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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】手術位置合わせ用のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20240910BHJP
   A61B 34/10 20160101ALI20240910BHJP
   A61B 17/74 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B34/10
A61B17/74
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023079394
(22)【出願日】2023-05-12
(62)【分割の表示】P 2021552670の分割
【原出願日】2020-03-05
(65)【公開番号】P2023091040
(43)【公開日】2023-06-29
【審査請求日】2023-05-12
(31)【優先権主張番号】62/814,057
(32)【優先日】2019-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509282125
【氏名又は名称】マコー サージカル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】チュー ウー
(72)【発明者】
【氏名】マシュー トンプソン
(72)【発明者】
【氏名】ブレント ミットルシュタット
(72)【発明者】
【氏名】ジャミル エルバンナ
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05806518(US,A)
【文献】国際公開第2018/045086(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/013848(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0258526(US,A1)
【文献】特開2018-158104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/20
A61B 34/10
A61B 17/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術計画において患者データを置合わせするシステムであって、前記患者データは第1座標系における第1骨のものであり、前記手術計画は前記第1座標系とは異なる第2座標系において前記第1骨と関連付けられており、前記第1骨は、頭部分と、前記頭部分から延在するシャフト部分と、を有し、前記システムは、
a)追跡装置と、前記追跡装置によってその運動の際に追跡されるように構成された少なくとも1つのツールと、を有するナビゲーションシステムと通信状態にある少なくとも1つの演算装置を有し、前記少なくとも1つの演算装置は、前記手術計画を前記第2座標系内おいて保存しており、前記手術計画は、前記第1骨を表す仮想的骨モデルを有し、第1骨除去計画が前記仮想的骨モデルと関連付けられており、且つ、第2骨除去計画が前記仮想的骨モデルと関連付けられており、前記少なくとも1つの演算装置は、
i)前記第1骨と関連するデータの第1ポイントクラウドを受け取り、前記データの第1ポイントクラウドは、前記第1骨の前記頭部分と関連する第1データを有し、
ii)前記データの第1ポイントクラウドから第1位置合わせ変換を算出し、
iii)前記第1位置合わせ変換を使用して、前記第1骨除去計画が前記仮想的骨モデルとの関係において前記第2座標系内に存在していたような前記第1骨との関係における位置及び向きにおいて、前記手術計画の前記第1骨除去計画を前記第1座標系に変換し、
iv)前記第1骨と関連するデータの第2ポイントクラウドを受け取り、前記データの第2ポイントクラウドは、前記第1骨の前記シャフト部分の内部部分と関連する第2データを有し、
v)前記第1及び第2のデータのポイントクラウドの両方から第2位置合わせ変換を算出し、且つ、
vi)前記第2位置合わせ変換を使用して、前記第2骨除去計画が前記仮想的骨モデルとの関係において前記第2座標系内において存在していたような前記第1骨との関係における位置及び向きにおいて、前記手術計画の前記第2骨除去計画を前記第1座標系に変換する、システム。
【請求項2】
前記データの第1及び第2ポイントクラウドは、前記ナビゲーションシステムの前記追跡装置によってその運動の際に追跡されている手術装置を介して、術中において収集されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1骨除去計画は、前記仮想的骨モデルの仮想的管からの骨の部分的除去のための第1計画を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2骨除去計画は、前記仮想的骨モデルの前記仮想的管からの骨のフル除去のための第2計画を含み、前記第1及び第2骨除去計画は、大腿骨インプラントのステムの埋植の準備を目的としたものである、請求項3に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年3月5日付けで出願された米国仮特許出願第62/814,057号の利益を主張するものであり、この特許文献は、引用により、そのすべてが本出願に包含される。
【0002】
本開示は、一般に、整形外科関節置換手術用の手術システムに関し、且つ、更に詳しくは、手術位置合わせの方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ロボットシステムは、しばしば、手術手順又はその他の複雑なタスクなどの、高度な精度及び/又は正確性を必要とする用途において使用されている。このようなシステムは、自律型、遠隔操作型、及び対話型などの、様々なタイプのロボットを含みうる。
【0004】
対話型ロボットシステムは、関節置換手術などの、いくつかのタイプの手術の場合に、好適でありうるが、その理由は、これにより、外科医が、高度な精度及び/又は正確性を依然として実現しつつ、手術手順の直接的な実践的制御を維持することが可能になるからである。例えば、膝置換手術において、外科医は、膝インプラントなどの関節インプラントを受け入れるように骨を彫刻するべく、対話型の、触覚的にガイドされた(haptically guided)ロボットアームを受動的な方式で使用することができる。骨を彫刻するために、外科医は、骨の内部にポケットを切削するべくロボットアームに結合された切削ツール(例えば、回転バー(rotating burr))を運動させるように、ロボットアームを把持し且つ手動的に操作している。外科医が、予め定義された仮想的な切削境界内において、或いは、例えば、触覚物体によって定義された触覚境界内において、バーの先端を維持している限り、ロボットアームは、外科医が、ロボットアームを、本質的に重量を有していないものとして知覚するように、且つ、適宜、ロボットアームを運動させうるように、低摩擦及び低慣性により、自由に運動する。但し、外科医が、仮想的切削境界の外側において切削するべく、バーの先端を運動させるように試みた場合には、ロボットアームは、外科医が仮想的切削境界を越えて、バーの先端を運動させることを防止又は禁止する触覚フィードバック(例えば、強制的な抵抗力)を提供する。この結果、ロボットアームは、非常に正確な、反復可能な骨の切削を可能にしている。外科医が、対応する骨の切削の際に膝インプラント(例えば、膝蓋大腿コンポーネント)を手動的に埋植する際に、インプラントは、一般に、切削された骨と膝インプラントの構成及びこれらの間のインターフェイスに起因して、正確にアライメントされることになる。
【0005】
又、上述の対話型ロボットシステムは、異なる機能(例えば、リーミング、埋伏)、異なる構成(例えば、まっすぐなもの、オフセットされたもの)、及び異なる重さを有する複数の手術ツールの使用を必要としうる人工股関節置換手術において使用することもできる。様々なツールに対応するように設計されたシステムは、「SURGICAL SYSTEM FOR POSITIONING PROSTHETIC COMPONENT AND/OR FOR CONSTRAINING MOVEMENT OF SURGICAL TOOL」という名称の2010年9月29日付けで出願された12/894,071に記述されており、これは、引用により、すべてが本明細書において包含される。
【0006】
人工股関節置換手術のみならず、その他のロボット支援型の又は完全に自律型の手術手順において、骨盤及び大腿骨を含む患者の骨は、実際の物理的な骨のポーズ(即ち、位置及び回転の向き)を仮想的な骨モデルと相関させるべく、対応する仮想的又はコンピュータ骨モデルと術中において位置合わされている(registered)。又、患者の骨(物理空間)は、少なくとも1つの自由度を含みうる手術ロボット、触覚装置、又は手術ツール(例えば、回転バー)との関係においても、追跡されている。この結果、患者の骨(物理空間)に対して動作している際に、触覚装置が、その物理的な運動(例えば、バーリング)において制約されるように、コンピュータを介して仮想的な骨モデル上において制御及び定義される仮想的な切削又は触覚境界を患者の骨(物理空間)に対して適用することができる。
【0007】
骨盤及び大腿骨の術中位置合わせ(registeration)は、難題となりうる。従って、当技術分野においては、特定のシステム及び方法が患者の骨盤及び大腿骨の位置合わせのために存在しているが、当技術分野においては、位置合わせ時間を減少させつつ、精度を増大させる位置合わせ方法に対するニーズが存在している。
【0008】
本開示の態様は、手術装置と患者の大腿骨を位置合わせするシステムを含みうる。大腿骨は、外部表面と、内管と、を含みうる。患者の大腿骨と手術装置は、手術座標系内に位置しうる。システムは、手術ナビゲーションシステム及び手術装置と通信状態にある少なくとも1つの演算装置を含みうる。手術ナビゲーションシステムは、手術装置を追跡することができる。少なくとも1つの演算装置は、手術計画を仮想座標系内において保存している。少なくとも1つの演算装置は、以下のステップのために構成されている。少なくとも1つの演算装置は、大腿骨の外部表面上の場所に対応する外部骨位置合わせデータを受け取ることができる。少なくとも1つの演算装置は、外部骨位置合わせデータに基づいて第1位置合わせ変換を算出することができる。少なくとも1つの演算装置は、第1位置合わせ変換に基づいて手術計画の第1骨除去計画を手術座標系に変換することができる。少なくとも1つの演算装置は、大腿骨の内管から場所又は向きデータの少なくとも1つに対応する内部骨管位置合わせデータを受け取ることができる。少なくとも1つの演算装置は、外部骨位置合わせデータ及び内部骨管位置合わせデータの両方に基づいて第2位置合わせ変換を算出することができる。少なくとも1つの演算装置は、第2位置合わせ変換に基づいて手術計画の第2骨除去計画を手術座標系に変換することができる。
【0009】
特定の例において、第1骨除去計画は、仮想座標空間内において定義することができると共に、患者の大腿骨の内管を表しうる仮想内管からの骨除去の第1部分用の第1座標場所を含みうる。
【0010】
特定の例において、第2骨除去計画は、仮想座標空間内において定義することができると共に、患者の大腿骨の内管を表しうる仮想内管からの骨除去の第2部分用の第2座標場所を含みうる。
【0011】
特定の例において、第1骨除去計画からの骨除去の第1部分は、組み合わせられた第1及び第2骨除去計画よりも乏しい仮想管からの骨除去を含む。特定の例において、第1骨除去計画は、大腿骨インプラントのステムの埋植に必要とされるフル管準備よりも乏しいものでありうる部分的大腿管準備計画のみを含む。特定の例において、第1骨除去計画からの骨除去の第1部分及び第2骨除去計画からの骨除去の第2部分は、集合的に、量においてフル管準備計画に匹敵している。
【0012】
特定の例において、第2骨除去計画は、ロボットによる骨除去部分と、手動的な骨除去部分と、を含む。
【0013】
特定の例において、手動的骨除去部分は、ブローチを目的として計画することができる。
【0014】
特定の例において、骨除去の第2部分用の第2座標場所は、骨除去の第1部分用の第1座標場所を含む。
【0015】
特定の例において、第2骨除去計画からの骨除去の第2部分用の第2座標場所は、第1骨除去計画からの骨除去の第1部分用の第1座標場所を包含している。
【0016】
特定の例において、手術ナビゲーションシステムは、追跡装置と、追跡装置によってその運動の際に追跡されるように構成された少なくとも1つのツールと、を含みうる。
【0017】
特定の例において、手術計画は、大腿骨頸部エッチング用の位置及び向きを更に含んでいてもよく、少なくとも1つの演算装置は、大腿骨頸部上の物理的マークに対応する大腿骨頸部エッチングデータを受け取るように構成されており、マークは、大腿骨頸部の完全な切除よりも乏しい。
【0018】
特定の例において、少なくとも1つの演算装置は、第1位置合わせ変換を第2位置合わせ変換と比較するように、且つ、比較に基づいて第1位置合わせ変換又は第2位置合わせ変換のうちの1つと共に進捗するように、更に構成されている。
【0019】
本開示の態様は、手術装置と患者の大腿骨の位置合わせのコンピュータで実施される方法を含みうる。大腿骨は、外部表面と、内管と、を含む。手術装置及び患者の大腿骨は、手術座標系内に位置している。コンピュータで実施される方法は、以下のステップを含みうる。方法は、大腿骨の外部表面上の場所に対応する外部骨位置合わせデータを受け取るステップを含みうる。方法は、外部骨位置合わせデータに基づいて第1位置合わせ変換を算出するステップを含みうる。方法は、第1位置合わせ変換に基づいて手術計画の第1骨除去計画を手術座標系に変換するステップを含んでいてもよく、第1骨除去計画は、大腿骨インプラントのステムを受け入れるべく必要とされるフル管準備計画よりも乏しいものでありうる部分的大腿管準備計画を含む。方法は、大腿骨の内管から場所又は向きデータの少なくとも1つに対応する内部骨管位置合わせデータを受け取るステップを含みうる。方法は、外部骨位置合わせデータ及び内部骨管位置合わせデータの両方に基づいて第2位置合わせ変換を算出するステップを含みうる。そして、方法は、第2位置合わせ変換に基づいて手術計画の第2骨除去計画を手術座標系に変換するステップを含みうる。
【0020】
特定の例において、方法は、大腿骨の骨モデルとの関係においてインプラントモデルの計画されたインプラント配置を判定するステップを更に含んでいてもよく、大腿骨の骨モデルは、患者の大腿骨を表している。
【0021】
特定の例において、方法は、計画されたインプラント配置を実現するための手術計画を判定するステップを更に含んでいてもよく、手術計画は、第1骨除去計画及び第2骨除去計画を含みうる。
【0022】
特定の例において、第1骨除去計画は、大腿骨を表す大腿骨の骨モデルとの関係において仮想座標系内において計画されてもよく、仮想座標系は、手術座標系とは異なっている。そして、第1位置合わせ変換に基づいて第1骨除去計画を手術座標系に変換するステップは、第1骨除去計画が仮想座標系内において大腿骨の骨モデルとの関係にありうるものと同一の位置及び向きにおいて、第1骨除去計画を手術座標系内において大腿骨に対してマッピングするステップを含みうる。
【0023】
特定の例において、第2骨除去計画は、大腿骨を表す大腿骨骨モデルとの関係において、仮想座標系内において計画されてもよく、仮想座標系は、手術座標系とは異なっている。そして、第2位置合わせ変換に基づいて第2骨除去計画を手術座標系に変換するステップは、第2骨除去計画が仮想座標系内において大腿骨骨モデルとの関係にありうるものと同一の位置及び向きにおいて、第2骨除去計画を手術座標系内において大腿骨に対してマッピングするステップを含みうる。
【0024】
特定の例において、第2骨除去計画は、大腿骨の内管からの骨の除去を含み、且つ、第2骨除去計画は、第1骨除去計画からの骨除去を包含している。特定の例において、第2骨除去計画は、第1骨除去計画における骨を超えた更なる骨の除去を含む。
【0025】
本開示の態様は、第1座標系における第1骨の患者データを第1座標系とは異なりうる第2座標系における第1骨と関連する手術計画と位置合わせするシステムを含みうる。第1骨は、頭部部分と、頭部部分から延在するシャフト部分と、を含みうる。システムは、追跡装置と、追跡装置によってその運動の際に追跡されるように構成された少なくとも1つのツールと、を含みうる手術ナビゲーションシステムと通信状態にある少なくとも1つの演算装置を含みうる。少なくとも1つの演算装置は、手術計画を第2座標系内において保存している。手術計画は、第1骨を表す仮想骨モデルを含んでいてもよく、第1骨除去計画は、仮想骨モデルと関連付けられており、且つ、第2骨除去計画は、仮想骨モデルと関連付けられている。少なくとも1つの演算装置が、第1骨と関連するデータの第1ポイントクラウドを受け取るように構成されている状態において、データの第1ポイントクラウドは、第1骨の頭部部分と関連する第1データを含みうる。少なくとも1つの演算装置は、データの第1ポイントクラウドから第1位置合わせ変換を算出するように構成されている。少なくとも1つの演算装置は、第1骨除去計画が仮想骨モデルとの関係において第2座標系内に存在していたことに伴って、第1位置合わせ変換を使用して、第1骨との関係において位置及び向きにおいて第1座標系に手術計画の第1骨除去改革を変換するように構成されている。少なくとも1つの装置が第1骨と関連するデータの第2ポイントクラウドを受け取るように構成された状態において、データの第2ポイントクラウドは、第1骨のシャフト部分の内部部分と関連する第2データを含みうる。少なくとも1つの演算装置は、データの第1及び第2ポイントクラウドの両方から第2位置合わせ変換を算出するように構成されている。そして、少なくとも1つの演算装置は、第2骨除去計画が仮想的骨モデルとの関係において第2座標系内に存在していたことに伴って、第2位置合わせ変換を使用して、手術計画の第2骨除去計画を第1骨との関係において位置及び向きにおいて第1座標系に変換するように構成されている。
【0026】
特定の例において、データの第1及び第2ポイントクラウドは、手術ナビゲーションシステムの追跡装置によってその運動の際に追跡されうる手術装置を介して、術中において収集することができる。
【0027】
特定の例において、第1骨除去計画は、仮想骨モデルの仮想管からの骨の部分的除去用の第1計画を含む。
【0028】
特定の例において、第2骨除去計画は、仮想骨モデルの仮想管からの骨のフル除去用の第2計画を含み、第1及び第2骨除去計画は、大腿骨インプラントのステムの埋植の準備を目的としている。
【0029】
本開示の態様は、演算システム上においてコンピュータプロセスを実行するコンピュータ実行可能命令を保存する1つ又は複数の有体のコンピュータ可読ストレージ媒体を含みうる。コンピュータプロセスは、以下のステップを含みうる。コンピュータプロセスは、患者の骨盤の複数の画像スキャンを受け取るステップを含みうる。コンピュータプロセスは、複数の画像スキャンから患者の骨盤の3次元骨モデルを生成するステップを含みうる。コンピュータプロセスは、複数の画像スキャンと関連するスキャン軸を識別するステップを含んでいてもよく、スキャン軸は、撮像装置のスキャニングテーブルの長軸に沿って定義されている。コンピュータプロセスは、患者の骨盤の3次元骨モデルと関連する骨軸を識別するステップを含みうる。コンピュータプロセスは、スキャン軸と骨軸の間の角度オフセットを判定するステップを含みうる。コンピュータプロセスは、患者の骨盤の3次元骨モデルとの関係において少なくとも1つの仮想的な骨の仮想的な回転の中心を判定するステップを含みうる。コンピュータプロセスは、手術位置合わせ手順において利用される位置合わせ変換において角度オフセット及び仮想的な回転の中心を制約として使用するステップを含みうる。
【0030】
本開示の態様は、演算システム上においてコンピュータプロセスを実行するコンピュータ実行可能命令を保存する1つ又は複数の有体のコンピュータ可読ストレージ媒体を含みうる。コンピュータプロセスは、以下のステップを含みうる。コンピュータプロセスは、手術ナビゲーションシステムの少なくとも1つのツールからデータのポイントクラウドを受け取るステップを含んでいてもよく、少なくとも1つのツールは、手術ナビゲーションシステムの追跡装置によってその運動の際に追跡されている。少なくとも1つのツールは、データポイントをポイントクラウドデータ内において保存するように構成することができる。データのポイントクラウドは、第1データ及び第2データを共通座標系内において含みうる。第1データは、手術テーブル上において又はその近傍において配置されたポイントのペアを含みうる。第2データは、凹入部分を含みうる第1骨と凸状部分を含みうる第2骨の間の結合表面の凹入部分に対応する複数のポイントを含みうる。コンピュータプロセスは、第1データのポイントのペアの間においてベクトルを判定するステップを含みうる。コンピュータプロセスは、第2データから回転の中心を判定するステップを含んでいてもよく、回転の中心は、第1骨との関係における第2骨のものである。コンピュータプロセスは、データのポイントクラウドを少なくとも第1骨の3次元コンピュータモデルと位置合わせする位置合わせ変換を利用するステップを含んでいてもよく、ベクトル及び回転の中心は、位置合わせ変換における制約である。
【0031】
本開示の態様は、以下のステップを含む手術位置合わせのためのコンピュータで実施される方法を含みうる。方法は、手術ナビゲーションシステムの少なくとも1つのツールからデータのポイントクラウドを受け取るステップを含んでいてもよく、少なくとも1つのツールは、手術ナビゲーションシステムの追跡装置によってその運動の際に追跡されている。少なくとも1つのツールは、データポイントを追跡装置との関係におけるその位置に基づいてポイントクラウドデータ内において保存するように構成されている。データのポイントクラウドは、第1データ及び第2データを第1座標系内において含みうる。第1データは、手術テーブル上において、或いは、その近傍において、配置された第1及び第2座標ポイントを含みうる。第2データは、骨のペアの間において形成された関節の回転の中心に対応する1つ又は複数の座標ポイントを含みうる。方法は、データのポイントクラウドを骨のペア及び関節の、或いは、これらを近似する、3次元コンピュータモデルと関連する複数の座標ポイントと位置合わせする位置合わせ変換を利用するステップを含みうる。複数の座標ポイントは、関節の回転の中心に対応する1つ又は複数の座標ポイントを含みうる。複数の座標ポイントは、第2座標系内において位置している。
【0032】
特定の例において、手術テーブル上において、或いは、その近傍において、配置された第1及び第2座標ポイントは、手術テーブルの長軸と平行な状態においてアライメントされている。
【0033】
特定の例において、第1データは、手術テーブル上において、或いは、その近傍において、配置された第3座標ポイントを含んでいてもよく、第3座標ポイントは、第1及び第2座標ポイントとは手術テーブルの反対側において配置されうる。
【0034】
特定の例において、骨のペア及び関節の、或いは、これらを近似する、3次元コンピュータモデルは、骨のペア及び関節の術前画像スキャンから生成することができる。
【0035】
特定の例において、骨のペア及び関節の、或いは、これらを近似する、3次元コンピュータモデルは、骨のペア及び関節を近似する一般的な骨モデルを含みうる。
【0036】
特定の例において、骨のペア及び関節の、或いは、これらを近似する、3次元コンピュータモデルは、骨のペア及び関節を近似する統計的骨モデルを含みうる。
【0037】
本開示の態様は、以下を含む手術位置合わせシステムを含みうる。位置合わせ針は、遠位先端及び近位発光ダイオード(LED)光マーカーを含んでいてもよく、近位LED光マーカーは、手術ナビゲーションシステムの追跡装置によって追跡されるように構成されている。針テンプレートは、それを通じて延在する複数のスルーホールを有するテンプレートブロックを含んでいてもよく、複数のスルーホールは、テンプレートブロック上において互いに離隔しており、且つ、複数のスルーホールのそれぞれは、軌跡に沿って位置合わせ針をガイドするように構成されている。そして、光位置特定トラッカが、針テンプレートに結合されており、光ローカリゼーショントラッカは、手術ナビゲーションシステムの追跡装置によって追跡されるように構成されている。
