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特許7553597シーラント容器及びタイヤ修理および空気注入装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】シーラント容器及びタイヤ修理および空気注入装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 73/02 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
B29C73/02
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022563053
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-03
(86)【国際出願番号】 CN2020085076
(87)【国際公開番号】W WO2021208004
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】518293516
【氏名又は名称】アクティブ ツールズ インターナショナル(ホンコン)リミティド
【氏名又は名称原語表記】ACTIVE TOOLS INTERNATIONAL(HK)LTD.
【住所又は居所原語表記】27/F COFCO Tower,262 Gloucester Road,Causeway Bay,Hong Kong,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ルイ ハング,ウェスリー
(72)【発明者】
【氏名】ラム,クーン フン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ジャンファ
(72)【発明者】
【氏名】ジ,ホイロン
【審査官】岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-141744(JP,A)
【文献】特開2013-075472(JP,A)
【文献】特開2013-071369(JP,A)
【文献】特表2012-514548(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0263846(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0092286(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102744894(CN,A)
【文献】中国実用新案第206664555(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 73/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーラントを収納するための内部空間(16)、および内壁(36)を有する第1部分(47)および第2部分(49)を含む容器口(18)を含む容器本体(12)と、
前記容器口(18)内に挿入されるように構成され、挿入後に前記内部空間(16)に向かって伸長するコア部材(14)であって、前記コア部材(14)は、外側端部(22)、内側端部(24)、および前記コア部材(14)内部の前記外側端部(22)と前記内側端部(24)との間でのガス通路用の第1流路(32)を有し、前記外側端部(22)はインターフェース(26)を有し、前記内側端部(24)は、排出口(28)が開放されたとき、前記内部空間(16)と連通する少なくとも1つの開放可能な排出口(28)を有する、ところのコア部材と
を備え、
前記第1部分(47)および前記第2部分(49)の前記内壁(36)は、シーラントの通路用の第2流路(34)をさらに画定し、
第1弁機構をさらに備え、前記第1弁機構は、
第1バルブシート(42)であって、前記内壁(36)の少なくとも一部が前記第1バルブシート(42)を形成する、ところの第1バルブシート(42)と、
第1バルブコア(44)であって、前記第1バルブコア(44)は前記コア部材(14)であり、前記第1バルブコア(44)は前記第1バルブシート(42)に対して繰り返し移動可能であり、かつ、初期位置を有する、ところの第1バルブコア(44)と、
前記第1バルブシート(42)と前記第1バルブコア(44)との間に配置された、前記第2流路(34)を閉じるための容器口シール部材(46)と
を有し、
