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特許7553586肝硬変の治療のための金クラスター(AuCs)及び組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】肝硬変の治療のための金クラスター(AuCs)及び組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/242 20190101AFI20240910BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
A61K33/242
A61P1/16
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022555677
(86)(22)【出願日】2020-10-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-25
(86)【国際出願番号】 CN2020124285
(87)【国際公開番号】W WO2021184762
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/079499
(32)【優先日】2020-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521313935
【氏名又は名称】武漢広行科学研究有限公司
【氏名又は名称原語表記】WUHAN VAST CONDUCT SCIENCE FOUNDATION CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 506, Building 1, Optics Valley International Biomedical Enterprise Accelerator, No. 388 Gaoxin 2nd Road, Donghu New Technology Development Zone Wuhan, Hubei 430070 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】スゥン、タオレイ
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-525708(JP,A)
【文献】特表2019-533636(JP,A)
【文献】特開2003-055215(JP,A)
【文献】国際公開第2003/055481(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/010485(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/33-33/44
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肝硬変を治療するための医薬組成物であって、前記医薬組成物は、リガンド結合金クラスターを含み、前記リガンド結合金クラスターが、
金コアと、
金コアに結合したリガンドと
を含み、
前記金コアは、直径が0.5~3nmであ
前記リガンドが、L-システインとその誘導体、D-システインとその誘導体、システイン含有オリゴペプチドとそれらの誘導体、およびその他のチオール含有化合物からなる群より選ばれる一つであり、
前記L-システインとその誘導体は、L-システイン、N-イソブチリル-L-システイン(L-NIBC)、およびN-アセチル-L-システイン(L-NAC)からなる群より選ばれ、そして前記D-システインとその誘導体は、D-システイン、N-イソブチリル-D-システイン(D-NIBC)、およびN-アセチル-D-システイン(D-NAC)からなる群より選ばれ、
前記システイン含有オリゴペプチドとそれらの誘導体は、システイン含有ジペプチド、システイン含有トリペプチドまたはシステイン含有テトラペプチドである、
医薬組成物。
【請求項2】
前記金コアは、直径が0.5~2.6nmである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記システイン含有ジペプチドは、L(D)-システイン-L(D)-アルギニンジペプチド(CR)、L(D)-アルギニン-L(D)-システインジペプチド(RC)、L(D)-ヒスチジン-L(D)-システインジペプチド(HC)、およびL(D)-システイン-L(D)-ヒスチジンジペプチド(CH)からなる群より選ばれる、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記システイン含有トリペプチドは、グリシン-L(D)-システイン-L(D)-アルギニントリペプチド(GCR)、L(D)-プロリン-L(D)-システイン-L(D)-アルギニントリペプチド(PCR)、L(D)-リシン-L(D)-システイン-L(D)-プロリントリペプチド(KCP)、およびL(D)-グルタチオン(GSH)からなる群より選ばれる、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記システイン含有テトラペプチドは、グリシン-L(D)-セリン-L(D)-システイン-L(D)-アルギニンテトラペプチド(GSCR)、およびグリシン-L(D)-システイン-L(D)-セリン-L(D)-アルギニンテトラペプチド(GCSR)からなる群より選ばれる、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記その他のチオール含有化合物は、1-[(2S)-2-メチル-3-チオール-1-オキソプロピル]-L(D)-プロリン、チオグリコール酸、メルカプトエタノール、チオフェノール、D-ペニシラミン、N-(2ーメルカプトプロピオニル)-グリシン、およびドデシルメルカプタンからなる群より選ばれる、請求項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肝硬変の治療の技術分野に関し、特に肝硬変の治療のためのリガンド結合金クラスター(AuCs)及び前記リガンド結合AuCsを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
肝臓は、ヒト体内の最大の固形臓器であり、凝固、酸素輸送、および免疫系を補助する血液タンパク質の製造、過剰の栄養素の貯蔵および一部の栄養素の血流への返送、食品を消化するための胆汁の製造、グリコーゲンとしての糖(グルコース)の体における蓄積の補助、薬物およびアルコールを含む血流中の有害物質からの生体保護、および飽和脂肪の分解とコレステロールの生成、を含む多くの重要な機能を実行する。
【0003】
肝硬変は、肝臓に対する長期間の連続的損傷により長年にわたって進行していく、緩徐進行性疾患である。肝硬変の進行と共に、健康な肝臓組織は徐々に破壊され、瘢痕組織に置き換われる。瘢痕組織は、肝臓を通過する血液の流れを遮断し、栄養、ホルモン、薬物および天然毒素を処理する肝臓の能力を低下させる。また、肝臓によって作られたタンパク質および他の物質の生成を減少させる。肝硬変は、最終的に、肝臓移植が必要とする肝不全および/または肝臓癌につながる可能性がある。
