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特許7553491液状またはペースト状製品のアプリケータ用のワイパ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】液状またはペースト状製品のアプリケータ用のワイパ
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
A45D34/04 515C
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021576810
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-02
(86)【国際出願番号】 FR2020051109
(87)【国際公開番号】W WO2020260830
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】1907052
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500404605
【氏名又は名称】パフューム クリスチャン ディオール
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フックス、ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】オーティエ、ノエル
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-319823(JP,A)
【文献】米国特許第06149334(US,A)
【文献】特開2015-104401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/00-34/06、40/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状またはペースト状製品のアプリケータ用のワイパ(10)であって、
前記液状またはペースト状製品を収容することができる容器(50)の開口部(56)に前記ワイパ(10)を取り付けるように構成された取り付け部(20)と、前記取り付け部(20)に接続された管状の拭き取りスリーブ(30)とを備えており、前記拭き取りスリーブ(30)は、前記取り付け部(20)よりも可撓性が高く、前記取り付け部(20)とは反対側の前記拭き取りスリーブ(30)の端部が、環状リップ(38)を形成し、前記リップ(38)は、前記ワイパ(10)を通る前記アプリケータの引き抜き方向(X)に対して傾斜したオリフィスを画定し、
前記オリフィス(40)は、前記引き抜き方向(X)に対して偏心している、ワイパ(10)。
【請求項2】
前記拭き取りスリーブ(30)は、前記リップ(38)の方向に先細りである円錐台形状の部分を備え、前記リップ(38)は、前記円錐台形状の部分の端部によって画定されている、請求項1に記載のワイパ。
【請求項3】
前記拭き取りスリーブ(30)は、前記リップ(38)に隣接する壁(34)を備え、前記壁(34)の厚さは、0.7mm未満である、請求項1または2に記載のワイパ。
【請求項4】
前記拭き取りスリーブ(30)は、前記リップ(38)に隣接する壁(34)を備え、前記壁は、ショアAで30~60の間の硬度を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のワイパ。
【請求項5】
前記リップ(38)は、断面において、凸状のオリフィス(40)を画定する、請求項1~4のいずれか一項に記載のワイパ。
【請求項6】
前記リップ(38)は、前記引き抜き方向(X)と10°~80°の間の角度を形成する平面内に含まれる、請求項1~5のいずれか一項に記載のワイパ。
【請求項7】
前記取り付け部(20)は、第1の材料で作られ、前記拭き取りスリーブ(30)は、前記第1の材料の硬度よりも低い硬度を有する第2の材料で作られている、請求項1~6のいずれか一項に記載のワイパ。
【請求項8】
前記拭き取りスリーブ(30)は、前記リップ(38)の方向に先細りである円錐台形状の部分を備え、前記リップ(38)は、前記円錐台形状の部分の端部によって画定され、
前記引き抜き方向(X)における前記拭き取りスリーブ(30)の前記円錐台形状の部分の最大長さ(L)は、前記方向を横切る前記拭き取りスリーブ(30)の最大の内側半径(R)よりも大きい、請求項3~7のいずれか一項に記載のワイパ。
【請求項9】
