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特許7553683情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
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  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/62 20130101AFI20240910BHJP
【FI】
G06F21/62
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023192500
(22)【出願日】2023-11-10
【審査請求日】2024-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】500147023
【氏名又は名称】デジタルアーツ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】道具 登志夫
(72)【発明者】
【氏名】竹内 賢太郎
【審査官】▲柳▼谷 侑
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-171523(JP,A)
【文献】特許第4875766(JP,B1)
【文献】特開2007-065787(JP,A)
【文献】特開2012-208583(JP,A)
【文献】特開2008-130046(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113411253(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファイルを受け付けるファイル受付部と、
前記ファイルの閲覧ユーザを設定する閲覧権限設定部と、
前記ファイルの送受信にかかるユーザ情報に基づく検査条件を設定する検査条件設定部と、
前記ファイルの送受信ユーザの情報を含む履歴情報を取得する送受信履歴取得部と、
受け付けたファイルの前記履歴情報と前記検査条件とを照合して、前記閲覧ユーザに対する前記ファイルの転送の可否を決定するファイル検査部と、を備えて、
前記検査条件設定部は、前記ファイルの送受信にかかるユーザ情報に対応して前記ファイルの重要レベルを検査条件として設定し、
前記ファイル検査部は、受け付けたファイルの前記履歴情報と前記検査条件と照合し、前記ファイルの重要レベルを求めて、当該重要レベルに基づいて前記閲覧ユーザに対する前記ファイルの転送の可否を決定する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記ファイル検査部は、受け付けたファイルの前記履歴情報が前記検査条件に一致するときに、前記閲覧ユーザに対する前記ファイルの転送を保留する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ファイル検査部は、前記閲覧ユーザに対する前記ファイルの転送を承認する場合、前記ファイルに対するアクセス情報を前記閲覧ユーザに送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ファイル検査部においてファイルの転送が保留された場合、予め設定された承認者から前記ファイルの転送を承認する承認情報を受け付けたときに、前記ファイルに対するアクセス情報を設定する承認部を、
さらに備えることを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
ファイルを受け付けるステップと、
前記ファイルの閲覧ユーザを設定するステップと、
前記ファイルの送受信にかかるユーザ情報に基づく検査条件を設定するステップと、
前記ファイルの送受信ユーザの情報を含む履歴情報を取得するステップと、
受け付けたファイルの前記履歴情報と前記検査条件とを照合して、前記閲覧ユーザに対する前記ファイルの転送の可否を決定するステップと、
前記ファイルの送受信にかかるユーザ情報に対応して前記ファイルの重要レベルを検査条件として設定するステップと、
受け付けたファイルの前記履歴情報と前記検査条件と照合し、前記ファイルの重要レベルを求めて、当該重要レベルに基づいて前記閲覧ユーザに対する前記ファイルの転送の可否を決定するステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
コンピュータを、
ファイルを受け付ける機能、
前記ファイルの閲覧ユーザを設定する機能、
前記ファイルの送受信にかかるユーザ情報に基づく検査条件を設定する機能、
前記ファイルの送受信ユーザの情報を含む履歴情報を取得する機能、
受け付けたファイルの前記履歴情報と前記検査条件とを照合して、前記閲覧ユーザに対する前記ファイルの転送の可否を決定する機能、
前記ファイルの送受信にかかるユーザ情報に対応して前記ファイルの重要レベルを検査条件として設定する機能、
受け付けたファイルの前記履歴情報と前記検査条件と照合し、前記ファイルの重要レベルを求めて、当該重要レベルに基づいて前記閲覧ユーザに対する前記ファイルの転送の可否を決定する機能、
