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特許7553632単回使用のアクティブ化カウンタを備えた電気手術用ジェネレータ、電気手術用ジェネレータシステムおよび電気手術用ジェネレータの動作のための方法
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  • 特許-単回使用のアクティブ化カウンタを備えた電気手術用ジェネレータ、電気手術用ジェネレータシステムおよび電気手術用ジェネレータの動作のための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】単回使用のアクティブ化カウンタを備えた電気手術用ジェネレータ、電気手術用ジェネレータシステムおよび電気手術用ジェネレータの動作のための方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
A61B18/12
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023050560
(22)【出願日】2023-03-27
(65)【公開番号】P2023145406
(43)【公開日】2023-10-11
【審査請求日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/324,344
(32)【優先日】2022-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510320416
【氏名又は名称】オリンパス・ウィンター・アンド・イベ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン ヤーニヒ
(72)【発明者】
【氏名】アンネ クウィク
(72)【発明者】
【氏名】イェンス クリューガー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ホルン
【審査官】佐々木 訓
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06165173(US,A)
【文献】特開2013-085640(JP,A)
【文献】米国特許第06237604(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気手術用器具(200)の動作のための電気手術用ジェネレータ(100)であって、
前記電気手術用ジェネレータ(100)は、
・前記電気手術用器具(200)の接続および電気的な供給のための器具端子(110)と、
・前記電気手術用ジェネレータの動作中に前記器具端子(110)に接続されている電気手術用器具(200)を検出するための器具検出装置(120)と、
・シグナリング装置(140)および非アクティブ化装置(150)をコントロールするためのコントロール装置(130)とを備えており、前記シグナリング装置(140)は、警告表示を生成するように構成されており、前記非アクティブ化装置(150)は、前記器具端子(110)に接続されている電気手術用器具を動作しないようにするように構成されており、または前記電気手術用器具を動作しない状態に保つように構成されている、電気手術用ジェネレータ(100)において、
前記電気手術用ジェネレータ(100)は、さらに、
・警告時間(twarn)およびスイッチオフ時間(toff)を格納するための、前記コントロール装置(130)に結合されているデータ記憶装置(160)を備えており、前記警告時間および前記スイッチオフ時間はそれぞれ、器具固有の警告時間およびスイッチオフ時間を各検出された器具に割り当てるために、検出された器具にそれぞれ割り当てられ、
・器具固有のアクティブ化期間(t)を決定するための時間追跡装置(170)を備えており、前記アクティブ化期間(t)は、前記器具端子(110)に接続されている電気手術用器具(200)の最初の接続(t)または最初のアクティブ化(t)から実際の時間値(tist)までの検出された持続時間であり、各検出された器具に対してアクティブ化期間(t)が検出され、
・前記アクティブ化期間(t)は、継続的に、前記電気手術用器具(200)の動作状態から独立して記録され、
・前記コントロール装置(130)は、決定された前記アクティブ化期間(t)が、接続されている前記器具の前記器具固有の警告時間を超えた場合(t>twarn)に、前記シグナリング装置(140)をトリガすることによって前記警告表示をトリガし、かつ/または
・前記コントロール装置(130)は、前記決定されたアクティブ化期間が、前記器具固有のスイッチオフ時間を超えた場合(t>toff)に、前記非アクティブ化装置(150)をコントロールすることによって、前記接続されている器具を動作しないようにすることまたは前記接続されている器具を動作しない状態に保つことをトリガし、
前記電気手術用ジェネレータ(100)は、現在時間を検出するかつ/または表示するために時刻装置をさらに備えており、
前記器具固有のアクティブ化期間(t )を決定するための前記時間追跡装置(170)は、前記時刻装置から独立して前記時間追跡装置(170)を動作させるために、前記時刻装置から独立している時間基準を備えている
ことを特徴とする、電気手術用ジェネレータ(100)。
【請求項2】
・前記シグナリング装置(140)は、警告表示として音響信号を出力する音響シグナリング装置(142)を含んでおり、かつ/または
・前記シグナリング装置(140)は、警告表示として光学信号または光学メッセージを出力する光学シグナリング装置(144)を備えている、請求項1記載の電気手術用ジェネレータ(100)。
【請求項3】
前記データ記憶装置(160)は、前記器具端子(110)に接続されている前記電気手術用器具に対する器具固有の情報が取り出し可能に格納されている器具リストを格納するように構成されている、請求項1または2記載の電気手術用ジェネレータ(100)。
【請求項4】
前記器具検出装置(120)は、器具リストを生成するために、前記接続されている器具(110)の固有の器具識別子(IID)を前記データ記憶装置(160)に伝送するように適合されている、請求項1または2記載の電気手術用ジェネレータ(100)。
【請求項5】
前記アクティブ化期間(t)は、前記接続されている器具の使用期間またはアクティブ動作期間から独立している、経過した実際の持続時間であり、
前記使用期間またはアクティブ動作期間は、器具がアクティブに使用された、またはアクティブに操作された時間の長さを示す持続時間を表している、請求項1または2記載の電気手術用ジェネレータ(100)。
【請求項6】
前記時間追跡装置(170)は、前記電気手術用ジェネレータの前記現在時間が手動で調整される場合に、時間オフセットを決定するように構成されており、