【0038】
本開示の態様は、椎骨の術中に収集された患者データを椎骨のコンピュータモデルと座標系内内において位置合わせするシステムを含みうる。椎骨は、外側表面と内側表面を有する皮質骨殻と、皮質骨殻の内部にある海綿骨と、を含みうる。椎骨は、皮質骨殻によって境界が画定された脊髄管を定義しうる。システムは、追跡装置と、追跡装置によってその運動の際に追跡されるように構成された少なくとも1つのツールと、を含む手術ナビゲーションシステムを含んでいてもよく、少なくとも1つのツールは、その遠端において切削要素を有するエンドエフェクタと、切削要素上において負荷を検知するように構成されたロードセルと、を含みうる。又、システムは、手術ナビゲーションシステムと通信状態にある少なくとも1つの演算装置を含んでいてもよく、少なくとも1つの演算装置は、椎骨のコンピュータモデルを座標系内において保存している。少なくとも1つの演算装置は、切削要素が皮質骨殻及び海綿骨に接触した際に、エンドエフェクタの遠端において切削要素が経験する負荷と関連する負荷データを受け取るように構成されている。少なくとも1つの演算装置は、負荷データに基づいて、切削要素が皮質骨殻の内側表面に接触した時点を識別するように構成されている。少なくとも1つの演算装置が椎骨と関連するデータのポイントクラウドを受け取るように構成された状態において、データのポイントクラウドは、皮質骨殻の内側表面上の座標場所を含んでいてもよく、データのポイントクラウドは、エンドエフェクタの遠端における切削要素を介して収集されている。少なくとも1つの演算装置は、椎骨と関連するデータのポイントクラウドを椎骨のコンピュータモデルと共通通座標系内において位置合わせするための変換を実行及び更新するステップの少なくとも1つのために構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1A】大腿骨及び骨盤の斜視図である。
図1B図1Aの大腿骨及び骨盤によって形成される股関節の斜視図である。
図2A】人工股関節全置換手順用の大腿骨コンポーネント及び寛骨臼コンポーネントの分解斜視図である。
図2B】それぞれ、図1の大腿骨及び骨盤との関係における、図2Aの大腿骨コンポーネント及び寛骨臼コンポーネントの配置を示す斜視図である。
図3A】手術システムの一実施形態の斜視図である。
図3B図3Aの手術システムのロボットアームの一実施形態の斜視図である。
図4】手術手順において使用されるコンピュータ表示の一実施形態を示す。
図5】人工股関節置換手順のステップの一実施形態を示す。
図6】表示画面上において示される骨盤位置合わせ方法の一実施形態を示す。
図7】表示画面上において示される骨盤位置合わせ方法の一実施形態を示す。
図8】大腿骨位置合わせ方法のステップを示す。
図9図9Aは、セグメント化を経験している近位大腿骨の術前画像を描き、図9Bは、管が部分的に切除された状態の、近位大腿骨を描き、図9Cは、大腿管に沿って内部的にプロービングされる近位大腿骨を描き、図9Dは、大腿管に沿って完全に切除された近位大腿骨を描く。
図10】大腿骨位置合わせ方法のステップを示す。
図11図11Aは、セグメント化を経験している近位大腿骨の術前画像を描き、図11Bは、大腿管が部分的に切除された状態の、近位大腿骨を描き、図11Cは、大腿管が部分的に切除された状態の、且つ、大腿骨の内部表面がエンドエフェクタのバーによってプロービングされる状態の、近位大腿骨を描き、図11Dは、大腿管が完全に切除された状態の、近位大腿骨を描く。
図12】大腿骨位置合わせ方法のステップを示す。
図13図13Aは、セグメント化を経験している近位大腿骨の術前画像を描き、図13Bは、大腿管が部分的に切除された状態の、且つ、位置合わせツールが大腿管内に延在する状態の、近位大腿骨を描き、図13Cは、大腿管が部分的に切除された状態の、且つ、位置合わせツールが大腿管内に延在する状態の、且つ、ツールが内部骨表面まで膨張した状態の、近位大腿骨を描き、図13Dは、大腿管が完全に切除された状態の、近位大腿骨を描く。
図13E】近位大腿骨に対する手術手順を計画及び実行するための例示用のフローチャートを描く。
図13F】近位大腿骨に対する手術手順を計画及び実行するための例示用のフローチャートを描く。
図14A】撮像テーブル上の患者の向きからの情報を利用する位置合わせ方法の術前ステップを示す。
図14B】撮像テーブル上の患者の向きからの情報を利用する位置合わせ方法の術中ステップを示す。
図14C】位置合わせ方法の術前及び術中ステップを示す。
図14D】位置合わせ方法の術前及び術中ステップを示す。
図15図15Aは、撮像テーブル上の患者の俯瞰図を描き、図15Bは、手術室テーブル上の患者の俯瞰図を描き、図15Cは、手術室内において判定されたベクトルと撮像テーブル上の患者の向きから判定された骨盤軸の間の角度オフセットを描く。
図15D】撮像テーブル上の患者の俯瞰図を描く。
図15E】手術室テーブル上の患者の俯瞰図を描く。
図15F】撮像テーブル上の患者の俯瞰図を描く。
図15G】手術室テーブル上の患者の俯瞰図を描く。
図16A】様々な長さ及び直径の針と、針テンプレートと、を描く。
図16B】針に基づいた位置合わせシステムの第1実施形態に伴う、大腿骨の前面図を描く。
図16C】針に基づいた位置合わせシステムの第2実施形態に伴う、大腿骨の前面図を描く。
図17A】大腿骨の中間-遠位部分上において使用される針に基づいた位置合わせシステムを描く。
図17B】大腿骨の中間-遠位部分上において使用される針に基づいた位置合わせシステムを描く。
図17C】脛骨の中間-遠位部分上において使用される針に基づいた位置合わせシステムを描く。
図18】腸骨稜上において利用される針に基づいた位置合わせシステムに伴う、腸骨の側面図を描く。
図19A】脊椎上において利用される針に基づいた位置合わせシステムの側面図を描く。
図19B】脊椎上において利用される針に基づいた位置合わせシステムの軸方向断面図を描く。
図20A】骨アンカーが椎弓根内において位置決めされた状態の、椎骨の軸方向断面画像である。
図20B】バーが椎弓根の頸部領域内において位置決めされた状態の、椎骨の軸方向断面画像である。
図20C】バーが椎弓根の頸部領域内において位置決めされた状態の、椎骨の軸方向断面画像である。
図20D】バーが遠内側皮質壁まで椎弓根の頸部領域を通じて位置決めされた状態の、椎骨の軸方向断面画像である。
図21】本明細書において開示されている様々なシステム及び方法を実装しうる1つ又は複数の演算ユニットを有する例示用の演算システムである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本出願は、引用により、「SYSTEMS AND METHODS FOR INTRA-OPERATIVE PELVIC REGISTRATION」という名称の2017年8月30日付で出願された国際特許出願公開第PCT/US2017/049466号パンフレット、「SURGICAL SYSTEM FOR POSITIONING PROSTHETIC COMPONENT AND/OR FOR CONSTRAINING MOVEMENT OF SURGICAL TOOL」という名称を有する2010年9月29日付けで出願された米国特許出願第12/894,071号明細書、「SYSTEMS AND METHOD FOR MEASURING PARAMETERS IN JOINT REPLACEMENT SURGERY」という名称の2011年9月16日付けで出願された米国特許出願第13/234,190号明細書、「HAPTIC GUIDANCE SYSTEM AND METHOD」という名称の2006年2月21日付けで出願された米国特許出願第11/357,197号明細書、「TRANSMISSION WITH FIRST AND SECOND TRANSMISSION ELEMENTS」という名称の2009年12月22日付けで出願された米国特許出願第12/654,519号明細書、「DEVICE THAT CAN BE ASSEMBLED BY COUPLING」という名称の2009年12月22日付けで出願された米国特許出願第12/644,964号明細書、「SYSTEM AND METHOD FOR VERIFYING CALIBRATION OF A SURGICAL DEVICE」という名称の2007年5月18日付けで出願された米国特許出願第11/750,807号明細書、という特許文献のすべてを包含する。
【0041】
I.概要
股関節は、大腿骨と骨盤の間の関節であり、且つ、主に、静的(例えば、直立)及び動的(例えば、歩行)姿勢において身体の重量を支持するべく機能している。図1Aは、股関節10の動作側の骨を示しており、これは、左骨盤又は腸骨12と、左大腿骨14の近端と、を含む。図1Aには、右骨盤及び右大腿骨の近端が示されていないが、このような本明細書における説明は、制限を伴うことなしに、右及び左大腿骨及び骨盤の両方に適用可能である。継続すれば、大腿骨14の近端は、大腿骨頸部18上において配設された大腿骨頭16を含む。大腿骨頸部18は、大腿骨頭16を大腿骨幹20に接続している。図1Bに示されているように、大腿骨頭16は、寛骨臼22と呼称される、骨盤12内の凹入したソケット内にフィットし、これにより、股関節10を形成している。寛骨臼22及び大腿骨頭16は、いずれも、関節10のショックを吸収し、且つ、その関節接続を促進する、関節軟骨によってカバーされている。
【0042】
時間に伴って、股関節10は、(例えば、変形性関節症に起因して)劣化する場合があり、その結果、痛みと、機能の低下と、がもたらされる。この結果、人工股関節全置換術又は股関節リサーフェシングなどの、人工股関節置換手順が必要となりうる。人工股関節置換の際に、外科医は、患者の股関節10の一部分を人工コンポーネントによって置換している。人工股関節全置換術において、外科医は、大腿骨頭16及び頸部18を除去し、且つ、自然の骨を(図2Aに示された)頭部26a、頸部26b、及びステム26cを有する補綴大腿骨コンポーネント26によって置換している。図2Bに示されているように、大腿骨コンポーネント26のステム26cは、外科医が大腿骨14の髄内管内において生成した空洞内において係留されている。或いは、この代わりに、疾病が大腿骨頭16の表面に閉じ込められている場合には、外科医は、大腿骨頭が、(例えば、円筒形リーマーを使用して)リサーフェシングされ、且つ、補綴大腿骨頭カップ(図示されていない)と結合される、相対的に侵襲性の低い方式を選択してもよい。同様に、骨盤12の自然な寛骨臼22が損耗するか又は疾病を有する場合には、外科医は、リーマーを使用して寛骨臼22をリサーフェシングし、且つ、自然な表面をライナ28bを含みうる(図2Aに示されている)半球形状のカップ28aを有する補綴寛骨臼コンポーネント28によって置換している。寛骨臼コンポーネント28を設置するべく、外科医は、カップ28aをインパクタツールの遠端に接続し、且つ、マレットによってインパクタツールの近端を反復的に打撃することにより、カップ28aをリーミング済みの寛骨臼22内に埋植している。寛骨臼コンポーネント28がライナ28bを含む場合には、外科医は、カップ28aを埋植した後に、ライナ28bをカップ28a内にスナップ結合している。外科医が手術のために患者を配置する位置に応じて、外科医は、寛骨臼22をリーミングするべく、まっすぐな又はオフセットされたリーマーを使用することでき、或いは、寛骨臼カップ28aをインプラントするべく、まっすぐな又はオフセットされたインパクタを使用することもできる。例えば、後-横の方式を使用する外科医は、まっすぐなリーミング及び埋伏を選好しうる一方で、前-横の方式を使用する外科医は、オフセットされたリーミング及び埋伏を選好しうる。
【0043】
II.例示用のロボットシステム
本明細書において記述されている手術システムは、人工股関節置換のみならず、その他の手術手順を実行するべく、利用することができる。図3Aに示されているように、本開示による手術用途用の手術システム5の一実施形態は、コンピュータ支援型ナビゲーションシステム7と、追跡装置8と、コンピュータ15と、1つの表示装置9(又は、複数の表示装置9)と、ロボットアーム30と、を含む。
【0044】
ロボットアーム30は、人工股関節置換手順などの手術手順を患者に対して実行するべく、外科医によって対話型の方式によって使用することができる。図3Bに示されているように、ロボットアーム30は、ベース32と、関節接続されたアーム34と、フォースシステム(図示されていない)と、コントローラ(図示されていない)と、を含む。手術ツール58(例えば、図3Aにおいて観察される回転バーリング装置、図3Bにおいて観察される動作部材を有するエンドエフェクタ40)が、関節接続されたアーム34の一端に結合されており、且つ、外科医は、関節接続されたアーム34及び/又は手術ツールを把持し且つ手動的に運動させることにより、手術ツール58を操作している。
【0045】
フォースシステム及びコントローラは、手術ツールの操作の際に、制御又はガイダンスを外科医に提供するように構成されている。フォースシステムは、関節接続されたアーム34を介して、少なくともある程度の力を手術ツールに提供するように構成されており、且つ、コントローラは、フォースシステムを制御するための制御信号を生成するようにプログラミングされている。一実施形態において、フォースシステムは、外科医が、例えば、2006年2月21日付けで出願された米国特許出願第11/357,197号(米国特許出願公開第2006/0142657号)明細書及び/又は2009年12月22日付けで出願された米国特許出願第12/654,519号明細書において記述されているように、触覚物体によって定義された予め定義された仮想境界を越えて手術ツールを手動的に運動させることを制約又は禁止するべく、触覚(又は、フォース)フィードバックを提供するアクチュエータ及び逆駆動可能なトランスミッションを含み、これらの特許文献のそれぞれは、引用により、そのすべてが本明細書において包含される。特定の実施形態において、手術システムは、Fort Lauderdale, Fla.に所在するMAKO Surgical Corp. of によって製造されたRIO(商標)Robotic Arm Interactive Orthopedic Systemである。フォースシステム及びコントローラは、ロボットアーム30内において収容されていてもよく、或いは、自律型又はハンドヘルド型のユニットの一部分であってもよい。一般に、手術位置合わせの方法は、自律的に動作する、或いは、触覚制御下において外科医によってガイドされている、手術ロボットのロボットアームによって実行することができる。同様に、手術位置合わせの方法は、許容可能な動作のゾーン内において動作するハンドヘルド型のユニットを介して実行することもできる。
【0046】
追跡装置8は、(ロボットアーム30に結合された)手術ツール58及び患者の解剖構造の相対的な場所を追跡するように構成されている。手術ツール58は、追跡装置8によって直接的に追跡することができる。或いは、この代わりに、手術ツールのポーズは、ロボットアーム30のベース32の場所を追跡し、且つ、ロボットアーム30の結合部からの結合部エンコーダデータ及び手術ツールとロボットアーム30の間の既知の幾何学的関係に基づいて手術ツール58のポーズを算出することにより、判定することができる。具体的には、追跡装置8(例えば、光学的、機械的、電磁的、又はその他の既知の追跡システム)は、ナビゲーションシステム7がツールと解剖構造の間の相対的関係を認知するように、手術ツール及び患者の解剖構造のポーズ(即ち、位置及び向き)を追跡している(或いは、その判定を可能にしている)。
【0047】
動作の際に、ユーザー(例えば、外科医)は、骨の切削又はインプラントの設置などの手術的タスクを患者に対して実行するために、手術ツール58(例えば、回転バーリング装置、動作部材を有するエンドエフェクタ40)を操作するべく、ロボットアーム30を手動的に運動させている。外科医がツール58を操作するのに伴って、追跡装置8は、手術ツールの場所を追跡し、且つ、ロボットアーム30は、患者の解剖構造に対して位置合わせされた(或いは、マッピングされた)予め定義された仮想境界を越えてツール58を運動させるための外科医の能力を制限するべく、触覚(又は、フォース)フィードバックを提供しており、この結果、非常に正確且つ反復可能な骨の切削及び/又はインプラントの配置がもたらされる。ロボットアーム30は、受動的な方式によって動作しており、且つ、外科医が仮想境界を越えて手術ツール58を運動させるべく試みた際に、触覚フィードバックを提供している。触覚フィードバックは、ロボットアーム30内の1つ又は複数のアクチュエータ(例えば、モーター)によって生成され、且つ、ケーブル駆動トランスミッションなどの、曲がりやすいトランスミッションを介して外科医に送信されている。ロボットアーム30が触覚フィードバックを提供していない際には、ロボットアーム30は、外科医によって自由に運動可能であり、且つ、好ましくは、適宜、外科医によって起動されうる仮想的なブレーキを含む。手術手順において、ナビゲーションシステム7は、手術手順に関係する画像を表示装置9の1つ又は両方上において表示している。
【0048】
システム内の機器の様々なユニットの追跡を支援するべく、ロボットアーム30は、ロボットアーム30のグローバル又はグロス位置を追跡するための装置マーカー48と、関節接続アーム34の遠端を追跡するためのツールエンドマーカー54と、位置合わせプロセスにおいて使用されるフリーハンドナビゲーションプローブ56と、を含みうる。(患者の骨の内部において位置決めされたナビゲーションマーカーなどのその他のものに加えて)これらのマーカー48、54、56のそれぞれは、例えば、光学カメラを有する追跡装置8によって追跡可能である。
【0049】
コンピュータ15は、ディスプレイ及び入力装置(例えば、キーボード、マウス)を含んでいてもよく、且つ、システム内のナビゲーションシステム7、追跡装置8、様々な表示装置9、及びロボットアーム30と通信するように構成されている。更には、コンピュータ15は、特定の手術手順に関係する情報を受け取ることができると共に、手術手順の実行に関係する様々な機能を実行することができる。例えば、コンピュータ15は、画像分析、手術計画、位置合わせ、ナビゲーション、画像ガイダンス、及び触覚ガイダンスに関係する機能を実行するべく必要とされるソフトウェアを有することができる。本明細書において記述されている様々なシステム及び方法を実装しうる1つ又は複数の演算ユニットを有する例示用の演算システムの更に詳細な分析については、図14を参照して後述する。
【0050】
図3Bは、ロボット支援型の人工股関節置換術において使用されるのに特に適したエンドエフェクタ40を示している。エンドエフェクタ40は、ロボットアーム30の一端に取り付けられるように構成されている。エンドエフェクタ40は、取付部分50と、ハウジングと、結合装置と、解放部材と、を含む。エンドエフェクタ40は、ロボットアーム30との関係において複数の動作部材を個別に且つ相互交換可能に支持し且つ正確に位置決めするように構成されている。図3Bにおいて観察されるように、エンドエフェクタ40は、動作部材100に結合されている。エンドエフェクタ40及び関係するツール、システム、及び方法については、2010年9月29日付けで出願された米国特許出願第12/894,071号明細書に記述されており、この特許文献は、引用により、そのすべてが本明細書に包含される。
【0051】
取付部分(又は、マウント)50は、好ましくは、エンドエフェクタ40をロボットアーム30に結合している。具体的には、取付部分50は、ハウジングから延在し、且つ、取付部分が相互の関係において固定されるように、例えば、機械的な留め具を使用してエンドエフェクタ40をロボットアーム30の対応する取付部分35に結合するように構成されている。取付部分50は、ハウジングに装着することが可能であり、或いは、ハウジングと一体的に形成することが可能であり、且つ、ロボットアーム30との関係においてエンドエフェクタ40を正確に且つ反復可能に位置決めするように構成されている。一実施形態において、取付部分50は、2009年12月22日付けで出願された米国特許出願第12/644,964号明細書において記述されているセミキネマティックマウントであり、且つ、この特許文献は、引用により、そのすべてが本明細書に包含される。
【0052】
図3Bにおけるエンドエフェクタ40は、手術ロボットアーム30によって追跡及び使用されうる種々のツールの一例である。当技術分野において既知であるその他のツール(例えば、ドリル、バー)も、所与の手術手順のためにロボットアームに装着することができる。
【0053】
III.手術手順の術前計画
手術手順の前に、患者の骨盤12及び大腿骨14の術前CT(Computed Tomography)スキャンが、医療撮像装置によって生成される。本説明は、CTスキャンに合焦することになるが、その他の撮像モード(例えば、MRI)を同様に利用することができる。これに加えて、且つ、この代わりに、CTスキャンから導出されたX線画像及び/又は3次元モデル512、514を手術計画のために使用することも可能であり、これは、CTに基づいたモデルではなく、実際のX線画像を使用してインプラントの配置を計画することに慣れた外科医にとっては、有用でありうる。これに加えて、骨の一般的なモデル又は骨の統計的なモデルも、使用されうるであろう。これらのモデルは、位置合わせプロセスにおいて患者の骨にモーフィングされうるであろう。又、これに加えて、又はこの代わり、患者固有の骨モデルは、位置合わせの際に収集された患者データを伴って又は伴うことなしに、2次元X線画像の組合せを使用して生成することもできる(例えば、2Dから3Dモデル)。
【0054】
CTスキャンは、外科医により、或いは、独立した撮像施設において、実行することができる。これに加えて、又はこの代わりに、骨の患者モデルを生成するべく、術中撮像方法を利用することもできる。例えば、対象の表面の表面プロファイルを生成するべく、対象の様々な骨表面を被追跡型プローブによってプロービングすることができる。表面プロファイルは、患者骨モデルとして使用することができる。従って、本開示は、患者骨モデル又はその一部分を生成するすべての方法に適用可能である。
【0055】
図4に示されるように、CTスキャン又はCTスキャンからのデータは、骨盤12の3次元モデル512及び大腿骨14の3次元モデル514を取得するべく、セグメント化されている。3次元モデル512、514は、手術計画を構築するべく外科医によって使用される。外科医は、患者の解剖構造のモデル512、514との関係において寛骨臼コンポーネント及び大腿骨コンポーネントの望ましいポーズ(即ち、位置及び向き)を指定することにより、手術計画を生成する。例えば、寛骨臼カップの計画されたポーズ500は、表示装置9などのコンピュータディスプレイ上において指定及び表示することができる。手術手順において、物理空間内の患者の解剖構造及び手術ツールのモーションは、追跡装置8によって追跡され、且つ、これらの追跡された物体は、ナビゲーションシステム7(画像空間)内において対応するモデルに対して位置合わせされる。この結果、物理空間内の物体が、画像空間内において、対応するモデルに関連付けられる。従って、手術システム5は、患者の解剖構造及び計画されたポーズ500との関係における手術ツールの実際の位置を認知しており、且つ、この情報は、手術手順において、表示装置9上においてグラフィカルに表示される。
【0056】
特定の実施形態において、モデル512、514は、それぞれ、フル骨表面12、14のものであってもよい。特定の実施形態において、モデル512、514は、寛骨臼22及び大腿骨頭16などの、対象の重要な領域のみを提供する、トリミングされた3次元モデルであってもよい。即ち、トリミングされた3次元モデルは、フル骨モデル512、514の一部分のみを表している。特定の実施形態において、モデル512、514は、複数のモデルの組合せであってもよい。例えば、モデル512は、手術対象の骨盤、非手術対象の骨盤、及び脊椎の個別の3次元モデルの組合せであってもよい。
【0057】
IV.術中手順
A.
