(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】決済処理装置、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/24 20120101AFI20240910BHJP
【FI】
G06Q20/24
(21)【出願番号】P 2023152231
(22)【出願日】2023-09-20
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】594103301
【氏名又は名称】三井住友カード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 真司
(72)【発明者】
【氏名】横山 貴司
(72)【発明者】
【氏名】浦田 航貴
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-007920(JP,A)
【文献】特開2016-021135(JP,A)
【文献】特開2022-146418(JP,A)
【文献】特開2023-053603(JP,A)
【文献】特開2003-076927(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0302404(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対面型サービスを提供する加盟店が実施するサブスクリプションサービスのための決済処理装置であって、前記決済処理装置は、
外部ネットワークと通信するための通信部
と、
前記加盟店に関連付けられるカード番号及び前記サブスクリプションサービスの契約の契約番号を格納する記憶部
と、
制御部
と、
を備え、
前記制御部は、
前記通信部を介して、前記加盟店に関連付けられる売上データを受信することと、
前記売上データに含まれる
前記契約番号に基づいて前記記憶部から前記カード番号を読み出して、読み出した前記カード番号と、前記売上データに含まれる加盟店識別子、課金額とに基づいて第1の信用照会電文を生成することと、
前記第1の信用照会電文に対する第1の信用照会結果に基づいて、前記契約番号に対する課金可否を判定することと、
課金可と判定された前記契約番号に関連付けられる前記カード番号を前記記憶部から取得して、前記カード番号に基づいて売上電文を生成することと
、
を実行するように構成されている決済処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記契約番号に対する課金可否を判定したことによる結果リストを生成して、前記通信部を介して、前記結果リストを送信することをさらに実行するように構成されている、請求項1の決済処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第1の信用照会電文に含まれる前記カード番号に基づいて前記第1の信用照会電文を送信すべきカード会社システムを識別することと、
前記売上電文に含まれる前記カード番号に基づいて前記売上電文を送信すべき前記カード会社システムを識別することと
、
をさらに実行するように構成されている、請求項2の決済処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記通信部を介して有効性チェック依頼電文を受信することと、
前記有効性チェック依頼電文に基づいて第2の信用照会電文を生成し、前記第2の信用照会電文に含まれるカード番号に基づいて前記第2の信用照会電文を送信すべきカード会社システムを識別することと、
前記第2の信用照会電文に対する第2の信用照会結果が取引承認を示す場合、取引承認に関連付けられるカード番号及び契約番号を前記記憶部に格納することと
、
をさらに実行するように構成されている、請求項1の決済処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記カード番号及び前記契約番号を前記記憶部に格納したことに応答して、加盟店識別子及び前記契約番号を含む通知を前記通信部を介して
加盟店決済端末に送信することをさらに実行するように構成されている、請求項4の決済処理装置。
【請求項6】
前記記憶部は、前記加盟店によって指定された登録させたい、あるいは登録させたくないカード番号の情報を含むカードチェックリストをさらに格納しており、
