(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】データ作成装置およびデータ作成システム
(51)【国際特許分類】
B29C 45/76 20060101AFI20240910BHJP
B22D 17/32 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B29C45/76
B22D17/32 Z
(21)【出願番号】P 2022553874
(86)(22)【出願日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 JP2021034929
(87)【国際公開番号】W WO2022071077
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-04-05
(31)【優先権主張番号】P 2020164626
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】今井 友介
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-151622(JP,A)
【文献】国際公開第2014/192048(WO,A1)
【文献】特開2019-077075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/76
B22D 17/32
B22D 46/00
G09G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形機に設定される成形条件のデータ
である成形条件データを含む成形条件ファイルを記憶する記憶部と
、
前記射出成形機の表示器に
表示される画面であり、前記成形条件
データが書き込まれた成形条件画面
を作成し、作成した前記成形条件画面を所定の画像ファイル形式のデータである画像データ
に変換するとともに、前記画像データを識別するためのデータである指標データを作成
し、前記画像データと前記指標データとを互いに対応付けて前記記憶部に記憶される前記成形条件ファイルに保存するデータ作成部と、
を備える、データ作成装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ作成装置であって、
前記記憶部は、前記射出成形機に現在設定されている前記成形条件のデータを含む前記成形条件ファイルと、前記射出成形機に過去に設定された前記成形条件のデータを含む前記成形条件ファイルと、のうちの少なくとも一方を記憶する、データ作成装置。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載のデータ作成装置であって、
前記指標データは、前記成形条件画面の画面名称である、データ作成装置。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1項に記載のデータ作成装置であって、
前記データ作成部は
、複数の前記成形条件画面の前記画像データと
、複数の前記指標データを作成する、データ作成装置。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載のデータ作成装置であって、
前記データ作成部と前記記憶部は、前記射出成形機の制御装置に設けられる、データ作成装置。
【請求項6】
請求項
5に記載のデータ作成装置であって、
前記指標データおよび前記画像データを前記射出成形機の前記表示器に表示させる表示制御部を備え、
前記表示制御部は、前記表示器に表示された前記指標データの中から、オペレータが操作部を操作することによって選択された前記指標データに対応する前記画像データを表示させる、データ作成装置。
【請求項7】
請求項1~
4のいずれか1項に記載のデータ作成装置であって、
前記データ作成部と前記記憶部は、複数の前記射出成形機を管理する管理装置に設けられる、データ作成装置。
【請求項8】
請求項
7に記載のデータ作成装置であって、
前記射出成形機の前記表示器とは異なる第2の表示器と、
前記指標データおよび前記画像データを前記第2の表示器に表示させる表示制御部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記第2の表示器に表示された前記指標データの中から、オペレータが操作部を操作することによって選択された前記指標データに対応する前記画像データを表示させる、データ作成装置。
【請求項9】
請求項1~
4のいずれか1項に記載のデータ作成装置と、表示装置とを備えるデータ作成システムであって、
前記表示装置は、
前記射出成形機の前記表示器とは異なる第2の表示器と、
前記指標データおよび前記画像データを前記第2の表示器に表示させる表示制御部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記第2の表示器に表示された前記指標データの中から、オペレータが操作部を操作することによって選択された前記指標データに対応する前記画像データを表示させる、データ作成システム。
