(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】選択的に開放可能である隔壁弁を有するキャップを有する試料収集キット
(51)【国際特許分類】
G01N 1/10 20060101AFI20240910BHJP
G01N 1/04 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G01N1/10 V
G01N1/04 G
G01N1/04 H
G01N1/04 J
G01N1/10 N
(21)【出願番号】P 2022543369
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(86)【国際出願番号】 US2020052157
(87)【国際公開番号】W WO2021061730
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2023-04-12
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519255458
【氏名又は名称】スペクトラム・ソリューションズ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】SPECTRUM SOLUTIONS L.L.C.
【住所又は居所原語表記】12248 Lone Peak Parkway, #106, Draper, Utah 84020, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,ニール
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0151842(US,A1)
【文献】実開昭63-070954(JP,U)
【文献】特表2011-513754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/10
G01N 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物試料収集システムであって、
試料収集容器であって、閉じている第1の端部と、前記試料収集容器内に画定される試料収集チャンバの中で生物試料を受け取るための開口部を有する第2の端部との間で延びている、試料収集容器と、
前記試料収集容器の前記第2の端部と協働するように構成される密閉キャップと、
前記密閉キャップによって画定される内部空間内で固定されるようにおよび一定量の試料貯蔵溶液を中で保持するように構成される試薬チャンバと、
前記試薬チャンバの近位端と円周方向で協働するようにおよび前記試薬チャンバの前記近位端と前記密閉キャップの内部側壁との間の距離にわたって延びるように構成されるシムと、
試料収集容器の前記開口部の中に嵌め込まれるようにサイズ決定および成形され、前記シムに選択的に係合されて前記一定量の試料貯蔵溶液を前記試薬チャンバ内で保持するための
シール構造を形成するように構成される隔壁を有するプラグと
を備え、
前記密閉キャップを前記試料収集容器と関連付けることにより、前記隔壁が前記シムから変位させられ、それらの間に形成される
前記シール構造が開放され、それにより、前記試薬チャンバと前記試料収集チャンバとの間の流体経路を開
け、
前記試料収集システムが分離可能な2部片の試料収集システムを備え、前記分離可能な2部片の試料収集システムが、(i)前記分離可能な2部片の試料収集システムの第1の部片としての前記試料収集容器と、(ii)前記分離可能な2部片の試料収集システムの第2の部片としてのキャップ組立体と、を有し、前記キャップ組立体が、前記密閉キャップと、前記密閉キャップの前記内部空間内で固定される前記試薬チャンバと、前記試薬チャンバの前記近位端と円周方向で協働し、前記試薬チャンバの前記近位端と前記密閉キャップの前記内部側壁との間の距離にわたって延びている前記シムと、前記シムに係合されて前記一定量の試薬貯蔵溶液を前記試薬チャンバ内で密閉する前記プラグと、を備え、
前記プラグが、加えて、プラグボディを備え、前記プラグボディが、前記試薬チャンバの前記近位端の内部部分の中に挿入されるように構成され、
前記試薬チャンバが、加えて、前記プラグボディに当接されるように、および前記隔壁と前記シムと間の前記シール構造を開放するように、構成される接続要素を備える、
生物試料収集システム。
【請求項2】
前記試料収集容器が接続部材をさらに備え、前記密閉キャップが、前記試料収集容器の前記接続部材と協働するようにならびに、前記試料収集容器および前記密閉キャップを結合するように構成される相補的接続部材を備える、請求項1に記載の生物試料収集システム。
【請求項3】
前記接続部材が、前記試料収集容器から離れる方向に突出する隆起部または前記試料収集容器内にある窪みを備え、前記相補的接続部材が前記接続部材に係合されるようにサイズ決定されて成形されるフックまたは隆起部を備える、請求項2に記載の生物試料収集システム。
【請求項4】
前記接続部材および前記相補的接続部材が相互に噛合うねじ山を備える、請求項2に記載の生物試料収集システム。
【請求項5】
前記試薬チャンバの前記近位端の前記内部部分が、前記プラグボディに係合されるように、および前記プラグボディの外側側壁と前記試薬チャンバの前記近位端の内部側壁との間に空間を形成するように構成される、そこから延在する1つまたは複数の突出部を備える、
請求項1から4までのいずれか一項に記載の生物試料収集システム。
【請求項6】
前記空間が、前記プラグボディの前記外側側壁の周りで、および前記隔壁と前記シムとの間の
前記シール構造が開放されるときには前記隔壁の周りで、前記一定量の試料貯蔵溶液が通過するのを可能にする前記流体経路の一部を含む、
請求項5に記載の生物試料収集システム。
【請求項7】
前記プラグの前記隔壁が、前記試薬チャンバの底部開口部から空間的にオフセットされて前記シムに係合される環状隔壁を備える、
請求項1から6までのいずれか一項に記載の生物試料収集システム。
【請求項8】
前記密閉キャップを前記試料収集容器と関連付けることにより、前記プラグが前記シムに係合されるとき、前記試薬チャンバと前記試料収集チャンバとの間の前記流体経路が前記シムおよび前記環状隔壁によって遮断され、前記プラグが前記シムから係合解除されるとき、前記流体経路が開通する、
請求項7に記載の生物試料収集システム。
【請求項9】
前記試薬チャンバが、前記密閉キャップの前記内部空間内に配置された試薬チャンバ接続部材を用いて前記試薬チャンバを固定するように構成される保持リングを備える、
請求項1から8までのいずれか一項に記載の生物試料収集システム。
【請求項10】
前記試薬チャンバ接続部材が、前記密閉キャップと協働して前記試薬チャンバを保持するようにサイズ決定および成形される側壁突出部を備える、
請求項9に記載の生物試料収集システム。
【請求項11】
前記シムが、加えて、前記密閉キャップのガイドチャネルによって受けられるようにサイズ決定および成形されるガイド部材を備える、
請求項1から10までのいずれか一項に記載の生物試料収集システム。
【請求項12】
前記シムが、前記シムと前記試薬チャンバの前記近位端との間に液密接続を形成するように構成される密閉突出部と、前記密閉キャップを前記試料収集容器に関連付けるとき、前記シムと前記試料収集チャンバの前記開口部との間に液密シールを形成する試料収集チャンバ密閉面とを有する、
請求項1から11までのいずれか一項に記載の生物試料収集システム。
【請求項13】
生物試料を収集および貯蔵するためのキットであって、
試料収集容器であって、閉じている第1の端部と、前記試料収集容器内に画定される試料収集チャンバの中で生物試料を受け取るための開口部を有する第2の端部との間で延びている、試料収集容器と、
前記試料収集容器の前記第2の端部に選択的に係合されるようにおよび使用者からの生物試料の受け取り分を前記試料収集容器の前記試料収集チャンバの中へ案内するように構成される漏斗と、
前記試料収集容器の前記第2の端部に選択的に係合されるように構成される密閉キャップ組立体であって、前記密閉キャップ組立体が、
密閉キャップであって、前記密閉キャップを前記試料収集容器に結合してそれらの間に液密接続を形成するように構成される接続部材を有する、密閉キャップ、
前記密閉キャップによって画定される内部空間内で固定される試薬チャンバ、
前記試薬チャンバの近位端と前記密閉キャップの内部側壁との間の距離にわたって延びておりそれによりそれらの間に液密シールを形成する、前記試薬チャンバの前記近位端に円周方向において関連付けられるシム、ならびに
プラグボディ、および前記プラグボディに関連付けられる隔壁を備えるプラグであって、前記隔壁が、前記試薬チャンバの中で一定量の試料貯蔵溶液を保持するために、試料収集容器の前記開口部の中に嵌め込まれるようにおよび前記シムと
シール構造を形成するようにサイズ決定および成形される、プラグ
を備える、
密閉キャップ組立体と
を備え
、
