(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】集積抵抗ネットワークおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20240910BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
H01L27/04 P
(21)【出願番号】P 2023501098
(86)(22)【出願日】2021-07-06
(86)【国際出願番号】 US2021040419
(87)【国際公開番号】W WO2022010827
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-03-06
(32)【優先日】2020-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522029730
【氏名又は名称】インフィニオン テクノロジーズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Infineon Technologies LLC
【住所又は居所原語表記】198 Champion Court, San Jose, CA 95134, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】オレン シュロモ
【審査官】石川 雄太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0100489(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0305789(US,A1)
【文献】特開2010-103508(JP,A)
【文献】特開2010-182954(JP,A)
【文献】特表平10-508460(JP,A)
【文献】特開2015-154097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 27/04
H03M 1/00-1/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流源に直列に結合された集積抵抗ネットワークであって、前記集積抵抗ネットワークは、
上部コンタクトと底部コンタクトとの間に直列に結合された第1の数(n)の第1の集積抵抗を含む抵抗はしごであって、1つまたは複数のコンタクトは、2つの隣接する第1の集積抵抗の間に結合され、nは、自然数である抵抗はしごと、
前記上部コンタクトと前記底部コンタクトとの間に並列に結合された第2の数の第2の集積抵抗と、
前記第2の集積抵抗と前記上部コンタクトまたは前記底部コンタクトの一方との間に直列に結合された第3の数の第3の集積抵抗と、
を備え、
前記第1の集積抵抗の各々にわたり印加される電圧は、V
TOP-BOT/nであり、V
TOP-BOTは、前記上部コンタクトと前記底部コンタクトとの間に印加される電圧である、
集積抵抗ネットワーク。
【請求項2】
前記第1、第2および第3の集積抵抗の各々は、実質的に等しい幅、長さおよび抵抗値Rを有する、
請求項1に記載の集積抵抗ネットワーク。
【請求項3】
前記第2の集積抵抗の前記第2の数は、n-1であり、前記第3の集積抵抗の前記第3の数は、1であり、前記第1、第2および第3の集積抵抗の総数は、2nである、
請求項1に記載の集積抵抗ネットワーク。
【請求項4】
前記第1、第2および第3の集積抵抗によって占められる集積回路(IC)チップの表面上の面積は、2n×Aであり、Aは、前記第1、第2または第3の集積抵抗の1つの面積である、
請求項3に記載の集積抵抗ネットワーク。
【請求項5】
前記第1の集積抵抗の各々にわたり印加される前記電圧の電圧分解能は、全部でn
2個の集積抵抗を備えるn
2の集積抵抗ネットワークの各集積抵抗にわたり印加される電圧の電圧分解能に実質的に等しい、
請求項4に記載の集積抵抗ネットワーク。
【請求項6】
前記集積抵抗ネットワークの総キャパシタンスは、前記n
2の集積抵抗ネットワークの総キャパシタンスに対して、2n/n
2倍に減少する、
請求項5に記載の集積抵抗ネットワーク。
【請求項7】
電流源に直列に結合された抵抗ネットワークを用いて電圧を分解する方法であって、前記方法は、
上部コンタクトと底部コンタクトとの間に結合された前記抵抗ネットワークの電圧発生部を提供するステップであって、前記電圧発生部は、前記上部コンタクトと前記底部コンタクトとの間に直列に結合された第1の数(n)の第1の集積抵抗を有する抵抗はしごを含み、1つまたは複数のコンタクトは、隣接する個々の集積抵抗の間に結合されるステップと、
前記上部コンタクトと前記底部コンタクトとの間に前記電圧発生部に並列に結合された抵抗パスを提供するステップと、
前記上部コンタクトと前記底部コンタクトとの間に電圧(V
TOP-BOT)を印加するステップと、
を含み、
電流は、前記電圧発生部を通りかつ前記抵抗パスを通り流れ、
電圧V
TOP-BOT/nは、電流が流れる前記電圧発生部内の前記第1の集積抵抗の各々にわたり印加される、
方法。
【請求項8】
前記抵抗パスを提供するステップは、並列に結合された第2の数の第2の集積抵抗と、前記上部コンタクトと前記底部コンタクトとの間に前記第2の数の第2の集積抵抗に直列に結合された第3の数の第3の集積抵抗と、を含む電流パスを提供することを含み、
前記第1、第2および第3の集積抵抗の各々は、抵抗値Rを有する、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1、第2および第3の集積抵抗の各々は、実質的に等しい幅および長さを有し、抵抗値Rを有する、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の集積抵抗の前記第2の数は、n-1であり、前記第3の集積抵抗の前記第3の数は、1であり、前記第1、第2および第3の集積抵抗の総数は、2nである、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第1、第2および第3の集積抵抗によって占められる集積回路(IC)チップの表面上の面積は、2n×Aであり、Aは、前記第1、第2または第3の集積抵抗の1つの面積である、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の集積抵抗の各々にわたり印加される前記電圧の電圧分解能は、全部でn
