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特許7553625シャッフルシステムおよびシャッフルプレイングカード
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】シャッフルシステムおよびシャッフルプレイングカード
(51)【国際特許分類】
   A63F 1/12 20060101AFI20240910BHJP
   A63F 1/06 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
A63F1/12
A63F1/06 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023036265
(22)【出願日】2023-03-09
(62)【分割の表示】P 2019549352の分割
【原出願日】2018-10-19
(65)【公開番号】P2023071961
(43)【公開日】2023-05-23
【審査請求日】2023-04-10
(31)【優先権主張番号】P 2017215961
(32)【優先日】2017-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000103301
【氏名又は名称】エンゼルグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230120651
【弁護士】
【氏名又は名称】山口 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】重田 泰
【審査官】鶴岡 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-024603(JP,A)
【文献】特開平01-032881(JP,A)
【文献】特開昭64-032881(JP,A)
【文献】特開2011-245417(JP,A)
【文献】特開2002-288458(JP,A)
【文献】特開2014-031217(JP,A)
【文献】特開2005-198668(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0326437(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0110210(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 1/12
A63F 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定数のデッキを構成するプレイングカードのセットと、
前記カードのセットをシャッフルする複数のシャッフル装置と、
前記複数のシャッフル装置の動きをそれぞれ制御する互いに独立した複数のシーケンサ又はコントローラと、前記複数のシーケンサ又はコントローラを制御する、互いに独立した複数のプロセッサと、を備えたシャッフルシステムであり、
前記複数のプロセッサは、互いに通信ネットワークが遮断されて独立した1または複数のランダムジェネレータを有し、前記シーケンサ又はコントローラはそれぞれ前記プロセッサの指令によってランダムジェネレータから出力される数値のセットを用いて前記シャッフル装置を制御するように構成され、その結果、あるシャッフル装置であるカードセットについて用いられた数値のセットが分かった場合にも、他のシャッフル装置で当該カードセットについて用いられた数値のセットが芋づる式に分からないように構成され、
前記シーケンサ又はコントローラは、前記ランダムジェネレータから出力される数値のセットを用いて前記カードセットのカードを一枚ずつランダムに仕分けするように前記シャッフル装置の動きを制御し、
前記シャッフルシステムは、前記複数のシャッフル装置を用いてシャッフルすることで前記カードのセットのカードの並びがランダムとなるように構成された、シャッフルシステム。
【請求項2】
前記各々のシャッフル装置による仕分けの個数は、前記複数のシャッフル装置にわたる積が前記カードのセットのカードの枚数以上となるように構成された、請求項1に記載のシャッフルシステム。
【請求項3】
前記プロセッサはランダムジェネレータからランダムな数値のセットを複数セット出力し、前記シーケンサ又はコントローラはそれぞれ前記複数のランダムな数値のセットから一つを選択して使用し、前記シャッフル装置を制御する構成とした、請求項1または2に記載のシャッフルシステム。
【請求項4】
前記複数のシャッフル装置のうち、前記カードセットのカードを最後にシャッフルする、最後のシャッフル装置は、さらに前記最後のシャッフル装置によって仕分けされたカードを機械的に回収する、回収手段を備え、
前記仕分けされたカードは前記回収手段によって1つに集められて積層されて、シャッフルされたカードのセットを自動包装機によりパッケージに包装されシャッフルプレイングカードが完成製造される、請求項1から3のいずれかに記載のシャッフルシステム。
【請求項5】
個々の前記シャッフルされたカードのセットに対応する、ユニークなIDが生成されて、前記シャッフルされたカードのセットに関連付けられる請求項4に記載のシャッフルシステム。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のシャッフルシステムを用いて製造されたシャッフルプレイングカード。
【請求項7】
