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特許7553562介入手技の計画のためのコンピュータシミュレーションプラットフォーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】介入手技の計画のためのコンピュータシミュレーションプラットフォーム
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/10 20160101AFI20240910BHJP
   G16H 50/50 20180101ALI20240910BHJP
【FI】
A61B34/10
G16H50/50
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022532798
(86)(22)【出願日】2020-10-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-06
(86)【国際出願番号】 US2020057304
(87)【国際公開番号】W WO2021112970
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-10-25
(31)【優先権主張番号】62/944,054
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/076,213
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503363552
【氏名又は名称】ザ ボード オブ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ネブラスカ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】シャッツィジシス,イオアニス,エス.
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0304245(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0112659(US,A1)
【文献】特開2002-272759(JP,A)
【文献】国際公開第2018/108640(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0084064(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/00-34/10
A61B 6/03
A61B 8/12
A61B 1/313
A61B 1/00
G16H 50/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ実施方法を含む介入手技計画のためのコンピュータシミュレーションプラットフォームであって、前記コンピュータ実施方法は、
侵襲的または非侵襲的イメージングに基づいて、血管内腔及び前記血管内腔の表面の3次元(3D)再構成を生成することと、
前記3D再構成された血管内腔及び前記血管内腔の表面のメッシュを生成することと、
物質特性を前記3D再構成された前記血管内腔の表面に割り当てることであって前記物質特性を前記3D再構成された前記血管内腔の表面に割り当てることが、
前記侵襲的または非侵襲的イメージングに基づいて、壁またはプラークの厚さ、内腔面積、プラークの偏心、及びプラーク成分を決定すること、
前記血管内腔をプラーク物質の連続ゾーンに分割すること、並びに
純粋なカルシウムプラーク物質から純粋な脂質プラーク物質までの範囲で4分の1の数を割り当てること
を含むことと、
ステント及びバルーンの設計及び物質特性をインポートすることと、
前記ステント及びバルーンの設計及び物質特性に基づいて、メッシュ化されたステント及びバルーンを生成することと、
前記メッシュ化されたステント及びバルーンを、前記3D再構成された血管内腔及び前記血管内腔の表面の前記メッシュ内に位置付けることであって、圧着状態の前記メッシュ化されたステント及びバルーン、前記3D再構成された血管内腔及び前記血管内腔の表面の前記メッシュ内に計算的に位置付け、前記メッシュと一致させることと、
前記メッシュ化されたステント及びバルーン並びに前記3D再構成された血管内腔及び前記血管内腔の表面の前記メッシュに基づいて、バルーン拡張前、ステント留置、及びバルーン拡張後のコンピュータシミュレーションを行うことと、
前記コンピュータシミュレーションに基づいて、ステント及び血管の形態学的測定値及び生体力学的測定値を評価することと、
を含む、コンピュータシミュレーションプラットフォーム。
【請求項2】
前記侵襲的または非侵襲的イメージングは、冠動脈造影法、血管内超音波法、光コヒーレンス断層撮影法、またはコンピュータ断層撮影血管造影法のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のコンピュータシミュレーションプラットフォーム。
【請求項3】
前記ステント及びバルーンの前記設計及び物質特性は、侵襲的または非侵襲的イメージングに基づいてインポートされる、請求項1に記載のコンピュータシミュレーションプラットフォーム。
【請求項4】
前記ステント及びバルーンの前記設計及び物質特性は、メーカーが提供したデータを含む1つ以上のデータベースからインポートされる、請求項1に記載のコンピュータシミュレーションプラットフォーム。
【請求項5】
前記バルーン拡張前、ステント留置、及びバルーン拡張後の計算は、有限要素解析を使用してコンピュータによりシミュレートされる、請求項1に記載のコンピュータシミュレーションプラットフォーム。
【請求項6】
前記物質特性は、侵襲的または非侵襲的イメージングに基づいて前記3D再構成された前記血管内腔の表面に割り当てられる、請求項1に記載のコンピュータシミュレーションプラットフォーム。
【請求項7】
侵襲的または非侵襲的イメージングに基づいて前記物質特性を前記3D再構成された前記血管内腔の表面に前記割り当てることは、
侵襲的または非侵襲的イメージングに基づいて、壁またはプラークの厚さ、内腔面積、プラークの偏心、及びプラーク成分を決定することを含む、請求項6に記載のコンピュータシミュレーションプラットフォーム。
【請求項8】
侵襲的または非侵襲的イメージングに基づいて前記物質特性を前記3D再構成されたプラークに前記割り当てることは、
前記血管内腔をプラーク物質の連続ゾーンに分割することと、
純粋なカルシウムプラーク物質から純粋な脂質プラーク物質までの範囲で4分の1の数を割り当てることと、
をさらに含む、請求項7に記載のコンピュータシミュレーションプラットフォーム。
【請求項9】
前記コンピュータ実施方法は、
前記3D再構成されたプラークに割り当てられた前記物質特性に基づいて、プラーク塑性を割り当てることをさらに含む、請求項8に記載のコンピュータシミュレーションプラットフォーム。
【請求項10】
介入手技のシミュレーション及び計画のためのシステムであって、
1つ以上の医用画像化デバイスと、
前記1つ以上の医用画像化デバイスに通信可能に結合された1つ以上のコンピュータシステムと、を備え、
前記1つ以上のコンピュータシステムは、
前記1つ以上の医用画像化デバイスから受信された侵襲的または非侵襲的イメージングデータに基づいて、血管内腔及び前記血管内腔の表面の3次元(3D)再構成を生成することと、
前記3D再構成された血管内腔及び前記血管内腔の表面のメッシュを生成することと、
物質特性を前記3D再構成された前記血管内腔の表面に割り当てることであって前記物質特性を前記3D再構成された前記血管内腔の表面に割り当てることが、
前記侵襲的または非侵襲的イメージングに基づいて、壁またはプラークの厚さ、内腔面積、プラークの偏心、及びプラーク成分を決定すること、
前記血管内腔をプラーク物質の連続ゾーンに分割すること、並びに
純粋なカルシウムプラーク物質から純粋な脂質プラーク物質までの範囲で4分の1の数を割り当てること
を含むことと、
ステント及びバルーンの設計及び物質特性をインポートすることと、
前記ステント及びバルーンの設計及び物質特性に基づいて、メッシュ化されたステント及びバルーンを生成することと、
前記メッシュ化されたステント及びバルーンを、前記3D再構成された血管内腔及び前記血管内腔の表面の前記メッシュ内に位置付けることであって、圧着状態の前記メッシュ化されたステント及びバルーン、前記3D再構成された血管内腔及び前記血管内腔の表面の前記メッシュ内に計算的に位置付け、前記メッシュと一致させることと、
前記メッシュ化されたステント及びバルーン並びに前記3D再構成された血管内腔及び前記血管内腔の表面の前記メッシュに基づいて、バルーン拡張前、ステント留置、及びバルーン拡張後のコンピュータシミュレーションを行うことと、
前記コンピュータシミュレーションに基づいて、ステント及び血管の形態学的測定値及び生体力学的測定値を評価することと、
を行うように構成される、システム。
【請求項11】
前記侵襲的または非侵襲的イメージングデータは、冠動脈造影データ、血管内超音波データ、光コヒーレンス断層撮影データ、またはコンピュータ断層撮影血管造影データのうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ステント及びバルーンの前記設計及び物質特性は、前記1つ以上の医用画像化デバイスから受信された侵襲的または非侵襲的イメージングデータに基づいてインポートされる、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記ステント及びバルーンの前記設計及び物質特性は、メーカーが提供したデータを含む1つ以上のデータベースからインポートされる、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記バルーン拡張前、ステント留置、及びバルーン拡張後の計算は、有限要素解析を使用してコンピュータによりシミュレートされる、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記物質特性は、前記1つ以上の医用画像化デバイスから受信された侵襲的または非侵襲的イメージングデータに基づいて、前記3D再構成された前記血管内腔の表面に割り当てられる、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
