(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】電動歩行補助装置を制御するための制御システムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
A61G 5/04 20130101AFI20240910BHJP
A61G 5/10 20060101ALI20240910BHJP
A61H 3/00 20060101ALI20240910BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20240910BHJP
G08G 1/005 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
A61G5/04 707
A61G5/10
A61H3/00 Z
G05D1/43
G08G1/005
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023086237
(22)【出願日】2023-05-25
【審査請求日】2023-07-07
(32)【優先日】2022-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】508226687
【氏名又は名称】和碩聯合科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】PEGATRON CORPORATION
【住所又は居所原語表記】5F.,No.76,Ligong St., Beitou Dist., Taipei City 112, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李昂謙
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112869968(CN,A)
【文献】特表2020-509476(JP,A)
【文献】特開2022-048017(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0365592(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 5/04,5/10
A61H 3/00
G08G 1/005
G05D 1/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動歩行補助装置を制御するための制御システムであって、
前記電動歩行補助装置に配置され、前記電動歩行補助装置の周囲のパノラマ画像を撮影するように構成されたパノラマカメラと、
前記電動歩行補助装置に配置され、ナビゲーション情報を生成するように構成されたナビゲーション情報デバイスと、
前記パノラマカメラおよび前記ナビゲーション情報デバイスに結合され、前記パノラマ画像に基づいて使用者
の人物検出および使用者の関節点検出のうちの少なくとも1つを実行し、ポイントクラウド情報を介して、電動歩行補助装置と使用者の間の距離を取得し、前記ナビゲーション情報に基づいて前記使用者に近づくように前記電動歩行補助装置を制御するコントローラと、
を含
み、
前記距離が予め設定された距離よりも短いとき、前記コントローラが、前記人物検出および前記関節点検出のうちの少なくとも1つの検出結果に基づいて、前記使用者の背部の後ろの位置を検索し、前記使用者の背部に向かって移動するように前記電動歩行補助装置を制御する、制御システム。
【請求項2】
前記コントローラが、フィールド内で移動するように前記電動歩行補助装置を制御するため、前記ナビゲーション情報デバイスが、前記フィールドの前記ナビゲーション情報を生成する、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記コントローラが、前記人物検出を介して前記パノラマ画像内の前記使用者の位置を把握し、前記関節点検出を介して前記使用者の姿勢を把握する、請求項
1に記載の制御システム。
【請求項4】
前記ナビゲーション情報が、加速度情報およびポイントクラウド情報を含み、前記ナビゲーション情報デバイスが、
前記電動歩行補助装置がフィールド内で移動したときに、前記電動歩行補助装置の前記加速度情報を取得するように構成された慣性計測ユニットと、
前記フィールドの前記ポイントクラウド情報を生成するように構成されたデプスカメラと、
を含む、請求項
1に記載の制御システム。
【請求項5】
前記コントローラが、前記ポイントクラウド情報および前記加速度情報に基づいてリアルタイムマップを生成し、前記リアルタイムマップが、前記フィールドの環境に対応する、請求項
4に記載の制御システム。
【請求項6】
前記コントローラが、前記人物検出および前記関節点検出のうちの少なくとも1つの検出結果に基づいて、前記使用者が前記電動歩行補助装置に座っているかどうかを判断し、
前記使用者が前記電動歩行補助装置に座っていると前記コントローラが判断したとき、前記コントローラが、移動を停止するように前記電動歩行補助装置を制御し、