前記自動包装機によりパッケージに包装されたシャッフルプレイングカードは、2重に包装されている、請求項6に記載のシャッフルプレイングカード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランプゲームに用いられるトランプカードをシャッフルする方法に関し、特に、複数のシャッフル装置を用いて、独立して複数回シャッフルを行うことによって、並びを完全にランダムにされたシャッフルトランプカードとそのシャッフル方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポーカー、バカラ、ブリッジ、またはブラックジャック等の各種のトランプゲームにおいては、ディーラーが、1デッキもしくは複数デッキ(6から9あるいは10デッキ)のトランプカードをカードシュータ等にセットし、そこから一枚ずつ繰り出して、ゲーム参加者にカードを配る。このとき、ゲームの公平性を担保するために、規則性のある並びではなくランダムな並びになっているカードが配られる必要があるので、ゲーム主催者は、カードシュータにセットする前に、トランプカードを十分にランダムにシャッフルしておかなければならず、またカードシュータにセットされたトランプカードの並びは、プレイヤーやディーラーのみならず、誰にも知られてはならない。
【0003】
シャッフル工程において、シャッフル装置を用いてトランプカードをシャッフルしてランダムかつユニークな並びにした後包装したものを製造し、出荷する方法が、特許文献1に開示されている。ゲームにおいてランダムになっているカードを用いるためには、主催者が開始前にシャッフル装置などを用いてカードをシャッフルしておくことが考えられるが、同文献は、ゲームに先立ちゲーム主催者が長時間をかけてシャッフルを行う必要をなくすことで、不正行為の入り込む余地のないシャッフルトランプカードおよびその製造方法を提供するものである。さらに同文献では、シャッフル装置において、カードをランダムに仕分けするという工程を、複数回繰り返すことによって、カードの並びのランダム性をさらに向上させることができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際出願公開第WO2009/069708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のシステムでは、シャッフル装置において、CPU(プロセッサ)の指令によってランダムジェネレータから出力されるランダムな数値のセットを用いてカードをシャッフルする方法が、多く用いられている。この場合、CPU(プロセッサ)への不正なアクセス等によって前記のランダムな数値のセットに関する情報が抜き取られたり、外部に漏れたりして、そこからシャッフルされたカードの並びに関する情報が不正に取得されて、不正行為が行われる余地があるという問題があった。
【0006】
本発明はこのような背景の下でなされたものであり、その目的は、互いに直列に接続された複数のシャッフル装置と、前記複数のシャッフル装置のそれぞれと有線または無線で接続された互いに独立した複数のCPU(プロセッサ)の指令によってランダムジェネレータから出力されるランダムな数値のセットを用いて、各シャッフル装置においてカードをシャッフルし、その後、直列に接続された次のシャッフル装置で同様にシャッフルし、これを複数のシャッフル装置にわたって行うことにより、カードの並びをランダムにし、さらに、もしも複数のCPU(プロセッサ)への不正なアクセス等によって、複数の前記ランダムジェネレータにおけるランダムな数値のセットに関する情報がそれぞれ抜き取られた場合においても、それらがどのカードのシャッフルに割り当てられたのかを全てのシャッフル装置にわたって特定することが難しくなることにより、シャッフル後のカードの並びを把握される危険性が低減されるシステムを提供することにある。
【0007】
さらに各シャッフル装置において、前記CPU(プロセッサ)の指令によってランダムジェネレータから複数セットずつ出力されるランダムな数値のセットの中から選択されたランダムな数値のセット用いてカードをシャッフルすることにより、もしもCPU(プロセッサ)への不正なアクセス等によって、前記ランダムジェネレータにおけるランダムな数値のセットの複数セットに関する情報が抜き取られた場合においても、それらの中でどのセットが選択されて用いられてカードがシャッフルされたのかを特定することが難しくなることにより、シャッフル後のカードの並びを把握される危険性がさらに低減されるシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の従来の問題を解決するために、本発明のシャッフルシステムは、
所定数のデッキを構成するプレイングカードのセットと、
前記カードのセットをシャッフルする複数のシャッフル装置と、
前記複数のシャッフル装置の動きをそれぞれ制御する互いに独立した複数のシーケンサ又はコントローラと、前記複数のシーケンサ又はコントローラを制御する、互いに独立した複数のプロセッサと、を備えたシャッフルシステムであり、
前記複数のプロセッサは、互いに独立した1または複数のランダムジェネレータを有し、前記シーケンサ又はコントローラはそれぞれ前記プロセッサの指令によってランダムジェネレータから出力される数値のセットを用いて前記シャッフル装置を制御するように構成され、
前記シーケンサ又はコントローラは、前記ランダムジェネレータから出力される数値のセットを用いて前記カードセットのカードを一枚ずつランダムに仕分けするように前記シャッフル装置の動きを制御し、
前記シャッフルシステムは、前記複数のシャッフル装置を用いてシャッフルすることで前記カードのセットのカードの並びがランダムとなるように構成される。
【0009】
また、前記各々のシャッフル装置による仕分けの個数は、前記複数のシャッフル装置にわたる積が前記カードのセットのカードの枚数以上となるように構成されてよい。
【0010】
また、前記プロセッサはランダムジェネレータからランダムな数値のセットを複数セット出力し、前記シーケンサ又はコントローラはそれぞれ前記複数のランダムな数値のセットから一つを選択して使用し、前記シャッフル装置を制御する構成であってよい。
【0011】