前記時間追跡装置(170)は、決定された前記時間オフセットを、前記器具固有のアクティブ化期間(t)を決定するために使用するように構成されている、請求項1または2記載の電気手術用ジェネレータ(100)。
【請求項7】
前記器具端子(110)に接続されている前記電気手術用器具(200)の前記最初のアクティブ化(t)は、前記電気手術用ジェネレータ(100)に結合されているアクティブ化装置(175)によって実行可能であ、請求項1または2記載の電気手術用ジェネレータ(100)。
【請求項8】
・前記コントロール装置(130)は、前記決定されたアクティブ化期間(t)が、前記接続されている器具の前記器具固有の警告時間を超え(t>twarn)、かつ前記器具の接続および/または前記器具のアクティブ化が検出された場合に、前記シグナリング装置(140)をトリガすることによって前記警告表示をトリガし、かつ/または
・前記コントロール装置(130)は、前記決定されたアクティブ化期間が、前記器具固有のスイッチオフ時間を超え(t>toff)、かつ前記器具の接続および/または前記器具のアクティブ化が検出された場合に、前記非アクティブ化装置(150)をコントロールすることによって、前記接続されている器具を動作しないようにすることまたは前記接続されている器具を動作しない状態に保つことをトリガする、請求項1または2記載の電気手術用ジェネレータ(100)。
【請求項9】
電気手術用ジェネレータシステム(10)であって、
前記電気手術用ジェネレータシステム(10)は、電気手術用ジェネレータ(100)と、前記電気手術用ジェネレータ(100)に接続されている電気手術用器具(200)とを備えており、
前記電気手術用ジェネレータ(100)は、請求項1または2にしたがって具現化される、
電気手術用ジェネレータシステム(10)。
【請求項10】
電気手術用器具(200)の動作のための電気手術用ジェネレータ(100)の動作のための方法であって、
前記電気手術用ジェネレータ(100)は、
・前記電気手術用器具(200)の接続および電気的な供給のための器具端子(110)と、
・前記電気手術用ジェネレータの動作中に前記器具端子(110)に接続されている電気手術用器具(200)を検出するための器具検出装置(120)と、
・シグナリング装置(140)および非アクティブ化装置(150)をコントロールするためのコントロール装置(130)と、
・警告時間(twarn)およびスイッチオフ時間(toff)を格納するための、前記コントロール装置(130)に結合されているデータ記憶装置(160)とを備えており、
前記シグナリング装置(140)は、警告表示を生成するように構成されており、前記非アクティブ化装置(150)は、前記器具端子(110)に接続されている電気手術用器具を動作しないようにするように構成されており、または前記電気手術用器具を動作しない状態に保つように構成されており、
前記警告時間および前記スイッチオフ時間はそれぞれ、器具固有の警告時間およびスイッチオフ時間を各検出された器具に割り当てるために、検出された器具にそれぞれ割り当てられ、
前記方法は、次のステップ、すなわち
・時間追跡装置(170)を用いて器具固有のアクティブ化期間(t)を決定するステップ(S1)であって、前記アクティブ化期間(t)は、前記器具端子(110)に接続されている電気手術用器具(200)の最初の接続(t)または最初のアクティブ化(t)から実際の時間値(tist)までの検出された持続時間であり、各検出された器具に対してアクティブ化期間(t)を検出し、前記アクティブ化期間(t)を、継続的に、前記電気手術用器具(200)の動作状態から独立して記録するステップ、
・決定された前記アクティブ化期間(t)が、接続されている前記器具の前記器具固有の警告時間を超えた場合(t>twarn)に、前記コントロール装置(130)によって前記シグナリング装置(140)をコントロールすることによって前記警告表示をトリガするステップ(S2)および/または
・前記決定されたアクティブ化期間が前記器具固有のスイッチオフ時間を超えた場合(t>toff)に、前記コントロール装置(130)によって前記非アクティブ化装置(150)をコントロールすることによって、前記接続されている器具を動作しないようにすることまたは前記接続されている器具を動作しない状態に保つことをトリガするステップ(S3)を備え、
前記電気手術用ジェネレータ(100)は、現在時間を検出するかつ/または表示するために時刻装置をさらに備えており、
前記器具固有のアクティブ化期間(t )を決定するための前記時間追跡装置(170)は、前記時刻装置から独立して前記時間追跡装置(170)を動作させるために、前記時刻装置から独立している時間基準を備えている、電気手術用器具(200)の動作のための電気手術用ジェネレータ(100)の動作のための方法。
【請求項11】
前記電気手術用ジェネレータ(100)は、請求項1または2にしたがって具現化され、かつ/または前記電気手術用ジェネレータ(100)は、請求項記載の電気手術用ジェネレータシステム(10)の一部である、請求項10記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気手術用器具の動作のための電気手術用ジェネレータに関する。本発明はまた、電気手術用ジェネレータシステム、および電気手術用器具の動作のための電気手術用ジェネレータの動作のための方法に関する。
【0002】
電気手術用器具の動作のための電気手術用ジェネレータは一般に知られている。このようなジェネレータは、ジェネレータに接続されている電気手術用器具のための電源として使用される。このようなジェネレータは、接続されている電気手術用器具の正しい動作を監視するためにも使用される。
【0003】
電気手術用ジェネレータによって電力供給される電気手術用器具を使用する場合、器具が滅菌されていることが保証されなければならない。このため、アクティブな使用時間またはアクティブ化回数の限度を超えた場合に、電気手術用器具を無効化する解決策が知られている。
【0004】
このような解決策は、米国特許第6237604号明細書から公知である。米国特許第6237604号明細書には電気手術用ジェネレータが記載されており、この電気手術用ジェネレータは、電気手術用ジェネレータのデータストレージ内に、使用される器具の器具リスト(器具カタログ)を格納しており、ここでは、ジェネレータに接続されている各器具に対するアクティブな使用時間と使用回数とが経時的に記録されている。電気手術用器具を電気手術用ジェネレータに接続し、この器具をアクティブ化した後、この器具が以前にこのジェネレータに接続されたことがない場合には、ジェネレータの器具リストが更新されるまたは器具リストに新たなエントリが生成される。したがって、使用データは器具には格納されず、これによって器具の構造が簡素化される。また、米国特許第6237604号明細書から、器具の許容されるアクティブな使用時間または許容されるアクティブ化回数の限度を超えると、電気手術用器具が無効化されることも知られている。
