(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】処理液を用いて密閉容器に充填された食料品または飲料を殺菌するためのプラント
(51)【国際特許分類】
A23L 3/02 20060101AFI20240910BHJP
A23L 3/04 20060101ALI20240910BHJP
A23L 2/46 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
A23L3/02
A23L3/04
A23L2/46
(21)【出願番号】P 2022529908
(86)(22)【出願日】2020-09-15
(86)【国際出願番号】 EP2020075707
(87)【国際公開番号】W WO2021110296
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】102019133184.6
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506040652
【氏名又は名称】クロネス アクティェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ルッケ, イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ミュンツァー, ヤン
【審査官】天野 皓己
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0325147(US,A1)
【文献】特開2012-166806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 3/00 - 3/3598
A23L 2/00 - 2/84
A61L 2/00 - 2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液(13)によって密閉容器(2)に充填された食料品または飲料を殺菌するためのプラント(1、42、53、56)において、
容器2の搬送方向(5)に連続して配置された少なくとも1つの加熱ゾーン(6、7)、少なくとも1つの殺菌ゾーン(8、9、10)、および少なくとも1つの冷却ゾーン(11、12)であって、各ゾーン(6,7,8,9,10,11,12)には、処理液(13)を排出するための散布装置(14、15、16、17、18、19、20)と、排出された処理液を受けるための回収区域(23、24、25、26、27、28、29)とが割り当てられている、少なくとも1つの加熱ゾーン(6、7)、少なくとも1つの殺菌ゾーン(8、9、10)、および少なくとも1つの冷却ゾーン(11、12)と、
少なくとも1つの加熱ゾーン(6,7)、少なくとも1つの殺菌ゾーン(8,9,10)および少なくとも1つの冷却ゾーン(11,12)を通して前記容器(2)を前記搬送方向(5)に搬送する搬送手段(4)と、
第1の熱交換器(31)であって、熱源(32)からの熱を、前記少なくとも1つの殺菌ゾーン(10)の回収区域(27)からの処理液(13)に送るとともに、この目的のために、
圧力密閉型加熱ラインシステム(95)を介して、少なくとも1つの殺菌ゾーン(10)の一つの回収区域(27)へのライン接続
および少なくとも1つの加熱ゾーン(6,7)の前記散布装置(14,15)
への入口へのライン接続を有する、第1の熱交換器(31)と、
第2の熱交換器(30)であって、少なくとも1つの冷却ゾーン(11)の前記回収区域(28)からの前記処理液(13)を冷却するための冷却プラントに結合され、この目的のために、
圧力密閉型冷却ラインシステム(96)を介して、前記少なくとも1つの冷却ゾーン(11)の一つの回収区域(28)へのライン接続
および少なくとも1つの冷却ゾーン(11,12)の散布装置(19,20)
への入口へのライン接続を有する、第2の熱交換器(30)と、
凝縮器(37)と蒸発器(39)とを備えたヒートポンプ(35)と、
を備え、
前記凝縮器(37)によって前記加熱ラインシステム(95)内の前記処理液(13)に付加的な熱を供給することができ、前記蒸発器(39)によって前記冷却ラインシステム(96)内の前記処理液(13)を付加的に冷却することができる、プラント(1、42、53、56)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの殺菌ゾーン(10)の前記回収区域(27)からの前記処理液(13)に熱を供給するための前記第1の熱交換器(31)が、
前記加熱ラインシステム(95)を介して、前記少なくとも1つの殺菌ゾーン(8、9、10)の前記散布装置(16、17、18)への入口へのパイプラインによって更に接続され、
前記少なくとも1つの冷却ゾーン(11)の前記回収区域(28)からの前記処理液(13)を冷却するための前記第2の熱交換器(30)が、
前記冷却ラインシステム(96)を介して、前記少なくとも1つの冷却ゾーン(11、12)の前記散布装置(19、20)への入口へのパイプラインによって更に接続され、前記少なくとも1つの冷却ゾーン(11)の前記回収区域(28)からの処理液(13)を冷却するための前記第2の熱交換器(30)が、