前記制御部は、前記有効性チェック依頼電文に含まれる前記カード番号に基づいて前記カードチェックリストに問い合わせを行い、前記カード番号が登録可能なカード番号であるかどうかを判定するようにさらに構成されている、請求項4の決済処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記通信部を介して、前記契約番号または前記カード番号を含む解約依頼を加盟店決済端末から受信することと、
受信した前記契約番号または前記カード番号に基づいて前記記憶部に問い合わせを行い、前記契約番号または前記カード番号に対応するデータが存在する場合には、前記契約番号を無効化するための処理を実行することと、
前記無効化するための処理の結果を前記加盟店決済端末に送信することと、
をさらに実行するように構成されている、請求項1の決済処理装置。
【請求項8】
対面型サービスを提供する加盟店が実施するサブスクリプションサービスのための決済処理装置によって実行される方法であって、
前記決済処理装置は、
外部ネットワークと通信するための通信部と、
前記加盟店に関連付けられるカード番号及び前記サブスクリプションサービスの契約の契約番号を格納する記憶部と、
制御部と、
を備え、前記方法は、
前記制御部が、前記通信部を介して、前記加盟店に関連付けられる売上データを受信することと、
前記制御部が、前記売上データに含まれる
前記契約番号に基づいて前記記憶部から前記カード番号を読み出して、読み出した前記カード番号と、前記売上データに含まれる加盟店識別子、課金額とに基づいて第1の信用照会電文を生成することと、
前記制御部が、前記第1の信用照会電文に対する第1の信用照会結果に基づいて、前記契約番号に対する課金可否を判定することと、
前記制御部が、課金可と判定された前記契約番号に関連付けられる前記カード番号を前記記憶部から取得して、前記カード番号に基づいて売上電文を生成することと
、
を備える方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サブスクリプションサービス実施のための仕組みを加盟店に提供する決済処理装置、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
消費者向け(いわゆる、BtoC)サブスクリプションサービスの市場が急拡大している。サブスクリプションサービスの市場が拡大している分野としては、「衣料品・ファッションレンタル」「外食サービス」「家具や家電などの生活関連サービス」「多拠点居住サービス」「デジタルコンテンツ」「定期購入システムのプラットフォームを利用した宅配サービス」などが挙げられる。
【0003】
これらの分野では、消費者はPC、スマートフォンまたはタブレット型端末などのデバイスを利用してアカウント登録することにより所望のサービスを受けており、サブスクリプションサービスの会員獲得は、相対的に非対面取引の場面の方がしやすい。非対面取引における会員獲得を支援する仕組みとして特許文献1の仕組みが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、消費者に対して対面サービス提供している企業などでは、いかにしてサブスクリプションサービスを展開するかが課題となっている。そのような企業が、サブスクリプションサービスの会員を獲得するためには、専用のWebサイトやアプリを作成して会員管理、決済手段の有効性チェック、及び課金処理の仕組みを用意する必要があるが、企業によってはそのような仕組みを用意することが困難となっている。また、消費者が来店した際に、サービス内容の説明を行って会員登録してもらい、消費者が利用する決済手段のチェックなどを行うのは、システム的制約ばかりでなく、時間的制約もあり困難である。
【0006】
また、サブスクリプションサービスを加盟店が実施するにあたり、カード情報を保持して適切に管理することは、クレジットカード業界のセキュリティ基準であるPCIDSSを遵守しなければならないため加盟店の負担が過大となる。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、対面型サービスを提供する加盟店が専用のWebサイトやアプリを作成して会員管理の仕組みを用意することなく、サブスクリプションサービスを実施することができる決済処理装置、方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様である決済処理装置は、外部ネットワークと通信するための通信部、記憶部、及び制御部を備えた決済処理装置であって、
前記記憶部は、加盟店に関連付けられるカード番号及び契約番号を格納しており、
前記制御部は、
前記通信部を介して、前記加盟店に関連付けられる売上データを受信することと、