2個の集積抵抗を備えるn
2の集積抵抗ネットワークの各集積抵抗にわたり印加される電圧の電圧分解能に実質的に等しい、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記集積抵抗ネットワークの総キャパシタンスは、前記n
2の集積抵抗ネットワークの総キャパシタンスに対して、2n/n
2倍に減少する、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
温度検出のシステムであって、前記システムは、
低い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワークに直列に結合された電流源を備え、前記抵抗ネットワークは、
上部コンタクトと底部コンタクトとの間に直列に結合された第1の数(n)の第1の集積抵抗を有する抵抗はしごを含む電圧発生部であって、1つまたは複数のコンタクトは、隣接する個々の集積抵抗の間に結合される電圧発生部と、
前記電圧発生部に並列に結合された電流パスであって、並列に結合された第2の数の第2の集積抵抗と、前記上部コンタクトと前記底部コンタクトとの間に前記第2の数の第2の集積抵抗に直列に結合された第3の数の第3の集積抵抗と、を含む電流パスと、
を備え、
前記第1、第2および第3の集積抵抗の各々は、抵抗値Rを有し、前記電圧発生部内の前記第1の集積抵抗の各々にわたり印加される電圧は、V
TOP-BOT/nであり、V
TOP-BOTは、前記上部コンタクトと前記底部コンタクトとの間に印加される電圧である、
システム。
【請求項15】
前記システムは、前記電流源と前記低い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワークとの間に直列に結合された高い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワークをさらに備え、
前記低い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワークは、前記高い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワークより大きな分解能で温度を検出することができる、
請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1、第2および第3の集積抵抗の各々は、実質的に等しい幅および長さを有する、
請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記第2の集積抵抗の前記第2の数は、n-1であり、前記第3の集積抵抗の前記第3の数は、1であり、前記第1、第2および第3の集積抵抗の総数は、2nである、
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記集積抵抗によって占められる集積回路(IC)チップの表面上の面積は、2n×Aであり、Aは、前記集積抵抗の1つの面積である、
請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記抵抗はしごの前記集積抵抗の各々にわたり印加される前記電圧の電圧分解能は、全部でn
2個の集積抵抗を備えるn
2の集積抵抗ネットワークの各集積抵抗にわたり印加される電圧の電圧分解能に実質的に等しい、
請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記集積抵抗ネットワークの総キャパシタンスは、前記n
2の集積抵抗ネットワークの総キャパシタンスに対して、2n/n
2倍に減少する、
請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2020年12月20日に出願された米国非仮特許出願第17/113,501号の国際出願である。この出願は、2020年7月7日に出願された米国仮特許出願第63/048975号の特許法119(e)に従う優先権の利益を主張し、その全体は、参照によって本願明細書に完全に組み込まれる。
【0002】
技術分野
この開示は、概して、抵抗ネットワークに関するものであり、特に、集積回路(IC)内に集積して形成され、IC内の分圧器として用いられるとき、減少した面積および/または改善された電圧分解能を有する抵抗ネットワークならびにその設計、製造および使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
集積抵抗ネットワークは、半導体基板またはチップ上に集積回路(IC)の他の要素とともに形成される複数の独立した集積抵抗を含むことができ、例えば、電圧制御ループおよび温度検出器システムを含む広範囲の用途で用いられる分圧器として用いられる。
【0004】
集積抵抗は、典型的には、基板の表面上または表面内に形成される半導体材料のバルクまたはシート抵抗を用いて製造され、一般的に、導電性材料または半導体材料の薄膜またはエピタキシャル層を堆積およびパターニングすることによって、または、基板の表面内にドーパントを拡散することによって製造される。概して、単一の集積抵抗のために、オーム抵抗値(R)は、
R=Rs・l/w
によって表され、Rsはパターン層または拡散領域のシートまたはバルク抵抗値(Ω/□)であり、lは長さであり、wは抵抗を通る伝導パスの幅である。同じ幅対長さ(W/L)比率を有するが、同じ正確な幅(W)および長さ(L)を有していない2つの抵抗が、一致した抵抗値を有さない点に注意することは重要である。したがって、抵抗間の抵抗を変えるとき、および、さらに重要なことに、抵抗間の抵抗値を一致させるとき、概して、単に抵抗の物理的寸法だけではなく、一致された抵抗の数または多様性を変えることが望ましい。
【0005】