図5は、人工股関節全置換を実行する術中ステップの一実施形態を示している。この実施形態において、ステップS1~S7、S9、S11、及びS12は、ロボットの支援を伴って又は伴うことなしに、実行することができる。その他の実施形態において、S1~S2は、必要とされない場合があり、S3~S5は、S1~S2の前に実行することが可能であり、且つ、S7は、S8の前の任意の時点において実行されうるであろう。ステップS8及びS10は、好ましくは、ロボットアーム30を使用して実行される。例えば、ステップS8(リーミング)は、動作部材100に結合されたエンドエフェクタ40を有する図3のロボットアーム30を使用して実行することが可能であり、且つ、ステップS10(埋伏)は、別の動作部材に結合されたエンドエフェクタ40を有するロボットアーム30を使用して実行することができる。
【0058】
B.大腿骨の追跡及び位置合わせ
手術手順のステップS1において、追跡装置8が大腿骨14のモーションを追跡することを可能にするべく、追跡アレイが大腿骨14に装着されている。ステップS2において、大腿骨14のポーズ(物理的空間)をナビゲーションシステム7(画像空間)内の大腿骨14の3次元モデル514と相関させるべく、大腿骨14が位置合わせされている。これに加えて、大腿骨チェックポイントを装着することができる。ステップS3において、大腿骨が、手術のために準備されている。
【0059】
以下の説明は、患者の股関節に対する手術手順において大腿骨を準備及び位置合わせする例示用の方法を提供している。特定の例において、大腿骨の準備及び位置合わせの方法については、図8図13を参照して説明することとする。これに加えて、同様に、大腿骨インプラント及び大腿骨の準備の術前計画の特定のステップについても、説明することとする。
【0060】
まず、図8及び図9A図9Dを参照されたい。特定の例において、位置合わせ方法800は、大腿骨の近位部分の外部表面と、例えば、大腿骨インプラントコンポーネントのステムの埋植のために準備される、骨髄腔に沿ったものなどの、内部骨表面と、の両方上においてポイントをピックアップするステップを含みうる。この結果、位置合わせ変換は、変換の精度を増大させるべく内部及び外部骨情報を含みうる。図8において観察されるように、位置合わせ方法800は、802において大腿骨の外側及び内側骨表面をセグメント化又はモデル化するステップを含みうる。近位大腿骨902の単一医療画像900が、図9Aにおいて示されており、この場合に、外側骨表面904及び内側骨表面906の両方が、セグメント化のために識別されている。単一医療画像900のみが示されているが、位置合わせ方法800は、フル骨を包含する複数の医療画像をセグメント化するステップを含むことができる。従って、複数の医療画像のそれぞれのものの内側及び外側骨表面をセグメント化することができる。
【0061】
これに加えて、位置合わせ方法800は、図8の802において、近位大腿骨においてポイントクラウドを識別するステップを含みうる。図9Aにおいて観察されるように、一連のポイント908及びその個々の場所が、ポイントクラウド内において識別及び保存されている。図において観察されるように、一連のポイント908は、大腿骨頸部、大腿骨頭、及び大転子上において配置されている。
【0062】
位置合わせ方法800のステップ802は、手術手順の前に発生しているが、ステップ804~808は、術中において発生している。位置合わせ方法800は、図8の804において、ポイントピックアップのために骨空洞をきれいにするべく、計画されたものよりも小さい触覚容積内においてバーエンドエフェクタによって近位大腿骨を切除するステップを含みうる。図9Bにおいて観察されるように、近位大腿骨902は、インプラントのステムの配置のための後続の切除のために、容積912よりも小さい容積910内において切除されている。
【0063】
図8を再度参照すれば、位置合わせ方法800は、806において、外科医が、骨髄管に沿って内部骨表面上においてポイントをピックアップ、ロギング、又はキャプチャするステップを含みうる。図9Cにおいて観察されるように、近位大腿骨902の骨髄管に沿って内部骨表面上においてポイントをキャプチャするべく、尖った先端を有する被追跡型のプローブ914を使用することができる。プローブの先端は、キャプチャのために、アンダーカットされた容積910を通じて、且つ、ステム容積912内に、ポイント916まで、延在しうる。又、位置合わせ方法800は、806において、組み合わせられた新しい且つ既存のポイントクラウドデータを伴うICP(Iterative Closest Point)変換などの、最適化方法を実行するステップを含んでいてもよく、且つ、位置合わせ変換を更新することができる。
【0064】
位置合わせ方法800のステップ808において、大腿骨コンポーネントのステムの後続の埋植のための計画された容積に対する(即ち、バーエンドエフェクタを使用する)大腿骨の準備を終了することができる。図9Dにおいて観察されるように、フル容積912が、大腿骨コンポーネントのステムの埋植のために切除されている。
【0065】
図10及び図11A図11Dには、別の大腿骨位置合わせ方法1000が示されている。図10において観察されるように、位置合わせ方法1000は、ステップ1002において、大腿骨の外側及び内側骨表面をセグメント化するステップを含みうる。これに加えて、ステップ1002は、骨位置合わせのために近位大腿骨においてポイントクラウドをピックアップするステップをも含む。図11Aは、近位大腿骨1102の医療画像1100を示しており、この場合に、外側骨表面1104及び内側骨表面1106の両方が、セグメント化のために識別されている。又、医療画像1100は、ポイントクラウド内において保存されている一連のポイント1108をも含む。図において観察されるように、一連のポイント1108は、大腿骨頸部、大腿骨頭、及び大転子上において配置されている。
【0066】
位置合わせ方法1000のステップ1002は、手術手順の前に発生している一方で、ステップ1004~1008は、術中において発生している。図10のステップ1004は、大腿骨インプラントコンポーネントのステムの埋植のために最終的に計画されたものよりも小さな容積内においてエンドエフェクタのバーによって近位大腿骨を切除するステップを含む。この相対的に小さな容積は、ポイントのピックアップのために内部大腿骨腔をきれいにしている。図11Bにおいて観察されるように、エンドエフェクタのバー1114は、大腿骨1102の近端の内部部分内において容積1110を切除している。一般に、バー1114は、大腿骨頸部及び大転子を通じて遠位方向又は下向きの軌跡により、切除することができる。特定の例において、大腿骨頭は、手順のこの時点において、切除されていない状態に留まっていてもよい。切除された容積1110は、図11Bにおいて観察されるように、手順において後から切除されることになる、相対的に大きな、最終的準備容積1112の限界内にある。
【0067】
図10のステップ1006は、大腿管を下向きに(遠位方向に)エンドエフェクタのバー(或いは、エンドエフェクタの端部に装着されたその他のツール)を運動させ、且つ、骨の内側部分上の無傷の骨表面上においてポイントをピックアップ、ロギング、又はキャプチャするステップを含む。又、骨表面は、硬質表面との接触が実施される際を判定するべくシステム内のモーターの状態を監視することにより、自動的に検出することもできる。次いで、組み合わせられた新しい且つ既存のポイントクラウドデータにより、ICP(Iterative Closest Point)計算が実行される。次いで、位置合わせ変換が更新される。図11Cにおいて観察されるように、外科医は、バー1114が内側骨表面1106に接触する時点まで、バー1114をアンダーカットされた触覚容積1110を通じて前進させている。外科医は、内側骨表面1106上において、ポイント1116をキャプチャ、ロギング、又はピックアップしている。これらのポイントの場所は、位置合わせ変換を更新するべく使用される。これに加えて、又はこの代わりに、システムは、バーTCPが内側の無傷の皮質骨表面に接触することを自動的に検出してもよく、或いは、これは、バーエンドエフェクタに装着されたフォース/トルクセンサ(又は、その他のタイプのセンサ)を使用して計測することもできる。
【0068】
図10のステップ1008は、更新済みの骨位置合わせ変換を使用した大腿骨インプラントコンポーネントのステムの配置のための計画された切除容積又は触覚容積に対する大腿管の切除を終了させるステップを含む。図11Dにおいて観察されるように、大腿管は、手術計画に従って、フル切除容積1112に対して十分に切除されている。
【0069】
図12及び図13A図13Dには、別の大腿骨位置合わせ方法1200が示されている。図12において観察されるように、位置合わせ方法1200は、ステップ1202において、近位大腿骨の外側骨表面をセグメント化し、且つ、近位大腿骨の医療画像から構築された骨モデル内において、大腿管の大腿管軸又は大腿骨の解剖構造のZ軸を判定するステップを含みうる。これに加えて、ステップ1202は、骨位置合わせのために近位大腿骨外側表面上においてポイントクラウドをピックアップするステップを含むこともできる。この特定の大腿骨位置合わせ方法1200は、内側骨表面のセグメント化を含んではいない。図13Aにおいて観察されるように、患者の近位大腿骨1302の複数の医療画像のうちの1つの医療画像1300が取得されている。医療画像1300内の近位大腿骨1302の外側骨表面1304は、セグメント化され、且つ、大腿管の大腿骨の解剖構造のZ軸1306が、複数の医療画像から判定される。又、図は、近位大腿骨1302上におけるポイントクラウドの複数のポイント1308をも示している。複数のポイント1308は、大腿骨頭、大腿骨頸部、及び大転子の一部分に沿って離隔している。
【0070】
位置合わせ方法1200のステップ1202は、術前において発生している一方で、ステップ1204~1208は、術中において発生している。図12のステップ1204は、大腿骨インプラントコンポーネントのステムの埋植用の十分に切除された触覚容積よりも小さな容積内において、エンドエフェクタのバーにより、近位大腿骨を切除するステップを含む。ステップ1204の切除の相対的に小さな容積は、ポイントピックアップ用の空洞をきれいにすることを意図したものである。これに加えて、ステップ1204において、外科医は、トラッカメカニズムを骨髄管内に挿入してもよい。図13Bにおいて観察されるように、大腿管内の初期容積1310が、エンドエフェクタのバーを介して切除されている。初期容積1310は、大腿骨インプラントコンポーネントのステムの埋植用に使用されることになるフル切除容積1312よりも乏しい。初期容積1310が切除された後に、トラッカメカニズム又はツール1314が、大腿管内に挿入される。図13Bにおいて観察されるように、トラッカメカニズム1314は、遠位膨張メカニズムと、遠位位置決めメカニズムから近位方向において延在するシャフトと、トラッカメカニズムの近端におけるトラッカと、を含む。トラッカメカニズム1314は、遠位位置決めメカニズムが初期容積1310を通過して、且つ、大腿管の骨内に、延在するように、大腿管内に挿入することができる。
【0071】
図12のステップ1206は、トラッカメカニズム1314を大腿骨の内部側の皮質骨表面とアライメントさせるステップを含みうる。図13Cを参照すれば、これは、シャフトが大腿骨の解剖構造のZ軸1306とほぼ平行となるように、大腿管内において横方向に膨張した向きにおいて、トラッカメカニズム1314を示している。図において観察されるように、遠位位置決めメカニズム1314は、大腿骨1302の内側皮質骨表面に接触するように、半径方向を外向きに膨張するように構成された、長手方向に(シャフトと平行に)延在する複数の部材を含みうる。複数の部材は、複数の部材が大腿骨の皮質骨表面に接触していることを検証するべく、医療撮像の下において観察される能力を有する複数のマーカーを有しうる。図において観察されるように、複数の部材が皮質骨表面に接触した際に、遠位位置決めメカニズムから近位方向において延在するシャフトは、大腿骨の解剖構造のZ軸1306に平行である。特定の例において、骨接触ポイントの場所は、トラッカメカニズム1314の内側において追跡することができる。メカニズム1314は、任意の所与の位置において中心点を位置合わせするように、管内のツールをセンタリングする能力を有する、2つの、3つの、又は更に多くの数の、接触ポイントを含みうる。このような例においては、ツール軸は、必要とされない場合がある。特定の例において、トラッカメカニズム1314上の接触点は、スプリング膨張可能でありうると共に、ツールが管内に挿入されるのに伴って、骨の内部壁を能動的に追跡及びマッピングしうるであろう。
【0072】
又、図12を再度参照すれば、位置合わせ方法1200は、ステップ1206において、既存のポイントクラウド及び大腿骨の解剖構造のZ軸の判定により、ICP(Iterative Closest Point)計算を実行するステップを含んでいてもよく、且つ、相応して、位置合わせ変換を更新することができる。
【0073】
図12のステップ1208は、トラッカメカニズム1314を除去し、且つ、位置合わせ変換に基づいて更新済みでありうる最終的な切除容積に大腿管の残りの部分を切除することにより、骨準備を終了させるステップを含みうる。図13Dにおいて観察されるように、近位大腿骨1302は、大腿骨インプラントコンポーネントのステムの埋植のための最終的な切除容積1316に十分に切除することができる。
【0074】
図13Eには、別の大腿骨位置合わせ方法1330が示されている。図13Eにおいて観察されるように、位置合わせ方法1330は、以下の動作又はステップを含みうる。特定の例において、方法1330は、撮像座標系内において患者骨のコンピュータモデルとの関係においてインプラントの配置を計画するステップ(1)を含んでもよい。(1)におけるインプラント計画は、(管の位置合わせにおいて使用される)計画された初期大腿管準備(2a)と、(インプラントステムを受け取るための)撮像座標系内の計画されたフル準備(2b)と、を提供することができるが、その理由は、大腿管の2つの計画された準備が全体的なインプラント計画に関係付けられうるからである。又、フル準備(2b)と管準備(2a)の間の差(例えば、容積差)も、撮像空間(2c)において算出することができる。
【0075】
図13Eの方法1330によって継続すれば、インプラント計画(さもなければ、術前計画と呼称される)(1)の後に、外科医は、任意の既知の位置合わせ方法を使用して近位大腿骨(3)を位置合わせすることができる。近位大腿骨の位置合わせ(3)から、骨座標系(骨CS-A)に対する近位位置合わせ変換(4)が算出される。(4)からの近位位置合わせ変換を使用することにより、(2)からの計画された大腿管準備が骨CS-A(5)に変換される。次いで、(5)からの骨CS-A内において大腿管準備計画を認知することにより、システムは、(2a)において判定された計画された管準備に従って大腿骨の近位管を物理的にバーリングすることにより、管を骨CS-A(6)内において準備することができる。
【0076】
この結果、バーリングされた又はその他の方法で準備された近位大腿管により、外科医は、いまやバーリングによって露出した内側骨(7)を位置合わせすることができる。骨CS-B(8)に対するフル骨位置合わせ変換を算出するべく、(3)における近位位置合わせを(7)における内側骨位置合わせと組み合わせることができる。(8)からのフル骨変換により、(2a)からのフル骨準備計画は、骨CS-B(9)に変換される。
【0077】
10における決定ボックスは、設計が、フル準備であるのか、或いは、残りの準備のみであるか、の間において分割されうる場所を定義している。
【0078】
例#1においては、(予め準備された管を無視することにより)フル骨準備を準備している。次いで、(9)からの骨CS-Bにおけるフル準備計画を認知することにより、システムは、(2b)からのフル準備計画に従って近位大腿管を物理的にバーリングすることにより、骨CS-B(11)におけるフル準備計画に従って近位大腿骨を準備することができる。骨の位置合わせ及び準備は、この第1例においては、完了している。
【0079】
以下、例#2又は#3について説明することとする。
【0080】
(16)における決定ボックスは、設計が、近位位置合わせ(骨CS-A)とフル位置合わせ(骨CS-B)の間において、変換についての補正を伴う又は伴わない残りの骨の準備の間において分割されうる場所を定義している。
【0081】
例#2:変換補正を伴って残りの骨を準備している。(4)からの骨CS-Aと(8)からの骨CS-Bの間の差が算出されている。上述の変換の差を認知することにより、骨CS-A(5)における大腿管準備は、骨CS-B(13)に変換することができる。骨CS-B(14)における残りの骨は、骨CS-B(9)におけるフルの計画済みの準備から骨CS-B(13)における管準備を減算することにより、算出することができる。この結果、骨CS-Bにおける残りの骨を認知することにより、システムは、フル準備計画に従って近位大腿管内の残りの骨をバーリングすることにより、骨CS-B(15)内の残りの骨を準備することができる。骨の位置合わせ及び準備は、この第2例においては、完了している。
【0082】
例#3:変換補正を伴うことなしに、残りの骨を準備している。(2c)からの計画済みの残りの骨は、(8)からの変換を認知することにより、骨CS-B内に変換される。次いで、システムは、骨CS-Aと骨CS-Bの間の差は、最小であり、且つ、差に起因した任意の準備されてはいない骨は、フローティングすることになり、且つ、管から除去可能となる、という仮定の下に、骨CS-B(17)内の仮定された残りの骨を準備することができる。骨の位置合わせ及び準備は、この第3例においては、完了している。
【0083】
図13Fには、別の大腿骨位置合わせ方法1340が示されている。方法1340の第1ステップ1342は、例えば、人工股関節全置換などの、関節形成術の手順を術前に計画するステップである。更に詳しくは、ステップ1342は、術前座標内の患者の大腿骨との関係において大腿骨インプラントのインプラント配置を計画するステップを含みうる。これは、その他の変数に加えて、インプラントサイズ、形状、タイプ、及び製造者の選択を含みうる。これに加えて、インプラントの術前計画は、患者骨モデル(例えば、患者の物理的な大腿骨を表す仮想的な3次元骨モデル)との関係においてインプラントモデル(例えば、製造者によって提供される物理的インプラントを表す仮想的な3次元インプラントモデル)を仮想的に位置決め及び方向付けするステップを含みうる。インプラントモデルは、製造者によって提供されうる。患者骨モデルは、患者の脚の術前スキャンから生成することができる。患者骨モデルは、統計的なモデル、一般的なモデル、或いは、患者の物理的な骨の形状、サイズ、及び構成を表す又は近似するその他のタイプのモデルから生成することができる。
【0084】
最終的なインプラントの位置及び向きが、特定の手術結果を実現するべく判定されたら、最終的なインプラント位置及び向きを実現するべく、手術計画を判定することができる。例えば、最終的なインプラントの位置及び向きは、大腿骨インプラントのステムが、望ましい又は計画された最終的なインプラント位置及び向きを実現するべく、その内部において正確に位置決めされうるように、大腿骨の管から除去されるべき骨の対応する位置及び向きを判定することになる。
【0085】
又、術前計画ステップ1342の一部として、方法1340は、ステップ1344において、初期管準備計画を計画又は判定するステップを含みうる。又、初期管準備計画は、手術計画の第1骨除去計画とも呼称されうる。実際の、物理的な手術において、大腿管は、例えば、大腿骨インプラントのステムが最終的に位置決めされることになる場所において長手方向に穿孔されることにより、準備されることになる。本明細書において記述されているように、大腿管は、位置合わせ目的のための初期管準備と、大腿骨インプラントの埋植用の最終的管準備と、という、少なくとも2つのステップにおいて準備されることになる。初期管準備計画を判定するステップ1344は、大腿管の部分的骨除去用の座標場所を判定するステップを含みうる。又、ステップ1344は、大腿管からの骨の除去を促進するべく手術装置用の切削経路を判定するステップをも含みうる。座標場所及び切削経路は、最終的なインプラントの位置及び向きを計画するべく使用される術前骨モデルとの関係において座標系内において定義することができる。本明細書において記述されているように、初期管準備計画は、大腿骨インプラントのステムの埋植に必要とされるフル管準備よりも乏しい骨除去(例えば、相対的に乏しい深さ、相対的に乏しい直径)を含む、部分的な管準備のみを含みうる。
【0086】
初期管準備計画が、大腿管のフル準備ではなく、大腿管からの部分的な骨除去となる1つ理由は、部分的骨除去が、大腿管のフル準備の前に発生する大腿管からのデータを伴う更なる位置合わせステップを許容している、という点にある。内部大腿管のこの更なる位置合わせは、相対的に正確な位置合わせプロセスに、且つ、従って、大腿管の相対的に正確なフル準備に、結び付きうる。少なくとも、これらの理由から、骨除去の術前計画は、術前に計画された最終的なインプラントの位置及び向きを実現するべく、少なくとも、(位置合わせを目的とした)大腿管からの骨の部分的除去用の計画を含む第1骨除去計画と、大腿管からの骨のフル除去のための計画を含む第2骨除去計画と、に分割されうる。
【0087】
方法1340の次のステップ1346は、最終的な管準備計画を計画又は判定するステップを含みうる。又、最終的な管準備計画は、手術計画の第2骨除去計画とも呼称されうる。或いは、この代わりに、最終的な管準備計画は、位置合わせ後の管準備計画とも呼称されうる。方法1340のこのステップ136は、ステップ1344からの初期管準備を超えた大腿管の準備のための計画を含む。特定の例において、このステップ1346は、管が、大腿骨インプラントのステムを受け入れるべく、十分に穿孔されるような、大腿管の準備用の計画を含む。
【0088】
