(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】ベール成形体
(51)【国際特許分類】
C08F 297/04 20060101AFI20240910BHJP
C08L 53/02 20060101ALI20240910BHJP
C08F 212/08 20060101ALI20240910BHJP
C08F 236/06 20060101ALI20240910BHJP
C08F 8/04 20060101ALI20240910BHJP
A43B 13/04 20060101ALI20240910BHJP
B60C 1/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
C08F297/04
C08L53/02
C08F212/08
C08F236/06
C08F8/04
A43B13/04 A
B60C1/00 A
B60C1/00 B
(21)【出願番号】P 2022552114
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(86)【国際出願番号】 JP2021035618
(87)【国際公開番号】W WO2022065509
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2020161660
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】石坂 隆宜
(72)【発明者】
【氏名】荒木 祥文
(72)【発明者】
【氏名】関川 新一
(72)【発明者】
【氏名】角谷 省吾
(72)【発明者】
【氏名】山崎 英樹
(72)【発明者】
【氏名】安本 敦
【審査官】赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-019392(JP,A)
【文献】国際公開第2020/162304(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 297/00
C08F 8/04
C08L 53/02
C08F 212/08
C08F 236/06
B60C 1/00
A43B 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記要件1~6を満たすゴム状ブロック共重合体のベール成形体
であり、
前記ゴム状ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体ブロックの重量平均分子量が1.0万以上であり、
前記ゴム状ブロック共重合体のベール成形体において、残溶剤含有量が230~890ppmであり、水分含有量が0.05~1.5質量%以下である、ベール成形体;
要件1:ビニル芳香族単量体単位の含有量が9質量%以上50質量%以下であること、
要件2:ビニル芳香族単量体ブロックの割合が3質量%以上30質量%未満であること、
要件3:ヨウ素価が3~250であること、
要件4:エチレン構造の割合が3質量%以上であること、
要件5:重量平均分子量が8万~100万の範囲であること、
要件6:分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックI又は下記ブロックIIであること、
ブロックI:エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造を含むブロック、
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造を含むブロック。
【請求項2】
前記ゴム状ブロック共重合体中のα-オレフィン構造の含有量が10質量%以上である、請求項1に記載のベール成形体。
【請求項3】
前記ゴム状ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体ブロックの数が一つである、請求項1又は2に記載のベール成形体。
【請求項4】
前記ゴム状ブロック共重合体が窒素原子を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のベール成形体。
【請求項5】
前記ゴム状ブロック共重合体において、カラム吸着GPC法で測定される変性率が、40質量%以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載のベール成形体。
【請求項6】
前記ゴム状ブロック共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)曲線において、ピークの数が一つである、請求項1~5のいずれか一項に記載のベール成形体。
【請求項7】
前記ゴム状ブロック共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)曲線において、ピークの数を二つ以上有しており、分子量が最も小さいピークのピーク面積が全ピーク面積に対して5%以上95%未満である、請求項1~5のいずれか一項に記載のベール成形体。
【請求項8】
前記ゴム状ブロック共重合体のα-オレフィン構造の含有量が40質量%以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載のベール成形体。
【請求項9】
前記ゴム状ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体ブロックの割合と、ビニル芳香族単量体単位の含有量との比(ビニル芳香族単量体ブロックの割合/ビニル芳香族単量体単位の含有量)が0.28~1.00である、請求項1~8のいずれか一項に記載のベール成形体。
【請求項10】
有機リチウム化合物を重合開始剤として用いて、少なくともビニル芳香族単量体と共役ジエン単量体とを重合してゴム状ブロック共重体を得る工程と、
前記ゴム状ブロック共重合体に水素添加してゴム状ブロック共重合体の水添体を得る工程と、
前記ゴム状ブロック共重合体の水添体を成形してベール成形体を得る工程と、を有する、請求項1~
9のいずれか一項に記載のベール成形体の製造方法。
【請求項11】
ビニル芳香族単量体と共役ジエン単量体との共重合後、又は共役ジエン単量体の重合後に、ビニル芳香族単量体を添加する工程を有する、請求項
10に記載のベール成形体の製造方法。
【請求項12】
前記ゴム状ブロック共重体を、カップリング剤によりカップリングする工程を有する、請求項
10又は
11に記載のベール成形体の製造方法。
【請求項13】
請求項1~
9のいずれか一項に記載のゴム状ブロック共重合体のベール成形体を含むゴム成分と、前記ゴム成分100質量部に対して、0.1質量部以上、20質量部以下の架橋剤を混練りする工程を有する、ゴム組成物の製造方法。
【請求項14】
前記架橋剤が、有機過酸化物、アゾ化合物及び硫黄化合物からなる群より選択される少なくとも一つである、請求項
13に記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項15】
前記架橋剤を混練りする工程において充填剤を混練りする、請求項
13又は
14に記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項16】
前記ゴム成分が、ゴム状ブロック共重合体以外の他のゴム成分を含む、請求項
13~
15のいずれか一項に記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項17】
他のゴム成分が、ポリブタジエンゴム、天然ゴム及びエチレン酢酸ビニル共重合体からなる群より選択される少なくとも一つである、請求項
16に記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項18】
請求項
13~
17のいずれか一項に記載の方法によって得られたゴム組成物を成形する工程を有する、靴用ソールの製造方法。
【請求項19】
請求項
13~
17のいずれか一項に記載の方法によって得られたゴム組成物を成形する工程を有する、タイヤ用トレッドの製造方法。
【請求項20】
請求項
13~
17のいずれか一項に記載の方法によって得られたゴム組成物を成形する工程を有する、タイヤ用サイドウォールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベール成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タイヤトレッド、靴用ソール、シート、フィルム及びアスファルト改質用のゴム分野において、機械強度を高める目的で、エチレン構造を有し架橋可能な不飽和基を導入したゴム状重合体を含む成形体を原料に用いたゴム組成物が提案されている(例えば、特許文献1~4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-270314号公報
【文献】国際公開第2019/151126号公報
【文献】国際公開第2019/151127号公報
【文献】国際公開第2019/078083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、エチレン構造を有し架橋可能な不飽和基を含有するゴム状重合体を含む成形体を原料に用いたゴム組成物は、タイヤや靴のアウトソールとして利用するにはゴム組成物の剛性が低かったり、耐摩耗性が低かったり、する傾向が見られる。また、ゴム状ブロック共重合体の水添体をタイヤ原料として使用する例も見られるが、ゴム状ブロック共重合体の水添体を他のタイヤ材料と混練りする際に、混練条件が精緻に設定されていないと、べたついたり、混練り不良を起こしたりする傾向が見られる。本発明者らの検討によると、これはゴム状ブロック共重合体が通常はペレット状に成形されているために、他のベール状の材料とは溶融条件が異なっていることに一因があると想定されるものの、ポリマー(ゴム状ブロック共重合体)の構造が同じまま、ペレット状からベール状に成形して形状を変更しようとしても、器壁等にくっ付いたりして上手く成形できない傾向がある。
【0005】
そこで、本発明においては、他の材料(例えば、ベール状の材料)と混練りしやすいゴム状ブロック共重合体のベール成形体であって、他の材料と混合してゴム組成物とした場合に剛性及び耐摩耗性に優れるゴム状ブロック共重合体のベール成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上述した従来技術の課題を解決するために、鋭意研究検討した結果、成形体に用いるゴム状ブロック共重合体を、特定の構造及び特定の分子量にすることで、該ゴム状ブロック共重合体は、ベール成形体に成形し易くなるとともに、該ゴム状ブロック共重合体のベール成形体は、他の材料(例えば、ベール状の材料)と混練りしやすくなり、該ゴム状ブロック共重合体のベール成形体と他の材料との混練により得られるゴム組成物は、剛性及び耐摩耗性が良好となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち本発明は以下の通りである。
[1]
下記要件1~6を満たすゴム状ブロック共重合体のベール成形体;
要件1:ビニル芳香族単量体単位の含有量が9質量%以上50質量%以下であること、
要件2:ビニル芳香族単量体ブロックの割合が3質量%以上30質量%未満であること、
要件3:ヨウ素価が3~250であること、
要件4:エチレン構造の割合が3質量%以上であること、
要件5:重量平均分子量が8万~100万の範囲であること、
要件6:分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックI又は下記ブロックIIであること、
ブロックI:エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造を含むブロック、
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造を含むブロック。
[2]
前記ゴム状ブロック共重合体中のα-オレフィン構造の含有量が10質量%以上である、[1]に記載のベール成形体。
[3]
前記ゴム状ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体ブロックの数が一つである、[1]又は[2]に記載のベール成形体。
[4]
前記ゴム状ブロック共重合体が窒素原子を含有する、[1]~[3]のいずれかに記載のベール成形体。
[5]
前記ゴム状ブロック共重合体において、カラム吸着GPC法で測定される変性率が、40質量%以上である、[1]~[4]のいずれかに記載のベール成形体。
[6]
前記ゴム状ブロック共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)曲線において、ピークの数が一つである、[1]~[5]のいずれかに記載のベール成形体。
[7]
前記ゴム状ブロック共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)曲線において、ピークの数を二つ以上有しており、分子量が最も小さいピークのピーク面積が全ピーク面積に対して5%以上95%未満である、[1]~[5]のいずれかに記載のベール成形体。
[8]
前記ゴム状ブロック共重合体のα-オレフィン構造の含有量が40質量%以下である、[1]~[7]のいずれかに記載のベール成形体。
[9]
前記ゴム状ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体ブロックの割合と、ビニル芳香族単量体単位の含有量との比(ビニル芳香族単量体ブロックの割合/ビニル芳香族単量体単位の含有量)が0.28~1.00である、[1]~[8]のいずれかに記載のベール成形体。
[10]
前記ゴム状ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体ブロックの重量平均分子量が1.0万以上である、[1]~[9]のいずれかに記載のベール成形体。
[11]
前記ゴム状ブロック共重合体のベール成形体において、残溶剤含有量が5000ppm以下であり、水分含有量が0.05~1.5質量%以下である、[1]~[10]のいずれかに記載のゴム状ブロック共重合体のベール成形体。
[12]
有機リチウム化合物を重合開始剤として用いて、少なくともビニル芳香族単量体と共役ジエン単量体とを重合してゴム状ブロック共重体を得る工程と、
前記ゴム状ブロック共重合体に水素添加してゴム状ブロック共重合体の水添体を得る工程と、
前記ゴム状ブロック共重合体の水添体を成形してベール成形体を得る工程と、を有する、[1]~[11]のいずれかに記載のベール成形体の製造方法。
[13]
ビニル芳香族単量体と共役ジエン単量体との共重合後、又は共役ジエン単量体の重合後に、ビニル芳香族単量体を添加する工程を有する、[12]に記載のベール成形体の製造方法。
[14]
前記ゴム状ブロック共重体を、カップリング剤によりカップリングする工程を有する、[12]又は[13]に記載のベール成形体の製造方法。
[15]
[1]~[11]のいずれかに記載のゴム状ブロック共重合体のベール成形体を含むゴム成分と、前記ゴム成分100質量部に対して、0.1質量部以上、20質量部以下の架橋剤を混練りする工程を有する、ゴム組成物の製造方法。
[16]
前記架橋剤が、有機過酸化物、アゾ化合物及び硫黄化合物からなる群より選択される少なくとも一つである、[15]に記載のゴム組成物の製造方法。
[17]
前記架橋剤を混練りする工程において充填剤を混練りする、[15]又は[16]に記載のゴム組成物の製造方法。
[18]
前記ゴム成分が、ゴム状ブロック共重合体以外の他のゴム成分を含む、[15]~[17]のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
[19]
他のゴム成分が、ポリブタジエンゴム、天然ゴム及びエチレン酢酸ビニル共重合体からなる群より選択される少なくとも一つである、[18]に記載のゴム組成物の製造方法。
[20]
[15]~[19]のいずれかに記載の方法によって得られたゴム組成物を成形する工程を有する、靴用ソールの製造方法。
[21]
[15]~[19]のいずれかに記載の方法によって得られたゴム組成物を成形する工程を有する、タイヤ用トレッドの製造方法。
[22]
[15]~[19]のいずれかに記載の方法によって得られたゴム組成物を成形する工程を有する、タイヤ用サイドウォールの製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、他の材料(例えば、ベール状の材料)と混練りしやすく、他の材料との混練により得られるゴム組成物の剛性及び耐摩耗性に優れるゴム状ブロック共重合体のベール成形体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
【0010】
なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施することができる。
【0011】
〔ベール成形体〕
本実施形態のベール成形体は、下記要件1~6を満たすゴム状ブロック共重合体のベール成形体である。
要件1:ビニル芳香族単量体単位の含有量が9質量%以上50質量%以下であること。
要件2:ビニル芳香族単量体ブロックの割合が3質量%以上30質量%未満であること。
要件3:ヨウ素価が3~250であること。
要件4:エチレン構造の割合が3質量%以上であること。
要件5:重量平均分子量が8万~100万の範囲であること。
要件6:分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックI又は下記ブロックIIであること。
ブロックI:エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造を含むブロック。
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造を含むブロック。
【0012】
本実施形態のベール成形体は、上記要件1~6を満たすゴム状ブロック共重合体のベール成形体であることにより、他の材料(例えば、ベール状の材料)と混練りしやすく、他の材料との混練により得られるゴム組成物の剛性及び耐摩耗性に優れる。
【0013】
[ゴム状ブロック共重合体]
本実施形態のベール成形体に用いるゴム状ブロック共重合体は、ヨウ素価が3~250であり、エチレン構造の割合が3質量%以上であり、ビニル芳香族単量体単位の含有量が9質量%以上50質量%以下であり、ビニル芳香族単量体ブロックの割合が3質量%以上30質量%未満であり、重量平均分子量が8万~100万の範囲であり、分子末端の少なくとも一つのブロックが上記ブロックI又は上記ブロックIIである。本実施形態において、「ゴム状ブロック共重合体のベール成形体」とは、例えば、ゴム状ブロック共重合体を重合後、プロセスオイル等の成分を加えてゴム工業で汎用されるベール状にした成形体で、基本的にゴム状ブロック共重合体からなっているが、水分や残留溶媒などの不可避的に含まれる成分や、オイル、樹脂などゴム状ブロック共重合体の性能に影響しない範囲で添加される成分を含む態様を含む概念である。
【0014】
(ヨウ素価)
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体のヨウ素価は3~250である。本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体のヨウ素価は、例えば、架橋用ゴム組成物として使用する場合の共架橋性や、タイヤにした時の柔軟性の点で、3以上であり、10以上が好ましく、15以上がより好ましく、30以上がより好ましく、50以上がさらに好ましい。一方、本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体のヨウ素価は、例えば、タイヤとして使用する場合の機械強度や耐摩耗性の点で、250以下であり、200以下が好ましく、150以下がより好ましく、100以下がさらに好ましく、70以下が特に好ましい。
【0015】
本実施形態において、ヨウ素価は、「JIS K 0070:1992」に記載の方法に準じて測定することができる。ヨウ素価は、対象となる物質100gと反応するハロゲンの量をヨウ素のグラム数に換算して表す値であるので、ヨウ素価の単位は「g/100g」である。
【0016】
ヨウ素価が3~250であるゴム状ブロック共重合体は、二重結合を有しており、後述するゴム状ブロック共重合体の製造方法において、共役ジエン単量体の含有量や水素添加率を適宜調整することにより得ることができる。具体的には、例えば、共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体とを共重合した場合は、共役ジエン単量体の含有量が低い方がヨウ素価は低くなり、また、共役ジエン単量体を水素添加する場合は、水素添加率が高い方が、ヨウ素価は低くなる。
【0017】
(エチレン構造)
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体は、エチレン構造の割合が3質量%以上である。本明細書中、「エチレン構造」とは、エチレンを原料として重合した場合に形成するポリエチレン状の形状を言い、実際にエチレンを原料として重合することを要しない。例えば共役ジエンとしてブタジエンを重合した場合、ブタジエンが1,4-結合した部分が水素添加されると「エチレン構造」となる。本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体において、エチレン構造の割合が3質量%以上であると、ゴム状ブロック共重合体を含んだゴム組成物を加硫物とした際の引張強度が低くなりにくい。同様の観点から、本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体において、好ましくはエチレン構造の割合が5質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、さらにより好ましくは35質量%以上である。また、本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体において、エチレン構造の割合は好ましくは90質量%以下であり、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらにより好ましい。本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体において、エチレン構造の割合が前記上限値以下であるとゴム弾性が良好となる。
【0018】
(ゴム組成物)
本実施形態において、「ゴム組成物」とは、ゴム状ブロック共重合体を含有し、他のゴム成分や樹脂、シリカ、カーボン等の充填剤を含有してもよい組成物であって、組成物全体としてゴム弾性を示す組成物である。
【0019】
(ビニル芳香族単量体ブロック)
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体ブロックの割合が3質量%以上30質量%未満である。本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体において、ビニル芳香族単量体ブロックの割合が3質量%以上であると、ゴム状ブロック共重合体のベール成形体としたした際の耐コールドフロー性に優れ、ゴム状ブロック共重合体を含んだゴム組成物を加硫物とした際の剛性が優れる。ビニル芳香族単量体ブロック以外のポリマー部分は、エチレン構造の含有量やビニル芳香族の含有量を満たす限り特に限定されないが、「ゴム状」の性質を示すためには、エチレン構造の含有量が3質量%以上70質量%以下であることが好ましく、ビニル芳香族単位の含有量が、9質量%以上50質量%であることが好ましい。
