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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】誘導システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20240910BHJP
   G05D 1/46 20240101ALI20240910BHJP
【FI】
G05D1/43
G05D1/46
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022160204
(22)【出願日】2022-10-04
(65)【公開番号】P2024053777
(43)【公開日】2024-04-16
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135792
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 公孝
(72)【発明者】
【氏名】卯路 彰
【審査官】牧 初
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-118330(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0186964(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00-1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレータが操作する有人搬送車と、
空中停止可能な複数台の無人飛行体と、
前記無人飛行体を制御する管理装置と、
前記有人搬送車の車両位置と荷役位置との間に誘導路を生成する誘導路生成部と、
前記誘導路上で前記複数台の無人飛行体が空中停止する位置を決定する配置決定部と、
所定の状況に基づいて、前記オペレータに対して前記有人搬送車の走行に関して警報する警報部と、を備える
ことを特徴とする誘導システム。
【請求項2】
前記誘導システムは、さらに、前記誘導路上に空中停止している所定の前記無人飛行体に近い対象物を検知する検知部を備え、
前記警報部は、前記検知部の検知結果に基づいて、前記対象物が前記所定の無人飛行体に近いことを前記オペレータに警報するよう構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の誘導システム。
【請求項3】
前記警報部は、複数の前記有人搬送車を誘導するための前記誘導路が重なるとき、前記各有人搬送車が衝突しないよう前記オペレータに警報するよう構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の誘導システム。
【請求項4】
前記警報部は、前記無人飛行体を発光することで前記オペレータに警報するよう構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の誘導システム。
【請求項5】
前記警報部は、前記無人飛行体が投影する誘導画像を用いて前記オペレータに警報するよう構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の誘導システム。
【請求項6】
前記配置決定部は、前記無人飛行体が前記荷役位置の高さに配置されるよう前記無人飛行体の空中停止位置を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の誘導システム。
【請求項7】
前記管理装置は、前記荷役位置の高さが棚の最下段の高さに相当するとき、前記無人飛行体が発光するように制御する
ことを特徴とする請求項6に記載の誘導システム。
【請求項8】
前記管理装置は、前記荷役位置の高さが棚の最下段の高さに相当するとき、前記無人飛行体が天井に向けて誘導画像を投影するように制御する投影指示部を備える
ことを特徴とする請求項6に記載の誘導システム。
【請求項9】
