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特許7553721ディスプレイパネル及びディスプレイ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】ディスプレイパネル及びディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20240910BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240910BHJP
   H10K 59/122 20230101ALI20240910BHJP
   H10K 59/124 20230101ALI20240910BHJP
   H10K 59/65 20230101ALI20240910BHJP
   H10K 59/80 20230101ALI20240910BHJP
   H10K 59/90 20230101ALI20240910BHJP
【FI】
G09F9/30 349C
G09F9/00 366Z
G09F9/30 309
H10K59/122
H10K59/124
H10K59/65
H10K59/80
H10K59/90
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023545888
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(86)【国際出願番号】 CN2022089346
(87)【国際公開番号】W WO2023015952
(87)【国際公開日】2023-02-16
【審査請求日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】202110919104.2
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520032974
【氏名又は名称】云谷(固安)科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】任慶榮
(72)【発明者】
【氏名】▲シン▼汝博
(72)【発明者】
【氏名】李俊峰
(72)【発明者】
【氏名】王剛
(72)【発明者】
【氏名】郭瑞
(72)【発明者】
【氏名】崔霜
(72)【発明者】
【氏名】張豪峰
(72)【発明者】
【氏名】胡世文
【審査官】村上 遼太
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112379794(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109273497(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110265439(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111814723(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111312792(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108922905(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111668388(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0213379(US,A1)
【文献】国際公開第2019/218659(WO,A1)
【文献】特開2022-030129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B5/00-5/136
G09F9/00-9/46
H04M1/02-1/23
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイパネルであって、
前記ディスプレイパネルは、複数の貫通孔が設けられている遮光層及び保護層が設けられている光学指紋領域を備え、
前記保護層が、前記貫通孔内の領域の少なくとも一部を充填するとともに前記貫通孔が光透過性を持っていることを可能にする充填部を有し、
前記保護層は光透過部をさらに有し、前記光透過部は光透過孔であり、前記充填部は黒色の樹脂材料又は光透過性材料を含有するようにする、
又は、前記光透過部は光透過性材料で形成された膜層であり、前記充填部は黒色の樹脂材料であるようにする、ディスプレイパネル。
【請求項2】
前記貫通孔内の領域の一部を充填する前記充填部が前記貫通孔の側壁を回って且つ前記側壁に密着するように設けられており、前記光透過部の高さが前記貫通孔の深さよりも大きいか又は等しく、底壁と前記光透過部の側壁とがなす角が鋭角である前記充填部が前記光透過部と前記貫通孔の側壁との間にある、請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項3】