前記売上データに含まれる契約番号に基づいて前記記憶部から前記カード番号を読み出して、読み出した前記カード番号と、前記売上データに含まれる加盟店識別子、課金額とに基づいて第1の信用照会電文を生成することと、
前記第1の信用照会電文に対する第1の信用照会結果に基づいて、前記契約番号に対する課金可否を判定することと、
課金可と判定された前記契約番号に関連付けられる前記カード番号を前記記憶部から取得して、前記カード番号に基づいて売上電文を生成することと
を実行するように構成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、決済処理装置がサブスクリプションサービスの仕組みを加盟店に提供することができるようになるので、加盟店は、加盟店顧客のカード情報を保持することなく、サブスクリプションサービスを加盟店顧客に対して提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書において開示される実施形態の詳細な理解は、添付図面に関連して例示される以下の説明から得ることができる。
【
図1】本発明に係る決済処理装置10を含むシステム全体の構成図である。
【
図2】本発明に係る決済処理装置10のシステム構成図である。
【
図3】預り課金情報106のデータ構造の一例を説明する図である。
【
図4】決済情報108のデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】サブスクリプションサービスの登録処理を説明するフロー図である。
【
図6】サブスクリプションサービスの解約処理を説明するフロー図である。
【
図7】サブスクリプションサービスの契約番号照会処理を説明するフロー図である。
【
図8】サブスクリプションサービスの課金処理を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(全体構成)
図1は、本発明に係る決済処理装置10を含むシステム全体の構成図である。決済処理装置10は、カード会社システム11、加盟店決済端末12、及び加盟店システム13と相互に通信可能に接続される。決済処理装置10は、アクワイアラーまたは決済代行会社によって使用され、カード会社システム11は、イシュアによって使用される。なお、カードによっては、イシュアとアクワイアラーが同一カード会社となる場合がある。
【0012】
決済処理装置10は、加盟店決済端末12から受信した有効性チェック依頼電文に含まれるカード番号が有効性チェックリストに含まれるカード番号かどうかを照合し、後続処理可能と判定したカード番号についてカード会社システム11に対して有効性チェック(すなわち、オーソリ)を依頼する。決済処理装置10は、有効であるとの回答を得たカード番号の情報を、加盟店コード及び契約番号と関連付けて預り登録する。決済処理装置10は、預り登録したカード番号の情報に関連付けられる契約番号を加盟店決済端末12に送信する。
【0013】
決済処理装置10は、契約番号またはカード番号を含む解約依頼を加盟店決済端末12または加盟店システム13から受信し、預り登録したカード番号を無効化する。
【0014】
決済処理装置10は、カード番号を含む契約番号照会依頼を加盟店決済端末12から受信し、カード会社システム11に対して有効性チェックを依頼する。決済処理装置10は、有効であるとの回答を得たカード番号に基づいて課金情報に問い合わせを行って取得した契約番号を加盟店決済端末12に送信する。
【0015】
決済処理装置10は、契約番号及び売上金額を含む売上データを加盟店システム13から受信し、それぞれの売上データに含まれる契約番号に基づいてカード番号を特定し、特定したカード番号及び売上金額に基づいてカード会社システム11に対して信用照会(オーソリゼーションリクエスト)を行う。決済処理装置10は、信用照会結果をカード会社システム11から受信し、信用照会結果がNGだったカード番号に関連付けられる契約番号についてはオーソリNG対象リストとして加盟店システム13に提供する。決済処理装置10は、信用照会結果がOKだったカード番号については、売上電文を生成してカード会社システム11に送信する。
【0016】
決済処理装置10は、カード番号の所定の桁数の数値情報に基づいて、信用照会電文及び売上電文を送信すべきカード会社システム11を識別する。当業者に周知なように、カード番号の所定の桁数の数値情報は、イシュアとなるカード会社を識別する。
【0017】
決済処理装置10は、サブスクリプションサービスの利用料を計算し、請求データを加盟店システム13に送信する。
【0018】
