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特許7553532薬品送出デバイスのプランジャドライバのための回転抵抗摩擦アダプタ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】薬品送出デバイスのプランジャドライバのための回転抵抗摩擦アダプタ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
A61M5/315 500
A61M5/315 510
A61M5/315 512
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022192781
(22)【出願日】2022-12-01
(62)【分割の表示】P 2017177701の分割
【原出願日】2017-09-15
(65)【公開番号】P2023022239
(43)【公開日】2023-02-14
【審査請求日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】15/269,248
(32)【優先日】2016-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506361719
【氏名又は名称】ウエスト・ファーマ.サービシーズ・イスラエル,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】オズ カビリ
(72)【発明者】
【氏名】ラン ヘズキアフ
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-523292(JP,A)
【文献】特表2010-540156(JP,A)
【文献】特開2011-115345(JP,A)
【文献】特表2018-515231(JP,A)
【文献】特表2002-528676(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0093792(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溝を含むハウジングと、
軸に沿って前記溝に嵌合する薬品リザーバと、
前記薬品リザーバと係合するとともに第1の回転方向においてシャフトに対し回転する駆動部材と、
前記薬品リザーバの少なくとも一部を覆うリングと、前記リングから延在するとともに前記薬品リザーバが前記溝に内挿された際に前記薬品リザーバの外側壁に接触する複数の可撓性の放射形状要素と、を含む摩擦要素と、を備え、
前記複数の可撓性の放射形状要素は、前記駆動部材が前記薬品リザーバ上にて第1の回転方向において回転する際に、前記リングと前記外側壁との間に締め付けられるように構成及び配置され、これにより前記ハウジングに対する前記第1の回転方向における前記薬品リザーバの回転を防止し、
前記複数の可撓性の放射形状要素は第2の回転方向と比べて前記第1の回転方向における移動により増大した摩擦抵抗力を有する薬品送出デバイス。
【請求項2】
さらに、前記第1の回転方向における前記駆動部材の回転により伸長する収縮ロッドと、
前記薬品リザーバに対して前記収縮ロッドの回転を抑制する第2の摩擦要素と、を備えた請求項1に記載の薬品送出デバイス。
【請求項3】
前記溝は円柱型であり、一端において開口部を含み、
前記薬品リザーバは、前記開口部を介して前記溝内を長手方向に滑動し、
前記摩擦要素の前記第1の回転方向における移動に対する前記摩擦抵抗力は、前記長手方向における移動に対する前記摩擦抵抗力よりも増大する請求項1に記載の薬品送出デバイス。
【請求項4】
前記リングは、前記薬品リザーバの周囲の全体を覆う請求項1に記載の薬品送出デバイス。
【請求項5】
前記リングは、前記薬品リザーバの周囲の一部を覆う請求項1に記載の薬品送出デバイス。
【請求項6】
前記摩擦要素が前記薬品リザーバの周囲に配置されるように、前記薬品リザーバが前記溝内を滑動するように構成される請求項1に記載の薬品送出デバイス。
【請求項7】
前記摩擦要素は前記摩擦要素を前記ハウジング内に保持する少なくとも一つのアンカー部を画定する請求項1に記載の薬品送出デバイス。
【請求項8】
前記ハウジングは、前記アンカー部を収容するように構成された凹部を画定する請求項7に記載の薬品送出デバイス。
【請求項9】
前記薬品リザーバは前記摩擦要素との係合の後に前記溝内において滑動可能である請求項1に記載の薬品送出デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一実施形態において、抗回転摩擦継手に関するもので、限定はしないが、特に、薬品送出デバイスのプランジャドライバの回転防止のための継手に関する。
【背景技術】
【0002】
発明者(Oz Cabiri)による米国特許番号7967795の開示から、外部シャフトを有する駆動プランジャと、内部シャフトを含むドライバと、を含むカートリッジインターフェイスアセンブリであって、上記内部シャフトは中間シャフトと嵌合しており、上記中間シャフトは外部シャフトと嵌合しており、上記シャフトは互いに入れ子式に移動できることで、上記ドライバの回転により、駆動プランジャがドライバから離れる方向に前進することが可能となる。
【発明の概要】
【0003】
本発明の一実施形態の一態様によれば、薬品リザーバにおける、プランジャの駆動のためのアセンブリを提供し、上記プランジャは、リザーバの遠位部における薬品とリザーバの近位開口部との間を分割し、上記アセンブリは、遠位シャフトに対する、第1の回転方向における駆動要素の回転により伸長する入れ子式シャフトと、プランジャに係合可能な遠位シャフトの遠位端と、リザーバの内側壁と接するように遠位シャフトから延在する放射形状要素とを備え、上記要素は、遠位シャフトが第1の回転方向において回転する際に内壁と遠位シャフトとの間に締め付けられるように構成及び配置される。
【0004】
本発明の一実施形態によれば、上記要素は、長軸を有した実質的なスプラグを備え、上記長軸は内側壁と交差する。
【0005】
本発明の一実施形態によれば、上記長軸は、第1の回転方向から91度~120度の角度範囲で内側壁と交差する。
【0006】
本発明の一実施形態によれば、上記要素は、第1の回転方向と反対方向に所望の屈曲をした実質上の梁を備える。
【0007】
本発明の一実施形態によれば、上記アセンブリは、さらにプランジャに係合可能なプランジャ接合点を備え、上記プランジャ接合点は、プランジャに係合する際に、遠位シャフトとプランジャとに非回転に相互接続している。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、上記アセンブリは、さらに上記要素とプランジャとの間の空間からガスを放出するための通気孔を備える。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、上記放射形状要素は、遠位シャフトの遠位端に対して近位的に配置されている。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、上記固定は、遠位シャフトのリザーバに対して離れる動きが、放射形状要素と内壁との間の垂直力を低減するように、長手に沿う。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、第1の回転方向における遠位シャフトの移動に対する放射形状要素と内壁との間の摩擦によって生じる抵抗力は、第1の回転方向と反対の方向における遠位シャフトの移動に対する放射形状要素と内壁との間の摩擦抵抗力よりも大きい。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、アセンブリは、薬品送出デバイスから延在し、リザーバが薬品送出デバイスに内挿される際に、リザーバの外側壁に接する第2摩擦要素を構成しており、第2摩擦要素は、リザーバが第2の回転方向で回転する際に、外壁とリザーバとの間で固定するように構成及び配置される。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、第2の回転方向は、第1の回転方向とは反対方向となる。
【0014】
本発明の一実施形態の一態様によれば、薬品リザーバにおけるプランジャを前進させる方法を提供し、該方法は、ドライバと嵌合した押出シャフトに対して第1の方向において方向においてドライバを回転させることで伸長する入れ子式アセンブリと、リザーバの壁に接する摩擦要素を含む押出シャフトを提供し、第1の方向においてドライバを回転させる工程と、上記回転により押出シャフトと壁との間の摩擦要素を固定する工程と、上記固定により、第1の方向の回転を抑制する工程と、さらに摩擦要素の締め付けを解放し、押出シャフトの前進を容易にする工程と、を備える。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、締め付け工程は、実質的に、リザーバに対して押出シャフトの回転を遅らせることのみの工程である。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、締め付け工程は、垂直力を増大する工程を含む。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、本方法は、さらに押出シャフトが遠位的に移動する際に、摩擦要素とリザーバの壁との間の垂直力を減少させる工程を含む。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、薬品リザーバは、プランジャを含み、本方法は、さらに、押出シャフトがプランジャを遠位的に押し出しする際に、摩擦要素とリザーバの壁との間の垂直力を低減する工程を含む。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、薬品送出デバイスは、溝を含むハウジングを備え、溝内に嵌合する薬品リザーバと、ハウジングから溝に向かって延在する摩擦要素であって、リザーバが溝に内挿された際に、リザーバの外側壁に接触し、上記要素は、リザーバが第1の回転方向において回転する際に、外壁とリザーバとの間に締め付けられるように構成及び配置される。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、アセンブリはさらに、シャフトに対して第1の回転方向における駆動要素の回転により伸長する入れ子式シャフトと、リザーバに対してシャフトの回転を抑制する第2の摩擦要素とを備える。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、溝は円柱型であり、一端において開口部を含み、さらに上記リザーバは、開口部を介して溝内部に向かって縦方向に滑動し、さらに上記摩擦要素は、長手方向における移動の摩擦抵抗力よりも、第1の回転方向における移動の増大した摩擦抵抗力を有する。
【0022】
本発明の一実施形態の一態様によれば、薬品を配給する方法は、薬品と、溝および摩擦要素を含む配給デバイスとを備えたリザーバを提供する工程と、リザーバを経路に長手方向で内挿する工程と、デバイスに対してリザーバを回転させることで摩擦要素に向かってリザーバを固定する工程を備える。
【0023】
本発明の一実施形態の一態様によれば、薬品リザーバにおいてプランジャを駆動するアセンブリを提供し、上記プランジャは、リザーバの遠位部における薬品とリザーバの近位開口部との間を分割しており、アセンブリは、遠位シャフトに対して、第1の回転方向における駆動要素の回転により伸長する入れ子式シャフトと、記プランジャに係合可能な前記遠位シャフトの遠位端と、遠位シャフトから延在し、リザーバの内側壁に接する放射形状要素と、プランジャと放射形状要素との間のリザーバの内部からリザーバの近位開口部に向けてガスの通過を可能にする通気孔とを備え、上記通気孔は、放射形状要素、放射形状要素とリザーバの側壁との間、遠位シャフト内および遠位シャフトと放射形状要素との間から成る群から選択された、少なくとも1つの構成要素内に形成される。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、アセンブリは、少なくとも2つの構成要素内に少なくとも2つの通気孔を含み、前記少なくとも2つの通気孔は、2つの構成要素の内、第1の構成要素内の第1の通気孔を通過するガスが、上記構成要素の内、第2の構成要素内の第2の通気孔に連通するように配置されている。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、アセンブリは、さらに薬品リザーバの外側から見ることが可能なユーザ表示器を備え、上記アセンブリは、経路に沿って表示器を移動可能で、上記表示器の位置によりアセンブリの状態が表示される。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、表示器は、少なくとも一部の経路上のリザーバの外側から不可視である。
【0027】
他で定義されない限り、本書で使用される全ての技術的、および/または、科学的用語は、発明に関連する当業者によって共通に理解される同一の意味を有する。本書で記載される類似または等価な方法及び材料が、本発明の実施形態の実施またはテストで使用可能ではあるが、例示的方法、および/または、材料を下記で記載する。紛争の場合、規定を含んだ特許明細書が確実に効力を有する。加えて、材料、方法および例は、説明のみの目的であり、必然性があって限定したのではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の一実施形態は、例示のみの目的で添付の図を参照と合わせて本書に記載した。これから詳細に図面を直接相互に参照することで、示された個々の事例は、本発明の実施形態の例示であって、分かりやすく説明するためであることがより明らかである。その際、図面を伴い説明することで、本発明の実施形態の方法が実施可能であることが当業者であれば理解できるものとする。
【0029】
図において、
図1】本発明の実施形態に係るプランジャドライバの移動を容易にする方法をフローチャートで図示された図である。
図2】本発明の実施形態に係るプランジャを駆動させる方法をフローチャートの図である。
図3A】本発明の実施形態に係るプランジャを駆動するための、アセンブリのブロック図である。
図3B】妨害方向における移動に抵抗力を加え、妨害方向以外の方向における移動を可能とする本発明の実施形態に係るスプラグ要素の概略図である。