前記試薬チャンバが、加えて、前記プラグボディに当接されるように、および前記隔壁と前記シムと間の前記シール構造を開放するように、構成される接続要素を備える、
キット。
【請求項14】
前記密閉キャップ組立体が、前記試料収集容器に対しての前記密閉キャップの結合時に閉構成から開構成へと移行するように構成され、前記プラグおよび前記シムが前記開構成に変位させられ、
前記シール構造が開放され、前記プラグの周りでおよび前記試料収集チャンバの中へと前記一定量の試料貯蔵溶液が流れるのを可能にする、
請求項13に記載のキット。
【請求項15】
生物試料収集システムであって、
試料収集容器であって、試料収集チャンバの中で生物試料を受け取るための開口部、および前記試料収集容器の内部側壁上に形成されるリング構造、を有する前記試料収集チャンバを備える、試料収集容器と、
中に保管される試料貯蔵溶液を有する試薬チャンバを備える密閉キャップであって、前記密閉キャップが、前記試料収集容器と協働するように、および前記試料貯蔵溶液を前記試料収集チャンバの中へ計量分配させるように、構成される、密閉キャップと、
前記試料収集容器に対しての前記密閉キャップの協働時に閉構成から開構成へと移行するように構成される、前記密閉キャップに関連付けられる選択的に開放可能である隔壁弁であって、前記選択的に開放可能である隔壁弁が、
前記試薬チャンバの近位端の開口部から空間的にオフセットされる環状隔壁を有する、前記試薬チャンバの前記近位端に関連付けられるプラグ、および
前記試薬チャンバを囲んで前記試薬チャンバに液密的に連結される環状シムであって、前記環状シムによって画定される底部開口部が前記閉構成において前記環状隔壁に係合され、それらの間に
液密シール構造を形成する、環状シム
を備える、選択的に開放可能である隔壁弁と
備え、
前記環状シムと前記環状隔壁との間に形成される
前記液密シール構造が前記閉構成時に試料貯蔵溶液の流体経路を遮断し、
前記試料収集容器に対して前記密閉キャップを関連付けることで、前記環状シムを基準として前記試薬チャンバおよび前記プラグを移動させることにより前記選択的に開放可能である隔壁弁が前記開構成に移行し、それにより前記環状シムと前記環状隔壁との間の
前記液密シール構造が開放され、前記流体経路を開け、前記試料貯蔵溶液を前記試薬チャンバから前記試料収集チャンバの中に計量分配するのを可能に
し、
前記リング構造が、前記試料収集容器を基準とした固定位置で前記環状シムを一時的に保持するように構成され、前記プラグが前記シムを用いて密閉解除および/または再密閉を行うために前記環状シムに対して移動するように動作可能である、
生物試料収集システム。
【請求項16】
前記環状シムが、前記リング構造によって形成される前記試料収集容器の前記内部側壁の内径より大きい外径を有する、
請求項15に記載の生物試料収集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、概して、生物試料を収集および保管するためのバイアル容器および容器に関する。より詳細には、本開示は、研究所または他の生物試料分析施設内での将来の試験のための生物試料の収集および貯蔵のためのシステムおよびキットに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]生物試料の野外での収集(field collection)は、科学者、医者、遺伝学者、疫学者、または類似の職員に非常に貴重な情報を提供し得る。例えば、患者の血液、膿性分泌物、または痰の新鮮な試料にアクセスすることで、医者または疫学者が感染の原因物質を分離または特定するのを支援することができる。同様に、唾液試料は、遺伝子シーケンシング、系統分類(phylotyping)、または他の遺伝子ベースの研究のために必要不可欠な核酸に科学者または遺伝学者がアクセスするのを可能にすることができる。上記の例では、多くの他の状況に加えて、正確な結果の達成を保証するためには新鮮な生物試料を扱って作業を行うことが望ましい。しかし、試験のための組成物(probative composition)(例えば、核酸、タンパク質、化学物質など)の分離には、特殊な機器の使用を必要とすることが多く、管理された研究所の状態により恩恵を受けることが多い。
【0003】
[0003]試料調製のための適切な機器および所望の管理された環境を有する生物試料収集センターまで患者/個人が移動するのを要求することは不都合であり、場合によっては不可能な場合もある。同様に、試料サイズが大きくおよび/または地理的に多様である場合は特に(例えば、国、民族母集団、または地理的領域全体にわたる、数千人の個人の大規模な遺伝子研究で見受けられるような)、職員が患者/個人に直接アクセスすることが困難である可能性がある。さらに、この問題を複雑にすることに、任意の獲得された生物試料を迅速に処理することがしばしば有益であり、高忠実度の試料処理のための適切な特殊の機器または管理された環境にアクセスできないことで野外の職員には限界がある可能性がある。
【0004】
[0004]いくつかの生物試料収集デバイスおよびキットは上記の問題のうちのいくつかの問題に対処している。例えば、いくつかの市販のキットは、生物試料、および、生物試料中の要素を貯蔵する働きをする(一定程度の範囲まで、および一定期間において)、収集した生物試料に加えられ得る貯蔵試薬を受け取るためのバイアル容器を使用者に提供する。しかし、自分で行う収集システムの実装は、しばしば、生物試料を受け取り用の容器の中に入れるのに、未経験のまたは訓練を受けていない個人に依存することになる。これにより、例えば、後での処理のために生物試料を適切に貯蔵するのにしばしば必要とされる技術的な訓練および正確な測定を含む、いくつかの問題が提示される。これらの問題を排除して、後での処理のために受け取った生物試料を貯蔵することができる、初心者である使用者によって容易に実装され得る生物試料収集システムを提供することが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]したがって、生物試料収集・貯蔵システムには、対処され得る、いくつかの不利益が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]本開示の実施形態が、生物試料を収集および貯蔵するためのキット、装置、および方法を用いる当技術分野の上記のまたは他の問題のうちの1つまたは複数の問題を解決する。具体的には、1つまたは複数の実施形態が、閉じている第1の端部と、生物試料収集容器内に画定される試料収集チャンバの中で生物試料を受け取るための開口部を画定する第2の端部との間で延びている試料収集容器を有する生物試料収集システムを有することができる。生物試料収集システムが、加えて、試料収集容器の第2の端部と協働するように構成される密閉キャップと、密閉キャップによって画定される内部空間内で固定されるようにおよび一定量の試料貯蔵溶液を中で保持するように構成される試薬チャンバと、試薬チャンバの近位端と円周方向で協働するようにおよび試薬チャンバの近位端と密閉キャップの内部側壁との間の距離にわたって延びるように構成されるシムと、試料収集容器の開口部の中に嵌め込まれるようにサイズ決定および成形され、シムに選択的に係合されて一定量の試料貯蔵溶液を試薬チャンバ内で保持するためのシールを形成するように構成される隔壁を有するプラグと、を有することができる。密閉キャップを試料収集容器と関連付けることにより、隔壁がシムから変位させられ、それらの間に形成されるシールを破壊し、それにより、試薬チャンバと試料収集チャンバとの間の流体経路を開ける。
【0007】
[0007]一態様で、試料収集容器が接続部材を有し、密閉キャップが、試料収集容器の接続部材と協働するようにおよび試料収集容器および密閉キャップを結合するように構成される相補的接続部材を有する。一態様で、接続部材が、試料収集容器から離れる方向に突出する隆起部または試料収集容器内にある窪みであり、相補的接続部材が接続部材に係合されるようにサイズ決定されて成形されるフックまたは隆起部である。一態様で、接続部材および相補的接続部材が相互に噛合うねじ山(interlocking thread)である。
【0008】
[0008]一態様で、試料収集システムが、分離可能な2部片からなる試料収集システムの形態で提供される。このようなシステムが、(i)分離可能な2部片からなる試料収集システムの第1の部片としての試料収集容器と、(ii)分離可能な2部片からなる試料収集システムの第2の部片としてのキャップ組立体と、を有することができる。キャップ組立体が、密閉キャップと、密閉キャップの内部空間内で固定される試薬チャンバと、試薬チャンバの近位端と円周方向で協働し、試薬チャンバの近位端と密閉キャップの内部側壁との間の距離にわたって延びているシムと、シムに係合されて一定量の試薬貯蔵溶液を試薬チャンバ内で密閉するプラグと、を有する。
【0009】
