光部において分岐部へ向けて導かれ分岐部において分離されて第1の出射面と第2の出射面からそれぞれ出射される。
【0010】
第2に、上記した本発明に係る車輌用灯具においては、前記第1の部分と前記第2の部分が上下に位置されることが望ましい。
【0011】
これにより、分岐部からの光の照射範囲が上下方向において大きな範囲にされる。
【0012】
第3に、上記した本発明に係る車輌用灯具においては、前記インナーレンズには前記光源から出射される光を入射する入射面を有し入射された光を平行光にする入射制御部が設けられることが望ましい。
【0013】
これにより、光源から出射されインナーレンズに入射された光が入射制御部によって平行光にされて導光部で導かれる。
【0014】
第4に、上記した本発明に係る車輌用灯具においては、前記導光部に入射された光を内面反射する全反射面が形成され、前記導光部には厚み方向において外側に突出され前記全反射面に連続する突起部が設けられることが望ましい。
【0015】
これにより、導光部の厚み方向において全反射面の端縁が面取りされた形状に形成されず、全反射面の有効な反射面積が大きくなる。
【0016】
第5に、上記した本発明に係る車輌用灯具においては、前記第1の出射面と前記第2の出射面にそれぞれ拡散ステップが形成されることが望ましい。
【0017】
これにより、第1の出射面と第2の出射面からそれぞれ出射される光が拡散ステップによって拡散される。
【0018】
第6に、本発明に係る別の車輌用灯具は、光を出射する光源と、第1の入射面と第1の出射面を有し前記第1の入射面から入射された光を導いて前記第1の出射面から出射する第1の導光体と、第2の入射面と第2の出射面を有し前記第2の入射面から入射された光を導いて前記第2の出射面から出射する第2の導光体とを備え、前記光源から出射される光の各一部がそれぞれ前記第1の入射面と前記第2の入射面に入射されると共に前記第1の入射面と前記第2の入射面から入射される光量が異なるものである。
【0019】
これにより、一つの光源から光量の異なる光が第1の入射面と第2の入射面からそれぞれ第1の導光体と第2の導光体に入射される。
【0020】
第7に、上記した本発明に係る別の車輌用灯具においては、前記第2の導光体における光の導光距離が前記第1の導光体における光の導光距離より長くされ、前記光源の発光中心が前記第1の入射面と前記第2の入射面の中央より前記第2の入射面側に位置されることが望ましい。
【0021】
これにより、光源の発光中心が導光距離の長い第2の導光体における第2の入射面に寄った位置に存在する。
【0022】
第8に、上記した本発明に係る別の車輌用灯具においては、前記第2の出射面の面積が前記第1の出射面の面積より大きくされ、前記光源の発光中心が前記第1の入射面と前記第2の入射面の中央より前記第2の入射面側に位置されることが望ましい。
【0023】
これにより、光源の発光中心が光の出射面積の大きい第2の導光体における第2の入射面に寄った位置に存在する。
【0024】
第9に、上記した本発明に係る別の車輌用灯具においては、前記第1の導光体又は前記第2の導光体の一方に位置決め突部が設けられ、前記位置決め突部が前記第1の導光体又は前記第2の導光体の他方に押し当てられた状態で前記第1の導光体と前記第2の導光体の位置決めが行われることが望ましい。
【0025】
これにより、位置決め突部が第1の導光体又は前記第2の導光体の他方に押し当てられることにより第1の導光体と第2の導光体の位置決めが行われる。
【0026】
第10に、上記した本発明に係る別の車輌用灯具においては、前記第1の導光体と前記第2の導光体が保持されるインナーハウジングが設けられ、前記インナーハウジングに前記第1の導光体又は前記第2の導光体の一方をネジ止めにより取り付けるための取付ボスと前記第1の導光体又は前記第2の導光体の他方を支持する受け支持部とが設けられ、前記第1の導光体又は前記第2の導光体の一方が前記取付ボスにネジ止めされた状態において前記第1の導光体又は前記第2の導光体の他方が前記第1の導光体又は前記第2の導光体の一方に一方向へ押さえられ前記受け支持部に前記一方向と反対の他方向から受けられることが望ましい。
【0027】
これにより、位置決め突部が第1の導光体又は第2の導光体の他方に押し当てられ第1の導光体又は第2の導光体の一方が取付ボスにネジ止めされた状態において第1の導光体又は第2の導光体の他方が受け支持部に受けられるため、第1の導光体又は第2の導光体の他方がネジ止めされることなくインナーハウジングに取り付けられる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、入射された光が導光部において分岐部へ向けて導かれ分岐部において分離されて第1の出射面と第2の出射面からそれぞれ出射されるため、導光部と第1の部分と第2の部分を何れも厚みの薄い形状に形成することが可能になり、製造コストの低減を図った上で光の広範囲の領域への照射を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図2乃至図13と共に本発明車輌用灯具の実施の形態を示すものであり、本図は、カバーを分離した状態で示す車輌用灯具の斜視図である。
図2】灯具ユニットの分解斜視図である。
図3】第1のインナーレンズ等を示す水平断面図である。
図4】第1のインナーレンズの斜視図である。
図5】第2のインナーレンズ等を示す垂直断面図である。
図6】第2のインナーレンズの斜視図である。
図7】第2のインナーレンズ等を示す水平断面図である。
図8図7のVIII-VIII線に沿う断面図である。
図9】第1の導光体と第2の導光体の斜視図である。