として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子ファイルを相手に送信したい場合、パスワード付きZIPファイルを電子メールに添付して送信し、パスワードを別のメールで再送する、いわゆるPPAPによるファイルの転送方法が広く普及してきた。
【0003】
しかし、PPAPによるファイル転送方法は、パスワードを誤った相手に誤送信してしまう場合や悪意の第三者に盗聴されるリスク等、セキュリティ上の課題があるため、より安全なファイルの転送方法が検討されている。例えば、電子ファイルをクラウド上の共有サーバに保存し、当該共有サーバ内のファイルへのアクセス情報を送信者に送ることでファイル転送を可能にする方法がある。
【0004】
クラウド上の共有サーバを用いてファイル転送を行う方法は、ファイルの送信者及びその閲覧者にとって利便性が高いものの、共有をうけるべき正しい相手に安全に転送する必要があり、例えば組織内部の人間が悪意に利用した場合には、組織内の重要情報が容易に外部に漏えいしてしまうおそれがあった。
【0005】
従来では、機密情報に関連するようなワード(機密ワード)を事前に登録しておき、ファイルが組織外部に送信される際、当該ファイルに機密ワードが含まれているかを判定し、重要情報を含むファイルの外部転送を監視する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-021477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
予め登録した機密ワードを用いてファイルの機密度を判定し、重要ファイルの外部転送を監視する方法は、重要ファイルの外部漏えいの防止に効果があるものの、登録した機密ワードを含まない場合でも機密情報を含む場合もあり、また機密ワードを含む場合であっても転送可能なファイルもあり、機密情報に関するワードの定義が難しい場合がある。また、組織内部の人間が、ファイルの内容を一見重要情報が含まれないように書き換えて外部への転送を悪意に試みた場合には、ファイルの漏えいを防止できないおそれもある。
【0008】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、組織内の重要ファイルを簡易に検知して、重要情報の漏えいを防止できる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態に係る情報処理装置は、ファイルを受け付けるファイル受付部と、前記ファイルの閲覧ユーザを設定する閲覧権限設定部と、前記ファイルの送受信にかかるユーザ情報に基づく検査条件を設定する検査条件設定部と、前記ファイルの送受信ユーザの情報を含む履歴情報を取得する送受信履歴取得部と、受け付けたファイルの前記履歴情報と前記検査条件とを照合して、前記閲覧ユーザに対する前記ファイルの転送の可否を決定するファイル検査部と、を備えて、前記検査条件設定部は、前記ファイルの送受信にかかるユーザ情報に対応して前記ファイルの重要レベルを検査条件として設定し、前記ファイル検査部は、受け付けたファイルの前記履歴情報と前記検査条件と照合し、前記ファイルの重要レベルを求めて、当該重要レベルに基づいて前記閲覧ユーザに対する前記ファイルの転送の可否を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態により、組織内の重要ファイルを簡易に検知して、重要情報の漏えいを防止できる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係るファイル転送システムの構成の一例を示す構成図。
図2】ファイルの閲覧ユーザを設定する設定画面の一例を示す説明図。
図3】(A)組織内のユーザを分類したグループを示す説明図、(B)ユーザによりアップロードされるファイルの検査条件を示す説明図。
図4】転送ファイルの転送状態の一覧を示す管理画面の一例を示す説明図。
図5】本実施形態に係る情報処理方法の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係るファイル転送システム100の構成の一例を示す図である。
【0013】
まず、全体の構成について説明する。
ファイル転送システム100は、情報処理装置10と、送信者端末20と、閲覧者端末30と、承認者端末50と、から構成されている。
【0014】
情報処理装置10は、ユーザの送信者端末20からファイル及びそのファイルの閲覧者情報を受け付けて、当該ファイルの検査を行い、指定された閲覧者に対して転送可能なファイルの場合には、当該ファイルにアクセスするためのアクセス情報を設定するサーバである。ここで、「転送」とは、対象のファイルが閲覧可能になる状態を意味しており、情報処理装置10に保存されたファイルへのアクセス情報を閲覧者に共有し、アクセス情報を介してファイルを閲覧可能な状態にすることも含まれる。
【0015】
情報処理装置10は、企業や団体等の組織の内部ネットワークに配置されてもよいし、外部ネットワーク上に配置されてもよい。
【0016】