図3C】妨害方向における移動に抵抗力を加え、妨害方向以外の方向における移動を可能とする本発明の実施形態に係るスプラグ要素の概略図である。
図4A】本発明の実施形態に係る、プランジャ駆動アセンブリおよびプランジャ接合点と螺合接続された薬品リザーバの図である。
図4B】本発明の実施形態に係る、プランジャ駆動アセンブリおよびプランジャ接合点と螺合接続された薬品リザーバの図である。
図4C】本発明の実施形態に係る、プランジャ駆動アセンブリおよびプランジャ接合点と螺合接続された薬品リザーバの図である。
図4D】本発明の実施形態に係る、プランジャ駆動アセンブリおよびプランジャ接合点と螺合接続された薬品リザーバの図である。
図4E】本発明の実施形態に係る、プランジャ駆動アセンブリおよびプランジャ接合点と螺合接続された薬品リザーバの図である。
図4F】本発明の実施形態に係る、プランジャ駆動アセンブリおよびプランジャ接合点と螺合接続された薬品リザーバの図である。
図5】本発明の実施形態に係る、プランジャを駆動する押出ロッドおよび前方の直線移動を容易にする摩擦要素の透視図である。
図6A】本発明の実施形態に係る、可撓性の梁状の異方性摩擦要素を含んだ、ロッドを押し出すプランジャの断面図である。
図6B】本発明の実施形態に係る、可撓性の梁状の異方性摩擦要素を含んだ、ロッドを押し出すプランジャの断面図である。
図7A】本発明の実施形態に係る、プランジャに係合された際の摩擦力を低減させる、アセンブリを押し出すプランジャの側面図である。
図7B】本発明の実施形態に係る、プランジャに係合された際の摩擦力を低減させる、アセンブリを押し出すプランジャの側面図である。
図8】本発明の実施形態に係る、スプラグ摩擦要素とラムプランジャ接合点とを含むロッドの斜視図である。
図9】本発明の実施形態に係る、実質上のスプラグ摩擦要素を含むロッドの斜視図である。
図10A】本発明の実施形態に係る、車輪付き摩擦要素を含むカートリッジの透視図である。
図10B】本発明の実施形態に係る、シャフト装着部を備えた車輪付き摩擦要素の斜視図である。
図10C】本発明の実施形態に係る、シャフト装着部がない場合の車輪付き摩擦要素の斜視図である。
図11】本発明の実施形態に係る、外付けの環状摩擦要素によって保持されたカートリッジの透視図である。
図12A】本発明の実施形態に係る、外付けの半環状摩擦要素を含んだカートリッジの透視図である。
図12B】本発明の実施形態に係る、薬品送出デバイス内に取り付けられた外付けの半環状摩擦要素を含んだカートリッジの透視図である。
図13A】本発明の実施形態に係る、プランジャドライバをリザーバに保持する方法をフローチャートで示した図である。
図13B】本発明の実施形態に係る、薬品送出デバイス、および/または、薬品カートリッジの組み立て、および/または、使用についてフローチャートで示した図である。
図14A】本発明の実施形態に係る、医薬カートリッジを図示されたものである。
図14B】本発明の実施形態に係る、送出デバイスに結合されたカートリッジを図示されたものである。
図15】本発明の実施形態に係る、摩擦パッドとプランジャドライバとの間の接続を図示されたものである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、本発明の一実施形態において、抗回転摩擦継手に関し、より詳細には、限定はしないがプランジャドライバ、および/または、薬品送出デバイスのリザーバの回転を防止するための継手に関する。
【0031】
本発明の一実施形態の一態様は、薬品リザーバにおけるシャフトの前進移動を容易にする、可変摩擦要素に関する。例えば、押出シャフトの前進移動は、押出シャフトに対してドライバ要素を回転させることで駆動できる。摩擦要素は、例として、押出シャフトが駆動要素と共に回転することを抑制し、かつ/もしくは、リザーバの回転を抑制することで相対的な回転が容易になる。代わりに、または追加として、摩擦要素は、押出シャフト、および/または、リザーバの前進に対する摩擦力を低減(所望の方向への前進移動を容易に)するように設計してもよい。
【0032】
一実施形態では、摩擦要素は、プランジャと接触する前に、押出シャフト、および/または、プランジャ接合点の前進移動を容易化、および/または、加速させることが可能である。任意には、押出シャフトがプランジャを押し出す際に、摩擦要素による前進移動の抵抗力は、最小値、および/または、無視できるほどの値まで低減、および/または、自己調節することもできる。
【0033】
本明細書で使用されるプランジャという用語はピストン要素であることを意味する。例えば、プランジャは、プランジャシャフトやプランジャヘッド、および/または、プランジャシール部、および/または、結合要素を含んでいてもよい。本明細書で使用されるように、プランジャシール部という用語/成句は、流体の流れを堰き止めるピストン要素を意味する。任意に、プランジャシール部は、ピストンヘッドを包含、および/または、一体化している。例として、シール部は、ストッパ、および/または、ガスケットから成るものであってよい。一実施形態では、プランジャという用語は、プランジャシール部のみを表す。例として、プランジャは、ドライバにより押し出される単一の封印部材を包含している。任意には、ドライバは押出シャフトを含んでいてもよい。
【0034】
一実施形態では、摩擦要素は締め付け可能、および/または、軸がリザーバに対して抑制された方向に移動する際に、軸の外壁とリザーバの内壁との間の垂直力を増加できる。一実施形態では、シャフトがリザーバに対して抑制された方向に移動する際に、摩擦要素は、締め付けられ、かつ/またはシャフトの外壁と薬品リザーバの内壁との間の垂直力を増加させるように構成される。代わりに、または追加として上記シャフトがリザーバに対して所望の方向に移動する際に、摩擦要素は、シャフトの外壁とリザーバの内壁との間の垂直力を除去、および/または、低減するように構成される。一実施形態では、移動の所望の方向は、ロッドをプランジャに近接、および/または、薬品の吐出を可能にする方向であって、例えば前方であり、または遠位方向である。
【0035】
一実施形態では、摩擦要素は、スプラグ、および/または、梁を含んでいてもよい。例として、梁は、異方性摩擦力を生じさせる所望の屈曲モードを備えていてもよい。任意に、スプラグ、および/または、梁は、分割要素を含んでいてもよい。代わりに、または追加として、スプラグ、および/または、梁は、もう一つの要素、および/または、別の要素と一体化していてもよい。本明細書で使用される、実質上の要素という用語は(例として、実質上のスプラグ、および/または、実質上の梁)、別の要素に対しても特有である要素を意味する。例として、実質上のスプラグ、および/または、梁は、周囲領域と比較して低減された圧縮率を有する放射形状要素部分(例として、放射形状要素はディスクを含んでいてもよい)であってもよい。例として、実質上のスプラグ、および/または、梁は、放射形状要素上にひだを含んでいてもよい。
【0036】
一実施形態では、スプラグは、ある角度で2つの表面間を支えられる要素であってもよいため、第1の方向における表面の一つの移動により、スプラグを圧縮、および/または、2つの表面間のスプラグを締め付けでき、その結果、垂直力、および/または、移動抵抗が増加する。代わりに、または追加として、第1の方向と異なる方向における表面の移動によって、垂直力を低減、および/または、移動に対する抵抗力を減少、および/または、別の移動に対する抵抗力を減少させることができる。単一の実質的なスプラグ、および/または、単一の複合型スプラグは、2つの表面間で可変摩擦力を生じさせる特性を有した要素の一部を含んでよいため、第1の方向における移動によりスプラグが圧縮し、移動、および/または、第1の方向とは異なる方向の移動に対する抵抗力の増加によりスプラグ上に応力を加え、上記の移動とは反対の移動、および/または、任意の移動の抵抗力を減少できる。例として、抑制された方向における移動の摩擦抵抗力は、2x~4xの範囲の大きさ、および/または、4x~10xの範囲の大きさ、および/または、10x~100xの範囲の大きさ、または別の方向(例として、第1の方向とは反対の方向)の移動に対する摩擦抵抗力、および/または、所望の方向における移動に対する摩擦抵抗力と同程度の100xより大きくてもよい。例として、所望の方向への移動により、2x~4xの範囲の大きさ、および/または、4x~10xの範囲の大きさ、および/または、10x~100xの範囲の大きさ、または100xより大きい移動の摩擦抵抗力の分だけ低減できる。所望な方向の移動に対する摩擦抵抗力を減少させる工程と、所望でない方向における移動に対する摩擦抵抗力の増加させる工程とを組み合わせることで、別の移動に対する抵抗力を増加、および/または、最大化させる一方で、所望の方向の移動に対する摩擦抵抗力を低減、および/または、最小化が可能である。
【0037】
一実施形態では、摩擦継手、および/または、プランジャ接合点は、通気孔を含んでいてもよい。通気孔により、押出シャフト、および/または、プランジャ接合点がプランジャシール部に近接する際、プランジャ接合点とプランジャシール部との間での空気だまりの蓄積を防ぐことができる。
【0038】
一実施形態では、本発明の摩擦要素は、種々の形状の医薬リザーバ、および/または、プランジャと共に使用可能である。例として、本発明は、標準のシリンジ、カートリッジ、リザーバ、および/または、プランジャで構成されてもよい。例として、リザーバの空洞は円柱型であってよい。例としてリザーバの空洞は、滑らかな壁を有していてもよい。
【0039】
一実施形態では、摩擦要素は、ユーザ表示器を含んでいてもよい。例として、摩擦要素は、着色でき、および/または、容易に識別、および/または、発光できる。任意には、摩擦要素の位置はユーザが見ることができ、例としてデバイスの窓、および/または、リザーバの側壁を介して見ることが可能である。摩擦要素の位置、および/または、発光によって、任意にデバイスの状態を表す。
【0040】
一実施形態では、摩擦要素の移動により、デバイスが動作していることを示すことが可能である。例として、摩擦要素の移動により、抗摩擦要素がプランジャシール部に到達する前に、デバイスが起動状態であることを示すことができる。
【0041】
一実施形態では、摩擦要素、および/または、(支持要素、および/または、コネクタ等の)摩擦要素のベースは、デバイスの状態に応じて外観を変更できる。例として、外観は、摩擦要素がプランジャシール部に到達するときに変化可能である。
【0042】
一実施形態では、表示器は、全ての経路にわたってユーザが確かに見ることができる。代わりに、または追加として、表示器は、経路の一部の上のみ見ることができる。例として、薬品吐出デバイスの窓は、経路の一部を露出するだけでよい。代わりに、または追加として、薬品リザーバの壁は、経路の一部上で透過性、および/または、経路の別の部分では非透過性であってもよい。例として、窓、および/または、リザーバは、経路の一部を露出するだけでよい。例として、ドライバ、ベース、および/または、摩擦要素は、プランジャシール部と接触する際に、露出可能である。露出により、任意に吐出が開始したことを示す。代わりに、または追加として、ドライバ、ベース、および/または、摩擦要素は、初期位置で露出していてもよく、および/または、上記時点のすぐあとに(例として、窓、および/または、デバイスのハウジングの不透明部分により)覆われてもよく、例として、ドライバがプランジャシール部方向に移動した直ぐ後に、露出していても、覆われていてもよい。例として、摩擦要素の外見の変化は、システムが作動を開始、および/または、適切に作動していることの表示器となり得る。
【0043】
一実施形態では、プランジャ、ドライバ、ベース、摩擦要素、および/または、プランジャプランジャシール部は、経路端に覆われていてもよい。例として、要素の消失により、吐出がうまく完了したことの表示となり得る。例として、ドライバのマーキングされた部分は、ドライバがプランジャシール部に接触する際に、プランジャシール部によって覆われていてもよい。
【0044】
一実施形態では、窓、および/または、リザーバの壁は、経路の1つ以上の部分上に薄い色のついた窓ガラスを含んでもよい。例として、着色によりドライバ、ベース、摩擦要素、および/または、プランジャのシール部は、経路のある地点に到達した際に、外観を変化させることができる。例として、色の変化は、吐出デバイスの状態の変化を示すことになり得る。一実施形態では、表示器は、デバイスメーカによって提供された部品に依存し、例として、摩擦要素、および/または、ドライバ要素、および/または、送出デバイスの部品(例として、デバイスに固有な状態を示す)に依存する。代わりに、または追加として、表示器は(例えば、表示状態が、特定の薬品に関係する場合に)、薬品包装機、例としてプランジャシール部に依存する場合がある。
【0045】
本発明の一実施形態の一態様は、押出シャフトが最小の外部抵抗力で移動する際に、高い摩擦力を生成し、かつ/あるいは、リザーバのプランジャに対して押出シャフトが押し出す際に、低摩擦力を生成する要素に関する。例として、プランジャ接合点は、摩擦要素が折り重なること、および/または、リザーバの壁から離れて曲がること、および/または、接合点がプランジャに係合する際に低い摩擦力を生じさせることができるように構成されてもよい。
【0046】
一実施形態では、プランジャ接合点は、標準のコネクタを含んでもよい。例として、プランジャ接合点は、プランジャ内部に螺合されるネジを含んでいてもよい。接合点は、押出シャフトとプランジャとの間に線形力、および/または、回転トルクを伝達できる。代わりに、または追加として、接合点は、1つ以上の方向に線形力を伝達でき、一方で、押出シャフトとプランジャとの間で制限、および/または、無視できる程微小なトルクを伝達できる。例として、プランジャ接合点は、ネジ山を含んでいてもよい。ネジの接合点がプランジャに達するまで、摩擦要素は、押出シャフトの回転を抑制、および/または、直線移動を容易にすることができる。ネジ要素が押出シャフトとプランジャとの間に係合する場合、抵抗が、任意に押出シャフトの前方の移動に対して付加、および/または、押出シャフトの回転を抑制する摩擦力が任意的に低減される。任意には、接合点や押出シャフトは、回転することで確実にネジ山に係合する。ネジ山が係合する一箇所では(例として、ネジ山同士が完全に螺合、および/または、完全に係合する場合)、プランジャの回転抵抗は、任意に、確実に押出シャフトの回転を停止、および/または、低減させ、かつ/もしくは、プランジャ、および/または、押出シャフトのさらなる直線的な前進を容易にできる。代わりに、または追加としてプランジャ接合点は、押出シャフトとプランジャとの間のトルク、および/または、線形力を伝達するプラグ、およびソケット等のロック要素を含んでもよい。あるいは、追加的に、プランジャは、大きな回転トルクを伝達せずにプランジャを押し出すラム接合点を含んでもよい。
