(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】イソオキサゾリン含有ウラシル系化合物中間体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 413/10 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
C07D413/10
(21)【出願番号】P 2023500282
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(86)【国際出願番号】 CN2021103484
(87)【国際公開番号】W WO2022002117
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-02-27
(31)【優先権主張番号】202010633453.3
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523003869
【氏名又は名称】沈陽中化農薬化工研発有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENYANG SINOCHEM AGROCHEMICALS R&D CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 8-1 Shenliao East Road, Tiexi District, Shenyang, Liaoning China
(73)【特許権者】
【識別番号】506121881
【氏名又は名称】江蘇揚農化工股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】武 恩明
(72)【発明者】
【氏名】呉 公信
(72)【発明者】
【氏名】于 春睿
(72)【発明者】
【氏名】呉 ▲きょう▼
(72)【発明者】
【氏名】楊 吉春
(72)【発明者】
【氏名】叶 艶明
(72)【発明者】
【氏名】于 福強
(72)【発明者】
【氏名】薛 有仁
(72)【発明者】
【氏名】関 愛瑩
【審査官】伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0230139(US,A1)
【文献】国際公開第2001/090058(WO,A1)
【文献】特表平11-504908(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0010334(US,A1)
【文献】特表2001-521027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソオキサゾリン含有ウラシル系化合物中間体
(II)の製造方法であって、
反応式は下式であり、
【化1】
(式中、R
1
およびR
2
は、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立して水素、フッ素または塩素から選択され、
R
3
は、水素またはC
1
-C
4
アルキルから選択され、
R
4
は、水素、CO
2
R
7
またはCH
2
OR
8
から選択され、
R
5
は、水素、CO
2
R
7
またはCH
2
OR
8
から選択され、
R
6
は、水素、C
1
-C
4
アルキルまたはC
1
-C
4
ハロゲン化アルキルから選択され、
前記R
7
は、C
1
-C
4
アルキル、C
1
-C
4
ハロゲン化アルキル、アリルまたはプロパルギルから選択され、
前記R
8
は、水素、C
1
-C
4
アルキル、C
1
-C
4
ハロゲン化アルキルまたはC
1
-C
4
アルキルカルボニルから選択され、
R
9
は、C
1
-C
4
アルキルから選択され、
R
10
は、C
1
-C
4
アルキルから選択される。)
前記反応式において、3-アミノ-4,4,4-トリフルオロクロトネート
(IV)と置換されたアリールウレタン
(III)とを
触媒および帯水剤(water-carrying agent)または混合溶媒の存在下で反応させ、反応過程において反応系中の水と副生成物であるアルコールを継続的に蒸発して除去し、
前記帯水剤は、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、2-メチルテトラヒドロフラン、アセトニトリルのうちの1種であり、
前記混合溶媒は、帯水剤および極性非プロトン性溶媒の混合溶媒であり、混合溶媒中の帯水剤は、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、2-メチルテトラヒドロフラン、アセトニトリルのうちの1種であり、混合溶媒中の極性非プロトン性溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはN-メチルピロリドンであり、
前記帯水剤または混合溶媒の量は、式IIIで表される化合物の重量の2-20倍であり、
前記混合溶媒中の極性非プロトン性溶媒の重量は20%-70%であることを特徴とする、
製造方法。
【請求項2】
前記反応式中、
R
1およびR