材料が光透過性材料である前記充填部が前記貫通孔内のすべての領域を充填する、請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項4】
前記遮光層はブラックマトリックス材料層を有し、前記貫通孔は、前記ディスプレイパネルに垂直な平面での断面形状が正台形である、請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項5】
前記ブラックマトリックス材料層は、クロム又はカーボンブラックを含有するネガ型フォトレジストを有する、請求項4に記載のディスプレイパネル。
【請求項6】
前記充填部は前記貫通孔内の領域の一部を充填し、前記光透過部は、前記ディスプレイパネルに垂直な平面での断面形状が上辺の長さが下辺の長さよりも大きい台形である、請求項2に記載のディスプレイパネル。
【請求項7】
前記ディスプレイパネルは、基材を有するアレイ基板を有し、前記基材上の前記充填部の正投影面積が前記基材から離れる方向に沿って次第に減少する、請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項8】
前記黒色の樹脂材料は、黒色の着色剤を含有するポリイミド又はポリメチルメタクリレートを含む、請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項9】
前記保護層は、前記充填部に接続される保護部をさらに有し、前記保護部は前記遮光層をカバーする、及び/又は、前記ディスプレイパネルの基材上の前記保護部の正投影は前記基材上の前記遮光層の正投影よりも大きいようにする、請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項10】
前記ディスプレイパネルは、基材と、前記基材の一方側にある平坦化層と、前記平坦化層の前記基材側から離れる側に設けられている画素限定層と、を有し、前記遮光層と前記保護層が前記画素限定層を形成する、及び/又は、前記遮光層が前記平坦化層を形成し、前記保護層が前記画素限定層を形成する、請求項1に記載のディスプレイパネル。
【請求項11】
ディスプレイ装置であって、請求項1~10のいずれか1項に記載のディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネルの裏面に設けられた、前記光学指紋領域に対応する光学指紋センサーと、を備える、ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ディスプレイ技術の分野に関し、特に、ディスプレイパネル及びディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
よりも大きな画面占有率を得るために、ディスプレイ内光学指紋認識技術は携帯電話やタブレットコンピュータなどのディスプレイ装置に応用されることが多くなっている。ディスプレイ内光学指紋認識技術とは、光学指紋センサーをディスプレイ装置のディスプレイパネルの裏面に配置して、ディスプレイパネルの上方の指で反射された光がディスプレイパネルを通過して光学指紋センサーで受光し、指紋認識を行う技術である。
【0003】
指紋認識を実現するために、小孔イメージングの原理を利用して光学指紋センサーに光を導くことが一般的であるが、これは、ディスプレイパネルの製品品質に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の問題を鑑みて、本願の実施例は、ディスプレイパネル及びディスプレイ装置を提供し、ディスプレイパネルの生産品質を確保することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本願の実施例は、以下の発明を提供する。
【0006】
第1の態様では、本願の実施例は、ディスプレイパネルを提供し、前記ディスプレイパネルは、複数の貫通孔が設けられている遮光層及び保護層が設けられている光学指紋領域を備え、前記保護層が前記貫通孔内の領域の少なくとも一部を充填する充填部を有し、前記貫通孔内の領域の一部を充填する前記充填部が前記貫通孔の側壁を回って且つ前記側壁に密着するように設けられており、前記保護層が、高さが前記貫通孔の深さよりも大きいか又は等しい光透過部をさらに有し、底壁と前記光透過部の側壁とがなす角が鋭角である前記充填部が前記光透過部と前記貫通孔の側壁との間にあるようにするか、又は、材料が光透過性材料である前記充填部が前記貫通孔内のすべての領域を充填するようにする。
【0007】
