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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】免疫調節剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20240910BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20240910BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240910BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240910BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240910BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240910BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
C07D401/14 CSP
A61K31/4439
A61P29/00
A61P31/00
A61P35/00
A61P37/02
A61P43/00 111
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023500107
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 CN2021087548
(87)【国際公開番号】W WO2022007461
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-03-03
(31)【優先権主張番号】202010611350.7
(32)【優先日】2020-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010658232.1
(32)【優先日】2020-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519448016
【氏名又は名称】成都先導薬物開発股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HITGEN LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 6, No.8, Huigu 1st East Road, Tianfu International Bio-Town, Shuangliu District Chengdu, Sichuan 610200 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】李進
(72)【発明者】
【氏名】張登友
(72)【発明者】
【氏名】白暁光
(72)【発明者】
【氏名】周賢思
(72)【発明者】
【氏名】洪新福
(72)【発明者】
【氏名】徐凱
(72)【発明者】
【氏名】李清然
(72)【発明者】
【氏名】陳欣
(72)【発明者】
【氏名】蘭燕
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/127685(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/120141(WO,A1)
【文献】特表2023-530268(JP,A)
【文献】特表2023-527827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式で表される化合物、その重水素化化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩。
【化1】
【請求項2】
IL-17A媒介疾患の治療薬の調製における、請求項に記載の化合物、その重水素化化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩使用。
【請求項3】
前記IL-17A媒介疾患は、炎症、自己免疫疾患、感染性疾患、がん、前がん症候群に関連する疾患のうちの1種又は複数種であることを特徴とする、請求項に記載の使用。
【請求項4】
請求項に記載の化合物、その立体異性体、その重水素化化合物又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される補助材料とで調製された製剤であることを特徴とする、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫調節剤及びその医薬品調製における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
IL-17(インターロイキン-17)は、他の炎症性サイトカイン、ケモカインと接着因子の誘導において作用する炎症性サイトカインである。IL-17 ファミリーは、急性及び慢性の炎症反応に関与するサイトカインで構成され、IL-17A(CTLA-8)、IL-17B、IL-17C、IL-17D、IL-17E(IL-25)及びIL-17Fを含む。IL-17Aは、TH17細胞で発現され、炎症性疾患及び自己免疫疾患の病理学的発生に関与する。ヒトIL-17Aは、分子量約17,000ダルトンの糖タンパク質である。IL-17Aは、IL-17受容体複合体(IL-17RA及びIL-17RC)を介してシグナルを細胞内に伝送する(Wright,et al. Journal of immunology,2008,181:2799-2805)。IL-17Aの主な機能は、炎症誘発性及び好中球遊走サイトカイン及びケモカイン(IL-6、G-CSF、TNF-α、IL-1、CXCL1、CCL2、CXCL2)のアップレギュレーションにより局所組織の炎症を調整し、マトリックスメタロプロテイナーゼにより活性化T細胞が細胞外マトリックスを通過することを可能にすることである。研究により、IL-17Aは重度の喘息及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)で重要な役割を果たし、これらの患者は現在利用可能な薬に応答しないか、応答が不十分であることがよくある(Al-Ramli et al. J Allergy Clin Immunol,2009,123:1185-1187)。IL-17Aレベルのアップレギュレーションは、関節リウマチ(RA)、骨侵食、腹腔内膿瘍、炎症性腸疾患、同種異体移植片拒絶反応、乾癬、アテローム性動脈硬化症、喘息、多発性硬化症などの多くの疾患に関わっている(Gaffen,SL et al. Arthritis Research & Therapy,2004,6:240-247)。
【0003】
IL-17AとIL-17RAを標的とすることは、IL-17A媒介自己免疫炎症性疾患を治療するための効果的な方法である。IL-17A中和抗体により動物の自己免疫性脳脊髄炎を治療した結果、疾患の発生率と重症度が低下した(Komiyama Y et al. J. Immunol.,2006,177:566-573)。既存のIL-17A抗体の臨床試験は、IL-7A媒介炎症性疾患(喘息、乾癬、関節リウマチ、強直性脊椎炎及び多発性硬化症を含む)において良好な結果を示した。IL-17A抗体(NovartisのCosentyx/secukinumab)は、2015年1月に乾癬の治療薬としてFDAに承認された。
【0004】
数多くのIL-17A抗体が存在するが、経口バイオアベイラビリティを有するIL-17の小分子特異的阻害剤に関する研究はほとんどない。抗体の生産コスト及び投与経路の制限を考慮すると、IL-17A小分子阻害薬の開発は、優れた研究開発の見通しを有する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、式Iで表される化合物、その重水素化化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
式中、Rは、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員ヘテロシクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香環)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香族ヘテロ環)、-C0~2アルキレン-C(O)R11、-C0~2アルキレン-C(O)NR1112、-C0~2アルキレン-C(O)OR11、-C0~2アルキレン-S(O)R11、-C0~2アルキレン-S(O)NR1112、-C0~2アルキレン-S(O)OR11、-C0~2アルキレン-S(O)11、-C0~2アルキレン-S(O)NR1112、-C0~2アルキレン-S(O)OR11、-C0~2アルキレン-P(O)R1112、-C0~2アルキレン-P(O)(OR11)R12、-C0~2アルキレン-P(O)(OR11)(OR12)からなる群より選択され、ここで、アルキレン、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環、芳香族ヘテロ環は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したR1aで置換されていてもよい。
11、R12は、それぞれ独立して水素、C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルキル、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員ヘテロシクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香環)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香族ヘテロ環)からなる群より選択され、ここで、アルキル、アルキレン、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環、芳香族ヘテロ環は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したR1aで置換されていてもよい。
各R1aは、それぞれ独立して水素、ハロゲン、シアノ、=O、ニトロ、-C1~6アルキル、ハロゲン置換-C1~6アルキル、-C0~2アルキレン-OR1b、-C0~2アルキレン-C(O)R1b、-C0~2アルキレン-C(O)NR1b1c、-C0~2アルキレン-NR1b1c、-C0~2アルキレン-NR1bC(O)R1c、-C0~4アルキレン-S(O)1b1c、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員ヘテロシクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香環)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香族ヘテロ環) からなる群より選択され、ここで、アルキル、アルキレン、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環、芳香族ヘテロ環は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したR1bで置換されていてもよい。
1b、R1cは、それぞれ独立して水素、C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルキル、ハロゲン、シアノ、=O、ニトロ、-OH、-O(C1~6アルキル)、-NH、-NH(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)(C1~6アルキル) からなる群より選択される。
、Rは、それぞれ独立して水素、-C1~6アルキル、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル) からなる群より選択される。
A環は、3~10員シクロアルキル、3~10員ヘテロシクロアルキル、5~10員芳香環、5~10員芳香族ヘテロ環、5~12員スピロ環、5~12員ヘテロスピロ環、5~12員橋かけ環、5~12員橋かけヘテロ環からなる群より選択され、ここで、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環、芳香族ヘテロ環、スピロ環、ヘテロスピロ環、橋かけ環、橋かけヘテロ環は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したRA1で置換されていてもよい。
各RA1は、それぞれ独立して水素、C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルキル、ハロゲン、シアノ、=O、ニトロ、-OH、-O(C1~6アルキル)、-NH、-NH(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)(C1~6アルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員ヘテロシクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香環)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香族ヘテロ環) からなる群より選択される。
B環は、3~10員シクロアルキル、3~10員ヘテロシクロアルキル、5~10員芳香環、5~10員芳香族ヘテロ環、5~12員スピロ環、5~12員ヘテロスピロ環、5~12員橋かけ環、5~12員橋かけヘテロ環からなる群より選択され、ここで、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環、芳香族ヘテロ環、スピロ環、ヘテロスピロ環、橋かけ環、橋かけヘテロ環は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したRB1で置換されていてもよい。