前記容器口シール部材(46)は前記第1バルブシート(42)に固定され、前記第2流路(34)は第1バネ部材(48)を有し、前記第1バネ部材(48)は、前記第1バルブコア(44)が初期位置にあるとき、前記第1バネ部材(48)が前記第1バルブコア(44)の一部を前記容器口シール部材(46)に押し付けるように構成されており、その結果前記容器口シール部材(46)が前記第2流路(34)を閉鎖する、
ことを特徴とするシーラント容器。
【請求項2】
前記第2流路(34)は、前記内壁(36)と前記コア部材(14)との間の隙間によって画定される環状流路である、ことを特徴とする請求項1に記載のシーラント容器。
【請求項3】
前記第1部分(47)および前記第2部分(49)は嵌合連結されており、前記第1部分(47)は前記容器本体(12)と一体的に形成され、前記第2部分(49)は強度を高めるナイロン材により形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のシーラント容器。
【請求項4】
前記コア部材(14)は、前記内側端部(24)に、変形可能な第1シール部材(59)を有し、前記第1シール部材(59)は、変形していないときに、前記排出口(28)を覆って前記排出口(28)を閉じ、変形したときに、膨張して前記排出口(28)を開く、ことを特徴とする請求項1または2に記載のシーラント容器。
【請求項5】
前記第1シール部材(59)は、シリコンから形成され、前記内側端部(24)にスリーブされている、ことを特徴とする請求項4に記載のシーラント容器。
【請求項6】
前記内側端部(24)は、前記第1シール部材(59)を受け入れるための溝(81)を有する、ことを特徴とする請求項5に記載のシーラント容器。
【請求項7】
前記内側端部(24)は、前記第1シール部材(59)の前記コア部材(14)への取り付けを容易にする円錐形ヘッド(86)をさらに有する、ことを特徴とする請求項5に記載のシーラント容器。
【請求項8】
複数の前記排出口(28)が、前記溝(81)上に対称的に配置されている、ことを特徴とする請求項6に記載のシーラント容器。
【請求項9】
連結部(66)を有するインフレータ(64)と、
請求項1から8のいずれか一項に記載のシーラント容器(62)であって、前記インターフェース(26)を介して前記連結部(66)上に設置される、ところのシーラント容器(62)と
を備えるタイヤ修理および空気注入装置。
【請求項10】
前記インフレータ(64)は、前記第1流路(32)と連通する第3流路(67)、および前記第2流路(34)及び前記第3流路(67)と選択的に連通する第4流路(69)とを有し、前記第4流路(69)は、ガスまたはシーラントをタイヤに分配するべく、前記第3流路(67)からガス、または前記第2流路(34)からシーラントを受け取るように構成されている、ことを特徴とする請求項9に記載のタイヤ修理および空気注入装置。
【請求項11】
前記インフレータはロック装置(79)をさらに有し、前記シーラント容器(62)および前記インフレータ(64)が適所に設置されたとき、前記ロック装置(79)は前記シーラント容器(62)および前記インフレータ(64)を留める、請求項9に記載のタイヤ修理および空気注入装置。
【請求項12】
前記ロック装置(79)は、前記インフレータ(64)内に配置され、前記容器口(18)の側で、前記シーラント容器(62)および前記連結部(66)を一緒にスナップ結合する、ことを特徴とする請求項11に記載のタイヤ修理および空気注入装置。
【請求項13】
前記連結部(66)は、第2弁機構を有し、前記第2弁機構は、
前記インターフェース(26)と係合するよう、前記コア部材(14)の中に挿入されるように構成された第2バルブコア(72)と、
前記第2バルブコア(72)を受け入れるための第2バルブシート(74)であって、前記第2バルブシート(74)は、前記第2バルブコア(72)に対して動くように構成されている、ところの第2バルブシート(74)と、
前記第3流路(67)からのガスが通過するのを防止するよう、前記第2バルブコア(72)または前記第2バルブシート(74)上に配置された連結部シール部材(76)と
を有する、ことを特徴とする請求項10に記載のタイヤ修理および空気注入装置。
【請求項14】