【0004】
肝硬変の初期段階では、肝臓補償機能が強いため、明らかな症状はない。後期において、症状は、肝臓機能障害、門脈圧亢進、上部消化管出血、肝性脳症、二次感染、脾臓機能亢進、腹水、癌化および他の合併症を含む。肝硬変は、漸進的な肝臓の変形および硬化から生じる。組織病理学的には、肝硬変は、広範な肝細胞壊死、残留肝細胞の結節状再生、結合組織の過形成および線維性中隔の生成を特徴とし、肝小葉構造の破壊および偽小葉の形成をもたらす。
【0005】
肝硬変にはさまざまな原因がある。肝硬変を有する一部の人々の肝臓損傷は1つ以上の原因によるものである。肝硬変の一般的な原因は、長期間のアルコール乱用、B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスの重複感染、脂肪性肝疾患、毒性金属、遺伝子疾患、栄養障害、工業性毒物、麻薬、循環障害、代謝障害、胆汁うつ滞、住血吸虫症などを含む。
【0006】
肝硬変は、多くの検査/技術により診断することができる。例えば、血液検査において、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)およびアルカリホスファターゼ(ALP)を含む肝臓酵素及びビリルビンのレベルが増加し、血液タンパク質のレベルが減少する場合、肝硬変を示唆し得る。
【0007】
現在、治療は、その原因に対処することによって肝硬変の進行を遅延させることができるが、肝硬変のための特定の処置は存在しない。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、対象における肝硬変を治療するためのリガンド結合金クラスターを提供する。
【0009】
本発明の肝硬変を治療するための医薬組成物を提供する特定の実施形態では、前記医薬組成物は、リガンド結合金クラスターを含み、前記リガンド結合金クラスターは、金コアと、前記金コアに結合したリガンドとを含む。
【0010】
前記医薬組成物の特定の実施形態では、前記金コアは、直径が0.5~3nmである。特定の実施形態では、前記金コアは、直径が0.5~2.6nmである。
【0011】
前記医薬組成物の特定の実施形態では、前記リガンドは、L-システインとその誘導体、D-システインとその誘導体、システイン含有オリゴペプチドとそれらの誘導体、およびその他のチオール含有化合物からなる群より選ばれる一つである。
【0012】
前記医薬組成物の特定の実施形態では、前記L-システインとその誘導体は、L-システイン、N-イソブチリル-L-システイン(L-NIBC)、およびN-アセチル-L-システイン(L-NAC)からなる群より選ばれ、そしてD-システインとその誘導体が、D-システイン、N-イソブチリル-D-システイン(D-NIBC)、およびN-アセチル-D-システイン(D-NAC)からなる群より選ばれる。
【0013】
前記医薬組成物の特定の実施形態では、前記システイン含有オリゴペプチドとそれらの誘導体は、システイン含有ジペプチド、システイン含有トリペプチドまたはシステイン含有テトラペプチドである。
【0014】
前記医薬組成物の特定の実施形態では、前記システイン含有ジペプチドは、L(D)-システイン-L(D)-アルギニンジペプチド(CR)、L(D)-アルギニン-L(D)-システインジペプチド(RC)、L(D)-ヒスチジン-L(D)-システインジペプチド(HC)、およびL(D)-システイン-L(D)-ヒスチジンジペプチド(CH)からなる群より選ばれる。
【0015】
前記医薬組成物の特定の実施形態では、前記システイン含有トリペプチドは、グリシン-L(D)-システイン-L(D)-アルギニントリペプチド(GCR)、L(D)-プロリン-L(D)-システイン-L(D)-アルギニントリペプチド(PCR)、L(D)-リシン-L(D)-システイン-L(D)-プロリントリペプチド(KCP)、およびL(D)-グルタチオン(GSH)からなる群より選ばれる。
【0016】
前記医薬組成物の特定の実施形態では、前記システイン含有テトラペプチドは、グリシン-L(D)-セリン-L(D)-システイン-L(D)-アルギニンテトラペプチド(GSCR)、およびグリシン-L(D)-システイン-L(D)-セリン-L(D)-アルギニンテトラペプチド(GCSR)からなる群より選ばれる。
【0017】
前記医薬組成物の特定の実施形態では、前記その他のチオール含有化合物は、1-[(2S)-2-メチル-3-チオール-1-オキソプロピル]-L(D)-プロリン、チオグリコール酸、メルカプトエタノール、チオフェノール、D-ペニシラミン、N-(2ーメルカプトプロピオニル)-グリシン、およびドデシルメルカプタンからなる群より選ばれる。
【0018】
本発明の目的および利点は、添付の図面に関連するその好ましい実施形態の以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
次に、本発明による好ましい実施形態を、同様の参照番号が同様の要素を示す図を参照して説明する。
【0020】
図1】様々な粒子サイズのリガンドL-NIBCで修飾された金ナノ粒子(L-NIBC-AuNPs)の紫外線可視(UV)スペクトル、透過型電子顕微鏡(TEM)画像および粒子サイズ分布図を示す。
【0021】
図2】様々な粒子サイズのリガンドL-NIBC結合金クラスター(L-NIBC-AuCs)の紫外線可視(UV)スペクトル、TEM画像および粒子サイズ分布図を示す。
【0022】
図3】様々な粒子サイズのL-NIBC-AuCsの赤外線スペクトルを示す。
【0023】
図4】リガンドCR結合金クラスター(CR-AuCs)のUVスペクトル、赤外線スペクトル、TEM画像、および粒子サイズ分布図を示す。
【0024】
図5】リガンドRC結合金クラスター(RC-AuCs)のUVスペクトル、赤外線スペクトル、TEM画像、および粒子サイズ分布図を示す。
【0025】
図6】リガンド1-[(2S)-2-メチル-3-チオール-1-オキソプロピル]-L-プロリン(即ち、Cap)結合金クラスター(Cap-AuCs)のUVスペクトル、赤外線スペクトル、TEM画像、および粒子サイズ分布図を示す。
【0026】
図7】リガンドGSH結合金クラスター(GSH-AuCs)のUVスペクトル、赤外線スペクトル、TEM画像、および粒子サイズ分布図を示す。
【0027】
図8】リガンドD-NIBC結合金クラスター(D-NIBC-AuCs)のUVスペクトル、赤外線スペクトル、TEM画像、および粒子サイズ分布図を示す。
【0028】
図9】リガンドL-システイン結合金クラスター(L-Cys-AuCs)のUVスペクトル、赤外線スペクトル、TEM画像、および粒子サイズ分布図を示す。
【0029】
図10】1)空白対照群、2)モデル群、3)ソラフェニブで治療した陽性群、4)A-01低用量群、5)A-01高用量群、6)A-02低用量群、および7)A-02高用量群を示す、肝硬変モデルマウスにおける血清中の(A)ALT、(B)AST、(C)TBIL、(D)MAOおよび(E)ALBのレベルに対する様々な用量のA-01およびA-02の効果を示す棒グラフである。
【0030】