各RB1は、それぞれ独立して水素、C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルキル、ハロゲン、シアノ、=O、ニトロ、-OH、-O(C1~6アルキル)、-NH、-NH(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)(C1~6アルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員ヘテロシクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香環)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香族ヘテロ環) からなる群より選択される。
C環は、3~10員シクロアルキル、3~10員ヘテロシクロアルキル、5~10員芳香環、5~10員芳香族ヘテロ環、5~12員スピロ環、5~12員ヘテロスピロ環、5~12員橋かけ環、5~12員橋かけヘテロ環からなる群より選択され、ここで、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環、芳香族ヘテロ環、スピロ環、ヘテロスピロ環、橋かけ環、橋かけヘテロ環さらに1つ、2つ、3つ又は4つの独立したRC1で置換されていてもよい。
各RC1は、それぞれ独立して水素、ハロゲン、シアノ、=O、ニトロ、-C1~6アルキル、ハロゲン置換-C1~6アルキル、-C0~2アルキレン-ORC2、-C0~2アルキレン-C(O)RC2、-C0~4アルキレン-C(O)NRC2C3、-C0~2アルキレン-NRC2C3、-C0~2アルキレン-NRC2C(O)RC3 、3~10員シクロアルキル、3~10員ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され、ここで、アルキル、アルキレンさらに1つ、2つ又は3つの独立したRC4で置換されていてもよい。
C2、RC3は、それぞれ独立して水素、-C1~6アルキル、-C0~2アルキレン-ORC4、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員ヘテロシクロアルキル) からなる群より選択され、ここで、アルキル、アルキレン、シクロアルキルさらに1つ、2つ又は3つの独立したRC4で置換されていてもよい。
各RC4は、それぞれ独立して水素、C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルキル、ハロゲン、シアノ、=O、ニトロ、-OH、-O(C1~6アルキル)、-NH、-NH(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)(C1~6アルキル) からなる群より選択され、或いは
2つのRC1が同一の原子に結合された場合、2つのRC1は、結合して3~10員シクロアルキル、3~10員ヘテロシクロアルキルを形成してもよい。
Lは、O、S、CRD1D1、NR、NRC(O)、NRS(O)、NRS(O)、C(O)NR、C(O)、S(O)NR、S(O)NRからなる群より選択され、又は存在しない。
は、水素、-C1~6アルキル、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル) からなる群より選択される。
D環は、3~10員シクロアルキル、3~10員ヘテロシクロアルキル、5~10員芳香環、5~10員芳香族ヘテロ環、5~12員スピロ環、5~12員ヘテロスピロ環、5~12員橋かけ環、5~12員橋かけヘテロ環からなる群より選択され、又は存在しない。ここで、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環、芳香族ヘテロ環、スピロ環、ヘテロスピロ環、橋かけ環、橋かけヘテロ環は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したRD1で置換されていてもよい。
Lが存在しないかつD環が存在する場合、C環とD環は直接結合する。L及びD環がいずれも存在しない場合、-L-Dでの置換は存在しない。
各RD1は、それぞれ独立して水素、ハロゲン、シアノ、=O、ニトロ、-C1~6アルキル、ハロゲン置換-C1~6アルキル、-C0~2アルキレン-ORD2、-C0~2アルキレン-C(O)RD2、-C0~2アルキレン-C(O)NRD2D3、-C0~2アルキレン-NRD2D3、-C0~2アルキレン-NRD2C(O)RD3、-C0~4アルキレン-OP(O)(OH)、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員ヘテロシクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香環)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香族ヘテロ環) からなる群より選択され、ここで、アルキル、アルキレン、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環、芳香族ヘテロ環は、さらに1つ、2つ又は3つのRD4で置換されていてもよい。
D2、R D3は、それぞれ独立して水素、C1~6アルキル、-C0~2アルキレン-ORD4、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員ヘテロシクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香環)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香族ヘテロ環) からなる群より選択され、ここで、アルキル、アルキレン、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環、芳香族ヘテロ環は、さらに1つ、2つ又は3つのRD4で置換されていてもよい。
各RD4は、それぞれ独立して水素、C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルキル、ハロゲン、シアノ、=O、ニトロ、-OH、-O(C1~6アルキル)、-NH、-NH(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)(C1~6アルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員ヘテロシクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香環)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香族ヘテロ環) からなる群より選択される。
C環がベンゼン環から選択されかつLが存在しない場合、D環は5~6員芳香族ヘテロ環から選択されるものではない。
【0006】
本発明のいくつかの実施形態において、Rは、-C(O)R11から選択され、R11は、5~6員芳香族ヘテロ環から選択され、ここで、芳香族ヘテロ環は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したR1aで置換されていてもよい。各R1aは、それぞれ独立して水素、ハロゲン、シアノ、=O、=S、-C1~6アルキル、ハロゲン置換-C1~6アルキル、-C0~2アルキレン-OR1b、3~6員シクロアルキル、3~6員ヘテロシクロアルキルからなる群より選択される。R1bは、水素、C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルキルからなる群より選択される。
【0007】
本発明のいくつかの実施形態において、Rは、-C(O)R11から選択され、R11は、
からなる群より選択され、ここで、,R11の環は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したR1aで置換されていてもよい。各R1aは、それぞれ独立して水素、ハロゲン、シアノ、-C1~6アルキル、ハロゲン置換-C1~6アルキル、3~6員シクロアルキル、-C0~2アルキレン-OR1bからなる群より選択される。R1bは、水素、C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルキルからなる群より選択される。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態において、Rは、-C(O)R11から選択され、R11は、
からなる群より選択される。
【0009】
さらに、前記Rは、
からなる群より選択される。
【0010】
さらに、A環は、3員シクロアルキル、4員シクロアルキル、5員シクロアルキル、6員シクロアルキル、7員シクロアルキル、8員シクロアルキル、5員芳香族ヘテロ環、5~12員スピロ環、5~12員橋かけ環、
からなる群より選択される。ここで、シクロアルキル、芳香族ヘテロ環、スピロ環、橋かけ環、
は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したRA1で置換されていてもよい。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態において、A環は、
からなる群より選択される。
【0012】
さらに、B環は、3員シクロアルキル、4員シクロアルキル、5員シクロアルキル、6員シクロアルキル、7員シクロアルキル、8員シクロアルキル、5員芳香族ヘテロ環、5~12員スピロ環、5~12員橋かけ環、
からなる群より選択され、ここで、シクロアルキル、芳香族ヘテロ環、スピロ環、橋かけ環、
は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したRB1で置換されていてもよい。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態において、B環は、
からなる群より選択される。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態において、A環は

でありかつB環は

であり、或いはA環は、
でありかつB環は
であり、或いはA環は
でありかつB環は
であり、或いはA環は
でありかつB環は
でありかつB環は
である。
【0015】
さらに、C環は、5~6員芳香族ヘテロ環から選択され、ここで、5~6員芳香族ヘテロ環は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したRC1で置換されていてもよい。
各RC1は、それぞれ独立して水素、ハロゲン、シアノ、=O、ニトロ、-C1~6アルキル、ハロゲン置換-C1~6アルキル、-ORC2、-C(O)RC2、-C(O)NRC2C3、-NRC2C3、-NRC2C(O)RC3 、3~6員シクロアルキル、3~6員ヘテロシクロアルキルからなる群より選択される。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態において、C環は、
からなる群より選択される。
【0017】
さらに、
C環は、
からなる群より選択され、ここで、2つのRC1は結合して3~10員シクロアルキル又は3~10員ヘテロシクロアルキルを形成してもよい。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態において、C環は、

からなる群より選択される。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態において、C環は、
からなる群より選択される。
【0020】
さらに、D環は、5~6員シクロアルキル、5~6員ヘテロシクロアルキル、ベンゼン環、5~6員芳香族ヘテロ環からなる群より選択され、又は存在しない。ここで、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ベンゼン環、芳香族ヘテロ環は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したRD1で置換されていてもよい。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態において、D環は、
からなる群より選択される。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態において、D環は、
からなる群より選択される。
【0023】
さらに、C環は、ベンゼン環である。ここで、ベンゼン環は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したRC1で置換されていてもよい。各RC1は、それぞれ独立して水素、C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルキル、ハロゲン、シアノからなる群より選択される。
Lは、存在しない。
D環は、3~10員シクロアルキル、3~10員ヘテロシクロアルキル、5~10員芳香環、7~10員芳香族ヘテロ環、5~12員スピロ環、5~12員ヘテロスピロ環、5~12員橋かけ環、5~12員橋かけヘテロ環からなる群より選択され、又は存在しない。ここで、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環、芳香族ヘテロ環、スピロ環、ヘテロスピロ環、橋かけ環、橋かけヘテロ環は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したRD1で置換されていてもよい。
【0024】
さらに、前記式Iの化合物は、下記式IIで表される。
式中、Rは、-C(O)R11、-C(O)NR1112、-C(O)OR11、-S(O)R11、-S(O)NR1112、-S(O)OR11、-S(O)11、-S(O)NR1112、-S(O)OR11、-P(O)R1112、-P(O)(OR11)R12、-P(O)(OR11)(OR12) からなる群より選択される。
