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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】内燃機関及び関連する運転方法
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/38 20060101AFI20240910BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20240910BHJP
   F01N 3/30 20060101ALI20240910BHJP
   F02D 41/40 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
F01N3/38
F01N3/24 D
F01N3/30 C
F02D41/40
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023039292
(22)【出願日】2023-03-14
(65)【公開番号】P2023154402
(43)【公開日】2023-10-19
【審査請求日】2023-03-14
(31)【優先権主張番号】10 2022 108 338.1
(32)【優先日】2022-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D-70435 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100202647
【弁理士】
【氏名又は名称】寺町 健司
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ローテンベルガー
(72)【発明者】
【氏名】ヨナス ヴィルフォート
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-320880(JP,A)
【文献】特開2000-240432(JP,A)
【文献】特表2001-514719(JP,A)
【文献】特開平6-323152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00
F02D 41/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用の内燃機関(1)であって、
‐複数の燃焼室(4)を備える少なくとも1つのシリンダバンク(3)を有するエンジンブロック(2)と、
‐前記燃焼室(4)から排ガス流(7)を排出するために前記シリンダバンク(3)に接続されている排ガス装置(6)と、
‐そのタービン(9)が前記排ガス装置(6)内に配置されていて、前記排ガス流(7)が貫流可能である排ガスターボチャージャ(8)と、
‐前記排ガス流(7)に関して前記排ガス装置(6)内の前記タービン(9)の下流側に配置されている酸化触媒(11)と、
‐少なくとも1つの流入箇所(15)を経由して前記排ガス流(7)に関して前記酸化触媒(11)の上流側の前記排ガス装置(6)に接続されている、前記排ガス流(7)に二次空気(14)を供給するための二次空気導入装置(13)と、
前記内燃機関(1)を制御するためのエンジン制御装置(17)であって、前記エンジン制御装置(17)が前記内燃機関(1)の冷間始動時に前記内燃機関(1)を、前記酸化触媒(11)を加熱するために、
‐‐‐前記燃焼室(4)内で理論空燃比を下回る混合気が形成されるように、
‐‐‐前記二次空気導入装置(13)によって前記排ガス流(7)に、その中で理論空燃比の又は理論空燃比を上回る混合気が形成されるほど大量の二次空気(14)が供給されるように、
‐‐‐前記排ガス流(7)内の前記混合気に点火されるように、
制御すべく形成及び/又はプログラムされているエンジン制御装置(17)と、を備える内燃機関(1)であり、
‐前記内燃機関(1)が前記排ガス流(7)内の可燃性の混合気に点火するための外部点火装置(16)を有し、その外部点火装置(16)は、前記排ガス流(7)に関して前記排ガス装置(6)の各流入箇所(15)の下流側及びタービンの下流側に(9)に配置されており、
‐前記排ガス装置(6)が、前記タービン(9)と前記酸化触媒(11)との間に、前記流入箇所(15)及び前記点火装置(16)が配置されている混合気形成室(20)を有し、