また、前記複数のシャッフル装置のうち、前記カードセットのカードを最後にシャッフルする、最後のシャッフル装置は、さらに前記最後のシャッフル装置によって仕分けされたカードを機械的に回収する、回収手段を備え、
前記仕分けされたカードは前記回収手段によって1つに集められて積層されて、シャッフルされたカードのセットを自動包装機によりパッケージに包装されシャッフルプレイングカードが完成製造されてよい。
【0012】
また、個々の前記シャッフルされたカードのセットに対応する、ユニークなIDが生成されて、前記シャッフルされたカードのセットに関連付けられてよい。
【0013】
また、本発明は上述のシャッフルシステムを用いて製造されたシャッフルプレイングカードを含む。
【0014】
また、前記自動包装機によりパッケージに包装されたシャッフルプレイングカードは、2重に包装されていてよい。
【0015】
上記の従来の問題を解決するために、本発明のシャッフルシステムは、
一個もしくはそれ以上のデッキのカードをシャッフルするシステムであって、
前記カードをシャッフルする複数のシャッフル装置と、
前記複数のシャッフル装置の動きをそれぞれ制御する複数のシーケンサ又はコントローラと、
前記複数のシーケンサ又はコントローラを制御する複数のプロセッサと、
を備え、
前記複数のプロセッサはそれぞれランダムジェネレータを有し、前記複数のシャッフル装置は少なくとも異なるプロセッサのランダムジェネレータから指令される数値のセットを用いて一個もしくはそれ以上のデッキのカードの一つのセットをシャッフルする構成とされる。
【0016】
上記の従来の問題を解決するために、本発明のシャッフルシステムは、
一個もしくはそれ以上のデッキのカードをシャッフルするシステムであって、
前記カードをシャッフルする複数のシャッフル装置と、
前記複数のシャッフル装置の動きをそれぞれ独立して制御する複数のシーケンサ又はコントローラと、
前記複数のシーケンサ又はコントローラを制御するプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサはランダムジェネレータを有し、前記シャッフル装置はそれぞれ独立した前記シーケンサ又はコントローラにより制御され、前記シーケンサ又はコントローラは前記ランダムジェネレータから指令されるランダムな数値のセットを用いて前記シャッフル装置を制御する構成であって、前記プロセッサはランダムジェネレータからランダムな数値のセットを複数セット出力し、前記シーケンサ又はコントローラはそれぞれ前記複数のランダムな数値のセットから一つを選択して使用し、一個もしくはそれ以上のデッキのカードの一つのセットをシャッフルする構成である。
【0017】
また、前記各々のシャッフル装置によりシャッフルする際の仕分けの個数は、前記複数のシャッフル装置にわたる積が前記カードのセットのカードの枚数以上となるように構成されてよい。
【0018】
また、前記プロセッサはランダムジェネレータからランダムな数値のセットを複数セット出力し、前記シーケンサ又はコントローラはそれぞれ前記複数のランダムな数値のセットから一つを選択して使用し、前記シャッフル装置を制御する構成でよい。
【0019】
また、前記複数のシャッフル装置のうち、前記カードセットのカードを最後にシャッフルする、最後のシャッフル装置は、さらに前記最後のシャッフル装置によって仕分けされたカードを機械的に回収する、回収手段を備え、
前記仕分けされたカードは前記回収手段によって1つに集められて積層されたカードのセットを自動包装機によりパッケージに包装しシャッフルプレイングカードが完成製造されてよい。
【0020】
また、個々の前記シャッフルされたカードのセットに対応する、ユニークなIDが生成されて、前記シャッフルされたカードのセットに関連付けられてよい。
【0021】
また、本発明は上述のシャッフルシステムを用いて製造されたシャッフルプレイングカードを含む。
【0022】
また、自動包装機によりパッケージに包装されたシャッフルプレイングカードは、2重に包装されていてよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1(A)】図1(A)は、シャッフルを行うことによってカードをランダムな並びにする仕組みを示した説明図(ポケットの個数がカードの枚数以上ある場合)。
図1(B)】図1(B)は、シャッフルを行うことによってカードをランダムな並びにする仕組みを示した説明図(複数回シャッフルを行う場合)。
図2図2は、本発明の実施の形態のシャッフルシステムの全体の概要を示す図。
図3(A)】図3(A)は、本発明の実施の形態のシャッフル装置の概略構成を示す図。
図3(B)】図3(B)は、本発明の実施の形態のシャッフル工程の一部の概略構成を示す図。
図3(C)】図3(C)は、本発明の実施の形態のシャッフル工程の一部の概略構成を示す図(ランダムジェネレータからランダムな数値のセットを複数セット出力する場合)。
図4図4は、本発明の実施の形態の、包装されてIDが添付されたシャッフルプレイングカードの外観を示す斜視図。
【0024】
本発明のシャッフルシステムの実施の形態について説明する前に、複数のポケットを備えたシャッフル装置において、シャッフルすべきセットのカードをいずれかのポケットに振り分けて行うシャッフルを複数回行うことによって、カードをランダムな並びにする仕組みについて説明する。
【0025】
例えば8デッキ(52枚×8デッキの416枚)のカードをシャッフルしてランダムな並びにすることを想定する。図1(A)に示すように、シャッフル装置が416個のポケットを備えている場合、各カードを416個のポケットのうちのいずれかにランダムに1枚ずつ仕分けし、そしてポケットから順に仕分けされたカードを集めるということを行えば、カードのあらゆる並びを実現することができ、さらにカードを完全にランダムな並びにすることができる。なお、各カードを416個のポケットのうちのいずれに仕分けするかを決定するにあたり、従来のシステムではCPU(プロセッサ)の指令によってランダムジェネレータから出力されるランダムな数値のセットを用いる方法が多くとられている(詳細は後述する)。この場合CPU(プロセッサ)は、各カードを416個のポケットのうちのいずれに仕分けするかに関する情報を有しており(PC knows)、この情報がCPU(プロセッサ)への不正なアクセス等により外部に漏れてしまうと、416個のポケットに仕分けされた後のカードの並びに関する情報が不正に取得されてしまい、不正行為につながる恐れがある。