11、R12は、それぞれ独立して水素、C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルキル、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員ヘテロシクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香環)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香族ヘテロ環) からなる群より選択され、ここで、アルキル、アルキレン、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環、芳香族ヘテロ環は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したR1aで置換されていてもよい。
各R1aは、それぞれ独立して水素、ハロゲン、シアノ、=O、ニトロ、-C1~6アルキル、ハロゲン置換-C1~6アルキル、-C0~2アルキレン-OR1b、-C0~2アルキレン-C(O)R1b、-C0~2アルキレン-C(O)NR1b1c、-C0~2アルキレン-NR1b1c、-C0~2アルキレン-NR1bC(O)R1c、-C0~4アルキレン-S(O)1b1c、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員ヘテロシクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香環)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香族ヘテロ環) からなる群より選択され、ここで、アルキル、アルキレン、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環、芳香族ヘテロ環は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したR1bで置換されていてもよい。
1b、R1cは、それぞれ独立して水素、C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルキル、ハロゲン、シアノ、=O、ニトロ、-OH、-O(C1~6アルキル)、-NH、-NH(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)(C1~6アルキル) からなる群より選択される。
、Rは、それぞれ独立して水素、-C1~6アルキル、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル) からなる群より選択される。
A環は、3~10員シクロアルキル、3~10員ヘテロシクロアルキル、5~10員芳香環、5~10員芳香族ヘテロ環、5~12員スピロ環、5~12員ヘテロスピロ環、5~12員橋かけ環、5~12員橋かけヘテロ環からなる群より選択され、ここで、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環、芳香族ヘテロ環、スピロ環、ヘテロスピロ環、橋かけ環、橋かけヘテロ環は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したRA1で置換されていてもよい。
各RA1は、それぞれ独立して水素、C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルキル、ハロゲン、シアノ、=O、ニトロ、-OH、-O(C1~6アルキル)、-NH、-NH(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)(C1~6アルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員ヘテロシクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香環)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香族ヘテロ環) からなる群より選択される。
B環は、3~10員シクロアルキル、3~10員ヘテロシクロアルキル、5~10員芳香環、5~10員芳香族ヘテロ環、5~12員スピロ環、5~12員ヘテロスピロ環、5~12員橋かけ環、5~12員橋かけヘテロ環からなる群より選択され、ここで、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環、芳香族ヘテロ環、スピロ環、ヘテロスピロ環、橋かけ環、橋かけヘテロ環は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したRB1で置換されていてもよい。
各RB1は、それぞれ独立して水素、C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルキル、ハロゲン、シアノ、=O、ニトロ、-OH、-O(C1~6アルキル)、-NH、-NH(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)(C1~6アルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員ヘテロシクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香環)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香族ヘテロ環) からなる群より選択される。
Cは、5~6員芳香族ヘテロ環からなる群より選択され、ここで、芳香族ヘテロ環さらに1つ、2つ、3つ又は4つの独立したRC1で置換されていてもよい。
各RC1は、それぞれ独立して水素、ハロゲン、シアノ、=O、ニトロ、-C1~6アルキル、ハロゲン置換-C1~6アルキル、-C0~2アルキレン-ORC2、-C0~2アルキレン-C(O)RC2、-C0~2アルキレン-C(O)NRC2C3、-C0~2アルキレン-NRC2C3、-C0~2アルキレン-NRC2C(O)RC3 、3~10員シクロアルキル、3~10員ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され、ここで、アルキル、アルキレンさらに1つ、2つ又は3つの独立したRC4で置換されていてもよい。
C2、RC3は、それぞれ独立して水素、-C1~6アルキル、-C0~2アルキレン-ORC4、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員ヘテロシクロアルキル) からなる群より選択され、ここで、アルキル、アルキレン、シクロアルキルさらに1つ、2つ又は3つの独立したRC4で置換されていてもよい。
各RC4は、それぞれ独立して水素、C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルキル、ハロゲン、シアノ、=O、ニトロ、-OH、-O(C1~6アルキル)、-NH、-NH(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)(C1~6アルキル) からなる群より選択される。
D環は、3~10員シクロアルキル、3~10員ヘテロシクロアルキル、5~10員芳香環、5~10員芳香族ヘテロ環、5~12員スピロ環、5~12員ヘテロスピロ環、5~12員橋かけ環、5~12員橋かけヘテロ環からなる群より選択され、ここで、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環、芳香族ヘテロ環、スピロ環、ヘテロスピロ環、橋かけ環、橋かけヘテロ環は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したRD1で置換されていてもよい。
各RD1は、それぞれ独立して水素、ハロゲン、シアノ、=O、ニトロ、-C1~6アルキル、ハロゲン置換-C1~6アルキル、-C0~2アルキレン-ORD2、-C0~2アルキレン-C(O)RD2、-C0~2アルキレン-C(O)NRD2D3、-C0~2アルキレン-NRD2D3、-C0~2アルキレン-NRD2C(O)RD3、-C0~4アルキレン-OP(O)(OH)、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員ヘテロシクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香環)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香族ヘテロ環) からなる群より選択され、ここで、アルキル、アルキレン、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環、芳香族ヘテロ環は、さらに1つ、2つ又は3つのRD4で置換されていてもよい。
D2、R D3は、それぞれ独立して水素、C1~6アルキル、-C0~2アルキレン-ORD4、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員ヘテロシクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香環)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香族ヘテロ環) からなる群より選択され、ここで、アルキル、アルキレン、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環、芳香族ヘテロ環は、さらに1つ、2つ又は3つのRD4で置換されていてもよい。
各RD4は、それぞれ独立して水素、C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルキル、ハロゲン、シアノ、=O、ニトロ、-OH、-O(C1~6アルキル)、-NH、-NH(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)(C1~6アルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員ヘテロシクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香環)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香族ヘテロ環) からなる群より選択される。
【0025】
さらに、Rは、-C(O)R11から選択され、R11は、
からなる群より選択され、ここで、R11の環は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したR1aで置換されていてもよく、各R1aは、それぞれ独立して水素、ハロゲン、シアノ、-C1~6アルキル、ハロゲン置換-C1~6アルキル、3~6員シクロアルキル、-C0~2アルキレン-OR1bからなる群より選択され、R1bは、水素、C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルキルからなる群より選択され、
、Rは、それぞれ独立して水素、-C1~6アルキルからなる群より選択され、
A環は、
からなる群より選択され、
B環は、
からなる群より選択され、
C環は、
からなる群より選択され、
D環は、
からなる群より選択される。
【0026】
さらに、前記式Iの化合物は、下記式IIIで表される。
式中、Rは、-C(O)R11、-C(O)NR1112、-C(O)OR11、-S(O)R11、-S(O)NR1112、-S(O)OR11、-S(O)11、-S(O)NR1112、-S(O)OR11、-P(O)R1112、-P(O)(OR11)R12、-P(O)(OR11)(OR12) からなる群より選択される。
11、R12は、それぞれ独立して水素、C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルキル、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員ヘテロシクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香環)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香族ヘテロ環) からなる群より選択され、ここで、アルキル、アルキレン、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環、芳香族ヘテロ環は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したR1aで置換されていてもよい。
各R1aは、それぞれ独立して水素、ハロゲン、シアノ、=O、ニトロ、-C1~6アルキル、ハロゲン置換-C1~6アルキル、-C0~2アルキレン-OR1b、-C0~2アルキレン-C(O)R1b、-C0~2アルキレン-C(O)NR1b1c、-C0~2アルキレン-NR1b1c、-C0~2アルキレン-NR1bC(O)R1c、-C0~4アルキレン-S(O)1b1c、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員ヘテロシクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香環)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香族ヘテロ環) からなる群より選択され、ここで、アルキル、アルキレン、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環、芳香族ヘテロ環は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したR1bで置換されていてもよい。
1b、R1cは、それぞれ独立して水素、C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルキル、ハロゲン、シアノ、=O、ニトロ、-OH、-O(C1~6アルキル)、-NH、-NH(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)(C1~6アルキル) からなる群より選択される。