【請求項10】
射出成形機の制御装置と、前記制御装置と通信可能に接続される管理装置とを備えるデータ作成システムであって、
前記射出成形機に設定される成形条件のデータ
である成形条件データを含む成形条件ファイルを記憶する記憶部と
、
前記射出成形機の表示器に
表示される画面であり、前記成形条件
データが書き込まれた成形条件画面
を作成し、作成した前記成形条件画面を所定の画像ファイル形式のデータである画像データ
に変換するとともに、前記画像データを識別するためのデータである指標データを作成
し、前記画像データと前記指標データとを互いに対応付けて前記記憶部に記憶される前記成形条件ファイルに保存するデータ作成部と、
を備える、データ作成システム。
【請求項11】
請求項
10に記載のデータ作成システムであって、
前記記憶部は、前記制御装置または前記管理装置に設けられ、
前記データ作成部は、前記制御装置または前記管理装置に設けられる、データ作成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを作成するデータ作成装置と、データ作成装置を備えるデータ作成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機のオペレータは、射出成形機に数値データ等を入力することによって成形条件を設定する。特開2019-77075号公報には、射出成形機の表示器に過去に設定された成形条件を表示させる表示制御装置が開示される。
【発明の概要】
【0003】
パーソナルコンピュータ、またはモバイル端末等の端末装置によって、射出成形機の成形条件を表示させたいという要望がある。上記特開2019-77075号公報で示される表示制御装置の機能を様々な端末装置によって実現するためには、端末装置のOS毎に、特別なソフトウェアが必要となる。このソフトウェアは、成形条件のデータを用いることによって、射出成形機の表示器に表示させる表示画面と同一の表示画面を、端末装置の表示器に表示させる。そのような特別なソフトウェアを端末装置毎に搭載するためには、多大な工数とコストが必要となる。
【0004】
そこで、本発明は、射出成形機の成形条件を様々な端末装置によって容易に表示することができるようにするデータ作成装置およびデータ作成システムを提供することを目的とする。
【0005】
本発明の第1の態様は、射出成形機に設定される成形条件のデータを含む成形条件ファイルを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶される前記成形条件ファイルに基づいて、前記射出成形機の表示器に前記成形条件を表示した場合の成形条件画面の画像データと、前記画像データで表される前記成形条件の内容を示す指標データを作成するデータ作成部と、を備える。
【0006】
本発明の第2の態様は、第1の態様のデータ作成装置と、表示装置とを備えるデータ作成システムであって、前記表示装置は、前記射出成形機の前記表示器とは異なる第2の表示器と、前記指標データおよび前記画像データを前記第2の表示器に表示させる表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記第2の表示器に表示された前記指標データの中から、オペレータが操作部を操作することによって選択された前記指標データに対応する前記画像データを表示させる。
【0007】
本発明の第3の態様は、射出成形機の制御装置と、前記制御装置と通信可能に接続される管理装置とを備えるデータ作成システムであって、前記射出成形機に設定される成形条件のデータを含む成形条件ファイルを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶される前記成形条件ファイルに基づいて、前記射出成形機の表示器に前記成形条件を表示した場合の成形条件画面の画像データと、前記画像データで表される前記成形条件の内容を示す指標データを作成するデータ作成部と、を備える。
【0008】
本発明によれば、射出成形機の成形条件を様々な端末装置によって容易に表示することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るデータ作成装置の機能ブロックを示す図である。
【
図2】
図2は、成形条件ファイルの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、表示制御部が画像データ群および指標データ群に基づいて表示させる画面を示す図である。
【
図4】
図4は、データ作成装置を有する射出成形機の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、射出成形システムの構成を示す図である。
