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特許7553594ワークを挟持する一対のポジショナを備える産業機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】ワークを挟持する一対のポジショナを備える産業機械
(51)【国際特許分類】
   B23K 37/047 20060101AFI20240910BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20240910BHJP
   B23Q 3/06 20060101ALI20240910BHJP
   B23Q 1/36 20060101ALI20240910BHJP
   B23Q 1/58 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B23K37/047 501B
B25J13/00 Z
B23Q3/06 303B
B23Q3/06 303E
B23Q1/36
B23Q1/58 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022560792
(86)(22)【出願日】2021-11-02
(86)【国際出願番号】 JP2021040422
(87)【国際公開番号】W WO2022097650
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】P 2020186645
(32)【優先日】2020-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】北村 亮二
【審査官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-094248(JP,A)
【文献】特開平11-90685(JP,A)
【文献】特開2015-139790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 37/047
B23Q 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のワークが置かれるワーク置台と、
前記ワーク置台に置かれた前記第1のワークを挟持する一対のポジショナであって、該一対のポジショナの一方は他方に対して接近及び離反するように移動可能に設けられている、一対のポジショナと、
前記ワーク置台を、前記一方が前記他方に接近する方向へ摺動可能に支持するスライド機構であって、前記一対のポジショナに前記第1のワークを挟持させるために前記一方が前記第1のワークを前記接近する方向へ押したときに、前記ワーク置台を該第1のワークとともに該接近する方向へ摺動させる、スライド機構と、を備える、産業機械。
【請求項2】
前記スライド機構は、前記ワーク置台が所定の初期位置から前記接近する方向へ摺動するのを許容する一方、該ワーク置台が該初期位置から、前記接近する方向とは反対の方向へ摺動するのを規制する、請求項1に記載の産業機械。
【請求項3】
前記スライド機構は、前記ワーク置台が前記接近する方向へ摺動したときに、該ワーク置台を、前記接近する方向とは反対の方向へ付勢する付勢部を有する、請求項1又は2に記載の産業機械。
【請求項4】
第1のワークが置かれるワーク置台と、
前記ワーク置台に置かれた前記第1のワークを挟持する一対のポジショナであって、該一対のポジショナの一方は他方に対して接近及び離反するように移動可能に設けられている、一対のポジショナと、
前記ワーク置台を、前記一方が前記他方に接近する方向へ摺動可能に支持するスライド機構と、
前記一方を移動させる第1の駆動部と、
前記第1の駆動部によって前記接近する方向へ移動される前記一方が前記第1のワークを押す力を取得する力取得部と、
前記力取得部が取得した前記力に基づいて、前記第1の駆動部が前記一方を前記接近する方向へ移動して前記一対のポジショナに前記第1のワークを挟持させる動作を制御する力制御部と、を備える、産業機械。
【請求項5】
前記他方は、前記一方に対して接近及び離反するように移動可能に設けられ、
前記産業機械は、
前記他方を移動させる第2の駆動部と、
前記力制御部が前記一対のポジショナに前記第1のワークを挟持させる前に、前記他方を予め定めた目標位置へ位置決めするように前記第2の駆動部を制御する位置制御部と、をさらに備え、
前記力制御部は、前記位置制御部が前記他方を前記目標位置へ位置決めしたときに、前記第1の駆動部を制御して前記一方を前記接近する方向へ移動させる、請求項4に記載の産業機械。
【請求項6】
前記一方は、第2のワークを把持し、前記他方は、第3のワークを把持し、
前記目標位置は、前記他方が把持する前記第3のワークが前記第1のワークから離反する位置として定められ、
前記力制御部が前記一方を前記接近する方向へ移動させて前記第2のワークで前記第1のワークを押すのに応じて、前記スライド機構は、前記ワーク置台を前記接近する方向へ摺動させ、
前記一対のポジショナは、前記第1のワークを、前記一方が把持する前記第2のワークと、前記目標位置に位置決めされた前記他方が把持する前記第3のワークとの間で挟持する、請求項5に記載の産業機械。
【請求項7】
前記一対のポジショナが前記第1のワークを挟持しているときに、前記第1のワークと前記第2のワークとを互いに溶接するとともに、前記第1のワークと前記第3のワークとを互いに溶接する溶接トーチをさらに備える、請求項6に記載の産業機械。
【請求項8】
前記一対のポジショナの各々は、挟持した前記第1のワークを、前記接近する方向と平行な軸線の周りに回転させる回転テーブルを有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の産業機械。
【請求項9】
産業機械によってワークを挟持する方法であって、
前記産業機械は、
ワークが置かれるワーク置台と、
前記ワーク置台に置かれた前記ワークを挟持する一対のポジショナであって、該一対のポジショナの一方は他方に対して接近及び離反するように移動可能に設けられている、一対のポジショナと、
前記ワーク置台を、前記一方が前記他方に接近する方向へ摺動可能に支持するスライド機構と、を備え、
前記一方によって前記ワークを前記接近する方向へ押して前記ワーク置台を該ワークとともに該接近する方向へ摺動させることで、前記一対のポジショナに前記ワークを挟持させる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを挟持する一対のポジショナを備える産業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを挟持する一対のポジショナを備える産業機械が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-167703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、一対のポジショナでワークを適切に挟持させることにより、作業品質を向上させることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様において、産業機械は、第1のワークが置かれるワーク置台と、ワーク置台に置かれた第1のワークを挟持する一対のポジショナであって、該一対のポジショナの一方は他方に対して接近及び離反するように移動可能に設けられている、一対のポジショナと、ワーク置台を、一方が他方に接近する方向へ摺動可能に支持するスライド機構とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、スライド機構の作用により、一対のポジショナで第1のワークを挟持したときに該第1のワークに過度な力が掛かることを防止し、第1のワークがワーク置台上で傾いてしまうのを防止できるとともに、第1のワークの変形も防止できる。その結果、一対のポジショナで第1のワークを適切に挟持することができ、以って第1のワークに対する作業品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る産業機械のブロック図である。