、Rは、それぞれ独立して水素、-C1~6アルキル、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル) からなる群より選択される。
A環は、3~10員シクロアルキル、3~10員ヘテロシクロアルキル、5~10員芳香環、5~10員芳香族ヘテロ環、5~12員スピロ環、5~12員ヘテロスピロ環、5~12員橋かけ環、5~12員橋かけヘテロ環からなる群より選択され、ここで、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環、芳香族ヘテロ環、スピロ環、ヘテロスピロ環、橋かけ環、橋かけヘテロ環は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したRA1で置換されていてもよい。
各RA1は、それぞれ独立して水素、C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルキル、ハロゲン、シアノ、=O、ニトロ、-OH、-O(C1~6アルキル)、-NH、-NH(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)(C1~6アルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員ヘテロシクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香環)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香族ヘテロ環)からなる群より選択される。
B環は、3~10員シクロアルキル、3~10員ヘテロシクロアルキル、5~10員芳香環、5~10員芳香族ヘテロ環、5~12員スピロ環、5~12員ヘテロスピロ環、5~12員橋かけ環、5~12員橋かけヘテロ環からなる群より選択され、ここで、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環、芳香族ヘテロ環、スピロ環、ヘテロスピロ環、橋かけ環、橋かけヘテロ環は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したRB1で置換されていてもよい。
各RB1は、それぞれ独立して水素、C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルキル、ハロゲン、シアノ、=O、ニトロ、-OH、-O(C1~6アルキル)、-NH、-NH(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)(C1~6アルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員ヘテロシクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香環)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香族ヘテロ環)からなる群より選択される。
C環は、6員芳香環、5~6員芳香族ヘテロ環からなる群より選択され、ここで、芳香環、芳香族ヘテロ環さらに1つ、2つ、3つ又は4つの独立したRC1で置換されていてもよい。
各RC1は、それぞれ独立して水素、ハロゲン、シアノ、=O、ニトロ、-C1~6アルキル、ハロゲン置換-C1~6アルキル、-C0~2アルキレン-ORC2、-C0~2アルキレン-C(O)RC2、-C0~2アルキレン-C(O)NRC2C3、-C0~2アルキレン-NRC2C3、-C0~2アルキレン-NRC2C(O)RC3 、3~10員シクロアルキル、3~10員ヘテロシクロアルキルからなる群より選択され、ここで、アルキル、アルキレンさらに1つ、2つ又は3つの独立したRC4で置換されていてもよい。
C2、RC3は、それぞれ独立して水素、-C1~6アルキル、-C0~2アルキレン-ORC4、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員ヘテロシクロアルキル) からなる群より選択され、ここで、アルキル、アルキレン、シクロアルキルさらに1つ、2つ又は3つの独立したRC4で置換されていてもよい。
各RC4は、それぞれ独立して水素、C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルキル、ハロゲン、シアノ、=O、ニトロ、-OH、-O(C1~6アルキル)、-NH、-NH(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)(C1~6アルキル) からなる群より選択される。
D環は、3~10員シクロアルキル、3~10員ヘテロシクロアルキル、5~10員芳香環、5~12員スピロ環、5~12員ヘテロスピロ環、5~12員橋かけ環、5~12員橋かけヘテロ環からなる群より選択され、ここで、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環、芳香族ヘテロ環、スピロ環、ヘテロスピロ環、橋かけ環、橋かけヘテロ環は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したRD1で置換されていてもよい。
各RD1は、それぞれ独立して水素、ハロゲン、シアノ、=O、ニトロ、-C1~6アルキル、ハロゲン置換-C1~6アルキル、-C0~2アルキレン-ORD2、-C0~2アルキレン-C(O)RD2、-C0~2アルキレン-C(O)NRD2D3、-C0~2アルキレン-NRD2D3、-C0~2アルキレン-NRD2C(O)RD3、-C0~4アルキレン-OP(O)(OH)、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員ヘテロシクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香環)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香族ヘテロ環) からなる群より選択され、ここで、アルキル、アルキレン、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環、芳香族ヘテロ環は、さらに1つ、2つ又は3つのRD4で置換されていてもよい。
D2、R D3は、それぞれ独立して水素、C1~6アルキル、-C0~2アルキレン-ORD4、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員ヘテロシクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香環)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香族ヘテロ環) からなる群より選択され、ここで、アルキル、アルキレン、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環、芳香族ヘテロ環は、さらに1つ、2つ又は3つのRD4で置換されていてもよい。
各RD4は、それぞれ独立して水素、C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルキル、ハロゲン、シアノ、=O、ニトロ、-OH、-O(C1~6アルキル)、-NH、-NH(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)(C1~6アルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員ヘテロシクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香環)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香族ヘテロ環)からなる群より選択される。
【0027】
さらに、Rは、-C(O)R11から選択され、R11は、
からなる群より選択され、ここで、R11の環は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したR1aで置換されていてもよく、各R1aは、それぞれ独立して水素、ハロゲン、シアノ、-C1~6アルキル、ハロゲン置換-C1~6アルキル、3~6員シクロアルキル、-C0~2アルキレン-OR1bからなる群より選択され、R1bは、水素、C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルキルからなる群より選択され、
、Rは、それぞれ独立して水素、-C1~6アルキルからなる群より選択され、
A環は、
からなる群より選択され、
B環は、
からなる群より選択され、
C環は、
からなる群より選択され、
D環は、
からなる群より選択される。
【0028】
さらに、前記式Iの化合物は、式IVで表される。
式IV
式中、Rは、-C(O)R11から選択され、R11は、
からなる群より選択され、ここで、R11の環は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したR1aで置換されていてもよく、各R1aは、それぞれ独立して水素、ハロゲン、シアノ、-C1~6アルキル、ハロゲン置換-C1~6アルキル、3~6員シクロアルキル、-C0~2アルキレン-OR1bからなる群より選択され、R1bは、水素、C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルキルからなる群より選択される。
、Rは、それぞれ独立して水素、-C1~6アルキルからなる群より選択される。
A環は、
からなる群より選択される。
B環は、
からなる群より選択される。
C環は、
からなる群より選択される。
D環は、
からなる群より選択される。
D2、R D3は、それぞれ独立して水素、C1~6アルキル、-C0~2アルキレン-ORD4、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員ヘテロシクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香環)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香族ヘテロ環) からなる群より選択され、ここで、アルキル、アルキレン、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環、芳香族ヘテロ環は、さらに1つ、2つ又は3つのRD4で置換されていてもよい。
各RD4は、それぞれ独立して水素、C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルキル、ハロゲン、シアノ、=O、ニトロ、-OH、-O(C1~6アルキル)、-NH、-NH(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)(C1~6アルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員ヘテロシクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香環)、-C0~2アルキレン-(5~10員芳香族ヘテロ環) からなる群より選択される。
【0029】
さらに、D環は、
からなる群より選択される。
【0030】
さらに、前記式Iの化合物は、下記式Vで表される。
式中、Rは、-C(O)R11から選択され、R11は、
からなる群より選択され、ここで、R11の環は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したR1aで置換されていてもよく、各R1aは、それぞれ独立して水素、ハロゲン、シアノ、-C1~6アルキル、ハロゲン置換-C1~6アルキル、3~6員シクロアルキル、-C0~2アルキレン-OR1bからなる群より選択され、R1bは、水素、C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルキルからなる群より選択される。
、Rは、それぞれ独立して水素、-C1~6アルキルからなる群より選択される。
A環は、
からなる群より選択される。
B環は、
からなる群より選択される。
C環は、
からなる群より選択される。
C1は、-C0~4アルキレン-C(O)NRC2C3からなる群より選択される。
C2、RC3は、それぞれ独立して水素、-C1~6アルキル、-C0~2アルキレン-ORC4、-C0~2アルキレン-(3~10員シクロアルキル)、-C0~2アルキレン-(3~10員ヘテロシクロアルキル) からなる群より選択され、ここで、アルキル、アルキレン、シクロアルキルは、さらに1つ、2つ又は3つの独立したRC4で置換されていてもよい。
各RC4は、それぞれ独立して水素、C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルキル、ハロゲン、シアノ、=O、ニトロ、-OH、-O(C1~6アルキル)、-NH、-NH(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)(C1~6アルキル) からなる群より選択される。
【0031】
さらに、式V中の
からなる群より選択される。
【0032】
さらに、前記式Iの化合物は、下記式VIで表される。
式中、Rは、-C(O)R11から選択され、R11は、
からなる群より選択され、ここで、R11の環は、さらに1つ、2つ又は3つの独立したR1aで置換されていてもよく、各R1aは、それぞれ独立して水素、ハロゲン、シアノ、-C1~6アルキル、ハロゲン置換-C1~6アルキル、3~6員シクロアルキル、-C0~2アルキレン-OR1bからなる群より選択され、R1bは、水素、C1~6アルキル、ハロゲン置換C1~6アルキルからなる群より選択される。
、Rは、それぞれ独立して水素、-C1~6アルキルからなる群より選択される。
A環は、
からなる群より選択される。
B環は、