前記配置決定部は、前記有人搬送車を操作するオペレータの目に相当する位置と前記荷役位置の位置とを結ぶ直線上に前記無人飛行体の空中停止位置を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の誘導システム。
【請求項10】
前記管理装置は、前記無人飛行体が路面に向けて誘導画像を投影するように制御する投影指示部を備える
ことを特徴とする請求項9に記載の誘導システム。
【請求項11】
前記管理装置は、前記無人飛行体が天井に向けて誘導画像を投影するように制御する投影指示部を備え、
前記配置決定部は、前記有人搬送車と、前記有人搬送車に最も近い前記無人飛行体との間の距離が所定長さになるように前記無人飛行体を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の誘導システム。
【請求項12】
前記管理装置は、前記無人飛行体が路面又は天井に向けて誘導画像を投影するように制御する投影指示部を備え、
前記無人飛行体の高さに応じて前記誘導画像のピントを調整するフォーカス調整を行うように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の誘導システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有人搬送車と無人飛行体とを備えた誘導システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫等の施設内で使用される有人搬送車(例えば、フォークリフト)は、オペレータが搭乗及び操作することで動作するように構成されている。フォークリフトは、フォークを使って荷物を荷取り及び荷置きの荷役を行うように構成されている。
【0003】
ところで、オペレータが操作する有人搬送車と、空中停止可能な一台の無人飛行体と、無人飛行体を制御する管理装置と、を備える誘導システムが知られている(特許文献1等参照)。
【0004】
誘導システムにおいて、無人飛行体は、路面に対して誘導画像を投影するプロジェクタを備えている。誘導画像は、例えば、特定した方向を指し示す矢印が表示されており、有人搬送車の前方の路面に投影される。これにより、有人搬送車を操作中のオペレータは、誘導画像を確認することで、荷役位置に誘導されるように構成されている。
【0005】
ところで、従来の誘導システムでは、一台の無人飛行体が投影する1つの誘導画像に基づいて有人搬送車を誘導するので、有人搬送車を操作するオペレータが荷役位置までの距離及び方向等を直感的に認識することが難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-52629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、有人搬送車を誘導するための無人飛行体を複数台使用して、有人搬送車を操作するオペレータが荷役位置までの距離及び方向等を直感的に認識することができる誘導システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る誘導システムは、オペレータが操作する有人搬送車と、空中停止可能な複数台の無人飛行体と、無人飛行体を制御する管理装置と、有人搬送車の車両位置と荷役位置との間に誘導路を生成する誘導路生成部と、誘導路上で複数台の無人飛行体が空中停止する位置を決定する配置決定部と、所定の状況に基づいて、オペレータに対して有人搬送車の走行に関して警報する警報部と、を備えている。
【0009】
誘導システムは、さらに、誘導路上に空中停止している所定の無人飛行体に近い対象物を検知する検知部を備えていることが望ましい。そして、警報部は、検知部の検知結果に基づいて、対象物が所定の無人飛行体に近いことをオペレータに警報するよう構成されている。
【0010】
好ましくは、警報部は、複数の有人搬送車を誘導するための誘導路が重なるとき、各有人搬送車が衝突しないようオペレータに警報するよう構成されている。
【0011】
また、警報部は、無人飛行体を発光することでオペレータに警報するように構成されてもよい。
【0012】
また、警報部は、無人飛行体が投影する誘導画像を用いてオペレータに警報するように構成されてもよい。
【0013】