前記第2バルブコア(72)は、前記インフレータ(64)内に固定され、前記第2弁機構は、前記第2バルブコア(72)および前記第2バルブシート(74)にそれぞれ連結された第2バネ部材(78)をさらに有し、その結果前記第2バルブシート(74)が、前記第2バルブコア(72)に対して相対的に往復移動する、ことを特徴とする請求項13に記載のタイヤ修理および空気注入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、自動車整備用具の技術分野に関し、特に、シーラント容器及び該シーラント容器を用いたタイヤ修理および空気注入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車が走行していると、ガス欠や損傷など、タイヤに異常が発生することがある。この場合、ガス欠や破損したタイヤを交換するためにスペアタイヤが使用されたり、タイヤの修理や空気注入を迅速に行うためにタイヤ修理および空気注入装置が使用されたりするのが一般的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、タイヤ修理および空気注入装置は、インフレータとシーラント容器とから構成される。タイヤに空気を入れる必要がある場合、インフレータはホースを介してタイヤの空気ノズルに接続され、インフレータが直接タイヤに空気を入れることができる。また、タイヤを修理する必要がある場合には、インフレータをシーラント容器のガス注入口に接続し、シーラント容器のシーラント排出口を、ホースを介してタイヤの空気ノズルに接続し、インフレータでシーラント容器を膨らませて、シーラント容器内のシーラントを加圧してタイヤの空気ノズルからタイヤ内に噴射できるようにする。そして、車両がゆっくりと前進することで、注入されたシーリング材がタイヤの内壁を均一に覆い、タイヤの修理が完了する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の一態様は、シーリング材の出方を設計するシーラント容器を提供し、当該シーラント容器は、シーリング材を収納するための内部空間、および内壁を有する容器口部を含む容器本体と、容器口上に設置され、定位置に設置されたときに内部空間に向かって伸長するコア部材であって、コア部材が、外側端部、内側端部、およびコア部材内部の外側端部と内側端部との間でのガス通路用の第1流路を有し、外側端部はインターフェースを有し、内側端部は、排出口が開放されたとき、内部空間と連通する少なくとも1つの開放可能な排出口を有する、コア部材とを備え、内壁は、シーラントの通路用の第2流路をさらに画定する。
【0005】
シーラント容器の1つの実施態様において、第2流路は、内壁とコア部材との間の隙間によって画定される環状流路である。
【0006】
シーラント容器の1つの実施態様において、シーラント容器は、第1弁機構をさらに備え、当該第1弁機構は、第1バルブシートであって、内壁の少なくとも一部が第1バルブシートを形成する、ところの第1バルブシートと、第1バルブコアであって、第1バルブコアはコア部材であり、第1バルブコアは、第1バルブシートに対して繰り返し移動可能であり、かつ、初期位置を有する、ところの第1バルブコアと、第1バルブシートと第1バルブコアとの間に配置された、第2流路を閉じるための容器口シール部材とを有する。
【0007】
シーラント容器の1つの実施態様において、容器口シール部材は第1バルブシートに固定され、第2流路は第1バネ部材を有し、第1バネ部材は、第1バルブコアが初期位置にあるとき、第1バネ部材が第1バルブコアの一部を容器口シール部材に押し付けるように構成されており、その結果容器口シール部材が第2流路を閉鎖する。
【0008】
シーラント容器の1つの実施態様において、容器口は、第1部分、および第1部分に嵌合連結される第2部分を有し、第1部分は容器本体と一体的に形成され、第2部分は強度を高めるナイロン材により形成されている。
【0009】
シーラント容器の1つの実施態様において、コア部材は、内側端部に変形可能な第1シール部材を有し、第1シール部材は、変形していないときに、排出口を覆って排出口を閉じ、変形したときに、膨張して排出口を開く。
【0010】
シーラント容器の1つの実施態様において、第1シール部材は、シリコンから形成され、内端端部にスリーブされている。
【0011】
シーラント容器の1つの実施態様において、内側端部は、第1シール部材を受け入れるための溝を有する。
【0012】
シーラント容器の1つの実施態様において、内側端部は、第1シール部材のコア部材への取り付けを容易にする円錐形ヘッドをさらに有する。
【0013】
シーラント容器の1つの実施態様において、シーラント容器は、複数の排出口が、溝上に対称的に配置されている。
【0014】
本願の他の態様は、タイヤ修理および空気注入装置を提供し、当該装置は、接続部分を有するインフレータと、上記の実施態様のいずれかに記載のシーラント容器であって、インターフェースを介して接続部分上に設置される、ところのシーラント容器とを備える。