カード会社システム11は、カード番号及び金額情報を含む信用照会(オーソリゼーションリクエスト)を決済処理装置10から受信し、カードの有効性チェック(オーソリ処理)を実行する。カード会社システム11は、カードの有効性チェックの結果を決済処理装置10に送信する。また、カード会社システム11は、売上電文を決済処理装置10から受信し、カード売上を計上してカード会員に対して請求書を発行するとともに、カード会員の所定の口座に対する口座引落処理を行う。
【0019】
加盟店決済端末12は、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、二次元コードなど様々なキャッシュレス決済に対応可能な決済端末であり、タッチパネル対応のディスプレイを有する決済端末である。加盟店決済端末12は、決済処理装置10からサブスクリプションサービス用の業務アプリケーションをダウンロードして実行することができる。サブスクリプションサービス用の業務アプリケーションは、加盟店が独自に設定した契約番号の入力機能、顧客の提示したカード情報に基づく有効性チェック依頼電文を生成する機能、決済処理装置10から受信した預り登録済カード番号に関連付けられる契約番号をディスプレイに出力する/加盟店決済端末12の印刷手段を介して印刷する機能などを有している。
【0020】
加盟店システム13は、加盟店が利用するPC、タブレット型端末である。加盟店システム13は、決済処理装置10からダウンロードしたサブスクリプションサービス用の業務アプリケーションを介して、あるいは、所定のWebサイトを介して、契約番号及び課金情報を登録することができる。
【0021】
(システム構成)
図2は、本発明に係る決済処理装置10のシステム構成図である。決済処理装置10は、一般的なコンピュータと同様に、バス120などによって相互に接続された制御部101、主記憶部102、補助記憶部103、IF部104及び出力部105を備える。決済処理装置10は、補助記憶部103内にファイル/データベースなどの記憶手段の形式で、預り課金情報106、チェックリスト107、及び決済情報108を備える。
【0022】
制御部101は、中央処理装置(CPU)とも呼ばれ、決済処理装置10の各構成要素の制御やデータの演算を行い、また、補助記憶部103に格納されている各種プログラムを主記憶部102に読み出して実行する。主記憶部102は、メインメモリとも呼ばれ、受信した各種データ、コンピュータ実行可能な命令及び当該命令による演算処理後のデータなどを記憶できる。補助記憶部103は、ハードディスク(HDD)などに代表される記憶装置であり、データやプログラムを長期的に保存する際に使用される。
【0023】
図2の実施形態は、制御部101、主記憶部102及び補助記憶部103を同一のコンピュータ内に設ける実施形態について説明するが、他の実施形態として、決済処理装置10は、制御部101、主記憶部102及び補助記憶部103を複数個使用することにより、複数のコンピュータによる並列分散処理を実現するように構成することもできる。また、他の実施形態として、決済処理装置10のための複数のサーバを設置し、複数サーバが一つの補助記憶部103を共有する実施形態にすることも可能である。
【0024】
IF部104は、他のシステムや装置との間でデータを送受信する際のインターフェース(IF)の役割を果たし、また、システムオペレータから各種コマンドや入力データ(各種マスタ、テーブルなど)を受け付けるインターフェースを提供する。出力部105は、処理されたデータを表示する表示画面や当該データを印刷するための印刷手段などを提供する。
【0025】
制御部101、主記憶部102、補助記憶部103、IF部104及び出力部105と同様な機能の構成要素は、カード会社システム11、加盟店決済端末12、及び加盟店システム13にも存在するが、本明細書ではこれらについての説明を省略する。
【0026】
預り課金情報106は、それぞれの加盟店から預かったカード番号、及びカード番号に関連付けられるカード情報を格納する。
図3は、預り課金情報106のデータ構造の一例を説明する図である。預り課金情報106は、加盟店ID301、預りカード番号302、契約番号303、カード有効期限304、及びセキュリティコード305を含むことができるが、これらのデータ項目に限定されることはなく他のデータ項目も含むことが可能である。
【0027】