ステップ1346は、ステップ1348においてブローチレス大腿骨準備計画を計画するステップ、ステップ1350において単一ブローチ準備計画を計画するステップ、ステップ1352において全体管準備計画を計画するステップ、及びステップ1354において骨の残りの部分の管準備計画のみを計画するステップなどの、いくつかのサブステップを含みうる。以下においては、これらのサブステップのそれぞれについて説明することとする。
【0089】
ステップ1346において、最終的管準備計画を判定する際に、方法は、ステップ1348におけるブローチレス準備計画を含みうる。このステップ1348においては、大腿管は、外科医による手動的なブローチングを伴うことなしに、完全にロボット方式で準備されるように計画されている。この結果、骨のいずれの部分も、外科医による手動的準備のために残されてはおらず、換言すれば、全体的な最終的準備計画は、(全体的な管準備であるのか、或いは、骨の残りの部分の管準備のみであるのか、を問わず)ロボット方式で準備されている。
【0090】
ブローチレス準備計画に対する一代替肢として、最終的な管準備計画は、ステップ1350における単一ブローチ準備計画を含みうる。このステップ1350において、大腿管は、外科医によって手動的に実行される最終的なブローチを伴って、部分的にロボット制御により、準備されるように計画されている。この結果、インプラントを埋植するべく必要とされる骨除去の小さな部分が、外科医が最終的なブローチを手動的に実行しうるように、最終的な管準備計画から切り離された状態において残されている。従来の(非ロボット的な)手術においては、外科医は、大腿管を準備するべく増大するサイズの一連のブローチを使用しうる。このケースにおいては、最終的な(単一の)ブローチが利用されてもよく、その理由は、最終的な管準備計画が、ブローチに対するニーズを伴うことなしに、ロボット方式で実行されているからである。外科医が大腿管の最終的なブローチを実行すること許容することにより、外科医がインプラントフィットに対する任意の最終的な調節を実施することが可能になり、且つ、更には、ロボットによる準備を介した管からの過剰な骨の除去の可能性が軽減されうるが、その理由は、外科医が、ブローチングしつつ、インプラントのフィットを試みうるからである。
【0091】
又、最終的な管準備計画が、ステップ1348におけるブローチレス計画を含むことになるのか、或いは、ステップ1350における単一ブローチ計画を含むことになるか、の判定とは別に、最終的な管準備計画1346は、ステップ1352における、全体的大腿管の準備(初期管準備のエリアからの骨除去を含む)を計画するかどうか、或いは、ステップ1354における、骨管の骨の残りの部分(初期管準備によって除去されなかった骨)のみの準備を計画するかどうか、の判定を含みうる。
【0092】
ステップ1352において、最終的な管準備計画は、全体的な大腿管の準備を計画するステップを含みうる。これは、初期管準備計画によって予め準備された大腿管の準備を含みうる。相違点は、第1位置合わせとの比較において、相対的に多くの位置合わせデータ(例えば、大腿骨の内管及び外側表面の両方からの位置合わせデータ)を含む、第2位置合わせが発生することになり、これにより、恐らくは、第2骨除去計画を含む術前座標系から手術座標系への手術計画のマッピングの精度が増大する、というものである。従って、第2位置合わせに続く骨除去の場所の精度に対する改善が存在しうる。従って、全体的な大腿管の準備の計画ステップは、初期管準備計画において除去されるべく当初計画されていた骨の一部分を再ミリング又は再除去することにより、受益することになろう。
【0093】
ステップ1344において、初期管準備計画において除去されるべく当初計画されていた骨の一部分を再除去することに加えて、ステップ1352における、全体的な大腿管の準備のための計画ステップは、大腿骨インプラントのステムの埋植用に十分な骨の残りの部分の骨除去のための座標位置を計画するステップを含みうる。ステップ1352による全体的な大腿管の準備を含む最終的な管準備計画は、ステップ1348によるブローチレス準備計画又はステップ1350による単一ブローチ準備計画を含みうることに留意されたい。
【0094】
ステップ1354において、最終的な管準備計画は、大腿管の骨の残りの部分のみの準備を計画するステップを含みうる。これは、初期管準備計画によって予め準備されなかった大腿管の準備を含みうる。特定の例においては、第2位置合わせからの有意な精度改善が存在していない場合があり、従って、ステップ1352において、全体的な管準備計画において実行されるように骨を再準備するべく所要される時間の増大が、精度のわずかな増大に値していない場合がある。但し、第2位置合わせからの精度改善の大きな増大が存在している場合には、これは、全体的な管の準備が有益であることを通知しうる。
【0095】
ステップ1354における、大腿管の骨の残りの部分のみの準備用の計画ステップは、大腿骨インプラントのステムの埋植に十分な骨の残りの部分の骨除去用の座標場所を計画するステップを含みうる。ステップ1354による大腿管の骨の残りの部分のみの準備を含む最終的な管準備計画は、ステップ1348によるブローチレス準備計画又はステップ1350による単一ブローチ準備計画を含みうることに留意されたい。
【0096】
一例において、最終的管準備計画は、ステップ1352に従って、且つ、ステップ1348に従って、ブローチレス準備計画により、全体的な大腿管を準備するための計画を含みうる。一例において、最終的な管準備計画は、ステップ1352に従って、且つ、ステップ1350に従って、単一ブローチ準備計画により、全体的な大腿管を準備するための計画を含みうる。一例において、最終的な管準備計画は、ステップ1354に従って、且つ、ステップ1348に従って、ブローチレス準備計画により、大腿管の骨の残りの部分のみを準備するための計画を含む。一例において、最終的な管準備計画は、ステップ1354に従って、且つ、ステップ1350に従って、単一ブローチ準備計画により、大腿管の骨の残りの部分のみを準備するための計画を含みうる。
【0097】
ステップ1342において、術前計画が完了した後に、手術を開始することができる。手術の一部分として、ステップ1356において、大腿骨トラッカを患者の骨に設置又は結合することができる。大腿骨トラッカは、手術ロボットが、手術座標系内において患者の骨の近傍を空間的に認知するように、手術ナビゲーションシステムに対する基準を提供している。
【0098】
トラッカが設置されたら、ステップ1358において、大腿骨の近位骨が、(これが既に股関節から脱臼した状態にあると仮定することにより)位置合わせされている。更に詳しくは、大腿骨頭の外部表面上において、手術装置(例えば、被追跡型のポインタ、ロボットアームのエンドエフェクタ)により、ポイントを収集、ロギング、キャプチャすることにより、大腿骨頭を位置合わせすることができる。キャプチャされたポイント(位置合わせデータとも呼称される)は、データのポイントクラウド内において保存することができると共に、大腿骨頭の外部表面上のその場所に従って相互の関係において空間的に方向付けすることができる。位置合わせされるべき表面の形状を近似するべく、十分な数のポイントが収集されている。
【0099】
手術ナビゲーションシステムは、大腿骨トラッカとの関係においてキャプチャされたポイントを空間的に位置特定する能力を有する。ステップ1344からの内部管準備計画は、患者の大腿骨を表す術前骨モデルとの関係において定義されている。従って、位置合わせの目的は、手術計画が術前骨モデルとの関係にあったものと同一の位置及び向きにおいて、実際の大腿骨との関係において、術前手術計画(例えば、内部管準備計画)を手術座標空間に正確に変換又はマッピングする、というものである。この結果、手術ロボットアーム及び手術計画は、同一の座標系内に存在することになり、且つ、ステップ1342において術前に計画された大腿骨の準備を実現するように、ロボットアームを実際の患者の骨上において手術計画を実行するように動作させることができる。
【0100】
ポイントが近位大腿骨上においてキャプチャされたら、システムのコンピュータは、ステップ1360において、近位大腿骨上のキャプチャされたポイントに基づいて位置合わせ変換を算出している。位置合わせ変換は、術前座標系からの初期管準備計画と関連する座標ポイントを手術座標系内の物理的大腿骨上のキャプチャされたポイントにマッピングする数学的アルゴリズムである。位置合わせ変換により、ステップ1344からの初期管準備計画を含む手術計画は、ステップ1362において、手術座標系に対して変換又はマッピングされている。
【0101】
手術座標系内において定義された初期管準備計画により、方法1340は、いまや、ステップ1364において、初期管準備計画に従って近位大腿骨内の初期の管を準備するステップを含む。ステップ1344を参照して説明したように、初期管準備計画は、インプラントのステムの埋植用の大腿管のフル準備よりも乏しい大腿管の部分的な準備を含みうる。例えば、大転子を通じて、且つ、中央管(即ち、大腿管)内に、穿孔又はミリングするべく、手術ロボットのロボットアームを使用することができる。骨は、例えば、皮質骨の内側表面に到達する時点まで、遠位方向においてミリングすることができる。皮質骨は、皮質骨に結び付く海綿骨よりも格段に硬く、即ち、これは、手順において容易に識別される。又、内側皮質骨も、術前骨モデル内において容易に識別される。従って、内側皮質骨は、近位大腿骨上の位置合わせポイントと組み合わせられうる位置合わせ用のエリアを提供している。組み合わせられたポイントは、相対的に正確な位置合わせ変換を生成するべく有利でありうるが、その理由は、ポイントが、相互に離隔しており、且つ、骨の異なる表面(内側及び外側)上に存在しているからである。近位大腿骨及び中央管の位置合わせが可能であり、その理由は、大腿骨頭が依然として無傷である(即ち、いまだ切除されてはいない)からである。
【0102】
中央管の初期の、部分的な準備の後に、方法1340は、ステップ1366において、内管を位置合わせするステップを含みうる。内管は、いくつかの方法で位置合わせすることができる。一例として、大腿管の内部皮質骨表面上においてポイントを収集、ロギング、又はキャプチャするべく、手術装置(例えば、被追跡型のプローブ、手術アームのエンドエフェクタ、上述の装置の任意のもの)を使用することができる。別の例として、手術装置(例えば、被追跡型のプローブ、手術アームのエンドエフェクタ、上述の装置の任意のもの)は、大腿管と関連する向きデータを収集、ロギング、又はキャプチャするべく、使用することができる。向きデータは、大腿管の長手方向軸などの、軸であってもよい。キャプチャされたポイント及び/又は向きデータは、位置合わせデータとして定義することができる。位置合わせデータは、コンピュータ内においてデータのポイントクラウドとして保存することができる。
【0103】
内側骨が位置合わせされたら、方法1340は、大腿管からの位置合わせデータ(例えば、キャプチャされたポイント)及び近位大腿骨の外部表面からの位置合わせデータ(例えば、キャプチャされたポイント及び/又は向きデータ)を使用して位置合わせ変換を算出するステップを含みうる。ステップ1368における第2位置合わせ変換は、ステップ1360における第1位置合わせとの比較において、内管からの更なるデータを含んでいることから、位置合わせ変換は、第1位置合わせ変換との比較において、改善された精度を有しうる。
【0104】
ステップ1370において、方法1340は、ステップ1368の算出された位置合わせ変換に基づいて、ステップ1346からの最終的な管準備計画を手術座標系に変換又はマッピングするステップを含みうる。このステップは、術前座標系からの最終的な準備計画用の骨除去のための座標場所及び/又は命令を手術計画が術前骨モデルとの関係において方向付け及び位置決めされたものと同一位置及び向きにおいて手術座標系にマッピングしている。この結果、最終的な管準備計画は、患者の大腿骨及び手術ロボットと共に、手術座標系内において位置している。
【0105】
最終的な管準備計画を手術座標系に変換するステップに続いて、方法1340は、ステップ1372において、最終的な管準備計画に従って大腿骨を準備するステップを含みうる。大腿骨が準備される方式は、ステップ1346において術前に定義された最終的な管準備計画のパラメータに依存している。ステップ1352における、術前に計画された全体的な管の準備の場合に、全体的な管の物理的な準備は、ステップ1374において発生することになる。このステップにおいて、全体的な大腿管は、ミリングされてもよく、或いは、その他の方法で除去されてもよい。これは、ステップ1364において予め除去された骨の以前の部分をミリングするステップのみならず、予め除去されてはいない骨の残りの部分を準備するステップをも含む。上述のように、ステップ1364における初期管準備は、管と関連する骨の表面又は軸の位置合わせを目的とした大腿管の部分的な準備に過ぎなかった。最終的な大腿管の準備は、大腿骨インプラントのステムを受け入れるべく十分な骨る除去する、というものである。上述のように、全体的な管準備は、大腿骨の外部及び内部位置からのデータを伴う第2位置合わせを活用しうる。従って、全体的な大腿骨準備は、依然として、大腿骨の当初準備された部分から骨を除去してもよく、その理由は、座標が、後続の位置合わせに起因して変化している場合があるからである。
【0106】
ステップ1354における大腿管の骨の残りの部分のみの術前に計画された準備の場合に、骨の残りの部分の物理的な準備は、ステップ1376において発生することになる。このステップにおいて、予め除去されなかった大腿管の骨の残りの部分又は一部分が、大腿骨インプラントのステム用の経路を生成するべく、準備(即ち、除去)されている。これは、予め除去されていなかった骨の部分だけ、大腿管内にミリングするステップを含みうる。このステップは、近位大腿骨の外部上のポイントによって算出された第1位置合わせ変換を使用するのか、或いは、近位大腿骨の外部上のポイント及び大腿管から取得された大腿管データによって算出された第2位置合わせ変換を使用するのか、を決定するサブステップ1378を含みうる。
【0107】
大腿管の物理的準備に続いて、且つ、大腿骨頭の切除の前に、方法1340は、ステップ1380において、頸部の手動的切除用の準備において大腿骨頸部をマーキングするステップを含みうる。ロボットによる股関節手術においては、大腿骨トラッカを大腿骨頭に結合することができる。その結果、従って、トラッカが、もはや、大腿骨の残りの部分の場所を正確に識別できなくなることから、ロボットナビゲーションは、大腿骨頭が切除された際に、機能を休止することになる。少なくともこれを理由として、頸部を手動的に切除する際にガイダンスを外科医に提供するべく、大腿骨頸部は、ロボット方式で制御及びナビゲートされるガイダンスを介してマーキングされている(例えば、エッチングされる)。大腿骨頸部のマークは、計画された切除プレーンに沿った骨内へのエッチング又はバーリングであってよい。エッチング又はバーリングは、骨を完全に切除しない、骨内への切削であってよい。即ち、骨内への切削は、皮質骨を貫通して延在していなくてもよい。その代わりに、切削は、ソーブレードの正しい配置を使用又は検証するための外科医用の可視マークを提供している。
【0108】
ステップ1382には、大腿骨の手動的準備が示されている。頸部の切除が、ステップ1384において示されており、これは、外科医が、頸部において大腿骨頭を手動的に切除するべく、更なるガイド又はジグを伴って又は伴うことなしに、骨鋸を使用するステップを含みうる。最終的な管準備が、ステップ1350において、単一ブローチ準備計画を含んでいた場合には、外科医は、ステップ1386において大腿管をブローチングすることができる。ナビゲートされたロボットが、大腿管準備の残りの部分を準備していることから、外科医が骨の最後の残りの部分を除去するべく単一ブローチを使用するのは、インプラントの試用及びインプラントのフィッティングの前の管の手動的な準備の残りの部分のみである。これは、外科医が、正確なインプラントフィットを提供するべくブローチングするのに伴って、大腿管に小規模の調節を実施する、且つ/又は、インプラントを試してみる、ための機会を外科医に提供している。
【0109】
以下は、図13Fの方法1340を実装する例示用のシステムの説明である。システムは、手術ロボットなどの、手術装置と、大腿骨などの患者の骨と、を位置合わせすることができる。大腿骨は、大腿骨頭、頸部、及び大転子などの、外部表面を含みうる。又、大腿骨は、内管又は大腿管をも含みうる。手術装置及び大腿骨は、同一の手術座標系(例えば、手術室)内に位置している。システムは、手術ナビゲーションシステム及び手術装置と通信状態にある少なくとも1つの演算装置を含みうる。手術ナビゲーションシステムは、追跡装置と、追跡装置によってその運動の際に追跡されるように構成された少なくとも1つのツール(例えば、被追跡型のプローブ、手術ロボット、及び/又は患者上において位置決めされた追跡アレイ)と、を含みうる。又、手術ナビゲーションシステムは、手術装置及び/又は手術装置上の追跡アレイを追跡するように構成されている。少なくとも1つの演算装置は、手術計画を仮想座標空間内において保存している。手術計画は、図13Fの方法1340のステップ1342からのインプラント配置の術前計画からのデータを含みうる。又、手術計画は、図13Fの方法1340のステップ1344における、第1骨除去計画とも呼称される、初期管準備計画をも含みうる。又、手術計画は、図13Fの方法1340のステップ1346における、第2骨除去計画とも呼称される、最終的管準備計画をも含みうる。第2骨除去計画は、頸部エッチング計画などの、その他のステップに加えて、ステップ1348におけるブローチレス準備計画、ステップ1350における単一ブローチ準備計画、ステップ1352における全体的な管準備計画、及び/又はステップ1354における骨の残りの部分の準備計画、のための計画を含みうる。
【0110】
少なくとも1つの演算装置は、a)大腿骨の外部表面上の場所に対応する外部骨位置合わせデータを受け取るステップを実行するように構成されている。この骨位置合わせデータは、図13Fの方法1340のステップ1358からの近位骨の位置合わせに対応しうる。例えば、外科医は、手術座標系において手術ナビゲーションシステムによって追跡される被追跡型のプローブを使用して患者の近位大腿骨(例えば、頭部、頸部)上のポイントをキャプチャ、収集、又はロギングすることができる。次いで、少なくとも1つの演算装置は、b)外部骨位置合わせデータに基づいて第1位置合わせ変換を算出するように構成されている。このステップは、図13Fの方法1340のステップ1360に対応しうる。次いで、少なくとも1つの演算装置は、c)第1位置合わせ変換に基づいて手術計画の第1骨除去計画を手術座標系に変換することができる。このステップは、図13Fの方法1340のステップ1362に対応しうる。又、少なくとも1つの演算装置は、d)大腿骨の内管から場所又は向きデータの少なくとも1つに対応する内部骨管位置合わせデータを受け取ることもできる。このステップは、図13Fの方法1340のステップ1366に対応しうる。例えば、外科医は、大腿管の最終的準備に使用されうる更なる位置合わせデータを提供するべく、評価及び位置合わせを目的として、部分的に準備された患者の内側大腿管上のポイントをキャプチャ、収集、又はロギングすることができる。
【0111】
又、少なくとも1つの演算装置は、e)外部骨位置合わせデータ及び内部骨位置合わせデータの両方に基づいて第2位置合わせ変換を算出することもできる。このステップは、図13Fの方法1340のステップ1368に対応しうる。そして、少なくとも1つの演算装置は、f)第2位置合わせ変換に基づいて手術計画の第2骨除去計画を手術座標系に変換することもできる。このステップは、図13Fの方法1340のステップ1370に対応しうる。
【0112】
これに加えて、又はこの代わりに、以前の段落において記述されている例示用のシステムは、手術装置と患者の骨(例えば、大腿骨)の位置合わせのコンピュータで実施される方法として記述することもできる。コンピュータで実施される方法は、その他のものに加えて、ステップa)~f)において少なくとも1つのコンピュータによって実行されるステップを含みうる。
【0113】
又、これに加えて、又はこの代わりに、以前の段落において記述されている例示用のシステムは、以前の段落において記述されている少なくとも1つの演算装置などの、演算システム上においてコンピュータプロセスを実行するためのコンピュータ実行可能命令を保存する1つ又は複数の有体のコンピュータ可読ストレージ媒体として記述することもできる。コンピュータプロセスは、その他のものに加えて、少なくとも1つの演算装置を参照して記述されているステップa)~f)を含みうる。
【0114】
骨盤の追跡及び位置合わせ
1.概要
図5のステップS4において、追跡装置8が骨盤12のモーションを追跡することを可能にするべく、寛骨臼追跡アレイが骨盤12に装着されている。ステップS5において、寛骨臼追跡アレイが骨盤12との関係において運動していないことを検証するべく、手術手順において使用されるように、チェックポイントを骨盤12に装着することができる。チェックポイントは、例えば、2007年5月18日付けで出願された米国特許出願第11/750,807号(米国特許出願公開第2008/0004633号)明細書において記述されているチェックポイントであることが可能であり、この特許文献は、引用により、そのすべてが本明細書において包含される。
【0115】
ステップS6において、骨盤12が、骨盤12(物理空間)のポーズをナビゲーションシステム7において骨盤12の3次元モデル512と相関させるように、位置合わせされている。図6に示されている、特定の実施形態においては、位置合わせは、骨盤12(物理空間)上のポイントを収集するべく、被追跡型のナビゲーションプローブ56を使用して実現されており、これらのポイントは、次いで、骨盤12(画像空間)の3次元モデル512上の対応するポイントにマッピングされている。特定の実施形態において、位置合わせは、ロボットアーム30のエンドエフェクタ40に結合されたツールを使用して実現することができる。特定の実施形態において、位置合わせは、ナビゲーションシステム7によって追跡されている任意のツール又は装置によって実現することができる。本出願の後続の節においては、骨盤の3次元モデル512(画像空間)と骨盤12(物理空間)を位置合わせする2つの方法について説明する。