侵襲的または非侵襲的イメージングデータに基づいて、前記物質特性を前記3D再構成された前記血管内腔の表面に前記割り当てることは、
侵襲的または非侵襲的イメージングデータに基づいて、壁またはプラークの厚さ、内腔面積、プラークの偏心、及びプラーク成分を決定することと、
前記血管内腔をプラーク物質の連続ゾーンに分割することと、
純粋なカルシウムプラーク物質から純粋な脂質プラーク物質までの範囲で4分の1の数を割り当てることと、
を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記1つ以上のコンピュータシステムは、
前記3D再構成されたプラークに割り当てられた前記物質特性に基づいて、プラーク塑性を割り当てるようにさらに構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
介入手技計画のためのコンピュータシミュレーションプラットフォームであって、
侵襲的または非侵襲的イメージングに基づいて、血管内腔及び前記血管内腔の表面の3次元(3D)再構成を生成することと、
前記3D再構成された血管内腔及び前記血管内腔の表面のメッシュを生成することと、
物質特性を前記3D再構成された前記血管内腔の表面に割り当てることであって前記物質特性を前記3D再構成された前記血管内腔の表面に割り当てることが、
前記侵襲的または非侵襲的イメージングに基づいて、壁またはプラークの厚さ、内腔面積、プラークの偏心、及びプラーク成分を決定すること、
前記血管内腔をプラーク物質の連続ゾーンに分割すること、並びに
純粋なカルシウムプラーク物質から純粋な脂質プラーク物質までの範囲で4分の1の数を割り当てること
を含むことと、
ステント及びバルーンの設計及び物質特性をインポートすることと、
前記ステント及びバルーンの設計及び物質特性に基づいて、メッシュ化されたステント及びバルーンを生成することと、
前記メッシュ化されたステント及びバルーンを、前記3D再構成された血管内腔及び前記血管内腔の表面の前記メッシュ内に位置付けることであって、圧着状態の前記メッシュ化されたステント及びバルーン、前記3D再構成された血管内腔及び前記血管内腔の表面の前記メッシュ内に計算的に位置付け、前記メッシュと一致させることと、
前記メッシュ化されたステント及びバルーン並びに前記3D再構成された血管内腔及び前記血管内腔の表面の前記メッシュに基づいて、バルーン拡張前、ステント留置、及びバルーン拡張後のコンピュータシミュレーションを行うことと、
前記コンピュータシミュレーションに基づいて、ステント及び血管の形態学的測定値及び生体力学的測定値を評価することと、
を含む、コンピュータシミュレーションプラットフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は2020年10月21日に出願された「COMPUTATIONAL SIMULATION PLATFORM FOR PLANNING OF INTERVENTIONAL PROCEDURES」と題された米国非仮出願第17/076,213号の優先権を主張する。当該非仮出願文献は、2019年12月5日に出願された「COMPUTATIONAL SIMULATION PLATFORM FOR PLANNING OF INTERVENTIONAL PROCEDURES」と題された米国仮出願第62/944,054号に対する米国特許法第119条(e)に基づく優先権を主張し、当該仮出願文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、介入手技をシミュレート及び計画するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
冠動脈疾患は、西洋社会における主要な死因である。ステントは、米国で毎年行われる130万件の経皮的冠動脈インターベンションの70~90%で埋め込まれ、その20%は分岐部を含む。冠動脈分岐部は、介入心臓病学において最も困難な病変サブセットの1つであり、手技の成功率が低く、心臓有害事象の発生率が高く、介入後から6か月~1年で15~20%の範囲で発生する。複雑な冠動脈インターベンション(分岐を含む)の頻度が継続的に増加する代わりに、分岐に関連する有害な結果の発生率はさらに増加すると予想される。薬剤溶出性ステントは新生内膜形成を減弱させるが、薬剤溶出性ステントによる再狭窄は、特に分岐していない部分と比較して分岐部の病変では依然として重要であり、ステント留置法及び関連の生体力学的環境がこの解剖学的サブセットの再狭窄傾向に支配的な役割を果たすことを示唆する。実際には、薬剤溶出性ステントは、ステントに関連する基本的な流体力学及び固体力学に対処しておらず、これらは、特に分岐部において、ステントの再狭窄に大きく寄与するように思われる。冠動脈分岐部と複数の提案された技術戦略への大きな関心にもかかわらず、分岐部の経皮的インターベンションは依然として困難であり、理想的な治療戦略は依然として実現が難しい。
【0004】
2つの分岐部が同一ではないため、全ての分岐部に適用できる単一の治療戦略が存在しない。分岐部インターベンションにおける最も重要な問題として、特定の分岐に合わせた最も適切な技術を選択することが挙げられる。コンピュータシミュレーションは、ステント留置の前後の分岐部における局所的な血行力学的微小環境を評価する可能性があり、新生内膜過形成及びステント血栓症に対する局所的な生体力学的応力の役割に関する重要な洞察を提供する。介入後の血行動態と解剖学的ステント再狭窄との定量的関係は、ステント留置法及びステント設計を最適化するのに役立ち、最終的に、臨床転帰を改善する。ロバストな計算の現代では、患者特有の解剖学的構造及び高解像度の冠動脈内画像診断法(例えば、光コヒーレンス断層撮影法、血管内超音波法等)、及び現実的な境界条件及び材料(動脈壁、バルーン、ステント)を使用する分岐ステント留置シミュレーションは、実行可能で正確であるように思われる。これらのシミュレーションでは、異なるステント及びバルーンの設計及び物質特性、ならびにプラークの物質特性(例えば、線維性、線維脂肪性、石灰化等)を考慮できる。患者の特定の形状及び生体力学的環境に合わせて分岐ステントを調整することは、臨床転帰の改善に役立ち得る。
【発明の概要】
【0005】
介入手技計画のためのコンピュータシミュレーションプラットフォームが開示される。複数の実施形態では、コンピュータシミュレーションプラットフォームはコンピュータ実施方法を含み、本方法は、侵襲的または非侵襲的イメージングに基づいて、血管内腔及び血管内腔の表面(例えば、内腔壁及び/または内腔壁に蓄積されたいずれかのプラーク)の3次元(3D)再構成を生成することと、3D再構成された血管内腔及び血管内腔の表面のメッシュを生成することと、物質特性を血管内腔の3D再構成された表面に割り当てることと、ステント及びバルーンの設計及び物質特性をインポートすることと、ステント及びバルーンのメッシュを生成することと、メッシュ化されたステント及びバルーンを、3D再構成された血管内腔及び血管内腔の表面のメッシュ内に位置付けることと、3D再構成された血管内腔及び血管内腔の表面のメッシュを用いて、バルーン拡張前、ステント留置、及びバルーン拡張後のコンピュータシミュレーションを行うことと、コンピュータシミュレーションに基づいて、ステント及び血管の形態学的測定値及び生体力学的測定値を評価することと、を含む。
【0006】
コンピュータシミュレーションプラットフォームのいくつかの実施形態では、3D再構成された血管内腔及び血管内腔の表面はメッシュ化されていない。これに関連して、3D再構成自体を使用して、バルーン拡張前、ステント留置、及びバルーン拡張後のコンピュータシミュレーションを行い得る。
【0007】
コンピュータシミュレーションプラットフォームのいくつかの実施形態では、侵襲的または非侵襲的イメージングは、冠動脈造影法、血管内超音波法、光コヒーレンス断層撮影法、またはコンピュータ断層撮影血管造影法のうちの少なくとも1つを含む。
【0008】
コンピュータシミュレーションプラットフォームのいくつかの実施形態では、ステント及びバルーンの設計及び物質特性は、侵襲的または非侵襲的イメージングに基づいてインポートされる。
【0009】
コンピュータシミュレーションプラットフォームのいくつかの実施形態では、ステント及びバルーンの設計及び物質特性は、メーカーが提供したデータを含む1つ以上のデータベースからインポートされる。
【0010】
コンピュータシミュレーションプラットフォームのいくつかの実施形態では、圧着状態のメッシュ化されたステント及びバルーンは、3D再構成された血管内腔及び血管内腔の表面のメッシュ内に計算的に位置付けられ、曲げられる。
【0011】
コンピュータシミュレーションプラットフォームのいくつかの実施形態では、バルーン拡張前、ステント留置、及びバルーン拡張後の計算は、有限要素解析を使用してコンピュータによりシミュレートされる。
【0012】
コンピュータシミュレーションプラットフォームのいくつかの実施形態では、物質特性は、侵襲的または非侵襲的イメージングに基づいて、血管内腔の3D再構成された表面に割り当てられる。
【0013】