【0015】
タイヤ修理及び空気注入装置の1つの実施態様において、インフレータは、第1流路と連通する第3流路、および第2流路及び第3流路と選択的に連通する第4流路とを有し、第4流路は、ガス又はシーラントをタイヤに分配するべく、第3流路からガス、または第2流路からシーラントを受け取るように構成されている。
【0016】
タイヤ修理および空気注入装置の1つの実施態様において、インフレータはロック装置をさらに有し、シーラント容器及びインフレータが適所に設置されたとき、ロック装置はシーラント容器及びインフレータを留める。
【0017】
タイヤ修理および空気注入装置の1つの実施態様において、ロック装置は、インフレータ内に配置され、容器口の側で、シーラント容器および連結部を一緒にスナップ結合する。
【0018】
本願に係るシーラント容器に対して、ガス導入口とシーラント排出口が共にシーラント容器の口部に配置され、シーラント容器にはガス導入口やシーラント排出口のための他の開口やホースがなく、構造が簡素化されている。ガスはコア部材の内部を通り、シーラント容器の内部空間に入り込む。このようにして、容器内の圧力を高めてシーラントを吐出する。また、シーラント容器をインフレータと併用することで、インフレータ内の空気注入路にシーラントを流すことができるため、シーラント容器の外側にホースを使用する必要がない。
【0019】
コア部材や容器口部には各種シール部材が配置されており、シーラントが流出した際にシーラント漏れを防止し、シーラント容器の適正な開口状態を確保することができる。また、ガスが進入すると、シーラント容器内のシール部材が膨張して容器内の圧力上昇を許容し、シーラントが加圧された状態で排出される。シーラント容器を使用しないときは、容器内の圧力によりシール部材がガス流入路を密閉し、シーラント容器からガス流入路を通ってシーラントが逆流するのを防ぐことができる。
【0020】
容器口部に弁機構を配置し、施工時にシーラント容器を繰り返し装着できるようにした。弁機構は、シーラント容器が適切に設置されるまで、容器が所定の位置に設置されていないとき、適時に復元される。シーラント容器を所定の位置に設置しない場合、弁機構は開いているが、シーラント容器内に高圧ガスが進入せず、シーラントが加圧されないため、シーラント容器が漏れることはない。
【0021】
本願の他の態様及び特徴は、添付の図面を参照した以下の詳細な説明から明らかになる。図面は説明の目的のためだけにデザインされているが、本願の範囲を限定するものではなく、それは添付の請求項を参照すべきである。また、図面は、本明細書に記載された構造およびプロセスを概念的に説明することのみを意図しており、特に指定しない限り、図面を縮尺通りに描く必要はないことも理解されるべきである。
【0022】
本願発明は、図面と組み合わせた特定の実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって、より完全に理解されるであろう。図面において、同じ参照数字は常に同じ要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本願に係るシーラント容器の1つの実施形態を示す概略図である。
図2図2は、図1におけるシーラント容器の部分拡大図であり、シーラント容器は閉状態にある。
図3図3は、図1におけるシーラント容器の部分拡大図であり、シーラント容器は開状態にある。
図4図4は、本願に係るタイヤ修理および空気注入装置の1つの実施形態の概略図であり、シーラント容器がインフレータに取り付け可能な状態であることを示す図である。
図5図5は、シーラント容器とインフレータとが所定位置に設置されたときの図4のタイヤ修理および空気注入装置の概略図である。
図6図6は、図4のタイヤ修理および空気注入装置のシーラント容器およびインフレータの部分拡大図である。
図7図7は、本願に係るシーラント容器の第1バルブコアの1つの実施形態の構造模式図である。
図8図8は、本願によるタイヤ修理および空気注入装置のタイヤ修理作業中の気体及びシーラントの流れの経路図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本願でクレームされる主題の当業者による正確な理解を助けるために、本願の特定の実施形態を添付の図面と共に以下で詳細に説明する。
【0025】