【0116】
2.骨盤位置合わせ方法
図6に示されているように、表示装置9は、1つ又は複数の位置合わせポイント516を含む、骨盤12の表現512を示すことができる。位置合わせポイント516は、被追跡型のプローブによってポイントを収集するべく、実際の解剖構造上の場所を外科医が理解することを支援している。位置合わせポイント516は、外科医を更に支援するべく、カラーコード化することができる。例えば、被追跡型のプローブによって次に収集されるべき骨盤12上の位置合わせポイント516は、黄色に着色することが可能である一方で、既に収集済みの位置合わせポイント516は、緑色に着色することが可能であり、且つ、後から収集されることになる位置合わせポイント516は、赤色に着色することができる。位置合わせの後に、表示装置9は、位置合わせアルゴリズムが、物理的に収集されたポイントを骨盤12の表現512に対してどれだけ良好にフィットさせているのかを外科医に示すことができる。
【0117】
例えば、図7に示されているように、誤差ポイント518は、表現512の表面と物理的な骨盤12の対応する表面の間の位置合わせにおいてどれだけの誤差が存在しているのかを示すべく、表示することができる。一実施形態において、誤差ポイント518は、例えば、誤差ポイント518が、緑色において表示された最小誤差を表し、且つ、誤差ポイント518が、青色、黄色、及び赤色において表示された増大する誤差の量を表す状態において、カラーコード化することができる。カラーコード化に対する一代替肢として、誤差の異なる程度を表す誤差ポイント518は、異なる形状又はサイズを有しうるであろう。又、検証ポイント519を表示することもできる。検証ポイント519は、位置合わせを検証するべく、被追跡型のプローブによってポイントを収集するべき場所を外科医に示している。位置合わせポイント519が収集された際に、ナビゲーションシステム7のソフトウェアは、解剖構造上において収集された実際のポイントと物理空間内における表現512の位置合わせされた場所の間の誤差を(例えば、数値的にミリメートルを単位として)表示する。位置合わせ誤差が過大である場合には、外科医は、ステップS6の位置合わせステップを反復することにより、骨盤12を再度位置合わせする。
【0118】
このタイプの位置合わせ方法は、外科医が、正確なポイントを収集するべく、1つ又は複数の位置合わせポイント516を含む骨盤12の表現512を示す表示装置9から患者の物理的な骨盤12に自身の焦点を継続的に切り替えることを必要としている。焦点の切り替えは、時間を所要し、且つ、患者の物理的な骨盤12上の位置合わせポイント516の場所の正確な推定は、更に多くの時間を所要する。本節において記述されている、このような位置合わせ方法においては、正確な位置合わせを完了させるべく、少なくとも43個のポイントを取得することができる。
【0119】
術前画像及び術中ポイント取集に基づいて寛骨臼の回転の中心を判定するステップを伴う更なる骨盤位置合わせ方法S6が、2017年8月30日付けで出願された関連する国際特許出願第PCT/US2017/049466号パンフレットにおいて記述されており、この特許文献は、引用により、そのすべてが本出願に包含される。記述されている方法は、上述の位置合わせ方法との比較において、収集されたポイントの合計数を低減しうる。例えば、本節において記述されている方法によれば、外科医は、32個以下のポイントにより、正確な位置合わせを完了することができる。これに加えて、本節において記述されている位置合わせの多くは、ポイントに基づいたポイント収集ではなく、領域に基づいたポイント収集である。領域に基づいたポイント収集において、外科医は、3次元骨モデル512上において識別された正確なポイントではなく、患者の骨の領域内においてポイントを収集することが許容されている。これは、外科医が、自身の焦点を表示画面9に、且つ、患者の物理的な骨盤12に戻るように、切り替える必要性を伴うことなしに、患者の解剖構造に合焦し、且つ、骨の上部の許容された領域内においてポイントを収集する、ことを許容している。外科医が、単一の許容可能ポイントとの比較において、許容可能ポイントの多くの可能な場所を包含する領域内においてポイントを収集することは、容易であることから、許容された領域内においてポイントを収集することにより、精度が増大する。
【0120】
3.撮像テーブルのZ軸及び手術テーブルのZ軸を利用した骨盤位置合わせ方法
図14A図14B及び図15A図15Cを参照すれば、これは、術前画像スキャン(例えば、CT、MRI)の際の、且つ、手術室内に位置している際の、寛骨臼の回転の中心データ及び患者からの患者位置決めデータを利用した骨盤位置合わせ方法1400を示している。更に詳しくは、位置合わせ方法1400は、横になった患者の向きを仮定しており、例えば、術前画像スキャン(例えば、CT、MRI)のための撮像テーブル上における仰臥は、手術室テーブル上の同一の位置(例えば、この例においては、仰臥)において横になってい同一の患者の向きと同一又は類似している。この患者の向きデータ又は患者の位置決めデータは、その他のデータに加えて、患者の骨盤の3次元骨モデルを手術室内における患者の物理的な骨盤と位置合わせする際に、術前画像スキャンから、且つ、術中において患者の寛骨臼上のポイントをキャプチャすることから、判定しうる寛骨臼の回転の中心データとの関連において使用することができる。
【0121】
まず、図14A及び図14Bを参照すれば、これは、位置合わせ方法1400の例示用のステップを示している。図14Aのステップ1402において、位置合わせ方法1400は、患者の術前画像スキャンを生成するステップを含みうる。画像スキャンは、その他のものに加えて、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴撮像(MRI)、及びX線を含む、様々な撮像モードを介して生成することができる。画像スキャンを生成するべく、図15Aにおいて観察されるように、撮像テーブル1502上において仰臥状態において横になった患者1500は、撮像装置1506の撮像アーム1504を介して撮像することができる。図14Aの位置合わせ方法1400のステップ1404において、画像スキャンを画像の骨外形ラインに沿ってセグメント化することができる。すべての画像スキャンがセグメント化されたら、図14Aのステップ1406において、疾病を有するエリアの3次元骨モデル(例えば、腸骨及び大腿骨)をセグメント化された画像スキャンから生成することができる。セグメント化された画像スキャンから3次元骨モデルを生成することに対する一代替肢として、患者の骨を表す一般的な3D骨モデル又は静的な3D骨モデルを生成することができる。
【0122】
この時点において、位置合わせ方法1400の術前ステップは、分岐している。ステップ1408、1410、及び1412は、位置合わせ方法1400の患者位置決めデータ部分を参照しうる一方で、ステップ1414は、方法1400の回転の中心計算部分を参照しうる。
【0123】
図14Aのステップ1408において、スキャンされた画像から、或いは、3次元骨モデルから、Z軸、長軸、又は上-下軸を識別することができる。図15Aにおいて観察されるように、Z軸1508は、テーブルを長手方向において下方に、且つ、患者1500の頭から足の爪先に、延在している。Z軸1508は、スキャンされた画像内において、撮像テーブル1502が撮像アーム1504との関係において延在している軸として識別することができる。例えば、CTスキャンにおいて、撮像テーブル1502は、テーブル1502及びその上部において位置決めされた患者1500をZ軸1508に沿って撮像アーム1504の開口部又はスルーウェイ1510を通じて平行運動させるように、動力化することができる。この向きにおいて、スキャンは、Z軸1508に対して垂直に方向付けすることができる。Z軸1508は、骨モデルにより、座標系内において識別することができる。
【0124】
図14のステップ1410において、位置合わせ方法1400は、スキャニングされた画像又は骨モデルから、患者1500の骨盤軸1512(或いは、基準ベクトル)を判定するステップを含みうる。骨盤軸1512は、恥骨結合の間において患者の骨盤を二等分する、且つ、一般に、対向する腸骨上の上前腸骨棘のペアの間において等距離にある、軸であってよい。骨盤軸1512を判定するべく、本明細書において記述されている、且つ、当技術分野において既知である、様々な方法を使用することができる。
【0125】
図14Aのステップ1412において、位置合わせ方法1400は、Z軸1508と骨盤軸1512の間における角度オフセットを判定するステップを含みうる。角度オフセット1514は、図15Cにおいて観察できるが、これについては、後述することとする。
【0126】
図14Aのステップ1414において、位置合わせ方法1400は、骨モデルから寛骨臼の回転の中心を判定するステップを含みうる。回転の中心の判定は、本明細書において記述されている任意の方法又は当技術分野において既知の任意の方法によって実行することができる。術前画像から生成された骨モデル内において患者の寛骨臼の回転の中心を判定する例示用の方法は、2017年8月30日付で出願された国際特許出願第PCT/US2017/049466号パンフレットにおいて記述されており、この特許文献は、引用により、そのすべてが本出願において包含される。患者の寛骨臼の回転の中心を判定する別の例示用の方法は、骨盤との関係における患者の大腿骨の運動学的分析又はモーション分析を介したものである。
【0127】
図14B及び図15Bを参照すれば、これは、術中に発生しうる位置合わせ方法1400のステップを示している。図14Bのステップ1416において、位置合わせ方法1400は、患者の骨盤上においてトラッカを設置するステップを含みうる。図15Bにおいて観察されるように、患者1500は、手術室内に位置しており、この場合には、手術室テーブル1520上において仰臥状態において横になっている。又、患者1500は、テーブル1520上において横臥位において横になっていてもよく、且つ、仰臥から横臥への変更は、ほぼ、患者1500の長軸を中心とした純粋な回転であるものと合理的に仮定することができる。ロボットアーム1518は、手術室テーブル1520の近傍において位置することができる。図において観察されるように、トラッカ1516は、骨盤の疾病を有する側において設置することができる。
【0128】
図14Bのステップ1418において、位置合わせ方法1400は、図15Bにおいて観察されるように、患者が撮像テーブル1502上において横になっているのと同一の向きにおいて、手術室テーブル1520上において患者1500を位置決め又はアライメントするステップを含みうる。ステップ1420において、位置合わせ方法1400は、テーブル1520の長いエッジ1524に沿って、手術室テーブル1520上において2つのポイント1522を収集するステップを含みうる。方法1400のステップ1422において、2つのポイント1522の間において、ベクトル1526を算出することができる。このベクトル1526は、患者1500が、恐らくは、撮像テーブル1502及び手術室テーブル1520上において同一の向きにおいて仰臥位置において横になっている、という点において、スキャニングされた画像のZ軸1508と類似しうる。ベクトル1526は、トラッカ1516用の位置決めデータにより、共通座標系内において、システムにより、判定することができると共に保存することができる。これに加えて、又はこの代わりに、テーブル軸を識別するべく、ポインタ又は被追跡型のプローブを使用することもできる。例えば、ポインタは、テーブル1520の長いエッジ1524とアライメントするように、且つ、システムがポインタの軸をキャプチャしうるように、空間内において位置決めすることができる。これに加えて、又はこの代わりに、ポインタは、例えば、尖った先端が患者の頭部に対向する状態において、患者の中線に沿ってポインタを配置することにより、患者とアライメントさせることができよう。又、この方法は、横臥位における患者と共に機能することにもなろう。
【0129】
図14Bの位置合わせ方法1400のステップ1424は、患者の骨盤が、図15Cにおいて示されているように、角度オフセット1514だけ、手術室テーブル1520上において、ベクトル1526(或いは、ORテーブル1520の長軸)との関係において角度を有する、という位置合わせ制約を定義するステップを含みうる。角度オフセット1514は、(ベクトル1526及び骨盤軸1512が共通座標系内に位置しているものと仮定することにより)、Z軸1508と骨盤軸1512の間の角度として定義されてもよく、或いは、角度オフセット1514は、ORテーブル1520上のベクトル1526と骨盤軸1512の間の角度として定義されてもよい。
【0130】
図14Bのステップ1426において、位置合わせ方法1400は、患者の骨盤の回転の中心を判定するステップを含みうる。回転の中心1528は、図15Bにおいて示されている。このステップ1426は、当技術分野において既知の任意の方法を介して実現されてもよく、且つ、2017年8月30日付けで出願された国際特許出願第PCT/US2017/049466号パンフレットにおいて記述されている方法を介して実現されてもよく、この特許文献は、引用におより、そのすべてが本出願に包含される。上述のPCT出願において、方法は、患者の寛骨臼上においてポイントをピックアップするステップと、ポイントに基づいて球体を形成するステップと、について記述している。球体から、回転の中心を判定することができる。
【0131】
ステップ1426において、回転の中心が見いだされたら、且つ、ステップ1424において、角度オフセットに相関する位置合わせ制約が見いだされたら、図14Bのステップ1428において、位置合わせ変換を利用することができる。位置合わせ変換は、図15Cのロボットアーム1518が、制御された方式により、且つ、既定の計画に従って、患者の身体に対して動作するべく使用されうるように、(患者の身体の術前画像スキャンから判定された)骨モデルを手術室テーブル1520上の患者の物理的身体とマージしている。
【0132】
ステップ1426において、患者の骨盤の回転の中心を知ることにより、位置合わせ変換の際に、座標系内の骨盤の位置が事実上ロックされている。但し、単一の固定されたポイント(回転の中心)のみを知ることは、骨盤がこの座標系内において3つの軸に沿って回転することが制約されてはないことを意味している。従って、骨モデルと物理的骨盤をマージするには、更に多くの情報が必要とされる。位置合わせ変換は、位置合わせの際にベクトル1526との関係において患者の骨盤の向きをロックすることにより、ステップ1428の位置合わせ制約を使用することができる。ベクトル1526は、3つの方向(x,y,z)における座標を含んでいることから、ベクトル1526及び回転の中心1528からの情報を組み合わせる際に、骨盤の向きを判定することができる。
【0133】
これに加えて、又はこの代わりに、手術位置合わせ方法は、図14C及び図15D図15Eにおいて示されているものであってもよい。図14Cは、手術位置合わせ方法1440における例示用のステップを示すフローチャートを示している。図15Dは、撮像イベント(例えば、CT、MRI)を経験する直前の撮像テーブル1502上における患者1500の俯瞰図を示している。図15Eは、手術手順を経験する直前の手術室テーブル1520上の患者1500を示している。位置合わせ方法1440は、撮像テーブル1502上の患者1500の術前位置及び向きに関する情報を取得し、且つ、患者が手術室テーブル1520上において横になった際に患者の位置及び向きに関する特定の情報が一貫性を有することになると仮定している。
【0134】
図14Cを参照すれば、ステップ1442において、患者1500の画像スキャンが生成されている。画像スキャンは、その他の撮像モードに加えて、CT、X線、又はMRIであってよい。ステップ1444において、寛骨臼の回転の中心(COR)を撮像座標系との関係において判定することができる。撮像装置は、例えば、撮像テーブル1502の平行運動に基づいたその独自の座標系(x,y,z)を含みうる(図15Dにおいて観察されるように、テーブル1502は、xzプレーン内において位置している)。即ち、テーブル1502は、撮像装置1506の撮像アーム1504の開口部1510内において患者及びテーブルを運動させるべく、z方向において平行運動することができる。これに加えて、テーブル1502は、アーム1504の開口部1510内において患者及びテーブルをセンタリングするべく、x方向及びy方向において平行運動することもできる。
【0135】
寛骨臼のCORは、例えば、複数の座標視野(例えば、冠状、矢状、軸方向)内においてCORを選択することによって、ユーザーが画像スキャン内においてCORを選択することにより、識別することができる。これに加えて、又はこの代わりに、方法1440は、その他のものに加えて、画像スキャン、統計的骨モデル、又は一般的な骨モデルから患者の骨の3次元骨モデルを生成するステップをも含みうる。そして、撮像座標系内において骨モデルからCORを識別するべく、当技術分野において既知である、或いは、本明細書において記述されている、任意の方法を使用することができる。CORは、撮像座標の原点(0,0,0)との関係における1つ又は複数のポイントの3次元場所(x,y,z)であってよいことに留意されたい。
【0136】
図14Cのステップ1446において、且つ、又、図15Eにおいて観察されるように、方法1440の術中部分に移動することにより、患者1500が、ORテーブル1520上において位置決めされている。ステップ1448において、骨盤追跡装置(解剖構造トラッカ)1516を患者の疾病を有する骨盤に装着している。
【0137】
ステップ1450において、手術室テーブル1520のXYZ座標を識別している。更に詳しくは、少なくとも3つのポイント1530、1532、1534がテーブル1520上において識別されており、この場合に、2つのポイント1530、1532は、テーブルの同一の側(例えば、x軸上の同一のポイントに位置するように、テーブルのエッジ)において配置されており、且つ、1つのポイント1534は、テーブル1520の反対側において配置されている。2つのポイント1530、1532は、図15Eにおいて示されているように、ORテーブル軸又はZ軸と共に方向付け又はアライメントさせることができる。すべてのポイント1530、1532、及び1534は、y軸に沿って、同一の位置において位置決めすることができる。換言すれば、3つのポイント1530、1532、1534は、ORテーブル1520の上部によって定義されたプレーンとの関係において同一の高さにおいて位置決めすることができる。3つのポイント1530、1532、1534は、システムの被追跡型のプローブにより、キャプチャ又はロギングすることができると共に、術中座標系内における骨盤追跡装置1516の位置との関係において識別することができる。ORテーブル1520上においてポイント1530、1532、1534を収集することに対する一代替肢として、適用可能なベクトルを特定するべく、対応する軸に沿って順番にテーブルを平行運動させることにより、テーブル軸(x,y,z)を判定することができる。特定の例において、患者が移動していないことを保証するべく、大規模な脚の操作の前に(例えば、大腿骨の脱臼の前に)、ポイント1530、1532を判定することが有利でありうる。
【0138】
ステップ1452において、解剖学的トラッカ1516又は別のポイントとの関係において、寛骨臼の中心ポイント(COR)のXYZ座標を術中座標系内において判定することができる。CORは、本明細書において記述されている、或いは、当技術分野において既知である、任意の方法に基づいて判定することができる。特定の例において、CORは、一連のモーション分析から判定することができる。特定の例において、CORは、大腿骨頭が寛骨臼から脱臼した後に、ポイントピックアップ方式に基づいて判定することができる。
【0139】
この時点において、少なくとも、ORテーブル1520上に配置されたポイント1530、1532、及び1534、並びに、患者の寛骨臼のCOR、というポイントが術中座標内において識別されている。そして、少なくとも、寛骨臼のCORのみならず、撮像テーブル1502の平行運動に相関する座標軸(x、y、z)、というポイントが、術前撮像座標系内において識別されている。
【0140】
次いで、図14Cのステップ1454において、術前画像を患者1500の術中位置に位置合わせするように、撮像座標ポイントと術中座標ポイントの間において、6自由度(DOF)変換が演算されている。この結果、ロボットアーム又は自律型の又は触覚駆動型の装置のヘンドヘルド型の手術装置は、手術手順の実行のために患者の位置及び向きを識別することが可能であってよい。
【0141】
これに加えて、又はこの代わりに、手術位置合わせ方法は、図14D及び図15F図15Gにおいて示されているものであってもよい。図14Dは、手術位置合わせ方法1460における例示用のステップを示すフローチャートを示している。図15Fは、撮像イベント(CT、MRI)を経験する直前の撮像テーブル1502上の患者1500の俯瞰図を示している。図15Gは、手術手順を経験する直前の手術室テーブル1520上の患者1500を示している。位置合わせ方法1460は、撮像テーブル1502上の患者1500の術前位置及び向きに関する情報を取得し、且つ、患者が手術室テーブル1520上において横になった際に患者の位置及び向きに関する特定の情報が一貫性を有することになるものと仮定している。
【0142】
図14Dを参照すれば、ステップ1462において、患者1500の画像スキャンが生成されている。画像スキャンは、その他の撮像モードに加えて、CT、X線、又はMRIであってよい。ステップ1464において、寛骨臼の回転の中心(COR)を撮像座標系との関係において判定することができる。撮像装置は、例えば、撮像テーブル1502の平行運動に基づいた、その独自の座標系(x、y、z)を含みうる(図15Fにおいて観察されるように、テーブル1502は、xzプレーン内に位置している)。即ち、テーブル1502は、撮像装置1506の撮像アーム1504の開口部1510内において患者及びテーブルを運動させるべく、z方向において平行運動することができる。これに加えて、テーブル1502は、アーム1504の開口部1510内において患者及びテーブルをセンタリングするべく、x方向及びy方向において平行運動することもできる。