図11】1)空白対照群、2)モデル群、3)ソラフェニブで治療した陽性群、4)B-01低用量群、5)B-01高用量群、6)B-02低用量群、および7)B-02高用量群を示す、肝硬変モデルマウスにおける血清中の(A)ALT、(B)AST、(C)TBIL、(D)MAOおよび(E)ALBのレベルに対する様々な用量のB-01およびB-02の効果を示す棒グラフである。
【0031】
図12】1)空白対照群、2)モデル群、3)ソラフェニブで治療した陽性群、4)薬物C高用量群を示す、肝硬変モデルマウスにおける血清中の(A)ALT、(B)AST、(C)TBIL、(D)MAOおよび(E)ALBレベルに対する高用量のCの効果を示す棒グラフである。
【0032】
図13】(A)空白対照群;(B)モデル群;(C)陽性対照群;(D)A-01低用量群;(E)A-01高用量群のHE染色画像を示す。
【0033】
図14】1)空白対照群、2)モデル群、3)D薬物群、4)E薬物群、および5)F薬物群を示す、肝硬変モデルマウスにおける血清中の(A)ALT、(B)AST、(C)TBIL、(D)MAOおよび(E)ALBのレベルに対するD、EおよびF薬物の効果を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、以下の本発明の特定の実施形態に対する詳細な説明を参照することによって、より容易に理解することができる。
【0035】
本出願全体において、刊行物が参照される。これらの刊行物の開示は、本発明が属する技術の現状をより十分に説明するために、参照によりその全体が本出願に組み込まれる。
【0036】
金クラスター(AuCs)は、金原子と金ナノ粒子の間にある特殊な形態の金である。AuCsは、サイズが3nm未満であり、数個から数百個の金原子で構成されているため、金ナノ粒子の面心立方積層構造が崩壊する。その結果、AuCsは、金ナノ粒子の連続又は準連続エネルギー準位とは異なり、違うHOMO-LUMOギャップを持つ分子のような離散化した電子構造を示す。これにより、従来の金ナノ粒子が持つ表面プラズモン共鳴効果と、uv-visスペクトルでの対応するプラズモン共鳴吸収帯(520±20nm)が消失する。
【0037】
本発明は、リガンド結合AuCを提供する。
【0038】
特定の実施形態では、前記リガンド結合AuCは、リガンドと、金コアとを含み、前記リガンドが前記金コアに結合している。前記リガンドと金コアとの結合とは、リガンドが、共有結合、水素結合、静電気力、疎水性力(hydrophobic force)、ファンデルワールス力等を介して金コアと溶液中で安定している複合体を形成することを意味する。特定の実施形態では、前記金コアの直径が、0.5~3nmの範囲にある。特定の実施形態では、前記金コアの直径が0.5~2.6nmの範囲にある。
【0039】
特定の実施形態では、前記リガンド結合AuCの前記リガンドが、チオール含有化合物またはオリゴペプチドである。特定の実施形態では、前記リガンドが、Au-S結合を介して金コアに結合してリガンド結合AuCを形成する。
【0040】
特定の実施形態では、前記リガンドが、L-システイン、D-システイン、またはシステイン誘導体であるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、前記システイン誘導体が、N-イソブチリル-L-システイン(L-NIBC)、N-イソブチリル-D-システイン(D-NIBC)、N-アセチル-L-システイン(L-NAC)、またはN-アセチル-D-システイン(D-NAC)である。
【0041】
特定の実施形態では、前記リガンドが、システイン含有オリゴペプチドとその誘導体であるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、前記システイン含有オリゴペプチドが、システイン含有ジペプチドである。特定の実施形態では、前記システイン含有ジペプチドが、L(D)-システイン-L(D)-アルギニンジペプチド(CR)、L(D)-アルギニン-L(D)-システインジペプチド(RC)、またはL(D)-システイン-L(D)-ヒスチジンジペプチド(CH)である。特定の実施形態では、前記システイン含有オリゴペプチドが、システイン含有トリペプチドである。特定の実施形態では、前記システイン含有トリペプチドが、グリシン-L(D)-システイン-L(D)-アルギニントリペプチド(GCR)、L(D)-プロリン-L(D)-システイン-L(D)-アルギニントリペプチド(PCR)、またはL-グルタチオン(GSH)である。特定の実施形態では、前記システイン含有オリゴペプチドが、システイン含有テトラペプチドである。特定の実施形態では、前記システイン含有テトラペプチドが、グリシン-L(D)-セリン-L(D)-システイン-L(D)-アルギニンテトラペプチド(GSCR)またはグリシン-L(D)-システイン-L(D)-セリン-L-アルギニンテトラペプチド(GCSR)である。
【0042】
特定の実施形態では、前記リガンドが、チオール含有化合物である。特定の実施形態では、チオール含有化合物が、1-[(2S)-2-メチル-3-チオール-1-オキソプロピル]-L-プロリン、チオグリコール酸、メルカプトエタノール、チオフェノール、D-ペニシラミン、またはドデシルメルカプタンである。
【0043】
本発明は、対象における肝硬変の治療のための医薬組成物を提供する。特定の実施形態では、前記対象が、人である。特定の実施形態では、前記対象が、犬のようなペット動物である。
【0044】
特定の実施形態では、前記医薬組成物が、上文で開示されたリガンド結合AuCと、薬理学的に許容される賦形剤とを含む。特定の実施形態では、前記賦形剤が、リン酸緩衝液、または生理食塩水である。
【0045】
本発明は、対象における肝硬変の治療のための医薬の製造における上文で開示されたリガンド結合AuCの使用を提供する。
【0046】
本発明は、対象における肝硬変の治療のための上文で開示されたリガンド結合AuCsの使用、または上文で開示されたリガンド結合AuCsを使用して対象における肝硬変を治療する方法を提供する。特定の実施形態では、前記治療方法は、前記対象に薬学的に有効な量のリガンド結合AuCsを投与することを含む。前記薬学的に有効な量は、通常の体内研究によって確認することができる。
【0047】
以下の実施例は、本発明の原理を説明することのみを目的として提供されている。それらは、決して本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
【0048】
実施形態
【0049】
実施形態1. リガンド結合AuCsの製造
【0050】
1.1 HAuClをメタノール、水、エタノール、n-プロパノール、又は酢酸エチルに溶解して、HAuCl濃度0.01~0.03Mの溶液Aが得られた。
【0051】
