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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】トレーラ挟角の測定方法、装置及び車両
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/26 20060101AFI20240910BHJP
   G01S 17/875 20200101ALI20240910BHJP
【FI】
G01B11/26 Z
G01S17/875
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023129340
(22)【出願日】2023-08-08
(62)【分割の表示】P 2021533593の分割
【原出願日】2019-03-06
(65)【公開番号】P2023159198
(43)【公開日】2023-10-31
【審査請求日】2023-08-08
(31)【優先権主張番号】201811505593.1
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521254764
【氏名又は名称】北京図森智途科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】金 宇和
(72)【発明者】
【氏名】呉 楠
(72)【発明者】
【氏名】李 一鳴
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特許第7330276(JP,B2)
【文献】特開2001-334966(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0368336(US,A1)
【文献】特開2006-001533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01S 7/48- 7/51
17/00-17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側に少なくとも1つのマルチラインレーザレーダがそれぞれ設置されたトラクタヘッドと、トレーラとを含むセミトレーラに適用されるトレーラ挟角の測定方法であって、
予め設定された車両座標系においてトレーラ挟角が初期値の場合のトレーラ初期モデルを取得し、前記トレーラ初期モデルにおける初期点群データを得ることと、
前記トレーラの表面がマルチラインレーザレーダから出射されたレーザを反射するように、前記トラクタヘッドの両側にそれぞれ設置されたマルチラインレーザレーダを、レーザを出射するように制御することと、
トレーラの表面に反射されたそれぞれに対応するレーザ点群をそれぞれ受信するように各マルチラインレーザレーダを制御することと、
各マルチラインレーザレーダが受信したそれぞれに対応するレーザ点群及び前記初期点群データに基づき、点群のマッチングアルゴリズムを用いてトレーラ挟角を算出することと、
を含み、
前記各マルチラインレーザレーダが受信したそれぞれに対応するレーザ点群及び前記初期点群データに基づき、点群のマッチングアルゴリズムを用いてトレーラ挟角を算出することは、
各マルチラインレーザレーダがそれぞれ受信したそれぞれに対応するレーザ点群に対して前処理し、初期点群データと前処理した後のレーザ点群に基づき、反復最近接点アルゴリズムを用いて各マルチラインレーザレーダのそれぞれに対応する初期トレーラ挟角を得ることと、
予め設定された判断条件に基づき、各マルチラインレーザレーダのそれぞれに対応する初期トレーラ挟角に対して選別を行うことと、
選別を行った後の各マルチラインレーザレーダのそれぞれに対応する初期トレーラ挟角を現在サイクルにおける収集タイミングで並べ、処理する角度データを形成することと、
前記処理する角度データに基づいてカルマンフィルター処理を行い、現在サイクルのトレーラ挟角を得ることと、
を含む
ことを特徴とするトレーラ挟角の測定方法。
【請求項2】
前記各マルチラインレーザレーダがそれぞれ受信したそれぞれに対応するレーザ点群に対して前処理し、初期点群データと前処理した後のレーザ点群に基づき、反復最近接点アルゴリズムを用いて各マルチラインレーザレーダのそれぞれに対応する初期トレーラ挟角を得ることは、
各マルチラインレーザレーダがそれぞれ受信したそれぞれに対応するレーザ点群に対して関心領域フィルタリングを行い、予め設定された領域範囲内におけるレーザ点群を得るステップ1と、
前記予め設定された領域範囲内におけるレーザ点群に対してノイズフィルタリングを行い、各マルチラインレーザレーダに対応するノイズフィルタリングした後のレーザ点群を得て、各マルチラインレーザレーダに対応する今回のトレーラモデルを構成するステップ2と、
各今回のトレーラモデルにおける各ポイントに対し、初期点群データ集合において当該各ポイントに直線距離が最も近い点を目標点として決定するステップ3と、
特異値分解アルゴリズムを用いて前記各ポイントを各ポイントにそれぞれ対応する目標点に移動し、次回のトレーラモデルを得て、今回の反復のモデル行列を生成し、前記今回の反復のモデル行列が、今回の反復の回転行列及び今回の反復の平行移動行列を含み、前記今回の反復の回転行列が車両座標系での3つの座標軸の今回の偏向角度の三角関数の関係を含むステップ4と、
今回のトレーラモデルにおける各ポイントと前記目標点との距離が予め設定された距離閾値よりも小さくなるまでステップ4の後にステップ3に戻って実行し、ステップ5に進むことと、
反復ごとのモデル行列を乗算し、乗算した後の結果行列を得て、前記結果行列が結果回転行列及び結果平行移動行列を含み、前記結果回転行列が車両座標系での3つの座標軸の偏向角度の三角関数の関係を含むステップ5と、
前記結果回転行列に基づき、各マルチラインレーザレーダのそれぞれに対応する初期トレーラ挟角を決定するステップ6と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のトレーラ挟角の測定方法。
【請求項3】
前のサイクルのトレーラ挟角及び予め知られたトレーラサイズに基づき、前のサイクルのトレーラの外部の1つの予め設定された距離の領域範囲を前記予め設定された領域範囲として決定することをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載のトレーラ挟角の測定方法。
【請求項4】