図2図1に示す産業機械の正面図である。
図3図1に示す産業機械の上面図である。
図4図3中の線IV-IVに沿う断面図である。
図5図3に示す産業機械のうち、ワーク支持機構のみを示す図である。
図6図5に示すワーク置台の拡大図である。
図7図6に示すワーク置台を後方から見た図である。
図8図6中の線VIII-VIIIに沿う断面図である。
図9】ワーク置台が摺動した状態を示す図であって、図7に対応する。
図10】ワーク置台が摺動した状態を示す図であって、図8に対応する。
図11】一実施形態に係るワークの分解斜視図である。
図12図1に示す産業機械の動作フローの一例を示すフローチャートである。
図13図12中のステップS4のフローの一例を示すフローチャートである。
図14図12中のステップS4のフローの他の例を示すフローチャートである。
図15図12中のステップS4のフローのさらに他の例を示すフローチャートである。
図16】他の実施形態に係るワーク支持機構を示す。
図17図6中の線XVII-XVIIに沿う断面図である。
図18図16に示すワーク置台が摺動位置へ摺動した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する種々の実施形態において、同様の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下の説明においては、図中の直交座標系Cを方向の基準とし、便宜上、x軸プラス方向を右方、y軸プラス方向を前方、z軸プラス方向を上方として言及する。なお、座標系Cのz軸は、例えば鉛直軸と平行である。
【0009】
まず、図1図10を参照して、一実施形態に係る産業機械10について説明する。本実施形態においては、産業機械10は、後述するワークW1、W2及びW3を溶接する溶接機械である。産業機械10は、ロボット12、作業装置14、及び制御装置16を備える。
【0010】
図4に示すように、本実施形態においては、ロボット12は、垂直多関節ロボットであって、ロボットベース18、旋回胴20、下腕部22、上腕部24、手首部26、及びエンドエフェクタ28を有する。ロボットベース18は、作業セルの床の上に固定されている。
【0011】
旋回胴20は、座標系Cのz軸と平行な軸線周りに旋回可能となるように、ロボットベース18に設けられている。下腕部22は、その基端部が旋回胴20に回動可能に設けられている。上腕部24は、その基端部が下腕部22の先端部に、互いに直交する2つの軸の周りに回動可能に設けられている。
【0012】
手首部26は、上腕部24の先端部に回動可能に設けられた手首ベース26aと、該手首ベース26aに回動可能に設けられた手首フランジ26bとを有する。エンドエフェクタ28は、手首フランジ26bに着脱可能に取り付けられている。本実施形態においては、エンドエフェクタ28は、溶接トーチであって、制御装置16からの指令に応じて、ワークへの溶接作業を実行する。
【0013】
ロボット12の各構成要素(ロボットベース18、旋回胴20、下腕部22、上腕部24、手首部26)には、サーボモータ30(図1)が設けられている。これらサーボモータ30は、制御装置16からの指令に応じて、ロボット12の各可動要素(旋回胴20、下腕部22、上腕部24、手首部26、手首フランジ26b)を、各々の駆動軸周りに回動させる。その結果、ロボット12は、エンドエフェクタ28を移動させて、座標系Cにおける任意の位置及び姿勢に配置することができる。
【0014】
作業装置14は、ロボット12による溶接作業のためにワークW1、W2及びW3を保持するための装置である。具体的には、図2及び図3に示すように、作業装置14は、土台部32、一対のポジショナ34及び36、ワーク支持機構38、並びに、駆動部40、42、44、46及び48を有する。土台部32は、作業セルの床の上に固定されており、座標系Cのx軸方向へ延在する一対のレール部50及び52(図4)を有する。
【0015】
ポジショナ34は、座標系Cのx軸方向へ摺動可能となるように土台部32の上に設けられている。具体的には、ポジショナ34は、スライダ54、台座部56、及びチャック機構58を有する。スライダ54は、その下端部でレール部50及び52と摺動可能に係合している。台座部56は、スライダ54から上方に延出するように該スライダ54に固設され、座標系Cのy軸方向に対向配置された一対の支持壁56a及び56bを有する。
【0016】
チャック機構58は、座標系Cのy軸方向と平行な軸線A4周りに回動可能となるように、台座部56に支持されている。具体的には、チャック機構58は、基部60、回転テーブル62、第1の回転テーブル駆動部(図示せず)、及びチャック64を有する。基部60は、中空であって、支持壁56a及び56bの間で軸線A4周りに回動可能に枢支されている。
【0017】
回転テーブル62は、中心軸線A1を有する円板状の部材であって、該軸線A1周りに回転可能となるように基部60に設けられている。第1の回転テーブル駆動部は、例えばサーボモータであって、基部60の内部に収容され、制御装置16からの指令に応じて回転テーブル62を軸線A1の周りに回転させる。
【0018】
チャック64は、回転テーブル62の先端面62aに固定されている。具体的には、チャック64は、略四角形の外形を有するチャック本体部64aと、該チャック本体部64aの先端面64bに開閉可能に設けられた複数のチャック爪64c及び64dと、チャック本体部64aに内蔵された第1のチャック爪駆動部(図示せず)とを有する。
【0019】
第1のチャック爪駆動部は、例えば空圧式若しくは油圧式のシリンダ、又はサーボモータであって、制御装置16からの指令に応じてチャック爪64c及び64dを開閉させる。チャック64は、開閉されるチャック爪64c及び64dによって、後述するワークW2を把持したり、解放したりできる。
【0020】
駆動部40(第1の駆動部)は、土台部32の左端部に固定されている。本実施形態においては、駆動部40は、サーボモータであって、制御装置16からの指令に応じて、ポジショナ34を座標系Cのx軸方向へ往復動させる。具体的には、土台部32には、駆動部40の回転シャフト(図示せず)の回転運動を、座標系Cのx軸方向の往復動に変換する第1の運動変換機構(例えば、ボールねじ機構)が設けられている。駆動部40は、その回転シャフトを回転させることで、第1の運動変換機構を介して、ポジショナ34を座標系Cのx軸方向へ往復動させる。
【0021】
図3に示すように、駆動部46は、台座部56の支持壁56bの外面に固定されている。本実施形態においては、駆動部46は、例えばサーボモータであって、制御装置16からの指令に応じて、チャック機構58(及び、軸線A1)を、軸線A4の周りに回動させる。
【0022】