からなる群より選択される。
C環は、
からなる群より選択され、ここで、2つのRC1は、結合して3~10員シクロアルキル又は3~10員ヘテロシクロアルキルを形成してもよい。
【0033】
さらに、C環は、
からなる群より選択される。
【0034】
さらに、本発明のいくつかの具体的な実施形態において、式Iの化合物は、
である。
【0035】
本発明によれば、IL-17A媒介疾患の治療薬の調製における、前記化合物、その立体異性体、その重水素化化合物、又はその薬学的に許容される塩の使用がさらに提供される。
【0036】
さらに、前記IL-17A媒介疾患は、炎症、自己免疫疾患、感染性疾患、がん、前がん症候群に関連する疾患のうちの1種又は複数種である。
【0037】
本発明によれば、前記化合物、その立体異性体、その重水素化化合物、又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される補助材料とで調製された製剤である医薬組成物がさらに提供される。
【0038】
本発明によれば、前記化合物、IL-17A媒介疾患の治療薬の調製における、その立体異性体、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物、そのプロドラッグ、又はその代謝産物の使用がさらに提供される。
【0039】
本発明で定義されるIL-17A媒介疾患とは、IL-17Aがこの疾患の病理学的発生において重要な作用を奏する疾患を指す。IL-17Aの主な機能は、局所組織の炎症を調整することで様々な疾患に関与することである。IL-17A媒介疾患は、炎症、自己免疫疾患、感染性疾患、がん、前がん症候群に関連する疾患のうちの1種又は複数種を含む。
【0040】
「がん」又は「悪性腫瘍」とは、制御不能な細胞異常増殖を特徴とする様々な疾患の一つを意味する。影響を受けた細胞が局所的に、又は血流及びリンパ系を介して体の他の部分に広がる能力(即ち、転移)並びに多数の特徴的な構造的及び/又は分子的特徴のいずれかを有する。「がん細胞」は、多段階の腫瘍進行の初期、中間、又は後期段階にある細胞を指す。がんには、肉腫、乳がん、肺がん、脳がん、骨がん、肝臓がん、腎臓がん、結腸がん、及び前立腺がんが含まれる。いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、結腸がん、脳がん、乳がん、線維肉腫、扁平上皮がんから選択されるがんの治療に使用される。いくつかの実施形態において、がんは、黒色腫、乳がん、結腸がん、肺がん及び卵巣がんから選択される。いくつかの実施形態では、治療されるがんは転移性がんである。
【0041】
自己免疫疾患は、体内に通常存在する物質や組織に対する体の免疫反応によって引き起こされるものである。自己免疫疾患の例には、心筋炎、ループス腎炎、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、1型糖尿病、バセドウ病、セリアック病、クローン病、自己免疫性好中球減少症、若年性関節炎、関節リウマチ、線維筋痛症、ギラン・バレー症候群、多発性硬化症、自己免疫性網膜症が含まれる。本発明のいくつかの実施形態は、乾癬や多発性硬化症などの自己免疫疾患の治療に関する。
【0042】
炎症性疾患には、組織障害性炎症を特徴とする様々な状態が含まれる。炎症性疾患の例には、尋常性座瘡、喘息、セリアック病、慢性前立腺炎、糸球体腎炎、炎症性腸疾患、骨盤内炎症性疾患、再灌流障害、関節リウマチ、サルコイドーシス、血管炎、イエダニに起因する気道炎及び間質性膀胱炎が含まれる。炎症性疾患と自己免疫疾患の間にはかなりの重複が存在する。本発明のいくつかの実施形態は、炎症性疾患である喘息の治療に関する。免疫系は、アレルギー反応や一部のミオパシーに見られるように、炎症性疾患に関与することが多く、多くの免疫系障害は異常な炎症を引き起こす。IL-17A媒介疾患も自己免疫炎症性疾患を含む。
【0043】
本発明で提供される化合物及び誘導体は、IUPAC(国際純粋・応用物理学連合)又はCAS(ケミカルアブストラクトサービス,Columbus,OH)の命名システムに従って命名することができる。
【0044】
本発明で使用される用語の定義
別段の記載がない限り、本明細書の基又は用語について提供される最初の定義は、明細書全体にわたってその基又は用語に適用される。本明細書で具体的に定義されていない用語については、当業者がそれらに与えることができる意味は、開示及び文脈に従って与えられるべきである。
【0045】
「置換」とは、分子内の水素原子が他の異なる原子又は基に置き換えられること、又は分子内の原子の孤立電子対が他の原子又は基に置き換えられることを意味する。例えば、S原子上の孤立電子対は、O原子に置き換えられて
を形成することができる。
【0046】
「さらに置換可能」とは、「置換」が発生する可能性があるが必ずしも発生しないことを意味し、その説明には発生する状況と発生しない状況が含まれる。
【0047】
炭化水素基における炭素原子含有量の最小値と最大値は接頭辞で示される。例えば、接頭辞Ca~bアルキルとは、「a」から「b」個の炭素原子を含む任意のアルキルを指す。したがって、例えば、「C1~6アルキル」とは、1~6個の炭素原子を含むアルキルを指す。
【0048】
「アルキル」とは、所定数のメンバー原子を有する飽和炭化水素鎖を指す。アルキルは、直鎖又は分岐鎖であってもよい。代表的な分岐アルキルは、1つ、2つ又は3つの分岐鎖を有する。アルキル基は、本明細書で定義される1つ又は複数の置換基で任意に置換されていてもよい。アルキルには、メチル、エチル、プロピル(n-プロピル及びイソプロピル)、ブチル(n-ブチル、イソブチル及びtert-ブチル)、ペンチル(n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)及びヘキシルが含まれる。アルキルは、他の基の一部であってもよい。前記他の基は、例えば、-O(C1~6アルキル)である。
【0049】
「アルキレン」とは、所定数のメンバー原子を有する2価の飽和脂肪族炭化水素基を指す。Cアルキレンとは、aからb個の炭素原子を有するアルキレン基を指す。アルキレン基は、分岐鎖及び直鎖の炭化水素基を含む。例えば、用語「プロピレン基」は、下記の構造を有する。
同様に、用語「ジメチルブチレン基」は、例えば、
で示され得る。
【0050】
本発明において、-Cアルキレンは、Cアルキレン、Cアルキレン(例えば、-CH-)、Cアルキレン(例えば、-CHCH-など)であってもよい。Cアルキレンとは、ここにアルキレン基が存在せず、化学結合の形で結合されることを意味する。例えば、A-Cアルキレン-Bとは、A-B、即ち、A基とB基とは化学結合を介して直接結合されていることを指す。
【0051】
【0052】
用語「シクロアルキル」、「シクロアルカン」は、芳香環と非芳香環が縮合して形成される部分飽和環状基をさらに含み、その結合部位は、非芳香族炭素原子又は芳香族炭素原子にあることができ、例としては、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-5-イル、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-5-イルが挙げられる。
【0053】
本発明に記載の不飽和とは、基又は分子に炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、炭素-酸素二重結合、炭素-硫黄二重結合、炭素-窒素三重結合などが含まれることをいう。本発明の不飽和の炭素環基は、芳香環基を含んでもよく含まなくてもよい。不飽和の複素環基は、ヘテロアリールを含んでもよく含まなくてもよい。当業者は自由に選択することができる。
【0054】
「アルケニル」とは、2から10個の炭素原子、いくつかの実施形態において2から6個の炭素原子又は2から4個の炭素原子を有しかつ少なくとも1つのビニル不飽和部位(>C=C<)を有する直鎖状又は分枝状の炭化水素基を指す。例えば、(Ca-b)アルケニルとは、aからb個の炭素原子を有するアルケニル基を指し、例えば、ビニル、プロペニル、イソプロペニル、1,3-ブタジエニルなどを含む。
【0055】
「アルキニル」は、少なくとも1つの三重結合を含む直鎖状又は分枝状の一価炭化水素基を意味する。用語「アルキニル」はまた、1つの三重結合及び1つの二重結合を有する炭化水素基をさらに含む。例えば、(C2-6)アルキニルは、エチニル、プロピニルなどを含む。
【0056】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素である。
【0057】
「ハロゲン化アルキル」、「ハロゲン置換アルキル」とは、アルキルの水素原子が1つ又は複数のハロゲン原子で置換されていることを指す。例えば、ハロゲン置換C1~4アルキルとは、水素原子が1つ又は複数のハロゲン原子で置換された1~4個の炭素原子を含むアルキルを指す。例えば、モノフルオロメチル、ビスフルオロメチル、トリフルオロメチルも含む。
【0058】
「ヘテロシクロアルキル」、「複素環」、「ヘテロシクロアルカン」とは、少なくとも1つのヘテロ原子を含みかつ単一環又は複数の環(縮合、橋かけ)を有する飽和環又は非芳香族性の部分飽和環を含む。ここで、ヘテロ原子とは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などをいう。通常、表示複数の環原子を示す1価の飽和又はテトラヒドロチオピラニル単一環又は二環式システムは、1、2又は3つのN、O及びSから選択されるヘテロ原子を含み、他の環原子は炭素である。二環は、2つの環原子を共有する2つの環からなり、即ち、2つの環分を仕切る橋が単結合又は1つ若しくは2つの環原子の鎖である。単一環飽和ヘテロシクロアルキルの例には、オキセタニル、アゼチジニル、ピロリジニル、2-オキソ-ピロリジン-3-イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピラゾールアルキル、イミダゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペラジニル、モルホリニル、
チオモルホリニル、1,1-ジオキソ-チオモルホリン-4-イル、アゼパニル、ジアゼパニル、ホモピペラジニル又はオキサゼパニルが含まれる。二環飽和ヘテロシクロアルキルの例には、8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクチル、キヌクリジニル、8-オキサ-3-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクチル、9-アザ-ビシクロ[3.3.1]ノニルが含まれる。部分不飽和ヘテロシクロアルキルの例には、ジヒドロフリル、イミダゾリニル、テトラヒドロ-ピリジニル又はジヒドロピラニルが含まれる。用語「ヘテロシクロアルキル」は、少なくとも1つのヘテロ原子を含む芳香環と非芳香環とが縮合して形成された部分飽和環状基をさらに含み、その結合部位は非芳族炭素原子、芳族炭素原子又はヘテロ原子に位置してもよい。その例には、
が含まれる
【0059】
「芳香環基」、「芳香環」とは、複数の炭素原子を有する芳香族炭化水素基を指す。アリールは、通常、複数の炭素原子を有する単一環、二環又は三環アリールである。また、本明細書で使用される用語「アリール」とは、単一の芳香環又は複数の芳香環が縮合した芳香族置換基であってもよい。非限定的な例には、フェニル、ナフチル又はテトラヒドロナフチルが含まれる。
【0060】
「立体異性体」は、エナンチオマー及びジアステレオマーを含む
本発明に記載の「-OR」、「-NRR」などは、R基が酸素原子又は窒素原子と単結合を介して結合することを指す。
【0061】
本発明に記載の「-C(O)R」、「-S(O)R」などにおける酸素原子は、炭素原子又は硫黄原子と二重結合を介して結合し、R基は、炭素原子又は硫黄原子と単結合を介して結合する。
【0062】
本発明に記載の「=O」、「=S」とは、酸素原子、硫黄原子が二重結合を介して置換位置に結合することを指す。
【0063】
本発明の基に記載の
は基の置換位置を示すものである。
【0064】
本発明の「重水素化化合物」とは、分子又は基における1又は複数の水素原子が重水素原子で置換されることを指す。重水素原子の割合は、自然界に存在する重水素よりも大きい。
【0065】
用語「薬学的に許容される」とは、担体、ビヒクル、希釈剤、賦形剤及び/又は形成される塩は、通常、薬学的剤形を構成する他の成分と化学的又は物理的に適合性があり、受容体と生理学的に適合性があることをいう。
【0066】
用語「塩」及び「薬学的に許容される塩」とは、上記の化合物又はその立体異性体と、無機及び/又は有機酸及び塩基と形成する酸性塩及び/又は塩基性塩を指し、双性イオン塩(分子内塩)及び第4級アンモニウム塩(例えば、アルキルアンモニウム塩)も含む。これらの塩は、最後の化合物の分離及び精製において直接得られるものであってもよく、上記の化合物又はその立体異性体と、特定量の酸又は塩基と適量(例えば、等当量)で混合して得られるものであってもよい。これらの塩は、溶液中で沈殿を形成して濾過により収集してもよく、溶媒を蒸発して回収することにより得てもよく、水媒介中で反応した後、凍結乾燥させて製造してもよい。本発明に記載の塩は、化合物の塩酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、臭化水素酸塩、フッ化水素酸塩、リン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩又はトリフルオロ酢酸塩であってもよい。
【0067】
いくつかの実施形態において、本発明の1種又は複数の化合物は互いに併用することができる。本発明の化合物と他の任意の活性試薬と併用して細胞機能を制御し又は疾患を治療する薬物又は医薬組成物を製造することもできる。一群の化合物を使用する場合、これらの化合を同時、別々又は順次使用して被検対象に投与することができる。
【0068】
明らかなように、本発明の上記内容に基づいて当該技術分野の技術常識及び常套手段により、本発明の思想から逸脱しない限り、様々な修正、置換又は変更を行うことができる。
【0069】