加盟店ID301は、サブスクリプションサービスを利用する加盟店を識別する識別子である。預りカード番号302は、当該サブスクリプションサービスを利用する加盟店顧客が有するカード番号であって、決済処理装置10及びカード会社システム11による有効性チェックが成功裏に完了したカード番号である。契約番号303は、加盟店が加盟店顧客に対して付与したサブスクリプションサービスの契約番号または決済処理装置10が加盟店顧客に対して自動採番したサブスクリプションサービスの契約番号である。カード有効期限304は、預りカード番号による決済が行える有効期限である。セキュリティコード305は、預りカード番号による決済に利用可能なセキュリティコードである。
【0028】
図2に戻って説明を続けると、チェックリスト107は、加盟店によって指定された会員登録させたい、あるいは会員登録させたくないカード番号帯、個別のカード番号を格納する。不図示のチェックリスト107に登録したカード番号帯、個別のカード番号により、決済処理装置10は、特定のイシュアのカードのみを対象とすること、外国で発行されたカードを対象外とすること、プリペイドカードは対象外とすること、などを制御できるようになる。
【0029】
決済情報108は、加盟店が加盟店顧客に対して課金した課金情報、当該課金情報に基づいて特定される預りカード番号、及び当該カード番号に基づく信用照会処理及び売上登録処理の結果を格納する。
図4は、決済情報108のデータ構造の一例を示す図である。決済情報108は、加盟店ID301、預りカード番号302、契約番号303、対象年月日401、課金額402、オーソリ結果403、及び売上登録フラグ404を含むことができるが、これらのデータ項目に限定されることはなく他のデータ項目も含むことが可能である。
【0030】
加盟店ID301、預りカード番号302、及び契約番号303は、
図3を参照しながら上記で説明したので再度の説明は省略する。
【0031】
対象年月日401は、加盟店のサブスクリプションサービスを利用した加盟店顧客に対する課金を行う年月日を示す。課金額402は、加盟店が顧客に対して課金する課金額を示す。オーソリ結果403は、預りカード番号と課金額に基づいて行われたカード会社システム11によるオーソリ結果(例えば、OKまたはNG)を示す。売上登録フラグ404は、預りカード番号と課金額に基づく売上登録をカード会社システム11に対して行ったどうかを示すフラグである。
【0032】
(サブスクリプションサービスの登録処理)
図5は、サブスクリプションサービスの登録処理を説明するフロー図である。本処理フローの前提として、加盟店決済端末12は、決済処理装置10からサブスクリプションサービスのためのアプリケーションをダウンロードしてインストール済であり、加盟店は、加盟店顧客に対してサブスクリプションサービスの内容について説明してあり、加盟店顧客がサービス加入に同意しているものとする。
【0033】
S501にて、加盟店決済端末12は、カード情報を読み込むと有効性チェック依頼電文を生成する。有効性チェック依頼電文は、加盟店ID、カード番号、カード有効期限、及びセキュリティコードを含み、加盟店が加盟店顧客に対して契約番号を採番して付与している場合には、契約番号をさらに含むことができる。契約番号は、加盟店決済端末12のディスプレイに表示されるアプリケーションから入力される。
【0034】
S502にて、加盟店決済端末12は、生成した有効性チェック依頼電文を決済処理装置10に送信する。
【0035】
S503にて、決済処理装置10は、受信した有効性チェック依頼電文に含まれるカード番号に基づいてチェックリスト107に問い合わせを行い、登録可能なカード番号であるかどうかを判定する。登録可能ではないカード番号であると判定された場合、決済処理装置10は、加盟店決済端末12に対し登録不可を示す通知を送信する(不図示)。一方、登録可能なカード番号であると判定された場合、S504に処理が進む。
【0036】
S504にて、決済処理装置10は、有効性チェック依頼電文に含まれる加盟店ID、カード番号、及び任意の金額(例えば、0円)を含む信用照会電文を生成する。信用照会電文は、当業者には知られているように、オーソリ電文とも呼ばれる。
【0037】
S505にて、決済処理装置10は、信用照会電文のカード番号の所定の桁数の数値情報に基づいて送信すべきカード会社システム11を識別し、生成した信用照会電文をカード会社システム11に送信する。カード会社システム11は、カード番号を発行したイシュアに関連付けられるシステムである。
【0038】
S506にて、カード会社システム11は、受信した信用照会電文に含まれる加盟店ID、カード番号及び金額に基づいてオーソリ処理を実行する。オーソリ処理は、カード有効期限のチェック、利用限度額チェックなどを行うことによって、カード取引の承認/非承認を判定する処理である。カード会社システム11は、オーソリ処理の結果に基づいて信用照会結果を生成する。信用照会結果は、信用照会電文に含まれる情報に基づくカード取引に対する承認または非承認を示し、例えば、加盟店ID、カード番号、金額、及び承認または非承認を示すフラグを含む。