ポジショナ36は、ポジショナ34の右側で該ポジショナ34に対向配置され、座標系C1のx軸に沿って摺動可能となるように土台部32の上に設けられている。ポジショナ36は、ポジショナ34と同様の構成を有している。具体的には、ポジショナ36は、スライダ66、台座部68、及びチャック機構70を有する。
【0023】
スライダ66、台座部68、及びチャック機構70は、それぞれ、ポジショナ34のスライダ54、台座部56、及びチャック機構58に対し、座標系Cのy-z平面と平行であり且つポジショナ34及び36の間に配置された平面を基準として対称となるように、配置されている。スライダ66は、その下端部でレール部50及び52と摺動可能に係合している。台座部68は、スライダ66に固設され、座標系Cのy軸方向に対向配置された一対の支持壁68a及び68bを有する。
【0024】
チャック機構70は、座標系Cのy軸方向と平行な軸線A5の周りに回動可能となるように台座部68に支持され、基部72、回転テーブル74、第2の回転テーブル駆動部(図示せず)、及びチャック76を有する。基部72は、中空であって、支持壁68a及び68bの間で軸線A5周りに回動可能に枢支されている。
【0025】
回転テーブル74は、中心軸線A2を有する円板状の部材であって、該軸線A2周りに回転可能となるように基部72に設けられている。第2の回転テーブル駆動部は、例えばサーボモータであって、基部72の内部に収容され、制御装置16からの指令に応じて回転テーブル74を軸線A2の周りに回転させる。
【0026】
チャック76は、回転テーブル74の先端面74aに固定され、略四角形の外形を有するチャック本体部76aと、該チャック本体部76aの先端面76b上に開閉可能に設けられた複数のチャック爪76c及び76dと、チャック本体部76aに内蔵された第2のチャック爪駆動部(図示せず)を有する。
【0027】
第2のチャック爪駆動部は、例えばシリンダ又はサーボモータであって、制御装置16からの指令に応じてチャック爪76c及び76dを開閉させる。チャック76は、開閉されるチャック爪76c及び76dによって、後述するワークW3を把持したり、解放したりできる。
【0028】
駆動部42(第2の駆動部)は、土台部32の右端部に固定されている。本実施形態においては、駆動部42は、サーボモータであって、制御装置16からの指令に応じて、ポジショナ36を座標系Cのx軸方向へ往復動させる。具体的には、土台部32には、駆動部42の回転シャフト(図示せず)の回転運動を、座標系Cのx軸方向の往復動に変換する第2の運動変換機構(例えば、ボールねじ機構)が設けられている。駆動部42は、その回転シャフトを回転させることで、第2の運動変換機構を介して、ポジショナ36を座標系Cのx軸方向へ往復動させることができる。
【0029】
図3に示すように、駆動部48は、台座部68の支持壁68bの外面に固定されている。本実施形態においては、駆動部48は、例えばサーボモータであって、制御装置16からの指令に応じて、チャック機構70(及び、軸線A2)を、軸線A5の周りに回動させる。
【0030】
図4及び図5を参照して、ワーク支持機構38は、支持コラム78、昇降台80、ワーク置台82、及びスライド機構84を有する。支持コラム78は、座標系Cのz軸方向に延在する中空部材であって、ワークセルの床の上に固定される。昇降台80は、座標系Cのz軸方向へ移動可能となるように支持コラム78の後部に設けられている。具体的には、昇降台80は、左側から見て略L字状の支持台86と、該支持台86の上に固定され、左側から見て略V字状の外形を有する支持梁88と、支持台86と支持梁88とを互いに固定する固定具90とを有する。
【0031】
図6に示すように、ワーク置台82は、左側から見て略V字状の部材であって、昇降台80の上側に配置されている。具体的には、ワーク置台82は、本体板92と、該本体板92の背面92aに固定された補助板94とを有する。本体板92は、ワークW1が上側から置かれる表面92bを有し、該表面92bには、凹凸部92c(図7図8)が形成されている。この凹凸部92cによって、表面92bに置かれたワークW1と該表面92bとの摩擦係数を高めることができる。なお、凹凸部92cの代わりに、表面92bに、ワークW1との摩擦係数を増大可能なゴム材又は樹脂材を設けてもよい。
【0032】
本実施形態においては、スライド機構84は、ワーク置台82を、右方へ摺動可能となるように、昇降台80(具体的には、支持梁88)に支持している。本実施形態においては、計4個のスライド機構84が、昇降台80の支持梁88と、ワーク置台82の補助板94との間に介挿されている。
【0033】
以下、図6図8を参照して、スライド機構84について説明する。各々のスライド機構84は、シャフト96、一対のブッシュ98、及び付勢部100を有する。シャフト96は、座標系Cのx軸方向に延在するように配置された円柱状の部材である。具体的には、図8に示すように、シャフト96は、本体部96aと、該本体部96aから外方へ突出するフランジ部96bとを有する。本体部96aは、支持梁88に形成された貫通孔88aに挿通され、該支持梁88に対して固定されている。フランジ部96bは、支持梁88の右端面に当接して配置されている。
【0034】
一対のブッシュ98は、座標系Cのx軸方向に離隔して配置され、支持梁88及びフランジ部96bは、一対のブッシュ98の間に配置されている。一対のブッシュ98の各々は、座標系Cのx軸方向に延在する貫通孔98aを有する円筒状の部材であって、補助板94の裏面94aに一体に固定されている。貫通孔98aは、シャフト96の本体部96aを摺動可能に受容する。
【0035】
付勢部100は、コイルばね等の伸縮自在な弾性部材であって、支持梁88と、該支持梁88の左側に位置するブッシュ98との間に介挿されている。シャフト96の本体部96aは、付勢部100の内部に挿通されている。支持梁88に形成された貫通孔88aの左端部には、該貫通孔88aを拡径した拡径穴88bが形成されており、付勢部100の右端部は、該拡径穴88bに収容されている。
【0036】
図7及び図8は、ワーク置台82が初期位置に配置されている状態を示している。ワーク置台82が初期位置に配置されているとき、支持梁88の右側に位置するブッシュ98の左端面が、フランジ部96bの右端面と当接し、これにより、ワーク置台82が初期位置から左方へ摺動するのを規制している。
【0037】
一方、初期位置に配置されているワーク置台82を右方へ押すと、ワーク置台82は、スライド機構84によって右方へ摺動する。図9及び図10に、ワーク置台82が初期位置から右方へ摺動した状態を示す。このとき、付勢部100は、座標系Cのx軸方向に圧縮され、その反力として、左側のブッシュ98を左方へ付勢し、これにより、ワーク置台82が付勢部100によって左方へ付勢される。
【0038】
図9及び図10に示す状態から、ワーク置台82を右方へ押す力を解除すると、ワーク置台82は、付勢部100の作用により、スライド機構84によって左方へ摺動し、右側のブッシュ98がフランジ部96bと係合することで、図7及び図8に示す初期位置で停止する。
【0039】
このように、本実施形態においては、スライド機構84は、ワーク置台82が初期位置から右方へ摺動するのを許容する一方、ワーク置台82が該初期位置から左方へ摺動するのを規制している。このように、スライド機構84がワーク置台82の摺動を一方向にのみ許容するように構成することによって、座標系Cのx軸方向におけるスライド機構84の寸法をコンパクトにすることができるので、省スペース化を図ることができる。
【0040】