図1は、上部コンタクト104と底部コンタクト106との間の抵抗値Rを有する単一のモノリシックの集積抵抗102の概略図である。
図2は、n個のR/nの抵抗はしご202の概略図であり、抵抗はしご202は、全抵抗値Rを有し、上部コンタクト204と底部コンタクト206と間に形成され、数(n)の個々の集積抵抗208を含み、集積抵抗208の各々は、抵抗値R/nを有し、間にコンタクト210を有し、分圧器を形成する。例えば、抵抗はしご全体に1Vをかけることによって形成される分圧器に関して、抵抗はしごが10個(n=10)の個々の集積抵抗および11個のコンタクトを含む場合、分圧器は、100ミリボルト(mV)から1Vまで100mVの増分で電圧を提供することができる。ただし、個々の集積抵抗の抵抗値は等しく、コンタクトの任意の抵抗値は等しいか無視できると仮定する。しかしながら、実際には、製造プロセスにおける変化に起因して、個々の集積抵抗の抵抗値およびコンタクトは、しばしば等しくはなく、コンタクトの抵抗値は、しばしば、コンタクト抵抗値より1桁または2桁だけ大きい抵抗値を有する小さい抵抗にとって、または、低いシート抵抗値を有する抵抗にとって無視できない。
【0006】
より重要なことに、設計実践において一般的に知られているように、抵抗を通る伝導パスの幅対長さの比率が同じである場合であっても、個々の集積抵抗の抵抗値は、物理的な寸法における変化、および、特に、拡大・縮小された抵抗の長さまたは幅の違いに起因して拡大・縮小しない。すなわち、単一のモノリシックの集積抵抗102のサイズの1/10の寸法を有する個々の集積抵抗のために、すなわち、モノリシックの集積抵抗の1/10の長さまたは10倍の幅、または、数学的に、単一のより大きい抵抗の抵抗値の十分の一(1/10)の抵抗値に結果としてなる長さまたは幅のなんらかの組み合わせは、実際には、モノリシックの集積抵抗102の抵抗値の1/10の抵抗値を生ずるというわけではない。
【0007】
図3に、集積抵抗ネットワークの電圧分解能を増加させながら、拡大・縮小(スケーリング)問題を回避する従来の方法が概略的に示される。
図3を参照すると、抵抗ネットワーク302は、多くの個々の集積抵抗304を含むn×nすなわちn
2の配置、または、直列のn個の抵抗のn列306および並列の抵抗のn行308のアレイで配置され、複数のコンタクト310a-nのうちの上部コンタクト310aから底部コンタクト310nまでのn
2アレイのために全抵抗値Rを提供し、各列のための抵抗値はR/nである。したがって、各列全体の電圧は、V
TOP-BOT/nに等しく、V
TOP-BOTは、上部コンタクト310aから底部コンタクト310bまでの全抵抗ネットワーク302にわたり印加される電圧であり、nは列の数である。この方法は、拡大・縮小問題を解決するが、基板上の抵抗ネットワーク302のための表面積または取り付け面積をn
2倍に増加させる。さらに、基板に対して、または、各抵抗とコンタクト310a-nとの間の各抵抗の全寄生容量は、単一の抵抗よりn
2倍大きく、これは、抵抗ネットワーク302および/またはそれが用いられるICの性能に悪影響を与えうる。
【0008】
したがって、複数の個々の集積抵抗を含む抵抗ネットワークが分圧の分解能を改善し、個々の集積抵抗の数を減少させる構造または配置を有し、このことにより、抵抗ネットワークの表面積または取り付け面積および寄生容量を最小化する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
減少した面積および/または改善された電圧分解能を有する抵抗ネットワークならびにその設計および動作方法が提供される。概して、抵抗ネットワークは、上部コンタクトと底部コンタクトとの間に直列に結合された第1の数(n)の第1の集積抵抗を有する抵抗はしごを含み、1つまたは複数のコンタクトは、隣接する抵抗の間に結合される。第2の数の第2の集積抵抗は、上部コンタクトと底部コンタクトとの間に並列に結合され、第3の数の第3の集積抵抗は、第2の集積抵抗と上部コンタクトまたは底部コンタクトの一方との間に直列に結合される。集積抵抗の各々が、それらが置き換える従来のn2アレイの行または列内の抵抗と実質的に同じ抵抗値Rおよび寸法を有する場合、第1の集積抵抗の各々にわたり印加される電圧は、VTOP-BOT/nであり、VTOP-BOTは、上部コンタクトと底部コンタクトとの間に印加される電圧である。
【0010】
抵抗ネットワークは、単一のICチップ上の集積回路(IC)、例えば、基準電圧源、電圧制御ループ、抵抗値ベースの温度検出器システムおよびアナログブロックの一部として用いられる任意の抵抗はしごベースの分圧器として実施される用途またはシステムに特に有用である。
【0011】
いくつかの実施形態において、第2の集積抵抗の第2の数は、n-1であり、第3の集積抵抗の第3の数は、1であり、抵抗の総数は、2nである。第1、第2および第3の集積抵抗の各々が、ICチップの表面上の面積Aを占める場合、集積抵抗ネットワークの第1、第2および第3の集積抵抗によって占められる総面積は、2n×Aである。したがって、第1の集積抵抗の各々にわたり印加される電圧の電圧分解能は、全部でn2個の集積抵抗を有する、ICチップの表面上の面積n2Aを占めるn2の集積抵抗ネットワークの各集積抵抗にわたり印加される電圧の電圧分解能に実質的に等しく、Aは、集積抵抗の各々によって占められる面積に実質的に等しく、その結果、n2の集積抵抗ネットワークの単一の抵抗のWおよびLの元の値を維持する。
【0012】
他の態様において、減少した数の抵抗を有するおよび/または減少した基板表面面積を占める集積抵抗ネットワークを動作する方法が提供される。概して、方法は、上部コンタクトと底部コンタクトとの間に結合された抵抗ネットワークの電圧発生部を提供するステップから開始する。電圧発生部。次に、上部コンタクトと底部コンタクトとの間に電圧発生部に並列に結合された抵抗パスが提供される。上部コンタクトと底部コンタクトとの間に印加される電圧(Vtop-bot)によって、電流は、電圧発生部を通りかつ抵抗パスを通り並列に流れ、電圧発生部内の集積抵抗の各々にわたりVtop-bot/nの電圧を印加し、抵抗パスの助けを借りて等価な抵抗値Rを提供する。
