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特許7553604ライダー支援システムの制御装置及び制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】ライダー支援システムの制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/00 20060101AFI20240910BHJP
   B60W 30/08 20120101ALI20240910BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20240910BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20240910BHJP
   B60W 30/14 20060101ALI20240910BHJP
   B60W 30/16 20200101ALI20240910BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240910BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240910BHJP
   B62J 50/21 20200101ALI20240910BHJP
   B62J 45/00 20200101ALI20240910BHJP
【FI】
B60W30/00
B60W30/08
B60W40/02
B60W50/14
B60W30/14
B60W30/16
G08G1/16 E
G08G1/09 H
B62J50/21
B62J45/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022570754
(86)(22)【出願日】2021-11-08
(86)【国際出願番号】 IB2021060298
(87)【国際公開番号】W WO2022136963
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-04-25
(31)【優先権主張番号】P 2020214074
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(72)【発明者】
【氏名】プファウ ラース
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102015220902(DE,A1)
【文献】特開2016-146041(JP,A)
【文献】特開2013-7632(JP,A)
【文献】特開2017-138887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
B62J 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲の被検体の位置関連情報を検出する周囲環境検出装置が搭載されていない鞍乗型車両(200)を運転するライダー(101)を支援するライダー支援システム(110)の制御装置(120)であって、
前記ライダー支援システム(110)に前記ライダー(101)を支援するライダー支援動作を実行させる実行部(123)を備えており、
更に、
周囲の被検体の位置関連情報を検出する周囲環境検出装置(11)が搭載された他の鞍乗型車両(100)を運転する他のライダー(1)を支援する他のライダー支援システム(10)から、該他の鞍乗型車両(100)の周囲環境情報に基づく情報を、無線通信によって直接的又は間接的に受信する通信部(121)を備えており、
前記実行部(123)は、前記通信部(121)で受信される前記情報に基づいて、前記ライダー支援システム(110)に前記ライダー支援動作を実行させ
前記他の鞍乗型車両(100)は、前記鞍乗型車両(200)と共にグループ走行する車両として設定された車両である、
制御装置(120)。
【請求項2】
前記ライダー支援動作は、前記通信部(121)で受信される前記情報に基づいて前記ライダー(101)に警告を出力する動作を含む、
請求項1に記載の制御装置(120)。
【請求項3】
前記警告は、前記鞍乗型車両(200)と該鞍乗型車両(200)の周辺の走行車両(600)との衝突又は接近の警告を含む、
請求項2に記載の制御装置(120)。
【請求項4】
前記警告は、前記鞍乗型車両(200)の障害物(700)に対する衝突又は接近の警告を含む、
請求項2又は3に記載の制御装置(120)。
【請求項5】
前記警告は、前記鞍乗型車両(200)と前記他の鞍乗型車両(100)との衝突又は接近の警告を含む、
請求項2~4の何れか一項に記載の制御装置(120)。
【請求項6】
前記ライダー支援動作は、前記通信部(121)で受信される前記情報に基づいて前記鞍乗型車両(200)の制動装置(30)及び駆動装置(40)の少なくとも一方を自動で制御する動作を含む、
請求項1~5の何れか一項に記載の制御装置(120)。
【請求項7】
周囲の被検体の位置関連情報を検出する周囲環境検出装置が搭載されていない鞍乗型車両(200)を運転するライダー(101)を支援するライダー支援システム(110)の制御装置(120)であって、
前記ライダー支援システム(110)に前記ライダー(101)を支援するライダー支援動作を実行させる実行部(123)を備えており、
更に、
周囲の被検体の位置関連情報を検出する周囲環境検出装置(11)が搭載された他の鞍乗型車両(100)を運転する他のライダー(1)を支援する他のライダー支援システム(10)から、該他の鞍乗型車両(100)の周囲環境情報に基づく情報を、無線通信によって直接的又は間接的に受信する通信部(121)を備えており、
前記実行部(123)は、前記通信部(121)で受信される前記情報に基づいて、前記ライダー支援システム(110)に前記ライダー支援動作を実行させ、
前記ライダー支援動作は、前記通信部(121)で受信される前記情報に基づいて前記鞍乗型車両(200)の制動装置(30)及び駆動装置(40)の少なくとも一方を自動で制御する動作を含む、
制御装置(120)。
【請求項8】
前記ライダー支援動作は、前記通信部(121)で受信される前記情報に基づいて前記鞍乗型車両(200)にオートクルーズ動作を実行させる動作を含む、
請求項1~7の何れか一項に記載の制御装置(120)。
【請求項9】