再度、図5を参照して、駆動部44は、支持コラム78の上端面に固設されている。駆動部44は、例えばサーボモータであって、制御装置16からの指令に応じて、昇降台80を、座標系Cのz軸方向に往復動させる。具体的には、支持コラム78の内部には、駆動部44の回転シャフト(図示せず)の回転運動を、座標系Cのz軸方向の往復動に変換する第3の運動変換機構(例えば、ボールねじ機構)が設けられている。駆動部44は、その回転シャフトを回転させることで、第3の運動変換機構を介して、昇降台80を座標系Cのz軸方向へ往復動させる。
【0041】
図1を参照して、制御装置16は、ロボット12及び作業装置14の動作を制御する。具体的には、制御装置16は、プロセッサ102、メモリ104、及びI/Oインターフェース106を有するコンピュータである。プロセッサ102は、メモリ104、及びI/Oインターフェース106と、バス108を介して通信可能に接続されており、これらコンポーネントと通信しつつ、後述する溶接作業のための演算処理を行う。
【0042】
メモリ104は、RAM又はROM等を有し、各種データを一時的又は恒久的に記憶する。I/Oインターフェース106は、例えば、イーサネット(登録商標)ポート、USBポート、光ファイバコネクタ、又はHDMI(登録商標)端子を有し、プロセッサ102からの指令の下、外部機器(エンドエフェクタ28、サーボモータ30、駆動部40、42、44、46及び48等)との間でデータを有線又は無線で通信する。
【0043】
次に、図11を参照して、作業対象となるワークについて説明する。本実施形態においては、制御装置16は、ロボット12及び作業装置14を制御して、3つのワークW1、W2及びW3を互いに溶接する作業を行う。ワークW1(第1のワーク)は、中心軸線A3を有する略四角形の筒状部材であって、その両側の開口端に、該開口端から外方へ突出するように当て部材Bが予め溶接されている。
【0044】
また、ワークW1の両側の開口端には、テーパ部Dが形成されている。ワークW1は、例えば、鉄骨構造物の柱に用いられるコラムコアである。一方、ワークW2(第2のワーク)と、ワークW3(第3のワーク)とは、互いに同じ形状を有する略四角形の平板部材(例えば、鉄骨構造物の柱に用いられるダイヤフラム)である。
【0045】
次に、図12を参照して、産業機械10の動作について説明する。なお、図12に示すフローは、制御装置16のプロセッサ102が、オペレータ、上位コントローラ、又は作業プログラムから、作業開始指令を受け付けたときに、開始される。図12に示すフローの開始時点では、ポジショナ34のチャック機構58が、図2に示す位置から軸線A4周りに、後方から見て反時計回り方向へ略90°回動した位置に配置されている。
【0046】
すなわち、このとき、チャック機構58の軸線A1は、座標系Cのz軸方向と略平行となり、チャック本体部64aの先端面64bは、上方を向くことになる。また、チャック爪64c及び64dは、開いた状態に維持される。また、ポジショナ34は、所定の初期位置P1_0に配置されている。この初期位置P1_0は、ポジショナ34の移動ストロークの左端に定められてもよい。
【0047】
同様に、図12に示すフローの開始時点では、ポジショナ36のチャック機構70は、
その軸線A2が座標系Cのz軸方向と略平行となり、チャック本体部76aの先端面76bが上方を向くように、配置されている。また、チャック爪76c及び76dは、開いた状態に維持される。また、ポジショナ36は、所定の初期位置P2_0に配置されている。この初期位置P2_0は、ポジショナ36の移動ストロークの右端に定められてもよい。そして、昇降台80(すなわち、ワーク置台82)は、所定の上側位置P3_1に配置されている。
【0048】
ステップS1において、プロセッサ102は、ワークローディングを実行する。具体的には、プロセッサ102は、ロボット12とは別のワークローディング用ロボット(図示せず)を動作させて、所定の保管場所に保管されたワークW1をワークローディング用ロボットによって取り上げてワーク置台82にセットする。
【0049】
その結果、図2図4に示すように、ワークW1がワーク置台82の上に置かれて、ワーク置台82がワークW1を下方から支える。なお、本実施形態においては、ワークW1は、治具等によりワーク置台82に固定されることなく、該ワーク置台82の上に相対摺動可能に置かれる。しかしながら、上述したように、ワーク置台82の表面92bには、凹凸部92cが形成されているので、ワークW1と凹凸部92cとの摩擦力により、ワーク置台82の上に置かれたワークW1の位置ずれが抑制される。
【0050】
次いで、プロセッサ102は、ワークローディング用ロボットを動作させて、供給コンベヤによって搬送されたワークW2をワークローディング用ロボットによって取り上げて、ポジショナ34のチャック機構58の先端面64b上にセットする。そして、プロセッサ102は、第1のチャック爪駆動部を動作させてチャック爪64c及び64dを閉じ、該チャック爪64c及び64dにワークW2を把持させる。こうして、ポジショナ34(具体的には、チャック64)は、ワークW2を把持する。
【0051】
同様に、プロセッサ102は、ワークローディング用ロボットを動作させて、供給コンベヤによって搬送されたワークW3をワークローディング用ロボットによって取り上げて、ポジショナ36のチャック機構70の先端面76b上にセットする。そして、プロセッサ102は、第2のチャック爪駆動部を動作させてチャック爪76c及び76dを閉じ、該チャック爪76c及び76dにワークW3を把持させる。こうして、ポジショナ36(具体的には、チャック76)は、ワークW3を把持する。
【0052】
次いで、プロセッサ102は、駆動部46(図3)を動作させて、チャック機構58を軸線A4の周りに、後方から見て時計回り方向へ略90°回動させるとともに、駆動部48を動作させて、チャック機構70を軸線A5の周りに、後方から見て反時計回り方向へ略90°回動させる。
【0053】
その結果、チャック機構58及びワークW1と、チャック機構70及びワークW3とは、図2に示す位置に配置される。このとき、上側位置P3_1に配置されたワーク置台82に置かれたワークW1の軸線A3と、チャック機構58の軸線A1と、チャック機構70の軸線A2とは、座標系Cのx軸と平行な一直線上に整列する。
【0054】
ステップS2において、プロセッサ102は、ポジショナ34及び36の移動を開始する。具体的には、プロセッサ102は、ポジショナ34を、目標位置P1_1に位置決めするための位置指令CP1_1を生成し、該位置指令CP1_1に従って駆動部40を制御する(位置制御)。
【0055】
ここで、作業装置14は、ポジショナ34の位置(具体的には、座標系Cのx軸方向の位置)を検出するための位置センサ110(図1)をさらに有する。この位置センサ110は、例えば、駆動部40の回転シャフトの回転(例えば、回転位置又は回転角度)を検出する回転検出器(エンコーダ又はホール素子等)、又は、座標系Cのx軸方向におけるポジショナ34の位置を検出するリニアスケールを有する。
【0056】
プロセッサ102は、位置センサ110からの位置フィードバックFBP1に基づいて位置指令CP1_1を生成して駆動部40を制御し、ポジショナ34を初期位置P1_0から目標位置P1_1へ、ポジショナ36へ接近する方向(すなわち、右方)へ移動させる。目標位置P1_1は、ポジショナ34が把持するワークW2が、ワーク置台82に置かれたワークW1の左端(厳密には、左側の開口端から突出する当て部材B)から左方へ離隔する位置として、オペレータにより予め定められる。