【0047】
一実施形態では、駆動システム、注入期間、および/または、プランジャの積荷に従い摩擦要素を調節可能である。例として、注射器への荷重が大きい高粘性の運搬においては、摩擦要素は、前進移動の摩擦抵抗力をより低く設定可能である。例として、注射速度が速い場合、(例えば、高ピッチの駆動ネジにおいて)摩擦要素は、前進移動に対して摩擦抵抗力をより低く設計可能である。例として、薬品の送出に際し、薬品の押出しで発生する約100g・cmの大きさのトルクを有するリザーバにおいて、摩擦要素は、所望でない方向に約90g・cmのトルク抵抗を保持、および/または、プランジャは、約60g・cmのトルク抵抗を保持可能で、それにより所望でない方向における、摩擦要素とプランジャとの合算の抵抗力は約150g・cmとなり得る。より一般的には、所望でない方向における摩擦要素のトルク抵抗は、薬品の送出時に薬品の吐出で発生するトルクの80~95%、および/または、65~80%、および/または、30~65%、および/または、5~30%、および/または、95~110%、および/または、110~175%、および/または、175~300%の範囲であってよい。所望でない方向の摩擦要素とプランジャとの合算のトルク抵抗は、薬品の送出時に薬品の吐出で発生するトルクの105~130%、および/または、130~170%、および/または、170~250%、および/または、250~500%の範囲であってよい。薬品の送出時に薬品の吐出で発生するトルクは、例として、注射針の内腔、および/または、リザーバの断面積、および/または、薬品の粘性、および/または、駆動ネジのピッチに依存する。例として、27グラムの極薄壁の送出用針、および30~50センチポアズの間の粘性を有する薬品と、軸方向のプランジャ速度が1~3cm/分とを備えた内径8.65のリザーバにおいて、薬品を吐出する軸方向の応力は、例えば、0.2~3kg重の範囲であってよく、薬品の送出時の送出トルクは、例としてネジ上で50~150g・cmの範囲であってよい。所望でない方向の摩擦要素とプランジャとの合算のトルク抵抗は、例として50~300g・cmの範囲であってよい。例として、粘性、ネジのピッチ、断面積が増加し、かつ/もしくは、針の孔径が減少するにつれ、送出トルクの増大が可能になる。表1は、(例として、27グラムの極薄壁の送出針を有する8.65の内径のリザーバを備えた)送出トルクのある近似した例示の値である。例として、薬品の送出時の送出トルクは、30~45g・cm、および/または、45~70g・cm、および/または、70~90g・cm、および/または、90~130g・cm、および/または、130~200g・cm、および/または、200~1000g・cmの範囲であってよい。
【0048】
【表1】
【0049】
一実施形態では、折り合いが可能となる。例として、より高い粘性の薬品に対して、より低ピッチの駆動ねじを使用してもよく、かつ/もしくは、高ピッチのねじと共に、より高摩擦の抗回転パッドを使用してもよく、かつ/もしくは、より広い口径の針を使用してもよい。例として、駆動ネジのピッチは、3mm~1mmの範囲、および/または、1mm~0.8mmの範囲、および/または、0.8mm~0.6mmの範囲、および/または、0.6mm~0.3mmの範囲、および/または、0.3mm~0.2mmの範囲であってよい。
【0050】
一実施形態では、摩擦要素は、押出シャフトの軸方向の移動に対する摩擦抵抗力を低減するように構成される。例として、摩擦要素とリザーバの壁との間の垂直力は、接線方向移動によって増加、および/または、軸方向の移動によって減少できる。例として、接線方向の移動における垂直力と軸方向の移動における垂直力の比は、1.1~4の間、および/または、4~10の間、および/または、10~100の間、および/または、100以上であってよい。
【0051】
一実施形態では、摩擦要素は、指向性の摩擦表面を含み、例として、微小爪型、および/または、エンボス加工の表面パターン、および/または、偏向した毛状物、および/または、塊片、および/または、非等方性の分子構造等である。
【0052】
一実施形態では、シャフトは、内部に前進し、分離後、プランジャに係合できる。
【0053】
本発明の一実施形態の一態様は、抗回転要素の接続部に関する。任意には、スナップ接続部は、抗回転摩擦リングをプランジャドライバに接続し、一例では、プランジャを駆動するシャフトに接続する。例として、スナップ接続部は、1つ以上の6軸に沿った1つ以上の方向における抗回転要素の移動(例として、3軸の内1つ以上の軸において直線移動、および/または、3軸の内の1つ以上の軸周りの回転)を抑制できる。
【0054】
一実施形態では、スナップ接続部は、締め付け要素を含んでいてもよい。例として、締め付け要素は、摩擦要素がドライバから離れて移動することを防止することが可能となる。一実施形態では、締め付け要素は、弾性的であってよく、および/または、締め付け要素は、相補的な弾性要素に嵌合してもよい。例として、締め付け要素は、硬いプラスチック製の要素の弾性部分、および/または、弾性要素を含んでいてもよい。任意には、抗回転要素の構成要素は、(例として、ゴム、および/または、合成エラストマーのような)エラストマーであってよい。任意には、弾性的締め付け要素は、エラストマーの内部で構成されてもよい。例として、摩擦パッドは、装着部、および/または、プランジャドライバ、および/または、シャフトにスナップ接続できる。一例として装着部は、プランジャドライバ、および/または、シャフトにスナップ接続できる。
【0055】
一実施形態では、摩擦要素は、螺合結合、および/または、摩擦接続、および/または、内部ロック要素、および/または、締め付け要素が使用されてプランジャドライバに接続できる。摩擦要素は、6つの直線、および/または、回転方向の内1つ以上の方向におけるドライバに対する移動を抑制され得る。例として、アッセンブリが注射器デバイスの中にある際、および/または、貯蔵の際、および/または、搬送の際、摩擦要素はドライバをリザーバに固定させてもよい。任意には、摩擦要素は、抗回転要素を含んでもよい。例として、抗回転要素は、リザーバに対してドライバの回転を抑制、および/または、リザーバに対して直線移動を可能とする。一例では、ネジ込みドライバにより、直線移動が駆動可能となる。
【0056】
一実施形態では、抗回転要素は、上記要素とリザーバの内壁との間の摩擦力により、リザーバに対して回転を抑制できる。一実施形態では、抗回転要素は、上記要素とプランジャシール部との間の摩擦力により、プランジャシール部に対する回転を防止できる。一実施形態では、プランジャシール部は、プランジャシール部とリザーバの内壁との間の摩擦力により、リザーバに対して回転を抑制できる。
【0057】
本発明の一実施形態に係る一態様は、プランジャドライバと薬品リザーバのプランジャシール部との間の接合点に関する。例として、プランジャドライバは、プランジャシール部の表面に対して隣接する表面を有していてもよい。例として、ドライバの遠位面は、プランジャシール部の近位面を押圧できる。任意には、摩擦力は、例として互いに接触する表面間の摩擦力であって、プランジャシール部に対してドライバの回転を抑制できる。例として、ドライバの抗回転摩擦要素は、プランジャシール部、および/または、装着部に対して隣接してもよい。任意には、摩擦要素、および/または、プランジャシール部は、エラストマーで形成できる。一実施形態では、プランジャシール部の表面、および/または、一部は、例として(例えば、エラストマー、および/または、粗い表面の)摩擦力強化化合物、および/または、(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のような)摩擦力減衰化合物で被覆される。代わりに、または追加として、ドライバは、螺合結合、および/または、内部ロック機構要素、および/または、締め付け要素が使用されてプランジャシール部に係合できる。
【0058】
本発明の一実施形態に係る一態様は、プランジャドライバを薬品リザーバに保持する摩擦要素に関するものである。任意には、摩擦要素とリザーバの内部表面との間の摩擦力によりドライバがリザーバから分離することを抑制する。
【0059】
本発明の一実施形態に係る一態様は、摩擦要素、および/または、ドライバ内の通気孔に関するものである。例として、通気孔は、ドライバがリザーバに進入する、および/または、抜け出ていくのにつれて、流体がリザーバから放出、および/または、リザーバへの侵入を可能にする。通気孔は、任意には、摩擦要素内、および/または、摩擦要素とリザーバの壁との間、および/または、摩擦要素と装着部、および/または、装着部の内部に形成される。
[詳細な実施形態]
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明が、以下で記載、および/または、図での説明、および/または、例示で掲げた構造および構成要素の配置、および/または、方法の詳細を適用することに必ずしも限定するものではないことを理解されたい。本発明は、別の実施形態であっても可能で、または種々の方法で実施または実現してもよい。
【0060】
図1は、本発明の実施形態に係る、プランジャの押出シャフトの移動を容易にするための方法をフローチャートで図示されたものである。一実施形態では、摩擦要素は、例えば、リザーバに対して押出シャフトが回転することを防止し、その結果、押出シャフトと駆動要素との間の相対的な回転が容易になる。任意的に、押出シャフトは、常に抑制された方向へ回転し始めるので、押出シャフトとリザーバとの間の摩擦力は増加する。一実施形態では、摩擦力は押出シャフトが前進する際に低下する。例として、摩擦力の低下により、プランジャを押出、および/または、薬品を吐出する際に駆動システムの負荷量を減らしてもよい。
【0061】
一実施形態では、ステップ102において固定医薬リザーバを、供給する。例として、リザーバは、遠位の開口、および/または、近位の開口を備えた円柱型の空洞を有してもよい。プランジャは、任意に、円柱型の空洞に内挿される。例として、プランジャは、薬品を含んだ空洞の遠位部と空洞の近位部との間を分割できる。
【0062】
一実施形態では、ステップ104において、入れ子式のプランジャ押し出しアセンブリの遠位部は、リザーバの近位の開口に内挿可能である。例として、入れ子式のプランジャ押し出しアセンブリの遠位部は、押出シャフト、および/または、押出シャフトの遠位部、プランジャ接合点、および/または、摩擦要素を包含できる。任意には、押出アセンブリのプランジャ接合点は、ステップ104においてアセンブリが内挿される際、確実にプランジャと係合する。代わりに、または追加として、ステップ104において、アセンブリがリザーバ内に内挿される際に、プランジャ接合点は、プランジャと分離されていてもよい。一実施形態では、押出アセンブリの遠位端は、プランジャに接触するまでステップ104において内挿可能である。代わりに、または追加として、ステップ104における内挿後、押出アセンブリの遠位端は、プランジャから近い側に離間されることが可能である。
【0063】
一実施形態では、摩擦表面は、ステップ106において、リザーバの内壁、および/または、押出シャフトに接触して保持可能である。例として、システムが静止している場合、放射形状要素は、摩擦表面とリザーバの内壁との間で少なくとも最小限の垂直力を維持できる。例として、放射形状要素は、可撓性を保持、および/または、弾性的に圧縮可能であってもよい。
【0064】
一実施形態では、ステップ108において、駆動要素は、第1方向において回転可能である。任意に、駆動要素は、押出シャフトに係合可能である。例として、ステップ108における駆動要素の回転により、ステップ110において、押出シャフトが移動可能となる。例として、ステップ112において、押出シャフトは、第1方向において駆動要素に沿って回転する傾向があってもよい。一実施形態では、ステップ112において、押出シャフトの回転を抑制することが望ましい場合がある。例として、入れ子が、駆動要素と押出シャフトとの間の相対的な回転により駆動する場合、ステップ112において、駆動要素に沿った押出シャフトの回転が望ましくない場合がある。任意には、ステップ112における、第1方向における押出シャフトの回転により、ステップ114において、押出シャフトとリザーバの壁との間の摩擦要素、および/または、放射形状要素を締め付けできるように摩擦要素を構成してもよい。ステップ114における駆動シャフトと非回転リザーバとの間の摩擦要素の締め付けにより、任意には、摩擦要素とリザーバの壁との間の垂直力を増大、および/または、駆動シャフトとリザーバ間の摩擦力を増大、および/または、ステップ115において、ステップ112における押出シャフトの回転が抑制される。
【0065】
一実施形態では、一組のネジが、駆動要素と押出シャフトとの間を係合可能にする。例として、ステップ108における、押出シャフトに対する第1方向における駆動要素の回転により、ステップ116において、押出シャフトをリザーバ内部の末端側への前進が可能となる。例として、ステップ116における前進により、押出シャフトがプランジャに接近、および/または、接合点がプランジャに係合、および/または、プランジャの末端側への前進が可能となる。任意には、ステップ116における押出シャフトの前進により、ステップ118において、摩擦要素、および/または、放射形状要素は、摩擦要素、および/または、放射形状要素等の締め付けられた要素が解放可能に構成されている。ステップ118における、締め付けられた要素の解放により、任意には、摩擦要素とリザーバの壁部との間の垂直力が減少、および/または、駆動シャフトとリザーバとの間の摩擦力が低下、および/または、押出シャフトの前進が容易になる。
【0066】