【0143】
寛骨臼のCORは、例えば、複数の座標視野(例えば、冠状、矢状、軸方向)内においてCORを選択することによって、ユーザーが画像スキャン内においてCORを選択することにより、識別することができる。これに加えて、又はこの代わりに、方法1460は、その他のものに加えて、画像スキャン、統計的な骨モデル、又は一般的な骨モデルから、患者の骨の3次元骨モデルを生成するステップを含みうる。そして、撮像座標系内において骨モデルからCORを識別するべく、当技術分野において既知である、且つ、本明細書において記述されている、任意の方法を使用することができる。CORは、撮像座標系の原点(0,0,0)との関係における1つ又は複数のポイントの3次元場所(x,y,z)であってよいことに留意されたい。
【0144】
図14Dのステップ1466において、且つ、又、図15Gにおいて観察されるように、方法1460の術中部分に移動することにより、患者1500が、ORテーブル1520上において位置決めされている。ステップ1468において、骨盤追跡装置(解剖構造トラッカ)1516が、患者の疾病を有する骨盤に装着されている。
【0145】
ステップ1470において、手術室テーブル1520のXYZ座標が識別されている。更に詳しくは、少なくとも2つのポイント1530、1532が、テーブル1520上において識別されており、この場合に、2つのポイント1530、1532は、テーブル1520の同一の側(例えば、X軸上において同一のポイントに位置するように、テーブルのエッジ)において配置されている。2つのポイント1530、1532は、図15Gにおいて示されているように、ORテーブル軸又はZ軸と共に方向付け又はアライメントすることができる。ポイント1530、1532は、y軸に沿った同一の位置において位置決めすることができる。換言すれば、2つのポイント1530、1532は、ORテーブル1520の上部によって定義されたプレーンとの関係において同一の高さにおいて位置決めすることができる。2つのポイント1530、1532は、システムの被追跡型のポインタにより、キャプチャ又はロギングすることができると共に、術中座標系内において骨盤追跡装置1516の位置との関係において識別することができる。ORテーブル1520上においてポイント1530、1532を収集することに対する一代替肢として、適用可能なベクトルを特定するべく、対応する軸に沿って順番にテーブルを平行運動させることにより、テーブル軸(x、y、z)を判定することができる。特定の例において、患者が移動していないことを保証するべく、大規模な脚の操作の前に(例えば、大腿骨の脱臼の前に)、ポイント1530、1532を判定することが有利でありうる。
【0146】
ステップ1472において、解剖構造トラッカ1516又は別のポイントとの関係において、寛骨臼の中心ポイント(COR)のXYZ座標を術中座標系内において判定することができる。CORは、本明細書において記述されている、又は当技術分野において既知である、任意の方法に基づいて判定することができる。特定の例において、CORは、一連のモーション分析から判定することができる。特定の例において、CORは、大腿骨頭が寛骨臼から脱臼した後に、ポイントピックアップ方式に基づいて判定することができる。
【0147】
この時点において、少なくとも、ORテーブル1520上において配置されたポイント1530、1532、並びに、患者の寛骨臼のCOR、というポイントが、術中座標系内において識別されている。そして、少なくとも、寛骨臼のCORのみならず、撮像テーブル1502の平行運動に相関する座標軸(x,y,z)、というポイントが、術前撮像座標系内において識別されている。
【0148】
次いで、図14Dのステップ1474において、術前画像を患者1500の術中位置に対して位置合わせするように、6自由度(DOF)変換が撮像座標ポイントと術中座標ポイントの間において演算されている。この結果、ロボットアーム又は自律型の又は触覚駆動型の装置のハンドヘルド型の手術装置は、手術手順の実行のために患者の位置及び向きを識別することが可能となりうる。
【0149】
D.ロボットアームの位置合わせ
図5を再度参照すれば、ステップS6において骨盤を位置合わせした後に、ステップS7において、ロボットアーム30を位置合わせすることができる。このステップにおいて、ロボットアーム30は、ロボットアーム30のポーズ(物理空間)をナビゲーションシステム7(画像空間)と相関させるように、位置合わせされている。ロボットアーム30は、例えば、2006年2月21日付けで出願された米国特許出願第11/357,197号(米国特許出願公開第2006/0142657号)明細書において記述されているように、位置合わせすることが可能であり、この特許文献は、引用により、そのすべてが本明細書において包含される。
【0150】
E.寛骨臼の準備及び手術手順の実行
手術の際に、外科医は、人工股関節全置換又は股関節リサーフェシング手順のために、骨のリーミング及び寛骨臼カップの埋植などの、関節置換手順を促進するべく、図3のロボットアーム30を使用することができる。上述のように、ロボットアーム30は、(リーミング用の)切削要素に結合されるように、且つ、(埋伏用の)補綴コンポーネントに係合するように、構成された手術ツールを含む。例えば、図3Bにおいて観察されるように、リーミングのために、エンドエフェクタ40を動作部材100に結合することが可能であり、動作部材は、切削要素に結合している。同様に、埋伏のために、エンドエフェクタ40を別の動作部材に結合することが可能であり、この動作部材は、補綴コンポーネントに係合している。ロボットアーム30は、リーミング及び埋伏の際に適切な位置決めを保証するべく、使用することができる。
【0151】
図5のステップS8において、外科医は、図3Bのロボットアーム30に結合された、動作部材100などの、リーマーを使用して寛骨臼22をリサーフェシングしている。動作部材100との関連において上述したように、外科医は、寛骨臼22をリーミングするべく、適切な動作部材(例えば、まっすぐな又はオフセットされたリーマー)をエンドエフェクタ40に結合し、切削要素を受け取られた動作部材に接続し、且つ、ロボットアーム30を手動で操作している。リーミングの際に、ロボットアーム30は、触覚(フォースフィードバック)ガイダンスを外科医に提供している。触覚ガイダンスは、実際の骨の切削が、形状及び場所において計画された骨の切削に対応している(即ち、切削が手術計画と一貫性を有している)ことを保証するべく、手術ツールを手動的に運動させる外科医の能力を制約している。特定の例においては、自律型又はハンドヘルド型のシステムは、触覚フィードバック又はガイダンスを伴うことなしに、定義された仮想的境界内において機能しうる。
【0152】
図5のステップS9において、外科医は、例えば、2007年5月18日付けで出願された米国特許出願第11/750,807号(米国特許出願公開第2008/0004633号)明細書において記述されているように、被追跡型のプローブを骨盤チェックポイントに接触させることにより、寛骨臼追跡アレイと骨盤12の間の位置合わせ(即ち、幾何学的関係)が依然として有効であることを検証しており、この特許文献の内容は、引用により、そのすべてが本明細書において包含される。位置合わせが(例えば、寛骨臼追跡アレイが、リーミングの際にぶつかったことに起因して)劣化した場合には、骨盤12は、再度位置合わせされる。外科医が寛骨臼の位置合わせの完全性をチェックすることを所望した任意の時点において、位置合わせの検証を実行することができる。
【0153】
図5のステップS10において、補綴コンポーネント316が、インパクタツールを使用して、リーミングされた寛骨臼22上において埋植されている。ステップS8(リーミング)との関連において上述したものと同一の方式により、埋植ステップS10において、表示装置9は、図4において観察されるように、計画されたポーズ500、起動領域510、解剖構造の表現512、514、及び手術ツールの表現を示すことができる。又、ステップS8との関連において上述したように、外科医が触覚フィードバックをオーバーライドするべく、エンドエフェクタ40を運動させた場合に、コントローラは、実際のポーズの少なくとも1つの側面をターゲットポーズの対応する望ましい側面と実質的にアライメントさせるべく、手術ツールの自動的な制御を開始することができる。
【0154】
図5のステップS11において、外科医は、大腿骨14上において大腿骨コンポーネントを設置しており、且つ、ステップS12において、外科医は、脚の長さ及び大腿骨のオフセットを判定している。手術手順における任意の時点において、表示装置9は、進捗及び/又は結果に関係するデータを示すことができる。例えば、ステップS8におけるリーミング及び/又はステップS10)における埋伏の後に、リーミングされた寛骨臼22(或いは、埋植された寛骨臼カップ)の実際の位置に関係するデータは、例えば、患者の解剖構造の3つの直交プレーン(即ち、中央/横、上/下、及び前/後)内の実際の且つ計画された場所の間の誤差を表す数値データを含みうる。
【0155】
V.その他の骨に加えて、大腿骨、骨盤、及び椎骨の骨位置合わせ用のツール及び方法
ポイントピックアップに基づいた骨位置合わせは、ナビゲートされた且つロボット支援型の整形外科手術における位置合わせの1つの方法である。手術手順において、切込みが手術部位(例えば、腰、膝)において生成される。切込みを通じてアクセス可能である患者の身体の骨エリア上においてデジタル化されたポイントクラウド(表面外形を表す座標系内のデータポイントの組)をピックアップするべく、位置特定ポインタ又は被追跡型のプローブが利用される。ポイントのペア及びICP(Iterative Closest Point)アルゴリズムを使用することにより、「トラッカ空間」(患者身体上のトラッカに対応する位置データ及び患者の収集されたポイントのポイントクラウドを有する座標系)内の患者ポイントクラウドデータが、セグメント化された医療画像又はその他のものから形成された患者の骨の3次元骨モデルに変換される。正確な位置合わせ変換が、ポイントクラウドフィッティングの最小二乗平均平方根として判定される。
【0156】
ポイントピックアップに基づいた位置合わせ(大腿骨、骨盤、又はその他のもの)の文脈において、プローブによって骨表面上において術中にポイントをピックアップすることは、一般に、外科医が手術部位において初期切込みを通じて骨に対するアクセスを有することを必要としている。小さな切込みエリアに起因して、特に、最小限に侵襲的な手術においては、手術切込み内においてのみ収集されるポイントクラウドデータに依存している際には、位置合わせにおいて6自由度精度を保証することが困難となりうる。このような位置合わせの精度を増大させるべく、ポイントを手術部位から離れたポイントクラウドに追加することができる。例えば、人工股関節全置換術の手順において、外科医は、患者の寛骨臼上のポイントをキャプチャすることができると共に、更には、位置合わせ精度を増大させるべく患者の腸骨の腸骨稜表面上のポイントをキャプチャすることができる。依然として、人工股関節全置換術の文脈において、外科医は、近位大腿骨上のポイント(例えば、大腿骨頭)をピックアップすることができると共に、且つ、これに加えて、位置合わせ精度を増大させるべく、遠位又は中間-遠位大腿骨表面上のポイントをキャプチャすることができる。但し、腸骨稜及び遠位大腿骨は、初期手術切込み内に存在してはいない。
【0157】
腸骨稜及び遠位大腿骨上において、このような離れた(即ち、初期手術切込み内に存在してはいない)ポイントをピックアップするべく、外科医は、1つ又は複数の患者の骨に圧接状態において被追跡型のプローブ又は位置特定ポインタを接触させるという唯一の目的のために、初期切込みから離れた更なる切込み(例えば、刺切)を生成する必要がありうる。このような方法に関連する感染、痛み、傷、及び時間の可能性の増大が存在していることから、患者の身体内に更なる切込みを生成することは、理想的なものではない場合がある。
【0158】
図16A図16Cを参照して本明細書において記述されているのは、手術部位から離れた(即ち、手術切込みの外側である)、且つ、患者の皮膚内の更なる切込みを伴わない、患者の身体のゾーン内において使用される位置合わせツール及び方法である。図16Aにおいて観察されるように、患者の皮膚を通じた切込みを伴うことなしに、硬質の骨表面上におけるポイントをデジタル化するべく、鍼治療針又は注射針などの、変化する長さ及び直径の針1を使用することができる。針1の直径は、患者の満足に対する副作用を伴うことなしに、患者の皮膚、軟組織、及び患者の軟骨を容易に貫通するべく、十分に小さいものであってよい。針1を使用することにより、通常、創傷内ポイントピックアップ方法、特に、MIS、を通じてアクセス可能ではない、解剖構造領域内において、骨位置合わせポイントをピックアップすることができる。
【0159】
本開示による大腿骨6の前面図である、図16Bにおいて観察されるように、1つ又は複数の針1aを針フィクスチャ又はテンプレート2の複数の孔の1つを通じて軟組織7内に挿入することができる。針フィクスチャ2は、針1aを皮膚を通じてガイドすることができると共に、針1aは、大腿骨6の硬質骨表面において停止することができる。1つ又は複数のカメラ10(例えば、光学カメラ)を介して針の上部の位置をナビゲートするように、受動型又は能動型の位置特定マーカーを針1aに装着することができる。針トラッカ3aを針フィクスチャ2に結合することができる。但し、針トラッカ3aは、針の先端が追跡されている場合には、不要となる場合がある。フィクスチャ2は、(1)軟組織を圧縮するステップと、(2)針1aの挿入をガイドするステップと、(3)変換8aを介して針トラッカ3aとの関係において針の先端の位置を計測するステップと、を含む、複数の機能を有しうる。
【0160】
依然として図16Bを参照すれば、骨トラッカ4は、クランプ又は骨ピン5により、大腿骨6の硬質骨表面に堅固に装着することができる。骨トラッカ4の空間内における針先端の位置は、変換9aを通じて判定することができる。針フィクスチャ2は、針トラッカ3aと共に、骨表面6上において複数のポイントをデジタル化するべく、且つ、これらのポイントをポイントクラウドに追加するべく、骨の異なる解剖構造の場所に自由に運動させることができる。カメラ10は、骨トラッカ4及び針トラッカ3aの位置を追跡することができる。
【0161】
本開示による大腿骨6の前面図である、図16Cにおいて観察されるように、針1bの近端は、変換8bを通じて機械的トラッカ3bの空間内において針の先端(針の遠端)の位置をナビゲートするように、機械的トラッカ3bに装着されている。機械的トラッカ3bは、骨クランプ5又は別の基準位置に装着することができる。機械的トラッカ3bは、変換9bにより、光学トラッカ4に位置合わせすることができる。機械的トラッカ3bは、例えば、エンコーダ又は光ファイバトラッカを介して、それぞれの関節の位置を通知しうる。カメラ(例えば、光学カメラ)は、光学トラッカ4の運動を追跡することができる。そして、骨トラッカ4の空間内の針先端の位置が、変換9bを通じて更に判定される。機械的トラッカ3bの針フィクスチャ2及び先端の中心ポイント(TCP)は、骨表面6上において複数のポイントをデジタル化するべく、且つ、それらのポイントをポイントクラウドに追加するべく、骨の異なる解剖構造の場所に自由に運動させることができる。
【0162】
特定の例において、位置合わせシステム1700は、図17A図17Cにおいて観察されるように、利用することができる。図17Aは、人工股関節全置換術の文脈において位置合わせシステム1700によって位置合わせされている大腿骨4の前面図を示しており、図17Bは、人工膝関節全置換術の文脈において位置合わせシステムによって位置合わせされている大腿骨4の前面図を示しており、且つ、図17Cは、人工膝関節全置換術の文脈において位置合わせシステム1700によって位置合わせされている脛骨5の前面図を示している。
【0163】
図17Aにおいて観察されるように、大腿骨4の近端には、手術部位(例えば、腰の領域)における患者内の切込みを通じて被追跡型のポインタを介したポイントピックアップを適用することができる。人工股関節全置換術のケースにおいては、大腿骨頭が、露出しうると共に、位置合わせプロセスにおいて使用されるデータのポイントクラウドを生成するべく、被追跡型のポインタを介したポイントピックアップのために、容易にアクセス可能でありうる。位置合わせ変換の精度を増大させるべく、位置合わせシステム1700は、複数のスルーホールを含む針テンプレート2、針トラッカ3、及び追跡針1aを含み、これらは、近位大腿骨頭と遠位大腿顆の間のほぼ中間において大腿骨4のシャフト上において使用される。針テンプレート2は、患者の皮膚に圧接状態において押圧されてもよく、且つ、針テンプレート2は、大腿骨の骨表面に接触する時点まで、患者の皮膚内に1つ又複数の針1aをガイドするべく、使用されてもよい。光学カメラ(図示されてはいない)が、針テンプレート2の位置と、テンプレート2のスルーホールのうちの1つのものの内部の針の対応する位置と、を検知することができる。
【0164】
従って、位置合わせ変換が実行された際に、システムは、プロセスの精度を増大させるべく、大腿骨頭上の且つ中間-遠位大腿骨の骨表面上の表面ポイントと関連するポイントクラウドデータを使用することができる。
【0165】
図17Bにおいて観察されるように、大腿骨4の遠端には、手術部位(例えば、膝領域)における患者内の切込みを通じて被追跡型のポインタを介してポイントピックアップを適用することができる。人工膝関節全置換術のケースにおいて、大腿顆が、露出しうると共に、位置合わせプロセスにおいて使用されるデータのポイントクラウドを生成するべく、被追跡型のポインタを介したポイントピックアップのために、容易にアクセス可能でありうる。位置合わせ変換の精度を増大させるべく、位置合わせシステム1700は、複数のスルーホール含む針テンプレート2、針トラッカ3、及び追跡針1aを含み、これらは、近位大腿骨頭と遠位大腿顆の間のほぼ中間の大腿骨4のシャフト上において使用される。針テンプレート2は、患者の皮膚に圧接状態において押圧されてもよく、且つ、針テンプレート2は、大腿骨の骨表面に接触する時点まで、患者の皮膚内に針1aをガイドするべく使用されてもよい。光学カメラ(図示されてはいない)が、針テンプレート2の位置と、テンプレート2のスルーホールのうちの1つのものの内部における針の対応する位置と、を検知することができる。
【0166】
従って、位置合わせ変換が実行された際に、システムは、プロセスの精度を増大させるべく、大腿顆上の且つ中間-遠位大腿骨の骨表面上の表面ポイントと関連するポイントクラウドデータを使用することができる。
【0167】
図17Cにおいて観察されるように、脛骨5の近端には、手術部位(例えば、膝領域)における患者内の切込みを通じて被追跡型のポインタを介したポイントピックアップを適用することができる。人工膝関節全置換術のケースにおいては、近位脛骨(例えば、脛骨プラトー)が、露出しうると共に、位置合わせプロセスにおいて使用されるポイントクラウドを生成するべく、被追跡型のポインタを介したポイントピックアップのために、容易にアクセス可能でありうる。位置合わせ変換の精度を増大させるべく、位置合わせシステム1700は、複数のスルーホールを含む針テンプレート2、針トラッカ3、及び追跡針1aを含み、これらは、近位脛骨と遠位脛骨の間のほぼ中間の脛骨5のシャフト上において使用される。針テンプレート2は、患者の皮膚に圧接状態において押圧されてもよく、且つ、針テンプレート2は、脛骨の骨表面に接触する時点まで、患者の皮膚内に針1aをガイドするべく使用されてもよい。光学カメラ(図示されてはいない)が、針テンプレート2の位置と、テンプレート2のスルーホールのうちの1つのものの内部における針の対応する位置と、を検知しうる。
【0168】
従って、位置合わせ変換が実行された際に、システムは、プロセスの精度を増大させるべく、近位脛骨上における、且つ、中間-遠位脛骨の骨表面上における、表面ポイントと関連するポイントクラウドデータを使用することができる。
【0169】
図17A図17Cを参照して記述されている位置合わせシステム1700は、図18において観察されるように、腸骨上において使用することができる。更に詳しくは、寛骨臼縁2及び寛骨臼関節接続表面1は、人工股関節全置換術の手順においてアクセス可能でありうるが、腸骨稜4と、腸骨稜の唇部の真下であるエリア(即ち、腸骨稜4と前殿筋線の間の腸骨の裏側の部分)は、一般に、従来の人工股関節置換術の手順のための手術切込み内には、存在していない。図18において観察されるように、関節接続表面1及び寛骨臼縁2は、腰の領域内における切込みを通じて、被追跡型のポインタを介してポイントピックアップすることができる。関節接続表面1及び縁2から、システムは、例えば、2017年8月30日付けで出願された国際特許出願第PCT/US2017/049466号パンフレットにおいて記述されている方法により、回転の中心CORを判定してもよく、この特許文献は、引用により、そのすべてが、本出願に包含される。位置合わせ変換の精度を増大させるべく、位置合わせシステム1700は、複数のスルーホール含む針テンプレート2、針トラッカ3、及び追跡針1aを含み、これらは、上前腸骨棘の近傍において、腸骨稜上において使用される。針テンプレート2は、患者の皮膚に圧接状態において押圧されてもよく、且つ、針テンプレート2は、腸骨の骨表面に接触する時点まで、患者の皮膚内に針1aをガイドするべく使用されてもよい。光学カメラ(図示されてはいない)が、針テンプレート2の位置と、テンプレート2のスルーホールのうちの1つのものの内部における針の対応する位置と、を検知しうる。
【0170】
従って、位置合わせ変換が実行された際に、システムは、プロセスの精度を増大させるべく、腸骨の寛骨臼領域上における、且つ、腸骨稜表面上における、表面ポイントと関連するポイントクラウドデータを使用することができる。
【0171】