前記リップ(38)によって画定された前記オリフィス(40)は、2~8ミリメートルの間の直径を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のワイパ。
【請求項10】
開口部(56)を有する容器(50)と、塗布部材(64)が設けられたステム(62)を有するアプリケータ(60)と、前記容器(50)の前記開口部(56)に取り付けられた請求項1~9のいずれか一項に記載のワイパ(10)とを備える液状またはペースト状製品を塗布するためのアセンブリ。
【請求項11】
前記引き抜き方向(X)を横切る前記拭き取りスリーブ(30)の最小内径(D)は、前記ステム(62)の断面の直径よりも小さい、請求項10に記載の塗布アセンブリ。
【請求項12】
前記塗布部材(64)は、前記ステム(62)の軸に沿っている、請求項10または11に記載の塗布アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液状またはペースト状製品を塗布するためのアセンブリに関し、より詳細には、液状またはペースト状製品のアプリケータ用のワイパに関する。そのようなワイパを、とくには化粧品の分野において使用することができる。
【背景技術】
【0002】
例えばメイクアップまたは化粧品の分野において、液状またはペースト状製品を塗布するために、身体または顔へと塗布される製品に適したさまざまなアプリケータを使用することが知られている。一般に、これらのアプリケータの大部分は、ステムの端部に取り付けられた塗布部材を備える。塗布部材は、塗布部材に化粧品を含浸させるために、化粧品を収容した容器へと挿入され、次いで、綿密に塗布を続けるために、容器から引き抜かれる。塗布部材に付着した余分な製品を塗布部材から除去するために、一般に、容器の首部にワイパが設けられる。例えば、本出願の出願人の国際公開第2016/156742号公報が、ブラシ上にマスカラを広げ、ブラシ上の余分なマスカラを容器に向かって押し戻すことを可能にするマスカラブラシにとくに適した拭き取り装置を記載している。
【0003】
そのような装置は、満足できるものであるが、他の製品または他のアプリケータにおいては、他の種類のワイパがより好適である場合がある。具体的には、塗布すべき製品の種類および粘度、ならびに塗布部材の形状によっては、ワイパの作用にもかかわらず、塗布部材の端部に液滴が残る可能性がある。そのような液滴は、身体部分の表面に美観上好ましくない塊の形成を引き起こす可能性があり、付着可能となる前にアプリケータから落下して、周囲を汚す可能性すら存在する。したがって、新たな種類のワイパが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2016/156742号公報
【発明の概要】
【0005】
この目的のために、本開示は、液状またはペースト状製品のアプリケータ用のワイパであって、前記製品を収容することができる容器の開口部にワイパを取り付けるように構成された取り付け部と、取り付け部に接続された管状の拭き取りスリーブとを備えており、拭き取りスリーブは、取り付け部よりも可撓性が高く、取り付け部とは反対側の拭き取りスリーブの端部が、ワイパを通るアプリケータの引き抜き方向に対して面取りされた環状のリップを形成しているワイパに関する。
【0006】
取り付け部は、ワイパを容器の開口部に取り付けるように構成される。これが、容器に収容された製品をアプリケータに含浸させるために、容器へのアプリケータの挿入および容器からのアプリケータの引き抜きが可能な開口部であることが理解されよう。ワイパを、アプリケータが開口部を通って引き抜かれるときにアプリケータがワイパも通過するように、容器に取り付けることができる。
【0007】
さらに、ワイパの形状、とくには拭き取りスリーブの管状の形状が、アプリケータがワイパをどのような様相で通過するかを制限する。したがって、ワイパの形状が、とくにはアプリケータの従来の形状および寸法を考慮して、ワイパを通るアプリケータの挿入および引き抜き方向を本質的に規定する。挿入の方向および引き抜き方向は、一般に、同一直線上にあり、これらの用語は、明示的に別段の指定がなく、あるいは文脈に照らして異なる場合を除き、以下では入れ換え可能に使用される。例えば、引き抜き方向は、ワイパの軸、または拭き取りスリーブの軸に実質的に一致してよく、ワイパの幾何学的形状およびアプリケータの従来の構成では、最大でもこの軸の周囲の限られた移動しかできない。
【0008】
用語「スリーブ」は、管状の要素を意味すると理解される。ワッシャと対照的に、スリーブは、管の軸に沿った寸法が、この軸を横切る方向の厚さと比べて大きい。例えば、軸に沿った拭き取りスリーブの寸法は、5mm(ミリメートル)~20mmの間であってよい。例えば、軸を横切る方向の拭き取りスリーブの厚さは、0.3mm~2mmの間であってよい。