1.2 リガンドを溶媒に溶解して、リガンド濃度0.01~0.18Mの溶液Bが得られた。前記リガンドは、L-システイン、D-システイン、及び、N-イソブチリル-L-システイン(L-NIBC)、N-イソブチリル-D-システイン(D-NIBC)、N-アセチル-L-システイン(L-NAC)、及びN-アセチル-D-システイン(D-NAC)等のその他のシステイン誘導体;システイン含有オリゴペプチドとそれらの誘導体(L(D)-システイン-L(D)-アルギニンジペプチド(CR)、L(D)-アルギニン-L(D)-システインジペプチド(RC)、L(D)-システイン-L(D)-ヒスチジン(CH)、グリシン-L(D)-システイン-L(D)-アルギニントリペプチド(GCR)、L(D)-プロリン-L(D)-システイン-L(D)-アルギニントリペプチド(PCR)、L(D)-グルタチオン(GSH)、グリシン-L(D)-セリン-L(D)-システイン-L(D)-アルギニンテトラペプチド(GSCR)及びグリシン-L(D)-システイン-L(D)-セリン-L(D)-アルギニンテトラペプチド(GCSR)等の、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド及びその他のシステイン含有ペプチドを含むが、これらに限定されない);及び1-[(2S)-2-メチル-3-チオール-1-オキソプロピル]-L(D)-プロリン、チオグリコール酸、メルカプトエタノール、チオフェノール、D-ペニシラミン及びドデシルメルカプタンのうちの一つ又は複数等のその他のチオール含有化合物を含むが、これらに限定されない。前記溶媒は、メタノール、酢酸エチル、水、エタノール、n-プロパノール、ペンタン、ギ酸、酢酸、ジエチルエーテル、アセトン、アニソール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、ペンタノール、酢酸ブチル、t-ブチルメチルエーテル、酢酸イソプロピル、ジメチルスルホキシド、ギ酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸メチル、2-メチル-1-プロパノール及び酢酸プロピルのうちの一つ又は複数であった。
【0052】
1.3 HAuClとリガンドとのモル比が1:(0.01~100)となるように、溶液Aと溶液Bを混合して、氷浴において0.1~48時間撹拌し、0.025~0.8M NaBHの水、エタノール又はメタノール溶液を加えて、氷水浴において引き続き撹拌し、そして0.1~12時間反応させた。NaBHとリガンドとのモル比は、1:(0.01~100)であった。
【0053】
1.4 反応終了した後、MWCOが3K~30Kの限外ろ過チューブを使用して、8000~17500r/分の勾配で反応溶液を10~100分間遠心することにより、異なる平均粒子サイズを有するリガンド結合AuC沈殿を得た。異なるMWCOの限外ろ過チューブのろ過メンブレンの開きは、直接的に、前記メンブレンを通過できるリガンド結合AuCsのサイズを決定した。当該ステップは、任意に省略されてもよい。
【0054】
1.5 ステップ(1.4)で得られた異なる平均粒子サイズを有するリガンド結合AuCs沈殿を水に溶解し、透析バッグに投入し、そして水において室温で1~7日間透析した。
【0055】
1.6 透析後、リガンド結合AuCsを12~24時間凍結乾燥して、粉末状又は凝集状物質であるリガンド結合AuCsを得た。
【0056】
測定からわかるように、前記方法により得られた粉末状又は凝集状物質の粒子サイズは、3nm未満であった(全体的に、0.5~2.6nmにわたって分布した)。520nmで明らかな吸収ピークがなかった。得られた粉末又は凝集体がリガンド結合AuCsであったことが特定された。
【0057】
実施形態2. 異なるリガンドが結合されたAuCsの製造及び同定
【0058】
2.1 L-NIBC結合AuCs、即ち、L-NIBC-AuCsの製造
【0059】
リガンドであるL-NIBCを例とし、L-NIBCが結合したAuCsの製造及び確認について以下で詳細に説明する。
【0060】
2.1.1 1.00gのHAuClを量り、そして100mLのメタノールに溶解して、0.03Mの溶液Aを得た。
【0061】
2.1.2 0.57gのL-NIBCを量り、そして100mLの氷酢酸(酢酸)に溶解して、0.03Mの溶液Bを得た。
【0062】
2.1.3 1mLの溶液Aを量り、0.5mL、1mL、2mL、3mL、4mL、又は5mLの溶液Bとそれぞれ混合し(すなわち、HAuClとL-NIBCとのモル比が、それぞれ、1:0.5、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5であった。)、氷浴において撹拌しながら2時間反応させ、溶液が明るい黄色から無色になると、速やかに1mLの新たに製造された0.03M(11.3mgのNaBHを量り、そして10mLのエタノールに溶解することにより製造された。)のNaBHエタノール溶液を加えて、溶液が濃褐色になった後、引き続き30分間反応し、そして10mLのアセトンを加えて反応を停止した。
【0063】
2.1.4 反応後、反応溶液に対して勾配遠心を行い、異なる粒子サイズを有するL-NIBC-AuCs粉末を得た。具体的な方法は以下のとおりである。即ち、反応完了後、反応溶液を30KのMWCO及び50mLの体積を有する限外ろ過チューブに転移し、10000r/分で20分間遠心し、そして内チューブ中の保持液(retentate)を超純水に溶解して、約2.6nmの粒子サイズを有する粉末を得た。その後、外チューブ中の混合液を50mLの体積及び10KのMWCOを有する限外ろ過チューブに転移し、13,000r/分で30分間遠心した。内チューブ中の保持液を超純水に溶解して、約1.8nmの粒子サイズを有する粉末を得た。その後、外チューブ中の混合液を50mLの体積及び3KのMWCOを有する限外ろ過チューブに転移し、17,500r/分で40分間遠心した。内チューブ中の保持液を超純水に溶解して、約1.1nmの粒子サイズを有する粉末を得た。
【0064】
2.1.5 勾配遠心により得られた3つの異なる粒子サイズでの粉末を沈殿させ、それぞれ溶媒を除去し、粗生成物をNでブロー乾燥させ、5mLの超純水に溶解し、透析バッグ(MWCOが3KDa)に置き、透析バッグを2Lの超純水に置き、一日おきに水を交換し、7日間透析し、凍結乾燥し、そして将来の使用のために保持した。
【0065】
2.2 L-NIBC-AuCsの同定
【0066】
上記で得られた粉末(L-NIBC-AuCs)に対して同定実験は行われた。同時に、リガンドであるL-NIBCにより修飾した金ナノ粒子(L-NIBC-AuNPs)は、対照として使用された。前記リガンドがL-NIBCである金ナノ粒子の製造方法は、参考文献(W.Yan、L.Xu、C.Xu、W.Ma、H.Kuang、L.Wang及びN.A.Kotov、Journal of American Chemical Society 2012、134、15114;X.Yuan、B.Zhang、Z.Luo、Q.Yao、D.T.Leong、N.Yan及びJ.Xie、Angewandte Chemie International Edition 2014、53、4623)に参照する。
【0067】
2.2.1 透過型電子顕微鏡(TEM)によるモーフォロジーの観察
【0068】
試験粉末(L-NIBC-AuCsサンプル及びL-NIBC-AuNPsサンプル)を超純水に2mg/Lになるまで溶解してサンプルとし、そして懸滴法により試験サンプルを製造した。より具体的に、5μLのサンプルを超薄型カーボンフィルムに滴下し、水滴がなくなるまで自然蒸発させ、そしてJEM-2100F STEM/EDS電界放出形高分解能TEMによりサンプルのモーフォロジーを観察した。