また、配置決定部は、無人飛行体が荷役位置の高さに配置されるよう無人飛行体の空中停止位置を決定してもよい。
【0014】
好ましくは、配置決定部は、無人飛行体が荷役位置の高さに配置されるよう無人飛行体の空中停止位置を決定する。また、管理装置は、荷役位置の高さが棚の最下段の高さに相当するとき、無人飛行体が発光するように制御する。
【0015】
好ましくは、配置決定部は、無人飛行体が荷役位置の高さに配置されるよう無人飛行体の空中停止位置を決定する。また、管理装置は、荷役位置の高さが棚の最下段の高さに相当するとき、無人飛行体が天井に向けて誘導画像を投影するように制御する投影指示部を備える。
【0016】
配置決定部は、有人搬送車を操作するオペレータの目の高さと荷役位置の高さとを結ぶ直線上に無人飛行体の空中停止位置を決定することが望ましい。
【0017】
配置決定部は、有人搬送車を操作するオペレータの目に相当する高さと荷役位置の高さとを結ぶ直線上に無人飛行体の空中停止位置を決定してもよい。さらに、管理装置は、無人飛行体が路面に向けて誘導画像を投影するように制御する投影指示部を備える。
【0018】
好ましくは、管理装置は、無人飛行体が天井に向けて誘導画像を投影するように制御する投影指示部を備えている。さらに、配置決定部は、有人搬送車と、有人搬送車に最も近い無人飛行体との間の距離が所定長さになるように無人飛行体を制御する。
【0019】
また、管理装置は、無人飛行体が路面又は天井に向けて誘導画像を投影するように制御する投影指示部を備えており、無人飛行体の高さに応じて誘導画像のピントを調整するフォーカス調整を行うように制御してもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る誘導システムは、有人搬送車の車両位置と荷役位置との間で生成された誘導路上に複数台の無人飛行体を空中停止することによって、有人搬送車を操作するオペレータが荷役位置までの距離、位置及び方向等を直感的に認識することができる。
【0021】
さらに、所定の状況に基づいて、オペレータに対して有人搬送車の走行の注意を促すために警報することによって、オペレータは所定の状況であることを迅速に認識することができるため、有人搬送車が作業者や搬送車等に衝突する事故を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】誘導システムを示す斜視図。
図2】誘導システムを示す側面図。
図3】誘導システムを示す平面図。
図4】誘導システムを示すブロック図。
図5】第2実施形態の誘導システムを示す平面図。
図6】他の実施形態1の誘導システムを示す側面図。
図7】他の実施形態2の誘導システムを示す側面図。
図8】他の実施形態3の誘導システムを示す側面図。
図9】他の実施形態4の誘導システムを示す側面図。
図10】他の実施形態5の誘導システムを示す側面図。
図11】他の実施形態6の誘導システムを示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて、本発明に係る誘導システムの実施形態を説明する。
【0024】
<第1実施形態>
図1図4のとおり、誘導システムSは、オペレータOが操作する有人搬送車1を備える。有人搬送車1は、オペレータOが操作することで動作するように構成されている。本実施形態では、有人搬送車1は、カウンタバランス式のフォークリフトであって、オペレータOが操作することで、車体の走行、及びフォークの昇降を行うことができるように構成されている。
【0025】
誘導システムSは、工場や倉庫等の施設内に設置された複数の棚Rを備えている。棚Rは、高さ方向に複数の段部を備えており、段部の所定位置に荷物Lを収納できるように構成されている。有人搬送車1は、棚Rの所定位置に対して荷物Lを荷置き及び荷取りして荷役を行う。棚Rは、有人搬送車1が走行及び荷役を行うことができるように、所定幅の間隔を置いて配置されており、各棚Rの間に通路Pが形成されている(図1図3)。
【0026】
誘導システムSは、空中停止可能な複数台の無人飛行体2を備える。無人飛行体2は、ドローンと呼ばれており、複数本のアームの各先端側に設けられた回転翼の回転によって、所定の空中停止位置まで飛行すると共に、所定の空中停止位置でホバリング可能なように構成されている。
