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特許7553615プロテアーゼのイメージング/検出のための化学発光プローブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】プロテアーゼのイメージング/検出のための化学発光プローブ
(51)【国際特許分類】
   C07K 5/06 20060101AFI20240910BHJP
   C07K 5/08 20060101ALI20240910BHJP
   C07K 5/10 20060101ALI20240910BHJP
   C07K 7/06 20060101ALI20240910BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20240910BHJP
   C12Q 1/37 20060101ALI20240910BHJP
   A61K 49/00 20060101ALI20240910BHJP
   G01N 33/68 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
C07K5/06
C07K5/08
C07K5/10
C07K7/06
C12Q1/02
C12Q1/37
A61K49/00
G01N33/68
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2023000803
(22)【出願日】2023-01-06
(62)【分割の表示】P 2019565169の分割
【原出願日】2018-05-23
(65)【公開番号】P2023038235
(43)【公開日】2023-03-16
【審査請求日】2023-02-03
(31)【優先権主張番号】62/510,370
(32)【優先日】2017-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/557,881
(32)【優先日】2017-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501177609
【氏名又は名称】ラモット・アット・テル・アビブ・ユニバーシテイ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】RAMOT AT TEL AVIV UNIVERSITY LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャバット,ドロン
(72)【発明者】
【氏名】ロス-コンフォルティ,ミハエル エリ
【審査官】山内 達人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0078188(US,A1)
【文献】Org. Biomol. Chem.,2009年,7,p. 2941-2957
【文献】ACS Cent. Sci.,2017年03月,3,p. 349-358
【文献】PNAS,2004年,vol. 101, no. 51,p. 17867-17872
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K
C12Q
G01N
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IaまたはIbの化合物であって、
【化1】

式中、
メチルであり
およびR はこれらが結合している炭素原子と一緒になってアダマンチルを形成し;
は、式:
【化2】

の基であり;
は-O-R基に対してオルト位結合したClであり;
Aは-O-R基に対してオルト位結合した式-CH=CH-Eのπアクセプター基であり、Eは-CNまたは-COOCH であり;
Pep
(i)シトルリンのカルボン酸基を介して前記アニリン基と結合した配列Val-Citからなるプロテアーゼ切断可能ペプチド部分であり、バリンのアミノ基においてカルボキシベンジルにより保護されている若しくはバリンのアミノ基を介して式:
【化3】

(式中、nは17である。)
のPEG含有基と結合しているものである;または
(ii)グルタミンのカルボン酸基を介して前記アニリン基と結合した配列His-Ser-Ser-Lys-Leu-Glnからなるプロテアーゼ切断可能ペプチド部分であり、ヒスチジンのαアミノ基においてN-モルホリンカルボニルにより保護されているも
のであり
Lは存在せず;ならびに
Pepは存在しない、化合物。
【請求項2】
式IaまたはIbの化合物であって、
【化4】

式中、
は、直鎖もしくは分岐鎖(C~C18)アルキル、または(C~C)シクロアルキルから選択され;
およびRは、各々独立して、分岐鎖(C~C18)アルキルもしくは(C~C)シクロアルキルから選択されるか、またはRおよびRはこれらが結合している炭素原子と一緒になって環式もしくは多環式の縮合環、スピロ環もしくは架橋環を形成し;
は、式:
【化5】

の基であり;
はHまたは-O-R基に対してオルト位もしくはパラ位のいずれかで結合したハロゲンであり;
Aは-O-R基に対してオルト位もしくはパラ位のいずれかで結合した式-CH=CH-Eのπアクセプター基であり、Eは-CN、-COOH、-COO(C~C18)アルキル、4-ピリジニル、メチルピリジニウム-4-イル、3,3-ジメチル-3H-インドリル、または1,3,3-トリメチル-3H-インドール-1-イウム-2-イルであり;
Pepは、少なくとも2個のアミノ酸残基からなるプロテアーゼ切断可能ペプチド部分であり、その末端カルボン酸基または存在する場合はその側鎖カルボン酸基のいずれかを介して前記アニリン基と結合しており;
LはPepのカルボン酸基もしくはアミノ基のいずれかによりPepとアミド結合を介して結合したリンカーであり、(1)Pepがその末端カルボン酸基を介して前記アニリン基と結合するものであるとき、Lは、存在する場合はPepの側鎖カルボン酸
基もしくはアミノ基のいずれかによりPepと結合したリンカーであり、または(2)Pepがその側鎖カルボン酸基を介して前記アニリン基と結合するものであるとき、Lは、Pepの末端カルボン酸基もしくはアミノ基のいずれかによりPepと結合したリンカーであり;ならびに
Pepはそのアミノ基もしくはカルボン酸基によりアミド結合を介して、もしくはそのチオール基のいずれかによりLと結合した細胞透過性ペプチド部分である、
化合物。
【請求項3】
(i)Rは、直鎖または分岐鎖(C~C)アルキルである、および/または
(ii)RおよびRはこれらが結合している炭素原子と一緒になって多環式の縮合環、スピロ環もしくは架橋環を形成する、および/または
(iii)Rは、-O-R基に対してオルト位もしくはパラ位のいずれかで結合したハロゲンである、および/または
(iv)Aは-O-R基に対してオルト位に結合した-CH=CH-Eであり、Eは-CN、-COOH、-COO(C~C)アルキル、4-ピリジニル、メチルピリジニウム-4-イル、3,3-ジメチル-3H-インドリル、または1,3,3-トリメチル-3H-インドール-1-イウム-2-イルである、
請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
(i)RおよびRはこれらが結合している炭素原子と一緒になってアダマンチルを形成する、および/または
(ii)Eは、-CN、-COOH、または-COO(C~C)アルキルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
は、直鎖または分岐鎖(C~C)アルキルであり;
およびRはこれらが結合している炭素原子と一緒になって多環式の縮合環、スピロ環もしくは架橋環を形成し;
は、-O-R基に対してオルト位に結合したハロゲンであり;ならびに
Aは、-O-R基に対してオルト位に結合した-CH=CH-Eであり、Eは、-CN、-COOH、-COO(C~C8)アルキル、4-ピリジニル、メチルピリジニウ
ム-4-イル、3,3-ジメチル-3H-インドリル、または1,3,3-トリメチル-3H-インドール-1-イウム-2-イルである、
請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
はメチルであり;RおよびRはこれらが結合している炭素原子と一緒になってアダマンチルを形成し;Rは-O-R基に対してオルト位に結合したハロゲンであり;ならびにEは-CN、-COOH、-COO(C~C)アルキルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Eは、-CN、-COOH、-COOCH、または-COOC(CHである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
Pepは、それぞれ、シトルリン、リジン、グリシン、ノルロイシン、アスパラギンまたはグルタミンのカルボン酸基を介して前記アニリン基と結合したアミノ酸配列Val-Cit、Phe-Lys、Gly-Phe-Leu-Gly、Gly-Gly-Pro-Nle、Ala-Ala-AsnまたはHis-Ser-Ser-Lys-Leu-Glnを含むまたはからなるペプチド部分であり;Lは、存在する場合はPepのその側鎖カルボン酸基またはPepのアミノ基のいずれかによりアミド結合を介してPepと結合したリンカーであり;およびPepはそのチオール基によりLと結合したペプチド部分である、請求項2~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
Lは、Pepのアミノ基によりアミド結合を介してPepと結合した式:
【化6】

(式中、mは1~20の整数である。)
のリンカーであり、および
Pepはシステイン残基のチオール基によりLと結合した配列Cys-Gly-Lys-Arg-Lysからなるペプチド部分である、
請求項に記載の化合物。
【請求項10】
Lのアルキレン鎖は1つ以上の-O-基が割り込んでいる、請求項に記載の化合物。
【請求項11】
はメチルであり;RおよびRはこれらが結合している炭素原子と一緒になってアダマンチルを形成し;Rは-O-R基に対してオルト位に結合したClであり;Aは-O-R基に対してオルト位に結合した-CH=CH-Eであり;Eは-COOCHまたは-CNであり;Pepは、それぞれ、シトルリンもしくはグルタミンのカルボン酸基を介して前記アニリン基と結合した配列Val-CitもしくはHis-Ser-Ser-Lys-Leu-Glnからなるペプチド部分であり;Lは、それぞれ、バリンもしくはヒスチジンのαアミノ基によりアミド結合を介してPepと結合した式:
【化7】

(式中、mは5の整数である。)
のリンカーであり、Pepはシステイン残基のチオール基によりLと結合した配列Cys-Gly-Lys-Arg-Lysからなるペプチド部分である、
請求項2に記載の化合物。
【請求項12】
化合物Ib-1a、Ib-1b、Ib-2a、Ib-2b、Ib-3a、およびIb-3b:
【表1-1】