【0069】
L-NIBC-AuNPsの4つのTEM画像は、図1のパネルB、E、H、及びKに示され、L-NIBC-AuCsの3つのTEM画像は、図2のパネルB、E、及びHに示される。
【0070】
図2中の画像で示されるように、各L-NIBC-AuCsサンプルは、均一な粒子サイズ及び良好な分散性を有し、かつ、L-NIBC-AuCsの平均直径(金コアの直径と指す)がそれぞれ1.1nm、1.8nm及び2.6nmであり、図2のパネルC、F及びI中の結果とよく一致した。これに対して、L-NIBC-AuNPsサンプルは、より大きい粒子サイズを有した。これらの平均直径(金コアの直径と指す)がそれぞれ3.6nm、6.0nm、10.1nm及び18.2nmであり、図1のパネルC、F、I及びL中の結果とよく一致した。
【0071】
2.2.2 紫外線(UV)-可視光(vis)吸収スペクトル
【0072】
試験粉末(L-NIBC-AuCsサンプル及びL-NIBC-AuNPsサンプル)を超純水に濃度が10mg・L-1になるまで溶解し、室温でUV-vis吸収スペクトルが測定された。走査範囲が190~1100nmであり、サンプルセルが光路長1cmの標準石英キュベットであり、参照セルが超純水により充填された。
【0073】
異なるサイズを有する4つのL-NIBC-AuNPsサンプルのUV-vis吸収スペクトルは、図1のパネルA、D、G及びJに示され、粒子サイズの統計学的分布は、図1のパネルC、F、I及びLに示され、異なるサイズを有する3つのL-NIBC-AuCsサンプルのUV-vis吸収スペクトルは、図2のパネルA、D及びGに示され、粒子サイズの統計学的分布は、図2のパネルC、F及びIに示される。
【0074】
図1で示されるように、表面プラズモン作用により、L-NIBC-AuNPsは、約520nmで吸収ピークを有した。吸収ピークの位置は、粒子サイズに関連した。粒子サイズが3.6nmである場合、UV吸収ピークが516nmで現れ、粒子サイズが6.0nmである場合、UV吸収ピークが517nmで現れ、粒子サイズが10.1nmである場合、UV吸収ピークが520nmで現れ、粒子サイズが18.2nmである場合、吸収ピークが523nmで現れた。4つのサンプルは、いずれも560nm以上で吸収ピークを有しなかった。
【0075】
図2で示されるように、異なる粒子サイズを有するL-NIBC-AuCsサンプルのUV吸収スペクトルでは、520nmでの表面プラズモン作用による吸収ピークがなくなり、560nm以上で2つの明らかな吸収ピークが現れ、吸収ピークの位置がAuCsの粒子径により僅かな相違があった。これは、AuCsが面心立方構造の崩壊により分子のような特性を示し、AuCsの状態密度の不連続性、エネルギー準位の分裂、プラズモン共鳴効果の消失、及び長波方向の新しい吸収ピークに繋がったためである。上記で得られた異なる粒子サイズでの3つの粉末サンプルは、いずれもリガンド結合AuCsであったと結論付けることができる。
【0076】
2.2.3 フーリエ変換赤外線分光法
【0077】
赤外線スペクトルは、Bruker製のVERTEX80Vフーリエ変換赤外線分光計を利用して固体粉末高真空全反射モードで測定された。走査範囲は、4000~400 cm-1であり、走査回数が64であった。L-NIBC-AuCsサンプルを例とし、試験サンプルは、異なる3つの粒子サイズを有するL-NIBC-AuCs乾燥粉末であり、対照サンプルは、純粋なL-NIBC粉末であった。結果は、図3に示した。
【0078】
図3は、異なる粒子サイズを有するL-NIBC-AuCsの赤外線スペクトルを示す。純粋なL-NIBC(下部の曲線)と比較すると、異なる粒子サイズを有するL-NIBC-AuCsのSH伸縮振動は、全て、2500~2600cm-1で完全に消失したが、L-NIBCの他の特徴的なピークは、依然として残っていて、L-NIBC分子がAu-S結合を介してAuCの表面に成功に固定されていたことが証明された。この図は、リガンド結合AuCsの赤外スペクトルがそのサイズとは無関係であることも示した。
【0079】
溶液Bの溶媒、HAuClとリガンドとの仕込み比、反応時間及び添加されたNaBHの量をわずかに調整した以外、上記方法と同様な方法で、その他のリガンドが結合したAuCsを製造した。例えば、L-システイン、D-システイン、N-イソブチリル-L-システイン(L-NIBC)又はN-イソブチリル-D-システイン(D-NIBC)がリガンドとして使用される場合、溶媒として酢酸が選択され、ジペプチドCR、ジペプチドRC又は1-[(2S)-2-メチル-3-チオール-1-オキソプロピル]-L-プロリンがリガンドとして使用される場合、溶媒として水が選択されることなど、その他のステップについても同じようにするため、更なる詳細はここで省略する。
【0080】
本発明は、前述の方法により、一連のリガンド結合AuCsを製造した。リガンドと製造プロセスのパラメーターを表1に示す。
【0081】
【0082】
表1に挙げられたサンプルは、前記方法により確認された。6つの異なるリガンド結合AuCsの特性を図4(CR-AuC)、図5(RC-AuC)、図6(Cap-AuC)(Capは1-[(2S)-2-メチル-3-チオール-1-オキソプロピル]-L-プロリンである)、図7(GSH-AuCs)、及び図8(D-NIBC-AuCs)に示す。図4図8は、UVスペクトル(パネルA)、赤外線スペクトル(パネルB)、TEM画像(パネルC)、及び粒子サイズ分布(パネルD)を示す。
【0083】
その結果、表1から得られた異なるリガンドが結合したAuCsの直径は、いずれも、3nm未満であることがわかった。紫外線スペクトルは、520±20nmでのピークの消失、及び他の位置での吸収ピークの出現も示した。この吸収ピークの位置は、リガンド、粒子サイズ、及び構造によって異なった。特定の状況で、特殊な吸収ピークが形成されないが、主な原因は、粒子径や構造の異なるAuCsの混合物が形成されたこと、または、ある特殊なAuCsにより吸収ピークの位置が紫外線可視スペクトルの範囲外に移動されたことである。一方、フーリエ変換赤外スペクトルでは、リガンドのチオールの赤外吸収ピーク(図4~8のパネルBの点線の間)が消失したが、他の赤外特性ピークはいずれも保持されていることから、全てのリガンド分子がAuCsの表面に成功に固定されており、本発明が表1に記載されたリガンドの結合したAuCsを取得することに成功したことを示した。
【0084】
実施形態3
【0085】
3.1 材料および動物
【0086】
3.1.1 試験サンプル
【0087】
A-01:リガンドL-NIBC結合金クラスター(L-NIBC-AuCs)、0.9±0.2nmである。
【0088】
A-02:リガンドL-NIBC結合金クラスター(L-NIBC-AuCs)、1.9±0.5nmである。
【0089】
B-01:リガンドL-Cys結合金クラスター(L-Cys-AuCs)、1.0±0.2nmである。
【0090】
B-02:リガンドL-Cys結合金クラスター(L-Cys-AuCs)、1.7±0.3nmである。
【0091】