2は、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立して水素、フッ素または塩素から選択され、
R
3は、水素またはC
1-C
4アルキルから選択され、
R
4は、水素であり、
R
5は、CO
2R
7から選択され、
R
6は、水素、C
1-C
4アルキルまたはC
1-C
4ハロゲン化アルキルから選択され、
R
7は、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、イソプロピル、イソブチル、tert-ブチル、トリフルオロエチル、アリル、プロパルギルから選択され、
R
9は、メチルまたはエチルであり、
R
10は、メチルまたはエチルであることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記反応過程において、アルカリを添加し、
アルカリと式IIIで
表される化合物とのモル比は0.5:1-3:1であることを特徴とする、請求項
1~2のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項4】
前記触媒は、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エンの塩、または1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エンの溶液であり、ここで、触媒の使用量は、式IIIで表される化合物の重量の0.001%-10%であることを特徴とする、請求項
1~2のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記触媒の使用量は、式IIIで表される化合物の重量の0.1%-5%であることを特徴とする、請求項
4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記アルカリは、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素セシウムのうちの1種または2種であることを特徴とする、請求項
3に記載の製造方法。
【請求項7】
前記アルカリは、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムのうちの1種または2種であり、ここで、アルカリと式IIIで表される化合物とのモル比は、0.5:1-2:1であ
ることを特徴とする、請求項
6に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除草剤中間体の製造方法に関し、具体的には、イソオキサゾリン含有ウラシル系化合物中間体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許WO2016095768には、式Iの化合物は、ヒエ、エノコログサ、タマガヤツリ、ミズガヤツリ、オヒシバ、コブナグサ、イチビ、ヒャクニチソウ、アオゲイトウ、スベリヒユ、オナモミ、イヌホオズキ、エビスグサ、ギンセンカ、ツルマメどの雑草を効果的に制御することができ、低用量下でも非常に良い除草効果を得ることができるため、農業では除草剤として使用できることが開示されている。
【化1】
式IIの化合物は、式Iの化合物の中間体である。
【0003】
式Iの化合物は優れた除草活性を有するが、式Iの一部の化合物は室温下で油状物であり、このような化合物は再結晶、蒸留などの工業方法により精製されにくいため、製品には不純物が多く、含有量が低く、外観が悪く、製品の使用に影響を与える問題がある。そのため、高含有量の式II化合物の製造方法を必要とする。高含有量の式II化合物から式I化合物を合成し、式I化合物は精製されなくても要求を満たすことができる。式II化合物は、複数回の再結晶により含有量の要求を満たすことができるが、そうすると製品の収率が大きく低下し、コストと三廃が増加する場合がある。したがって、イソオキサゾリン含有ウラシル系化合物中間体式IIを高収率、高含有量で製造する方法が必要とされる。
【0004】
特許WO2016095768には式II化合物の合成方法が開示されている。しかし、使用される閉環試薬、例えば、ジクロロメチレンジメチルアンモニウムクロリドの工業製品がなく、高価で、工業化生産を達成することができない。
【0005】
特許文献DE19543676には、式II化合物の類似体の製造方法が開示されている。この方法では、高沸点非プロトン性極性溶媒N,N-ジメチルホルムアミドまたはN-メチルピロリドンを溶媒とし、炭酸カリウムをアルカリとして反応させ、蒸留により生成したエタノールを除去し、反応終了後に減圧で溶媒を除去し、酸化、再結晶して目的生成物を得る。この方法の1つの欠点は、反応系における微量水分を反応系から効果的に除去することができず、微量の水分が原料である式III化合物の激しい加水分解を引き起こし、原料利用率が低下し、収率が低いことである。もう1つの欠点は、N,N-ジメチルホルムアミドまたはN-メチルピロリドンは、溶媒として使用される場合、反応選択性が悪く、不純物が多く、生成物を複数回再結晶する必要があり、三廃が大量に増えることである。
【0006】