【0057】
同様に、プロセッサ102は、ポジショナ36を目標位置P2_1に位置決めするための位置指令CP2_1を生成し、該位置指令CP2_1に従って駆動部42を制御する(位置制御)。このように、本実施形態においては、プロセッサ102は、ポジショナ36を目標位置P2_1へ位置決めするように駆動部42を制御する位置制御部116(図1)として機能する。
【0058】
ここで、作業装置14は、ポジショナ36の位置(具体的には、座標系Cのx軸方向の位置)を検出するための位置センサ112(図1)をさらに有する。この位置センサ112は、例えば、駆動部42の回転シャフトの回転(例えば、回転位置又は回転角度)を検出する回転検出器(エンコーダ又はホール素子等)、又は、座標系Cのx軸方向におけるポジショナ36の位置を検出するリニアスケールを有する。
【0059】
プロセッサ102は、位置センサ112からの位置フィードバックFBP2に基づいて位置指令CP2_1を生成して駆動部40を制御し、ポジショナ36を初期位置P2_0から目標位置P2_1へ、ポジショナ34へ接近する方向(すなわち、左方)へ移動させる。この目標位置P2_1は、ポジショナ36が把持するワークW3が、ワーク置台82に置かれたワークW1の右端(厳密には、右側の開口端から突出する当て部材B)から右方へ離隔する位置として、オペレータにより予め定められる。
【0060】
ステップS3において、プロセッサ102は、ポジショナ34及び36が目標位置P1_1及びP2_1に到達したか否かを判定する。具体的には、プロセッサ102は、位置センサ110からの位置フィードバックFBP1に基づいて、ポジショナ34が目標位置P1_1に到達したか否かを判定するとともに、位置センサ112からの位置フィードバックFBP2に基づいて、ポジショナ36が目標位置P2_1に到達したか否かを判定する。
【0061】
プロセッサ102は、ポジショナ34が目標位置P1_1に到達し、且つ、ポジショナ36が目標位置P2_1に到達した場合はYESと判定し、ステップS4へ進む一方、ポジショナ34が目標位置P1_1に未達であるか、又は、ポジショナ36が目標位置P2_1に未達である場合はNOと判定し、ステップS3をループする。
【0062】
ステップS3でYESと判定したとき、プロセッサ102は、ポジショナ34及び36を停止させる。このとき、プロセッサ102は、駆動部40の位置制御を終了する一方、位置フィードバックFBP2に基づく駆動部42の位置制御を継続することでポジショナ36を目標位置P2_1に積極的に維持してもよい。
【0063】
このステップS3でYESと判定したとき、ポジショナ34が把持するワークW2は、ワークW1(当て部材B)から左方へ距離xだけ離反する一方、ポジショナ36が把持するワークW3は、ワークW1(当て部材B)から右方へ距離xだけ離反する。なお、距離xが距離xと略同じか、又はそれよりも大きくなる(x≧x)ように、上述の目標位置P1_1及び目標位置P2_1が設定されてもよい。また、距離xが、スライド機構84がワーク置台82を摺動させる最大摺動ストロークxよりも小さくなる(x<x)ように、目標位置P2_1が設定されてもよい。
【0064】
ステップS4において、プロセッサ102は、ワークW1を挟持するプロセスを実行する。このステップS4について、図13を参照して説明する。ステップS11において、プロセッサ102は、駆動部40を動作させて、ポジショナ34を目標位置P1_1からさらに右方へ移動させる。ここで、このステップS11でポジショナ34を移動させる速度Vは、上述のステップS2でポジショナ34を移動させる速度Vよりも低く設定されてもよい(すなわち、V<V)。
【0065】
ポジショナ34を右方へ移動させると、該ポジショナ34が把持するワークW2が、ワーク置台82に置かれたワークW1の左端(当て部材B)と当接し、該ワークW1を右方へ押す。ここで、作業装置14は、駆動部40によって右方へ移動されるポジショナ34がワークW1を押す力Fを検出する力センサ114をさらに備える。
【0066】
一例として、力センサ114は、駆動部40の回転シャフトに掛かる負荷トルクFを検出するトルクセンサを有し、負荷トルクFの検出データDDを、制御装置16へ送信する。他の例として、力センサ114は、駆動部40のフィードバック電流Fを取得する電流センサを有し、フィードバック電流Fの検出データDDを、制御装置16へ送信する。このフィードバック電流Fは、負荷トルクFに対応する。
【0067】
さらに他の例として、力センサ114は、チャック機構58(例えば、チャック64)、又はワークW2に設けられ、ワークW1からチャック機構58又はワークW2に掛かる力Fを検出する歪みゲージ等を有し、該力Fの検出データDDを制御装置16へ送信する。
【0068】
ステップS12において、プロセッサ102は、力Fの取得を開始する。具体的には、プロセッサ102は、I/Oインターフェース106を通して、力センサ114が検出した検出データDD(負荷トルクF、フィードバック電流F、又は力F)を連続的(例えば、周期的)に取得する。
【0069】
一例として、プロセッサ102は、検出データDDを、力Fのデータとして取得する。他の例として、プロセッサ102は、力センサ114から取得した検出データDD(例えば、負荷トルクF又はフィードバック電流F)に基づいて、ポジショナ34(ワークW2)からワークW1へ加えられる右方への力Fを演算により求めてもよい。このように、本実施形態においては、プロセッサ102は、力Fを取得する力取得部118(図1)として機能する。
【0070】
ステップS13において、プロセッサ102は、直近に取得した力Fが、予め定められた閾値Fth1を超えた(F>Fth1)か否かを判定する。この閾値Fth1は、力Fに対して予め定められ、メモリ104に格納される。例えば、プロセッサ102が、力Fとして負荷トルクF(又はフィードバック電流F)の検出データDDを取得した場合、この閾値Fth1は、負荷トルクF(又はフィードバック電流F)の定格値(又は最大値)の15%~20%の間の値として、設定され得る。
【0071】
プロセッサ102は、F>Fth1である場合はYESと判定し、ポジショナ34を停止する。そして、プロセッサ102は、ステップS4を終了して、図12中のステップS5へ進む。一方、プロセッサ102は、F≦Fth1である場合はNOと判定し、ステップS14へ進む。
【0072】
ステップS14において、プロセッサ102は、位置フィードバックFBP1に基づいて、ポジショナ34が目標位置P1_2に到達したか否かを判定する。この目標位置P1_2は、ステップS2の目標位置P1_1から右方へ所定距離xだけ離反し、且つ、ポジショナ34が把持するワークW2が、ポジショナ36が把持するワークW3との間でワークW1を適切な力Fで挟持できる位置として、オペレータにより予め定められる。
【0073】
プロセッサ102は、ポジショナ34が目標位置P1_2に到達した場合はYESと判定し、ポジショナ34を停止する。そして、プロセッサ102は、ステップS4を終了して、図12中のステップS5へ進む。一方、プロセッサ102は、ポジショナ34が目標位置P1_2に到達していない場合はNOと判定し、ステップS13へ戻る。なお、プロセッサ102は、このステップS14において、ステップS11の開始時点からポジショナ34を移動させた距離が、所定の距離xに到達したか否かを判定してもよい。
【0074】