コンピュータシミュレーションプラットフォームのいくつかの実施形態では、侵襲的または非侵襲的イメージングに基づいて物質特性を血管内腔の3D再構成された表面に割り当てることは、侵襲的または非侵襲的イメージングに基づいて、壁またはプラークの厚さ、内腔面積、プラークの偏心、及びプラーク成分を決定することを含む。
【0014】
コンピュータシミュレーションプラットフォームのいくつかの実施形態では、侵襲的または非侵襲的イメージングに基づいて物質特性を3D再構成されたプラークに割り当てることは、さらに、血管内腔をプラーク物質の連続ゾーンに分割することと、純粋なカルシウムプラーク物質から純粋な脂質プラーク物質までの範囲で4分の1の数を割り当てることと、を含む。
【0015】
コンピュータシミュレーションプラットフォームのいくつかの実施形態では、コンピュータ実施方法は、さらに、3D再構成されたプラークに割り当てられた物質特性に基づいてプラーク塑性を割り当てることを含む。
【0016】
介入手技をシミュレート及び計画するためのシステムも開示される。複数の実施形態では、本システムは、1つ以上の医用画像化デバイスと、1つ以上の医用画像化デバイスに通信可能に結合された1つ以上のコンピュータシステムとを含む。1つ以上のコンピュータシステムは、1つ以上の医用画像化デバイスから受信された侵襲的または非侵襲的イメージングデータに基づいて、血管内腔及び血管内腔の表面(例えば、内腔壁及び/または内腔壁に蓄積されたいずれかのプラーク)の3次元(3D)再構成を生成することと、3D再構成された血管内腔及び血管内腔の表面のメッシュを生成することと、物質特性を血管内腔の3D再構成された表面に割り当てることと、ステント及びバルーンの設計及び物質特性をインポートすることと、ステント及びバルーンのメッシュを生成することと、メッシュ化されたステント及びバルーンを、3D再構成された血管内腔及び血管内腔の表面のメッシュ内に位置付けることと、3D再構成された血管内腔及び血管内腔の表面のメッシュを用いて、バルーン拡張前、ステント留置、及びバルーン拡張後のコンピュータシミュレーションを行うことと、コンピュータシミュレーションに基づいて、ステント及び血管の形態学的測定値及び生体力学的測定値を評価することと、を行うように構成され得る。
【0017】
システムのいくつかの実施形態では、侵襲的または非侵襲的イメージングデータは、冠動脈造影データ、血管内超音波データ、光コヒーレンス断層撮影データ及び/またはコンピュータ断層撮影血管造影データを含む。
【0018】
システムのいくつかの実施形態では、ステント及びバルーンの設計及び物質特性は、1つ以上の医用画像化デバイスから受信された侵襲的または非侵襲的イメージングデータに基づいてインポートされる。
【0019】
システムのいくつかの実施形態では、ステント及びバルーンの設計及び物質特性は、メーカーが提供したデータを含む1つ以上のデータベースからインポートされる。
【0020】
システムのいくつかの実施形態では、圧着状態のメッシュ化されたステント及びバルーンは、3D再構成された血管内腔及び血管内腔の表面のメッシュ内に計算的に位置付けられ、曲げられる。
【0021】
システムのいくつかの実施形態では、バルーン拡張前、ステント留置、及びバルーン拡張後の計算は、有限要素解析を使用してコンピュータによりシミュレートされる。
【0022】
システムのいくつかの実施形態では、物質特性は、1つ以上の医用画像化デバイスから受信された侵襲的または非侵襲的イメージングデータに基づいて、血管内腔の3D再構成された表面に割り当てられる。
【0023】
システムのいくつかの実施形態では、侵襲的または非侵襲的イメージングデータに基づいて物質特性を血管内腔の3D再構成された表面に割り当てることは、侵襲的または非侵襲的イメージングデータに基づいて、壁またはプラークの厚さ、内腔面積、プラークの偏心、及びプラーク成分を決定することを含む。
【0024】
システムのいくつかの実施形態では、侵襲的または非侵襲的イメージングデータに基づいて物質特性を3D再構成されたプラークに割り当てることは、さらに、血管内腔をプラーク物質の連続ゾーンに分割することと、純粋なカルシウムプラーク物質から純粋な脂質プラーク物質までの範囲で4分の1の数を割り当てることと、を含む。
【0025】
システムのいくつかの実施形態では、1つ以上のコンピュータシステムは、さらに、3D再構成されたプラークに割り当てられた物質特性に基づいて、プラーク塑性を割り当てるように構成される。
【0026】
この発明の概要は、発明を実施するための形態及び図面で完全に説明されている主題の紹介のみとして提供される。発明の概要は、本質的な特徴を説明するために考慮するべきではなく、また、特許請求の範囲を決定するためにも使用するべきではない。さらに、前述の発明の概要及び以下の発明を実施するための形態は両方とも例示及び説明のみにすぎず、主張される主題を必ずしも限定するものではないことを理解されたい。
【0027】
添付図を参照して、詳細な説明が記述される。以下の説明及び図において異なる場合における同じ参照記号の使用は、類似または同一の項目を示し得る。本開示の様々な実施形態または例(「複数の例」)は、以下の詳細な説明及び添付の図面に開示される。図面は必ずしも正確な縮尺ではない。一般に、開示されたプロセスの動作は、特許請求の範囲で別段の定めがない限り、任意の順序で行われ得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本開示の1つ以上の実施形態による、介入手技のシミュレーション及び計画のためのシステムを示すブロック図である。
図2】本開示の1つ以上の実施形態による、介入手技計画のためのコンピュータシミュレーションプラットフォームを示すフロー図である。
図3】本開示の1つ以上の実施形態による、臨床分岐ステント留置シミュレーションのワークフローを示すフロー図である。
図4】本開示の1つ以上の実施形態による、患者特有の分岐部におけるコンピュータシミュレーションベンチステント留置のプロセスを示す。
図5】本開示の1つ以上の実施形態による、マイクロコンピュータ断層撮影(μCT)による再構成モデルに対するステント留置シミュレーション結果の比較結果を示す。
図6】本開示の1つ以上の実施形態による、ベンチ分岐モデルのコンピュータによるステント留置シミュレーションの定性的比較の結果を示す。
図7】本開示の1つ以上の実施形態による、ステント留置後の内腔の形態学的比較の結果を示す。
図8】本開示の1つ以上の実施形態による、臨床例における計算ステント対現実の形態学的比較の結果を示す。
図9】本開示の1つ以上の実施形態による、コンピュータシミュレーション臨床ステント留置のプロセスを示す。
図10】本開示の1つ以上の実施形態による、ステント留置後の内腔の形態学的比較の結果を示す。
図11】本開示の1つ以上の実施形態による、臨床例における計算ステント対現実の形態学的比較の結果を示す。
図12】本開示の1つ以上の実施形態による、ステント留置の前後の単一シミュレーション断面と光コヒーレンス断層撮影法(OCT)との形態学的比較の結果を示す。
図13】本開示の1つ以上の実施形態による、計算流体力学研究の結果を示す。
図14】本開示の1つ以上の実施形態による、患者特有のシリコーン分岐モデル及びバイオリアクターフロー回路を示す。
図15】本開示の1つ以上の実施形態による、3D分岐再構成ステップ及び血管造影処理のプロセスを示す。
図16】本開示の1つ以上の実施形態による、OCTからの分岐内腔の3D再構成のためのプロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示は、介入手技計画のためのコンピュータシミュレーションプラットフォームに関する。特に、図1図16を参照して、計算ステントプラットフォームが開示される。コンピュータシミュレーションは、カテーテル検査室における冠動脈疾患の解剖学的評価及び機能的評価に増分情報をもたらす可能性があり、経皮的インターベンションを導く。コンピュータによるステント留置モデルは、3D環境における、費用効果及び時間効率の高い方式で、問題となる「起こり得る事態」のシナリオを再現して、ステント留置術中に発生するイベントを解明できる。コンピュータによるステント留置は、ステント留置の前後の局所的な生体力学的微小環境を特徴付けでき、分岐ステント留置の最適化のためのフレームワークを提供し、臨床的にテストできる新しい仮説を生成する。
【0030】
ステントシミュレーションに関するいくつかの計算研究がこれまでに報告されており、その大部分は理想化された非分岐形状に特化している。分岐ステント留置に関する限定された計算研究が報告されている。これらの研究は、単純化されたプラーク物質特性を使用して限定された症例数(2未満)で、1ステント技術だけをコンピュータによりシミュレートし、シミュレーションと参照血管との定量比較は行われなかった。本開示は、完全に計算された患者特有のステント留置のための新規のプラットフォームを提示する。
【0031】
図1は、本開示の1つ以上の実施形態による、介入手技のシミュレーション及び計画のためのシステム100を示す。システム100は、1つ以上のコンピュータシステム102(例えば、コンピュータ、異なるステップ/プロセスを行う複数のコンピュータ、及び/または連続的にまたは並行して一緒に動作するコンピュータシステムのローカルまたはクラウドコンピューティングクラスタ)を含む。システム100は、さらに、1つ以上のコンピュータシステム102に通信可能に結合される1つ以上の侵襲的または非侵襲的医用画像化デバイス110を含む。例えば、1つ以上の医用画像化デバイス110は、1つ以上のコンピュータシステム102に(例えば、有線で)物理的に接続され得、(例えば、WiFi、WLAN、Bluetooth等を介して)無線で接続され得、及び/または1つ以上の医用画像化デバイス110によって収集されたデータを記憶するように構成される少なくとも1つのポータブル記憶デバイス(例えば、USBドライブ、ポータブルハードドライブ等)によって通信可能に結合され得、これにより、1つ以上のコンピュータシステム102にデータを転送できる。