前記オートクルーズ動作では、前記他の鞍乗型車両(100)と前記鞍乗型車両(200)との相対的な位置関連情報に基づいて該鞍乗型車両(200)の加減速度が制御される、
請求項8に記載の制御装置(120)。
【請求項10】
前記オートクルーズ動作は、アダプティブクルーズコントロール動作であり、
前記アダプティブクルーズコントロール動作では、前記他の鞍乗型車両(100)と該他の鞍乗型車両(100)の前走車(800)との相対的な位置関連情報に基づいて前記鞍乗型車両(200)の加減速度が制御される、
請求項8又は9に記載の制御装置(120)。
【請求項11】
周囲の被検体の位置関連情報を検出する周囲環境検出装置(11)が搭載された鞍乗型車両(100)を運転するライダー(1)を支援するライダー支援システム(10)の制御装置(20)であって、
前記周囲環境検出装置(11)の出力に基づいて、該鞍乗型車両(100)の周囲環境情報を取得する取得部(21)を備えており、
更に、
周囲の被検体の位置関連情報を検出する周囲環境検出装置が搭載されていない他の鞍乗型車両(200)を運転する他のライダー(101)を支援する他のライダー支援システム(110)に、該他のライダー(101)を支援するライダー支援動作の実行に用いられる、前記鞍乗型車両(100)の前記周囲環境情報に基づく情報を、無線通信によって直接的又は間接的に送信する通信部(23)を備えており、
前記他の鞍乗型車両(200)は、前記鞍乗型車両(100)と共にグループ走行する車両として設定された車両である、
制御装置(20)。
【請求項12】
周囲の被検体の位置関連情報を検出する周囲環境検出装置が搭載されていない鞍乗型車両(200)を運転するライダー(101)を支援するライダー支援システム(110)の制御方法であって、
制御装置(120)の実行部(123)が、前記ライダー支援システム(110)に前記ライダー(101)を支援するライダー支援動作を実行させる実行ステップ(S106)を備えており、
更に、
前記制御装置(120)の通信部(121)が、周囲の被検体の位置関連情報を検出する周囲環境検出装置(11)が搭載された他の鞍乗型車両(100)を運転する他のライダー(1)を支援する他のライダー支援システム(10)から、該他の鞍乗型車両(100)の周囲環境情報に基づく情報を、無線通信によって直接的又は間接的に受信する通信ステップ(S104)を備えており、
前記実行ステップ(S106)では、前記実行部(123)が、前記通信ステップ(S104)で受信される前記情報に基づいて、前記ライダー支援システム(110)に前記ライダー支援動作を実行させ
前記他の鞍乗型車両(100)は、前記鞍乗型車両(200)と共にグループ走行する車両として設定された車両である、
制御方法。
【請求項13】
周囲の被検体の位置関連情報を検出する周囲環境検出装置が搭載されていない鞍乗型車両(200)を運転するライダー(101)を支援するライダー支援システム(110)の制御方法であって、
制御装置(120)の実行部(123)が、前記ライダー支援システム(110)に前記ライダー(101)を支援するライダー支援動作を実行させる実行ステップ(S106)を備えており、
更に、
前記制御装置(120)の通信部(121)が、周囲の被検体の位置関連情報を検出する周囲環境検出装置(11)が搭載された他の鞍乗型車両(100)を運転する他のライダー(1)を支援する他のライダー支援システム(10)から、該他の鞍乗型車両(100)の周囲環境情報に基づく情報を、無線通信によって直接的又は間接的に受信する通信ステップ(S104)を備えており、
前記実行ステップ(S106)では、前記実行部(123)が、前記通信ステップ(S104)で受信される前記情報に基づいて、前記ライダー支援システム(110)に前記ライダー支援動作を実行させ、
前記ライダー支援動作は、前記通信ステップ(S104)で受信される前記情報に基づいて前記鞍乗型車両(200)の制動装置(30)及び駆動装置(40)の少なくとも一方を自動で制御する動作を含む、
制御方法。
【請求項14】
周囲の被検体の位置関連情報を検出する周囲環境検出装置(11)が搭載された鞍乗型車両(100)を運転するライダー(1)を支援するライダー支援システム(10)の制御方法であって、
制御装置(20)の取得部(21)が、前記周囲環境検出装置(11)の出力に基づいて、該鞍乗型車両(100)の周囲環境情報を取得する取得ステップ(S101)を備えており、
更に、
前記制御装置(20)の通信部(23)が、周囲の被検体の位置関連情報を検出する周囲環境検出装置が搭載されていない他の鞍乗型車両(200)を運転する他のライダー(101)を支援する他のライダー支援システム(110)に、該他のライダー(101)を支援するライダー支援動作の実行に用いられる、前記鞍乗型車両(100)の前記周囲環境情報に基づく情報を、無線通信によって直接的又は間接的に送信する通信ステップ(S103)を備えており、
前記他の鞍乗型車両(200)は、前記鞍乗型車両(100)と共にグループ走行する車両として設定された車両である、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲の被検体の位置関連情報を検出する周囲環境検出装置が搭載されていない鞍乗型車両を運転するライダーを支援するライダー支援システムの制御装置及び制御方法と、周囲の被検体の位置関連情報を検出する周囲環境検出装置が搭載された鞍乗型車両を運転するライダーを支援するライダー支援システムの制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の鞍乗型車両として、周囲の被検体の位置関連情報を検出する周囲環境検出装置が搭載されたものがある。周囲環境検出装置の出力に基づいて、その鞍乗型車両の周囲環境情報が取得される。ライダー支援システムの制御装置は、その周囲環境情報に基づいて、その鞍乗型車両を運転するライダーを支援するライダー支援動作を実行する(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-116882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鞍乗型車両は、他種の車両(例えば、自動車、トラック等)と比較して車体が小さいことに起因して、周囲環境検出装置の搭載スペースの確保が困難である。つまり、周囲環境検出装置の搭載が困難な鞍乗型車両を運転するライダーを支援する手法の検討が必要となる。