【0027】
誘導システムSは、無人飛行体2を制御するための管理装置3を備える(図4)。管理装置3は、記憶部30を備えている。記憶部30は、施設内に設置された棚R及び通路P、施設内に配置された荷物L等によって構成されるマップMが記憶されている。
【0028】
さらに、記憶部30は、有人搬送車1によって行われるタスクTが荷役スケジュールJとして記憶されている。即ち、荷役スケジュールJは、所定の棚Rの所定場所から荷物Lを荷取りするタスクT1、所定の棚Rの所定場所に荷物Lを荷置きするタスクT2、出荷場所に荷物Lを荷置きするタスクT3、入荷場所から荷物Lを荷取りするタスクT4等の複数のタスクTが、所定の順序に従って設定されている。また、荷役タスクTは、荷物Lの位置情報、荷物Lに対する荷役(荷取り又は荷置き)情報が含まれている。
【0029】
管理装置3は、荷役指示部34を備えており、荷役指示部34が、記憶部30から送信される荷役スケジュールJのタスクTを有人搬送車1の運転席に設けられた表示部11に表示するように構成されている。
【0030】
表示部11は、例えば、タッチパネルディスプレイで構成されている。荷役指示部34は、有人搬送車1が行うべきタスクTを表示部11に表示する。オペレータOは、表示部11に表示されたタスクTに従って、有人搬送車1を操作して荷役を行う。タスクTが終了すると、オペレータOは、表示部11に表示された終了ボタンを押して、終了信号が荷役指示部34に送信される。荷役指示部34は、終了信号を受信すると、次に有人搬送車1が行うべきタスクTを表示部11に表示するように構成されている。
【0031】
有人搬送車1は、位置検出部10を備えている。位置検出部10は、レーザーセンサ、GPSセンサ、電磁誘導センサ等で構成されている。位置検出部10は、有人搬送車1の車両位置D1を検出するように構成されている。
【0032】
管理装置3は、誘導路生成部31を備えている。誘導路生成部31は、位置検出部10から送信される有人搬送車1の車両位置D1の情報と、記憶部30から送信される施設マップMと、記憶部30から送信される荷役スケジュールJのタスクTとに基づいて、有人搬送車1の車両位置D1と荷役位置D2との間の誘導路4を生成する。荷役位置D2は、タスクTにおいて有人搬送車1が荷取り及び荷置きする通路P上の位置である(図3)。
【0033】
図3のとおり、誘導路生成部31は、例えば、車両位置D1と荷役位置D2とを通路P上で結ぶ誘導路4を生成するように構成されている。誘導路4は、例えば、有人搬送車1の走行距離が最短となるよう設定される。本実施形態では、図3のとおり、誘導路4は、第1直線部41、屈曲部40、第2直線部42で構成されている。
【0034】
無人飛行体2は、位置検出部20を備えている。位置検出部20は、GPSセンサ、ジャイロセンサ、超音波センサ、レーザーセンサ、気圧センサ、コンパス、加速度センサ等で構成されており、無人飛行体2の位置を検出することができる。
【0035】
無人飛行体2は、飛行制御部21を備えている。飛行制御部21は、回転翼の回転を制御するように構成されている。無人飛行体2は、位置検出部20の検出結果と飛行制御部21の制御とに基づいて、誘導路4上の所定の空中停止位置まで飛行して、空中停止位置で空中停止するようにホバリングすることができる。
【0036】
配置決定部32は、さらに、誘導路4上で無人飛行体2がホバリングする空中停止位置を決定するよう構成されている。図3のとおり、本実施形態では、無人飛行体2は、誘導路4の第1直線部41及び第2直線部42上で等間隔に空中停止してホバリングすると共に、誘導路4の屈曲部40上に配置される屈曲位置D3、誘導路4上に配置される荷役位置D2で空中停止してホバリングする。
【0037】
誘導路4上の屈曲位置D3は、有人搬送車1が曲がる重要な位置であることから、屈曲位置D3に無人飛行体2が空中停止してホバリングすることで、オペレータOは、重要な位置である屈曲位置D3を素早く把握することができる。また、誘導路4上の荷役位置D2は、有人搬送車1が荷役作業を行う重要な位置であることから、荷役位置D2に無人飛行体2が空中停止してホバリングすることで、オペレータOは、重要な位置である荷役位置D2を素早く把握することができる。
