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特許7553701デュアルキュアシアネートエステルインクジェット組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】デュアルキュアシアネートエステルインクジェット組成物
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/118 20170101AFI20240910BHJP
   B29C 64/314 20170101ALI20240910BHJP
   B29C 64/379 20170101ALI20240910BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20240910BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240910BHJP
   B33Y 40/20 20200101ALI20240910BHJP
【FI】
B29C64/118
B29C64/314
B29C64/379
B33Y70/00
B33Y10/00
B33Y40/20
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023517406
(86)(22)【出願日】2022-05-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2022062672
(87)【国際公開番号】W WO2022258284
(87)【国際公開日】2022-12-15
【審査請求日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】21178542.3
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】523093402
【氏名又は名称】アルタナ ニュー テクノロジーズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100210697
【弁理士】
【氏名又は名称】日浅 里美
(72)【発明者】
【氏名】アンネ アスマッハー
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ ミュルハウプト
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ペトロフ
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン オメイス
(72)【発明者】
【氏名】フランク バルター
(72)【発明者】
【氏名】マックス レットガー
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-527442(JP,A)
【文献】国際公開第2019/203134(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/205212(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0369040(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108350145(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 - 64/40
C09D 11/00 - 13/00
B33Y 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1.0~5.0mol/kgのアクリロイル基を有するインクジェット組成物であって、このインクジェット組成物は、
(i) 正確に1つのアクリロイル基を含有する光重合反応性化合物(M)、
(ii) 少なくとも2つのアクリロイル基を含有する光重合反応性化合物(N)、
(iii) ラジカル光開始剤(R)、
(iv) 少なくとも2つのシアネート基を含有するシアネートエステル化合物(D)、及び
(v) シアネートエステル硬化触媒(C)
を含み、
前記(M)は前記(D)とは異なり、ただし、正確に1つのアクリロイル基を含有しかつ少なくとも2つのシアネート基をさらに含有するシアネートエステル化合物は、前記(D)に含められるべきであり、
前記(N)は前記(D)とは異なり、ただし、少なくとも2つのアクリロイル基を含有しかつ少なくとも2つのシアネート基をさらに含有するシアネートエステル化合物は、前記(D)に含められるべきであり、
含有されるアクリロイル基の25~50mol%は、前記反応性化合物(N)によって提供されたものであり、含有されるアクリロイル基と前記化合物(D)の含有されるシアネート基とのモル比は、0.30~0.95である、インクジェット組成物。
【請求項2】
1.7~3.5mol/kgのアクリロイル基を有する、請求項1に記載のインクジェット組成物。
【請求項3】
含有されるアクリロイル基の30~45mol%が、前記反応性化合物(N)によって提供されたものである、請求項1又は2に記載のインクジェット組成物。
【請求項4】
前記反応性化合物(N)の80~100mol%は、3つ以下のアクリロイル基を含有する種によって提供されたものである、請求項1又は2に記載のインクジェット組成物。
【請求項5】
含有されるアクリロイル基と前記化合物(D)の含有されるシアネート基とのモル比が、0.36~0.94である、請求項1又は2に記載のインクジェット組成物。
【請求項6】
前記(D)の種の少なくとも30質量%は、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネートによって提供されたものである、請求項1又は2に記載のインクジェット組成物。
【請求項7】
前記ラジカル光開始剤(R)の種は、ホスフィンオキシド系光開始剤によって、提供されたものである、請求項1又は2に記載のインクジェット組成物。
【請求項8】
前記シアネートエステル硬化触媒(C)の種は、アルミニウム金属触媒によって、提供されたものである、請求項1又は2に記載のインクジェット組成物。
【請求項9】
含有される成分の、90~100質量%は、前記(M)、前記(N)、前記(R)、前記(D)、及び前記(C)の種によって提供されたものである、請求項1又は2に記載のインクジェット組成物。
【請求項10】
45℃において10~40mPa.sの粘度を有し、ここで粘度は、コーンプレート幾何構造の熱制御回転レオメーター(コーン直径:60mm、ゼロ-ギャップ距離:0.061mm、コーン角:0.5°、剪断速度600s-1)で、DIN EN ISO 3219に従って、2K/分の加熱速度で40~60℃の温度で測定されるものである、請求項1又は2に記載のインクジェット組成物。
【請求項11】
カチオン(光)重合開始剤、又はアニオン(光)重合開始剤を含有しない、請求項1又は2に記載のインクジェット組成物。
【請求項12】
6質量%未満の、アクリロイル基を含有しないラジカル重合性モノマーを含有する、請求項1又は2に記載のインクジェット組成物。
【請求項13】
安定化剤、湿潤剤、消泡剤、ラジカル重合禁止剤、及び/又は顔料をさらに含有する、請求項1又は2に記載のインクジェット組成物。
【請求項14】
次のステップ:
(a)請求項1又は2に記載のインクジェット組成物を印刷機によって噴射して、物体の形状に対応する構成パターンの層を形成すること、