このように、ステップS4において、プロセッサ102は、力センサ114から取得した力Fに基づいて駆動部40を制御し(力制御)、ポジショナ34を右方へ移動させる。そうすると、ポジショナ34が把持するワークW2が、ワーク置台82に置かれたワークW1を力Fで押す。この力Fに応じて、ワーク置台82は、ワークW1とともに、スライド機構84によって右方へ摺動することになる(図9図10)。
【0075】
そして、ステップS4が終了したときに、ワークW1は、ポジショナ34が把持するワークW2と、ポジショナ36が把持するワークW3との間で挟持される。このように、本実施形態においては、プロセッサ102は、力Fに基づいて駆動部40がポジショナ34及び36にワークW1を挟持させる動作を制御する力制御部120(図1)として機能する。
【0076】
再度、図12を参照して、ステップS5において、プロセッサ102は、仮溶接を実行する。具体的には、プロセッサ102は、ロボット12を動作させて、エンドエフェクタ28によって、ワークW1(当て部材B)とワークW2との当接箇所における複数の点をスポット溶接するとともに、ワークW1(当て部材B)とワークW3との当接箇所における複数の点をスポット溶接する。
【0077】
ステップS6において、プロセッサ102は、ワーク置台82を下降させる。具体的には、プロセッサ102は、駆動部44を動作させて、昇降台80(つまり、ワーク置台82)を上側位置P3_1から、所定の下側位置P3_2まで、下方へ移動させる。そうすると、ワーク置台82は、ポジショナ34及び36に挟持されたワークW1から下方へ離反するのと同時に、スライド機構84の付勢部100の作用により左方へ摺動し、図7及び図8に示す初期位置へ復帰する。
【0078】
ステップS7において、プロセッサ102は、本溶接を実行する。具体的には、プロセッサ102は、第1の回転テーブル駆動部を動作させて回転テーブル62(つまり、ワークW2)を回転させるのと同期して、第2の回転テーブル駆動部を動作させて回転テーブル74(つまり、ワークW3)を回転させる。これにより、ワークW1、W2及びW3は、軸線A1及びA2の周りに回転される。
【0079】
この回転テーブル62及び74の回転動作と同期させて、プロセッサ102は、ロボット12を動作させて、エンドエフェクタ28によって、ワークW1(当て部材B)とワークW2との当接箇所を全周に亘って溶接するとともに、ワークW1(当て部材B)とワークW3との当接箇所を全周に亘って溶接する。こうして、ワークW1、W2及びW3が、互いに溶接される。
【0080】
ステップS8において、プロセッサ102は、ワーク置台82を上昇させる。具体的には、プロセッサ102は、駆動部44を動作させて、昇降台80(ワーク置台82)を下側位置P3_2から上側位置P3_1まで上方へ移動させる。そうすると、ワーク置台82は、ポジショナ34及び36に挟持されたワークW1と当接し、該ワークW1を下方から再度支持する。
【0081】
ステップS9において、プロセッサ102は、ワークアンローディングを実行する。具体的には、プロセッサ102は、チャック機構58のチャック爪64c及び64dを開くとともに、チャック機構70のチャック爪76c及び76dを開く。次いで、プロセッサ102は、駆動部40を動作させ、ポジショナ34を左方へ移動して初期位置P1_0へ復帰させるとともに、駆動部42を動作させ、ポジショナ36を右方へ移動して初期位置P2_0へ復帰させる。
【0082】
次いで、プロセッサ102は、駆動部46(図3)を動作させ、チャック機構58を軸線A4の周りに、後方から見て反時計回り方向へ略90°回動させるとともに、駆動部48(図3)を動作させて、チャック機構70を軸線A5の周りに、後方から見て時計回り方向へ略90°回動させる。次いで、プロセッサ102は、ワークローディング用ロボットを動作させて、ワークW1、W2及びW3の組立体をワークローディング用ロボットで取り上げて、所定の保管場所に搬送する。
【0083】
ステップS10において、プロセッサ102は、次に溶接すべきワークW1、W2及びW3があるか否かを判定する。例えば、プロセッサ102は、作業プログラムを解析することで、次に溶接すべきワークW1、W2及びW3があるか否かを判定できる。プロセッサ102は、YESと判定した場合はステップS1に戻る一方、NOと判定した場合は、図12に示すフローを終了する。
【0084】
以上のように、本実施形態においては、スライド機構84は、ワーク置台82を、ポジショナ34がポジショナ36に接近する方向(つまり、右方)へ摺動可能に支持している。このスライド機構84により、ポジショナ34が右方へ移動してワーク置台82に置かれたワークW1をポジショナ34及び36(具体的には、ワークW2及びW)によって挟持したときに、ポジショナ34からワークW1へ掛かる力Fを、スライド動作により吸収できる。
【0085】
そのため、ワークW1に過度な力Fが掛かることを防止し、ワークW1がワーク置台82上でずれてしまったり、傾いてしまったりするのを防止できるとともに、ワークW1(又は、当て部材B)の変形を防止できる。その結果、ワークW1(当て部材B)とワークW2、及び、ワークW1(当て部材B)とワークW3とを、隙間なく適切に当接させるようにポジショナ34及び36でワークW1、W2及びW3を挟持できるので、ステップS7で本溶接を実行したときに溶接品質を高めることができる。
【0086】
また、仮に、ワークW1のセット位置、又はワークW1の寸法(又は、当て部材Bの寸法若しくは溶接位置)に誤差があったとしても、スライド動作により該誤差を、ある程度キャンセルすることができるので、ワークW1とワークW2及びW3とを適切に当接させるようにポジショナ34及び36でワークW1、W2及びW3を挟持することができる。
【0087】
また、本実施形態においては、スライド機構84は、ワーク置台82が右方へ摺動したときに該ワーク置台82を左方へ付勢する付勢部100を有している。この構成によれば、比較的簡単な構造で、ステップS6においてワーク置台82を初期位置へ自動で復帰させることができる。
【0088】
また、本実施形態においては、プロセッサ102は、力制御部120として機能し、力Fが過大とならないように、取得した力Fに基づいて駆動部40を力制御することにより、ポジショナ34及び36にワークW1を挟持させる動作を実行している(ステップS4)。この構成によれば、スライド機構84によるスライド動作と力制御とによって、ステップS4でポジショナ34からワークW1へ掛かる力Fを、より効果的に管理して最適化することができる。その結果、溶接品質をより効果的に高めることができる。
【0089】
また、本実施形態においては、プロセッサ102は、位置制御部116として機能して、ステップS4の前に、ポジショナ36を目標位置P2_1へ位置決めすべく駆動部42を位置制御している(ステップS2)。そして、ポジショナ36を目標位置P2_1へ位置決めしたときに、プロセッサ102は、力制御部120として機能して、駆動部40を力制御して、ポジショナ34を右方へ移動させている(ステップS4)。
【0090】
この構成によれば、ポジショナ36の目標位置P2_1を基準として、ステップS4でポジショナ34及び36に挟持されたワークW1、W2及びW3を、既知の位置に位置決めすることができる。このため、ステップS5及びS7において、ロボット12のエンドエフェクタ28を、ワークW1(当て部材B)とワークW2及びW3との当接箇所に正確に位置決めできるので、ステップS5及びS7の溶接作業を高精度に実行できる。
【0091】