前記予め設定された判断条件に基づき、各マルチラインレーザレーダのそれぞれに対応する初期トレーラ挟角に対して選別を行うことは、
各マルチラインレーザレーダに対応するノイズフィルタリングした後のレーザ点群のポイント数が、予め設定されたポイント数の閾値よりも小さいか否かを判断することと、
マルチラインレーザレーダに対応するノイズフィルタリングした後のレーザ点群のポイント数が前記予め設定されたポイント数の閾値よりも小さいマルチラインレーザレーダに対応する初期トレーラ挟角を除外し、マルチラインレーザレーダに対応するノイズフィルタリングした後のレーザ点群のポイント数が前記予め設定されたポイント数の閾値以上となるマルチラインレーザレーダに対応する初期トレーラ挟角を残すことと、
を含むことを特徴とする請求項2に記載のトレーラ挟角の測定方法。
【請求項5】
前記予め設定された判断条件に基づき、各マルチラインレーザレーダのそれぞれに対応する初期トレーラ挟角に対して選別を行うことは、
現在サイクルが第1のサイクルではない場合、現在サイクルの各マルチラインレーザレーダのそれぞれに対応する初期トレーラ挟角とカルマンフィルター処理を行って得た前のサイクルのトレーラ挟角とのズレ角度値が、予め設定されたズレ角度の閾値よりも大きいか否かを判断することと、
現在サイクルのマルチラインレーザレーダに対応する初期トレーラ挟角とカルマンフィルター処理を行って得た前のサイクルのトレーラ挟角とのズレ角度値が、予め設定されたズレ角度の閾値よりも大きいと、現在サイクルの当該マルチラインレーザレーダに対応する初期トレーラ挟角を除外することと、
現在サイクルのマルチラインレーザレーダに対応する初期トレーラ挟角とカルマンフィルター処理を行って得た前のサイクルのトレーラ挟角とのズレ角度値が、予め設定されたズレ角度の閾値以下であると、現在サイクルの当該マルチラインレーザレーダに対応する初期トレーラ挟角を残すことと、
を含むことを特徴とする請求項2に記載のトレーラ挟角の測定方法。
【請求項6】
両側に少なくとも1つのマルチラインレーザレーダがそれぞれ設置されたトラクタヘッドと、トレーラとを含むセミトレーラに適用されるトレーラ挟角の測定装置であって、
当該装置が前記マルチラインレーザレーダと通信接続し、メモリと、プロセッサと、メモリに記憶されてプロセッサで実行可能なコンピュータープログラムとを含み、前記プロセッサが前記コンピュータープログラムを実行する際にトレーラ挟角の測定処理を実現し、当該処理は、
予め設定された車両座標系においてトレーラ挟角が初期値の場合のトレーラ初期モデルを取得し、前記トレーラ初期モデルにおける初期点群データを得ることと、
前記トレーラの表面がマルチラインレーザレーダから出射されたレーザを反射するように、前記トラクタヘッドの両側にそれぞれ設置されたマルチラインレーザレーダを、レーザを出射するように制御することと、
トレーラの表面に反射されたそれぞれに対応するレーザ点群をそれぞれ受信するように各マルチラインレーザレーダを制御することと、
各マルチラインレーザレーダが受信したそれぞれに対応するレーザ点群及び前記初期点群データに基づき、点群のマッチングアルゴリズムを用いてトレーラ挟角を算出することと、を含
み、
前記各マルチラインレーザレーダが受信したそれぞれに対応するレーザ点群及び前記初期点群データに基づき、点群のマッチングアルゴリズムを用いてトレーラ挟角を算出することは、
各マルチラインレーザレーダがそれぞれ受信したそれぞれに対応するレーザ点群に対して前処理し、初期点群データと前処理した後のレーザ点群に基づき、反復最近接点アルゴリズムを用いて各マルチラインレーザレーダのそれぞれに対応する初期トレーラ挟角を得ることと、
予め設定された判断条件に基づき、各マルチラインレーザレーダのそれぞれに対応する初期トレーラ挟角に対して選別を行うことと、
選別を行った後の各マルチラインレーザレーダのそれぞれに対応する初期トレーラ挟角を現在サイクルにおける収集タイミングで並べ、処理する角度データを形成することと、
前記処理する角度データに基づいてカルマンフィルター処理を行い、現在サイクルのトレーラ挟角を得ることと、
を含む
ことを特徴とするトレーラ挟角の測定装置。
【請求項7】
コンピュータープログラムが記憶されたコンピューター読取り可能な記憶媒体であって、
当該プログラムがプロセッサに実行された際に、両側に少なくとも1つのマルチラインレーザレーダがそれぞれ設置されたトラクタヘッドと、トレーラとを含むセミトレーラに適用されるトレーラ挟角の測定処理を実現し、当該処理は、
予め設定された車両座標系においてトレーラ挟角が初期値の場合のトレーラ初期モデルを取得し、前記トレーラ初期モデルにおける初期点群データを得ることと、
前記トレーラの表面がマルチラインレーザレーダから出射されたレーザを反射するように、前記トラクタヘッドの両側にそれぞれ設置されたマルチラインレーザレーダを、レーザを出射するように制御することと、
トレーラの表面に反射されたそれぞれに対応するレーザ点群をそれぞれ受信するように各マルチラインレーザレーダを制御することと、
各マルチラインレーザレーダが受信したそれぞれに対応するレーザ点群及び前記初期点群データに基づき、点群のマッチングアルゴリズムを用いてトレーラ挟角を算出することと、を含
み、
前記各マルチラインレーザレーダが受信したそれぞれに対応するレーザ点群及び前記初期点群データに基づき、点群のマッチングアルゴリズムを用いてトレーラ挟角を算出することは、
各マルチラインレーザレーダがそれぞれ受信したそれぞれに対応するレーザ点群に対して前処理し、初期点群データと前処理した後のレーザ点群に基づき、反復最近接点アルゴリズムを用いて各マルチラインレーザレーダのそれぞれに対応する初期トレーラ挟角を得ることと、
予め設定された判断条件に基づき、各マルチラインレーザレーダのそれぞれに対応する初期トレーラ挟角に対して選別を行うことと、
選別を行った後の各マルチラインレーザレーダのそれぞれに対応する初期トレーラ挟角を現在サイクルにおける収集タイミングで並べ、処理する角度データを形成することと、
前記処理する角度データに基づいてカルマンフィルター処理を行い、現在サイクルのトレーラ挟角を得ることと、
を含む
ことを特徴とするコンピューター読取り可能な記憶媒体。
【請求項8】
トレーラ挟角の測定装置と、両側に少なくとも1つのマルチラインレーザレーダがそれぞれ設置されたトラクタヘッド及びトレーラとを含む車両であって、
前記トレーラ挟角の測定装置が前記マルチラインレーザレーダと通信接続し、メモリと、プロセッサと、メモリに記憶されてプロセッサで実行可能なコンピュータープログラムとを含み、前記プロセッサが前記コンピュータープログラムを実行する際にトレーラ挟角の測定処理を実現し、当該処理は、