以下、実施例及び具体的な実施形態により本発明の上記内容をさらに詳しく説明する。しかし、本発明の範囲は、以下の実施例に限定されない。本発明の上記内容に基づいて実現される技術は、いずれも本発明の範囲に含まれるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1】マウスイミキモドクリーム誘導乾癬モデルの薬効試験結果である。
図2】マウスイミキモドクリーム誘導乾癬モデルの薬効試験の皮膚組織切片結果である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
化合物の構造は、核磁気共鳴(NMR)及び質量分析法(MS)により決定される。NMRシフト(δ)は10-6(ppm)を単位として示される。NMRの測定は、(Bruker AvanceIII 400及びBruker Avance 300)核磁気共鳴装置を用いて、測定溶媒として重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d6)、重水素化クロロホルム(CDCl)、重水素化メタノール(CD3OD)を使用し、内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)を使用して測定される。
LC-MSの測定は、島津液体クロマトグラフ質量分析計(Shimadzu LC-MS 2020(ESI))を使用する。HPLCの測定は、島津高圧液体クロマトグラフ(Shimadzu LC-20A)を使用する。MPLC(中圧分取クロマトグラフィー)は、Gilson GX-281逆相分取クロマトグラフを使用する。薄層クロマトグラフィーシリカゲルプレートは、煙台黄海HSGF254又は青島GF254シリカゲルプレートを使用する。薄層クロマトグラフィーによる製品の分離精製に使用される仕様は、0.4mm~0.5mmである。カラムクロマトグラフィーは、一般的に煙台黄海シリカゲル200~300メッシュシリカゲルを担体として使用する。
【0072】
本発明の既知の出発原料は、当該技術分野で既知の方法により合成されてもよいか、又は安耐吉化学、成都科龍化工、韶遠化学科技、百霊威科技などの会社から購入されてもよい。
【0073】
実施例に特別な指示がない限り、反応は窒素雰囲気で行われる。実施例に特別な指示がない限り、溶液は水溶液である。実施例に特別な指示がない限り、反応温度は室温である。実施例に特別な指示がない限り、Mはmol/Lである。
【0074】
略語
TEA又はEtN:トリエチルアミン;DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン;HOBt:1-ヒドロキシベンゾトリアゾール;DCM:ジクロロメタン;PE:石油エーテル;EA又はEtOAc:酢酸エチル;THF:テトラヒドロフラン;DMF:N,N-ジメチルホルムアミド;NMP:N-メチルピロリドン;NMO:N-メチルモルホリンオキシド;MeOH:メタノール;EtOH:エタノール;DMSO:ジメチルスルホキシド;TAF:トリフルオロ酢酸;NaBH:水素化ホウ素ナトリウム;MsCl:メタンスルホニルクロリド;DIBAL:水素化ジイソブチルアルミニウム;NBS:N-ブロモスクシンイミド;NCS:N-クロロスクシンイミド;DMS:ジメチルスルフィド;CbzOSu:ベンジルオキシカルボニルスクシンイミド;ZnEt2:ジエチル亜鉛;Pd/C:パラジウム炭素;DIAD:アゾジカルボン酸ジイソプロピル;DEAD:アゾジカルボン酸ジエチル;PPh:トリフェニルホスフィン;(COCl):塩化オキサリル;n-BuLi:n-ブチルリチウム;Ti(OEt):チタン酸エチル;TMSCN:トリメチルシリルシアニド;CsF:フッ化セシウム;MTBE:メチルtert-ブチルエーテル;H:過酸化水素;(Boc)O:二炭酸ジ-tert-ブチル;SEMCl:2-(トリメチルシリル)エトキシメチルクロリド;NaH:水素化ナトリウム;ICH2Cl:クロロヨードメタン;PBr3:三臭化リン;(CH2O)n:パラホルムアルデヒド;TFA.PrNH:ジイソプロピルアミントリフルオロ酢酸塩;HATU:2-(7-アゾベンゾトリアゾール)- テトラメチルウレアヘキサフルオロホスフェート;HOAt:1-ヒドロキシ-7-アゾベンゾトリアゾール;HBTU:ベンゾトリアゾール-N,N,N',N'-テトラメチルアミニウムヘキサフルオロホスフェート;CDI:N,N'-カルボニルジイミダゾール;T3P:1-プロピルリン酸無水物;PyBOP:1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジニルヘキサフルオロホスファート;DCC:ジシクロヘキシルカルボジイミド;EDC又はEDCI:1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩;Fmoc-Osu:9-フルオレニルメチル-N-スクシンイミジルカーボネート。
【0075】
中間体1の調製
ステップ1:中間体1-1の調製
氷浴下でNaH(251.65mg,10.49mmol)のTHF(25mL)分散液に2-ホスホノプロピオン酸トリエチル(2.04g,10.49mmol)を滴下し、0℃で20min分間撹拌し、その後、シクロブチルホルムアルデヒド(840mg,9.99mmol)を滴下し、滴下終了後、室温までゆっくりと昇温させ、一晩撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウムで反応をクエンチし、酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相を回転蒸発により乾燥させ、粗生成物をシリカゲルカラムにより分離精製し、中間体1-1(1.6g,9.51mmol,95.24%収率)を得た。
【0076】
ステップ2:中間体1-2の調製
低温-70℃の条件下で中間体1-1(9.0g,53.50mmol)のDCM(60mL)溶液にDIBAL(15.11g,107.00mmol,18.93mL)を滴下し、滴下終了後、保温しながら2時間反応させ、TLCにより完全に反応したことが確認された後、水を加えて反応をクエンチし、反応液を濾過し、濾液を分層し、有機相を回転蒸発により乾燥させ、得られた粗生成物をシリカゲルカラムにより分離精製し、中間体1-2(5.6g,44.38mmol,82.95%収率)を得た。
【0077】
ステップ3:中間体1-3の調製
氷浴下で中間体1-2(1.5g,12.12mmol)のDCM(60mL)溶液にCBr(4.57g,13.94mmol)を加え、その後、PPh(3.33g,127.30mmol)のDCM(5mL)溶液を加えた。反応液を0℃で1時間撹拌し、その後、反応混合液を濾過し、濾液を濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムにより精製(溶離剤:石油エーテル)し、中間体1-3(2.2g,11.6mmol,95.96%収率)を得た。
【0078】
ステップ4:中間体1-4の調製
室温下で1-3(1.4g,7.40mmol)及び(2Z)-2-[((S)-tert-ブチルスルフィニル]イミノ酢酸エチル)(507mg,2.47mmol)のTHF(15mL)溶液にSat.NaBr.HO(679.68mg,2.59mmol,30mL)を加え、その後、インジウム(indium)粉末(1.13g,9.87mmol)を加え。反応混合液を窒素保護下、室温で一晩撹拌した。混合液を濾過し、濾液水を加えて希釈し、酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、中間体1-4(770mg,2.44mmol)粗生成物を得た。精製せずにそのまま次の反応に用いた。MS m/z:316(M+1)
【0079】
ステップ5:中間体1-5の調製
氷浴下で1-4(150mg,475.48umol)のメタノール溶液(1.6mL)にHCl/EA(4M,0.5mL)を滴下し、反応液を室温下で1時間撹拌した後、濃縮し、粗生成物をTHF(2mL)と水(2mL)の混合液に溶解させ、氷浴下でNaHCO(79.88mg,950.96umol)及びCbzOSu(118.50mg,475.48umol)を順に反応液に入れ、反応液を室温下で30分間撹拌し、混合液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルカラムにより分離精製して中間体1-5(20mg,57.90umol,12.18%収率)を得た。MS m/z:346(M+1)
【0080】
ステップ6:中間体1-6の調製
室温、窒素保護下で1-5(500mg,1.45mmol)の乾燥ジクロロメタン(10mL)にCHICl(1.1mL)を加え、-20℃~-25℃まで冷却し、ZnEt(8.7mL)をゆっくりと滴下し、滴下終了後、反応液を室温で一晩撹拌した。
【0081】
反応液に飽和塩化アンモニウムを加えて反応をクエンチし、酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物には、約10%の1-5が完全に反応していなかった。粗生成物をMeOH/THF/HO(1/1/1,合計150mL)溶液に溶解させ、KOsO(70mg,0.19mmol)、0.5mmolのN-メチルモルホリンオキシド(NMO)を加え、混合液を室温で一晩撹拌し、反応終了後、反応液を濃縮し、水を加えて希釈し、酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相を水及び飽和食塩水で洗浄し、濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルカラムにより分離精製し、中間体1-6(313mg,収率59%)を得た。MS m/z:360(M+1)
H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ7.38-7.29(m,5H),5.11(s,2H),4.48(dd,J=9.7,6.1Hz,1H),4.22-4.06(m,2H),2.64-2.46(m,1H),2.03(d,J=8.5Hz,1H),2.00-1.75(m,3H),1.75-1.62(m,3H),1.27(t,3H),0.92(s,3H),0.30-0.09(m,4H)
【0082】
ステップ7:中間体1の調製
1-6(420mg,1.17mmol)のTHF(2mL)/MeOH(2mL)/HO(2mL)の混合溶液にLiOH.H2O(147.22mg,3.51mmol)を加え、反応液を室温で一晩撹拌し、反応終了後、反応液を減圧濃縮し、粗生成物を水で希釈し、6N希塩酸でpH4~6に調整し、ジクロロメタンで抽出し、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して中間体1(340mg,1.03mmol,87.80%収率)を得た。MS m/z:332(M+1)
【0083】
中間体2の調製
ステップ1:中間体2-1の調製
氷浴、窒素保護下で(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド(300g,4.09mol)のTHF(2.4L)溶液にn-BuLi(2.5M(ヘキサン中),4.09mol,1.63L)を滴下し、滴下後、混合液を0℃で1h撹拌し、混合液が濃茶色になった後、ジシクロプロピルケトン(300g,2.72mol)のTHF(0.6L)溶液を滴下した。滴下後、反応混合液を60℃に昇温させ、撹拌しながら4h反応させた。反応終了後、混合液を室温まで冷却し、30%のNH4Cl水溶液反応をクエンチし、酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して回転蒸発により乾燥させ、粗生成物を得た。減圧蒸留により分離精製し、澄んだ油状物2-1(279g,2.02mol,74.2%収率)を得た。
【0084】
ステップ2:中間体2-2の調製
氷浴条件下で2-1(279g,2.02mol)のTHF(1.7L)溶液に6MのHCl(1.7L)を加え、混合液を60℃に昇温させ、この温度で撹拌しながら5h反応させた。反応終了後、酢酸エチルを加えて抽出し、合わせた有機相を乾燥させた後、濃縮し、油状物の粗生成物2-2(239.6g)を得た。さらに精製せずにそのまま次の反応に用いた。
【0085】
ステップ3:中間体2-3の調製
中間体2-2の粗生成物(239g,1.92mol,100%純度),(S)-(+)-p-トルエンスルフィンアミド(299g,1.92mol)、硫酸マグネシウム(697g,5.79mol)、DCM(2.5 L)及びテトラヒドロピロール(tetrahydropyrrole)(13.73g,0.193mol)を5L三ッ口フラスコに入れて混合し、室温で撹拌しながら一晩反応させ、40℃で減圧蒸留により濃縮乾燥させ、石油エーテルを加えてパルプ化し、濾液を濃縮した後、シリカゲルカラム(溶離剤:PE/EA=10/1)により分離精製し、2-3(217g,0.83mol,43%収率)を得た。MS m/z:262(M+1)
【0086】
ステップ4:中間体2-4の調製
中間体2-3(217g,0.83mol)のn-ヘキサン(hexane)(2L)溶液にCsF(252g,1.66mol)を加え、窒素保護下で0℃まで冷却し、その後、TMSCN(165g,1.66mol)を滴下した。反応混合液を室温に昇温させ、撹拌しながら一晩反応させた。反応終了後、濃縮乾燥させ、さらにn-ヘキサンを加えてパルプ化し、2回濾過し、固体を減圧濃縮して2-4(168g,0.58mol)を得た。MS m/z:289(M+1)
【0087】
ステップ5:中間体2-5の調製
中間体2-4(84g,2.92mol)をMeOH(840mL)溶液に溶解させ、氷浴下でHCl/EA(4M,146ml,0.583mol)を加え、撹拌しながら2h反応させ、反応終了後、反応液を濃縮し、粗生成物を石油エーテルでパルプ化し、複数回洗浄し、濾過し、乾燥して2-5(54.4g)を得た。精製せずにそのまま次の反応に用いた。MS m/z:187(M+1)
【0088】
ステップ6:中間体2-6の調製