【0005】
本発明は、上述の課題を背景としてなされたものであり、周囲環境検出装置の搭載が困難な鞍乗型車両のライダーを支援することができる制御装置及び制御方法を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る制御装置は、周囲の被検体の位置関連情報を検出する周囲環境検出装置が搭載されていない鞍乗型車両を運転するライダーを支援するライダー支援システムの制御装置であって、前記ライダー支援システムに前記ライダーを支援するライダー支援動作を実行させる実行部を備えており、更に、周囲の被検体の位置関連情報を検出する周囲環境検出装置が搭載された他の鞍乗型車両を運転する他のライダーを支援する他のライダー支援システムから、該他の鞍乗型車両の周囲環境情報に基づく情報を、無線通信によって直接的又は間接的に受信する通信部を備えており、前記実行部は、前記通信部で受信される前記情報に基づいて、前記ライダー支援システムに前記ライダー支援動作を実行させる。
【0007】
本発明に係る制御装置は、周囲の被検体の位置関連情報を検出する周囲環境検出装置が搭載された鞍乗型車両を運転するライダーを支援するライダー支援システムの制御装置であって、前記周囲環境検出装置の出力に基づいて、該鞍乗型車両の周囲環境情報を取得する取得部を備えており、更に、周囲の被検体の位置関連情報を検出する周囲環境検出装置が搭載されていない他の鞍乗型車両を運転する他のライダーを支援する他のライダー支援システムに、該他のライダーを支援するライダー支援動作の実行に用いられる、前記鞍乗型車両の前記周囲環境情報に基づく情報を、無線通信によって直接的又は間接的に送信する通信部を備えている。
【0008】
本発明に係る制御方法は、周囲の被検体の位置関連情報を検出する周囲環境検出装置が搭載されていない鞍乗型車両を運転するライダーを支援するライダー支援システムの制御方法であって、制御装置の実行部が、前記ライダー支援システムに前記ライダーを支援するライダー支援動作を実行させる実行ステップを備えており、更に、前記制御装置の通信部が、周囲の被検体の位置関連情報を検出する周囲環境検出装置が搭載された他の鞍乗型車両を運転する他のライダーを支援する他のライダー支援システムから、該他の鞍乗型車両の周囲環境情報に基づく情報を、無線通信によって直接的又は間接的に受信する通信ステップを備えており、前記実行ステップでは、前記実行部が、前記通信ステップで受信される前記情報に基づいて、前記ライダー支援システムに前記ライダー支援動作を実行させる。
【0009】
本発明に係る制御方法は、周囲の被検体の位置関連情報を検出する周囲環境検出装置が搭載された鞍乗型車両を運転するライダーを支援するライダー支援システムの制御方法であって、制御装置の取得部が、前記周囲環境検出装置の出力に基づいて、該鞍乗型車両の周囲環境情報を取得する取得ステップを備えており、更に、前記制御装置の通信部が、周囲の被検体の位置関連情報を検出する周囲環境検出装置が搭載されていない他の鞍乗型車両を運転する他のライダーを支援する他のライダー支援システムに、該他のライダーを支援するライダー支援動作の実行に用いられる、前記鞍乗型車両の前記周囲環境情報に基づく情報を、無線通信によって直接的又は間接的に送信する通信ステップを備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る制御装置及び制御方法では、周囲環境検出装置が搭載されていない鞍乗型車両を運転するライダーを支援するライダー支援システムの制御装置に、周囲環境検出装置が搭載された他の鞍乗型車両を運転する他のライダーを支援する他のライダー支援システムから、他の鞍乗型車両の周囲環境情報に基づく情報が送信される。そのため、周囲環境検出装置が搭載されていない鞍乗型車両を運転するライダーを支援することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る総合支援システムの、構成を説明するための図である。
図2】本発明の実施の形態に係る総合支援システムの、構成を説明するための図である。
図3】本発明の実施の形態に係る総合支援システムの、機能の一例を説明するための図である。
図4】本発明の実施の形態に係る総合支援システムの、機能の一例を説明するための図である。
図5】本発明の実施の形態に係る総合支援システムの、機能の一例を説明するための図である。
図6】本発明の実施の形態に係る総合支援システムの、機能の一例を説明するための図である。
図7】本発明の実施の形態に係る総合支援システムの、機能の一例を説明するための図である。
図8】本発明の実施の形態に係る総合支援システムの、動作の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る制御装置及び制御方法について、図面を用いて説明する。
【0013】
なお、「鞍乗型車両」との用語は、ライダーが跨って乗車する乗物全般を意味する。鞍乗型車両には、モータサイクル(自動二輪車、自動三輪車)、バギー、自転車等が含まれる。モータサイクルには、エンジンを推進源とする自動二輪車又は自動三輪車、電動モータを推進源とする自動二輪車又は自動三輪車等が含まれ、例えば、オートバイ、スクーター、電動スクーター等が含まれる。また、自転車は、ペダルに付与されるライダーの踏力によって路上を推進することが可能な乗物全般を意味する。自転車には、普通自転車、電動アシスト自転車、電動自転車等が含まれる。
【0014】
また、以下で説明する構成及び動作等は一例であり、本発明に係る制御装置及び制御方法は、そのような構成及び動作等である場合に限定されない。また、以下では、同一の又は類似する説明を適宜簡略化又は省略している。また、同一の又は類似する機能を有する装置又は部分に、同一の符号を付している場合がある。また、細かい構造については、適宜図示を簡略化又は省略している。
【0015】
実施の形態
以下に、実施の形態に係る総合支援システムを説明する。
【0016】
<総合支援システムの構成>
実施の形態に係る総合支援システムの構成について説明する。
図1及び図2は、本発明の実施の形態に係る総合支援システムの、構成を説明するための図である。
【0017】