【0039】
S507にて、カード会社システム11は、信用照会結果を決済処理装置10に送信する。
【0040】
S508にて、決済処理装置10は、信用照会結果が取引の非承認を示す場合、加盟店決済端末12に対して登録不可を示す通知を送信する(不図示)。一方、決済処理装置10は、信用照会結果が取引承認を示し、かつ有効性チェック依頼電文に契約番号が含まれていない場合、加盟店に関連付けられる契約番号を発行する。決済処理装置10は、信用照会結果が取引承認を示す場合、有効性チェック依頼電文及び信用照会結果に基づいて、加盟店ID、カード番号、契約番号、カード有効期限、及びセキュリティコードを預り課金情報106に格納する。決済処理装置10が新たに契約番号を発行するかどうかは、加盟店が契約番号を保有・発行しているかどうかによって決定され得る。すなわち、本発明では、契約番号は、加盟店が採番して発行したもの(有効性チェック依頼電文に含まれるもの)を利用することができ、あるいは、加盟店が発行しない場合には決済処理装置10が加盟店に関連付けられる契約番号を発行したものを利用することができる。
【0041】
S509にて、決済処理装置10は、預り課金情報106へのデータ登録が完了すると、処理完了通知を加盟店決済端末12に送信する。処理完了通知は、加盟店ID、契約番号を少なくとも含む。
【0042】
S510にて、加盟店決済端末12は、処理完了通知を受信すると、預り登録がなされたカード番号に関連付けられる契約番号をディスプレイに表示するとともに、加盟店決済端末12の印刷手段を介して、契約番号が示された印刷物(例えば、レシート)を出力する。印刷物は、加盟店顧客に手交されてよく、また、加盟店の記録として保持される。
【0043】
S511にて、加盟店システム13は、加盟店顧客から受け取った顧客情報とともに契約番号をシステム内に登録して会員情報として管理することができる。会員情報は、加盟店が独自に管理するものであってよい。
【0044】
(サブスクリプションサービスの解約処理)
図6は、サブスクリプションサービスの解約処理を説明するフロー図である。解約処理は、加盟店システム13から実行する(S601~S604)こともできるし、または加盟店決済端末12から実行する(S605~S608)こともできる。
【0045】
S601にて、加盟店システム13は、加盟店従業員などから解約処理の対象となる契約番号の入力を受信する。S602にて、加盟店システム13は、入力された契約番号を含む解約依頼を決済処理装置10に送信する。契約番号の入力及び解約依頼の送信は、サブスクリプションサービス用の業務アプリケーションを介して、あるいは、所定のWebサイトを介して実行されることができる。
【0046】
S603にて、決済処理装置10は、受信した契約番号に基づいて預り課金情報106に問い合わせを行い、該当する契約番号のデータが存在した場合には、当該データの契約番号303に格納されているデータに対して所定の処理を実行する。所定の処理は、契約番号自体の削除、契約番号に任意の値を付加して利用できなくする処理(例えば、契約番号「1234」を「1234-disable」に変更する)など、契約番号を利用する以後の処理が実行できなくなるものであればよい。
【0047】
S604にて、決済処理装置10は、無効化処理結果を加盟店システム13に送信する。無効化処理結果は、加盟店ID、契約番号、及び無効化されたことを示す通知を含んでよい。
【0048】
上述したS601~S604の解約処理は、加盟店システム13により実行するものであり、必要な情報は契約番号である。一方、後述するS605~S608の解約処理は、加盟店決済端末12により実行するものであり、必要な情報は、契約番号またはカード番号となる。
【0049】
S605にて、加盟店決済端末12は、加盟店顧客または加盟店従業員などから契約番号またはカード番号の入力を受信する。契約番号の入力は、加盟店決済端末12のディスプレイ上の解約メニューから行われてよい。カード番号の入力は、加盟店決済端末12のカード情報読み取り手段(例えば、接触または非接触のICカードリーダー、磁気ストライプリーダー、などの任意の手段)から行われてよい。S606にて、加盟店決済端末12は、入力された契約番号またはカード番号を含む解約依頼を決済処理装置10に送信する。
【0050】