【0032】
侵襲的または非侵襲的医用画像化デバイス110の例は、限定ではないが、CTスキャナー、X線スキャナー、フルオロスコープ、超音波スキャナーを含む。複数の実施形態では、1つ以上の侵襲的または非侵襲的医用画像化デバイス110は、いずれかの数または組み合わせの前述のデバイスを含み得る。
【0033】
1つ以上のコンピュータシステム102は、本明細書に説明される様々な機能、ステップ、及び/または動作を行うことによって、コンピュータシミュレーションプラットフォームを実装するように構成され得る。複数の実施形態では、コンピュータシステム102(またはクラスタの各コンピュータシステム102)は、少なくとも1つのプロセッサ104、メモリ106、及び通信インターフェース108を含む。
【0034】
プロセッサ104は、少なくともコンピュータシステム102に処理機能を提供し、いずれかの数のプロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他の処理システム、ならびにデータ、実行可能コード、及びコンピュータシステム102によってアクセスまたは生成された他の情報を記憶するための常駐または外部のメモリを含み得る。プロセッサ104は、本明細書に説明される技術/動作を実施する非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、メモリ106)に具体化された1つ以上のソフトウェアプログラムを実行できる。プロセッサ104は、それが形成される材料、またはそれに使用される処理メカニズムによって制限されないため、半導体(複数可)及び/またはトランジスタ等を介して(例えば、電子集積回路(IC)コンポーネントを使用して)実装できる。
【0035】
メモリ106は、プロセッサ104(場合により、コンピュータシステム102の他のコンポーネント)に、本明細書に説明される機能を行うことを命令するために、ソフトウェアプログラム及び/もしくはコードセグメント、または他のデータ等のコンピュータシステム102/プロセッサ104の動作に関連する様々なデータ及び/またはプログラムコードを記憶するための記憶機能を提供する有形のコンピュータ可読記憶媒体の例であり得る。したがって、メモリ106は、そのコンポーネント(例えば、プロセッサ104、通信インターフェース108等)を含む、コンピュータシステム102を動作するための命令のプログラム等のデータを記憶できる。シングルメモリ106が説明されているが、様々なタイプ及び組み合わせのメモリ(例えば、有形の非一時的メモリ)を使用できることに留意されたい。メモリ106は、プロセッサ104と一体にでき、スタンドアロンメモリを含み得る、または両方の組み合わせであり得る。メモリ106のいくつかの例は、取り外し可能及び取り外し不可能なメモリコンポーネントを含み得、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ(例えば、セキュアデジタル(SD)メモリカード、ミニSDメモリカード、及び/またはマイクロSDメモリカード)、ソリッドステートドライブ(SSD)メモリ、磁気メモリ、光メモリ、ユニバーサルシリアルバス(USB)メモリデバイス、ハードディスクメモリ、外部メモリ等が挙げられる。
【0036】
通信インターフェース108は、コンピュータシステム102のコンポーネントと通信するように動作可能に構成できる。例えば、通信インターフェース108は、プロセッサ104または他のデバイス(例えば、医用画像化デバイス110、他のコンピュータシステム102、ローカル/リモートサーバ等)からデータを検索し、メモリ106に記憶するためにデータを送信し、メモリ106のストレージからデータを検索する等を行うように構成できる。通信インターフェース108は、また、プロセッサ104と通信可能に結合されて、コンピュータシステム102のコンポーネントとプロセッサ104との間のデータ転送を容易にできる。通信インターフェース108はコンピュータシステム102のコンポーネントとして説明されているが、通信インターフェース108の1つ以上のコンポーネントは、有線接続及び/または無線接続を介してコンピュータシステム102に通信可能に結合された外部コンポーネントとして実装できることに留意されたい。コンピュータシステム102は、また、入力デバイス(例えば、マウス、トラックボール、トラックパッド、ジョイスティック、タッチパッド、タッチスクリーン、キーボード、キーパッド、マイク(例えば、音声コマンド用)等)及び/または出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、触覚フィードバックデバイス等)等の1つ以上の入力/出力(I/O)デバイスを含み得る、及び/または(例えば、通信インターフェース108を介して)1つ以上の入力/出力デバイスに接続できる。複数の実施形態では、通信インターフェース108は、また、送信機、受信機、トランシーバ、物理的接続インターフェース、またはそれらのいずれかの組み合わせを含み得る、またはそれらと結合され得る。
【0037】
本明細書に説明される機能、ステップ、または動作のいずれかは、1つのコンピュータシステム102によって全て必ずしも行われるとは限らないことを理解されたい。いくつかの実施形態では、様々な機能、ステップ、または動作は、1つ以上のコンピュータシステム102によって行われ得る。例えば、1つ以上の動作及び/またはサブ動作は第1のコンピュータシステムによって行われ得、追加動作及び/またはサブ動作は第2のコンピュータシステムによって行われ得る等が起こり得る。さらに、動作及び/またはサブ動作の一部は並行して行われ、それらが本明細書に開示される順序で必ずしも行われ得るとは限らない。
【0038】
図2は、介入手技計画のためのコンピュータシミュレーションプラットフォーム200を示すフロー図である。複数の実施形態では、コンピュータシミュレーションプラットフォーム200は、以下のブロック(例えば、機能、ステップ、及び/または動作)を含むコンピュータ実装方法によって具体化される。
【0039】
ブロック202において、侵襲的または非侵襲的イメージングデータは、1つ以上の血管(例えば、冠動脈分岐部または他のいずれの血管系もしくはその一部)について収集される。例えば、1つ以上のコンピュータシステム102は、1つ以上の画像化デバイス110を介して、侵襲的イメージングデータ(例えば、冠動脈造影法、血管内超音波法、及び/または光コヒーレンス断層撮影法によって取得される)及び/または1つ以上の血管に関連する非侵襲的イメージングデータ(例えば、コンピュータ断層撮影血管造影法によって取得される)を収集するように構成され得る。さらに、1つ以上のコンピュータシステム102は、1つ以上の画像化デバイス110を介して、下記に説明される例示的な実施形態(例えば、実施例1~3)に記載されるツール及び/または技術のいずれかを使用して、1つ以上の血管に関連する侵襲的イメージングデータ及び/または非侵襲的イメージングデータを収集するように構成され得る。
【0040】
ブロック204において、少なくとも1つの血管内腔(例えば、冠動脈分岐部またはいずれかの他の血管系もしくはその一部)及び血管内腔の表面(例えば、内腔壁及び/または内腔壁に蓄積されたいずれかのプラーク)の3D再構成は、1つ以上の画像化デバイス110によって収集された侵襲的または非侵襲的イメージングデータに基づいて生成される。例えば、1つ以上のコンピュータシステム102は、侵襲的イメージング(例えば、血管造影法、光コヒーレンス断層撮影法、または血管内超音波法)または非侵襲的イメージング(コンピュータ断層撮影血管造影法)のモダリティまたはこれらのモダリティのいずれかの組み合わせに基づいて、分岐内腔及び壁/プラークの3D再構成を生成するように構成され得る。動脈壁及びプラークの真の寸法(厚さ、偏心)を再構築することに特に重点が置かれている。さらに、3D再構成された分岐は患者特有である。さらに、1つ以上のコンピュータシステム102は、下記に説明される例示的な実施形態(例えば、実施例1~3)に記載されるツール及び/または技術のいずれかを使用して、1つ以上の画像化デバイス110によって収集された侵襲的または非侵襲的イメージングデータに基づいて、少なくとも1つの血管内腔(例えば、冠動脈分岐部またはいずれかの他の血管系もしくはその一部)及び血管内腔の表面(例えば、内腔壁及び/または内腔壁に蓄積されたいずれかのプラーク)の3D再構成を生成するように構成され得る。
【0041】
任意選択で、ブロック206において、3D再構成された血管内腔及び血管内腔の表面のメッシュが生成される。例えば、1つ以上のコンピュータシステム102は、下記に説明される例示的な実施形態(例えば、実施例1~3)に記載されるツール及び/または技術のいずれかを使用して、3D再構成された血管内腔及び血管内腔の表面のメッシュを生成するように構成され得る。コンピュータシミュレーションプラットフォームのいくつかの実施形態では、3D再構成された血管内腔及び血管内腔の表面はメッシュ化されていない。これに関連して、3D再構成自体を使用して、バルーン拡張前、ステント留置、及びバルーン拡張後のコンピュータシミュレーションを行い得る。
【0042】