C:L-NIBC修飾ナノ粒子(L-NIBC-AuNPs)、6.3±1.5nm
【0092】
全ての試験サンプルは、上記の方法に従って調製されたがわずかな変更を加えた。それらの品質は上記の方法を使用して特徴づけられた。
【0093】
3.1.2 陽性対照サンプル
【0094】
ソラフェニブ(Sorafenib)。
【0095】
3.1.3 実験用動物および群分け
【0096】
120匹の、6~8週齢で、体重16~20gのSPF雄C57BL/6Nマウスは、Beijing Huafukang Experimental Animal Technology社(生産ライセンス番号:SCXK(Jing)2019~0008)から購入された。体重によって、それらを12の群(n=10)(空白対照群、モデル群、陽性対照群、A-01低用量群、A-01高用量群、A-02低用量群、A-02高用量群、B-01低用量群、B-01高用量群、B-02低用量群、B-02高用量群、およびC高用量群)にランダムに分けた。
【0097】
3.2 モデリング・プロトコル
【0098】
空白対照群を除いて、その他の群におけるマウスの肝硬変モデルは、四塩化炭素(CCl)誘導処理の方法により製造された。モデリング・プロトコルは、以下の通りであった。(1)各マウスは、週2回、合計8週間で、体重1gあたり7μLの10% CCl(オリーブ油で希釈したもの)を腹腔内注射し、空白対照群のマウスは、同じ量のオリーブ油溶媒を腹腔内注射した。(2)6週目から、2匹のマウスを選択し、そして毎週の最後の注射48時間後に処刑した。肝臓の外観を観察した。外観が肝硬変の特性と一致した後(8週目)、肝臓組織をホルマリンで固定した。HE染色およびマッソン染色(Masson staining)を利用して、肝硬変のモデルを評価した。
【0099】
3.3 投与
【0100】
モデリングが成功した後、陽性対照群におけるマウスに、胃内で25mg/kgソラフェニブを投与した。低用量または高用量の群のA-01、A-02、B-01およびB-02におけるマウスに、腹腔内注射により、それぞれ、2.5または10mg/kgの対応する試験材を投与した。C高用量群におけるマウスに、腹腔内注射により、40mg/kgの用量のCを投与した。そして、空白対照群およびモデル群におけるマウスに、腹腔内注射により、10mL/kgで生理食塩水を投与した。前記投与は、1日1回、20日間連続した。
【0101】
3.4 生化学的検査
【0102】
投与が完了した後、血液をマウスの眼窩から採取し、そして、Zhongsheng Beikongキットおよび生化学分析装置(Siemens)を用いて、アルブミン(ALbumin、ALB)、全ビリルビン(TBil)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)およびモノアミンオキシダーゼ(MAO)の生化学的検査のために、血清を得た。検出方法は、キットの指示に従って厳密に行った。
【0103】
【0104】
3.5 病理学的検査
【0105】
3.5.1 HE染色
【0106】
安楽死後、マウス肝臓組織サンプルを4%パラホルムアルデヒド固定剤で48時間以上固定した。固定後、肝臓サンプルをアルコール系列で脱水し、キシレンおよびエタノールで処理した。次いで、肝臓組織をワックス中に浸漬し、包埋した。包埋した材料がトリミング、付着、修復された後、パラフィンミクロトームで肝臓組織を4μmの厚さで薄切した。HE染色の主な過程は以下の通りであった。オーブン中で65℃でベーキングした後、切片をキシレンで処理し、アルコール系列で脱水した。切片をヘマトキシリン、青色発色性溶液(blue color-enhancing solution)および0.5%エオシンで順次染色し、次いでアルコール系列およびキシレンで処理し、中性ガムで密封した。顕微鏡で肝臓組織の線維症を観察した。
【0107】
3.5.2 マッソン染色
【0108】
ベーキング後、マウス肝臓組織切片を脱ロウし、脱水した。染色後、核をRegaud氏ヘマトキシリン染色溶液で染色した。水で洗浄した後、切片をMasson氏ポンソー赤色酸性フクシン(Masson's Ponceau Red Acidic Fuchsin)で染色し、切片を2%氷酢酸水溶液に浸漬し、1%ホスホモリブデン酸溶液で分化させた。アニリンブルーまたは淡緑色溶液で直接染色した後、切片を0.2%氷酢酸水溶液に少し浸漬し、その後95%アルコール、無水アルコールおよびキシレンで透明化させ、次いで中性ガムで密封した。顕微鏡で肝臓組織を観察した。
【0109】
3.6 結果
【0110】
3.6.1 成功したモデリング
【0111】
モデル群におけるマウスの肝臓は、増殖した繊維性隔壁により、異なるサイズの丸形または楕円形の塊に分割された。血清中のALT、TBil、およびAST指数は空白対照群のものと比較して有意に増加し、血清中のALBは空白対照群と比較して有意に減少し、MAO指数は対照群と有意差はなかったが、その値も増加した。上記のすべての結果は、この実験モデルが成功したことを示唆している。
【0112】
3.6.2 アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、全ビリルビン(TBil)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、モノアミンオキシダーゼ(MAO)およびアルブミン(ALB)に対する試験薬物の効果
【0113】
3.6.2.1 試験薬物 A-01およびA-02
【0114】
図10Aに示すように、モデル群のALT活性は、空白対照群よりも極めて有意に高くなり(43.5±8.1U/Lから188.5±4.9U/Lに増加した;P<0.01)、肝硬変モデルマウスの肝臓機能が病理学的変化を有していることを示す。高用量および低用量でA-01およびA-02を投与した後、全ての処理群のALT活性は、有意に減少し(最高値はA-02低用量群の41.5±5.4U/L、最低値はA-01高用量群の30.0±5.9U/L、陽性対照群は42.8±5.4U/Lであった)、空白対照群と同様またはそれ以下のレベルに戻り、モデル群と有意に異なった(P<0.01)。
【0115】
図10Bに示すように、モデル群のAST活性は、空白対照群よりも有意に高くなった(141.9±13.5U/Lから192.0±11.3U/Lに増加した;P<0.05)。A-01およびA-02を投与した後、全ての処理群のAST活性は、減少し、そして高用量のA-01およびA-02投与は、AST活性を有意に減少し(A-01高用量群は130±12.8U/L、A-02高用量群は131.3±9.9U/Lであった。いずれもP<0.01)、陽性対照群(165.5±11.6U/L)よりも明らかに優れた。
【0116】
図10Cに示すように、モデル群のTbilの濃度は、空白対照群よりも有意に高くなり(1.02±0.20μmol/Lから2.91±0.39μmol/Lに増加した)、そして空白対照群と有意に異なった(P<0.01)。高用量および低用量でA-01およびA-02を投与した後、TBilの濃度は、いずれも有意に減少し(最高値は0.91±0.13μmol/L、最低値は0.78±0.25μmol/Lであった)、空白対照群と同様のレベルにあるが、モデル群と極めて有意に異なった(P<0.01)。