S607にて、決済処理装置10は、受信した契約番号またはカード番号に基づいて預り課金情報106に問い合わせを行い、該当する契約番号またはカード番号のデータが存在した場合には、当該データの契約番号303に格納されているデータに対して所定の処理を実行する。所定の処理は、契約番号自体の削除、契約番号に任意の値を負荷して利用できなくする処理(例えば、契約番号「1234」を「1234-disable」に変更する)など、契約番号を利用する以後の処理が実行できなくなるものであればよい。
【0051】
S608にて、決済処理装置10は、無効化処理結果を加盟店決済端末12に送信する。無効化処理結果は、加盟店ID、契約番号またはカード番号、及び無効化されたことを示す通知を含んでよい。
【0052】
(サブスクリプションサービスの契約番号照会処理)
図7は、サブスクリプションサービスの契約番号照会処理を説明するフロー図である。この処理は、加盟店顧客などが契約番号を忘れてしまった場合などに実行される。
【0053】
S701にて、加盟店決済端末12は、カード番号の入力を受信する。カード番号の入力は、加盟店決済端末12のカード情報読み取り手段(例えば、接触または非接触のICカードリーダー、磁気ストライプリーダー、などの任意の手段)から行われてよい。加盟店決済端末12は、入力されたカード番号に基づいて契約番号照会依頼電文を生成する。
【0054】
S702にて、加盟店決済端末12は、入力されたカード番号と加盟店IDを含む契約番号照会依頼電文を決済処理装置10に送信する。
【0055】
S703にて、決済処理装置10は、契約番号照会依頼電文に含まれる加盟店ID及びカード番号に基づいて預り課金情報106に問い合わせを行い、データが存在するかどうかを判定する。存在しないと判定された場合、決済処理装置10は、加盟店決済端末12に対してカード情報不存在を示す通知を行う(不図示)。カード情報不存在を示す通知は、加盟店決済端末12のディスプレイに表示される。一方、存在すると判定された場合、問い合わせにより取得したデータが主記憶部102に格納され、S704以後の処理が実行される。
【0056】
S704にて、決済処理装置10は、契約番号照会依頼電文に含まれる加盟店ID及びカード番号、並びに任意の金額(例えば、0円)を含む信用照会電文(オーソリ電文)を生成する。S705にて、決済処理装置10は、カード番号の所定の桁数の数値情報に基づいて、信用照会電文を送信すべきカード会社システム11を識別し、生成した信用照会電文をカード会社システム11に送信する。
【0057】
S706にて、カード会社システム11は、受信した信用照会電文に含まれる加盟店ID、カード番号及び金額に基づいてオーソリ処理を実行する。S707にて、カード会社システム11は、信用照会結果を決済処理装置10に送信する。
【0058】
S708にて、決済処理装置10は、信用照会結果を分析し、信用照会結果が取引承認を示す場合、S703での問い合わせにより取得したデータの契約番号を少なくとも含む処理完了通知を生成する。一方、信用照会結果が取引不承認を示す場合、決済処理装置10は、カード利用不可を示す通知を生成して加盟店決済端末12に送信する(不図示)。カード利用不可を示す通知は、加盟店決済端末12のディスプレイに表示される。
【0059】
S709にて、決済処理装置10は、契約番号を少なくとも含む処理完了通知を加盟店決済端末12に送信する。
【0060】
S710にて、決済処理装置10は、処理完了通知に含まれる契約番号をディスプレイに表示するとともに、加盟店決済端末12の印刷手段を介して、契約番号が示された印刷物(例えば、レシート)を出力する。
【0061】
本発明の他の実施形態では、加盟店は、自身に関連付けられる契約番号を決済処理装置10から取得することができる。加盟店システム13は、サブスクリプションサービス用の業務アプリケーションを介して、あるいは、所定のWebサイトを介して決済処理装置10に契約番号取得要求を送信する。決済処理装置10は、契約番号取得要求に応答して預り課金情報106から加盟店に関連付けられる契約番号のセットを取得し、加盟店システム13に提供することができる。
【0062】
(サブスクリプションサービスの課金処理)
図8は、サブスクリプションサービスの課金処理を説明するフロー図である。
【0063】
S801にて、加盟店従業員などは、加盟店システム13を使用して売上データを作成する。売上データは、加盟店ID、課金対象年月日、契約番号、及び課金額を含む。S802にて、加盟店システム13は、売上データを決済処理装置10に送信する。
【0064】