図2は、本発明の実施形態に係るプランジャドライバの方法をフローチャートで図示されたものである。任意に、プランジャは、押出シャフトを前進させることにより駆動する。例として、押出シャフトの前進は、押出シャフトに対する駆動要素の相対的な回転を起因としてもよい。摩擦要素とリザーバとの間の接線方向の摩擦力により、押出シャフトとリザーバとの間で抗回転トルクを供給でき、押出シャフトと駆動要素との間の相対的な回転を容易にすることができる。一実施形態では、押出シャフトは、プランジャと分離する際にリザーバにおいて前進できる。任意には、押出シャフトとプランジャとが分離する際、摩擦要素とリザーバとの間の接線方向の摩擦力は、押出シャフトを回転要素に沿って回転させることを実質的に防止できるだけの大きさとなる。一実施形態では、摩擦要素は、(例として、駆動要素と共に回転させることにより)所望で無い移動の増大した抵抗力、および/または、(例として、プランジャを前進させることで)所望な移動の低減された抵抗力を生じさせることができるように構成できる。
【0067】
一実施形態では、プランジャの押出アセンブリの遠位部は、ステップ104において、薬品リザーバの近位開口部に挿入できる。任意には、薬品リザーバは、回転的に不動である。任意には、薬品リザーバは、リザーバの遠位部における薬品とリザーバの近位部の開口との間を分離するプランジャを含む。任意には、挿入後、押出アセンブリのプランジャ接合点は、プランジャから近い側に離間されてもよい。任意には、プランジャ接合点は、押出シャフトの遠位部に装着される。
【0068】
一実施形態では、ステップ104において、プランジャの駆動アセンブリの遠位端がリザーバに内挿された後、ステップ207において、駆動要素は、動力源に係合されてもよい。例として、動力源は、電気式モータを包含してもよい。動力源は、任意には、ステップ108において、第1方向において駆動要素を回転させる。
【0069】
一実施形態では、ステップ108において、駆動要素が第1方向において回転する間、押出シャフトの回転を、摩擦要素とリザーバの内壁との間の摩擦力により摩擦抑制することが可能である。任意には、ステップ108において、押出シャフトに対して駆動要素が第1方向において回転することにより、押出シャフトは、入れ子に伸縮、および/または、駆動要素に対して遠位的な移動が可能となる。例として、押出シャフトやプランジャ接合点は、プランジャに到達するまで離れる方向に前進可能である。
【0070】
一実施形態では、プランジャ接合点は、プランジャに係合可能であってよい。例として、プランジャ接合点は、プランジャと押出シャフトとの間の軸方向の応力を伝達できる。一実施形態では、プランジャ接合点により、プランジャと押出シャフトとの間の回転を制限できる。例として、プランジャとの係合後、プランジャとリザーバの内壁との間の摩擦力により、摩擦要素に加え、および/または、代わりに押出シャフトの回転を防止できる。あるいは、追加的に、プランジャ接合点は、プランジャに対する押出シャフトの回転を可能にする。任意には、プランジャに対して押出シャフトが回転できることで、プランジャ上の回転力を低減できる。
【0071】
一実施形態によれば、ステップ218において、押出シャフトが前進、および/または、プランジャ接合点がプランジャに係合する際に、ステップ218において、摩擦要素とリザーバの壁部との間の摩擦力が減らされる。摩擦力の減少により、ステップ216におけるプランジャドライバの前進、および/または、ステップ234におけるプランジャの前進が容易になる。
【0072】
<抗回転システムのブロック図>
図3Aは、本発明の実施形態に係る、薬品リザーバおよびプランジャを駆動するためのアセンブリのブロック図である。例として、プランジャ駆動アセンブリは、可変摩擦力アセンブリ330、および/または、近位要素320、および/または、遠位シャフト322、および/または、プランジャ接合点332を包含する入れ子式アセンブリを含んでもよい。入れ子式アセンブリは、任意に、遠位シャフト322(例として、プランジャ押出シャフト)に対する近位要素320(例として、駆動要素)の回転を介して入れ子式に伸縮する。例として、近位要素320は、薬品リザーバ324に対して回転可能、および/または、遠位要素322は、薬品リザーバ324に対する回転が防止される。任意には、遠位要素322は、リザーバ324の壁との摩擦力によって回転が防止される。例として、薬品リザーバ324の壁との摩擦力は、可変式摩擦アセンブリ330によって発生する。例として、可変式摩擦アセンブリ330は、薬品リザーバに対する回転および接線方向移動に対して高抵抗、および/または、薬品リザーバに対する軸方向の並進移動に対して低抵抗であってよい。任意には、モータ321は、リザーバに対する近位要素320を回転させる。
【0073】
一実施形態では、可変式摩擦アセンブリ330は、放射形状要素352、および/または、摩擦表面331を備える。任意には、放射形状要素352は、摩擦表面331を遠位シャフト332に連結させる。任意には、放射形状要素352は、摩擦表面331がリザーバの内壁324と接触されるように維持する。
【0074】
一実施形態では、放射形状要素352は、摩擦表面331とリザーバの内壁324との間で垂直力を可変であるよう維持する。例として、放射形状要素352は、リザーバの内壁324とシャフト322との間に締め付けられてもよくで、これにより、少なくとも単一の方向における摩擦表面331の接線方向の移動により放射形状要素を圧縮できる(任意には、垂直力が増大する)。あるいは、追加的に、放射形状要素352は、摩擦表面331の遠位方向内の軸移動により、放射形状要素の圧縮を解放できるように、リザーバ324の内壁とシャフト322との間に締め付けられてもよい。(任意には、垂直力が増大する)。例として、放射形状要素は、スプラグ、実質上のスプラグ、所望の湾曲向きを有する梁、ドッグクラッチ、くさび、支柱、および/または、所望の湾曲方向を有する実質上の梁の内、1つ以上を包含してもよい。
【0075】
一実施形態では、放射形状要素352は、任意の複数の方向における移動により締め付け可能となる。例として、放射形状要素352は、単一の方向における移動により1側面に締め付けられ、反対の方向における移動によりもう一方の側面に締め付けられた台形のスプラグを含んでもよい。代わりに、または追加として、摩擦力アセンブリ330は、種々の方向に向いた多数の異方性スプラグ、および/または、梁を包含できることで、1つ以上の方向の摩擦力を増加できる。例として、摩擦力アセンブリ330は、回転方向回りの回転摩擦抵抗力を増加させ、かつ/もしくは、1つ以上の方向における直線移動の摩擦力を低減できる。
【0076】
一実施形態では、摩擦表面331は、異方性摩擦係数を有してもよい。例として、摩擦係数は、単一の接線方向において高くなることができ、任意的に、少なくとも1つの方向においてリザーバに対する遠位端の押出シャフトの回転の高い摩擦抵抗力、および/または、薬品リザーバに対する遠位方向への移動の低い摩擦抵抗力を生じさせることがある。あるいは、追加的に、摩擦表面は、異方性摩擦係数を有していてもよい。
【0077】
一実施形態では近位要素320は近位開口リザーバ324に近接して、部分的に挿入され、かつ/もしくは、完全に挿入されてもよい。一実施形態では、遠位シャフト322は、近位開口リザーバ324に近接して、部分的に挿入され、かつ/もしくは、完全に挿入されてもよい。
【0078】
一実施形態では、リザーバ324は、例えば薬品等の流体を含んでもよい。例として、薬品は、リザーバ324の遠位部に配置可能である。任意には、プランジャシール部326は、薬品328とリザーバの近位開口部、および/または、プランジャ押出アセンブリとの間を密閉し、かつ/もしくは、分離できる。
【0079】
一実施形態では、プランジャ接合点332がプランジャシール部326に係合する際に、押出シャフト322とプランジャシール部との間で1方向、2方向、または多次元接続を提供できる。例として、プランジャ接合点332は、プランジャを遠位に押し出すためにシャフト322とプランジャシール部326との間の圧縮力を供給する一方で、プランジャシール部326を近位方向に押し出すための低引張力、および/または、無視できるほどの引張力を提供するラムを含んでもよい。このラムはプランジャを備えた摩擦表面を有し、かつ/もしくは、部分的にプランジャ内部に押入可能である。あるいは、プランジャ接合点332は、スナップ、ネジやプランジャを遠位的に押し出すシャフト322とプランジャシール部326との間の圧縮力を提供し、かつ接合点要素プランジャシール部326を近位方向に押し出す引張力を提供できる。一実施形態では、接合点332は、プランジャシール部326とシャフト322との間のトルクを伝達させる。あるいは、追加的に接合点332は、大きなトルク力を伝達しなくてよく、例として接合点332は、シャフト322がプランジャシール部326を個別に回転させることを可能にする回転軸を含んでもよい。
【0080】
図3Bは、本発明の実施形態に係るスプラグ353の概略図である。例として、図3Bおよび図3Cでは、スプラグ353は、表面325と接触している。例として図3Bに示されるように、表面325は、矢印388で示された抑制された方向に移動する。任意には、表面325は、抑制された方向とは反対に進行し、スプラグ353と移動方向との間の迎え角は、確実に90度よりも小さくなる。例として、迎え角は、89~85度の範囲、および/または、85~70度の範囲、および/または、70~45度の範囲、および/または、45~0度の範囲であって良い。任意には、一実施形態において、スプラグは、非等方性である。例として、迎え角は、先端、および/または、後端上で異なってもよい。表面325の移動により、任意的にスプラグ353に回転モーメント384を発生、および/または、シャフトの外壁323と表面325との間のスプラグ353を締め付けできる。移動が抑制された方向である場合、回転モーメント384、および/または、締め付けにより、任意に、表面325に対するスプラグ353の垂直力382を増加させる。一実施形態では、移動が抑制された方向においてある場合、回転モーメント384、および/または、締め付けにより、任意に、表面325に対するスプラグ353の摩擦力383を増加させる。
【0081】
図3Cは、本発明の一実施形態に係るスプラグ353の概略図である。一例では、図3Cにおいて矢印388’に示されるように、表面325は、抑制された方向とは逆の方向に移動する。任意には、表面325が、抑制された方向とは反対の方向に移動する際に、スプラグ353と移動方向との間の迎え角386’は、確実に90度よりも大きくなる。例として、迎え角は、91~95度の範囲、および/または、95~120度の範囲、および/または、120~135度の範囲、および/または、135~180度の範囲であってよい。表面325の移動により、任意的にスプラグ353に回転モーメント384’が発生し、かつ/もしくは、シャフトの外壁323と表面325との間のスプラグ353の締め付けが解放される。抑制された方向とは逆方向で移動する場合、回転モーメント384’、および/または、当該締め付けの解放により、表面325に対するスプラグ353の摩擦力383’を減少させることができる。
【0082】
図4A、4B、4C、4Dおよび4Fは、本発明に係る、プランジャ駆動アセンブリおよびネジ内蔵プランジャ接合点を有する薬品リザーバの図である。一実施形態では、複数のスプラグアームの可変式抗回転摩擦要素430が、押出シャフトに対して回転抵抗を提供可能である(例として、図4Bの押出シャフト422を参照)。抗回転摩擦力により、ドライバ(例として、ドライバ420)に対して押出シャフトを相対的に回転し、かつ/もしくは、入れ子に伸縮することを容易にする。例として、押出シャフト422は、ネジと螺合していてもよく、かつドライバ420は、例えば螺合シャフトやナットのような螺合部材を含んでいてもよい。
【0083】
図4Aは、本発明に係る、薬品リザーバ424の近位開口部に初めに内挿されたプランジャ駆動アセンブリを図示されたものである。一実施形態では、プランジャ駆動アセンブリの遠位部は、例としてプランジャ接合点432を含む。例として、接合点432は、プランジャシール部426内の空洞内に嵌合し、かつ/もしくは、螺合結合する。追加的に、または、別の方法では、駆動アセンブリは、可変抵抗摩擦要素430、および/または、押出シャフト422の遠位部を包含していてもよい。任意には、プランジャ駆動アセンブリが挿入される際に、プランジャ接合点432は、プランジャシール部426に対して遠位的に配置し、かつ/もしくは、分離している。
【0084】
一実施形態では、伝達装置444、ドライバ420、針収縮ロック446および近位シャフト422の一部は、リザーバ424に対して外部に配置され、かつ/もしくは、リザーバ424に対して近位的に配置される。任意には、リザーバ424の遠位部は、遠位開口部および針装着部442を含む。遠位開口部は、選択的に皮下注射針436と接続されている。任意には、リザーバ424の遠位部は、薬品228で充填されている。プランジャシール部426は、リザーバ424を医薬品228とリザーバ424の近位部との間、および/または、近位開口部との間で分離し、かつ/もしくは、密閉する。
【0085】
一実施形態では、薬品カートリッジは、表示器を含んでもよい。任意には、表示器は、プランジャシール部426やプランジャ駆動アセンブリの一部を含んでいてもよい。任意には、表示器は、リザーバの壁部の一部を介してユーザが見ることができるよう、例えば、透明、薄く着色済み、および/または、半透明であってもよい。例として、摩擦要素430は、ユーザにプランジャ駆動アセンブリの位置、および/または、動作を表示してもよい。プランジャ接合点432は、駆動アセンブリがプランジャシール部426を押し始めの(吐出の開始等を)時点を表示できる。例として、接合点要素432は、プランジャシール部426、および/または、摩擦パッド430とは異なる色であってよい。例として、接合点要素432は、プランジャシール部426、および/または、摩擦パッドが青であっても、赤であってもよい。要素432が、空洞435に挿入されていない場合、吐出がまだ始まっていないこと示す赤をユーザは見ることができる。あるいは、追加的に、ドライバがシール部に接触しても、プランジャのシール部426に係合しない場合、表示器は、空洞432内に嵌合する部分を含むことができる。
【0086】
図4Bは、本発明の一実施形態に係る、開口し始めの入れ子式アセンブリを備えたプランジャ駆動アセンブリが、プランジャシール部426に向かってプランジャ接合点432を前進させる図である。一実施形態では、挿入後、入れ子式アセンブリは、接合点432をプランジャシール部426に向かって前進させるように伸長し、かつ/もしくは、接合点432をプランジャシール部426に係合できる。
【0087】