これに加えて、又はこの代わりに、位置合わせシステム1700は、脊椎(L1、L2、L3、L4、L5)などの、セグメント化されうる患者の身体のその他の部分上において使用することもできる。腸骨及び脊柱の側面図である、図19Aにおいて観察されるように、追跡アレイを患者の腸骨上において位置決めすることができる。これに加えて、位置合わせシステム1700は、複数のスルーホールを含む針テンプレート2、針トラッカ3、及び追跡針1aを含み、これらは、脊椎の椎骨の後面の骨部分上において使用することができる。針テンプレート2は、患者の皮膚に圧接状態において押圧されてもよく、且つ、針テンプレート2は、椎骨の骨表面に接触する時点まで、患者の皮膚内に針1aをガイドするべく使用されてもよい。光学カメラ(図示されてはいない)が、針テンプレート2の位置と、テンプレート2のスルーホールのうちの1つのものの内部における針の対応する位置と、を検知しうる。
【0172】
従って、位置合わせ変換が実行された際に、システムは、プロセスの精度を増大させるべく、別の位置合わせエリアと共に、椎骨と関連するポイントクラウドデータを使用することができる。本明細書において記述されている方法は、任意の骨の上部において使用されてもよく、且つ、脚の骨及び椎骨に限定されるものではない。針に基づいた位置合わせ方法は、限定を伴うことなしに、腕、手、足、上半身、及び頭部の骨の上部において使用することができる。
【0173】
図20A図20Dを参照すれば、これらは、それぞれ、椎骨2000及びその内部において位置決めされた骨アンカー2002の軸方向断面画像、椎骨2000内において部分的に位置決めされた回転バー2004を有する椎骨2000の軸方向断面画像、椎骨2000内において部分的に位置決めされた回転バー2004を有する椎骨2000の別の軸方向断面画像、及び皮質骨2006の遠内側壁まで椎骨2000を通じて延在するバー2004の軸方向断面画像を示している。
【0174】
脊椎位置合わせにおける精度は、課題となりうる。従来、トラッカ装置は、(手術手順が適用される)椎骨が、いくつかの非剛性関節だけ、トラッカから離れうるように、患者の骨盤内において配置されている。従って、患者が、その他の位置に加えて、腹臥位(即ち、胃を下にした状態)において位置決めされた際に、椎骨の位置を変更しうる、椎骨を圧接状態において押圧する、有意な軟組織が存在しうる。これに加えて、隣接する椎骨セグメントに対する操作が、脊椎をわずかに移動させる場合もある。
【0175】
以下において記述されているツール、システム、及び方法の目的は、椎骨2000の外側表面の初期貫通の後の、椎骨2000の内部皮質骨との接触を識別することにより、位置合わせを確認及び改善する、というものである。これを目的として、図20Aは、骨アンカー2002がその内部において位置決めされた状態の、椎骨2000の軸方向断面画像を示している。図において観察されるように、骨アンカー2002のシャンク2008は、脊髄2012との接触を開始しつつ、椎骨2000の椎弓根2010を通じて延在している。椎骨2000は、椎体を取り囲む皮質縁2014を含む外側部分又は外側シェル上の皮質骨2006(緻密骨)と、皮質骨2006の内部である海綿骨2016(海綿又は小柱骨)と、を含む。皮質骨2006は、海綿骨2016よりも固く且つ高密度であり、海綿骨は、皮質骨2006よりも、多孔性であり、弱く、且つ、砕けやすい。海綿骨2016は、長い骨(例えば、大腿骨、脛骨)のシャフトを構成している。皮質骨2006は、脊髄2012を取り囲み、且つ、保護している。
【0176】
図20Aにおいて観察されるように、骨アンカー2002を椎骨2000内に挿入した際に、外科医は、図に示されているように、アンカー2002を位置決めするべく試み、この場合に、シャンク2008は、椎骨2000内に留まっている(即ち、皮質骨2006のいずれの側部においても離脱してはいない)。即ち、シャンク2008は、まず、皮質骨2006を通じて貫通したら、海綿骨2016内において留まっている。椎骨2000の内部におけるシャンク2008の配置を保証するための従来の方法は、外科医が、椎弓根2010の近傍において椎骨2000の外側皮質層を通じて穿孔し、且つ、内側皮質表面に接触するドリルビットの先端の「感覚」により、皮質表面又は壁の内側表面を識別するべく試みる、というものである。外科医が皮質骨2006の内側壁との接触を検知したら、外科医は、ドリルを更に進めてはならないことを認知する。
【0177】
位置合わせ手順において、皮質接触が実現されたら、骨位置の位置合わせを更新するべく、骨とバー2004の間の接触のポイントを使用することができる。又、外科医は、必要に応じて、ねじ挿入計画を更新することもできる。ロードセル2020が骨との間のバー2004の接触の方向を検出することにより、位置合わせの改善を最適化することができる。システムは、患者の位置合わせされた位置との関係においてバー2004の位置を追跡する手術ナビゲーションシステムに基づいて接触位置を予期された接触と比較することにより、誤差を識別することができる。差が存在している場合には、内部位置合わせポイントとして接触ポイントを使用することにより、位置合わせを更新することができよう。
【0178】
図20B図20Dは、(図20B図20Dには示されていないが、本出願においては、図示及び記述されている)手術ロボットシステムのエンドエフェクタ2018のバー2004を使用することにより、椎骨2000を位置合わせするシステム及び方法を示している。一般に、バー2004は、椎弓根2010内への経路を生成するべく使用することができる。骨の内側に位置したら、バー2004は、回転を休止するように、シャットオフすることができる。外科医は、バー2004を海綿骨2016を通じて前進させることができる。エンドエフェクタ2018上のロードセル2020が、バー2004が皮質骨2006に接触したかどうかを通知しうるであろう。それぞれの骨タイプが異なる剛性を有していることから、ロードセル2020は、皮質骨2006から海綿骨2016を識別及び弁別するように構成することができる。ロードセル2020は、バー2004の皮質骨2006との接触について、聴覚的に又はその他の方法で(視覚的に、触覚的に)通知することができる。触覚設定によれば、手術ロボットシステムは、特定の剛性値に到達したら、外科医が、皮質骨2006の方向においてバー2004を更に進めることを防止することができる。
【0179】
図20Bにおいて観察されるように、外科医は、椎弓根2010内に、脊髄2012の周りの皮質骨2006と椎骨2000の外部の周りの皮質管2022の間の最も小さな頸部領域内に、バー2004を挿入することができる。バー2004は、皮質壁2006に意図的に接触するように、且つ、その内部特徴を位置合わせするように、(図20Bにおいて矢印によって示されるように)側部から側部に移動させることができる。バー2004は、ねじ山エリアの任意の破壊を極小化するべく、エントリポイントを中心として回動させることができる。
【0180】
図20Cにおいて観察されるように、外科医は、椎弓根2010内に、脊髄2012の周りの皮質骨2006と椎骨2000の外部の周りの皮質管の間の最も小さな頸部領域内に、バー2004を挿入することができる。バー2004は、その上部において位置合わせをマップアウト又は生成するべく、(図20Cにおいて矢印によって示されるように)皮質管2022の内部表面上において運動させることができる。次いで、皮質管上の識別された表面は、位置合わせを改善又は調節するべく、モデルと比較することができる。
【0181】
図20Dにおいて観察されるように、外科医は、バー2004が、皮質縁2014の遠内側表面に接触する時点まで、バー2004を椎弓根2010を通じて、且つ、海綿骨2016を通じて、挿入することができる。椎弓根2012の頸部領域の皮質骨2006に対する圧接状態におけるバー2004との接触が存在しない場合には、皮質縁2014の内側表面との間の接触が確認されることになろう。ロードセル2020が、離れた皮質を検出した際に、システムは、このような接触を通知しうると共に、相応して、位置合わせを更新又は改善することができる。
【0182】
システムが、バー2004が皮質骨2006に接触した際を検出することに加えて、システムは、皮質骨2006の潜在的なブリーチを検出することもできる。例えば、バー2004が皮質骨2006に接触し、これが、エンドエフェクタ2018のロードセル2020が経験している負荷によって判定されたら、以前の負荷から変化した、その境界壁において経験されている任意の負荷(例えば、皮質壁の突破を通知する抵抗力/剛性の突然の減少)は、皮質表面2006の潜在的なブリーチと見なすことができる。
【0183】
特定の例において、手術位置合わせのシステム及び方法は、以下のようなものであってよい。システムは、椎骨2000の術中において収集された患者データを座標系内の椎骨のコンピュータモデルと位置合わせすることができる。椎骨2000は、外側表面及び内側表面を有する皮質骨殻2006と、皮質骨殻2006の内部である海綿骨2016と、を含みうる。椎骨2000は、皮質骨殻2006によって境界が画定された脊髄管2022を定義することができる。特定の例において、システムは、手術ナビゲーションシステムと、少なくとも1つの演算装置と、を含みうる。手術ナビゲーションシステムは、追跡装置と、追跡装置によって追跡される少なくとも1つのツール2018と、を含みうる。少なくとも1つのツールは、その遠端において切削要素2004を有するエンドエフェクタ2018と、切削要素2004上の負荷を検知するためのロードセル2018と、を含みうる。演算装置は、手術ナビゲーションシステムと通信状態にあってよい。そして、少なくとも1つの演算装置は、椎骨のコンピュータモデルを座標系内において保存することができる。
【0184】
特定の例において、少なくとも1つの演算装置は、切削要素2004が皮質骨殻2006及び海綿骨2016に接触した際に、エンドエフェクタ2018の遠端において切削要素2004が経験している負荷と関連する負荷データを受け取ることができる。又、少なくとも1つの演算装置は、負荷データに基づいて、切削要素2004が皮質骨殻2006の内側表面に接触した時点を識別することもできる。又、少なくとも1つの演算装置は、椎骨2000と関連するデータのポイントクラウドを受け取ることもできる。データのポイントクラウドは、切削要素2004を介して収集された皮質骨殻2006の内側表面上の座標場所を含みうる。又、少なくとも1つの演算装置は、椎骨2000と関連するデータのポイントクラウドを椎骨のコンピュータモデルと共通座標系内において位置合わせするべく、変換を実行又は更新することができる。
【0185】
VI.例示用の演算システム
図21を参照し、本明細書において記述されている様々なシステム及び方法を実装しうる1つ又は複数の演算ユニットを有する例示用の演算システム3000の詳細な説明を提供する。演算システム3000は、関節形成術の手順(例えば、位置合わせ)の術前又は術中計画において使用されるコンピュータ又はシステムの任意のもの、或いは、その他の演算又はネットワーク装置、に適用することができる。これらの装置の特定の実装形態は、異なる可能な特定の演算アーキテクチャを有していてもよく、これらのすべてが、本明細書において具体的に説明されているわけではないが、当業者には、理解されるであろうことを理解されたい。
【0186】
コンピュータシステム3000は、コンピュータプロセスを実行するべく、コンピュータプログラムを実行する能力を有する演算システムであってよい。データ及びプログラムファイルがコンピュータシステム3000に入力されてもよく、コンピュータシステムは、ファイルを読み取り、且つ、その内部のプログラムを実行する。1つ又は複数のハードウェアプロセッサ3002、1つ又は複数のデータストレージ装置3004、1つ又は複数のメモリ装置3008、及び/又は1つ又は複数のポート3008~3010を含むコンピュータシステム3000の要素のいくつかが、図21に示されている。これに加えて、当業者によって認識されることになるその他の要素も、演算システム3000に含まれうるが、図21には明示的に描かれておらず、且つ、本明細書においては、更なる説明を省略する。コンピュータシステム3000の様々な要素は、1つ又は複数の通信バス、ポイントツーポイント通信経路、又は図21において明示的に描かれてはいないその他の通信手段を経由して、互いに通信することができる。
【0187】
プロセッサ3002は、例えば、中央処理ユニット(CPU)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、並びに/或いは、1つ又は複数の内部レベルのキャッシュを含みうる。プロセッサ3002が、単一の中央処理ユニットを有するように、或いは、並列処理環境と一般に呼称される、互いに並列に命令を実行し、且つ、動作を実行する能力を有する複数の処理ユニットを有するように、1つ又は複数のプロセッサ3002が存在しうる。
【0188】
コンピュータシステム3000は、従来のコンピュータ、分散型コンピュータ、或いは、クラウド演算アーキテクチャを介して提供される1つ又は複数の外部コンピュータなどの、任意のその他のタイプのコンピュータであってよい。この記述されている技術は、任意選択により、1つ又は複数のデータが保存された装置3004上において保存される、1つ又は複数のメモリ装置3006上において保存される、且つ/又は、ポート3008~3010の1つ又は複数を介して通信される、ソフトウェア内において実装され、これにより、図21のコンピュータシステム3000を本明細書において記述されている動作を実装する特殊目的装置に変換している。コンピュータシステム3000の例は、パーソナルコンピュータ、端末、ワークステーション、携帯電話機、タブレット、ラップトップ、パーソナルコンピュータ、マルチメディアコンソール、ゲーミングコンソール、セットトップボックス、及びこれらに類似したものを含む。
【0189】
1つ又は複数のストレージ装置3004は、アプリケーションプログラムと演算システム3000の様々なコンポーネントを管理するオペレーティングシステム(OS)の両方のものの命令を含みうる、コンピュータプロセスを実行するためのコンピュータ実行可能命令などの、演算システム3000内において生成又は利用されるデータを保存する能力を有する任意の不揮発性データストレージ装置を含みうる。データストレージ装置3004は、限定を伴うことなしに、磁気ディスクドライブ、光ディスクドライブ、半導体ドライブ(SSD)、フラッシュドライブ、及びこれらに類似したものを含みうる。データストレージ装置3004は、1つ又は複数のデータベース管理製品、ウェブサーバー製品、アプリケーションサーバー製品、及び/又はその他の更なるソフトウェアコンポーネントを含む、このようなコンピュータプログラムプロダクトを有する有線又は無線ネットワークアーキテクチャを介して提供される、着脱自在のデータストレージ媒体、非着脱自在のデータストレージ、及び/又は外部ストレージ装置を含みうる。着脱自在のデータストレージ媒体の例は、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、デジタルバーサタイルディスク読み出し専用メモリ(DVD-ROM)、磁気-光ディスク、フラッシュドライブ、及びこれらに類似したものを含む。非着脱自在のデータストレージ媒体の例は、内部磁気ハードディスク、SSD、及びこれらに類似したものを含む。1つ又は複数のメモリ装置3006は、揮発性メモリ(例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、など)及び/又は不揮発性メモリ(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、など)を含みうる。
【0190】
この記述されている技術に従ってシステム及び方法を実現するためのメカニズムを収容するコンピュータプログラムプロダクトは、機械可読媒体と呼称されうるデータストレージ装置3004及び/又はメモリ装置3006内において存在しうる。機械可読媒体は、機械による実行のために本開示の動作の任意の1つ又は複数を実行するべく命令を保存又はエンコーディングする能力を有する、或いは、このような命令によって利用される又はこれらと関連する、データ構造及び/又はモジュールを保存又はエンコーディングする能力を有する、任意の有体の一時的ではない媒体を含みうることを理解されたい。機械可読媒体は、1つ又は複数の実行可能命令又はデータ構造を保存する単一の媒体又は複数の媒体(例えば、中央集中化された又は分散されたデータベース及び/又は関連するキャッシュ及びサーバー)を含みうる。
【0191】
いくつかの実装形態において、コンピュータシステム3000は、入出力(I/O)ポート3008と、その他の演算、ネットワーク、ナビゲーション、又はロボット装置と通信するための、通信ポート3010などの、1つ又は複数のポートと、を含む。ポート3008~3010は、組み合わせられてもよく、或いは、分離されていてもよく、且つ、更に多くの又は少ない数のポートが、コンピュータシステム3000内において含まれうることを理解されたい。
【0192】
I/Oポート3008は、I/O装置又はその他の装置に接続されてもよく、これにより、情報が、演算システム3000に入力され、且つ、これから出力される。このようなI/O装置は、限定を伴うことなしに、例えば、ロボットアーム及びナビゲーション及び追跡システムなどの、1つ又は複数の入力装置又は出力装置を含みうる。
【0193】
一実装形態において、入力装置は、I/Oポート3008を介して、人間の音声、物理的な運動、物理的な接触又は圧力、並びに/或いは、これらに類似したものなどの人間によって生成された信号を演算システム3000内への入力データとして電気信号に変換している。同様に、出力装置も、I/Oポート3008を介して演算システム3000から受け取られた電気信号をサウンド、光、及び/又は接触などの出力された際に人間によって検知されうる信号に変換することができる。入力装置は、I/Oポート3008を介して、情報及び/又はコマンド選択をプロセッサ3002に伝達するべく、英数及びその他のキーを含む英数入力装置であってよい。入力装置は、限定を伴うことなしに、マウス、トラックボール、カーソル方向キー、ジョイスティック、及び/又はホイールなどの、方向及び選択制御装置、カメラ、マイクロフォン、位置センサ、向きセンサ、重力センサ、慣性センサ、及び/又は加速度計などの、1つ又は複数のセンサ、及び/又は、接触感知表示画面(「タッチスクリーン」)、及び/又は、ナビゲーション及び追跡システムと関連する追跡/プローブ装置を含む、別のタイプのユーザー入力装置であってもよい。出力装置は、限定を伴うことなしに、ディスプレイ、タッチスクリーン、スピーカ、触覚及び/又は触感出力装置、及び/又はこれらに類似したものを含みうる。いくつかの実装形態において、入力装置及び出力装置は、例えば、タッチスクリーンのケースにおいては、同一の装置であってよい。
【0194】
一実装形態において、通信ポート3010は、ネットワークに接続されており、これにより、コンピュータシステム3000は、本明細書において記述されている方法及びシステムを実行する際に有用であるネットワークデータを受け取ることができる、のみならず、送信情報及びネットワーク構成の変化を判定することができる。換言すれば、通信ポート3010は、1つ又は複数の有線又は無線通信ネットワーク又は接続を経由して演算システム3000とその他の装置の間において情報を送受信するように構成された1つ又は複数の通信インターフェイスにコンピュータシステム3000を接続している。このようなネットワーク又は接続の例は、限定を伴うことなしに、ユニバーサルシリアルバス(USB)、Ethernet(登録商標)、Wi-Fi、Bourtooth(登録商標)、近距離通信(NFC)、ロングタームエボリューション(LTE)、などを含む。1つ又は複数のこのような通信インターフェイス装置は、ポイントツーポイント通信経路上において直接的に、ワイドエリアネットワーク(WAN)(例えば、インターネット)上において、ローカルエリアネットワーク(LAN)上において、セルラー(例えば、第3世代(3G)又は第4世代(4G))ネットワーク上において、或いは、別の通信手段上において、1つ又は複数のその他の装置と通信するべく通信ポート3010を介して利用することができる。更には、通信ポート3010は、電磁信号の送信及び/又は受信のためのアンテナ又はその他のリンクと通信することもできる。
【0195】
例示用の一実装形態において、患者データ、骨モデル(例えば、一般的なもの、患者に固有のもの)、変換ソフトウェア、追跡及びナビゲーションソフトウェア、位置合わせソフトウェア、並びに、その他のソフトウェア及びその他のモジュール及びサービスは、データストレージ装置3004及び/又はメモリ装置3006上において保存される、且つ、プロセッサ3002によって実行される、命令によって実施することができる。コンピュータシステム3000は、手術システム100と一体化されてもよく、或いは、さもなければ、その一部分を形成していてもよい。システムは、第1骨から術中に収集された患者データを第1骨のコンピュータモデルと共通座標系内において位置合わせするように、構成することができる。第1骨は、その他のものに加えて、例えば、股関節、膝関節、肩関節、肘関節、足首関節などの、関節を形成するべく第2骨と結合しうる。システムは、追跡装置と、追跡装置によってその運動の際に追跡されるツール(例えば、ナビゲーションプローブ、手術ロボットアームの端部)と、を含む、手術ナビゲーションシステムを含みうる。これに加えて、システムは、ナビゲーションシステムと通信状態にある演算装置(1つ又は複数)をも含みうる。演算装置は、以下のステップを実行することができる。1)骨の凹入した部分の関節接続表面上において第1の術中に収集されたポイントから患者データの第1データポイントを受け取るステップである。第1データポイントは、少なくとも1つのツールを使用して収集することができる。第1データポイントは、コンピュータモデル上の第1関節接続領域に場所において対応しうる。2)第2の第1骨上において術中に収集されたポイントから第2データポイントを受け取るステップである。第2データポイントは、少なくとも1つのツールを使用して収集することができる。第2データポイントは、コンピュータモデル上の第2仮想データポイントに場所において対応しうる。3)第1データポイントから術中の回転の中心を判定するステップである。術中の回転の中心は、第1骨との関係における第2骨の物理的な回転の中心に対応しうる。4)仮想的な回転の中心と第2仮想データポイントの間の第1距離と術中の回転の中心と第2データポイントの間の第2距離を比較するステップである。そして、5)位置及び向きとの関係において対応させるように、患者データ及びコンピュータモデルにより、変換を実行するステップである。