図10】第1の導光体と第2の導光体がインナーハウジングに取り付けられている状態を示す拡大断面図である。
図11】第1の導光体と第2の導光体の第3の光源に対する位置関係を示す概念図である。
図12】第1の光源から出射される光の経路を示す図である。
図13】第2の光源から出射される光の経路を水平断面において示す図である。
図14】第2の光源から出射される光の経路を垂直断面において示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明車輌用灯具を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
【0031】
車輌用灯具1は、例えば、車体の後端部における左右両端部に取り付けられ、車輌用標識灯として機能する。車輌用灯具1は、例えば、テールランプ、ストップランプ及びターンシグナルランプの機能を有するコンビネーションランプとして用いられる。
【0032】
尚、以下には、車輌用灯具1からの光の出射方向を後方として前後上下左右の方向を説明する。但し、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0033】
車輌用灯具1は後方から側方に亘る位置に開口を有するランプハウジング2とランプハウジング2の開口を閉塞するカバー3とを備えている(図1参照)。ランプハウジング2とカバー3によって灯具外筐4が構成され、灯具外筐4の内部空間が灯室として形成されている。
【0034】
ランプハウジング2には後述する第1の光源と第2の光源と第3の光源が取り付けられている。カバー3には、例えば、内面に拡散ステップ3aが形成されている。カバー3は、外周部が、例えば、黒色の材料によって形成された遮光部3bとして設けられ、遮光部3bの内側の部分が光の透過が可能な透過部3cとして設けられている。第1の光源と第2の光源と第3の光源から出射されカバー3の透過部を3cを透過される光は、拡散ステップ3aによって拡散されて外部へ向けて照射される。
【0035】
灯室には灯具ユニット5が配置されている。灯具ユニット5はインナーハウジング6に所要の各部が配置又は取り付けられて構成されている(図1及び図2参照)。
【0036】
インナーハウジング6はランプハウジング2に取り付けられた状態で配置されている。インナーハウジング6は後部7と上部8と側部9を有し、後部7の上縁と上部8の後縁とが連続され、後部7の外側の側縁と側部9の後縁とが連続され、上部8の外側の側縁と側部9の上縁とが連続されている。
【0037】
後部7には第1の配置孔7aと第2の配置孔7bが上下に並んで形成されている。後部7にはそれぞれ上下方向を向き第1の配置孔7aにおける後側開口縁の下端から前方に突出された上側遮蔽板10と第2の配置孔7bにおける後側開口縁の下端から前方に突出された下側遮蔽板11とが設けられている。後部7には第1の配置孔7aの上側に、後方に開口され左右に延びる第1の配置溝7cが形成されている。第1の配置孔7aと第2の配置孔7bの側方から下方に亘る位置には、後方に開口され湾曲された第2の配置溝7d、7dが略平行な状態で形成されている。
【0038】
上部8の前端部にはそれぞれ上方に突出された取付ボス12と規制壁13、13と保持受け部14と受け支持部15が設けられている(図2の拡大図参照)。取付ボス12には上方に開口された螺穴が形成されている。規制壁13、13は取付ボス12の近傍において左右で対向した状態で位置されている。一方の規制壁13は他方の規制壁13より前後の幅が大きくされ、一方の規制壁13には上方に開口された挿入用切欠13aが形成されている。保持受け部14は規制壁13、13間に設けられ上方に開口された凹部を有する形状に形成されている。受け支持部15は取付ボス12の側方に位置され、上面が受け面15aとして下方に凸の緩やかな円弧面に形成されている。
【0039】
インナーハウジング6の第1の配置孔7aには第1のインナーレンズ16が挿入されて配置される(図2乃至図4参照)。第1のインナーレンズ16は一部がネジ止めされることによりインナーハウジング6に取り付けられる。
【0040】
第1のインナーレンズ16は、例えば、透明な樹脂材料によって形成されている。第1のインナーレンズ16は、光が入射される入射部17と、入射部17の左右方向における外側の端部から後斜め側方に突出された板状の第1の反射部18と、入射部17の左右方向における内側の端部から後斜め側方に突出された板状の第2の反射部19と、第1の反射部18に連続され前後方向(光軸方向)に対して傾斜された板状の第1の出射部20と、第2の反射部19に連続され前後方向に対して傾斜された板状の第2の出射部21とを有している。第1の反射部18と第2の反射部19は後方へ行くに従って左右方向において互いに離隔するように傾斜され、第1の出射部20と第2の出射部21も後方へ行くに従って左右方向において互いに離隔するように傾斜されている。
【0041】
入射部17は後方に凸の形状に形成され、前面が入射面17aとして形成され、後面が出射面17bとして形成されている(図3参照)。入射部17における左右両側の部分の外周側の面はそれぞれ全反射面17c、17cとして形成されている。
【0042】
第1の反射部18と第2の反射部19は後方へ行くに従って左右方向において互いに離隔する方向へ傾斜されている。第1の反射部18と第2の反射部19においては、第1の反射部18の前後方向に対する傾斜角度P1が第2の反射部19の前後方向に対する傾斜角度P2より大きくされている。
【0043】