前記冷却ラインシステム(96)を介して、殺菌ゾーン(8、9、10)の前記散布装置(16、17、18)への入口でパイプラインによって更に接続され
る、請求項1に記載のプラント(1、42、53、56)。
【請求項3】
0.5×10
5Paから2.5×10
5Paまでの範囲の第1の過剰圧力が、大気圧および/または周囲圧力に対して加熱ラインシステム(95)に提供され、
0.5×10
5Paから2.5×10
5Paの範囲の第2の過剰圧力が、周囲圧力に対して前記冷却ラインシステム(96)に提供され、ここで、前記第1の過剰圧力および第2の過剰圧力は、同じであっても異なっていてもよい、請求項1又は2に記載のプラント(1、42、53、56)。
【請求項4】
前記処理液(13)は、前記少なくとも1つの冷却ゾーン(11)の前記回収区域(28)から、前記冷却ラインシステム(96)を介して、第1のポンプ(71)によって、前記第2の熱交換器(30)の第1の入口(69)に供給される、請求項1~3のいずれか一項に記載のプラント(1、42、53、56)。
【請求項5】
前記熱源(32)の供給熱量は、計量装置(58)によって制御可能である、請求項1~4のいずれか一項に記載のプラント(1、42、53、56)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの殺菌ゾーン(10)の回収区域(27)からの前記処理液(13)は、前記加熱ラインシステム(95)を介して、第2のポンプ(59)によって、前記第1の熱交換器(31)の第2の入口(60)に供給することができる、請求項1~5のいずれか一項に記載のプラント(1、42、53、56)。
【請求項7】
前記加熱ラインシステム(95)には前記凝縮器(37)への第1のバイパスが設けられ、前記冷却ラインシステム(96)には前記蒸発器(39)への第2のバイパスが設けられ、任意選択的に、前記第1のバイパスは、前記第1の熱交換器(31)の上流に設けられ、前記第2のバイパスは、前記第2の熱交換器(30)の上流に設けられる、請求項1~6のいずれか一項に記載のプラント(1、42)。
【請求項8】
前記第1のバイパスは、前記加熱ラインシステム(95)から第1の計量装置(36_2)を通って前記凝縮器(37)の第1の入口(65)に至り、前記凝縮器(37)を通って前記凝縮器(37)の第1の出口(66)から、前記加熱ラインシステム(95)に戻り、前記第2のバイパスは、前記冷却ラインシステム(96)から第2の計量装置(41_2)を通って前記蒸発器(39)の第1の入口(73)に至り、前記蒸発器(39)を通って前記蒸発器(39)の第1の出口(74)から前記冷却ラインシステム(96)に戻る、請求項7に記載のプラント(1、42)。
【請求項9】
前記第1のバイパスには更にヒートタンク(43)が設けられ、前記第2のバイパスには更に冷却タンク(46)が設けられる、請求項7又は8に記載のプラント(42)。
【請求項10】
前記ヒートタンク(43)への第1の入口(79)は、前記第1の計量装置(36_2)の下流に設けられ、前記ヒートタンク(43)の第1の出口(80)は、第3のポンプ(44)を通って前記凝縮器(37)の前記第1の入口(65)に
接続され、前記凝縮器(37)の前記第1の出口(66)は、前記ヒートタンク(43)の第2の入口(81)に
接続され、前記ヒートタンク(43)の第2の出口(82)は、第4のポンプ(45)および第3の計量装置(49)を通って前記加熱ラインシステム(95)に
接続され、
前記第2の計量装置(41_2)の下流側には、前記冷却タンク(46)に第1の入口(83)が設けられ、前記冷却タンク(46)の第1の出口(84)は、ポンプ(47)を通って前記蒸発器(39)の前記第1の入口(73)に
接続され、前記蒸発器(39)の前記第1の出口(74)は、前記冷却タンク(46)の第2の入口(85)に
接続され、前記冷却タンク(46)の第2の出口(86)は、第6のポンプ(48)および第4の計量装置(52)を通って前記冷却ラインシステム(96)に
接続される、請求項9に記載のプラント(42)。
【請求項11】
前記第1の計量装置(36_2)と前記ヒートタンク(43)の前記第1の入口(79)との間に第1のスプリング弁(50)が設けられ、前記第4のポンプ(45)と前記第3の計量装置(49)との間に第2のスプリング弁(50)が設けられている、請求項10に記載のプラント(42)。
【請求項12】
前記第2の計量装置(41_2)と前記冷却タンク(46)の前記第1の入口(83)との間には第3スプリング弁(51)が設けられ、前記第6のポンプ(48)と前記第4の計量装置(52)との間には第4のスプリング弁(51)が設けられている、請求項10又は11に記載のプラント(42)。
【請求項13】
第3の熱交換器(54)および第
4の熱交換器を更に備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のプラント(53,56)であって、
前記第3の熱交換器(54)を通って、前記加熱ラインシステム(95)が少なくとも部分的に通過し、前記第3の熱交換器(54)は、前記プラント(53,56)のヒートタンク(43)から前記加熱ラインシステム(95)内の前記処理液(13)に熱を供給し、そのために、前記ヒートタンク(43)及び前記凝縮器(37)にパイプラインで接続され、