【
図6】
図6は、データ作成装置を有する管理装置の構成を示す図である。
【
図7】
図7は、データ作成システムの構成の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、データ作成処理の処理フローを示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、画面表示処理の処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明によるデータ作成装置およびデータ作成システムについて、好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下に詳細に説明する。
【0011】
[1 データ作成装置10の構成]
一般にオペレータは、射出成形機50(
図4)を動作させる際に、射出成形機50の表示器56(
図4)に成形条件を所定のレイアウトによって表示させる。成形条件とは、例えば、射出圧力、射出速度、射出温度等のように、成形動作を行うために必要な数値データおよび文字データのことをいう。以下で説明するデータ作成装置10は、成形条件が書き込まれた成形条件画面38(
図3)の画像データ30a(
図2)を作成する。画像データ30aは、射出成形機50の表示器56だけでなく、様々な装置によって表示可能である。
【0012】
図1は、本実施形態に係るデータ作成装置10の機能ブロックを示す。データ作成装置10は、操作部12と、データ作成部14と、記憶制御部16と、表示制御部18と、表示部20と、記憶部22とを備える。
【0013】
操作部12は、オペレータが行う操作に応じた信号をデータ作成部14と記憶制御部16とに出力する。データ作成部14は、記憶部22に記憶される成形条件ファイル26に基づいて、画像データ群30および指標データ群32を作成する。画像データ群30と指標データ群32は、複数の成形条件画面38に対応する。記憶制御部16は、画像データ群30に含まれる複数の画像データ30a(
図2)と指標データ群32に含まれる複数の指標データ32a(
図2)とを互いに対応付けて記憶部22に記憶させる。表示制御部18は、各種の画面を表示部20に表示させる。例えば、表示制御部18は、
図3に示されるツリー画面36および成形条件画面38を、表示部20に表示させる。表示部20は、ツリー画面36および成形条件画面38の他に、様々な画面を表示する。
【0014】
記憶部22は、画面作成ソフトウェア24と成形条件ファイル26とを記憶する。画面作成ソフトウェア24は、射出成形機50の表示器56に表示される成形条件の表示画面と同一の画面を作成するためのソフトウェアである。画面作成ソフトウェア24は、射出成形機50で使用されるソフトウェアと同じであってもよい。通常、成形条件の設定項目は多岐にわたることから、成形条件の表示時には複数の表示画面が使用される。このため、画面作成ソフトウェア24は、成形条件毎に複数の表示画面を作成するように構成される。
【0015】
図2は、成形条件ファイル26の構成を示す。成形条件ファイル26は、成形される製品毎に、または使用される金型毎に、または射出成形機50毎に作成される。成形条件ファイル26には、成形条件データ28が含まれる。また、
図2に示されるように、成形条件ファイル26には、データ作成装置10によって作成された画像データ群30が含まれてもよい。成形条件ファイル26には、データ作成装置10によって作成された指標データ群32が含まれてもよい。これにより、画像データ30aと指標データ32aとが互いに対応付けられる。以下で、画像データ30aと指標データ32aとが互いに対応付けられている成形条件ファイル26の説明をする。
【0016】
成形条件データ28は、成形条件の数値データおよび成形条件の文字データ等を含むデータである。成形条件データ28は、オペレータが射出成形機50に成形条件を設定することによって作成される。成形条件データ28に含まれる各データは、そのデータの設定時に使用される表示画面の情報(画面名称およびグループ名称)と対応付けられている。
【0017】
画像データ群30は、複数の画像データ30aを含む。画像データ30aは、成形条件の数値データと成形条件の文字データとが表示画面に書き込まれた1つの成形条件画面38の画像データである。上記したように、通常、成形条件を表示するためには複数の表示画面が使用される。表示画面毎に成形条件画面38が作成されるため、1つの成形条件ファイル26には複数の成形条件画面38に対応する複数の画像データ30aが含まれる。各画像データ30aは、公知のビューワで表示される形式で保存される。例えば、各画像データ30aは、JPG形式、PNG形式等で保存される。
【0018】