【0005】
手持ち式電気手術用器具は滅菌されているため、開放後または完全に滅菌されていない環境に器具を配置した後、安全上の理由のため、器具は、たとえば1日といった短い時間の間だけ使用されるべきである。しかし、使用時間およびアクティブ化回数を追跡することの欠点は、器具が最初に使用されたときからの時間が、器具のアクティブな使用時間に必ずしも一致していないということである。したがって、実際の経過時間が過度に長くなり得るため、器具の汚染のリスクが存在する。
【0006】
既知の解決策、特に米国特許第6237604号明細書の解決策の第2の欠点は、アクティブな使用時間または使用回数の限度に達した場合に、器具を無効化するための装置が器具を無効化することである。したがって、器具が使用されているそのときに、アクティブな使用時間の限度に達する場合があり、操作者が停止に驚かされることがある。
【0007】
したがって、本発明の課題は、ジェネレータに接続されている器具を使用する際の安全性を高める解決策を提供することである。特に、本発明の課題は、電気手術用ジェネレータに接続されている電気手術用器具の汚染のリスクを減らすかつ/または電気手術用ジェネレータに接続されている電気手術用器具の有用性を改善する解決策を提供することである。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、請求項1記載の電気手術用器具の動作のための電気手術用ジェネレータが提供される。
【0009】
第1の態様によれば、電気手術用器具の動作のための電気手術用ジェネレータが提供される。したがって、電気手術用ジェネレータは、電気手術用器具の駆動のために使用される。電気手術用ジェネレータは、たとえば電力供給網からまたはバッテリ等の蓄電装置から器具に電力を供給する。
【0010】
好ましくは、ジェネレータは、接続されている器具に高周波電流および/または高周波電圧を供給するために、器具端子において高周波供給電流を発生させる高周波ジェネレータである。
【0011】
電気手術用ジェネレータは、電気手術用器具の接続および電気的な供給のための器具端子を備えている。器具端末は、コネクタまたはポートまたは接続ソケットとしても理解され得る。動作中、器具は、器具とジェネレータとの間の電気接続を提供するために端子に接続されている。ジェネレータは、電流または電圧を器具に電気的に供給するように構成されている。ジェネレータは、この目的のために、たとえば、電力供給網と接続されており、器具の電力供給のための電力コンバータを含んでいる。電力コンバータは、スイッチング装置とも称され得る。電力コンバータは一般に知られている。交流電流を直流電流に変換する電力コンバータは整流器として知られている。直流電流を交流電流に変換する電力コンバータは反転整流器またはインバータとして知られている。ある交流電流を別の交流電流に変換する電力コンバータは周波数コンバータとして知られている。ある直流電流を別の直流電流に変換する電力コンバータはDC-DCコンバータとして知られている。生成される交流電流または生成される直流電流を、コンバータの設計または電気負荷、このケースでは電気手術用器具の要求それぞれに応じて、より高くすること、より低くすることまたは反転させることができる。
【0012】
電気手術用ジェネレータは、電気手術用ジェネレータの動作中に、器具端子に接続されている電気手術用器具を検出するための器具検出装置をさらに備えている。器具検出装置は、器具端子においてどの個々の器具が接続されているかを決定するように適合された装置である。器具検出装置は、好ましくは、電気手術用器具に配置されている固有の識別子、たとえばバーコード等を識別するように適合された装置である。この目的のために、ジェネレータが、スキャナ、読み出し装置等の識別装置を含んでいることが理解される。器具検出装置は、好ましくは、電気手術用器具からのデータ伝送によって固有の識別子を受け取るように適合された装置であってもよい。この目的のために、ジェネレータが、データインタフェース等のデータ通信装置またはデータ交換装置を含んでおり、器具が、ジェネレータとのデータ交換のためのデータ転送線路を含んでいることも理解される。データ転送線路は、有線の線路であってよい。データ転送線路は、RFID、NFCまたはBluetooth(登録商標)技術等に基づく無線の転送線路であってもよい。
【0013】
電気手術用ジェネレータは、シグナリング装置および非アクティブ化装置をコントロールするためのコントロール装置をさらに備えており、シグナリング装置は、警告表示を生成するように構成されている。
【0014】
コントロール装置は、コントローラまたはコントロールユニットとも称され得る。コントロール装置は、たとえば、CPU、マイクロコントローラ等の、電気手術用ジェネレータのプロセッサである。コントロール装置は、シグナリング装置および非アクティブ化装置に信号接続されており、これは、前述のこれらの装置が、データ線路または信号線路を介したデータ転送または信号転送のために接続されていることを意味している。コントロール装置は、アクチュエータとして理解され得る、シグナリング装置および非アクティブ化装置をコントロールするコントローラとして理解され得る。コントロール装置は、シグナリング装置および/または非アクティブ化装置をコントロールするためのコントロール信号を生成するように適合されている。
【0015】
シグナリング装置は、たとえば光学的または音響的な警告表示等の警告表示を生成するように適合された装置である。警告表示は、ジェネレータにおいて示されてよい。光学的な警告表示の例は、ジェネレータのディスプレイ上に示される警告メッセージであり、音響的な警告表示の例は、スピーカ等の音響ジェネレータによって生成される音響信号である。
【0016】
非アクティブ化装置は、器具端子に接続されている電気手術用器具を動作しないようにするように構成されている、または電気手術用器具を動作しない状態に保つように構成されている装置である。非アクティブ化装置は、たとえば、器具の電力供給を無効化するコントロール可能なスイッチングユニットである。非アクティブ化装置は、第2の例では、電気手術用器具の受信機に遮断信号または無効化信号を伝送するコントロールユニットである。両方の信号は、さらなる使用に対して電気手術用器具を無効化し得る。器具端子に接続されている電気手術用器具を動作しない状態に保つことは、器具が既に遮断されている場合には、器具が今後、アクティブ化可能でないことを意味している。器具端子に接続されている電気手術用器具を動作しないようにすることは、アクティブに使用されている器具が非アクティブ化装置によって自動的に遮断されることを意味している。