【表1-2】

から選択される、請求項に記載の化合物。
【請求項13】
化合物Ib-4a、Ib-4b、Ib-5a、及びIb-5b:
【表1-3】

【表1-4】

から選択される、請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
請求項1~13に記載の化合物および担体を含む組成物。
【請求項15】
請求項1および11~13のいずれか一項に記載の化合物を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
診断またはイメージングにおいてインビボで使用するための、請求項14または15に記載の組成物。
【請求項17】
インビトロでのサンプル中のプロテアーゼの存在の決定方法、またはそのレベルの測定方法であって、前記方法は:
(i)Pepが前記プロテアーゼにより切断可能な基である、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物と、または前記化合物を含む組成物と、前記サンプルとを接触させて、これにより前記化合物を、前記サンプル中に存在する場合に前記プロテアーゼにより発光性化学種に加水分解すること、および
(ii)前記発光性化学種の化学発光を検出すること、
を含む、方法。
【請求項18】
前記サンプルは、生体サンプルである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記生体サンプルが、体液、前記体液が溶解している水溶液、および組織生検サンプルからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記プロテアーゼは、カテプシン、レグマイン、前立腺特異抗原(PSA)、またはメタロプロテアーゼである、請求項1719のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記カテプシンが、カテプシンA、B、C、D、E、F、G、H、K、L1、L2、O、S、WおよびZから成る群から選択される、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテアーゼ、および組成を検出可能なジオキセタン系化学発光プローブ、ならびにその使用を提供する。
【0002】
略語:ACN、アセトニトリル;DCM、ジクロロメタン;DIPEA、ジイソプロピルエチルアミン;DMF、N,N-ジメチルホルムアミド;EEDQ、N-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキノリン;EtO、ジエチルエーテル;EtN、トリエチルアミン;EtOAc、酢酸エチル;HBTU、ヘキサフルオロリン酸2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム;HPLC、高圧液体クロマトグラフィー;KCO、炭酸カリウム;MeOH、メチルアルコール;Na、チオ硫酸ナトリウム;NaSO、硫酸ナトリウム;NHCl、塩化アンモニウム;PABA、p-アミノ安息香酸;PEG、ポリエチレングリコール;RLU、相対光量単位;RP-HPLC、逆相高圧液体クロマトグラフィー;TFA、トリフルオロ酢酸;TIPS、トリイソプロピルシラン;TLC、薄層クロマトグラフィー;TMS-Cl、塩化トリメチルシリル;7HC、7-ヒドロキシクマリン。
【背景技術】
【0003】
プロテアーゼは、ペプチド結合の加水分解によってタンパク質異化反応を行う酵素の分類である。プロテアーゼは、多くの生物学的過程において基本的役割を有し、がん、関節炎、神経変性疾患および心血管障害を含む多種多様な病態に関連する。病気におけるプロテアーゼが関与する強い証拠から、プロテアーゼはイメージングおよび創薬において重要な役割を果たす。例えば、乳がん、頚部がん、結腸がん、結腸直腸がん、胃がん、頭頸部がん、肝がん、肺がん、メラノーマ、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、および甲状腺がんを含む多くの異なるがんタイプにおける病態下細胞外および細胞周囲マトリクスにおいて過剰発現されるので、カテプシンB、リソソームシステインプロテアーゼは非常に重要である。このように、概してプロテアーゼ活性、および特にカテプシンB活性に重点を置いて、分子イメージングおよび医用画像技術の開発に多くの努力が注がれてきた。ほとんどの開発は、蛍光イメージングに向けられた光学イメージングを中心に展開してきた。
【0004】
蛍光イメージングは高感度モニターを可能とするが、大部分は低い信号対雑音比をもたらす自己蛍光のせいで欠点を有する。蛍光ベースアッセイと異なり、化学発光アッセイは光励起を必要とせず、付加感度および信号対雑音比が増大する結果を得る。
【0005】
公知の化学発光プローブの中でも、シャープ(Schaap)のアダマンチリデン・ジオキセタンプローブ(スキーム1、構造I)は、これらを多くの化学条件および生体条件に適合させる安定なジオキセタン部分を有するので、最高の適応性を有する。スキーム1に示されているように、シャープのアダマンチリデン・ジオキセタン系化学発光プローブ(構造I)は、プローブのフェノール部分をマスクするために使用される検体応答性保護基を備える。対象検体により保護基が脱離すると、不安定なフェノレート-ジオキセタン化学種IIを生成し、これは化学励起過程により分解して励起中間体安息香酸エステルIIIおよびアダマンタノンを生成する。励起中間体は、青色光フォトンの発光によりその基底状態(安息香酸エステルIV)に減衰する。
【0006】
スキーム1:シャープのアダマンチリデン・ジオキセタンの化学発光活性経路
【化1】
【0007】
Richard et al.(2007)は、ジオキセタン発光団のフェノールをマスクするプロテアーゼ(ペニシリンg-アミダーゼまたはカスパーゼ3)応答基質を有するターンオン型化学発光プローブを以前に開発した。これらのプローブは、卓越した信号対雑音比を示すが、二段階アッセイを要するので、プロテアーゼの生細胞イメージングを妨げる。先ず、プロテアーゼは生理的pH(7.4)において保護基を切断し、それから、混合物をpH12.3の緩衝液に添加することにより、化学励起過程が起こる。
【0008】
国際公開第2017/130191号は、シャープのアダマンチリデン・ジオキセタンプローブに基づいた化学発光プローブを開示しており、化学発光は直接的モードにより増幅され、より詳細には、シャープのアダマンチリデン・ジオキセタンプローブは、安息香酸エステル化学種の発光性を増大するようにアクリレートおよびアクリロニトリル電子求引基などのπアクセプター基を有するフェノール環のオルト位において置換される(スキーム2)。この刊行物に示されているように、開示された化学発光プローブは、顕著な化学発光強度で生理的条件下同時に起こる酵素加水分解および化学励起過程を可能とする。
【0009】
スキーム2:πアクセプター基を有するフェノール環のオルト位にシャープのアダマンチリデン・ジオキセタンプローブを置換することにより得られた直接的化学発光モード
【化2】
【発明の概要】
【0010】
本発明は、国際公開第2017/130191号に開示されたものに基づき、酵素分解時に化学発光シグナルを発光することができるジオキセタン発光団を示すプロテアーゼ切断可能な基質を用いて構築されたターンオン型ジオキセタン系化学発光プローブを提供する。開示されたプローブは、プローブを水性条件下で使用することを可能とする、強力な化学発光シグナルを与えるドナーアクセプタ対をもたらす、発光団のpKaを変化させる種々のハロゲン、および電子求引基を用いて適合することができるジオキセタン発光団を含む。
【0011】
より詳細には、1つの態様では、本発明は、式IaまたはIbの化合物を提供する:
【化3】

式中、
は、直鎖もしくは分岐鎖(C~C18)アルキル、または(C~C)シクロアルキルから選択され;
およびRは、各々独立して、分岐鎖(C~C18)アルキルもしくは(C~C)シクロアルキルから選択されるか、またはRおよびRはこれらが結合している炭素原子と一緒になって縮合環、スピロ環もしくは架橋環もしくは多環式環を形成し;
は、式:
【化4】