予め設定された車両座標系においてトレーラ挟角が初期値の場合のトレーラ初期モデルを取得し、前記トレーラ初期モデルにおける初期点群データを得ることと、
前記トレーラの表面がマルチラインレーザレーダから出射されたレーザを反射するように、前記トラクタヘッドの両側にそれぞれ設置されたマルチラインレーザレーダを、レーザを出射するように制御することと、
トレーラの表面に反射されたそれぞれに対応するレーザ点群をそれぞれ受信するように各マルチラインレーザレーダを制御することと、
各マルチラインレーザレーダが受信したそれぞれに対応するレーザ点群及び前記初期点群データに基づき、点群のマッチングアルゴリズムを用いてトレーラ挟角を算出することと、を含
み、
前記各マルチラインレーザレーダが受信したそれぞれに対応するレーザ点群及び前記初期点群データに基づき、点群のマッチングアルゴリズムを用いてトレーラ挟角を算出することは、
各マルチラインレーザレーダがそれぞれ受信したそれぞれに対応するレーザ点群に対して前処理し、初期点群データと前処理した後のレーザ点群に基づき、反復最近接点アルゴリズムを用いて各マルチラインレーザレーダのそれぞれに対応する初期トレーラ挟角を得ることと、
予め設定された判断条件に基づき、各マルチラインレーザレーダのそれぞれに対応する初期トレーラ挟角に対して選別を行うことと、
選別を行った後の各マルチラインレーザレーダのそれぞれに対応する初期トレーラ挟角を現在サイクルにおける収集タイミングで並べ、処理する角度データを形成することと、
前記処理する角度データに基づいてカルマンフィルター処理を行い、現在サイクルのトレーラ挟角を得ることと、
を含む
ことを特徴とする車両。
【請求項9】
前記トラクタヘッドの先端両側に少なくとも1つのマルチラインレーザレーダがそれぞれ設置されていることを特徴とする請求項8に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、出願日2018年12月10日、出願番号201811505593.1、出願名称「トレーラ挟角の測定方法、装置及び車両」の中国特許出願の優先権を主張し、そのすべての内容は引用により本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願は、車両の技術分野に関し、特にトレーラ挟角の測定方法、装置及び車両に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、物流輸送業界の発展に伴い、コンテナトラックなどのトラクタヘッドとトレーラを持つ車両(以下、単に「セミトレーラ」と称する)の応用はますます広まっている。セミトレーラーは1つの重構造型交通輸送工具として、モノブロックトラックより、道路輸送の総合的な経済的利益を向上させることができるが、自動運転技術の発展に伴い、トレーラ挟角(図1に示すセミトレーラの上面図のように、トレーラ挟角とはトラクタヘッド11の中心軸線とトレーラ12の中心軸線の間に挟角αである)が自動運転計画と制御点の基礎として研究の焦点となっている。
【0004】
現在のトレーラ挟角の測定方法は、トレーラ挟角が小さい場合しか測定ができず、トレーラ挟角の大きいシーン(例えば、トレーラ挟角が±40°を超える)の場合、正確なトレーラ挟角を得にくい。このため、構造が簡単で、迅速且つ正確にトレーラ挟角を測定する方法を如何に実現するかは早急に解決すべき課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願の実施例は、構造が簡単で、迅速且つ正確にトレーラ挟角を測定する方法を実現するための、トレーラ挟角の測定方法、装置及び車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本出願は次のような技術案を採用する。
【0007】
一方で、本出願の実施例は、両側に少なくとも1つのマルチラインレーザレーダ(multiline laser radar)がそれぞれ設置されたトラクタヘッドと、トレーラとを含むセミトレーラに適用されるトレーラ挟角の測定方法であって、
予め設定された車両座標系においてトレーラ挟角が初期値の場合のトレーラ初期モデルを取得し、前記トレーラ初期モデルにおける初期点群データを得ることと、
前記トレーラの表面がマルチラインレーザレーダから出射されたレーザを反射するように、前記トラクタヘッドの両側にそれぞれ設置されたマルチラインレーザレーダを、レーザを出射するように制御することと、
トレーラの表面に反射されたそれぞれに対応するレーザ点群をそれぞれ受信するように各マルチラインレーザレーダを制御することと、
各マルチラインレーザレーダが受信したそれぞれに対応するレーザ点群及び前記初期点群データに基づき、点群のマッチングアルゴリズムを用いてトレーラ挟角を算出することと、
を含むトレーラ挟角の測定方法を提供する。
【0008】
他方面において、本出願の実施例は、両側に少なくとも1つのマルチラインレーザレーダがそれぞれ設置されたトラクタヘッドと、トレーラとを含むセミトレーラに適用されるトレーラ挟角の測定装置であって、
当該装置が前記マルチラインレーザレーダと通信接続し、メモリと、プロセッサと、メモリに記憶されてプロセッサで実行可能なコンピュータープログラムとを含み、前記プロセッサが前記コンピュータープログラムを実行する際にトレーラ挟角の測定処理を実現し、当該処理は、
予め設定された車両座標系においてトレーラ挟角が初期値の場合のトレーラ初期モデルを取得し、前記トレーラ初期モデルにおける初期点群データを得ることと、
前記トレーラの表面がマルチラインレーザレーダから出射されたレーザを反射するように、前記トラクタヘッドの両側にそれぞれ設置されたマルチラインレーザレーダを、レーザを出射するように制御することと、
トレーラの表面に反射されたそれぞれに対応するレーザ点群をそれぞれ受信するように各マルチラインレーザレーダを制御することと、
各マルチラインレーザレーダが受信したそれぞれに対応するレーザ点群及び前記初期点群データに基づき、点群のマッチングアルゴリズムを用いてトレーラ挟角を算出することと、を含む、
トレーラ挟角の測定装置をさらに提供する。
【0009】
もう一方で、本出願の実施例は、コンピュータープログラムが記憶されたコンピューター読取り可能な記憶媒体であって、
当該プログラムがプロセッサに実行された際に、両側に少なくとも1つのマルチラインレーザレーダがそれぞれ設置されたトラクタヘッドと、トレーラとを含むセミトレーラに適用されるトレーラ挟角の測定処理を実現し、当該処理は、