特許JP2002193914Aには、上記方法を改良し、質量百分率がそれぞれ50%のN,N-ジメチルホルムアミドとトルエン混合溶媒系を還流して除水し、炭酸カリウムをアルカリとし、反応終了後、減圧して溶媒を除去し、酸化し、洗浄して目的生成物が得られる。この方法により、反応系における水がある程度除去され、加水分解生成物が抑制されたが、反応全体では、非極性帯水剤(water-carrying agent)であるルエンの添加により反応時間が長過ぎることで中間体式III化合物に異なる程度の分解現象が発生し、製品中の不純物およびタールの含有量が多く、後処理の際に複数回の再結晶を行って初めて含有量が95%以上に達することができ、生産効率が大幅に低下する。
【0007】
そのため、当該技術分野では、基質の加水分解を効果的に抑制し、反応を速め、不純物とタールの産生を減少させ、イソオキサゾリン含有ウラシル系化合物中間体を高収率・高含有量で調製できる方法を得ることが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術の不足を克服するために、本発明の目的は、イソオキサゾリン含有ウラシル系化合物中間体を高収率・高含有量で製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、以下の技術的手段を採用する。
【0010】
イソオキサゾリン含有ウラシル系化合物中間体の製造方法であって、
3-アミノ-4,4,4-トリフルオロクロトネートと置換されたアリールウレタンとを反応させ、反応過程において反応系中の水と副生成物であるアルコールを継続的に蒸発して除去し、処理してイソオキサゾリン含有ウラシル系化合物中間体が得られ、或いは
3-アミノ-4,4,4-トリフルオロクロトネートと置換されたアリールウレタンとを触媒の存在下で反応させ、反応過程において反応系中の水と副生成物であるアルコールを継続的に蒸発して除去し、処理してイソオキサゾリン含有ウラシル系化合物中間体が得られる、製造方法。
【0011】
反応式は下式である。
【化2】
(式中、R
1およびR
2は、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立して水素、フッ素または塩素から選択され、
R
3は、水素またはC
1-C
4アルキルから選択され、
R
4は、水素、CO
2R
7またはCH
2OR
8から選択され、
R
5は、水素、CO
2R
7またはCH
2OR
8から選択され、
R
6は、水素、C
1-C
4アルキルまたはC
1-C
4ハロゲン化アルキルから選択され、
R
7は、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロゲン化アルキル、アリルまたはプロパルギルから選択され、
R
8は、水素、C
1-C
4アルキル、C
1-C
4ハロゲン化アルキルまたはC
1-C
4アルキルカルボニルから選択され、
R
9は、C
1-C
4アルキルから選択され、
R
10は、C
1-C
4アルキルから選択される。)
【0012】
好ましくは、R1およびR2は、同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立して水素、フッ素または塩素から選択され、
R3は、水素またはC1-C4アルキルから選択され、
R4は、水素であり、
R5は、CO2R7から選択され、
R6は、水素、C1-C4アルキルまたはC1-C4ハロゲン化アルキルから選択され、
R7は、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、イソプロピル、イソブチル、tert-ブチル、トリフルオロエチル、アリル、プロパルギルから選択され、
R9は、メチルまたはエチルであり、
R10は、メチルまたはエチルである。
【0013】
前記式IIIで表される化合物と、式IVで表される化合物とを帯水剤(water-carrying agent)または混合溶媒の存在下で反応させ、反応過程において反応系中の水と副生成物であるアルコールを継続的に蒸発して除去し、処理してイソオキサゾリン含有ウラシル系化合物中間体が得られ、あるいは前記反応過程は、触媒の作用下で行われる。
【0014】
前記反応過程において、アルカリを添加し、アルカリと式IIIで行われる化合物とのモル比は0.5:1-3:1である。
【0015】
前記触媒は、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エンの塩、または1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エンの溶液であり、好ましくは1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エンであり、ここで、触媒の使用量は、式IIIで表される化合物の重量の0.001%-10%である。
【0016】
前記触媒の使用量は、式IIIで表される化合物の重量の0.1%-5%である。
【0017】
前記アルカリは、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素セシウムのうちの1種または2種である。
【0018】