の基であり;
はHまたは-O-R基に対してオルト位もしくはパラ位のいずれかで結合したハロゲンであり;
Aは-O-R基に対してオルト位もしくはパラ位のいずれかで結合した式-CH=CH-Eのπアクセプター基であり、Eは-CN、-COOH、-COO(C~C18)アルキル、4-ピリジニル、メチルピリジニウム-4-イル、3,3-ジメチル-3H-インドリル、または1,3,3-トリメチル-3H-インドール-1-イウム-2-イルであり;
Pepは、少なくとも2個のアミノ酸残基からなるプロテアーゼ切断可能ペプチド部分であり、そのカルボン酸基を介して前記アニリン基と結合しており、前記ペプチド部分は保護されていてもよく、そのアミノ基によりPEG含有基と、例えば、アミド結合を介して結合していてもよく;
Lは存在しないか、またはPepのカルボン酸基もしくはアミノ基のいずれかによりPepとアミド結合を介して結合したリンカーであり;
Pepは存在しないか、またはそのアミノ基もしくはカルボン酸基によりアミド結合を介して、もしくはそのチオール基のいずれかによりLと結合した細胞透過性ペプチド部分であり、
但し、LおよびPepは、両方共に、存在しないか、または存在し、Pepが保護されているかもしくはPEG含有基と結合している場合、LおよびPepは存在しない。
【0012】
別の態様では、本発明は、本明細書に開示されているジオキセタン系化学発光プローブ、すなわち、上記定義された式Ia/Ibの化合物、および担体、例えば、薬学的に許容可能な担体を含む組成物、例えば、医薬組成物を提供する。本発明の化合物および組成物を、インビトロおよびインビボの両方で、カテプシン、レグマイン、前立腺特異抗原(PSA)、およびメタロプロテアーゼなどのプロテアーゼのイメージング/検出のために使用することができる。
【0013】
したがって、更なる態様では、本発明は、インビボでの診断またはイメージングにおける使用のための、より詳細には、インビボでプロテアーゼの存在の決定、またはそのレベルの測定のための、本明細書に開示されているジオキセタン系化学発光プローブ、すなわ
ち、上記定義された式Ia/Ibの化合物、または前記化合物を含む医薬組成物に関する。
【0014】
さらに別の態様では、本発明は、サンプル、例えば、体液、体液系溶液もしくは組織生検サンプルなどの生体サンプル中のプロテアーゼの存在の決定方法、またはそのレベルの測定方法であって、前記方法は(i)Pepが前記プロテアーゼにより切断可能な基である、上記定義された式Ia/Ibのジオキセタン系化学発光プローブ、または前記化合物を含む組成物と、前記サンプルとを接触させて、これにより前記化合物を、前記サンプル中に存在する場合に前記プロテアーゼにより発光性化学種に加水分解すること、および(ii)前記発光性化学種の化学発光を検出すること、を含む、方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A図1A~1Cは、室温においてカテプシンB 2.5U/mLの存在下活性緩衝液(pH7.4、10%DMSO)中プローブ1、2、3および4[1μM]の化学発光反応速度プロファイルを示し、図1Aの挿入図は、プローブ1の反応速度プロファイルに着目している。
図1B図1A~1Cは、室温においてカテプシンB 2.5U/mLの存在下活性緩衝液(pH7.4、10%DMSO)中プローブ1、2、3および4[1μM]の化学発光反応速度プロファイルを示し、図1Bは、各プローブから発光された全光を示す。
図1C図1A~1Cは、室温においてカテプシンB 2.5U/mLの存在下活性緩衝液(pH7.4、10%DMSO)中プローブ1、2、3および4[1μM]の化学発光反応速度プロファイルを示し、図1Cは、各プローブにより得られた最大シグナルを示す。
図2】カテプシンB 2.5U/mLを含む活性緩衝液(pH7.4、10%DMSO)中のプローブ4[10μM]の酵素分解の化学発光反応速度プロファイルおよびHPLC分析を示す。
図3】Raw264.7、CT26腫瘍細胞、および3T3正常細胞におけるカテプシンB活性の透過光および化学発光イメージングを示す。プローブ3またはプローブ4(5μM)のいずれかを含む細胞培養培地と30分のインキュベーション後に画像を得たが、60×対物レンズを使用して20分の露光量でLV200オリンパス顕微鏡を用いて撮影した。プローブ3とインキュベートしたRaw246.7細胞の化学発光顕微鏡画像および透過光画像(それぞれ、aおよびb);プローブ4とインキュベートしたRaw246.7細胞の化学発光顕微鏡画像および透過光画像(それぞれ、cおよびd);プローブ3とインキュベートしたCT26細胞の化学発光顕微鏡画像および透過光画像(それぞれ、eおよびf);プローブ4とインキュベートしたCT26細胞の化学発光顕微鏡画像および透過光画像(それぞれ、gおよびh);プローブ3とインキュベートした3T3細胞の化学発光顕微鏡画像および透過光画像(それぞれ、iおよびj);プローブ4とインキュベートした3T3細胞の化学発光顕微鏡画像および透過光画像(それぞれ、kおよびl)。
図4】プローブ4の信号対雑音比の値および対数目盛における種々のカテプシンB濃度に対してプロットしたZ-Val-Cit-PABA-7HCを示す。
図5】室温におけるPSA 10mg/mLの存在下トリス緩衝液(pH7.8、10%DMSO)中のプローブ5[10μM]の化学発光反応速度プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1つの態様では、本発明は、ターンオン型ジオキセタン系化学発光プローブ、より詳細には、上記定義されている式IaまたはIbの化合物を提供する。
【0017】
用語「アルキル」は、通常、例えば、1~18個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖炭化水素ラジカルを意味し、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル
、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソアミル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシルなどが挙げられる。好ましくは(C~C)アルキル基、より好ましくは、(C~C)アルキル基、最も好ましくはメチル、エチル、およびイソプロピルである。
【0018】
用語「アルキレン」は、アルキルから水素を取り除いた後に誘導される直鎖または分岐鎖二価炭化水素ラジカルを表す。アルキレンの例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、2-メチルプロピレン、ペンチレン、2-メチルブチレン、ヘキシレン、2-メチルペンチレン、3-メチルペンチレン、2,3-ジメチルブチレン、ヘプチレン、オクチレン、n-トリデカニレン、n-テトラデカニレン、n-ペンタデカニレン、n-ヘキサデカニレン、n-ヘプタデカニレン、n-オクタデカニレン、n-ノナデカニレン、イコサニレン、ヘンイコサニレン、ドコサニレン、トリコサニレン、テトラコサニレン、ペンタコサニレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。用語「アルキレン鎖」は、式C2n+2の直鎖炭化水素から2つの水素原子を取り除いた後に誘導される式-(CH-の基を表す。
【0019】
用語「シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなど、例えば3~7個の炭素原子を有し、例えば、1つ以上のアルキル基によって置換されていてもよい単環式または二環式飽和炭化水素基を意味する。
【0020】
本明細書で使用されるとき、用語「ハロゲン」はハロゲンを表し、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードが挙げられるが、好ましくはフルオロまたはクロロである。
【0021】
本明細書で使用されるとき、用語「アミノ酸」は、アミンおよびカルボン酸官能基の両方を含む有機化合物を表し、天然または非天然アミノ酸のいずれかであってよい。タンパク質における天然の22アミノ酸は、アスパラギン酸(Asp)、チロシン(Tyr)、ロイシン(Leu)、トリプトファン(Trp)、アルギニン(Arg)、バリン(Val)、グルタミン酸(Glu)、メチオニン(Met)、フェニルアラニン(Phe)、セリン(Ser)、アラニン(Ala)、グルタミン(Gln)、グリシン(Gly)、プロリン(Pro)、スレオニン(Thr)、アスパラギン(Asn)、リジン(Lys)、ヒスチジン(His)、イソロイシン(Ile)、システイン(Cys)、セレノシステイン(Sec)、およびピロリシン(Pyl)である。他のアミノ酸の非限定的例としては、シトルリン(Cit)、ジアミノプロピオン酸(Dap)、ジアミノ酪酸(Dab)、オルニチン(Orn)、アミノアジピン酸、β-アラニン、1-ナフチルアラニン、3-(1-ナフチル)アラニン、3-(2-ナフチル)アラニン、γ-アミノ酪酸(GABA)、3-(アミノメチル)安息香酸、p-エチニルフェニルアラニン、p-プロパルギルオキシフェニルアラニン、m-エチニルフェニルアラニン、p-ブロモフェニルアラニン、p-ヨードフェニルアラニン、p-アジドフェニルアラニン、p-アセチルフェニルアラニン、ノルロイシン(Nle)、アジドノルロイシン、6-エチニルトリプトファン、5-エチニルトリプトファン、3-(6-クロロインドリル)アラニン、3-(6-ブロモインドリル)アラニン、3-(5-ブロモインドリル)アラニン、アジドホモアラニン、p-クロロフェニルアラニン、α-アミノカプリル酸、O-メチル-L-チロシン、N-アセチルガラクトサミン-α-スレオニン、およびN-アセチルガラクトサミン-α-セリンが挙げられる。
【0022】
本明細書で使用されるとき、用語「アミノ酸残基」は、そのアミノ酸から水素原子を取り除いた後のアミノ酸残基、例えば、そのα-アミノ基または存在する場合側鎖アミノ基
、およびそのカルボン酸基から-OH基を取り除いた後のアミノ酸残基、例えば、そのα-カルボン酸基または存在する場合側鎖カルボン酸基を表す。
【0023】
用語「ペプチド」は、アミノ酸モノマー(残基)の短鎖、例えば、ペプチド結合、すなわち、1つのアミノ酸のカルボン酸基が別のアミノ基と反応した場合に生成される共有結合により結合した2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12以上のアミノ酸残基からなる短鎖を表す。本明細書で使用されるとき、用語「ペプチド部分」は、カルボン酸基、すなわち、その末端もしくは側鎖カルボン酸基のいずれかから水素原子、および/またはアミノ基、すなわち、その末端もしくは側鎖アミノ基のいずれかから水素原子を取り除いた後の、本明細書で定義されたペプチドの部分を表す。
【0024】
本明細書で使用されるとき、用語「ペプチド結合」または「アミド結合」は、1つの分子のカルボン酸基が他の分子のアミノ基と反応して水分子を遊離させる場合に、2つの分子、例えば、2つのアミノ酸の間で生成された共有結合-C(O)NH-を表す。
【0025】
本明細書で使用されるとき、用語「アミノ保護基」は、当技術分野で公知のいずれものアミノ保護基を表す。当業者は、どの保護基がアミノ基の保護に有用であり得るかを容易に決定することができ、標準的方法は当技術分野において公知であり、文献に記載されている。例えば、適切な保護基は、Green and Wuts,“Protective Groups in Organic Synthesis”,John Wiley and Sons,Chapter7,1991に記載されている。好ましいアミノ保護基としては、カルボベンジルオキシ(カルボキシベンジル、Cbz)、N-モルホリンカルボニル、p-メトキシベンジルカルボニル、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、アセチル、ベンジル、カルバメート基、p-メトキシベンジル(PMB)、3,4-ジメトキシベンジル(DMPM)、p-メトキシフェニル(PMP)、およびトシル基が挙げられる。
【0026】
本明細書で使用されるとき、用語「πアクセプター基」は、電子を受けることができるπアクセプター系を含む基、より詳細には、式-CH=CH-Eの基であって、Eは-CN、-COOH、-COO(C~C18)アルキル、好ましくは-COO(C~C)アルキル、より好ましくは-COO(C~C)アルキル、4-ピリジニル、メチルピリジニウム-4-イル、3,3-ジメチル-3H-インドリル、または1,3,3-トリメチル-3H-インドール-1-イウム-2-イルである、基を表す(表1も参照)。
【0027】
【表1】
【0028】
特定の実施形態では、本発明は、Rは直鎖または分岐鎖(C~C)アルキル、好
ましくは(C~C)アルキル、より好ましくはメチル、エチル、もしくはイソプロピルである、式Iaまたは式Ibの化合物を提供する。
【0029】
特定の実施形態では、本発明は、RおよびRは、各々独立して、分岐鎖(C~C18)アルキルもしくは(C~C)シクロアルキルである、式Iaまたは式Ibの化合物を提供する。他の実施形態では、RおよびRはこれらが結合する炭素原子と一緒になって縮合環、スピロ環または架橋多環式環を形成する。特定の実施形態では、RおよびRはこれらが結合する炭素原子と一緒になってアダマンチルを形成する。
【0030】
特定の実施形態では、本発明は、Rは-O-R基に対してオルト位に結合したハロゲン、例えば、ClもしくはFである、式Iaまたは式Ibの化合物を提供する。
【0031】
特定の実施形態では、本発明は、Aは-O-R基に対してオルト位に結合した-CH=CH-Eであり、Eは-CN、-COOH、-COO(C~C)アルキル、例えば、-COOCH、-COOC、-COOC、-COOCH(CH、もしくは-COOC(CHなどの-COO(C~C)アルキル、4-ピリジル、メチルピリジニウム-4-イル、3,3-ジメチル-3H-インドリル、もしくは1,3,3-トリメチル-3H-インドール-1-イウム-2-イルである、式Iaまたは式Ibの化合物を提供する。特定のかかる実施形態では、Eは、-CN、-COOH、-COOCH、-COOC、-COOC、-COOCH(CH、または-COOC(CHである。
【0032】
特定の実施形態では、本発明は、Rは直鎖または分岐鎖(C~C)アルキル、好ましくは(C~C)アルキル、より好ましくはメチル、エチル、もしくはイソプロピルであり;RおよびRはこれらが結合する炭素原子と一緒になって縮合環、スピロ環または架橋多環式環を形成し;Rは-O-R基に対してオルト位に結合したハロゲンであり;Aは-O-R基に対してオルト位に結合した-CH=CH-Eであり、Eは-CN、-COOH、-COO(C~C)アルキル、4-ピリジル、メチルピリジニウム-4-イル、3,3-ジメチル-3H-インドリル、もしくは1,3,3-トリメチル-3H-インドール-1-イウム-2-イルである、式Iaまたは式Ibの化合物を提供する。特定のかかる実施形態は、Rはメチルであり;RおよびRはこれらが結合する炭素原子と一緒になってアダマンチルを形成し;Rは-O-R基に対してオルト位に結合したハロゲンであり;Eは、-CN、-COOH、もしくは-COOCH、-COOC、-COOC、-COOCH(CH、もしくは-COOC(CHなどの-COO(C~C)アルキルである、ものである。より特定のかかる実施形態は、Eは、-CN、-COOH、-COOCH、または-COOC(CHである、すなわち、Aは、-O-R基に対してオルト位に結合した、それぞれ、アクリロニトリル、アクリル酸、アクリル酸メチルまたはアクリル酸tert-ブチル置換基である、ものである。
【0033】
上記のように、本発明の化学発光プローブは、プロテアーゼ(「ペプチダーゼ」または「プロテイナーゼ」とも呼ぶ)切断可能なペプチド部分(本明細書では、R基の部分であるPepとして特定される)、すなわち、プロテアーゼにより切断可能である修飾されていてもよいアミノ酸配列の部分、すなわち、ペプチド結合の加水分解によりタンパク質分解(タンパク異化)を行うことができる酵素を有し、対象の特定のプロテアーゼによる前記切断可能な基の除去は化学励起過程により分解する不安定なフェノレート・ジオキセタン化学種を生成して励起された中間体を生成し、次いで、これは発光によりその基底状態へ減衰する。
【0034】
本明細書全体にわたって言うプロテアーゼは、セリンプロテアーゼ、システインプロテ
アーゼ、スレオニンプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、またはメタロプロテアーゼ、すなわち、その触媒機構が金属(通常、亜鉛)を含むプロテアーゼ酵素などのいずれかのプロテアーゼであってよい。
【0035】
特定の実施形態では、本明細書において言うプロテアーゼは、カテプシンAまたはG(セリンプロテアーゼ);カテプシンB、C、F、H、K、L1、L2、O、S、WまたはZ(システインプロテアーゼ);およびカテプシンDまたはE(アスパルチルプロテアーゼ)などのカテプシンである。
【0036】
特定の特にかかる実施形態では、式Ia/Ibの化学発光プローブはカテプシンBの存在、より詳細には、カテプシンB、前がん病変および様々な病態、ならびにがん、例えば、腫瘍内皮細胞およびリソソームでの多くの他の腫瘍細胞における過剰発現される細胞内タンパク質分解に関連するリソソームシステインプロテアーゼの過剰発現を検出することを目的とする(Miller et al.,2009)。カテプシンB切断可能ペプチドとしては、アミノ酸配列Val-Cit、Phe-Lys、もしくはGly-Phe-Leu-Glyを含む、またはからなるペプチド(かかるペプチドは、それぞれ、シトルリン、リジンまたはグリシンのカルボン酸基を介してRのアニリン基と結合する)が挙げられるが、これに限定されない。
【0037】
他の特定のかかる実施形態では、式Ia/Ibの化学発光プローブはカテプシンKの存在、より詳細には、カテプシンK、破骨細胞において主に発現され骨腫瘍において細胞外で過剰発現される骨再形成および骨吸収に関連するリソソームシステインプロテアーゼの過剰発現を検出することを目的とする(Segal et al.,2009)。カテプシンK切断可能ペプチドとしては、アミノ酸配列Gly-Gly-Pro-Nleを含むペプチド(かかるペプチドはノルロイシンのカルボン酸基を介してRのアニリン基と結合する)が挙げられるが、これに限定されない。
【0038】
特定の実施形態では、本明細書において言うプロテアーゼはレグマイン、腫瘍細胞において過剰発現されるリソソーム酵素であり(Stern et al.,2009)、式Ia/Ibの化学発光プローブはプレグマインの存在、より詳細には、前記プロテアーゼの過剰発現を検出することを目的とする。レグマイン切断可能ペプチドとしては、アミノ酸配列Ala-Ala-Asnを含むペプチド(かかるペプチドはアスパラギンのカルボン酸基を介してRのアニリン基と結合する)が挙げられるが、これに限定されない。
【0039】
特定の実施形態では、本明細書において言うプロテアーゼはPSA(カリクレイン3としても知られている)、前立腺の上皮細胞によって分泌され前立腺がんまたは他の前立腺障害のマーカーとして使用されるカリクレイン関連プロテアーゼファミリーのメンバーであり、式Ia/Ibの化学発光プローブは前記プロテアーゼの存在、より詳細には発現を検出することを目的とする。PSA切断可能ペプチドとしては、アミノ酸配列His-Ser-Ser-Lys-Leu-Gln(かかるペプチドはグルタミンのカルボン酸基を介してRのアニリン基と結合する)を含むペプチドが挙げられるが、これに限定されない。
【0040】
特定の実施形態では、本明細書において言うプロテアーゼはマトリクスメタロプロテアーゼ(MMP)、すなわち、細胞外マトリクスの全タンパク質をまとめて加水分解することができ、したがって、組織形態形成および組織修復などの生理的過程において重要な役割を果たすZn依存性エンドペプチダーゼのファミリーメンバーである。MMPは、基底膜および間質の基底膜の腫瘍細胞浸潤、血管透過、ならびに転移を促進することによるがん進行に対する重要な寄与因子でもある。多くの研究から、例えば、MMP9は前転移ニッチの形成に重要であり、血管内皮増殖因子のバイオアベイラビリティの調節による腫瘍
血管新生において異なる役割を有することが分かった。臨床的に、MMP9のレベル上昇は、広範な範囲のがんタイプにおける腫瘍攻撃性、ステージおよび予後不良と相関する。MMP2に関してデータが公表されている。
【0041】
特定の実施形態では、本発明は、上記実施形態のいずれか1つに定義された式IaまたはIbの化合物であって、Pepはアミノ酸配列Val-Cit、Phe-Lys、Gly-Phe-Leu-Gly、Gly-Gly-Pro-Nle、Ala-Ala-AsnまたはHis-Ser-Ser-Lys-Leu-Glnを含むまたはからなるプロテアーゼ切断可能なペプチド部分であり、前記アミノ酸配列は、それぞれ、シトルリン、リジン、グリシン、ノルロイシン、アスパラギンまたはグルタミンのカルボン酸基を介してRのアニリン基と結合し;そのアミノ基において保護されていてもよく、アミド結合を介して前記アミノ基によりPEG含有基、例えば、式:
【化5】