【0013】
以下、本発明の実施形態は、単なる例として、対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略図面を参照して記載される。さらに、本願明細書に組み込まれ、明細書の一部を形成する添付の図面は、本発明の実施形態を示し、説明とともに、本発明の原理を説明し、当業者が本発明を作成し使用することができるようにさらに機能する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】抵抗値Rを有する従来の集積抵抗の概略図である。
【
図2】分圧器の使用に適しており、複数の集積抵抗および/またはコンタクトを含み、電圧分解能を増加させる従来の抵抗はしごの概略図である。
【
図3】n×n(n
2)の配置の複数の集積抵抗を含み、電圧分解能を増加させる従来の抵抗ネットワークの概略図である。
【
図4】
図4Aは、基板の表面上に形成される薄膜またはエピタキシャル集積抵抗およびそのコンタクトの断面図であり、
図4Bは、拡散によって基板の表面内に形成される他の集積抵抗およびそのコンタクトの断面図であり、
図4Cは、
図4Aまたは
図4Bの集積抵抗およびそのコンタクトの平面図である。
【
図5】2nの配置の複数の集積抵抗を含み、電圧分解能を増加させながら、
図3に示されるものからオーバヘッド面積を減少させる抵抗ネットワークの概略図である。
【
図6】従来のn
2の抵抗ネットワークの基板上の表面積を示すブロック図である。
【
図7】
図6のn
2の抵抗ネットワークと同じ電圧分解能を有する2nの抵抗ネットワークの基板上の表面積を示すブロック図である。
【
図8】
図5の2nの抵抗ネットワークを用いて電圧分解能を増加させる方法のフローチャートである。
【
図9】2nの抵抗ネットワークを含む温度検出器システムのブロック図である。
【
図10】全部で(1.25n+3.5)個の抵抗を有し、
図5の2nの抵抗ネットワークからオーバヘッド面積をさらに減少させる第1の代替の抵抗ネットワークの概略図である。
【
図11】全部で(1.25n+5)個の抵抗を有し、
図5の2nの抵抗ネットワークからオーバヘッド面積をさらに減少させる他の代替の抵抗ネットワークの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
減少した面積および/または改善された電圧分解能を有する集積抵抗ネットワークならびにその設計および動作方法が提供される。集積抵抗ネットワークおよびその動作方法は、単一のICチップ上の集積回路(IC)、例えば、基準電圧源、電圧制御ループ、抵抗値ベースの温度検出器システムおよびアナログブロックの一部として用いられる任意の抵抗はしごベースの分圧器として実施される用途またはシステムにおいてまたはこれによって特に有用である。
【0016】
以下の記載において、説明のために、多数の具体的な詳細は、本発明の完全な理解を提供するために記載される。しかしながら、本発明がこれらの具体的な詳細なしで実施されうることは、当業者に明らかである。他の例において、周知の構造および技術は、この説明の理解を不必要に不明瞭にすることを回避するために詳細に示されないかまたはブロック図形式には示されない。
【0017】
「一実施形態」に対する記載の参照は、その実施形態に関連して記載されている特定の特徴、構造または特性が本発明の少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。明細書の種々の場所に現れる「一実施形態において」というフレーズは、必ずしもすべて同じ実施形態を参照するというわけではない。本願明細書で用いられる結合に対する用語は、2つ以上の構成要素または要素を直接電気的に接続すること、および、1つまたは複数の介在する構成要素を通して間接的に接続することの両方を含みうる。
【0018】
集積抵抗は、典型的には、基板の表面上または表面内に形成される半導体材料のバルクまたはシート抵抗を用いて製造され、一般的に、導電性材料または半導体材料の薄膜またはエピタキシャル層を堆積およびパターニングすることによって、または、基板の表面内にドーパントを拡散することによって製造される。
図4Aは、基板408の表面406上に堆積される薄膜またはエピタキシャル層404から形成される集積抵抗402およびコンタクト410の断面図である。
図4Bは、拡散領域412によって基板408の表面406内に形成される集積抵抗402およびコンタクト410の他の実施形態の断面図である。
図4Cは、
図4Aまたは
図4Bの集積抵抗402の平面図である。パターン層404または拡散領域412は、コンタクト410の間に実質的に直線または矩形の形状を有することができ、または、
図4Cに示すように結果としてより高い抵抗値のより大きい有効長になるジグザグ形状を有することができる。
【0019】
図5は、基板(図示せず)の表面上の2nの配置の複数の集積抵抗を含む集積抵抗ネットワークの概略図である。
図5を参照すると、抵抗ネットワーク500は、上部コンタクト506と底部コンタクト508との間に直列に結合された第1の数(n)の第1の集積抵抗504を有する抵抗はしご502を含む第1の抵抗パスと、上部コンタクトと底部コンタクトとの間に並列に結合された第2の数の第2の集積抵抗510および第2の集積抵抗と上部コンタクトまたは底部コンタクトの一方との間に直列に結合された第3の数の第3の集積抵抗512を含む第2の抵抗パスと、を含む。概して、実施形態で示されるように、抵抗ネットワーク500は、抵抗はしご502内の第1の集積抵抗504の隣接する個々の間に結合された1つまたは複数のコンタクト514をさらに含み、上部コンタクトと底部コンタクトとの間に印加された電圧(V
TOP-BOT)より少ない増分の電圧を提供する。
【0020】
第1、第2および第3の集積抵抗504、510、512の各々は、類似または実質的に等しい幅および長さを有し、実質的に同じシート抵抗を有するプロセスおよび材料を用いて製造され、実質的に等しい抵抗値Rを有する抵抗を提供するので、抵抗はしご502内の第1の集積抵抗504の各々にわたり印加される電圧は、V