また、第1の出射部20と第2の出射部21も後方へ行くに従って左右方向において互いに離隔する方向へ傾斜されている。第1の出射部20と第2の出射部21においては、第1の出射部20の前後方向に対する傾斜角度Q1が第2の出射部21の前後方向に対する傾斜角度Q2より大きくされている。
【0044】
第1の出射部20は、前側の面が全反射面20aとして形成され、後側の面が出射面20bとして形成されている。尚、出射面20bにおいては光の一部が内面反射される。第2の出射部21は、前側の面が全反射面21aとして形成され、後側の面が出射面21bとして形成されている。
【0045】
また、第1のインナーレンズ16においては、第1の出射部20の導光方向における長さD1が第2の出射部21の導光方向における長さD2より短くされており、導光距離の相違に応じて全反射面20aと全反射面21aと出射面20bと出射面21bに形成されたステップのピッチが設定されている。具体的には、全反射面20aにおけるステップのピッチが全反射面21aにおけるステップのピッチより小さくされて両者のステップのピッチ数が略同じにされ、出射面20bにおけるステップのピッチが出射面21bにおけるステップのピッチより小さくされて両者のステップのピッチ数が略同じにされている。
【0046】
第1のインナーレンズ16はインナーハウジング6に取り付けられた状態において、入射部17の入射面17aがランプハウジング2に取り付けられた第1の光源22における発光部22aの後側に対向して位置される(図3参照)。
【0047】
インナーハウジング6の第2の配置孔7bには第2のインナーレンズ23が挿入されて配置される(図2図5及び図6参照)。第2のインナーレンズ23は一部がネジ止めされることによりインナーハウジング6に取り付けられる。
【0048】
第2のインナーレンズ23は、例えば、透明な樹脂材料によって形成されている。第2のインナーレンズ23は光が入射される入射制御部24と入射制御部24に連続された導光部25と導光部25に連続され、例えば、二つに分岐された形状に形成された分岐部26とを有している(図5乃至図7参照)。
【0049】
入射制御部24は厚み方向が上下方向にされた板状に形成され、前面が前方に凸の円弧面状に形成された中央入射部27と中央入射部27の左右両側に設けられたサイド入射部28、28とを有している。中央入射部27の前面は入射面27aとして形成されている。サイド入射部28、28は前方に凸の先細りの形状に形成され、入射面27aに連続する側の面がそれぞれ入射面28a、28aとして形成され、入射面28a、28aを挟んで入射面27aの反対側に位置する面がそれぞれ全反射面28b、28bとして形成されている。
【0050】
導光部25は厚み方向が上下方向にされた板状に形成され、略左右に延びる形状に形成されている。導光部25は一方の全反射面28bの後端に連続する傾斜面を有し、この傾斜面が第1の全反射面25aとして形成されている。導光部25の前面は第2の全反射面25bとして形成されている。
【0051】
導光部25には上方又は下方に突出された突起部29、29が設けられている(図8参照)。突起部29、29は第1の全反射面25aに連続する位置に設けられている。
【0052】
第2のインナーレンズ23は射出成形による成形時間の短縮化を図るために全体の厚みが薄く形成されており、その分、第1の全反射面25aの上下の幅が小さくなり易い。特に、成形上、稜線が形成される部分は面取りされて所謂C面やR面として形成されることが多く、第1の全反射面25aの上端と導光部25の上面との境界部分や第1の全反射面25aの下端と導光部25の下面との境界部分は面取りされた形状に形成されることがある。
【0053】
従って、これらの場合には、第1の全反射面25aの反射領域が小さくなるおそれがあるが、上記したように、第1の全反射面25aに連続する位置に突起部29、29が設けられることにより、導光部25の厚み方向において第1の全反射面25aの端縁が面取りされた形状に形成されない。これにより、第1の全反射面25aの有効な反射面積が大きくなり、第2のインナーレンズ23に入射された光の利用効率の向上を図ることができる。
【0054】
尚、上記には、第1の全反射面25aに連続する位置に突起部29、29が設けられた例を示したが、第2の全反射面25bに連続する位置に突起部が設けられ、第2のインナーレンズ23に入射された光の利用効率の向上が図られてもよい。
【0055】
分岐部26は上下方向において分岐された二股状に形成され、導光部25の後端部に連続されている(図5及び図6参照)。分岐部26は後方へ行くに従って上方に変位するように傾斜された第1の部分30と後方へ行くに従って下方に変位するように傾斜された第2の部分31とによって構成されている。但し、分岐部26は三つ以上に分岐された形状に形成されていてもよい。
【0056】
第1の部分30は横長の形状に形成され、後側の面のうち下側の部分が第1の全反射傾斜面30aとして形成され、前側の面のうち上端部を除く部分が第2の全反射傾斜面30bとして形成されている。第1の部分30の後側の面のうち第1の全反射傾斜面30aの上側の部分は第1の出射面30cとして形成されている。
【0057】
第2の部分31は横長の形状に形成され、後側の面のうち上側の部分が第1の全反射傾斜面31aとして形成され、前側の面のうち下端部を除く部分が第2の全反射傾斜面31bとして形成されている。第2の部分31の後側の面のうち第1の全反射傾斜面31aの下側の部分は第2の出射面31cとして形成されている。
【0058】
第1の出射面30cと第2の出射面31cにはそれぞれ拡散ステップとして、例えば、魚眼ステップが形成されている。第1の出射面30cと第2の出射面31cから出射される光はそれぞれ魚眼ステップによって上下方向及び左右方向へ拡散される。