本願発明に係るタイヤ修理および空気注入装置は、タイヤを膨張させたり修理したりするために用いられる。タイヤ修理および空気注入装置は、インフレータとシーラント容器とからなる。空気注入作業が進行中であるとき、圧縮空気をタイヤに供給するために、インフレータとタイヤとの間に接続が確立される。タイヤの修理作業が進行中であるとき、シーラント容器はインフレータと接続され、インフレータはタイヤと接続される。インフレータは圧縮空気をシーラント容器に送り、ひいてはインフレータを通してタイヤに送り込むためにシーラントをシーラント容器から強制的に排出させる役割を担っている。
【0026】
本願発明に係るシーラント容器は、既存のインフレータと併用することも可能である。上記と同様に、空気注入作業が行われているときは、インフレータがタイヤに接続され、タイヤ修理作業が行われているときは、シーラント容器がインフレータを介してタイヤに接続される。インフレータは、タイヤと接続するための少なくとも1本のパイプを備えている。パイプは、空気注入作業中にタイヤにガスを供給することができるだけでなく、タイヤ修理作業中にタイヤにシーラントを供給することも可能である。本願発明の思想によれば、既存のシーラント容器を後付けして本願発明に係るシーラント容器を得ることもでき、後付けのシーラント容器は既存のインフレータと共に使用することができる。
【0027】
図1は、本願発明に係るシーラント容器の一実施形態を示す概略図である。なお、シーラント容器は、シーラントボトル、シーラントタンク等とも呼ばれる。シーラント容器は、容器本体12と、コア部材14と、キャップ(図示しない)とを備えている。容器本体12は、シーリング材を収納するための内部空間16を有する。容器本体12は、プラスチック製の容器とすることができる。容器本体12は、その底部に容器口18を有し、コア部材14は、容器口18に挿入され、容器口18とともに設置される。図1は、シーラント容器を倒立させた状態を示している。シーラント容器を倒立させない状態では、容器口18は、容器本体12の上部にある。コア部材14は、様々な方法で容器口18に設置することができる。本願発明に係るシーラント容器の設置方法の一つについて、以下に詳細に説明する。所定の位置に設置されたとき、コア部材14は、容器口18の中央に位置し、内部空間16に向かって伸長する。
【0028】
コア部材14は、外側端部22と内側端部24とからなる。ここでの「外側端部」及び「内側端部」は、容器本体12の内部を基準として言及されている。外側端部22には、インフレータなど、シーラント容器以外の他の物体と接続するためのインターフェース26が設けられている。インターフェース26は、組み立て、接触など、様々な方法で他の物体と接続することができる。図示された実施形態では、インターフェース26は、他の物体がコア部材14の内部に伸長して接続関係を確立できるように、外側端部22の内側に配置されている。しかしながら、インターフェース26は、コア部材14の外側端部22が他の物体の内部に伸長するように構成されることも考えられる。
【0029】
コア部材14の内側端部24は、開閉可能な排出口28を備えている。排出口28が開かれると、排出口28は内部空間16と連通する。排出口28が閉じられると、排出口28は内部空間16と連通しない。
【0030】
コア部材14の内部は中空構造であり、それによって外側端部22と内側端部24との間に第1流路32が画定される。第1流路32は、コア部材14の内部を通る気体の通過のために使用される。例えば、インフレータからの圧縮空気は、第1流路32を介して容器本体12に進入することができるので、第1流路32は、気体導入路となる。なお、第1流路32の構成は、図示したものに限定されない。図示の実施形態では、第1流路32には、インターフェース26と排出口28とが接続されているので、インターフェース26、第1流路32及び排出口28を介して内部空間16に気体が進入し、シーラント容器に高圧を噴射させることができる。
【0031】
容器口18の内壁36は、シーラント(すなわち、内部空間16からのシーラント)の通過のために使用される第2流路34を画定する。シーラントは、容器本体12に沿って容器口18まで流れ、内壁36に沿って流れ続け、こうして第2流路34を通過して、シーラント容器から流出する。
【0032】
図示の実施形態では、コア部材14と内壁36との間に隙間が存在するので、第2流路34は、容器口18の内壁36とコア部材14の外面との間に設けられる。さらに、第2流路34は、シーラント流路を規定するように設計されてもよい。さらに、第2流路34の大きさは、内壁36とコア部材14との間の隙間の大きさを設計することによって画定することができる。また、シーラント容器を反転させたとき、第2流路34は、重力による一時的なシーラント貯留部として使用することができる。
【0033】
