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特許7553542一体の間隙付きケーシングおよびセンサモジュールを備えた制動装置および/または緊締装置
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  • 特許-一体の間隙付きケーシングおよびセンサモジュールを備えた制動装置および/または緊締装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】一体の間隙付きケーシングおよびセンサモジュールを備えた制動装置および/または緊締装置
(51)【国際特許分類】
   F16D 55/12 20060101AFI20240910BHJP
   F16D 55/224 20060101ALI20240910BHJP
   F16D 65/18 20060101ALI20240910BHJP
   F16D 66/00 20060101ALI20240910BHJP
   F16D 125/14 20120101ALN20240910BHJP
   F16D 121/12 20120101ALN20240910BHJP
【FI】
F16D55/12
F16D55/224 A
F16D65/18
F16D66/00 Z
F16D125:14
F16D121:12
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022503011
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 DE2020000159
(87)【国際公開番号】W WO2021008642
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-05-10
(31)【優先権主張番号】102019004953.5
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509060154
【氏名又は名称】マルティン ツィマー
【氏名又は名称原語表記】Martin Zimmer
【住所又は居所原語表記】Im Salmenkopf 7, 77866 Rheinau, Germany
(73)【特許権者】
【識別番号】509060143
【氏名又は名称】ギュンター ツィマー
【氏名又は名称原語表記】Guenther Zimmer
【住所又は居所原語表記】Im Salmenkopf 11, 77866 Rheinau, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ツィマー
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター ツィマー
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-287063(JP,A)
【文献】特開平11-325136(JP,A)
【文献】特表2019-525099(JP,A)
【文献】特表2019-537697(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0186565(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 55/12
F16D 55/224
F16D 65/18
F16D 66/00
F16D 125/14
F16D 121/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作構成群(10)と、軸結合構成群(80,100,120)とを備えた、基体(1)に対してガイドされた軸(130)のための制動装置および/または緊締装置において、
前記動作構成群(10)は、間隙付きケーシング(11)を有しており、該間隙付きケーシング(11)は、取付けゾーン(13)と、間隙スペース(37)を介して間隔をあけて配置された2つの撓み板(15,16)を備えた部分的に弾性的に膨らむことができる撓みゾーン(21)とを有しており、
前記取付けゾーン(13)と前記撓みゾーン(21)との間の移行領域には、少なくとも1つの変形測定装置(150)が配置されており、
前記撓み板(15,16)は、互いに対向して位置する2つの緊締ゾーン(22)内にそれぞれ摩擦面(31,32)を備えたはさみジョー(23,24)を有しており、前記摩擦面(31,32)の面法線(33)は内側に向けられており、
各前記撓み板(15,16)は、少なくとも1つの支持部材(60)を支持するために、前記間隙スペース(37)から軸線方向溝(17,18)を有しており、
前記撓み板(15,16)と前記少なくとも1つの支持部材(60)との間には、シールされた圧力室(37)が位置しており、該圧力室(37)には、前記摩擦面(31,32)を弾性的に押し離すために圧力媒体を充填することができるようになっており、
前記軸結合構成群(80,100,120)は、ブレーキディスク(81,101,121)として、スリットが形成されたまたは複数に分けられたリングを有しており、
前記軸結合構成群(80,100,120)は、互いに間隔をあけて配置された2つの摩擦面(91,92)を有する結合領域(90)を有しており、前記摩擦面(91,92)の面法線(93)は外側に向いており、
前記軸結合構成群(80,100,120)はフランジ領域(96)を有しており、該フランジ領域(96)にわたり、前記軸結合構成群(80,100,120)は直接にまたは緊締機構を介して間接的に前記軸(130)に配置されており、
前記圧力室(37)の放圧状態では、前記動作構成群(10)の前記摩擦面(31,32)が、前記軸結合構成群(80,100,120)の前記摩擦面(91,92)に緊締力および/または制動力を加えながら当て付けられている、
制動装置および/または緊締装置。
【請求項2】
前記変形測定装置(150)は、少なくとも1つのセンサ(170)と、評価・通信電子機器(180)とから成る、請求項1記載の制動装置および/または緊締装置。
【請求項3】
前記センサ(170)は、4つのひずみゲージ(173~176)を備えた測定ブリッジであり、周方向(5)に、相並んで配置された2つの前記ひずみゲージ(173,174)の蛇行状に敷設された導体路の直線導体部分は、同じ向きを有しており、さらに前記動作構成群(10)の半径方向に向けられている、請求項2記載の制動装置および/または緊締装置。
【請求項4】
周方向(5)に取り付けられた2つの前記ひずみゲージ(173,174)の面重心(177,178)は、装置中心線(9)に平な視点で見たときに、前記間隙スペース(37)の底部(38)の上に位置している、請求項3記載の制動装置および/または緊締装置。
【請求項5】
前記評価・通信電子機器(180)は、検出された測定データを当該制動装置およびまたは緊締装置の耐用年数にわたり保存し管理する演算・メモリユニット(193)と、検出された前記測定データおよび評価結果を出力または通信する少なくとも1つのIO-Linkインタフェース(190)とを有している、請求項記載の制動装置および/または緊締装置。