【0009】
拭き取りスリーブの一端に形成されたリップは、アプリケータがワイパを通過するためのオリフィスを画定する。オリフィスは、面取り部であり、引き抜き方向に直交する平面に対し、かつ/またはワイパの軸もしくはスリーブの軸にさえも直交する平面に対して、傾斜している。簡略化のために、以下では「面取りされたリップ」という用語が使用される。
【0010】
上述のワイパにおいては、拭き取りスリーブの可撓性と面取り部が設けられたリップとが相互作用して、アプリケータをより良好に拭い、すなわち、リップの面取りされた形状ゆえに、アプリケータが引き抜き方向に沿って拭き取りスリーブを通過する際に、リップの遠位部が、拭き取りスリーブ全体の変形に応じて、アプリケータの端部をこすり、本来ならばアプリケータ上に残り得る製品の液滴を除去する。さらに、その可撓性ゆえに、拭き取りスリーブは、拭き取られるアプリケータの形状へと可能な限り変形または適合することができる。1つの可能な動作によれば、アプリケータの通過時に、拭き取りスリーブは内側へと変形することができ、これにより、アプリケータの形状に可能な限りぴったりと追従し、過剰な製品を容器の内部へと退けることができ、この特定の種類の変形は、「ソックス(sock)効果」として知られることがある。
【0011】
同時に、取り付け部の可撓性が拭き取りスリーブよりも低いという事実ゆえに、アプリケータがワイパを通過するときに、容器へのワイパの取り付けを効果的に維持することができる。
【0012】
いくつかの実施形態において、拭き取りスリーブは、リップの方向に先細りである円錐台形状の部分を備え、リップは、円錐台形状の部分の端部によって画定される。例えば、円錐台形状の部分を、40°~140°、または45°~120°の間の先端部の角度を有する円錐によって画定することができる。円錐の軸は、ワイパの軸に対して傾斜していてよく、これは、オリフィスの位置および向きを正確に規定することを可能にする。円錐台形状の部分の存在は、ソックス効果を得るための拭き取りスリーブの変形の能力を向上させる。さらに、拭き取りスリーブの傾斜した壁は、ワイパによって拭い取られた過剰な製品を容器に向かって流すうえで有利である。
【0013】
いくつかの実施形態において、リップは、断面において、凸状のオリフィスを画定する。凸状のオリフィスは、オリフィスに属する任意の2点について、これら2点を結ぶ線分がオリフィス内に完全に含まれるようなオリフィスである。これは、リップの変形を容易にし、リップがアプリケータをより良好に擦ることを可能にする。例えば、オリフィスは、円形または楕円形であってよい。
【0014】
いくつかの実施形態において、拭き取りスリーブは、リップに隣接する壁を備え、壁の厚さは、0.7mm未満、好ましくは0.5mm未満である。随意により、壁の厚さは、0.1mm、好ましくは0.3mmよりも大きくてもよい。これにより、壁およびリップの変形が容易である。
【0015】
いくつかの実施形態において、この壁は、その厚さとは無関係に、ショアAで30~60の間の硬度を有する。
【0016】
いくつかの実施形態において、リップは、引き抜き方向と10°~80°の間、好ましくは20°~70°の間、好ましくは30°~60°の間、好ましくは約45°の角度を形成する平面内に含まれる。
【0017】
いくつかの実施形態において、取り付け部は、第1の材料で作られ、拭き取りスリーブは、第1の材料よりも硬度および/または剛性が低い第2の材料で作られる。これは、拭き取りスリーブの変形をさらに容易にし、アプリケータの損傷を防止する。硬度を、ショア尺度またはビッカース尺度で測定することができる。剛性を、ヤング率を用いて測定することができる。
【0018】
いくつかの実施形態においては、引き抜き方向における拭き取りスリーブ最大長さ(より詳しくは、拭き取りスリーブを取り付け部に締結する部分を除く上述の円錐台形状の部分の長さ)が、前記方向を横切る拭き取りスリーブの最大の内側半径よりも大きい。これらの特徴ゆえに、拭き取りスリーブは、変形によって、アプリケータの最も中央の部分へと最後まで到達することができ、これが拭き取りの有効性を高める。
【0019】
いくつかの実施形態において、リップによって画定されるオリフィスは、2~8mmの間、好ましくは3~7mmの間、さらに好ましくは4~6mmの間、好ましくは約5mmの直径を有する。この寸法は、好ましくはオリフィスの平面内で測定され、オリフィスは平坦または本質的に平坦である。オリフィスが円形ではなく、任意の形状、例えば楕円形または長円形である場合、オリフィスの直径は、例えばオリフィスの最大寸法および/または最小寸法、あるいはオリフィスの任意の寸法など、オリフィスの任意の寸法を指す。