【0038】
無人飛行体2は、記憶部22を備えている。記憶部22は、誘導画像200を記憶している。誘導画像200は、例えば、有人搬送車1を荷役位置D2に誘導するための矢印等で構成されており、荷役位置D2に応じて矢印の向きが異なるように構成されている(図3)。
【0039】
無人飛行体2は、投影部23を備えている。投影部23は、例えば、プロジェクタ等で構成されており、施設の通路Pに、記憶部22に記憶された誘導画像200を投影することができる(図1図3)。
【0040】
管理装置3は、投影指示部33を備えている。投影指示部33は、誘導路生成部31からの誘導路4に応じて、路面Pに投影すべき誘導画像200を決定して、無人飛行体2の投影部23に投影の指示を送るよう構成されている。
【0041】
オペレータOは、通路P上に投影された誘導画像200を目視し、誘導画像200に沿って有人搬送車1を荷役位置D2まで走行して、表示部11に表示されたタスクTに従って有人搬送車1を操作して荷物Lに対して荷役作業を行うことができる。
【0042】
誘導システムSでは、有人搬送車1の車両位置D1と荷役位置D2との間で生成された誘導路4上に複数台の無人飛行体2を空中停止してホバリングすることによって、有人搬送車1を操作するオペレータOは、荷役位置D2までの距離及び方向等を直感的に認識することができる。
【0043】
図4の通り、無人飛行体2は、同一施設内で歩行及び作業する作業者や、走行及び荷役する無人搬送車等の対象物5を検知する検知部24を備えている。検知部24は、例えば、レーザーセンサ、超音波センサ等で構成されており、予め設定された所定範囲内に対象物5が侵入したときに検知するようになっている。そのため、無人飛行体2に設けられた検知部24が対象物5を検知することによって、誘導路4上に空中停止している所定の無人飛行体2に近い対象物5を検知することができる。
【0044】
また、無人飛行体2は、対象物5が無人飛行体2に近いことをオペレータOに警報する警報部25を備えている。図1図3の通り、警報部25は、検知部24の検知結果に基づいて、発光装置(不図示)によって無人飛行体2自体を発光及び/又は点滅することでオペレータOに警報するように構成されていたり、投影部23によって無人飛行体2が投影する誘導画像200を点滅したり、オペレータOが対象物5の存在に気づくように誘導画像200を警報図柄に変化したり警報文字に変化したりすることでオペレータOに警報するように構成されている。
【0045】
このように、施設内を歩行及び作業する作業者や、走行及び荷役する無人搬送車等の対象物5が所定の無人飛行体2に近いときに、有人搬送車1を操作するオペレータOに対して、対象物5が所定の無人飛行体2に近いことを警報することによって、オペレータOは通路P上の対象物5の存在を迅速に認識することができるため、有人搬送車1が対象物5に衝突する事故を最小限に抑制することができる。
【0046】
<第2実施形態>
図5に基づいて、誘導システムSの第2実施形態を説明する。なお、上記第1実施形態と同一構成については、重複説明を避けるために省略する。
【0047】
複数の有人搬送車1,1’が同一施設内を走行する場合、各有人搬送車1,1’の車両位置D1,D1’及び荷役位置D2,D2’によって、一方の有人搬送車1が荷物Lを荷役するための誘導路4と、他方の有人搬送車1’が荷物L’を荷役するための誘導路4’とが重なることがある。
【0048】
警報部25は、誘導路生成部31によって生成される各有人搬送車1,1’の誘導路4,4’が重なるとき、各有人搬送車1,1’が走行中に衝突しないようオペレータO,O’に警報するように構成されている。
【0049】
図5の通り、誘導路生成部31が一方の有人搬送車1の誘導路4を生成した後、他方の有人搬送車1’の誘導路4’を生成するとき、誘導路4’が誘導路4の一部と重なっているので、誘導路4に重なっていない誘導路4’上にのみ無人飛行体2が空中停止する。
【0050】