【請求項6】
前記評価・通信電子機器(180)は、プログラミング可能な測定増幅器(191)を有しており、該測定増幅器(191)は、IO-Linkインタフェース(190)の前記演算・メモリユニット(193)を介して外部から制御可能または調整可能である、請求項記載の制動装置および/または緊締装置。
【請求項7】
前記撓み板(15,16)の前記軸線方向溝(17,18)は、前記摩擦面(31,32)と前記間隙スペース(37)の底部(38)との間の領域に配置されている、請求項1記載の制動装置および/または緊締装置。
【請求項8】
前記支持部材(60)は、弾性変形可能な金属の支持条片(61)であり、該支持条片(61)の長さは、個々の前記軸線方向溝(17,18)の平均長さに相応する、請求項1記載の制動装置および/または緊締装置。
【請求項9】
前記支持条片(61)は、-少なくとも一方の端部の領域に-横方向孔(62)を有している、請求項記載の制動装置および/または緊締装置。
【請求項10】
個々の前記軸線方向溝(17,18)は、該軸線方向溝(17,18)に合流する挿入溝(19)を有している、請求項記載の制動装置および/または緊締装置。
【請求項11】
個々の前記ブレーキディスク(81,101,121)またはそれらの部分部材(82~84;102~104)は、両面側が平らである、請求項1記載の制動装置および/または緊締装置。
【請求項12】
前記ブレーキディスク(81)は、少なくとも3つの同じ大きさの円弧状のブレーキディスク部材(82~84)から成っており、これらの円弧状のブレーキディスク部材(82~84)の間に位置する組立接合部(86)は、少なくとも4mmのギャップ幅を有している、請求項1記載の制動装置および/または緊締装置。
【請求項13】
前記ブレーキディスク(121)は、段付けされた分断箇所(125)を有しており、該分断箇所(125)の半径方向部分ギャップRS(122)は、周方向において少なくともRS=6/5×π×(dBa-dGi)mmの幅を有しており、d Ba は前記ブレーキディスク(121)の外径であり、d Gi は前記間隙付きケーシング(11)の孔径(4)である、請求項1記載の制動装置および/または緊締装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作構成群と、軸結合構成群とを備えた、基体に対してガイドされた軸のための制動装置および/または緊締装置に関する。動作構成群の動作状態は、センサモジュールにより一時的または継続的に監視される。
【0002】
独国特許発明第102016009581号明細書には、動作構成群と軸結合構成群とを備えた制動装置および/または緊締装置が記載されている。この装置は、1つの間隙付きケーシングを形成するように結合された2つの膨らむことができる撓み板を有しており、これらの撓み板の間には、間隙状の圧力室が配置されている。撓み板は、外側から包囲するようにブレーキディスクに係合している。この場合、圧力室が放圧されている限り、撓み板は軸線方向においてブレーキディスクに当て付けられている。
【0003】
本発明の根底を成す課題は、大きな直径においても小さな構成幅を有しており、少数の構成部材から成っており、さらに監視可能であり、簡単、確実かつメンテナンスフリーに機能するような制動装置および/または緊締装置を開発することにある。
【0004】
この課題は、独立請求項に記載の特徴により解決される。この場合、動作構成群が間隙付きケーシングを有しており、間隙付きケーシングは、取付けゾーンと、間隙スペースを介して間隔をあけて配置された2つの撓み板を備えた部分的に弾性的に膨らむことができる撓みゾーンとを有している。取付けゾーンと撓みゾーンとの間の移行領域には、少なくとも1つの変形測定装置が配置されている。撓み板は、互いに対向して位置する2つの緊締ゾーン内にそれぞれ摩擦面を備えたはさみジョーを有しており、摩擦面の面法線は内側に向けられている。各撓み板は、-少なくとも1つの支持部材を支持するために-間隙スペースから軸線方向溝を有している。撓み板と少なくとも1つの支持部材との間には、シールされた圧力室が位置しており、圧力室には、摩擦面を弾性的に押し離すために圧力媒体を充填することができる。軸結合構成群は、ブレーキディスクとして、スリットが形成されたまたは複数に分けられたリングを有している。軸結合構成群は、互いに間隔をあけて配置された2つの摩擦面を有する結合領域を有しており、摩擦面の面法線は外側に向いている。軸結合構成群はフランジ領域を有しており、フランジ領域にわたり、軸結合構成群は直接にまたは緊締機構を介して間接的に軸に配置されている。圧力室の放圧状態では、動作構成群の摩擦面が、軸結合構成群の摩擦面に緊締力および/または制動力を加えながら当て付けられている。
【0005】
本発明の対象は、軸用の、少なくとも2つの部分から成る制動装置および/または緊締装置である。一方の部分は、アダプタとして回転する軸に取り付けられ、この軸に緊締またはねじ締結される。他方の部分は、定置の、例えば上述した軸を支持する機械部分に取り付けられた一種のはさみである。はさみは、各1つの撓み板に配置された2つの例えばリング状のはさみジョーを有しており、これらのはさみジョーでもって、はさみは軸側のフランジの端面を緩く取り囲むか、またはフランジの端面周りに相対回動不能に係合することができる。軸を制動または緊締する装置部分は、軸の、半径方向に向けられた外壁には接触していない。
【0006】
当該装置の、はさみジョーを支持する撓み板は、簡単に2つの皿ばねとして説明することができ、これらの皿ばねの両方の内縁部は互いに面しているのに対し、より大きな直径の外縁部は、軸線方向において大きく離れて位置している。緊締ゾーンを形成する内縁部の間には、一体のまたは複数部分から成るブレーキディスクが配置されている。今、取付けゾーンを成す外縁部が軸線方向において互いに向かって動かされると、より小さな直径の内縁部は、ばねが緊張させられた状態でブレーキディスクをはさみ状に緊締して保持する。皿ばねはそれぞれ、製造時に外縁部の領域において相接して一体成形されるため、外縁部の間隔は最早変更され得ない。今、緊締されたブレーキディスクを再び解放するために、皿ばねが油圧により互いに押し離される。内縁部はブレーキディスクから離間する。これにより、従来は緊締用に小さな予荷重が加えられていた皿ばねに、離間用にさらに大きな荷重もしくは変形が加えられる。
【0007】
本発明による装置では、撓み板はそれぞれ取付けゾーンに対してシームレスに一体成形されている。撓み板は一体の構成部材を形成している。撓み板が押し離される度に、塊状の取付けゾーンと、取付けゾーンから突出する撓み板との間の移行箇所において外側に位置する-軸線方向に向けられた-表面には、測定可能な圧縮変形が生じる。この変形は、少なくとも1つのひずみゲージにより検出され、これにより、その抵抗変化から、制動装置手段および緊締装置手段の緊締位置または解除位置を導き出すことができる。
【0008】