‐前記混合気形成室(20)は、前記タービン(9)を前記酸化触媒(11)に接続する1つの個別の管部品(21)で形成されていることを特徴とする、内燃機関(1)。
【請求項2】
前記排ガス装置(6)が、前記少なくとも1つのシリンダバンク(3)の複数又は全ての燃焼室(4)用に、前記排ガス流(7)を各燃焼室(4)から、前記排ガス流(7)に関して前記タービン(9)の上流側に配置されている排ガス集合管(19)に案内する、それぞれ1つの個別の排ガス管(18)を有することを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関(1)。
【請求項3】
前記二次空気導入装置(13)が、前記少なくとも1つのシリンダバンク(3)の各燃焼室(4)用に、各前記排ガス管(18)に配置されている、それぞれ1つの個別の流入箇所(15)を有することを特徴とする、請求項2に記載の内燃機関(1)。
【請求項4】
前記二次空気導入装置(13)が、前記排ガス集合管(19)の前記排ガス管(18)の下流側に又は前記排ガス装置(6)の前記排ガス集合管(19)と前記タービン(9)との間に配置されている、前少なくとも1つのシリンダバンク(3)の全ての燃焼室(4)用に共通の流入箇所(15)を有することを特徴とする、請求項2に記載の内燃機関(1)。
【請求項5】
前記二次空気導入装置(13)が、前記各シリンダバンク(3)の全ての燃焼室(4)用に、前記排ガス装置(6)の前記タービン(9)の下流側に配置されている、共通の流入箇所(15)を有することを特徴とする、請求項2に記載の内燃機関(1)。
【請求項6】
前記混合気形成室(20)は、前記二次空気(14)を前記排ガスと混合するための混合機構造(22)を含むことを特徴とする、請求項に記載の内燃機関(1)。
【請求項7】
前記排ガス流(7)に関して、前記酸化触媒(11)の下流側で微粒子フィルタ(12)が前記排ガス装置(6)内に配置されていることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の内燃機関(1)。
【請求項8】
前記内燃機関(1)は、自己点火式の内燃機関(1)として構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の特徴をもつ自動車用の、特に普通自動車用の、内燃機関に関する。本発明は、更に、このような内燃機関の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の内燃機関は、特許文献1(ドイツ特許出願第69722260T2号)により公知であり、少なくとも1つのシリンダバンクを複数の燃焼室と共に備えるエンジンブロックを有する。シリンダバンクには、燃焼室から排ガス流を排出するための排ガス装置が接続されている。更に、内燃機関には、排ガスターボチャージャが装備されており、その排ガスターボチャージャのタービンは、排ガス装置に配置されており、排ガス流が貫流可能である。排ガス装置内のタービンの下流側に酸化触媒が配置されている。更に、内燃機関には、少なくとも1つの流入箇所を経由して排ガス流に関して酸化触媒の上流側で排ガス装置に接続されている、二次空気を排ガス流に供給するための二次空気導入装置が装備されている。適切に構成されたエンジン制御装置を用いて、内燃機関は、冷間始動に際して酸化触媒を加熱するために、燃焼室内で理論空燃比を下回る混合気が燃料及び一次空気から形成されるように運転され得て、この場合、二次空気供給装置は排ガス流に大量の二次空気を供給するので、その中で、理論空燃比の又は理論空燃比を上回る混合気が未燃焼の燃料及び二次空気から形成され、この場合、最終的に混合気は排ガス流内で点火される。公知の内燃機関では、タービン内で加熱された排ガス流のエンタルピを内燃機関の出力増大のために利用できるようにするため、混合気の点火はタービン上流側の排ガス流内で行われる。排ガス流内での混合気の点火は、公知の内燃機関では自己点火によって実現され、このために、内燃機関の理論空燃比を下回る運転は、高い排ガス温度が発生するように実行されなければならない。二次空気導入装置では、次いで、混合気内では自己点火のために十分に高い温度が維持されていることに注意する必要がある。
【0003】
特許文献2によれば、これに対して、例えば触媒を加熱するために、タービンの上流側で点火装置によって可燃性の混合気に点火することが公知である。この場合、排ガスに燃料として、水素含有改質ガスが供給される。