氷浴下で2-5(54.4mg,0.292mol、100%純度)のTHF(300mL)/H2O(300mL)混合液にKCO(100g,0.73mol)、(Boc)2O(87.4g,0.35mol)を加え、25℃で撹拌しながら2時間反応させ、反応終了後、酢酸エチルを加えて抽出し、合わせた有機相を濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルカラム(溶離剤:PE/EA=5/1)により分離精製し、白色固体2-6(75.4g,0.264mol,90.8%収率)を得た。MS m/z:285(M+1)
【0089】
ステップ7:中間体2-7の調製
中間体2-6(75.4g,0.264mol,100%純度)のDMSO(750mL)溶液にK2CO3(54.9mg,0.398mol)を加え、10℃に降温し、その後、H(30%含有量,90g,0.79mol)を加え、反応混合液25℃を一晩撹拌した。反応終了後、水を加えて希釈し、酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相を濃縮して固体の2-7(73.5g)を得た。精製せずにそのまま次の反応に用いた。MS m/z:303(M+1)
【0090】
ステップ8:中間体2-8の調製
-78℃、窒素保護下で中間体2-7(73.5g,0.24mol,100%純度)のTHF(500mL)/NMP(150mL)混合液にn-BuLi(204mL,0.5mol,2.5M(ヘキサン中))に加えた。滴下後、-78℃に維持し、撹拌しながら1時間反応させた。その後、(Boc)2O(57.5mg,0.26mol)のTHF(250mL)溶液を加え、引き続き1時間撹拌した。反応終了後、冷たい30%NH4Cl水溶液を慎重に加えて反応をクエンチし、酢酸エチルを加えて抽出し、濃縮して抽出し、粗生成物2-8(86g)を得た。さらに精製せずにそのまま次の反応に用いた。MS m/z:403(M+1)
【0091】
ステップ9:中間体2の調製
中間体2-8(86g,0.21mol,100%純度)のMeOH(800mL)/HO(200mL)混合液にLiOH(17.4g,0.426mol)を加え、60℃に昇温させ、この温度で一晩撹拌し、反応終了後、減圧蒸留により溶媒を除去し、粗生成物を水に溶解させ、酢酸エチルを加えて抽出して不純物を除去し、水相に6MのHClを加えてpHを2~3に調整し、さらに酢酸エチルで抽出し、濃縮した製品をカラムクロマトグラフィーにより分離精製し、中間体2(48g,0.158mol,75.1%-三段階収率)を得た。MS m/z:304(M+1)。キラル純度98%。
【0092】
中間体3の調製
同様に、シクロプロパンカルボアルデヒドを出発原料とし、中間体1の合成経路に従って中間体3を得た。MS m/z:318(M+1)
【0093】
中間体Z2の調製
ステップ1:中間体Z2-1の調製
氷浴で3,5-ジメチルピラゾール-4-ボロン酸ピナコールエステル(50g,225.13mmol)のDMF(800mL)溶液にNaH(13.51g,337.70mmol,60%純度)を加え、混合液を0℃で1時間撹拌し、その後、0℃に維持し、SEMCl(39.48g,236.39mmol)を滴下した。滴下後、反応液を室温に昇温させ、その後、引き続き20時間撹拌した。反応液に水をゆっくりと加えて反応をクエンチし、酢酸エチルで抽出し、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、合わせた有機相を回転蒸発により乾燥させ、粗生成物をシリカゲルカラムにより分離精製し、Z2-1(73.5g,208.60mmol,92.66%収率)を得た。MS m/z:353(M+1)
【0094】
ステップ2:中間体Z2の調製
6-ブロモ-3-アミノピリジン(3g,17.34mmol)のジオキサン(dioxane)(75mL)/H2O(15mL)混合液にZ2-1(10.47g,20.81mmol)、KCO(4.79g,34.68mmol)及びPd(PPh(1.20g,1.04mmol)に加え、混合液を窒素ガス置換した後、窒素保護下で90℃に昇温させ、一晩撹拌し、反応終了した後、食塩水を加えて反応をクエンチし、酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムにより分離精製(酢酸エチル/石油エーテル/ジクロロメタン=1/2/1,v/v)し、中間体Z2(5.1g,12.81mmol,73.88%収率)を得た。MS m/z:319(M+1)
H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ8.32(s,1H),7.16(d,2H),5.40(s,2H),3.62(t,J=8.9,7.6Hz,2H),2.44(s,3H),2.33(s,3H),0.93(t,2H)
【0095】
中間体Z3の調製
中間体Z2の合成経路におけるステップ1からステップ2を参照し、ステップ2において5-アミノ-2-ブロモ-3-フルオロピリジンの代わりに6-ブロモ-3-アミノピリジンを用いた以外、同じ試薬及び操作により中間体Z3を得た。MS m/z:337(M+1)
H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ8.18(s,1H),6.92(d,J=10.7Hz,1H),5.40(s,2H),3.63(t,2H),2.33(s,3H),2.24(s,3H),0.92(t,2H),0.00(s,9H)
【0096】
実施例1化合物1の調製(共通経路Aの例)
ステップ1:中間体A-1の調製
100mL一ッ口フラスコに中間体1(500mg,1.61mmol)、HBTU(731.2mg,1.93mmol)、DIPEA(622.2mg,4.82mmol)を加え、CHCl(16mL)に溶解させ、室温で10min撹拌し、室温で4-モルホリノアニリン(314.8mg,1.77mmol)を加えた。その後、室温で撹拌しながら3hr反応させた。水30mLを加え、CHCl(30mL*2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し(30mL*2)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮により乾燥させた。残留物をシリカゲルカラムにより分離精製して中間体A-1(592mg,1.21mmol,収率:75%)を得た。MS m/z:492.0(M+1)
【0097】
ステップ2:中間体A-2の調製
100mL一ッ口フラスコに中間体A-1(592mg,1.21mmol)、EtOH(20mL)を加え、室温で撹拌し、窒素保護下でPd/C(180mg,w/w50%)を加え、水素バルーンの環境下、室温で撹拌しながら2hr反応させ、濾過し、減圧濃縮により乾燥させ、中間体A-2(430mg,1.20mmol,収率:98%)を得た。MS m/z:358.0(M+1)
【0098】
ステップ3:化合物1の調製
25mL一ッ口フラスコに1-メチルピラゾール-5-カルボン酸(10.59mg,0.084mmol)、HBTU(38.20mg,0.10mmol)、DIPEA(32.51mg,0.25mmol)を加え、CHCl(2mL)に溶解させ、室温で10min撹拌し、室温で中間体A-2(30mg,0.084mmol)を加えた。その後、室温で撹拌しながら1hr反応させた。水5mLを加え、CHCl(5mL*2)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮により乾燥させた。残留物をMPLC(ACN/HO,0.05%FA)により分離精製し、実施例1(23.83mg,0.051mmol,収率:61%)を得た。MS m/z:466.0(M+1)
【0099】
実施例2~実施例24:化合物2~24の調製
共通経路Aの合成方法を参照し、実施例1の操作例に従って、中間体1を原料とし、4-(4-モルホリニル)アニリンの代わりに異なるアリールアミンを用いて中間体1と縮合させ、ステップ2において同様にパラジウム炭素で接触水素化してCbz保護基を除去し、さらにステップ3において1-メチル-5-ピラゾールギ酸と縮合させ、表に示される対応の実施例化合物を得た。
【0100】
実施例24:化合物24の調製
共通経路Aの合成方法を参照し、実施例1の操作例に従って、中間体1を原料とし、4-(4-モルホリニル)アニリンの代わりに下表に示されるアリールアミンを用いて中間体1と縮合させ、ステップ2において同様に10%パラジウム炭素で接触水素化してCbz保護基を除去し、さらにステップ3において1-メチル-5-ピラゾールギ酸と縮合させ、その後、トリフルオロ酢酸で脱BOC保護基を除去し、実施例化合物24を得た。
【0101】
実施例25~実施例27:化合物25~27の調製
共通経路Aの合成方法を参照し、実施例1の操作例に従って、実施例ステップ1の出発原料中間体1の代わりに下表に示される異なるアミノ酸を用い、4-(4-モルホリニル)アニリンの代わりに表に示される異なるアミンを用いてアミノ酸と縮合させ、ステップ2において同様にパラジウム炭素で接触水素化してCbz保護基を除去し、ステップ3において1-メチル-5-ピラゾールギ酸と縮合させ、表に示される実施例化合物25、26、27を得た。

【0102】
実施例28:化合物28の調製(共通経路B)
ステップ1:中間体28-1の調製
100mL一ッ口フラスコに中間体1(500mg,1.51mmol)、HBTU(686.75mg,1.81mmol)、DIPEA(584.37mg,4.53mmol)を加え、CH2Cl2(15mL)中に溶解させ、室温で10min撹拌させ、室温で2-(4-アミノフェニル)-2-メチルプロパン酸エチル(374.67mg,1.81mmol)を加えた。その後、室温で撹拌しながら3hr反応させた。水30mLを加えて、CHCl(30mL*2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し(30mL*2)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮により乾燥させた。残留物をシリカゲルカラムにより分離精製して中間体28-1(588.90mg,1.13mmol,収率:75%)を得た。MS m/z:521.0(M+1)
【0103】
ステップ2:中間体28-2の調製
100mL一ッ口フラスコに中間体28-1(588.90mg,1.13mmol)、EtOH(20mL)を加え、室温で撹拌し、窒素保護下で10%Pd/C(177mg,w/w50%)を加え、水素バールン環境下、室温で撹拌しながら2hr反応させ、濾過し、減圧濃縮により乾燥させ、中間体28-2(397mg,1.03mmol,収率:91%)を得た。MS m/z:387.0(M+1)
【0104】
ステップ3:中間体28-3の調製
100mL一ッ口フラスコに1-メチルピラゾール-5-カルボン酸(129.78mg,1.03mmol)、HBTU(468.44mg,1.24mmol)、DIPEA(398.61mg,3.09mmol)を加え、CHCl(10mL)に溶解させ、室温で10min撹拌し、室温で中間体28-2(397mg,1.03mmol)を加えた。その後、室温で撹拌しながら1hr反応させた。水30mLを加え、CHCl(30mL*2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し(30mL*2)、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮により乾燥させた。残留物をシリカゲルカラムにより分離精製し、中間体28-3(418.08mg,0.84mmol,収率:82%)を得た。MS m/z:495.0(M+1)
【0105】
ステップ4:中間体28-4の調製
50mL一ッ口フラスコに中間体28-3(418.08mg,0.84mmol)を加え、EtOH(4mL)及びHO(0.4mL)に溶解させ、室温で撹拌しながらNaOH(168.00mg,4.20mmol)を加えた。その後、85℃まで加熱し、撹拌しながら一晩反応させた。降温し、HO(30mL)を加えて希釈し、6NのHClでPHを4に調整し、酢酸エチル(30mL*2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(30mL*2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮により乾燥させ、中間体28-4(352.30mg,0.76mmol,収率:90%)を得た。MS m/z:467.0(M+1)
【0106】
ステップ5:化合物28の調製
25mL一ッ口フラスコに中間体28-4(30.00mg,0.055mmol)、HBTU(24.94mg,0.066mmol)、DIPEA(21.29mg,0.17mmol)を加え、CHCl(2mL)に溶解させ、室温で10min撹拌し、室温で(R)-1-シクロブチルエチルアミン(6.53mg,0.066mmol)を加えた。その後、室温で撹拌しながら1hr反応させた。水5mLを加え、CHCl(5mL*2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(5mL*2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮により乾燥させた。残留物をMPLC(ACN/HO,0.05%FA)により精製し、実施例28(18.35mg,0.034mmol,収率:61%)を得た。MS m/z:548.0(M+1)
【0107】
実施例29~31:化合物29~31の調製
共通経路Bの合成方法を参照し、実施例28の化合物28の操作例に従って、ステップ4の中間体28-4を原料として表に示される異なるアミンと縮合させ、表に示される実施例化合物29~31を得た。
【0108】
実施例32~35:化合物32~35の調製
【0109】
実施例28の方法を参照し、中間体1及び3-(4-アミノフェニル)テトラヒドロフラン-3-カルボン酸エチルを出発原料として実施例32化合物を得た。MS m/z:576(M+1)。同様に、中間体32-4を下表に示される異なるアミンと縮合させて実施例33~35を得た。

【0110】
実施例36:化合物36の調製

実施例28の共通経路Bの合成方法を参照し、ステップ4の中間体28-4を原料としてシクロブチルホルミルヒドラジンと縮合させ、その後、閉環して表に示される実施例化合物36を得た。