実施例では、間隙付きケーシング毎に1つのセンサモジュールのみが取り付けられている。間隙付きケーシング内に別のセンサモジュールを、例えば180度の間隔をあけて配置することも可能である。動作中に2つのモジュールの信号が並行して検出され、互いに比較される。各モジュールが異なる強さの信号を送ると、機械制御装置(SPS)はエラーメッセージを出すか、あるいは制動装置およびまたは緊締装置の停止を導入する。この比較冗長手段の他に、選択冗長手段が設けられてもよい。この場合は3つのセンサモジュールの信号が検出され、互いに比較される。2/3回路において過半数の信号が選択され、後処理される。
【0009】
原理冗長手段が設けられていてもよい。この場合は少なくとも2つのモジュールが並列に接続されるが、ただし各モジュールは異なる作用原理の上に成り立っている。第2の作用原理として、例えば圧電センサが用いられる。このためには圧電素子が、間隙付きケーシングの周方向に配置されたスリット状の凹部内に緊締される。この凹部は、変形を測定するひずみゲージの場所と比較可能な測定位置に設けられている。間隙スペースに圧力が供給されると、スリット状の凹部内の圧電素子が圧縮され、これにより、評価可能な圧電電圧変化を検出することができる。
【0010】
択一的に当該装置は、間隙付きケーシングが回転する軸に配置されているのに対し、ブレーキディスクは定置に支持されて、半径方向外側に開いた間隙スペース内に突入するように構成されてもよい。
【0011】
本発明のさらなる詳細は、下位請求項および概略的に示した複数の実施形態の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】センサモジュールを備えた制動装置および/または緊締装置の斜視図である。
図2】軸が緊締位置にある、図1の部分横断面図である。
図3図2と同様の部分横断面図であるが、軸は解除位置にある。
図4】ダブルリップシールおよび支持部材を拡大して示す部分断面図である。
図5】挿入溝を備えた間隙付きケーシングの半部を示す部分図である。
図6】支持部材を拡大して示す部分長手方向断面図である。
図7】半径方向に分割されたブレーキディスクの斜視図である。
図8】異なって分割されたブレーキディスクの斜視図である。
図9】1つのスリットが形成されたブレーキディスクの斜視図である。
図10図9に示した斜視図を、バランスウェイトと共に示す図である。
図11】緊締位置のときのセンサモジュールの領域を示す、図1の部分横断面図である。
図12】センサモジュールの電子機器の領域を示す、図1の部分横断面図である。
図13】測定箇所および電子機器の領域をカバー無しで示す、図1の部分正面図である。
図14】センサモジュールによる変形測定の機能原理を示す図である。
【0013】
図1には制動装置および/または緊締装置が、支持する機械側の基体(1)(図2および図3参照)および制動かつ/または緊締されるべき軸(130)無しで示されている。外側に位置する、軸(130)を包囲する動作構成群(10)は、裏側の取付け面(3)を有しており、取付け面(3)を介して動作構成群(10)は、ねじ(図示せず)により基体(1)にねじ締結される。動作構成群(10)は、軸結合構成群(80)を包囲しており、軸結合構成群(80)は、ここでは複数に分割されたブレーキディスク(81)から成っている。ブレーキディスク(81)は、ねじ(99)により軸(130)に相対回動不能に取り付けられている。動作構成群(10)は、弾性的な間隙付きケーシング(11)を有しており、間隙付きケーシング(11)は、-制動時または緊締時に-そのはさみジョー(23,24)でもってはさみ状に、ブレーキディスク(81)に当接する。間隙付きケーシング(11)は、シールリング(50)と支持部材(60)と共に、圧力室(37)を包囲している。圧力室(37)に、ガス状、液状またはゲル状の圧力媒体が供給されると、ブレーキディスク(81)のはさみ状の包囲緊締が解除される。間隙付きケーシング(11)には、例えば解除位置(35)への移行時に生じる最大弾性変形領域内に、センサモジュール(170)が配置されている。
【0014】
圧力室(37)(図2参照)は、動作構成群(10)の包囲体積の12.5%未満の体積を有している。この動作構成群(10)の図示の態様の包囲体積は、管長さとして装置幅を有し、外径として装置外径を有しかつ内径として撓み板(15,16)の最小内径を有する管体の所与の体積に相応する。
【0015】
動作構成群(10)は、リング状もしくは管状の間隙付きケーシング(11)を有しており、間隙付きケーシング(11)は、例えば狭小間隙的なリング状の圧力室(37)を包囲している。間隙付きケーシング(11)は、非変形状態では例えば約280mmの内径および例えば388mmの外径を有する実質的に平らなディスクである。このディスクの最大厚さは、例えば約22mmである。この最大厚さは、上述した装置幅に相当する。間隙付きケーシング(11)は、熱処理鋼、例えば42CrMoS4から製造されている。間隙付きケーシング(11)は、互いに半径方向に続く3つの領域(13,21,22)に分けられている。内側の領域は、緊締ゾーン(22)である。各緊締ゾーン(22)にはそれぞれ、半径方向においてさらに外側に位置する撓みゾーン(21)が続いている。両撓みゾーン(21)は、外側の領域、つまり取付けゾーン(13)に合流している。
【0016】
間隙付きケーシング(11)は、間隙スペース(37)を形成するように、その中心孔(4)から各端面の間の中間をフライス切削される。このためには、例えば側フライスが使用される。フライス切削された、例えば38.7mmの深さの溝は、例えば4mmの間隙幅を有している。樋状の溝底部は、切欠き応力を最小限にするために、ここでは2mmの半径を有している。孔(4)の孔付近の領域では、間隙スペースの溝の深さは16.5mmであり、精密加工ゾーン(36)では4.3mmに拡幅されている。
【0017】
間隙スペース(37)が全くまたは1~10mmしか突入していない取付けゾーン(13)は、例えば両側に少なくとも部分的に平らな端面を有しており、これらの端面を介して間隙付きケーシング(11)は、基体(1)の取付け面(3)に当接可能である(図3および図2参照)。例示的でしかないが、間隙付きケーシング(11)は基体側のセンタリング部(2)にも接触している。取付けゾーン(13)は、基体(1)への取付けのために、例えば370mmの直径上に、例えば24個の孔(45)を含む孔群を有している。孔(45)は対にまとめられており、この場合、各2つの孔が-中心線(9)に対して-10度の角度を形成している。これらの孔(45)は、座ぐり穴または複座ぐり穴であってもよい。
【0018】
例えば375mmの直径上には、M8ねじ山を有する4つのねじ山付き貫通孔(46)が位置している(図1参照)。ねじ山付き貫通孔(46)は、それぞれ90度だけ互いに分散して位置している。孔(45)の少なくとも2つの隣り合う孔群の間には、流入用ねじ山付き孔(41)と閉鎖栓用ねじ山付き孔(52)とが位置している。これらの孔(41,52)は、動作構成群(10)の内側において、例えば異なる直径上で互いに正反対の位置に位置している。孔(41,52)は、取付けゾーン(13)の一方の端面(12)または(14)に配置されているか、またはそれぞれ異なる端面(12,14)に配置されている(図1図2および図3参照)。