前記アルカリは、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムのうちの1種または2種であり、ここで、アルカリと式IIIで表される化合物とのモル比は、0.5:1-2:1である。
【0019】
前記帯水剤または混合溶媒の量は、式IIIで表される化合物の重量の2-20倍であり、前記混合溶媒は、帯水剤および極性非プロトン性溶媒であり、ここで、混合溶媒中の極性非プロトン性溶媒の重量は20%-70%である。
【0020】
前記帯水剤は、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、2-メチルテトラヒドロフラン、アセトニトリルのうちの1種であり、
前記混合溶媒中の帯水剤は、トルエン、クロロベンゼン、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、2-メチルテトラヒドロフラン、アセトニトリルのうちの1種であり、混合溶媒中の極性非プロトン性溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはN-メチルピロリドンである。
【0021】
好ましくは、前記帯水剤または混合溶媒の量は、式IIIで表される化合物の重量の3-8倍であり、
前記混合溶媒は、帯水剤および極性非プロトン性溶媒であり、ここで、混合溶媒中の極性非プロトン性溶媒の重量は30%-60%である。
【0022】
前記帯水剤または混合溶媒は、さらに好ましくは以下の通りである。
帯水剤は、好ましくは、酢酸イソプロピル、メチルイソブチルケトン、アセトニトリルのうちの1種であり、混合溶媒は、好ましくは、帯水剤であるトルエン、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、メチルイソブチルケトン、2-メチルテトラヒドロフラン、アセトニトリルのうちの1種と、極性非プロトン性溶媒であるN,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはN-メチルピロリドンのうちの1種との混合溶媒である。
【0023】
上記式IVの出発物は、既知のものであるか、または既知の方法(J.Hetercycl.Chem.9(1972),513-522)により製造されたものである。
【0024】
式III化合物は、特許DE19543676に記載の方法により製造できる。
【0025】
上記の式(I、II、III、IV)化合物について使用される用語は、以下のように定義される。
アルキルは、直鎖または分岐鎖の形態であり、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチルなどが挙げられる。ハロゲン化アルキルは、直鎖または分岐鎖のアルキル上の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されたものであり、例えば、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチルなどである。アルキルカルボニルは、アルキルがカルボニルを介して構造に結合されたものであり、例えば、CH3CO-またはCH3CH2CO-などが挙げられる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の利点は、以下の通りである。
本発明は、帯水剤または混合溶媒の選択により、反応系中の水およびアルコールが継続的に除去され得るため、原料と生成物の加水分解が減少し、反応の選択性が向上する。さらに、触媒の添加により、反応時間が大幅に短縮される。両者の共同作用下で、反応選択性と原料利用率が向上し、加水分解生成物や不純物およびタールが減少し、反応時間が大幅に減少し、生産性が大きく向上し、そして、粗製品を1回再結晶すれば純度が97%以上の中間体製品を得ることができ、定量的収率は85%以上に達し、製品合成の要求を満たし、工業化生産に便利である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施例により式IIで表される化合物の製造方法を詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されない。当業者にとって、本発明には様々な変更および変化が含まれる。本発明の思想および原則の範囲内でなされる全ての修正、同等置換、改良等は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【0028】
本発明の方法によれば、反応選択性と原料利用率が大幅に向上し、加水分解生成物や不純物およびタールの産生が減少し、反応時間が大幅に減少し、生産性が大きく向上し、そして、粗製品を1回再結晶すれば純度が97%以上の中間体製品を得ることができ、定量的収率は86%以上に達し、工業化生産に便利である。
【0029】
実施例1:化合物II-1の合成