(b)形成された層を照射して、光硬化した層を形成すること、
(c)前記ステップ(a)及び(b)を順次繰り返して複数の光硬化した層を形成し、三次元物体のグリーン体を調製すること、並びに
(d)前記グリーン体を加熱して、三次元物体を後硬化すること
を含む、三次元物体を印刷する方法。
【請求項15】
前記グリーン体を安定化するために、さらに、支持インクが印刷され、硬化され、この硬化された支持インクは、水溶性であり、水性洗浄液体で処理することによって、前記ステップc)の後かつ前記ステップ(d)の実施の前に除去される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ステップ(d)が、110~140℃の温度が少なくとも5時間にわたって維持されるように実施される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記加熱ステップ(d)において、関連する温度の増加が、2K/分に制限される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ステップ(b)において、照射は、UVランプによって実施され、各インク層の露光時間は0.1~2秒である、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
三次元物体を製造するための、請求項1又は2に記載のインクジェット組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
本発明は、インクジェット組成物、その使用、三次元物体の印刷方法、及び三次元物体に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元(3D)印刷又はアディティブマニュファクチャリング(付加製造)は、3Dデジタルモデルが構築材料の付加成長によって製造されるプロセスである。3D印刷された物体は、物体のコンピュータ支援設計(CAD)データを、3D物体の断面に対応する二次元(2D)層の連続的な構築に利用することによって生成される。これらの層は、各層が(例えばUV硬化によって)急速に硬化された後、それに応じて次の層が印刷されるという条件で、互いに重ねて印刷された。
【0003】
前記3D印刷を実施する1つの方法は、インクジェット印刷である:インクジェット印刷において、(限定された粘度を有する)インクの小さい液滴は、印刷デバイスとインク受け側との間の物理的接触なしに、受け側の表面上に直接投射される。印刷デバイスは、印刷データを電子的に記憶し、液滴をイメージどおりに放出するための機構を制御する。印刷は、印刷ヘッドをインク受け側を横切って移動させること、若しくはその逆、又は両方を移動させることによって達成される。
【0004】
三次元インクジェット印刷は、プロトタイプ部品の製造のための比較的迅速で柔軟な印刷方法であり、CADファイルから直接、三次元の複雑な構造を作り、素早く製造する。複雑な構造の三次元印刷方法で使用される放射線硬化可能な組成物は、例えば、WO2004/096514に記載されている。しかし、一般的に、US2017/173866、WO2019/203134、WO2020/065654、及びWO2020/211656などにおいて、インクジェット印刷の分野において使用することができる当分野で記載された多くの放射線硬化可能な組成物がある。
【発明を実施するための形態】
【0005】
前記3D印刷で直面する課題は、低い機械的特性、たとえば、低い熱変形温度、脆性、及び経年劣化であり、経年劣化とは、経時的な、並びに/又は温度変化及び/若しくは湿度の下での脆化を意味する。別の課題は、(初期の)印刷された3D物体(いわゆる「グリーン体(生造形体)」)の不完全な硬化、さらには最終製品に関する幾つかの品質の問題(例えば、機械的側面及び/又は製品の経年劣化)である。3D物体が3D印刷プロセス中に完全に硬化される場合、層間接着が弱すぎて、印刷が失敗することがある。
【0006】
しかし、最終製品内部の未硬化樹脂も望ましくない:第一に、印刷された3D物体からの未硬化の液状樹脂の漏れ(「ブリード」)は、エンドユーザーに健康上の問題を引き起こす可能性がある。なぜならば、液状樹脂が、反応性化学物質を含有する場合があるからである。第二に、印刷された3D物体が、最適な機械的性能に達しない。なぜならば、未硬化の液状樹脂が、物体を柔らかくする場合があるからである。第三に、未硬化樹脂は、高い化学的不活性が要される、物体の幾つかの産業用途において、問題を引き起こす場合がある。(前記の欠点を回避するために)印刷された「グリーン体」物体を完全に硬化させるために、3D「グリーン体」の対応する後硬化が必要である。
【0007】
したがって、適切なインクジェット印刷インクは、下記条件を同時に組み合わせる(満たす)必要がある。(インクジェットノズルを通した小さい液滴の印刷を可能にする)十分に低い粘度を有すること、高い粘度安定性(例えば、印刷の前に印刷装置において重合するべきでない)を提供すること、十分に前硬化可能であること(印刷された各インク層は、次の層が印刷される前に、前硬化される必要がある)、及び効率的に後硬化可能である(3D物体に要される品質特性を提供するために、後のステップにおいて完全に硬化可能である)こと。
【0008】
したがって、本発明の目的は、上記の要件を満たす高品質のインクジェット印刷インクを提供することである。
【0009】
この目的の解決策は、1.0~5.0mol/kgのアクリロイル基を有するインクジェット組成物であって、
(i) 正確に1つのアクリロイル基を含有する光重合反応性化合物(M)、
(ii) 少なくとも2つのアクリロイル基を含有する光重合反応性化合物(N)、
(iii) ラジカル光開始剤(R)、
(iv) 少なくとも2つのシアネート基を含有するシアネートエステル化合物(D)、及び
(v) シアネートエステル硬化触媒(C)
を含み、
(M)は(D)とは異なり、ただし、正確に1つのアクリロイル基を含有しかつ少なくとも2つのシアネート基をさらに含有するシアネートエステル化合物は、(D)に含められるべきであり、
(N)は(D)とは異なり、ただし、少なくとも2つのアクリロイル基を含有しかつ少なくとも2つのシアネート基をさらに含有するシアネートエステル化合物は、(D)に含められるべきであり、
含有されるアクリロイル基の25~50mol%は、反応性化合物(N)によって提供されたものであり、含有されるアクリロイル基と化合物(D)の含有されるシアネート基とのモル比は、0.30~0.95である、インクジェット組成物である。
本開示は以下も包含する。
[態様1]
1.0~5.0mol/kgのアクリロイル基を有するインクジェット組成物であって、このインクジェット組成物は、
(i) 正確に1つのアクリロイル基を含有する光重合反応性化合物(M)、
(ii) 少なくとも2つのアクリロイル基を含有する光重合反応性化合物(N)、
(iii) ラジカル光開始剤(R)、
(iv) 少なくとも2つのシアネート基を含有するシアネートエステル化合物(D)、及び
(v) シアネートエステル硬化触媒(C)
を含み、
前記(M)は前記(D)とは異なり、ただし、正確に1つのアクリロイル基を含有しかつ少なくとも2つのシアネート基をさらに含有するシアネートエステル化合物は、前記(D)に含められるべきであり、
前記(N)は前記(D)とは異なり、ただし、少なくとも2つのアクリロイル基を含有しかつ少なくとも2つのシアネート基をさらに含有するシアネートエステル化合物は、前記(D)に含められるべきであり、