【0059】
第2のインナーレンズ23はインナーハウジング6に取り付けられた状態において、入射制御部24の入射面27aがランプハウジング2に取り付けられた第2の光源32における発光部32aの後側に対向して位置される(図7参照)。
【0060】
インナーハウジング6の第1の配置溝7cには第1の導光体33の一部を除いた部分が挿入されて配置される(図2参照)。第1の導光体33は一部がネジ止めされることによりインナーハウジング6に取り付けられる。
【0061】
第1の導光体33は、例えば、透明な樹脂材料によって略L字状に形成されている(図9参照)。第1の導光体33は、所定の形状の略丸軸状に形成された軸状導光部34と軸状導光部34の軸方向における一端部から突出された腕部35と腕部35に連続された被取付部36と軸状導光部34の一部を除いた部分から下方に突出されたひれ状の出光部37とを有している。
【0062】
軸状導光部34は略前後方向に延びる始端部38と始端部38に対して屈曲され略左右方向に延びる出射部39とから成り、出射部39の軸方向における長さが始端部38の軸方向における長さより長くされている。軸状導光部34は、始端部38の先端面が第1の入射面38aとして形成され、出射部39の後側の面が第1の出射面39aとして形成されている。また、出光部37の後面も第1の出射面37aとして形成されている。
【0063】
第1の導光体33には始端部38から下方に突出された位置決め突部40が設けられ、位置決め突部40は下面が押さえ面40aとして上方に凸の緩やかな円弧面に形成されている。
【0064】
インナーハウジング6の第2の配置溝7d、7dには第2の導光体41の一部を除いた部分が挿入されて配置される(図2参照)。第2の導光体41は一部が第1の導光体33に押さえられることによりインナーハウジング6に取り付けられる。
【0065】
第2の導光体41は、例えば、透明な樹脂材料によって全体として環状に形成されている(図9参照)。第2の導光体41は、所定の形状の略丸軸状に形成された一対の軸状導光部42、42と軸状導光部42、42の軸方向における一端部に連続する共有部43と共有部43から突出された被規制部44と軸状導光部42、42の軸方向における他端部を連結する連結部45とを有している。
【0066】
軸状導光部42は共有部43に連続する部分が湾曲された始端部46として設けられ始端部46に連続する部分が始端部46とは反対方向に湾曲された出射部47として設けられ、出射部47の後側の面が第2の出射面47aとして形成されている。出射部47は軸方向における長さが始端部46の軸方向における長さより長くされている。
【0067】
共有部43は始端部46、46が延長されるように始端部46、46と略同じ径の丸軸状に形成され、先端面が第2の入射面43aとして形成されている。
【0068】
上記のように構成された第1の導光体33と第2の導光体41においては、第2の導光体41の導光距離が第1の導光体33の導光距離より長くされている。第1の導光体33の導光距離は軸状導光部34の軸方向における長さに相当し、第2の導光体41の導光距離は軸状導光部42、42の軸方向における長さと共有部43の軸方向における長さとの合計分に相当する。また、軸状導光部34の長さは一つの軸状導光部42と共有部43の軸方向における長さとの合計の長さより短くされている。
【0069】
このように第2の導光体41の導光距離が第1の導光体33の導光距離より長くされているため、第2の導光体41と第1の導光体33においてそれぞれ光が出射されるときの輝度を同程度の輝度にするためには、第2の導光体41の第2の入射面43aから入射される光量が第1の導光体33の第1の入射面38aから入射される光量より大きくされる必要がある。
【0070】
また、第1の導光体33と第2の導光体41においては、第2の導光体41における光の出射面積が第1の導光体33における光の出射面積より大きくされている。第1の導光体33における光の出射面積は第1の出射面37aの面積と第1の出射面39aの面積との合計分に相当し、第2の導光体41における光の出射面積は第2の出射面47a、47aの面積の合計分に相当する。
【0071】
このように第2の導光体41における光の出射面積が第1の導光体33における光の出射面積より大きくされているため、第2の導光体41と第1の導光体33においてそれぞれ光が出射されるときの輝度を同程度の輝度にするためには、第2の導光体41の第2の入射面43aから入射される光量が第1の導光体33の第1の入射面38aから入射される光量より大きくされる必要がある。
【0072】
上記のように構成された第2の導光体41は、軸状導光部42、42の出射部47、47がそれぞれインナーハウジング6の第2の配置溝7d、7dに挿入されて配置され、共有部43がインナーハウジング6の規制壁13、13間に上方から挿入されて保持受け部14の凹部に挿入されて保持される(図10参照)。共有部43が規制壁13、13間に挿入されて保持受け部14に保持されることにより、第2の導光体41の左右方向及び上下方向における位置決めが行われる。
【0073】
このとき共有部43から突出された被規制部44が一方の規制壁13に形成された挿入用切欠13aに上方から挿入され、第2の導光体41の前後方向における位置決めが行われる。また、共有部43はインナーハウジング6の受け支持部15に載置される。
【0074】
上記のように第2の導光体41がインナーハウジング6に保持された状態において、第1の導光体33の出光部37と出射部39がインナーハウジング6の第1の配置溝7cに挿入されて配置される。第1の導光体33は始端部38と腕部35と被取付部36がインナーハウジング6における上部8の上面側に位置され、被取付部36がネジ止め等によって取付ボス12に取り付けられる。