[0009]一態様で、プラグが、試薬チャンバの近位端の内部部分の中に挿入されるように構成されるプラグボディを有する。試薬チャンバが、プラグボディに当接されるように、および隔壁とシムと間のシールを破壊するように、構成される接続要素を有することができる。一態様で、試薬チャンバの近位端の内部部分が、プラグボディに係合されるようにおよびプラグボディの外側側壁と試薬チャンバの近位端の内部側壁との間に空間を形成するように構成される、そこから延在する1つまたは複数の突出部を有する。一態様で、空間が、プラグボディの外側側壁の周りで、および隔壁とシムとの間のシールが破壊されるときには隔壁の周りで、一定量の試料貯蔵溶液が通過するのを可能にする流体経路の一部である。
【0010】
[0010]一態様で、プラグの隔壁が、試薬チャンバの底部開口部から空間的にオフセットされてシムに係合される環状隔壁である。このような態様では、密閉キャップを試料収集容器と関連付けることにより、プラグがシムに係合されるとき、試薬チャンバと試料収集チャンバとの間の流体経路がシムおよび環状隔壁によって遮断され、プラグがシムから係合解除されるとき、流体経路が開通する。
【0011】
[0011]一態様で、試薬チャンバが、密閉キャップの内部空間内に配置される試薬チャンバ接続部材を用いて試薬チャンバを固定するように構成される保持リングを有する。一態様で、試薬チャンバ接続部材が、密閉キャップと協働して試薬チャンバを保持するようにサイズ決定および成形される側壁突出部を有することができる。
【0012】
[0012]一態様で、シムが、密閉キャップのガイドチャネルによって受けられるようにサイズ決定および成形されるガイド部材を有する。
【0013】
[0013]一態様で、シムが、シムと試薬チャンバの近位端との間に液密接続を形成するように構成される密閉突出部を有し、加えて、密閉キャップを試料収集容器に関連付けるとき、シムと試料収集チャンバの開口部との間に液密シールを形成する試料収集チャンバ密閉面を有する。
【0014】
[0014]1つまたは複数の実施形態で、生物試料収集システムが、試料収集チャンバの中で生物試料を受け取るための開口部と、試料収集容器の内部側壁上に形成されるリング構造と、を備える試料収集チャンバを有する試料収集容器を有することができる。生物試料収集システムが、加えて、中に保管される試料貯蔵溶液を有する試薬チャンバを有する密閉キャップを有する。密閉キャップが、試料収集容器と協働するように、および試料貯蔵溶液を試薬チャンバから試料収集チャンバの中へ計量分配させるように、構成される。生物試料収集システムが、加えて、試料収集容器に対しての密閉キャップの協働時に閉構成から開構成へと移行するように構成される、密閉キャップに関連付けられる選択的に開放可能である隔壁弁を有する。選択的に開放可能である隔壁弁が、試薬チャンバの近位端の開口部から空間的にオフセットされる環状隔壁を有する、試薬チャンバの近位端に関連付けられるプラグを有する。選択的に開放可能である隔壁弁がさらに、試薬チャンバを囲んで試薬チャンバに液密的に連結される環状シムを有する。環状シムによって画定される底部開口部が閉構成において環状隔壁に係合され、それらの間に液密シールを形成する。環状シムと環状隔壁との間に形成される液密シールが閉構成時に試料貯蔵溶液の流体経路を遮断し、試料収集容器に対して密閉キャップを関連付けることで、環状シムを基準として試薬チャンバおよびプラグを移動させることにより選択的に開放可能である隔壁弁が開構成に移行し、それにより環状シムと環状隔壁との間の液密シールを破壊し、流体経路を開け、試料貯蔵溶液を試薬チャンバから試料収集チャンバの中に計量分配するのを可能にする。
【0015】
[0015]一態様で、環状シムが、リング構造によって形成される試料収集容器の内部側壁の内径より大きい外径を有する。
【0016】
[0016]一態様で、リング構造が、試料収集容器を基準とした固定位置で環状シムを一時的に保持するように構成され、プラグがシムを用いて密閉解除および/または再密閉を行うために環状シムに対して移動するように動作可能である。
【0017】
[0017]本開示がさらに、生物試料を収集および貯蔵するためのキットを含む。いくつかの実施形態で、生物試料を収集および貯蔵するためのキットが、(i)閉じている第1の端部と、生物試料収集容器内に画定される試料収集チャンバの中で生物試料を受け取るための開口部を有する第2の端部との間で延びている試料収集容器と、(ii)試料収集容器の第2の端部に選択的に係合されるようにおよび使用者からの生物試料の受け取り分(receipt)を試料収集容器の試料収集チャンバの中へ案内するように構成される漏斗と、(iii)試料収集容器の第2の端部に選択的に係合されるように構成される密閉キャップ組立体と、を有する。密閉キャップ組立体が、密閉キャップを試料収集容器に結合してそれらの間に液密接続を形成するように構成される接続部材を有する密閉キャップと、密閉キャップによって画定される内部空間内で固定される試薬チャンバと、試薬チャンバの近位端と密閉キャップの内部側壁との間の距離にわたって延びておりそれによりそれらの間に液密シールを形成する、試薬チャンバの近位端に円周方向において関連付けられるシムと、プラグボディ、およびプラグボディに関連付けられる隔壁を有するプラグと、を有する。プラグの隔壁が、試薬チャンバの中で一定量の試料貯蔵溶液を保持するために、試料収集容器の開口部の中に嵌め込まれるようにおよびシムとシールを形成するようにサイズ決定および成形される。
【0018】
[0018]一態様で、キットの密閉キャップ組立体が、試料収集容器に対しての密閉キャップの結合時に閉構成から開構成へと移行するように構成され、その結果、プラグおよびシムが開構成に変位させられ、シールを破壊し、プラグの周りでおよび試料収集チャンバの中へと一定量の試料貯蔵溶液が流れるのを可能にする。
【0019】
[0019]したがって、生物試料を収集するためのシステム、方法、およびキットが本明細書で開示される。本概要は、詳細な説明において以下でさらに説明される概念の一選択肢を単純化した形態で紹介するために提供されるものである。本概要は、特許請求される主題の重要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図されず、また、特許請求される主題の範囲を示すものとして使用されることも意図されない。
【0020】
[0020]本開示の追加の特徴および利点が以下の記述に記載され、本記述から部分的に明らかとなるかまたは本開示の実施により理解され得る。本開示の特徴および利点は、添付の特許請求の範囲で具体的に明示される器具および組み合わせにより実現および達成され得る。本開示のこれらのおよび他の特徴が以下の記述および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかとなるかまたは本明細書の以下に記載されるように本開示を実施することにより理解され得る。
【0021】
[0021]本開示の上記に列挙される利点および特徴ならびに他の利点および特徴を達成することができる手法を説明するために、添付図面に示される本開示の特定の実施形態を参照することにより上記に簡単に説明される本開示がより具体的に説明される。これらの図面が本開示の典型的な実施形態のみを描いており、したがって本発明の範囲を限定するものとしてみなされない、ことが認識されよう。添付図面の使用を通して追加の特殊性および細部を用いて本開示を記述および説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】[0022]本開示の1つまたは複数の実施形態による、選択的に開放可能である隔壁弁を受けるように構成されるキャップを有する例示の試料収集システムの3次元モデルを示す分解断面図である。
【
図2】[0023]本開示の1つまたは複数の実施形態による、閉位置にある選択的に開放可能である隔壁弁を用いて構成される試料収集システムからのキャップの一部分を示す断面図であり、キャップが、相補的な試料収集容器の開口部に位置合わせされるが係合されない状態で描かれている。
【
図3】[0024]本開示の1つまたは複数の実施形態による、試料収集容器に固定された状態で描かれているキャップと、開位置にある状態で描かれている選択的に開放可能である隔壁弁とを備える、
図2の断面図を示す図である。
【
図4】[0025]本開示の1つまたは複数の実施形態による、対応する選択的に開放可能である隔壁弁の他の構成要素から分離されて示される、
図2および3の例示の選択的に開放可能である隔壁弁の試薬チャンバ構成要素を示す斜視図である。
【
図5】[0026]
図4の試薬チャンバを示す断面図である。
【
図6】[0027]本開示の1つまたは複数の実施形態による、対応する選択的に開放可能である隔壁弁の他の構成要素から分離されて示される、
図2および3の例示の選択的に開放可能である隔壁弁のプラグ構成要素を示す斜視図である。
【
図7】[0028]
図6のプラグを示す断面図である。
【
図8】[0029]本開示の1つまたは複数の実施形態による、対応する選択的に開放可能である隔壁弁の他の構成要素から分離されて示される、
図2および3の例示の選択的に開放可能である隔壁弁のシム構成要素を示す斜視図である。
【
図9】[0030]