TOP-BOT/nである。加えて、第1の集積抵抗504の第1の数はnであり、第2の集積抵抗510の第2の数はn-1であり、第3の集積抵抗512の第3の数は1であり、第1、第2および第3の集積抵抗の総数は2nである。
図5に示されるような2nの抵抗ネットワーク500について、上部コンタクト506から底部コンタクト508までの2nの抵抗ネットワーク全体の等価な抵抗値(R
EQ-TOP-BOT)は、
図3に示すように、複数の集積抵抗304を含み、各々が等しい抵抗値を有し、n×n(n
2)の配置で配置される抵抗ネットワーク302の抵抗値に実質的に等しい。これは、n
2の抵抗ネットワーク302のすべての抵抗の抵抗値が等しく、nは、n
2の抵抗ネットワークの内の行308および列306の数であり、各行のための抵抗値はR/nであり、上部コンタクト310aから底部コンタクト310nまでのn
2の抵抗ネットワーク全体の等価な抵抗値(R
EQ-TOP-BOT)は、n×R/nすなわちRであるからである。ここで、Rは、各抵抗304のための抵抗値であり、nは、各行308および列306の個々の抵抗の数である。
【0021】
図5に示されるように、2nの抵抗ネットワーク500のために、R
EQ-TOP-BOTは、以下に等しい。
【数1】
ここで、Rは、第1、第2および第3の集積抵抗504、510、512の各々の抵抗値であり、nは、抵抗はしご502内の第1の集積抵抗の第1の数である。
【0022】
上述したことから、抵抗はしご502内の第1の集積抵抗の各々にわたり印加される電圧は、V
TOP-BOT/nであり、n
2の抵抗ネットワーク302の各行308にわたり印加される電圧に等しいことを理解されたい。したがって、2nの抵抗ネットワーク500は、
図3の従来のn
2の抵抗ネットワーク302と実質的に同じまたは等価な電圧分解能を提供し、n≧3の任意の値のために、2nの抵抗ネットワーク500において必要な個々の抵抗の数を著しく減少する。例えば、nが10である場合、n
2の抵抗ネットワーク302は、100個の別々の抵抗304を必要とするが、2nの抵抗ネットワーク500は、たった20個の個々の抵抗、すなわち80%の減少で同じ電圧分解能を提供する。さらに、n
2の抵抗ネットワーク302の抵抗の数は、二次曲線的に増加するので、同じ電圧分解能を有する2nの抵抗ネットワーク500のための抵抗の数も二次曲線的に減少する。したがって、nが100である場合、n
2の抵抗ネットワーク302は、10,000個の別々の抵抗304を必要とするが、2nの抵抗ネットワーク500は、たった200個の個々の抵抗、すなわち98%の減少で同じ電圧分解能を提供する。
【0023】
加えて、第1、第2および第3の集積抵抗504、510、512の各々は、実質的に等しい幅および長さを有し、各々は、それらが製造される基板の表面上の実質的に同じ面積を占めるので、2nの抵抗ネットワーク500は、実質的に同様のサイズの抵抗を有し、同じ電圧分解能を提供する
図3の従来のn
2の抵抗ネットワーク302と比較して、2nの抵抗ネットワークのための基板上の表面積または取り付け面積の著しい減少を提供する。
図6および
図7に示した例示的な実施形態を参照して、表面積のこの減少が記載されている。
【0024】
図6は、基板602上に形成される従来のn
2の抵抗ネットワーク600の表面積の例示的な実施形態を示すブロック図であり、n
2の抵抗ネットワーク600は、直列のn個の抵抗のn列606および並列の抵抗のn行608のn×n(n
2)の配置で配置される複数の集積抵抗604を含み、上部コンタクト610から底部コンタクト612までの抵抗ネットワークに全抵抗値Rを提供する。実施形態に示されるように、nが10に等しい場合、個々の集積抵抗604の総数は100であり、集積抵抗によって占められる基板602の表面積は、n
2×Aすなわち100×Aであり、Aは、単一の集積抵抗によって占められる面積である。
【0025】
図7は、
図6のn
2の抵抗ネットワークの集積抵抗604と同じ抵抗値(R)および物理的寸法を有する集積抵抗を含む、すなわち、各々同じ長さおよび幅を有し、同じ面積(A)を占める2nの抵抗ネットワーク700の基板上の表面積を示すブロック図である。
図5に関して図示および記載される2nの抵抗ネットワーク500の実施形態と同様に、抵抗ネットワーク700は、上部コンタクト704と底部コンタクト706との間に直列に結合された第1の数(n)の第1の集積抵抗702と、上部コンタクトと底部コンタクトとの間に並列に結合された第2の数(n-1)の第2の集積抵抗708と、第2の集積抵抗と上部コンタクトとの間に直列に結合された第3の集積抵抗710と、を含む。上述したように、nが10に等しい場合、2nの抵抗ネットワーク700は、
図6のn
2の抵抗ネットワークと同じ電圧分解能を提供するために、20個の個々の抵抗702のみを必要とする。したがって、集積抵抗702、708、710によって占められる基板712の表面積は、2nAすなわち20Aであり、表面積は、80パーセント減少する。
【0026】
さらに、n2の抵抗ネットワーク600内の集積抵抗604によって占められる数およびそれゆえ面積は、二次曲線的に増加するので、同じ電圧分解能を有する2nの抵抗ネットワーク700のための集積抵抗702、708、710によって占められる表面積も二次曲線的に減少する。したがって、nが100である場合、n2の抵抗ネットワーク600の集積抵抗は、10,000×Aの面積を占め、2nの抵抗ネットワーク700は、たった200×A、すなわち98%減少した面積を占めながら、同じ電圧分解能を提供する。
【0027】
あるいは、抵抗ネットワークに割り当てられる基板上の面積が一定に保持されている、すなわちn2の抵抗ネットワークに必要な同じ面積が2nの抵抗ネットワークのために用いられる他の実施形態において、2nの抵抗ネットワーク内の抵抗の数は、増加した電圧分解能を提供するために増加することができる。例えば、nが10に等しく、100×Aの面積を占めるn2の抵抗ネットワークのために、nが50に等しく、100×Aの面積を占める2nの抵抗ネットワークが製造可能であり、電圧分解能を5倍に増加させる。
【0028】