また、情報処理装置10は、組織内部のユーザがファイルを送受信するシステム、例えばメールシステムやチャットシステムと通信可能に構成されており、ファイルが送受信されるユーザ間での電子メールやチャットの記録を取得可能に構成される。
【0017】
送信者端末20は、企業や団体等の組織内部のユーザが有する端末であり、PC、スマホ、タブレット端末等である。送信者端末20は、情報処理装置10とネットワークを介して通信可能であり、ファイルを他のユーザに転送する際に情報処理装置10にファイルをアップロードする。送信者端末20は、情報処理装置10にファイルをアップロードする際に、ファイルの閲覧許可者等に関する情報も併せて送信する。
【0018】
閲覧者端末30は、送信者端末20のユーザからファイル転送を受けるユーザが有する端末である。閲覧者端末30は、ファイル転送を受ける組織外部のユーザが有する端末でもよいし、組織内部のユーザが有する端末であってもよい。閲覧者端末30は、情報処理装置10とネットワークを介して通信可能であり、情報処理装置10により設定されたファイルのアクセス情報を介して当該ファイルの閲覧を行う。
【0019】
承認者端末50は、送信者端末20のユーザが指定した閲覧ユーザへのファイル転送が保留された場合に、当該閲覧ユーザへの転送の可否を判断するユーザの端末である。承認者端末50は、情報処理装置10とネットワークを介して通信可能である。
【0020】
本実施形態に係る情報処理装置10の具体的な構成について説明する。
実施形態に係る情報処理装置10は、ファイルの送受信にかかるユーザ情報に基づく検査条件を予め設定しておき、送信者端末20から受け付けたファイルの送受信履歴と検査条件とを照合して、指定された閲覧ユーザに対する前記ファイルの転送の可否を決定するものである。
【0021】
情報処理装置10は、ファイル受付部11と、閲覧権限設定部12と、検査条件設定部13と、送受信履歴取得部14と、ファイル検査部15と、承認部16と、ユーザ認証部17と、を備えている。
【0022】
なお、情報処理装置10を構成する各ユニットの機能は、所定のプログラムコードを、プロセッサを用いて実行することによって実現しても良く、このようなソフトウェア処理に限らず、例えば、ASIC等を用いたハードウェア処理で実現してもよいし、ソフトウェア処理とハードウェア処理とを組み合わせて実現してもよい。
【0023】
ファイル受付部11は、送信者端末20からファイルを受け付ける。ファイル受付部11は、ファイルを受け付ける際に、送信者端末20のユーザを識別する情報(ユーザのメールアドレス、ユーザID等)を受信する。なお、ファイル受付部11は、ファイル等の情報を、例えば送信者端末20内のWebブラウザを介して受け付けて保存する。
【0024】
さらに、閲覧権限設定部12は、ファイルを受け付ける際に、当該ファイルに対する閲覧ユーザ等の権限情報を送信者端末20のユーザから受け付けて、当該ファイルに関連付けて設定する。権限情報には、ファイルの閲覧を許可するユーザのメールアドレスやファイルを操作する際の各種制御動作(例えば、上書き保存、印刷、コピー・ペースト等)の制限に関する制限情報が含まれる。また、権限情報として、閲覧ユーザがファイルにアクセスする際に、閲覧またはダウンロードを許可する閲覧者端末30の位置情報が指定されてもよい。位置情報は、所定の位置範囲(例えば基準の位置から周囲10m)で指定してもよい。また、権限情報として、閲覧ユーザがファイルにアクセスする際に、閲覧またはダウンロードを許可する閲覧者端末30のアプリケーションを指定してもよい。
【0025】
図2は、ファイルの閲覧ユーザを設定する設定画面の一例を示す説明図である。
図2では、送信者端末20のユーザ:tokkyo@xxx.co.jpが、ファイル:file001を情報処理装置10にアップロードしており、閲覧許可者として送信者とは異なる組織のユーザ:yamada@yyy.co.jpとユーザ(メーリングリスト):keiri_group@yyy.co.jpが指定されている。file001の閲覧時の制限動作として、印刷、コピー・ペーストが許可されている。また、ファイルを転送する目的の記入を求める欄を設けてもよい。
【0026】
検査条件設定部13は、ファイルの送受信にかかるユーザ情報に基づく検査条件を設定する。検査条件は、閲覧許可者に設定されたユーザに対してファイルの転送を許可するか否かを判断するための条件であり、転送にかかるファイルについて過去に送受信したユーザ情報(メールアドレス)に基づく条件が設定される。例えば、特定のユーザ間で送受信されたファイルか否かが条件として設定される。なお、ユーザ情報は、単一のユーザのメールアドレスで設定してもよいし、複数のユーザをまとめたグループ単位で設定してもよい。
【0027】
また、検査条件設定部13は、ファイルの送受信にかかるユーザ情報に対応してファイルの重要レベルを検査条件として設定してもよい。具体的には、特定のユーザ間(例えば組織内の役員のユーザ間)で送受信されたファイルについて重要レベル:高に設定する。重要レベルについては、数値によりレベルの高低を設定してもよい。また、検査条件に応じてファイルの転送を保留または不可にするかを設定してもよい。
【0028】
図3(A)は、組織内のユーザを分類したグループを示す説明図である。