(式中、nは1~227の整数である。)
のPEG含有基と結合していてもよい、化合物を提供する。
【0042】
特定の特にかかる実施形態では、Pepは、それぞれ、シトルリン、リジン、グリシン、ノルロイシン、アスパラギンまたはグルタミンのカルボン酸基を介して前記アニリン基と結合された配列Val-Cit、Phe-Lys、Gly-Phe-Leu-Gly、Gly-Gly-Pro-Nle、Ala-Ala-AsnまたはHis-Ser-Ser-Lys-Leu-Glnのプロテアーゼ切断可能なペプチド部分であり、それぞれ、バリン、フェニルアラニン、グリシン、グリシン、アラニンまたはヒスチジンのαアミノ基においてアミノ保護基、例えば、カルボキシベンジルもしくはN-モルホリンカルボニルにより保護されている。
【0043】
他の特にかかる実施形態では、Pepは、それぞれ、シトルリン、リジン、グリシン、ノルロイシン、アスパラギンまたはグルタミンのカルボン酸基を介して前記アニリン基と結合された配列Val-Cit、Phe-Lys、Gly-Phe-Leu-Gly、Gly-Gly-Pro-Nle、Ala-Ala-AsnまたはHis-Ser-Ser-Lys-Leu-Glnのプロテアーゼ切断可能なペプチド部分であり、それぞれ、バリン、フェニルアラニン、グリシン、グリシン、アラニンまたはヒスチジンのαアミノ基を介して式:
【化6】

(式中、nは1~227の整数である。)
のPEG含有基と結合している。
【0044】
特定の実施形態では、本発明は、上記実施形態のいずれか1つに定義された式IaまたはIbの化合物であって、Pepは、それぞれ、シトルリン、リジン、グリシン、ノルロイシン、アスパラギンまたはグルタミンのカルボン酸基を介して前記アニリン基と結合したアミノ酸配列Val-Cit、Phe-Lys、Gly-Phe-Leu-Gly、
Gly-Gly-Pro-Nle、Ala-Ala-AsnまたはHis-Ser-Ser-Lys-Leu-Glnを含むまたはからなるペプチド部分であり;LはPepのカルボン酸基またはアミノ基のいずれかによりアミド結合を介してPepと結合したリンカーであり;Pepはそのチオール基によりLと結合した細胞透過性および可溶性ペプチド部分である、化合物を提供する。特定のかかる実施形態では、Lは、Pepのアミノ基によりアミド結合を介してPepと結合した式:
【化7】

(式中、mは1~20の整数である。)
のリンカーであり、Lのアルキレン鎖は1つ以上の-O-基が割り込んでいてもよく;Pepはそのシステイン残基のチオール基によりLと結合した細胞透過性および可溶性ペプチド部分、例えば、配列Cys-Gly-Lys-Arg-Lysのペプチド部分である。
【0045】
特定の実施形態では、本明細書に開示されている化合物は、式IaまたはIbの化合物であり、Rはメチルであり;RおよびRはこれらが結合する炭素原子と一緒になってアダマンチルを形成し;Rは-O-R基に対してオルト位に結合したClであり;Aは-O-R基に対してオルト位に結合した-CH=CH-Eであり;Eは-COOCHまたは-CNであり;(i)Pepはシトルリンのカルボン酸基を介してアニリン基と結合した配列Val-Citのペプチド部分であり、バリンのアミノ基においてカルボキシベンジルにより保護されており(例えば、表2の化合物Ib-1aおよびIb-1b);(ii)Pepはグルタミンのカルボン酸基を介してアニリン基と結合した配列His-Ser-Ser-Lys-Leu-Glnのペプチド部分であり、ヒスチジンのαアミノ基においてN-モルホリンカルボニルにより保護されており(例えば、表2の化合物Ib-2aおよびIb-2b);(iii)Pep1はシトルリンのカルボン酸基を介してアニリン基と結合された配列Val-Citのペプチド部分であり、バリンのアミノ基を介して式:
【化8】

(式中、nは17である(例えば、表2の化合物Ib-3aおよび3b-1b)。)
のPEG含有基と結合している;かまたは(iv)Pepは、それぞれ、シトルリンもしくはグルタミンのカルボン酸基を介して前記アニリン基と結合した配列Val-CitもしくはHis-Ser-Ser-Lys-Leu-Glnのペプチド部分であり;Lは、それぞれ、バリンまたはヒスチジンのαアミノ基によりアミド結合を介してPepと結合した式:
【化9】
(式中、mは5の整数である。)
のリンカーであり;Pepはシステイン残基のチオール基によりLと結合した配列Cys-Gly-Lys-Arg-Lysのペプチド部分である(例えば、表2の化合物Ib-4a、Ib-4b、Ib-5aおよびIb-5b)。
【0046】
【表2-1】