指標データ群32は、複数の指標データ32aを含む。指標データ32aは、画像データ30a毎に作成される。各指標データ32aは、画像データ30aに基づいて表示される成形条件画面38の画面名称と、その成形条件画面38が属するグループのグループ名称と、を定義する。画面名称は、画像データ30aで表される成形条件の内容を示す指標である。この指標によって個々の画像データ30aが識別可能となる。指標データ群32は、公知のデータフォーマットで表示される形式で記述される。例えば、指標データ群32は、xml、json等のデータ記述言語で記述される。
【0019】
図2では、PNG形式の画像データ群30と、jsonで記述された指標データ群32とが示される。
図2に示される指標データ32aは、画面Aの画像データ30aに基づいて表示される成形条件画面38が、「段取り」というグループ(group)に属していることを定義する。また、
図2に示される指標データ32aは、画面Aの画像データ30aに基づいて表示される成形条件画面38が、「金型ファイル」という画面名称(name)であることを定義する。また、
図2に示される指標データ32aは、画面Bの画像データ30aに基づいて表示される成形条件画面38が、「段取り」というグループに属していることを定義する。また、
図2に示される指標データ32aは、画面Bの画像データ30aに基づいて表示される成形条件画面38が、「簡易設定」という画面名称であることを定義する。
【0020】
成形条件ファイル26に含まれるデータのうち、成形条件データ28は、オペレータが射出成形機50に成形条件を設定することによって作成される。一方、画像データ群30および指標データ群32は、オペレータがデータ作成装置10に下記[3]で説明するデータ作成処理を実行させることによって作成される。つまり、成形条件データ28の作成時期と画像データ群30および指標データ群32の作成時期とは必ずしも同時ではない。このため、成形条件ファイル26に成形条件データ28のみが含まれ、画像データ群30および指標データ群32が含まれない場合もある。この場合、後に、画像データ群30および指標データ群32は成形条件ファイル26に保存される。画像データ群30および指標データ群32は別ファイルに保存されてもよい。
【0021】
上記したように、成形条件ファイル26は、製品毎、金型毎および射出成形機50毎に作成される。つまり、成形条件ファイル26は、過去から現在に至るまで複数種類作成される。記憶部22は、1以上の射出成形機50に現在設定されている成形条件データ28を含む成形条件ファイル26と、1以上の射出成形機50に過去に設定された成形条件データ28を含む成形条件ファイル26と、のうちの少なくとも一方を記憶する。
【0022】
図3は、表示制御部18が画像データ群30および指標データ群32に基づいて表示させる画面を示す。ツリー画面36と成形条件画面38とは、同一の表示領域34内に互いに隣接して表示される。
【0023】
ツリー画面36は、表示領域34のうちの左側に表示される。ツリー画面36は、指標データ群32に基づいて表示される画面である。ツリー画面36では、画面名称(金型ファイル、射出計量、・・・)をグループ名称(段取り、射出、・・・)毎に分類したツリーが表示される。ツリー画面36が表示された状態で、オペレータが操作部12を操作することによって、画面名称の1つを選択することができる。オペレータの選択に応じて、表示領域34には、選択された画面名称に対応する成形条件画面38が表示される。
【0024】
成形条件画面38は、表示領域34のうちの右側に表示される。成形条件画面38は、1つの画像データ30aに基づいて表示される画面である。画像データ30aはJPG形式またはPNG形式等である。このため、成形条件画面38内で成形条件データ28の変更および削除はできない。
【0025】
画像データ30aは、公知のビューワによって表示可能な形式、例えばJPG形式またはPNG形式等で保存される。本実施形態によれば、成形条件ファイル26が公知のビューワによって表示可能な画像形式に変換される。本実施形態によれば、成形条件ファイル26が公知のフォーマットに変換される。このため、射出成形機50の成形条件を様々な端末装置によって容易に表示することができる。
【0026】
[2 データ作成装置10を備える装置およびデータ作成装置10を備えるシステム]
本実施形態に係るデータ作成装置10は、独立した1つの装置に設けられてもよい。本実施形態に係るデータ作成装置10は、複数の装置に跨って設けられてもよい。以下で、データ作成装置10を備える具体的な装置およびデータ作成装置10を備えるシステムを例示する。なお以下で説明される第1例~第3例では、上記実施形態と同一の構成要素に同一の符号が付されている。また、各例で同一の構成要素に同一の符号が付されている。
【0027】
[2-1 第1例]
データ作成装置10は、射出成形機50に設けられてもよい。第1例として、データ作成装置10を有する射出成形機50を説明する。
【0028】
図4は、データ作成装置10を有する射出成形機50の構成を示す。射出成形機50は、操作盤52と、制御装置54と、表示器56とを有する。また、射出成形機50は、図示しない射出装置および図示しない型締装置を有する。