【0004】
触媒が加熱される、更なる内燃機関が、特許文献3、特許文献4、及び特許文献5により公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】DE69722260T2
【文献】欧州特許出願公開第1637706号明細書
【文献】DE69520930T2
【文献】英国特許出願公開第2428465号明細書
【文献】英国特許出願公開第2280128号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一層厳格化する排出ガス関連法に伴い、内燃機関では、排ガス後処理をできる限り早く、そのために必要な運転温度にもたらすことが必要である。これは、特に、内燃機関の主要なコンポーネントが周囲温度の範囲内にある内燃機関の冷間始動に当てはまる。排ガス後処理に関して特に重要であるのは、この場合、未燃焼又は不完全燃焼の炭化水素を変換するための酸化触媒である。この酸化触媒は、正常な運転のために、活性化又は始動温度あるいはライトオフ温度に加熱される必要がある。
【0007】
本発明は、上述のタイプの内燃機関に関して又はそのような内燃機関を運転する方法に関して、特に効率向上によって特徴付けられる、改善された又は少なくとも1つの他の実施形態を示す課題に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、本発明によれば、独立請求項の対象によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項の対象である。
【0009】
本発明による内燃機関は、排ガス流に関して二次空気導入装置の各流入箇所の下流側で排ガス装置に配置されている、排ガス流内の可燃性の混合気に点火するための外部点火装置を有する。その上、以下で点火装置とも称される外部点火装置は、タービンの下流側で排ガス装置に配置されている。更に、点火装置は、酸化触媒の上流側で排ガス装置に配置されている。このような外部点火装置をタービンの下流側で使用することによって、排ガス流内の混合気をタービンと酸化触媒との間で点火することができるので、この場合、放出された熱は触媒を加熱するために広範囲に提供される。タービンの上流側で混合気が点火されるとき、この場合に放出されたエネルギの一部がタービンによって吸収される一方、タービンの下流側で点火されるときは、ほとんど全ての放出されたエネルギが触媒を加熱するために提供される。触媒の加熱を極めて急速に実行することができる限り、これによって加熱効率が向上する。酸化触媒がその運転開始温度に早く到達すればするほど、内燃機関の運転時に周囲に達する有害物質排出を少なくすることができる。更に、外部点火装置を使用することによって、排ガス温度が低減されるように内燃機関を運転することができ、これによって、有害物質排出が削減される。
【0010】
目的どおりに、排ガス装置は、各シリンダバンクの複数又は全ての燃焼室用に、排ガス流を各燃焼室から、排ガス流に関してタービンの上流側に配置されている排ガス集合管に案内する、それぞれ1つの個別の排ガス管を有することができる。このような排ガス集合装置は、往々にして排ガスマニホールドとも称される。通常、各シリンダバンクの全ての燃焼室は、1つの共通の排ガスマニホールドに繋がっている。しかし、燃焼室の一方の半分が第1の排ガスマニホールドに繋がる一方、他方の半分は第2の排ガスマニホールドに繋がる分割型の実施形態も公知である。
【0011】
目的どおりに、一発展形態によれば、二次空気導入装置は、各シリンダバンクの各燃焼室用に、前記排ガス管に配置されている、それぞれ1つの個別の流入箇所が設けられていることができる。これにより、二次空気の排ガスとのできる限り早い、ひいては集中的な循環混合がもたらされる。
【0012】
この代わりに、二次空気導入装置は、排ガス管の下流側で排ガス集合管に又は排ガス集合管とタービンとの間に配置されている、各シリンダバンクの全ての燃焼室に関して共通の流入箇所を有することができる。これらの措置によって、二次空気導入装置の構造は簡略化される。
【0013】