そして、誘導路4に重なっていない誘導路4’の端部D4’の手前で空中停止する無人飛行体2及び/又は当該無人飛行体2から照射される誘導画像200が、有人搬送車1’のオペレータO’に走行を停止するよう警報するために、発光装置(不図示)によって無人飛行体2自体を発光及び/又は点滅することで有人搬送車1’のオペレータO’に警報するように構成されていたり、投影部23によって無人飛行体2が投影する誘導画像200を点滅したり、有人搬送車1’のオペレータO’が別の有人搬送車1の存在に気づくように誘導画像200を警報図柄に変化したり警報文字に変化したりすることでオペレータOに警報するように構成されている。
【0051】
このように、複数の有人搬送車1,1’の誘導路4,4’が重なるとき、各有人搬送車1,1’が走行中に衝突しないように、有人搬送車1’を操作するオペレータO’に対して、別の有人搬送車1が近づいてくることを警報することによって、オペレータO’は別の有人搬送車1の存在に迅速に認識することができるため、有人搬送車1’が別の有人搬送車1に衝突する事故を最小限に抑制することができる。
【0052】
<他の実施形態>
図6図11に基づいて、誘導システムSにおける他の実施形態を説明する。
なお、上記第1実施形態と同様の構成については、重複説明を避けるために省略することがある。
【0053】
(実施形態1)
図6のとおり、管理装置3の配置決定部32は、無人飛行体2が荷役位置D2の高さに配置されるよう無人飛行体2の空中停止位置を決定するよう構成されてもよい。即ち、管理装置3の記憶部30は、荷役スケジュールJの各タスクTの荷役位置D2の高さ位置が記憶されている。荷役位置D2の高さ位置とは、各タスクTで荷役される荷物Lの高さである。有人搬送車1によって、荷役位置D2の高さ位置で荷物Lに対して荷取り・荷置きの荷役が行われる。配置決定部32は、各タスクTの荷役位置D2の高さ位置に相当する高さで無人飛行体2がホバリングして空中停止するように構成されている。
【0054】
有人搬送車1を操作するオペレータOは、無人飛行体2から通路P上に投影される誘導画像200に沿って有人搬送車1を走行するが、無人飛行体2の空中停止位置を目視で確認するだけで、荷役を行うべき荷物Lの高さを直感的に認識することができる。
【0055】
(実施形態2)
図7のとおり、管理装置3の配置決定部32は、無人飛行体2が荷役位置D2の高さ位置に配置されるよう無人飛行体2の空中停止位置を決定するよう構成されてもよい。そして、無人飛行体2は、発光装置(不図示)を備えており、オペレータOが無人飛行体2の位置を容易に認識できるように発光するよう構成されている。
【0056】
管理装置3の配置決定部32は、荷役位置D2の高さ位置が棚Rの最下段の高さに相当するとき、無人飛行体2が棚Rの最下段の高さに配置されるよう無人飛行体2の空中停止位置を決定する。従って、無人飛行体2は通路Pに近接する低い位置で空中停止しているため、通路P上に誘導画像200が投影されても、オペレータOが認識することが難しいことから、無人飛行体2が発光して、その結果、オペレータOが誘導路4を確実に認識することができる。
【0057】
有人搬送車1が走行して無人飛行体2に接近すると、無人飛行体2は、有人搬送車1に衝突しないよう回避飛行するよう構成されている。
【0058】
有人搬送車1を操作するオペレータOは、無人飛行体2に沿って有人搬送車1を走行することで荷役位置D2に到達できるが、無人飛行体2の空中停止位置を目視で確認するだけで、荷役を行うべき荷物Lの高さを直感的に認識することができる。
【0059】
(実施形態3)
図8のとおり、管理装置3の配置決定部32は、無人飛行体2が荷役位置D2の高さ位置に配置されるよう無人飛行体2の空中停止位置を決定するよう構成されてもよい。そして、無人飛行体2は、投影部23を備えており、投影部23は、施設の天井Cに誘導画像200を投影することができるよう構成されている。
【0060】
管理装置3の配置決定部32は、荷役位置D2の高さ位置が棚Rの最下段の高さに相当するとき、無人飛行体2が棚Rの最下段の高さに配置されるよう無人飛行体2の空中停止位置を決定する。従って、無人飛行体2は通路Pに近接して低い位置で空中停止しているため、通路P上に誘導画像200が投影されても、オペレータOは認識することが難しいことから、無人飛行体2が天井C上に誘導画像200を投影することで、オペレータOが誘導路4を確実に認識することができる。