図8のフローチャートを参照して、基板の表面上の抵抗ネットワークの面積または取り付け面積を減少および/または維持しながら、電圧分解能を増加および/または維持するために2nの抵抗ネットワークを動作する方法が記載されている。
図8を参照すると、方法は、上部コンタクトと底部コンタクトとの間に結合された抵抗ネットワークの電圧発生部を提供するステップから開始する(ステップ802)。概して、
図5を参照して上述したように、電圧発生部は、上部コンタクト506と底部コンタクト508との間に直列に結合された第1の数の第1の集積抵抗および隣接する直列結合された抵抗の間に結合された1つまたは複数の追加のコンタクト514を有する抵抗はしご502を含む。追加の抵抗パスは、上部コンタクトと底部コンタクトとの間に電圧発生部に並列に結合される(ステップ804)。電流パスは、概して、並列に結合された第2の数の第2の集積抵抗510と、上部コンタクト506と底部コンタクト508と間に第2の数の第2の集積抵抗に直列に結合された第3の数の第3の集積抵抗512と、を含む。次に、電圧(V
TOP-BOT)は、上部コンタクトと底部コンタクトとの間またはこれらにわたり印加され(ステップ806)、電流は、電流パスおよび電圧発生部を通り並列に流れさせられる(ステップ808)。最後に、電圧は、電圧発生部(抵抗はしご502)内の第1の集積抵抗の各々にわたり印加される(ステップ810)。
図5を参照して上述したように、第1の集積抵抗の各々にわたり印加される電圧は、V
TOP-BOT/nであり、V
TOP-BOTは、上部コンタクトと底部コンタクトとの間に印加される電圧であり、nは、上部コンタクトと底部コンタクトとの間に結合された電圧発生部内の第1の集積抵抗の数である。
【0029】
集積抵抗ネットワークおよびその動作方法は、単一のICチップ上の集積回路、例えば、基準電圧源、電圧制御ループ、抵抗値ベースの温度検出器システムおよびアナログブロックの一部として用いられる任意の抵抗はしごベースの分圧器として実施される用途またはシステムにおいてまたはこれによって特に有用である。
図9のブロック図を参照して、以下、この種の2nの抵抗ネットワークを含む抵抗値ベースの温度検出器システムが記載されている。
【0030】
図9を参照すると、温度検出器システム900は、分圧器に似ている構造で配置される複数の直列接続の抵抗を含むが、抵抗値が均一に分散されていないという点で異なり、電圧を強制する代わりに、電流は、直列接続の抵抗を通り流れさせられる。電流源902から直列接続の抵抗にもたらされる電流は、温度の関数であり、温度の変化とともにほぼ線形に変化する。温度は、直列接続の抵抗の間の異なるノードでの電圧を一定の基準電圧(V
ref)と比較することによって測定される。図示した実施形態において、直列接続の抵抗は、第1のマルチプレクサ906を通して第1の比較器908に接続される、高い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワーク904内の第1の数の直列接続抵抗(Rt0-Rtn)と、2Nの抵抗ネットワーク912を含み、第2のマルチプレクサ914を通して第2の比較器916に接続される、低い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワーク910内の第2の数の直列接続の抵抗と、を含む。高い範囲とは、高い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワーク904が、低い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワーク910のより小さいかより微細な増分より大きいかまたは粗い増分で、温度を検出および測定することができることを意味する。
【0031】
概して、
I=A×T
であり、Iは電流であり、Tはチップの温度であり、Aは電流の微分係数であり、プラスである(PTATそれゆえIはIPTATである)。
【0032】
全温度動作範囲では、高い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワーク904の一番上のノードで測定される電圧(VTOP)は、VTOP_LOW_TEMP=IPTAT_LOW_TEMP×RTOP-BOTからVTOP_HIGH_TEMP=IPTAT_HIGH_TEMP×RTOP-BOTに変化する。したがって、電圧VTOPは、VTOP(temp)=IPTAT(temp)×RTOP-BOTであるから、温度は、値VTOPの変化に従って検出および測定が可能である。したがって、高い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワーク904内の抵抗(Rt0-Rtn)の間および低い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワーク内の抵抗(R1-Rn)の間の電圧を、一定の基準電圧(Vref)と比較することによって、温度を検出することができる。
【0033】
高い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワーク904および低い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワーク910はそのように設計されるので、特定の温度が交差(cross)されるとき、特定のノードから生成される電圧は、V
refと交差し、V
refより高く、V
refに接続され、かつ、高い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワークまたは低い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワークに、関連するマルチプレクサ906または914を通して接続される第1の比較器908または第2の比較器916は、特定のノードからくる1つまたは複数の電圧がV
refと交差したことを示す。次に、温度は、比較される電圧が依然としてV