【0117】
図10Dに示すように、モデル群のMAO活性は、空白対照群と比較して増加したが(空白対照群は18.8±2.9U/L、モデル群は21.5±0.7U/Lであった)、統計学的な差がなく、四塩化炭素により誘導された肝硬変マウスにおけるMAO活性の変化が有意でなかったと示唆している。A-01およびA-02の投与は、全ての処理群のMAO活性に有意な影響を与えていないが、全ての処理群のMAO活性が減少し(最高値は19.3±1.5U/Lおよび最低値は18.5±1.9U/Lであった)、空白対照群と同様のレベルになった。それに対して、陽性対照群のMAO活性が減少しなかった(21.3±2.1U/L)。この結果は、A-01およびA-02が、MAO活性を空白対照群のレベルに調整することができ、肝硬変マウスにおける肝臓機能の回復に役立つことを示唆している。
【0118】
図10Eに示すように、モデル群のALBレベルは、空白対照群と比較して有意に減少し(24.2±0.6 g/Lから22.1±1.3 g/Lに減少した)、そして空白対照群と有意に異なり(P<0.05)、四塩化炭素投与が血清中のALBレベルを有意に減少させることができることを示した。異なる用量のA-01とA-02、および陽性対照群の投与は、血清中のALBレベルに有意な影響を与えなかった。
【0119】
陽性薬物ソラフェニブは、ALT、AST、およびTBILのレベルを有意に減少したが、MAO指数については肝硬変マウスに寛解効果がなかった。この結果は、A-01およびA-02が肝硬変マウスにおける肝臓機能に回復効果があり、そして陽性対照薬よりも優れる効果を持つことを示唆している。
【0120】
3.6.2.2 試験薬物B-01およびB-02
【0121】
図11Aに示すように、低用量および高用量のB-01およびB-02は、ALT活性を有意に減少させることができ(最高値は46.3±7.4U/L、最低値は33.0±7.1U/Lであった)、空白対照群と同様のレベルにあるが、モデル群と有意に異なった(188.5±4.9U/L、P<0.01)。
【0122】
図11Bに示すように、モデル群(192.0±11.3U/L)と比較して、B-01の低用量および高用量投与は、AST活性を正常レベルに有意に減少させることができ(それぞれ、132.3±10.0U/Lおよび129.7±26.6U/Lであった。P<0.01)、そして、B-02の低用量投与は、AST活性を有意に減少させることができ(149.6±21.8U/L、P<0.05)、空白対照群と同様のレベルにあった。ただし、B-02の高用量投与は、ある程度AST活性を減少したが、有意な差がなかった(P>0.05)。それに対して、陽性薬物ソラフェニブも、AST活性を165.5±11.6U/Lに減少することができるが(P<0.05)、その効果は、B-01の低用量および高用量やB-02の低用量の投与の場合ほど優れたわけでない。
【0123】
図11Cに示すように、低用量および高用量のB-01およびB-02は、いずれもTBilを有意に減少し(最高値は1.28±0.12μmol/L、最低値は0.96±0.15μmol/Lであった)、空白対照群と同様のレベルにあったが(1.02±0.20μmol/L)、モデル群と有意に異なった(2.91±0.39μmol/L、P<0.01)。
【0124】
図11Dに示すように、モデル群(21.5±0.7U/L)と比較して、低用量のB-01(17.3±1.3U/L、P<0.01)および高用量のB-02(18.3±0.6U/L、P<0.05)は、空白対照群(18.8±2.9U/L)よりも血清中のMAOレベルを有意に減少したが、陽性対照薬物は、MAOの血清中のレベルに効果がなかった(21.3±2.1U/L)。
【0125】
図11Eに示すように、試験薬物および陽性対照薬物の投与は、ALBレベルに有意な影響がなかった。
【0126】
上記結果は、B-01およびB-02が、ALT、AST、TBILおよびMAOのレベルを有意に減少し、肝硬変マウスの肝臓機能回復に一定の用量依存性効果があり、そしてそれらの効果が少なくとも一部の指標において陽性対照薬物よりも良いことを示した。
【0127】
3.6.2.3 試験薬物C
【0128】
図12に示すように、モデル群と比較して、高用量の薬物Cの投与は、(A)ALT、(B)AST、(C)TBIL、(D)MAO、および(E)ALBのレベルに対して有意な改善がなく、ひいては一定的な劣化の傾向を示し、薬物Cが肝硬変マウスの肝臓機能の改善に効果がなく、毒性を持つことを示唆している。
【0129】
3.6.3 病理学的分析
【0130】
肝硬変は、肝臓組織の線維症および偽小葉の形成を病理学的な特徴とする。HE染色病理学的分析の結果は、図13Aに示すように、空白対照群のマウスからの正常な肝臓組織が、明瞭な構造を有し、肝小葉が完全で、肝細胞がきれいに配列され、中心静脈を中心として放射状に配列され、肝細胞の核が正常で、門脈域(catchment area)中の少量の繊維状組織のみを有していたことを示した。図13Bに示すように、モデル群の肝臓組織では、肝細胞が乱れ、バルーン状の構造が現れ、肝小葉がほとんど消失し、偽小葉(図13Bには右向きの矢印で示す)が多く生成され、肝組織に多くの増殖した原線維が存在し、丸型または楕円形の繊維性隔壁(図13Bには左向きの矢印で示す)が形成された。図13Cに示すように、モデル対照群と比較して、陽性対照群は肝臓損傷の有意な減少を示し、肝細胞は明らかに整然な配列を有し、線維過形成は明らかに減少し、繊維性隔壁を形成することなく、偽小葉が消失したが、正常な肝臓組織と比較して、陽性対照群の肝臓組織は細胞間ギャップの明らかな増加を示した(下向きの矢印によって示されている)。モデル対照群と比較して、金クラスター薬物(A-01、A-02、B-01およびB-02)を投与した4つの群は、線維過形成および偽小葉の明らかな減少により証明されているように、肝細胞が肝臓損傷から有意に回復したこと、および回復がある程度の用量依存性を示すことを示した。
【0131】
図13Dおよび図13Eは、肝臓損傷の回復について、例示的なA-01の低用量および高用量薬物投与の効果をそれぞれ示したHE画像を示す。図13Dに示すように、A-01低用量薬物投与群では、肝細胞が比較的に整然に配列され、偽小葉がほとんど消失し、線維過形成が明らかに減少したが、正常な肝臓組織と比較して、ある程度の肝細胞間ギャップの増加を示した(図13Dの下向きの矢印で示す)。図13Eに示されるように、A-01の低用量薬物投与群と比較して、A-01の高用量薬物投与群では、肝臓損傷が減少し、偽小葉が完全に消失し、線維過形成が確認されることなく、肝細胞間ギャップの識別可能な増加がなく、正常な肝臓組織と明らかな差異がないという点においてより良い効果を示した。結論として、A-01薬物は、陽性対照薬物よりも肝臓損傷の回復に優れた効果を示した。
【0132】
マッソン染色の結果は、HE染色の結果と同じ結論を提供した。
【0133】
その他の3種の薬物もA-01薬物と同様の効果を示し、詳細な説明は必要ではない。
【0134】