【0061】
有人搬送車1が走行して無人飛行体2に接近すると、無人飛行体2は、有人搬送車1に衝突しないよう回避飛行するよう構成されている。
【0062】
有人搬送車1を操作するオペレータOは、無人飛行体2から天井C上に投影される誘導画像200に沿って有人搬送車1を走行することで荷役位置D2に到達できるが、無人飛行体2の空中停止位置を目視で確認するだけで、荷役を行うべき荷物Lの高さを直感的に認識することができる。
【0063】
(実施形態4)
図9のとおり、管理装置3の配置決定部32は、有人搬送車1を操作するオペレータOの目の高さと荷役位置D2の高さ位置とを結ぶ直線OS上に無人飛行体2の空中停止位置を決定するよう構成されてもよい。そして、無人飛行体2は、発光装置(不図示)を備えており、オペレータOが無人飛行体2の位置を容易に認識できるように発光するよう構成されている。
【0064】
有人搬送車1を操作するオペレータOは、無人飛行体2に沿って有人搬送車1を走行することで荷役位置D2に到達できるが、無人飛行体2の空中停止位置を目視で確認するだけで、荷役を行うべき荷物Lの高さを直感的に認識することができる。
【0065】
(実施形態5)
図10のとおり、管理装置3の配置決定部32は、有人搬送車1を操作するオペレータOの目の高さと荷役位置D2の高さ位置とを結ぶ直線OS上に無人飛行体2の空中停止位置を決定するよう構成されてもよい。そして、無人飛行体2は、投影部23を備えており、投影部23は、施設の通路Pに誘導画像200を投影することができるよう構成されている。
【0066】
有人搬送車1を操作するオペレータOは、無人飛行体2に沿って有人搬送車1を走行することで荷役位置D2に到達できるが、無人飛行体2の空中停止位置を目視で確認するだけで、荷役を行うべき荷物Lの高さを直感的に認識することができる。
【0067】
また、オペレータOは、無人飛行体2に沿って有人搬送車1を走行することができるので、誘導画像200は、荷役位置D2の方向を指す矢印で構成する必要がなく、その他の、例えば、荷役されるべき荷物Lの種類等を表示することができる。従って、オペレータOは、荷物Lの種類等に応じて、荷取り及び荷置きを行うための準備ができる。
【0068】
(実施形態6)
図11のとおり、管理装置3の配置決定部32は、無人飛行体2が荷役位置D2の高さ位置に配置されるよう無人飛行体2の空中停止位置を決定するよう構成されてもよい。そして、無人飛行体2は、投影部23を備えており、投影部23は、施設の天井Cに誘導画像200を投影することができるよう構成されている。
【0069】
管理装置3の配置決定部32は、荷役位置D2の高さ位置が棚Rの最下段の高さに相当するとき、無人飛行体2が棚Rの最下段の高さに配置されるよう無人飛行体2の空中停止位置を決定する。従って、無人飛行体2は通路Pに近接した低い位置であるため、通路P上に誘導画像200が投影されても、オペレータOが認識することが難しいことから、投影指示部33は、無人飛行体2が天井C上に誘導画像200を投影するように制御する。
【0070】
さらに、有人搬送車1と、有人搬送車1に最も近い無人飛行体2との間の距離Xが短いと、有人搬送車1を操作するオペレータOの視線が大きな角度で上方に向いて危険であることから、配置決定部32は、有人搬送車1と、有人搬送車1に最も近い誘導画像200との間の距離Xが所定長さとなって、オペレータOの視線が大きな角度で上方を向かないよう制御する。
【0071】
距離Xは、予め設定された一定長さでも良く、例えば、有人搬送車1の速度が所定速度より速いときは長くなり、所定速度より遅いときは短くなる等、有人搬送車1の速度に応じて変更されても良い。それによって、有人搬送車1を操作するオペレータOの視線が小さな角度で上方に向くので、有人搬送車1を安全に走行することができる。
【0072】
有人搬送車1が走行して無人飛行体2に接近すると、無人飛行体2は、有人搬送車1に衝突しないよう回避飛行するよう構成されている。
【0073】
有人搬送車1を操作するオペレータOは、無人飛行体2から天井C上に投影される誘導画像200に沿って有人搬送車1を走行するが、無人飛行体2の空中停止位置を目視で確認するだけで、荷役を行うべき荷物Lの高さを直感的に認識することができる。