【0017】
電気手術用ジェネレータは、警告時間およびスイッチオフ時間を格納するための、コントロール装置に結合されているデータ記憶装置をさらに備えており、警告時間およびスイッチオフ時間は、各検出された器具に器具固有の警告時間およびスイッチオフ時間を割り当てるために、検出された器具にそれぞれ割り当てられる。したがって電気手術用ジェネレータは、警告時間およびスイッチオフ時間を格納するデータストアを備えている。データ記憶装置は、たとえば不揮発性のデータストレージである。警告時間は、シグナリング装置によって警告表示が生成されるべき時間または持続時間を表す。したがって、警告時間は、第1の時間閾値または第1の時間スパンとして理解され得る。警告時間は、たとえば10時間の持続時間である。スイッチオフ時間は、非アクティブ化装置によって器具が非アクティブ化されるべき時間または持続時間を表す。したがって、スイッチオフ時間は、第2の時間閾値または第2の時間スパンとして理解され得る。遮断時間はたとえば12時間の持続時間である。動作時に、スイッチオフ時間、たとえば12時間が、警告時間、たとえば10時間よりも長いことが理解される。警告時間および遮断時間は、以降で説明する時間追跡装置によって決定されるアクティブ化期間と比較するための基準値として、データ記憶装置に実装される。さらに、ジェネレータに接続されている、接続されている各器具に対して、器具固有の警告時間および遮断時間が割り当てられることが提案される。これによって、種々異なる警告時間および種々異なる遮断時間を種々異なる器具に割り当てることが可能になる。しかし、警告時間および遮断時間に対する同じ値も、各個々の器具に対して実装され得ることが理解される。具体的な実装例では、器具リストまたはカタログがデータ記憶装置に格納されていてよく、これは、各個々の器具に対するエントリとして、警告時間および遮断時間を含んでいる。警告時間および/または遮断時間を格納するためのデータストレージは、器具リストを格納するために使用されるデータストアスと同じデータストアであってよい、またはこれは、器具リストのストレージとは異なるデータストレージである。
【0018】
電気手術用ジェネレータは、器具固有のアクティブ化期間を決定するための時間追跡装置も備えており、アクティブ化期間は、器具端子に接続されている電気手術用器具の最初の接続または最初のアクティブ化から実際の時間値までの検出された持続時間である。実際の時間値は、電気手術用ジェネレータの動作時間における現在時間または目下の時間としても理解され得る。時間追跡装置は、ジェネレータに接続されている器具の最初のアクティブ化または最初の接続から開始して経過した時間を記録するタイマーまたはカウンタとしても理解され得る。したがって、アクティブ化期間は、器具の最初のアクティブ化または最初の接続から開始して実際の時間までの、継続的に決定された持続時間として理解され得る。たとえば、器具が、2時間前に初めてアクティブ化された場合またはジェネレータに接続された場合、アクティブ化期間は、電気手術用器具がこの時間内に使用されたか、またはジェネレータから切断されたかにかかわらず、2時間である。したがって、アクティブ化期間は、電気手術用器具の前述の最初の接続または前述の最初のアクティブ化から前述の実際の時間値までの測定された実際の経過時間値を表す。
【0019】
各検出された器具に対してアクティブ化期間が検出される。したがって、各器具に対して、前述の最初のアクティブ化または最初の接続からの経過時間を追跡または記録することが提案される。したがって、異なる器具が異なる時間にアクティブ化されるまたはジェネレータに接続される場合、前述の器具のアクティブ化期間は異なるものになる。
【0020】
アクティブ化期間は、継続的に、電気手術用器具の動作状態から独立して記録される。したがって、器具のアクティブな使用時間を決定しないことが提案される。対照的に、器具の最初のアクティブ化またはジェネレータとの最初の接続からの経過時間を記録することが提案される。アクティブ化期間の追跡または記録は、たとえば、ジェネレータに接続されている器具が切断されるときに中断されない。したがって、アクティブ化期間は、接続されている器具の状態から独立して追跡または記録されるノンストップの時間測定である。器具がジェネレータから切断されている場合または器具が使用されていない場合でも、アクティブ化期間は、時間追跡装置によって記録または追跡され続ける。
【0021】
好ましくは、時間追跡装置によるアクティブ化期間の追跡の開始は、器具検出装置によってトリガされる。したがって、器具検出装置が、各接続されている器具のアクティブ化期間の開始点を決定するまたはトリガすることが提案される。
【0022】
電気手術用ジェネレータのコントロール装置は、決定されたアクティブ化期間が、接続されている器具の器具固有の警告時間を超えた場合に、シグナリング装置をトリガすることによって警告表示をトリガする。したがって、器具固有の警告時間に達した場合、または器具固有の警告時間を超えた場合に、コントロール装置がシグナリング装置をコントロールするためのコントロール信号を生成することが提案される。アクティブ化期間が警告時間以上である場合、警告表示がシグナリング装置によって自動的に生成される。
【0023】
電気手術用ジェネレータのコントロール装置は付加的にまたは択一的に、決定されたアクティブ化期間が器具固有のスイッチオフ時間を超えた場合に、非アクティブ化装置をコントロールすることによって、接続されている器具を動作しないようにすることまたは接続されている器具を動作しない状態に保つことをトリガする。したがって、器具固有の警告時間に達した場合、または器具固有の警告時間を超えた場合に、コントロール装置が、非アクティブ化装置をコントロールするためのコントロール信号を生成することが提案される。アクティブ化期間が遮断時間以上である場合、接続されている器具は、非アクティブ化装置によって自動的に遮断される。一例では、接続されている器具を動作しないようにするために、または接続されている器具を動作しない状態に保つために、器具を無効化するまたはジェネレータを無効化するエラー表示が生成され得る。
【0024】
アクティブ化期間が継続的に、電気手術用器具の動作状態から独立して記録されることによって、電気手術用器具が過度に長い期間使用されないことが保証される。このようにして、ジェネレータに接続されている器具を使用する際の安全性を高める解決策が提供される。特に、提案される解決策は、電気手術用ジェネレータに接続されている電気手術用器具の汚染のリスクを減らす。
【0025】