本願の実施例により提供されるディスプレイパネルは、複数の貫通孔が設けられている遮光層及び保護層が設けられている光学指紋領域を備え、保護層が、前記貫通孔内の領域の少なくとも一部を充填するとともに貫通孔が光透過性を持っていることを可能にする充填部を有し、保護層は光透過部をさらに有し、光透過部は光透過孔であり、前記充填部は黒色の樹脂材料又は光透過性材料を含有するようにする、又は、光透過部は光透過性材料で形成された膜層であり、充填部は黒色の樹脂材料であるようにする。これにより、ディスプレイパネルの上方の指で反射された光が貫通孔を通過し、ディスプレイパネルを通過して光学指紋センサーに入射し、指紋認識を実現する。保護層が貫通孔の光透過性に影響を与えることなく貫通孔を充填でき、遮光層上に設けられている各機能層の完全性は確保され、ディスプレイパネルの製品品質は向上する。
【0008】
第2の態様では、本願の実施例は、前記したディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネルの裏面に設けられた、前記光学指紋領域に対応する光学指紋センサーと、を備えるディスプレイ装置を提供する。
【0009】
ディスプレイ装置は上記の第1の態様のディスプレイパネルを備えているため、当該ディスプレイ装置はディスプレイパネルと同じ利点を有しており、具体的には上記の説明を参照することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本願の1つの実施例により提供されるディスプレイ装置の断面図である。
図2】本願の1つの実施例により提供されるディスプレイパネルの断面図である。
図3図2に示されるディスプレイパネルのイメージング原理図である。
図4】本願の別の実施例により提供されるディスプレイパネルの断面図である。
図5】本願の他の実施例により提供されるディスプレイパネルの断面図である。
図6】本願の他の実施例により提供されるディスプレイパネルの断面図である。
図7】本願の別の実施例により提供されるディスプレイパネルの断面図である。
図8】本願の他の実施例により提供されるディスプレイパネルの断面図である。
図9】本願の他の実施例により提供されるディスプレイパネルの断面図である。
図10】本願の他の実施例により提供されるディスプレイパネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
関連技術において、指で反射された光をより多く光学指紋センサーに入射させるためには、ディスプレイパネルのアレイ基板内に遮光層を追加して、光学指紋センサーに対応する遮光層の領域に小孔を設け、小孔イメージングの原理を利用してディスプレイパネルの上方の指で反射された光をより多く光学指紋センサーに導かせている。
【0012】
しかしながら、上記の解決手段において、小孔を設けると遮光層上の各機能層の完全性、ひいてはディスプレイパネルの製品品質に影響を与える。
【0013】
上記の技術的問題に対して、本願の実施例は、ディスプレイパネルを提供し、遮光層上に小孔イメージング用の貫通孔を形成するとともに、貫通孔の光透過性に影響を与えることなく保護層を使用して貫通孔を充填することにより、遮光層上に設けられている各機能層の完全性を確保し、ディスプレイパネルの製品品質を向上させる。
【0014】
本願の実施例の上記の目的、特徴及び利点をより明瞭にして容易に理解するために、以下、本願の実施例に係る図面を参照しながら、その技術的解決手段について明瞭、且つ完全に説明し、当然のことながら、記載される実施例は本願の実施例の一部にすぎず、そのすべての実施例ではない。当業者は、本願における実施例に基づいて創造的な労働をすることなく、獲得されたその他のすべての実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0015】
図1に示すように、本願の実施例により提供されるディスプレイ装置は、ディスプレイパネル100及びディスプレイパネル100の裏面に設けられている光学指紋センサー200を備える。ここで、ディスプレイパネル100は通常、画像などの情報の表示及びタッチ機能の実現のために用いられ、ディスプレイパネル100は例えば、OLED(Organic Light-Emitting Diode)ディスプレイパネルとすることができ、光学指紋センサー200は、指で反射又は屈折された光を受光して、指紋認識を実現するために用いられる。
【0016】
図2に示すように、ディスプレイパネル100は、アレイ基板10と、アレイ基板10上に設けられている複数の画素ユニット20と、画素ユニット20を隔離するための画素限定層30と、画素ユニット20をカバーする封止層50と、を有する。指紋認識が必要とされるとき、ディスプレイパネル100内の画素ユニット20が発する光がディスプレイパネル100上に置かれている指に当たると、指で反射又は屈折された光がディスプレイパネル100を通過して、光学指紋センサー200により受光され、指紋認識を行う。
【0017】