【0196】
但し、図21に記述されているシステムは、本開示の態様に従って利用されうる或いは構成されうるコンピュータシステムの1つの可能な例である。この開示された技術を演算システム上において実装するためのコンピュータ実行可能命令を保存するその他の一時的ではない有体のコンピュータ可読ストレージ媒体が利用されうることを理解されたい。
【0197】
本開示においては、その他のものに加えて、例えば、図5に示されているものなどの、本明細書において開示されている方法は、命令の組又は装置によって判読可能であるソフトウェアとして実装することができる。更には、開示されている方法におけるステップの特定の順序又は階層構造は、例示用の方式の例であることを理解されたい。設計の好みに基づいて、方法におけるステップの特定の順序又は階層構造は、開示されている主題内に留まりつつ、再構成されうることを理解されたい。添付の方法請求項は、サンプルの順序において様々なステップの要素を提示しているが、必ずしも、提示されている特定の順序又は階層構造に限定されることを意味するものではない。
【0198】
本明細書において記述されている方法の任意のものを含む記述されている開示は、本開示に従ってプロセスを実行するべくコンピュータシステム(又は、その他の電子装置)をプログラミングするべく使用されうる、命令をその上部において保存している、一時的はない機械可読媒体を含みうる、コンピュータプログラムプロダクト、ソフトウェア、又はコンピュータ化された方法として提供することができる。機械可読媒体は、機械(例えば、コンピュータ)によって判読可能である形態(例えば、ソフトウェア、処理アプリケーション)において情報を保存するための任意のメカニズムを含む。機械可読媒体は、限定を伴うことなしに、磁気ストレージ媒体、光ストレージ媒体、磁気光ストレージ媒体、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能プログラム可能メモリ(例えば、EPROM及びEEPROM)、フラッシュメモリ、又は電子命令を保存するのに適したその他のタイプの媒体を含みうる。
【0199】
以上、様々な実装形態を参照し、本開示について説明したが、これらの実装形態は、例示を目的としたものであり、且つ、本開示の範囲は、これらに限定されるものではない、ことを理解されたい。多くの変形、変更、追加、及び改善が可能である。更に一般的には、本開示による実施形態は、特定の実装形態の文脈において記述されている。機能は、開示の様々な実施形態において、異なる方式でブロックにおいて分離されてもよく又は組み合わせられてもよく、或いは、異なる用語によって記述されている場合もある。これらの及びその他の変形、変更、追加、及び改善は、添付の請求項において定義されている本開示の範囲に含まれうる。例えば、本説明は、腰を伴う方法について説明しているが、本開示は、同様に、その他のものに加えて、肩、足首、及び脊椎を含むその他の関節に適用可能である。
【0200】
一般に、本明細書において記述されている実施形態は、特定の実施形態を参照して説明されているが、本開示の精神及び範囲を逸脱することなしに、これらに対する変更を実施することができる。又、本明細書において使用されている「含む(including)」という用語は、包含的となるように、即ち、「限定を伴うことなしに含む(including but not limited to)」となるように、意図されていることに留意されたい。
【0201】
様々な例示用の実施形態において示されているシステム及び方法の構造及び構成は、例示を目的としたものに過ぎない。本開示においては、いくつかの実施形態のみが詳述されているが、多くの変更(例えば、様々な要素の、サイズ、寸法、構造、形状、及び割合、パラメータの値、取付構成、材料の使用法、色、向き、など、の変化)が可能である。例えば、要素の位置は、逆転されてもよく、或いは、その他の方法で変更されてもよく、且つ、別個の要素又は位置の特性又は数は、変更されてもよく、或いは、変化してもよい。従って、すべてのこのような変更は、本開示の範囲内に含まれるものと解釈されたい。任意のプロセス又は方法ステップの順序又はシーケンスは、代替実施形態に従って変更又は再順序付けされてもよい。本開示の範囲を逸脱することなしに、例示用の実施形態の設計、動作状態、及び構成において、その他の置換、変更、変形、及び省略を実施することができる。
上述の実施形態は下記の例のように記載され得るが、下記の例に限定されない。
[例1]
装置と大腿骨を位置合わせするシステムであって、前記大腿骨は、外部表面と、内管と、を含み、前記大腿骨と前記装置は、共通座標系内に位置しており、前記システムは、
ナビゲーションシステム及び前記装置と通信状態にある少なくとも1つの演算装置を有し、
前記ナビゲーションシステムは、前記装置を追跡するように構成されており、前記少なくとも1つの演算装置は、手術計画を仮想的な座標空間内において保存しており、前記少なくとも1つの演算装置は、
a)前記大腿骨の前記外部表面上の場所に対応する外部骨位置合わせデータを受け取り、
b)前記外部骨位置合わせデータに基づいて第1位置合わせ変換を算出し、
c)前記第1位置合わせ変換に基づいて前記手術計画の第1骨除去計画を前記共通座標系に変換し、
d)前記大腿骨の内管から場所又は向きデータの少なくとも1つに対応する内部骨管位置合わせデータを受け取り、
e)前記外部骨位置合わせデータと前記内部骨管位置合わせデータの両方に基づいて第2位置合わせ変換を算出し、
f)前記第2位置合わせ変換に基づいて前記手術計画の第2骨除去計画を前記共通座標系に変換する、システム。
[例2]
前記第1骨除去計画は、前記仮想的な座標空間内において定義されており、且つ、前記大腿骨の前記内管を表す仮想的内管からの骨除去の第1部分用の第1座標場所を有する、例1に記載のシステム。
[例3]
前記第2骨除去計画は、前記仮想的な座標空間内において定義されており、且つ、前記大腿骨の前記内管を表す前記仮想的内管からの骨除去の第2部分用の第2座標場所を有する、例2に記載のシステム。
[例4]
前記第1骨除去計画からの骨除去の前記第1部分は、組み合わせられた前記第1及び第2骨除去計画よりも乏しい前記仮想的管からの骨除去を含む、例3に記載のシステム。
[例5]
前記第1骨除去計画は、大腿骨インプラントのステムの埋植に必要とされるフル管準備よりも乏しい部分的大腿管準備計画のみを含む、例3に記載のシステム。
[例6]
前記第1骨除去計画からの骨除去の前記第1部分及び前記第2骨除去計画からの骨除去の前記第2部分は、集合的に、量において、フル管準備計画に匹敵している、例3に記載のシステム。
[例7]
前記第2骨除去計画は、ロボットによる骨除去部分と、手動的な骨除去部分と、を含む、例6に記載のシステム。
[例8]
前記手動的な骨除去部分は、ブローチのために計画されている、例7に記載のシステム。
[例9]
前記骨除去の第2部分用の前記第2座標場所は、前記骨除去の第1部分用の前記第1座標場所を含む、例3に記載のシステム。
[例10]
前記第2骨除去計画からの骨除去の前記第2部分用の前記第2座標場所は、前記第1骨除去計画からの骨除去の前記第1部分用の前記第1座標場所を包含している、例3に記載のシステム。
[例11]
前記ナビゲーションシステムは、追跡装置と、前記追跡装置によってその運動の際に追跡されるように構成された少なくとも1つのツールと、を有する、例1に記載のシステム。
[例12]
前記手術計画は、大腿骨頸部エッチング用の位置及び向きを更に有し、前記少なくとも1つの演算装置は、g)前記大腿骨頸部上の物理的マークに対応する大腿骨頸部エッチングデータを受け取っており、前記マークは、前記大腿骨頸部の完全な切除よりも乏しい、例1に記載のシステム。
[例13]
前記少なくとも1つの演算装置は、更に、g)前記第1位置合わせ変換を前記第2位置合わせ変換と比較し、且つ、前記比較に基づいて前記第1位置合わせ変換又は前記第2位置合わせ変換のうちの1つと共に進捗している、例1に記載のシステム。
[例14]
装置と大腿骨の位置合わせのコンピュータで実施される方法であって、前記大腿骨は、外部表面と、内管と、を含み、前記装置と前記大腿骨は、共通座標系内に位置しており、コンピュータで実施される前記方法は、
前記大腿骨の前記外部表面上の場所に対応する外部骨位置合わせデータを受け取るステップと、
前記外部骨位置合わせデータに基づいて第1位置合わせ変換を算出するステップと、
前記第1位置合わせ変換に基づいて手術計画の第1骨除去計画を前記共通座標系に変換するステップであって、前記第1骨除去計画は、大腿骨インプラントのステムを受け入れるのに必要とされるフル管準備計画よりも乏しい部分的大腿管準備計画を含む、ステップと、
前記大腿骨の前記内管から場所又は向きデータの少なくとも1つに対応する内部骨管位置合わせデータを受け取るステップと、
前記外部骨位置合わせデータと前記内部骨管位置合わせデータの両方に基づいて第2位置合わせ変換を算出するステップと、
前記第2位置合わせ変換に基づいて前記手術計画の第2骨除去計画を前記共通座標系に変換するステップと、
を有する、方法。
[例15]
大腿骨の骨モデルとの関係においてインプラントモデルの計画されたインプラント配置を判定するステップを更に有し、前記大腿骨の骨モデルは、前記大腿骨を表している、例14に記載のコンピュータで実施される方法。
[例16]
前記計画されたインプラント配置を実現するべく手術計画を判定するステップを更に有し、前記手術計画は、前記第1骨除去計画及び前記第2骨除去計画を有する、例15に記載のコンピュータで実施される方法。
[例17]
前記第1骨除去計画は、前記大腿骨を表す大腿骨の骨モデルとの関係において仮想的座標系内において計画されており、前記仮想的座標系は、前記共通座標系とは異なっており、
前記第1位置合わせ変換に基づいて前記第1骨除去計画を前記共通座標系に変換するステップは、前記第1骨除去計画が前記仮想的座標系内において前記大腿骨の骨モデルとの関係にあるのと同一の位置及び向きにおいて、前記第1骨除去計画を前記大腿骨に前記共通座標系内においてマッピングするステップを有する、例14に記載のコンピュータで実施される方法。
[例18]
前記第2除去計画は、前記大腿骨を表す大腿骨の骨モデルとの関係において仮想的座標系内において計画されており、前記仮想的座標系は、前記共通座標系とは異なっており、且つ、
前記第2位置合わせ変換に基づいて前記第2骨除去計画を前記共通座標系に変換するステップは、前記第2骨除去計画が前記仮想的座標内において前記大腿骨の骨モデルとの関係あるのと同一の位置及び向きにおいて、前記第2骨除去計画を前記大腿骨に前記共通座標系内においてマッピングするステップを有する、例14に記載のコンピュータで実施される方法。
[例19]
前記第2骨除去計画は、前記大腿骨の前記内管からの骨の除去を含み、前記第2骨除去計画は、前記第1骨除去計画からの前記骨除去を包含している、例18に記載のコンピュータで実施される方法。
[例20]
第2骨除去計画は、前記第1骨除去計画内における前記骨を超えた更なる骨の除去を含む、例18に記載のコンピュータで実施される方法。
[例21]
第1座標系内の第1骨の患者データを前記第1骨と関連する手術計画と前記第1座標系とは異なる第2座標系内において位置合わせするシステムであって、前記第1骨は、頭部分と、前記頭部分から延在するシャフト部分と、を有し、前記システムは、
a)追跡装置と、前記追跡装置によってその運動の際に追跡されるように構成された少なくとも1つのツールと、を有するナビゲーションシステムと通信状態にある少なくとも1つの演算装置を有し、前記少なくとも1つの演算装置は、前記手術計画を前記第2座標系内内において保存しており、前記手術計画は、前記第1骨を表す仮想的骨モデルを有し、第1骨除去計画が前記仮想的骨モデルと関連付けられており、且つ、第2骨除去計画が前記仮想的骨モデルと関連付けられており、前記少なくとも1つの演算装置は、
i)前記第1骨と関連するデータの第1ポイントクラウドを受け取り、前記データの第1ポイントクラウドは、前記第1骨の前記頭部分と関連する第1データを有し、
ii)前記データの第1ポイントクラウドから第1位置合わせ変換を算出し、
iii)前記第1位置合わせ変換を使用して、前記第1骨除去計画が前記仮想的骨モデルとの関係において前記第2座標系内に存在していたような前記第1骨との関係における位置及び向きにおいて、前記手術計画の前記第1骨除去計画を前記第1座標系に変換し、
iv)前記第1骨と関連するデータの第2ポイントクラウドを受け取り、前記データの第2ポイントクラウドは、前記第1骨の前記シャフト部分の内部部分と関連する第2データを有し、
v)前記第1及び第2のデータのポイントクラウドの両方から第2位置合わせ変換を算出し、且つ、
vi)前記第2位置合わせ変換を使用して、前記第2骨除去計画が前記仮想的骨モデルとの関係において前記第2座標系内において存在していたような前記第1骨との関係における位置及び向きにおいて、前記手術計画の前記第2骨除去計画を前記第1座標系に変換する、システム。
[例22]
前記データの第1及び第2ポイントクラウドは、前記ナビゲーションシステムの前記追跡装置によってその運動の際に追跡されている手術装置を介して、術中において収集されている、例21に記載のシステム。
[例23]
前記第1骨除去計画は、前記仮想的骨モデルの仮想的管からの骨の部分的除去のための第1計画を含む、例21に記載のシステム。
[例24]
前記第2骨除去計画は、前記仮想的骨モデルの前記仮想的管からの骨のフル除去のための第2計画を含み、前記第1及び第2骨除去計画は、大腿骨インプラントのステムの埋植の準備を目的としたものである、例23に記載のシステム。
[例25]
コンピュータプロセスを演算システム上において実行するためのコンピュータ実行可能命令を保存する1つ又は複数の有体のコンピュータ可読ストレージ媒体であって、コンピュータプロセスは、
a)患者の骨盤の複数の画像スキャンを受け取るステップと、
b)前記複数の画像スキャンから前記患者の骨盤の3次元骨モデルを生成するステップと、
c)前記複数の画像スキャンと関連するスキャン軸を識別するステップであって、前記スキャン軸は、撮像装置のスキャニングテーブルの長軸に沿って定義されている、ステップと、
d)前記患者の骨盤の前記3次元骨モデルと関連する骨軸を識別するステップと、
e)前記スキャン軸と前記骨軸の間の角度オフセットを判定するステップと、
f)前記患者の骨盤の3次元骨モデルとの関係において少なくとも1つの仮想的な骨の仮想的な回転の中心を判定するステップと、
g)手術位置合わせ手順において利用される位置合わせ変換において制約として前記角度オフセット及び前記仮想的な回転の中心を使用するステップと、
を有する、媒体。
[例26]
コンピュータプロセスを演算システム上において実行するためのコンピュータ実行可能命令を保存する1つ又は複数の有体のコンピュータ可読ストレージ媒体であって、コンピュータプロセスは、
a)手術ナビゲーションシステムの少なくとも1つのツールからデータのポイントクラウドを受け取るステップであって、前記少なくとも1つのツールは、前記手術ナビゲーションシステムの追跡装置によってその運動の際に追跡されており、前記少なくとも1つのツールは、データポイントを前記ポイントクラウドデータ内において保存するように構成されており、前記データのポイントクラウドは、第1データ及び第2データを共通座標系内において有し、前記第1データは、手術テーブル上において又はその近傍において配置されたポイントのペアを有し、前記第2データは、関節表面の凹入した部分に対応する複数のポイントを有し、前記関節表面は、前記凹入した部分を有する第1骨と凸状の部分を有する第2骨の間に位置する、ステップと、
b)前記第1データの前記ポイントのペアの間においてベクトルを判定するステップと、
c)前記第2データから回転の中心を判定するステップであって、前記回転の中心は、前記第1骨との関係における第2骨のものである、ステップと、
d)前記データのポイントクラウドを少なくとも1つの第1骨の3次元コンピュータモデルと位置合わせする位置合わせ変換を利用するステップであって、前記ベクトル及び前記回転の中心は、前記位置合わせ変換における制約である、ステップと、
を有する、媒体。
[例27]
手術位置合わせ用のコンピュータで実施される方法であって、
a)手術ナビゲーションシステムの少なくとも1つのツールからデータのポイントクラウドを受け取るステップであって、少なくとも1つのツールは、手術ナビゲーションシステムの追跡装置によってその運動の際に追跡されており、前記少なくとも1つのツールは、前記追跡装置との関係におけるその位置に基づいてデータポイントを前記ポイントクラウドデータ内において保存するように構成されており、前記データのポイントクラウドは、第1データ及び第2データを第1座標系内内において有し、前記第1データは、手術テーブル上において又はその近傍において配置された第1及び第2座標ポイントを有し、前記第2データは、骨のペアの間において形成された関節の回転の中心に対応する1つ又は複数の座標ポイントを有する、ステップと、
b)前記データのポイントクラウドを前記骨のペア及び前記関節の、或いは、これらを近似する、3次元コンピュータモデルと関連する複数の座標ポイントと位置合わせする位置合わせ変換を利用するステップであって、前記複数の座標ポイントは、前記関節の回転の中心に対応する1つ又は複数の座標ポイントを有し、前記複数の座標ポイントは、第2座標系内に位置する、ステップと、
を有する方法。
[例28]
前記手術テーブル上において又はその近傍において配置された前記第1及び第2座標ポイントは、前記手術テーブルの長軸と平行にアライメントされている、例27に記載のコンピュータで実施される方法。
[例29]
前記第1データは、前記手術テーブル上において又はその近傍において配置された第3座標ポイントを有しており、前記第3座標ポイントは、前記第1及び第2座標ポイントとは前記手術テーブルの反対側において配置されている、例28に記載のコンピュータで実施される方法。
[例30]
前記骨のペア及び前記関節の、或いは、これらを近似する、前記3次元コンピュータモデルは、前記骨のペア及び前記関節の術前画像スキャンから生成されている、例27に記載のコンピュータで実施される方法。
[例31]
前記骨のペア及び前記関節の、或いは、これらを近似する前記3次元コンピュータモデルは、前記骨のペア及び前記関節を近似する一般的な骨モデルを有する、例27に記載のコンピュータで実施される方法。
[例32]
前記骨のペア及び前記関節の、或いは、これらを近似する前記3次元コンピュータモデルは、前記骨のペア及び前記関節を近似する統計的な骨モデルを有する、例27に記載のコンピュータで実施される方法。
[例33]
手術位置合わせシステムであって、
遠位先端と、近位発光ダイオード(LED)光マーカーと、を有する位置合わせ針であって、前記近位LED光マーカーは、手術ナビゲーションシステムの追跡装置によって追跡されるように構成されている、位置合わせ針と、
それを通じて延在する複数のスルーホールを有するテンプレートブロックを有する針テンプレートであって、前記複数のスルーホールは、前記テンプレートブロック上において互いに離隔しており、且つ、前記複数のスルーホールのそれぞれは、軌跡に沿って前記位置合わせ針をガイドするように構成されている、針テンプレートと、
前記針テンプレートに結合された光位置特定トラッカであって、前記手術ナビゲーションシステムの前記追跡装置によって追跡されるように構成されている、光位置特定トラッカと、
を有する、システム。
[例34]
椎骨の術中に収集された患者データを前記椎骨のコンピュータモデルと座標系内において位置合わせするシステムであって、前記椎骨は、外側表面及び内管を有する皮質骨殻と、前記皮質骨殻の内部の海綿骨と、を有し、且つ、前記椎骨は、前記皮質骨殻によって境界が画定された脊髄管を定義しており、前記システムは、
a)追跡装置と、前記追跡装置によってその運動の際に追跡されるように構成された少なくとも1つのツールと、を有する手術ナビゲーションシステムであって、前記少なくとも1つのツールは、その遠端において切削要素を有するエンドエフェクタと、前記切削要素上において負荷を検知するように構成されたロードセルと、を有する、手術ナビゲーションシステムと、
b)前記手術ナビゲーションシステムと通信状態にある少なくとも1つの演算装置であって、少なくとも1つの演算装置は、前記椎骨の前記コンピュータモデルを前記座標系内において保存する、少なくとも1つの演算装置と、
を有し、前記少なくとも1つの演算装置は、
i)前記切削要素が前記皮質骨殻及び前記海綿骨に接触した際に、前記エンドエフェクタの前記遠端において前記切削要素が経験する負荷と関連する負荷データを受け取り、
ii)前記負荷データに基づいて前記切削要素が前記皮質骨殻の前記内管に接触した時点を識別し、
iii)前記椎骨と関連するデータのポイントクラウドを受け取り、前記データのポイントクラウドは、前記皮質骨殻の前記内管上の座標場所を有し、前記データのポイントクラウドは、前記エンドエフェクタの前記遠端における前記切削要素を介して収集されており、且つ、
iv)前記椎骨と関連する前記データのポイントクラウドを前記椎骨の前記コンピュータモデルと共通座標系内において位置合わせするための変換を実行又は更新するステップのうちの少なくとも1つを実行する、システム。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図13E
図13F
図14A
図14B
図14C
図14D
図15
図15D
図15E
図15F
図15G
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図17C
図18
図19A
図19B
図20A
図20B
図20C
図20D
図21