refより高い、高い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワーク904および低い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワーク910のなかで最も低いノードを強調することによって決定される。概して、高い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワーク904および低い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワーク910は、異なる数の直列接続の抵抗を有し、それゆえ、異なる全抵抗値を有するが、各々は、実質的に等しい抵抗値Rを有する実質的に等しいサイズの抵抗を用いる。すなわち、
図9に示される抵抗(Rt0からRtn)の各々の抵抗値は、必ずしも等しいというわけではないが、類似の基本的な抵抗値Rから生成される。したがって、抵抗の各々が抵抗値Rを有するものとして示されるが、高い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワークおよび低い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワークの組み合わせの全体の直列抵抗値は、抵抗値Rn+1を有し、高い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワークは、抵抗値R×mを有し、mは任意の実数または整数とすることができ、nはインデックスのために用いられ、低い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワークは、抵抗値Rを有する。
図9に示す実施形態では、高い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワーク904は、25℃の温度検出分解能を有し、これは、より低いノードRtn(V
RTn)での電圧が、より高いノードRtn-1がV
refと交差した電圧(V
RTn-1)より高い温度25℃でV
refと交差することを意味する。低い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワーク910は、2Nの抵抗ネットワーク912を含み、全抵抗値RT
n+1を有し、n=8の分割定量(division ration)によって、5℃の分解能のための8および多重の電圧(multiplexed voltage)を生成することを可能にする。上述したように、従来のn
2の抵抗ネットワークを用いた温度検出器は、低い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワークのための64個のRサイズの抵抗のための面積を必要とするが、2nの抵抗ネットワークを含む低い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワーク910は、たった16個のRサイズの抵抗の面積を占めながら、等価な5℃の分解能を達成することができる。
【0034】
図10および
図11を参照して、従来のn
2のネットワークからオーバヘッド面積を、
図5の2nの抵抗ネットワークによって達成されたものより大きい程度まで減少させるための抵抗ネットワークの代替の配置または構成が記載されている。
【0035】
簡潔には、
図5の2nの抵抗ネットワークにおいて、第1および第2の抵抗パスに並列の第3の抵抗パスを追加することによって、後述する代替の抵抗ネットワークは、nが6より大きい偶数である場合、2nの抵抗ネットワークに勝るさらなる面積改善を得ることができる。n-2の差が4で割り切れる偶数の自然数に結果としてなる場合、
図10を参照して後述する第1の代替の抵抗ネットワークでは、抵抗の総数は、(1.25n+3.5)に結果としてなり、等しい抵抗値分解能の従来のn
2のネットワークと比較して、単一の抵抗の面積は、(1.25n+3.5)倍になる。n-2の差が4で割り切れる偶数の自然数に結果としてならない場合、
図11を参照して後述する第2の代替の抵抗ネットワークでは、抵抗の総数は、(1.25n+5)に結果としてなり、従来のn
2のネットワークと比較して、単一の抵抗の面積は、(1.25n+5)倍になる。
【0036】
図10を参照して、第1の代替の抵抗ネットワークが記載され、ここで、nは6以上の偶数の自然数であり(≧6)、n-2は4で割り切れる。
図10に示されるすべての抵抗Rは、実質的に等価な抵抗値および寸法を有する。この第1の代替の抵抗ネットワーク1000は、n個の第1の群の抵抗を含む抵抗はしご1004を有する第1の抵抗パス1002を含む。第2の抵抗パス1006は、第1の抵抗パス1002に並列に結合され、第3の抵抗1010に直列に結合され、かつ、並列に結合された2つ以上の第4の群の抵抗1012に直列に結合された第2の抵抗1008を含む。第4の群の抵抗1012の並列に結合された抵抗の数は、(n-2)/4の商に等しく、図示の実施形態では2である。上述したように、第1の代替の抵抗ネットワーク1000は、第1および第2の抵抗パス1002、1006に並列に結合された第3の抵抗パス1014をさらに含む。第3の抵抗パス1014は、第6の抵抗1018に直列に結合された第5の抵抗1016を含む。
【0037】
図10に示される第1の代替の抵抗ネットワーク1000では、抵抗はしご1004内の第1の群の抵抗が、n個すなわち10個の抵抗を含む点に注意されたい。第2の群の抵抗1008および第3の群の抵抗1010は、各々、1つの抵抗を含み、等価な分解能を有する従来のn
2の抵抗ネットワーク(例えば
図3に示す)、すなわち、10
2個の抵抗ネットワークと比較して、各群は、n
2の抵抗ネットワークの(n/2-1)×(n/2-1)個の抵抗、すなわち、図示した実施形態では16個の抵抗を置き換える。同様に、第4の群の抵抗1012は、2つの抵抗を含み、(n-2)/4、すなわち、n
2の抵抗ネットワークの8つの抵抗を置き換え、第5の群の抵抗1016および第6の群の抵抗1018は、各々、1つの抵抗を含み、(n/2)×(n/2)、すなわち、n