H NMR(400MHz,メタノール-d4)δ7.61-7.54(m,2H),7.41(d,J=2.2Hz,1H),7.28-7.21(m,2H),6.76(d,J=2.2Hz,1H),4.06(s,3H),3.77-3.63(m,1H),2.73-2.56(m,1H),2.45-2.25(m,4H),2.18-1.80(m,7H),1.78(s,6H),1.75-1.64(m,1H),1.42-1.31(m,1H),1.07(s,3H),0.52-0.37(m,2H),0.30-0.21(m,1H),0.12-0.03(m,1H)MS m/z:545(M+1)
【0111】
実施例37:化合物37の調製
【0112】
共通経路Aの合成方法を参照し、実施例1の操作例に従って、中間体1を原料とし、中間体Z2を中間体1と縮合させて37-1を得た。ステップ2において同様にパラジウム炭素で接触水素化してCbz保護基を除去して37-2を得た。ステップ3において中間体37-2と1-メチル-5-ピラゾールギ酸とを縮合させて37-3を得た。最後にトリフルオロ酢酸でSEM保護基を除去して表に示される実施例化合物37を得た。
H NMR(400MHz,MeOD)δ9.22(d,J=2.3Hz,1H),8.44(dd,J=8.8,2.5Hz,1H),7.83(dd,J=8.6,3.7Hz,1H),7.47(d,J=2.1Hz,1H),6.83(d,J=2.1Hz,1H),4.91(s,1H),4.10(s,3H),2.68(dd,J=17.5,8.3Hz,1H),2.38(s,6H),2.08(dd,J=17.1,9.5Hz,2H),2.04-1.92(m,2H),1.85(dd,J=17.8,8.5Hz,1H),1.72(d,J=7.0Hz,1H),1.44(t,J=10.0Hz,1H),1.10(s,3H),0.53(dt,J=9.3,4.9Hz,1H),0.46-0.37(m,1H),0.36-0.26(m,1H),0.17-0.06(m,1H)MS m/z:476(M+1)
【0113】
実施例38~52:化合物38~52の調製
同様に、実施例37の経路方法を参照し、(S)-2-((ベンジルオキシカルボニル)アミノ)-3,3-ジシクロプロピルプロピオン酸(中間体2,
)を原料とし、アミンZ2又はZ3と縮合させ、さらにパラジウム炭素で接触水素化してCbz保護基を除去し、さらに表に示される異なるカルボン酸と縮合させ、最後にSEM保護を除去して化合物38~52を得た。




【0114】
実施例51:化合物51の調製
【0115】
ステップ1:中間体51-1の調製
100mL一ッ口フラスコに順に中間体-2(5.0g,16.50mmol)、中間体Z3(6.65g,19.80mmol)、DMF(45mL)を加え、さらにピリジン(pyridine)(13.0g,165mmol)及び1-プロピルリン酸無水物(TP,31.5g,99mmol)を順に加えた。その後、60℃に昇温させ、撹拌しながら1hr反応させた。LC-MSにより反応終了を確認した後、反応液を減圧濃縮してほとんどのDMF及びピリジンを除去し、粗生成物をそのままMPLCカラムクロマトグラフィーにより分離精製し、中間体51-1(9.53g,15.70mmol,収率93%)を得た。MS m/z:622(M+1)
【0116】
ステップ2:中間体51-2の調製
250mL一ッ口フラスコに中間体1(9.53g,15.70mmol)、EtOH(150mL)を順に加え、窒素ガスの保護下でさらに10%Pd/C(2.86g,w/w30%)を加え、撹拌しながら水素バールンで3回水素置換した。次に、室温、水素雰囲気条件下で撹拌しながら3hr反応させた。LC-MSにより反応が完了したことを確認した後、ブフナー漏斗及び珪藻土で濾過し、エタノールで洗浄し、濾液を合わせ、減圧濃縮により乾燥させ、中間体51-2(7.2g,14.78mmol,収率94%)を得た。MS m/z:488(M+1)
【0117】
ステップ3:中間体51-3の調製
250mL一ッ口フラスコに中間体51-2(7.2g,14.78mmol)、中間体2-イソプロピル-3-ピラゾールカルボン酸(2.73g,17.74mmol)、DMF(60mL)を順に加え、氷浴で撹拌しながらHBTU(7.28g,19.22mmol)及びDIPEA(7.63g,59.14mmol,10.5mL)を順に加え、氷浴条件下で撹拌しながら10min反応させ、室温に昇温させ、撹拌しながら1hr反応させた。LC-MSにより反応終了を確認した後、180mL酢酸エチルを加え、飽和食塩水(180mL*2)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮により乾燥させ、粗生成物をMPLCカラムクロマトグラフィーにより分離精製し、中間体51-3(9.2g,14.77mmol,収率99%)を得た。MS m/z:624(M+1)
【0118】
ステップ4:化合物51の調製
250mL一ッ口フラスコに中間体51-3(9.2g,14.77mmol)、CHCl(35mL)を順に加え、氷浴で撹拌しながらTFA(35mL)を加え、その後、室温に昇温させ、撹拌しながら3hr反応させ、減圧濃縮により乾燥させ、粗生成物をMPLCカラムクロマトグラフィーにより分離精製し、化合物51(6.0g,12.17mmol,収率82%)を得た。MS m/z:494(M+1)
H NMR(400MHz,メタノール-d)δ8.62(d,J=2.0Hz,1H),8.22(dd,J=11.7,2.1Hz,1H),7.52(d,J=1.9Hz,1H),6.80(d,J=2.0Hz,1H),5.47-5.32(m,1H),4.91(dd,J=7.5,5.3Hz,1H),2.26(s,6H),1.45(dd,J=6.6,5.4Hz,6H),0.99-0.75(m,3H),0.63-0.43(m,3H),0.43-0.26(m,4H),0.26-0.17(m,1H)
【0119】
実施例53~59:化合物53~59の調製
同様に、実施例37の経路方法を参照し、中間体3:
を原料としてアミンZ2又はZ3と縮合させ、さらにパラジウム炭素で接触水素化してCbz保護基を除去し、さらに表に示される異なるカルボン酸と縮合させ、最後にSEM保護を除去して化合物53~59を得た。


【0120】
実施例60~62:化合物60~62の調製
同様に、実施例1の共通経路Aの経路方法を参照し、表に示されるアミノ酸:
を原料として表に示される対応のアミンと縮合させ、パラジウム炭素で接触水素化してCbz保護基を除去し、最後に1-メチルピラゾール-5-カルボン酸と縮合させ、化合物60~62を得た。

【0121】
本発明の有益な効果を説明するために、本発明は以下の試験例を提供する。
【0122】
試験例1:IL-17A酵素結合免疫吸着測定(ELISA)実験
競合ELISAにより受容体-リガンド結合に対するヒトIL17A阻害剤の阻害状況を定量検出した。0.2μg/mlのIL-17A(Sino Biological lnc.Cat#12047-H07B)を100μl/ウェルで96ウェルプレートに入れ、37℃で30分間インキュベートした。PBST(PBS,0.05%Tween-20)でプレートを4回洗浄し(毎回200μl/ウェル)、200μlの5%無脂肪牛乳を加え、25℃シェーカー上で30分間インキュベートした。100X濃度の被験化合物を用意し、濃度は0.003μMから30μMであった。PBST(PBS,0.05%Tween-20)でプレートを4回洗浄した後、89μlのPBST及び1μlの100X濃度被験化合物を加えて均一に混合した後、25℃で10分間予備インキュベートした。10μlの16nM IL-17Rを加え、25℃シェーカー上で30分間インキュベートした。プレートを4回洗浄した後、100μlの抗FcタグHRP結合抗体を加え、25℃シェーカー上で30分間インキュベートした。プレートを4回洗浄した後、100μlのTMB基質溶液を加え、25℃、暗所でインキュベートした。20%のHClを加えた後、マイクロプレートリーダーを用いて450nm波長で吸光度を検出した。上記方法により実施例で調製した化合物に対してヒトIL-17A阻害活性検出を行った。
【0123】
試験例2:HT-29細胞でのケモカインGROα/CXCL1産生に対するヒトIL17Aタンパク質の誘導を阻害する実験
5x10個/ウェルのヒト結腸直腸がん上皮細胞HT-29(成都中源共創科技有限公司)を96ウェルプレートに入れ、37℃インキュベータ中で一晩培養した。30ng/mLのヒトIL17Aタンパク質(R&D,#317-ILB)と勾配濃度のIL17A低分子阻害剤又は0.3μg/mL陽性対照IL17A抗体(R&D,#AF-317-NA)との混合物を37℃で1時間インキュベートした後、上記の96ウェルプレートに入れ、HT-29細胞と共に37℃で48時間インキュベートし、その後、GROαのELISAキット(Cisbio,#62HCXC1PEG)により細胞培養上清におけるGROαのレベルを検出した。
【0124】
上記の試験例1、2の方法により、実施例で調製した化合物を用いてHT-29細胞でのケモカインGROα/CXCL1生産に対するヒトIL17Aタンパク質の誘導を阻害する実験を行った。結果を表1に示す。表1は、各化合物のELISA IC50及びHT-29細胞でのGROα/CXCL1生産のIC50阻害活性を示す。「-」は試験しなかったことを示す。
【0125】
【0126】
試験例3:ラット、マウス、イヌにおける実施例化合物の薬物動態特性
ラットにおける化合物の薬物動態特性を調査するために、化合物溶液を静脈注射/強制経口投与により対応する用量で3匹のラットに投与した。投与した5min、15min、30min、1h、2h、4h、8h、24h後にそれぞれラット抗凝固全血を採取して血漿を分離した。マウスにおける化合物の薬物動態特性を調査するために、化合物を静脈注射/強制経口投与により対応する用量で6匹のマウスに投与した。各投与経路のマウスをA/Bの2群に分け、A群マウスに投与した5min、30min、2h、8h後に抗凝固全血を採取し、B群マウスを投与した15min、1h、4h、24h後に抗凝固全血を採取し、血漿を分離した。イヌにおける化合物の薬物動態特性を調査するために、化合物溶液を静脈注射/強制経口投与により対応する用量で2群のビーグル(4匹;2雄+2雌)に投与し、投与した5min、15min、30min、1h、2h、4h、8h、12h、24h、36h後に抗凝固全血を採取して血漿を分離した。
【0127】
LC-MSを用い、標準曲線校正法により化合物の血漿濃度を測定した。Winnolin5.2ソフトウェアにより血漿濃度-時間データを薬物動態パラメータ(消失半減期(T1/2)、サンプリング終了時の血漿中濃度-時間曲線下面積(AUClast)、ピーク濃度(Cmax)、見かけの分布容積(Vz)、総クリアランス(Cl)、絶対的バイオアベイラビリティ(F%)など)にフィッティングした。下表2には、代表的な実施例化合物51の経口バイオアベイラビリティF%が示される。
【0128】

【0129】
試験例4:CYP酵素誘導試験
ヒト肝細胞のCYP酵素に対する本発明の実施例化合(10μM)の誘導作用を評価した。Omeprazole(陽性対照)及びWO2020/127685A1の実施例32の化合物(対照化合物2)を対照とした。結果を下表3に示す。本発明の実施例化合物51はCYP1A2に対して誘導効果を有さず、より安全なIL-17A阻害剤の薬物として適用可能であることを示している。
【0130】

【0131】
試験例5:イミキモドクリーム誘導マウス乾癬モデルを用いた薬効試験
10週齢の雌C57BL/6Nマウスの背部に対して約2.5×4cmの毛を剃って除き、1日目から5日目までイミキモド(IMQ,Imiquimod)クリームを連続して塗抹することで乾癬モデルを構築した。日に1回で強制経口投与により本発明の化合物51(3、10、30mg/kg)を投与し、1日置きに腹腔内注射によりIL17A抗体溶液(Ab,2mg/kg)を投与し、又は日に1回で腹腔内注射によりデキサメタゾン溶液(10mg/kg)を投与した。PASIスコア曲線下面積(AUC,図1A)から分かるように、全ての用量はいずれもIMQ誘導の皮膚炎症のレベルを低下させ、効果はIL17A抗体に近かった。実験の1日目及び5日目にそれぞれマウス皮膚の厚さを測定し、IMQ誘導の皮膚肥厚状況を調査した(図1B)。結果として、各群化合物51及びIL17A抗体投与は、異なる程度でIMQによる皮膚肥厚を逆転させた。
【0132】
実験の5日目に各群マウスの皮膚を採取し、RT-qPCR法によりIL6 mRNAレベルを検出した(図1C)。結果として、各群化合物51は、IL6発現レベルのアップレギュレーションを用量依存的に逆転させた。実験の5日目に各群マウスの血漿を採取し、その中のIL6タンパク質レベルを測定した(図1D)。結果として、化合物51は、血漿中IL6タンパク質レベルの向上を用量依存的に抑制した。
【0133】
モデル構築後の5日目にマウスの背部皮膚サンプルを収集し、4%パラホルムアルデヒドに固定し、HE染色を行い、皮膚の病理学的損傷に対する化合物51の保護作用を調査した(図2)。HE染色の結果は、化合物51を3,10,30mg/kgで投与することによりIMQによる皮膚炎症性細胞浸潤と損傷を異なる程度で効果的に抑制できることを示している。
【0134】
試験例6:マウス脳脊髄炎モデルを用いた薬効試験
10週齢の雌C57BL/6マウスに対して、MOGタンパク質で脳脊髄炎モデルを構築した。モデル構築の前日から、強制経口投与(30mg/kg)又は腹腔内注射(3,10,30mg/kg)により本発明の化合物溶液を日に1回で投与し、或いは3日に1回で腹腔内注射によりIL17A抗体溶液(1、2回目10mg/kg、その後5mg/kg)を投与した。対照群、モデル群にブランク溶媒を投与した。マウス脳脊髄炎モデルのスコアシステムに応じてスコアリングし、スコア曲線を作成した。
【0135】
モデル構築後の21日目にマウスの脳脊髄サンプルを収集して4%パラホルムアルデヒド中に固定し、HE染色を行い、組織脳脊髓の組織病理学的損傷に対する化合物の保護作用を調査した。
【0136】
以上より、本発明に開示の式Iで表される新しい化合物は、良好なIL-17A阻害活性を示し、IL-17A活性異常に関する疾患の臨床治療に新しい薬学的可能性を提供する。
図1
図2