予め設定された車両座標系においてトレーラ挟角が初期値の場合のトレーラ初期モデルを取得し、前記トレーラ初期モデルにおける初期点群データを得ることと、
前記トレーラの表面がマルチラインレーザレーダから出射されたレーザを反射するように、前記トラクタヘッドの両側にそれぞれ設置されたマルチラインレーザレーダを、レーザを出射するように制御することと、
トレーラの表面に反射されたそれぞれに対応するレーザ点群をそれぞれ受信するように各マルチラインレーザレーダを制御することと、
各マルチラインレーザレーダが受信したそれぞれに対応するレーザ点群及び前記初期点群データに基づき、点群のマッチングアルゴリズムを用いてトレーラ挟角を算出することと、を含む、
コンピューター読取り可能な記憶媒体をさらに提供する。
【0010】
もう一方で、本出願の実施例は、上述したトレーラ挟角の測定装置と、両側に少なくとも1つのマルチラインレーザレーダがそれぞれ設置されたトラクタヘッド及びトレーラとを含む車両であって、
前記トレーラ挟角の測定装置が前記マルチラインレーザレーダと通信接続し、メモリと、プロセッサと、メモリに記憶されてプロセッサで実行可能なコンピュータープログラムとを含み、前記プロセッサが前記コンピュータープログラムを実行する際にトレーラ挟角の測定処理を実現し、当該処理は、
予め設定された車両座標系においてトレーラ挟角が初期値の場合のトレーラ初期モデルを取得し、前記トレーラ初期モデルにおける初期点群データを得ることと、
前記トレーラの表面がマルチラインレーザレーダから出射されたレーザを反射するように、前記トラクタヘッドの両側にそれぞれ設置されたマルチラインレーザレーダを、レーザを出射するように制御することと、
トレーラの表面に反射されたそれぞれに対応するレーザ点群をそれぞれ受信するように各マルチラインレーザレーダを制御することと、
各マルチラインレーザレーダが受信したそれぞれに対応するレーザ点群及び前記初期点群データに基づき、点群のマッチングアルゴリズムを用いてトレーラ挟角を算出することと、を含む、
車両をさらに提供する。
【発明の効果】
【0011】
本出願の実施例に係るトレーラ挟角の測定方法、装置及び車両は、トラクタヘッドの両側に少なくとも1つのマルチラインレーザレーダをそれぞれ設置することを採用し、両側に設置されたマルチラインレーザレーダがトレーラの表面に照射可能であり、これにより各マルチラインレーザレーダが受信したそれぞれに対応するレーザ点群及び初期点群データに基づき、点群マッチングアルゴリズムを用いてトレーラ挟角を算出することができる。また、本出願は、単一のレーザレーダのレーザ点群ではなく、各マルチラインレーザレーダが受信したそれぞれに対応するレーザ点群及びトレーラ挟角が初期値の場合の初期点群データに基づき、トレーラ挟角を算出することを採用し、その結果、正確度が大幅に向上した。
【0012】
本出願の他の特徴および利点は、後述する明細書において説明され、その一部は明細書から明らかになり、または本出願を実施することによって理解される。本出願の目的および他の利点は、記載された明細書、特許請求の範囲および図面において特別に指摘された構造によって実現および獲得されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
以下図面および実施例によって、本出願の技術案についてさらに詳しく説明する。
【0014】
本出願の実施例又は従来技術における技術案をより明確に説明するために、以下実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明する。もちろん、これより説明する図面は本出願のいくつかの実施例にすぎず、当業者にとっては、創造的な労働を行わないことを前提に、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【0015】
図1】トレーラ挟角の模式図である。
図2】本出願の実施例に係るトレーラ挟角の測定方法のフローチャート1である。
図3】本出願の実施例におけるセミトレーラ構造の下面図である。
図4】本出願の実施例においてトラクタヘッドのテール部にレーザレーダが1つだけ設置された場合の作業シーンの模式図である。
図5】本出願の実施例においてトラクタヘッドの両側のそれぞれに1つのマルチラインレーザレーダが設置された場合の作業シーンの模式図である。
図6】本出願の実施例におけるトラクタヘッドの両側にマルチラインレーザレーダを設置する分布模式図1である。
図7】本出願の実施例におけるトラクタヘッドの両側にマルチラインレーザレーダを設置する分布模式図2である。
図8】本出願の実施例に係るトレーラ挟角の測定方法のフローチャート2である。
図9】本出願の実施例における外部マルチラインレーザレーダの収集環境模式図である。
図10】本出願の実施例における予め設定された領域範囲の模式図である。
図11】本出願の実施例において確立したレーザレーダ座標系の模式図である。
図12】本出願の実施例における処理する角度データのグラフ模式図である。
図13】本出願の実施例における車両の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本出願の実施例における図面に結び付けて本出願の実施例における技術案を明確且つ完全に説明する。説明された実施例は、本出願の一部の実施例にすぎなく、すべての実施例ではないことは明らかである。本出願の実施例をもとに、当業者が創造的な働きを行わずに得たすべてのその他の実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0017】
当業者が本出願をよりよく理解できるように、以下本出願の実施例に係る技術用語の一部について説明を行う。
【0018】
点群:リバースエンジニアリングにおいて測定デバイスにより得られた物体外観表面の点データの集合は、点群と呼ぶ。
【0019】
ICP:Iterative Closest Point、反復最近接点アルゴリズムは、主にコンピューターの視覚における深度画像の精確的な合わせに用いられ、ソースデータと目標データに対応する点を反復して最小化することによって、精確な合わせを実現する。現在、多くの変種があり、主な焦点は、いかに効率よく、ロバスト(Robust)的に良い合わせ効果を得るかである。
【0020】
SVD:Singular Value Decomposition、特異値分解アルゴリズムは、確実に平行移動ベクトルと回転行列を求める方法である。