2の抵抗ネットワークの25個の抵抗を置き換える。第1の代替の抵抗ネットワーク1000内の抵抗の総数は、第1の抵抗パス1002内の抵抗の数nと、2+(n-2)/4に等しい第2の抵抗パス1006内の抵抗の数と、第3の抵抗パス1014内の抵抗の数と、を合計することによって計算可能である。したがって、第1の代替の抵抗ネットワーク1000内の等しいサイズの抵抗の総数は、n+2+2+(n-2)/4=1(1/4)n+1(1/2)+4=1.25n+3.5であり、第1の代替の抵抗ネットワーク1000は、(1.25n+3.5)個の抵抗ネットワークと称することができる。
図10に示すようにn=10である場合、第1の代替のすなわち(1.25n+3.5)個の抵抗ネットワーク1000内の等しいサイズの抵抗の総数は16であり、ネットワークに必要な面積は16RAであり、RAは、単一の抵抗に必要な面積である。これは、n=10の場合、従来のn
2の抵抗ネットワークに対して84%の面積の減少を表現し、20個の抵抗を必要とし、20RAの面積を有する2nの抵抗ネットワークに対して、抵抗の数および面積を25%減少させる。n=6の場合、
図10に示されるものと類似の(1.25n+3.5)個の抵抗ネットワークは、11個の抵抗を必要とするので、従来のn
2の抵抗ネットワークに対して、抵抗の数および面積を66%減少させ、2nの抵抗ネットワークに対して8%減少させる。n=50の場合、
図10に示されるものと類似の(1.25n+3.5)個の抵抗ネットワークは、66個の抵抗を必要とするので、従来のn
2の抵抗ネットワークに対して、抵抗の数および面積を97%減少させ、2nの抵抗ネットワークに対して34%減少させる。
【0038】
図11を参照して、第2の代替の抵抗ネットワークが記載され、ここで、nは8以上の偶数の自然数であり(≧8)、n-2は、4で割り切れない。
図11に示す実施形態では、n=12であり、すべての抵抗Rは、実質的に等価な抵抗値および寸法を有する。この第2の代替の抵抗ネットワーク1100は、第1の群のn個の抵抗を含む抵抗はしご1104を有する第1の抵抗パス1102と、第1の抵抗パスに並列に結合された第2の抵抗パス1106と、第1および第2の抵抗パスに並列に結合された第3の抵抗パス1108と、を含む。
図10に示される第1の代替の抵抗ネットワーク1000と同様に、第2の抵抗パス1106は、第3の抵抗1112に直列に結合され、かつ、並列に結合された2つ以上の第4の群の抵抗1114に直列に結合された第2の抵抗1110を含む。第3の抵抗パス1108は、第6の抵抗1118に直列に結合された第5の抵抗1116を含む。第2の抵抗パス1106は、第4の群に並列の2つの直列結合された抵抗の第7の群1120をさらに含むという点で、
図10に示されるものと異なる。
【0039】
第2の代替の抵抗ネットワーク1100内の抵抗の総数は、第1の抵抗パス1102内の抵抗の数nと、2+(n-4)/4+2に等しい第2の抵抗パス1106内の抵抗の数と、第3の抵抗パス1108内の抵抗の数と、を合計することによって計算可能である。
図11に示すようにn=12である場合、第2の代替の抵抗ネットワーク1100内の抵抗の総数は、n+2+2+(n-4)/4+2=1(1/4)n-1+6=1(1/4)n+5であり、第2の代替の抵抗ネットワーク1100は、(1.25n+5)個の抵抗ネットワークと称することができる。
図11に示すようにn=12である場合、第2の代替のすなわち(1.25n+5)個の抵抗ネットワーク1100内の等しいサイズの抵抗の総数は20であり、ネットワークに必要な面積は20RAであり、RAは、単一の抵抗に必要な面積である。これは、n=12の場合、従来のn
2の抵抗ネットワークに対して86%の面積の減少を表現し、24個の抵抗を必要とし、24RAの面積を有する2nの抵抗ネットワークに対して、抵抗の数および面積を17%減少させる。n=8の場合、
図11に示されるものと類似の(1.25n+5)個の抵抗ネットワークは、15の抵抗を必要とし、一方、従来のn
2の抵抗ネットワークでは64個であり、2nの抵抗ネットワークでは16個である。n=52の場合、
図11に示されるものと類似の(1.25n+5)個の抵抗ネットワークは、70個の抵抗を必要とし、一方、従来のn
2の抵抗ネットワークでは2704個であり、2nの抵抗ネットワークでは104個である。実施形態において、代替の抵抗ネットワーク1000および1100は、
図5に最も良く示されているように低い範囲の電圧を発生する抵抗ネットワーク910内に組み込まれてもよい。
【0040】
本発明の実施形態は、特定された機能およびその関係の実施を示す機能的かつ概略的なブロック図を用いて上述されている。これらの機能的な基礎的要素の境界は、説明の便宜のために本願明細書において任意に定義されている。特定された機能およびその関係が適切に実行される限り、代替の境界を定義することができる。
【0041】
特定の実施形態の上述した記載は、本発明の一般的な性質を十分に明らかにするので、他者は、当該技術分野の知識を適用することによって、本発明の一般的な概念から逸脱することなく、過度の実験を行うことなく、この種の特定の実施形態を種々の用途に容易に修正および/または適応させることができる。したがって、この種の適応および修正は、本願明細書において提示される教示および指針に基づいて、開示された実施形態の均等の意味および範囲内にあることが意図される。本願明細書における語法または用語は、説明のためであり、限定のためではなく、本願明細書の用語または語法は、教示および指針を考慮して当業者によって解釈されることを理解されたい。
【0042】
概要および要約の章ではなく、発明を実施するための形態の章が、請求項を解釈するために用いられることを意図することを理解されたい。概要および要約の章は、発明者によって意図される本発明のすべての例示的な実施形態ではなく、1つまたは複数を記載することができ、したがって、いかなる形であれ本発明および添付の請求項を限定することを意図するものではない。
【0043】
本発明の幅および範囲は、上述の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の請求項およびそれらの均等物に従ってのみ定義されるべきである。