前記第4の熱交換器(55)を通って、前記冷却ラインシステム(96)が少なくとも部分的に通過し、前記第4の熱交換器(55)は、前記プラント(53,56)の冷却タンク(46)および前記蒸発器(39)にパイプラインで接続され、前記冷却ラインシステム(96)内の前記処理液(13)を冷却する、プラント(53,56)。
【請求項14】
前記第1の熱交換器(31)の上流には前記第3の熱交換器(54)が設けられ、前記第2の熱交換器(30)の上流には前記第4の熱交換器(55)が設けられている、請求項13に記載のプラント(53,56)。
【請求項15】
パイプは、前記第3の熱交換器(54)の第1の出口(90)から前記ヒートタンク(43)の第1の入口(79)へと、前記ヒートタンク(43)の第1の出口(80)から第3のポンプ(44)を通って前記凝縮器(37)の第1の入口(65)へと、前記凝縮器の第1の出口(66)から前記ヒートタンク(43)の第2の入口(81)へと、前記ヒートタンク(43)の第2の出口(82)から第4のポンプ(45)を通って前記第3の熱交換器(54)の第1の入口(89)へと
接続され、
更なるパイプは、前記第4の熱交換器(55)の第1の出口(92)の下流側に、前記冷却タンク(46)の第1の入口(83)へと、前記冷却タンク(46)の第1の出口(84)から第5のポンプ(47)を通って前記蒸発器(39)の第1の入口(73)へと、前記蒸発器(39)の第1の出口(74)から前記冷却タンク(46)の第2の入口(85)へと、前記冷却タンク(46)の第2の出口(86)から第6のポンプ(48)を通って前記第4の熱交換器(55)の第1の入口(91)へと
接続される、請求項13又は14に記載のプラント(53)
【請求項16】
パイプは、前記第3の熱交換器(54)の第1の出口(90)から前記ヒートタンク(43)の第1の入口(79)へと、前記ヒートタンク(43)の第1の出口(80)から第3のポンプ(44)を通って前記凝縮器(37)の第1の入口(65)へと、前記凝縮器の第1の出口(66)から前記第3の熱交換器(54)の第1の入口(89)へと
接続され、さらに、前記第3の熱交換器(54)の周囲には、前記第3の熱交換器(54)の第1の入口(89)の上流側から前記第3の熱交換器(54)の前記第1の出口(90)の下流側へとバイパスが設けられ、
更なるパイプは、前記第4の熱交換器(55)の第1の出口(92)の後に、前記冷却タンク(46)の第1の入口(83)へと、前記冷却タンク(46)の第1の出口(84)から第5のポンプ(47)を通って前記蒸発器(39)の第1の入口(73)へと、前記蒸発器(39)の第1の出口(74)から前記第4の熱交換器(55)の第1の入口(91)へと
接続される、請求項13又は14に記載のプラント(56)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の処理液によって密閉容器内に充填された食料品または飲料を殺菌するためのプラントに関する。
【0002】
【技術水準】
【0003】
トンネル式殺菌装置と共にヒートポンプを使用する最新技術のプラントが既に知られている。
【0004】
ヒートポンプを殺菌装置に接続する方法としては、基本的に2種類が知られている。
【0005】
一つのタイプの接続では、たとえば、ヒートポンプを2つのゾーンの処理水サイクルに直接統合することができるが、これは、特開2012166806号公報、FR 2520984、DE 10 2007 003 919 A1などに開示されている。通常、ヒートポンプは、最後の冷却ゾーンと他のゾーンの1つとの間に配置される。
【0006】
このタイプの接続では、ヒートポンプの冷却/加熱エネルギは2つのゾーンでのみ使用でき、マシン全体では使用できない。ヒートポンプへの接続に使用できる異なるゾーン間の切り替えは、構造的に非常に複雑である。したがって、このタイプの接続では、ヒートポンプは常に同じ対のゾーンにいつまでも接続される。特定の運転条件(例えば、ストップアンドゴー運転)のために、ヒートポンプに接続されていない他のゾーンで主に加熱または冷却エネルギが必要とされる場合、ヒートポンプから利点を得ることはできない。また、ヒートポンプを接続する熱交換器もバイパス用パイプがない限り常に中を流れているので、ヒートポンプを停止しても圧力損失が発生する。
【0007】
他のタイプの接続では、熱冷貯水槽として、全てのゾーンの処理水のパイプシステムに温水および/または冷水タンクを直接接続することができるが、これはWO 2017/055501およびEP3378330 A1などに開示されている。この場合、殺菌装置のバット(vat)とタンクとの間の水収支は、これらのタンクが上部で開放されているので、測地高さ(geodetic height)を介して、即ち、過剰圧力を有することなく開放システムで起こる。その結果、タンクは、殺菌装置に統合されるか、または殺菌装置に固定された測地高さですぐ近くに置かれなければならない。次いで、加熱または冷却プラントがこれらのタンクに接続される。ヒートポンプは、加熱システムと冷却システムの間に接続される。したがって、試運転段階でのタンクの設置と水位の調整は、密閉された加圧システムを備えた加熱冷却システムと比較して、遙かに複雑である。ホール内の空間条件によっては、設置状況が常に変化することがある。その結果、接続配管の長さが異なると、開放システムにおける殺菌装置の全体的な制御挙動に大きな影響を及ぼす可能性がある。
【0008】