【0020】
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体において、ビニル芳香族単量体ブロックの割合は、ゴム組成物とした際に、低い圧縮永久歪の点で、5質量%を超えることが好ましく、10質量%以上がより好ましく、13質量%以上がさらに好ましく、15質量%以上がさらにより好ましい。
【0021】
一方、本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体において、ビニル芳香族単量体ブロックの割合が30質量%未満であると、ゴム組成物した際の柔軟性や加工性が良好になる傾向にある。同様の観点から、本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体において、ビニル芳香族単量体ブロックの割合は、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、17質量%以下が特に好ましい。
【0022】
(ビニル芳香族単量体ブロックの重量平均分子量)
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体ブロックの重量平均分子量は、ゴム組成物の高い機械強度の点で、分子量は、0.1万以上が好ましく、0.2万以上がより好ましく、0.3万以上がさらに好ましく、0.5万以上がさらに好ましく、1.0万以上がさらにより好ましい。一方、本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体ブロックの重量平均分子量は、ゴム状ブロック共重合体の成形性の観点で、4万以下が好ましく、3万以下がより好ましく、2万以下がさらに好ましい。
【0023】
なお、本実施形態において、ビニル芳香族単量体ブロックとは、ビニル芳香族単量体単位が8個以上連鎖しているブロックをいう。
【0024】
また、ビニル芳香族単量体ブロックの含有量は、共重合体がブタジエン-スチレン共重合体の場合、Kolthoffの方法(I.M.KOLTHOFF,et al.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)により重合体を分解し、メタノールに不溶なポリスチレン量を分析することで算出するができる。その他の方法として、国際公開第2014-133097号公報に記載されているように、NMRを用いてスチレン単位の連鎖を測定すること等の公知の方法で測定できる。なお、本実施形態において、ビニル芳香族単量体ブロックの含有量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0025】
(ビニル芳香族単量体ブロックの数)
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体は、少なくとも一つのビニル芳香族単量体ブロックを有している。ビニル芳香族単量体ブロックを有している場合、ビニル芳香族単量体単位の含有量が同じであっても、ビニル芳香族単量体ブロックを有していないゴム状ブロック共重合体と比べ耐コールドフロー性が良好で、ゴム状ブロック共重合体を含んだゴム組成物を加硫物とした際の剛性にも優れる。
【0026】
ただし、ビニル芳香族単量体ブロックを二つ以上有する場合、熱可塑性を有しやすくなり、本実施形態のゴム状ブロック共重合体をベール成形する際にべたつきなり易くなる傾向にある。そのため、ベール成形性を良好にすることを重視する場合や、他の材料(例えば、ベール状の材料)と混練りする際に、ゴム弾性による混練り不良を防ぐ観点からは、ゴム状ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体ブロックの数は1つであることが好ましい。
【0027】
また、ビニル芳香族単量体ブロックの重量平均分子量は、上記のメタノールに不溶なポリスチレンを後述する実施例に記載したGPCを用いた方法で求めることができる。
【0028】
[ゴム状ブロック共重合体のブロック構造]
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体のブロック構造は、ベール成形性の観点から、例えば、下記の一般式で表される構造を有するものが好ましい。
【0029】
(a-b)n
(b-a-b)n
a-(a-b)n
b-(a-b)n
b-(a-b)n-X
[(b-a)k]m-X
[(b-a)k-b]m-X
【0030】
また、本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体のブロック構造は、ゴム状ブロック共重合体の生産性の観点から、一般式(a-b)n、(b-a-b)n、[(b-a)k]m-X、[(b-a)k-b]m-Xで表される構造がより好ましく、(a-b)n、[(b-a)k]m-Xで表される構造がより好ましい。
【0031】
なお、上記各一般式において、aは芳香族ビニル単量体ブロック、bはエチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック、あるいは、ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であってビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロックを示す。
【0032】
本明細書中、「共役ジエン構造」とは、共役ジエンを単量体として重合した場合のように、生成した重合体中に二重結合が残っている構造を言う。例えば、ブタジエンを重合し、1,4-結合した部分は、二重結合を有する重合体鎖になり、「共役ジエン構造」に相当する。他方、前述のとおり、共役ジエンを原料としても、水素添加反応した部分は二重結合が無くなるので、エチレン構造となり、共役ジエン構造には該当しない。
【0033】
本明細書中、「α-オレフィン構造」とは、α-オレフィンを単量体として重合した場合のように、オレフィン部分が重合体鎖を形成し、単量体中のオレフィン以外の部分が重合体鎖から枝分かれした構造を言う。例えば、ブタジエンを重合し、1,2-結合した部分にはビニル結合が生成するが、それに水素添加反応すると、α-オレフィン構造になる。
【0034】
n及びkは1以上の整数であり、好ましくは1~5の整数である。
mは2以上の整数であり、好ましくは2~11の整数である。
Xはカップリング剤の残基又は多官能開始剤の残基を示す。
また、前記一般式[(b-a)k]m-Xにおいて、重合体ブロックaは、カップリング剤の残基又は多官能開始剤の残基Xのみを介して結合しているので、ビニル芳香族単量体ブロックの数は一つであるとみなす。
【0035】
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体において、芳香族ビニル単量体ブロック(上記各一般式におけるaで表されるブロック、以下、「重合体ブロック(a)」とも記す)及びそれ以外のブロック(上記各一般式におけるbで表されるブロック、以下、「重合体ブロック(b)」とも記す)が、それぞれ複数存在している場合、それらの分子量や組成等の構造は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0036】
また、各ブロックの境界は、必ずしも明瞭に区別される必要はない。
【0037】
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体において、分子末端の少なくとも一つのブロックは、重合体ブロック(b)、すなわち、下記ブロックI又は下記ブロックIIである。
ブロックI:エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック、
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック。
【0038】
(ブロックIIの構造)
前記ブロックIIのミクロ構造(ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造)は、特に限定されるものではなく、均一に分布(ランダム状)していても、テーパー状、階段状、凸状、凹状に分布していてもよいが、重合効率の観点から、ランダム状又はテーパー状であることが好ましい。本明細書中、「テーパー状」又は「テーパー構造」とは、ブロック中でビニル芳香族単量体単位の存在する割合が徐々に大きく又は小さくなっている状態を示す。エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造の分布は「テーパー構造」の認定には関係しない。典型的には、共役ジエンよりもビニル芳香族は重合速度が遅いので、重合速度の調整剤を添加しないか少なくして共重合させると、共役ジエンの方が高い比率で先に消費され、ビニル芳香族が残る割合が高くなるために、重合後半に形成するブロックにビニル芳香族の存在比率が徐々に高くなってテーパー状になり易い。
【0039】
ブロックIIのミクロ構造がランダム状である場合、ゴム組成物とした際の発熱性指標tanδ=G’’/G’=損失弾性率/貯蔵弾性率がシャープとなり、高温でのtanδの値が低い、すなわち低発熱で、タイヤ用部材に用いた際に省燃費性に優れたものとなると推測される。
【0040】
ブロックIIのミクロ構造をランダム状とするには、特に限定されないが、例えば、重合時に極性物質を添加する方法、単量体を連続的に重合器に供給する方法等が挙げられる。
【0041】
一方、ブロックIIのミクロ構造がテーパー状である場合、ゴム組成物とした際の発熱性指標tanδ=G’’/G’=損失弾性率/貯蔵弾性率がブロードとなり、タイヤ用部材に用いた際にウェットグリップ性能やウィンター性能に優れたものとなると推測される。
【0042】
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体において、分子末端の少なくとも一つのブロックが、重合体ブロック(b)であると、分子量が低い場合にはゴム状ブロック共重合体が流れ難くベール成形時に、べたつきや付着を抑制することができ、一方、分子量が高い場合でもベール成形温度で、ゴム状ブロック共重合体が溶融し、ベール成形が容易になる傾向がある。
【0043】
また、必要に応じて、重合体ブロック(a)及び(b)以外の重合体ブロックを、ゴム状ブロック共重合体中に、40質量%以下含有してもよい。但し、タイヤや靴用ソールに用いた際の破壊強度やウェットスキッド抵抗性、耐摩耗性のバランスの観点で、重合体ブロック(a)及び(b)以外の重合体ブロックの含有量は、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
【0044】
単量体を重合後にカップリング剤を添加する場合には、カップリング剤の反応率を高めるため、重合体ブロック(b)の末端にカップリング剤を反応させることが好ましい。
【0045】
カップリング反応工程で用いられるカップリング剤は、2官能以上の反応性化合物であればいかなる構造のものでもよいが、好ましくは、珪素原子を有する2官能以上の反応性化合物が好ましい。
【0046】
カップリング剤に珪素原子を有する反応性化合物を用いることにより、本実施形態に用いる共役ジエン系重合体は、珪素原子を有するものとなる。
【0047】
重合体ブロック(a)及び(b)中のミクロ構造(ビニル芳香族化合物、共役ジエン中のシス、トランス及びビニル構造、エチレン構造及びα-オレフィン構造等の分布等)は、特に限定されるものではなく、均一に分布していても、テーパー状、階段状、凸状、凹状に分布していてもよい。また、分布形式が、それぞれ複数個共存していてもよい。
【0048】
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体が、少なくとも共役ジエン単量体を重合又は共役ジエン単量体と必要に応じて他の単量体とを共重合した後に重合体中の二重結合の一部又は大部分を水素化(水素添加)して得られる場合は、分子間や重合体ブロック間の水素添加率の分布は、特に限定されず、均一でも、不均一でも、分布があってもよい。
【0049】
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体中の重合体ブロック(b)は、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック、あるいは、ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であってビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロックであるが、ゴム組成物とした際の機械強度の観点からエチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロックであることが好ましい。
【0050】
重合体ブロック(b)がビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロックである場合、重合体ブロック(b)中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、ゴム組成物とした際のウェットスキッド抵抗性や引裂き強度の観点で、5質量%以上が好ましく、8質量%以上がより好ましく、12質量%以上がさらに好ましい。一方、重合体ブロック(b)中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、柔軟性や引張伸びの観点で、50質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。
【0051】
重合体ブロック(b)中のエチレン構造の含有量は、ゴム組成物の耐摩耗性の観点で、3質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。一方で、重合体ブロック(b)中のエチレン構造の含有量は、ゴム組成物とした際の柔軟性や耐圧縮永久歪みの観点で、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましく、40質量%以下が特に好ましい。
【0052】
重合体ブロック(b)中のα-オレフィン構造の含有量は、ゴム組成物とした際のウェットスキッド抵抗性の観点で、10質量%以上が好ましく、12質量%以上がより好ましく、質量15%以上がさらに好ましい。一方で、重合体ブロック(b)中のα-オレフィン構造の含有量は、引張強度の観点で、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。
【0053】
重合体ブロック(b)中の1.2-ブタジエン等のその他の単量体は、耐熱老化性や機械強度や柔軟性のバランスの観点から、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。
【0054】
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体中の重合体ブロック(b)の含有量は、ゴム状ブロック共重合体を含んだゴム組成物を加硫物とした際の引張エネルギーや耐摩耗性の観点で、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上が特に好ましい。一方で、本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体中の重合体ブロック(b)の含有量は、ゴム組成物した際の剛性の観点で、96質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下がさらに好ましい。
【0055】
また、本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体中の重合体ブロック(b)は、主鎖分岐構造を有していてもよい。主鎖分岐構造は、アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分における分岐点で2分岐点以上であり、3分岐点以上であることが好ましく、4分岐点以上であることがより好ましい。
【0056】
また、主鎖分岐構造を形成する分岐点は少なくとも2つ以上の高分子鎖を有していることが好ましく、より好ましくは主鎖ではない高分子鎖を3つ以上有している。
【0057】
特にアルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体からなる主鎖分岐構造では、29Si-NMRにてシグナル検出を行うと、-45ppmから-65ppmの範囲、さらに限定的には-50ppmから-60ppmの範囲に主鎖分岐構造由来のピークが検出される。上述したアルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分が、下記式(1)又は(2)で表される化合物に基づく単量体単位であって、下記式(1)又は(2)で表される化合物に基づく単量体単位による高分子鎖の分岐点を有することが好ましい。
【0058】
【0059】
【0060】
(式(1)中、R1は水素原子又は炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
R2~R3は、各々独立して、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。複数存在する場合のR1~R3は、各々独立している。
X1は、ハロゲン原子を表す。複数存在する場合のX1は、各々独立している。
mは、0~2の整数を示し整数を示し、nは、0~3の整数を示し、lは、0~3の整数を示す。(m+n+l)は、3を示す。)
【0061】
(式(2)中、R2~R5は、各々独立して、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
複数存在する場合のR2~R5は、各々独立している。X2~X3は、各々独立してハロゲン原子を表す。複数存在する場合のX2~X3は、各々独立している。mは、0~2の整数を示し、nは、0~3の整数を示し、lは、0~3の整数を示す。
(m+n+l)は、3を示す。
aは、0~2の整数を示し、bは、0~3の整数を示し、cは、0~3の整数を示す。(a+b+c)は、3を示す。)
【0062】
(ビニル芳香族単量体単位の含有量)
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、ベール成形体の運搬時の耐変形性や、ゴム組成物とした際の破壊強度やウェットスキッド抵抗性の観点から、9質量%以上であり、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、20質量%以上が特に好ましい。一方、本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、ベール成形体とする際の計量時の切断性や、ゴム組成物をタイヤトレッドに用いた時の省燃費性や耐摩耗性の観点から、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、35質量%以下がさらに好ましい。
【0063】
また、本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、靴用発泡ソールやランフラットタイヤ部材等、高モジュラスが要求される場合は30質量%以上が好ましい。
【0064】
(ビニル芳香族単量体ブロックの割合とビニル芳香族単量体単位の含有量との比)
ゴム状ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体ブロックの割合をビニル芳香族単量体単位の含有量で割った際の比(ビニル芳香族単量体ブロックの割合/ビニル芳香族単量体単位の含有量)は、耐コールドフロー性の観点から0.28~1.00であることが好ましい。また、ゴム組成物とした際の剛性の観点から、当該比は、0.30以上であることがより好ましく、0.50以上であることがさらに好ましく、0.60以上であることが特に好ましい。一方、本実施形態のベール成形体を混練りする際のベールの硬さと混練り性の観点から、当該比は、0.90以下であることがより好ましく、0.80以下であることがさらに好ましく、0.70以下であることが特に好ましい。
【0065】
なお、本実施形態において、ゴム状ブロック共重合体中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0066】
(α-オレフィン構造の含有量)
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体中のα-オレフィン構造の含有量は、ゴム状ブロック共重合体の生産性や、ゴム組成物とした際の引張強度の観点から、10質量%以上が好ましく、12質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましい。一方で、本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体中のα-オレフィン構造の含有量は、ゴム状ブロック共重合体中の耐熱老化性及び耐オゾン性の観点から、65質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、52質量%以下がさらに好ましく、40質量%以下であることが特に好ましい。
これにより引張強度と耐オゾン性に優れたタイヤ用ゴム組成物、特にタイヤ用サイドウォールに好適なゴム組成物が得られる傾向にある。
【0067】
ゴム状ブロック共重合体中のα-オレフィン構造の含有量(例えば、ブチレン含有量)は、水素添加反応前のビニル結合量や水素添加率によって制御することができる。
【0068】
なお、本実施形態において、ゴム状ブロック共重合体中のα-オレフィン構造の含有量(例えば、ブチレン含有量)は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0069】
(共役ジエン単量体単位のビニル結合量)
上記と同義だが、ゴム状ブロック共重合体が共役ジエン単量体を重合又は共重合した後に水素添加して製造される場合は、水素添加前のゴム状ブロック共重合体における共役ジエン単量体単位のビニル結合量が、10mol%以上が好ましく、14mol%以上がより好ましく、20mol%以上がさらに好ましく、25mol%が特に好ましい。一方で、水素添加前のゴム状ブロック共重合体における共役ジエン単量体単位のビニル結合量は、65mol%以下が好ましく、60mol%以下がより好ましく、52mol%以下がさらに好ましく、40mol%以下が特に好ましい。
ゴム状ブロック共重合体の共役ジエン単量体単位のビニル結合量を好ましい範囲に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、極性物質の添加量を調整する方法、重合温度を調整する方法等が挙げられる。
【0070】
(ゴム状ブロック共重合体の分子量)