図1及び図2に示されるように、総合支援システム500は、周囲環境検出装置11が搭載された鞍乗型車両100(以降、「搭載鞍乗型車両100」と称する。)を運転するライダー1を支援するライダー支援システム10と、周囲環境検出装置が搭載されていない鞍乗型車両200(以降、「非搭載鞍乗型車両200」と称する。)を運転するライダー101を支援するライダー支援システム110と、を含む。搭載鞍乗型車両100において、非搭載鞍乗型車両200が共にグループ走行する車両として設定されているとよく、また、非搭載鞍乗型車両200において、搭載鞍乗型車両100が共にグループ走行する車両として設定されているとよく、また、その両方であるとよい。なお、総合支援システム500が、複数の搭載鞍乗型車両100にそれぞれ対応する複数のライダー支援システム10を含むものであってもよく、また、複数の非搭載鞍乗型車両200にそれぞれ対応する複数のライダー支援システム110を含むものであってもよい。
【0018】
ライダー支援システム10は、搭載鞍乗型車両100の走行状態情報を検出するための走行状態検出装置12と、制御装置(ECU)20と、を含む。ライダー支援システム110は、非搭載鞍乗型車両200の走行状態情報を検出するための走行状態検出装置12と、制御装置(ECU)120と、を含む。制御装置20及び制御装置120に、他の情報を検出する各種検出装置の検出結果が入力されてもよい。
【0019】
ライダー支援システム10は、周囲環境検出装置11の出力に基づいて取得される搭載鞍乗型車両100の周囲環境情報を用いて、搭載鞍乗型車両100のライダー1を支援するライダー支援動作を実行する。制御装置20には、必要に応じて、他の情報(例えば、ライダー1によるブレーキ操作状態の情報、ライダー1によるアクセル操作状態の情報等)を出力するための各種検出装置(図示省略)の検出結果も入力される。ライダー支援システム10の各部は、ライダー支援システム10に専ら用いられるものであってもよく、また、他のシステムと共用されるものであってもよい。なお、そのライダー支援動作は、搭載鞍乗型車両100の周囲環境情報と異なる情報を用いて実行されるものであってもよい。
【0020】
周囲環境検出装置11は、搭載鞍乗型車両100の周囲の被検体の位置関連情報を検出する。なお、位置関連情報は、位置関係に関連する情報を意味し、例えば、被検体とそれ以外の物体との相対位置、相対距離、相対速度、相対加速度、相対加加速度等の情報が含まれる。周囲環境検出装置11は、例えば、レーダー、Lidarセンサ、超音波センサ、カメラ等である。周囲環境検出装置11は、1つであってもよく、また、複数であってもよい。また、周囲環境検出装置11は、搭載鞍乗型車両100の前方の周囲環境情報を検出するものであってもよく、また、搭載鞍乗型車両100の後方の周囲環境情報を検出するものであってもよく、また、搭載鞍乗型車両100の側方の周囲環境情報を検出するものであってもよく、また、それらの組み合わせであってもよい。
【0021】
走行状態検出装置12は、例えば、前輪回転速度センサ、後輪回転速度センサ等を含む。前輪回転速度センサ及び後輪回転速度センサは、車輪の回転速度を検出し、検出結果を出力する。前輪回転速度センサ及び後輪回転速度センサが、車輪の回転速度に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。
【0022】
また、走行状態検出装置12は、例えば、慣性計測装置を含む。慣性計測装置は、3軸のジャイロセンサ及び3方向の加速度センサを備えており、搭載鞍乗型車両100の3軸の加速度と3軸の角速度の検出結果を出力する。慣性計測装置が、3軸の加速度と3軸の角速度に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。また、慣性計測装置が、3軸の加速度及び3軸の角速度の一部のみを検出するものであってもよい。
【0023】
また、走行状態検出装置12は、例えば、制動力計測装置、駆動力計測装置等を含む。制動力計測装置は、例えば、ライダー1のブレーキ操作の操作量、制動装置30に生じている実際の制動力等の検出結果を出力する。制動力計測装置が、ライダー1のブレーキ操作の操作量及び制動装置30に生じている実際の制動力に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。また、駆動力計測装置は、例えば、ライダー1のアクセル操作の操作量、駆動装置40に生じている実際の駆動力等の検出結果を出力する。駆動力計測装置が、ライダー1のアクセル操作の操作量及び駆動装置40に生じている実際の駆動力に実質的に換算可能な他の物理量を検出するものであってもよい。
【0024】
また、走行状態検出装置12は、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号の受信機と地図情報の記憶部とを含む。搭載鞍乗型車両100の位置又は進行方向を検出可能な他の構成が採用されてもよい。
【0025】
制御装置20は、取得部21と、実行部22と、通信部23と、を含む。制御装置20の各部は、1つの筐体に纏めて設けられていてもよく、また、複数の筐体に分けられて設けられていてもよい。また、制御装置20の一部又は全ては、例えば、マイコン、マイクロプロセッサユニット等で構成されてもよく、また、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、また、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。
【0026】
取得部21は、搭載鞍乗型車両100に搭載されている各装置から出力される情報を取得し、実行部22へ出力する。取得部21は、周囲環境検出装置11からの出力に基づいて搭載鞍乗型車両100の周囲環境情報を取得し、搭載鞍乗型車両100の走行状態検出装置12からの出力に基づいて搭載鞍乗型車両100の走行状態情報を取得する。走行状態情報は、例えば、搭載鞍乗型車両100の速度、加減速度、位置、進行方向等の情報を含む。
【0027】
実行部22は、取得部21で取得された各種情報に基づいて、ライダー支援システム10の各種装置に信号を出力して、搭載鞍乗型車両100のライダー1を支援するライダー支援動作を実行する。例えば、実行部22は、制動装置30及び駆動装置40の少なくとも一方に信号を出力して、搭載鞍乗型車両100に生じる加減速度を自動で制御する。また、例えば、実行部22は、報知装置50に信号を出力して、ライダー1に警告を与える。
【0028】