【目的】
【0009】
本発明は、密閉容器に充填された食料品または飲料を処理によって殺菌するためのプラントを提供することを目的とし、それは、処理液を加熱または冷却するためのプラント要素を、プラントの残部の位置とは無関係に位置決めすることを可能にする。
【0010】
【解決手段】
【0011】
請求項1に記載の処理液によって密閉容器に充填された食料品または飲料を殺菌するプラントによって解決される。様々な実施形態がサブクレームに開示されている。
【0012】
瓶、缶などの密閉容器に充填された食料品または飲料を処理液で殺菌するためのプラントは、容器の搬送方向に連続して配置された少なくとも1つの加熱ゾーン、少なくとも1つの殺菌ゾーン、および少なくとも1つの冷却ゾーンを含む。各ゾーンは、処理液を分配するためのそれぞれの散布装置に関連付けられ、分配された処理液を受けるためのそれぞれの回収区域に関連付けられる。
【0013】
さらに、プラントは、少なくとも1つの加熱ゾーン、少なくとも1つの殺菌ゾーン、および少なくとも1つの冷却ゾーンを通して、容器を搬送方向に搬送するための搬送手段(例えば、コンベアベルト、コンベアチェーン)を備える。
【0014】
さらに、第1の熱交換器(HE)が提供されるが、この第1の熱交換器(HE)は、蒸気または熱水源などの熱源からの熱を、少なくとも1つの殺菌ゾーンの回収区域からの処理液に供給し、この目的のために、少なくとも1つの殺菌ゾーンの1つの回収区域へのライン接続を有し、圧力密閉型加熱ラインシステムを介して、少なくとも1つの加熱ゾーンの散布装置に流れ込む(feeds to)。
【0015】
さらに、第2のHEが提供されるが、この第2のHEは、少なくとも1つの冷却ゾーンの回収区域からの処理液を冷却するために、冷却塔などの冷却システムに結合され、この目的のために、少なくとも1つの冷却ゾーンの少なくとも1つの回収区域へのライン接続を有し、圧力密閉型冷却ラインシステムを介して少なくとも1つの冷却ゾーンの散布装置に流れ込む。
【0016】
プラントは、凝縮器および蒸発器を備えるヒートポンプをさらに備え、凝縮器によって加熱ラインシステム内の処理液に更に熱を供給することができ、蒸発器によって冷却ラインシステム内の処理液を更に冷却することができる。
【0017】
「ライン接続を有する」という用語は、パイプライン、例えば、回収区域および熱交換器によって接続された2つ以上の要素の間に、一つ又は複数のパイプラインが設けられ、それを通して、たとえば、媒体が、たとえば、回収区から熱交換器へと流れることができることを意味すると理解することができる。
【0018】
トンネル式殺菌装置または他のタイプの殺菌装置は、加熱、殺菌および冷却ゾーン、散布装置、および回収区域を含むことができる。処理液は、淡水または添加物を含む淡水であってもよいし、これらを含んでいてもよい。
【0019】
加熱、殺菌および冷却ゾーンは、一般に、プラントのヒートポンプおよび熱交換器とは異なる高さに置かれる。
【0020】
加熱ラインシステムまたは冷却ラインシステムとは、処理液などの液体媒体がそれらを通って流れることができるように適合された一つ又は複数のパイプラインを指す。加熱ラインシステムおよび冷却ラインシステムは、それぞれ圧力が密閉されるように適合され、これは、周囲圧力に対してそれぞれのパイプシステム内に過剰圧力が形成可能であることを意味する。圧力密閉構成のため、測地高さに関して、プラントの加熱、殺菌および冷却ゾーンならびにヒートポンプおよび熱交換器を配置する必要はない。たとえば、ヒートポンプおよび熱交換器は、加熱ゾーン、殺菌ゾーンおよび冷却ゾーンの上、例えばトンネル式殺菌装置の上および/または他のフロア上に配置することができるが、対応する高さは、加熱ラインシステムまたは冷却ラインシステムの過剰圧力によって指定することができる。
【0021】
プラントの実施形態では、(a)バッファタンクまたは他のタンクをプラント内に設けることができない、(b)バッファタンクまたは周囲圧力を有する他のタンクをプラント内に設けることができないが、過剰圧力を有するタンクを設けることができる、(c)バッファタンクまたは周囲圧力を有する他のタンクを加熱または冷却ラインシステム内に設けることができない。
【0022】
第1のHEは、パイプラインによって更に接続され、このパイプラインは、加熱ラインシステムを介して、少なくとも1つの加熱ゾーンの散布装置に流れ込み(feeds to)、任意選択的に、第1のHEは、パイプラインによって更に接続され、このパイプラインは、加熱ラインシステムを介して、少なくとも1つの加熱ゾーンの散布装置に流れ込んでもよい。第2のHEは、パイプラインによって更に接続され、このパイプラインは、冷却ラインシステムを介して、少なくとも1つの冷却ゾーンの散布装置に流れ込んでもよく、任意選択的に、第2のHEは、パイプラインによって更に接続され、このパイプラインは、冷却ラインシステムを介して、少なくとも1つの殺菌ゾーンの散布装置に流れ込んでもよい。
【0023】
パイプを異なる散布装置に接続することによって、加熱または冷却された処理液の分配において、より大きな変動性を達成することができる。
【0024】
0.5×105Paから2.5×105Paまでの範囲の第1の過剰圧力は、周囲圧力に対して加熱ラインシステム内に提供されてもよく、および/または0.5×105Paから2.5×105Paまでの範囲の第2の過剰圧力は、周囲圧力に対して冷却ラインシステム内に提供されてもよく、ここで、第1および第2の過剰圧力は、大きさが等しくても異なってもよい。