【0026】
そこで図1(B)に示すように、複数台のシャッフル装置を用いて、各カードを複数個のポケットのうちのいずれかに仕分けするというシャッフルを複数回行うことを想定する。これにより、同様に、カードのあらゆる並びを実現することができ、そして完全にランダムな並びにすることができる。なおこの場合、ポケットの個数は上記のセットのカード枚数より少ない個数でもよく(例えば図1(B)の場合、52個)、それによりシステムの規模を変更することも可能である。シャッフル装置は複数台あるため、それぞれ異なるCPU(プロセッサ)の指令によってランダムジェネレータから出力されるランダムな数値のセットを用いて各カードの仕分けを行うように設定される。各CPU(プロセッサ)を互いに独立させることで、各CPU(プロセッサ)は自身の指令によってランダムジェネレータから出力されるランダムな数値のセットを用いてカードの仕分けを行ったシャッフル装置におけるシャッフルに関する情報しか有していない状態になる。もしも複数のCPU(プロセッサ)への不正なアクセス等によって、複数の前記ランダムジェネレータにおけるランダムな数値のセットに関する情報がそれぞれ抜き取られた場合においても、それらがどのカードのシャッフルに割り当てられたのかを全てのシャッフル装置にわたって特定することが難しくなることにより、シャッフル後のカードの並びを把握される可能性は極めて低くなる。
【0027】
<実施の形態1>
次に、本発明のシャッフルシステムの実施の形態について、図2を参照しながら説明する。図2は、本発明の実施の形態のシャッフルシステム全体の概略構成を示す図である。
本実施例においてシャッフルシステムは、複数のシャッフル装置(100A~100N)と、前記複数のシャッフル装置の内部または外部に設けられまたは連結されて前記複数のシャッフル装置のうちの所定のシャッフル装置を制御する複数のシーケンサ又はコントローラ(101A~101N)と、互いに通信ネットワークが遮断されて独立した複数のCPU(プロセッサ102a~102k)と、前記複数CPUがそれぞれ有し所定のCPUの指令によってランダムな数値のセット(10A~10N)を出力するランダムジェネレータ(103a~103k)と、から構成される。前記複数のシャッフル装置(100A~100N)は互いに直列に接続されており、シャッフルされる前のカードのセット1tは、まずシャッフル装置100Aにおいてシャッフルされ、その後同様にシャッフル装置100Bからシャッフル装置100Nまでにおいて順にシャッフルされる。即ち、複数のシャッフル装置(100A~100N)が同じカードのセット1tをシャッフルするように構成されている。
【0028】
互いに独立した複数のCPU(プロセッサ102a~102k)の各々の指令によってランダムジェネレータ(103a~103k)からそれぞれ出力されたランダムな数値のセット(10A~10N)は、前記複数のCPU(102a~102k)と各々有線または無線で接続されたシーケンサ又はコントローラ(101A~101N)に送信され、前記複数のシーケンサ又はコントローラ(101A~101N)はそれぞれが受け取ったランダムな数値のセット(10A~10N)を用いて、それぞれが設けられたまたは連結されたシャッフル装置(100A~100N)のシャッフルを制御する。ここで、例えば図2のCPU102jのように、複数のCPU(102a~102k)のうち一部のCPUが複数のシャッフル装置のうちの一部の2台以上のシャッフル装置のシャッフルに関与するように構成されていてもよく、この場合シーケンサ又はコントローラ101LMが2台のシャッフル装置(100Lおよび100M)のシャッフルを行うように構成されてもよい。前記複数のシャッフル装置(100A~100N)は、必ずしも互いに図2に示すような直線状に配置されている必要はなく、途中で曲がったり分岐してもよい。さらに、例えばシャッフル装置100Bでシャッフルされたカードセット1tが、もう一度シャッフル装置100Aに戻されてシャッフルされるようにしてもよい。
さらに、同一のシャッフル装置100で複数回シャッフルしてもよい。つまり、例えばシャッフル装置100Aでシャッフルされたカードセット1tが、もう一度シャッフル装置100Aに戻されてシャッフルされるようにしてよい。この場合には、それぞれのシャッフルで使用するCPUまたはランダムジェネレータを複数のCPU(102a~102k)またはランダムジェネレータ(103a~103k)から選んで切り替えることで、異なるCPUまたはランダムジェネレータを使用してシャッフルすることができる。
【0029】