図8のシムを示す断面図である。
【
図10】[0031]開構成にある選択的に開放可能である隔壁弁を示す底面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[0032]本開示の実施形態は、生物試料を収集および貯蔵するためのシステム、キット、および/または方法の技術分野の1つまたは複数の問題に対処する。例えば、病気の原因物質を特定するかまたは特徴付けること(例えば、罹患する個人の治療のため、疫学的な理由のため、など)、あるいは被験者の核酸の遺伝子分析を行うこと(例えば、遺伝子の系統分類、遺伝子発現研究、遺伝子シーケンシングなど)、を含めた、種々の理由のために、生物試料が収集され得、その中身が評価され得る。上記の例の範囲内のものを含めた、多くの例において、結果としてその試験価値を保持するように生物試料の忠実度を維持することが望ましい。しかし、分析のために生物試料を収集および調製することは、従来、熟練した技術者または特殊な専門家にとっても労力を費やすものである。明白な理由からこれは問題のあることであり、これらの明白な理由には、特には被験者が離れた田舎のロケーションに住んでおりしたがって生物試料を適切に収集および貯蔵するためには適切なスキルセットを有する職員によるサービスを必要とするような場合における、生物試料を個別に収集して運搬することに付随する時間およびコストが含まれる。
【0024】
[0033]本開示の実施形態が、上記の問題のうちの1つまたは複数の問題に対処する、試料収集・貯蔵システムおよびキット、ならびのその使用のための方法を提供する。例えば、本明細書で開示されるように、生物試料を収集および貯蔵するためのシステム、キット、および方法を利用することにより、生物試料を収集して最初に貯蔵するときに専門の職員の必要性が排除される。さらに、試料の収集・貯蔵が単純化され、それにより生物試料の収集および貯蔵時に未熟練の使用者であってもエラーを発生させる可能性が低減される。上記の例示の実施例として、本明細書で開示される生物試料収集キットが、少なくとも、2部片からなる試料収集・貯蔵システムを有する。第1の部分が、漏斗に着脱自在に関連付けられ得る試料収集バイアル容器または試料収集容器を含む。使用時、漏斗が、使用者からの生物試料の受け取り分を収集バイアル容器または収集容器の試料収集チャンバの中へ案内するように機能する。漏斗がさらに、使用者が収集バイアル容器に関与して生物試料を試料収集チャンバの中に入れるのを容易にすることができる。必要な量の生物試料を入れた後、使用者が漏斗を取り外すことができ(使用する場合)、2部片からなる試料貯蔵システムの第2の部分(例えば、試薬チャンバに関連付けられる密閉キャップ)を収集バイアル容器に関連付けることができる。試薬チャンバには所定の量の試料貯蔵試薬が予め充填されており、受け取った生物試料を試料収集チャンバ内で密閉するために密閉キャップが下方に引かれるとき、試薬が試薬チャンバから試料収集チャンバの中へ放出され、受け取られた生物試料と混合され、生物試料を貯蔵する。
【0025】
[0034]後でより詳細に説明されるように、試薬チャンバが密閉キャップの中に嵌め込まれ得、その底部にある1つまたは複数の開口部を除くすべての側において液密となることができる。これにより、いくつかの例では、初期状態において試薬チャンバの中にのみ貯蔵流体を配置することが可能となり、その結果、密閉キャップが試料貯蔵試薬を保持しない。有利には、これにより、試薬チャンバと密閉キャップとの間の液密シールの必要性が排除される(例えば、他のシステムでは、密閉キャップが流体を保持し、中間保持チャンバが密閉キャップに当接され、したがって中間保持チャンバと密閉キャップとの間に液密シールを必要とする)。
【0026】
[0035]さらに、試薬チャンバの底部がプラグ要素を受けるように構成され得る。プラグ要素の環状隔壁が開口部を遮断しないように、試薬チャンバの底部の開口部からオフセットされ得る。加えて、試料収集システムが閉構成にあるとき、シムが試薬チャンバおよびプラグ要素の両方の周りで位置決めされ、シムとプラグの環状隔壁との間のおよびシムと試薬チャンバの間のインターフェースのところに液密シールを形成する。このような構成では、試薬チャンバ内の試薬がプラグ要素に入らず、つまり別の言い方をすると、プラグ要素が試薬のためのリザーバを形成しない。代わりに、プラグが閉じている試薬チャンバの境界部の一部を画定する。シムの内部壁がそこから内側に延在する密閉リングを有することができ、密閉リングが試薬チャンバの外部壁にインターフェース接続され、それらの間に液密シールを形成する。有利には、この構造により、シムを通して試薬チャンバを前進させる(例えば、本明細書において後で説明するように、試薬チャンバと試料収集チャンバとの間の流体経路を開けるために)ときでも液密シールを持続させるのを可能にし、液密シールを形成するために試薬チャンバおよび/またはシムを先細にすることの必要性を排除する。
【0027】
[0036]さらに、有利には、プラグの環状隔壁が、シムの内部側壁との液密的な係合を形成するように構成される。一部の例ではシムを通して試薬チャンバおよびプラグを前進させてその結果としてプラグの環状隔壁をシムの内部側壁から係合解除させることにより(環状隔壁がシムを完全に通って試料収集チャンバの中まで延在する)、試薬チャンバと試料収集チャンバとの間の流体経路が開けられる。いくつかの実施形態では、密閉キャップを試料収集チャンバに関連付けることにより(例えば、密閉キャップを試料収集容器の上にねじ込むことにより)試薬チャンバおよびプラグがシムを通って前進させられる。それにより、試薬チャンバ内で予め保管される試薬が流体経路を通して試料収集チャンバの中へ放出され得る。この開構成では、プラグが試料収集チャンバの中まで延在し、加えて流体および試料を振るときの攪拌機として機能することができる。
【0028】
[0037]いくつかの実施形態で、選択的に開放可能である隔壁弁の開口部が可逆である。例えば、密閉キャップを試料収集容器から切り離すことにより、プラグの環状隔壁をシムの中まで後退させてシムに液密的に再係合させることで(シムの密閉リングによりシムと試薬チャンバとの間の液密接続を持続しながら)、選択的に開放可能である隔壁弁を閉じることができる。
【0029】
[0038]上記から認識され得るように、本明細書で提供される代替の実施形態および/または追加の実施形態に加えて、本開示のシステム、キット、および方法が、生物試料を収集して少なくとも初期状態において貯蔵することに関連するエラーの可能性を低減しながら、熟練のまたは未熟練の個人によって使用され得る。したがって、本開示の実装形態は、診断的目的、科学的目的、または他の目的のために生物試料を調達することに付随するコストを低減することができ、必要なインフラストラクチャ(例えば、試料の収集および貯蔵に寄与する管理された環境、生物試料を物理的に収集、運搬、および/または貯蔵するための熟練した職員、など)を確立することの必要なしに、潜在的な試料収集エリアの地理的範囲を拡大することができる。
【0030】
[0039]本明細書で使用される「生物試料」という用語は、診断分析、予後分析、遺伝子分析、または他の科学的分析のために使用され得る、任意の細胞、組織、または分泌液(ホスト関連または病原体関連のいずれでも)を含むことができる。これには、例えば、皮膚などのヒト細胞の試料が含まれ得る。さらに、これには、バクテリア、ウイルス、原虫、真菌類、寄生虫、ならびに/あるいは、他の原核生物または真核生物の共生生物、病原菌、または環境有機体、のうちのいずれかを含む非ヒト細胞の試料が含まれ得る。さらに、生物試料という用語は、血液、尿、唾液、および脳脊髄液などの、流体試料を含むものとして理解され、さらには、例えば、鼻咽頭領域および下気道からの粘液(つまり、痰)を含めた、他の生物試料までその範囲が広げられる。
【0031】
[0040]本明細書で使用される生物試料の「試験のための成分(probative component)」は、生物試料から分離され得る、任意のタンパク質、核酸、表面部分(surface moiety)、または他の複合物を一般に意味する。好適には、試験のための成分は、核酸、より好適にはDNAであるか、あるいは、核酸、より好適にはDNAを含む。好適な実施形態では、生物試料が、使用者の遺伝形質(例えば、DNAおよびRNA)の形態の好適な試験のための成分を含有すると推定される唾液であるかまたは唾液を含む。
【0032】
複数の部品からなる内蔵型の試料収集システム/キット
[0041]一実施形態で、生物試料が、複数の部片からなる内蔵型の試料収集システムまたはキットの一部としての収集容器内で収集、貯蔵、および保管される。システムまたはキットの第1の部片が収集容器を含み、第2の部片が、収集容器とは別途にパッケージングされ得るかまたは収集容器に取り外し可能に接続され得る試料収集漏斗を含み、第3の部片が、プラグおよびシムから構成される選択的に開放可能である隔壁弁を有する密閉キャップ、ならびに、密閉キャップ内に配置されるかまたは密閉キャップに一体化される試薬チャンバを含む。密閉キャップが、選択的に開放可能である隔壁弁を通して収集容器の中に試料貯蔵試薬を計量分配するために、および中身をその中で密閉するために、収集容器と協働するように構成される。