【0025】
開放式ラインシステムの場合のように測地高さに注意を払う必要がないので、加熱ラインシステムまたは冷却ラインシステムに過剰圧力を与えることによって、処理液を加熱または冷却するためのプラント要素を、プラントの他の部分の位置とは独立して位置決めすることができる。
【0026】
処理液は、少なくとも1つの冷却ゾーンの回収区域から、冷却ラインシステムを介して第1のポンプによって第2のHEの第1の入口に供給することができる。
【0027】
熱源から供給される熱の量は、計量装置によって制御可能である。たとえば、導入される蒸気又は熱水の量を制御することができる。
【0028】
少なくとも1つの殺菌ゾーンの回収区域からの処理液は、加熱ラインシステムを介して第2のポンプによって第1のHEの第2の入口に供給することができる。
【0029】
一実施形態において、凝縮器への第1のバイパスを加熱ラインシステムに設け、蒸発器への第2のバイパスを冷却ラインシステムに設けてもよく、第1のバイパスを第1のHEの上流に設けてもよく、第2のバイパスを第2のHEの上流に設けてもよい。
【0030】
これにより、処理液に更に熱を加えたり、処理液を更に冷却したりすることができる。
【0031】
第1のバイパスは、加熱ラインシステムから第1の計量装置を通って凝縮器の第1の入口へと導かれ、凝縮器を通って凝縮器の第1の出口へと導かれ、凝縮器の第1の出口から加熱ラインシステムへと戻されてもよく、第2のバイパスは、冷却ラインシステムから第2の計量装置を通って蒸発器の第1の入口へと導かれ、蒸発器を通って蒸発器の第1の出口から冷却ラインシステムへと戻されてもよい。
【0032】
また、第1のバイパスにはヒートタンクを更に設け、第2のバイパスには冷却タンクを更に設けてもよい。タンクは、加熱または冷却された処理液の中間貯蔵を可能にし、その結果、非定常需要の場合であっても、種々のゾーンの散布装置への対応する処理液の適切な供給が可能である。
【0033】
第1の計量装置の下流に、第1の入口をヒートタンクに設け、ヒートタンクの第1の出口を第3のポンプを通して凝縮器の第1の入口に導くことができ、凝縮器の第1の出口はヒートタンクの第2の入口に導き、ヒートタンクの第2の出口は第4のポンプと第3の計量装置を通して加熱ラインシステムに導くことができる。第2の計量装置の下流に、冷却タンクに第1の入口を設け、冷却タンクの第1の出口をポンプを通して蒸発器の第1の入口に導くことができ、蒸発器の第1の出口を冷却タンクの第2の入口に導き、冷却タンクの第2の出口を第6のポンプおよび第4の計量装置を通して冷却ラインシステムに導くことができる。
【0034】
第1のスプリング弁が、第1の計量装置とヒートタンクの第1の入口との間に設けられ、第2のスプリング弁が、第4のポンプと第3の計量装置との間に設けられてもよい。
【0035】
第2の計量装置と冷却タンクの第1の入口との間に第3のスプリング弁を設け、第6のポンプと第4の計量装置との間に第4のスプリング弁を設けてもよい。
【0036】
これにより、ヒートポンプを切り離すことが可能となり、ヒートポンプを必要としない場合に、ヒートポンプのないプラントと比較して、追加的な圧力損失やその他の不利益が生じない。
【0037】
別の実施形態において、バイパスなしに、プラントは、加熱ラインシステムが少なくとも部分的に通過することができる第3のHEを備えてもよく、第3のHEは、プラントの熱タンクから加熱ラインシステム内の処理液に熱を供給し、この目的のためにパイプラインによってヒートタンクおよび凝縮器に接続されており、第4のHEは、冷却ラインシステムが少なくとも部分的に通過することができ、第4のHEは、プラントの冷却タンクおよび蒸発器と連通して冷却ラインシステム内の処理液を冷却するように適合されている。
【0038】
第3のHEは、第1のHEの上流に設けられてもよく、第4のHEは、第2のHEの上流に設けられてもよい。
【0039】
パイプは、第3のHEの第1の出口の下流で、ヒートタンクの第1の入口まで、ヒートタンクの第1の出口から第3のポンプを通して凝縮器の第1の入口まで、凝縮器の第1の出口からヒートタンクの第2の入口まで、ヒートタンクの第2の出口から第4のポンプを通して第3のHEの第1の入口まで延びることができる。更なるパイプは、第4のHEの第1の出口の下流で、冷却タンクの第1の入口へと、冷却タンクの第1の出口から第5のポンプを通して蒸発器の第1の入口へと、蒸発器の第1の出口から冷却タンクの第2の入口へと、冷却タンクの第2の出口から第6のポンプを通して第4のHEの第1の入口へと導くことができる。
【0040】
そのため、それぞれの場合に別々の循環路、即ち、第1のHE及び第3のHEを流れる処理液用循環路と、ヒートタンク、第3のHE及び凝縮器を流れる処理液用と循環路と、第2のHE及び第4のHEを流れる処理液用循環路と、冷却タンク、蒸発器及び第4のHEを流れる処理液用循環路とが存在する。
【0041】