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体の重量平均分子量は、ベールの成形性や、ゴム組成物とする際の相容性や、ゴム組成物を加硫物とした際の引張伸びの観点から、8万以上であり、10万以上が好ましく、12万以上がより好ましく、15万以上がさらに好ましい。一方、本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体の重量平均分子量は、ゴム組成物とする際の加工性の観点から、100万以下であり、70万以下が好ましく、60万以下がより好ましく、50万以下がさらに好ましい。
【0071】
ゴム状ブロック共重合体の重量平均分子量を前記範囲に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、重合開始剤の添加量や、カップリング剤又は変性剤の添加量を調整する方法等が挙げられる。
【0072】
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体の分子量分布(=重量平均分子量/数平均分子量)は、ゴム組成物とする際の相容性や、ゴム組成物をタイヤに使用した際の省燃費性の観点からで、2.0以下が好ましく、1.8以下がより好ましく、1.6以下がさらに好ましい。一方、本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体の分子量分布(=重量平均分子量/数平均分子量)は、ゴム組成物とする際の加工性の観点から、1.05以上が好ましく、1.1以上がより好ましく、1.2以上がさらに好ましい。
【0073】
ゴム状ブロック共重合体の分子量分布を前記範囲に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、極性物質の添加量を調整する方法、重合温度を調整する方法等が挙げられる。
【0074】
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体の重量平均分子量及び分子量分布は、後述する実施例に記載のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」とも記す)によって測定されたポリスチレン換算の分子量から計算することができる。
【0075】
(ゴム状ブロック共重合体のピーク数)
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」とも記す)を用いて測定されるGPC曲線において、ピークの数が一つであるゴム状ブロック共重合体が好ましい形態として挙げられる。GPC曲線においてピークの数が1つであるゴム状ブロック共重合体を用いることにより、本実施形態のベール成形体を充填剤と混練りした際に、充填剤が均一に分散したゴム組成物を得ることができる傾向にある。このような傾向のメカニズムは明らかではないが、分子量が揃っていることで、充填剤が偏りなく分散する傾向が生じると考えられる。なお、ピークの数は、混ざり易さへの影響に鑑みて設定している因子であるのに対し、GPC曲線において5質量%未満のピークは混ざり易さへの影響が少ないので、ピーク数にカウントしないこととする。
【0076】
当該ゴム状ブロック共重合体を得るためには、例えば、本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体の重合工程若しくは水添工程後に、後述の失活剤を添加することが好ましい。これにより重合工程内での不純物によるカップリング反応抑制し、GPC曲線においてピークの数が一つであるゴム状ブロック共重合体を得ることができる。また反応器に導入するモノマー及び溶媒の純度を高めて、重合中に失活する重合体の量を低減することも有効である。
【0077】
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体は、GPCを用いて測定されるGPC曲線において、ピークの数を二つ以上有しており、分子量が最も小さいピークのピーク面積が全ピーク面積に対して5%以上95%未満であることが好ましい別の形態として挙げられる。これによりGPC曲線においてピークの数が一つである場合の同じ分子量であるゴム状ブロック共重合体に比べ、ゴム組成物とする際の加工性に優れ、充填剤を加えたゴム組成物の粘度が低くなる傾向にある。当該ゴム状ブロック共重合体を得るためには、例えば、本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体の重合工程後に、カップリング剤や変性剤を添加することで得ることができる。分子量が最も小さいピークのピーク面積は、当該ゴム状ブロック共重合体の生産時の溶液粘度の点で、全ピーク面積に対して30%以上が好ましく、50%以上であることがより好ましい。一方、分子量が最も小さいピークのピーク面積は、ベール成形性やゴム組成物を加硫物とした際の引張伸びの観点の観点から、全ピーク面積に対して80%未満が好ましく、70%未満であることがより好ましい。
【0078】
(ムーニー粘度)
ゴム状ブロック共重合体やゴム状ブロック共重合体を含むゴム組成物のムーニー粘度は、ゴム状ブロック共重合体の分子量、分子量分布、分岐度、軟化剤の含有量等の情報を含んだ指標となる。
【0079】
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体の100℃で測定されるムーニー粘度は、ゴム組成物を加硫物とした際の耐摩耗性や破壊強度の観点から、40以上が好ましく、50以上がより好ましく、55以上がさらに好ましい。一方、本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体の100℃で測定されるムーニー粘度は、ゴム状ブロック共重合体やゴム組成物の生産性や、充填剤等を配合した組成物とする際の加工性の観点から、180以下が好ましく、150以下がより好ましく、130以下がさらに好ましく、110以下が特に好ましい。
【0080】
なお、本実施形態において、ムーニー粘度は、後述する実施例に記載の、ISO289に規定されている方法で求められる。
【0081】
[変性剤及び変性率]
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体は、ゴム組成物とする際に、シリカ等の無機充填剤の分散性を高める観点から、窒素原子を含有することが好ましい。
【0082】
本実施形態のゴム状ブロック共重合体は、ゴム組成物中のシリカの分散性の観点から、ゴム状ブロック共重合体のカラム吸着GPC法で測定される変性率が、40質量%以上であることが好ましく、60質量%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。一方、本実施形態のゴム状ブロック共重合体において、カラム吸着GPC法で測定される変性率の上限は、特に限定されないが、例えば、98質量%である。
【0083】
本実施形態において、「変性率」は、ゴム状ブロック共重合体の総量に対する窒素原子含有官能基を有する重合体の質量比率を表す。
【0084】
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体中への窒素原子の導入位置は、ゴム状ブロック共重合体の重合開始末端、分子鎖中(グラフト生成物を含む)及び重合末端のいずれに含有してもよい。
【0085】
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体が、共役ジエン単量体を重合した後に水素添加して製造される場合は、ゴム状ブロック共重合体中への窒素原子の導入方法としては、ゴム状ブロック共重合体の生産性、高い変性率のゴム状ブロック共重合体の得やすさ、ゴム状ブロック共重合体を含んだゴム組成物を加硫物とした際の耐摩耗性及び省燃費性を向上させる観点から、スズ原子又は窒素原子を含有するカップリング剤を用いて導入する方法が好ましく、窒素原子を含有するカップリング剤を用いて導入する方法がより好ましい。
【0086】
窒素原子を含有するカップリング剤としては、重合生産性や高い変性率の点で、イソシアナート化合物、イソチオシアナート化合物、イソシアヌル酸誘導体、窒素基含有カルボニル化合物、窒素基含有ビニル化合物、窒素基含有エポキシ化合物、窒素基含有アルコキシシラン化合物、アミド化合物等が好ましい。
【0087】
これらの窒素原子を含有するカップリング剤としては、ゴム状ブロック共重合体の生産性や高い変性率高い変性率のゴム状ブロック共重合体の得やすさや、ゴム状ブロック共重合体を含んだゴム組成物をタイヤとした時の引張強度、低燃費性の観点で、アミド化合物、窒素基含有アルコキシシラン化合物がより好ましい。
【0088】
アミド化合物として、好ましい例としては、1,3-ジエチル-2-イミダゾリノン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリノン、1,3-ジプロピル-2-イミダゾリノン、1-メチル-3-エチル-2-イミダゾリノン、1-メチル-3-プロピル-2-イミダゾリノン、1-メチル-3-ブチル-2-イミダゾリノン、1,3-ジヒドロ-1,3-ジメチル-2H-イミダゾール-2-オン、1,3-ジエチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジプロピル-2-イミダゾリジノン、1-メチル-3-エチル-2-イミダゾリジノン、1-メチル-3-プロピル-2-イミダゾリジノン、1-メチル-3-ブチル-2-イミダゾリジノンなどが挙げられる。
窒素原子含有基アルコキシシラン化合物として、好ましい例としては、2,2-ジメトキシ-1-(3-トリメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(3-トリエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(4-トリメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロヘキサン、2,2-ジメトキシ-1-(5-トリメトキシシリルペンチル)-1-アザ-2-シラシクロヘプタン、2,2-ジメトキシ-1-(3-ジメトキシメチルシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(3-ジエトキシエチルシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ,2-メチル-1-(3-トリメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ,2-エチル-1-(3-トリエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ,2-メチル-1-(3-ジメトキシメチルシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、及び2-エトキシ,2-エチル-1-(3-ジエトキシエチルシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3-メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3-メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(トリメトキシシリルメチル)アミン、トリス(2-トリメトキシシリルエチル)アミン、及びトリス(4-トリメトキシシリルブチル)アミン、テトラキス[3-(2,2-ジメトキシ-1-アザ-2-シラシクロペンタン)プロピル]-1,3-プロパンジアミン、テトラキス(3-トリメトキシシリルプロピル)-1,3-プロパンジアミン、テトラキス(3-トリメトキシシリルプロピル)-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、及びN1-(3-(ビス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ)プロピル)-N1-メチル-N3-(3-(メチル(3-(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ)プロピル)-N3-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1,3-プロパンジアミン、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピルトリメトキシシラン、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピルトリエトキシシランが挙げられる。
【0089】
[ゴム状ブロック共重合体の重合方法及び水素添加方法]
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体の製造方法は、上記要件を満たすゴム状ブロック共重合体が得られれば特に限定されない。
【0090】
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体の具体的な製造方法は、特に限定されないが、例えば、少なくとも共役ジエン単量体を重合又は共役ジエン単量体と必要に応じて用いる単量体とを共重合した後に水素添加する工程を含む方法や、共役ジエン単量体を重合(水素添加しない)又は共役ジエン単量体と必要に応じて用いる単量体とを共重合(水素添加しない)する工程を含む方法が挙げられる。
【0091】
共役ジエン単量体としては、特に限定されないが、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、3-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、及び1,3-ヘプタジエン等が挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、1,3-ブタジエンやイソプレンが好ましく、1,3-ブタジエンが特に好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0092】
必要に応じて用いる単量体は特に限定されないが、タイヤにした時の機械強度の点で、ビニル芳香族単量体を共役ジエン単量体と共重合して用いるのが好ましい。ビニル芳香族単量体としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、ジフェニルエチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4ービニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,Nージメチルアミノエチルスチレン、N,Nージメチルアミノメチルスチレン、3級アミノ基含有ジフェニルエチレン(例えば、1-(4-N,N-ジメチルアミノフェニル)-1-フェニルエチレン)等が挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、スチレンが好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0093】
必要に応じて用いるその他の単量体を用いることができる。
【0094】
その他の単量体としては、特に限定されないが、例えば、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸、α,β―不飽和ニトリル化合物、α-オレフィン(ブチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセン等)、エチレン、ミルセン、エチリデンノルボルネン、イソプロピリデンノルボルネン、シクロペンタジエン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0095】
ゴム状ブロック共重合体の製造方法のうち、共役ジエン単量体を重合又は共役ジエン単量体と必要に応じて用いる単量体とを共重合(水素添加しない)する方法としては、例えば、ブロック構造は例示されていないが、国際公開第2019/078083号公報、国際公開第2019/111496号公報、国際公開第2019/142501号公報、国際公開第2019/171679号公報、国際公開第2019/216100号公報に記載されている配位重合法で製造する方法が挙げられる。
【0096】
この場合、重合時添加するビニル芳香族単量体、エチレン、α-オレフィン、共役ジエン単量体及び、その他の単量体は、共役ジエン単量体を重合又は共役ジエン単量体と必要に応じて用いる単量体とを共重合した後に水素添加して製造する場合に例示した上記の単量体種と同じであることが好ましい。
【0097】
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体は、ブロック構造の制御が容易な点で、アニオン重合で製造するのが好ましく、少なくとも共役ジエン単量体を重合又は共役ジエン単量体と必要に応じて用いる単量体とを共重合した後に重合体中の二重結合の一部又は大部分を水素化(水素添加)して製造するものが好ましい。
【0098】
少なくとも共役ジエン単量体を重合又は共役ジエン単量体と必要に応じて用いる単量体とを共重合した後に水素添加する方法としては、国際公開第96/05250号公報、特開2000-053706号公報、国際公開第2003/085010号公報、国際公開第2019/151126号公報や国際公開第2019/151127号公報、国際公開第2002/002663号公報、国際公開第2015/006179号公報に記載されているように、種々の添加剤や条件のもとに、アニオン重合で共役ジエン単量体を重合、必要に応じてその他の単量体と共重合した後に水素添加する方法が好ましい。
【0099】
上記の重合工程や水添(水素添加)工程は、各々、バッチ式あるいは連続式のどちらでもよい。
【0100】
なお、本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体は、水素添加後のゴム状ブロック共重合体の水添体も含まれる。
【0101】
[ゴム状ブロック共重合体の重合工程若しくは水添工程の後行程]
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体の重合工程若しくは水添工程後に、失活剤、中和剤等を添加するのが好ましい。
【0102】
失活剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコールが挙げられる。
【0103】
中和剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、バーサチック酸(炭素数9~11個で、10個を中心とする、分岐の多いカルボン酸混合物)等のカルボン酸;無機酸の水溶液、炭酸ガスが挙げられる。
【0104】
本実施形態のゴム状ブロック共重合体の重合工程の後に、ゲル生成の防止や加工安定性の点で、ゴム用安定剤を添加することが好ましい。
【0105】
ゴム用安定剤としては、以下のものに限定されず、公知のものを用いることができるが、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン(以下「BHT」とも記す。)、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェノール)プロピネート、2-メチル-4,6-ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール等の酸化防止剤が好ましい。
【0106】
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体に、必要に応じてゴム用軟化剤を含有する。ゴム用軟化剤の含有量は30質量%以下であることが好ましい。
【0107】
本実施形態のゴム状ブロック共重合体において、ゴム状ブロック共重合体の生産性、タイヤ製造時の無機充填剤等を配合したときの加工性を改善するために、ゴム用軟化剤を1~30質量%添加することができる。一方、本実施形態のゴム状ブロック共重合体において、充填剤を配合し、ゴム組成物とする場合の配合の自由度を広げるためにはゴム用軟化剤を好ましくは1~15質量%用いる。
【0108】
本実施形態のゴム状ブロック共重合体のベール成形体のゴム用軟化剤の含有量は、タイヤにした時の経年劣化の点で、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
【0109】
ゴム用軟化剤としては、特に限定されないが、例えば、伸展油、液状ゴム、樹脂等が挙げられる。
【0110】
ゴム用軟化剤としては、加工性や生産性や経済性の点で、伸展油が好ましい。
【0111】
ゴム用軟化剤をゴム状ブロック共重合体に添加する方法としては、以下のものに限定されないが、ゴム用軟化剤を重合体溶液に加え、混合して、ゴム用軟化剤含有の重合体溶液としたものを脱溶媒する方法が好ましい。
【0112】
好ましい伸展油としては、例えば、アロマ油、ナフテン油、パラフィン油等が挙げられる。これらの中でも、環境安全上の観点、並びにオイルブリード防止及びウェットグリップ特性の観点から、IP346法による多環芳香族(PCA)成分が3質量%以下であるアロマ代替油が好ましい。アロマ代替油としては、特に限定されないが、例えば、Kautschuk Gummi Kunststoffe 52(12)799(1999)に示されるTDAE(Treated Distillate Aromatic Extracts)、MES(Mild Extraction Solvate)等の他、RAE(Residual Aromatic Extracts)が挙げられる。
【0113】
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体に、必要に応じさらに各種添加剤を加えることができる。添加剤としては、下記に示す充填剤、又はタッキファイヤーとしての樹脂成分などをマスターバッチとして成型前の工程で加えることができる。その場合、添加剤は15質量%以下であることが好ましい。
【0114】
[重合溶媒から溶媒除去方法]
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体の製造方法において、重合体溶液から溶媒を除去する方法としては、特に限定されないが、例えば、フラッシング、スチームストリッピング、脱水後の乾燥コンベア、脱揮押出機、ドラムドライヤー及び脱揮ニーダー等を利用する方法が挙げられる。
【0115】
熱履歴が小さい点で、少なくとも、スチームストリッピングを用いる方法が好ましい。
【0116】
スチームストリッピングやその前後の処理方法の例として、特に限定されないが、例えば、特開平10-168101号公報、特開平10-204136公報、国際公開第2013-146530号公報、特開2019-131810号公報等に記載されている方法が挙げられる。
【0117】
本実施形態に用いるゴム状ブロック共重合体の製造方法においては、押出乾燥工程の前に、重合体溶液から溶剤をスチームストリッピングにより除去する脱溶媒工程、重合体のスラリーからストリッピング水と分離して、含水クラムを取り出すスクリーニング工程を実施することが好ましい。
【0118】
また、スチームストリッピングの前に、溶液濃度を上げるために、フラッシング工程を設けてもよい。
【0119】
押出乾燥工程の前に、重合体溶液から溶剤をスチームストリッピングにより除去する脱溶媒工程を実施することにより、溶剤を含まず、水分を含んだ多孔質の粒状のクラムが熱水中に分散したスラリーが得られる。