特に有利であるのは、二次空気導入装置が、各シリンダバンクの全ての燃焼室用に、排ガス装置のタービンの下流側に配置されている、共通の流入箇所を有する一実施形態である。この措置によって、二次空気導入のタービンへの不利な相互作用を回避することができる。特に、二次空気導入は、それがタービンの上流側で行われる場合、排ガス流の速度及び/又は温度、ひいては、そのエンタルピを低減することができ、これにより、タービンの出力が適切に低減される。
【0014】
特に有利であるのは、排ガス装置が、タービンと酸化触媒との間に、流入箇所及び点火装置に配置されている混合気形成室を有する一実施形態である。したがって、排ガス装置内で二次空気の排ガスとの混合のためのスペースが十分に提供される。混合気形成室は、この場合、タービンの流出領域及び/又は酸化触媒の流入領域内に形成されていることがある。同様に、混合気形成室を、タービンと酸化触媒との間に配置されている個別の管部分に形成することが考えられる。別の有利な一実施形態によれば、混合気形成室内に、二次空気の排ガスとの混合をもたらす混合機構造が配置されている。このような混合機構造は、例えば、気流誘導要素等によって形成されていることがある。
【0015】
別の有利な一実施形態では、微粒子フィルタは、排ガス装置内で、排ガス流に関して酸化触媒の下流に配置されていることがある。これにより、特に、酸化反応時に触媒内で発生することがある煤微粒子を排ガス流から濾過することができる。
【0016】
別の一実施形態では、内燃機関は、自己点火式内燃機関として構成されていることがある。燃料として、次いで、好ましくはディーゼル燃料が使用される。ディーゼルエンジンにおいて、効率的な最新式のディーゼルエンジンは放熱がほとんどないため、酸化触媒の急速加熱は、特に大きな意味を生じるので、酸化触媒は、その活性化温度に到達するのに、追加措置がなかったならば、多くの時間を必要とするかもしれない。
【0017】
過給式の内燃機関を排ガス装置内の酸化触媒で運転するための本発明による方法は、内燃機関の冷間始動中、酸化触媒を加熱するために内燃機関が理論空燃比を下回る混合気で運転されることを前提とする。更に、理論空燃比を下回る運転時に生成される内燃機関の排ガス流には、二次空気が、排ガス流内で理論空燃比の又は理論空燃比を上回る混合気が形成されるように供給される。更に、排ガス流内のこの理論空燃比の又は理論空燃比を上回る混合気は、排ガスターボチャージャのタービンの下流側及び酸化触媒の上流側で外部点火される。この措置によって、可燃性の混合気の発熱変換時に生成されるほぼ全ての熱が、酸化触媒を加熱するするために使用されるので、この加熱プロセスは特に急速に実行され得る。
【0018】
二次空気導入は、この場合、タービンの上流側で行われ得る。二次空気導入は、この場合、シリンダ選択的に又は全シリンダに対して集合的に実現され得る。更に、二次空気導入は、タービンの下流側でも実現され得る。
【0019】
内燃機関は、通常、ピストンエンジンとして形成されているので、燃焼室は、ピストンがストローク調整可能に配置されているシリンダ内に形成されている。理論空燃比を下回る混合気の場合、燃料の余剰が優勢で、該当するラムダ値は1未満であり、例えば、0.6~0.9の範囲内にある。理論空燃比を下回る運転は、リッチ運転又はリッチな燃焼とも称される。理論空燃比の混合気の場合、燃料と空気又は空気中の酸素は、正に全燃料を変換するのに十分な割合にあり、この場合、全酸素が消費される。関連するラムダ値は、このとき、1に等しい。理論空燃比を上回る混合気の場合、余剰な空気又は酸素が存在する。理論空燃比を上回る運転の場合、全燃料が変換され、この場合、余剰な空気又は空気中の酸素は残存する。関連するラムダ値は、このとき、1より大きく、例えば、1.1~1.5の範囲内にあることがある。
【0020】
直列型エンジンとしての内燃機関の一実施形態では、エンジンブロックは、エンジンブロックの全ての燃焼室が配置されているただ1つの単一シリンダバンクを有する。V型エンジンとしての内燃機関の一実施形態では、エンジンブロックは、それぞれ燃焼室の半分が配置されている2つのシリンダバンクを有する。2つのシリンダバンクの場合、基本的に、2つの個別の排ガスターボチャージャを備えた2つの個別の排ガスマニホールドも設けられている。目的どおりに、排ガスマニホールドは、共通のターボチャージャの上流側でも一つにまとめられていることがある。本発明は、このような実施形態でも適切に実現可能であることは明らかである。
【0021】
本発明の更なる重要な特徴及び利点は、従属請求項、図面、及び図面に基づく図面の説明から明らかになる。
【0022】