【0020】
さらに、本開示は、開口部を有する容器と、塗布部材が設けられたステムを有するアプリケータと、容器の開口部に取り付けられた上記定義のワイパとを備える液状またはペースト状製品を塗布するためのアセンブリに関する。好ましくは、ワイパは、拭き取りスリーブが取り付け部よりもさらに容器の内側に位置するように、容器に取り付けられる。これにより、容器内の製品をより良好に保存することができる。
【0021】
いくつかの実施形態において、引き抜き方向を横切る拭き取りスリーブの最小内径は、ステムの断面の直径よりも小さい。したがって、ステムがオリフィスに位置するとき、拭き取りスリーブの少なくとも一部分がステムを締め付け、ステムに沿って製品を掻き取ることができる。拭き取りスリーブの形状に応じて、引き抜き方向を横切る拭き取りスリーブの最小内径に、リップ、または拭き取りスリーブのうちのリップから離れた部分のレベルにおいて到達することができる。
【0022】
いくつかの実施形態において、塗布部材は、ステムの軸に対して偏心しており、あるいはオリフィスが、引き抜き方向に対して偏心している。ステムの軸は、一般に、引き抜き方向に一致する。ワイパのオリフィスが引き抜き方向に対して中心にあるとき、塗布部材が偏心しているという事実は、塗布部材が拭き取りスリーブ、とくにはリップの一方側と、より密接に協働することを可能にする。これは、アプリケータの通過時の拭き取りスリーブの変形をより大きくし、したがってワイパの有効性を高める。この協働を、ワイパのオリフィスが引き抜き方向に対して偏心している場合にも得ることができ、その場合、塗布部材はステムの軸に沿っていてよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、塗布部材は、その断面に凹部を有する。この凹部は、製品の保存として機能することができる。具体的には、塗布部材の周りで変形してピンと張られたワイパのリップが、蓄えを形成している凹部に進入することがなく、したがって余分の製品を保持しておくことができる。余分の製品を、アプリケータが使用されるにつれて徐々に塗布部材へともたらすことができ、したがってアプリケータの過度に頻繁な補充が回避される。
【0024】
いくつかの実施形態において、アプリケータは、ステムを横切る方向にステムよりも大きい少なくとも1つの寸法を有する。したがって、塗布部材の拭き取りは、ステムの拭き取りよりもさらに密接に行われる。さらに、塗布部材は、たとえステムが拭き取りスリーブのソックス効果による変形を引き起こさなくても、そのような変形を引き起こしやすい。これは、より良好な拭き取りをもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明およびその利点は、非限定的な例として与えられる実施形態の以下の詳細な説明を検討することで、よりよく理解されるであろう。この説明は、添付の図面を参照する。
【0026】
図1図1は、一実施形態によるワイパの斜視図である。
【0027】
図2図2は、図1のワイパの底面図である。
【0028】
図3図3は、図2の平面III-IIIに沿った断面図である。
【0029】
図4図4は、図1のワイパの分解斜視図である。
【0030】
図5図5は、容器に取り付けられ、一実施形態によるアプリケータと協働する図3のワイパを示している。
【0031】
図6図6は、図5のアプリケータの側面図である。
【0032】
図7図7は、図6の平面VII-VIIに沿ったアプリケータの斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1図4を参照して、一実施形態によるワイパを説明する。明示的に別段の記載がなく、あるいは文脈に鑑みてそのようでないことが明らかでない限り、本開示のアセンブリにおいて、ワイパ10は、静止時、すなわち肉眼で知覚可能な変形を引き起こす力が存在していない状態について説明される。
【0034】
図1は、液状またはペースト状製品のアプリケータを拭うように構成されたワイパ10を斜視図にて示している。図示のとおり、ワイパ10は、軸Xを中心とするおおむね管状であり、あるいは環状ですらある形状を有する。ワイパ10の軸Xは、軸方向を規定し、軸方向は、アプリケータがワイパ10を通って引き抜かれる方向でもある。半径方向が、この軸Xに垂直かつこの軸Xを切断する方向である。同様に、軸平面が、ワイパの軸Xを含む平面であり、半径方向平面が、この軸Xに垂直な平面である。円周が、半径方向平面に属する円として延び、その中心は、ワイパの軸Xに属する。接線方向または円周方向が、円周に接する方向であり、ワイパの軸Xに対して垂直であるが、軸Xを通過することはない。