【0021】
図2のように、本出願の実施例は、トレーラ挟角の測定方法を提供し、図3図3がセミトレーラ20の下面図である)に示す1つのセミトレーラ20に適用し、セミトレーラ20がトラクタヘッド201とトレーラ202を含み、トラクタヘッド201とトレーラ202が回転軸205により接続し、これによりトレーラ202がトラクタヘッド201に対して回転可能になり、トラクタヘッド201の両側(例えば、トラクタヘッド201の先端の左側と右側、すなわち、車両のフロントマスクの左側と右側)に少なくとも1つのマルチラインレーザレーダ203がそれぞれ設置されている(例えば、左側と右側に1つのマルチラインレーザレーダ、2つのマルチラインレーザレーダ又はそれ以上のマルチラインレーザレーダをそれぞれ設置してもよく、ここで図3の制限で、左側と右側に1つのマルチラインレーザレーダをそれぞれ設置することだけが示された)。
【0022】
このトレーラ挟角の測定方法は、次のようなステップを含む。
【0023】
ステップ301において、予め設定された車両座標系においてトレーラ挟角が初期値の場合のトレーラ初期モデルを取得し、トレーラ初期モデルにおける初期点群データを得る。
【0024】
ステップ302において、トレーラの表面がマルチラインレーザレーダから出射されたレーザを反射するように、トラクタヘッドの両側にそれぞれ設置されたマルチラインレーザレーダを、レーザを出射するように制御する。
【0025】
ステップ303において、トレーラの表面に反射されたそれぞれに対応するレーザ点群をそれぞれ受信するように各マルチラインレーザレーダを制御する。
【0026】
ステップ304において、各マルチラインレーザレーダが受信したそれぞれに対応するレーザ点群及び初期点群データに基づき、点群のマッチングアルゴリズムを用いてトレーラ挟角を算出する。
【0027】
ここで、図4に示すように、トレーラ202の前部には反射面を有する反射板が固定して設置されてもよく、トラクタヘッド201のテール部にはレーザレーダ206(一般的に、トラクタヘッドのテール部の中間位置に設置し、レーザレーダについてシングルラインレーザレーダを採用する。)を設置してもよく、この反射面はレーザレーダ206に向いている。トラクタヘッド201のテール部に1つだけのレーザレーダ206を設置しても反射板204の反射面へレーザを出射できることを考慮すると、一般的にこの1つのレーザレーダ206によってトレーラ挟角の測定も可能である。しかし、トレーラ挟角が大きい場合について、図4のように、反射板204がトラクタヘッド201の側面に移動し、レーザレーダ206の死角に入ってしまう可能性があり、シングルのレーザレーダ206により出射したレーザが反射板204の反射面に当たることができなく、トレーラ挟角の測定の失敗をもたらしてしまう。このため、本出願の実施例において、図4のような態様を採用してトレーラ挟角が小さい(例えば、トレーラ挟角が40°未満)シーンのトレーラ挟角の測定を行ってもよく、前記ステップ301~ステップ304を採用してトレーラ挟角が大きい(例えば、トレーラ挟角が40°以上)シーンのトレーラ挟角の測定を行ってもよいが、これに限定されない。本出願の実施例における前記ステップ301~ステップ304によりトレーラ挟角が小さいシーンのトレーラ挟角を測定してもよい。
【0028】
また、図5に示すように、本出願は、ラクタヘッド201の両側(例えば、トラクタヘッド201の先端の左側と右側、すなわち、フロントマスクの左側と右側)のそれぞれには少なくとも1つのマルチラインレーザレーダ203を設置することが採用されており(例えば、左側と右側に1つのマルチラインレーザレーダ、2つのマルチラインレーザレーダ又はそれ以上のマルチラインレーザレーダをそれぞれ設置してもよく、ここでは図5の制限により、左側と右側に1つのマルチラインレーザレーダをそれぞれ設置することだけが示されている)、このように、反射板204がトラクタヘッド201の側面に移動した場合、少なくともそのうちの一方のマルチラインレーザレーダにより出射したレーザがトレーラの表面に当たることができるため、トレーラ挟角の測定に用いられることが可能である。また、本出願は、単一のレーザレーダのレーザ点群ではなく、各マルチラインレーザレーダが受信したそれぞれに対応するレーザ点群及びトレーラ挟角が初期値の場合の初期点群データに基づき、トレーラ挟角を算出することを採用し、その結果、正確度が大幅に向上した。
【0029】
ここで、ラクタヘッド201の両側のそれぞれに少なくとも1つのマルチラインレーザレーダ203を設置することを示すために、図6図7に示すように、トラクタヘッド201の先端におけるマルチラインレーザレーダ203の分布態様は、左側と右側のそれぞれに1つのマルチラインレーザレーダ203(図6に示すように)、あるいは2つのマルチラインレーザレーダ203(図7に示すように)を有するものであってもよいが、これに限定されない。コストを考慮しない場合、左側と右側により多くのマルチラインレーザレーダを設置することさえもできる。
【0030】
当業者が本出願をより理解できるように、以下、より詳しい実施例を挙げる。図8に示すように、本出願の実施例は、上述した図3に示すようなセミトレーラ20に適用されるトレーラ挟角の測定方法を提供し、このセミトレーラ20の構造は既に説明されており、ここでは説明を省略する。この方法は、次のようなステップを含む。
【0031】
ステップ401において、トレーラの両側の表面が外部のマルチラインレーザレーダから出射されたレーザをそれぞれ反射するように、予め設定された車両座標系において予め設置した外部のマルチラインレーザレーダを用いてトレーラ挟角が0°の場合のトレーラの両側へレーザを出射する。
【0032】
ステップ402において、トレーラの両側の表面に反射されたレーザ点群を受信するように外部のマルチラインレーザレーダを制御する。
【0033】
ステップ403において、トレーラの両側の表面に反射されたレーザ点群を反復最近接点アルゴリズムを用いてトレーラ挟角が0°の場合のトレーラ初期モデルを得て、トレーラ初期モデルにおける初期点群データを得る。
【0034】