含有されるアクリロイル基の25~50mol%は、前記反応性化合物(N)によって提供されたものであり、含有されるアクリロイル基と前記化合物(D)の含有されるシアネート基とのモル比は、0.30~0.95である、インクジェット組成物。
[態様2]
1.7~3.5mol/kgのアクリロイル基を有する、上記態様1に記載のインクジェット組成物。
[態様3]
含有されるアクリロイル基の30~45mol%が、前記反応性化合物(N)によって提供されたものである、上記態様1又は2に記載のインクジェット組成物。
[態様4]
前記反応性化合物(N)の80~100mol%、好ましくは90~100mol%は、3つ以下のアクリロイル基を含有する種によって提供されたものである、上記態様1~3のいずれかに記載のインクジェット組成物。
[態様5]
含有されるアクリロイル基と前記化合物(D)の含有されるシアネート基とのモル比が、0.36~0.94である、上記態様1~4のいずれかに記載のインクジェット組成物。
[態様6]
前記(D)の種の少なくとも30質量%、好ましくは、前記(D)の種の少なくとも60質量%は、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネートによって提供されたものである、上記態様1~5のいずれかに記載のインクジェット組成物。
[態様7]
前記ラジカル光開始剤(R)の種は、ホスフィンオキシド系光開始剤によって、好ましくは、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、及び/又はフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドによって、提供されたものである、上記態様1~6のいずれかに記載のインクジェット組成物。
[態様8]
前記シアネートエステル硬化触媒(C)の種は、アルミニウム金属触媒によって、好ましくは、アルミニウムアセチルアセトネートによって、提供されたものである、上記態様1~7のいずれかに記載のインクジェット組成物。
[態様9]
含有される成分の、90~100質量%、好ましくは97~100質量%は、前記(M)、前記(N)、前記(R)、前記(D)、及び前記(C)の種によって提供されたものである、上記態様1~8のいずれかに記載のインクジェット組成物。
[態様10]
45℃において10~40mPa.sの粘度を有し、ここで粘度は、コーンプレート幾何構造の熱制御回転レオメーター(コーン直径:60mm、ゼロ-ギャップ距離:0.061mm、コーン角:0.5°、剪断速度600s -1 )で、DIN EN ISO 3219に従って、2K/分の加熱速度で40~60℃の温度で測定されるものである、上記態様1~9のいずれかに記載のインクジェット組成物。
[態様11]
カチオン(光)重合開始剤、又はアニオン(光)重合開始剤を含有しない、上記態様1~10のいずれかに記載のインクジェット組成物。
[態様12]
6質量%未満、より好ましくは2質量%未満の、アクリロイル基を含有しないラジカル重合性モノマーを含有する、上記態様1~11のいずれかに記載のインクジェット組成物。
[態様13]
安定化剤、湿潤剤、消泡剤、ラジカル重合禁止剤、及び/又は顔料をさらに含有する、上記態様1~12のいずれかに記載のインクジェット組成物。
[態様14]
次のステップ:
(a)上記態様1~13のいずれかに記載のインクジェット組成物を印刷機によって噴射して、物体の形状に対応する構成パターンの層を形成すること、
(b)形成された層を照射して、光硬化した層を形成すること、
(c)前記ステップ(a)及び(b)を順次繰り返して複数の光硬化した層を形成し、三次元物体のグリーン体を調製すること、並びに
(d)前記グリーン体を加熱して、三次元物体を後硬化すること
を含む、三次元物体を印刷する方法。
[態様15]
前記グリーン体を安定化するために、さらに、支持インクが印刷され、硬化され、この硬化された支持インクは、水溶性であり、水性洗浄液体で処理することによって、前記ステップc)の後かつ前記ステップ(d)の実施の前に除去される、上記態様14に記載の方法。
[態様16]
前記ステップ(d)が、110~140℃の温度が少なくとも5時間にわたって維持されるように実施される、上記態様14又は15に記載の方法。
[態様17]
前記加熱ステップ(d)において、関連する温度の増加が、2K/分に制限される、上記態様16に記載の方法。
[態様18]
前記ステップ(b)において、照射は、UVランプによって実施され、各インク層の露光時間は0.1~2秒である、上記態様14~17のいずれかに記載の方法。
[態様19]
上記態様14~18のいずれかに記載の方法によって製造された、三次元物体。
[態様20]
三次元物体を製造するための、上記態様1~13のいずれかに記載のインクジェット組成物の使用。
【0010】
(R(-OCN)のタイプの)シアネートエステル化合物(D)は、少なくとも2つのシアネート基(-OCN)を含有する。
本発明に係るアクリロイル基は、HC=CH-C(=O)-(それは、HC=CH-C(=O)-O-のタイプの「アクリルエステル基」の一部であってよい)であると定義される。これらの基は、非常に反応性で効率的なフリーラジカル重合基(例えばメタクリル基のようにはるかに反応性が高い)である。
【0011】
「正確に1つのアクリロイル基を含有する」光重合反応性化合物(M)は、1つを超えずかつ1つを下回らないアクリロイル基が含有されることを意味する。
【0012】
(M)が(D)とは異なるとは、正確に1つのアクリロイル基を含有しかつ少なくとも2つのシアネート基をさらに含有する光重合反応性化合物(関連する種)は、((M)ではなく)(D)に含まれるべきであることを意味する。しかし、そのような「ハイブリッド」成分の使用は、好ましくない(回避されることがある)。
【0013】
これに応じて、(N)が(D)とは異なるとは、少なくとも2つのアクリロイル基を含有しかつ少なくとも2つのシアネート基をさらに含有するその光重合反応性化合物(関連する種)は、((N)ではなく)(D)に含まれるべきであることを意味する。しかし、そのような「ハイブリッド」成分の使用は、好ましくない(回避されることがある)。
本発明によれば、インクジェット組成物は、(M)及び(N)(「光開始」に基づく)光硬化性化合物、及びさらに(D)熱硬化性化合物を含む。
【0014】
光硬化性化合物は、フリーラジカル(光)重合によって、最初のステップにおいて重合及び/又は架橋することができ、熱硬化性化合物は、(重付加を介して)後の熱後硬化ステップにおいて反応する。
【0015】
本発明に係るインクジェット組成物は、関連する品質要求を満たす:
【0016】
組成物は、小さい(インクジェット可能な)インク滴の生成を可能にする十分に低い粘度の基礎を提供する。加えて、組成物は、十分な粘度安定性に関する基礎を提供し、これは、作動中の印刷プロセスを維持する基本的な要件である(例えば、インクのゲル化は、プリンターをふさぎ、さらには破壊する)。
【0017】