【0029】
操作盤52は、タッチパネルと操作スイッチのうちの少なくとも1つを有する。操作盤52は、操作部12として機能する。制御装置54は、成形条件に基づいて射出装置の動作を制御し且つ成形条件に基づいて型締装置の動作を制御するCNC装置である。制御装置54は、演算装置58および記憶装置60を有する。演算装置58は、CPU等のプロセッサを有する。演算装置58は、記憶装置60に記憶されるプログラムを実行することによって、データ作成部14と記憶制御部16と表示制御部18として機能する。記憶装置60は、例えばRAM、ROM等を有する。記憶装置60は、記憶部22として機能する。表示器56は、例えば液晶表示器である。表示器56は、表示部20として機能する。
【0030】
[2-2 第2例]
図5は、射出成形システム64の構成を示す。射出成形システム64は、複数の射出成形機50と、管理装置66と、ネットワーク68とを有する。複数の射出成形機50の各々と管理装置66とは、ネットワーク68を介して相互に通信可能に接続される。ネットワーク68は、LANである。ネットワーク68は、インターネットでもよい。
【0031】
射出成形システム64において、データ作成装置10は、管理装置66に設けられてもよい。第2例として、データ作成装置10を有する管理装置66を説明する。
【0032】
図6は、データ作成装置10を有する管理装置66の構成を示す。管理装置66は、各射出成形機50の各データ(成形条件データ28を含む)を集約して管理する。管理装置66は、入力装置70と、制御装置72と、表示器74(第2の表示器)とを有する。管理装置66は、例えばパーソナルコンピュータである。管理装置66は、サーバであってもよい。なお、管理装置66は、クラウドコンピューティングによって形成されてもよい。
【0033】
入力装置70は、キーボードおよびマウスを有する。入力装置70は、操作部12として機能する。制御装置72は、演算装置76および記憶装置78を有する。演算装置76は、CPU等のプロセッサを有する。演算装置76は、記憶装置78に記憶されるプログラムを実行することによって、データ作成部14と記憶制御部16と表示制御部18として機能する。記憶装置78は、例えばRAM、ROM等を有する。記憶装置78は、記憶部22として機能する。表示器74は、例えば液晶表示器である。表示器74は、表示部20として機能する。
【0034】
[2-3 第3例]
本明細書では、データ作成装置10が設けられる射出成形システム64を、データ作成システム80とも称する。つまり、第1例の射出成形機50と、第2例の管理装置66を有する射出成形システム64と、はデータ作成システム80でもある。
【0035】
データ作成システム80においては、データ作成装置10の複数の機能部は、ネットワーク68に接続される複数の装置に跨って設けられてもよい。すなわち、データ作成システム80においては、操作部12と、データ作成部14と、記憶制御部16と、表示制御部18と、表示部20と、記憶部22とが、ネットワーク68に接続される複数の装置に跨って設けられてもよい。
【0036】
図7は、データ作成システム80の構成の一例を示す。第3例のデータ作成システム80においては、複数の射出成形機50と、管理装置66と、表示装置82と、がネットワーク68に接続される。複数の射出成形機50の各々と、管理装置66と、表示装置82とは、ネットワーク68を介して互いに通信可能である。
【0037】
表示装置82は、入力装置84と、制御装置86と、表示器(第2の表示器)88とを備える。表示装置82は、例えばパーソナルコンピュータまたはモバイル端末である。表示装置82と複数の射出成形機50の各々と、管理装置66とは、ネットワーク68を介して相互に通信可能に接続される。
【0038】
入力装置84は、キーボード、マウス、タッチパネル等を有する。入力装置84は、画面表示処理時に使用される操作部12として機能する(下記[4]参照)。制御装置86は、演算装置90および記憶装置92を有する。演算装置90は、CPU等のプロセッサを有する。演算装置90は、記憶装置92に記憶されるプログラムを実行することによって、表示制御部18として機能する。記憶装置92は、例えばRAM、ROM等を有する。表示器88は、例えば液晶表示器である。表示器88は、画面表示処理時に使用される表示部20として機能する(下記[4]参照)。射出成形機50の記憶装置60(
図4)または管理装置66の記憶装置78(
図6)は、記憶部22として機能する。
【0039】
制御装置86(表示制御部18)は、管理装置66の記憶装置78から成形条件ファイル26を受信する。制御装置86(表示制御部18)は、入力装置84(操作部12)によって行われる操作に応じて、表示器88(表示部20)にツリー画面36を表示させ、更に表示器88(表示部20)に成形条件画面38を表示させる。
【0040】