【0035】
とくに明記されず、あるいは範囲から逸脱しない限り、「内側」および「外側」という形容詞は、半径方向に関連して使用され、したがってある要素の内側部分は、半径方向に沿って、同じ要素の外側部分と比べ、ワイパの軸Xにより近い。
【0036】
すでに示したように、ワイパ10は、取り付け部20と、拭き取りスリーブ30とを備える。
【0037】
この実施形態において、取り付け部は、本体28を備える。本体28は、軸Xを中心にして環状であり、ここでは実質的に円筒形であり、回転対称性を有する。
【0038】
この実施形態において、取り付け部20は、典型的には本体28のうちの拭き取りスリーブ30とは反対側の軸方向端部に、ここでは半径方向外側に突出しているフランジ22を備える。図5に示されるように、フランジ22は、取り付け部20を容器50の開口部56に係合させるための軸方向ストッパを形成する。フランジ22は、環状であってよい。
【0039】
取り付け部20は、この実施形態において、本体28のうちの拭き取りスリーブ30とフランジ22との間に位置する部分に、本体28の外側に半径方向に突出するシーム24をさらに備える。図5に示されるように、シーム24は、取り付け部20を容器50の首部54に保持するために、例えば締め付けまたはラッチングによって容器50の首部54と協働するように意図される。
【0040】
したがって、より一般的には、取り付け部20が、ワイパ10を容器50の開口部56に取り付けるように構成されることが、理解されるであろう。この場合、取り付け部は、ここでは首部54である開口部56の縁部と協働して、ワイパ10を、その少なくとも大部分、または図示のようにそのすべてにわたって、開口部56の内側、ここでは首部54に収容された状態に保つ。このようにすることにより、アプリケータ60は、開口部56を通って挿入され、あるいは開口部56を通って引き抜かれるとき、ワイパ10も通過する。
【0041】
取り付け部20は、前述した形態とは別の形態をとることもでき、例えば、1つ以上の取り付けラグの形態をとることができる。
【0042】
拭き取りスリーブ30は、ここでは取り付け部20のうちのフランジ22とは反対側の軸方向端部において、取り付け部20に接続される。
【0043】
この実施形態において、拭き取りスリーブ30は、締結部32を備える。締結部32は、軸Xを中心にして環状であり、実質的に回転対称性を有する。
【0044】
この実施形態において、締結部32は、ここでは軸Xを中心にして実質的に円錐台形状の壁34によって延在する。壁34は、半径方向の開口部を備えないという意味で、中実であってよい。壁34は、締結部32から、リップ38を形成する壁34の反対側の端部に行き着くまで、軸方向において先細りであってよい。したがって、リップ38は、拭き取りスリーブ30のうちの取り付け部20とは反対側の端部に位置する。リップ38は、環状であり、軸Xの周りを途切れることなく延びる。したがって、リップ38は、アプリケータを通過させるためのオリフィス40を画定する。したがって、前述のように、拭き取りスリーブ30は管状である。この場合、拭き取りスリーブ30の軸は、ワイパ10の軸Xと同一直線上にある。
【0045】
前述のように、オリフィス40は、ワイパ10を通るアプリケータの引き抜き方向に対して面取りされている。この場合、引き抜き方向はワイパ10の軸Xと同一直線上にあり、リップ38およびオリフィス40は、図3から明らかなように、ワイパの軸Xに直交する平面に対して傾けられている。リップ38は、この実施形態のように、平面内に含まれてよく、あるいは実質的に平面内に含まれてよく、後者の場合、リップ38を実質的に含む平面は中央平面と呼ばれる。典型的には、引き抜き方向Cとリップ38の平面(あるいは、該当する場合にはリップ38の中央平面)とが、両者の間に、90°とは異なり、好ましくは0°とも異なり、例えば10°~80°の間であり、例えば図示のように約45°である角度Aを形成する。
【0046】
面取りされたリップ38は、リップ38のうちの取り付け部20に最も近い部分である近位端38aと、リップ38のうちの取り付け部20から最も遠い部分である遠位端38bとを有する。
【0047】