上記の記載と重複するが、シャッフル装置(100A~100N)は複数台あるため、それぞれ異なるCPU(102a~102k)の指令によって各々ランダムジェネレータ(103a~103k)から出力されるランダムな数値のセット(10A~10N)を用いて、それぞれ対応するシーケンサ又はコントローラ(101A~101N)により制御される。なお工場の製造ラインにおいては、あるカードセット1tをシャッフル装置100Aでシャッフルした後シャッフル装置100Bでシャッフルしている間に、次のカードセット1tをシャッフル装置100Aでシャッフルするように、順に次々とシャッフルを行う。そしてこれを実行するために、各々のランダムジェネレータ(103a~103k)から新たなランダムな数値のセット(10A~10N)が順に次々と出力され、シーケンサ又はコントローラ(101A~101N)に送られる。例えばランダムジェネレータ103aからランダムな数値のセットが、第一番目の10A、第二番目の10A、第三番目の10A…と、次々と出力され、シーケンサ又はコントローラ101Aに送られて行く(第一番目の10A、第二番目の10A、第三番目の10A…は、互いに異なる)。ここで、仮に複数のCPU(102a~102k)への不正なアクセス等によって、ある一定時間における、前記複数のランダムジェネレータ(103a~103k)から出力されるランダムな数値のセット(10A~10N)に関する情報がそれぞれ抜き取られたとする。例えば、ある一定時間における、ランダムジェネレータ103aから出力されるランダムな数値のセットとして、第一番目の10A、第二番目の10A、第三番目の10Aの3セット分の情報が、そして、ランダムジェネレータ103bから出力されるランダムな数値のセットとして、第一番目の10B、第二番目の10B、第三番目の10B、第四番目の10B、第五番目の10Bの5セット分の情報が抜き取られたとする。この場合シャッフル装置100Aにおいて、あるランダムな数値のセット10A(例えば、第一番目の10A)が前記カードセット1tのシャッフルに用いられたものなのか、それとも前記次のカードセット1tのシャッフルに用いられたものなのかを、正確に判断することは容易ではない。もしランダムな数値のセット10A(例えば、第一番目の10A)がどのカードセット1tのシャッフルに用いられたものなのかを知られたとしても、複数のCPU(102a~102k)は互いに通信ネットワークが遮断され独立しているため、ここから他のシャッフル装置でランダムジェネレータから出された、あるランダムな数値のセットがどのカードセット1tのシャッフルに用いられたものなのかが芋づる式に分かるわけではない。例えば、103bから出力されるランダムな数値のセット10B(例えば、第一番目の10B)が前記カードセット1tのシャッフルに用いられたものなのか、それとも前記次のカードセット1tのシャッフルに用いられたものなのかを芋づる式に把握することはできず、ランダムな数値のセット10A(例えば、第一番目の10A)と同様に正確に判断することは容易ではない。複数のシャッフル装置(100A~100N)によるシャッフルを経た、カードセット1sの並びの情報は、このカードセット1sのシャッフルに用いられたランダムな数値のセット(10A~10N)を全て正確に把握した上でなければ(例えば、ランダムな数値のセット10Aの中でも第何番目の10Aで、ランダムな数値のセット10Bの中でも第何番目の10Bで、…を全て正確に把握しなければ)、取得することができない。したがって、カードの並びの情報を取得することは極めて不可能に近いと言える。
【0030】
次に、各シャッフル装置の構造の概略について、図3(A)を参照しながら説明する。図3(A)は、本発明の実施の形態の各シャッフル装置における概略構成を示す図である。図3(A)に示すとおり、シャッフル装置100Aは、カードスタック200と、カードフィーダ201と、スライドレール202と、フィーダ移動ローラ203と、カード送り出しローラ204とを備えている。
【0031】
カードスタック200は、所定数のポケット200a~200gを備えている。なお、図3(A)の構成においては、カードスタック200が7個のポケットを備えた構成を例示したが、ポケットの個数は任意である。各ポケット間には、可動式の仕切り板205a~205fが設けられている。カードフィーダ201は、シャッフルすべきカードのセット1tをセットすると、その底部に設けられているカード送り出しローラ204が回転することに伴い、カードフィーダ201内の最下部にあるカード1が、カードフィーダ201の下部側面に設けられたカード送り出し口(図示せず)からカードスタック200へ向けて送り出される仕組みになっている。また、カードフィーダ201は、モータ(図示せず)等の駆動手段により駆動されるフィーダ移動ローラ203によって、スライドレール202に沿って鉛直方向(上下)にスライド移動可能に構成されている。
【0032】
上記の構成により、シャッフル装置100Aは、ポケット200a~200gのいずれかに対向する位置へのカードフィーダ201のスライド移動と、カードフィーダ201からポケット(200a~200g)へのカード1の送り出しとを、交互に行うように、シーケンサ又はコントローラ101Aを介して制御される。なお、シーケンサ又はコントローラ101Aは、CPU102aの指令によってランダムジェネレータ103aから出力されるランダムな数値のセット10Aを受け取り、これを用いて、カードフィーダ201をポケット200a~200gのどれに対向する位置へ移動させるかを決定する。シーケンサ又はコントローラ101Aは、ランダムな数値のセット10Aからポケット200a~200gのいずれかを割り当てる対照表を記憶したメモリ(図示せず)を有するように構成されている。例えば、ランダムな数値のセット10Aの最初の数字が“3”であった場合、対照表をもとにカードフィーダ201を上から3つ目のポケット200cに対向する位置へ移動させ、1枚目のカード1をポケット200cに送り込む、というように制御する。このように、カードフィーダ201にセットされたカードセット1tは、1枚ずつランダムにカードスタック200のポケット200a~200gのいずれかへ送り出される。そして、カードフィーダ201にセットされた全てのカード1がカードスタック200に送り出されると、カードスタック200において、仕切り板205a~205fがカードスタック200内部から退行することにより、ポケット200a~200gのそれぞれに仕分けされたカード1が、1つに積層された状態で、シャッフル装置100Aから取り出される。ただし、上記のポケット200a~200gに仕分けされたカード1の回収手段として、仕切り板205a~205fの退行は必須ではなく、他の任意の代替手段を用いることができる。例えば、ロボットアーム等でポケット200a~200gのそれぞれからカードを順に取り出す構成であっても良い。ここまでが、シャッフル装置100Aによって行われる1回のシャッフル工程である。