【0019】
図3では、取付けゾーン(13)において少なくとも1つの流入用ねじ山付き孔(41)が、動作構成群(10)の表側(12)に位置している。ここで用いられるM10細目ねじ山には、図3では-例示的でしかないが-液圧アダプタ(56)が取り付けられている。択一的に、流入用ねじ山付き孔(41)は、そのカッティングリング(49)と、カッティングリング(49)に当接しているシールリングとでもって動作構成群(10)の裏側に位置していてもよい(図1参照)。この場合、カッティングリング(49)は取付け面(3)と動作構成群(10)の裏側との間のシール作用を支援する。
【0020】
流入用ねじ山付き孔(41)(図3参照)は、半径方向の分配孔(42)に開口している。この分配孔(42)は、外部に対して緊締ブシュ(53)により閉鎖されている。緊締ブシュ(53)の孔内には圧縮球(54)が押し当てられており、圧縮球(54)は、緊締ブシュ(53)を個々の半径方向の分配孔(42)内でオイル密または気密に永続的に位置固定する。半径方向の分配孔(42)は、圧力室(37)内に開口する軸線方向の分配孔(43)に例えば垂直に向けられている。軸線方向の分配孔(43)は、取付け面(3)に対して例えば圧縮球により密閉されている。
【0021】
分配孔(42,43)は、ここでは3mmの直径を有している。液圧アダプタ(56)を介して流入する液圧油、例えば40℃において46±2mm/sの粘度を有する、DIN51524、第2部に基づくHLP46形式の油が、圧力室(37)内に迅速に分配されるようになっている。
【0022】
図2では、取付けゾーン(13)内にさらに少なくとも1つの閉鎖栓用ねじ山付き孔(52)が位置しており、-例えば圧力室(37)の充填時に脱気孔として用いられる-閉鎖線用ねじ山付き孔(52)も、やはり半径方向の分配孔(42)に開口しており、そこから軸線方向の分配孔(43)を介して圧力室(37)に接続されている。これらの分配孔は、流入部の分配孔と比較可能な形式で閉鎖されている。
【0023】
取付けゾーン(13)に一体成形された2つの撓み板(15,16)は、弾性的な撓みゾーン(21)を成している。間隙スペース(37)の両側に位置する弾性変形可能な撓み板(15,16)は、-それらの壁厚さに関して-外側から真ん中の中心線(9)に向かってテーパしている。撓み板(15,16)の壁厚さは、本実施例では例えば9mmから7.35mmに減少している。よって撓み板(15,16)の形状剛性は、緊締ゾーン(22)に向かってほぼ連続的に低下している。ゾーン(13)と(21)との間の移行部は、例えば大きな半径でもって丸み付けられている。撓みゾーン(21)は、取付けゾーン(13)に比べて引っ込められており、これにより、撓みゾーン(21)の変形が、基体(1)と取付けゾーン(13)との間に位置する取付け接合部に波及しないようになっている。
【0024】
撓みゾーン(21)の撓み板(15,16)は、それぞれ軸結合構成群(80)に向かって両緊締ゾーン(22)に移行しており、両緊締ゾーン(22)を成しているのは周方向に延在するはさみジョー(23,24)である。はさみジョー(23,24)は同時に、各撓み板(15,16)の一部でもある。
【0025】
各撓み板(15,16)は、撓みゾーン(21)と緊締ゾーン(22)との間に環状の軸線方向溝(17,18)を有している。例えば矩形の横断面を有する軸線方向溝(17,18)は、例えば1.1mmの幅において、例えば1.35mmの深さを有している。軸線方向溝の底部の両縁部は丸み付けられている。軸線方向溝(17,18)の、孔(4)に近い方の溝壁は、本実施例では孔(4)から4.5mm離れている。個々の軸線方向溝(17,18)は、側フライスにより各撓み板(15,16)から仕上げられる。このために側フライスは、孔(4)の内径よりも僅かに小さな外径を有している。さらに側フライスは、好適には側フライスから左右それぞれに1.4mm張り出している3つの歯のみを有している。側フライス自体は、1.0mmの肉厚を有している。軸線方向溝(17,18)を形成するために、側フライスは1つの歯でもって予め撓み板(15,16)の間の圧力室(37)内に進入させられる。間隙付きケーシング(11)の回転状態において、回転しない側フライスが、軸線方向溝(17)をフライス切削するために撓み板(15)の方向に送られ、軸線方向溝(17)を仕上げてから、反対方向において撓み板(16)に侵入させられ、これにより、そこにもやはり軸線方向溝(18)がフライス切削される。
【0026】
図5では、軸線方向溝(17,18)は挿入溝(19)を有している。挿入溝(19)は、各撓み板(15,16)に一箇所だけ存在する。挿入溝(19)は、例えば30~60mmの曲率半径を有している。本実施例では、曲率半径は40mmである。個々の挿入溝(19)は、接線方向において対応する軸線方向溝(17,18)に移行している。挿入溝(19)の横断面は、個々の軸線方向溝(17,18)の横断面に相応する。
【0027】
軸線方向溝(17,18)内には、支持部材(60)として弾性変形可能な金属の支持条片(61)が挿入されており、支持条片(61)は、例えば冷間圧延されたばね帯鋼Ck101または空気焼入れされたばね鋼38Si6から製造されている。支持条片(61)は、1mmの遊びを差し引いた個々の軸線方向溝(17,18)の平均長さに相応する長さを有している。支持条片(61)は、例えば1mmの肉厚において、例えば6.9mmの幅を有している。図1図2および図4では、支持条片(61)は矩形の横断面を有している。4つの縁部は全て処理されているまたは丸み付けられている。支持条片(61)は、-間隙付きケーシング(11)の非変形状態で-軸線方向溝(17,18)内に半径方向と軸線方向とにおいてそれぞれ0.1mmの遊びを有している。
【0028】
図4では、間隙付きケーシング(11)の孔(4)に近い方の溝壁(27)は、多重湾曲空間面である。支持条片(61)を-その長手方向延在部に対して横方向に-曲げることにより、軸線方向溝(17,18)内で縁部支持体無しでの支持を可能にするために、溝壁(27)は、接触ゾーン内に円筒面の代わりに、図4に円弧が破線で示された円環面の部分面(28)を有している。円環面の小さな横断面は、例えば1.4mmの直径を有している。溝壁(27)は接線方向において、軸線方向溝(17,18)の溝底部に向かって、円錐台の側面状の面を備えた円環部分面(28)に続くようにして、支持条片(61)の下面から離れている。
【0029】
支持条片(61)と溝壁(27)との間の接触箇所の中心は、ブレーキディスク(81,101,121)の緊締状態では例えば互いに5.4mm離れている。
【0030】
支持条片(61)(図6参照)は、その両端部の領域にそれぞれ引き孔(62)を有しており、引き孔(62)の直径は、例えば2.5mmである。個々の引き孔(62)の中心線は、端部からそれぞれ例えば4mm離れている。少なくとも1つの引き孔(62)を介して、支持条片(61)は-通常シールリングが予め挿入されて埋め込まれた状態で-例えばポンチにより挿入溝(19)を介して軸線方向溝(17,18)内に挿入される。取外しについても、支持条片(61)はやはりポンチにより、挿入溝(19)を介して間隙付きケーシング(11)から除去され得る。