ブロック208において、物質特性は、血管内腔の3D再構成された表面に割り当てられる。例えば、1つ以上のコンピュータシステム102は、1つ以上の画像化デバイス110によって収集された侵襲的または非侵襲的イメージングデータに基づいて、血管内腔の3D再構成された表面に物質特性を割り当てるように構成され得る。1つ以上の医用画像化デバイス110から受信された画像データに基づいて、現実的な物質特性を動脈壁及びプラークに割り当てできる。これは、これらの物質間の幅広い組み合わせを含む、脂質物質から繊維状物質及び石灰化物質にわたる物質の幅広い範囲を含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のコンピュータシステム102は、侵襲的または非侵襲的イメージングに基づいて、壁またはプラークの厚さ、内腔面積、プラークの偏心、及びプラーク成分を決定することによって、血管内腔の3D再構成された表面に物質特性を割り当てるように構成される。いくつかの実施形態では、1つ以上のコンピュータシステム102は、さらに、血管内腔をプラーク物質の連続ゾーンに分割し、純粋なカルシウムプラーク物質から純粋な脂質プラーク物質までの範囲で4分の1の数を割り当てることによって、血管内腔の3D再構成された表面に物質特性を割り当てるように構成される。システムのいくつかの実施形態では、1つ以上のコンピュータシステム102は、3D再構成されたプラークに割り当てられた物質特性に基づいて、プラーク塑性を割り当てるように構成される。さらに、1つ以上のコンピュータシステム102は、下記に説明される例示的な実施形態(例えば、実施例1~3)に記載されるツール及び/または技術のいずれかを使用して、1つ以上の画像化デバイス110によって収集された侵襲的または非侵襲的イメージングデータに基づいて、血管内腔の3D再構成された表面に物質特性を割り当てるように構成され得る。
【0043】
ブロック210において、ステント及びバルーンの設計及び物質特性がインポートされ、ステント及びバルーンのメッシュを生成するために使用される。真のステント設計及び材料、ならびにコンプライアント、セミコンプライアント、及び非コンプライアントの特性がある現実的な拡張前及び拡張後のバルーン形状は、コンピュータプラットフォーム200に組み込まれる。例えば、1つ以上のコンピュータシステム102は、1つ以上の医用画像化デバイス110から受信された侵襲的または非侵襲的イメージングデータに基づいて、ステント及びバルーンの設計及び物質特性をインポートするように構成され得る。代替としてまたは加えて、1つ以上のコンピュータシステム102は、メーカーが提供したデータを含む1つ以上のデータベースからステント及びバルーンの設計及び物質特性をインポートするように構成され得る。1つ以上のコンピュータシステム102は、下記に説明される例示的な実施形態(例えば、実施例1~3)に記載されるツール及び/または技術のいずれかを使用して、好ましくは構造化メッシュを有するステント及びバルーンのメッシュを生成するように構成され得る。圧着状態のメッシュ化されたステント及びバルーンは、3D再構成された血管内腔及び血管内腔の表面のメッシュ内に計算的に位置付けられ、曲げられ得る。いくつかの実施形態では、ステント及びバルーンは、動脈の真の3Dコースに従って、内腔のメッシュ内で曲げられ、位置付けられる。さらに、1つ以上のコンピュータシステム102は、下記に説明される例示的な実施形態(例えば、実施例1~3)に記載されるツール及び/または技術のいずれかを使用して、ステント及びバルーンの設計及び物質特性をインポートし、ステント及びバルーンのメッシュを生成し、ならびに/または3D再構成された血管内腔及び血管内腔の表面のメッシュ内にもしくはメッシュに対してステント及びバルーンのメッシュを位置付けるように構成され得る。
【0044】
ブロック212において、コンピュータによるステントシミュレーションが行われる。例えば、1つ以上のコンピュータシステム102は、3D再構成された血管内腔及び血管内腔の表面のメッシュを用いて、バルーン拡張前、ステント留置、及びバルーン拡張後のコンピュータシミュレーションを行うように構成され得る。いくつかの実施形態では、バルーン拡張前、ステント留置、及びバルーン拡張後の計算は、有限要素解析を使用してコンピュータによりシミュレートされる。好ましくは、現実的な膨張圧力が使用される。各ステップの前負荷が次のステップの基準になり得るため、内腔及び壁の拡張が現実的なパターンに従うようになる。さらに、1つ以上のコンピュータシステム102は、下記に説明される例示的な実施形態(例えば、実施例1~3)に記載されるツール及び/または技術のいずれかを使用して、メッシュ構造を用いて、バルーン拡張前、ステント留置、及びバルーン拡張後のコンピュータシミュレーションを行うように構成され得る。
【0045】
ブロック214~ブロック218において、コンピュータシミュレーションに基づいて、ステント及び血管の形態学的測定値及び生体力学的測定値が評価される。例えば、1つ以上のコンピュータシステム102は、限定ではないが、ステントの拡張及び並置を含む形態学測定値を評価するように構成され得る。1つ以上のコンピュータシステム102は、さらに、計算流体力学及び有限要素解析を使用して、限定ではないが、動脈内腔、壁、及びステントの流体応力及び固体応力を含む生体力学的測定値(例えば、血行力学的測定値)を評価するように構成され得る。さらに、1つ以上のコンピュータシステム102は、下記に説明される例示的な実施形態(例えば、実施例1~3)に記載されるツール及び/または技術のいずれかを使用して、コンピュータシミュレーションに基づいて、ステント及び血管の形態学的測定値及び生体力学的測定値を評価するように構成され得る。
【0046】
提案された計算ステントプラットフォーム200は、Cath Labにおける冠動脈疾患の解剖学的評価及び機能的評価に増分情報をもたらす可能性があり、経皮的インターベンションを導く。患者特有のコンピュータによるステント留置モデルは、3D環境における、費用効果及び時間効率の高い方式で、問題となる「起こり得る事態」のシナリオを再現して、ステント留置術中に発生するイベントを解明できる。これらのモデルは、ステント留置の前後の局所的な生体力学的微小環境を特徴付けでき、ステント留置の最適化のためのフレームワークを提供し、次に、臨床的にテストできる新しい仮説を生成する。高性能コンピュータの時代では、分岐ステント留置の予測に関する患者特有のコンピュータシミュレーションが実行可能で信頼性がある。
【0047】
分岐ステント留置のコンピュータシミュレーションは、当業界において、新世代のステントを開発するのに役立つ可能性があり、最終的には臨床転帰を改善する。ステント留置シミュレーションは、分岐PCI(オートパイロットPCI)を導くために(ほぼ)リアルタイムで使用される可能性があり、これは、熟練ではないインターベンション医師にとって特に役立ち得る。患者特有の計算ステントアプローチは、分岐部の解剖学的構造、疾患の複雑さ、及び生体力学を包括的なスキームに統合する。これにより、患者の分岐部の広範囲の環椎の生成と、実際の分岐形状の全範囲に適用される様々なステント留置法のシミュレーションが可能になる。そのような患者の分岐環椎は、分岐の解剖学的構造の特定のグループに適したステント留置法を識別し、機械学習及び深層学習の戦略を使用してCath Labで、リアルタイムで意思決定を行うための準備を整えるのに役立ち得る。また、提案されたコンピュータプラットフォームは、有用な教育ツール及びトレーニングツールに進化し得、最終的に、他の血管床(すなわち、頸動脈分岐または大動脈分岐または構造的心疾患のインターベンション)に適用できる。
【0048】
コンピュータシミュレーションプラットフォーム200の特定の実施態様は、下記に説明される例及び実施形態(例えば、実施例1~3)で説明される。以下の例及び実施形態は、特許請求の範囲で別段の定めがない限り、本開示に限定されるものとして解釈するべきではない。他の実施態様では、本開示の範囲から逸脱することなく、同等のシステム、ツール、材料、ソフトウェア、及び/またはプロセスを使用し得る。さらに、特定の実施形態に関して記載された特定の態様または構成は、本開示の範囲から逸脱することなく、別の実施形態のいずれかの態様または構成と組み合わせて実装され得る。
【0049】
実施例1-患者特有のベンチステント留置
【0050】
シリコーン分岐モデル:インハウス技術を使用して、患者特有の冠動脈分岐部の4つのベンチモデルを作成した。具体的には、初期の分岐形状は、人間の冠動脈造影法から3D再構成されたものである。各モデルについて、ネガティブモールドが設計され、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)材料を用いて3Dプリントされた。アセトン蒸気を使用して金型の内面を滑らかにした後、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を金型に注入し、次に、PDMSを硬化させるためにオーブンに入れた。次に、物理モデルをアセトンビーカーに浸してABSを溶解し、ベンチテスト用のシリコーン分岐モデルを生成した。
【0051】
造影強調マイクロコンピュータ断層撮影(μCT)によるイメージング:高解像度の内腔ジオメトリを取得するために、全てのシリコーン分岐モデルは造影剤で満たされ、次に、次のパラメーター(画像の画素サイズ(26.9μm)、電圧(100kV)、及び電流(100μA))を使用して、μCT(例えば、SkyScan1172バージョン1.5,SKYSCAN,Antwerpen,ベルギー)でスキャンした。ステント留置前のμCTに基づいて再構成された3Dモデルは、コンピュータによるステントシミュレーションへの解剖学的入力として機能した。
【0052】
シリコーン分岐モデルのベンチステント留置:シリコーン分岐モデルは、カスタムメイドのフローチャンバーに設置された。コンピュータ制御バイオリアクター回路が分岐部の入口及び出口に接続され、100ml/分の安定した流量で1Lの脱イオン水の循環が可能になった。
【0053】
立体視スキャン:シリコーン分岐モデルに配置された全てのステントは、立体顕微鏡(例えば、OlympusSZX16,東京,日本)で画像化された。顕微鏡画像を使用して、固定点(例えば、隆起部)からのステントエッジの距離を測定し、計算モデルでステントの正確な位置付けを導いた。