【表2-2】

【表2-3】
【0047】
別の態様では、本発明は、本明細書に開示されているジオキセタン系化学発光プローブ、すなわち、上記実施形態のいずれか1つに定義された式Ia/Ibの化合物、および担体を含む組成物を提供する。特定のかかる組成物は、前記化学発光プローブおよび薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物である。
【0048】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、表2に記載されているものから選択される式Ia/Ibの化学発光プローブを含む。
【0049】
式Ia/Ibの化学発光プローブを、診断および/またはインビボイメージング、より
詳細には、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、スレオニンプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、またはメタロプロテアーゼなどのプロテアーゼの存在、またはそのレベルの測定に使用してよい。かかるプロテアーゼの例としては、カテプシンA、B、C、D、E、F、G、H、K、L1、L2、O、S、WおよびZなどのカテプシン、レグマイン、PSAが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
したがって、更なる態様では、本発明は、(i)上記実施形態のいずれか1つに定義された式Ia/Ibのジオキセタン系化学発光プローブ;または診断もしくはイメージングにおけるインビボでの使用、すなわち、インビボで上記定義されたプロテアーゼの存在の決定、もしくはそのレベルの測定のための前記化学発光プローブを含む医薬組成物に関する。
【0051】
換言すれば、本発明は、必要とする個体の上記定義されたプロテアーゼの存在の決定方法、またはそのレベルの測定方法であって、前記方法は、(i)上記実施形態のいずれか1つに定義された式Ia/Ibの化合物、または前記化合物を含む組成物を前記個体に投与して、それにより、前記化合物を前記個体中に存在する場合に前記プロテアーゼにより発光性化学種に加水分解すること;および(ii)前記発光性化学種の化学発光を検出すること、を含む、方法に関する。本発明によれば、化学発光プローブを、前記個体の全身、または前記特定の期間における前記プロテアーゼの存在の決定、またはそのレベルの測定をするために、全身的または局所的に、例えば、前記個体の特定の器官に投与することができる。
【0052】
さらに別の態様では、本発明は、サンプル中、すなわち、インビトロでのプロテアーゼの存在の決定方法、またはそのレベルの測定方法であって、前記方法は、(i)Pepが前記プロテアーゼにより切断可能な基である上記実施形態のいずれか1つに定義された式Ia/Ibの化合物、または前記化合物を含む組成物と前記サンプルとを接触させて、それにより、前記サンプル中に存在する場合に前記プロテアーゼにより前記化合物を発光性化学種に加水分解すること;および(ii)前記発光性化学種の化学発光を検出すること、を含む、方法に関する。
【0053】
この方法により分析されるサンプルは、いずれものサンプル、例えば、生体サンプルであってよい。本明細書で使用されるとき、用語「生体サンプル」は、組織生検サンプル;羊水、水様液、ガラス体液、胆汁、血清、母乳、脳脊髄液、耳垢(cerumen)(耳垢(earwax))、内リンパ、外リンパ、膣液(female ejaculate)、胃液、粘液、腹水、唾液、
皮脂(皮膚の脂)、精液、汗、涙、膣分泌物、嘔吐物および尿などの体液;または体液系液、すなわち、体液が溶解している水溶液を表す。
【0054】
本発明による医薬組成物を、例えば、Remingtonに記載された従来技術によって製造してよい:The Science and Practice of Pharmacy,19th Ed.,1995。組成物を、例えば、活性薬剤、すなわち、本明細書に開示されているジオキセタン系化学発光プローブを液体担体、微細固体担体、または両方中に均質に充分に混合し、次いで、必要に応じて、生成物を所望の配合物に仕上げることにより製造することができる。組成物は、液体でも、固体でも、半固体の形態であってもよく、薬学的に許容可能なフィラー、担体、希釈剤またはアジュバント、および他の不活性成分ならびに賦形剤をさらに含んでもよい。1つの実施形態では、本発明の医薬組成物は、ナノ粒子として製剤する。
【0055】
本発明による医薬組成物を、適切な投与経路、例えば、静脈内、動脈内、胸膜内、気管内、腹腔内、筋肉内もしくは皮下投与などの非経口投与、局所投与、経口または腸内投与
、または吸入用に製剤することができる。特定の実施形態では、かかる組成物を、静脈内もしくは腹腔内投与用、または皮下投与用に製剤する。
【0056】
本発明の医薬組成物は、適切な分散剤、湿潤剤または懸濁剤を用いて公知の技術により製剤してよい滅菌注射可能な水性または油性懸濁剤の形態であってよい。滅菌注射製剤は、無毒性非経口可能な希釈剤または溶媒中の滅菌注射液剤または懸濁剤であってもよい。使用してよい許容可能な媒体および溶媒としては、例えば、水、リンゲル液および等張性塩化ナトリウム液が挙げられる。
【0057】
本発明のプローブの化学発光を、当技術分野で公知のいずれもの技術または手順を利用して検出することができる。
【0058】
光学分子イメージングは、腫瘍境界検出において高感度および特異性を提供する有望な技術である。さらに、現在の臨床応用は、光学分子イメージングは精密な手順を行う外科医を導くための強力な手術中のツールであり、したがって、根治的切除および生存率改善を可能とすることを立証した。蛍光ガイド下低侵襲外科治療のための臨床的に承認された装置の例は、ダヴィンチサージカルシステム(da Vinci Surgical System)である(Haber et al.,2010)。この装置は、患者内側の明瞭かつ拡大して表示するための3D HD視覚システムを特徴とし、外科医が従来の腹腔鏡検査と同様な少数の小さな開口部により複雑かつルーチン的手順を行うことを可能とする。加えて、次のシステムは、乳がん、肝転移およびバイパス移植手術のための手術において既に適用されている:The Hamamatsu’s Photodynamic Eye(PDE(商標)),Artemis(商標)およびNovadaq SPY(商標)(Novadaq Technologies Inc.,カナダ、トロント)(Chi et al.,2014)。いくつかの現在の手術中NIR蛍光分子イメージングシステムを臨床治験において評価した;Fluobeam(登録商標)、FLARE(商標)およびGXMI Navigator。これらは、イメージ評価を改善し、検出深さを増大する操作の簡便さにおいて重要な役割を果たした(Chi et al.,2014)。
【0059】
近年、IR範囲での光学蛍光イメージングのためのカメラおよびレーザーの開発において大きな進歩があった(Mieog et al.,2011;Troyan et al.,2009)。同時に、心拍出量、肝機能および肝血流の決定ならびに眼の血管造影のためのメチレンブルーおよびICGなどの低MW有機染料の大きな臨床用途がある。2015年、手中に微小循環を可視化するためのFDA承認を得た蛍光イメージングシステム、Xiralite(登録商標)(炎症および灌流関連障害用)。
【0060】
本発明を、次の非限定的実施例によって例証する。
【実施例
【0061】
実験
一般方法
無水条件を要する全反応をアルゴン雰囲気下で行った。特に指定されない限り、全反応を室温で行った。化学薬品および溶媒は、A.R.グレードであったか、あるいは標準的方法により精製したかのいずれかである。TLC:シリカゲルプレートMerck 60F254:UV光照射により化合物を可視化した。カラムクロマトグラフィー(FC):シリカゲルMerck 60(粒径0.040~0.063mm)、括弧内は溶離液。RP-HPLC:C18 5μ、250×4.6mm、括弧内は溶離液。分取RP-HPLC:C18 5μ、250×21mm、括弧内は溶離液。H-NMRスペクトルを、Bruker Avanceを用いて400MHzで測定した。13C-NMRスペクトル
を、Bruker Avanceを用いて100MHzで測定した。化学シフトを、残溶媒に対してδ目盛のppmで報告した(CDClH-NMRに関してδ=7.26および13C-NMRに関して77.16、DMSO-d6:H-NMRに関してδ=2.50および13C-NMRに関して39.52)。質量スペクトルを、Waters
Xevo TQDで測定した。化学発光を、Molecular Devices Spectramax i3xで記録した。円および溶媒を含む全ても一般試薬を、Sigma-Aldrichから購入した。光化学反応のための光照射:LED PAR38ランプ(19W、3000K)。
【0062】
プローブ1の合成
化合物1b。スキーム3に示されているように、化合物1a(Dubowchik et al.,2002)(300mg、0.58mmol、1当量)をACN 7mLに溶解し、0℃まで冷却した。ヨウ化ナトリウム(264mg、1.76mmol、3当量)を添加し、次いで、TMS-Cl(222μL、1.76mmol、3当量)を直ぐに添加した。反応物を放置して室温まで温めてTLC(MeOH:DCM 10:90)によってモニターした。完了次第、反応混合物をEtOAcで希釈し、飽和Na、次いで塩水で洗浄した。有機層を分離し、NaSOで乾燥し、ろ過し、減圧下溶媒を蒸発させてオフホワイト固体の化合物1b(245mg、収率67%)を得た。化合物をさらに精製しないで反応させた。MS(ES+):m/z C2634INの計算値:623.16;実測値:624.4[M+H」
【0063】
スキーム3:化合物1bの合成
【化10】
【0064】
プローブ1。スキーム4に示されているように、化合物1b(69mg、0.115mmol、1当量)および化合物1c(Green et al.,2017)(37mg、0.127mmol、1.1当量)をDMF 0.5mLに溶解し、KCO(35mg、0.253mmol、2.2当量)を添加した。反応をTLC(MeOH:DCM
10:90)によりモニターした。完了次第、反応混合物をEtOAcで希釈し、飽和NHClで洗浄した。有機層を分離し、塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過して、溶媒を減圧下蒸発させた。粗生成物をさらに精製しないで反応させた。MS(ES+):m/z C4454ClNの計算値:799.37;実測値:800.5[M+H」
【0065】
粗生成物をDCM 5mLおよびDMF数滴(溶解性を向上させるため)中に溶解した。数ミリグラムのメチレンブルーを添加し、黄色光を照射しながら、溶液全体に酸素をバブリングした。反応をRP-HPLC(水中ACN 50~100%、20分)によりモニターした。完了次第、反応混合物を減圧下蒸発することにより濃縮し、粗生成物を分取RP-HPLC(水中ACN 50~100%、20分)により精製して白色固体のプローブ1(20mg、収率21%)を得た。MS(ES+):m/z C4454ClNの計算値:831.36;実測値:854.5[M+Na」H NMR(400MHz,DMSO) δ 10.07(s,1H),8.10(d,J=7.6Hz
,1H),7.60(d,J=8.5Hz,2H),7.54(d,J=7.7Hz,1H),7.44(t,J=8.0Hz,1H),7.41-7.25(m,7H),5.97(s,1H),5.74(s,1H),5.41(s,2H),5.16(q,J=12.0Hz,2H),5.02(s,2H),4.40(dd,J=13.4,7.9Hz,1H),3.95-3.86(m,1H),3.07(s,3H),3.05-2.97(m,1H),2.92(dd,J=13.0,6.1Hz,1H),2.85(s,1H),2.24(d,J=12.8Hz,1H),2.03-1.86(m,2H),1.75-1.49(m,9H),1.37(dd,J=37.8,8.8Hz,3H),1.28-1.12(m,4H),0.86(d,J=6.8Hz,3H),0.82(d,J=6.7Hz,3H)。13C NMR(101MHz,DMSO) δ 171.77,171.17,159.42,156.68,155.07,139.27,137.62,132.84,131.60,128.87,128.29,128.17,125.05,120.70,119.55,116.55,112.02,95.77,70.85,65.92,60.59,53.58,49.75,36.46,33.76,33.48,32.25,31.62,31.31,30.90,30.00,27.31,26.05,25.72,19.74,18.68。
【0066】
スキーム4:化学発光プローブ1の合成
【化11】
【0067】
プローブ2の合成