[3 データ作成処理]
図8は、データ作成処理の処理フローを示すフローチャートである。
図8を用いて、成形条件ファイル26に基づいて画像データ30aを作成する処理を説明する。この処理を、データ作成処理と称する。データ作成処理は、オペレータが、操作部12を用いて所定の操作を行うことによって開始される。例えば、オペレータは、操作部12を用いて、記憶部22に記憶される1以上の成形条件ファイル26の中から、画像データ群30を作成したい成形条件ファイル26を選択する。その後、オペレータは、操作部12を用いて、データ作成処理の開始操作を行う。
【0041】
ステップS1において、データ作成部14は、オペレータによって選択された成形条件ファイル26を記憶部22から取り出す。この段階で、選択された成形条件ファイル26には、成形条件データ28が含まれる。その一方で、選択された成形条件ファイル26には、画像データ群30および指標データ群32は含まれていない。ステップS1が終了すると、処理はステップS2に移行する。
【0042】
ステップS2において、データ作成部14は、取り出した成形条件ファイル26に含まれる成形条件データ28に基づいて複数の画像データ30aを作成する。ここで、データ作成部14は、画面作成ソフトウェア24を使用して、成形条件の各表示画面に成形条件ファイル26の成形条件データ28を書き込む。これにより、データ作成部14は、複数の成形条件画面38に対応する複数の画像データ30aを作成する。ステップS2が終了すると、処理はステップS3に移行する。
【0043】
ステップS3において、データ作成部14は、複数の指標データ32aを作成する。データ作成部14は、成形条件データ28に含まれる表示画面の情報(画面名称およびグループ名称)を参照する。データ作成部14は、作成した各画像データ30aに、グループ名称と画面名称とを対応付けて複数の指標データ32aを作成する。ステップS3が終了すると、処理はステップS4に移行する。
【0044】
ステップS4において、記憶制御部16は、成形条件ファイル26の中に、作成した複数の画像データ30aと複数の指標データ32aを記憶させる。以上の処理によって、
図2に示される成形条件ファイル26が作成される。ステップS4が終了すると、データ作成処理は終了する。
【0045】
[4 画面表示処理]
図9は、画面表示処理の処理フローを示すフローチャートである。
図9を用いて、成形条件ファイル26に基づいて成形条件画面38を表示する処理を説明する。この処理を、画面表示処理と称する。画面表示処理は、オペレータが、操作部12を用いて所定の操作を行うことによって開始される。例えば、オペレータは、操作部12を用いて、記憶部22に記憶される1以上の成形条件ファイル26の中から、成形条件画面38を表示したい成形条件ファイル26を選択する。その後、オペレータは、操作部12を用いて、画面表示処理の開始操作を行う。
【0046】
ステップS11において、表示制御部18は、オペレータによって選択された成形条件ファイル26を記憶部22から取り出す。ステップS11が終了すると、処理はステップS12に移行する。
【0047】
ステップS12において、表示制御部18は、成形条件ファイル26の指標データ群32に基づいて、表示部20の表示領域34にツリー画面36を表示させる。ツリー画面36において、各指標はツリー表示される。ステップS12において、表示制御部18は、指標データ群32のビューワ機能を有するブラウザを使用する。ステップS12が終了すると、処理はステップS13に移行する。
【0048】
ステップS13において、表示制御部18は、画面名称(指標)が選択されたか否かを判定する。オペレータは、操作部12を操作することによって、ツリー画面36に表示される画面名称(指標)の中から1つの画面名称(指標)を選択することができる。画面名称(指標)が選択された場合(ステップS13:YES)、処理はステップS14に移行する。一方、画面名称(指標)が選択されない場合(ステップS13:NO)、ステップS13の判定は継続して実行される。
【0049】
ステップS14において、表示制御部18は、選択された画面名称(指標)に対応する画像データ30aに基づいて、表示部20に成形条件画面38を表示させる。ステップS14において、表示制御部18は、画像データ30aのビューワ機能を有するブラウザを使用する。更に、表示制御部18は、ツリー画面36において、選択された画面名称(指標)の表示形態(例えば色等)を変える。
【0050】
以上の処理により、表示部20の表示領域34にツリー画面36および成形条件画面38が表示される。更に、オペレータが別の画面名称(指標)を選択すると、表示部20の表示領域34に表示される成形条件画面38は、当初の画面から別の画面に遷移する。
【0051】
[5 実施形態から得られる発明]
上記実施形態から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0052】