【0054】
計算メッシュ:μCTによって再構成された3D内腔は、HyperMesh(Altair Engineering,Troy,MI,米国)を使用して、4つのノードの四辺形シェル要素でメッシュ化された。ベンチステント留置術で使用されるステントのコンピュータ支援設計モデルは、メーカー(Boston Scientific,Maple Groove,MN,米国、及びMedtronic Vascular,Santa Rosa,CA,米国)によって呼び寸法で提供された。バルーンは、Grasshopper(Rhinoceros6.0(Robert McNeel and Associates,Seattle,WA,米国)へのプラグイン)で、圧着状態でコンピュータにより作成された。ステントは、ビーム要素(Resolute Integrity及びResolute Onyx,Medtronic)または6面体要素(Synergy,Boston Scientific)を使用して、HyperMeshでメッシュ化されたのに対し、バルーンは四辺形の有限膜ひずみ要素でメッシュ化された。
【0055】
物質特性:硬化したシリコーンサンプルを長方形の試験片に切断し、一軸圧縮試験を受けた。取得された力-変位曲線は、ひずみ-応力曲線に変換した。ネオフッキアン超弾性モデルを使用して、非線形ひずみ-応力曲線を適合した。シリコーンモデルの真の厚さを表すために、各分岐のシェル要素に特定の厚さを割り当てた。コンプライアントバルーン、セミコンプライアントバルーン、及び非コンプライアントバルーンの弾性率は、各々、300MPa、900MPa、及び1,500MPaと定義された。
【0056】
ステント及びバルーンの圧着、位置付け、及び曲げ:計算分岐モデルにおける正確なステント及びバルーンの位置付けは、血管造影、μCT、及びステント留置されたシリコーンモデルの立体画像によって決定された。ステントは、最初に、半径方向の変位によって動かされる表面要素を使用することによって、名目状態から圧着された。圧着されたステント及びバルーンは、動脈の中心線に沿って位置付けられ及び曲げられた。
【0057】
ベンチステント留置術のコンピュータシミュレーション:ベンチステント留置術は、中央差分法(Abaqus/Explicitソルバー)を使用して、多段階の準静的有限要素解析によってシミュレートされた。分岐内腔のエッジは、剛体が動かないように固定された。バルーンのエッジは、全ての方向への動きを排除するように拘束された。異なる要素(バルーン-ステント、ステント-内腔、バルーン-内腔、バルーン-バルーン)間の相互作用をモデル化するために、摩擦係数が0.2のロバストな一般的な接触アルゴリズムが使用された。各手技ステップで使用された実際の膨張圧力は、対応するバルーンの内面に適用された。各ステップ後の内腔及びステントの応力がかかった構成は、次のステップの初期条件として使用された。計算モデルには非常に多くの要素及び複雑な接触があるため、コンピュータクラスター(452 Intel Xeon E5-2670 2.60GHz 2 CPU/ノードあたり16コア及び64GB RAM,University of Nebraska)を使用して、高速コンピュータシミュレーションを行った。
【0058】
計算ベンチステント留置のトレーニング:μCTポストステント留置による3D再構成された分岐及びステント形状は、コンピュータによるステント留置のトレーニングのグラウンドトゥルースとして機能した。シミュレートされた分岐及びμCT分岐は、固定点として分岐隆起部を使用して同時登録された。比較研究には平均内腔径(MLD)を使用した。
【0059】
結果:全てのベンチステント留置術(その大部分は多段階の2ステント技術であった)は、正常にシミュレートされた。図4は、2つのステントを用いたT+突起(T-and-Protrusion)(TAP)技術の代表的な例を示す。視覚的には、コンピュータによりシミュレートされたステントのサイズ及び形状は、実際のμCTで再構成されたステントとほぼ同一であった(図5(a))。MLDは、シミュレートされ、μCTで再構成されたステントの軸方向に沿ってプロットされ(図5(b))、0.02(-0.12~0.17)mmの最小平均差が生じるブランドアルトマン分析による方法に対して定量的に比較された。
【0060】
造影強調μCT及び立体画像は、さらに、位置異常のストラット、側枝口のサイズ及び形状、ならびに隆起部の解剖学的に敏感な部位の周りのストラットのギャップを含む、ベンチステント留置手技の詳細を高精度で複製する開示された計算ステントプラットフォームの能力を明らかにした(図6)。
【0061】
実施例2-臨床ステント留置
【0062】
患者データ:PROPOT(冠動脈分岐部の病変における近位最適化技術のランダム化試験、IRB承認番号15-159-2)、ゾタロリムス溶出ステント(Resolute IntegrityまたはResolute Onyx,Medtronic)を使用して、冠動脈分岐部の暫定的ステント留置における近位最適化技術とキスバルーン膨張とを比較した多施設、前向き、非盲検研究から、患者特有のコンピュータシミュレーションのために7つの患者症例が選択された。全ての患者は、複数の血管造影面における冠動脈造影と、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の前、ステント留置直後、及び手技の最後に、主血管(MV)及び側枝(SB)のOCTによる冠動脈内イメージングを受けた。PCI前の解剖学的イメージングデータを使用して、コンピュータによるステント留置シミュレーションへの解剖学的入力として機能する患者特有の冠動脈分岐部の解剖学的構造を3D再構成した。臨床分岐ステント留置術のコンピュータシミュレーションのワークフローを図3に示す。
【0063】
トレーニンググループ:7つの症例のうちの5つが計算ステントプラットフォームのトレーニングに使用された。この場合、オペレータは誰も盲検化されていなかった。このグループの症例で行われた全てのPCIステップは、コンピュータ環境で複製された。PCI後のOCTデータは、コンピュータシミュレーションと比較するためのグラウンドトゥルースとして使用された。
【0064】
試験グループ:計算ステントプラットフォームのテストには2つの症例が選択された。血管造影及びOCTイメージング分析、血管の3D再構成、コンピュータによるステント留置シミュレーション、及び比較研究を担当するオペレータは互いに盲検化されていた。ステント留置シミュレーションの結果は、PCI後のOCTイメージングと比較された。
【0065】
分岐形状の3D再構成:前述のように、PCI前の分岐形状は血管造影及びOCTの融合から3D再構成された。簡単に説明すると、分岐中心線は2つの血管造影面(Pie Medical Imaging BV,Maastricht,オランダ)から生成され、再構成のバックボーンとして機能した。セグメント化されたOCT画像(EchoPlaque4.0,Indec,Los Altos,CA,米国)は、隆起部を基準点として使用して中心線に沿って位置合わせされた。前述のように、OCT画像の外側の境界線を描くために段階的なアプローチに従った。開示されたアプローチは、95%を超える画像で正常に機能し、次のステップが含まれていた。(i)外壁の境界が明確に定義されていない場合、外壁は完全な信号損失のマージンで制限された、(ii)完全な信号損失のマージンが血管周囲の180度未満で識別できなかった場合、目に見える外壁の境界が補間された、(iii)完全な信号損失のマージンが血管周囲の180度よりも大きい角度で識別できなかった場合、その特定のOCTフレームは破棄され、隣接フレームは同じステップ(i)~(ii)に従ってセグメント化された。位置合わせされた内腔及び壁の輪郭をロフトしてMV及びSBの内面と外面を構築し、MV及びSBの表面を最終的に結合して、PCI前後の分岐内腔及び壁を作成した。
【0066】
計算メッシュ:3D再構成された分岐モデルは、6面体要素(ICEM CFD 17.2,ANSYS,Inc.,Canonsburg,PA,米国)でメッシュ化された。ステント設計モデルは、メーカー(Medtronic Vascular,Santa Rosa,CA,米国)によって呼び寸法で提供された。バルーンは、圧着状態のGrasshopperで作成された。ステント及びバルーンは、各々、完全な6面体及び四辺形の有限膜ひずみ要素を使用してメッシュ化された。
【0067】
物質特性:コンピュータシミュレーションでは、壁の厚さ、内腔の面積、プラークの偏心、プラーク物質がOCTによって決定された。6次多項式係数の応力/ひずみグラフによって表された実験データに基づいて、新規のプラークスコアリングシステムが構築された。脂質、繊維状物質及び石灰化物質の面積、円周、及び厚さは、画像化の専門家(YSC)によって、MV及びSBの引き戻しにおいて各OCTフレームで評価された。注目すべきことに、画像化の専門家は、試験グループのシミュレーション結果が盲検化されていた。次に、MV及びSBを均質なプラーク物質の連続ゾーンに分割した。各ゾーンには、+2(カルシウムのみ)から-2(脂質のみ)の範囲で4分の1の数(例えば、-0.25、0、+0.25等)が割り当てられた。脂質が優勢な線維脂質プラークが-0.75または-0.5、壊死性コアを伴う線維脂質プラークが-0.25、線維性プラークが0、線維が優勢な線維脂質プラークが+0.25、中程度のカルシウムを伴う線維石灰化プラークが+0.5、重度のカルシウムを伴う線維石灰化プラークが+0.75または+1のように、スコアが割り当てられた。通常の壁の厚さ及び先細りはOCTによって評価された。通常の壁物質は、前述のように、等方的超弾性機械的挙動を特徴付けるために、6次の縮小多項式構成方程式を使用してモデル化された。動脈媒体層の係数は、方程式を実験データに適合させることによって取得された。物質特性に基づいて、19~25%の範囲の壁の塑性が割り当てられた。Resolute Integrity及びResolute Onyxのコバルト合金MP35Nは、等方的硬化をもたらすVon Mises-Hill塑性モデルでモデル化され、Resolute OnyxのPt-Ir合金コアは完全な塑性でモデル化された。バルーンは、ベンチグループのシミュレーションと同じ物質特性がある純粋な線形弾性材料としてモデル化された。