以上をまとめると、4つの試験薬物A-01、A-02、B-01およびB-02は、肝臓の繊維過形成および肝臓の偽小葉を有意に減少させた。肝臓機能指標の試験結果はまた、肝臓機能の回復を示した。アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)および全ビリルビン(TBil)の変化は最も明らかであった。アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)およびモノアミノオキシダーゼ(MAO)も有意に回復され、一方、アルブミン(ALB)は有意に変化しなかった。4つの金クラスター薬物は、肝硬変マウスにおいて肝臓機能および肝臓の病理学的構造の一部を有意に改善することができ、そして全体的な効果は、陽性対照薬物ソラフェニブよりも優れて、将来のさらなる適用のための実験的根拠を提供する。しかし、薬物Cは明らかな治療効果を有しておらず、肝硬変の治療には使用できない。
【0135】
実施形態 4
【0136】
4.1 材料および動物
【0137】
4.1.1 試験サンプル
【0138】
D:リガンドL-NAC結合金クラスター(L-NAC-AuCs)、0.5~3nmである。
【0139】
E:リガンドCR結合金クラスター(CR-AuCs)、0.5~3nmである。
【0140】
F:リガンドRC結合金クラスター(RC-AuCs)、0.~3nmである。
【0141】
全ての試験サンプルは、上記の方法に従って調製されたがわずかな変更を加えた。それらの品質は上記の方法を使用して特徴づけられた。
【0142】
4.1.2 実験用動物および群分け
【0143】
50匹の、6~8週齢で、体重16~20gのSPF雄C57BL/6Nマウスは、Beijing Huafukang Experimental Animal Technology社(生産ライセンス番号:SCXK(Jing)2019~0008)から購入された。体重によって、それらを5の群(n=10)(空白対照群、モデル群、D薬物投与群、E薬物投与群、およびF薬物投与群)にランダムに分けた。
【0144】
4.2 モデリング・プロトコル
【0145】
空白対照群を除いて、その他の群におけるマウスの肝硬変モデルは、四塩化炭素(CCl)誘導処理の方法により製造された。モデリング・プロトコルは、以下の通りであった。(1)それぞれのマウスは、体重1gあたり7μLで、週2回、合計8週間で10% CCl(オリーブ油で希釈したもの)を腹腔内注射し、空白対照群のマウスは、同じ量のオリーブ油溶媒を腹腔内注射した。(2)6週目から、2匹のマウスを選択し、そして毎週の最後の注射48時間後に処刑した。肝臓の外観を観察した。外観が肝硬変の特性と一致した後(8週目)、肝臓組織をホルマリンで固定した。HE染色およびマッソン染色を使用して、肝硬変のモデルを評価した。
【0146】
4.3 投与
【0147】
モデリングが成功した後、3つの薬物投与群におけるマウスに、腹腔内注射により、それぞれ、40mg/kgの対応の金クラスター薬物を投与し、そして、空白対照群およびモデル群におけるマウスに、腹腔内注射により、10mL/kgで生理食塩水を投与した。前記投与は、1日1回、20日間連続した。
【0148】
4.4 生化学的検査
【0149】
試薬およびプロトコルは、3.4部分の記載と同じであった。
【0150】
4.5 結果
【0151】
4.5.1 成功したモデリング
【0152】
モデル群におけるマウスの肝臓は、増殖した繊維性隔壁により、異なるサイズの丸形または楕円形の塊に分割された。血清中のALT、TBil、およびAST指数は空白対照群のものと比較して有意に増加し、血清中のALBは空白対照群と比較して有意に減少し、MAO指数は対照群と有意差はなかったが、その値も増加した。上記すべての結果は、この実験モデルが成功したことを示唆している。
【0153】
4.5.2 アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、全ビリルビン(TBil)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、モノアミンオキシダーゼ(MAO)およびアルブミン(ALB)に対する試験薬物の効果
【0154】
図14Aに示すように、モデル群のALT活性は、空白対照群よりも極めて有意に高くなり(P<0.01、**)、肝硬変モデルマウスの肝臓機能が病理学的変化を有していることを示した。D、EまたはF薬物を投与した後、全ての処理群のALT活性は、有意に減少し、空白対照群と同様のレベルに戻り、モデル群と有意に異なった(P<0.01)。
【0155】
図14Bに示すように、モデル群のAST活性は、空白対照群よりも有意に高かった(P<0.05、*)。D、EまたはF薬物を投与した後、全ての処理群のAST活性は、有意に減少した(P<0.05、*)。
【0156】
図14Cに示すように、モデル群のTBil濃度は、空白対照群よりも有意に高かった(P<0.01、**)。D、EまたはF薬物を投与した後、全ての処理群のTBil濃度は、空白対照群のレベルに有意に減少したが、モデル群と有意に異なった(P<0.01、**)。
【0157】
図14Dに示すように、モデル群のMAO活性は、空白対照群と比較して増加したが、統計学的な差がなく(P>0.5)、四塩化炭素により誘導された肝硬変マウスにおけるMAO活性の変化が有意でなかったと示唆している。D、EまたはF薬物の投与は、MAO活性に有意な影響を与えることなく、全ての薬物投与群のMAO活性は、空白対照群のレベルに減少した。
【0158】
図14Eに示すように、モデル群のALB濃度は、空白対照群と比較して減少したが、有意な差がなかった(P>0.05)。一方、D、EまたはF薬物の投与は、血清中のALB濃度を増加したが、有意な差がなかった(P>0.05)。
【0159】
以上をまとめると、3つの金クラスター薬物D、EおよびFは、肝臓機能を有意に改善した。アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)および全ビリルビン(TBil)は、最も有意な変化を示し、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)およびモノアミノオキシダーゼ(MAO)は明らかな回復を示し、そしてアルブミン(ALB)もまた改善されたが、有意な改善ではなかった。これらの結果は、将来の更なる適用のための実験的根拠を提供する。
【0160】
その他のサイズのL-Cys-AuCs、L-NIBC-AuCs、L-NAC-AuCs、CR-AuCs、RC-AuCs、および異なるサイズのその他のリガンド結合AuCsも同様の効果を有し、一方、それらの効果はある程度異なる。ここでは詳細に説明しない。
【0161】
本発明を特定の実施形態を参照して説明したが、実施形態は例示であり、本発明の範囲はそのように限定されないことが理解されるであろう。本発明の別の実施形態は、本発明が関係する当業者には明らかになるであろう。このような代替実施形態は、本発明の範囲内に包含されると考えられる。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定され、前述の説明によって支持される。
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