引き続き図2を参照すると、アレイ基板10は、基材101と、基材101上に積層して設けられている活性層11と、第1の絶縁層12と、第1の金属層13と、第2の絶縁層14と、第2の金属層15と、第3の絶縁層16と、第3の金属層17と、平坦化層18と、を有し、第1の金属層13が薄膜トランジスタのゲートとコンデンサの第1の極板とを有し、第2の金属層15がコンデンサの第2の極板を有し、第3の金属層17が薄膜トランジスタのソース・ドレイン電極を有し、ソース・ドレイン電極が第1の導線191を介して画素ユニット20に接続され、ソース・ドレイン電極が第2の導線192を介して活性層11に接続される。
【0018】
1つの実施形態において、活性層11は、アモルファスシリコン(a-Si)、ポリシリコン(poly-Si)、有機半導体などで作られることができる。第1の絶縁層12、第2の絶縁層14、第3の絶縁層16は、酸化ケイ素、窒化ケイ素などの材料で作られた無機材料層とすることができる。平坦化層18は、樹脂などの材料で作られた有機材料層とすることができる。第1の金属層13、第2の金属層15、第3の金属層17は、モリブデン、チタンなどの金属で作られた金属膜層とすることができる。
【0019】
アレイ基板10の平坦化層18上に、複数の画素開口が設けられている画素限定層30を設け、各画素ユニット20がそれぞれ各画素開口内にあるようにする。
【0020】
ディスプレイパネル100は、小孔イメージング用の複数の貫通孔711が設けられている遮光層71が設けられている光学指紋領域を備えている。図3に示すように、指紋認識をするとき、指をディスプレイパネル100上に置き、指で反射又は屈折された光が貫通孔711を通過し、そして、ディスプレイパネル100を通過して光学指紋センサー200に入射し、光は直線に沿って伝播するため、小孔イメージングの原理に従って、指の画像が貫通孔711を通過して光学指紋センサー200上に反転像が形成される。
【0021】
貫通孔711は、小孔イメージングの光学原理に従ってサイズを設定することができ、小孔イメージングが可能であり、指で反射された光をより多く光学指紋センサー200に導かせることができれば、サイズを特に限定しない。例えば、1つの選択的な実施例では、光学指紋センサー200上に形成される虚像の鮮明度を確保し、光学指紋センサー200の認識効果を向上させるために、ディスプレイパネル100に平行な平面を断面として、貫通孔711を孔径が5-20マイクロメートルである円形孔の形状にする。当然ながら、貫通孔711は上記の円形孔の形状に限定されず、楕円形孔、角孔などの他の形状の孔であってもよいことを理解されたい。
【0022】
光学指紋領域は、貫通孔711の光透過性に影響を与えることなく貫通孔711を充填するための保護層72をさらに備え、遮光層71上の各機能層の完全性を確保する。保護層72は貫通孔711内の領域の少なくとも一部を充填する充填部721を有し、いくつかの実施例では、図2に示すように、充填部721の材料が光透過性材料であり、充填部721が貫通孔711内のすべての領域を充填することにより、遮光層71上の各機能層の完全性を確保し、例えば、カソード配線断線を効果的に避け、ディスプレイパネル100の製品品質を確保することができる。
【0023】
他のいくつかの実施例では、充填部721は貫通孔711内の領域の一部を充填するものであってもよい。例えば、図5に示される実施例では、充填部721は貫通孔711の側壁を回って且つ側壁に密着するように設けられており、保護層72は光透過部723をさらに有し、充填部721は光透過部723と貫通孔711の側壁との間にあり、光透過部723の高さが貫通孔711の深さよりも大きいか又は等しいようにし、充填部721の底壁と光透過部723の側壁とがなす角が鋭角であるようにしている。
【0024】
上記の実施例では、光透過部723を使用して貫通孔711の光透過性を確保し、光透過部723と貫通孔711の側壁との間に、底壁と光透過部723の側壁とがなす角が鋭角である充填部721を設けることにより、充填部721の底部の内側に充填デッドスペースが形成されることがなく、遮光層71上の機能層を形成するとき、当該機能層を、充填部721の内側壁と底壁とが接する領域において連続したまま形成し、その結果、遮光層71上に形成した各機能層の完全性を確保することができ、例えば、カソード配線断線の現象を効果的に避け、ひいてはディスプレイパネル100の製品品質を確保することができる。
【0025】
遮光層71は、材質が遮光効果のある任意の材料であってもよく、例えば、黒色の樹脂材料層などであってもよい。遮光層71の遮光効果を向上させるために、遮光層71はブラックマトリックス材料層とし、ブラックマトリックス材料層の材料がクロム又はカーボンブラックを含有するネガ型フォトレジストであってもよい。ブラックマトリックス材料層で作られた遮光層71は、遮光層71の遮光効果を向上させ、ひいては光学指紋センサー200に入射する光信号の信号対雑音比を高め、ディスプレイパネル100の歩留まりを確保することができる。
【0026】