【0031】
挿入過程を容易にするために、支持条片(61)は前後に、それぞれ支持条片長さのうちの2mmにわたり延在する15°の傾斜面(65)を有している。前縁部は全て処理されているまたは丸み付けられている。
【0032】
各はさみジョー(23,24)は、軸線方向溝(17)と孔(4)との間に平らな摩擦面(31,32)を有している。中心平面(7)に対して平行に方向付けられたこれらの摩擦面(31,32)は、本実施例では113.8mmの平均半径を有している。緊締ゾーン(22)において、摩擦面(31)の最大幅は例えば3.6mmである。
【0033】
場合により、摩擦面(31,32)は円錐台の側面状の面としても形成されており、これにより、ブレーキディスク(81,101,121)の緊締時に、摩擦面(31,32)はそれぞれブレーキディスクに全面的に密着することになる。
【0034】
制動装置および/または緊締装置の組立て後に、制動装置および/または緊締装置の緊締状態において、動作構成群(10)のはさみジョーはそれぞれ、対応する軸結合構成群(80,100,120)のブレーキディスク(81,101,121)に当接する(図2参照)。両はさみジョー(23,24)の摩擦面(31,32)は、内側に向けられた面法線(33)を有している。面法線(33)は、中心平面(7)の方向に向いている。
【0035】
さらに取付け面(3)に対して平行に方向付けられた平らな摩擦面(31,32)の代わりに、摩擦面は、円錐台の側面または円環面の部分領域の形状を有していてもよい。
【0036】
間隙スペースもしくは圧力室(37)は、中心線(9)に対して半径方向において、ダブルリップシール(50)により閉鎖される。例えばショアD硬度57のポリウレタンから製造されたダブルリップシール(50)は、半径方向外側に向けられた2つのシールリップ(51)を有しており、これらのシールリップ(51)はそれぞれ、固有の弾性に基づきかつ/または追加的に圧力室(37)内に滞留している内部圧力により、圧力室(37)の側壁に当接する。ダブルリップシール(50)の穴あき壁(57)は、支持条片(61)の平滑な半径方向の外壁に支持されている。図4では、ダブルリップシール(50)は、穴あき壁(57)の約1mm上側において両側に支持ウェブ(58)を有しており、支持ウェブ(58)を介して、ダブルリップシール(50)は-圧力室(37)内での座りを改良するために-追加的に間隙スペース(37)の内壁に当接している。
【0037】
図2図3図7図9には、軸結合構成群(80,100,120)としてそれぞれ異なって構成された3つのブレーキディスク(81,101,121)が示されており、これらのブレーキディスク(81,101,121)はそれぞれ、これらを支持する軸(130)に取り付けられている。このために軸(130)は、平らなカラー面(132)を備えた軸カラー(131)を有している。軸(130)は、そこでその直径を例えば262mmから例えば237mmに減少させている。軸(130)は、カラー面(132)の下側に例えば4.5mm幅のセンタリング段部(133)を有しており、センタリング段部(133)は、例えば238mmの直径を有している。軸カラー(131)は、等距離に分散され、例えば249mmの直径上に位置する24個のM6ねじ山付き孔(134)を有している。
【0038】
図7図9には、3つの異なるブレーキディスク(81,101,121)が示されており、これらの部品は、ここではこれらの部品が互いに取付け状態において位置決めされているのと同様に配置されている。各ブレーキディスクは、少なくとも包囲体積として例えば4.7mmの肉厚と、円筒周面状の内壁と、円筒周面状の外壁とを備えた平らなディスクである。内壁は、中心孔(88)を形成している。ブレーキディスク(81,101,121)の大きな平面は、精密加工されている。平面の外側部分(図9参照)は、ブレーキディスクの結合領域(90)である。結合領域(90)は、ブレーキディスクの両側の摩擦面(91,92)に分かれている。摩擦面(91,92)は、外側に向けられた面法線(93)(図4参照)を有している。制動装置および/または緊締装置の緊締方向は、この面法線(93)とは反対の方向に向けられている。ブレーキディスクの平面の内側部分は各ブレーキディスク(81,101,121)のフランジ領域(96)である。2つの領域は、図9に補助的に示した補助一点鎖線(98)により分けられる。
【0039】
摩擦面(91,92)または間隙付きケーシング(11)の摩擦面(31,32)は、表面構造を有していてよい。例えばこの表面構造は、サンドブラストまたはダイヤモンドコーティングまたはサファイアコーティングにより生じる。このようなコーティングは、例えば0.038mmの層厚さを有している。この層厚さにおけるコーティング基本材料の平均粒径は、約30μmである。
【0040】
個々のブレーキディスクもしくはブレーキディスクの包囲体積は、軸(130)への取付け用に、例えば6.4mmの直径を有する24個の孔(87)を有している。
【0041】
ブレーキディスク(81)は、3つの同一形状の円環部材(82~84)から成る。中心角は、例えば118.08度である。よって本実施例では、3つの半径方向ギャップ(85)がそれぞれ4mmのギャップ幅を有している。この態様では、ブレーキディスク円環部材(82~84)を孔(4)から順次、間隙付きケーシング(11)内に挿入することができるようにするために、半径方向ギャップ(85)が必要とされている。
【0042】
ブレーキディスク(101)も、3つのブレーキディスク部材(102~104)から成っている。この場合、2つの部材(103,104)が合致する。両部材は、ギャップ幅が例えば0.0~0.5mmの半径方向ギャップ(105)により分断されている。ギャップ幅は、ブレーキディスク(101)を3つの部材(102~104)に切断する放電加工ワイヤのワイヤ太さにより設定される。各部材(102~104)が個別に製造される場合には、理論的にギャップ幅は0mmであってもよい。
【0043】
2つのブレーキディスク部材(102~104)の外壁(108)は、例えば132.1度の角度を形成している。この場合、ブレーキディスク部材(103,104)において各第1の端面は、ほぼ半径方向面(111)である、すなわち、端面(111)は、中心線(9)も位置する平面内に位置している。各他方の第2の端面は、第1の端面(111)に対して平行に方向付けられた平行面(112)である。
【0044】
ブレーキディスク部材(103,104)の平行面(112)の間には、図8では中間部分としてブレーキディスク部材(102)が挿入されている。ブレーキディスク部材(102)もやはり、互いに平行に方向付けられた端面を有しているが、ただしここでは、両方の端面が同じ表面積を有している。中間部分(102)の端面と、それぞれ隣り合う側方部分(103,104)の個々の端面(112)との間には、各1つの斜めギャップ(106,107)が位置している。このブレーキディスク(101)の場合、まず側方部分(103,104)が間隙付きケーシング(11)の摩擦面(31,32)の間に挿入され、次いで中間部分(102)がほぼ継目無しで、既存の間隙内に挿入される。