さらに、本発明に係るインクジェット組成物は、十分な機械的特性を有する前製品の生成、特に、十分な「グリーン体の強度」を有する前製品の生成を可能にする:グリーン体の強度は、光硬化の後かつ熱硬化の前の物体の安定性を表す。グリーン体の強度は、光硬化した物体の、安定性及び架橋の尺度である。しかし、高すぎるグリーン体の強度を提供することは望ましくない:後処理(熱硬化)中に、UVシステム(UV系)は、形状の一貫性を保証し、すなわち、熱システム(熱系)が、その硬化/固定化の前とその最中に、適所に保持されることを意味する。しかし、ひとたび熱システムが硬化を開始すると、その特性に応じて(特に、最初の光重合ステップにおける架橋が強すぎた場合に)内部歪みが発生する可能性があり、これにより、UV硬化された構造が破壊される(クラック)可能性がある。関連する表面の、固有の技術的に典型的な粗さは、内部歪みの発生に起因する、より容易なクラック形成をもたらす。本発明に係るインクジェット組成物の使用は、これらの関連する異なる問題のすべてを考慮に入れる一種の「妥協」を提供する-特に:架橋は、一方では、グリーン体の強度を提供しかつ適所に熱硬化システムを維持するように、十分に剛直である必要があるが、他方では、熱硬化に耐えるために、脆すぎてはならない。
【0018】
本発明に係る利点を正当化する、特別の「架橋戦略」は、インクジェット組成物の根底にある「法則」に反映されており、それは、以下の(キー)パラメータ(I)、(II)及び(III)との適合によって決定的に正当化される:
(I)1.0~5.0mol/kgのアクリロイル基を有するインクジェット組成物;
(II)含有されるアクリロイル基の25~50mol%は、反応性化合物(N)によって提供される;
(III)含有されるアクリロイル基と化合物(D)の含有されるシアネート基とのモル比は、0.3~0.95である。
【0019】
(キー)パラメータ(I):
値が高すぎる場合、比較的強い張力がグリーン体に生じ-後のクラック形成が促進され-値が低すぎる場合、グリーン体の強度が悪化する:突き詰めていくと、とりわけ、提供する強度、靭性及び弾性の間の適切な妥協。
【0020】
(キー)パラメータ(II):
このパラメータは、(グリーン体の)強度と弾性との間の実際的な妥協解も提供する。ポリアクリレートの高すぎる濃度は、インク粘度のかなりの増加も引き起こすため、インクジェットによる印刷適性はより困難になる。他方で、特に、ポリアクリレートは、ネットワークの形成、ひいては十分なグリーン体の強度に決定的である。
【0021】
モノアクリレートは、特に、熱後硬化中の張力補正に関するIPNのマトリクスネットワークの靭性-適合性バランスと、硬質相及び軟質相、並びに相ドメインの制御とに、寄与する。
【0022】
グリーン体の強度及び柔軟性の適切なバランスは、パラメータ(II)に従うことにより保証される:低すぎる値は、不十分なグリーン強度を引き起こし、それによって、高すぎる値は、一方では、通常、粘度の問題を引き起こすが、特に、不利な歪みを引き起こす(歪み:キャスト試験片の反り/曲げの巨視的/光学的特徴付けを果たす):
【0023】
(「平滑表面と比較した「試験片」の屈曲としての」)歪みは、架橋度の増加に伴って増加する。実際に、インジェクションプロセスにおいて、そのような歪みは、層ごとに生じる場合があり、それは、層間の後のクラック形成を促進する。
【0024】
歪みに起因する反りも問題となる場合がある。なぜならば、次のインクジェット層のインク滴は、常に、平滑表面に適用されるのがよいからである(高さ制御、動的効果)。
【0025】
(キー)パラメータ(III):
最も広い意味において、このパラメータは、前硬化及び後硬化による安定化のバランスの取れた比を保証し、とりわけ、グリーン体の強度と最終体の強度との間の妥協に関する。
【0026】
第一のネットワークの硬化(前硬化)の程度が増加するにつれて、より強い応力が、第二の熱ネットワークの形成(後硬化)中にグリーン体において生じ、これは、クラックの形成を促進する(不利なことに、高すぎる値と関連する)。しかし、十分なグリーン体の強度は不可欠である(低すぎる値は、突き詰めていくと、この点で不利である)。
【0027】
相対的な比としてのパラメータ(III)は、常に、パラメータ(I)と組み合わせて理解されるものであり、それは、突き詰めていくと、両方のネットワークのネットワーク密度を決定する。
【0028】
本発明に係るインクジェット組成物の使用に関してさらに提供される効果は、熱硬化の前及び熱硬化中の、印刷された物体の「ブリード」が回避されること(特に、水性液体による支持構造の除去中、及び熱硬化中)である:印刷された3D物体からの液状原料の漏れは、エンドユーザーの健康上の問題を引き起こす可能性がある。なぜならば、液状樹脂が反応性化学物質を含有する場合があるからである。
【0029】
本発明の特別な実施態様によれば、インクジェット組成物は、キットとして提供することができる:対応するキットインパーツインクジェット組成物は、少なくとも1種の光硬化性化合物及び少なくとも1種の熱硬化性化合物の組み合わせと、別個の光開始剤とを含むことができる。キットインパーツインクジェット組成物は、少なくとも1種の光硬化性化合物、少なくとも1種の熱硬化性化合物、及び光開始剤の組み合わせと、別個の硬化触媒とを含むことができる。しかし、ほとんどの場合、そのようなキットを提供する必要はなく、有利でもない(キットは回避されることがある)。
【0030】
好ましい実施態様によれば、本発明に係るインクジェット組成物は、1.7~3.5mol/kgのアクリロイル基を有する。典型的には、インクジェット組成物において、含有されるアクリロイル基の30~45mol%は、反応性化合物(N)によって提供される。前記2つの特徴「含有されるアクリロイル基のmol/kg」及び「反応性化合物(N)によって提供される含有されるアクリロイル基のmol%」の適切な(定量的)組み合わせも、前製品の(及びさらに最終製品の)提供に関して重要であり、それは、一方では、脆すぎ(クラックの傾向)ず、他方では、柔らかすぎない。
【0031】
好ましい実施態様によれば、インクジェット組成物において、反応性化合物(N)の80~100mol%、好ましくは90~100mol%は、3つ以下のアクリロイル基を含有する種によって提供される。しかし、この規則性を、前記他の特徴「含有されるアクリロイル基のmol/kg」、及び「反応性化合物(N)によって提供される含有されるアクリロイル基のmol%」と組み合わせて注視することは重要である。なぜならば、これらの特徴の(適切な定量的)組み合わせは、一方では加工プロセスの提供、及び他方では高品質の製品の生成に関する基本的な要件であることが確認されているからである。
【0032】
モノアクリレート(特に化合物(M))は、多くの場合、インクジェット組成物の中程度の粘度に関して寄与する(特に中程度の分子量を有する種)。モノアクリレートの量が多いほど、架橋度は減少する。
【0033】
以下のモノアクリレートを用いることができる:
【0034】
エチルアクリレート、ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ラウリルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、トリデシルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、エトキシル化ノニルフェノールアクリレート、イソボルニルアクリレート、ヘキサデシルアクリレート、モノメトキシトリプロピレングリコールモノアクリレート、モノメトキシネオペンチルグリコールプロポキシレートモノアクリレート、B-カルボキシエチルアクリレート、及び/又はオキシエチル化フェノールアクリレート。
【0035】