当然のことながら、上述した特徴及び以下でこれから論じる特徴は、本発明の範囲を離れることなく、それぞれ指定された組み合わせだけでなく、他の組み合わせでも、又はそれ自体でも使用できる。上位の単位、例えば、個別に表示されている設備、装置、又は配置等の上述した構成要素及び以下でこれから論じる構成要素は、このような単位の個別の構成部品又はコンポーネントを形成するか、あるいはこれが図面で別に示されていても、このような単位の一体化された領域又は部分であることがある。
【0023】
本発明の好ましい実施例は、図面に示されており、以下の説明で詳述され、この場合、同一の参照符号は、同一又は類似の、あるいは機能的に同一のコンポーネントを表す。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】様々な実施形態の内燃機関のそれぞれ相当に簡略化された説明図である。
図2】様々な実施形態の内燃機関のそれぞれ相当に簡略化された説明図である。
図3】様々な実施形態の内燃機関のそれぞれ相当に簡略化された説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1~3に対応して、自動車での、好ましくは乗用自動車での、使用に適している内燃機関1は、少なくとも1つのシリンダバンク3を有するエンジンブロック2を有し、複数の燃焼室4を備える。通常、燃焼室4は、この場合、ここでは図示されていないピストンがストローク調整可能に配置されているシリンダ5内に形成されている。内燃機関1には、更に、シリンダバンク3に接続されており、かつ排ガス又は排ガス流7を燃焼室4から排出する排ガス装置6が装備されている。排ガス流7は、この場合、矢印によって示されている。内燃機関1は、過給されており、このために、排ガスターボチャージャ8を有し、そのタービン9は、排ガス装置6内に配置されており、その圧縮機10は、ここでは図示されていない新気装置内に配置されている。タービン9は、この場合、通常、その中を排ガス流7が貫流可能であり、それにより、圧縮機10を駆動する。
【0026】
排ガス装置6内には、酸化触媒11が配置されており、しかも、その酸化触媒11が排ガス流7に関してタービン9の下流側にあるように配置されている。任意で、排ガス装置6には、更に、排ガス流7に関して酸化触媒11の下流側に配置されている微粒子フィルタ12が装備されていることがある。
【0027】
更に、内燃機関1には、ここでは専ら、二次空気14の排ガス流7への供給を表すシンボルで表示されている二次空気導入装置13が装備されている。二次空気導入装置13が二次空気14を押し流すための適切な搬送装置、例えばポンプやブロワ等を有することは明らかである。二次空気14の排ガス流7への供給は、この場合、少なくとも1つの流入箇所15を経由して行われ、その流入箇所15を経由して、二次空気導入装置13が酸化触媒11の上流側で排ガス装置6に接続されている。「上流側」及び「下流側」という相対的な位置表示は、本発明に関連して、常に排ガス流に、したがって、排ガス装置6内の排ガスの流れの方向に、関係している。
【0028】
内燃機関1には、ここで更に、図1~3内でそれぞれ稲妻マークで表されている外部点火装置16又は点火装置16が装備されている。点火装置16は、この場合、その点火装置16が排ガス流7内で可燃性の混合気に点火することができるように、タービン9の下流側及び酸化触媒11の上流側で排ガス装置6に配置されていることが理解され得る。点火装置16は、点火プラグやグロープラグ等であり得る。
【0029】
内燃機関1は、更に、内燃機関1を制御するために使用され、かつこのために、ここでは図示されていない制御管を経由して内燃機関1の制御可能なコンポーネントに接続されているエンジン制御装置17が装備されている。特に、エンジン制御装置17は、二次空気導入装置13及び点火装置16に接続されている。二次空気導入装置13には、この場合、二次空気14を押し流すために、通常は、ここでは図示されていない搬送装置、例えばポンプやブロワが装備されていることがある。
【0030】