【0120】
重合体のスラリーからストリッピング水と分離して含水クラムを取り出すスクリーニング工程を実施することにより、水分を含んだ多孔質の粒状のクラムを得ることができる。
【0121】
また、必要により、ロール、スクリュー圧縮絞り機等で脱水する絞り脱水工程を実施することが好ましい。これらの脱水工程により、押出乾燥工程の前段階で、含水率をより少なくした含水クラムを得ることができる。
【0122】
含水クラムの粒径は、乾燥時の耐飛散性の点で、0.1mm以上が好ましい。0.5mm以上がより好ましい。一方、クラム中の残存溶媒や水分の乾燥性や、ベール成形後の成形体の耐膨張性の点で、30mm以下が好ましい。20mm以下がより好ましい。
【0123】
クラムの粒径を調整する方法としては、脱溶剤してクラムを製造する場合と、製造されたクラムを加工して調整する場合とがある。脱溶剤してクラムを製造する過程で調整する場合には、特に限定されないが、例えば、ポリマーの分子量や組成や構造を調整する方法、ポリマー溶液に添加するゴム用軟化剤量を調整する方法、押出乾燥機のダイスの穴径を調整する方法、ポリマー溶液を熱水に投入して脱溶剤する際の条件を調整する方法等が挙げられる。上記、ポリマーの分子量や組成や構造を調整する方法では、べたつきによるクラム同士の付着で防ぐため、重量平均分子量が8万以上あることが好ましい。また、ビニル芳香族単量体ブロックが30質量%未満であると、クラムが密になることなく、乾燥工程での乾燥不良を抑制できる傾向にある。さらに、ヨウ素価が250以下であると、押出乾燥工程でのクラムの発泡性が良く、残存溶媒や水分の乾燥性に良好な傾向がある。
【0124】
後者の製造されたクラムを加工して調整する場合では、特に限定されないが、例えば、クラムをふるい分けする方法、クラムをミキサーやグラニュレータで解砕、粉砕する方法を挙げることができる。
【0125】
重合後のゴム状ブロック共重合体の溶液と熱水又はスチームとを接触させる条件として、特に限定されないが、例えば、溶液投入圧力を調整する方法、スチームの圧力や温度や量を調整する方法、スチームにポリオキシアルキレンアルキルエーテルフォスフェート等のリン酸エステル又はその塩等の分散剤や、ノニルフェノキシポリエチレングリコールリン酸エステル又はその塩等の界面活性剤を加える方法、混合する際に用いる回転翼の形状や回転速度を調整する方法等が挙げられる。
【0126】
経済性や金属の除去性のため、重合体溶液に、失活剤としてアルコール化合物を含むことが好ましく、さらに、スチームストリッピングに際して加えられる分散剤や界面活性剤を予め添加しておくことがより好ましい。
【0127】
(残溶剤含有量)
本実施形態のゴム状ブロック共重合体のベール成形体中の残溶剤含有量は、臭気やVOC削減の点で、低い方が好ましい。具体的には、本実施形態のベール成形体中の残溶剤含有量は、5000ppm以下が好ましく、3000ppm以下がより好ましく、1500ppm以下がさらに好ましい。また、本実施形態のベール成形体中の残溶剤含有量は、経済性のバランスの点で、50ppmm以上が好ましく、150ppm以上がより好ましく、300ppm以上がさらに好ましい。
【0128】
なお、本実施形態において、残溶剤含有量は、ベール成形体中に残存している溶剤の含有量である。
【0129】
また、本実施形態において、残溶剤含有量は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0130】
(水分含有量)
本実施形態のゴム状ブロック共重合体のベール成形体の水分含有量は0.05質量%以上、1.5質量%以下であることが好ましい。本実施形態のベール成形体において、水分含有量は、溶媒除去後の乾燥時のゲル抑制の点で、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上がさらに好ましい。一方本実施形態のベール成形体において、水分含有量は、ベール成形体の結露抑制や耐変色性の点で、1.5質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましく、0.8質量%以下がさらに好ましい。
【0131】
また、本実施形態において、水分含有量は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0132】
(ゴム用軟化剤)
また、本実施形態のゴム状ブロック共重合体のベール成形体は、生産性、加工性の観点でゴム用軟化剤の含有することができる。本実施形態のベール成形体において、ゴム用軟化剤の含有量は、30質量%以下であることが好ましい。本実施形態のベール成形体において、ゴム用軟化剤の含有量は、ベール成形体をタイヤにした時の経年劣化の点で、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
【0133】
[ベール成形体の製造方法]
本実施形態のベール成形体の製造方法としては、上記要件1~6を満たすゴム状ブロック共重合体のベール成形体が得られれば特に限定されないが、例えば、有機リチウム化合物を重合開始剤として用いて、少なくともビニル芳香族単量体と共役ジエン単量体とを重合してゴム状ブロック共重体を得る工程と、前記ゴム状ブロック共重合体に水素添加してゴム状ブロック共重合体の水添体を得る工程と、前記ゴム状ブロック共重合体の水添体を成形してベール成形体を得る工程と、を有する方法が挙げられる。
【0134】
本実施形態のベール成形体の製造方法において、ビニル芳香族単量体と共役ジエン単量体との共重合後、又は共役ジエン単量体の重合後に、ビニル芳香族単量体を添加する工程を有することが好ましい。
【0135】
本実施形態のベール成形体の製造方法において、前記ゴム状ブロック共重体を、カップリング剤によりカップリングする工程を有することが好ましい。
【0136】
本実施形態のゴム状ブロック共重合体のベール成形体の形状は、特に限定されないが、取扱い性の点で、ブロック状が好ましい。また、本実施形態のベール成形体の大きさは、成形のし易さや取扱い性の点で、ベール成形体の容量が、1,000cm3以上が好ましく、5,000cm3以上がより好ましく、10,000cm3以上がさらに好ましい。本実施形態のベール成形体の重量及び形状は、17.5kgから35kgの直方体型ベールが特に好ましく、このような直方体型ベールの大きさは、特に限定されないが、例えば、幅30~40cm×長さ60~80cm×高さ10~30cm程度が好適である。
【0137】
ゴム状ブロック共重合体のベール成形体への成形方法は、例えば、比表面積が0.7m2/g~3.2m2/gであるクラムを作製し、ゴム状ブロック共重合体のクラムを圧縮成形する方法が好ましい。成形性の点で、成形前に、ゴム状ブロック共重合体のクラムをふるい分ける工程を更に有することが好ましい。
【0138】
ゴム状ブロック共重合体のクラムを圧縮成形する際にクラム同士が密着する場合があるので、成形体の比表面積はクラムの比表面積に比べて低くなる。圧縮成形時のクラムの密着性は、ゴム状ブロック共重合体の分子量や組成や構造、ゴム用軟化剤組成、圧縮時の温度、圧力によって調整することができ、例えばクラムの密着性を上げてベールの比表面積を下げたい場合にはゴム状ブロック共重合体の分子量を下げる、ゴム用軟化剤量を増やす、圧縮時の温度及び圧力を上げる条件が好ましい。
【0139】
成形体の比表面積は0.005~0.05m2/gであり、より好ましくは、フィルム包装性の観点から0.01~0.04m2/gであることが好ましい。成形体の比表面積が0.005m2/g以上ではベールの膨張が抑えられ、成形体の比表面積が0.05m2/g以下では成形体からのクラムの剥離が低減するので好ましい。
【0140】
成形体の比表面積はBET法により求めることができる。
【0141】
通常、大きなサイズ成形体の比表面積は場所によって異なることがあるため、成形体の中央部付近から採取することが好ましい。
【0142】
ゴム状ブロック共重合体のクラムは成形する前に、粒径別にふるい分けした後に、適切な量比で混合することが好ましい。
【0143】
脱溶剤後のクラムをそのまま用いて成形された成形体の比表面積が上記範囲の上限を超える場合は、ふるい分けされたクラムのうち、大粒径のクラム組成を増やして小粒径のクラム組成を減らすと良く、下限に満たない場合は大粒径のクラム組成を減らして、小粒径のクラムを増やすとよい。
【0144】
成形体の成形圧縮圧力は、好ましくは、3~30MPa、より好ましくは10~20MPaである。成形時の圧縮圧力が30MPa以下では装置をコンパクトに設計することができ、設置効率が良く、成形時の圧縮圧力が3MPa以上では成形性が良好である。成形性が良い場合は、成形体の表面が滑らかで、成形工程以降での重合体の剥離が無く、成形後の膨張が抑えられる傾向にある。
【0145】
成形時のゴム状ブロック共重合体の温度は30~120℃が好ましく、より好ましくは残溶剤含有量の低減と熱劣化抑制との観点から50~100℃である。成形時のゴム状ブロック共重合体の温度が30℃以上では、成形性が良く、一方で、温度が120℃以下では、ゴム状ブロック共重合体の熱劣化によるゲル生成が抑えられるため好ましい。
【0146】
成形時の温度及び圧力は高い程、ベールの比表面積は小さくなる。
【0147】
成形時の保圧時間は、好ましくは3~30秒で、より好ましくは5~20秒である。圧縮時の保圧時間が30秒以下では生産効率が良く、5秒以上では成形性が良い。
【0148】
成形体同士の密着を避けるために樹脂フィルム(包装シート)で成形体を包装することが好ましい。
【0149】
フィルムの樹脂の種類は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、エチレン共重合体樹脂、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、PETを挙げることができる。
【0150】
成形体の運搬時の取扱い性や、包装シートとベールとの間隙に結露が発生し難い点で、包装シートの密着性が良いことが好ましい。
【0151】
成形体は運送用の容器に収納される。成形後1日経過後の成形体の膨張率が5%未満であると、容器への収納性が良く、好ましい。
【0152】
[ゴム組成物及び架橋用ゴム組成物]
本実施形態の充填剤含有ゴム組成物の製造方法は、上述のゴム状ブロック共重合体のベール成形体に充填剤を混練する工程を有することが好ましい。
また、本実施形態のシリカ含有ゴム組成物の製造方法は、上述のゴム状ブロック共重合体のベール成形体にシリカを混練する工程を有することが好ましい。
【0153】
また、本実施形態のゴム組成物の製造方法は、上述のゴム状ブロック共重合体のベール成形体を含むゴム成分と、前記ゴム成分100質量部に対して、0.1質量部以上、20質量部以下の架橋剤を混練りする工程を有することが好ましい。
【0154】
前記架橋剤は、特に限定されず、例えば、後述する架橋剤が挙げられるが、有機過酸化物、アゾ化合物及び硫黄化合物からなる群より選択される少なくとも一つであることが好ましい。
【0155】
前記混練工程において充填剤を混練りすることが好ましい。ここで用いる充填剤としては、特に限定されないが、後述する充填剤が挙げられる。
【0156】
前記ゴム成分は、ゴム状ブロック共重合体以外の他のゴム成分を含むことが好ましい。
【0157】
他のゴム成分は、特に限定されず、例えば、後述する他のゴム成分が挙げられるが、ポリブタジエンゴム、天然ゴム及びエチレン酢酸ビニル共重合体から群より選択される少なくとも一つであることが好ましい。
【0158】
本実施形態のゴム組成物及び架橋用ゴム組成物は、上述のゴム状ブロック共重合体のベール成形体を含む。
【0159】
本実施形態のゴム組成物は、架橋せずに用いてもよいが、より高い機械強度等の点で、架橋剤を添加し、架橋用ゴム組成物を作成し、架橋後に架橋体とし、種々の用途に用いられることが好ましい。
【0160】
本実施形態のゴム組成物及び架橋用ゴム組成物は、上述のゴム状ブロック共重合体のベール成形体を少なくとも含み、更に必要に応じて、その他のゴム、充填剤、架橋剤等を含むことができる。
【0161】
その他のゴムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン-ブタジエンゴム(乳化重合タイヤや溶液重合タイプ)、天然ゴム、ポリイソプレン、ブタジエンゴム(ハイシスポリブタジエン、ローシスポリブタジエン、シンジオタクチック1,2-ポリブタジエン、アクリロニトリルーブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、エチレン-プロピレンゴム(EPM)等のエチレン-α-オレフィン共重合体ゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エチレン酢酸ビニル共重合体及び、重合体ブロック(a)及び(b)の二つの重合体ブロックを有さないヨウ素価が3~250、エチレン構造≧3質量%、ビニル芳香族単量体ブロック<10質量%のゴム状ブロック共重合体等が挙げられる。これらのゴムの形状は、ベール状であることが好ましい。また、これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。混合は、重合後にドライの重合体を混合しても、重合中に溶液状態で混合してもよい。
【0162】
これらのゴムの中で、経済性や、ゴム組成物の引裂き強度の点で、天然ゴムやハイシスポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル共重合体を併用することが好ましい。
【0163】
本実施形態のゴム組成物及び架橋用ゴム組成物において、上述のゴム状ブロック共重合体に、その他のゴムを含有させる場合、要求特性に応じて適宜選択できるが、ゴム状ブロック共重合体/その他のゴムの質量比率は、20/80~100/0が好ましく、30/70~90/10がより好ましい。
【0164】
本実施形態のゴム組成物及び架橋用ゴム組成物は、引張強度や、引張伸びの点で、ゴム組成物中のゴム成分100質量部に対して、樹脂を、3~40質量部を含有することが好ましく、引張エネルギーの点で、5質量部以上含有することがより好ましく、10質量部以上含有することがさらに好ましい。一方、本実施形態のゴム組成物及び架橋用ゴム組成物は、ゴム組成物の混合時の容易性の点で、ゴム組成物中のゴム成分100質量部に対して、樹脂を、30質量部以下含有することがより好ましく、25質量部以下含有することがさらに好ましい。
【0165】
本実施形態に用いる樹脂は、室温(23℃)において固体で、炭素と水素とを本質的にベースとする(他の原子も含み得る)化合物である。
【0166】
樹脂としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族、脂環式、芳香族、水素化芳香族、脂肪族及び/又は芳香族モノマーをベースとし得る脂肪族/芳香族が挙げられる。樹脂は、石油樹脂としても、石油系でない天然又は合成樹脂でもよい。
【0167】
樹脂の具体例としては、特に限定されないが、例えば、シクロペンタジエン(CPD)のホモポリマー又はコポリマー樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)のホモポリマー又はコポリマー樹脂、テルペンのホモポリマー又はコポリマー樹脂、C5留分のホモポリマー又はコポリマー樹脂、C9留分のホモポリマー又はコポリマー樹脂、α‐メチルスチレンのホモポリマー又はコポリマー樹脂及びこれらの樹脂のブレンドからなる群から選ばれる炭化水素樹脂を挙げることができる。上記のコポリマー樹脂のうちでは、さらに詳細には、特に限定されないが、例えば、(D)CPD/ビニル芳香族コポリマー樹脂、(D)CPD/テルペンコポリマー樹脂、テルペン/フェノールコポリマー樹脂、(D)CPD/C5留分コポリマー樹脂、(D)CPD/C9留分コポリマー樹脂、テルペン/ビニル芳香族コポリマー樹脂、テルペン/フェノールコポリマー樹脂、C5留分/ビニル芳香族コポリマー樹脂、及びこれらの樹脂のブレンドからなる群から選ばれるコポリマーが好ましい。
【0168】
樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0169】
樹脂は、引張強度や、引張伸びの点で、ガラス転移温度が、30℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましい。一方、架橋用ゴム組成物の混合時の容易性の点で、樹脂のガラス転移温度は100℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。
【0170】
本実施形態のゴム組成物及び架橋用ゴム組成物は、補強性の向上の点で、充填剤を含有することが好ましい。
【0171】
充填剤としては、特に限定されないが、例えば、カーボンブラック、シリカ、水酸化アルミニウム、クレー、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、硫酸バリウム等が挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックを用いることが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0172】
カーボンブラックとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、FEF、GPF、SRF、HAF、N339、IISAF、ISAF、SAFなどが挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0173】
上記のシリカは、ゴム組成物の強度や加工性の点で、BET吸着法で求められる窒素吸着比表面積が、170~300mm2/gであることが好ましく、200~300mm2/gであることがより好ましい。
【0174】
上記のカーボンブラックは、ゴム組成物の強度の点で、窒素吸着比表面積が50mg/g以上であり、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が80mL/100g以上のカーボンブラックが好ましい。
【0175】
なお、ここでいう窒素吸着比表面積はJIS K6217に準拠した方法により測定され、DBP吸油量はASTM D2414に準拠した方法により測定される。
【0176】
補強性の点で、シリカが好ましく、シリカ含有量が、カーボンブラック含有量より多いことが好ましい。
【0177】
シリカの中では、沈降性シリカがより好ましい。
【0178】
本実施形態のゴム組成物及び架橋用ゴム組成物において、充填剤の配合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対し、10~130質量部が好ましく、30~90質量部がより好ましい。充填剤の配合量が10質量部以上では、充填剤を配合したことによる補強性向上の効果が得られ、また、130質量部以下であることにより、ゴム組成物の加工性や成形性の低下を回避できる。
【0179】
本実施形態のゴム組成物及び架橋用ゴム組成物は、充填剤の分散性の改善や架橋体の引張物性強度の点で、シランカップリング剤を含んでもよい。シランカップリング剤は、ゴム成分と無機充填剤との相互作用を緊密にする機能を有しており、ゴム成分及び充填剤のそれぞれに対する親和性又は結合性の基を有しており、硫黄結合部分とアルコキシシリル基又はシラノール基部分とを一分子中に有する化合物が好ましい。このような化合物としては、特に限定されないが、例えば、ビス-[3-(トリエトキシシリル)-プロピル]-テトラスルフィド、ビス-[3-(トリエトキシシリル)-プロピル]-ジスルフィド、ビス-[2-(トリエトキシシリル)-エチル]-テトラスルフィド、S-[3-(トリエトキシシリル)-プロピル]オクタンチオエート及びS-[3-(トリエトキシシリル)-プロピル]オクタンチオエートと[(トリエトキシシリル)-プロピル]チオールの縮合物、少なくとも1個のチオール(-SH)官能基(メルカプトシランと称する)及び/又は、少なくとも1個のマスクトチオール基を担持するシラン類が挙げられる。
【0180】
本実施形態の架橋用ゴム組成物中のシランカップリング剤の含有量は、上述した充填剤100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下が好ましく、0.5質量部以上20質量部以下がより好ましく、1.0質量部以上15質量部以下がさらに好ましい。シランカップリング剤の含有量が上記範囲であると、シランカップリング剤による上記添加効果を一層顕著なものにできる傾向にある。
【0181】
本実施形態の架橋用ゴム組成物には、必要に応じて、架橋剤を用いることができる。前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫黄系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤、無機架橋剤、ポリアミン架橋剤、樹脂架橋剤、硫黄化合物系架橋剤、オキシムーニトロソアミン系架橋剤、アゾ化合物系架橋剤、ポリリン酸化合物系架橋剤等が挙げられ、これらを併用してもよい。なお、タイヤ用ゴム組成物としては、これらの中でも硫黄系架橋剤(加硫剤)がより好ましい。特に硫黄がさらに好ましい。
【0182】
本実施形態の架橋用ゴム組成物中の架橋剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1質量部以上、20質量部以下が好ましい。架橋剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、高い引張強度や早い架橋速度の点で、0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。一方、架橋ムラの抑制や高い引張強度の点で、20質量部以下が好ましい。5質量部以下がより好ましく、3質量部以下がさらに好ましい。
【0183】
本実施形態の架橋用ゴム組成物において、加硫剤に更に、加硫促進剤を併用することもできる。
【0184】
前記加硫促進剤としては、特に限定されないが、例えば、グアニジン系、アルデヒドーアミン系、アルデヒドーアンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、チウラム系、ジチオカルバメート系、ザンテート系等の化合物が挙げられる。
【0185】
また、本実施形態の架橋用ゴム組成物には、上述した以外のその他の軟化剤及び充填剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、着色剤、滑剤等の各種添加剤を用いてもよい。その他の軟化剤としては、公知の軟化剤を用いることができる。その他の充填剤としては、具体的には、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸バリウムが挙げられる。上記の耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、着色剤、潤滑剤としては、それぞれ公知の材料を用いることができる。
【0186】
(架橋用ゴム組成物の混練り方法)