【0075】
被取付部36が取付ボス12に取り付けられた状態において、第1の導光体33の始端部38が第2の導光体41における始端部46の真上に位置され、始端部46が第1の導光体33の位置決め突部40によって上方から押さえられる。このとき位置決め突部40の押さえ面40aによって始端部46の外周面のうち上端側の部分が押さえられ、始端部46の外周面のうち下端側の部分が受け支持部15の受け面15aに押し付けられ始端部46が受け支持部15に下方から受けられる。従って、第2の導光体41の上下方向における位置決めが行われると共に第1の導光体33と第2の導光体41の間の位置決めが行われる。
【0076】
第2の導光体41の始端部46が第1の導光体33の位置決め突部40によって上方から押さえられた状態においては、位置決め突部40における上方に凸の円弧面状に形成された押さえ面40aが始端部46における円弧面状の外周面に押し付けられると共に始端部46における円弧面状の外周面が受け支持部15における下方に凸の円弧面状に形成された受け面15aに押し付けられる。従って、第1の導光体33と第2の導光体41がガタ付くことなく安定した状態でインナーハウジング6に保持される。
【0077】
上記したように、車輌用灯具1においては、位置決め突部40が第2の導光体41に押し当てられた状態で第1の導光体33と第2の導光体41の位置決めが行われる。
【0078】
従って、位置決め突部40が第2の導光体41に押し当てられることにより第1の導光体33と第2の導光体41の位置決めが行われるため、簡素な構成により容易に第1の導光体33と第2の導光体41の間の高い位置精度を確保することができる。
【0079】
尚、上記には、第1の導光体33に下方に突出された位置決め突部40が設けられ位置決め突部40が第2の導光体41に押し当てられる構成を示したが、逆に、第2の導光体41に上方に突出された位置決め突部が設けられ位置決め突部に第1の導光体33が押し当てられる構成にされてもよい。
【0080】
また、車輌用灯具1においては、インナーハウジング6に第1の導光体33をネジ止めにより取り付けるための取付ボス12と第2の導光体41を支持する受け支持部15とが設けられ、第1の導光体33が取付ボス12にネジ止めされた状態において第2の導光体41が第1の導光体33に一方向(下方)へ押さえられ受け支持部15に一方向(下方)から受けられる。
【0081】
従って、位置決め突部40が第2の導光体41に押し当てられ第1の導光体33が取付ボス12にネジ止めされた状態において第2の導光体41が受け支持部15に受けられるため、第2の導光体41がネジ止めされることなくインナーハウジング6に取り付けられ、第1の導光体33と第2の導光体41をインナーハウジング6に簡素な構成によって確実に取り付けることができる。
【0082】
上記のように第1の導光体33と第2の導光体41がインナーハウジング6に取り付けられた状態において、第1の入射面38aと第2の入射面43aがランプハウジング2に取り付けられた第3の光源48における発光部48aの後側に位置される(図11参照)。このとき第3の光源48は発光部48aの発光中心48bが第1の入射面38aと第2の入射面43aの中央より第2の入射面43a側に位置される。例えば、第3の光源48は発光中心48bが第1の入射面38aの中心S1と第2の入射面43aの中心S2との間において第2の入射面43aに対向した位置に存在する。
【0083】
このように第3の光源48の発光中心48bが第1の入射面38aと第2の入射面43aの中央より第2の入射面43a側に位置されることにより、第3の光源48から出射された光は第1の入射面38aから第1の導光体33に入射されると共に第2の入射面43aから第2の導光体41に入射されるが、第1の入射面38aと第2の入射面43aから入射される光量が異なり、第2の入射面43aから入射される光量が第1の入射面38aから入射される光量より大きくなる。
【0084】
上記のように第1の導光体33と第2の導光体41がインナーハウジング6に取り付けられた状態においては、インナーハウジング6に後側からインナーカバー49が取り付けられ、インナーカバー49によって第1の導光体33と第2の導光体41の各一部が覆われる(図1及び図2参照)。
【0085】
インナーカバー49は左右方向に延びる第1の覆い部49aと第1の覆い部49aの長手方向における一端部に連続され湾曲された第2の覆い部49bと第1の覆い部49aの上端部から前方に突出された天面部49cとを有している。インナーカバー49は第1の覆い部49aと第2の覆い部49bの略全体が光を透過する材料によって形成され天面部49cが光を透過しない材料によって形成されている。インナーカバー49は、天面部49cが上部8の上面側に位置された状態でインナーハウジング6に取り付けられる。
【0086】
インナーカバー49がインナーハウジング6に取り付けられた状態においては、第1の導光体33の出光部37と出射部39が第1の覆い部49aによって後方から覆われ、第2の導光体41の出射部47が第2の覆い部49bによって後方から覆われる。従って、第1の導光体33の出光部37と出射部39から出射された光は第1の覆い部49aを透過して後方へ向けて照射され、第2の導光体41の出射部47、47から出射された光は第2の覆い部49bを透過して後方へ向けて照射される。また、天面部49cによって第1の導光体33から上方側へ漏れ出す不要な光が遮蔽される。
【0087】