一般的に、上述したステップ401~ステップ403は、次のような態様を採用できる。図9に示すように、車両が走行する道路の片側にホルダー501を設置し、外部のマルチラインレーザレーダ502をこのホルダー501に架設し(例えば、架設する高さが2m以上)、このように、車両が、トレーラ挟角が0°を保ったまま、まず一方の側から外部のマルチラインレーザレーダ502のレーザの出射範囲に入り、次に他方の側から外部のマルチラインレーザレーダ502のレーザの出射範囲に入ることができ、これによりトレーラの両側がいずれもレーザにより照射されることができ、外部のマルチラインレーザレーダ502もトレーラの両側のレーザ点群を収集することができる。その後、反復最近接点アルゴリズムによってトレーラ挟角が0°の場合のトレーラ初期モデルを得ることができ、さらに、トレーラ初期モデルにおける初期点群データを得ることができ、ここでの初期点群データを{Pt}と記す。
【0035】
ステップ404において、トレーラの表面がマルチラインレーザレーダから出射されたレーザを反射するように、トラクタヘッドの両側にそれぞれ設置されたマルチラインレーザレーダを、レーザを出射するように制御する。
【0036】
なお、本出願の実施例において、用いるマルチラインレーザレーダ及び外部のマルチラインレーザレーダは16ライン、32ライン、64ラインレーザレーダなどを採用できるが、これに限定されない。
【0037】
ステップ405において、トレーラの表面に反射されたそれぞれに対応するレーザ点群をそれぞれ受信するように各マルチラインレーザレーダを制御する。
【0038】
一般的に、各マルチラインレーザレーダのサンプリング周波数は10Hzであってもよいが、これに限定されない。また、マルチラインレーザレーダはレーザを出射する際に自身に対応する識別をつけており、これによりマルチラインレーザレーダがトレーラの表面に反射されたレーザ点群を受信する際に、他のマルチラインレーザレーダに対応するレーザ点群を受信せずに、自身に対応するレーザ点群のみ受信することを保証できる。また、後続のステップ408で各マルチラインレーザレーダのそれぞれに対応する初期トレーラ挟角を現在サイクルにおける収集タイミングで並べさせるために、各マルチラインレーザレーダの収集タイミングは異なることが好ましく、これにより同一収集タイミングで2つ以上の初期トレーラ挟角があり、区別が難しいことを避ける。また、セミトレーラ20の構造上の特徴から、一定のトレーラ挟角があると、一般的に、片側のマルチラインレーザレーダのみがトレーラの表面に反射されたレーザ点群を受信できる。
【0039】
ステップ406において、各マルチラインレーザレーダがそれぞれ受信したそれぞれに対応するレーザ点群に対して前処理し、初期点群データと前処理した後のレーザ点群に基づき、反復最近接点アルゴリズムを用いて各マルチラインレーザレーダのそれぞれに対応する初期トレーラ挟角を得る。
【0040】
ここのステップ406は、反復最近接点アルゴリズムにより実現できる。
【0041】
ステップ1において、各マルチラインレーザレーダがそれぞれ受信したそれぞれに対応するレーザ点群に対して関心領域フィルタリングを行い、予め設定された領域範囲内におけるレーザ点群を得る。
【0042】
ここの予め設定された領域範囲は、以下の態様のように決定することができる。すなわち、前のサイクルのトレーラ挟角及び予め知られたトレーラサイズに基づき、前のサイクルのトレーラの外部の1つの予め設定された距離の領域範囲を予め設定された領域範囲として決定する。
【0043】
例えば、次のような態様を採用できる。
【0044】
図10に示すように、前のサイクルのトレーラ挟角及び予め知られたトレーラサイズが既に分かっている場合、トレーラの現在の姿勢を得ることができ、前のサイクルのトレーラの外部の1つの予め設定された距離の領域範囲を(図には、ハッチングで水平面範囲内での領域を示したが、実際には、トレーラの上部と下部にも同様に類似の領域範囲がある)、このように当該三次元の領域範囲を予め設定領域範囲とすることができる。このように設置する理由は、隣接するサイクルの時間が短く(一般的には0.1s)、トレーラ挟角の変化が比較的に小さいため、トレーラの現在のサイクルと前のサイクルとの変化が比較的に小さく、この予め設定された領域範囲内にあるはずである。
【0045】
ステップ2において、予め設定された領域範囲内におけるレーザ点群に対してノイズフィルタリングを行い、各マルチラインレーザレーダに対応するノイズフィルタリングした後のレーザ点群を得て、各マルチラインレーザレーダに対応する今回のトレーラモデルを構成する。
【0046】
ここで、ノイズフィルタリングを用いることで外れた点をフィルタリングでき、より正確なレーザ点群が得られる。ここで、当該今回のトレーラモデルのそれぞれのポイントにより構成されたポイント集合を{Pn}と記し、そのうち、nが正の整数であって、例えば、{P1}が初回のトレーラモデルのそれぞれのポイントにより構成されたポイント集合を示す。
【0047】
ステップ3において、各今回のトレーラモデルにおける各ポイントに対し、初期点群データ集合において当該各ポイントに直線距離が最も近い点を目標点として決定する。
【0048】
ステップ4において、特異値分解アルゴリズムを用いて各ポイントを各ポイントにそれぞれ対応する目標点に移動し、次回のトレーラモデルを得て、今回の反復のモデル行列を生成する。
【0049】
ここで、今回の反復のモデル行列は、今回の反復の回転行列及び今回の反復の平行移動行列を含み、今回の反復の回転行列は車両座標系での3つの座標軸の今回の偏向角度の三角関数の関係を含む。
【0050】
今回のトレーラモデルにおける各ポイントと目標点との距離が予め設定された距離閾値よりも小さくなるまでステップ4の後にステップ3に戻って実行し、ステップ5に進む。
【0051】
本出願の実施例において、マルチラインレーザレーダを取付けた後、レーザレーダ座標系を確立し、マルチラインレーザレーダのレーザ点群の位置情報は、いずれもこのレーザレーダ座標系に基づくものであり、例えば図11のようなレーザレーダ座標系を確立してもよいが、これに限定されなく、レーザレーダ座標系の確立において、他の方向をx軸として、水平面でx軸に垂直な方向をy軸として、x軸およびy軸にいずれも垂直な方向をz軸(図示ぜず、一般的には垂直上方方向)として選択してもよく、ここではこれ以上列挙しない。
【0052】
このように、毎回の反復を経て得られたモデル行列Anは、
と表すことができ、ここで、
がn回目の反復の回転行列を示し、3行3列の行列であり、
が今回の反復の平行移動行列を示し、3行1列の行列である。このn回目の反復の回転行列は、一般的に3回回転で構成され、すなわち、
がn回目の反復の車両座標系でのx軸の回転行列、
がn回目の反復の車両座標系でのy軸の回転行列、
がn回目の反復の車両座標系でのz軸の回転行列である。例えば、1つの実施例では、
、ここで、