代替的に、パイプは、第3のHEの第1の出口の下流から、ヒートタンクの第1の入口へ、ヒートタンクの第1の出口から第3のポンプを通して凝縮器の第1の入口へ、凝縮器の第1の出口から第3のHEの第1の入口へと導かれてもよく、さらにバイパスラインが、第3のHEの周囲に設けられてもよく、バイパスラインが、第3のHEの第1の入口の上流から第3のHEの第1の出口の下流へと導かれてもよい。さらに、別のパイプが、第4のHEの第1の出口の下流から冷却タンクの第1の入口へと、冷却タンクの第1の出口から第5のポンプを通って蒸発器の第1の入口へと、蒸発器の第1の出口から第4のHEの第1の入口へと導かれてもよい。
【0042】
したがって、2つのポンプを節約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】
図1は、殺菌用プラントの第1の実施形態を示す。
【
図2】
図2は、殺菌用プラントの第2の実施形態を示す。
【
図3】
図3は、殺菌用プラントの第3の実施形態を示す。
【
図4】
図4は、殺菌用プラントの第4の実施形態を示す。
【0044】
【発明の詳細な説明】
【0045】
以下に記載される殺菌用プラントの実施形態は、所与の数の加熱ゾーン、殺菌ゾーンおよび冷却ゾーンを含むが、少なくとも1つの加熱ゾーン、少なくとも1つの殺菌ゾーンおよび少なくとも1つの冷却ゾーンを有する実施形態もまた提供される。また、図に記載されおよび/または示されている以外の他の回収区域および散布装置は、一般に処理液の必要温度に注意して、パイプラインによって相互接続されてもよい。
【0046】
図を参照して、または、更に上述したラインシステム(加熱ラインシステム又は冷却ラインシステム)、パイプおよびバイパスは、処理液などの液体媒体がそれらを通って流れることができるように適合された一つ又は複数のパイプラインを指す。
【0047】
プラントの要素の「上流」または「下流」という位置指定は、ラインシステム、パイプまたはバイパスにおける処理液などの液体媒体の流れの方向を指す。
【0048】
説明される異なる実施形態において、同じ部品には同じ参照番号が付されている。
【0049】
図1は、密閉容器2に充填された食料品または飲料を殺菌するためのプラント1の第1の実施形態を概略的に示す図である。プラント1は、複数の連続するゾーン6、7、8、9、10、11、12を通って搬送方向5に容器2が搬送手段4、例えばコンベアベルトによって搬送されるトンネル式殺菌装置3を備えている。
図1に示す第1の実施形態において、まず2つの加熱ゾーン6,7、次に3つの殺菌ゾーン8,9、10、最後に2つの冷却ゾーン11,12が搬送方向5に設けられている。トンネル式殺菌装置の代わりに、連続的な加熱、殺菌および冷却ゾーン、ならびに関連する散布装置および回収区域を備える別のタイプの殺菌装置を備えることもできる。
【0050】
食料品または飲料を殺菌するために、容器2に処理液13を供給することができる。処理液は、淡水又は添加剤を含む淡水とすることができる。このために、各ゾーン6-12に散布装置14、15、16、17、18、19、20を配置し、これらの散布装置14、15、16、17、18、19、20を用いて、密閉容器2に処理液13を噴霧又は散布する。散布装置14-20は、たとえば、各ゾーン6-12に、図示するように上方区域に配置された複数の噴霧ノズル21によって形成されてもよいし、側方区域に配置されてもよい。処理液13は、それぞれのゾーン6-12に対して異なる温度および/または設定温度を有するそれぞれの散布装置14-20を介して、それぞれのゾーン6-12に導入することができる。処理液13は、ポンプ22、たとえば、循環ポンプを介して、各ゾーン6-12の散布装置14-20に供給することができる。
【0051】
処理液13は、各ゾーン6-12を少しずつ流した後(After trickling through)、各ゾーン6-12に割り当てられた回収区域23、24、25、26、27、28、29に回収され、回収区域23-29から排出されて更に使用される。回収区域23-29は、各ゾーン6-12の下方に配置されている。処理液を更に使用するために、それぞれのポンプ22のそれぞれの吸引側は、パイプを介して対応する回収区域23-29に接続されて、対応する回収区域23-29から処理液13の少なくとも部分的な量を、割り当てられたゾーン6-12の1つ、即ち、パイプラインによって接続されたゾーン6-12に送る。
図1に示すように、第1の加熱ゾーン6の回収区域23が入口側でポンプ22とライン接続を有し、ポンプ22が出口側で第2の冷却ゾーン12の散布装置20とライン接続を有する場合、ここでは都合がよい。これは、第1の加熱ゾーン6内の処理液13が容器2または容器2内の食料品/飲料の熱吸収によって冷却され、第1の加熱ゾーン6を通って僅かに流れた後、回収区域23内に蓄積される処理水13が第2の冷却ゾーン12内の容器2を冷却するのに適した温度を有するので好都合である。
【0052】
第2の冷却ゾーン12において、散布装置20によって排出された処理液13は、容器2または食料品/飲料の放熱によって加熱され、第2の冷却ゾーン12を少しずつ流した後、回収区域29に蓄積された処理水13は、第1の加熱ゾーン6において容器2を加熱するのに適した温度を有するので、
図1に概略的に示すように、第2の冷却ゾーン12の回収区域29から第1の加熱ゾーン6の散布装置14に処理液13を送ることが好都合である。
【0053】