警告時間が実装されていることによって、さらに、電気手術用器具の操作者が、器具の自動的な遮断によって驚かされないことが保証される。なぜなら、警告時間に達すると、警告表示が生成されるからである。このようにして、ジェネレータに接続されている器具を使用する際の安全性を高める解決策が提供される。特に、提案される解決策は、電気手術用ジェネレータに接続されている電気手術用器具の有用性を改善する。
【0026】
したがって、概して、電気手術用ジェネレータに単回使用のアクティブ化カウンタを実装することが提案され、この単回使用のアクティブ化カウンタは器具の動作状態から独立して、継続的にかつ独立して各器具のアクティブ化期間を追跡する。
【0027】
さらに、概して、たとえば、使用された電気手術用器具が再び滅菌された場合に、アクティブ化期間がリセットされ得ることが理解される。
【0028】
好ましくは、シグナリング装置は、警告表示として音響信号を出力する音響シグナリング装置を含んでおり、かつ/またはシグナリング装置は、警告表示として光学信号または光学メッセージを出力する光学シグナリング装置を含んでいる。光学的な警告表示の例は、ジェネレータのディスプレイ上に示される警告メッセージまたは光学信号であり、光学信号は、警告時間に達したときに、ジェネレータにおける着色されたランプまたはLEDによって生成され、たとえば黄色または赤色のLEDがアクティブ化される。音響的な警告表示の例は、ラウドスピーカ等の音響ジェネレータによって生成される音響信号である。
【0029】
好ましくは、データ記憶装置は、器具端子に接続されている電気手術用器具に対する器具固有の情報が取り出し可能に格納されている器具リストを格納するように構成されている。器具リストは、器具カタログとしても理解され得る。器具リストは、好ましくは、各接続されている器具に対して、以降のエントリまたは情報、すなわち固有の器具識別子、警告時間、遮断時間、最初のアクティブ化時間、最初の接続時間、時間オフセット、決定されたアクティブ化期間、警告時間に達したことを示す第1のフラグおよび遮断時間に達したことを示す第2のフラグのうちの少なくとも1つを含んでいる。器具リストまたは器具カタログは、データ記憶装置に取り出し可能に格納されており、これは、器具リストのエントリが、ジェネレータの許可された操作者によって呼び出し可能かつ/または閲覧可能であることを意味している。リストは、たとえば、電気手術用ジェネレータの一部であるコントロールボタンまたはタッチディスプレイ等の操作装置によって手動で呼び出し可能である。さらに、器具リストのエントリがカスタマイズ可能であり、したがって、許可された操作者によって編集可能であることが提案される。固有の器具識別子は、たとえば、固有のコードまたは器具に割り当てられたIDであり、たとえば固有の16進法コード等である。第1のフラグは、たとえば、状態がtrueまたはfalseのビットである。第2のフラグは、たとえば、状態がtrueまたはfalseのビットである。
【0030】
好ましくは、器具検出装置は、器具リストを生成するために、接続されている器具の固有の器具識別子をデータ記憶装置に伝送するように適合されている。したがって、器具検出装置が、どの器具が器具端子に接続されているか、またはどの器具端子がアクティブ化されているかを検出することが提案される。器具検出装置は、器具リストを作成するために、検出された器具の情報を識別子としてデータ記憶装置に伝送する。識別子は、接続されている器具から器具検出装置によって直接読み出され得る、または接続されている器具におけるまたは接続されている器具からの読み出された情報に応じて、器具検出装置によって生成され得る。
【0031】
好ましくは、アクティブ化期間は、接続されている器具の使用期間またはアクティブ動作期間から独立している、経過した実際の持続時間であり、使用期間またはアクティブ動作期間は、器具がアクティブに使用された、またはアクティブに操作された時間の長さを示す持続時間を表す。したがって、アクティブ化期間が、接続されている器具の状態から独立している、実際の時間でのノンストップ時間測定であることが提案される。器具がジェネレータから切断されている場合または器具が使用されていない場合でも、アクティブ化期間は記録され続ける。
【0032】
好ましくは、電気手術用ジェネレータは、現在時間を検出するかつ/または表示するために時刻装置をさらに備えており、器具固有のアクティブ化期間を決定するための時間追跡装置は、時刻装置から独立して時間追跡装置を動作させるために、時刻装置から独立している時間基準を備えている。時刻装置は、目下の時刻、現在時間をそれぞれ決定する時計として理解され得る。現在時間は、ジェネレータのディスプレイに表示可能である。さらに、時間追跡装置が、検出された現在時間から独立している時間基準を有していることが提案される。時間追跡装置の時間基準が独立していることによって、ジェネレータでの現在時間の手動調整が、追跡されるアクティブ化期間に影響を与えることがなくなる。したがって操作者は、アクティブ化期間に影響を与えるためにジェネレータにおいて現在時間を手動で調整することはできない。これは、安全性を高める。
【0033】
好ましくは、時間追跡装置は、電気手術用ジェネレータの現在時間が手動で調整される場合に、時間オフセットを決定するように構成されており、時間追跡装置は、決定された時間オフセットを、器具固有のアクティブ化期間を決定するために使用するように構成されている。したがって、現在時間が操作者によって手動で調整されるケースでは、時間オフセットによる時間の手動調整を追跡するように、ジェネレータが適合されている。たとえば、操作者が意図的に時間を2時間前に設定した場合には、アクティブ化期間を決定する際に時間のこの調整を考慮するために、2時間のオフセットがジェネレータに格納される。
【0034】
好ましくは、器具端子に接続されている電気手術用器具の最初のアクティブ化は、電気手術用ジェネレータに結合されているアクティブ化装置によって実行可能であり、アクティブ化装置は、好ましくは、ペダル装置および/またはハンドスイッチである。したがって、器具のアクティブ化のためのアクティブ化装置がジェネレータと接続されていることが提案され、ここではアクティブ化装置は、好ましくは、電気手術用器具の一部ではない外部装置である。好ましくは、アクティブ化装置は、フットペダル等のペダル装置である。好ましくは、アクティブ化装置は、ボタンまたはトグルスイッチ等のハンドスイッチである。器具の一部ではない外部アクティブ化装置は、電気手術用器具の複雑さおよび重量を低減させることができるという利点を有している。
【0035】