図示された実施形態では、第2流路34は環状である。ガスは、第1流路32を介して内部空間16に入り、容器内の圧力が上昇すると、シーラントは、第2流路34に沿ってシーラント容器から流出させられ、その結果、中心からガスが入り、周縁に沿ってシーラントが出る「ガス入れ・シーラント出し」モードが形成される。なお、シーラント容器にシーラント排出口や接続ホースを追加で設ける必要はない。
【0034】
図2は、図1の部分拡大図であり、コア部材とシーラント容器の容器口との間の接続を示す。シーラント容器は、第1の弁機構をさらに備え、この弁機構は、第1バルブシート42、第1バルブコア44及び容器口シール部材46から構成される。容器口の内壁36の少なくとも一部は、第1バルブシート42を形成する。なお、第1バルブコア44として、コア部材を用いてもよい。以下、第1バルブコア及びコア部材は、同一の部材を指す。第1バルブコア44は、第1バルブシート42に対して相対的に移動可能であり、第1弁機構を開閉させることができる。図2は、初期位置、すなわち閉じた状態にある第1弁機構を示す。図3は、その移動中の第1バルブコアの1つの位置、すなわち、開弁状態を示している。第2流路34内には、図示のバネのような第1バネ部材48が配置されている。このばねの一端は、第1バルブシート42のフランジ52と接続され、他端は、第1バルブコア44のフランジ54の表面と接続されている。初期位置では、第1バネ部材48は、第1バルブシート42に対して第1バルブコア44を押圧するように作用する。図2に示す実施形態では、第1バルブシート42は、図示のようにシールすることができる容器口シール部材46を配置し固定するためのリング溝56を備えている。第1バルブコア44のフランジ54の他面は、容器口シール部材46に接してこれを変形させ、第1バルブシート42と第1バルブコア44との間のシールを実現し、第2流路34内のシーラントが容器口から流出しないようにしている。図3において、第1バルブコアは図中の点線矢印で示す方向に上方に移動し、第1バネ部材48を絞る。同時に、容器口シール部材46は、第2流路34を閉じなくなり、元の形状に戻る。シーラントは、シーラント容器から実線矢印で示す方向に流出することができる。第1バルブコア44のフランジ54は、第1バルブシート42と隙間を有するように設計されており、第1バルブコア44の移動中にシーラントが第2流路34を通ってスムーズに流出できることを保証する。第1バネ部材48は、シーラント容器の取り付けに再現性を与える。ユーザが1回でシーラント容器の設置に失敗した場合、第1バネ部材48が復元するため、設置が所定の位置になるまで2回目以上の設置を継続することが可能である。なお、第1バネ部材48は、上記の方法で第1バルブシート42と第1バルブコア44とに連結されることに限定されない。また、第1バネ部材48に用いられる材料は、第1バネ部材48と封止材との長期的な適合性を保証し得る。
【0035】
図2に示すように、容器口18は、2つの部分、すなわち、第1部分47と第2部分49とで構成することができる。第1部分47と第2部分49とは、互いに嵌合されて連結されている。図に示すように、第2部分49は、半径方向外側に突出した嵌合部50を有する。嵌合部50には内ネジが設けられ、第1部分47には外ネジが設けられており、第1部分47と第2部分49はネジ接続により互いに組み合わされるようになっている。また、第1部分47と第2部分49の間にシールリングなどのシール部材を追加して、シール効果を高めることもできる。第1部分47と第2部分49は一緒に第一バルブシート42を形成するので、それらの内壁は共同で第2流路34を画定する。シールリング20は、第2部分49の外側に配置され、キャップ(図示せず)と密封可能に接続されている。第1部分47と第2部分49とは、他の考えられる接続態様で一緒に接続することもできる。このような態様で、第1部分47は、容器本体12と一体的に形成することができる。また、第2部分49を容器本体12とは異なる材料で形成することもできるため、容器口18の強度を向上させることができる。
【0036】
第1バルブコア44の内部のインターフェース26は、第1バルブコア44を移動駆動するための他の部材を受けるように、段差27を有するように構成されている。以下、駆動モードについて詳細に説明する。
【0037】