ゴム成分、シリカ系無機充填剤、カーボンブラックやその他の充填剤、シランカップリング剤、ゴム用軟化剤等の添加剤を混合する方法については、以下のものに限定されないが、例えば、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解混合後、溶剤を加熱除去する方法が挙げられる。これらのうち、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機による溶融混練法が生産性、良混練性の点から好ましい。また、ゴム成分とその他の充填剤、シランカップリング剤、及び添加剤とを一度に混練する方法、複数の回数に分けて混合する方法のいずれも適用可能である。
【0187】
(用途)
本実施形態のゴム組成物は、好ましくは架橋用ゴム組成物として、タイヤ部材、自動車の内装及び外装品、防振ゴム、ベルト、発泡体、銅張積層板、ケーブルジェル、各種工業用品用途等に利用できる。
【0188】
これらの中でも、靴用ソールやタイヤ部材に好適に用いられる。
【0189】
本実施形態の靴用ソールの製造方法は、上述の方法によって得られたゴム組成物を成形する工程を有する。
【0190】
本実施形態の靴用ソールを製造する具体例としては、特に限定されないが、例えば、ゴム成分と、シリカ、シランカップリング剤、及び添加剤を含むゴム組成物の混練りを行う方法が挙げられる。ゴム成分としては、グリップ性の観点から、上述のゴム状ブロック共重合体を10~30質量部、耐摩耗性の観点からハイシスポリブタジエンを60~70質量部、また引き裂き強度の観点から、ポリイソプレンゴムを10~20質量部、配合することが好ましい。上記ゴム組成物の混練りは、通常120~160℃で行うことが好ましい。さらに、硫黄及び加硫促進剤の混合、混練りを行う。この時の温度は120℃未満であることが好ましい。上述したゴム組成物にさらに、発泡剤を加えることが好ましい。次に、得られた組成物を所定の金型に入れて温度を高めることにより発泡を行うか、あるいは押出成型機を用いて任意の形状に成型したのち、加熱槽内で加熱し発泡を行うことで、発泡と同時に加硫が起こり靴用ソール部材が得られる。加硫温度は、140~180℃であることが好ましく、加硫時間は、5~30分であることが好ましい。
【0191】
靴用ソール部材としては、ミッドソールやアウトソールが好ましく、アウトソールがより好ましい。
【0192】
また、本実施形態のゴム状ブロック共重合体のベール成形体は、強度が高いので、発泡倍率が高く、より軽量にしたソールを製造することができる。
【0193】
靴用ソールを製造する際の、架橋用ゴム組成物の組成は、例えば後述の実施例に記載の組成で行うことができる。
【0194】
本実施形態のタイヤ用トレッドの製造方法は、上述の方法によって得られたゴム組成物を成形する工程を有する。
【0195】
本実施形態のタイヤ用サイドウォールの製造方法は、上述の方法によって得られたゴム組成物を成形する工程を有する。
【0196】
タイヤを製造する具体例としては、特に限定されないが、例えば、ゴム成分と、カーボンブラック、シリカ、シランカップリング剤、及び添加剤を含むゴム組成物の混練りを行う方法が挙げられる。ゴム成分としては、グリップ性、省燃費性の観点から、上述のゴム状ブロック共重合体を60~80質量部、耐摩耗性の観点からハイシスポリブタジエンを10~30質量部、また引き裂き強度の観点から、天然ゴムを10~20質量部、配合することが好ましい。
【0197】
上記ゴム組成物の混練りは、通常100~180℃で行うことが好ましい。さらに、硫黄及び加硫促進剤の混合、混練りを行う。この時の温度は120℃未満であることが好ましい。
【0198】
成型方法として、特に限定されないが、例えば、タイヤ成形用ドラム上に未加硫の架橋用ゴム組成物及びタイヤコードよりなる群から選択される少なくとも1つからなるカーカス層、ベルト層、トレッド層等の通常タイヤ製造に用いられる部材を順次貼り重ね、ドラムを抜き去ってグリーンタイヤとする方法が挙げられる。次いで、このグリーンタイヤを常法に従って加熱加硫することにより、所望のタイヤ(例えば、空気入りタイヤ)を製造することができる。加硫温度は、140~190℃であることが好ましく、加硫時間は、5~15分であることが好ましい。
【0199】
タイヤ部材としては、省燃費タイヤ、オールシーズンタイヤ、高性能タイヤ、スノー用タイヤ、スタッドレスタイヤ等の各種タイヤ:トレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部等のタイヤ各部位への利用が可能である。特に、タイヤ部材としては、加硫物としたときに耐摩耗性能、省燃費性、ウェットスキッド抵抗性及びスノー性能とのバランスに優れているので、省燃費タイヤや高性能タイヤ用、スノー用タイヤのタイヤトレッド用として、好適に用いられる。
【0200】
タイヤ部材を製造する際の、架橋用ゴム組成物の組成は、例えば後述の実施例に記載の組成で行うことができる。
【実施例】
【0201】
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて、本実施形態を更に詳しく説明するが、本実施形態は以下の実施例及び比較例により何ら限定されるものではない。
【0202】
実施例及び比較例における各種の物性は下記に示す方法により測定した。
【0203】
(ゴム状ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)、カップリング率、最も低分子側のピーク面積)
ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置を使用して、クロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用した検量線に基づいてゴム状ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)を求めた。
溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りテトラヒドロフラン(以下「THF」とも記す)を使用した。カラムは、ガードカラム:東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperH-H」、カラム:東ソー社製の商品名「TSKgel SuperH5000」、「TSKgel SuperH6000」、「TSKgel SuperH7000」を使用した。
オーブン温度40℃、THF流量0.6mL/分の条件で、示差屈折率(以下「RI」とも記す)検出器(東ソー社製の商品名「HLC8020」)を用いた。測定用の試料10mgを20mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液20μLをGPC測定装置に注入して測定した。
ゴム状ブロック共重合体のカップリング率、及び、最も低分子側のピーク面積(分子量が最も小さいピークのピーク面積)は、クロマトグラムが二山以上(ピークが2つ以上)の場合に、カップリングしていない(最も低分子側のピーク)ピーク面積と、カップリングされた(高分子量側のピーク)ピーク面積比率とから算出した。その際、GPC曲線において5質量%未満のピークは混ざり易さへの影響が少ないので、ピーク数にはカウントせず、カップリングは算出しなかった。
【0204】
(芳香族ビニル単量体ブロック(重合体ブロック(a))の分子量)
試料として、水素添加前のゴム状ブロック共重合体を用いて、Kolthoffの方法(I.M.KOLTHOFF,et al.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)により重合体を分解した。メタノールに不溶なポリスチレンの分子量(スチレンブロック重量平均分子量)を、上述のゴム状ブロック共重合体の重量平均分子量と同様の方法で測定した。
【0205】
(ゴム状ブロック共重合体のムーニー粘度)
ムーニー粘度計(上島製作所社製の商品名「VR1132」)を用い、ISO 289に準拠し、L形ローターを用いてゴム状ブロック共重合体のムーニー粘度を測定した。
測定温度は100℃とした。
まず、試料を1分間試験温度で予熱した後、ローターを2rpmで回転させ、4分後のトルクを測定してムーニー粘度(ML(1+4))とした。
【0206】
(ゴム状ブロック共重合体の変性率)
ゴム状ブロック共重合体の変性率は、カラム吸着GPC法で以下のとおり測定した。窒素原子含有官能基で変性したゴム状ブロック共重合体がカラムに吸着する特性を利用し、測定した。
試料及び低分子量内部標準ポリスチレンを含む試料溶液を、ポリスチレン系カラムで測定したクロマトグラムと、シリカ系カラムで測定したクロマトグラムと、の差分よりシリカ系カラムへの吸着量を測定し、ゴム状ブロック共重合体の変性率を求めた。
具体的には、以下に示すとおりゴム状ブロック共重合体の変性率を求めた。
試料溶液の調製 : 試料10mg及び標準ポリスチレン5mgを20mLのTHFに溶解させて、試料溶液とした。
5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを溶離液として用い、試料溶液20μLを装置に注入して測定した。カラムは、ガードカラム:東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperH-H」、カラム:東ソー社製の商品名「TSKgel SuperH5000」、「TSKgel SuperH6000」、「TSKgel SuperH7000」を使用した。カラムオーブン温度40℃、THF流量0.6mL/分の条件で、RI検出器(東ソー社製 HLC8020)を用いて測定しクロマトグラムを得た。
シリカ系カラムを用いたGPC測定条件:東ソー社製の商品名「HLC-8320GPC」を使用して、THFを溶離液として用い、試料溶液50μLを装置に注入し、カラムオーブン温度40℃、THF流量0.5mL/分の条件で、RI検出器を用いてクロマトグラムを得た。カラムは、商品名「Zorbax PSM-1000S」、「PSM-300S」、「PSM-60S」を接続して使用し、その前段にガードカラムとして商品名「DIOL 4.6×12.5mm 5micron」を接続して使用した。
変性率の計算方法 : ポリスチレン系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP1、標準ポリスチレンのピーク面積をP2、シリカ系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP3、標準ポリスチレンのピーク面積をP4として、下記式より変性率(%)を求めた。
変性率(%)=[1-(P2×P3)/(P1×P4)]×100
(ただし、P1+P2=P3+P4=100)
【0207】
(ゴム状ブロック共重合体のヨウ素価)
「JIS K 0070:1992」に記載の方法に準じてゴム状ブロック共重合体のヨウ素価を算出した。
【0208】
(ゴム状ブロック共重合体の結合スチレン量(ビニル芳香族単量体単位の含有量)、エチレン構造の割合、α-オレフィン量、共役ジエン構造の含有量)
試料として、ゴム状ブロック共重合体1H-NMR測定によって、結合スチレン量、エチレン構造の割合、α-オレフィン量、共役ジエン構造の割合を測定した。1H-NMR測定の条件を以下に記す。
(測定条件)
測定機器 :JNM-LA400(JEOL製)
溶媒 :重水素化クロロホルム
測定サンプル :ゴム状ブロック共重合体若しくは重合体ブロック
サンプル濃度 :50mg/mL
観測周波数 :400MHz
化学シフト基準:TMS(テトラメチルシラン)
パルスディレイ:2.904秒
スキャン回数 :64回
パルス幅 :45°
測定温度 :26℃
【0209】
(ゴム状ブロック共重合体のスチレンブロック量(ビニル芳香族単量体ブロックの割合))
スチレン構造単位が8個以上連なった連鎖をスチレンブロックとし、その割合を次のように求めた。重クロロホルムを溶媒として測定した400MHzの1H-NMRスペクトルから、以下の(X)の各化学シフト範囲の積分値割合を求め、ゴム状ブロック共重合体中に含まれるスチレンブロックの含量を求めた。
(X)芳香族ビニル化合物連鎖8以上: 6.00≦S<6.68
【0210】
(ビニル芳香族単量体ブロックの割合と、ビニル芳香族単量体単位の含有量との比)
前述の通り測定したビニル芳香族単量体ブロックの割合(以下「BS」と略す)と、ビニル芳香族単量体単位の含有量(以下「TS」と略す)から、その比(BS/TS)を求めた。
【0211】
(水分含有量)
ベール成形体中の水分含有量は、成形後24時間経過したベール成形体を半分に切断し、中央付近のゴム状ブロック共重合体を、ハロゲン水分計にて150℃で8分間加熱し、その質量減少量から算出した。
水分含有量(質量%)= 加熱前後におけるゴム状ブロック共重合体の質量減少量/加熱前のゴム状ブロック共重合体の質量 ×100
【0212】
(残溶剤含有量)
ベール成形体中の残溶剤含有量は、ヘッドスペース分析システムを用いて分析した。分析装置はヘッドスペースサンプラー(Agilent Technologies社製、「G1888」)及びガスクロマトグラフィー(Agilent Technologies社製「6890N」)を用いた。成形後24時間経過したベール成形体を半分に切断し、中央付近のゴム状ブロック共重合体0.1gを20mLのヘッドスペースボトルに封入し、ヘッドスペースサンプラーにて150℃で30分間加熱して加熱後の気相部分1mLをガスクロマトグラフ(GC)に注入した。あらかじめ作成したヘキサン濃度の検量線を用いて、各揮発成分の発生量をヘキサン換算で求めた。
【0213】
(耐コールドフロー性)
ベール成形体の耐コールドフロー性は、外気温25℃、湿度50%で5kgの荷重を掛けて72時間放置後の厚み(H60)から、前記厚みの変化率(%)を下式で計算した。
厚みの変化率(%)=(H0-H60)×100/H0
H0は、成形直後のベールの厚みを示す。
厚みの変化率(指数)が小さいほど保管中のゴムベールのコールドフローが小さくハンドリング性に優れることを示す。
指数が10未満であれば◎であり、10以上20未満であれば〇であり、20以上40未満であれば△、40以上であれば×とした。
実用上40未満であれば十分であり、20未満であることが好ましい。
【0214】
(水素添加触媒の調製)
後述する実施例及び比較例において、ゴム状ブロック共重合体を調製する際に用いる水素添加触媒を、下記の方法により調製した。
【0215】
(製造例1)
窒素置換した反応容器に乾燥及び精製したシクロヘキサン1リットルを仕込み、ビス(η5-シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn-ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させ水素添加触媒(TC-1)を得た。
【0216】
(ゴム状ブロック共重合体の重合)
(重合例1)ゴム状ブロック共重合体(重合体1)
内容積40Lで、撹持機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3-ブタジエンを3216g、スチレンを1084g、シクロヘキサンを25800g、及び、極性物質として、テトラヒドロフラン(THF)を3.10g、反応器へ入れ、反応器内温を45℃に保持した。さらに、重合開始剤として、n-ブチルリチウム4.10gを前記反応器に供給して重合反応を開始した。
重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、最終的な反応器内の温度は、85℃に達した。
反応器中のモノマーコンバージョンが99%に達してから、この重合体溶液に、反応停止剤としてメタノールを2.05g添加し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液を一部分析用に抜き出し、乾燥機で脱溶剤し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体を得た。前述の方法により、芳香族ビニル単量体(スチレン)ブロックの分子量を測定した。
その後、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液に、製造例1で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前のゴム状ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で70ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行い、ゴム状ブロック共重合体(重合体1)を得た。得られたゴム状ブロック共重合体(重合体1)のヨウ素価は40であった。
得られたゴム状ブロック共重合体(重合体1)の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6g及び4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加し、乾燥処理を施した。ゴム状ブロック共重合体(重合体1)を分析した結果を表1に示す。ゴム状ブロック共重合体の各成分の割合(質量%)、ゴム状ブロック共重合体のスチレンブロック量から、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の比率、各成分の割合(質量%)を算出した。
また、ゴム状ブロック共重合体(重合体1)の分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックIIであった。
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック。
【0217】
(重合例2)ゴム状ブロック共重合体(重合体2)
重合例1と同様の方法で、重合反応開始後、反応器中のモノマーコンバージョンが99%に達してから、この重合体溶液に、ジメチルジメトキシシラン4.4gを添加し、20分間、カップリング反応を実施した。この重合体溶液に、反応停止剤としてメタノール0.8gを添加し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液を一部分析用に抜き出し、乾燥機で脱溶剤し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体を得た。前述の方法により、芳香族ビニル単量体(スチレン)ブロックの分子量を測定した。
その後、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液に、製造例1で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前のゴム状ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で70ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行い、ゴム状ブロック共重合体(重合体2)を得た。得られたゴム状ブロック共重合体(重合体2)のヨウ素価は48であった。
得られたゴム状ブロック共重合体(重合体2)の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6g及び4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加し、乾燥処理を施した。ゴム状ブロック共重合体(重合体2)を分析した結果を表1に示す。ゴム状ブロック共重合体の各成分の割合(質量%)、ゴム状ブロック共重合体のスチレンブロック量から、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の比率、各成分の割合(質量%)を算出した。
また、ゴム状ブロック共重合体(重合体2)の分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックIIであった。
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック。
【0218】
(重合例3)ゴム状ブロック共重合体(重合体3)
重合例1と同様の方法で、重合反応開始後、反応器中のモノマーコンバージョンが99%に達してから、この重合体溶液に、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピルトリエトキシシラン11.2gを添加し、20分間、カップリング反応を実施した。この重合体溶液に、反応停止剤としてメタノール0.8gを添加し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液を一部分析用に抜き出し、乾燥機で脱溶剤し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体を得た。前述の方法により、芳香族ビニル単量体(スチレン)ブロックの分子量を測定した。
その後、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液に、製造例1で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前のゴム状ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で70ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行い、ゴム状ブロック共重合体(重合体3)を得た。得られたゴム状ブロック共重合体(重合体3)のヨウ素価は54であった。
得られたゴム状ブロック共重合体(重合体3)の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6g及び4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加し、乾燥処理を施した。ゴム状ブロック共重合体(重合体3)を分析した結果を表1に示す。ゴム状ブロック共重合体の各成分の割合(質量%)、ゴム状ブロック共重合体のスチレンブロック量から、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の比率、各成分の割合(質量%)を算出した。ゴム状ブロック共重合体(重合体3)は窒素原子を含有していた。
また、ゴム状ブロック共重合体(重合体3)の分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックIIであった。
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック。
【0219】
(重合例4)ゴム状ブロック共重合体(重合体4)
内容積40Lで、撹持機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3-ブタジエン2330g、スチレンを1694g、シクロヘキサンを25800g、極性物質として、テトラヒドロフラン(THF)を3.10g、及び、2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパンを2.41g、反応器へ入れ、反応器内温を35℃に保持した。さらに、重合開始剤として、n-ブチルリチウム2.42gを前記反応器に供給して重合反応を開始した。
重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、反応器中のモノマーコンバージョンが99%に達してから5分後に、スチレン276gを添加し、さらに反応させた。