【0045】
ブレーキディスク(121)は、図9では一体に形成されている。ブレーキディスク(121)は開いたリングを形成しており、リングの分断箇所(125)は2回曲げられたギャップ(122~124)から成っており、これによりブレーキディスク(121)は、一方の端面領域に外側突起(126)を形成しておりかつ他方の端面領域に内側突起(127)を形成している。突起(126,127)は、周方向において0.1mm超だけ、互いを覆っている。ギャップには、内側の半径方向部分ギャップ(122)と、真ん中の周方向部分ギャップ(124)と、外側の半径方向部分ギャップ(123)とが含まれている。半径方向部分ギャップ(122,123)は、それぞれ中心線(9)も位置する平面内に位置する端面領域に隣接している。内側の半径方向部分ギャップ(122)の最小ギャップ幅は、周方向において少なくとも
RS=6/5×π×(dBa-dGi)mm
である。
【0046】
最小ギャップ幅は、本実施例では10.4mmである。真ん中の周方向部分ギャップは、例えば0.75mmの幅を有している。ブレーキディスク(121)を取り付けるために、ブレーキディスクの周は間隙付きケーシング(11)内に挿入される前に、-弾性変形させられた状態で-その外壁(108)が孔(4)を介して嵌合させられるまで縮小される。
【0047】
弾性変形状態において、突起(126,127)は相並んで位置している。半径方向部分ギャップ(122,123)は、数マイクロメートルに縮小されている。間隙付きケーシング(11)内でのブレーキディスク(121)の跳返り後に、ブレーキディスク(121)は再び、図9に示す形をとる。
【0048】
ブレーキディスク(121)の分断箇所(125)は、軸(130)に作用する不均衡を生ぜしめる。この不均衡を補償するために、分断箇所(125)の領域に円環片状の補償質量体(129)が配置される(図10参照)。補償質量体(129)は、内側の半径方向部分ギャップ(122)を覆っている。補償質量体(129)の取付けは、ねじ(99)を介して行われる。
【0049】
取り付けられた個々のブレーキディスク(81,101,121)は、一方ではそのセンタリング孔(88)でもって軸(130)のセンタリング段部(133)に載置されている。他方では、ブレーキディスク(81,101,121)はカラー面(132)に支持されている。例えば20本のねじ(99)が、ブレーキディスク(81,101,121)を軸カラー(131)に相対回動不能に保持している。
【0050】
この制動装置および/または緊締装置は、緊締位置(34)において選択された軸結合構成群(80,100,120)と組み合わせられた状態で供給される(図2参照)。この場合、各軸結合構成群(80,100,120)は、動作構成群(10)内に同軸に着座している。この装置を収容する機械に組み込むために、軸結合構成群(80,100,120)は軸(130)に被せ嵌められ、そこで基体(1)の取付け面(3)にすぐ並ぶように-通常は取外し可能に-取り付けられる。最後に、取付けねじが対応する基体側の孔に挿入され、そこで締結される。
【0051】
圧力室(37)内に液圧油動作圧が滞留していないと、軸(130)は基体(1)に対して緊締されている。圧力室(37)は、大した油圧を有していない。それというのも、油流入部が弁(図示せず)を介してオイルタンク内へ放圧されているからである。撓み板(15,16)は、予荷重を加えられた状態でそれらのはさみジョー(23,24)を介してブレーキディスク(81,101,121)に当接している(図2参照)。予荷重は、予め膨らみを付けられた撓み板(15,16)のばね定数に基づき生じる。ばね定数の高さは、リングディスク側の材料選択と、撓みゾーン(21)の幾何学形状との関数である。生ぜしめられる制動モーメントもしくは保持モーメントは、これらの実施例では約3000±200Nmである。
【0052】
撓み板(15,16)は、ブレーキディスク(81,101,121)がはさみジョー(23,24)の間に位置していない場合にのみ、完全に弛緩状態になる。この場合、本実施例では、圧力室(37)は一定の間隙幅を有する間隙スペースである。
【0053】
制動装置および/または緊締装置を解除するためには、例えば液圧アダプタ(56)(図3参照)を介して、圧力室(37)内の油圧が例えば100~150×10Paに高められる。圧力上昇は、液圧アダプタ(56)から分配孔(42)および(43)を介して圧力室(37)内に伝わる。撓み板(15,16)は、それらの解除位置(35)に移行する。このとき撓み板(15,16)は、弾性的な撓みゾーン(21)において膨らむ(図3参照)。各緊締ゾーン(22)は、定置に留まる取付けゾーン(13)に比べ、実質的に軸線方向において外側に向かって移動する。はさみジョー(23,24)は、ブレーキディスク(81,101,121)から矢印(47)の方向に持ち上がる。動作構成群側の摩擦面(31,32)が、軸結合構成群側の摩擦面(91,92)から離れ、これにより、軸(130)と基体(1)との間には、最早接触が生じていない。
【0054】
解除過程中、間隙付きケーシング(11)内では取付けゾーン(13)と撓み板(15,16)との間の移行領域において圧力室(37)の間隙スペース底部(38)の両側に、それぞれ最大の変形が生じる。撓み板(15,16)は、間隙スペース底部(38)のすぐ近くの比較的剛性の取付けゾーン(13)につながる領域に、それらの最大の引張り応力を受ける。これに対して間隙付きケーシング(11)の両端面には、そこで表面に測定可能な圧縮をもたらす、相応する圧縮応力が生じる。
【0055】
摩擦面対(31):(91)および(32):(92)毎の空隙、つまり予め接触し合う摩擦面の間の間隔は、0.3~0.5mmである。この装置は、500万~1000万回の開閉サイクルに設定されている。
【0056】
間隙付きケーシング(11)内に変形測定装置(150)を収納するために、図1では表側(12)に、カバー(156,164)により閉じられた2つの凹部(153,161)が位置している。より小さなDMS凹部(153)内には測定ゾーン(151)にセンサ(170)が収納されている(図13も参照)一方で、より大きな電子機器凹部(161)内には、センサ(170)に供給し、センサ信号を評価し、かつ外部の機械制御装置(SPS)と双方向通信する電子機器構成群(180)が配置されている。
【0057】
図11および図13では、DMS凹部(153)は例えば1mmの深さの溝であり、この溝は、中心平面(7)に対して平行に延びる平らな凹部底部(154)を有している。凹部底部(154)は、外側の撓み板(15)にまで達しているが、撓み板(15)を肉厚に関して減少させることはない。DMS凹部(153)は、周方向(5)においてかつ半径方向外側に対して、例えば2mm幅のセンサカバー埋設部(155)により包囲されている。凹部底部(154)に対して平行に方向付けられたセンサカバー埋設部(155)の平らな面には、ほぼ矩形の薄肉のセンサカバー(156)が接着されている(図1参照)。例えば導電性の金属材料から製造されたセンサカバー(156)は、少なくともその内面に絶縁コーティングを装備している。