化合物2b。スキーム5に示されているように、化合物1b(50mg、0.08mmol、1当量)および化合物1c(Green et al.,2017)(34mg、0.09mmol、1.1当量)をDMF 0.5mLに溶解し、KCO(24mg、0.18mmol、2.2当量)を添加した。反応をTLC(MeOH:DCM 10:90)によりモニターした。完了次第、反応混合物をEtOAcで希釈し、飽和NHClで洗浄した。有機層を分離し、塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過して、溶媒を減圧下蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル(MeOH:DCM 10:90)で精製して黄色がかった固体の化合物2b(29mg、収率41%)を得た。MS(ES+):m/z C4858ClNの計算値:883.39;実測値:884.8[M+H」H NMR(400MHz,CDCl) δ 7.83(d,J=16.2Hz,1H),7.53(d,J=8.2Hz,2H),7.35(t,J=8.5Hz,3H),7.30-7.18(m,5H),7.00(d,J=8.0Hz,1H),6.36(d,J=16.2Hz,1H),5.02(q,J=12.3Hz,3H),4.87(d,J=3.1Hz,2H),4.49(dd,J=8.8,4.9Hz,1H),3.96(d,J=6.2Hz,1H),3.71(s,3H),3.25(s,3H),3.22-2.98(m,4H),2.06-1.94(m,3H),1.92-1.80(m,6H),1.80-1.70(m,5H),1.70-1.56(m,5H),1.46(s,3H),0.88(d,J=6.7Hz,3H),0.84(d,J=6.8Hz,3H)。13C NMR(101MHz,CDCl) δ 172.55,170.37,167.50,157.00,153.69,139.29,139.04,138.32,138.26,138.2
0,138.12,136.17,132.78,131.83,129.61,128.51,128.18,127.88,125.15,119.91,119.74,75.82,67.07,60.48,57.26,53.16,51.84,39.13,38.59,36.99,32.94,31.00,29.72,29.29,28.31,25.99,19.17,17.79。
【0068】
スキーム5:化合物2bの合成
【化12】
【0069】
プローブ2。スキーム6に示されているように、化合物2b(20mg、0.02mmol)をDCM 5mLおよびDMF数滴(溶解性を向上させるため)中に溶解した。数ミリグラムのメチレンブルーを添加し、黄色光を照射しながら、溶液全体に酸素をバブリングした。反応をRP-HPLC(水中ACN 50~100%、20分)によりモニターした。完了次第、反応混合物を減圧下蒸発することにより濃縮し、粗生成物を分取RP-HPLC(水中ACN 50~100%、20分)により精製して白色固体のプローブ2(8mg、収率40%)を得た。MS(ES-):m/z C4858ClN11の計算値:915.38;実測値:950.6[M+Cl」H NMR(400MHz,DMSO) δ 10.09(s,1H),8.11(d,J=7.6Hz,1H),7.94(d,J=8.4Hz,1H),7.77(d,J=8.4Hz,1H),7.71(d,J=16.2Hz,1H),7.60(d,J=8.5Hz,2H),7.37-7.27(m,6H),6.67(d,J=16.2Hz,1H),5.98(s,1H),5.42(s,1H),5.02(s,2H),4.92-4.85(m,2H),4.41(dd,J=13.4,8.0Hz,1H),3.96-3.85(m,1H),3.71(s,3H),3.10(s,3H),2.98(d,J=23.1Hz,2H),2.87(s,1H),2.22(d,J=12.4Hz,1H),1.96(dd,J=13.5,6.7Hz,1H),1.89(s,1H),1.77-1.48(m,11H),1.49-1.11(m,7H),0.86(d,J=6.8Hz,3H),0.82(d,J=6.7Hz,3H)。13C NMR(101MHz,DMSO) δ 171.79,171.22,166.73,159.43,156.69,154.23,139.86,137.90,137.62,134.85,131.79,130.73,130.20,128.87,128.30,128.19,127.39,126.56,121.77,119.39,111.72,95.95,76.26,65.93,60.59,53.60,52.24,49.95,39.83,39.62,39.41,36.39,33.81,33.59,32.36,
32.18,31.61,31.38,30.91,30.00,27.31,26.03,25.69,19.73,18.68。
【0070】
スキーム6:化学発光プローブ2の合成
【化13】
【0071】
Z-Val-Cit-PABA-7HCの合成
スキーム7に示されているように、化合物1b(40mg、0.064mmol、1当量)および7-ヒドロキシクマリン(12mg、0.07mmol、1.1当量)をDMF 0.5mLに溶解し、KCO(20mg、0.141mmol、2.2当量)を添加した。反応をTLC(MeOH:DCM 10:90)によりモニターした。完了次第、反応混合物をEtOAcで希釈し、飽和NHClで洗浄した。有機層を分離し、塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過して、溶媒を減圧下蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル(MeOH:DCM 10:90)で精製して黄色がかった固体のZ-Val-Cit-PABA-7HC(29mg、収率71%)を得た。MS(ES+):m/z C3539の計算値:657.28;実測値:680.52[M+Na」
【0072】
スキーム7:Z-Val-Cit-PABA-7HCの合成
【化14】
【0073】
プローブ3の合成
化合物3b。スキーム8に示されているように、化合物3a(Dubowchik et al.,2002)(100mg、0.2mmol、1当量)をACN 7mLに溶解し、0℃まで冷却した。ヨウ化ナトリウム(90mg、0.6mmol、3当量)を添加し、次いで、TMS-Cl(78μL、0.6mmol、3当量)を直ぐに添加した。反応物を放置して室温まで温めてTLC(MeOH:DCM 10:90)によってモニターした。完了次第、反応混合物をEtOAcで希釈し、飽和Na、次いで塩水で洗浄した。有機層を分離し、NaSOで乾燥し、ろ過し、減圧下溶媒を蒸発させて黄色がかった固体の化合物3b(108mg、収率76%)を得た。MS(ES+):m/z C3338INの計算値:711.19;実測値:712.5[M+H」H NMR(400MHz,DMSO) δ 10.10(d,J=7.4Hz,1H),8.13(d,J=7.1Hz,1H),7.87(d,J=7.4Hz,2H),7.73(t,J=7.4Hz,2H),7.59(d,J=8.2Hz,1H),7.52(d,J=8.2Hz,2H),7.46-7.25(m,4H),7.21(s,1H),4.70(s,1H),4.60(s,1H),4.41(s,2H),4.34-4.15(m,4H),3.94-3.89(m,2H),3.00(s,1H),2.94(s,1H),1.97(d,J=6.4Hz,1H),1.67(s,1H),1.59(s,1H),1.50-1.26(m,2H),1.21(s,1H),0.86(d,J=6.8Hz,3H),0.84(d,J=6.7Hz,3H)。13C NMR(101MHz,DMSO) δ 171.84,171.23,159.46,156.65,144.43,144.30,141.23,139.50,132.96,130.06,128.18,127.61,125.90,120.64,120.11,119.64,118.09,66.20,63.11,60.57,57.25,53.64,47.21,46.71,39.83,39.63,39.42,30.97,29.93,29.53,27.29,19.75,18.82。
【0074】
スキーム8:化合物3bの合成
【化15】
【0075】
化合物3c。スキーム9に示されているように、アルゴン雰囲気下、化合物2a(120mg、0.31mmol、1.2当量)を無水DMFに溶解し、0℃まで冷却した。ヨウ化ナトリウム(11.2mg、0.28、1.1当量)を添加し、反応物を放置して室温まで温めた。15分間の撹拌後、化合物3b(184mg、0.26mmol、1当量)を添加し、反応をTLC(MeOH:DCM 10:90)によりモニターした。完了次第、減圧下溶媒を除去した。得られた油状物をEtOAc 2mLで沈殿させて、次いで、EtO(7mL)を用いて10分間トリチュレートした。それから、混合物を真空ろ過によりろ過し、固体物を乾燥してオフホワイト固体の化合物3c(236mg、68%)を得た。MS(ES+):m/z C5562ClNの計算値:971.42;実測値:972.7[M+H」H NMR(400MHz,DMSO) δ 10.10(s,1H),8.13(d,J=7.4Hz,1H),7.87(d,J=7.5Hz,2H),7.77(dd,J=8.3,4.4Hz,2H),7.72(d,J=7.8Hz,2H),7.60(d,J=8.3Hz,2H),7.41(dd,J=17.4,8.5Hz,3H),7.31(t,J=7.9Hz,4H),7.09(d,J=8.0Hz,1H),6.64(d,J=16.2Hz,1H),5.98-5.95(m,1H),5.40(s,2H),4.92(dd,J=15.0Hz,2H),4.41(s,1H),4.31-4.18(m,3H),3.96-3.86(m,1H),3.70(s,3H),3.36(dd,J=14.0,7.0Hz,1H),3.20(s,3H),3.17(s,1H),3.07-2.97(m,1H),2.97-2.86(m,1H),2.03-1.82(m,6H),1.80-1.50(m,9H),1.50-1.27(m,2H),1.07(t,J=7.0Hz,1H),0.87(d,J=6.7Hz,3H),0.84(d,J=6.7Hz,3H)。13C NMR(101MHz,DMSO) δ 171.82,171.21,166.95,159.41,156.64,153.54,144.44,144.31,141.23,139.86,138.41,137.90,130.92,130.75,130.10,129.87,129.26,128.17,127.60,126.39,125.91,120.63,119.33,76.03,66.21,65.46,60.57,57.06,53.63,52.16,47.21,38.95,38.63,36.98,32.93,30.99,30.00,29.55,28.09,27.34,19.75,18.80,15.70。
【0076】
スキーム9:化合物3cの合成
【化16】
【0077】
化合物3d。スキーム10に示されているように、化合物3c(220mg、0.23mmol、1当量)をDMF(6mL)に溶解し、ジエチルアミン(2mL)を添加した。反応をRP-HPLC(水中ACN 50~100%、20分)によりモニターした。完了次第、減圧下溶媒を除去した。得られた油状物をEtOAc 1.5mLで沈殿させて、次いで、EtO(20mL)を用いて10分間トリチュレートした。それから、混合物を真空ろ過によりろ過し、固体物を乾燥してオフホワイト固体の化合物3d(140mg、82%)を得た。MS(ES+):m/z C4052ClNの計算値:749.36;実測値:750.6[M+H」H NMR(400MHz,DMSO) δ 10.18(s,1H),8.23(s,1H),7.81-7.71(m,J=11.2Hz,2H),7.60(d,J=8.3Hz,2H),7.33(d,J=8.3Hz,2H),7.10(d,J=8.1Hz,1H),6.63(d,J=16.1Hz,1H),5.98(s,1H),5.42(s,2H),4.93(dd,J=30.5,9.9Hz,2H),4.47(s,1H),3.71(s,3H),3.20(s,3H),3.17(s,1H),3.13(d,J=4.7Hz,1H),3.05-2.97(m,1H),2.97-2.88(m,1H),1.94-1.85(m,J=24.5Hz,6H),1.78-1.55(m,9H),1.46-1.32(m,3H),1.22(s,2H),0.88(d,J=6.7Hz,3H),0.80(d,J=6.7Hz,3H)。13C NMR(101MHz,DMSO) δ
173.82,171.24,166.96,159.43,153.55,139.87,139.72,138.42,137.91,131.01,130.77,130.11,129.88,129.26,128.19,126.40,120.58,119.41,76.02,59.72,57.06,53.17,52.16,40.04,39.83,39.62,39.41,38.96,38.63,36.98,32.92,31.62,30.46,29.55,28.08,27.26,22.60,19.85,17.61,14.50。
【0078】
スキーム10:化合物3dの合成
【化17】
【0079】