精留装置を備えた反応フラスコに3-(2-クロロ-5-((エトキシカルボニル)アミノ)-4-フルオロフェニル)-5-メチル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボン酸エチル39.3g(100mmol)、3-アミノ-4,4,4-トリフルオロクロトン酸エチル19.2g(103mmol)、炭酸カリウム10.4g(75mmol)、酢酸イソプロピル80g、N,N-ジメチルホルムアミド80g、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン1.0gを加え、撹拌しながら昇温させ、5時間還流反応させ、この間、塔頂から78℃以下の低沸点物質が少量分離された。HPLCにより反応終了まで追跡し、ほとんどの溶媒を減圧留去し、残留物を塩酸で酸性化し、pH=2-4に調節し、酢酸イソプロピルを加えて抽出し、20分間撹拌した後、下層の水層を除去し、有機層を水で1回洗浄し、水層を除去した後、酢酸イソプロピルを減圧留去し、残留物をHPLCによって正規化し、含有量は96.1%であった。エタノール水溶液で再結晶し、0-5℃で濾過し、濾過ケーキを冷エタノール水溶液でリンスして乾燥させ、41.3gの製品を得た。HPLC定量的含有量は98.3%、定量的収率は87.5%であった。
【0030】
実施例2:化合物II-1の合成
精留装置を備えた反応フラスコに3-(2-クロロ-5-((エトキシカルボニル)アミノ)-4-フルオロフェニル)-5-メチル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボン酸エチル39.3g(100mmol)、3-アミノ-4,4,4-トリフルオロクロトン酸エチル19.2g(103mmol)、炭酸カリウム10.4g(75mmol)、メチルイソブチルケトン120g、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン1.0gを加え、撹拌しながら昇温させ、10時間還流反応させ、この間、塔頂から78℃以下の低沸点物質が少量分離された。HPLCにより反応終了まで追跡し、ほとんどの溶媒を減圧留去し、残留物を塩酸で酸性化し、pH=2-4に調節し、メチルイソブチルケトンを加えて抽出し、20分間撹拌し、下層の水層を除去し、有機層を水で1回洗浄し、水層を除去した後、メチルイソブチルケトンを減圧留去し、残留物をHPLCによって正規化し、含有量は95.0%であった。エタノール水溶液で再結晶し、0-5℃で濾過し、濾過ケーキを冷エタノール水溶液でリンスして乾燥させ、41.7gの製品を得た。HPLC定量的含有量は96.0%、定量的収率は86.3%であった。
【0031】
実施例3:化合物II-2の合成
精留塔を備えた反応フラスコに(3-(2-クロロ-4-フルオロ-5-((メトキシカルボニル)アミノ)フェニル)-5-メチル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-イル)酢酸メチル39.3g(100mmol)、3-アミノ-4,4,4-トリフルオロクロトン酸エチル19.2g(103mmol)、炭酸カリウム9.1g(65mmol)、酢酸イソプロピル80g、N-メチルピロリドン80g、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン1.0gを加え、撹拌しながら昇温させ、5時間還流反応させ、この間、塔頂から78℃以下の低沸点物質が少量分離された。HPLCにより反応終了まで追跡し、ほとんどの溶媒を減圧留去し、残留物を塩酸で酸性化し、pH=2-4に調節し、酢酸イソプロピルを加えて抽出し、20分間撹拌し、下層の水層を除去し、有機層を水で1回洗浄し、水層を除去した後、酢酸イソプロピルを減圧留去し、残留物をHPLCによって正規化し、含有量は95.1%であった。エタノール水溶液で再結晶し、0-5℃で濾過し、濾過ケーキを冷エタノール水溶液でリンスして乾燥させ、42.0gの製品を得た。HPLC定量的含有量は97.1%、定量的収率は87.9%であった。
【0032】
実施例4:化合物II-2の合成
精留装置を備えた反応フラスコに(3-(2-クロロ-5-((メトキシカルボニル)アミノ)-4-フルオロフェニル)-5-メチル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-イル)酢酸メチル39.0g(100mmol)、3-アミノ-4,4,4-トリフルオロクロトン酸エチル19.2g(103mmol)、臭化テトラブチルアンモニウム3.0g、炭酸カリウム9.1g(65mmol)、トルエン80g、N,N-ジメチルホルムアミド80gを加え、撹拌しながら昇温させ、25時間還流反応させ、この間、塔頂から80℃以下の低沸点物質が少量分離された。HPLCにより反応終了まで追跡し、ほとんどの溶媒を減圧留去し、残留物を塩酸で酸性化し、pH=2-4に調節し、トルエンで抽出し、20分間撹拌し、下層の水層を除去し、有機層を水で1回洗浄し、水層を除去した後、トルエンを減圧留去し、残留物をHPLCによって正規化し、含有量は86%であった。エタノール水溶液を3回再結晶し、0-5℃で濾過し、濾過ケーキを冷エタノール水溶液でリンスして乾燥させ、24.2gの製品を得た。HPLC定量的含有量は96.1%、定量的収率は50.1%であった。
【0033】
実施例5:化合物II-2の合成