【0058】
孔(4)に向けられたセンサカバー(156)の下縁部にはスポンジゴム条片(157)が位置しており、スポンジゴム条片(157)を介して、センサカバー(156)は撓み板(15)に対してダスト密に密着している。
【0059】
図13では、DMS凹部(153)の右隣に電子機器凹部(161)が位置している。電子機器凹部(161)の中心は、DMS凹部(153)の中心に対して例えば15度だけさらに間隔をあけられてもしくはずらされて配置されている。2つの凹部(153)および(161)の間には、ほぼ中間に取付け孔(45)が位置しており、この場合、取付け孔(45)と凹部(153,161)との間の間隔は、少なくとも7.5mmである。
【0060】
電子機器凹部(161)は、平らな凹部底部(162)と、例えば6.4mmの幅と、例えば17mmの深さとを備えた長孔状の溝である。周方向(5)において例えば10度にわたり延在する、ここでは湾曲した電子機器凹部(161)の延在部は、間隙付きケーシング(11)の半径方向の外壁(29)に対して平行に延びている。外壁までの間隔は、例えば3.7mmである。電子機器凹部(161)も、平均で例えば2mm幅の接着縁部を形成するための、例えば0.4mmのカバー埋設部(163)を有している。
【0061】
2つの凹部(153,161)は、例えば3mmの深さのケーブル通路(168)により接続されており、ケーブル通路(168)は、例えば2.75mmの間隔をあけて、取付け孔(45)の傍らを通過案内されている。
【0062】
DMS凹部(153)の、例えば精密加工された凹部底部(154)には、ひずみゲージを支持する2つの支持体シート(171,172)が接着されている。中心に近い支持体シート(171)(図13参照)は、相並んで位置する2つのひずみゲージ(173,174)を支持しており、ひずみゲージ(173,174)の蛇行状に敷設された、相並んで位置する直線部分は、-中心の回転軸線(9)から出発して-半径方向に延びる中心線(8)に対して平行に方向付けられている。ひずみゲージ(173,174)の両方の面重心(177,178)は、間隙スペース底部(38)(図13に一点鎖線として図示)の直上に位置している(図11も参照)。
【0063】
半径方向外側に向かってずらされて、中心から遠いシート(172)には相前後して位置する2つのひずみゲージ(175,176)が位置しており、ひずみゲージ(175,176)の長い直線オーム導体部分は、ひずみゲージ(173,174)の長い直線オーム導体部分に対して横方向もしくは垂直に方向付けられている。4つのひずみゲージは全て、オーム抵抗として図14では閉じられたひし形に接続された測定ブリッジもしくはフルブリッジ(170)の構成部材である。この場合、ひし形の一方の対角線上に電圧源Uが組み込まれており、かつひし形の他方の対角線上に電圧測定装置Vが組み込まれている。
【0064】
間隙付きケーシング(11)の表面の圧縮変形を測定する2つのひずみゲージ(173,174)(図13)は、図14に示す機能原理では互いに対向して位置している。これに対して90度だけずらされて、別の2つのひずみゲージ(175,176)もやはり互いに対向して位置するように配置されている。
【0065】
ひずみゲージ(173~176)のろう接ラグに接続された電線は、1つの電線束(179)に束ねられ、アースシールドにより保護されている。電線束(179)は、ケーブル通路(168)を介して電子機器凹部(161)内へ案内されている。そこで個々の電線は、回路基板(181)に接続されている。回路基板(181)は、電子機器構成群(180)の少なくとも一部を支持している。
【0066】
回路基板(181)は、例えば4つの短い底部ピン(182)と、回路基板上面に支持された中央の長い支持ピン(183)とにより、半径方向において位置固定されている(図12および図13参照)。周方向(5)において、回路基板(181)の端面は電子機器凹部(161)の壁に接触している。その他の点において、回路基板(181)は凹部底部(162)とカバー(164)との間に保持される。このカバー(164)も、その内側に場合により絶縁材を備えている。
【0067】
カバー(164)の孔を介して、-例えばSPSとの有線接続用の-コンビネーションケーブル(165)が外部へ導出される(図1参照)。
【0068】
必要な場合には、電子機器凹部(161)内に2つ以上の回路基板が積層されて収納されていてもよい。取付けゾーン(13)に、複数の電子機器凹部を周方向に相並べて配置することも可能である。この場合、個々の電子機器凹部内に配置された各回路基板は、例えば-場合により取付け孔(45)を迂回するためにも-導体路を支持するフィルムヒンジを介して接続されている。場合により、回路基板は例えば薄いフレキシブルプリント基板の形態の、フレキシブルなプリント基板であってもよい。フレキシブルプリント基板は、例えばポリイミドフィルムから製造される。
【0069】
ケーブル通路(168)内には、電線束(179)が干渉の影響を受けないように、合成樹脂が流し込まれている。択一的に、ケーブル通路(168)はシリコーンまたは別個のカバーにより閉じられていてもよい。
【0070】
もちろん、電子機器構成群(180)全体が、間隙付きケーシング(11)の外側で別個のケーシング内に収納されていてもよく、別個のケーシングは、場合により間隙付きケーシング(11)に取り付けられている。
【0071】
図14には、センサモジュールによる変形測定の機能原理が示されている。センサモジュールには、2つの構成群が含まれる。第1の構成群は、センサ(170)である。センサ(170)は、そのオーム抵抗がひずみゲージ(173~176)であるフルブリッジを成している。それぞれが互いに対向して位置するひずみゲージ(173,174;175,176)は、同一の伸長もしくは圧縮に晒されている。
【0072】
第2の構成群は、電子機器構成群(180)である。電子機器構成群(180)はとりわけ、測定ブリッジ(170)にブリッジ供給電圧を供給する。さらに、フルブリッジのひずみゲージ(173,175)と(174,176)との間に位置するピックアップ電圧が、電子機器構成群(180)のプログラミング可能な測定増幅器(191)に供給される。
【0073】
プログラミング可能な測定増幅器(191)は、増幅器出力信号をプロセッサ(193)に送る。プロセッサ(193)には、演算ユニットおよび制御ユニットならびにフィルタが含まれる。これによりプロセッサ(193)は、機械制御装置(SPS)に送られるデジタル出力信号とアナログ出力信号とを互いに並列に生ぜしめることができるようになっている。同時にプロセッサ(193)は、例えばIO-Linkインタフェース(190)の構成部材として、機械制御装置から、測定増幅器(191)の操作用にプロセッサ(193)に送られるパラメータデータを受け取ることができる。
【0074】