また、本実施形態においては、ステップS2におけるポジショナ36の目標位置P2_1は、該ポジショナ36が把持するワークW3がワークW1から離反する位置として定められている。そして、ステップS4にてワークW2でワークW1を押すのに応じて、スライド機構84が、ワーク置台82を右方へ摺動させ、ワークW1をワークW2及び3の間で挟持している。
【0092】
この構成によれば、ステップS4でワーク置台82を右方へ確実に摺動させることができるとともに、ステップS2でポジショナ36が把持するワークW3がワークW1に突き当たって過度な力が掛かってしまうのを防止できる。したがって、ワークW1がワークW3に起因して傾いてしまうのを防止することができる。
【0093】
なお、図12に示すフローにおいて、プロセッサ102は、ステップS4における駆動部40の力制御を、ステップS7を終了するまで継続してもよい。このようなフローを図14に示す。図14は、ステップS4の他の例を示す。図14に示すフローにおいては、プロセッサ102は、ステップS13又はS14でYESと判定した後、上述のステップS5を開始するとともに、ステップS5~S7と並行して、ステップS15~S17を実行する。
【0094】
具体的には、ステップS15において、プロセッサ102は、直近に取得した力Fが、予め定めた許容範囲[Fth2,Fth3]内であるか否かを判定する。この許容範囲[Fth2,Fth3]の下限値Fth2は、上述の閾値Fth1よりも小さい値として、力Fに対して予め定められる。
【0095】
また、上限値Fth3は、下限値Fth2よりも大きい値として、力Fに対して予め定められる。なお、上限値Fth3は、上述の閾値Fth1と同じ値に設定されてもよいし、閾値Fth1よりも僅かに小さい(又は大きい)値に設定されてもよい。プロセッサ102は、Fth2≦F≦Fth3である場合はYESと判定し、ステップS17へ進む一方、F<Fth2、又は、F>Fth3である場合はNOと判定し、ステップS16へ進む。
【0096】
ステップS16において、プロセッサ102は、ポジショナ34を移動する。例えば、直近のステップS15でF<Fth2であることによってNOと判定した場合、プロセッサ102は、ポジショナ34を所定の距離xだけ右方へ移動させる。一方、直近のステップS15でF>Fth3であることによってNOと判定した場合、プロセッサ102は、ポジショナ34を所定の距離xだけ左方へ移動させる。
【0097】
ここで、図12中のステップS5~S7の間に、ワークW1、W2又はW3の撓み等により、ポジショナ34及び36が互いに接近する方向へ引き付けられる場合がある。この場合、力Fが低下し、ポジショナ34及び36によるワークW1、W2及びW3の挟持力が不適切に低下してしまう可能性がある。反対に、ステップS5~S7の間に、ワークW1、W2又はW3の膨張等により、ポジショナ34及び36が互いから離反する方向へ押される場合がある。この場合、力Fが増大し、駆動部40及び42に過負荷が掛かってしまう可能性がある。
【0098】
本実施形態においては、プロセッサ102は、このステップS16において、力Fを許容範囲[Fth2,Fth3]に収めることができる方向へ、ポジショナ34を移動している。この構成によれば、ステップS5~S7の間にワークW1、W2又はW3の変形等が生じたとしても、該変形に応じてポジショナ34の位置を適切に調整することができる。よって、ステップS5~S7の間に、ポジショナ34及び36によるワークW1、W2及びW3の挟持力が不適切に低下すること、又は、駆動部40及び42に過負荷が掛かることを、防止できる。
【0099】
ステップS17において、プロセッサ102は、ステップS7の本溶接プロセスが終了したか否かを判定する。プロセッサ102は、YESと判定した場合はステップS4(つまり、力制御)を終了し、ポジショナ34を停止させる一方、NOと判定した場合はステップS15へ戻る。こうして、プロセッサ102は、ステップS17でNOと判定するまで、ステップS15~S17を繰り返し実行し、ステップS5~S7の間に、力Fを所定の許容範囲[Fth2,Fth3]に収めるように、駆動部40を力制御する。
【0100】
なお、ステップS16で用いる距離x及びxは、互いに同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。また、距離x(又はx)は、直近に取得した力Fと下限値Fth2(又は上限値Fth3)との差ΔFに応じて変化するように設定してもよい。例えば、差ΔFが大きい程、距離x(又はx)が大きくなるように設定してもよい。
【0101】
また、上述のステップS11において、プロセッサ102は、ポジショナ34を目標位置P1_2に位置決めするための位置指令CP1_2を生成し、位置指令CP1_2に従って該駆動部40を位置制御してもよい。この場合、プロセッサ102は、ステップS4において、力制御と位置制御とを並行して実行することになる。
【0102】
なお、ステップS4として、種々の変形例がある。図15に、ステップS4のさらに他の例を示す。なお、図15に示すフローにおいて、図14のフローと同様のプロセスには同じステップ番号を付し、重複する説明を省略する。図15のフローを開始後、プロセッサ102は、ステップS12を実行し、力Fの取得を開始する。
【0103】
ステップS21において、プロセッサ102は、力制御を開始する。具体的には、プロセッサ102は、力指令CFを生成する。この力指令CFは、力Fの目標値(例えば、5[kN])を規定するための指令である。プロセッサ102は、ステップS21において、力指令CFを生成し、直近に力センサ114から取得した力Fと力指令CFとの差を演算し、該差に基づいて、駆動部40への指令C40(速度指令、トルク指令)を生成する。
【0104】
駆動部40は、指令C40に従って駆動部40を制御して、ポジショナ34を移動させる。ステップS21の開始時点では、ポジショナ34は、初期位置P1_0に配置されており、力センサ114から取得する力Fは、略ゼロである。したがって、ステップS21の開始後、駆動部40は、力指令CF(指令C40)に従ってポジショナ34を右方へ移動させる。こうして、プロセッサ102は、力センサ114から取得した力Fに応じて、力Fを力指令CFに一致させるように駆動部40を力制御する。
【0105】
そして、プロセッサ102は、ステップS13を実行し、YESと判定した場合はステップS5を開始して、ステップS17へ進む一方、NOと判定した場合はステップS13をループする。なお、このときのステップS13で用いられる閾値Fth1は、力指令CF(例えば5kN)よりも小さい値に設定され得る。こうして、プロセッサ102は、図12中のステップS5~S7の間、力Fを力指令CFに一致させるように駆動部40を力制御する。これにより、ステップS5~S7の間にポジショナ34からワークW1へ掛かる力Fを効果的に管理し、最適化することができる。
【0106】
なお、力センサ114は、駆動部40によって右方へ移動されるポジショナ34によって、ワークW1、W2及びW3を介してポジショナ36に掛かる力Fを検出するように配置されてもよい。この場合において、力センサ114は、駆動部42の負荷トルクを検出するトルクセンサ、駆動部42のフィードバック電流Fを取得する電流センサ、若しくは、チャック機構70(チャック76)又はワークW3に設けられた歪みゲージを有してもよい。
【0107】
そして、プロセッサ102は、ポジショナ36に掛かる力Fに基づいて、上述のステップS4を実行してもよい。また、プロセッサ102は、図15に示すステップS13の代わりに、図14中のステップS15を実行し、YESと判定した場合に、ステップS5を開始するとともに、ステップS17へ進んでもよい。