【0033】
なお、シャッフル装置の構造としては、上記の実施の形態に限定されない。例として、
シャッフルすべきセットのカードを予め複数のポケットにランクやスート毎に仕分けした後に、CPU(プロセッサ)の指令によってランダムジェネレータから出力されるランダムな数値のセットに基づいて、当該複数のポケットから1枚ずつ取り出して積層するようにシーケンサ又はコントローラを介して制御することでシャッフルを行うような構造(図示せず)も考えられる。また、シーケンサ又はコントローラはシャッフル装置を制御可能な位置に有線または無線で接続されていればよく、シャッフル装置の内部のみならず、外部に設けられていてもよい。同様にランダムジェネレータは、CPUからの指令を受けて直接的または間接的にシーケンサ又はコントローラにランダムな数値のセットを送信する機能を有していればよく、CPUに内在するものだけでなく、外部に別途設けられた装置に含まれてもよい。
【0034】
次に図3(B)は、本実施形態にかかるシャッフルシステムにおけるシャッフル工程の一部の概略構成を示す図であり、上記の構成を有するシャッフル装置100Aおよびシャッフル装置100Aの下流に直列に接続されたシャッフル装置100Bを並べたものである。なお、図3(B)においてはシャッフル装置が2台(シャッフル装置100A,シャッフル装置100B)並べられたラインを例示するが、本発明のシャッフルシステム全体におけるシャッフル装置の台数はこれに限定されず、より多くの台数を設けてもよい。また図3(B)において、2台のシャッフル装置は同じ構造となっているが、互いに異なった構造であってもよく、例えばカード1が仕分けされるポケットの個数が異なっていてもよい。さらに図3(B)においてはシャッフル装置100Aでポケット200a~200gのそれぞれに仕分けされたカード1が回収されて1つに積層された状態で取り出された後シャッフル装置100Bに送られて、シャッフル装置100Bで同様にポケット210a~210gに仕分けされる構造となっているが、別の実施例として、例えばシャッフル装置100Aでポケット200a~200gのそれぞれに仕分けされたカード1が1つに回収されることなく、そのまま次のシャッフル装置の複数のポケットに仕分けされるように構成されていてもよい。さらに別の実施例として、シャッフル装置100Aでポケット200a~200gの各々にランダムに仕分けされたカード1が、CPU102bの指令によってランダムジェネレータ103bから出力されるランダムな数値のセット10Bに基づいて、ランダムに1枚ずつ取り出されて積層されるように構成されていてもよい。
【0035】
なお、上述のとおり複数のシーケンサ又はコントローラ(101A~101N)は、複数のCPU(102a~102k)の各々の指令によってランダムジェネレータ(103a~103k)からそれぞれ出力されたランダムな数値のセット(10A~10N)を受け取って、シャッフル装置(100A~100N)を制御するように構成されているが、各CPU(102a~102k)は、さらにランダムジェネレータ(103a~103k)に対して各々ランダムな数値のセットを、1度にまたは僅かな時間の間隔で複数セットずつ出力するように指令し、それによって複数のシーケンサ又はコントローラ(101A~101N)はそれぞれランダムな数値のセットを1度にまたは僅かな時間の間隔で複数セットずつ受け取るように構成される。そして複数のシーケンサ又はコントローラ(101A~101N)は、それぞれ受け取ったランダムな数値のセットの複数セットの中から1セットを選択し、自身が選択したランダムな数値のセットを用いて、それぞれシャッフル装置(100A~100N)を制御するように構成される。例えば図3(C)は、シーケンサ又はコントローラ101AはCPU102aからランダムな数値のセットを複数セット(10A~20A)を受け取り、その中から11Aを選択し、これを用いてシャッフル装置100Aを制御し、シーケンサ又はコントローラ101BはCPU102bからランダムな数値のセットを複数セット(10B~20B)を受け取り、その中から20Bを選択し、これを用いてシャッフル装置100Bを制御する場合を表している。各CPU(102a~102k)はそれぞれ自身の指令によってランダムジェネレータから出力されるランダムな数値のセットの複数セット分の情報を有している。もしもCPU(102a~102k)への不正なアクセス等によって前記ランダムジェネレータ(103a~103k)におけるランダムな数値のセットの複数セットに関する情報がそれぞれ抜き取られた場合においても、シーケンサ又はコントローラ(101A~101N)においてそれらの中でどのセットが選択されて用いられてカードセット1tがシャッフルされたのかを特定することが難しくなることにより、シャッフル後のカードセット1sの並びを把握される恐れが低減され、さらにセキュリティが高まる。なお本実施例の、各CPU(102a~102k)がランダムジェネレータ(103a~103k)に対して各々ランダムな数値のセットを1度にまたは僅かな時間の間隔で複数セットずつ出力するように指令する場合には、そのことによって十分にセキュリティが保たれるため、前記複数のCPU(102a~102k)は必ずしも互いに独立している必要はなく、またCPUはシャッフルシステム全体において1台であってもよい。
【0036】