図1に示すように、殺菌ゾーン8-10に関連するポンプ22は、回収区域25から散布装置16へ、回収区域26から散布装置17へ、および回収区域27から散布装置18への処理液13の少なくとも部分的な再循環のために更に設けることができる。従って、処理液13の少なくとも一部は、殺菌ゾーン8-10の周囲を循環することができる。
【0054】
プラント1には、処理液13を加熱するための第1の熱交換器(HE)31も設けられており、蒸気32が第1の入口64に導入され、最終殺菌ゾーン10の回収区域27から発生する処理液13に蒸気32が逆流した後に、凝縮液33が第1の出口63を介して排出される。導入される蒸気32の量は、計量装置58によって制御可能である。回収区域27からの処理液13は、ポンプ59および計量装置36_1によって、圧力密閉型加熱ラインシステム95を介して第1のHE31の第2の入口60に送られ、逆流で運搬された蒸気32によって加熱された後、第1のHE31をその第2の出口61を介して離れ、加熱ラインシステム95に再入する。必要であれば、第1のHE31で加熱された処理液13は、ゾーン6-10に関連する散布装置14-18を介して、計量装置34によってゾーン6-10に供給することができる。追加的または代替的に、加熱された処理液13またはその一部分を第1のHE31を通して循環させることもでき、流量は加熱ラインシステム95内の計量装置62によって制御可能である。加熱ラインシステム95は、圧力密閉型システムとして適合され、周囲圧力に対して過剰圧力、たとえば、2×105Paの過剰圧力で作動される。
【0055】
さらに、プラント1では、第1の冷却ゾーン11の回収区域28に含まれる処理液13の少なくとも一部の量が、第2の加熱ゾーン7の散布装置15に圧送されて戻される代わりに、第2のHE30に送られる。第2のHE30は、冷却塔のような冷却プラントに結合されて、回収区域28から処理液13を冷却することができ、この目的のために、第1の冷却ゾーン11の1つの回収区域28へのライン接続を有し、圧力密閉型冷却ラインシステム96を介して第1の冷却ゾーン11および第2の冷却ゾーン12の散布装置19、20に流れ込む。処理液13は、回収区域28から、第1のポンプ71及び計量装置41_1により、冷却ラインシステム96を介して、第2のHE30の第1の入口69に供給され、冷却後に、第1の出口70を介して第2のHE30を離れる。第2のHE30内の処理液13を冷却するために、冷却プラントの冷却剤が第2のHE30の第2の入口67に導入され、逆流して処理液13に流れ、そこから熱を吸収する。加熱された冷却剤は、第2の出口68を介して第2のHE30を離れる。次に、第2のHE30で冷却された処理液13を、計量装置72を介して散布装置16、17、18、19、20に戻すことができる。冷却ラインシステム96は、圧力密閉型システムとして適合され、周囲圧力に対して過剰圧力、例えば2×105Paの正圧で作動される。
【0056】
また、加熱ラインシステム95には、ヒートポンプ35の凝縮器37への第1バイパスが設けられている。第1のバイパスは、第1の計量装置36_2を通って凝縮器37の第1の入口65に至り、凝縮器37を通って凝縮器37の第1の出口66から加熱ラインシステム95に戻る。第1のバイパスは、第2のポンプ59の下流であって、第1のHE31の第2の入口60の上流に配置されている。第1のバイパスを通る処理液13の流量は、計量装置36_2によって制御可能であり、これは、より多くの処理液13を通過させてもヒートポンプ35の加熱能力が制限されるので有用である。
【0057】
処理液13は、第1の入口65を通って凝縮器37に導入され、そこで、逆流で凝縮器37を通って流れる移送液によって排出される熱を吸収することができる。この場合、移送液は、ヒートポンプ35の凝縮器37、絞り38、蒸発器39および圧縮器40を通って流れる。移送液は第2の入口78を通って凝縮器37に導入され、逆流した処理液13に放熱された後、第2の出口77を通って凝縮器37を離れる。加熱された処理液13は、第1の出口66を通って凝縮器37から離れ、第1のバイパスを通って戻されるので、凝縮器37で加熱された処理液13は、第1のHE31を通過して更に加熱される。
【0058】
蒸発器39への第2のバイパスが冷却ラインシステム96内に設けられるが、第2のバイパスは、第1のポンプ71の下流で第2のHE30の第1の入口69の上流に設けられる。処理液13は、第2の計量装置41_2を介して蒸発器39の第1の入口73に導かれ、そこで冷却され、第1の出口74を介して蒸発器39から出て、バイパスを介して戻されるので、蒸発器39で冷却された処理液13は、依然として第2のHE30を介して導かれ、そこで更に冷却される。蒸発器39内の処理液13の冷却は、移送液がヒートポンプ35内を流れ、第2の入口75を介して蒸発器39内に導入され、そこで逆流して処理液13に流れ、処理液13から熱を吸収した後に第2の出口76を介して再び蒸発器39から離れることによって達成される。
【0059】
図2は、密閉容器2に充填された食料品または飲料を殺菌するためのプラント42の第2の実施形態の概略図を示す。
図1に関して既に説明した要素は、ここでは再び説明しない。
【0060】
凝縮器37の上流の第1のバイパスには、ヒートタンク43が設けられている。第1の計量装置36_2を介して、処理液13をヒートタンク43の第1の入口79に導入することができる。ヒートタンク43から、