報知装置50は、音(つまり、聴覚器が感覚器として用いられる知覚)によってライダー1に警告するものであってもよく、また、表示(つまり、視覚器が感覚器として用いられる知覚)によってライダー1に警告するものであってもよく、また、振動(つまり、触覚器が感覚器として用いられる知覚)によってライダー1に警告するものであってもよく、また、それらの組み合わせによって警告するものであってもよい。また、報知装置50は、搭載鞍乗型車両100に設けられていてもよく、また、搭載鞍乗型車両100に取り付けられる備品に設けられていてもよく、また、ヘルメット、グローブ等のライダー1の着用物に設けられていてもよい。また、報知装置50は、1つの出力器で構成されていてもよく、また、複数の同一種類又は異なる種類の出力器で構成されていてもよい。その複数の出力器は、一体的に設けられていてもよく、また、別体的に設けられていてもよい。また、報知装置50は、搭載鞍乗型車両100に瞬時的な加減速度を生じさせることによってライダー1に警告するものであってもよい。つまり、報知装置50は、制動装置30、駆動装置40等によって実現されていてもよい。
【0029】
通信部23は、非搭載鞍乗型車両200を運転するライダー101を支援するライダー支援システム110に、そのライダー101を支援するライダー支援動作の実行に用いられる、搭載鞍乗型車両100の周囲環境情報に基づく情報を、無線通信によって送信する。通信部23は、取得部21で取得された周囲環境情報自体を送信してもよく、また、実行部22で周囲環境情報に基づいたライダー支援動作が実行される場合において、そのライダー支援動作の実行に伴って生成される情報を送信してもよい。通信部23は、その情報を、ライダー支援システム110に直接的に送信してもよく、また、他の媒体(例えば、インターネットサーバ、携帯型無線端末等)を介して間接的に送信してもよい。
【0030】
ライダー支援システム110は、ライダー支援システム10の制御装置20の通信部23から送信される情報に基づいて、非搭載鞍乗型車両200のライダー101を支援するライダー支援動作を実行する。制御装置120には、必要に応じて、他の情報(例えば、ライダー101によるブレーキ操作状態の情報、ライダー101によるアクセル操作状態の情報等)を出力するための各種検出装置(図示省略)の検出結果も入力される。ライダー支援システム110の各部は、ライダー支援システム110に専ら用いられるものであってもよく、また、他のシステムと共用されるものであってもよい。なお、ライダー支援システム110が、ライダー支援システム10の制御装置20の通信部23から送信される情報に基づくライダー支援動作に加えて、非搭載鞍乗型車両200の各種検出装置で検出される他の情報を用いたライダー支援動作を実行してもよい。なお、走行状態検出装置12、制動装置30、駆動装置40、報知装置50については、ライダー支援システム10のものと同様であるため、説明を省略する。
【0031】
制御装置120は、通信部121と、取得部122と、実行部123と、を含む。制御装置120の各部は、1つの筐体に纏めて設けられていてもよく、また、複数の筐体に分けられて設けられていてもよい。また、制御装置120の一部又は全ては、例えば、マイコン、マイクロプロセッサユニット等で構成されてもよく、また、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、また、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。
【0032】
通信部121は、搭載鞍乗型車両100を運転するライダー1を支援するライダー支援システム10から、搭載鞍乗型車両100の周囲環境情報に基づく情報を、無線通信によって受信する。通信部121は、その情報を、ライダー支援システム10の制御装置20の通信部23から直接的に受信してもよく、また、他の媒体(例えば、インターネットサーバ、携帯型無線端末等)を介して間接的に受信してもよい。
【0033】
取得部122は、通信部121及び非搭載鞍乗型車両200に搭載されている各装置から出力される情報を取得し、実行部123へ出力する。取得部122は、通信部121からの出力に基づいて搭載鞍乗型車両100の周囲環境情報に基づく情報を取得し、非搭載鞍乗型車両200の走行状態検出装置12からの出力に基づいて非搭載鞍乗型車両200の走行状態情報を取得する。走行状態情報は、例えば、非搭載鞍乗型車両200の速度、加減速度、位置、進行方向等の情報を含む。
【0034】
実行部123は、取得部122で取得された各種情報に基づいて、ライダー支援システム110の各種装置に信号を出力して、非搭載鞍乗型車両200のライダー101を支援するライダー支援動作を実行する。例えば、実行部123は、制動装置30及び駆動装置40の少なくとも一方に信号を出力して、非搭載鞍乗型車両200に生じる加減速度を自動で制御する。また、例えば、実行部123は、報知装置50に信号を出力して、ライダー101に警告を与える。
【0035】
図3は、本発明の実施の形態に係る総合支援システムの、機能の一例を説明するための図である。
例えば、図3に示されるように、搭載鞍乗型車両100が、非搭載鞍乗型車両200の後ろ側を走行している場合が想定される。ライダー支援システム10の周囲環境検出装置11は、被検体としての非搭載鞍乗型車両200の、被検体としてのその周辺の走行車両600に対する位置関連情報を検出する。走行車両600は、例えば、非搭載鞍乗型車両200の後方を走行する車両、非搭載鞍乗型車両200の側方を走行する車両、非搭載鞍乗型車両200の前方を走行する車両等である。そのような場合において、周囲環境検出装置11の検出結果に基づいて、非搭載鞍乗型車両200と走行車両600との衝突又は接近の可能性が高いと判定されると、実行部123は、ライダー101を支援するライダー支援動作を実行する。なお、非搭載鞍乗型車両200と走行車両600との衝突又は接近の可能性に換えて、非搭載鞍乗型車両200と走行車両600との接近の継続時間が判定されてもよい。また、非搭載鞍乗型車両200と走行車両600との衝突又は接近の可能性に換えて、非搭載鞍乗型車両200と障害物700との衝突又は接近の可能性が判定されてもよい。障害物700は、例えば、路上設備(例えば、電柱、ガードレール等)、停止車両、通行人、動物、落下物、路面欠陥等である。なお、図3では、搭載鞍乗型車両100が、非搭載鞍乗型車両200と異なる車線を走行している場合を示しているが、搭載鞍乗型車両100が、非搭載鞍乗型車両200と同一の車線を走行していてもよい。