好ましくは、コントロール装置は、決定されたアクティブ化期間が、接続されている器具の器具固有の警告時間を超え、かつ器具の接続および/または器具のアクティブ化が検出された場合に、シグナリング装置をトリガすることによって警告表示をトリガする。したがって、警告時間に達した場合または警告時間を超えた場合に直ちに、警告表示をトリガするのではなく、付加的な動作またはイベントのうちの1つが発生した場合、すなわち器具の接続および/または器具のアクティブ化が検出された場合に、警告表示をトリガすることが提案される。ジェネレータが、器具の接続を検出するためかつ/または器具のアクティブ化を検出するための手段を含んでいることが理解される。たとえば、警告時間に達しており、かつ使用されている器具がジェネレータに再び接続されている場合に警告表示が指示されて生成される、または警告時間に達しており、かつ器具がアクティブ化された後である場合に警告表示が生成される。
【0036】
好ましくは、コントロール装置は、決定されたアクティブ化期間が、器具固有のスイッチオフ時間を超え、かつ器具の接続および/または器具のアクティブ化が検出された場合に、非アクティブ化装置をコントロールすることによって、接続されている器具を動作しないようにすることまたは接続されている器具を動作しない状態に保つことをトリガする。したがって、遮断時間に達した場合または遮断時間を超えた場合に直ちに、接続されている器具を動作しないようにすることまたは接続されている器具を動作しない状態に保つことをトリガするのではなく、付加的な動作またはイベントのうちの1つが発生した場合、すなわち器具の接続および/または器具のアクティブ化が検出された場合に、接続されている器具を動作しないようにすることまたは接続されている器具を動作しない状態に保つことをトリガすることが提案される。ジェネレータが、器具の接続を検出するためかつ/または器具のアクティブ化を検出するための手段を含んでいることが理解される。たとえば、遮断時間に達しており、かつ使用されている器具がジェネレータに再び接続されている場合に器具は無効化されるまたはアクティブ化され得ない、または遮断時間に達しており、かつ器具のアクティブ化が検出された場合に器具は無効化されるまたはアクティブ化され得ない。
【0037】
本発明のさらなる態様によれば、電気手術用ジェネレータと、電気手術用ジェネレータに接続されている電気手術用器具とを備える電気手術用ジェネレータシステムが提供され、電気手術用ジェネレータは、前述または後述の実施形態のいずれか1つによって具現化される。したがって電気手術用ジェネレータシステムは、少なくとも、前述または後述の電気手術用ジェネレータと、このジェネレータに接続されている電気手術用器具とを含んでいるシステムである。
【0038】
本発明の第2の別の態様によれば、電気手術用器具の動作のための電気手術用ジェネレータの動作のための方法が提供され、電気手術用ジェネレータは、電気手術用器具の接続および電気的な供給のための器具端子と、電気手術用ジェネレータの動作中に器具端子に接続されている電気手術用器具を検出するための器具検出装置と、シグナリング装置および非アクティブ化装置をコントロールするためのコントロール装置と、警告時間およびスイッチオフ時間を格納するための、コントロール装置に結合されているデータ記憶装置とを備えており、シグナリング装置は、警告表示を生成するように構成されており、非アクティブ化装置は、器具端子に接続されている電気手術用器具を動作しないようにするように構成されており、または電気手術用器具を動作しない状態に保つように構成されており、警告時間およびスイッチオフ時間はそれぞれ、器具固有の警告時間およびスイッチオフ時間を各検出された器具に割り当てるために、検出された器具にそれぞれ割り当てられる。
【0039】
この方法は、次のステップ、すなわち
時間追跡装置を用いて器具固有のアクティブ化期間を決定するステップであって、アクティブ化期間は、器具端子に接続されている電気手術用器具の最初の接続または最初のアクティブ化から実際の時間値までの検出された持続時間であり、各検出された器具に対してアクティブ化期間を検出し、アクティブ化期間を、継続的に、電気手術用器具の動作状態から独立して記録するステップ、
決定されたアクティブ化期間が、接続されている器具の器具固有の警告時間を超えた場合に、コントロール装置によってシグナリング装置をコントロールすることによって警告表示をトリガするステップ、
決定されたアクティブ化期間が器具固有のスイッチオフ時間を超えた場合に、コントロール装置によって非アクティブ化装置をコントロールすることによって、接続されている器具を動作しないようにすることまたは接続されている器具を動作しない状態に保つことをトリガするステップ
を備えている。
【0040】
したがって、この方法は、ジェネレータに接続されている各電気手術用器具に対して、アクティブ化期間を、時間追跡装置によって追跡または記録するメインステップを備えている。前述したように、アクティブ化期間は継続的に、電気手術用器具の動作状態から独立して記録される。したがって、アクティブ化期間は、器具の動作状態から独立している。記録されたアクティブ化期間が、格納されている警告時間に達した場合または格納された警告時間を超えた場合、コントロールユニットは、シグナリング装置をコントロールすることによって警告表示をトリガする。このようにして、アクティブ化期間が遮断時間に達した場合または遮断時間を超えた場合、器具が停止される前にジェネレータにおいて警告が表示される。したがって、器具の自動的な遮断が、事前に警告によって表示される。これによって、操作者が遮断に驚くことがないので、ジェネレータに接続されている器具を使用する際の安全性が高まる。さらに、アクティブ化期間が継続的にかつ独立して記録されることによって、器具が過度に長い期間使用されないことが保証され、汚染リスクが減らされる。
【0041】
好ましくは、電気手術用ジェネレータは、前述または後述の実施形態のいずれか1つによって具現化され、かつ/または電気手術用ジェネレータは、前述または後述の実施形態による電気手術用ジェネレータシステムの一部である。
【0042】
これらのさらなる態様およびそれらの好ましい実施形態の利点、好ましい実施形態および詳細について、前述した対応する利点、好ましい実施形態および詳細が参照される。
【0043】
次に、添付の図を参照して、好ましい実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】一実施形態による、電気手術用ジェネレータと、電気手術用ジェネレータに接続されている電気手術用器具とを備える電気手術用ジェネレータシステムを示す図である。
図2】本発明による電気手術用ジェネレータの概略的な構造を示す図である。
図3】従来技術による時間追跡原理を示す図である。
図4】本発明による時間追跡原理を示す図である。
図5】電気手術用器具の動作のための電気手術用ジェネレータの動作のための方法の概略的なフローチャートを示す図である。
【0045】
図中、同じ機能または同等の機能を有する要素には同じ参照番号を付してある。
【0046】