図1に関して既に説明したように、処理液13は、第3のポンプ44によって第1の出口80から凝縮器37を通して送られ、そこで加熱される。この加熱された処理液13は、第2の入口81を通ってヒートタンク43に戻される。第4のポンプ45によって、処理液13は、第2の出口82を通ってヒートタンク43から加熱ラインシステム95に、したがって第1のHE31に圧送されて戻されるが、第1のバイパスの第4のポンプ45の下流には、第3の計量装置49が設けられている。第1のHE31では、蒸気32の代わりに熱水を使用することもできる。
【0061】
任意選択的に、ヒートポンプ43の第1の入口79の上流および第1のバイパスにおける第4のポンプ45の下流に、対応する第1および第2のスプリング弁50を設けてもよく、これらの弁は、ヒートポンプ35を切り離すことができるように閉じることができる。
【0062】
蒸発器39の上流の第2のバイパスには、冷却タンク46が設けられている。第2の計量装置41_2を介して、冷却タンク46の第1の入口83に処理液13を導入することができる。
図1に関して既に説明したように、冷却タンク46から処理液13を第5のポンプ47によって第1の出口84から蒸発器39を通して送り、そこで冷却することができる。この冷却された処理液13は、第2の入口85を通って冷却タンク46に戻される。第6のポンプ48によって、処理液13は、第2の出口86を通って冷却タンク46から第2のHE30の上流の冷却ラインシステム96内に圧送されて戻されるが、第4の計量装置52は、第2のバイパスの第6のポンプ48の下流に設けられている。
【0063】
必要に応じて、冷却タンク46の第1の入口83の上流および第2のバイパスにおける第6のポンプ48の下流に、対応して、ヒートポンプ35を排除することを可能にするために閉じられる第3および第4のスプリング弁51が設けられてもよい。
【0064】
図3は、密閉容器2に充填された食料品または飲料を殺菌するためのプラント53の第3の実施形態を概略的に示す。
図1および
図2に関して既に説明した要素は、ここでは再び説明しない。
【0065】
第3の実施形態において、第1のHE31の上流の加熱ラインシステム95に第3のHE54を設けて、処理液13が第3のHE54及び第1のHE31を循環するようにしている。処理液13への逆流において、ヒートタンク43からの液体は、第3のHE54内を循環し、第4のポンプ45によりヒートタンク43の第2の出口82から圧送され、第3のHE54を通過した後、第1の入口89を介して第3のHE54に導入され、第1の出口90を介して排出され、第1の入口79を介してヒートタンク43に戻される。処理液13は、第2の入口87を介して第3のHE54に導入され、第2の出口88を介して排出された後、第1のHE31の第2の入口60を通過する。
【0066】
そのため、別個の循環路、即ち、第1のHE31および第3のHE54を流れる処理液13用循環路と、ヒートタンク43、第3のHE54および凝縮器37を流れる処理液用循環路が存在する。ヒートタンク43からの液体は、第2の実施形態と同様に、第3のポンプ44によりヒートポンプ35の凝縮器37を通って圧送され、ヒートタンク43に戻る。
【0067】
第4のHE55は、第2のHE30よりも上流の冷却ラインシステム96に設けられ、処理液13が第4のHE55と第1のHE30とを循環するようになっている。処理液13への逆流において、冷却タンク46からの液体が第4のHE55を循環し、第6のポンプ48により冷却タンク46の第2の出口86から圧送され、第4のHE55-を通過した後、第1の入口83を介して冷却タンク46に戻され、第1の入口91を介して第4のHE55に導入され、第1の出口92を介して排出される。処理液13は、第2の入口93を介して第4のHE55に導入され、第2の出口94を介して排出された後、第2のHE30の第2の入口69を通過して更に冷却される。
【0068】
そのため、別個の循環路、即ち、第2のHE30及び第4のHE55を流れる処理液13用循環路と、冷却タンク46、蒸発器39及び第4のHE55を流れる処理液用循環路とが存在する。冷却タンク46からの液体は、前述した第2実施形態と同様に、第5のポンプ47によりヒートポンプ35の蒸発器39を介して圧送され、冷却タンク46に戻る。
【0069】
図4は、密閉容器2に充填された食料品または飲料を殺菌するためのプラント56の第4の実施形態を示す。
図1、
図2および
図3に関して既に説明した要素は、ここでは再び説明しない。
【0070】
第3の実施形態と比較して、第4の実施形態では、凝縮器37の第1の出口66は、第3のHE54の第1の入口89に導かれ、第3の実施形態のように、ヒートタンク43の第2の入口81に導かれない。これにより、ヒートタンク43の第2の出口82と第3のHE54の第1の入口89との間に第4のポンプ45を退避させることができる。第3のHE54の第1の入口89への供給ラインとヒートタンク43の第1の入口79への供給ラインとの間には、弁57によって制御可能な更に別のバイパスが設けられている。
【0071】
さらに、蒸発器39の第1の出口74は、第4のHE55の第1の入口91に通じており、第3の実施形態のように冷却タンク46の第2の入口85に通じていない。これにより、冷却タンク46の第2の出口86と第4のHEの第1の入口91との間に第6のポンプ48を退避させることができる。