IO-Linkインタフェース(190)により、測定ブリッジ(170)に双方向通信インタフェースが装備され、これにより、システム全体にインテリジェントセンサの追加情報が供与される。この場合、個々の測定ブリッジ(170)には一義的な番号が与えられている。インタフェースは、検出した全ての物理量を通知する。追加的にインタフェースは、必要とされる全てのプロセスデータと、その時間推移とを保存する。同様に、診断データも集められる。
【0075】
つまり変形測定装置(150)は、IO-Linkインタフェース(190)と組み合わせられて、以下のデータ、すなわち:
-間隙付きケーシング(11)の解除位置または緊締位置、
-評価ユニットの温度、
-測定箇所における温度(任意)、
-サイクルカウンタおよび動作時間カウンタ、
-ステータスおよびエラーコード、
-50回の連続緊締動作において原材料応力の90%を超過した場合の最初の警告信号、
-アナログ値(%)および絶対値(デジタル数値)で表された材料応力、
-ケーブル切断の検出、
-重量補償の大きな差を明らかにするための、重量補償の妥当性チェック
を提供する。
【0076】
さらにIO-Linkインタフェース(190)は、以下の数値、すなわち:
-サイクル数、
-センサ(170)に電圧が印加された場合の動作継続時間、
-間隙付きケーシング(11)が解除位置、すなわち最大変形を有する位置に位置する場合の動作継続時間、
-現時点のサイクル数に関係するエラーコード、
-サイクル数およびアナログ数値を用いた重量補償、
-サイクル数を用いたx回毎の測定値(連続する各測定値間のスパンは、そのときどきの制動装置および/または緊締装置に加えられる基本荷重に依存する。少なくとも1つのエラーコードの発生時から全ての測定値が記録される。)、
-危機的な材料応力を30%超上回る、アナログ数値としての材料応力、
-危機的な温度数値を30%超上回る温度数値
を継続的に保存する。
【0077】
検出された全てのデータは、制動装置および/または緊締装置の耐用年数サイクルを表す。これらのデータを用いて、早期警告ならびに場合により必要とされる装置交換を、故障前に早期に導入することができる。
【0078】
さらに、制動装置および緊締装置のオペレータは、以下の調整手段を有している。すなわち:
-オペレータは、自己決定式の5つの限界値をパーセント表示として予め設定することができ、これにより、限界値に達した場合には、場合によりそれぞれ異なる視覚的または音響的な警告信号が発せられる。例えばオペレータは、「粗」、「並」または「微細」という表示を用いて大まかな許容範囲を設定することができ、
-IO-Linkインタフェース(190)を用いて、オペレータは変形測定装置(150)の再重量補償を行うことができる。
【0079】
制動装置および/または緊締装置のオペレータがIO-Linkバスシステムを利用しない場合、オペレータは、特別な重量補償装置を用いて変形測定装置(150)を調整することができ、これにより、制動装置および緊締装置の緊締位置(34)および解除位置(35)は、標準入出力インタフェースを介して確認可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 基体
2 センタリング部、外側センタリング部
3 (1)の取付け面
4 孔、(10)の中心
5 周方向
7 中心平面
8 (7)内に位置する鉛直方向の仮想軸線
9 装置の中心線、中心、回転軸線
10 動作構成群
11 間隙付きケーシング、部分的に膨らむことができる
12 表側、端面
13 取付けゾーン
14 外壁、端壁、端面
15 撓み板、外側
16 撓み板、内側
17 (15)の軸線方向溝
18 (16)の軸線方向溝
19 挿入溝
21 撓みゾーン、膨らむことができる、弾性
22 緊締ゾーン
23 はさみジョー、一体成形、右側
24 はさみジョー、一体成形、左側
27 溝壁
28 円環部分面
29 外壁、半径方向
31,32 摩擦面
33 (31,32)の面法線
34 緊締位置
35 解除位置、(37)に圧力が供給されている
36 精密加工ゾーン
37 圧力室、間隙スペース、溝
38 間隙スペース底部、底部
41 流入用ねじ山付き孔
42 分配孔、半径方向
43 分配孔、軸線方向
45 孔、取付け孔
46 ねじ山付き貫通孔
47 矢印、移動方向
48 液圧油流入部
49 カッティングリング
50 ダブルリップシール、シールリング
51 シールリップ
52 閉鎖栓用ねじ山付き孔
53 緊締ブシュ
54 圧縮球
55 閉鎖栓
56 液圧アダプタ
57 (50)の孔壁
58 支持ウェブ
60 支持部材
61 支持条片
62 引き孔、横方向孔
65 15°傾斜面
80 軸結合構成群、半径方向分割
81 ブレーキディスク、3つの部分、半径方向に分割、リング
82~84 ブレーキディスク円環部材、分割部材
85 半径方向ギャップ
86 組立接合部
87 孔
88 センタリング孔
90 結合領域
91,92 摩擦面
93 (91,92)の面法線
96 フランジ領域
98 補助線
99 ねじ
100 軸結合構成群、混合分割
101 ブレーキディスク、3つの部分、混合分割、リング
102 中間部分、ブレーキディスク部材、分割部材
103,104 側方部分、ブレーキディスク部材、分割部材
105 半径方向ギャップ
106,107 斜めギャップ
108 外壁、円筒周面状
111 第1の端面、半径方向面
112 第2の端面、平行面
120 軸結合構成群、1箇所にスリットが形成されている
121 ブレーキディスク、段付けされたスリットが形成されたリング
122 半径方向部分ギャップ、内側
123 半径方向部分ギャップ、外側
124 周方向部分ギャップ、真ん中
125 分断箇所
126 突起、外側
127 突起、内側
129 補償質量体
130 軸
131 軸カラー
132 カラー面、平ら
133 センタリング段部
134 M6ねじ山付き孔
150 変形測定装置、センサモジュール
151 測定ゾーン
153 DMS凹部
154 凹部底部、底部
155 センサカバー埋設部
156 センサカバー
157 スポンジゴム条片
161 電子機器凹部
162 凹部底部、平ら
163 カバー埋設部
164 カバー
165 コンビネーションケーブル
168 ケーブル通路
170 センサ、センサモジュール、測定ブリッジ、フルブリッジ
171,172 支持体シート
173,174 変形ゾーン内のひずみゲージ
175,176 (13)内のひずみゲージ
177,178 面重心
179 電線束、遮蔽されている
180 電子機器構成群、評価・通信電子機器
181 回路基板、フレキシブルプリント基板
182 底部ピン、短
183 支持ピン、長
190 IO-Linkインタフェース
191 測定増幅器
193 演算・メモリユニット、プロセッサおよびフィルタ
RS 平均的な半径方向部分ギャップ幅
ブリッジ供給電圧
V 電圧計
Ba ブレーキディスク(121)の外径
Gi 間隙付きケーシング(11)の孔径(4)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7-9】
図10
図11
図12
図13
図14