一実施形態では、接合点432は、伝達部444、および/または、収縮ロック部446、および/または、ドライバ420をリザーバ424に対して回転させることで前進する。ドライバ420は、任意には、押出シャフト422と螺合的に係合している。一実施形態では、摩擦要素430とリザーバ424の内壁との間の摩擦により、押出シャフト422の回転を抑制させ、回転ドライバ420をドライバ420と押出シャフト422との間で相対的に回転させることができる。ドライバ420と押出シャフト422との相対的回転により、任意に、押出シャフト422、および/または、接合点432は、プランジャシール部426に向けて前進する。
【0088】
一実施形態では、接合点432は、プランジャシール部426に接触するまで前進する。接合点432がプランジャシール部426と接触する際に、接合点432は、(例えば、接合点432のさらなる直線的前進によりプランジャシール部426を前進させることができるよう)プランジャシール部426と直線的に結合、かつ(接合点432の回転により、プランジャシール部426が回転しないように)プランジャシール部426と独立して回転できる。一実施形態では、接合点432とプランジャシール部426との間の垂直力、および/または、プランジャシール部426とリザーバ424の壁部との間の摩擦力、および/または、薬品228とプランジャシール部426との間の垂直力により遠位的前進は、任意的に停止する。任意には、接合点432が前進しない間、ドライバ420の回転運動は、摩擦要素430とリザーバ424の壁部との間の摩擦力に打ち勝ち、かつ/もしくは、接合点432を回転させることができる。例として、接合点の回転432は、プランジャシール部426内部に螺合可能である。
【0089】
一実施形態では、接合点432は、プランジャシール部426の内部に完全に螺合しており、接合点432は、(例えば、接合点432のさらなる回転によりプランジャシール部426が回転するように)プランジャシール部426と回転的に接続している。一実施形態では、リザーバ424の壁部に対する接合点432とプランジャシール部426との合計の回転摩擦抵抗力により、接合点432の回転は、任意に停止する。接合点432が回転しない間、任意には、ドライバ420の回転は、軸方向の移動抵抗を上回り、かつ/もしくは、プランジャシール部426は、軸方向に移動し始め、かつ/もしくは、リザーバの遠位開口部から(例として、針436を介して)薬品の吐出を開始する。一実施形態では、リザーバ424は、フランジ438を含んでもよい。例として、フランジ438は、リザーバ424の後部から外へ延在できる。
【0090】
図4Cは、本発明の実施形態に係る、プランジャ接合点432と摩擦要素430とを含む押出シャフトの遠位端の斜視図の拡大された図である。一実施形態では、抗回転アセンブリは、通気孔450を含んでいてもよい。例として通気孔450は、接合点432がプランジャシール部426に接近する際等に、空気がプランジャシール部426と接合点432との間の領域から放出されるのを可能にする。
【0091】
一実施形態では、位置決めベース部440は、摩擦要素430の近位方向への移動を制限し、かつ/もしくは、接合点432、および/または、シャフト422と摩擦要素430との軸的関係を決定し、かつ/もしくは、放射形状要素452の反り、および/または、座屈を直線化可能である。例として、ベース部440は、放射形状要素452が近位方向に座屈、および/または、リザーバ424の壁部から分離するのを防止する。任意には、摩擦要素431は、少なくとも放射形状要素452の外端上にある。例として、摩擦要素431は、リザーバの内壁と接触して保持できる。
【0092】
図4Dは、本発明の実施形態に係る、摩擦要素430の斜視図である。例として、要素430は、任意には、スプラグ等の独立した可撓性の放射形状要素452を備えたディスク形状の要素である。任意には、各スプラグは、リザーバ424の壁と接触する摩擦表面431を含んでいる。例として、各スプラグは、半径方向が抑制される移動方向に傾いている。任意には、摩擦表面431は、各放射形状要素452の外端上にある。例として、各放射形状要素452の外端は、外向きに放射、および/または、各スプラグの外端(ヘッド部453)は、中央の端部(ステム455)よりも幅が広くてもよい。
【0093】
一実施形態では、放射形状要素452は、回転の抑制方向に対して、傾斜している。例として、回転の抑制方向は、入れ子式アセンブリを拡張させるためのドライバ420の回転方向であってよい。任意には、ドライバ420が、入れ子式アセンブリを拡張させる方向で回転し(かつ/もしくは、押出シャフト422を前進させ)、かつ摩擦要素430が、ドライバ420の回転する方向で回転し始める場合、スプラグ型放射形状要素452は、リザーバ424の壁部に対して締め付けられる。任意には、ドライバ420は、入れ子式アセンブリが拡張する方向で回転し、かつ摩擦要素430がドライバ420の回転する方向で回転を開始する場合、シャフト422の回転を抑制し、かつ/もしくは、ドライバ420とシャフト422との間の相対的回転を容易にし、かつ/もしくは、シャフト422の前進を容易にする摩擦要素とリザーバ424との間で摩擦力が増加する。一実施形態では、スプラグ452は、異方性を有していてもよい。例として、先端部456aの迎え角は、背向部456bの迎え角よりも大きくてよい。例として、スプラグ452の平均の迎え角は、80~90度の範囲の間であってよく、先端部456aと後端部456bとの間の角度の平均の差は、1~9度の範囲であってよい。例として、スプラグの平均の迎え角は、60~80度の範囲であってよく、先端と後端との間の角度の差は、1~40度の範囲の間であってよい。例として、スプラグの平均の迎え角は、20~60度の範囲であってよく、先端と後端との間の角度の差は、1~70度の範囲の間であってよい。
【0094】
一実施形態では、摩擦要素430は、ゴム製、弾性体、および/または、ショアOO硬度が約50である。例として、硬度は、ショアOOでは、10~30、および/または、40~60、および/または、60~100、および/または、ショアAでは、60~100である。任意には、摩擦要素430の無負荷における直径は、リザーバ424の内径よりも僅かに大きい。例として、要素430が無負荷での外径は、約9.1mmであり、一方、リザーバ424の内径は、約8.65mmであってよい。任意には、リザーバの内径は、1~4mm、および/または、4~7mm、および/または、7~10mm、および/または、10~15mm、および/または、15~30mmの範囲であってよい。任意には、摩擦要素の外径は、リザーバの内径の100%~103%、および/または、103%~107%、および/または、107%~120%、および/または、120%~150%の範囲であってよい。一実施形態では、摩擦要素430は、スプラグ452のベースの閉状態の直径は約6.3mm、および/または、スプラグ452の(半径方向の)長さは、約1.4mmであってよい。例として、要素430、および/または、スプラグ452の(リザーバ424の長さに沿った)厚さは、2mm、および/または、スプラグ452のヘッド部の半径の長さは、約1.65mm、および/または、リザーバ452の内壁に当接している各スプラグ452の表面431領域は、約2+1.65=3.3mm2であってよい。一実施形態では、スプラグ要素の長さは、リザーバの直径の1~10%の間、および/または、10~20%の間、および/または、20~40%の間、および/または、40~70%の間、および/または、70~100%の間であってよい。一実施形態では、摩擦要素の幅は、摩擦要素の直径の5~15%の間、および/または、15~25%の間、および/または、25~50%の間、および/または、50~75%の間、および/または、75~150%の間、および/または、150~600%の間であってよい。
【0095】
一実施形態では、摩擦要素430は、押出シャフト422、および/または、接合点432に接続するための装着部を含んでいてもよい。例として、摩擦要素430のシャフトの装着部454は、プランジャ接合点432の雄ネジ462に螺合結合する雌ネジの開口を含む(例として、図4E参照)。
【0096】
図4Eは、本発明の実施形態に係る、プランジャ接合点432の拡大斜視図である。例として、接合点432は、任意にプランジャシール部426、および/または、摩擦要素430に取り付けるためのテーパ状のネジ山462を備えた硬質の要素である。任意には、接合点432は、テーパ状の遠位面466、および/または、近位ベース部440、および/または、通気孔450を含む。任意には、通気孔450は、ベース部440にスリットを含む。任意には、スリット450は、放射形状要素452の間の空間で位置調整を行う。代わりに、または追加としては、摩擦要素は、通気孔を含んでもよい。例として、摩擦要素は、接合点432に取り付けられ、摩擦要素の通気口は、通気口450と共に位置調節可能である。
【0097】
一実施形態では、摩擦要素430は、押出シャフト422、および/または、接合点432に接続するための装着部を含んでもよい。
【0098】
例として、摩擦要素430のシャフトの装着部454は、プランジャ接合点432の雄ネジ462に螺合結合する雌ネジの開口を含んでもよい(例として図4Eを参照)。
【0099】
図4Fは、本発明の実施形態に係る、アダプタ432に取り付けられた摩擦要素430の断面図である。例として、雄ネジ462は、挿入箇所(遠位端)でより小さくなり、近位方向に移動すると大きくなる。歯の後(近位)面は、任意に、歯の前(遠位)面(例として、アダプタ432の軸から115~145度の間の範囲である)よりも鋭角(例として、アダプタ432の軸から70~95度)である。
【0100】
図5は、本発明の実施形態に係る、直進移動を容易にするプランジャ押出ロッドおよび摩擦要素の透視図である。任意には、摩擦要素530は、後ろ向きに(例として、近位方向に)角度が形成されている。例として、要素530のシャフト422の前進に対する迎え角は、90度以上であってもよい。任意には、シャフトの前進により、垂直力、および/または、摩擦要素530とリザーバ壁との間の摩擦力が低減される。任意には、シャフトが回転するが前進しない場合、要素530とリザーバとの間の摩擦力は大きく、回転を抑制する。任意には、シャフト422がリザーバ424内を前進する際に、要素530の形状により、摩擦力が低減され、前進が容易となる。
【0101】
<抗回転梁を備えた摩擦ディスク>
図6Aは、本発明の実施形態に係る、可撓性梁の異方性摩擦要素を含むプランジャ押出ロッドの断面図である。一実施形態では、摩擦要素630は、異方性の湾曲した梁652を含んでもよい。例として、ビーム652が抑制された方向において湾曲する際、外に湾曲してはいけなく、かつ/もしくは、プランジャ接合点632とリザーバ424の壁部との間で締め付けられる。例として、梁652が、抑制されていない方向に曲がる際、梁652は、経路外で湾曲でき、かつ/もしくは、摩擦力を低減できる。図6Aは、要素652は、比較的に応力がかかっていない場合を図示されたものである。
【0102】
一実施形態では、梁は異方性の圧縮率、および/または、伸縮性を有してもよい。例として、梁652は、切り込み部672を有する。切り込みを有する梁の側部は反対の側よりも、より容易に伸長し、かつ/もしくは、圧縮する。
【0103】
図6Bは、本発明の一実施形態に係る、抑制された方向678における接合点632の回転により応力が掛かった状態である。任意には、要素652に負荷が掛かった場合、切り込み部672は、拡張しやすく、かつ/もしくは、収縮しやすくなる。一方で、梁の切り込みのない側部は、座屈し、かつ/もしくは、湾曲しやすくなる。任意には、抑制された方向678における回転により、切り込み部672がリザーバ424に対して固定表面631を開口させることで、表面631とリザーバ424との間の垂直力、および/または、摩擦力を増加させることになる。
【0104】
図7Aおよび図7Bは、本発明の実施形態に係る、プランジャに係合された際の摩擦力が低下したプランジャ押出アセンブリの側面図である。例として、摩擦要素730は、薬品リザーバの壁部に接触するよう寸法調整が可能であり、かつ/もしくは、プランジャ押出シャフト422、および/または、プランジャ接合点732の回転を抑制する壁との摩擦力を生じさせることが可能である。任意には、接合点732がプランジャ726に係合する際に、要素730とリザーバとの間の摩擦力、および/または、プランジャの前進移動の抵抗力を低減可能である。
【0105】
図7Aは、本発明の一実施形態に係る、プランジャから分離したプランジャ接合点732および摩擦要素730を図示されたものである。一実施形態は、シャフト422に対してドライバが回転することにより、シャフト422は、リザーバに沿って前進できる。接合点732がプランジャ726に接近する際、摩擦要素は、リザーバ424の内壁に接触し、かつ/もしくは、シャフト422の回転を抑制し、かつ/もしくは、ドライバのシャフト422に対する相対的な回転が容易になる。
【0106】
図7Bは、本発明の一実施形態における、プランジャに係合された際のプランジャ接合点732および摩擦要素730を図示されたものである。一実施形態では、接合点732がプランジャ726に係合する際、要素(例として、プランジャの硬質の側壁、および/または、皿形状、および/または、環状の突起物)は、摩擦要素730を変形させる。摩擦要素730の変形により、任意には、摩擦要素とリザーバ424との間の接触面が低減され、かつ/もしくは、接触面が実質的に取り除かれる。例として、摩擦要素の変形730により、要素730とリザーバ424との間の摩擦力を低減でき、かつ/もしくは、実質的に0にすることが可能である。任意には、プランジャ接合点732がプランジャ726に係合する際、プランジャ726とリザーバ424との間の摩擦力により、シャフト422の回転を抑制でき、かつ/もしくは、シャフト422、および/または、プランジャ726の前進を容易にすることができる。一実施形態では、要素730とリザーバ424との間の摩擦力の低下により、プランジャ押出アセンブリ上の負荷を低減できる。例として、デバイスが薬品を吐出する際、接合点732は、プランジャ726に係合してもよい。薬品を吐出する際、要素732とリザーバ424との間の摩擦力の低下により、任意にプランジャ押出システム上の負荷を低減する。
【0107】