前記使用者が前記電動歩行補助装置に座っていないと前記コントローラが判断したとき、前記コントローラが、前記使用者の背部に向かって移動するように前記電動歩行補助装置を制御する、請求項
1に記載の制御システム。
【請求項7】
電動歩行補助装置を制御するための制御方法であって、
パノラマカメラにより前記電動歩行補助装置の周囲のパノラマ画像を撮影
し、前記パノラマ画像に基づいて、人物検出および使用者の関節点検出のうちの少なくとも1つを実行することと、
ナビゲーション情報デバイスによりナビゲーション情報を生成することと、
前記パノラマ画像に基づいて
前記使用者を検出し、前記ナビゲーション情報に基づいて前記使用者に近づくように前記電動歩行補助装置を制御することと、
ポイントクラウド情報を介して前記電動歩行補助装置と前記使用者の間の距離を取得することと、
を含
み、
前記電動歩行補助装置と前記使用者の間の前記距離が予め設定された距離よりも短いとき、前記人物検出および前記関節点検出のうちの少なくとも1つの検出結果に基づいて、前記使用者の背部の後ろの位置を検索し、前記使用者の背部に向かって移動するように前記電動歩行補助装置を制御する、制御方法。
【請求項8】
前記ナビゲーション情報デバイスにより前記ナビゲーション情報を生成することが、
フィールド内で移動するように前記電動歩行補助装置を制御して、前記ナビゲーション情報デバイスが前記フィールドのナビゲーション情報を生成することを含む、請求項
7に記載の制御方法。
【請求項9】
前記パノラマ画像に基づいて前記人物検出および前記関節点検出のうちの少なくとも1つを実行することが、
前記人物検出を介して前記パノラマ画像内の前記使用者の位置を把握することと、
前記関節点検出を介して前記使用者の姿勢を把握することと、
を含む請求項
7に記載の制御方法。
【請求項10】
前記ナビゲーション情報が、加速度情報およびポイントクラウド情報を含み、前記ナビゲーション情報デバイスにより前記ナビゲーション情報を生成することが、
前記電動歩行補助装置がフィールド内で移動する際の加速度情報を取得することと、
前記フィールドの前記ポイントクラウド情報を生成することと、
を含む、請求項
7に記載の制御方法。
【請求項11】
前記ポイントクラウド情報および前記加速度情報に基づいてリアルタイムマップを生成することをさらに含み、前記リアルタイムマップが、前記フィールドの環境に対応する、請求項
10に記載の制御方法。
【請求項12】
前記人物検出および前記関節点検出のうちの少なくとも1つの検出結果に基づいて、前記使用者が前記電動歩行補助装置に座っているかどうかを判断することと、
前記使用者が前記電動歩行補助装置に座っていると判断されたときに、移動を停止するように前記電動歩行補助装置を制御することと、
前記使用者が前記電動歩行補助装置に座っていないと判断されたときに、前記使用者の背部に向かって移動するように前記電動歩行補助装置を制御することと、
をさらに含む、請求項
9に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システムおよび制御方法に関するものであり、特に、電動歩行補助装置を制御するための制御システムおよび制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動歩行補助器、電動歩行補助椅子、電動リフト、および電動車椅子などの電動歩行補助装置は、移動が困難な使用者の移動を助けることができる。しかしながら、現在の電動歩行補助装置を使用するためには、使用者が自分で電動歩行補助装置に近づくか、または居合わせた人が電動歩行補助装置を使用者の近くまで持って来る必要がある。これにより、電動歩行補助装置の利便性が制限される。したがって、使用者に積極的に近づくように電動歩行補助装置を制御して、電動歩行補助装置の利便性を向上させることが、この分野の技術者の研究課題の1つである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、使用者に積極的に近づくように電動歩行補助装置を制御するための制御システムおよび制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の制御システムは、電動歩行補助装置を制御するために使用される。制御システムは、パノラマカメラ、ナビゲーション情報デバイス、およびコントローラを含む。パノラマカメラは、電動歩行補助装置に配置される。パノラマカメラは、電動歩行補助装置の周囲のパノラマ画像を撮影する。ナビゲーション情報デバイスは、電動歩行補助装置に配置される。ナビゲーション情報デバイスは、ナビゲーション情報を生成する。コントローラは、パノラマカメラおよびナビゲーション情報デバイスに接続される。コントローラは、パノラマ画像に基づいて使用者を検出し、ナビゲーション情報に基づいて使用者に近づくように電動歩行補助装置を制御する。
【0005】