オリフィス40は、オリフィス40が属する平面内で円形であってよい。例えば、オリフィスは、直径5mmのディスクであってよい。その傾きゆえに、開口部は、軸Xを横切る図において、図2に示されるように楕円形に見える。反対に、オリフィス40は、オリフィス40の平面において楕円形であってよく、そのような楕円形の軸Xに沿った直交投影は、円形であっても、円形でなくてもよく、この実施形態においては、図2の図と同様の図から円が見えると考えられる。より一般的には、オリフィス40を凸状にすることができる。凸状の形状が、任意の2点がこの形状に属する場合に、これら2点を結ぶ線分もこの形状に属するような形状であることを、思い出されたい。
【0048】
壁34を、図3に示されるように、拭き取りスリーブ30、または壁34の引き抜き方向Xにおける最大長さLが、この方向Xに対して横方向の拭き取りスリーブ30の最大内側半径Rよりも大きくなるような寸法にすることができる。これにより、後述されるように、リップ38の遠位端38bが、内側に変形することにより、軸Xに比較的近い部分に到達することができる。
【0049】
さらに、壁34が締結部32と比べて薄くされていることで、壁34に拭い取りを果たすための比較的高い可撓性が付与され、締結部32には取り付け部20との接続を成功させるための比較的高い剛性が付与されることに、留意されたい。例えば、壁34は、締結部32の少なくとも2倍の薄さであってよく、あるいは少なくとも3倍の薄さであってもよい。さらに、壁34は、ここでは実質的に一定の厚さを有する。
【0050】
締結部32および壁34は、接合部33において交わる。この実施形態において、接合部33は、締結部32と壁34との間の連続的な移行をもたらす。接合部33は、以下の変化、すなわち拭き取りスリーブ30の形状の変化(締結部32の全体的な円筒形状から壁34の全体的な円錐台形状へと至る)、拭き取りスリーブ30の厚さの変化(締結部32と壁34との間の厚さの少なくとも2分の1への減少)、および拭き取りスリーブ30の可撓性の変化(ここでは、本質的に厚さの変化に関連する)のうちの少なくとも1つを規定することができる。
【0051】
図4に示されるように、取り付け部20は、この実施形態においては、拭き取りスリーブ30とは別の部品である。この場合、取り付け部20は、第1の材料で構成され、拭き取りスリーブ30は、第1の材料よりも硬度および/または剛性が低い第2の材料で構成される。したがって、拭き取りスリーブ30は、取り付け部20よりも可撓性が高い。例えば、取り付け部20を、以下の材料、すなわち低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンのうちの少なくとも1つで構成することができる。さらに、拭き取りスリーブ30を、エラストマーで構成することができ、典型的には熱可塑性エラストマーで構成することができる。拭き取りスリーブ30の材料を、その硬度がショアAで30~60の間であるように選択することができる。
【0052】
取り付け部20および拭き取りスリーブ30を、例えば組み立てなど、任意の既知の適切な手段によって互いに接続することができる。さらに、拭き取りスリーブ30を、取り付け部20の延長部に見出すことができる。この実施形態においては、拭き取りスリーブ30が最初に製造され、次いで、取り付け部20が拭き取りスリーブ30上にオーバーモールドされる。オーバーモールドは、それ自体は既知であるが、取り付け部20と拭き取りスリーブ30との間に化学結合を形成する。拭き取りスリーブ30の取り付け部20の分離の恐れをさらに抑えるために、前述とは独立して、取り付け部20と拭き取りスリーブ30との間に1つ以上の機械的係合を設けることができる。図3および図4に示されるように、軸方向の係合が、ここでは追加の環状の半径方向リブによって可能にされる一方で、円周方向の係合が、ここでは拭き取りスリーブのドグ36と取り付け部20に対応する開口部26との協働によって可能にされる。ドグ36および開口部26が、半径方向成分および円周方向成分を有することに留意されたい。しかしながら、一方または他方のみを提供することも可能であると考えられる。壁34の拭い取りの機能を妨げることがないように、拭き取りスリーブ30を係合させるためのシステム、すなわちリブおよびドグ36を、むしろ締結部32に設けるべきである。
【0053】
しかしながら、別の実施形態によれば、取り付け部20および拭き取りスリーブ30は、1つの同じ部品の2つの部分を形成することができる。この場合、取り付け部20と拭き取りスリーブ30との間の可撓性の差を、厚さの差または当業者によって適切であると認識される任意の他の方法によって得ることができる。
【0054】