一実施形態ではプランジャ押出アセンブリの前進は、いくつかの摩擦段階、および/または、摩擦構成を介して進行させてもよい。例として、接合点732がプランジャ726から近い側に離間している場合、回転抵抗により、要素730とリザーバ424との間で生じた回転抵抗力は、シャフト422の回転を防止するのに十分となり得る。シャフト422が回転せずに、ドライバの回転により、ドライバとシャフト422との間の相対的な回転が生じることが可能で、かつ/もしくは、シャフト422の前進が可能となる。
【0108】
一実施形態では、接合点732がプランジャ726の近位側部に接するまで、シャフト422は、前進する。接合点732がプランジャ726の近位側部に一旦接すると、ドライバの回転および摩擦要素730による回転の抵抗力は、プランジャ726の前進に対する抵抗力に打ち勝つのに十分となり得る。その結果、接合点732は、前方に駆動し、プランジャ726を前進駆動し、かつ医薬品を吐出する。代わりに、または追加として、接合点732がプランジャ726の近位側部に接触する際、プランジャ726の前進の抵抗力は、シャフト422の前進を止めるのに十分となり得る。プランジャ726の抵抗力で接合点732の前進を防止する際、トルクは、任意に要素730の回転の抵抗力を上回る。例として、回転の抵抗力を打ち勝つことで、接合点732が、回転でき、かつ/もしくは、プランジャ726の近位端内部に螺合でき、かつ/もしくは、プランジャ726に係合可能になる。
【0109】
一実施形態では、接合点732が、一旦、プランジャ側の接合点と係合すると、プランジャ726に対して接合点の回転を防止できる。プランジャ726とリザーバ424との間の摩擦力により、シャフト422のさらなる回転が防止できることで、シャフト422の相対的な回転が容易になる。接合点732の回転の防止により、任意に、シャフト422に対するドライバの回転が容易になることで、任意に、プランジャシール部426のさらなる前進が容易になる。
<プランジャ接合点>
図8は、本発明の実施形態に係る、スプラグ摩擦要素およびラムプランジャ接合点を含んだプランジャ押出ロッドの斜視図である。一実施形態では、プランジャ接合点は、プランジャと押出シャフト422との間の線形力を確実に伝達できる。任意には、接合点は、プランジャと押出ロッドとの間で、確実に限定された、または僅かな回転トルクを伝達できる。例として、ラム832は、薬品リザーバの軸に沿って(例として、末端側へ)プランジャを押し出すことができる。ラム832は、ほとんどないか、0である軸回りのトルクを伝達できる。例として、実施形態では、ラム832は、シャフト422、および/または、プランジャに対して回転的に固定できない。トルクは、摩擦力によりシャフト422とプランジャの間で任意に伝達される。代わりに、または追加として、シャフト422とラム832との間にトルクの伝達を制限する回転要素(例として、回転軸、および/または、駆動軸)があってもよい。任意には、摩擦要素830の回転抵抗力は、摩擦要素830とプランジャとの2つの負荷による線形抵抗下で、ドライバによりシャフト422の回転を防止するため、確実に十分な大きさとなる(プランジャの直線移動の抵抗は、例として、プランジャとリザーバとの間の摩擦力、および/または、薬品を吐出する抵抗力になり得る)。
【0110】
<抗回転スプラグリブを備えた摩擦ディスク>
図9は、本発明の実施形態に係る、実質上のスプラグ摩擦要素を含む摩擦要素930の斜視図である。一実施形態では、放射形状要素952は、傾斜した層でできたシート992が互いに接続されて構成できる。シート992は、任意には、回転の抑制方向996向かって傾斜している。要素930の周囲が静止したリザーバの壁と摩擦的に接触する場合、抑制方向996内の要素930の回転により、任意にシート992が拡張し、かつ/もしくは、摩擦の表面領域が増大する。代わりに、または追加として、抑制方向996における回転により、任意に、シートよりも固い実質的なスプラグ要素である継手994を押出すことで、例えば、摩擦要素930とリザーバの壁部との間の垂直力が増加する。代わりに、または追加として、実質的スプラグ要素は、抑制された方向に対して傾斜した厚みのあるリブ、および/または、抑制された移動方向に対して傾斜したディスクの残部よりも固い材料でできたリブを含んでもよい。任意には、摩擦要素930は、選択的にシャフト装着部954を含む。
【0111】
ローラーを備えた摩擦要素
図10Aは、本発明の実施形態に係る、回転要素1051を含んだ摩擦要素1030aの透視図である。所望の方向における移動において、回転要素1051は、回転でき、所望でない方向の移動では最小の摩擦力で移動可能である。例として、摩擦要素1030aは、リザーバ1024の軸回りの要素1030aの回転で必要な力より100分の1以下の摩擦力でリザーバ424内部を軸方向に移動可能である。例として、回転要素は、円形、および/または、球状、および/または、円柱状、および/または、テーパ状であってもよい。回転要素は、車輪、および/または、駆動軸、および/または、軸受、および/または、レース、および/または、ケージを含んでもよい。
【0112】
一実施形態では、例として、図10Bで図示されるように、回転要素1051は、車輪1052を含んでもよい。例として、所望の方向において移動する間、例えば要素1030bは、リザーバ424の軸に沿って直線移動し、車輪1052は、駆動軸1055回りに回転可能となる。任意には、回転要素は、凹部、および/または、保持器1091の内部にあってよい。例として、保持器1091は、任意に、要素1089bと接続する凹部を含んでいてもよい。例として、接続要素1089bは、駆動ネジ、および/または、プランジャアダプタとの間でディスク状、および/または、円柱型の接続部を含んでいてもよい。代わりに、または追加として、摩擦要素を駆動要素、および/または、プランジャアダプタの内部に設けてもよい。例として、車輪、および/または、駆動軸、および/または、レース、および/または、保持器は、プランジャアダプタ、および/または、駆動要素内部に設けてもよい。
【0113】
抗回転要素1030bの一実施形態では、接続要素1089bは、シャフト装着部1054を含んでいてもよく、例として、図10Cで図示される。例として、接続要素は、駆動シャフト、および/または、プランジャ間に嵌合する。
【0114】
リザーバの回転を防止する摩擦要素
図11は、本発明の一実施形態に係る、外部の抗回転摩擦要素を備えた薬品リザーバの透視図である。任意には、外部の摩擦要素1130は、薬品伝送デバイスのハウジングに対するリザーバの回転を抑制する。例として、摩擦要素1130は、所望な方向内よりも所望でない方向の移動に対してより高い摩擦抵抗力の異方性摩擦がある。例として、スプラグ452は、所望でない方向における、リザーバ1124の回転に抵抗する、増大した摩擦力を有する。任意には、リザーバは、要素1130内部で長手方向に容易に滑動できるが、一度配置されると(スプラグ452に対して回転し、かつ/もしくは、リザーバ1124を取り除く等)所望でない方向で移動させるのは困難である。
【0115】
一実施形態では、要素1130は、リザーバ1124周囲にリングを形成できる。任意には、スプラグ452は、リングからリザーバ1124の外壁に向かって内向きに放射状に広がる。
【0116】
一実施形態では、システムは、2つの所望の方向の摩擦要素を含んでもよい。例として、摩擦要素430は、プランジャ駆動シャフトの回転を防止できる。例として、要素430は、シャフトドライバ1120によってプランジャドライバの移動を容易にする。一実施形態では内部摩擦要素430のスプラグ452は、外部の摩擦要素1130のスプラグ452の方向とは反対の方向を向いている。例として、摩擦要素430は、第1の所望でない方向内(要素430の内部に関して所望でない))の第1トルクを、リザーバ1124の内壁に加えることで、プランジャドライバが回転することを防止できる。任意には、要素1130は、リザーバ1124の外壁に対向するトルクを加えることでリザーバ1124の回転を防止できる。第2のトルクは、第2の所望でない方向においてリザーバ1124の回転を抑制できる。一実施形態では、第1および第2の所望でない方向は、互いに対向していてもよい。
【0117】
一実施形態では、外付けの摩擦要素1130は、薬品伝送デバイス内に外付けの摩擦要素を保持するためのアンカー部1157を含んでもよい。例えば、アンカー部1157は、要素1130内でモールドされた突起であって、薬品伝送装置の(図12Bに図示されているケース1259等の)ケースの内壁上の凹部に嵌合する。任意には、アンカー部1157は、薬品伝送デバイスに対して要素1130の移動を抑制する。任意には、伝送デバイスに対して要素1130の安定化のために接着剤、および/または、アンカーの他の一部、および/または、継手等の別の方法が使用されてもよい。
【0118】
図12Aは、本発明の実施形態に係る、別の外付けの抗回転摩擦要素1230を備えた薬品リザーバの透視図である。任意には、要素1230は、リザーバ1124を部分的のみ覆う。要素1230は、任意には、薬品伝送デバイスの別の要素と共に1つの工程でモールドされる。例として、要素1230は、伝達デバイスのためのエラストマー系のボタンカバー1257を含んでいる。
【0119】
図12Bは、薬品伝送デバイスのケース1259の上半分に取り付けられた摩擦要素1230の内部を図示されたものである。要素1230は、任意には、リザーバ1124の回転を抑制するように機能する。任意には、カバー1257は、ケース1259の空洞部を密閉し、流体を封印できる。空洞は、任意には、ユーザがデバイスの作動ボタンを押すことができるアクセス部を提供する。
【0120】
任意には、外部摩擦要素は、本書で上記に掲げたような種々の異方性摩擦要素を含んでいてよく、例としてスプラグ、および/または、異方性の湾曲梁、および/または、クラッチドッグ、および/または、実質的な要素、および/または、異方性の摩擦表面を含む。リザーバの回転を抑制する摩擦は任意には、多数の要素によって提供される。
【0121】
ドライバを薬品カートリッジに接続する接続例
図13Aは、本発明の一実施形態に係る、プランジャドライバをリザーバに保持する方法をフローチャートで図示されたものである。一実施形態では、薬品伝送カートリッジのプランジャドライバは、摩擦要素によって薬品リザーバに保持される。例として、摩擦要素とリザーバの内壁との間の摩擦力により、リザーバからドライバが分離することを抑制できる。任意には、摩擦要素は、抗回転摩擦ディスクを含む。例として、摩擦要素は、カートリッジを伝達デバイスに挿入する前に、カートリッジを組立された状態で保持可能である。
【0122】
一実施形態では、薬品伝送デバイスは、ステップ1302において組み立て前の状態の薬品包装機械に供給される。例として、包装機械は、ステップ1305においてリザーバを充填し、かつデバイスを最終的に組み立てる。任意には、ステップ1305において、充填工程は、高レベルの無菌状態の下で実行される。一実施形態では、最後の組み立ては、より無菌状態で実行される。一実施形態では、最後の組み立て時に、組み立て工程を簡素化でき、かつ/もしくは、無菌部品の破損を回避できることの利点がある。
【0123】
一実施形態では、リザーバの充填工程1305は、リザーバ内部に薬品を充填する工程、リザーバに栓をする工程、および/または、封止工程を含む。任意には、充填工程1305は、包装機、および/または、高い無菌性で自動充填を行う機械において実施される例として、リザーバは、流体の量が計測された状態で充填できる。任意には、流体は、リザーバの一部を確実に占有する。例として、流体のペイロードは、リザーバの遠位部まで充填できる。例として、栓閉め工程は、プランジャシール部(場合によっては、ストッパ、および/または、プランジャと呼ばれる)をリザーバに内挿する工程を含んでもよい。例として、プランジャシール部は、リザーバの近位開口部内に内挿できる。任意には、プランジャシール部は、近位端に達するか、リザーバ内部のペイロードの近位端に近接するまで確実に挿入される。栓閉め工程は、任意には、真空下で実施される。任意には、栓閉め工程は、無菌の針を保護する工程を含んでもよい。例として、針は、針キャップで覆われていてもよい。
【0124】
一実施形態では、リザーバは、工程1304において、薬品カートリッジに対して組み立てられる。例として、工程1305における充填工程後、工程1304において包装機器は、カートリッジを組み立てることができる。例として、工程1304において、アセンブリは、プランジャドライバの遠位部をリザーバの近位端に挿入する工程を含む。一実施形態では、ドライバの遠位端は、摩擦要素を含んでもよい。任意には、プランジャドライバは、組み立て時にプランジャシール部に係合するまで挿入される。代わりに、または追加として、カートリッジの組み立て工程1304において、プランジャシール部との接触は、防止できる。例として、組み立て時に、ドライバの遠位端は、プランジャシール部に到達できなく、かつ/もしくは、接触できなく、かつ/もしくは、完全に係合することはできない。一実施形態では、ドライバとプランジャシール部との接触を防ぐことで、包装機は、プランジャシール部の無菌部分の複雑な嵌合、および/または、破損、および/または、ペイロードの破損を防ぐことができる(例として、ドライバからの圧力によりペイロードが破損、および/または、ペイロード漏れが生じる可能性がある)。例として、デバイスの組み立て時、および/または、続くデバイスの操作時、貯蔵時、および/または、輸送時に接触の回避が可能となる。任意には、工程1306において、摩擦要素は、例として、カートリッジの操作時、および/または、デバイスの組み立て時にドライバおよびリザーバを共に保持できる。
【0125】
図13Bは、本発明の実施形態に係る、薬品送出デバイス、および/または、薬品カートリッジの組み立て、および/または、使用が図示されたフローチャートである。任意には、プランジャシール部は、組み立て工程の一段階時にプランジャドライバと分離されるよう維持される。例として、プランジャドライバは、カートリッジに結合されている一方で、プランジャシール部と分離されるよう維持される。任意には、カートリッジの組み立て後、カートリッジは、薬品送出デバイスの余りの部分の結合できる。任意には、カートリッジをデバイスの余りの部分に結合後、プランジャドライバは、プランジャシール部に係合でき、かつ/もしくは、薬品を吐出できる。代わりに、または追加としてプランジャドライバは、デバイスを完全に組み立てる前にプランジャシール部に係合してもよい。
【0126】