精留塔を備えた反応フラスコに(3-(2-クロロ-4-フルオロ-5-((メトキシカルボニル)アミノ)フェニル)-5-メチル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-イル)酢酸メチル3.1Kg(8mol)、3-アミノ-4,4,4-トリフルオロクロトン酸エチル1.5Kg(8.1mol)、炭酸カリウム0.75Kg(5.5mol)、酢酸イソプロピル70Kg、N,N-ジメチルホルムアミド60Kg、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン0.06Kgを加え、撹拌しながら昇温させ、5時間還流反応させ、この間、塔頂から78℃以下の低沸点物質が少量分離された。HPLCにより反応終了まで追跡し、ほとんどの溶媒を減圧留去し、残留物を塩酸で酸性化し、pH=2-4に調節し、酢酸イソプロピルを加えて抽出し、20分間撹拌し、下層の水層を除去し、有機層を水で1回洗浄し、水層を除去した後、酢酸イソプロピルを減圧留去し、残留物をHPLCによって正規化し、含有量は94.5%であった。エタノール水溶液で再結晶し、0-5℃で濾過し、濾過ケーキを冷エタノール水溶液でリンスして乾燥させ、3.3Kgの製品を得た。HPLC定量的含有量は97.0%、定量的収率は86.3%であった。
【0034】
実施例6:化合物I-3の合成
得られた上記化合物II-2(3-(2-クロロ-5-(2,6-ジオキシ-4-トリフルオロメチル-3,6-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-フルオロフェニル)-5-メチル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-イル)酢酸メチル33.4g(0.07mol,定量的含有量97.2%))、炭酸水素ナトリウム7.10g(0.084mol)、ジクロロメタン150g、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン3.0gをオートクレーブに入れ、クロロメタン5.0gを導入し、撹拌を起動し、70-80℃に昇温させ、圧力計に0.4Mpaが表示させ、11時間反応させた。20℃に降温し、オートクレーブ内の圧力を解放し、過量のクロロメタンを回収し、オートクレーブに水50gを加え、10分間撹拌し、その後、層分離して水層を除去し、有機層を50g水で1回洗浄し、有機層を濾過して少量の不溶物を除去し、減圧で脱溶媒して油状物33.9gを得た。定量的含有量は93.5%、収率は94.5%であった。
【0035】
上記実施例1、2、3、4で得られた化合物の具体構造を下表に示す
【表1】
【0036】
比較実施例1:化合物II-2の合成
精留装置を備えた反応フラスコに(3-(2-クロロ-5-(メトキシカルボニル)アミノ)-4-フルオロフェニル)-5-メチル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-イル)酢酸メチル39.0g(100mmol)、3-アミノ-4,4,4-トリフルオロクロトン酸エチル19.2g(103mmol)、炭酸カリウム9.1g(65mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド100gを加え、撹拌しながら昇温させ、130℃で4時間反応させ、HPLCにより反応終了まで追跡し、ほとんどの溶媒を減圧留去し、残留物を塩酸で酸性化し、pH=2-4に調節し、メチルイソブチルケトンで抽出し、20分間撹拌し、下層の水層を除去し、有機層を水で1回洗浄し、水層を除去した後、メチルイソブチルケトンを減圧留去し、残留物をHPLCによって正規化し、含有量は42.2%であった。
【0037】
比較実施例2:化合物II-2の合成
精留装置を備えた反応フラスコに(3-(2-クロロ-5-((メトキシカルボニル)アミノ)-4-フルオロフェニル)-5-メチル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール)酢酸メチル39.0g(100mmol)、3-アミノ-4,4,4-トリフルオロクロトン酸エチル19.2g(103mmol)、炭酸カリウム9.1g(65mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド100gを加え、撹拌しながら昇温させ、塔頂から反応系に微負圧を加え、反応系中の水および副生成物エタノールを除去し、105℃で18時間反応させ、ほとんどの溶媒を減圧留去し、残留物を塩酸で酸性化し、pH=2-4に調節し、メチルイソブチルケトンで抽出し、20分間撹拌し、下層の水層を除去し、有機層を水で1回洗浄し、水層を除去した後、メチルイソブチルケトンを減圧留去し、残留物をHPLCによって正規化し、含有量は64.3%であった。
【0038】
上記実施例および比較例から分かるように、本発明のイソオキサゾリン含有ウラシル系化合物中間体の製造方法では、原料が入手されやすく、条件が温和で、帯水剤または混合溶媒により反応系中の水およびアルコールが連続的に除去され得るため、原料および製品の加水分解が低減し、反応の選択性が向上するとともに、触媒の添加により反応時間が大幅に短縮され、両者の共同作用下で原料の利用率が向上し、加水分解生成物、不純物およびタールが減少し、反応時間が大幅に短縮され、生産性が大幅に向上し、工業生産に便利である。