最終的な反応器内の温度は、82℃に達した。この反応温度ピーク到達後から2分後に、反応停止剤としてメタノールを1.21g添加し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液を一部分析用に抜き出し、乾燥機で脱溶剤し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体を得た。前述の方法により、芳香族ビニル単量体(スチレン)ブロックの分子量を測定した。
その後、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液に、製造例1で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前のゴム状ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で70ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を60分間行い、ゴム状ブロック共重合体(重合体4)を得た。得られたゴム状ブロック共重合体(重合体4)のヨウ素価は16であった。
得られたゴム状ブロック共重合体(重合体4)の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加し、乾燥処理を施した。ゴム状ブロック共重合体(重合体4)を分析した結果を表1に示す。ゴム状ブロック共重合体の各成分の割合(質量%)、ゴム状ブロック共重合体のスチレンブロック量から、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の比率、各成分の割合(質量%)を算出した。
また、ゴム状ブロック共重合体(重合体4)の分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックIIであった。
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック。
【0220】
(重合例5)ゴム状ブロック共重合体(重合体5)
重合開始剤として、n-ブチルリチウム4.68g、極性物質として、2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパン4.67gを添加した以外は、重合例4と同様の方法で、重合反応開始後、同様にモノマーを添加し、反応器中のモノマーコンバージョンが99%に達してから、この重合体溶液に、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピルトリエトキシシラン8.3gを添加し、20分間、カップリング反応を実施した。この重合体溶液に、反応停止剤としてメタノール0.6g添加し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液を一部分析用に抜き出し、乾燥機で脱溶剤し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体を得た。前述の方法により、芳香族ビニル単量体(スチレン)ブロックの分子量を測定した。
その後、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液に、製造例1で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前のゴム状ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で70ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を60分間行い、ゴム状ブロック共重合体(重合体5)を得た。得られたゴム状ブロック共重合体(重合体5)のヨウ素価は20であった。
得られたゴム状ブロック共重合体(重合体5)の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加し、乾燥処理を施した。ゴム状ブロック共重合体(重合体5)を分析した結果を表1に示す。ゴム状ブロック共重合体の各成分の割合(質量%)、ゴム状ブロック共重合体のスチレンブロック量から、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の比率、各成分の割合(質量%)を算出した。ゴム状ブロック共重合体(重合体5)は窒素原子を含有していた。
また、ゴム状ブロック共重合体(重合体5)の分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックIIであった。
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック。
【0221】
(重合例6)ゴム状ブロック共重合体(重合体6)
内容積40Lで、撹持機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3-ブタジエンを3880g、スチレンを420g、シクロヘキサンを25800g、及び、極性物質として、テトラヒドロフラン(THF)を3.10g、反応器へ入れ、反応器内温を45℃に保持した。さらに、重合開始剤として、n-ブチルリチウム4.89gを前記反応器に供給して重合反応を開始した。
重合反応開始後、反応器中のモノマーコンバージョンが99%に達してから、この重合体溶液に、反応停止剤としてメタノールを2.44g添加し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液を一部分析用に抜き出し、乾燥機で脱溶剤し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体を得た。前述の方法により、芳香族ビニル単量体(スチレン)ブロックの分子量を測定した。
その後、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液に、製造例1で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前のゴム状ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で70ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行い、ゴム状ブロック共重合体(重合体6)を得た。得られたゴム状ブロック共重合体(重合体6)のヨウ素価は106であった。
得られたゴム状ブロック共重合体(重合体6)の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加し、乾燥処理を施した。ゴム状ブロック共重合体(重合体6)を分析した結果を表1に示す。ゴム状ブロック共重合体の各成分の割合(質量%)、ゴム状ブロック共重合体のスチレンブロック量から、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の比率、各成分の割合(質量%)を算出した。
また、ゴム状ブロック共重合体(重合体6)の分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックIIであった。
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック。
【0222】
(重合例7)ゴム状ブロック共重合体(重合体7)
内容積40Lで、撹持機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3-ブタジエンを2477g、スチレンを1,823g、シクロヘキサンを25800g、及び、極性物質として、テトラヒドロフラン(THF)を3.10g、反応器へ入れ、反応器内温を45℃に保持した。さらに、重合開始剤として、n-ブチルリチウム3.33gを前記反応器に供給して重合反応を開始した。
重合反応開始後、反応器中のモノマーコンバージョンが99%に達してから、この重合体溶液に、反応停止剤としてメタノールを1.66g添加し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液を一部分析用に抜き出し、乾燥機で脱溶剤し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体を得た。前述の方法により、芳香族ビニル単量体(スチレン)ブロックの分子量を測定した。
その後、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液に、製造例1で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前のゴム状ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で70ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行い、ゴム状ブロック共重合体(重合体7)を得た。得られたゴム状ブロック共重合体(重合体7)のヨウ素価は46であった。
得られたゴム状ブロック共重合体(重合体7)の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6g及び4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加し、乾燥処理を施した。ゴム状ブロック共重合体(重合体7)を分析した結果を表1に示す。ゴム状ブロック共重合体の各成分の割合(質量%)、ゴム状ブロック共重合体のスチレンブロック量から、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の比率、各成分の割合(質量%)を算出した。
また、ゴム状ブロック共重合体(重合体7)の分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックIIであった。
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック。
【0223】
(重合例8)ゴム状ブロック共重合体(重合体8)
重合例1と同様の方法で、重合反応開始後、反応器中のモノマーコンバージョンが99%に達してから、この重合体溶液に、反応停止剤としてメタノールを2.05g添加し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液を一部分析用に抜き出し、乾燥機で脱溶剤し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体を得た。前述の方法により、芳香族ビニル単量体(スチレン)ブロックの分子量を測定した。
その後、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液に、製造例1で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前のゴム状ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で70ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を30分間行い、ゴム状ブロック共重合体(重合体8)を得た。得られたゴム状ブロック共重合体(重合体8)のヨウ素価は208であった。
得られたゴム状ブロック共重合体(重合体8)の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6g及び4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加し、乾燥処理を施した。ゴム状ブロック共重合体(重合体8)を分析した結果を表1に示す。
ゴム状ブロック共重合体の各成分の割合(質量%)、ゴム状ブロック共重合体のスチレンブロック量から、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の比率、各成分の割合(質量%)を算出した。
また、ゴム状ブロック共重合体(重合体8)の分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックIIであった。
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック。
【0224】
(重合例9)ゴム状ブロック共重合体(重合体9)
極性物質として、2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパン6.91gをさらに追加した以外は、重合例1と同様の方法で、重合反応開始後、反応器中のモノマーコンバージョンが99%に達してから、この重合体溶液に、反応停止剤としてメタノールを2.05g添加し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液を一部分析用に抜き出し、乾燥機で脱溶剤し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体を得た。前述の方法により、芳香族ビニル単量体(スチレン)ブロックの分子量を測定した。
その後、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液に、製造例1で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前のゴム状ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で70ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を30分間行い、ゴム状ブロック共重合体(重合体9)を得た。得られたゴム状ブロック共重合体(重合体9)のヨウ素価は172であった。
得られたゴム状ブロック共重合体(重合体9)の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6g及び4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加し、乾燥処理を施した。ゴム状ブロック共重合体(重合体9)を分析した結果を表1に示す。ゴム状ブロック共重合体の各成分の割合(質量%)、ゴム状ブロック共重合体のスチレンブロック量から、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の比率、各成分の割合(質量%)を算出した。
また、ゴム状ブロック共重合体(重合体9)の分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックIIであった。
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック。
【0225】
(重合例10)ゴム状ブロック共重合体(重合体10)
重合開始剤のn-ブチルリチウムの添加量を1.68gにした以外は、重合例1と同様の方法で、重合反応開始後、反応器中のモノマーコンバージョンが99%に達してから、この重合体溶液に、反応停止剤としてメタノールを0.84g添加し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液を一部分析用に抜き出し、乾燥機で脱溶剤し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体を得た。前述の方法により、芳香族ビニル単量体(スチレン)ブロックの分子量を測定した。
その後、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液に、製造例1で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前のゴム状ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で70ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を30分間行い、ゴム状ブロック共重合体(重合体10)を得た。得られたゴム状ブロック共重合体(重合体10)のヨウ素価は197であった。
得られたゴム状ブロック共重合体(重合体10)の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加し、乾燥処理を施した。ゴム状ブロック共重合体(重合体10)を分析した結果を表1に示す。ゴム状ブロック共重合体の各成分の割合(質量%)、ゴム状ブロック共重合体のスチレンブロック量から、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の比率、各成分の割合(質量%)を算出した。
また、ゴム状ブロック共重合体(重合体10)の分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックIIであった。
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック。
【0226】
(重合例11)ゴム状ブロック共重合体(重合体11)
内容積40Lで、撹持機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3-ブタジエン3655g、シクロヘキサンを25800g、極性物質として、テトラヒドロフラン(THF)3.10gを反応器へ入れ、反応器内温を35℃に保持した。さらに、重合開始剤として、n-ブチルリチウム3.66gを前記反応器に供給して重合反応を開始した。
重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、反応器中のモノマーコンバージョンが99%に達してから5分後に、スチレン645gを添加し、さらに反応させた。
最終的な反応器内の温度は、80℃に達した。この反応温度ピーク到達後から2分後に、反応停止剤としてメタノールを1.83g添加し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液を一部分析用に抜き出し、乾燥機で脱溶剤し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体を得た。前述の方法により、芳香族ビニル単量体(スチレン)ブロックの分子量を測定した。
その後、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液に、製造例1で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前のゴム状ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で70ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行い、ゴム状ブロック共重合体(重合体11)を得た。得られたゴム状ブロック共重合体(重合体11)のヨウ素価は128であった。
得られたゴム状ブロック共重合体(重合体11)の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加し、乾燥処理を施した。ゴム状ブロック共重合体(重合体11)を分析した結果を表2に示す。ゴム状ブロック共重合体の各成分の割合(質量%)、ゴム状ブロック共重合体のスチレンブロック量から、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の比率、各成分の割合(質量%)を算出した。
また、ゴム状ブロック共重合体(重合体11)の分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックIであった。
ブロックI:エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造を含むブロック
【0227】
(重合例12)ゴム状ブロック共重合体(重合体12)
内容積40Lで、撹持機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3-ブタジエン3225g、シクロヘキサンを25800g、極性物質として、テトラヒドロフラン(THF)3.10gを反応器へ入れ、反応器内温を35℃に保持した。さらに、重合開始剤として、n-ブチルリチウム3.15gを前記反応器に供給して重合反応を開始した。
重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、反応器中のモノマーコンバージョンが99%に達してから5分後に、スチレン1075gを添加し、さらに反応させた。
最終的な反応器内の温度は、80℃に達した。この反応温度ピーク到達後から2分後に、反応停止剤としてメタノールを1.57g添加し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液を一部分析用に抜き出し、乾燥機で脱溶剤し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体を得た。前述の方法により、芳香族ビニル単量体(スチレン)ブロックの分子量を測定した。
その後、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液に、製造例1で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前のゴム状ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で70ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行い、ゴム状ブロック共重合体(重合体12)を得た。得られたゴム状ブロック共重合体(重合体12)のヨウ素価は113であった。
得られたゴム状ブロック共重合体(重合体12)の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加し、乾燥処理を施した。ゴム状ブロック共重合体(重合体12)を分析した結果を表2に示す。ゴム状ブロック共重合体の各成分の割合(質量%)、ゴム状ブロック共重合体のスチレンブロック量から、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の比率、各成分の割合(質量%)を算出した。
また、ゴム状ブロック共重合体(重合体12)の分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックIであった。
ブロックI:エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造を含むブロック
【0228】
(重合例13)ゴム状ブロック共重合体(重合体13)
内容積40Lで、撹持機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3-ブタジエン3677g、スチレンを366g、シクロヘキサンを25800g、極性物質として、テトラヒドロフラン(THF)を3.10g、及び、2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパン3.29gを反応器へ入れ、反応器内温を35℃に保持した。さらに、重合開始剤として、n-ブチルリチウム1.58gを前記反応器に供給して重合反応を開始した。
重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、反応器中のモノマーコンバージョンが99%に達してから5分後に、スチレン258gを添加し、さらに反応させた。