【0068】
ステント及びバルーンの圧着、位置付け、及び曲げ:全てのステントは、最初に、半径方向の変位によって動かされる表面要素を使用して、名目状態から圧着された。圧着されたステント及びバルーンは、中心線に沿って位置付けられ及び曲げられた(図3)。ステント及びバルーンは、血管造影及びOCTの基準マーカー(例えば、ステント/バルーン、隆起部、ガイドワイヤーの交点のX線不透過性マーカー)を参照することにより、分岐点に正確に位置付けられた。
【0069】
コンピュータシミュレーション:PCIステップの全てのステップは、中央差分法(Abaqus/Explicitソルバー)を使用して、多段階で大変形の準静的有限要素解析によって計算的に複製された。境界条件及びシミュレーションパラメーターは上記のとおりである。上記のコンピュータクラスターを使用して、コンピュータシミュレーションを行った。
【0070】
OCTからの3Dステント再構成:カスタムビルドのGrasshopper Pythonコードを使用して、OCT及び血管造影画像からステントを3D再構成した。最初に、ステントストラットは個々の点としてセグメント化され、2D表面に平坦化された。2Dステント設計パターンを参照として使用して、ステント点はステントストラット及びリンクの中心線を表した線で接続された。2Dステント中心線をラップして3D内腔中心線にマッピングし直して、次に、ステントストラットの体積を追加した。
【0071】
計算流体力学(CFD)研究:計算後のPCI分岐形状を使用して、CFD分析の流体領域を離散化した(図3)。流体領域は、ICEM CFD(ANSYS Inc.,Canonsburg,PA,米国)を使用して4面体要素でメッシュ化された。一時的なCFDシミュレーションは、Fluent(ANSYS Inc.)を用いて行われた。各動脈の入口で拍動流を適用した。Huo-Kassab(HK)の法則を使用して、2つの娘枝の直径比と、枝を通る流量比との関係を導き出した。内腔及びステントの表面は、滑り止めの境界条件が適用された剛体として近似された。血液密度は1,060kg/mの値で一定であると見なした。血液の非ニュートン性を考慮するためにカローモデルを採用した。各パラメーターの値として、[μ=0.0035Pa・s、μ=0.25Pa・s、λ=25s、及びn=0.25]を使用した。0.009秒のステップ時間で100の時間ステップに分割された1つの全心周期をシミュレートした。
【0072】
比較指標:コンピュータによるステント留置シミュレーション後の最終的な内腔及びステントの形状を、PCI後のOCTでセグメント化された内腔及びステントの断面と比較した。PCI後のOCTの断面を参照として使用した。シミュレートされた分岐及びOCT断面のフレーム番号は、固定マーカーとして隆起部を使用して同時登録された。ステント留置されたMVに沿ったMLD及び平均ステント径(MSD)を比較指標として使用した。
【0073】
統計的手法:統計分析は、統計パッケージGraphPad Prism8.0(GraphPad Inc.,San Diego,CA,米国)を使用して行われた。連続変数は、平均±平均の標準誤差として表された。ブランドアルトマン分析を比較に使用した。ここで、p値<0.05の場合、統計的に有意であると見なした。
【0074】
トレーニンググループの結果:トレーニンググループでは、全ての臨床ステント留置術は、1つのステント技術で行われ、当社のコンピュータプラットフォームで正常にシミュレートされた。視覚的には、コンピュータによりステント留置された分岐内腔は、ステント留置後の血管造影内腔との高い定性的一致が生じる(図7)。ブランドアルトマン分析では、MLDの差がゼロに近いことが明らかになった[平均バイアスは0.07mm(-0.31~0.45)mmであった]。同様に、コンピュータによりシミュレートされたステントは、OCT及び血管造影を融合することによって3D再構成された実際のステントの形状及びサイズと高い類似性を示した(図8(a)及び(b))。コンピュータによりシミュレートされた16個のステントのMSDは、OCTステントセグメンテーションと定量的に比較され、非常に高い一致が得られた[平均バイアスは0.14mm(-0.22~0.49)mmであった]。特に、患者#1では、コンピュータシミュレーションにより、局所的な硬いプラーク物質に続発する隆起部周辺のステントの拡張不足が再現された。患者#5では、コンピュータによるステント留置により、ステントストラット間の大きなギャップと、近位ステントの拡張後に続く近位MVにおける結果としての過剰拡張内腔が再現された。
【0075】
試験グループの結果:試験グループでは、術前の解剖学的情報(血管造影及びOCT)を使用して、臨床ステント留置を複製する開示されたコンピュータプラットフォームの能力を評価した(図9)。コンピュータシミュレーションのオペレータは、術後OCTが盲検化されていた。図10及び図11に示されるように、コンピュータによるステント留置術は、術後OCTと非常に高い一致が生じ、プラットフォームのロバスト性を示唆する。ブランドアルトマンによる定量比較では、MLD及びMSDにわずかな違いが示された[平均バイアスは、各々、0.09mm(-0.29~0.46)及び0.13mm(-0.24~0.49)mmであった]。図12は術前OCTの盲検的使用の例を提供し、内腔面積、プラークの厚さ及び偏心の解剖学的情報をコンピュータプラットフォームに組み込み、術後OCTによって同様の内腔及びステント拡張を生じさせた現実的なコンピュータシミュレーションを実現するために、患者特有の物質特性が割り当てられる。
【0076】
CFD研究:開示されたシミュレートされた手技におけるCFDの実現可能性を示すために、MV及びSBの軸方向に沿った時間平均壁せん断応力(TAWSS)をコンピュータによるステント留置の前後で比較した(図13)。定量的及び定性的に示されるように、ステント留置において、MVのTAWSSが正規化された。
【0077】
患者特有の分岐ステント留置シミュレーション用に提案されたコンピュータプラットフォーム(すなわち、コンピュータシミュレーションプラットフォーム200)は、臨床研究、臨床的判断、ステント製造、及びステント留置法の教育のための信頼できるリソースを提供する。より具体的には、コンピュータによるステント留置は、患者特有の解剖学的及び生理学的データと、臨床エンドポイントを高度に予測する代理エンドポイント(すなわち、拡張不足、誤配置、流動力学)を使用する仮想臨床試験(コンピュータ内で行われる)で使用できる。これらの仮想臨床試験は、異なるステント留置法またはステントプラットフォームの性能を調査するために大量の患者データを適切に活用できるため、実際の臨床試験を導くことがもたらされる。現在進行中のフローISRは、そのような仮想臨床試験の一例である。この研究では、患者特有の冠動脈分岐部における異なる1ステント技術及び2ステント技術が比較されている。心臓カテーテル検査室では、術前の計画及び意思決定を行うために、コンピュータによるステント留置シミュレーションを使用できる。最も好ましいステントの拡張及び並置、ならびに血行力学的微小環境を確保する最適なステント留置術及び拡張後技術のコンピュータによる識別は、インターベンション医師に貴重なガイダンスを提供し、できる限り、手技の成功及び長期的な臨床転帰を高めることができる(精密医療が可能になる)。ステントメーカーに関して、患者特有の解剖学的構造を用いた費用対効果の高いコンピュータによるステント戦略は、ステント検査のための基礎研究及び動物研究の必要性を最小限に抑える可能性がある。コンピュータシミュレーションは、ステント設計(例えば、クラウン及びリンクの数、ストラットサイズ)及び力学(半径方向及び縦方向の強度、拡張能力、血管の足場)の最適化に役立つ。計算アプローチにより、現実的な血管環境で異なるステント設計を効果的に評価できるため、ステントプロトタイプを製造して実験的にテストする必要がなくなり、開発時間及び製造コストがかなり削減される。コンピュータによるステント留置に関する別の重要な検討事項として、分岐ステント留置法についてスタッフ及び医師を訓練するための教育ツールとして使用できることが挙げられる。複合現実技術は、さらに、この目標に向けて支援できる。最後に、コンピュータによる分岐ステント留置は、他の血管床(例えば、頸動脈、腎臓、または大動脈の分岐)に転用できる。
【0078】
冠動脈分岐部は、冠動脈疾患に対する感受性が高い心外膜冠動脈枝の固有の解剖学的部位を表す。主血管(MV)及び側枝(SB)の角度及び直径を含む分岐部の特定の解剖学的特徴は、局所的な血行力学的環境及びその後のアテローム性動脈硬化症の傾向に大きな影響を及ぼす。分岐部の解剖学的構造及び疾患の程度は、分岐ステント留置戦略及び臨床転帰の実質的な決定要因である。分岐部の解剖学的構造及び疾患の負担の3次元(3D)表現は、分岐部の疾患の解剖学的複雑さを深く理解し、開示されたステント戦略を最適化するのに役立つことができた。
【0079】