遮光層71がブラックマトリックス材料層である実施例では、フォトエッチング手法で遮光層71上に貫通孔711を形成するが、しかしながら、フォトエッチング手法でブラックマトリックス材料層上に貫通孔711を形成するとき、ブラックマトリックス材料層自体の特性上、図4に示すように、貫通孔711は、画素限定層30に垂直な平面での断面形状が正台形で、すなわち、上部が狭く下部が広い形状で形成されている。上部が狭く下部が広い貫通孔711は遮光層71上に形成されている各一体化構造をしている機能層の完全性に影響を与える。
【0027】
以下、上記の問題に至るまでの原因について、図6に示されるディスプレイパネルを例にして具体的に説明する。図6に示すように、各画素ユニット20はいずれも、第1の電極21、発光材料層22及び第2の電極23を有する。配線を便利にし、回路を簡約化するために、各第2の電極23は画素限定層30上にあり、且つ各第2の電極23が一体化構造で、すなわち、各第2の電極23は全体層(つまり、連続層)としての第2の電極層を形成するようにしている。そのうち、第1の電極21がアノードとし、第2の電極23がカソードとする。
【0028】
さらに、図6に示すように、画素ユニット20は、正孔注入層24、正孔輸送層25、電子輸送層26、及び電子注入層27をさらに有する。正孔注入層24はアノードとされる第1の電極21上にあり、正孔輸送層25は正孔注入層24の第1の電極21から離れる側にあるようにし、正孔注入層24の役目は、画素ユニット20におけるアノード層と正孔輸送層25との間のエネルギー準位整合の問題を改善することである。一般的に、アノード層の製造材料は酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide、ITO)であり、正孔輸送層25の常用の材料のエネルギー準位はITO層のエネルギー準位とは整合しないため、正孔輸送効率が低くなっており、正孔注入層24を1層設けることにより、アノード層と正孔輸送層25との間の注入障壁を低減し、ITO層から正孔輸送層25への正孔の注入を支援することができる。同様に、電子注入層27はカソード層と電子輸送層26との間のエネルギー準位整合の問題を改善することができる。
【0029】
各画素ユニット20の正孔注入層24は互いに間隔をあけて設けられてもよいし、一体化構造として形成されてもよく、同様に、各画素ユニット20の正孔輸送層25は互いに間隔をあけて設けられてもよいし、または一体化構造として形成されてもよく、各画素ユニット20の電子輸送層26は互いに間隔をあけて設けられてもよいし、または一体化構造として形成されてもよく、各画素ユニット20の電子注入層27は互いに間隔をあけて設けられてもよいし、または一体化構造として形成されてもよい。
【0030】
上記の実施例では、各第2の電極23は一体化構造であり、貫通孔711は正台形の形状であり、第2の電極23の製造中に、第2の電極23を形成する材料を正台形の底角領域に充填することが困難であるため、貫通孔711内に充填デッドスペース(例えば図4のA領域及びB領域)が生じ、第2の電極23が破断したり第2の電極23に接続されている導線が断線したりして、ディスプレイパネル100のディスプレイに影響を及ぼす。図5及び図6に示すように、貫通孔711の領域の少なくとも一部を充填するための充填部721を設けているため、第2の電極23の製造中に、その連続性を確保し、導線の断線を回避し、ディスプレイパネル100の通常通りのディスプレイを確保し、ディスプレイパネル100の歩留まりをさらに向上させる。
【0031】
貫通孔711のすべての領域を充填部721で充填する実施例では、充填部721は、光が貫通孔711を透過することを確保できる任意の材料であってもよく、例えば、充填部721の材料が透明な樹脂材料であってもよく、スピンコート、蒸着などの手段を用いて貫通孔711のすべての領域を透明な樹脂材料で充填することができる。透明な樹脂材料は流動性が良いため、貫通孔711をよりよく充填することができる。好ましくは、充填部721の上面が遮光層71の上面と面一であるようにすることで、遮光層71上の各機能層の完全性をさらに向上させる。貫通孔711の領域の一部を充填部721で充填する実施例では、充填部721の内側に光透過部723を設け、光透過部723によって貫通孔711の光透過性を確保するため、充填部721の材料は限定されず、透明な樹脂材料などの光透過性材料を使用してもよいし、黒色の樹脂材料などの非光透過性材料を使用してもよい。
【0032】
貫通孔711の領域の一部を充填部721で充填する実施例では、光透過部723は、その側壁と充填部721の底壁とがなす角が鋭角であるようにすれば、その具体的な形状を限定しない。1つの選択的な実施例では、図5に示すように、光透過部723は、ディスプレイパネル100に垂直な平面での断面形状が上辺の長さが下辺の長さよりも大きい台形であるように設計することにより、光透過部723と合わせる充填部721の内側壁を比較的平らな面にさせ、充填部721上に形成される膜層を充填部721の内側壁によく貼り付けることを確保し、製品品質をさらに向上させる。また、光透過部723を上記の形状とすることで、加工が容易となり、生産コストが低減され、生産効率が向上する(詳細は後述する)。