図4及び図5は、シーラント容器とインフレータとの接続状態を示す模式図である。図4は、シーラント容器の取り付けが開始された状態を示す模式図であり、図5は、シーラント容器をインフレータに所定の位置で取り付けた状態を示す模式図である。まず、インフレータについて説明する。インフレータ64は、第3流路67と、第4流路69と、第3流路67と第4流路69との間の連結部66とを少なくとも備えている。ここで、第3流路67は、加圧された気体を送出するためのものであり、気体は、連結部66に送出される。第4流路69は、連結部66と、インフレータ以外の他の部材、例えば連結部66からガスまたはシーラントを受け取るタイヤ、および、ガスまたはシーラントをタイヤに送出するため部材との間にさらに接続される。
【0038】
連結部66は、シーラント容器62と連結され、第2バルブコア72、第2バルブシート74、連結部シール部材76、第2バネ部材78からなる第2弁機構として構成される。第2バルブコア72は、第2バルブシート74に配置され、インフレータ64に固定されている。分かりやすく説明するために、図6は、図4の部分拡大図を示す。第2バルブシート74は、第2バルブコア72に対して相対的に移動可能である。第2バネ部材78を介して、第2バルブシート74は、第2バルブコア72に対して相対的に往復移動可能である。第1バネ部材の配置と同様に、第2バネ部材78(ばねなど)の一端は、第2バルブシート74の内部に突出するフランジ82と接続され、他端は第2バルブコア72のフランジ84と接続されている。第2バルブシート74は、図4又は図6に示すように、初期位置を有している。外力が加わって第2バルブシート74が初期位置から離れると、第2バルブシート74が第2バルブコア72に対して相対的に移動し、第2バネ部材78が絞られる(図5に示す状態)。この押圧力は、外力が除去された後に、第2バルブシート74を初期位置に戻すように移動させる。連結部シール部材76は、第2バルブコア72の頭部に固定されている。図示の実施形態では、連結部シール部材76は、第2バルブコア72にスリーブを形成している。第2バルブシート74が初期位置にあるとき、連結部シール部材76は、(図4又は図6に示すように)第2バルブコア72と第2バルブシート74との間に位置し、第2バルブコア72と第2バルブシート74とをシールするので、連結部66からのガスの流出を防止し、インフレータのガス漏れの不具合を回避することができる。なお、第2バルブシート74が第2バルブコア72に対して相対移動すると、第2バルブシート74と第2バルブコア72との間に隙間が存在するので、連結部シール部材76は作用しなくなる(図5に示す)。なお、連結部シール部材76は、第2バルブシート74に配置することも可能である。
【0039】
図6に示す実施形態では、第2バルブシート74の頭部は、シーラント容器のインターフェース26(即ち、段差)と係合するように構成されている。シーラント容器62及びインフレータ64が所定の位置に設置されると、第2バルブシート74は、第1バルブコア44の内部に挿入される。このとき、第2バルブシート72の頭部がインターフェース26に係合しているので、両者の相互作用により、第1バルブコア44が第1バルブシート42に対して相対移動すると同時に、第2バルブシート74が第2バルブコア72に対して相対移動し、第3経路67からのガスが連結部66を介して第1バルブコア44に進入できるようになる。第2バルブシート74の外周には、さらに、シールリング80が設けられている。第2バルブシート74が第1バルブコア44の内部に入り込むと、シールリング80が作用してガスの漏れを防止する。
【0040】
シーラント容器62およびインフレータ64を所定の位置に設置した後にロックするためのロック装置79がインフレータ64に追加で設けられる。シーラント容器62は、使用時に高い圧力を有する。ロック装置79は、シーラント容器62がインフレータ64に対して相対的に移動したり、インフレータ64から分離したりしないようにすることができ、安全性能を向上させることができる。図示の実施形態では、インフレータ64におけるシーラント容器62と連結部66との間の係合領域の一方側に、ロック装置79が配置されている。図4はアンロック状態を示し、図5はロック状態を示している。ロック装置79は、様々な方法でシーラント容器とインフレータとをロックすることができる。図示の実施形態では、シーラント容器62は、インフレータ64に対して相対的に回転することにより、インフレータ64に装着される。設計された角度だけ回転した後、シーラント容器62とインフレータ64とをスナップするようトリガーされた後に、ロック装置79は自動的に取り出される。
【0041】