本発明の制御方法は、電動歩行補助装置を制御するために使用される。制御方法は、以下のステップを含む。パノラマカメラを介して電動歩行補助装置の周囲のパノラマ画像を撮影する。ナビゲーション情報デバイスによりナビゲーション情報を生成する。パノラマ画像に基づいて使用者を検出し、ナビゲーション情報に基づいて使用者に近づくように電動歩行補助装置を制御する。
【発明の効果】
【0006】
以上のように、本発明の制御システムおよび制御方法は、パノラマカメラを使用して電動歩行補助装置の周囲のパノラマ画像を撮影し、ナビゲーション情報デバイスを使用してナビゲーション情報を生成する。本発明の制御システムおよび制御方法は、パノラマ画像に基づいて使用者を検出し、ナビゲーション情報に基づいて使用者に近づくように電動歩行補助装置を制御する。このようにして、電動歩行補助装置の利便性を向上させることができる。
【0007】
上述した内容をより包括的にするために、図面と併せたいくつかの実施形態について詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付の図面は、本発明の原理をさらに理解するために含まれており、本明細書に組み込まれ、かつその一部を構成するものである。図面は、本発明の実施形態を例示しており、説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たしている。
【0009】
【
図1】本発明の1つの実施形態に係る制御システムの概略図である。
【
図2】本発明の1つの実施形態に係る制御方法のフローチャートである。
【
図3】本発明の別の実施形態に係る制御システムの概略図である。
【
図4】本発明の1つの実施形態に係るポイントクラウド情報と原画像を比較した概略図である。
【
図5】本発明の別の実施形態に係る制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、
図1は、本発明の1つの実施形態に係る制御システムの概略図である。制御システム100は、電動歩行補助装置10を制御するために使用される。本実施形態において、電動歩行補助装置10は、例えば、電動歩行補助器、電動歩行補助椅子、電動リフト、電動車椅子、およびその他の移動補助装置である。本実施形態において、制御システム100は、パノラマカメラ110、ナビゲーション情報デバイス120、およびコントローラ130を含む。パノラマカメラ110は、電動歩行補助装置10に配置される。パノラマカメラ110は、電動歩行補助装置10の周囲のパノラマ画像PIMGを撮影する。パノラマ画像PIMGは、電動歩行補助装置10の周囲の360°のパノラマ画像である。例えば、パノラマカメラ110は、さまざまな撮像角度を有する複数の撮像回路によって実現することができる。本実施形態において、ナビゲーション情報デバイス120は、電動歩行補助装置10に配置される。ナビゲーション情報デバイス120は、ナビゲーション情報NMを生成する。
【0011】
本実施形態において、コントローラ130は、パノラマカメラ110およびナビゲーション情報デバイス120に結合される。コントローラ130は、パノラマ画像PIMGおよびナビゲーション情報NMを受信する。コントローラ130は、パノラマ画像PIMGに基づいて使用者を検出し、ナビゲーション情報NMに基づいて使用者に近づくように電動歩行補助装置10を制御する。本実施形態において、コントローラ130は、ナビゲーション情報NMに基づいて制御信号SCを提供し、電動歩行補助装置10を制御するため、電動歩行補助装置10は、使用者に近づくことができる。本実施形態において、コントローラ130は、例えば、コンピュータプログラムをロードおよび実行することのできる中央処理装置(central processing unit, CPU)、またはその他のプログラム可能な汎用または特殊用途のマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor, DSP)、プログラマブルコントローラ、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit, ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(programmable logic device, PLD)、またはその他の類似するデバイス、あるいはこれらのデバイスの組み合わせである。
【0012】
注意すべきこととして、コントローラ130は、パノラマ画像PIMGに基づいてパノラマ画像PIMG内の使用者を検出し、パノラマ画像PIMG内の使用者の位置を把握する。コントローラ130は、また、ナビゲーション情報NMに基づいて電動歩行補助装置10を誘導することにより、使用者に近づくように電動歩行補助装置10を制御する。このようにして、電動歩行補助装置10の利便性を向上させることができる。
【0013】