化合物3e。スキーム11に示されているように、アルゴン雰囲気下、mPEG780(100mg、0.128mmol、1当量)を無水DCMに溶解し、0℃まで冷却した。EtN(36μL、0.256mmol、2当量)およびクロロギ酸p-ニトロフェニル(PNP-Cl、52mg、0.256mmol、2当量)を添加し、反応物を放置して室温まで温めた。反応をTLC(MeOH:DCM 10:90)によりモニターした。完了次第、反応混合物をDCMで希釈し、飽和NHClで洗浄した。有機層を分離し、NaSOで乾燥し、ろ過して、溶媒を減圧下蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル(MeOH:DCM 20:80)で精製して白色~黄色がかった固体の化合物3e(101mg、収率83%)を得た。MS(ES+):m/z C4275NO22の計算値:946.04;実測値:946.8。H NMR(400MHz,CDCl) δ 8.2(d,2H,J=8Hz),7.32(d,2H,J=8Hz),4.41-4.33(m,2H),3.77-3.72(m,2H),3.64-3.60(m,6H),3.56-3.58(m,56H),3.46-3.48(m,2H),3.30(s,3H)。13C NMR(101MHz,CDCl) δ 155.54,152.49,145.38,125.32,121.86,71.92,70.69,70.55,68.62,68.33,59.02。
【0080】
スキーム11:化合物3eの合成
【化18】
【0081】
プローブ3。スキーム12に示されているように、化合物3d(10mg、0.013mmol、1当量)および化合物3e(19mg、0.02mmol、1.5当量)をDMFに溶解し、EtN数滴を添加した。反応を50℃で一夜加熱した。反応をRP-HPLC(水中ACN 30~100%、20分)によりモニターした。完了次第、反応混合物を減圧下蒸発することにより濃縮し、粗生成物をさらに精製しないで次工程に使用した。MS(ES+):m/z C76122ClN26の計算値:1557.25;実測値:790.4[(M+Na)/2」
【0082】
スキーム12:化学発光プローブ3の合成
【化19】
【0083】
粗生成物(12mg、0.008mmol)をDCM 5mLに溶解した。数ミリグラムのメチレンブルーを添加し、黄色光を照射しながら、溶液全体に酸素をバブリングした。反応をRP-HPLC(水中ACN 30~100%、20分)によりモニターした。完了次第、反応混合物を減圧下蒸発することにより濃縮し、粗生成物を分取RP-HPLC(水中ACN 30~100%、20分)により精製して白色固体のプローブ3(6mg、収率29%、2工程)を得た。MS(ES+):m/z C76122ClN28の計算値:1587.80;実測値:1589.0[M+H」H NMR(400MHz,DMSO) δ 10.06(s,1H),8.05(d,J=7.6Hz,1H),7.94(d,J=8.4Hz,1H),7.77(d,J=8.4Hz,1H),7.74-7.68(m,1H),7.60(d,J=8.6Hz,2H),7.32(d,J=8.3Hz,2H),7.23(d,J=8.7Hz,1H),6.67(d,J=16.1Hz,2H),5.95(t,J=5.5Hz,1H),5.39(s,2H),4.88(t,J=11.6Hz,2H),4.41(d,J=5.1Hz,2H),4.05(s,2H),3.88(d,J=11.7Hz,2H),3.71(s,3H),3.70(s,1H),3.56(d,J=4.5Hz,6H),3.49(s,56H),3.41(dd,J=5.8,3.5Hz,2H),3.22(s,3H),3.11(s,3H),3.07-2.90(m,2H),2.87(s,1H),2.28-2.11(m,2H),2.01-1.83(m,3H),1.64(dd,J=48.9,13.1Hz,9H),1.39(dd,J=52.0,12.3Hz,5H),1.22(s,2H),0.86(d,J=6.7Hz,3H),0.82(d,J=6.7Hz,3H)。13C NMR(101MHz,DMSO) δ 171.80,171.24,169.86,169.80,168.91,166.76,164.34,159.45,156.78,154.29,152.20,139.94,137.90,134.91,133.96,133.65,131.83,131.41,130.85,130.20,129.00,127.38,126.60,123.76,121.77,119.46,116.80,111.80,111.77,96.06,76.18,71.86,70.36,70.16,69.39,64.06,60.53,58.62,53.54,53.29,52.27,49.94,40.74,40.54,40.33,40.12,39.91,39.70,39.49,36.46,36.40,33.88,33.78,33.65,32.42,32.
23,31.77,31.44,30.94,30.07,29.57,29.21,27.34,26.08,25.79,22.66,19.77,18.70。
【0084】
プローブ4の合成
化合物4b。スキーム13に示されているように、化合物3d(10mg、0.013mmol、1当量)および化合物4a(Ikeda et al.,2012)をDMF(0.5mL)に溶解し、EtN数滴を添加した。反応をRP-HPLC(水中ACN
30~100%、20分)によりモニターした。完了次第、減圧下反応混合物を濃縮した。粗生成物をさらに精製しないでさらに反応させた。粗生成物および数ミリグラムのメチレンブルーをDCM 5mLおよびDMF数滴(溶解性を向上させるため)に溶解した。黄色光を照射しながら、酸素を溶液全体にバブリングした。反応をRP-HPLC(水中ACN 30~100%、20分)によりモニターした。完了次第、反応混合物を減圧下蒸発させることにより濃縮した。粗生成物を分取RP-HPLC(水中ACN 30~100%、20分)により精製して白色固体の化合物4b(11mg、収率76%)を得た。MS(ES+):m/z C5063ClN12の計算値:974.42;実測値:975.8[M+H」H NMR(400MHz,DMSO) δ 10.02(s,1H),8.09(d,J=7.5Hz,1H),7.94(d,J=8.4Hz,1H),7.78(t,J=9.4Hz,2H),7.70(d,J=16.2Hz,1H),7.60(d,J=8.5Hz,2H),7.32(d,J=7.2Hz,2H),6.98(s,2H),6.67(d,J=16.2Hz,1H),5.97(s,1H),5.40(s,2H),4.95-4.80(m,2H),4.37(d,J=5.4Hz,1H),4.26-4.10(m,1H),3.71(s,3H),3.35(t,J=7.0Hz,3H),3.10(s,3H),3.06-2.97(m,1H),2.97-2.89(m,1H),2.87(s,1H),2.29-2.02(m,3H),1.99-1.85(m,2H),1.79-1.52(m,9H),1.47(dd,J=14.3,7.9Hz,6H),1.32(d,J=11.3Hz,2H),1.18(dd,J=17.9,10.0Hz,3H),0.84(d,J=6.7Hz,3H),0.80(d,J=6.7Hz,3H)。13C NMR(101MHz,DMSO) δ 172.80,171.61,171.22,166.74,159.43,154.25,139.89,137.90,134.99,130.19,127.40,121.79,119.37,111.72,95.96,76.27,58.07,53.63,52.24,49.96,39.83,39.62,39.42,37.54,36.39,35.45,33.58,32.18,31.38,30.93,29.82,28.30,27.36,26.31,26.02,25.69,25.44,19.78,18.72。
【0085】
スキーム13:化合物4bの合成
【化20】
【0086】
CGKRK。ペプチドCGKRK(Cys-Gly-Lys-Arg-Lys)を、Fmoc-固相ペプチド合成により合成した。Fmoc-Lys(Boc)ワング樹脂を、30分間DMF中でかき混ぜた。20%ピペリジンでFmoc脱保護を行った(15分)後、DIPEA(6当量)およびDMFの混合物中、次のアミノ酸(4当量)をHBTU(4当量)と結合させた(30分)。配列が完了するまでこれらの2工程を反復した。最終的に、システインのFmoc脱保護を完了し、CGKRK配列をTFA/TIPS/HO(90/5/5)溶液を用いて樹脂から切断した。ペプチドを沈殿させて、冷ジエチルエーテル溶液で洗浄し、凍結乾燥した。白色沈殿物として生成物を得た。MS(ES+):m/z C234610Sの計算値:590.33;実測値:591.3[M+H」
【0087】
プローブ4。スキーム14に示されているように、化合物4b(7mg、0.007mmol、1当量)およびCGKRKペプチド(7.5mg、0.008mmol、1.1当量)をDMFに溶解し、EtN数滴を添加した。反応をRP-HPLC(水中ACN
30~100%、20分)によりモニターした。完了次第、反応混合物を減圧下蒸発させることにより濃縮した。粗生成物を分取RP-HPLC(水中ACN 30~100%、20分)により精製して白色固体のプローブ4(8mg、収率68%)を得た。MS(ES+):m/z C73109ClN1618Sの計算値:1566.26;実測値:784.1[(M+H)/2」H NMR(400MHz,DMSO) δ 10.06(s,1H),8.88-8.74(m,1H),8.36(s,2H),8.23-8.06(m,4H),7.93(t,J=12.1Hz,1H),7.85-7.74(m,9H),7.71(d,J=16.2Hz,1H),7.60(t,J=7.5Hz,2H),7.33(d,J=8.4Hz,3H),6.70-6.65(m,1H),6.05(s,1H),4.93-4.83(m,2H),4.46-4.02(m,13H),3.85(s,2H),3.71(s,3H),3.33(dd,J=14.4,7.3Hz,2H),3.24-2.90(m,8H),2.87(s,1H),2.71(dd,J=13.8,9.6Hz,4H),2.52(d,J=3.0Hz,1H),2.28-2.04(m,2H),2.01-1.86(m,1H),1.76-1.40(m,28H),1.37-1.26(m,6H),1.23-1.11(m,3H),0.85(d,J=6.7Hz,3H),0.81(d,J=6.8Hz,3H)。13C NMR(101MHz,DMSO) δ 177.35,175.
41,173.84,172.76,171.95,171.85,171.23,168.35,167.82,166.74,159.53,159.12,158.80,157.34,154.24,139.88,137.89,134.85,131.77,130.72,130.19,128.87,127.39,126.57,121.77,119.37,118.78,115.83,111.71,95.95,76.26,57.99,53.63,52.67,52.55,52.24,49.95,42.52,40.02,39.81,39.61,39.40,39.21,39.09,38.71,36.39,35.45,33.81,33.59,32.19,31.60,31.38,30.99,30.88,29.84,27.35,27.11,26.36,26.02,25.69,25.45,22.85,22.76,19.78,18.70。
【0088】
スキーム14:化学発光プローブ4の合成
【化21】
【0089】
分光分析データ
活性緩衝液は:リン酸緩衝液0.1M、55mM NaCl、1mM EDTA、5mMグルタチオンを含有した。全分光分析測定を3回反復して行った。検出限界算出のためのブランク測定を10回反復した。検出限界(LOD)をこのように算出した:
LOD=Meanblank+3×SD
式中のSDは標準偏差。
【0090】
化学発光顕微鏡イメージング
化学発光画像を、EMCCDカメラ(浜松ホトニクスC9100-13)を取り付けたオリンパスLV200倒立顕微鏡を用いて得た。RAW264.7アベルソンマウス白血病ウイルス誘発腫瘍細胞、CT26CL25結腸がん細胞およびNIH3T3マウス線維芽(コントロール)細胞を、37℃、24時間、35mmガラス底ペトリ皿上で増殖させた。細胞培養培地を、5μMのプローブMR3-128またはMR3-131を含むMolecular Probes(登録商標)生細胞イメージング溶液へ変更した。37℃で更に20分間、細胞をインキュベートした。化学発光の可視化のため、画像を露光時間20分で記録した。
【0091】
画像をImageJソフトウェアにインポートした。画像可視化のため、ローリングボ
ールフィルター(20ピクセル半径)を適用して画像の輝度およびコントラストを調整した。
【0092】
試験1.プローブ2~4はカテプシンBの検出に有効である