本発明の第1の態様は、射出成形機(50)に設定される成形条件のデータ(28)を含む成形条件ファイル(26)を記憶する記憶部(22)と、前記記憶部に記憶される前記成形条件ファイルに基づいて、前記射出成形機の表示器(56)に前記成形条件を表示した場合の成形条件画面(38)の画像データ(30a)と、前記画像データで表される前記成形条件の内容を示す指標データ(32a)を作成するデータ作成部(14)と、を備える。
【0053】
第1の態様において、前記記憶部は、前記射出成形機に現在設定されている前記成形条件のデータを含む前記成形条件ファイルと、前記射出成形機に過去に設定された前記成形条件のデータを含む前記成形条件ファイルと、のうちの少なくとも一方を記憶してもよい。
【0054】
第1の態様において、前記データ作成部が作成した前記画像データと前記指標データとを対応付けて前記記憶部に記憶させる記憶制御部(16)を備えてもよい。
【0055】
第1の態様において、前記記憶制御部は、前記データ作成部が作成した前記画像データと前記指標データとを前記成形条件ファイルの中に記憶させてもよい。
【0056】
第1の態様において、前記指標データは、前記成形条件画面の画面名称であってもよい。
【0057】
第1の態様において、前記データ作成部は、前記成形条件を設定する際に前記表示器に表示される表示画面に前記成形条件が書き込まれた前記成形条件画面の前記画像データを作成してもよい。
【0058】
第1の態様において、前記データ作成部は、前記記憶部に記憶される前記成形条件ファイルに基づいて、前記表示器に前記成形条件を表示した場合の複数の前記成形条件画面の前記画像データと、複数の前記画像データで表される前記成形条件の内容を示す複数の前記指標データを作成してもよい。
【0059】
第1の態様において、前記データ作成部と前記記憶部は、前記射出成形機の制御装置(54)に設けられてもよい。
【0060】
第1の態様において、前記指標データおよび前記画像データを前記射出成形機の前記表示器に表示させる表示制御部(18)を備え、前記表示制御部は、前記表示器に表示された前記指標データの中から、オペレータが操作部(12)を操作することによって選択された前記指標データに対応する前記画像データを表示させてもよい。
【0061】
第1の態様において、前記データ作成部と前記記憶部は、複数の前記射出成形機を管理する管理装置(66)に設けられてもよい。
【0062】
第1の態様において、前記射出成形機の前記表示器とは異なる第2の表示器(74)と、前記指標データおよび前記画像データを前記第2の表示器に表示させる表示制御部(18)と、を備え、前記表示制御部は、前記第2の表示器に表示された前記指標データの中から、オペレータが操作部を操作することによって選択された前記指標データに対応する前記画像データを表示させてもよい。
【0063】
本発明の第2の態様は、第1の態様のデータ作成装置(10)と、表示装置(82)とを備えるデータ作成システム(80)であって、前記表示装置は、前記射出成形機の前記表示器(56)とは異なる第2の表示器(88)と、前記指標データ(32a)および前記画像データ(30a)を前記第2の表示器に表示させる表示制御部(18)と、を備え、前記表示制御部は、前記第2の表示器に表示された前記指標データの中から、オペレータが操作部(12)を操作することによって選択された前記指標データに対応する前記画像データを表示させる。
【0064】
本発明の第3の態様は、射出成形機(50)の制御装置(54)と、前記制御装置と通信可能に接続される管理装置(66)とを備えるデータ作成システム(80)であって、前記射出成形機に設定される成形条件のデータ(28)を含む成形条件ファイル(26)を記憶する記憶部(22)と、前記記憶部に記憶される前記成形条件ファイルに基づいて、前記射出成形機の表示器(56)に前記成形条件を表示した場合の成形条件画面(38)の画像データ(30a)と、前記画像データで表される前記成形条件の内容を示す指標データ(32a)を作成するデータ作成部(14)と、を備える。
【0065】
第3の態様において、前記データ作成部が作成した前記画像データと前記指標データとを対応付けて前記記憶部に記憶させる記憶制御部(16)を備えてもよい。
【0066】
第3の態様において、前記記憶部は、前記制御装置または前記管理装置に設けられ、前記データ作成部は、前記制御装置または前記管理装置に設けられてもよい。
【0067】
第1~第3の態様において作成される画像データ30aは、一般に使用されているビューワの機能を有するブラウザ等を使用することによって表示することができる。このため、第1~第3の態様によれば、射出成形機50の成形条件を様々な端末装置によって容易に表示することができる。
【0068】
なお、本発明に係るデータ作成装置およびデータ作成システムは、前述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。