また、第1の導光体33と第2の導光体41がインナーハウジング6に取り付けられた状態においては、インナーハウジング6に上側から遮蔽カバー50が取り付けられる。遮蔽カバー50は光を透過しない材料によって形成され、第1の導光体33における始端部38の略全体と第2の導光体41における始端部46の略全体とを上方から覆う状態でインナーハウジング6に取り付けられている。従って、遮蔽カバー50によって第1の導光体33の始端部38と第2の導光体41の始端部46とから漏れ出す不要な光が遮蔽される。
【0088】
インナーハウジング6にはインナーカバー49の内側においてエクステンション51が取り付けられる。エクステンション51は黒色の樹脂材料によって各部が一体に形成されて成り、枠部52と仕切部53を有している。枠部52は第1の覆い部49aと第2の覆い部49bによって形成されたインナーカバー49における内側の空間に対応する大きさ及び形状に形成されている。仕切部53は枠部52を上下で仕切り左右方向に延びる形状に形成されている。従って、エクステンション51には仕切部53の上下にそれぞれ上側空間51aと下側空間51bが形成されている。
【0089】
エクステンション51には上側空間51aの上側開口縁から前方に突出された上側遮蔽部54と上側空間51aの下側開口縁から前方に突出された下側遮蔽部55とが設けられている。
【0090】
エクステンション51がインナーハウジング6に取り付けられた状態においては、枠部52が第1のインナーレンズ16と第2のインナーレンズ23を外周側から囲む位置に配置され、仕切部53が第1のインナーレンズ16と第2のインナーレンズ23の間に配置される(図1参照)。また、上側遮蔽部54と下側遮蔽部55は外周縁が第1のインナーレンズ16の第1の出射部20と第2の出射部21に沿って位置される。従って、エクステンション51によって第1のインナーレンズ16と第2のインナーレンズ23の間や外周側に隙間が生じ難くなり、外部から視認されたときに灯室に配置された各部がエクステンション51によって遮蔽され、被視認性の向上が図られる。
【0091】
上記のように第1のインナーレンズ16と第2のインナーレンズ23と第1の導光体33と第2の導光体41とインナーカバー49とエクステンション51が取り付けられたインナーハウジング6は灯室に配置され、ランプハウジング2にカバー3が取り付けられることにより車輌用灯具1が構成される(図1参照)。車輌用灯具1は車体に取り付けられ、カバー3は車体の形状に応じて左右方向において車輌の内側から外側へ行くに従って前方に変位するように傾斜した状態で配置される(図3及び図7参照)。
【0092】
このとき、上記したように、第1のインナーレンズ16においては、第1の出射部20と第2の出射部21が後方へ行くに従って左右方向において互いに離隔する方向へ傾斜され、第1の出射部20の前後方向に対する傾斜角度Q1が第2の出射部21の前後方向に対する傾斜角度Q2より大きくされている(図3参照)。
【0093】
このようにカバー3が左右方向に対して傾斜されると共に第1の出射部20の前後方向に対する傾斜角度Q1が第2の出射部21の前後方向に対する傾斜角度Q2より大きくされているため、カバー3から第1の出射部20までの距離がカバー3から第2の出射部21までの距離と略同じにされている。
【0094】
具体的には、カバー3から第1の出射部20までの最短距離L1aとカバー3から第2の出射部21までの最短距離L2aとが略同じにされ、カバー3から第1の出射部20までの最長距離L1bとカバー3から第2の出射部21までの最長距離L2bとが略同じにされている。また、カバー3から第1の出射部20の導光方向における中央部までの距離L1cがカバー3から第2の出射部21の導光方向における中央部までの距離L2cとが略同じにされている。
【0095】
上記のように構成された車輌用灯具1において、第1の光源22の発光部22aから光が出射されると、出射された光は入射面17aから第1のインナーレンズ16の入射部17に入射される(図12参照)。入射部17に入射された光は一部を除いて出射面17bから出射され、カバー3の透過部3cを透過されて外部へ向けて照射される。
【0096】
一方、入射部17に入射された光の一部は全反射面17c、17cで内面反射され、それぞれ第1の反射部18と第2の反射部19へ向かう。
【0097】
第1の反射部18へ向かった光は第1の反射部18で内面反射され、第1の出射部20の全反射面20aで内面反射され出射面20bから出射され、カバー3の透過部3cを透過されて外部へ向けて照射される。また、第2の反射部19へ向かった光は第2の反射部19で内面反射され、第2の出射部21の全反射面21aで内面反射され出射面21bから出射され、カバー3の透過部3cを透過されて外部へ向けて照射される。
【0098】
このとき、第1のインナーレンズ16においては、上記したように、第1の反射部18と第2の反射部19が前後方向に対してそれぞれ所定の角度で傾斜され、第1の出射部20と第2の出射部21も前後方向に対してそれぞれ所定の角度で傾斜されており、第1の反射部18で内面反射される光の反射角度θ1と第2の反射部19で内面反射される光の反射角度θ2とが異なるようにされている(図3参照)。
【0099】
具体的には、第1の反射部18での反射角度θ1が第2の反射部19での反射角度θ2より小さく、第1の反射部18で内面反射された光と第2の反射部19で内面反射された光とがそれぞれ第1の出射部20の全反射面20aと第2の出射部21の全反射面21aに全反射可能な角度で適正に到達するようにされている。
【0100】