例えば、実行部123は、非搭載鞍乗型車両200の報知装置50にライダー101に衝突又は接近を知らせるための警告を出力させる制御指令を出力する。また、そのような警告に換えて又は加えて、非搭載鞍乗型車両200の加減速度が、その衝突又は接近が回避されるべく制御されてもよい。つまり、実行部123は、非搭載鞍乗型車両200に生じている加速度を増加させる、又は、減速度を減少させるべく、制動装置30及び駆動装置40の少なくとも一方に制御指令を出力してもよい。なお、その加減速度の制御は、ブレーキ操作及びアクセル操作が全く行われていない状態で、自動で実行されるものであってもよく、また、ブレーキ操作及びアクセル操作の少なくとも一方の操作が行われている状態で、その操作の不足を自動で補うものであってもよい。また、上述の判定は、実行部22で行われてもよく、また、実行部123で行われてもよい。また、その判定において、ライダー支援システム110の走行状態検出装置12の検出結果が加味されてもよい。つまり、ライダー支援システム110の走行状態検出装置12の検出結果が、通信部23を介して制御装置20で取得されてもよい。
【0036】
図4は、本発明の実施の形態に係る総合支援システムの、機能の一例を説明するための図である。
例えば、図4に示されるように、搭載鞍乗型車両100が、非搭載鞍乗型車両200の後ろ側を走行している場合が想定される。ライダー支援システム10の周囲環境検出装置11は、被検体としての非搭載鞍乗型車両200の、搭載鞍乗型車両100に対する位置関連情報を検出する。そのような場合において、周囲環境検出装置11の検出結果と、ライダー支援システム10の走行状態検出装置12の検出結果と、に基づいて、搭載鞍乗型車両100と非搭載鞍乗型車両200との衝突又は接近の可能性が高いと判定されると、実行部123は、ライダー101を支援するライダー支援動作を実行する。なお、搭載鞍乗型車両100と非搭載鞍乗型車両200との衝突又は接近の可能性に換えて、搭載鞍乗型車両100と非搭載鞍乗型車両200との接近の継続時間が判定されてもよい。なお、図4では、搭載鞍乗型車両100が、非搭載鞍乗型車両200と同一の車線を走行している場合を示しているが、搭載鞍乗型車両100が非搭載鞍乗型車両200と異なる車線を走行していてもよい。例えば、実行部123は、非搭載鞍乗型車両200の報知装置50にライダー101に衝突又は接近を知らせるための警告を出力させる制御指令を出力する。併せて、実行部22が、搭載鞍乗型車両100の報知装置50にライダー1に衝突又は接近を知らせるための警告を出力させる制御指令を出力してもよい。また、そのような警告に換えて又は加えて、非搭載鞍乗型車両200及び搭載鞍乗型車両100の少なくとも一方の加減速度が、その衝突又は接近が回避されるべく制御されてもよい。つまり、実行部123は、非搭載鞍乗型車両200に生じている加速度を増加させる、又は、減速度を減少させるべく、制動装置30及び駆動装置40の少なくとも一方に制御指令を出力してもよい。また、実行部22は、搭載鞍乗型車両100に生じている加速度を減少させる、又は、減速度を増加させるべく、制動装置30及び駆動装置40の少なくとも一方に制御指令を出力してもよい。なお、その加減速度の制御は、ブレーキ操作及びアクセル操作が全く行われていない状態で、自動で実行されるものであってもよく、また、ブレーキ操作及びアクセル操作の少なくとも一方の操作が行われている状態で、その操作の不足を自動で補うものであってもよい。また、上述の判定は、実行部22で行われてもよく、また、実行部123で行われてもよい。また、その判定において、ライダー支援システム110の走行状態検出装置12の検出結果が加味されてもよい。つまり、ライダー支援システム110の走行状態検出装置12の検出結果が、通信部23を介して制御装置20で取得されてもよい。
【0037】
図5は、本発明の実施の形態に係る総合支援システムの、機能の一例を説明するための図である。
例えば、図5に示されるように、搭載鞍乗型車両100が、非搭載鞍乗型車両200の前側を走行している場合が想定される。つまり、ライダー支援システム10の周囲環境検出装置11は、被検体としての非搭載鞍乗型車両200の、被検体としてのその周辺の走行車両600に対する位置関連情報を検出する。そのような場合において、周囲環境検出装置11の検出結果に基づいて、非搭載鞍乗型車両200と走行車両600との衝突又は接近の可能性が高いと判定されると、実行部123は、ライダー101を支援するライダー支援動作を実行する。なお、非搭載鞍乗型車両200と走行車両600との衝突又は接近の可能性に換えて、非搭載鞍乗型車両200と走行車両600との接近の継続時間が判定されてもよい。また、非搭載鞍乗型車両200と走行車両600との衝突又は接近の可能性に換えて、非搭載鞍乗型車両200と障害物700との衝突又は接近の可能性が判定されてもよい。障害物700は、例えば、路上設備(例えば、電柱、ガードレール等)、停止車両、通行人、動物、落下物、路面欠陥等である。なお、図5では、搭載鞍乗型車両100が、非搭載鞍乗型車両200と同一の車線を走行している場合を示しているが、搭載鞍乗型車両100が、非搭載鞍乗型車両200と異なる車線を走行していてもよい。つまり、搭載鞍乗型車両100が非搭載鞍乗型車両200の前側又は側方を走行している場合であっても、搭載鞍乗型車両100が非搭載鞍乗型車両200の後ろ側を走行している場合と同様に、ライダー支援システム110にライダー101を支援するライダー支援動作を実行させることが可能である。
【0038】
図6は、本発明の実施の形態に係る総合支援システムの、機能の一例を説明するための図である。
例えば、図6に示されるように、搭載鞍乗型車両100が、非搭載鞍乗型車両200の前側を走行している場合が想定される。つまり、ライダー支援システム10の周囲環境検出装置11は、被検体としての非搭載鞍乗型車両200の、搭載鞍乗型車両100に対する位置関連情報を検出する。そのような場合において、周囲環境検出装置11の検出結果と、ライダー支援システム10の走行状態検出装置12の検出結果と、に基づいて、搭載鞍乗型車両100と非搭載鞍乗型車両200との衝突又は接近の可能性が高いと判定されると、実行部123は、ライダー101を支援するライダー支援動作を実行する。なお、搭載鞍乗型車両100と非搭載鞍乗型車両200との衝突又は接近の可能性に換えて、搭載鞍乗型車両100と非搭載鞍乗型車両200との接近の継続時間が判定されてもよい。なお、図6では、搭載鞍乗型車両100が非搭載鞍乗型車両200と同一の車線を走行している場合を示しているが、搭載鞍乗型車両100が非搭載鞍乗型車両200と異なる車線を走行していてもよい。つまり、搭載鞍乗型車両100が非搭載鞍乗型車両200の前側又は側方を走行している場合であっても、搭載鞍乗型車両100が非搭載鞍乗型車両200の後ろ側を走行している場合と同様に、ライダー支援システム110にライダー101を支援するライダー支援動作を実行させることが可能である。