【0033】
[0042]例えば、
図1が、生物試料収集システムまたはキット100を描いてい
る分解図を示す。システム100が、収集容器102と、収集容器102の頂部分に関連付けられて収集容器102の試料収集チャンバ103に流体連通され
て配置され得る任意選択の漏斗(図示せず)とを有する。生物試料収集システム100が、密閉キャップ110内に配置されるかまたは密閉キャップ110に一体化される試薬チャンバ111を有する密閉キャップ110に関連付けられるプラグ106およびシム108から構成される選択的に開放可能である隔壁弁104をさらに有することができる。密閉キャップ110が、選択的に開放可能である隔壁弁104と共に、収集容器102の頂部分と協働するようにサイズ決定および成形され得、試料収集チャンバ103の開口部の上に嵌め込まれて密閉する。
【0034】
[0043]いくつかの実施形態で、試薬チャンバ111内の試薬には、精製または試験前の生物試料の試験のための成分の完全性を保護する貯蔵溶液または緩衝溶液が含まれる。貯蔵試薬は、通常、化学溶液であり、1つまたは複数の塩(例えば、いくつかの実装形態で、当技術分野で知られているように、リン酸塩緩衝溶液として組み合され得る、NaCl、KCl、Na2HPO4、またはKH2PO4など)、溶血試薬(例えば、Triton X-100などの洗浄剤)、キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコール-ビス(β-アミノエチルエーテル)-N、N、N’、N’-四酢酸(EGTA)など)、蒸留水、あるいは当技術分野で知られる他の試薬を含むことができる。1つまたは複数の実施形態で、移送中、運搬中、ならびに/あるいは、研究所、診療所、または他の目的地での保管中、試薬または緩衝溶液が試料中の少なくとも1つの試験のための成分(例えば、DNAおよびRNAなどの核酸、タンパク質、など、ならびにその組み合わせ)を安定させる。いくつかの実施形態で、貯蔵溶液を加えた後、試料が、試験のための成分を有意に損失することなく、数週間または数カ月、室温以下で保管され得る。つまり、試料を収集したことの目的であった、診断的目的、遺伝子学目的、疫学的目的、または他の目的のために、貯蔵溶液中での数週間または数カ月の保管後においても、試料が依然として利用され得る。
【0035】
[0044]継続して
図1を参照すると、密閉キャップ110および唾液漏斗(図示せず)が、各々、接続機構を使用して試料収集容器102に独立して取り付けられ得る。接続機構には、例えば、ねじ山、スナップ嵌合接続またはプレス嵌め接続、溝形継手、バイオネット接続、あるいは他のインターロック機構または機械的結合機構が含まれ得る。例えば、漏斗が、最初に、相補的な接続機構(例えば、相補的なねじ山(図示せず))を介して試料収集容器102に取り付けられ得る。使用者から生物試料を受け取るのを支援した後、相補的な接続機構を逆進させることにより(例えば、漏斗のねじを外す(図示せず))漏斗が取り外され得、
図2に示されるように、同じまたは同様の相補的な接続機構を使用して、密閉キャップ110が収集容器102に固定され得る。つまり、密閉キャップ110が、試料収集容器102の外部表面上に配置される接続部材124(例えば、相補的なねじ山)に対して相補的であってこの接続部材124と共に機能する密閉キャップ110の内側円周壁上に位置する接続部材126(例えば、ねじ山)を有することができる
【0036】
[0045]いくつかの実施形態で、漏斗と収集容器との間の接続機構が、溶液キャップと収集バイアル容器との間の接続機構とは異なる。例えば、漏斗が収集容器上にプレス嵌めまたはスナップ嵌合され得、対して溶液キャップが、収集容器の外部部分および溶液キャップの内部部分に位置するかまたはその逆に位置する相補的なねじ山の係合を介して回転可能に固定され得る。使用される取り付け機構に関係なく、密閉キャップ110が試料収集容器102に取り付けられることの結果として、試料貯蔵流体が試料収集容器102の試料収集チャンバ103の中に導入され得、入れられている生物試料と混合され得る。上で提示したように、これは、選択的に開放可能である隔壁弁104を開けて、試薬チャンバ111およびプラグ106によって画定される流体排出口130
(図3および10に示されている)を通して試料収集チャンバ103の中に試薬を放出するのを可能にすることによるものであってよい。
【0037】
[0046]実施形態で、密閉キャップ110が試薬チャンバ111の中で一定量の試薬を受け取り、
図2の組み立てられた生物試料収集システム100
Aの断面図によって示されるように、選択的に開放可能である隔壁弁104(閉構成にある)が密閉キャップ110に関連付けられ、密閉キャップ110内で試薬を密閉する。試薬チャンバ111が密閉キャップ110内でスナップ嵌合により受けられ、いくつかの例では液密接続を作り出す。示されるように、試薬チャンバ111が、密閉キャップ110の内部側壁の突出部112によって形成される空間内に嵌め込まれる保持リング114を有し、それにより、密閉キャップ110により試薬チャンバ111を安定させることが可能となる。いくつかの実施形態で、試薬チャンバ111の上側カラー109が密閉キャップ110の中まで延在し、締まり嵌めを介して密閉キャップ110と協働する。
【0038】
[0047]
図2に示されるように、試薬チャンバが1つまたは複数の接続要素171を有する。示されるように、接続要素がプラグ106を受けてプラグ106を固定状態で保持し、その結果、プラグが試薬チャンバ111に結合された状態となる(例えば、摩擦嵌合を介する)。
図2の接続要素171(
図4も参照されたい)が、試薬チャンバ111の内部側壁から内側に延在する突出部である。例えば、プラグ106が試薬チャンバ111に結合されるとき、内側突出接続要素171と、プラグの外部側壁と、試薬チャンバ111の内部側壁との間に空間が存在し、それにより流体排出口130を形成する。いつかの例では、プラグ106が、プラグを試薬チャンバ111に結合するための1つまたは複数の対応する接続要素(図示せず)を有する。
【0039】
[0048]
図2によりさらに示されるように、選択的に開放可能である隔壁弁104が、流体排出口130を介して試薬チャンバ111に流体連通される試薬保持チャンバ107を有する。試薬保持チャンバがプラグ106およびシム108によって形成され、ここでは、プラグの環状隔壁161がシム108の内部側壁122に液密的に係合される。試薬チャンバ111が流体排出口130を画定し、試薬が流体排出口130を通して試薬チャンバ111から試料収集チャンバ103まで移送され得る。しかし、
図2では、試薬チャンバ111内で任意の試薬が保持されることになり、これが、選択的に開放可能である隔壁弁104の閉構成によるものである。つまり、
図2に示されるように、流体排出口130が、シム108の内部側壁122に液密的に係合されるプラグ106の環状隔壁161によって形成される試薬保持チャンバ107の中に対して開いている。閉構成では、
図2に示されるように、試薬保持チャンバ107が、試薬チャンバ111と試料収集チャンバ103との間の流体経路を遮断する。
【0040】
[0049]シム108の内部側壁122がアパーチャを画定し、試薬チャンバ111がこのアパーチャの中まで延在しており、シム108の内部側壁122と試薬チャンバ111の外部側壁118との間の相互作用が液密接続を作り出す。例えば、
図2および3に示されるように、シム108の内部側壁122が密閉リング181(例えば、弾性材料から構成される)を有する。密閉リング181がシム108の内部側壁122から内側に延在し、試薬チャンバ111の外部側壁118と相互作用し、内部側壁122と外部側壁118との間に液密シールを形成する。試薬チャンバ111の位置がシム108を基準として変化するときでも、液密シールが持続する。さらに、シム108と試薬チャンバ111との間の液密接続が、試薬保持チャンバ107内の試薬が試料収集チャンバ103の中まで通過するのを防止する。
【0041】
[0050]シムと試薬チャンバとの間に液密シールを形成するための他の構造も本開示の範囲内にあることが認識されよう。例えば、シム108の内部側壁122および試薬チャンバ111の外部側壁118が相補的に先細であってよく、その結果、密閉キャップ110が試料収集容器102に関連付けられるときでも、試薬チャンバ111とシム108との間のインターフェースに沿って液密シールが維持される。
【0042】
[0051]さらに
図2に示されるように、シム108が密閉キャップ110と協働する。シム108のガイド部材120がシム108のボディから離れる方向に突出し、密閉キャップ110の内部表面によって形成されるガイドチャネル116の中まで延在する。ガイド部材120が、いくつかの実施形態で、密閉キャップ110と協働した状態でシム108を保持するように機能する。