【0033】
光透過部723は光透過孔として設けてもよく、すなわち、光透過孔は、ディスプレイパネル100に垂直な平面での断面形状が上辺の長さが下辺の長さよりも大きい台形であるようにしてもよい。当該実施例では、光透過孔は上部が広く下部が狭い形状としており、光透過孔の底部領域に充填デッドスペースが形成しないため、保護層72上に形成される各機能層は、光透過孔の側壁と底壁とが接する領域において連続したまま形成し、各機能層の完全性は確保され、ディスプレイパネル100の製品品質は向上する。
【0034】
上記の実施例では、充填部721の材料は透明な樹脂材料などの光透過性材料であってもよく、充填部721の材料は黒色の着色剤を含有するポリイミドやポリメチルメタクリレートなどの黒色の樹脂材料であってもよい。光透過孔を設けることで、貫通孔711の光透過性を確保し、ひいては貫通孔711を透過して光学指紋センサー200によって受光される光を十分確保し、光学指紋センサー200の認識効果を向上させることができる。
【0035】
上記の実施例では、充填部721は透明な樹脂材料又は黒色の樹脂材料を使用する際、充填部721上に上記の光透過孔をフォトエッチング工程で形成することができ、樹脂材料自身の材料特性上、フォトエッチングによって形成される光透過孔は、ディスプレイパネル100に垂直な平面での断面形状が上辺の長さが下辺の長さよりも大きい台形になり、加工工程は簡略化される。
【0036】
当然ながら、光透過部723は、充填部721の内側のスペースを充填する光透過性材料を使用するものとしてもよく、このようにすると、保護層72上の各機能層の平坦性を確保し、ディスプレイパネル100の製品品質をさらに向上させることができることを理解されたい。当該実施例では、充填部721は、光透過性材料であってもよいし、非光透過性材料であってもよい。1つの選択的な実施例では、充填部721は黒色の樹脂材料で作られたものであり、光透過部723は光透過性材料で形成された膜層である。充填部721は、黒色の樹脂材料で作られたものとすると、光透過部723の周囲の光に対してよい遮光性を形成することができるため、迷光をよりよく除去し、光学指紋センサー200に入射する光信号の信号対雑音比を高め、さらに、光学指紋センサー200の指紋認識効果を向上させる。
【0037】
例示的に、貫通孔711の加工を容易にするために、基材101上の充填部721の正投影面積は、基材101から離れる方向に沿って次第に減少し、貫通孔711は下部が広く上部が狭い形状であるようにし、例えば、フォトエッチング工程で遮光層71上に貫通孔711を形成する一方、充填部721は、基材101上の充填部721の正投影面積が基材101から離れる方向に沿って次第に減少していく中に、貫通孔711の底部エッジ領域を充填するとともに、充填部721の底壁と光透過部723の側壁とがなす角を鋭角にするように、設けられている。
【0038】
図7及び図8に示すように、保護層72は、充填部721に接続される保護部722をさらに有し、保護部722は遮光層71をカバーし、且つ遮光層71に対して良い保護作用を機能することができる。好ましくは、充填部721は保護部722と一体化構造とすることができ、それによって、構造及び加工工程を簡略化し、ディスプレイパネル100の生産効率を向上させる。
【0039】
保護部722は、その一部が遮光層71をカバーするように設けられてもよく、ディスプレイパネル100に平行な平面上の保護部722の正投影はディスプレイパネル100に平行な平面上の遮光層71の正投影よりも大きいようにすることは好適であり、このように設計することで、保護部722が遮光層71を完全にカバーすることを確保し、保護層72上の各機能層の平坦性を向上させることができ、また、保護層72は全体層(つまり、連続層)の構造としているため、保護層72の製造工程を簡略化し、生産コストを低減し、生産効率を向上させることができる。
【0040】
保護部722は、光透過性材料であってもよいし、黒色の着色剤を含有するポリイミドやポリメチルメタクリレートなどの黒色の樹脂材料のような一定の遮光効果を有する材料であってもよい。黒色の樹脂材料を使用して保護部722とすることで、保護層72の遮光効果を向上させ、光学指紋センサー200に入射する光信号の信号対雑音比をさらに高め、ひいては光学指紋センサー200の指紋認識効果を向上させることができる。保護部722は黒色の樹脂材料であるようにする場合、貫通孔711の光透過性を確保するために、光透過部723は保護部722を貫通するようにする。
【0041】