この試験では、プローブ1、2、3および4として本明細書で同定された4つのプローブを実験項に記載されているように合成した。プローブ1はカテプシンB不安定保護基を有する従来のシャープアダマンチリデン・ジオキセタン系であり、一方、プローブ2は長いπ系および電子求引基を付加して構築した。このドナーアクセプタ対デザインは、生理的条件下発光団の発光を増大させて、酵素活性を用いた一段階アッセイ、および生細胞イメージングのための良好な発光団の役割をすることを可能とする。水中溶解性および細胞に侵入するプローブの可能性を向上させるために、本発明者らはプローブ3および4も合成した。プローブ3では、N-カルボキシベンジル(Cbz)付加物を中程度の長さのPEGに置き換えた。PEGは、水可溶性であり、結合分子の薬物速度論的特性を改良し、FDA承認されているので、生体に適用可能な系の構築物において広く利用されている。
【0093】
プローブ4では、リンカーを付加し、CGKRK(Cys-Gly-Lys-Arg-Lys)ペプチドと結合した。CGKRKペプチドは複数の塩基性残基を含む。高含有率の塩基性残基はペプチドの内部移行、CGKRKを効果的細胞透過性にすることおよびペプチドの可溶化の間で共通した特徴である。ペンタペプチドを、トランスジェニックマウス表皮がんでのスクリーニングにおいて先ず同定した。小分子がCGKRKペプチドと結合する場合、結合体を大部分の標的腫瘍細胞に内在化させるが、正常細胞に取り込まない。これは、活性化された内皮細胞および腫瘍細胞の表面上のCGKRKを認識するp32受容体の過剰発現のためである。CGKRKはカテプシンBを過剰発現するがんとほとんど相関する複数のタイプのがんによって認識されるので、本発明者らは、プローブ4を使用する場合に生がん細胞における細胞取り込みの増加を見たかった。
【0094】
次に、プローブの化学発光を、カテプシンBの添加の有無で、時間の関数として測定した。化学発光シグナルおよびその相対的全光子放出の反応速度プロファイルを、それぞれ、図1Aおよび1Bに示している。プローブは、カテプシンBの添加次第、特徴的化学発光反応速度プロファイルを示し、最初に極大点までシグナル上昇した後、終結するまでゆっくり減少する。プローブ1からプローブ2、3および4まで化学発光シグナルの特徴的増加がある。プローブ1は、付加されたドナーアクセプタ対を有しないことから予測されていたように、極めて弱い発光(図1A、挿入図)を生じた。それ以降、化学発光シグナル増加パターンが見られ、これは付加物の変更および水性媒体中の改良されたプローブ溶解性と相関する。発明者らが求める次の細胞イメージングのためのプローブを評価するために、各プローブによって得られる最大シグナルも調査し、この調査はより高い感度と解像度の最高点をもたらす(図1C)。種々のプローブの最大シグナルは、プローブ4の最大シグナルより見劣り、更なる研究のために有力な選択を導く。カテプシンBの非存在下ではプローブから発光は観察されなかった。
【0095】
酵素分解およびプローブの化学発光シグナル間の関連性を確認するため、HPLCを使用してプローブ4の酵素分解を追跡した。HPLC分析は、プローブ4の迅速な酵素分解およびアニリンリンカーの超高速1,6-脱離を示している。HPLCおよび化学発光データの比較は、化学発光最大シグナル、および酵素切断の終結の間の強い相関関係を示している。さらに、化学発光減衰および化学励起過程間の関係性は明らかである(非マスク化フェノレートの安息香酸エステルへの分解の反応速度によって見られるように)。さらに、これは、安息香酸エステルのその基底状態(発光を伴う)への減衰の効率および迅速性を示している。
【0096】
細胞外カテプシンBでの化学発光反応速度論による最初のスクリーニング後、プローブ
3および4を細胞イメージング評価のために選択した。これらのプローブはカテプシンBとのインキュベーション時に最大発光を示すので、これらのプローブを選択した。化学発光シグナルの局在化および定量化に適した顕微鏡(LV200)を用いてイメージングを行った。Raw264.7、CT26腫瘍細胞、および3T3正常細胞を、プローブ3またはプローブ4のいずれかとインキュベートし、LV200を用いてイメージングした。図3に示されているように、プローブ4とのインキュベーションは、化学発光シグナルによりイメージングされたRaw246.7およびCT26がん細胞をもたらしたが、3T3細胞については、化学発光シグナルは観察されなかった。これは、Raw246.7およびCT26細胞はカテプシンBを過剰発現することが分かったが、正常組織細胞のマウス線維芽3T3細胞は有意により低レベルのカテプシンBを産生するという事実と関連している。このように、プローブ4は正常組織からがん細胞を識別することができると結論することができる。一方では、プローブ3とのインキュベーションは、いずれのタイプの細胞も化学発光シグナルを示さなかった。これは、プローブ4と比較した場合にプローブ3のより低い溶解性(インビトロ実験から結論することができる)による、またはプローブ4の細胞内側に被包する性能に付加し得る腫瘍ホーミングペプチドの欠如によるものであり得る。
【0097】
プローブ4のカテプシンBを検出する感度を測定し、従来の7-ヒドロキシクマリン系蛍光プローブ(Z-Val-Cit-PABA-7HC)と比較した。2つの検出方法間の比較を直接的に観察するため、種々のカテプシンB濃度を用いた信号対雑音比を、対数目盛を用いて酵素濃度に対してプロットした(図4)。著しいことに、プローブ4は、76.29μU/mLの検出限界(LOD)値を示したが、Z-Val-Cit-PABA-7HCは1.25U/mLのLOD値でカテプシンBを検出した。この優れた感度(16,000倍超)は、診断アッセイに関する蛍光に対する化学発光モダリティの利点を明確に示している。
【0098】
試験2.前立腺特異抗原の検出用途のためのプローブ5
プローブ5(PSAプローブ)の合成
化合物5a。スキーム15に示されているように、Fmoc-グルタミン(Fmoc-Gln)(380mg、1.03mmol、1当量)およびp-アミノベンジルアルコール(133mg、1.08mmol、1.05当量)をTHF(7mL)に溶解し、EEDQ(266.3mg、1.08、1.05当量)を添加した。16時間後、混合物を30℃で蒸発乾固させて、残渣をエーテル(15mL)でトリチュレートした。得られたオフホワイト固体生成物をろ過によって集め、エーテルで洗浄し、真空乾燥した(467mg、96%)。
【0099】
化合物5b。スキーム15に示されているように、化合物5a(250mg、0.525mmol、1当量)をACN 7mLに溶解し、0℃まで冷却した。ヨウ化ナトリウム(237.5mg、1.585mmol、3当量)を添加し、次いで、TMS-Cl(200μl、1.585mmol、3当量)を直ぐに添加した。反応物を放置して室温まで温めてTLC(MeOH:DCM 5:95)によってモニターした。完了次第、反応混合物をEtOAcで希釈し、飽和Na、次いで塩水で洗浄した。有機層を分離し、NaSOで乾燥し、ろ過し、減圧下溶媒を蒸発させてオフホワイト固体の化合物1b(248mg、収率81%)を得た。
【0100】
スキーム15:化合物5bの合成
【化22】
【0101】
化合物5c。スキーム16に示されているように、アルゴン雰囲気下、化合物2a(100mg、0.25mmol、1.2当量)を無水DMFに溶解し、0℃まで冷却した。ヨウ化ナトリウム(9.23mg、0.23、1.1当量)を添加し、反応物を放置して室温まで温めた。15分間の撹拌後、化合物5b(123mg、0.21mmol、1当量)を添加し、反応をTLC(EtOAc)によりモニターした。完了次第、減圧下溶媒を除去した。得られた油状物をEtOAc 1.5mLで沈殿させて、次いで、EtO(5mL)を用いて10分間トリチュレートした。それから、混合物を真空ろ過によりろ過し、固体物を乾燥してオフホワイト固体の化合物5c(163mg、92%)を得た。MS(ES-):m/z C4950ClNの計算値:843.33;実測値:878.64[M+Cl」
【0102】
化合物5d。スキーム16に示されているように、化合物5a(110mg、0.13mmol)をDCM 5mLに溶解した。数ミリグラムのメチレンブルーを添加し、黄色光を照射しながら、溶液全体に酸素をバブリングした。反応をRP-HPLC(水中ACN 70~100%、20分)によりモニターした。完了次第、反応混合物を減圧下蒸発することにより濃縮し、粗生成物を分取RP-HPLC(水中ACN 70~100%、20分)により精製して白色固体の化合物5d(72mg、収率64%)を得た。
【0103】
化合物5e。スキーム16に示されているように、化合物5d(30mg、0.034mmol)をDMF(8mL)に溶解し、ピペリジン(2mL)を添加した。反応をRP-HPLC(水中ACN 50~100%、20分)によりモニターした。完了次第、減圧下溶媒を除去した。得られた油状物をEtOAc 1.5mLで沈殿させて、次いで、EtO(20mL)を用いて10分間トリチュレートした。それから、混合物を真空ろ過によりろ過し、固体物を乾燥してオフホワイト固体の化合物5e(22mg、定量的)を得た。
【0104】
スキーム16:化合物5eの合成
【化23】
【0105】
Mu-HSSKL。ペプチドMu-HSSKL(モルホリノ-His-Ser-Ser-Lys-Leu)をFmoc-固相ペプチド合成により合成した。Fmoc-Leu-ワング樹脂を、30分間DMF中でかき混ぜた。20%ピペリジンでFmoc脱保護を行った(15分)後、DIPEA(6当量)およびDMFの混合物中、次のアミノ酸(4当量)をHBTU(4当量)と結合させた(30分)。配列が完了するまでこれらの二工程を反復した。最終的に、HisのFmoc脱保護を完結し、HSSKL配列を塩化4-モルホリンカルボニルと結合した。後で、ペプチドを、TFA/TIPS/HO(90/5/5)溶液を用いて樹脂から切断した。ペプチドを沈殿させて、冷ジエチルエーテル溶液で洗浄し、凍結乾燥した。白色沈殿物として生成物を得た。MS(ES-):m/z C294910の計算値:683.36;実測値:682.6[M-H」
【0106】
化合物5f。スキーム17に示されているように、Mu-HSSKL(175mg、0.25mmol、1当量)をDMF(3mL)に溶解し、Fmoc-OSu(129mg、0.38mmol、1.5当量)およびDIPEA(134μl、0.66mmol、3当量)を添加した。反応をRP-HPLC(水中ACN 10~90%、20分)によりモニターした。完了次第、反応混合物を減圧下蒸発することにより濃縮し、粗生成物を分取RP-HPLC(水中ACN 10~90%、40分)により精製して白色固体の化合物5f(162mg、収率70%)を得た。MS(ES+):m/z C445912の計算値:905.43;実測値:906.7[M+H」
【0107】
化合物5g。スキーム17に示されているように、化合物5f(10mg、0.0114mmol、1当量)をDMF(3mL)に溶解し、HBTU(4.8mg、0.0125mmol、1.1当量)およびDIPEA(4μl、0.028mmol、2当量)を添加した。15分後、化合物5e(1.83mg、0.028mmol、2当量)を添加した。反応をRP-HPLC(水中ACN 10~90%、20分)によりモニターした。完了次第、反応混合物を減圧下蒸発することにより濃縮し、粗生成物を分取RP-HPLC(水中ACN 10~90%、20分)により精製して白色固体の化合物5g(18mg、収率82%)を得た。MS(ES+):m/z C7897ClN1219の計算値:1540.67;実測値:1541.8[M+H」
【0108】
プローブ5。スキーム17に示されているように、化合物5g(9mg、0.0057mmol)をDMF(1mL)中の20%ピペリジンに溶解した。反応をRP-HPLC(水中ACN 10~90%、20分)によりモニターした。完了次第、減圧下溶媒を除去した。得られた油状物を沈殿させて、冷ジエチルエーテル溶液で洗浄し、凍結乾燥した。オフホワイトの沈殿物(7mg、定量的)として生成物を得た。MS(ES+):m/z C6387ClN1217の計算値:1318.60;実測値:1319.8[M+H」
【0109】
この試験では、保護基としてPSA切断可能ペプチド(HSSKLQ、ヒスチジン-セリン-セリン-リジン-ロイシン-グルタミン)、および安定かつ溶解性を増大させると想定される4-モルホリンカルボニルキャップを含むプローブ5として本明細書で同定された種々の化学発光プローブを合成した。プローブは、長いπ系および電子求引基を付加した従来のシャープアダマンチリデン・ジオキセタン系である。このドナーアクセプタ対デザインは、生理的条件下発光団の発光を増大させて、酵素活性を用いた一段階アッセイ、および生細胞イメージングのための良好な発光団の役割をすることを可能とする。
【0110】
図5は、室温におけるPSA 10mg/mLの存在下トリス緩衝液(pH7.8、10%DMSO)中のプローブ5[10μM]の化学発光反応速度プロファイルを示す。
【0111】
スキーム17:プローブ5の合成
【化24】
【0112】
参考文献
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図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5