図1は、電気手術用ジェネレータ100と、電気手術用ジェネレータ100に接続されている電気手術用器具200とを備える電気手術用ジェネレータシステム10を示している。電気手術用器具200は、接続線路202によって、器具端子110において電気手術用ジェネレータ100と接続されている。接続線路202は、図1に示されていない供給線路およびデータ転送線路を含んでいてよい。供給線路は、器具200に電力を供給するために使用され、データ転送線路は、器具とジェネレータとの間でデータを交換するために使用される。ジェネレータは、複数の器具端子、たとえば、ニュートラル器具端子、ユニポーラ器具端子およびバイポーラ器具端子を含んでいてもよい。電気手術用器具200はシャフトを含んでおり、このシャフトは、シャフトの端部にアクティブ電極を有している。シャフトは、電気手術用器具のハンドルに取り付けられている。ジェネレータ100は、光学的な警告表示を表示するように適合された、テキストおよび/または記号および/またはグラフィックスを表示するためのディスプレイ144を含んでいる。ジェネレータ100は、3つのボタンとして示されている操作装置102も含んでいる。操作装置102は、タッチディスプレイ等であってもよい。電気手術用ジェネレータ100は、電気手術用器具200の動作のために使用される。
【0047】
図2は、電気手術用ジェネレータ100の概略的な構造をより詳細に示している。
【0048】
ジェネレータ100は、電気手術用器具200の接続および電気的な供給のための器具端子110を含んでいる。このために、ジェネレータ100は、ジェネレータ100を電力供給網180と接続するための供給端子182を含んでいる。ジェネレータ100は、電力コンバータ190を含んでおり、電力コンバータ190は、供給網の入力電流および入力電圧を、器具端子110における適切な動作電流および/または動作電圧に変換するために使用される。電力コンバータ190は、スイッチング電源としても理解され得る。交流電流を直流電流に変換する電力コンバータは整流器として知られている。直流電流を交流電流に変換する電力コンバータは反転整流器またはインバータとして知られている。ある交流電流を別の交流電流に変換する電力コンバータは周波数コンバータとして知られている。ある直流電流を別の直流電流に変換する電力コンバータはDC-DCコンバータとして知られている。生成される交流電流または生成される直流電流を、コンバータの設計または電気負荷、電気手術用器具の要求それぞれに応じて、より高くすること、より低くすることまたは反転させることができる。図示の電力コンバータは、器具200に交流電流を電気的に供給するために、電力供給網からの交流電流を、端子110における交流動作電流に変換するように適合されたインバータである。しかし、器具が直流電流で動作する場合には、電力コンバータが、DC-DCコンバータとして実装されることが理解される。電力コンバータ190は、電力供給網から引き出された交流電圧を中間回路直流電圧に整流するために整流装置191を含んでいる。コンデンサ193は、一時的なエネルギバッファとして使用される中間コンデンサである。電力コンバータ190は、器具端子110における動作電流および/または動作電圧を生成するためのコンバータ装置195も含んでいる。コンバータ装置195は、たとえば、ハーフブリッジトポロジ等で配置されている、IGBT、MOSFET等のような半導体スイッチを含んでいる。コンバータ装置195は、変圧器196、たとえば昇圧変圧器を含んでいてもよく、これによって、器具端子における電圧が、所望の振幅および/または周波数を有する電圧に昇圧される。概して、電力コンバータ190は、器具200に電力を供給するための高周波電流を生成するように適合されている。電力コンバータ190は、電気スイッチ、たとえば電気スイッチ192をコントロールするためのドライバ回路197,198も含んでいる。ドライバ回路197,198およびスイッチによって、電力コンバータ190が、電力コンバータ190のタイプに応じて、昇圧コンバータ、降圧コンバータ等を含んでいてよいことが示される。電力コンバータ190がAC-ACコンバータであるケースでは、ドライバ回路197,198およびスイッチ192によって、電力コンバータ190が、出力電流および器具端子110における出力電流を生成するためにコントロール可能なスイッチを含んでいることが示される。整流器190は、たとえば受動的または能動的な整流器である。
【0049】
ジェネレータ100は、電気手術用ジェネレータの動作中に、器具端子110に接続されている電気手術用器具200を検出するための器具検出装置120も含んでいる。検出装置120は、たとえば、データインタフェースを含んでおり、器具端子110に接続されている、接続されている器具から情報を受け取るように適合されている。
【0050】
ジェネレータ100は、シグナリング装置140および非アクティブ化装置150をコントロールするためのコントロール装置130を含んでいる。
【0051】
シグナリング装置140は、警告表示を生成するように構成されている。したがって、シグナリング装置140は、音響シグナリング装置142、すなわちスピーカおよび/または光学シグナリング装置、すなわちディスプレイ144を含んでいてよい。
【0052】
非アクティブ化装置150は、器具端子110に接続されている電気手術用器具200を動作しないようにするように構成されている、または電気手術用器具200を動作しない状態に保つように構成されている。図示の実施形態では、非アクティブ化装置150は、ジェネレータの端子110に接続されている器具200の電力供給を中断するコントロール可能なスイッチを含んでいる。非アクティブ化装置150は、データ転送線路を介して器具に遮断信号を伝送するデータインタフェースであってもよい。
【0053】
電気手術用ジェネレータ100は、警告時間twarnおよびスイッチオフ時間toffを格納するための、コントロール装置130に結合されているデータ記憶装置160も備えており、警告時間およびスイッチオフ時間はそれぞれ、各検出された器具に器具固有の警告時間およびスイッチオフ時間を割り当てるために、検出された器具に割り当てられる。
【0054】
電気手術用ジェネレータ100は、器具固有のアクティブ化期間tを決定するための時間追跡装置170も備えており、アクティブ化期間tは、器具端子110に接続されている電気手術用器具200の最初の接続tまたは最初のアクティブ化tから実際の時間値tistまでの検出された持続時間であり、各検出された器具に対してアクティブ化期間tが検出される。
【0055】
アクティブ化期間tは、継続的に、一例として図4に示されている電気手術用器具200の動作状態から独立して記録される。アクティブ化期間tは、接続されている器具の使用期間またはアクティブ動作期間から独立している、経過した実際の持続時間であり、使用期間またはアクティブ動作期間は、器具が使用された、またはアクティブに操作された時間の長さを示す持続時間を表す。