次に、本発明のシャッフルシステムの実施の形態のシャッフル工程を含めた、製造工程におけるカードの流れについて説明する。カード原紙への表面(スートとランク)および裏面(絵柄)の印刷工程、さらに個別のカードにカッティングする切断工程を経て、所定数のデッキを構成する枚数分集められたカードのセット1tは、シャッフル工程の最初の段階としてシャッフル装置100Aのカードフィーダ201にセットされる。そしてCPU102aの指令によってランダムジェネレータ103aから出力されたランダムな数値のセット10Aを用いて、シーケンサ又はコントローラ101Aによって、カードスタック200のポケット(200a~200g)のいずれかに1枚ずつランダムに送り出される。全てのカードがカードスタック200に送り出されると、カードスタック200において、仕切り板205a~205fが、カードスタック200内部から退行することにより、ポケット200a~200gに仕分けされたカード1が、1つに積層された状態で、シャッフル装置100Aから取り出される。
【0037】
上記の回収手段によってシャッフル装置100Aから取り出された、積層されたカードセットは、自動または手動でシャッフル装置100Bのカードフィーダ211にセットされ、CPU102bの指令によってランダムジェネレータ103bから出力されたランダムな数値のセット10Bを用いて、シーケンサ又はコントローラ101Bによって、カードスタック210のポケット(210a~210g)のいずれかに1枚ずつ仕分けされてシャッフルされる。同様の工程が、直列に接続された所定台数のシャッフル装置のうち最下流に設けられた最後のシャッフル装置(実施例1においては、シャッフル装置100N)に至るまで、繰り返される。なお、このように各シャッフル装置(100A~100N)におけるポケットの個数(例えばシャッフル装置100Aの場合は7個、また100Bの場合は7個)を、カードセット1tをシャッフルする全てのシャッフル装置(100A~100N)にわたって掛け合わせた積が、カードセット1tのカードの総枚数(例えば8デッキの場合は、416枚)以上になることで、最終的に完全にランダムなカードの並びを実現することができる。上記の最後のシャッフル装置の複数のポケットに仕分けされたカードは、同様にカードスタックの仕切り板がカードスタック内部から退行する回収手段により1つに積層された状態で最後のシャッフル装置から自動または手動で取り出される。
【0038】
なお、各シャッフル工程において、カードセットが所定枚数(8デッキであれば416枚)あるかどうかを確認してもよい。シャッフルの過程でカードが紛失していないか、あるいはカードが追加されたり抜き取られたりしていないかを検査することができる。
【0039】
なお、最終シャッフル工程を行う最後のシャッフル装置(実施例1においては、シャッフル装置100N)においてシャッフルが完了すると、最終シャッフル工程を経て完成された1組のシャッフルトランプに付与すべきシャッフルトランプIDが生成される。このシャッフルトランプIDは、シャッフルが完了したトランプカードセット1sのそれぞれに対して固有のIDとして生成される。前記シャッフルトランプIDは、データベース(図示せず)上で、当該データベースに格納されているシャッフルトランプカードの生産関連情報のうち所定の情報に関連付けられる。このような情報の種類や容量は任意であるが、シャッフル工程に関与した製造ラインまたはシャッフル装置を特定する情報は特に重要である。
【0040】
すなわち、本実施形態にかかるシャッフルトランプカードセット1sの製造者は、複数の製造ラインを有する場合、各製造ラインに対して、固有の製造ラインIDをあらかじめ付与しておく。そして、シャッフルトランプIDが生成された際に、生成されたシャッフルトランプIDを、そのシャッフルトランプの製造に関与した製造ラインの製造ラインIDと関連付けて、データベースへ登録される。なお、このように製造ライン単位のIDに限らず、シャッフル装置のそれぞれにあらかじめシャッフル装置IDを付与し、シャッフル工程に関与した全てのシャッフル装置IDに関連付けて、シャッフルトランプIDをデータベースへ登録することとしても良い。なお、データベースは、シャッフルシステム内に設けられていても良いし、シャッフルシステム外に設けられていてもよい。
【0041】
生成されたシャッフルトランプIDは、印刷機により、シール3上にバーコード4として印刷される。そして、シャッフルトランプIDのバーコード4が印刷されたシール3は、紙箱(パッケージ)2の封緘に用いられる。詳細は後述する。
【0042】
なお、IDの活用方法として、例えば、シャッフルトランプカードセット1sを購入した顧客が、購入したカードに何らかの不良があったことに気付いた場合に、当該顧客は、シャッフルトランプカードセット1sの製造者にシャッフルトランプIDを知らせる。このとき、顧客が、シャッフルトランプIDのバーコード4が印刷されたシール3を製造者へ送り、製造者側でバーコードリーダでシャッフルトランプIDを読み取っても良いし、顧客が、シャッフルトランプIDをバーコードリーダ等で読み取り、読み取ったデータを電子メール等の通信手段によって製造者へ送信しても良い。これにより、製造者は、このシャッフルトランプIDに基づいてデータベースを検索することにより、不良が生じた可能性がある製造ラインまたはシャッフル装置を特定することができる。このような場合、製造者は、同じ時期に同じ製造ラインまたはシャッフル装置にて製造されたシャッフルトランプカードセット1sについて顧客に注意を喚起したり、必要な場合には、製品の破棄を依頼したりまたは製品を回収したりするといった対策をとることもできる。また、製造者は、特定された製造ラインまたはシャッフル装置を検査することにより、不良品の再発を防ぐことができる。
【0043】