また、第1のインナーレンズ16においては、上記したように、全反射面20aにおけるステップのピッチが全反射面21aにおけるステップのピッチより小さくされ、出射面20bにおけるステップのピッチが出射面21bにおけるステップのピッチより小さくされている。
【0101】
さらに、カバー3と第1のインナーレンズ16の距離の関係おいては、上記したように、カバー3から第1の出射部20までの距離がカバー3から第2の出射部21までの距離と略同じにされている。
【0102】
第1のインナーレンズ16とカバー3は上記のような構成及び位置関係にされているため、第1の出射部20の出射面20bから出射された光と第2の出射部21の出射面21bから出射された光とが、カバー3の透過部3cを透過されて略同じ輝度で後方へ向けて照射される。
【0103】
従って、カバー3が左右方向に対して傾斜され所謂スラントされている場合においても、第1のインナーレンズ16から出射されカバー3の透過部3cを透過されて後方へ向けて照射される光の輝度が略均一にされ、輝度ムラの抑制された光が照射され、視認性の向上を図ることができる。
【0104】
また、第1のインナーレンズ16においては、第1の出射部20と第2の出射部21が前後方向に対してそれぞれ所定の角度で傾斜されており、第2の出射部21の前後方向に対する傾斜角度が第1の出射部20の前後方向に対する傾斜角度より小さくされている。
【0105】
従って、第2の出射部21の後端部がカバー3に近付いて位置されており、その分、エクステンション51における枠部52の一端部52aの前後方向における幅Hが短くされている(図3参照)。これにより、エクステンション51に付された色(黒色)が前後方向において大きな幅で視認されることがなく、外部から車輌用灯具1の内部が視認されたときの被視認性の向上を図ることができる。
【0106】
一方、第2の光源32の発光部32aから光が出射されると、出射された光は入射面27a、28a、28aから第2のインナーレンズ23の入射制御部24に入射される(図13参照)。入射制御部24の入射面27aから入射された光は入射面27aで制御されて平行光にされ、入射制御部24の入射面28a、28aからそれぞれ入射された光は全反射面28b、28bで内面反射されて制御され平行光にされる。従って、入射制御部24に入射された全ての光が平行光にされて導光部25の第1の全反射面25aへ向かう。
【0107】
第1の全反射面25aへ向かった光は第1の全反射面25aで内面反射され、引き続き第2の全反射面25bで内面反射される(図13及び図14参照)。第2の全反射面25bで内面反射された光は導光部25によって分岐部26へ向けて導かれ、第1の部分30と第2の部分31に分離される(図14参照)。
【0108】
第1の部分30に導かれた光は順に第1の全反射傾斜面30aと第2の全反射傾斜面30bで内面反射され、第1の出射面30cから出射され、カバー3の透過部3cを透過されて外部へ向けて照射される。また、第2の部分31に導かれた光は順に第1の全反射傾斜面31aと第2の全反射傾斜面31bで内面反射され、第2の出射面31cから出射され、カバー3の透過部3cを透過されて外部へ向けて照射される。
【0109】
上記したように、第2のインナーレンズ23は入射された光を導く導光部25と導光部25に連続され二股状に形成された分岐部26とを有し、分岐部26は第1の出射面30cを有する第1の部分30と第2の出射面31cを有する第2の部分31とによって構成され、導光部25において導かれた光が分岐部26において分離され第1の出射面30cと第2の出射面31cから出射される。
【0110】
従って、第2のインナーレンズ23に入射された光が導光部25において分岐部26へ向けて導かれ分岐部26において分離されて第1の出射面30cと第2の出射面31cからそれぞれ出射される。これにより導光部25と第1の部分30と第2の部分31を何れも厚みの薄い形状に形成することが可能になり、広範囲への照射を厚みの厚いインナーレンズを用いて行う必要がなく、製造コストの低減を図った上で光の広範囲の領域への照射を行うことができる。
【0111】
また、溶融樹脂を用いた射出成形によって第2のインナーレンズ23を形成する場合に、第2のインナーレンズ23の厚みが厚くなるとキャビティへの溶融樹脂の充填後の冷却時にヒケが発生し易くなり、第2のインナーレンズ23の成形精度が低下するおそれがあるが、第2のインナーレンズ23の各部の厚みを薄くすることが可能であるため、第2のインナーレンズ23の成形精度の向上を図った上で光の広範囲の領域への照射を行うことができる。
【0112】
さらに、第1の部分30と第2の部分31が上下に位置されているため、分岐部26からの光の照射範囲が上下方向において大きな範囲にされ、車体の形状に応じて導光部25を上下方向において薄型の形状にした上で光の所望の照射状態を確保することができる。
【0113】
さらにまた、第2のインナーレンズ23には入射された光を平行光にする入射制御部24が設けられている。
【0114】
従って、第2の光源32から出射され第2のインナーレンズ23に入射された光が入射制御部24によって平行光にされて導光部25で導かれるため、導光部25から分岐部26へ向かう光の導光制御が容易になり、光の利用効率の向上を図った上で所望の方向へ光を照射することができる。
【0115】
加えて、第2のインナーレンズ23の第1の出射面30cと第2の出射面31cにそれぞれ拡散ステップ、例えば、魚眼ステップが形成されている。
【0116】
従って、第1の出射面30cと第2の出射面31cからそれぞれ出射される光が拡散ステップによって拡散されるため、第1の出射面30cと第2の出射面31cから輝度ムラが抑制された光を広範囲の領域へ向けて照射することができる。