がn回目の反復の車両座標系でのx軸の偏向角度、
がn回目の反復の車両座標系でのy軸の偏向角度、
がn回目の反復の車両座標系でのz軸の偏向角度である。
【0053】
今回反復の平行移動行列は、
と表すことができ、
がn回目の反復の平行移動量である。
【0054】
ステップ5において、反復ごとのモデル行列を乗算し、乗算した後の結果行列を得る。
【0055】
ここで、例えば合計n回の反復を行うと、反復ごとのモデル行列を乗算し、乗算した後の結果行列が
であり、この結果行列が結果回転行列と結果平行移動行列を含み、結果回転行列が車両座標系での3つの座標軸の偏向角度の三角関数の関係を含む。例えば、結果行列
での結果回転行列を
と表すことができ、
が結果回転行列Rにおける対応する位置の偏向角度の三角関数の関係を示し、この三角関数の関係が複雑なため、具体的な三角関数の関係はこれ以上列挙しない。
【0056】
ステップ6において、結果回転行列に基づき、各マルチラインレーザレーダのそれぞれに対応する初期トレーラ挟角を決定する。
【0057】
例えば、結果回転行列Rが
と表される場合に、次の関係がある。
ここで、
のそれぞれは、現在サイクルのx軸、y軸、z軸周りの偏向角度である。
は初期トレーラ挟角に相当する。
【0058】
ステップ407において、予め設定された判断条件に基づき、各マルチラインレーザレーダのそれぞれに対応する初期トレーラ挟角に対して選別を行う。
【0059】
ここで、このステップ407は、次の2つの態様を用いて実現してもよく、もちろん、この2つの態様を組み合わせて実現してもよい。
【0060】
態様1:
各マルチラインレーザレーダに対応するノイズフィルタリングした後のレーザ点群のポイント数が、予め設定されたポイント数の閾値よりも小さいか否かを判断する。
【0061】
マルチラインレーザレーダに対応するノイズフィルタリングした後のレーザ点群のポイント数が予め設定されたポイント数の閾値よりも小さいマルチラインレーザレーダに対応する初期トレーラ挟角を除外し、マルチラインレーザレーダに対応するノイズフィルタリングした後のレーザ点群のポイント数が予め設定されたポイント数の閾値以上となるマルチラインレーザレーダに対応する初期トレーラ挟角を残す。
【0062】
ここで、マルチラインレーザレーダに対応するノイズフィルタリングした後のレーザ点群のポイント数が予め設定されたポイント数の閾値より小さいと、マルチラインレーザレーダに対応する今回のトレーラモデルが比較的に少ないレーザ点群によりフィッティングされたことを意味し、少ないレーザ点群だけによりフィッティングして今回のトレーラモデルが得られると、得られた初期トレーラ挟角がかなり不正確であり、除外されるべきである。
【0063】
態様2:
現在サイクルが第1のサイクルではない場合、現在サイクルの各マルチラインレーザレーダのそれぞれに対応する初期トレーラ挟角とカルマンフィルター処理を行って得た前のサイクルのトレーラ挟角とのズレ角度値が、予め設定されたズレ角度の閾値よりも大きいか否かを判断する。
【0064】
現在サイクルのマルチラインレーザレーダに対応する初期トレーラ挟角とカルマンフィルター処理を行って得た前のサイクルのトレーラ挟角とのズレ角度値が、予め設定されたズレ角度の閾値よりも大きいと、現在サイクルの当該マルチラインレーザレーダに対応する初期トレーラ挟角を除外する。
【0065】
現在サイクルのマルチラインレーザレーダに対応する初期トレーラ挟角とカルマンフィルター処理を行って得た前のサイクルのトレーラ挟角とのズレ角度値が、予め設定されたズレ角度の閾値以下であると、現在サイクルの当該マルチラインレーザレーダに対応する初期トレーラ挟角を残す。
【0066】
ここで、2つの隣接するサイクル(一般的には0.1秒しか違わない)の間の時間差が短いことで、トレーラ挟角の変化があまり大きくなく、現在サイクルのマルチラインレーザレーダに対応する初期トレーラ挟角とカルマンフィルター処理を行って得た前のサイクルのトレーラ挟角とのズレ角度値が、予め設定されたズレ角度の閾値よりも大きいと、現在サイクルのマルチラインレーザレーダに対応する初期トレーラ挟角を無効データとして決定し、除外されるべきである。
【0067】
ステップ408において、選別を行った後の各マルチラインレーザレーダのそれぞれに対応する初期トレーラ挟角を現在サイクルにおける収集タイミングで並べ、処理する角度データを形成する。
【0068】
例えば、トラクタヘッドのフロントマスクの左側と右側のそれぞれに2つのマルチラインレーザレーダがあることを一例として(例えば、この時左側の2つのマルチラインレーザレーダのみが対応する初期トレーラ挟角を測定で得た)、マルチラインレーザレーダの測定サイクルが0.1sであり、2つのマルチラインレーザレーダの測定タイミングの差が0.05sであり、図12に示すように、横座標が初期トレーラ挟角に対応するタイミングで、縦座標が初期トレーラ挟角の角度であり、縦座標データの全体により処理する角度データが構成される。
【0069】
ステップ409において、処理する角度データに基づいてカルマンフィルター処理を行い、現在サイクルのトレーラ挟角を得る。
【0070】
ここで、カルマンフィルター処理を行う理由は、トレーラの表面自体が平らではなく、マルチラインレーザレーダ自身も観測誤差があるため、算出した初期トレーラ挟角に一定の誤差があり、現れた現象は、車両が静止している時にも、挟角がプラスマイナス1°~2°のジャンプがあることである。この問題を解決するために、カルマンフィルター処理は、処理する角度データにおいて収集タイミングで並べられた初期トレーラ挟角に対してノイズカット処理を行い、初期トレーラ挟角と挟角変化の簡易運動学モデルを融合してスムーズな出力結果を得ることができ、静止状態でトレーラ挟角を測定する測定データの誤差をプラスマイナス0.5°以内に保つことができるだけでなく、トレーラ挟角が急速に変化する時に測定データもそれに応じてリアルタイムで変化することを確保し、明らかな遅延を避けることができる。
【0071】
上述したステップ409の後に、ステップ404に戻って次のサイクルのトレーラ挟角測定を行うことができる。
【0072】
前記ステップ401~ステップ409によって、構造が簡単であり、迅速で正確にトレーラ挟角を測定する方法を実現できることが分かる。
【0073】
また、本出願の実施例は、さらに、メモリとプロセッサとメモリに記憶されてプロセッサに実行可能なコンピュータープログラムとを含むトレーラ挟角の測定装置を提供し、前記プロセッサが前記コンピュータープログラムを実行すると、図2又は図8に対応する方法を実現する。