組織内のユーザについて、役職、所属等の属性に応じてグループ分けした例を示している。組織の役員、管理職、設計部、経理部等の組織の重要情報を扱うグループについて、各グループに属するユーザが設定されている。また、グループについて優先度を設定しておき、複数のグループにおいて重複して属するユーザについては、優先度の高いグループが適用されるようにしてもよい。
【0029】
図3(B)は、送信者端末20のユーザにより情報処理装置10にアップロードされるファイルの検査条件を示す説明図である。
【0030】
ファイルについて過去に送受信したユーザ情報(メールアドレス)に基づく条件が設定されており、例えば検査条件ID:001として、ファイルについて役員ユーザを含んで送受信されたか否かが条件として設定されている。この場合は、転送対象となるファイルの過去の送受信において、役員ユーザであるyoshida@xxx.co.jpまたはmayamada@xxx.co.jpが送受信者として含まれている場合に条件成立となる。また、検査条件ID:002として、ファイルについて設計部グループを含んで送受信されたか否かが条件として設定されている。この場合は、転送対象となるファイルの過去の送受信において、設計グループに属するユーザが送受信者として含まれている場合に条件成立となる。また、検査条件ID:003として、ファイルについて管理職ユーザのみで送受信されたか否かが条件として設定されている。この場合は、転送対象となるファイルの過去の送受信において、管理職ユーザに属するユーザのみが送受信者の場合に条件成立となる。検査条件については、特定のユーザ間で送受信されたか否かを条件としてもよい。
【0031】
ユーザ情報(メールアドレス)に基づく各条件に対応付けて重要レベルが設定されている。図3(B)では、重要レベルを1から5の基準で示しており、重要レベル5が最も高い重要度を示している。検査条件ID:001については、役員ユーザが過去に送受信したファイルのため、組織内での重要度が高いとして重要レベル5に設定されている。他の条件についても、ユーザまたはグループにおいて扱う重要情報の度合いに応じてそれぞれ重要レベルが設定されている。
【0032】
図1に戻って説明を続ける。
送受信履歴取得部14は、ファイルの送受信ユーザの情報を含む履歴情報を取得する。履歴情報とは、ファイルについてどのようなユーザ(またはグループ)の間でやりとりされてきたか示す情報であり、具体的には、送信者端末20からアップロードされたファイルについて、過去に送受信したユーザ情報(メールアドレス)、送信日時等が履歴情報として取得される。送受信履歴取得部14は、組織内のユーザがファイルを送受信可能なシステム(メールシステムやチャットシステム等)からファイルの送受信履歴を取得する。メールシステムやチャットシステム等からファイルの履歴情報を随時取得する構成にしてもよい。
【0033】
ファイル検査部15は、受け付けたファイルの履歴情報と検査条件とを照合して、閲覧ユーザに対するファイルの転送の可否を決定する。具体的には、転送対象となるファイルの送受信ユーザの履歴情報(ファイルを過去に送受信したユーザの記録)が、ファイルに対してユーザ情報に基づき設定された検査条件(ファイルがどのユーザ間でやりとりされたかの条件)に一致するかを判定する。そして、履歴情報が検査条件に一致するときに、送信者により指定された閲覧ユーザに対するファイルの転送を保留する。また、検査条件に一致するときに、閲覧ユーザに対するファイルの転送を不可に設定してもよい。このように、転送されるファイルの過去の送受信者が、検査条件に一致する場合に、当該ファイルは重要であると判定して、閲覧ユーザへの転送を保留または不可にする。
【0034】
一方で、検査条件に一致しないときは、閲覧ユーザに対するファイルの転送を承認して、ファイルに閲覧するためのアクセス情報(アクセス先URL等)を設定する。ファイルに閲覧するためのアクセス情報が設定された場合は、送信者端末20のユーザからアクセス情報がメールやチャット介して送信されてもよいし、情報処理装置10から閲覧者端末30のユーザに自動で送信される構成にしてもよい。
【0035】
さらに、検査条件に重要レベルが設定されている場合には、ファイル検査部15は、転送対象となるファイルの過去の送受信ユーザの履歴情報が、ユーザ情報に基づき設定された検査条件に一致するかを判定し、一致する検査条件の重要レベルを求める。そして、該当する重要レベルに基づいて閲覧ユーザに対するファイルの転送を保留または不可にするかを決定してもよい。例えば、重要レベル5の場合には、ファイルの転送を不可にして、重要レベル5未満の場合はファイルの転送を保留にする。
【0036】
承認部16は、ファイル検査部15においてファイルの転送が保留された場合、予め設定された承認者の承認者端末50に通知する。そして、承認者端末50からファイルの転送を承認する承認情報を受け付けたときに、ファイルにアクセスするためのアクセス情報を設定する。承認情報を取得できない場合は、ファイルの転送を不可とする。なお、承認者は、情報処理装置10の管理者や上位職のユーザ等が設定される。
【0037】
図4は、ユーザの転送ファイルの転送状態の一覧を示す管理画面の一例を示す説明図。
【0038】