【0043】
[0052]さらに、
図3(
および、図2、ここでは、選択的に開放可能である隔壁弁104が閉構成にある)に示されるように、シム108が試料収集チャンバ103の開口部と協働する。シム108が、加えて、試料収集チャンバ103の内部側壁と協働する下側カラー132を有する。いくつかの実施形態で、下側カラー132が締まり嵌めを介して試料収集チャンバ103と協働し、選択的に開放可能である隔壁弁104、密閉キャップ110、および試料収集容器102を安定させるように機能することができる。いくつかの実施形態で、シム108と試料収集チャンバ103との間の締まり嵌めが液密嵌合である。
【0044】
[0053]密閉キャップ110と試料収集容器102との間の相補的なねじ山124、126が相互に係合されて密閉キャップ110が試料収集容器102の方に前進させられると、プラグ106(試薬チャンバ111に結合される)および試薬チャンバ111(密閉キャップ110に結合される)が同様に前進させられる。
図3に示されるように、試薬チャンバ111およびプラグ106がシム108によって画定されるアパーチャを通るように押され、選択的に開放可能である隔壁弁104を開構成で位置決めする。
図3に描かれる開構成では、プラグ106の環状隔壁161がシム108の内部側壁から係合解除され、それにより、試薬保持チャンバ107(
図2に示される)を開け、試薬チャンバ111と試料収集チャンバ103との間の流体経路を開ける。この時点では、試薬チャンバ111内の試薬が、流体排出口130およびこの時点で開いている選択的に開放可能である隔壁弁104を通って試料収集チャンバ103の中まで自由に通過することができる。
【0045】
[0054]
図3に示される実施形態では、シム108の下側カラー132が試料収集チャンバ103の内部側壁に関連付けられた後で密閉キャップ110が試料収集容器102に関連付けられると、シム108が試料収集容器102に対して移動しない。密閉キャップ110、試薬チャンバ111、およびプラグ106が、シム108および試料収集容器102を基準として、前進する。いくつかの実施形態で、下側カラー132の上方のシム108のボディが下側カラー132より大きい直径を有し、この大きい直径を有するボディが試料収集チャンバ103の開口部の中に嵌め込まれない。代わりに、大きい直径を有するボディが、その開口部を画定する試料収集チャンバ103の上側リムに当接されてこの上側リムによって妨害される。これが、試薬チャンバ111および溶液キャップ110と共にシム108が試料収集容器102の方に前進するのを防止する。シム108の進行を妨害する抵抗力がプラグ106とシム108との間の摩擦力より大きく、溶液キャップ110を試料収集容器102に関連付けるために溶液キャップ110に適用されるトルク(または、他の力)が、プラグ106とシム108との間の摩擦力より大きい。したがって、選択的に開放可能である隔壁弁104が配置変化を受け、ここでは、プラグ106がシム108を通って前進し、それにより、流体排出口130が呈される(
図3に示されるように)。
【0046】
[0055]
図2および3に示されるように、溶液キャップ110が試料収集容器102にねじ込み式に固定されると、ガイド部材120がガイドチャネル116に沿って移動する。
【0047】
[0056]いくつかの実施形態で、選択的に開放可能である隔壁弁104を開けるのに必要となる距離が、シム108を越えて試料収集チャンバ103の中までプラグ106の環状隔壁161を前進させる(シムが試料収集チャンバ103の上側リムに接触した後)のに必要となる距離に比例する。この距離は、溶液キャップ110の終端縁部と、試料収集容器102の外部表面上に配置される止め部材128との間の距離に等しいかまたはそれより小さくてよい(それらの接続部材124、126が初期状態において係合されるときにおいて)。
【0048】
[0057]示されるように、プラグ106が試薬チャンバ111に結合されるとき、4つの流体排出口130が形成されるが(例えば、
図10を参照されたい(プラグ106が試薬チャンバ111の4つの内側に突出する接続要素171に当接されるときに4つの流体排出口130が形成される))、いくつかの実施形態で、より多くのまたは少ない流体排出口が存在してもよいことを認識されたい。例えば、試薬チャンバ111の接続要素171の数を増やすかまたは減らすことにより、追加の流体排出口またはより少ない排出口が形成され得る。いくつかの実施形態で、流体排出口130
を分離する接続要素171が異なる形状を有することができ(例えば、単一の内側に突出する細長い弓形要素)、および/または選択的に開放可能である隔壁弁104が
図2および3に示されるものとは異なるかたちで動作することができる。例えば、内側に突出する要素171ではなく、試薬チャンバ111がねじ山を備える接続要素を有することもでき、ここでは、プラグ106がその頂部分(例えば、環状隔壁161とは反対側の部分)の上に対応するねじ山を有し、その結果、プラグ106が試薬チャンバ111に結合されるとき、単一の環状流体排出口130が形成される。
【0049】
[0058]
図2および3を継続して参照すると、いくつかの実施形態で、選択的に開放可能である隔壁弁が選択的におよび可逆的に密閉解除および再密閉される(例えば、選択的に開放可能および閉鎖可能である)。いくつかの例で、シム108の下側カラー132が弾性材料で形成され、さらに、下側カラー132を試料収集チャンバ103の上側リムに関連付けるときの下側カラー132と試料収集チャンバ103との間の摩擦力を、シム108の密閉リング181に沿わせて試薬チャンバ111の外部側壁118を後退させるのに必要となる力(ねじを緩めることなどにより密閉キャップ110を試料収集容器102から切り離すときに作用する力)より大きくすることになるような、直径を有する。したがって、密閉キャップ110が試料収集容器102から切り離されて試薬チャンバ111およびプラグ106が試料収集チャンバ103から後退するとき、シム108が試料収集容器102を基準として静止位置に留まる。いくつかの例で、プラグ106の環状隔壁161がシム108の内部側壁122に再係合され、この間、シム108の下側カラー132が試料収集チャンバ103の上側隆起部に連結された状態を維持する。
【0050】
[0059]それ以降は、いくつかの実施形態で、環状隔壁161と内部側壁122との間の組み合わせの摩擦力および試薬チャンバの外部側壁118と密閉リング181との間の摩擦力が、下側カラー132を試料収集チャンバ103の上側リムから切り離すのに必要となる力より大きい。したがって、プラグ106がシムに再係合されると、選択的に開放可能である隔壁弁104が再密閉され、つまり閉じられ、その結果、流体排出口130と試料収集チャンバとの間の流体経路が遮断される。密閉キャップ110が試料収集容器102から継続して切り離されることにより(例えば、ねじを緩めることなどにより)、シム108がプラグ106および試薬チャンバ111と共に試料収集容器から離れて後退する。
【0051】
[0060]他の実施形態で、選択的に開放可能である隔壁弁104の再密閉のまたは選択的な閉鎖の機能性をもたらすために、戻り止め195がシム108の下側カラー132内に形成される。シム108が試料収集チャンバの上側リムと協働するとき、戻り止め195が試料収集チャンバ(図示せず)の内部側壁上の突出保持リングに機械的に係合され得る。このリングと戻り止めとの係合が、シム108を試料収集容器の中へさらに押すのを防止することができ、試料収集容器から密閉キャップ110が切り離される(例えば、ねじを緩めることなどにより)ときに試料収集チャンバ103を基準としてシム108を定位置で保持することができる。保持リングが、いくつかの実施形態で、プラグ106の環状隔壁161をシム108の内部側壁に再係合させた(それにより、その後でさらに継続してねじを緩めるときにシム108に対してより大きい上向きの力が提供される)後で戻り止め195から係合解除されるように構成され、その結果、その後、シム108がプラグ106および試薬チャンバ111と共に試料収集チャンバから後退することができる。
【0052】
[0061]しかし、選択的に閉鎖可能ではない選択的に開放可能である隔壁弁の実施形態も本開示の範囲内にあることが当業者には認識されよう。
【0053】
[0062]
図4が試料収集システムの例示の試薬チャンバ111の斜視図を示しており、
図5が試料収集システムの例示の試薬チャンバ111の断面図を示している。示されるように、試薬チャンバ111が、密閉キャップ110内で試薬チャンバを安定させるための1つまたは複数の外部突出部191を有する。プラグ(図示せず)のボディが試薬チャンバの近位端内に嵌め込まれるようにサイズ決定および成形され、