【0056】
コントロール装置130は、決定されたアクティブ化期間tが、接続されている器具の器具固有の警告時間を超えた場合t>twarnに、シグナリング装置140をトリガすることによって警告表示をトリガする。
【0057】
コントロール装置130はまた、決定されたアクティブ化期間が、器具固有のスイッチオフ時間を超えた場合t>toffに、非アクティブ化装置150をコントロールすることによって、接続されている器具を動作しないようにすることまたは接続されている器具を動作しない状態に保つことをトリガする。
【0058】
さらに、図2は、シグナリング装置140が、警告表示として音響信号を出力するための音響シグナリング装置142、すなわちラウドスピーカを含んでおり、シグナリング装置140が、警告表示として光学信号または光学メッセージを出力するための光学シグナリング装置144、すなわちディスプレイを備えていることを示している。
【0059】
データ記憶装置160は、器具端子110に接続されている電気手術用器具が取り出し可能に格納されている器具リストを格納するように構成されている。器具リストは、固有の識別子ID1、ID2、決定されたアクティブ化期間tを含んでおり、アクティブ化期間tは、器具端子110に接続されている電気手術用器具200の最初の接続tまたは最初のアクティブ化tから実際の時間値tistまでの検出された持続時間である。器具リストは、器具固有の警告時間10hおよび5hならびに器具固有の遮断時間12hおよび8hも含んでおり、ここでhは時間を示している。
【0060】
器具検出装置120は、器具リストを生成するために、接続されている器具110の固有の器具識別子IIDをデータ記憶装置160および/またはコントロール装置130に伝送するように適合されている。
【0061】
電気手術用ジェネレータ100は、現在時間を検出および/または表示するための、図2には示されていない時刻装置をさらに備えている。器具固有のアクティブ化期間tを決定するための時間追跡装置170は、時刻装置から独立して時間追跡装置170を動作させるために、時刻装置から独立している時間基準を備えている。
【0062】
器具端子110に接続されている電気手術用器具200の最初のアクティブ化tは、電気手術用ジェネレータ100に結合されているアクティブ化装置175によって実行可能であり、アクティブ化装置は、電気手術用器具の一部ではない外部装置、すなわち、足によるアクティブ化のためのペダル装置である。
【0063】
図3は、従来技術による時間追跡原理を示している。従来技術では、接続されている器具の使用期間またはアクティブ動作期間tuseが追跡される。使用期間またはアクティブ動作期間は、器具がアクティブに使用された、またはアクティブに操作された時間の長さを示す持続時間を表す。たとえば、器具が時点tからtまで1時間、アクティブに使用された場合、使用期間tuseの追跡は停止されるが、他方で実際の時間tはさらに増大する。その後、時点tで、tまで2時間15分、この器具が再びアクティブに使用された。再び、その後、時点tで、tに達するまで2時間15分、この器具がアクティブに使用された。したがって、総使用期間tuseは使用時間全体の合計、つまりこの例では5h:30min:00sとなる。このように、使用と使用との間の休止期間においては使用時間が追跡されないので、実際の時間tは、総使用期間tuseよりも格段に長くなる。
【0064】
図4は、図3とは対照的に、本発明による時間追跡原理を示している。図3とは対照的に図4は、アクティブ化期間tが、継続的に、電気手術用器具200の動作状態から独立して記録されることを示している。時間検出は、器具200がジェネレータ100に初めて接続されたまたは器具200が初めてアクティブ化された時間tから始まる。アクティブ化期間tは、継続的に、電気手術用器具200の動作状態から独立して記録される。したがってアクティブ化期間tは、図3に示されている使用期間tuseまたはアクティブ動作期間tuseから独立している、経過した実際の持続時間である。
【0065】
図5は、電気手術用器具の動作のための電気手術用ジェネレータの動作のための方法の概略的なフローチャートを示している。
【0066】
ステップS1において、時間追跡装置170を用いて器具固有のアクティブ化期間tの決定が実行される。アクティブ化期間tは、器具端子110に接続されている電気手術用器具200の最初の接続tまたは最初のアクティブ化tから実際の時間値tistまでの検出された持続時間であり、各検出された器具に対してアクティブ化期間tが検出され、アクティブ化期間tは、継続的に、電気手術用器具200の動作状態から独立して記録される。
【0067】
ステップS2において、決定されたアクティブ化期間tが、接続されている器具の器具固有の警告時間twarnを超えた場合t>twarnに、コントロール装置130によってシグナリング装置140をコントロールすることによって警告表示のトリガが実行される。
【0068】
ステップS3において、決定されたアクティブ化期間が器具固有のスイッチオフ時間を超えた場合t>toffに、コントロール装置130によって非アクティブ化装置150をコントロールすることによって、接続されている器具を動作しないようにすることまたは接続されている器具を動作しない状態に保つことのトリガが実行される。
【0069】
前述のジェネレータ、ジェネレータシステムおよび方法は、以降で要約される多くの他の利点を提供する:
・電気手術用器具を監視および無効化するための全てのコンポーネントが電気手術用器具には設けられておらず、ジェネレータに設けられているので、手持ち式電気手術用器具の複雑さおよび重量を低減させることができる。
・電気手術用器具の遮断が警告によって示されるため、手持ち式電気手術用器具のより安全な操作が提供される。したがって、電気手術用器具のユーザが、予期しない遮断に驚くことがなくなる。
・装置の過度に長い使用による、滅菌されていない使用のリスクが減らされる。
【符号の説明】
【0070】
10 電気手術用ジェネレータシステム
100 電気手術用ジェネレータ
102 操作装置
110 器具端子
120 器具検出装置
130 コントロール装置
140 シグナリング装置
142 音響シグナリング装置
144 光学シグナリング装置
150 非アクティブ化装置
160 データ記憶装置
170 時間追跡装置
175 アクティブ化装置
180 電力供給網
182 供給端子
190 電力コンバータ
191 整流装置
192 スイッチ
193,194 コンデンサ
195 コンバータ装置
196 変圧器
197,198 ドライバ回路
200 電気手術用器具
202 接続線路
図1
図2
図3
図4
図5