一実施形態では、薬品送出デバイスの組み立ては、デバイスの余りの部分にカートリッジを取り付ける工程1307を含んでもよい。例として、前もって組み込まれた前もって組み込まれた(デバイスでは、カートリッジは、ユーザに送出前のデバイスの余りの部分に取り付けられてもよい。例として、組み立て、および/または、デバイスにカートリッジを取り付ける工程を含む前もって組み込まれた工程は、薬品包装機によって実行してもよい。代わりに、または追加として、カートリッジは、(例として、薬剤師、および/または、医療従事者のような)業者によって提供されたデバイスに取り付けられてもよい。代わりに、または追加として、デバイスは、ユーザが完全に組み立てていない状態で送達されてもよい。例として、工程1307においてユーザは、デバイスの残余部分にカートリッジを取り付けてもよい。例として、工程1307において、カートリッジの取り付け工程は、(例えば、リザーバのような)アクチュエータにプランジャドライバを接続する工程を含んでもよい。例として、モータは、伝達装置を介して、ドライバに接続されてもよい。例として、工程1307において、カートリッジの取り付け工程では、デバイスの余りの部分に対してカートリッジの一部を固定する工程を含む。
【0127】
一実施形態では、デバイスの稼動は、プランジャドライバをプランジャシール部に確実に係合させ、かつ/もしくは、プランジャドライバによりプランジャシール部をリザーバ内部に入るよう確実に駆動させることで、薬品の吐出を引き起こす。例として、デバイスの稼動は、プランジャドライバがプランジャ密閉接合点、および/または、摩擦要素をプランジャシール部に向けた駆動を引き起こす。任意には、プランジャ密閉接合点、および/または、摩擦要素がプランジャシール部と接触後、ドライバは、プランジャシール部をリザーバ内に入り込むよう駆動する。任意には、プランジャシール部をリザーバ内部に入り込むように駆動することで、薬品が吐出される。
【0128】
一実施形態では、プランジャドライバがプランジャシール部に向かって前進する際、プランジャドライバとプランジャシール部との間の領域には、工程1350において確実に通気孔が形成されるようになる。例として、ドライバとプランジャシール部との間に介在するガスは、ドライバ、および/または、抗回転デバイス内の通気孔から通気可能である。例として、ガスは、リザーバの近位開口部から外へでることが必要となる場合がある。工程1350の通気孔の形成により、ドライバがプランジャシール部に到達、および/または、係合が容易になる。
【0129】
図14Aは、本発明の実施形態に係る医薬カートリッジを図示されたものである。カートリッジは、例示的な組み立て済みの状態で図示される。一実施形態では、カートリッジは、プランジャドライバのアセンブリ、リザーバ1424、およびプランジャシール部1426を含んでもよい。任意には、カートリッジは、前もって組み込まれ、および/または、無菌であって、および/または、封印されている。
【0130】
一実施形態では、組み立て済みのカートリッジは、カートリッジに結合されたプランジャ駆動アセンブリを含んでもよい。任意には、プランジャ駆動アセンブリは、部分的、および/または、完全にリザーバ1424に内挿可能である。例として、プランジャ駆動アセンブリは、近位要素1420を含むことができる。任意には、近位要素1420は、リザーバ1424の外部、および/または、近位部に配置される。任意には、プランジャ駆動アセンブリの遠位部は、例としてリザーバの近位部の開口を介してリザーバ1424に内挿される。例として、要素1430とリザーバ1424との間の摩擦力により、ドライバアセンブリのリザーバ1424への接続が維持できる。例として、要素1430は、リザーバ1424の内壁と接触している。
【0131】
一実施形態では、カートリッジは予め充填されている。例として、薬品228は、リザーバ1424内に充填されてもよい。任意には、リザーバ1424は、プランジャシール部で封印されてもよい。代わりに、または追加として、カートリッジは、偽薬、および/または、マーカ、および/または、染料、および/または、生物学的活性物質で充填されてもよい。
【0132】
一実施形態では、摩擦要素1430は、ベース1440、および/または、押出シャフト142、および/または、入れ子式シャフト1423を介して、近位要素1420に接続されている。例として、入れ子式シャフト1423は、近位要素1420に接続、および/または、回転可能に接続されているため、近位要素1420の回転により入れ子式シャフト1423の回転が可能となる。例として、入れ子式シャフト1423は、押出シャフト1422に螺合可能に接続できるため、押出シャフト1422に対する入れ子式シャフト1423の回転により、ドライバアセンブリが入れ子式(例として、伸長、および/または、収縮)に駆動することが可能となる。
【0133】
一実施形態では、ドライバは、分離されてカートリッジに内挿される。例として、図14Aでは、ドライバは、プランジャシール部1426と分離している。任意には、ドライバアセンブリがプランジャシール部1426と分離されて、カートリッジが、格納、輸送、および/または、薬品吐出デバイスの余りの部分に取り付け可能である。代わりに、または追加としてドライバアセンブリは、ドラッグ吐出デバイスの余りの部分への格納、輸送、および/または、取り付けの前に、プランジャシール部1426に係合可能である。
【0134】
一実施形態では、カートリッジは、湾曲した針装着部1442を含んでもよい。例として、針装着部1442は、リザーバ1424の長手軸に対してある角度で流体の出口(図14Bに図示された皮下注射針など)を支持する。例として、湾曲装着部1442を備えたカートリッジは、(例として、図14Bに図示される)パッチ注入機に対して使用可能である。代わりに、または追加として、(例えば、図4A、4B、および/または、10Aに図示される)カートリッジは、直線の針装着部を含んでいてもよい。代わりに、または追加としてカートリッジの出口は、外部流体経路、および/または、隔壁の取り付けられたハブを含んでもよい。代わりに、または追加として装着部1442は、無菌針キャップ1437のための取り付け表面を含んでもよい。
【0135】
一実施形態では、表示器は、薬品吐出デバイスを備えた薬品包装機に供給されてもよい。例として、リザーバ1424、および/または、(例として、摩擦パッド1430、および/または、押出シャフト1422、および/または、ベース1440を含む)プランジャ駆動アセンブリは、ユーザへの表示器を含んでもよい。代わりに、または追加として、薬品包装機によって提供された一部(例として、プランジャシール部1426、および/または、リザーバ1424上に配置されたステッカー)内には、ユーザへの表示器を含む。例として、表示器は、包装されている薬品に限定されないデバイスの一機能が表示される場合、表示器は、デバイスの製造者によって提供される場合がある。例として、表示器が、包装されている薬品に特定的な一態様の処理を表示する場合、表示器は、デバイスの製造者によって提供される場合がある。
【0136】
図14Bは、本発明の一実施形態に係る、送出デバイスに結合されたカートリッジを示す。一実施形態では、プランジャドライバは、入れ子式ネジアセンブリ(TSA)を含んでもよい。例として、押出シャフト1422は、中間シャフト1427に任意的に螺合的結合している、入れ子式シャフト1423に螺合結合されてもよい。任意には、シャフト1423が、押出シャフト1422に対して回転する際、アセンブリは入れ子に伸縮する。
【0137】
一実施形態では、カートリッジが注射器の余りの部分に結合する際、リザーバ1424は、ハウジング1482に対して固定される。例として、フランジ1438は、ハウジング1482に保持されてもよい。例として、フランジ1438、および/または、リザーバ1424は、ハウジング1482、および/または、ハウジングのベース部1488を挟むように取り付けられた突起を含んでもよい。代わりに、または追加として、フランジ1438、および/または、リザーバ1424は、ハウジング1482に対してリザーバ1424の回転を抑制するハウジング上の配向要素に適合するように嵌合する(フラット面等の)配向要素を含んでもよい。
【0138】
一実施形態では、(モータ等の)アクチュエータは、(ギア1444等の)伝達要素に結合している。任意には、アクチュエータは、ギア1444、および/または、近位要素1420を回転させ、ハウジング1482、および/または、リザーバ1424に対して入れ子式シャフト1423を任意に回転させる。任意には、摩擦要素1430とリザーバ1424の内壁との間の摩擦力により、リザーバ1424に対して摩擦要素1430の回転を抑制する。任意には、押出シャフト1422は、例として、ベース1440を介して摩擦要素1430に接続されている。例として、接続部は、リザーバ1424に対してシャフト1422が回転するのを抑制する。例として、入れ子式シャフト1423がリザーバ1424に対して拡張する方向において回転させ、一方でリザーバに対する押出シャフト1422の回転を不動にさせることで、任意に、入れ子式アセンブリが長手方向に拡張可能になる。任意には、ハウジング1482内のハブ1485により、入れ子式シャフト1423の近位方向の移動が遮断される。一実施形態では、摩擦要素1430をリザーバ1424に対して回転させるより、摩擦要素1430、および/または、プランジャシール部1426を遠位的に直線移動させる方が容易である。例として、TSAにおけるねじ山のピッチは、大きな回転が、摩擦パッド1430の直線的な動きを回転よりも機械的に優位に立たせる小さな直線的動きに関連するのに、十分なほど小さくてもよい。TSAを拡張させることにより、任意に押出シャフト1422、および/または、ベース1440、および/または、摩擦要素1430を遠位的な移動が可能となる。
【0139】
一実施形態では、薬品吐出デバイスは、結合されるカートリッジ、および/または、プランジャシール部1426と分離されたプランジャドライバを供給可能である。任意には、ユーザは、ベース部1488をユーザの肌に配置、および/または、ベース部1488内の開口1408を介して針1436をユーザの肌に内挿する。任意には、ベース部1488は、デバイスを肌に貼り付ける接着剤を含む。ユーザは、任意には、アクチュエータを起動させ、押出シャフト、および/または、ベース1440、および/または、摩擦要素1430がプランジャシール部1426に係合するまで駆動させる。任意には、係合部は、プランジャシール部1426の近位面に接触する摩擦パッド1430の遠位面を含む。任意には、係合後にアクチュエータがさらに回転することにより、プランジャシール部1426をリザーバ内部で末端側へ駆動、および/または、薬品228を針1436の外に押し出す。
<摩擦要素のためのスナップ接続>
図15は、本発明の一実施形態に係る、摩擦パッドとプランジャドライバとの間の接続を示す。一実施形態では、摩擦要素は、スナップ接続によりプランジャドライバと接続されている。任意には、通気孔が提供され、摩擦要素がリザーバに沿って移動する際に、空気の放出を可能にする。
【0140】
一実施形態では、摩擦要素は、スナップ接続、および/または、締め代要素を含んでもよい。例として、締め具は、ベース、プランジャドライバ、摩擦要素、および/または、プランジャシール部から選択された任意の2つの構成要素に接続されていてよい。接続部は、簡易接続部、スナップ部、凹みに嵌合する突起部、反矢じり部、弾性要素を含んでもよい。接続部は、任意には、ユーザによって除去可能、および/または、永久に接続可能に設計してもよい。任意には、接続部は、一方向、および/または、多方向の移動を抑制できる。
【0141】
一実施形態では、摩擦パッドは、1つ以上の接続部によってプランジャドライバに装着されるようになる。例として、摩擦パッド1430は、とげ状突起1563に嵌合する溝1554を含んでもよい。例としてパッド1430がベース1440の上に嵌合する際、突起部1563は、ベース1440からパッド1430を引き離す力が、互いに接続する力よりも、例として、10倍以上、および/または、100倍以上、および/または、1000倍以上の力が必要となるよう、突起部1563が溝1554内にスナップ取り付けスナップ取り付けされる。例として、摩擦パッド1430をベース1440から引き抜くことは、摩擦パッド1430を切り離すための十分な力が必要となることもある。
【0142】
一実施形態では、摩擦パッドは、1つ以上のスナップ接続部によってプランジャドライバに確実に取り付けられる。例として、押出シャフト1442は、ベース1563内の開口1550内にスナップ取り付けされ、1つ以上の弾性的なアーム干渉要素1564を含む。要素1564内の羽枝部またはフック部は、任意には、ベース1440をシャフト1422からの引き離しを抑制する開口の側部1550に係合する。一実施形態では、シャフト1422からベース1440を引き抜く力は、それらを互いに接続する力よりもはるかに大きい力が必要となる場合があり、例えば、接続の力より10倍以上、および/または、100倍以上、および/または、1000倍以上必要となる。任意には、接続部は、恒久的であってもよい。例として、シャフト1422からベース1440を引き抜く力は、干渉要素1564を破壊するための力であってもよい。
【0143】
一実施形態では、摩擦要素は、任意の、または全ての方向における移動の抵抗となるよう、プランジャドライバに接続可能である。例として、摩擦パッド1430は、(ベース1440を介して)シャフト1422にスナップ取り付けされることにより、部品の接続に要する力より十分に大きい力で全ての方向内において、シャフト1422に対する移動抵抗となる。一実施形態では、ドライバをリザーバへ組み立てる際に、摩擦パッドは、有効活用できる。例としてパッド1430とリザーバ1424の内壁との間の摩擦力により、パッド1430とリザーバ1424との接続が保たれる。任意には、パッド1430とプランジャドライバとの間の軸方向の分離に対する抵抗力により、カートリッジ、および/または、送出デバイス等を組み立てる際にプランジャドライバとリザーバ1424との接続が保たれる。
【0144】