図5でおそらくより良好に示されるように、プラグのボディが試薬チャンバ111の内部空間内に形成されるプラットフォームに当接され得る。プラットフォームまたは接続要素が、試料収集容器に対してキャップを密閉するときにシムから離れる方向にプラグを強制的に動かすように機能することができる(それにより、隔壁弁を閉位置から開位置まで移動させる)。示されるように、接続要素171が試薬チャンバの近位端の内部空間の中へ突出する(例えば、その結果、プラグボディが接続要素171の間に形成される空間内で受けられ得る)。試薬チャンバの近位端内のある距離において、接続要素171が内部空間の中へさらに突出することができ、その結果、接続要素171が接触して横方向のプラットフォーム(示されるような)を形成するかまたは試薬チャンバの内部空間の中へプラグボディがさらに入るのを防止する。突出接続要素が接続されて横方向のプラットフォームを形成するような実施形態では、試薬リザーバがプラットフォームの下方で複数のコンパートメントに分割され得る(つまり、接続要素によって分離される)。試薬チャンバの容積が、突出接続要素の数および/または幅ならびに突出接続要素の接続場所(または、接続されるか否か)に基づいて、調整され得る、ことを認識されたい。
【0054】
[0063]
図6が、試料収集システムの選択的に開放可能である隔壁弁104の例示のプラグ106の斜視図を示しており、
図7が試料収集システムの選択的に開放可能である隔壁弁104の例示のプラグ106の断面図を示している。上で説明したように、プラグが、シム108の内部側壁に選択的に係合されるように構成される環状隔壁161を有する。
図6および7に示される実施形態などのいくつかの実施形態で、プラグが試薬リザーバとして機能しないことを認識されたい。つまり、試薬リザーバの方を向くプラグの表面が中実であり、使用中に試料貯蔵溶液(または、試薬リザーバ内で保管される他の試薬)を保持しない。
【0055】
[0064]
図8が試料収集システムの選択的に開放可能である隔壁弁104のシム108の斜視図を示しており、
図9が試料収集システムの選択的に開放可能である隔壁弁104のシム108の断面図を示している。示されるように、シム108が、密閉キャップ110のガイドチャネル116の中まで延在するように構成されるガイド部材120を有する。シム108が、試料収集容器102の頂部分に係合されるための下側カラー132をさらに有する。シム108が、シム108と試薬チャンバ111との間に液密接続を形成するための密閉リングをさらに有する。内部側壁122が、加えて、プラグ106(具体的には、プラグの環状隔壁161)に選択的に係合されるように構成される。
【0056】
[0065]
図10が、試料収集システムの試薬チャンバに結合される選択的に開放可能である隔壁弁のプラグの斜視図を示している。密閉キャップ110が、加えて、複数の外部隆起部125を有することができる。外部隆起部125が、試料収集容器102の上でキャップ110を位置決めする間において使用者が密閉キャップ110をより良好に握持するのを支援することができる。加えてまたは別法として、外部隆起部125が、密閉キャップ110を試料収集容器102上まで回転させて閉じるのに使用され得る。いくつかの実施形態で、隆起部125が、有益には、密閉キャップ110に対して使用者がより強いトルクを加えるのを可能にすることができ、外部隆起部125がこのプロセス中に使用者により良好な握持性を提供することができる。隆起部125がさらに、選択的に開放可能である隔壁弁104を後退させることおよび/閉じること、ならびに研究所において生物試料にアクセスする場合に手動の手法または自動の取り外し機構などにより密閉キャップ110を取り外すこと、を支援することができる。
【0057】
選択的に開放可能である隔壁弁を有する溶液キャップを実装する方法
[0066]継続して
図1~10を参照すると、上述したような、複数の部品からなる試料収集キットを実装するための例示の方法が、試料収集容器に接続される漏斗を通して生物試料を受け取ることを含む。受け取った生物試料が、直接に、または内部漏斗側壁に沿った重力流動により、試料収集容器の中に入ることができる。本方法が、加えて、生物試料の受け取りを支援した後で試料収集容器から漏斗を取り外すことと、密閉キャップを試料収集チャンバに関連付けることとを含むことができる。本方法が、加えて、試料収集容器102の頂部の上で密閉キャップ110を閉じるために密閉キャップを固定すること(例えば、密閉キャップ110と容器102との間の相補的なねじ山に沿わせて密閉キャップ110を回転させることによる)を含むことができる。密閉キャップ110が、密閉キャップ110が回転させられて試料収集容器102の上で閉じられるときに放出される貯蔵試薬を収容することができる。いくつかの実施形態で、密閉キャップ110が回転させられて収集容器102の上で閉じられるとき、密閉キャップ110に関連付けられる選択的に開放可能である隔壁弁104が配置変化を受ける。
【0058】
[0067]
図2および3に示されるように、溶液キャップ110が収集容器102に固定されて収集容器102を密閉し、本明細書で説明されるかまたは当技術分野で知られている任意の手段によってこれらを行うことができる。この閉鎖状態および密閉状態では、選択的に開放可能である隔壁弁104が開構成にあり、試薬が収集した試料と混合される。収集容器102が、貯蔵試薬のすべてまたは少なくとも大部分により、収集した試料を覆うのを可能にするために振られ得る。加えて、中にある生物試料が、有益には、気密および液密であることにより外気から保護される。これにより試料の汚染の可能性が低減され、研究所までの運搬中に試験のための成分の完全性を維持することが支援される。
【0059】
[0068]いくつかの実施形態で、溶液キャップが圧力下にあり、選択的に開放可能である隔壁弁を開位置まで移動させることが、溶液キャップの中に保管される貯蔵試薬が試料収集チャンバの中へ強制的に排出される。これが、有益には、保管される試薬が収集した試料と混合されることを促進することができ、加えて、試薬および/またはその試験のための成分を貯蔵するように機能することができる。
【0060】
[0069]方法が、加えて、試料収集システムから貯蔵試料を取り除くことを含むことができる。これが、例えば、試料収集容器から溶液キャップのねじを外すかまたは他のかたちで取り外すステップを伴うことができる。これを行うとき、シムが試料収集容器によって保持され得、この間、溶液キャップおよび関連付けられた試薬チャンバが試料収集容器から離れる方向に引かれる。これが隔壁弁を再密閉するようにすることができる(例えば、閉構成に戻る)。さらに、試料取集容器から溶液キャップを切り離すことが、再密閉状態で隔壁弁を取り外すことができ、それにより、試料収集容器の開口部を露出し、貯蔵される生物試料にアクセスするのを可能にする。
【0061】
[0070]
図1~3を再び参照すると、試料収集システム100の例示の使用が、選択的に開放可能である隔壁弁104を含むことができる。例えば、関連付けられた隔壁弁104との溶液キャップ110の組み立て中、試薬チャンバ111を密閉キャップ110の中にプレス嵌めする前にまたはその後で、溶液キャップの試薬チャンバ111に一定量の試料貯蔵試薬が充填され得る。
図2および3に示されるように、プラグ106およびシム108が、プラグ106と試薬チャンバとの間に形成される多数の流体排出口130を介して溶液キャップ110の試薬チャンバ111に流体連通される試薬チャンバ107を画定する(プラグが試薬チャンバ111に結合されている)。試薬チャンバ111の上側カラー109が溶液キャップ110の試薬チャンバ111の中まで延在する(溶液キャップ110の試薬チャンバ111との締まり嵌めを実現する)(例えば、試薬チャンバ111の1つまたは複数の外部突出部が密閉キャップ110の内部部分との摩擦嵌合を形成する)。
【0062】
[0071]例示した実施形態では、プラグ106とシム108との組み合わせが選択的に開放可能である隔壁弁204を備え、選択的に開放可能である隔壁弁204が、選択的におよび可逆的に、密閉構成100Aと密閉解除構成100Bとの間で移動させられ得る。密閉構成100Aにおいてシム108がプラグ106および試薬チャンバ111に関連付けられるとき、シム108が密閉キャップ110からの試薬の時期尚早のまたは意図しない排出を防止することができる。
【0063】
[0072]選択的に開放可能である隔壁弁104の組立が、溶液キャップ110に対して試薬チャンバ111を取り付ける前に、その最中に、またはその後で、行われ得る。これが、溶液キャップ110のガイドチャネル116の中で、シム108上の外側を向くガイド部材120が受けられる(例えば、スナップ嵌合により受けられる)まで、溶液キャップ110の中で試薬チャンバ111および関連付けられたプラグ106の上でシム108を前進させることを伴うことができる。シム108が試薬チャンバ111およびプラグ106上で前進させられ、プラグの環状隔壁161とシム108の内部側壁122との間に液密シールが形成され、試薬チャンバ111の外部側壁118と密閉リング181との間に液密接続が形成されると、シム108が初期の密閉構成100Aとなり、それにより、試薬保持チャンバ107を形成し、流体排出口130と試料収集チャンバ103との間の流体経路を遮断する。