好ましい実施態様によれば、モノアクリレートは、ジヒドロジペンタジエニルアクリレート(CAS:12542-30-2)、環式トリメチロールプロパンホルマールアクリレート(CAS:66492-51-1)、トリシクロデカンメタノールアクリレート(CAS:93962-84-6)、2-フェニルエチルアクリレート(CAS:3530-36-7)、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート(CAS:16969-10-1)、2-[(ブチルカルバモイル)オキシ]エチルアクリレート(63225-53-6)、及び/又は4-ヒドロキシブチルアクリレート(2478-10-6)から選択されてよい。
【0036】
しかし、最も好ましいモノアクリレート種は、イソボルニルアクリレート、アクリロイルモルホリン、2-[(ブチルカルバモイル)オキシ]エチルアクリレート又はこれらの混合物である。
【0037】
以下のジアクリレートを用いることができる:1,3ブチレングリコールジアクリレート、1,4ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、エトキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、エトキシル化トリプロピレングリコールジアクリレート、及び/又はモノメトキシトリメチロールプロパンエトキシレートジアクリレート。
【0038】
以下のトリアクリレートを用いることができる:トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化グリセロールトリアクリレートジトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、及び/又はプロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート。
【0039】
しかし、(特に、少なくとも2つのアクリロイル基を含有する光重合反応性化合物(N)としての)好ましいポリアクリレートは、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(CAS:42594-17-2)、ポリエチレングリコールジアクリレート(CAS:25322-68-3)、ポリプロピレングリコールジアクリレート(CAS:52496-08-9)、ポリ(プロピレングリコール)ジメタクリレート(CAS:25852-47-5)、ジプロピレングリコールジアクリレート(CAS:57472-68-1)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(3290-92-4)、ビスフェノールAグリセロレートジアクリレート(CAS:4687-94-9)、トリスイソシアヌレートトリアクリレート(CAS:40220-08-4)、ビスフェノールAエポキシジアクリレート(CAS:55818-57-0)、及び/又はトリメチロールプロパンテトラアクリレート(CAS:94108-97-1)である。
【0040】
1種又は複数種の光硬化性化合物は、上で特定したmol量でインクジェット組成物に含まれ-それは、例えば、インクジェット組成物の全質量に基づいて、20~50質量%の量であってよい。
【0041】
光重合反応性化合物((M)及び(N)の種)、及びラジカル光開始剤(R)は、95:5~99.5:0.5、好ましくは97:3~99:1の質量比でインクジェット組成物に含まれてよい。
【0042】
光開始剤(R)は、放射線(例えばUV光又は可視光)に曝露された際に、反応種(フリーラジカル)を生成する。
【0043】
光開始剤は、インクジェット組成物の全質量に基づいて、0.2~4質量%の量でインクジェット組成物に含まれてよい。
【0044】
1つの実施態様によれば、ラジカル光開始剤(R)の種は、ホスフィンオキシド系光開始剤によって、好ましくは、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、及び/又はフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドによって、提供される。
【0045】
含有される熱硬化性化合物は、熱に曝露された際に、付加重合(重付加)し、かつ/または架橋することができる化合物である。好ましくは、熱硬化性化合物は、100℃未満の温度では、重合及び/又は架橋しないのがよい。本発明によれば、少なくとも2つのシアネート基を含有するシアネートエステル化合物(D)は、熱硬化性化合物として提供される。
【0046】
達成される品質(特に機械的特性)に関して、一方では光反応性基(最初のステップに係る前硬化)、及び他方では熱反応性基(後硬化活性)に関するインジェクト組成物の適切な比があることは重要である。これに関して、好ましくは、インクジェット組成物において、含有されるアクリロイル基と化合物(D)の含有されるシアネート基とのモル比は、0.36~0.94である。
【0047】
少なくとも2つのシアネート基を含有するシアネートエステル化合物(D)は、当業者によく知られている。関連する種は、ポリシアネートエステルとして知られており、好ましくは、芳香族ジイソシアネートエステル又は脂肪族ジイソシアネートであり、特に、芳香族ジイソシアネートエステルである。
【0048】
関連する種は、ビスフェノールEに基づいたシアネートエステル(AroCy(商標)L-10)、ノボラックに基づいたシアネートエステル(AroCy(商標)XU 371)、ビスフェノールMに基づいたシアネートエステル(AroCy(商標)XU 366及びAroCy(商標)XU 378)を含むことができる。シアネートエステルは、好ましくは、ビスフェノールEに基づいたシアネートエステル(AroCy(商標)L-10)、又はノボラックに基づいたシアネートエステル(AroCy(商標)XU 371)であってよい。
【0049】
少なくとも2つのシアネート基を含有するシアネートエステル化合物(D)は、インクジェット組成物に、上に定義された量(含有されるアクリロイル基と化合物(D)の含有されるシアネート基とのモル比によって間接的に定義される)で含まれ、それは、例えば、インクジェット組成物の全質量に基づいて、35~75質量%であってよい。
【0050】
特別の実施態様によれば、(D)の種の少なくとも30質量%、好ましくは、(D)の種の少なくとも60質量%は、(例えば、「AroCy(商標)L-10」によって提供される)4,4’-エチリデンジフェニルジシアネートによって提供される。
【0051】
使用される硬化触媒は、賢明なことには、印刷中の温度よりはるかに高い一定の温度で熱反応を開始するように選択されるのがよい。UVシステムが、長時間220℃を超える温度に耐えられない可能性があるため、この温度は高すぎないのがよい。同時に、それらは、印刷条件で、反応性ができる限り低い必要がある。それらは、熱反応を最も高い反応率に導くことができるように働くのがよい。それらは、UVシステムを不安定にするべきでなく、それらは、(以下に記載されるように)使用される支持構造を除去するためのあり得る洗浄手順に耐えるべきである。関連する製造手順がうまくいくはずであり、かつ良好な製品品質が達成されるはずである場合、シアネートエステル硬化触媒(C)の種が、アルミニウム金属触媒によって、好ましくは、アルミニウムアセチルアセトネートによって、提供されることは有利である場合がある。
【0052】
しかし、シアネートエステル硬化触媒(C)は、通常、キレート化された金属触媒であってよく、好ましくは、キレート化されたアルミニウム触媒に基づいていてよい。
【0053】
金属触媒は、インクジェット組成物中の少なくとも2つのシアネート基を含有するシアネートエステル化合物の(D)の全質量に基づいて、100~3000ppm、好ましくは300~2000ppmの量でインクジェット組成物に含まれることができる。