本実施形態において、コントローラ130は、フィールド内で移動するように電動歩行補助装置10を制御するため、ナビゲーション情報デバイス120は、フィールドのナビゲーション情報NMを生成する。フィールドは、屋内環境および/または屋外環境であってもよい。本実施形態において、コントローラ130は、リアルタイムマップSMを構築することができる。例えば、コントローラ130は、ナビゲーション情報NMに基づいて同時ローカリゼーションおよびマッピング(simultaneous localization and mapping, SLAM)計算を行い、フィールドのリアルタイムマップSMを提供することができる。リアルタイムマップSMは、フィールドの環境に対応する。例えば、リアルタイムマップSMは、フィールド内の障害物や電動歩行補助装置10がフィールド内で自由に移動する空間情報を記録する。コントローラ130は、リアルタイムマップSMおよびナビゲーション情報NMに基づいて制御信号SCを生成し、フィールドの環境における電動歩行補助装置10の動き(例えば、現在位置、速度など)を把握し、制御信号SCを使用して電動歩行補助装置10の動きを制御することができる。さらに、コントローラ130は、ビジュアルSLAM操作を実行することにより、フィールドのリアルタイムマップSMを提供する。コントローラ130は、ナビゲーション情報NMを使用して、リアルタイムマップSM内の電動歩行補助装置10の移動状態またはフィールド内の現在位置を把握することができる。移動状態には、移動方向と移動速度が含まれる。したがって、コントローラ130がリアルタイムマップSM内の電動歩行補助装置10の移動状態やフィールド内の現在位置を把握したとき、コントローラ130は、リアルタイムマップSMおよびナビゲーション情報NMを使用して制御信号SCを提供し、電動歩行補助装置10を誘導することができる。本実施形態において、コントローラ130は、また、パノラマ画像PIMGに基づいて人物検出および使用者の関節点検出のうちの少なくとも1つを実行する。例えば、コントローラ130は、人物検出を介して使用者を認識し、パノラマ画像PIMG内の使用者の位置を把握する。コントローラ130は、関節点検出を介して使用者の姿勢、例えば、立っているか、座っているか、しゃがんでいるか、寝ているか、手を挙げているかなどを把握する。例えば、コントローラ130は、関節点検出を介して使用者の複数の関節点座標を取得し、関節点座標を用いて使用者の骨格分布を決定し、使用者の骨格分布に基づいて使用者の姿勢を把握することができる。
【0014】
図1および
図2を併せて参照すると、
図2は、本発明の1つの実施形態に係る制御方法のフローチャートである。本実施形態において、
図2に示した制御方法は、電動歩行補助装置10に適用可能である。ステップS110において、パノラマカメラ110は、電動歩行補助装置10の周囲のパノラマ画像PIMGを撮影する。ステップS120において、ナビゲーション情報デバイス120は、ナビゲーション情報NMを生成する。ステップS130において、コントローラ130は、パノラマ画像PIMGに基づいて使用者を検出し、ナビゲーション情報NMに基づいて使用者に近づくように電動歩行補助装置10を制御する。ステップS110~S130の実施の詳細については、
図1の実施形態において完全に説明または教示されているため、以下では繰り返し説明しない。
【0015】
図1および
図3を参照すると、
図3は、本発明の別の実施形態に係る制御システムの概略図である。本実施形態において、制御システム200は、制御システム100を実施するために、またはそれと置き換えるために使用することができる。制御システム200は、パノラマカメラ210、ナビゲーション情報装置220、およびコントローラ230を含む。パノラマカメラ210は、電動歩行補助装置10の周囲のパノラマ画像PIMGを撮影する。ナビゲーション情報装置220は、慣性計測ユニット(inertial measurement unit, IMU)221およびデプスカメラ222を含む。本実施形態において、ナビゲーション情報NMは、加速度情報IF1およびポイントクラウド(point cloud)情報IF2を含む。慣性計測ユニット221は、電動歩行補助装置10がフィールド内で移動する際の加速度情報IF1を取得する。加速度情報IF1は、電動歩行補助装置10がフィールド内で移動する際の軌跡に関連する。デプスカメラ222は、フィールドのポイントクラウド情報IF2を生成する。
【0016】
さらに説明するため、
図3および
図4を併せて参照すると、
図4は、本発明の1つの実施形態に係るポイントクラウド情報と原画像を比較した概略図である。
図4は、単一のポイントクラウド情報IF2および単一の原画像FIMGを示す。電動歩行補助装置10がフィールド内で移動している間、デプスカメラ222は、原画像FIMGを受信し、原画像FIMGに基づいてポイントクラウド情報IF2を生成する。本実施形態において、ポイントクラウド情報IF2は、フィールドの原画像FIMGに対応するポイントクラウド画像を含む。好ましくは、ポイントクラウド画像は、複数の特徴点の複数の深度情報を含む。
【0017】