【0039】
例えば、図6に示されるように、搭載鞍乗型車両100が、非搭載鞍乗型車両200の前側を走行している状況下で、ライダー支援システム110が、周囲環境検出装置11を用いて取得される、搭載鞍乗型車両100に対する非搭載鞍乗型車両200の位置関連情報に基づいて、非搭載鞍乗型車両200にオートクルーズ動作を実行させる。オートクルーズ動作は、ライダー101による加減速操作によらずに非搭載鞍乗型車両200の加減速度を自動で制御する動作である。オートクルーズ動作には、クルーズコントロール動作と、アダプティブクルーズコントロール動作と、が含まれる。クルーズコントロール動作では、設定された目標速度で非搭載鞍乗型車両200が走行するように、制御装置120によって非搭載鞍乗型車両200の加減速度が制御される。一方で、アダプティブクルーズコントロール動作では、そのような制御に加えて、前走車との車間距離又は衝突回避性の維持が図られる。つまり、アダプティブクルーズコントロール動作では、前走車が居ない場合には、設定された目標速度で非搭載鞍乗型車両200が走行するように、制御装置120によって非搭載鞍乗型車両200の加減速度が制御される。また、前走車が居る場合には、その目標速度以下であって、且つ、前走車との車間距離又は衝突回避性の維持を目指す速度で非搭載鞍乗型車両200が走行するように、制御装置120によって非搭載鞍乗型車両200の加減速度が制御される。例えば、搭載鞍乗型車両100がクルーズコントロール動作を実行している場合に、ライダー支援システム10の周囲環境検出装置11は、被検体としての非搭載鞍乗型車両200の、搭載鞍乗型車両100に対する位置関連情報を検出する。そして、実行部123が、非搭載鞍乗型車両200と搭載鞍乗型車両100との車間距離又は衝突回避性の維持が図られるべく、非搭載鞍乗型車両200の制動装置30及び駆動装置40の少なくとも一方に制御指令を出力することで、ライダー支援システム110は非搭載鞍乗型車両200のクルーズコントロール動作を実行する。また、搭載鞍乗型車両100が、オートクルーズ動作を実行していない場合、又は、別の周囲環境検出装置11を用いて取得される搭載鞍乗型車両100の前方の周囲環境情報に基づいてアダプティブクルーズコントロール動作を実行している場合に、ライダー支援システム10の周囲環境検出装置11は、被検体としての非搭載鞍乗型車両200の、搭載鞍乗型車両100に対する位置関連情報を検出する。そして、実行部123が、非搭載鞍乗型車両200と搭載鞍乗型車両100との車間距離又は衝突回避性の維持が図られるべく、非搭載鞍乗型車両200の制動装置30及び駆動装置40の少なくとも一方に制御指令を出力することで、ライダー支援システム110は非搭載鞍乗型車両200のアダプティブクルーズコントロール動作を実行する。非搭載鞍乗型車両200のアダプティブクルーズコントロール動作のオンオフ、目標速度、及び、車間距離又は衝突回避性の少なくとも1つを、搭載鞍乗型車両100においてライダー1が変更可能であってもよく、また、非搭載鞍乗型車両200においてライダー101が変更可能であってもよく、また、その両方であってもよい。そのオンオフ、目標速度、及び、車間距離又は衝突回避性の少なくとも1つを、搭載鞍乗型車両100においてライダー1が変更可能である場合に、非搭載鞍乗型車両200におけるライダー101の許諾操作が変更の要件となっていてもよい。また、搭載鞍乗型車両100のクルーズコントロール動作のオンオフ、アダプティブクルーズコントロール動作のオンオフ、目標速度、及び、車間距離又は衝突回避性の少なくとも1つを、非搭載鞍乗型車両200においてライダー101が変更可能であってもよい。そのオンオフ、目標速度、及び、車間距離又は衝突回避性の少なくとも1つを、非搭載鞍乗型車両200においてライダー101が変更可能である場合に、搭載鞍乗型車両100におけるライダー1の許諾操作が変更の要件となっていてもよい。
【0040】
図7は、本発明の実施の形態に係る総合支援システムの、機能の一例を説明するための図である。
例えば、図7に示されるように、搭載鞍乗型車両100が、非搭載鞍乗型車両200の前側を走行している状況下で、ライダー支援システム110が、周囲環境検出装置11を用いて取得される、搭載鞍乗型車両100に対するその搭載鞍乗型車両100の前走車800の位置関連情報に基づいて、非搭載鞍乗型車両200にオートクルーズ動作を実行させる。例えば、搭載鞍乗型車両100が周囲環境検出装置11を用いて取得される前方の周囲環境情報に基づいてアダプティブクルーズコントロール動作を実行している場合に、取得部122が通信部121を介して搭載鞍乗型車両100の速度の情報、つまり、搭載鞍乗型車両100の周囲環境情報に基づく情報を取得する。そして、実行部123が、非搭載鞍乗型車両200の速度と搭載鞍乗型車両100の速度との一致が図られるべく、非搭載鞍乗型車両200の制動装置30及び駆動装置40の少なくとも一方に制御指令を出力することで、ライダー支援システム110は非搭載鞍乗型車両200のアダプティブクルーズコントロール動作を実行する。その際、各走行状態検出装置12の検出結果に基づいて、搭載鞍乗型車両100及び非搭載鞍乗型車両200の位置の情報が取得されて、非搭載鞍乗型車両200と搭載鞍乗型車両100との車間距離又は衝突回避性の維持が図られてもよい。非搭載鞍乗型車両200のアダプティブクルーズコントロール動作のオンオフ、及び、車間距離又は衝突回避性の少なくとも1つを、搭載鞍乗型車両100においてライダー1が変更可能であってもよく、また、非搭載鞍乗型車両200においてライダー101が変更可能であってもよく、また、その両方であってもよい。オンオフ、及び、車間距離又は衝突回避性の少なくとも1つを搭載鞍乗型車両100においてライダー1が変更可能である場合に、非搭載鞍乗型車両200におけるライダー101の許諾操作が変更の要件となっていてもよい。また、搭載鞍乗型車両100のアダプティブクルーズコントロール動作のオンオフ、目標速度、及び、車間距離又は衝突回避性の少なくとも1つを、非搭載鞍乗型車両200においてライダー101が変更可能であってもよい。