【0054】
好ましい実施態様によれば、(インクジェット組成物中に)含有される成分の、90~100質量%、好ましくは97~100質量%は、(M)、(N)、(R)、(D)、及び(C)の種によって提供される。
【0055】
他の成分の添加は可能であるが、多くの場合(例えば、硬化効果に関して寄与がない場合、又は望ましくない100℃未満の熱反応性が生じる場合)有利でない:通常、(比較的高い量の)(第一のステップで光重合できないか、第二のステップで後硬化できない)不活性溶媒を用いることは好ましくない。好ましくは、インクジェット組成物は、8質量%未満、より好ましくは2質量%未満の不活性溶媒を含有する。さらに、アクリロイル基を含有しない(比較的高い量の)ラジカル重合性モノマー(メアクリレートなど)を用いることは好ましくない。好ましくは、インクジェット組成物は、6質量%未満、より好ましくは2質量%未満の、アクリロイル基を含有しないラジカル重合性モノマーを含有する。例えば、メタクリレートは、例えば、(短い)ラジカル光重合に関して十分に反応性ではない。好ましくは、インクジェット組成物は、6質量%未満、より好ましくは2質量%未満の、(アクリロイル基を含有しない)メタクリレートを含有する。
【0056】
(典型的には粘度を増加させる)望ましくない副反応を回避するために、インクジェット組成物は、カチオン(光)重合開始剤又はアニオン(光)重合開始剤を含有しないことが好ましい。いずれにせよ、100℃未満の温度で、逐次反応タイプ(重付加、重縮合)のうちの1つを介して組成物中で反応する化合物(特に、高い量の化合物)を回避することが好ましい。そのような化合物(特に、比較的高い量のそのような化合物)は、所望の粘度安定性に関する問題を引き起こす場合がある。細いノズルを通した噴射を可能にするために、インクジェット組成物の粘度を制限することが必要である。
【0057】
典型的に、インクジェット組成物は、45℃において10~40mPa.sの粘度を有し、ここで粘度は、コーンプレート幾何構造の熱制御回転レオメーターで測定されるものである(Anton Paar Physica MCR 300、コーン直径:60mm、ゼロ-ギャップ距離:0.061mm、コーン角:0.5°、剪断速度600s-1)。
【0058】
しかし、本発明に係るインクジェット組成物は、安定化剤、湿潤剤、消泡剤、ラジカル重合禁止剤、及び/又は顔料をさらに含有することができる。通常、溶存酸素がラジカル重合禁止剤として働くが、加えて合成阻害剤を用いることができる。
【0059】
本発明はさらに、次のステップを含む、三次元物体を印刷する方法に関する:
(a)上記のインクジェット組成物を印刷機によって噴射して、物体の形状に対応する構成パターンの層を形成すること、
(b)形成された層を照射して、光硬化した層を形成すること、
(c)ステップ(a)及び(b)を順次繰り返して複数の光硬化した層を形成し、三次元物体のグリーン体を調製すること、並びに
(d)前記グリーン体を加熱して、三次元物体を後硬化すること。
【0060】
通常、グリーン体を安定化するために、さらに、支持インクが印刷され、硬化され、この硬化された支持インクは、水溶性であり、水性洗浄液体で処理することによって、ステップc)の後かつステップ(d)の実施の前に除去される。
【0061】
典型的には、ステップ(d)は、110~140℃の温度が少なくとも5時間にわたって維持されるように実施される。
【0062】
通常、加熱ステップ(d)において、関連する温度の増加は、2K/分に制限される。
【0063】
好ましくは、ステップ(b)において、照射は、UVランプによって実施され、各インク層の露光時間は0.1~2秒である。
【0064】
典型的な手順は、以下のとおりであってよい:
【0065】
インクジェット組成物は、それをインクジェット組成物として用いる前にろ過することができる。好ましくは、インクジェット組成物は、1μmを超える粒子サイズの粒子を含まないようにろ過される。次いで、インクをプリンターに入れる。システムを、少なくとも2時間、より良好にはそれより多く再循環させて、均一性及び一定温度を保証する。印刷中、支持インク(例えば、アクリルアミド系)は、インクジェットされ、UV硬化されて物体インクのための型を生成し、物体インクは、後に、インクジェットされ、UV硬化される(ウェットオンドライ印刷)。層厚さを制御するために、すべてのインクは、造形トレー上でその液体状態で一旦水平にされ、これは、基材上での動的湿潤プロセス中のインク噴射の後かつUV硬化の前に起こる。このように、3D物体が生成される。支持インクは、(グリーン体の層と一緒に)層ごとに印刷される層であるため、印刷プロセスの後に、物体(グリーン体)は、支持材料(例えば、ポリアクリルアミド)に囲まれるようになる。支持材料を除去するために、構造全体を水浴に入れ、超音波の存在下で35~40℃に加熱する。支持材料と、物体の幾何構造とに応じて、洗浄プロセスは、0.5時間~24時間(時には、それより長く)かかる。すべての支持構造が除去されたら、物体を水浴から取り出し、室温で空気乾燥させる。約5時間の乾燥の後、物体を加熱チャンバー(ある種のオーブン)に入れ、化学、幾何構造及び用途に応じてよく適合する温度プログラムを選択し、印刷され、ここで洗浄された物体中に存在する熱硬化システムを熱硬化する。熱反応をゆっくりと開始して、強い発熱の発生を回避しかつUV硬化されたシステムが緩和する時間を与えることは、有益である。適切な熱硬化の後に、ゆっくりと冷却して、内部応力の捕捉を回避することは有利である。
【0066】
本発明はさらに、上記の方法に従って製造された三次元物体に関する。
【0067】
三次元物体は、21~40MPaの、好ましくは41~100MPaの引張強度、及び2.1~5%の、好ましくは5%より大きい破断伸び、及び100~1000MPaの、好ましくは1001~4500MPaのE-弾性率を有することができる。
【0068】
加えて、本発明は、三次元物体を製造するための上記のインクジェット組成物の使用に関する。
【0069】
全般的な測定方法
粘度は、コーンプレート幾何構造の熱制御回転レオメーター(Anton Paar Physica MCR 300、コーン直径:60mm、ゼロ-ギャップ距離:0.061mm、コーン角:0.5°、剪断速度600s-1)で、DIN EN ISO 3219に従って、2K/分の加熱速度で40~60℃の温度で測定される。比較のために、50℃又は60℃における粘度が、以下の例において示される。インクの保存安定性は、密閉したサンプルジャーを2、5、7、及び/又は8日間にわたって60℃で保存した後、上記と同じ実験で決定された。
【0070】
ショア硬度A及びDは、DIN EN ISO標準7619に従って、OS-2測定デバイス(Hildebrand Pruf- und Messtechnik GmbH)によって、40mmの直径及び7mmの厚さの円筒状試験片を用いて測定された。結果は、試験片にニードルを入れてから3秒後にスケールから取得された。測定は、5回繰り返された。
【0071】