本実施形態において、コントローラ230は、リアルタイムマップ生成モジュール231および計算モデル232を含む。リアルタイムマップ生成モジュール231は、加速度情報IF1およびポイントクラウド情報IF2を受信し、加速度情報IF1およびポイントクラウド情報IF2に基づいてリアルタイムマップSMを作成する。本実施形態において、電動歩行補助装置10が初めてフィールドに入ったときに、リアルタイムマップSMを作成することができる。例えば、電動歩行補助装置10がフィールドに到着したばかりのとき、コントローラ230は、フィールド内で移動するように電動歩行補助装置10を制御することができ、ナビゲーション情報装置220は、フィールドの環境をスキャンして、加速度情報IF1およびポイントクラウド情報IF2を生成するため、それにより、リアルタイムマップ生成モジュール231は、リアルタイムマップSMを作成することができる。コントローラ230は、パノラマ画像PIMGに基づいて使用者を検出し、リアルタイムマップSMに基づいて使用者に近づくように電動歩行補助装置10を制御する。計算モデル232は、パノラマ画像PIMGに基づいて人物検出および関節点検出を実行する。したがって、コントローラ230は、パノラマ画像PIMG内の使用者の位置と使用者の姿勢を把握することができる。本実施形態において、計算モデル232は、例えば、YOLO(You only look once)計算モデルおよびOpenPose人間姿勢認識モデルを含むことができるが、本発明はこれに限定されない。また、パノラマ画像PIMG内の使用者の位置を把握した後、コントローラ230は、リアルタイムマップSMに基づいて使用者に近づくように電動歩行補助装置10を制御する。リアルタイムマップSMに基づいて、コントローラ230は、使用者に近づく際に発生する恐れのある障害物を回避することができる。
【0018】
図3および
図5を併せて参照すると、
図5は、本発明の別の実施形態に係る制御方法のフローチャートである。本実施形態において、
図5に示した制御方法は、電動歩行補助装置(例えば、
図1に示した電動歩行補助装置10)に適用可能である。ステップS201において、ロードされたリアルタイムマップを読み込む。本実施形態において、リアルタイムマップをロードした後に、コントローラ230がロードされたリアルタイムマップを読み込む。ステップS202において、コントローラ230は、ロードされたマップに基づいて、フィールドに対応するリアルタイムマップSMが既に存在するかどうかを判断する。すなわち、コントローラ230は、ロードされたマップがフィールドに対応するリアルタイムマップSMを含んでいるかどうかを判断する。本実施形態において、コントローラ230がステップS202においてリアルタイムマップSMが存在しないと判断した場合、これは、現在のフィールド内でリアルタイムマップSMが作成されていないことを意味する。したがって、ステップS203において、コントローラ230は、フィールドに対応するリアルタイムマップSMを作成する。本実施形態において、コントローラ230は、フィールド内で移動するように電動歩行補助装置を制御することができ、ナビゲーション情報装置220は、ステップS203においてフィールドの環境をスキャンして、加速度情報IF1およびポイントクラウド情報IF2を生成するため、それにより、コントローラ230は、フィールドに対応するリアルタイムマップSMを作成することができる。次に、ステップS201において、新たに生成されたフィールドに対応するリアルタイムマップSMをコントローラ230で読み込む。
【0019】
コントローラ230がステップS202においてフィールドに対応するリアルタイムマップSMが存在すると判断した場合、これは、フィールド内でリアルタイムマップSMが作成されたことを意味する。したがって、ステップS204において、パノラマカメラ210は、電動歩行補助装置の周囲のパノラマ画像PIMGを撮影する。ステップS205において、コントローラ230は、パノラマ画像PIMG内の使用者の位置を検出する。次に、コントローラ230は、ステップS206においてフィールドに対応するリアルタイムマップSMを使用して電動歩行補助装置を誘導することにより、電動歩行補助装置が使用者に近づけるようにする。
【0020】
ステップS207において、デプスカメラ222は、コントローラ230が電動歩行補助装置を誘導している過程において、ポイントクラウド情報IF2を連続的に生成する。ステップS208において、コントローラ230は、ポイントクラウド情報IF2を介して、電動歩行補助装置と使用者の間の距離DISを取得する。ステップS209において、コントローラ230は、電動歩行補助装置と使用者の間の距離DISを予め設定された距離と比較する。電動歩行補助装置と使用者の間の距離DISが予め設定された距離より大きいか、それに等しいとき、制御方法は、ステップS204に戻る。つまり、フィールドに対応するリアルタイムマップSMが存在すると、制御方法は、距離DISが予め設定された距離よりも小さくなるまで、ステップS204~S209を順に繰り返し実行する。本実施形態において、予め設定された距離は、例えば、1メートルまたは数十センチメートルに設定できるが、本発明はこれに限定されない。
【0021】