【0064】
[0073]溶液キャップ110のガイドチャネル116が、ガイドチャネル116内でのガイド部材120の限定的な並進移動を可能にするようにサイズ決定され得る。これにより、溶液キャップ110が試料収集容器102に固定されたりその固定状態を解除されたり(be unsecured)するときの(例えば、
図2および3に示されるように、溶液キャップ110が試料収集容器102に固定されて選択的に開放可能である隔壁弁104を選択的に密閉解除するときの)、シム108を基準とした試薬チャンバ111およびプラグ106の移動が制限される。溶液キャップ110の内側を向く縁部または突出部がガイドチャネル116の下側端部を画定することができ、ガイドチャネル116内でガイド部材120を保持するように機能することができ、それにより、試料収集容器102から溶液キャップ110を外すときに溶液キャップ110からシム108が分離するのを防止する。
【0065】
[0074]例示の使用で、試料収集容器102が、試料収集容器102の開口部を通して試料収集容器102の中で生物試料を受け取るのに使用される(例えば、試料収集容器102に一時的に取り付けられた任意選択の漏斗を通して唾液を受け取る)。生物試料が試料収集容器102内で受け取られた後、使用者が溶液キャップ110を試料収集容器102の上に配置することができ(隔壁弁104が試料収集容器102の開口部の方を向いている)、隔壁弁104を試料収集容器102の開口部の中まで前進させることができる。隔壁弁104が試料収集容器102の開口部を通るように前進させられるとき、シム108の下側カラー132が試料収集チャンバ103の上側リム内で摩擦嵌合される。シム108と試料収集チャンバ103との間の係合が、試料収集チャンバ103の中へシム108がさらに前進させられるのを防止することができ、さらには、プラグ106の環状隔壁161によりシム108の内部側壁122とのそのシールを再形成するまでは(上述したように)、試料収集チャンバ103からシム108が後退させられるのを防止することができる。
【0066】
[0075]別法として、他の実施形態で、シム108の下側カラー132内に形成された戻り止め195が、試料収集チャンバ103の内部側壁上の突出保持リング(図示せず)に機械的に係合され得る。このリングと戻り止めとの係合が、シム108を試料収集容器102の中へさらに押すのを防止することができるが、いくつかの変形形態で、下側カラー132の上方のシム108のボディが試料収集容器102の上側リムに当接され、それにより、シム108を試料収集容器102の中へさらに押すのを一切防止する。
【0067】
[0076]溶液キャップ110および試料収集容器102の上に位置する相補的な相互に噛合うねじ山を係合させることを含めて、試料収集容器102の方に溶液キャップ110をさらに前進させることにより、シム108を通るように試薬チャンバ111およびプラグ106を強制的に動かすことができ、
図2に示される密閉構成100Aから
図3に示される密閉解除構成100Bまでの隔壁弁104の配置変化に影響を与えることができる。密閉構成100Aから密閉解除構成100Bまで隔壁弁104を移動させることにより、流体排出口130と試料収集チャンバ103との間の流体経路を開通状態にし、試料収集容器102の中まで試薬が流れるのを可能にする。
【0068】
[0077]隔壁弁の上記の密閉解除は一時的であってよく、可逆であってよい。例えば、溶液キャップ110が試料収集容器102から取り外されて生物試料が再び入れられると、隔壁弁104が密閉構成100Aに戻され得、シム108とプラグ106との間のシールを再構築する。試料収集容器102から溶液キャップ110のねじが外されると、いくつかの実施形態で、シム108が試料収集チャンバ内で固定位置で一時的に保持され得、この間、プラグ106および試薬チャンバ111が引き戻され、シム108がプラグ106に再係合され、それにより、流体排出口130と試料収集チャンバ103との間の流体経路が遮断される(例えば、
図3の密閉解除構成100Bから
図2の再密閉構成100Aまで隔壁弁104を移動させる)。試料収集容器202内の保持リングがシム108の下側カラー132上の戻り止め195に機械的に係合されることにより、シム108が固定位置で一時的に保持され得る。リング-戻り止め構造を用いる場合でもまたは用いない場合でも、シム108と試薬チャンバ111との間の摩擦力が、リング-戻り止めの相互作用を係合解除するのに必要となる力より小さくなり得、それによりこれらの相対移動が可能となる。
【0069】
[0078]プラグ106が試料収集チャンバ103を基準として引き戻されてシム108に再係合されると、ガイド部材120がガイドチャネル116の端部に到達することができ、ガイドチャネル116の端部では、溶液キャップ110の内側を向く縁部または突出部によりさらなる移動が妨害される。試料収集システム100が、いくつかの実施形態では、任意の構成要素を壊滅的に破壊することなく、この時点において試料収集容器202から溶液キャップ110および隔壁弁104を取り外すのを可能にするように、設計される。つまり、試料収集システム100が、要約キャップ-隔壁弁の関連付けの完全性を維持しながら試料収集容器202の突出リングからシム108上の戻り止め195を係合解除するのを可能にするように、設計され得る。これは、例えば、リングおよび戻り止め195を係合解除するのに必要となる機械的な力を、ガイドチャネル116からガイド部材120を取り外すのに必要となる力より小さくするように構成要素を工作することにより、可能となり得る。したがって、試料収集容器から溶液キャップ110をさらに引き戻すことがリング-戻り止めの相互作用に打ち勝つことができ、それにより、溶液キャップ110、プラグ106、およびシム108が、単一のユニットとして、試料収集容器102から取り外されることが可能となる(弁104が再密閉構成100Aにある)。
【0070】
[0079]上記の実施形態が、試料収集容器102に関連付けられるリングおよびシム108に関連付けられる戻り止め195を説明するものであるが、いくつかの実施形態で、これらの2つの構成要素の間の取り付け機構が、同じ機能または同様の機構を果たす他の補完的な構成要素に置き換えられ得、つまり交換され得る、ことを認識されたい。例えば、試料収集容器が、シム上に配置されるリング構造と協働する、内部側壁内にある戻り止めを有することができる。
【0071】
[0080]特に定義されない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語は、本開示の関連する当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。
【0072】
[0081]また、本開示の特定の実施形態による、システム、デバイス、製品、キット、方法、および/またはプロセスは、本明細書で開示および/または説明される他の実施形態で説明される特性、特徴(例えば、構成要素、部材、要素、部品、および/または部分)を有することができるか、組み込むことができるか、または他のかたちで含むことができる。したがって、特定の実施形態の種々の特徴は、本開示の他の実施形態に適合することができ、組み合され得、含まれ得、および/または組み込まれ得る。したがって、本開示の特定の実施形態に関連する特定の特徴の開示は、特定の実施形態の上記特徴の適用または包含を限定するものとして解釈されるべきではない。むしろ、他の実施形態も、本開示の範囲から必ずしも逸脱することなく、上記の特徴、部材、要素、部品、および/または部分を含むことができることが認識されよう。
【0073】
[0082]さらに、別の特徴を組み合わせることを必要とするものであるとして特徴が説明されない限り、本明細書のいかなる特徴も、本明細書で開示される同じまたは異なる実施形態の任意の他の特徴に組み合わされ得る。さらに、例示の実施形態の態様を不明瞭するのを回避するために、例示のシステム、方法、および装置などの種々のよく知られている態様は本明細書では特に詳細には説明されない。しかし、これらの態様も本明細書で企図される。
【0074】
[0083]本開示は、本発明の精神または本質的な特徴から逸脱することなく他の特定の形態でも具体化され得る。説明される実施形態は、あらゆる点において、単に例示であるとみなされ、限定的であるとみなされない。したがって、本発明の範囲は、上記の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。本開示の実施形態を示すことを目的として本明細書および添付の開示物(attached disclosure)には特定の実施形態および細部が含まれるが、添付の特許請求の範囲で定義される本開示のまたは本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される方法、製品、デバイス、および装置の種々の変更が行われ得ることが当業者には明らかとなろう。特許請求の範囲と等価の意味および範囲内にあるすべての変更が、特許請求の範囲に包含される。