上記の実施例における遮光層71及び保護層72はディスプレイパネル100内の任意の位置に設けられてもよく、1つの実施例では、図7及び図8に示すように、遮光層71と保護層72は画素限定層30を形成し、遮光層71と保護層72とで形成された画素限定層30に遮光層71と保護層72とを貫通する画素開口724を設け、画素開口724間に貫通孔711を設ける。このように設計することで、画素限定層30を個別に設ける必要がなくなり、ディスプレイパネル100の構造及び加工工程は簡略化され、ディスプレイパネル100の生産コストは低減する。
【0042】
遮光層71と保護層72は画素限定層30を形成することに限定されないことを理解されたい。1つの選択的な実施例では、遮光層71と保護層72は平坦化層18を形成し、例えば、図9に示すように、アレイ基板10は、基材101と、基材101上に積層して設けられている活性層11と、第1の絶縁層12と、第1の金属層13と、第2の絶縁層14と、第2の金属層15と、第3の絶縁層16と、第3の金属層17と、を有し、遮光層71が第3の金属層17をカバーし、遮光層71上に小孔イメージング用の貫通孔711を設け、保護層72の保護部722が遮光層71をカバーし、保護層72の充填部721が貫通孔711を充填する。
【0043】
第1の金属層13が薄膜トランジスタのゲートとコンデンサの第1の極板とを有し、第2の金属層15がコンデンサの第2の極板を有し、第3の金属層17が薄膜トランジスタのソース・ドレイン電極を有し、ソース・ドレイン電極が第1の導線191を介して画素ユニット20に接続され、ソース・ドレイン電極が第2の導線192を介して活性層11に接続される。
【0044】
上記の実施例では、遮光層71と保護層72は共に平坦化層18を形成する。画素限定層30と画素ユニット20は遮光層71上に設けられている。このように設計することで、ディスプレイパネル100の加工工程を簡略化することができ、また、指紋認識を行う際、遮光層71が指から遠く離れているため、指で反射された光は光学指紋センサー200により多く入射し、光学指紋センサー200の認識効果は向上する。
【0045】
別の選択的な実施例では、遮光層71が平坦化層18を形成し、保護層72が画素限定層30を形成し、例えば、図10に示すように、アレイ基板10は、基材101と、基材101上に積層して設けられている活性層11と、第1の絶縁層12と、第1の金属層13と、第2の絶縁層14と、第2の金属層15と、第3の絶縁層16と、第3の金属層17と、を有し、遮光層71が第3の金属層17をカバーし、遮光層71上に小孔イメージング用の貫通孔711を設ける。
【0046】
第1の金属層13が薄膜トランジスタのゲートとコンデンサの第1の極板とを有し、第2の金属層15がコンデンサの第2の極板を有し、第3の金属層17が薄膜トランジスタのソース・ドレイン電極を有し、ソース・ドレイン電極が第1の導線191を介して画素ユニット20に接続され、ソース・ドレイン電極が第2の導線192を介して活性層11に接続される。
【0047】
保護層72の保護部722が遮光層71をカバーし、保護部722で形成された画素限定層30上に画素開口を設ける。保護層72の充填部721が貫通孔711を充填する。このように設計することで、遮光層71が平坦化層18を形成し、保護層72が画素限定層30を形成するようになり、ディスプレイパネル100の加工工程は簡略化されるとともに、遮光層71は、平坦化層18として、その厚みが厚いので、遮光層71による光の遮断効果は向上し、光学指紋センサー200に入射する光信号の信号対雑音比はさらに高められる。
【0048】
本願の実施例は、上記したディスプレイパネルと、ディスプレイパネルの裏面に設けられた、光学指紋領域に対応する光学指紋センサーと、を備えるディスプレイ装置を提供する。
【0049】
ディスプレイ装置は上記のディスプレイパネルを備えているため、当該ディスプレイ装置はディスプレイパネルと同じ利点を有しており、具体的には上記の説明を参照することができる。
【0050】
最後に説明すべきものとして、以上の各実施例は、本願の技術的解決手段を説明するためのものであって、それを制限するものではなく、前述の各実施例を参照しながら本願を詳細に説明しているが、当業者であれば、依然として前述の各実施例に記載の技術的解決手段を修正するか、又はそのうちの一部又はすべての技術的特徴に対して等価置換を行うことができ、これらの修正又は置換は、対応する技術的解決手段の本質を本願の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱しないと理解すべきである。
【0051】
本願は2021年08月11日に中国特許局に提出された、出願番号が202110919104.2で、出願の名称が「ディスプレイパネル及びディスプレイ装置」という中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は援用によって本願に組み合わせられる。

図1
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図10