【0117】
車輌用灯具1において、第3の光源48の発光部48aから光が出射されると、出射された光は第1の入射面38aと第2の入射面43aからそれぞれ第1の導光体33の始端部38と第2の導光体41の共有部43に入射される。
【0118】
このとき、上記したように、第3の光源48の発光中心48bが第1の入射面38aと第2の入射面43aの中央より第2の入射面43a側に位置されているため、第2の入射面43aから入射される光量が第1の入射面38aから入射される光量より大きい。
【0119】
第1の導光体33の始端部38に入射された光は軸状導光部34で導光され出光部37の第1の出射面37aと出射部39の第1の出射面39aから出射され、カバー3の透過部3cを透過されて外部へ向けて照射される。一方、第2の導光体41の共有部43に入射された光は軸状導光部42で導光され出射部47、47の第2の出射面47a、47aからそれぞれ出射され、カバー3の透過部3cを透過されて外部へ向けて照射される。
【0120】
ところで、車輌用灯具には、カバーとランプハウジングによって構成された灯具外筐の内部に複数の光源と導光体が配置され、各光源からそれぞれ出射された光が第1の導光体と第2の導光体によって導かれ第1の導光体の出射面と第2の導光体の出射面とからそれぞれ外部へ向けて照射されるタイプがある(例えば、特開2017-183143号公報参照)。
【0121】
このような二つの導光体を用いてそれぞれ光を出射させる構成においては、光が各導光体によってそれぞれ所望の位置まで導かれて出射されるため、光を広範囲の領域へ向けて照射することが可能にされている。
【0122】
ところが、上記のような構成においては、二つの導光体の形状や大きさが相違し各導光体における光の導光距離や出射面積が異なる場合も多く、同じ光源を用いると二つの導光体から出射される光の輝度が相違して輝度ムラを生じるおそれがある。
【0123】
一方、このような輝度ムラの発生を防止するために、第1の導光体と第2の導光体に対して出射光量が異なる光源を用いたり、各光源からの出射光量を異なるように制御する制御回路を設けることが可能であるが、これらの場合には異なる光源や制御回路を設ける分、車輌用灯具の製造コストの高騰を来すおそれがある。
【0124】
そこで、上記のように、車輌用灯具1においては、一つの第3の光源48から光量の異なる光がそれぞれ第1の入射面38aと第2の入射面43aに入射されるため、第1の導光体33と第2の導光体41に対して出射光量が異なる光源を用いたり、各光源からの出射光量を異なるように制御する制御回路を設ける必要がなく、製造コストの高騰を来すことなく輝度ムラを抑制することができる。
【0125】
また、第2の導光体41における光の導光距離が第1の導光体33における光の導光距離より長くされ、第3の光源48の発光中心48bが第1の入射面38aと第2の入射面43aの中央より第2の入射面43a側に位置されている。
【0126】
従って、第3の光源48の発光中心48bが導光距離の長い第2の導光体41における第2の入射面43aに寄った位置に存在するため、第1の出射面37a、39aから出射される光の輝度と第2の出射面47a、47aから出射される光の輝度との差を低減して輝度ムラの抑制された照明状態を確保することができる。
【0127】
さらに、第2の出射面47a、47aの合計の面積が第1の出射面37a、39aの合計の面積より大きくされ、第3の光源48の発光中心48bが第1の入射面38aと第2の入射面43aの中央より第2の入射面43a側に位置されている。
【0128】
従って、第3の光源48の発光中心48bが光の出射面積の大きい第2の導光体41における第2の入射面43aに寄った位置に存在するため、第1の出射面37a、39aから出射される光の輝度と第2の出射面47a、47aから出射される光の輝度との差を低減して輝度ムラの抑制された照明状態を確保することができる。
【0129】
尚、第1の光源22と第2の光源32と第3の光源48としては、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が発光部22a、32a、48aとして用いられ、発光部22a、32a、48aを搭載する基板がハウジングに取り付けられた所謂LEDソケットと称される構成が使用されている。
【0130】
このようなLEDソケットが、例えば、ストップランプ等に用いられる場合には、複数のLEDが搭載されることが多いため、インナーレンズや導光体に入射される光の制御が難しい場合があり、この場合にはインナーレンズや導光体から光が漏れてしまうおそれがある。
【0131】
そこで、例えば、第2のインナーレンズ23のように第1の全反射面25aで反射された光を外部へ向けて照射される光として使用し、第1の全反射面25aをエクステンション51によって覆うことにより、車輌用灯具1の外部への光漏れを抑制することが可能にされている。
【符号の説明】
【0132】
1…車輌用灯具、6…インナーハウジング、12…取付ボス、15…受け支持部、23…第2のインナーレンズ、24…入射制御部、25…導光部、25a…第1の全反射面、26…分岐部、29…突起部、30…第1の部分、30c…第1の出射面、31…第2の部分、31c…第2の出射面、32…第2の光源、33…第1の導光体、37a…第1の出射面、38a…第1の入射面、39a…第1の出射面、40…位置決め突部、41…第2の導光体、47a…第2の出射面、48…第3の光源、48b…発光中心
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