そのオンオフ、目標速度、及び、車間距離又は衝突回避性の少なくとも1つを、非搭載鞍乗型車両200においてライダー101が変更可能である場合に、搭載鞍乗型車両100におけるライダー1の許諾操作が変更の要件となっていてもよい。なお、実行部123が、搭載鞍乗型車両100に対する前走車800の位置関連情報に基づいて、非搭載鞍乗型車両200にアダプティブクルーズコントロール動作を実行させる際に、ライダー支援システム10の別の周囲環境検出装置11を用いて取得される、被検体としての非搭載鞍乗型車両200の、搭載鞍乗型車両100に対する位置関連情報が加味されてもよい。また、搭載鞍乗型車両100がクルーズコントロール動作を実行している場合に、取得部122が通信部121を介して搭載鞍乗型車両100の速度の情報を取得することで、実行部123が、ライダー支援システム110にクルーズコントロール動作を実行させてもよい。非搭載鞍乗型車両200のクルーズコントロール動作のオンオフを、搭載鞍乗型車両100においてライダー1が変更可能であってもよく、また、非搭載鞍乗型車両200においてライダー101が変更可能であってもよく、また、その両方であってもよい。オンオフを搭載鞍乗型車両100においてライダー1が変更可能である場合に、非搭載鞍乗型車両200におけるライダー101の許諾操作が変更の要件となっていてもよい。また、搭載鞍乗型車両100のクルーズコントロール動作のオンオフを、非搭載鞍乗型車両200においてライダー101が変更可能であってもよい。そのオンオフを非搭載鞍乗型車両200においてライダー101が変更可能である場合に、搭載鞍乗型車両100におけるライダー1の許諾操作が変更の要件となっていてもよい。
【0041】
<総合支援システムの動作>
実施の形態に係る総合支援システムの動作について説明する。
図8は、本発明の実施の形態に係る総合支援システムの、動作の一例を説明するための図である。なお、各ステップの順序が適宜入れ替えられていてもよく、また、何れかのステップが適宜省略されていてもよく、また、別のステップが適宜加えられていてもよい。
【0042】
総合支援システム500は、搭載鞍乗型車両100及び非搭載鞍乗型車両200の走行中に、図8に示される動作を実行する。
【0043】
(取得ステップ)
ステップS101において、ライダー支援システム10の制御装置20の取得部21は、周囲環境検出装置11からの出力に基づいて周囲環境情報を取得し、搭載鞍乗型車両100の走行状態検出装置12からの出力に基づいて搭載鞍乗型車両100の走行状態情報を取得する。
【0044】
(実行ステップ)
続いて、ステップS102において、ライダー支援システム10の制御装置20の実行部22は、ステップS101で取得された各種情報に基づいて、ライダー支援システム10の各種装置に信号を出力して、搭載鞍乗型車両100のライダー1を支援するライダー支援動作を実行する。
【0045】
(通信ステップ)
続いて、ステップS103において、ライダー支援システム10の制御装置20の通信部23は、非搭載鞍乗型車両200を運転するライダー101を支援するライダー支援システム110に、そのライダー101を支援するライダー支援動作の実行に用いられる、搭載鞍乗型車両100の周囲環境情報に基づく情報を、無線通信によって送信する。
【0046】
(通信ステップ)
続いて、ステップS104において、ライダー支援システム110の制御装置120の通信部121は、搭載鞍乗型車両100を運転するライダー1を支援するライダー支援システム10から、搭載鞍乗型車両100の周囲環境情報に基づく情報を、無線通信によって受信する。
【0047】
(取得ステップ)
続いて、ステップS105において、ライダー支援システム110の制御装置120の取得部122は、通信部121からの出力に基づいて搭載鞍乗型車両100の周囲環境情報に基づく情報を取得し、非搭載鞍乗型車両200の走行状態検出装置12からの出力に基づいて非搭載鞍乗型車両200の走行状態情報を取得する。
【0048】
(実行ステップ)
続いて、ステップS106において、ライダー支援システム110の制御装置120の実行部123は、ステップS105で取得された各種情報に基づいて、ライダー支援システム110の各種装置に信号を出力して、非搭載鞍乗型車両200のライダー101を支援するライダー支援動作を実行する。
【0049】
<総合支援システムの効果>
実施の形態に係る総合支援システムの効果について説明する。
【0050】
総合支援システム500では、非搭載鞍乗型車両200を運転するライダー101を支援するライダー支援システム110の制御装置120に、搭載鞍乗型車両100を運転するライダー1を支援するライダー支援システム10から、搭載鞍乗型車両100の周囲環境情報に基づく情報が送信される。そのため、非搭載鞍乗型車両200を運転するライダー101を支援することが可能となる。
【0051】
好ましくは、非搭載鞍乗型車両200において、搭載鞍乗型車両100が共にグループ走行する車両として設定された車両である場合、及び/又は、搭載鞍乗型車両100において、非搭載鞍乗型車両200が共にグループ走行する車両として設定された車両である場合に限り、ライダー支援システム110において、搭載鞍乗型車両100の周囲環境情報に基づく情報を用いたライダー支援動作が実行されてもよい。そのように構成されることで、非搭載鞍乗型車両200を運転するライダー101の支援が適切化される。
【0052】
本発明の実施の形態は、以上の説明に限定されない。つまり、本発明には、以上で説明された実施の形態に対して変形を施した形態が含まれる。また、本発明には、以上で説明された実施の形態の一部のみが実施される形態、又は、その形態同士が組み合わされた形態が含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1、101 ライダー、10、110 ライダー支援システム、11 周囲環境検出装置、12 走行状態検出装置、20、120 制御装置、21、122 取得部、22、123 実行部、23、121 通信部、30 制動装置、40 駆動装置、50 報知装置、100、200 鞍乗型車両、500 総合支援システム、600 走行車両、700 障害物、800 前走車。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8