【0074】
(実施形態7)
管理装置3の投影指示部33は、無人飛行体2が路面P又は天井Cに向けて誘導画像200を投影するときに、無人飛行体2の空中停止位置の高さに応じて、誘導画像200が路面P又は天井Cに鮮明に投影されるようピントを調整するフォーカス調整を行うように制御してもよい。
【0075】
フォーカス調整によって誘導画像200が路面P又は天井Cに鮮明に投影されることで、オペレータOは、誘導画像200を確実に認識することでき、それにより、有人搬送車1を適切に走行及び操作することができる。
【0076】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の構成はこれらの実施形態に限定されない。例えば、以下のように変更することもできる。
【0077】
上記実施形態において、作業者が施設内を歩行したり作業したりする状況、無人搬送車が施設内を走行したり荷役したりする状況、複数の有人搬送車の誘導路が重なる状況を説明したが、これらに限らず、例えば、通路Pに障害物が存在する状況、棚Rから荷物が突出している状況などに基づいて、警報部25が、オペレータOに対して有人搬送車1の走行に関して警報するように構成されてもよい。
【0078】
上記実施形態では、検知部24は、各無人飛行体2に設けられているが、棚Rにおける複数の箇所に設けられていてもよい。そして、対象物5を検知した検知部24に近い無人飛行体2が警報部25によってオペレータOに警報するように構成されている。
【0079】
また、警報部25は、対象物5に近い無人飛行体2自体の点滅を速くして、対象物5から遠い無人飛行体2自体の点滅を遅くすることで、オペレータOに対象物5までの距離を警報するようにしてもよい。
【0080】
上記実施形態では、無人飛行体2は、通路P又は天井C上に誘導画像200を投影したり、自機を発光したりして、オペレータOの視覚によって誘導路4が認識されるように構成されているが、音声、ブザー、チャイム等の音を発する音声発生部(不図示)を備えており、オペレータOの聴覚によって誘導路4が認識されるように構成されてもよい。音声発生部は、例えば、「15m先を左折です」、「30m先、目的地です」、「この先、障害物あり。ご注意ください」等の音声を発するよう構成されている。
【0081】
本発明の効果について説明する。
【0082】
誘導システムSでは、有人搬送車1の車両位置D1と荷役位置D2との間で生成された誘導路4上に複数台の無人飛行体2を空中停止することによって、有人搬送車1を操作するオペレータOが荷役位置D2までの距離、位置及び方向等を直感的に認識することができる。
【0083】
施設内を歩行したり作業したりする作業者や、走行したり荷役したりする無人搬送車等の対象物5が所定の無人飛行体2に近いときに、有人搬送車1を操作するオペレータOに対して、対象物5が所定の無人飛行体2に近いことを警報することによって、オペレータOは通路P上の対象物5の存在を迅速に認識することができるため、有人搬送車1が対象物5に衝突する事故を最小限に抑制することができる。なお、図1図2において、対象物5は作業者であって、この作業者に近い無人飛行体2を便宜的に記号2’で示している。
【0084】
また、複数の有人搬送車1,1’の誘導路4,4’が重なるとき、各有人搬送車1,1’が走行中に衝突しないように、有人搬送車1’を操作するオペレータO’に対して、別の有人搬送車1が近づいてくることを警報することによって、オペレータO’は別の有人搬送車1の存在に迅速に認識することができるため、有人搬送車1’が別の有人搬送車1に衝突する事故を最小限に抑制することができる。
【符号の説明】
【0085】
O オペレータ
1 有人搬送車
2 無人飛行体
3 管理装置
4 誘導路
5 対象物
S 誘導システム
23 投影部
24 検知部
25 警報部
31 誘導路生成部
32 配置決定部
33 撮影指示部
D1 車両位置
D2 荷役位置
D3 屈曲位置
D4 誘導路の端部
R 棚
P 路面
C 天井
200 誘導画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11