S803にて、決済処理装置10は、受信した売上データを決済情報108に格納し、売上データに含まれる契約番号のそれぞれを使用して預り課金情報106に問い合わせを行い、それぞれの対応するカード番号を取得する。決済処理装置10は、取得したそれぞれのカード番号と、受信した売上データの対応する加盟店ID、対象年月日、課金額とに基づいて信用照会電文(オーソリ電文)を生成する。
【0065】
S804にて、決済処理装置10は、信用照会電文のカード番号の所定の桁数の数値情報に基づいて、信用照会電文を送信すべきカード会社システム11を識別し、生成した信用照会電文をカード会社システム11に送信する。カード会社システム11は、カード番号を発行したイシュアに関連付けられるシステムである。
【0066】
S805にて、カード会社システム11は、受信した信用照会電文に含まれる加盟店ID、カード番号及び金額に基づいてオーソリ処理を実行する。S806にて、カード会社システム11は、信用照会結果を決済処理装置10に送信する。決済処理装置10は、信用照会結果に示されるオーソリ処理の結果を決済情報108に格納する。
【0067】
S803~S806の処理は、売上データに含まれる契約番号に関連付けられるそれぞれのカード番号について実行される。
【0068】
S807にて、決済処理装置10は、信用照会結果に基づいて、それぞれの契約番号に対する課金可否の判定結果を示す結果リストを生成する。結果リストは、ある契約番号について課金可能を示し、別の契約番号については課金不可を示してよい。S808にて、決済処理装置10は、結果リストを加盟店システム13に送信する。
【0069】
S809にて、加盟店システム13は、結果リストを受信し、そのディスプレイに表示し、及び/または印刷手段を介して印刷する。加盟店では、結果リストに課金不可と示されている加盟店顧客に対して解約などの手段を講じ得る。
【0070】
S810にて、決済処理装置10は、結果リストにより課金可能と示されている、それぞれの契約番号に関連付けられるカード番号を預り課金情報106から取得し、当該カード番号に基づいて売上電文を生成する。売上電文は、加盟店ID、対象年月日、カード番号、課金額の情報を含む。S811にて、決済処理装置10は、売上電文のカード番号の所定の桁数の数値情報に基づいて、売上電文を送信すべきカード会社システム11を識別し、生成した売上電文をカード会社システム11に送信し、売上電文を送付済であることを売上登録フラグとして決済情報108に格納する。
【0071】
S812にて、カード会社システム11は、売上電文に基づいてそれぞれのカード番号に対して売上計上を実行し、その後、それぞれのカード番号に対して予め定められた決済手段(例えば、加盟店顧客の銀行口座)に対して請求処理を実行する。
【0072】
S813にて、決済処理装置10は、当該月のサブスクリプションサービスの利用に対する加盟店向けの精算処理を実行し、請求データを生成する。S814にて、決済処理装置10は、請求データを加盟店システム13に送信する。
【0073】
S815にて、加盟店システム13は、受信した請求データに基づいて任意の手段(例えば、銀行振込、口座引落など)で支払処理を実行する。
【0074】
以上、例示的な実施形態を参照しながら本発明の原理を説明したが、本発明の要旨を逸脱することなく、構成及び細部において変更する様々な実施形態を実現可能であることを当業者は理解するだろう。すなわち、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。
【符号の説明】
【0075】
10 決済処理装置
11 カード会社システム
12 加盟店決済端末
13 加盟店システム
101 制御部
102 主記憶部
103 補助記憶部
104 IF部
105 出力部
106 預り課金情報
107 チェックリスト
108 決済情報
【要約】
【課題】対面型サービスを提供する加盟店が専用のWebサイトやアプリを作成して会員管理の仕組みを用意することなく、サブスクリプションサービスを実施する。
【解決手段】決済処理装置は、有効性チェック依頼電文に基づいて信用照会電文を生成し、信用照会電文に対する信用照会結果が取引承認を示す場合、取引承認に関連付けられるカード番号及び契約番号を格納する。決済処理装置は、加盟店に関連付けられる売上データを受信することと、売上データに含まれる契約番号に基づいてカード番号を読み出して、読み出したカード番号と、売上データに含まれる加盟店識別子、課金額とに基づいて信用照会電文を生成することと、信用照会電文に対する信用照会結果に基づいて、契約番号対する課金可否を判定することと、課金可と判定された契約番号にカード番号を取得して、カード番号に基づいて売上電文を生成する。
【選択図】
図8