ステップS209において、電動歩行補助装置と使用者の間の距離DISが予め設定された距離よりも小さいとき、コントローラ230は、ステップS210において使用者の背後の位置を検索する。本実施形態において、コントローラ230は、ステップS210においてパノラマ画像PIMGに基づいて使用者の背後の位置を検索する。さらに、ステップS210において、コントローラ230は、パノラマ画像PIMG上の人物検出および関節点検出のうちの少なくとも1つの検出結果に基づいて、使用者の背後の位置を把握する。例えば、ステップS210において、コントローラ230は、例えば、OpenPose人間姿勢認識モデルを使用してパノラマ画像PIMG上で関節点検出を実行し、関節点検出情報を取得するとともに、YOLO計算モデルを使用してパノラマ画像PIMG上で人物検出を実行し、人物検出情報を取得することができる。コントローラ230は、EfficientNetツールを使用して、使用者の背部の情報を分類する。さらに、コントローラ230は、使用者の背部の情報を人物検出情報および関節点検出情報と統合して、使用者の背部の方向または位置を把握する。
【0022】
別の例として、コントローラ230は、パノラマ画像PIMG上の人物検出および関節点検出のうちの少なくとも1つの検出結果に基づいて、使用者が向いている、または背を向けている方向を決定する。コントローラ230が人物検出および関節点検出のうちの少なくとも1つの検出結果に基づいて使用者が電動歩行補助装置に向いていると判断したとき、コントローラ230は、使用者の周りを回って使用者の背部に到達するように電動歩行補助装置を制御する。コントローラ230が使用者の背部の後ろの位置を見つけたとき、ステップS211に進む。
【0023】
ステップS211において、コントローラ230は、使用者の背部に向かって移動するように電動歩行補助装置を制御し、ステップS212において使用者のしぐさGESを検出する。本実施形態において、使用者の背部の後ろの位置が確認されると、コントローラ230は、ステップS211において使用者の背部に向かってゆっくりと移動するように電動歩行補助装置を制御し、ステップS212においてパノラマ画像PIMGに基づいて使用者のしぐさGESを検出する。
【0024】
次に、ステップS213において、コントローラ230は、使用者が電動歩行補助装置に座っているかどうかを判断する。本実施形態において、コントローラは、人物検出および関節点検出のうちの少なくとも1つの検出結果に基づいて、使用者が電動歩行補助装置に座っているかどうかを判断する。使用者が電動歩行補助装置に座っていないと判断したとき、コントローラ230は、ステップS211において使用者の背部に向かって移動するように電動歩行補助装置を制御する。一方、使用者が電動歩行補助装置に座っていると判断したとき、コントローラ230は、ステップS214において移動を停止するように電動歩行補助装置を制御する。
【0025】
本実施形態において、ステップS214の後、コントローラ230は、ナビゲーションを終了し、電動歩行補助装置の制御を使用者に委ねることができる。
【0026】
いくつかの実施形態において、制御システム200は、パノラマ画像PIMGを介して使用者の動作やしぐさを認識し、
図5に示した制御方法を起動することができる。例えば、コントローラ230は、パノラマ画像PIMG上の人物検出および関節点検出のうちの少なくとも1つの検出結果に基づいて、使用者のしぐさが予め設定されたしぐさと一致すると判断する(本発明はこれに限定されない)。したがって、コントローラ230は、予め設定されたしぐさに基づいて、
図5に示した制御方法を開始する。
【0027】
以上のように、本発明の制御システムおよび制御方法は、パノラマカメラを使用して電動歩行補助装置の周囲のパノラマ画像を撮影し、ナビゲーション情報デバイスを使用してナビゲーション情報を生成する。本発明の制御システムおよび制御方法は、パノラマ画像に基づいて使用者を検出し、ナビゲーション情報に基づいて使用者に近づくように電動歩行補助装置を制御する。このようにして、使用者に近づくように電動歩行補助装置を制御することができ、電動歩行補助装置の利便性を向上させることができる。
【0028】
本分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の範囲または精神から逸脱せずに、開示された実施形態に対して様々な修正および変更が可能であることが理解されよう。これを考慮して、本発明は、以下の特許請求の範囲およびそれらの同等物の範囲内にある修正および変更を包含することが意図されている。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の電動歩行補助装置の制御システムおよび制御方法は、積極的に使用者に近づくように電動歩行補助装置を制御することにより、電動歩行補助装置の利便性を向上させるために適用することができる。
【符号の説明】
【0030】
10 電動歩行補助装置
100 制御システム
110 パノラマカメラ
120 ナビゲーション情報デバイス
130 コントローラ
NM ナビゲーション情報
PIMG パノラマ画像
SC 制御信号
SM リアルタイムマップ