図5が、容器50と、アプリケータ60と、上述のワイパ10とを備える、液状またはペースト状製品を塗布するためのアセンブリを断面にて概略的に示している。ここで、容器はボトルであり、本体52と、開口部56を画定する首部54とを備えている。より一般的には、開口部を有する任意の容器を使用することができる。前述のように、ワイパ10は、容器50の開口部56に取り付けられる。より正確には、この場合に、ワイパ10は首部54の内側に取り付けられ、したがって首部54は、取り付け部20の本体28とフランジ22との間に形成された肩部のストッパに収容される。
【0055】
アプリケータ60は、塗布部材64を備えたステム62を備え、塗布部材64は、ここではステム62の一端に設けられている。この実施形態において、塗布部材64は、横から見たとき、水滴の全体的形状であり、水滴の先端はステム62とは反対側に位置する。しかしながら、当業者であれば、他の形状も選択可能である。さらに、塗布部材64は、図6に見られるように、ステムの軸Yに対して偏心している。塗布部材64の構成物を、容器50に収容された液状またはペースト状製品を吸収するように準備することができ、例えば、塗布部材64は、少なくとも部分的に多孔質材料を含むことができる。これに代え、あるいはこれに加えて、塗布部材64はフロック加工されてもよい。
【0056】
次に、アプリケータ60を容器50から引き抜く動作の最中のアプリケータ60とワイパ10との協働を、図5および図7を参照して説明する。
【0057】
初期位置において、アプリケータ60は、ワイパ10がステム62と協働するように、容器50に挿入される。とくには、引き抜き方向Xを横切る拭き取りスリーブ30の最小の内径Dを、ステム62の断面の直径よりも小さくすることができる。図2に示されるように、ここで、最小の内径Dは、引き抜き方向Xに平行に投影したオリフィス40の最小直径に対応する。このようにして、拭き取りスリーブ30は、ステム62上に残る製品を掻き取ることができるだけでなく、さらに、ステム62の周囲における拭き取りスリーブ30の変形が、引き抜き方向Xがステムの軸Yと同一直線上に位置するように、ステム62をワイパ10に対して中心に位置させる効果を有する。
【0058】
アプリケータ60が引き抜き方向Xに引き抜かれるにつれて徐々に、ワイパ10のリップ38が塗布部材64と接触する。この実施形態において、塗布部材64は、ステム62の横寸法よりも大きく、したがって必然的に拭き取りスリーブの最小内径Dよりも大きい横寸法を有する。したがって、リップ38は、塗布部材64を適切に擦ることができる。
【0059】
塗布部材64とリップ38との間の相対的な向きに応じて、リップ38の近位端38aが、拭き取りスリーブ30の内側に向かって反転することができ、かつ/またはリップ38の遠位端38bが、拭き取りスリーブ30の内側に向かって反転することができる。リップ38のうちの近位端38aと遠位端38bとの間の内側部分は、近位端38aおよび遠位端38bの位置に応じて、多少なりとも反転した位置をとる。このようにして、さまざまな程度のソックス効果を得ることができる。リップ38および拭き取りスリーブ30の変形の一例が、図5に概略的に示されている。
【0060】
塗布部材64の遠位端66または先端がオリフィス40に到達すると、拭き取りスリーブ30と塗布部材との間の協働が変化し、リップ38が面取りされているため、主として近位端38aが塗布部材64に接触する。近位端38aにおけるリップ38の変形が、リップ38に沿った力の分配によって、遠位端38bを近位端38aに向かって引っ張る。したがって、ピンと張られた遠位端38bが、ワイパ10の軸Xに近付き、これにより、塗布部材64の端部に形成され得る製品の液滴を掻き取ることができる。このようにして、塗布部材64が正しく拭われる。
【0061】
図7が、すでに示したように、塗布部材64が、断面において、ここでは塗布部材64のまさにその形状によって形作られる凹部68を備えてもよいことを示している。図7に示されるように、塗布部材64が開口部40を通過するとき、リップ38はアプリケータの周りで変形する。断面が図7に点線で概略的に示されているリップ38は、ピンと張られているため、凹部68に進入することがない。したがって、製品の保存を、塗布部材64自体に保持しておくことができる。
【0062】
この説明は、特定の例示的な実施形態に言及しているが、特許請求の範囲によって規定される本発明の一般的な範囲から逸脱することなく、これらの例に修正を加えることが可能である。とくには、図示/上述されたさまざまな実施形態の個々の特徴を、さらなる実施形態において組み合わせてもよい。したがって、本明細書および図面は、限定の意味ではなく、例示の意味で考慮されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7