【0108】
上述のスライド機構84の変形例として、種々の形態が考えられる。以下、図16図18を参照して、他の実施形態に係るワーク支持機構122について説明する。ワーク支持機構122は、上述の支持コラム78及び昇降台80(図5)に加えて、ワーク置台124、及びスライド機構126を有する。
【0109】
本実施形態においては、ワーク置台124は、略四角形の平板部材であって、その上面124a上にワークW1が置かれる。スライド機構126は、昇降台80の支持台86の上に固定され、ワーク置台124を、座標系Cのx軸方向へ摺動可能に支持する。具体的には、スライド機構126は、本体部130、複数のローラ132(図17)、及び付勢部134を有する。
【0110】
本体部130は、上面130aと、該上面130aから下方へ凹む摺動溝130bとを有する。摺動溝130bは、略四角形の外形を有し、ワーク置台124よりも長い、座標系Cのx軸方向の長さを有している。ワーク置台124は、摺動溝130bの内部に、座標系Cのx軸方向へ摺動可能に受容されている。
【0111】
ローラ132の各々は、座標系Cのy軸と略平行な軸線周りに回転可能となるように、摺動溝130bの内部に設けられており、ワーク置台124は、ローラ132の上に設置される。ローラ132の回転により、ワーク置台124は、図16に示す初期位置と図18に示す摺動位置との間で、摺動溝130b内にて摺動可能となっている。
【0112】
ワーク置台124は、初期位置に配置されたとき、摺動溝130bを画定する左壁面と係合し、これにより、ワーク置台124の左方への移動が規制される。すなわち、スライド機構126は、ワーク置台124が初期位置から右方へ摺動するのを許容する一方、該ワーク置台124が該初期位置から、左方へ摺動するのを規制している。
【0113】
付勢部134は、ワーク置台124が初期位置から摺動位置へ右方に摺動したときに、該ワーク置台124を左方へ付勢する。具体的には、付勢部134は、空圧式若しくは油圧式のシリンダ、又はサーボモータ等であって、座標系Cのx軸方向へ進退可能に本体部130に設けられた駆動シャフト134aと、該駆動シャフト134aを進退させる動力部134bとを有する。
【0114】
駆動シャフト134aの先端は、ワーク置台124に機械的に連結されている。動力部134bは、制御装置16からの指令に応じて駆動シャフト134aを前進させることにより、摺動位置に配置されたワーク置台124を、初期位置へ向かって左方に付勢する。このように、付勢部134は、制御装置16による自動制御が可能な装置である。
【0115】
ワーク支持機構122を適用した産業機械10において図12に示すフローを実行した場合、プロセッサ102は、ステップS4において、ワークW2及びW3でワークW1を挟持すべく、ポジショナ34を左方へ移動させてワークW2でワークW1を押す。この動作に応じて、ワーク置台124は、スライド機構126の作用によって、初期位置(図16)から摺動位置(図18)へ右方に摺動し、その結果、ワークW1がワークW2及びW3の間で挟持される。
【0116】
その後、ステップS6の後(又は、ステップS6を開始してワーク置台124がワークW1から離反したとき)に、プロセッサ102は、付勢部134を動作させて、ワーク置台124を摺動位置から初期位置へ左方に摺動させる。その結果、ワーク置台124は、初期位置に復帰することになる。
【0117】
本実施形態によれば、ワーク置台124がワークW1から離反した後に該ワーク置台124を初期位置に付勢することができるので、ステップS6の実行時にワーク置台124がワークW1上を相対摺動することで該ワークW1に擦り傷等が生じてしまうのを防止できる。
【0118】
なお、上述のスライド機構84は、ワーク置台82が右方へ摺動して所定の摺動位置に到達したときに該ワーク置台82をロックするロック機構をさらに備えてもよい。この場合において、ロック機構は、摺動位置にあるワーク置台82と係合して該ワーク置台82の左方への摺動を規制する係合位置と、該ワーク置台82から脱離する脱離位置との間で進退可能な係合ピンと、制御装置16からの指令に応じて該係合ピンを自動で進退させる動力部(シリンダ、サーボモータ等)とを有してもよい。
【0119】
この場合、プロセッサ102は、ステップS4でワーク置台82が初期位置から摺動位置へ摺動したときに、ロック機構の動力部を動作させて係合ピンをワーク置台82に係合させることで、該ワーク置台82を摺動位置にロックする。一方、プロセッサ102は、ステップS6の後(又は、ステップS6を開始してワーク置台82がワークW1から離反したとき)に、ロック機構の動力部を動作させて係合ピンをワーク置台82から脱離させることで、ロック機構のロックを解除する。
【0120】
その結果、ワーク置台82は、付勢部100の作用によって左方へ摺動し、初期位置へ自動的に復帰することになる。この構成によれば、ステップS6の実行時にワーク置台82がワークW1上を相対摺動することで該ワークW1に擦り傷等が生じてしまうのを防止できる。
【0121】
なお、上述の実施形態において、駆動部42を省略し、ポジショナ36を所定の位置(例えば、上述の目標位置P2_1)に固定してもよい。また、プロセッサ102は、上述のステップS2で駆動部42を位置制御する代わりに、駆動部42に関し、取得した力Fに基づいて図13図14又は図15に示す力制御を実行してもよい。この場合において、力センサ114は、上述のようにポジショナ36に掛かる力Fを検出するように配置されてもよい。
【0122】
また、プロセッサ102は、上述のステップS4において、力制御を行わずに、ポジショナ34を目標位置P1_2に位置決めするための位置指令CP1_2を生成し、該位置指令CP1_2に従って該駆動部40を位置制御してもよい。また、上述の実施形態においては、産業機械10が溶接作業を行う場合について述べた。しかしながら、産業機械10は、工具による切削加工、レーザ光によるレーザ加工、又は塗装等、如何なる種類の作業を行うように構成されてもよい。この場合、エンドエフェクタ28は、工具、レーザ加工ヘッド、塗料塗布器を有する。また、回転テーブル62を省略することもできる。
【0123】
また、スライド機構84は、ワーク置台82が初期位置から左方へ摺動するのを許容するように構成されてもよい。すなわち、この場合、スライド機構84は、ワーク置台82を、初期位置から左右へ摺動可能に支持する。また、上述のスライド機構84又は126から付勢部100又は134を省略してもよい。この場合において、オペレータが、ワーク置台82又は124を手動で左右に摺動させてもよい。
【0124】
以上、実施形態を通じて本開示を説明したが、上述の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0125】
10 産業機械
12 ロボット
14 作業装置
16 制御装置
28 エンドエフェクタ
34,36 ポジショナ
40,42,44,46,48 駆動部
62,74 回転テーブル
84,126 スライド機構
100,134 付勢部
110,112 位置センサ
114 力センサ
116 位置制御部
118 力取得部
120 力制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
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図15
図16
図17
図18