エンジン制御装置17は、ここで、そのエンジン制御装置17が内燃機関1の冷間始動時に酸化触媒11を加熱するために内燃機関1を運転するように構成されている。このために、エンジン制御装置17は、内燃機関1又はそのコンポーネントを、燃焼室4内で理論空燃比を下回る混合気が燃料及び一次空気から形成及び変換されるように制御する。一次空気は、この場合、燃焼室に更に上で述べられた新気装置によって供給される空気である。理論空燃比を下回る混合気の場合、この変換又は燃焼は、燃焼室4内で不完全に行われるので、排ガスには未燃焼の燃料が含まれる。二次空気導入装置13を用いて、排ガス流7には、大量の二次空気14が供給されるので、排ガス流7内で理論空燃比の混合気又はむしろ理論空燃比を上回る混合気が形成される。この混合気は、したがって、点火可能又は燃焼可能である。二次空気14は、特に、更に上で述べられた新気装置に適切な箇所で、好ましくは、空気フィルタの後で、分岐され得る。
【0031】
点火装置16によって、排ガス流7内の点火可能な混合気が、タービン9の下流側及び酸化触媒11の上流側で点火される。それにより、直接、酸化触媒11の流入部で大量の熱が発生し、これにより、酸化触媒11は、その活性化温度に急速に到達し、その触媒による排ガス浄化機能を実現することができる。
【0032】
ここで示された全ての実施形態で、排ガス装置6は、シリンダバンク3の燃焼室4毎に1つの個別の排ガス管18及び1つの排ガス集合管19を有する。排ガス管18は、排ガス流7を各燃焼室4から排ガス集合管9に導き、その排ガス集合管9は、次いで、排ガス流7をタービン9に導く。排ガス管18に接続されている排ガス集合管19の領域は、通常、排ガスマニホールドとも称される。
【0033】
図1で示された実施形態では、二次空気導入装置13は、シリンダバンク3の燃焼室4毎に1つの個別の流入箇所15を有する。流入箇所15は、この場合、それぞれ、排ガス管18の1つの、目的どおりに排ガス集合管19から離れた1つの端部に配置されている。
【0034】
図2で示された実施形態では、二次空気導入装置13は、シリンダバンク3の全ての燃焼室4に対して1つの共通の流入箇所15を有する。この流入箇所15は、このとき、排ガス集合管19の排ガス管18の下流側に配置されている。タービン9が排ガス集合管19の流出端部に配置されていない場合、流入箇所15は、排ガス集合管19の流出端部又は排ガス集合管19とタービン9との間にある。共通の流入箇所15からタービン9につながる排ガス装置6の部分は、この場合、排ガスの二次空気14との混合のための混合区間として使用される。
【0035】
図3で示された実施形態では、二次空気導入装置13は、図2と同様、全ての燃焼室4に対して1つの共通の流入箇所15を有するが、図2とは異なり、タービン9の下流側で排ガス装置6に配置されている。
【0036】
排ガス装置6は、タービン9と酸化触媒11との間に、二次空気14の供給が行われ、点火装置16内に配置されている混合気形成室20を有することがある。混合気形成室20は、タービン9を酸化触媒11に接続する個別の管部品21を用いて形成されていることがある。この代わりに、混合気形成室20は、タービン9の流出部及び/又は酸化触媒11の流入部内に配置されていることがある。
【0037】
酸化触媒11は、この場合、貫流可能な触媒活性型触媒本体内に配置されている、ここでは詳細に示されていない環状のハウジングを有する。微粒子フィルタ12は、この場合、貫流可能な微粒子保持型微粒子フィルタ本体内に配置されている、詳細に示されていない環状のハウジングを有する。
【0038】
混合気形成室20内には、二次空気14の排ガス流7との混合を支援する混合機構造22が配置されていることがある。混合機構造22は、少なくとも1つの気流誘導要素を有し得る。
【0039】
全ての実施形態で、内燃機関1は、外部点火式の内燃機関1として、すなわちガソリンエンジンとして、あるいは自己点火式の内燃機関1として、すなわちディーゼルエンジンが構成されていることもある。
【0040】
内燃機関1の正常運転中、これは通常、リーンに又は少なくとも理論空燃比で運転されるので、燃焼室4に供給される燃料は、広範にわたって変換される。残存する未変換の燃料残余は、酸化触媒11内で変換される。
【0041】
内燃機関1の冷間始動中、内燃機関1は、酸化触媒11を加熱するために、理論空燃比を下回る混合気で運転される。この場合、発生する理論空燃比を下回る排ガスは、次いで、排ガス流7内で理論空燃比の又はむしろ理論空燃比を上回る混合気が発生するように、二次空気14とリッチ化される。排ガス流7内の理論空燃比の又は理論空燃比を上回るこの混合気は、点火装置16によって、タービン9の下流側及び酸化触媒11の上流側で点火される。
図1
図2
図3