【0074】
また、本出願の実施例は、さらに、コンピューター読取り可能な記憶媒体を提供し、これにおいてコンピュータープログラムが記憶され、このプログラムがプロセッサに実行されると、図2又は図8に対応する方法を実現する。
【0075】
また、図13に示すように、本出願の実施例は、上述したトレーラ挟角の測定装置601と、トラクタヘッド201及びトレーラ202(本出願に関するトレーラ202の上にコンテナ搭載可能)とを含む車両50を提供し、前記トラクタヘッド201の両側(例えば、トラクタヘッド201の先端の両側、すなわち車両フロントマスクの両側)に少なくとも1つのマルチラインレーザレーダ203がそれぞれ設置され、このトレーラ挟角の測定装置601がマルチラインレーザレーダ203と通信接続する。
【0076】
本出願の実施例に係るトレーラ挟角の測定方法、装置及び車両は、トラクタヘッドの両側に少なくとも1つのマルチラインレーザレーダをそれぞれ設置することを採用し、両側に設置されたマルチラインレーザレーダがトレーラの表面に照射可能であり、これにより各マルチラインレーザレーダが受信したそれぞれに対応するレーザ点群及び初期点群データに基づき、点群マッチングアルゴリズムを用いてトレーラ挟角を算出することができる。また、本出願は、単一のレーザレーダのレーザ点群ではなく、各マルチラインレーザレーダが受信したそれぞれに対応するレーザ点群及びトレーラ挟角が初期値の場合の初期点群データに基づき、トレーラ挟角を算出することを採用し、その結果、正確度が大幅に向上した。
【0077】
以上、具体的な実施例に結び付けて本出願の基本原理を説明したが、当業者にとっては、本出願の方法及び装置の全部または任意のステップや部品は、算出装置(プロセッサ、記憶媒体などを含む)又は算出装置のネットワークにおいて、ハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせにより実現できると理解可能であり、これは、本出願の明細書を読んだ場合、基本的なプログラミング技術を使用して当業者が実現できるものであることを留意したい。
【0078】
当業者であれは、上述した実施例の方法に含まれる全部又は一部のステップを実現することは、プログラムを介して関連するハードウェアを命令することによって完了されてもよく、前記プログラムは、1つのコンピューター読取り可能な記憶媒体に記憶されてもよく、このプログラムが実行される場合、方法の実施例のステップの1つ又はそれらの組み合わせを含むことを理解できる。
【0079】
また、本出願の各実施例における各機能ユニットは、1つの処理モジュールに集積してもよく、各ユニットが物理的に単独で存在してもよく、2つ又は2つ以上のユニットが1つのモジュールに集積してもよい。前述集積したモジュールは、ハードウェアの形でもソフトウェア機能モジュールの形でも実現できる。前記集積モジュールがソフトウェア機能モジュールの形で実現して独立した製品として販売又は使用される場合、1つのコンピューター読取り可能な記憶媒体に記憶されてもよい。
【0080】
当業者は、本出願の実施例が方法、システム、又はコンピュータープログラム製品として提供されてもよいことを理解すべきである。 このため、本出願は、完全なハードウェアの実施例、完全なソフトウェアの実施例、又はソフトウェアとハードウェアを組み合わせる実施例の形を採用できる。 さらに、本出願は、コンピューター使用可能なプログラムコードを含む1つ又は複数のコンピューター使用可能な記憶媒体(ディスクストレージと光ストレージなどを含むが、これらに限定されない)において実行されるコンピュータープログラム製品の形を採用できる。
【0081】
本出願は、本出願の実施例の方法、デバイス(システム)、及びコンピュータープログラム製品によるフローチャート及び/又はブロック図を参照して説明したものである。 フローチャート及び/又はブロック図の各プロセス及び/又はブロック、ならびにフローチャート及び/又はブロック図のプロセス及び/又はブロックの組み合わせが、コンピュータープログラム指令によって実現できることを理解すべきである。 これらのコンピュータープログラム指令が汎用コンピューター、専用コンピューター、組み込みプロセッサ、又は他のプログラム可能なデータ処理デバイスのプロセッサに提供して1つのマシンを生成し、これにより、コンピューター又は他のプログラム可能なデータ処理デバイスのプロセッサが実行する指令によって、フローチャートの1つ又は複数のプロセス及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックで指定された機能を実現するための装置が生成されてもよい。
【0082】
これらのコンピュータープログラム指令は、コンピューター又はプログラム可能なデータ処理デバイスを特定の方式で動作するようにガイドできるコンピューター読取り可能メモリに記憶されてもよく、これにより当該コンピューター読取り可能メモリに記憶された指令に指令装置を含む製造品を生成させ、当該指令装置は、フローチャートの一つのフロー又は複数のフロー及び/又はブロック図の一つのブロック又は複数のブロックにおいて指定された機能を実現する。
【0083】
これらのコンピュータープログラム指令は、コンピューター又は他のプログラム可能なデータ処理デバイスにロードされてもよく、それによりコンピューター又は他のプログラム可能なデバイスで一連の作業ステップを実行させてコンピューターによる処理を生成して、コンピューター又は他のプログラム可能なデバイスで実行される指令が、フローチャートの一つ又は複数のフロー及び/又はブロック図の一つ又は複数のブロックにおいて指定された機能を実現するためのステップを提供する。
【0084】
本出願の上記実施例を説明したが、当業者は基本的な進歩性の概念を知っていれば、これらの実施例に対して他の変更及び修正を行うことができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、上述した実施例及び本出願の範囲内に収まる全ての変更及び修正を含むと解釈されることを意図する。
【0085】
もちろん、当業者は、本出願の精神及び範囲から逸脱せずに本出願に対して様々な変更及び変形を行うことができる。このように、本出願のこれらの変更及び変形が本出願の特許請求の範囲及びそれと均等の技術の範囲内に属すれば、本出願もこれらの変更及び変形を含むことを意図する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13