グリーン体の強度は、UV照射によって、それぞれの配合物の40mm×7mm×2又は4mm(b×a×c)の寸法の矩形の試験片を生成することによって測定される。この試験片は、100mm×5mm×5mmの体積の2つのPTFEブロック上に配置された。スパン幅は35又は75mmであった。この構成は室温で維持され、1.5時間後に、曲げ/変形が検査された。様々な配合物を定量化するために、等級付けシステムが定義された:A)は、曲げがないこと(すなわち0%の曲げ)、又はほとんど曲げがないこと(初期の矩形の試験片から、5%以下、3%以下、1%以下の範囲)が直接観察されたことを意味する。曲げの割合は、時間0での構成の始まりにおける矩形の試験片の中心位置(例えば、寸法20mm×3.5mm×2mm(b×a×c))と、時間1.5時間での構成の終わりにおける矩形の試験片の中心位置との比較において定義される。B)は、曲げが顕著になり、試験片が5%超~20%の曲げを示すようになることを意味する。C)は、試験片が20%超~ほとんど下地に触れるほどの曲げを示すことを意味する。D)は、試験片が下地に触れることを示す。同じことを、前述のオーブン硬化プログラムでの硬化の後に実施した。引張試験は、Zwick-Roell引張り試験機1445で、DIN EN ISO標準527-1に従って、5A試験片を用いて実施された。E-弾性率は、1mm/分での0.05~0.25%の変形における応力-ひずみ曲線の傾きから決定された。引張強度及び破断伸びは、剛性材料のための5mm/分で試験片を引っ張ることによって決定された。
【0072】
曲げ強さ及び弾性率を測定する三点曲げ試験は、Zwick Roell1445で、DIN EN ISO標準178に従って、80×10×4mmの寸法の試験片及び500Nの曲げトランスデューサを用いて実施された。試験片は、64mmのスパン距離の中心で、半径5mmの圧縮フィンを用いて、2mm/分の曲げ弾性率のためのクロスヘッド速度で(0.05~0.25%の伸びの範囲で)曲げられ、その後、破断するまで10mm/分の試験速度で曲げられた。
【0073】
衝撃強さは、DIN EN ISO標準180に従って構成されたIZODを用いて、80×10×4mmの寸法のノッチのない試験片、及びZwick HIT5.5P Plusでの2.75Jの衝撃振り子を用いて測定された。
【0074】
三点曲げ試験としての熱変形温度B(0.45MPa)又はA(1.80MPa)は、HDT測定デバイスCompact 3(Coesfeld)で、80×10×4mmの寸法の試験片で、DIN EN ISO 75に従って実施された。加熱速度は、30℃からHDT値に達するまでの範囲において、2K/分に設定された。
【0075】
ガラス転移温度及びネットワーク密度は、熱機械分析(TMA)三点曲げ構成(TMA/SDTA2+LN2)(Mettler Toledo)を用いて、10×5×1.2mmの試験片寸法で、DIN EN ISO 11359を参照して決定された。加熱速度は、20~300℃の範囲において5K/分であり、正弦波モードでの交互荷重は、0.02~1.0Nで設定された。次いで、ネットワーク密度は、Tより50K高い貯蔵弾性率を実験的因子として3で割った値、気体定数R、及びT(ケルビン)より50K高い温度によって計算された。
【0076】
UV硬化及び上述のオーブン硬化プログラムでの熱硬化後の引張試験に由来する5A試験片の反りは、等級付けシステムが定義されたように、曲げ/変形を検査することによって決定された:A)は、曲げがないこと(すなわち0%の曲げ)、又はほとんど曲げがないこと(初期の試験片から、5%以下、3%以下、1%以下の範囲)が観察されたことを意味する。曲げの割合は、底板における試験片の中心位置と、底板から持ち上げられる場合がある外側の顎部との比較において定義される。B)は、曲げが顕著になり、試験片が5%超~10%の曲げを示すようになることを意味する。C)は、試験片が10~20%の曲げを示すことを意味する。D)は、試験片曲げが20%超であることを示す。
【0077】
本発明は、例を用いることによって、さらに以下に説明される。
【0078】
全般的な用語及び定義
例で用いられる反応物
- イソボルニルアクリレート(IBOA)-CAS No 5888-33-5、SARTOMER
- アクリロイルモルホリン(ACMO)-CAS No 5117-12-4、RAHN
- トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)-CAS No 15625-89-5、SARTOMER
- CN981-ポリエーテルエステルウレタンジアクリレート-CAS No 72162-39-1、SARTOMER
- BHT-CAS No 128-37-0、SIGMA ALDRICH
- Omnirad 819-CAS No 162881-26-7の光開始剤、IGM Resins
- Genorad 16-グリセロールプロポキシレート(1PO/OH)と4-メトキシフェノールとの組み合わせである重合禁止剤、RAHN
- AroCy 10L US-ビスフェノールE基づいたシアネートエステル-CAS No 47073-92-7、HUNTSMAN
- Al(acac)-CAS No 13963-57-0、SIGMA ALDRICH
- Co(acac)-CAS No 21679-46-9、SIGMA ALDRICH
- BYK 333-ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン添加剤、BYK
【0079】
例1:
イソボルニルアクリレート(IBOA)(25.0質量%)、アクリロイルモルホリン(ACMO)(12.5質量%)、トリメチルプロパントリアクリレート(TMPTA)(12.5質量%)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)(0.3質量%)、Omnirad 819(1.0質量%)、Genorad 16(0.5質量%)、BYK 333(0.2質量%)、AroCy 10L US(48.2質量%)(2つのシアネート基を有する、ビスフェノールEに基づいたシアネートエステル)、及び追加の500ppmのAl(acac)を混合し、1μmでろ過した。
【表1】
【0080】
インクは、インクジェットUV印刷され、RTから220℃まで1K/分の加熱速度で後硬化された。
【0081】
最終的な物体の最終的な特性は次のとおりであった:
引張強度:75MPa
破断伸び:2.5%
E-弾性率:3200MPa
【0082】
UV硬化後のグリーン体測定(40×7×4mm)A
熱硬化後のグリーン体測定(40×7×4mm):A
【0083】
前記インクジェット組成物は、次のものを含む:
(I)(M)及び(N)のアクリロイル基のmol/kg:3.35
(II)反応性化合物(N)によって提供されるアクリロイル基のmol%:37.8
(III)含有されるアクリロイル基(M)及び(N)と、化合物(D)の含有されるシアネートエステル基とのモル比:0.92
【0084】
例2:
イソボルニルアクリレート(12.5質量%)、アクリロイルモルホリン(7.5%)、トリメチロールプロパントリアクリレート(7.5%)、BHT(0.3質量%)、Omnirad 819(1質量%)、Genorad 16(0.5質量%)、BYK 333(0.2質量%)、ビスフェノールEに基づいたシアネートエステルとしてのAroCy 10L US(68.2質量%)、及び追加の1500ppmのAl(acac)を混合し、1μmでろ過した。
【表2】
【0085】
インクは、インクジェットUV印刷され、RTから220℃まで1K/分の加熱速度で後硬化された。
【0086】
最終的な物体の最終的な特性は次のとおりであった:
引張強度:80MPa
破断伸び:2.7%
E-弾性率:2900MPa
【0087】
HDT B:196℃
【0088】
UV硬化後のグリーン体測定(40×7×4mm)B
熱硬化後のグリーン体測定(40×7×4mm):B
【0089】