最終的な反応器内の温度は、85℃に達した。この反応温度ピーク到達後から2分後に、反応停止剤としてメタノールを0.79g添加し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液を一部分析用に抜き出し、乾燥機で脱溶剤し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体を得た。前述の方法により、芳香族ビニル単量体(スチレン)ブロックの分子量を測定した。
その後、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液に、製造例1で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前のゴム状ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で70ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行い、ゴム状ブロック共重合体(重合体13)を得た。得られたゴム状ブロック共重合体(重合体13)のヨウ素価は94であった。
得られたゴム状ブロック共重合体(重合体13)の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加し、乾燥処理を施した。ゴム状ブロック共重合体(重合体13)を分析した結果を表2に示す。ゴム状ブロック共重合体の各成分の割合(質量%)、ゴム状ブロック共重合体のスチレンブロック量から、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の比率、各成分の割合(質量%)を算出した。
また、ゴム状ブロック共重合体(重合体13)の分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックIIであった。
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック。
【0229】
(重合例14)ゴム状ブロック共重合体(重合体14)
2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパンを5.54gにした以外は重合例13と同様の方法重合を開始し、重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、反応器中のモノマーコンバージョンが99%に達してから5分後に、スチレン258gを添加し、さらに反応させた。
最終的な反応器内の温度は、87℃に達した。この反応温度ピーク到達後から2分後に、反応停止剤としてメタノールを0.79g添加し水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液を一部分析用に抜き出し、乾燥機で脱溶剤し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体を得た。前述の方法により、芳香族ビニル単量体(スチレン)ブロックの分子量を測定した。
その後、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液に、製造例1で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前のゴム状ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で70ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行い、ゴム状ブロック共重合体(重合体14)を得た。得られたゴム状ブロック共重合体(重合体14)のヨウ素価は95であった。
得られたゴム状ブロック共重合体(重合体14)の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加し、乾燥処理を施した。ゴム状ブロック共重合体(重合体14)を分析した結果を表2に示す。ゴム状ブロック共重合体の各成分の割合(質量%)、ゴム状ブロック共重合体のスチレンブロック量から、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の比率、各成分の割合(質量%)を算出した。
また、ゴム状ブロック共重合体(重合体14)の分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックIIであった。
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック。
【0230】
(重合例15)ゴム状ブロック共重合体(重合体15)
2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパンを8.89gにした以外は重合例13と同様の方法重合を開始し、重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、反応器中のモノマーコンバージョンが99%に達してから5分後に、スチレン258gを添加し、さらに反応させた。
最終的な反応器内の温度は、88℃に達した。この反応温度ピーク到達後から2分後に、反応停止剤としてメタノールを0.79g添加し水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液を一部分析用に抜き出し、乾燥機で脱溶剤し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体を得た。前述の方法により、芳香族ビニル単量体(スチレン)ブロックの分子量を測定した。
その後、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液に、製造例1で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前のゴム状ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で70ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行い、ゴム状ブロック共重合体(重合体15)を得た。得られたゴム状ブロック共重合体(重合体14)のヨウ素価は97であった。
得られたゴム状ブロック共重合体(重合体15)の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加し、乾燥処理を施した。ゴム状ブロック共重合体(重合体15)を分析した結果を表2に示す。ゴム状ブロック共重合体の各成分の割合(質量%)、ゴム状ブロック共重合体のスチレンブロック量から、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の比率、各成分の割合(質量%)を算出した。
また、ゴム状ブロック共重合体(重合体15)の分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックIIであった。
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック。
【0231】
(重合例16)ゴム状ブロック共重合体(重合体16)
内容積40Lで、撹持機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3-ブタジエン3818g、スチレンを353g、シクロヘキサンを25800g、極性物質として、テトラヒドロフラン(THF)を3.10g、及び、2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパン3.29gを反応器へ入れ、反応器内温を35℃に保持した。さらに、重合開始剤として、n-ブチルリチウム1.58gを前記反応器に供給して重合反応を開始した。
重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、反応器中のモノマーコンバージョンが99%に達してから5分後に、スチレン129gを添加し、さらに反応させた。
最終的な反応器内の温度は、83℃に達した。この反応温度ピーク到達後から2分後に、反応停止剤としてメタノールを0.79g添加し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液を一部分析用に抜き出し、乾燥機で脱溶剤し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体を得た。前述の方法により、芳香族ビニル単量体(スチレン)ブロックの分子量を測定した。
その後、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液に、製造例1で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前のゴム状ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で70ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行い、ゴム状ブロック共重合体(重合体16)を得た。得られたゴム状ブロック共重合体(重合体16)のヨウ素価は97であった。
得られたゴム状ブロック共重合体(重合体16)の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加し、乾燥処理を施した。ゴム状ブロック共重合体(重合体16)を分析した結果を表2に示す。ゴム状ブロック共重合体の各成分の割合(質量%)、ゴム状ブロック共重合体のスチレンブロック量から、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の比率、各成分の割合(質量%)を算出した。
また、ゴム状ブロック共重合体(重合体16)の分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックIIであった。
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック。
【0232】
(重合例17)ゴム状ブロック共重合体(重合体17)
重合例16と同様に重合を開始し、同様にスチレン129gを追加添加し、さらに反応させた。この反応温度ピーク到達後から2分後に、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを2.16g添加し、20分間、変性反応を実施した。この重合体溶液に反応停止剤としてメタノールを0.79g添加し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液を一部分析用に抜き出し、乾燥機で脱溶剤し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体を得た。前述の方法により、芳香族ビニル単量体(スチレン)ブロックの分子量を測定した。
その後、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液に、製造例1で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前のゴム状ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で70ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行い、ゴム状ブロック共重合体(重合体17)を得た。得られたゴム状ブロック共重合体(重合体17)のヨウ素価は98であった。
得られたゴム状ブロック共重合体(重合体17)の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加し、乾燥処理を施した。ゴム状ブロック共重合体(重合体17)を分析した結果を表2に示す。ゴム状ブロック共重合体の各成分の割合(質量%)、ゴム状ブロック共重合体のスチレンブロック量から、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の比率、各成分の割合(質量%)を算出した。
また、ゴム状ブロック共重合体(重合体17)の分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックIIであった。
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック。
【0233】
(重合例18)ゴム状ブロック共重合体(重合体18)
重合例13と同様に重合を開始し、同様にスチレン258gを追加添加し、さらに反応させた。この反応温度ピーク到達後から2分後に、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを1.40g添加し、20分間、変性反応を実施した。この重合体溶液に反応停止剤としてメタノールを0.79g添加し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液を一部分析用に抜き出し、乾燥機で脱溶剤し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体を得た。前述の方法により、芳香族ビニル単量体(スチレン)ブロックの分子量を測定した。
その後、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液に、製造例1で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前のゴム状ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で70ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行い、ゴム状ブロック共重合体(重合体18)を得た。得られたゴム状ブロック共重合体(重合体18)のヨウ素価は94であった。
得られたゴム状ブロック共重合体(重合体18)の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加し、乾燥処理を施した。ゴム状ブロック共重合体(重合体17)を分析した結果を表2に示す。ゴム状ブロック共重合体の各成分の割合(質量%)、ゴム状ブロック共重合体のスチレンブロック量から、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の比率、各成分の割合(質量%)を算出した。
また、ゴム状ブロック共重合体(重合体18)の分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックIIであった。
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック。
【0234】
(重合例19)ゴム状ブロック共重合体(重合体19)
1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンの添加量を2.11gに変えた以外は、重合例18と同様に、重合体溶液を得た。この重合体溶液に反応停止剤としてメタノールを0.79g添加し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液を一部分析用に抜き出し、乾燥機で脱溶剤し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体を得た。前述の方法により、芳香族ビニル単量体(スチレン)ブロックの分子量を測定した。
その後、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液に、製造例1で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前のゴム状ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で70ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行い、ゴム状ブロック共重合体(重合体19)を得た。得られたゴム状ブロック共重合体(重合体18)のヨウ素価は94であった。
得られたゴム状ブロック共重合体(重合体19)の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加し、乾燥処理を施した。ゴム状ブロック共重合体(重合体19)を分析した結果を表2に示す。ゴム状ブロック共重合体の各成分の割合(質量%)、ゴム状ブロック共重合体のスチレンブロック量から、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の比率、各成分の割合(質量%)を算出した。
また、ゴム状ブロック共重合体(重合体19)の分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックIIであった。
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック。
【0235】
(重合例20)ゴム状ブロック共重合体(重合体20)
内容積40Lで、撹持機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3-ブタジエン3677g、スチレンを366g、シクロヘキサンを25800g、極性物質として、テトラヒドロフラン(THF)を3.10g、及び、2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパン3.29g、また重合開始末端の変性剤としてピぺリジン1.68gを反応器へ入れ、反応器内温を35℃に保持した。さらに、重合開始剤として、n-ブチルリチウム1.58gを前記反応器に供給して重合反応を開始した。
重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、反応器中のモノマーコンバージョンが99%に達してから5分後に、スチレン258gを添加し、さらに反応させた。
最終的な反応器内の温度は、85℃に達した。この反応温度ピーク到達後から2分後に、反応停止剤としてメタノールを0.79g添加し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液を一部分析用に抜き出し、乾燥機で脱溶剤し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体を得た。前述の方法により、芳香族ビニル単量体(スチレン)ブロックの分子量を測定した。
その後、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液に、製造例1で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前のゴム状ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で70ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行い、ゴム状ブロック共重合体(重合体20)を得た。得られたゴム状ブロック共重合体(重合体20)のヨウ素価は92であった。
得られたゴム状ブロック共重合体(重合体20)の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加し、乾燥処理を施した。ゴム状ブロック共重合体(重合体20)を分析した結果を表2に示す。ゴム状ブロック共重合体の各成分の割合(質量%)、ゴム状ブロック共重合体のスチレンブロック量から、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の比率、各成分の割合(質量%)を算出した。
また、ゴム状ブロック共重合体(重合体20)の分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックIIであった。
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック。
【0236】
(重合例21)ゴム状ブロック共重合体(重合体21)
重合例1と同様の方法で、重合反応開始後、反応器中のモノマーコンバージョンが99%に達してから、この重合体溶液に、反応停止剤としてメタノールを2.05g添加し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体(重合体21)を得た。
得られたゴム状ブロック共重合体(重合体21)の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6g及び4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加し、乾燥処理を施した。得られたゴム状ブロック共重合体(重合体21)のヨウ素価は352であった。また、前述の方法により、芳香族ビニル単量体(スチレン)ブロックの分子量を測定した。ゴム状ブロック共重合体(重合体21)を分析した結果を表3に示す。ゴム状ブロック共重合体の各成分の割合(質量%)、ゴム状ブロック共重合体のスチレンブロック量から、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の比率、各成分の割合(質量%)を算出した。
また、ゴム状ブロック共重合体(重合体21)の分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックIIであった。
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック。
【0237】
(重合例22)ゴム状ブロック共重合体(重合体22)
内容積40Lで、撹持機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3-ブタジエンを2412g、スチレンを1888g、シクロヘキサンを25800g、及び、極性物質として、テトラヒドロフラン(THF)を3.10g、反応器へ入れ、反応器内温を45℃に保持した。さらに、重合開始剤として、n-ブチルリチウム3.29gを前記反応器に供給して重合反応を開始した。
重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、最終的な反応器内の温度は、85℃に達した。
反応器中のモノマーコンバージョンが99%に達してから、この重合体溶液に、反応停止剤としてメタノールを1.6g添加し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液を一部分析用に抜き出し、乾燥機で脱溶剤し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体を得た。前述の方法により、芳香族ビニル単量体(スチレン)ブロックの分子量を測定した。
その後、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液に、製造例1で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前のゴム状ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で70ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行い、ゴム状ブロック共重合体(重合体22)を得た。得られたゴム状ブロック共重合体(重合体22)のヨウ素価は49であった。