また、納品対象のシャッフルトランプカードセット1sに関するデータ(シャッフルトランプIDおよびこれに関連付けられた情報)をデータベースから可搬型の記憶媒体へダウンロードし、この記憶媒体を添付して顧客へ納品しても良い。なお、データベースから記憶媒体へのダウンロードデータのデータ構造(フォーマット)は、顧客のコンピュータにおいて参照可能であることを条件として、任意である。この場合、顧客側において、例えばカードの折れ曲がり等の不良を発見した場合に、不良があったシャッフルトランプカードセット1sのシャッフルトランプIDをバーコードリーダ等で読み取り、読み取ったシャッフルトランプIDに基づいて、この記憶媒体上のデータを検索することができる。また、その検索結果に基づいて、同じ製造ラインまたはシャッフル装置が関与しているシャッフルトランプカードセット1sを破棄する等の対策をとることが可能となる。また、顧客への納品物の中に、不正目的のシャッフルトランプカードセットが混入していたとしても、顧客側で、記憶媒体に格納されているシャッフルトランプIDと納品物のシャッフルトランプIDとを照合チェックすることにより、納品時に提供された記憶媒体内に存在しないシャッフルトランプIDを有するシャッフルトランプカードセットがあることが判明すれば、そのシャッフルトランプカードセットが不正目的で混入されたものであると判断できる。これにより、第三者による不正品の混入が防止できる。
【0044】
上述のとおり、最後のシャッフル装置から取り出された積層されたカードのセット1sは図4に示すとおり、自動でパッケージ2の中に収納されて、その蓋がシール3によって封緘される。なお、この例では、紙箱による包装形態を例示しているが、包装の形態はこれに限定されない。例えば、プラスティック箱を用いることも可能である。また、箱に限らず、紙または樹脂フィルム等の包装紙によって包装され、シールで封緘された形態であっても良い。要は、ゲーム開始前に封が開けられて、カードの順番が並べ替えられたり、カードの挿入または抜き出しがなされたり、あるいは、カードに何らかの印が付けられたりといった不正行為が不可能な包装形態であれば良い。
【0045】
なお、本願発明には、複数のシャッフル装置のうち、カードセットのカードを最後にシャッフルする、最後のシャッフル装置は、さらに最後のシャッフル装置によって仕分けされたカードを機械的に回収する、回収手段を備え、仕分けされたカードは回収手段によって1つに集められて積層されて、シャッフルされたカードのセットを自動包装機(図示せず)によりパッケージに包装されシャッフルプレイングカードが完成製造される、シャッフルシステムを含む。
【0046】
なお、本願発明には、個々のシャッフルされたカードのセットに対応する、ユニークなIDが生成されて、シャッフルされたカードのセットに関連付けられるシャッフルシステムを含む。本願発明には、以上に記載のシャッフルシステムを用いて製造されたシャッフルプレイングカードを含む。
【0047】
シール3には、バーコード4および仕様5が印刷されている。バーコード4は上述のとおり、シャッフルされたトランプカードセット1sを個別に特定可能なID(シャッフルトランプID)を表している。仕様5は、必須ではないが、例えば、このトランプカードの製造情報(製造番号、製造年月日、製造工場情報等)、品番、品名、色、顧客情報(カジノ名等)等の任意の情報が記載される。バーコード4に加えて、あるいはバーコード4にかえて、RFIDタグをシール3に添付してもよい。
【0048】
シャッフルされたトランプカードセット1sは、パッケージ2の蓋の開封口がシール3によって封緘されているので、このカードセット1sを使用する際には、シール3を剥がすか破断しなければならない。なお、不正行為を防止するために、シール3は、一旦剥がすと元の状態に接着することができない材料で形成されているか、剥がそうとする外力が加わると少なくともその一部が破断される形態であることが好ましい。自動包装機(図示せず)によりパッケージに包装されたシャッフルプレイングカードは、パッケージ2の蓋の開封口がシール3によって封緘され、更に透明のシュリンク(図示せず)で包装され結果として2重に包装されているシャッフルプレイングカードとして構成される。このように、シャッフル、IDの添付、パッケージの包装が自動で(人が直接触ることなく)行われる。
【0049】
以上のとおり、本実施形態のシャッフルシステムにおいて十分にランダムにシャッフルされたカードセット1sが、シール3によって封緘された個別の包装(パッケージ2)に入れられているので、このシャッフルトランプカードセット1sをゲームに使用する際は、パッケージ2を開けてすぐにカードセット1sをカードシュータ(図示せず)にセットすればよい。したがって、ゲーム主催者がトランプカードをシャッフルする手間を省くことができる。また、シャッフルする際に、トランプカードの抜き差しや差し替え等の不正行為が介在する余地がなくなる。
【0050】
以上、本発明の各種の実施の形態を説明したが、上述の実施の形態は、本発明の範囲内で当業者により変形可能なことはもちろんであり、適用されるゲームでの必要に応じて、本実施の形態の装置が適当に変形されてよい。
【符号の説明】
【0051】
1 プレイングカード
1t シャッフル完了前のプレイングカードのセット
1s シャッフル完了後のプレイングカードのセット
2 パッケージ(紙箱)
3 封緘シール
4 バーコード
5 仕様
10A ランダムな数値のセット(~ 10Nまで、ランダムな数値のセット)
11A ランダムな数値のセット(~ 20Aまで、ランダムな数値のセット)
11B ランダムな数値のセット(~ 20Bまで、ランダムな数値のセット)
100A シャッフル装置(~ 100Nまで、シャッフル装置)
101A シーケンサ又はコントローラ(~ 101Nまで、シーケンサ又はコントローラ)
102a CPU(プロセッサ)(~ 102kまで、CPU)
103a ランダムジェネレータ(~ 103kまで、ランダムジェネレータ)
200 カードスタック
200a ポケット(~200gまで、ポケット)
201 カードフィーダ
202 スライドレール
203 フィーダ移動ローラ
204 カード送り出しローラ
205a 仕切り板(~205fまで、仕切り板)
210 カードスタック
210a ポケット(~210gまで、ポケット)
211 カードフィーダ

図1(A)】
図1(B)】
図2
図3(A)】
図3(B)】
図3(C)】
図4