例2の粘度安定性は、以下のとおり測定される:
【表3】
【0090】
前記インクジェット組成物は、次のものを含む:
(I)(M)及び(N)のアクリロイル基のmol/kg:1.89
(II)反応性化合物(N)によって提供されるアクリロイル基のmol%:40.2
(III)含有されるアクリロイル基(M)及び(N)と、化合物(D)の含有されるシアネートエステル基とのモル比:0.37
【0091】
例3
熱反応成分としてのAroCy 10L USについて、粘度が、異なる触媒及び濃度(以下の表を参照)の存在下で異なる時間間隔で60℃で保存した後に測定された。
【表4】
【0092】
コバルト触媒の存在下での粘度上昇は、アルミニウム触媒の場合よりも顕著である。
【0093】
例4
イソボルニルアクリレート(20.8質量%)、アクリロイルモルホリン(10.3質量%)、トリメチロールプロパントリアクリレート(10.3質量%)、CN 981(6.32質量%)、Omnirad 819(1.0質量%)、Genorad 16(0.25質量%)、BYK 333(0.2質量%)、AroCy 10L US(51.0質量%)、及びアルミニウムアセチルアセトネート(0.03質量%)を混合し、1μmでろ過した。
【表5】
【0094】
インクは、以下のようにインクジェットUV印刷され、後硬化された:1K/分で30~130℃、130℃/10時間、1K/分で130~150℃、150℃/2時間、1K/分で150~180℃、180℃/2時間、1K/分で180~200℃、200℃/2時間、1K/分で200~220℃、220℃/10分、-5K/分で220~30℃。
【0095】
最終的な物体の最終的な特性は次のとおりであった:
引張強度:86MPa、
破断伸び:3.9%、
E-弾性率:3500MPa。
HDT B:141℃
UV硬化後のグリーン体測定(40×7×4mm)A
熱硬化後のグリーン体測定(40×7×4mm):A
【0096】
前記インクジェット組成物は、次のものを含む:
(I)(M)及び(N)のアクリロイル基のmol/kg:2.85
(II)反応性化合物(N)によって提供されるアクリロイル基のmol%:39.3
(III)含有されるアクリロイル基(M)及び(N)と、化合物(D)の含有されるシアネートエステル基とのモル比:0.74
【0097】
例5
イソボルニルアクリレート(17.1質量%)、アクリロイルモルホリン(7.8質量%)、トリメチロールプロパントリアクリレート(7.3質量%)、CN 981(6.3質量%)、Omnirad 819(0.5質量%)、Genorad 16(0.25質量%)、BYK 333(0.2質量%)、AroCy 10L US(60.0質量%)、及びアルミニウムアセチルアセトネート(0.03質量%)を混合し、1μmでろ過した。
【表6】
【0098】
インクは、以下のようにインクジェットUV印刷され、後硬化された:1K/分で30~130℃、130℃/10時間、1K/分で130~150℃、150℃/2時間、1K/分で150~180℃、180℃/2時間、1K/分で180~200℃、200℃/2時間、1K/分で200~220℃、220℃/10分、-5K/分で220~30℃。
【0099】
最終的な物体の最終的な特性は次のとおりであった:
引張強度:86MPa、
破断伸び:4.2%、
E-弾性率:3400MPa。
【0100】
HDT B:194℃
UV硬化後のグリーン体測定(40×7×4mm)A
熱硬化後のグリーン体測定(40×7×4mm):A
【0101】
前記インクジェット組成物は、次のものを含む:
(I)(M)及び(N)のアクリロイル基のmol/kg:2.19
(II)反応性化合物(N)によって提供されるアクリロイル基のmol%:37.2
(III)含有されるアクリロイル基(M)及び(N)と、化合物(D)の含有されるシアネートエステル基とのモル比:0.48
【0102】
例6
イソボルニルアクリレート(20.7質量%)トリメチロールプロパントリアクリレート(6.7質量%)、CN 981(4.4質量%)、Omnirad 819(2.3質量%)、Genorad 16(0.29質量%)、BYK 333(0.2質量%)、AroCy 10L US(65.4質量%)、及びアルミニウムアセチルアセトネート(0.033質量%)を混合し、1μmでろ過した。
【表7】
【0103】
インクは、以下のようにインクジェットUV印刷され、後硬化された:1K/分で30~130℃、130℃/10時間、1K/分で130~150℃、150℃/2時間、1K/分で150~180℃、180℃/2時間、1K/分で180~200℃、200℃/2時間、1K/分で200~220℃、220℃/10分、-5K/分で220~30℃。
【0104】
最終的な物体の最終的な特性は次のとおりであった:
引張強度:86MPa
破断伸び:3.5%
E-弾性率:3400MPa
HDT B:189℃
HDT A:124℃
【0105】
曲げ強度:111MPa
曲げ弾性率:2800MPa
Izod(ノッチなし):264J/m
【0106】
前記インクジェット組成物は、次のものを含む:
(I)(M)及び(N)のアクリロイル基のmol/kg:1.72
(II)反応性化合物(N)によって提供されるアクリロイル基のmol%:42.5
(III)含有されるアクリロイル基(M)及び(N)と、化合物(D)の含有されるシアネートエステル基とのモル比:0.35
【0107】
例7~11
潜在的なインクジェット配合物のインク及び材料特性をスクリーニングするために、成型された試験片は、半透明のシリコン型内で、底部から15cmの距離で、UV光(LED395nm、16W/cm)によって、各側から30秒にわたって硬化される。次いで、熱の後硬化が実施される。したがって、この光重合され、オーブン硬化されたバルク試験片の試験結果は、相互侵入システムの最初の硬化ステップでの調製プロセスは異なるものの、噴射された材料及び後硬化された配合物の最終的な材料性能をよく近接して強調する。
【0108】
例7~11は、印刷用途と材料特性との相関を強調するために、(N)による官能性アクリレート基の程度が、特許請求の範囲に記載されたデュアル硬化インクジェットインクの範囲内であるか、境界を越えるような様々な配合比を示す。
【0109】
イソボルニルアクリレート、アクリロイルモルホリン、トリメチルプロパントリアクリレート、Omnirad 819、Genorad 16、AroCy 10L US、及びAl(acac)は、表1に示される比で混合された。
【0110】
インクは、上記のとおり成型され、以下のとおり後硬化された:1K/分で30~130℃、130℃/10時間、1K/分で130~150℃、150℃/2時間、1K/分で150~180℃、180℃/2時間、1K/分で180~200℃、200℃/2時間、1K/分で200~220℃、220℃/10分、-5K/分で220~30℃。
【0111】
表1に示されるように、インク及び材料特性は、(N)によるmol%の増加に起因するネットワーク密度の増加に伴って変化する。したがって、Cとラベル付けされたグリーン体の強度は低すぎ、グリーン状態の材料は柔らかすぎるが、一方で、カテゴリDの反りは高すぎ、材料の内部張力が高すぎるため、デジタルファイルに対して十分な寸法精度で複雑な三次元物体を印刷し、後硬化することができない。加えて、靭性及び柔軟性の点、好ましくは70~100MPaの引張強度及び好ましくは3~5%の破断伸びの点での良好な最終機械的特性は、(N)による官能性アクリレート基の程度をバランスさせることによってのみ達成される。
【表8】
【表9】