得られたゴム状ブロック共重合体(重合体22)の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加し、乾燥処理を施した。ゴム状ブロック共重合体(重合体22)を分析した結果を表3に示す。ゴム状ブロック共重合体の各成分の割合(質量%)、ゴム状ブロック共重合体のスチレンブロック量から、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の比率、各成分の割合(質量%)を算出した。
また、ゴム状ブロック共重合体(重合体22)の分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックIIであった。
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック。
【0238】
(重合例23)ゴム状ブロック共重合体(重合体23)
重合例4と同様の方法で、重合反応開始後、反応器中のモノマーコンバージョンが99%に達してから、この重合体溶液に、反応停止剤としてメタノールを1.21g添加し、ゴム状ブロック共重合体(重合体23)を得た。
得られたゴム状ブロック共重合体(重合体23)の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加し、乾燥処理を施した。得られたゴム状ブロック共重合体(重合体23)のヨウ素価は255であった。また、前述の方法により、芳香族ビニル単量体(スチレン)ブロックの分子量を測定した。ゴム状ブロック共重合体(重合体23)を分析した結果を表3に示す。ゴム状ブロック共重合体の各成分の割合(質量%)、ゴム状ブロック共重合体のスチレンブロック量から、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の比率、各成分の割合(質量%)を算出した。
また、ゴム状ブロック共重合体(重合体23)の分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックIIであった。
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック。
【0239】
(重合例24)ゴム状ブロック共重合体(重合体24)
内容積40Lで、撹持機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3-ブタジエンを3096g、スチレンを1204g、シクロヘキサンを25800g、極性物質として、テトラヒドロフラン(THF)を3.10g、及び2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパンを12.64g、反応器へ入れ、反応器内温を30℃に保持した。さらに、重合開始剤として、n-ブチルリチウム3.48gを前記反応器に供給して重合反応を開始した。
重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、最終的な反応器内の温度は、83℃に達した。
反応器中のモノマーコンバージョンが99%に達してから、この重合体溶液に、反応停止剤としてメタノールを1.74g添加し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液を一部分析用に抜き出し、乾燥機で脱溶剤し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体を得た。前述の方法により、芳香族ビニル単量体(スチレン)ブロックの分子量を測定した。
その後、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液に、製造例1で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前のゴム状ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で70ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を60分間行い、ゴム状ブロック共重合体(重合体24)を得た。得られたゴム状ブロック重合体(重合体14)のヨウ素価は101であった。
得られたゴム状ブロック共重合体(重合体24)の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加し、乾燥処理を施した。ゴム状ブロック共重合体(重合体24)を分析した結果を表3に示す。ゴム状ブロック共重合体の各成分の割合(質量%)、ゴム状ブロック共重合体のスチレンブロック量から、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の比率、各成分の割合(質量%)を算出した。
また、ゴム状ブロック共重合体(重合体24)の分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックIIであった。
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック。
【0240】
(重合例25)ゴム状ブロック共重合体(重合体25)
重合例3と同様の方法で、重合反応開始後、反応器中のモノマーコンバージョンが99%に達してから、この重合体溶液に、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピルトリエトキシシラン11.2gを添加し、20分間、カップリング反応を実施した。この重合体溶液に、反応停止剤としてメタノール0.8gを添加し、ゴム状ブロック共重合体(重合体15)を得た。
得られたゴム状ブロック共重合体(重合体25)の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加し、乾燥処理を施した。得られたゴム状ブロック共重合体(重合体25)のヨウ素価は352であった。また、前述の方法により、芳香族ビニル単量体(スチレン)ブロックの分子量を測定した。ゴム状ブロック共重合体(重合体25)を分析した結果を表3に示す。ゴム状ブロック共重合体の各成分の割合(質量%)、ゴム状ブロック共重合体のスチレンブロック量から、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の比率、各成分の割合(質量%)を算出した。ゴム状ブロック共重合体(重合体25)は窒素原子を含有していた。
また、ゴム状ブロック共重合体(重合体25)の分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックIIであった。
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック。
【0241】
(重合例26)ゴム状ブロック共重合体(重合体26)
内容積40Lで、撹持機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3-ブタジエン3677g、スチレンを624g、シクロヘキサンを25800g、極性物質として、テトラヒドロフラン(THF)を3.10g、及び、2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパン3.29gを反応器へ入れ、反応器内温を35℃に保持した。さらに、重合開始剤として、n-ブチルリチウム1.58gを前記反応器に供給して重合反応を開始した。
重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、最終的な反応器内の温度は、85℃に達した。この反応温度ピーク到達後から2分後に、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを2.25g添加し、20分間、変性反応を実施した。この重合体溶液に反応停止剤としてメタノールを0.79g添加し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液を一部分析用に抜き出し、乾燥機で脱溶剤し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体を得た。前述の方法により、芳香族ビニル単量体(スチレン)ブロックの分子量を測定した。
その後、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液に、製造例1で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前のゴム状ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で70ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行い、ゴム状ブロック共重合体(重合体26)を得た。得られたゴム状ブロック共重合体(重合体26)のヨウ素価は81であった。
得られたゴム状ブロック共重合体(重合体26)の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加し、乾燥処理を施した。ゴム状ブロック共重合体(重合体26)を分析した結果を表3に示す。ゴム状ブロック共重合体の各成分の割合(質量%)、ゴム状ブロック共重合体のスチレンブロック量から、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の比率、各成分の割合(質量%)を算出した。
また、ゴム状ブロック共重合体(重合体26)の分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックIIであった。
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック。
【0242】
(重合例27)ゴム状ブロック共重合体(重合体27)
内容積40Lで、撹持機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3-ブタジエン3879g、スチレンを335g、シクロヘキサンを25800g、極性物質として、テトラヒドロフラン(THF)を3.10g、及び、2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパン3.29gを反応器へ入れ、反応器内温を35℃に保持した。さらに、重合開始剤として、n-ブチルリチウム1.64gを前記反応器に供給して重合反応を開始した。
重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、反応器中のモノマーコンバージョンが99%に達してから5分後に、スチレン86gを添加し、さらに反応させた。
最終的な反応器内の温度は、83℃に達した。この反応温度ピーク到達後から2分後に、反応停止剤としてメタノールを0.82g添加し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液を一部分析用に抜き出し、乾燥機で脱溶剤し、水素添加前のゴム状ブロック共重合体を得た。前述の方法により、芳香族ビニル単量体(スチレン)ブロックの分子量を測定した。
その後、水素添加前のゴム状ブロック共重合体溶液に、製造例1で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前のゴム状ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で70ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行い、ゴム状ブロック共重合体(重合体27)を得た。得られたゴム状ブロック共重合体(重合体27)のヨウ素価は100であった。
得られたゴム状ブロック共重合体(重合体27)の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加し、乾燥処理を施した。ゴム状ブロック共重合体(重合体27)を分析した結果を表3に示す。ゴム状ブロック共重合体の各成分の割合(質量%)、ゴム状ブロック共重合体のスチレンブロック量から、重合体ブロック(a)及び重合体ブロック(b)の比率、各成分の割合(質量%)を算出した。
また、ゴム状ブロック共重合体(重合体27)の分子末端の少なくとも一つのブロックが、下記ブロックIIであった。
ブロックII:ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であり、かつ、ビニル芳香族単量体単位、エチレン構造、共役ジエン構造及びα-オレフィン構造からなるブロック。
【0243】
(ゴム状ブロック共重合体のベール成形体の製造方法)
[実施例1~20及び比較例1~7]
先述の重合例1~27に記載の方法で得た各ゴム状ブロック共重合体(重合体1~27)の溶液を用いて、具体的に下記の方法で乾燥処理及び成形を施し、ベール成形体を製造した。
まずゴム状ブロック共重合体の溶液を、15Lの撹拌機付き撹拌槽(攪拌翼回転速度:500rpm)を用いて、90℃の水温でスチームストリッピング法により溶媒を除去し、ゴム状ブロック共重合体の含水クラムを得た。得られた含水クラムを、真空乾燥機で80℃、4時間乾燥処理を行って乾燥クラムを得た。その後、寸法が長辺22cm、短辺11cm、深さ15cmの成形用金枠に、得られた乾燥クラム1100gを80℃に加温した状態で充填し、シリンダーで10MPaの圧力を2分間かけて圧縮することで、ゴム状ブロック共重合体のベール成形体を得た。
得られたベール成形体における残溶剤含有量及び水分含有量並びに耐コールドフロー性を上記の方法により測定した。測定結果を表1~3に示す。
【0244】
【0245】
【0246】
【0247】
[応用実施例1~12及び応用比較例1~5]
(ゴム組成物の調製、特性評価)
表1~3に示す、重合例1~12、21~25で得られたゴム状ブロック共重合体(重合体1~12、21~25)及び、ベール状のポリブタジエンゴムを原料ゴム成分として、以下に示す配合条件1に従い、各原料を以下の方法により混練りして、それぞれの原料ゴム成分を含有するゴム組成物を得た。得られたゴム組成物の特性を以下の方法により評価した。評価結果を表5に示す。
【0248】
(配合条件1)
各配合剤の添加量は、ゴム用軟化剤を含まないゴム成分100質量部に対する質量部数で示した。各原料の配合比を表4に示す。
【0249】
【0250】
(混練り方法)
上記した材料を次の方法により混練してゴム組成物を得た。温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.3L)を使用し、第一段の混練として、充填率65%、ローター回転数30~50rpmの条件で、ゴム状ブロック共重合体(重合体1~15)、ポリブタジエンゴム、充填剤(シリカ)、シランカップリング剤、亜鉛華、ステアリン酸を混練して各配合物を得た。このとき、密閉混合機の温度を制御し、排出温度は155~160℃とした。
次に、第二段の混練として、上記で得た配合物を室温まで冷却後、老化防止剤を加え、シリカの分散を向上させるため再度混練した。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155~160℃に調整した。冷却後、第三段の混練として、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤1及び2を加えて混練してゴム組成物を得た。その後、得られたゴム組成物を成型し、160℃で20分間、加硫プレスにて加硫して、加硫後のゴム組成物を得た。
【0251】
(ゴム組成物の特性の評価方法)
加硫前のゴム組成物、及び加硫後のゴム組成物の特性を評価した。具体的には、下記の方法により評価した。
【0252】
(評価1)加工性(ムーニー粘度)
上記で得た加硫前のゴム組成物を試料として、JIS K6300-1に準拠して、130℃、1分間の予熱を行った後に、ローターを毎分2回転で4分間回転させた後のムーニー粘度を測定した。各々の測定値は、応用比較例1のゴム組成物の結果を100として指数化した。指数が大きいほど加工性が良好であることを示し、当該指数が、80以上であれば実用上加工性に問題がないと評価した。
【0253】
(評価2)剛性(粘弾性パラメータ)
上記で得た加硫後のゴム組成物を試料として、レオメトリックス・サイエンティフィック社製の粘弾性試験機「ARES」を使用し、ねじりモードで粘弾性パラメータを測定した。各々の測定値は、応用比較例1のゴム組成物の結果を100として指数化した。
50℃において周波数10Hz、ひずみ3%で測定した貯蔵弾性率(G’)を剛性の指標とした。指数が大きいほど剛性が良好であることを示す。
【0254】
(評価3)破壊強度(引張強度)
上記で得た加硫後のゴム組成物を試料として、JIS K6251の引張試験法に準拠し、引張強度を測定した。各々の測定値は、応用比較例1のゴム組成物の結果を100として指数化した。指数が大きいほど引張強度が良好であり、破壊強度に優れることを示す。
【0255】
(評価4)耐摩耗性
上記で得た加硫後のゴム組成物を試料として、DIN摩耗試験機(上島製作所社製)を用いてJIS K6246-2のDIN摩耗試験法により耐摩耗性を測定した。各々の測定値は、応用比較例1のゴム組成物の結果を100として指数化した。指数が大きいほど耐摩耗性が良好であることを示す。
【0256】
【0257】
[応用実施例13、14及び応用比較例6]
(ゴム組成物の調製、特性評価)
表1~3に示す、重合例5、19、23で得られたゴム状ブロック共重合体(重合体5、19及び23)を原料ゴム成分として、以下に示す配合条件2に従い、各原料を以下の方法により混練りして、それぞれの原料ゴム成分を含有するゴム組成物を得た。得られたゴム組成物の特性は、各々の測定値を応用比較例6のゴム組成物の結果を100として指数化した以外は、上記と同様の方法により評価した。評価結果を表7に示す。
【0258】
(配合条件2)
各配合剤の添加量は、ゴム用軟化剤を含まないゴム成分100質量部に対する質量部数で示した。各原料の配合比を表6に示す。
【0259】
【0260】
(混練り方法)
上記した材料を次の方法により混練してゴム組成物を得た。温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.3L)を使用し、第一段の混練として、充填率65%、ローター回転数30~50rpmの条件で、ゴム状ブロック共重合体(重合体5又は13)、充填剤(シリカ及びカーボンブラック)、シランカップリング剤、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸を混練して各配合物を得た。このとき、密閉混合機の温度を制御し、排出温度は155~160℃とした。
次に、第二段の混練として、上記で得た配合物を室温まで冷却後、老化防止剤を加え、シリカの分散を向上させるため再度混練した。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155~160℃に調整した。冷却後、第三段の混練として、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤1及び2を加えて混練してゴム組成物を得た。その後、得られたゴム組成物を成型し、160℃で20分間、加硫プレスにて加硫して、加硫後のゴム組成物を得た。
【0261】
【0262】
[応用実施例15~23及び応用比較例7~9]
(ゴム組成物の調製、特性評価)
表1~3に示す、重合例4、13~20で得られたゴム状ブロック共重合体(重合体4、13~20)及び重合例23、26、27で得られたゴム状ブロック共重合体(重合体23、26,27)を原料ゴム成分として、以下に示す配合条件3に従い、各原料を以下の方法により混練りして、それぞれの原料ゴム成分を含有するゴム組成物を得た。得られたゴム組成物の特性は、各々の測定値を応用比較例7のゴム組成物の結果を100として指数化した以外は、上記と同様の方法、及び下記に示す評価方法5、6により評価した。評価結果を表9に示す。
【0263】
(配合条件3)
各配合剤の添加量は、ゴム用軟化剤を含まないゴム成分100質量部に対する質量部数で示した。各原料の配合比を表8に示す。
【0264】
【0265】
(混練り方法)
上記した材料を次の方法により混練してゴム組成物を得た。温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.3L)を使用し、第一段の混練として、充填率65%、ローター回転数50~90rpmの条件で、ゴム成分(ゴム状ブロック共重合体、天然ゴム、ポリブタジエンゴム)、充填剤(カーボンブラック)、プロセスオイル、ステアリン酸、老化防止剤及びワックスを混練して各配合物を得た。このとき、密閉混合機の温度を制御し、排出温度は155~160℃とした。
次に、第二段の混練として、上記で得た配合物を室温まで冷却後、シリカの分散を向上させるため再度混練した。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155~160℃に調整した。冷却後、第三段の混練として、70℃に設定したオープンロールにて、亜鉛華、加硫促進剤及び硫黄を加えて混練してゴム組成物を得た。その後、得られたゴム組成物を成型し、160℃で20分間、加硫プレスにて加硫して、加硫後のゴム組成物を得た。
【0266】
(評価5)省燃費性
得られた加硫ゴム組成物を試料として、レオメトリックス・サイエンティフィック社製の粘弾性試験機「ARES」を使用し、ねじりモードで粘弾性パラメータを測定した。
50℃において周波数10Hz、歪3%で測定したtanδを省燃費性の指標とした。
各々の測定値を用い、測定結果をまとめた。各々の測定値は、応用比較例7のゴム組成物の結果を100として指数化した。指数が大きいほど省燃費性に優れることを示す。
【0267】
(評価6)耐オゾン性
得られた加硫ゴム組成物を用いて、以下に示す試験法で耐オゾン性を測定した。
<耐オゾン性の評価>
160℃で15~30分間の条件で、所定の金型(縦15cm×横15cm×厚み2.0mm)により加硫プレスした加硫ゴムシートから、短冊状サンプル(長さ6cm×幅1cm×厚み2.0mm)を打ち抜き、オゾン槽(50℃、100pphm)に入れ、40%伸張の状態で48時間静置した。その後、短冊状サンプル(加硫ゴムシート)を観察し、表面に存在する長さ1mm以上の亀裂の個数を数えた。そして、以下の基準により評価した。評価結果を表9に示す(耐オゾン性)。
[判定基準]
×:加硫ゴムシートが破断
△:1mm以上の亀裂が21個以上
○:1mm以上の亀裂が10個以上20個以下
◎:1mm以上の亀裂が10個未満
【0268】
【0269】
表5、7、9に示すとおり、応用実施例1~23のゴム組成物は、応用比較例1~9のゴム組成物に比較して、加工性、剛性、破壊強度及び耐摩耗性のバランスに優れることが確認された。
【0270】
本出願は、2020年9月28日出願の日本特許出願(特願2020-161660号)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0271】
本発明に係るゴム状ブロック共重合体のベール成形体は、自動車タイヤ用途、履物用途、防振ゴム用途等の分野に利用できる。