一実施形態では、摩擦パッド、ベースやドライバは、空気を通気するように設計してもよい。例として、通気は、パッドがリザーバに内挿された際生じてもよい。例として、摩擦パッドとプランジャシール部との間で充満されている空気は、リザーバの近位端から通気、および/または、摩擦パッドとリザーバの近位端との間の空間内に通気できる。例として、摩擦パッドとリザーバの近位端との間に空気を通気できる空間があってもよい。例として、アーム、および/または、スプラグ部1533は、リザーバ1424の内壁に接触可能である。任意には、通気孔の空間は、複数のスプラグ1533間で提供できる。任意には、ベース1440内の開口部1550は、複数のスプラグ1533間の空間を利用して一調整できることで、複数のスプラグ間の空間を通過する空気が、さらに開口部1550を介して通過可能である。代わりに、または追加として気体の通気孔は、任意に位置決めされた1つ以上の穴を含んでもよい。例としてパッド1430内の中央孔1567aは、入り子式ネジ1423内の中央孔1567cで位置決めされたベース部1440内の中央孔1567bに合わせて位置決めされる。
【0145】
一実施形態では、摩擦表面は、所望の摩擦力を達成するように調節できる。例として、一実施形態では、プランジャシール部とリザーバとの間、および/または、摩擦パッドとリザーバとの間の接触表面は、摩擦力を増大、および/または、低下させるように処理され得る。一実施形態では、摩擦パッドとプランジャシール部との間の接触表面は、摩擦力を増大、および/または、低減させるように処理されてもよい。例として、摩擦パッド1430とリザーバ1424との間の接触表面1531は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等で被覆されることで、例えば摩擦力が低下し、一方で摩擦パッド1430とプランジャシール部1426との間の接触表面1533が、(例として、粗面塗の)高い摩擦力を有する被覆物で被覆可能、および/または、摩擦力を増大させるよう(例として隆起部のような)構造をつけてもよい。例として、プランジャシール部1426の円柱状の側面、および/または、遠位面は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で被覆されていてよく、一方で近位表面は、未処理の高い摩擦力を有する弾性体を含んでもよい。摩擦表面の被覆は、リザーバの材料に応じて調節できる。例として、摩擦表面1531は、プラスチック製のリザーバを使用するためポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で被覆、および/または、別の材料で被覆でき、さらに、またはガラス製のリザーバの使用のために被覆しなくてもよい。
【0146】
一実施形態では、摩擦表面の接触領域は、所望の摩擦力を実現するために調節できる。例として、摩擦パッド1430は、リザーバ1424の内壁の周囲の約12%にわたって接触する4つのスプラグを含む。例として、摩擦パッド430は、リザーバ424の内壁の周囲の約70%にわたって接触する10個のスプラグを含んでいてもよい。例として、摩擦パッドは、内壁と、周囲の1~20%、および/または、20~40%、および/または、40~80%、および/または、80~100%にわたって接触してもよい。任意には、接触表面は、一方向における摩擦力を増加させるように改良してもよい。例として、遠位面は、例として、図9で説明したように、パッド930とプランジャシール部との間の摩擦力を、別の方向と比較したある方向において増大させる隆起部を備えていてもよい。
【0147】
一実施形態では、抗回転摩擦パッドにより、プランジャを駆動する一方で回転を防止する十分な摩擦力を生成できる。一実施形態では、摩擦パッドの抗回転摩擦力は、プランジャを駆動する場合、回転を抑制するのに十分でない場合があるが、摩擦パッドとプランジャシール部との間の抗回転摩擦力の合計は、十分となり得る。
【0148】
一実施形態では、ドライバ、および/または、摩擦パッドおよびプランジャシール部との間の接触は平坦面であり得る。任意には、平坦面であることで、ドライバとプランジャシール部との間の配置に要する時間、および/または、接触位置の決定の曖昧さを確実に回避することになる。
【0149】
<薬品送出デバイスの例示的サイズ>
一実施形態では、(シリンジ等の)リザーバのペイロードは、例えば、薬品の0.5~2mlの間、および/または、それ以上の薬品を含んでいてもよい。一実施形態では、注射器は、1回分のドーズ量として全ペイロードを吐出できる。薬品送出デバイスは、例として、ペン型の注射器、および/または、プランジャを駆動、および/または、ペイロードを吐出する内部電源ドライバであってよい。この用途として、内部動力付きの注射器のドライバは、注射器内部に少なくとも一時的に蓄えられたエネルギーを動力源とする駆動機構として規定できる。動力は、動力源に蓄力可能で、例として、(ガスが膨張、および/または、電池を形成する化学物質等の)化学ポテンシャル、および/または、(例として、弾性部材、および/または、バネ、および/または、トルクバネ、および/または、加圧ガスで蓄積された)機械的ポテンシャルであって良い。例として、ドライバは、20~120秒、および/または、120~600秒、および/または、それより長い間の期間にわたってペイロードを吐出するように設計可能である。一実施形態では、吐出は、ドライバによって駆動できる。内部動力付きのドライバは、種々の機構が動力源となってよく、例えば(直流モータ、アクチュエータ、ブラシレスモータ等を含む)モータ、および/または、(入れ子式アセンブリ、および/または、螺合部材、および/または、ギア、および/または、結合器を含む)伝達装置、および/または、(バネ、および/または、ゴムバンド等の)弾性機構、および/または、膨張気体、および/または、液圧アクチュエータを含む機構である。
【0150】
本発明の一実施形態に係る薬品送出デバイスは、リザーバを含んでもよい。例として、リザーバは、医薬保管容器、および/または、標準型のシリンジを含んでもよい。任意には、標準型シリンジは、医薬品を標準の設備、および/または、無菌室を利用して前もって組み込まれていてもよい。前もって組み込まれた標準型のシリンジは、任意に近位開口部を含んでもよい。プランジャは、任意には、近位開口を封印、および/または、シリンジの容器内の無菌性を保つことができる。(中空の針等の)無菌の針は、任意には、シリンジの胴部に接続されてもよい。例として針の中空部は、胴部の内部と流体的に連通できる。針は、任意には、胴部の遠位端に確実に取り付け可能となる。針の全体、および/または、一部の無菌性は、例えば無菌カバーで保護できる。シリンジが注射器内部に供給および挿入される場合、無菌カバーは、針上に留まることができる。例として、医薬容器は、任意に、針に確実に取り付けられた円柱状の胴部を含む。任意には、針の長手方向の軸とシリンジの胴部とは、平行、および/または、同軸方向であって良い。任意には、針は、胴部の遠位端に取り付けられてもよい。任意には、針先は、遠位方向を表示していてもよい。一実施形態では、プランジャは、医薬のペイロードを吐出するため、胴部の内側に沿った軸方向に滑動してもよい。例として、医薬は、中空針を介して吐出できる。
【0151】
一実施形態では、針を患者の肌に挿入する力は、例として0.02~0.2Nの間、および/または、0.2~0.5Nの間の範囲であって良い。任意には、薬品を注入する力(例として、シリンジプランジャに加える力)は、5~60Nの間であってよい。例として、薬品の注入に要する力は、注入速度、および/または、薬品の速度、および/または、シリンジの形状、および/または、梁の寸法に依存する場合がある。
【0152】
例として、噛み合い時、および/または、送出の終了において、デバイスによって発生した線形力は、60Nの大きさまで増加する。針の安全装置の機構(例として、針の引き抜き構造)は、応力に敏感な場合がある。例として、機構は針を引き抜かれた位置に40Nの力にて引き戻す手段を与える留め金を含む。一実施形態では、針の保護機構は、例えば、10~60Nの間よりも大きい直線的な力によって引き起こされてもよい。
【0153】
一実施形態では、医薬を注入、および/または、針の安全機構を引き起こす応力は、トルクを含んでもよい。例として、医薬の注入は、プランジャによって駆動できる。プランジャは、任意には、例として、ネジ山、および/または、歯、および/または、入れ子式アセンブリのようなネジ込みアセンブリによって駆動されてもよい。任意には、歯、および/または、(歯に)関連するネジのピッチは、例として、0.5~2mmの間の範囲であってよい。ネジの直径は、例として3~15mmの間の範囲であってよい。動力注入のトルクは、例として0.2~1.0N・cmであってよい。トリガートルク(針の安全機構を引き起こされるトルク)は、例として、0.5~2N・cmの間、および/または、2~4N・cmの間、および/または、4~10N・cmの間の範囲であってよい。
【0154】
注入の間、プランジャの直線移動は、例として10~50mmの間の範囲であってよい。プランジャの移動長により、例として、注入される医薬の体積が変化し、その変化量は、例として、0.5~3mlの間の範囲となり得る。
【0155】
一実施形態では、吐出は、トルクによって駆動できる。例として、ドライバは、プランジャを押し出す、螺合部材にトルクを加えることができる。一実施形態では、吐出時間は、充填体積、および/または、充填剤の粘性に依存する場合がある。例として、予測される注入速度は、粘性に依存した注入速度であってよく、例として粘性が、1cp~15cpの場合、予測される注入速度は、30~40秒/1mlであって、例として、粘性が15cp~60cpの範囲の場合、予測される注入速度は、35~60秒/mlであって、粘性が60cpを越える場合は、予測される注入速度は、53~67秒/1mlの範囲となり得る。最大、および/または、最小の予測される注入時間は例として、注入速度で充填体積を分割できる最大値、および/または、最小値であってよい。例として、予測される吐出時間は、(例として1~15cpの間の範囲の粘性を有する0.8~1.2mlの間の範囲の液量において)24~48秒の間の範囲、および/または、(例として1~15cpの間の範囲の粘性を有する1.2~1.7mlの間の範囲の液量において)36~68秒の間の範囲、および/または、(例として1~15cpの間の範囲の粘性を有する1.7~2.3mlの間の範囲の液量において)51~92秒の間の範囲、および/または、(例として15~40cpの間の範囲の粘性を有する2.0~2.5mlの間の範囲の液量において)70~150秒の間の範囲であって、より大きい容量、および/または、粘性においては120秒~3分の間の範囲であってよい。
【0156】
一実施形態では、薬品送出デバイスは、個別に動作できるように構成、および/または、手で持てる大きさである。一例として、デバイスは、10グラム~30グラムの間、および/または、30グラム~150グラムの間、および/または、150グラム~500グラムの間の範囲の重さがあってよい。任意には、リザーバから注射針までの薬品の流路は、デバイス内部にあってよい。任意には、動力源は、デバイス内部にあってよい。任意には、デバイスは、片手で操作可能である。
【0157】
特許の権利期間の間に、本出願から蓄積された多くの関連技術が進化することが見込まれるので、本用語の範囲は、そのような新しい技術を全て予め含んでいることを意図している。
【0158】
本書で使用される用語「約」とは、±5%であることを示す。
【0159】
用語「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「有している」およびそれらの同根の語は、「それ以外のものを含むことを制限しない」ことを意味する。
【0160】
用語「から成る」は、「だけを含む」を意味する。
【0161】
用語「のみから基本的には構成される」の意味は、組成、方法、または構造は、追加の構成要素、工程、および/または、部品を含むが、追加の構成要素がクレームされた組成の基本的かつ新規な特性、方法、または構造を実質的に変えることがない場合を条件とする。
【0162】
本書で使用される、不定冠詞「a」、「an」および「the」は、本文で単数であることを明示しない限り複数であることも含む。例として、用語、「化合物」または「少なくとも1つの化合物」は、その混合物を含んだ複数の化合物を含み得る。
【0163】
本出願全体を通して、発明の種々の実施形態は、任意の範囲の形式で表現されてもよい。範囲の形式の説明は、単なる利便性と簡素化の目的だけであって、本発明の範囲が変更不可能な限定と見なされるべきではないことを理解されたい。従って、範囲の説明は、範囲内の個別の数値同様、可能な限り全てのサブレンジが明確に開示されたとみなされるべきである。例として、1~6までの範囲の説明は、サブレンジである1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6が明確に開示されたとみなされるべきで、その範囲内の個別の数字、例えば1、2、3、4、5および6も同様である。これは、範囲の幅の大きさに関わらず適用される。
【0164】
本書で数値範囲が示された場合はいつでも、示された範囲内のいかなる(分数または整数の)引用数値も含むものとみなされる。「(第1の示された数字)と(第2の示された数字)との間の範囲(ranging/ranges)」なる表現、および、「(第1の示された数字)から(第2の示された数字)までの間の範囲(ranging/ranges)」なる表現は、ここでは交換可能に使用され、第1および第2の示された数字と、これらの間のすべての分数および整数とを含むことを意味する。
【0165】
本発明の特定の特徴は、明瞭さのため個別の実施形態の内容で記載したが、個々の実施形態を組み合わせることで提供してもよい。それとは対照的に、発明の種々の特徴は、簡略化のため、1つの実施形態の内容で説明したが、個別に提供、またはいかなる所望の副次的組み合わせ、または本発明の実施形態とは別のものであってもよい。種々の実施形態の内容で記載された特定の特徴は、実施形態が、それらの要素無しでは正常に動作しない限り、それらの実施形態の本質的特徴であるとみなされるべきではない。
【0166】
発明が、特定の実施形態と組み合わせて説明してきたが、多くの代替案、修正および変更は、当業者には明らかとなりえるだろう。従って、添付のクレームの意図と広い範囲内に収まる全ての代替案、修正、変更は、包含されることを意図している。
【0167】
当業者であれば、本発明の広い創意的概念から逸脱することなく、上記に記載した実施形態に変形が為されることは理解され得るものとする。そのため、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、添付のクレームで定義された本発明の精神と範囲内に変更の包含を意図していることが理解され得る。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15