図4は、送信者tokkyo@xxx.co.jpにおけるファイルの転送状態を示す一覧画面であり、転送対象となるファイルのファイル名、アップロードされた申請日時、設定した閲覧許可者、ファイルが該当した検査条件、検査条件に基づくファイルの重要レベル、承認ステータス、ファイルの閲覧用アクセスURLを確認することができる。
【0039】
例えば、file001については、検査条件ID:001が該当して、保留状態となっている。file008については、検査条件ID:003が該当しているが、承認者により承認されて承認状態となっており、閲覧用のアクセス先URLが設定されている。
【0040】
ユーザ認証部17は、閲覧者端末30からアクセス情報を介してファイルにアクセスがあった際に、ユーザの認証を行う。具体的には、ファイルへのアクセスがあった際、メールアドレスの入力を閲覧者端末30のユーザに求める。そして、閲覧者端末30から受け付けたメールアドレスに対してパスワード(例えばワンタイムパスワード)を送信し、閲覧者端末30のユーザから入力されたパスワードが一致した場合に、正当な閲覧ユーザと判断して、閲覧者端末30で閲覧可能なようにファイルのデータを送信する。閲覧ユーザは、閲覧者端末30においてファイルの閲覧やダウンロードを行う。
【0041】
なお、ユーザ認証部17は、閲覧ユーザへの権限情報として、ファイルへのアクセスを許可する閲覧者端末30の位置情報またはアプリケーションが指定されている場合には、指定された位置情報またはアプリケーションによる閲覧者端末30のアクセスであったときに、閲覧ユーザが閲覧可能なようにファイルのデータを送信する。
【0042】
続いて、本実施形態に係る情報処理装置10の動作について説明する。
図5は、本実施形態に係る情報処理方法のフローチャートである(適宜、図1参照)。
【0043】
ファイル受付部11は、送信者端末20からファイルを受け付ける(S10)。また、送信者端末20のユーザを識別する情報(ユーザのメールアドレス、ユーザID等)を受信する。
【0044】
閲覧権限設定部12は、ファイルを受け付ける際、当該ファイルに対する閲覧ユーザ等の権限情報を送信者端末20のユーザから受け付けて、当該ファイルに関連付けて設定する(S11)。
【0045】
送受信履歴取得部14は、ファイルの送受信ユーザの情報を含む履歴情報を取得する(S12)。
【0046】
ファイル検査部15は、受け付けたファイルの履歴情報が検査条件に一致するときに、閲覧ユーザに対するファイルの転送を保留する(S13:YES)。一方、ファイル検査部15は、受け付けたファイルの履歴情報が検査条件に一致しない場合、ファイル閲覧用のアクセス情報(アクセス先URL)を設定する(S13:NO、S15、終了)。
【0047】
ファイルの転送が保留されたとき、承認部16は、承認者端末50より転送の承認情報を受け付けた場合、ファイル閲覧用のアクセス情報を設定する(S14:YES、S15)。承認部16は、承認者端末50より転送の承認情報を受け付けない場合には、ファイルの転送を不可とする(S14:NO、終了)。
【0048】
このように、本実施形態に係る情報処理装置は、ファイルの送受信にかかるユーザ情報に基づく検査条件を予め設定しておき、受け付けたファイルの送受信履歴と検査条件とを照合し、指定された閲覧ユーザに対する前記ファイルの転送の可否を決定することにより、組織内の重要ファイルを簡易に検知して、重要情報の漏えいを防止できる。
【0049】
なお、情報処理装置10で実行されるプログラムは、ROM等の記憶回路に予め組み込んで提供される。もしくは、このプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD、フレキシブルディスク等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供するようにしてもよい。また、情報処理装置10で実行されるプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせて提供するようにしてもよい。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
10…情報処理装置、11…ファイル受付部、12…閲覧権限設定部、13…検査条件設定部、14…送受信履歴取得部、15…ファイル検査部、16…承認部、17…ユーザ認証部、20…送信者端末、30…閲覧者端末、50…承認者端末、100…ファイル転送システム。
【要約】
【課題】組織内の重要ファイルを簡易に検知して、重要情報の漏えいを防止できる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置10は、ファイルを受け付けるファイル受付部11と、ファイルの閲覧ユーザを設定する閲覧権限設定部12と、ファイルの送受信にかかるユーザ情報に基づく検査条件を設定する検査条件設定部13と、ファイルの送受信ユーザの情報を含む履歴情報を取得する送受信履歴取得部14と、受け付けたファイルの履歴情報と検査条件とを照合して、閲覧ユーザに対するファイルの転送の可否を決定するファイル検査部15と、を備える。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
図5