図2および3に戻って、第1バルブコア44に入るガスは、内側端部24で排出口28を通って容器本体の内部空間に入ることができる。内側端部24には、排出口28を覆うように、変形可能な第1シール部材59がさらに設けられている。第1シール部材59は、図示のようにシリコンスリーブであり、内側端部24の周方向外側にスリーブされており、収縮状態(図2および3に示す状態)と膨張状態(図8に示す状態)とを有している。第1シール部材59が収縮状態にあるときは、排出口28を閉鎖しているので、排出口28にシーラントが侵入することはない。第1バルブコア44内に高圧ガスが存在する場合、高圧ガスが第1シール部材59を押し出し、第1シール部材59を膨張状態にするので、膨張した第1シール部材59と排出口28との間に隙間が存在し、第1バルブコア44内のガスが排出口28から内部空間へ進入する。
【0042】
インフレータからの圧力は、シーラント容器内の大気圧よりはるかに大きい。圧力がかかると、第1シール部材59は自動的に膨張して開き、ガスがシーラント容器に入ることを可能にする。シーラント容器は使用のために倒立されているので、低密度のガスと結合した高圧力により、ガスがシーラント容器に入るとき、ガスは自動的にシーラントを吹き飛ばすことができ、その結果倒立状態でシーラントがシーラント容器の底部に集められると同時にガスがシーラント容器の上部に存在する。
【0043】
図7は、第1バルブコアの一実施形態の構造概略図である。内側端部には、第1シール部材(図示せず)を受け入れて位置決めするための溝81が設けられている。第1シール部材が溝81上に配置されると、第1シール部材は溝81と干渉嵌合し、それによって排出口28を密封する。さらに、一般に、シーラント容器が使用されていない状態では、高温保存状態により密封されたシーラント容器内の気体や液体が膨張し、それに伴って第1シール部材が外側に膨張することになる。しかし、本願発明による第1バルブコア上の第1シール部材は、第1バルブコアの溝81上に配置されているので、シーラント容器内の気体及び液体の膨張により、第1シール部材は第1バルブコアの溝81とより密着し、密封効果がより発揮されることになる。高温状態での容器内の内圧は、第1シール部材が排出口により良くシールするのを補助する。
【0044】
排出口28は、ガスの流れを安定させるために、溝81上に対称的に配置された第1開口部82と第2開口部84とから構成される。なお、排出口28の数は2個に限らず、それ以上であることも考えられる。また、複数の排出口を溝上に周方向に配置することも、アレイ状に配置することも可能である。
【0045】
追加的に、第1シール部材が円錐形ヘッド86からスリーブされ、かつ、溝81上に同心的に配置されることを容易にするべく、円錐形ヘッド86が溝81の頂部に設けられる。
【0046】
図8は、シーラント容器の使用状態を模式的に示したものである。シーラント容器62とインフレータ64が所定の位置に設置されると、第1バルブコア44が第1バルブシート42に対して上方に移動し、第2バルブシート74が第2バルブコア72に対して下方に移動する。このとき、第1弁機構と第2弁機構は共に開弁する。第3流路67、連結部66および第1流路32の間にガス導入路が設けられる。同時に、第2流路34、連結部66および第4流路69の間にシーラント排出路が設けられる。図中の矢印は、ガスが第3流路67から連結部66を通って第1流路32に入り、第1シール部材59を押して内部空間16に入り、シーラントに圧力を加えて第2流路34に沿って下方に流して連結部66に入り、最後に第4流路69に集まって修理対象のタイヤへ流れていく様子を示している。なお、連結部66には、ガイド流路68が設けられている。シーラント容器を所定の位置に設置したとき、ガイド流路68は、第2流路34と第4流路69との間に位置し、シーラント容器から流出するシーラントを第4流路69に案内する。分かりやすい説明のために、シーラント容器の右側からシーラントが流れ出て、右側のガイド流路68に入ることだけが示されている。しかしながら、本願発明の一実施形態において、シーラントは、環状経路に沿ってシーラント容器から流出し、さらに環状経路に沿って接続部分に流入し続け、ガイド流路68を通過した後に第4流路69に集まることが考えられる。
【0047】
図8は、タイヤ修理作業時の、タイヤ修理および空気注入装置内部のガスおよびシーラントの流れを示す。タイヤ膨張作業の進行時には、第3流路67内の気体が第4流路69に直接流入することが考えられる。このとき、第4流路69は、ガイド流路68に対して開口していない。
【0048】
本願の原理を説明するために、本願の特定の実施形態を図示し、詳細に説明したが、本願は原理から逸脱することなく他の方法で実施することができることが理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8