冠動脈分岐部の専用の単一モダリティ3D再構成は、3D定量的冠動脈造影法(3D QCA)または冠動脈コンピュータ断層撮影血管造影法(CTA)のいずれかで行うことができる。しかしながら、これらのモダリティは両方とも大きな制限がある。3D QCAは、2つの2D血管造影面の使用に関連する固有の仮定のため、分岐内腔の正確な幾何学的情報を提供できない。それにもかかわらず、3D QCAは、分岐中心線の3Dコースに関する正確な詳細を提供する。冠動脈CTAは、心臓及び肺の動きアーチファクト及び冠動脈の石灰化によって制限され、結果として、患者の下降部が除外される。冠動脈CTAまたは侵襲的血管造影のみとの、MVの血管内超音波法(IVUS)または光コヒーレンス断層撮影法(OCT)の融合に基づく、分岐部のハイブリッドマルチモダリティ3D再構成が説明される。これらのアプローチには、主にSB再構成の精度に関連する制限がある。特に、MV及びSBの再構成に異なる画像診断法を使用すると、幾何学的に敏感で臨床的に重要な分岐部の隆起部及びSBの再構成が不正確になる。また、MVの再構成に侵襲的イメージング(IVUS)を使用し、SBの再構成に非侵襲的イメージング(CTA)を使用することは、臨床現場では容易に適用できない。
【0080】
本開示は、現在の最先端技術に基づいており、侵襲性冠動脈造影法(分岐中心線を提供する)と、MV及びSBの両方のOCTとの融合に基づいて、冠動脈分岐部の3D再構成のための新規の戦略を提案する。本明細書に説明される研究において、(i)冠動脈分岐部の3D再構成の方法論を説明すること、(ii)患者特有のシリコーン分岐モデル及び様々な程度の疾患を患う患者の冠動脈分岐部において、本方法の精度、実現可能性、及び再現性を体系的にテストすること、が行われた。
【0081】
実施例3-冠動脈分岐部の3D再構成
【0082】
シリコーンモデル:開示されたアルゴリズムを使用して、冠動脈分岐部の5つの患者特有のシリコーンモデルを3D再構成した。分岐形状は、市販のソフトウェア(3D CAAS Workstation8.2,Pie medical imaging,Maastricht,オランダ)を使用して、心周期の拡張期中に、ヒト冠動脈血管造影図から3D再構成された。プロセスのフロー図が図14(a)に示される。関心領域の境界を定め、撮像手技中にシリコーンモデルを安定させるために、管状拡張部及び固定マーカーは、コンピュータ支援設計ソフトウェア(Rhinoceros 6,Robert McNeel&Associates,Seattle,米国)を使用して、再構成された分岐部の入口及び出口に追加される。全てのモデルについて、ネガティブモールドが設計され、ステレオリソグラフィー(STL)ファイルに変換された。STLファイルは、178μmの解像度でStratasys Dimension Elite 3Dプリンター(Stratasys,Rehovot,イスラエル)を使用して、アクリロニトリルブタジエンスチレン材料で3D印刷された。アセトン蒸気を使用して、滑らかな内面を生成した。金型を室温で8~12時間保存し、蒸留水で洗浄して乾燥させた。ポリジメチルシロキサンをその硬化剤と混合し、次に、合計で1時間30分にわたり真空中に置いて、気泡を除去した。続いて、ポリジメチルシロキサンを乾燥したクリーンな金型に注ぎ、真空中に置いて残っている気泡のいずれも除去し、次に、それをオーブンに入れて、65℃の温度で48時間にわたってポリジメチルシロキサンを硬化させた。硬化後、シリコーンモデルをアセトンビーカーに入れ、超音波洗浄機(Branson 1800,Cleanosonic,Virginia,米国)に8~10時間入れて、全てのアクリロニトリルブタジエンスチレン材料を溶解した。
【0083】
造影強調マイクロコンピュータ断層撮影(μCT)によるイメージング:全ての分岐モデルは、次のパラメーター(画像画素サイズ26.94μm、電圧100kV、電流100μA、及びスライス厚27μm)を使用して、μCT(Skyscanner1172バージョン1.5)で撮像された。内腔の境界を効果的に視覚化するために、ヨウ素化造影剤(37%)を内腔に注入した。分岐は、3D医用画像ソフトウェア(Materialise Mimics22.0,Materialise,Leuven,ベルギー)を使用してμCT画像から3D再構成され、Meshmixer(Autodesk Research,New York,NY)を使用して滑らかにした。
【0084】
侵襲的撮像手技のためのバイオリアクターフロー回路:シリコーンベースの分岐モデルは、カスタムメイドのフローチャンバーに設置された。ポリ塩化ビニルチューブは、シリコーンモデルの入口ポート及び出口ポートに接続された。バイオリアクター回路をフローチャンバーの入口及び出口に接続し、室温で100ml/分の定常流量で1,000mlの脱イオン水を循環させた(図14(b))。全ての分岐モデルは、MV及びSBの両方の血管造影とOCTイメージングで撮像された。
【0085】
分岐中心線の3D再構成のための3D QCA:分岐モデルの3D再構成のためのフローチャートが図15(a)に示され、詳細なステップは、図15(b)及び(c)、ならびに図16に示される。分岐モデルの血管造影では、視野角に少なくとも30°の差がある2つの投影が行われた(図16(b))。各投影では、関心のあるセグメントの内腔が手動で検出され、分岐隆起部が共通の参照位置(例えば、隆起基準)として設定された。分岐モデルの3DレプリカはCAASで作成され、MV及びSBの中心線を抽出するためにVMTK(Orobix,Bergamo,イタリア)にエクスポートされた。各中心線上に、中心線に投影された隆起基準に従って、隆起点を見つけることができる(図16(c))。
【0086】
OCTの獲得及びセグメンテーション:MV及びSBのOCTイメージングは、OPTIS統合システム(Abbott,Chicago,IL,米国)を使用して取得された(図16(a))。OCTカテーテル(Dragonfly,Optis Imaging Catheter)は、6Fガイディングカテーテルを通って前進し、75mmにわたって36mm/秒(5フレーム/mm)の速度で引き戻され(造影剤を用いない生理食塩水によって自発的に起きる)、遠位から近位の固定マーカーへのMV及びSBの全長をカバーした(図14(a))。OCTフレームの内腔セグメンテーションは、echoPlaque4.0(INDEC Medical Systems,LosAltos,CA,米国)を使用して半自動で実行された(図16(b))。
【0087】
分岐内腔再構成のためのOCT処理:分岐内腔再構成の詳細なステップが図16に示される。簡単に説明すると、セグメント化されたOCTフレームはGrasshopper 3D(Rhinoceros 3D内で実行されるビジュアルプログラミング言語及び環境)にインポートされ、カテーテルの中心に沿って直線でパッケージングされた(図16(c))。OCTフレームの不整合はインハウススクリプトで修正された(図16(d)及び(e))。正しく位置合わせされたOCTフレームは、各々の分岐中心線上に垂直に位置付けられ、中心線は全てのフレームの重心を通過した(図16(f))。特に、隆起部のOCTフレームは隆起点(図16(f)の点A)に位置付けられ、残りのフレームは、それらの間の既知の距離に従って、中心線に沿った特定の位置に位置付けられた。次に、フレームを回転させて、隆起基準と位置合わせした(図16(g)の点C)。MV及びSBの一次表面が作成され、Tスプラインの方法を使用して、最終的に均一で滑らかな連続分岐表面を作成するための参照として機能した(図16(h))。
【0088】
追加の詳細は、Wu,W. et al.,「3D Reconstruction of Coronary Artery Bifurcations from Coronary Angiography and Optical Coherence Tomography:Feasibility,Validation,and Reproducibility」,Scientific Reports(2020)で説明されており、本文献は全体として参照によって本明細書に組み込まれる。
【0089】
開示された方法論は、臨床的に重要な用途がいくつかある。3D再構成された分岐は、正確な分岐の解剖学的構造、ならびに冠動脈疾患の程度及び重症度について、処置医に知らせることができる。疾患の負担を深く理解することで、より良い手技の計画及び結果をもたらし得る。さらに、計算及び実験(ベンチ)流体力学研究に3D再構成された分岐内腔自体を使用して、自己冠動脈疾患の発症及び進行、ならびにステント内の再狭窄及び血栓症における流れの役割を調べることができる。開示された方法論は、現実的な計算流体力学研究に必要な正確な幾何学的入力を提供する。開示された技術は、有限要素解析及び患者特有の計算分岐ステント留置シミュレーションの基礎を作成できる。
【0090】
さらに、患者特有の分岐部の解剖学的構造及びプラークの特性、ならびに現実的なステント形状を使用するコンピュータによるステント留置シミュレーションにより、ステント留置法の個別の計画を提供できる。患者特有の分岐部の解剖学的構造は、新世代のステントのテスト及び開発に関する産業にも特に関係がある。最後に、開示された方法論の基本原理は、他の侵襲的画像診断法(例えば、IVUS)、またはさらに、非侵襲的イメージング(例えば、冠動脈CTA)に転用できる。内腔の中心線及び内腔/血管壁の境界を抽出するために利用可能な画像データがある限り、開示された方法論は良好に機能する可能性がある。
【0091】
添付の図面に示される実施形態を参照して当技術を説明してきたが、特許請求の範囲に記載されている技術の範囲から逸脱することなく、同等のものを使用し得、本明細書で置換が行われ得る。本明細書に図示及び説明される構成要素は、本発明の実施形態を実施するために使用され得、本発明の範囲から逸脱することなく、他のデバイス及び構成要素と交換され得るデバイス及び構成要素の例である。さらに、本明細書に提供される寸法、角度、及び/または数値範囲のいずれかは、特許請求の範囲で別段の定めがない限り、非限定的な例として理解するべきである。
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