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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】処置具用ジェネレータ及び処置システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
A61B18/12
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023546653
(86)(22)【出願日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 JP2021033218
(87)【国際公開番号】W WO2023037478
(87)【国際公開日】2023-03-16
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 尚英
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-000225(JP,A)
【文献】特許第6177484(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0189093(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0000532(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12 - A61B 18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処置具に対して電力を供給する電源と、
前記電源及び前記処置具の動作を制御するプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、
前記電源から前記処置具に対して前記電力を供給させることによって前記処置具から生体組織に対して処置エネルギを付与させ、
前記処置具によって把持されている前記生体組織の厚さ寸法の指標となる厚さ指標値を算出し、
前記厚さ指標値に基づいて、前記電源及び前記処置具の少なくとも一方の制御状態を変更する変更タイミングであるか否かを判定し、
前記変更タイミングであると判定した後、前記電源から前記処置具に対して供給させている前記電力を所定時間下げるかまたは停止する第1の制御、前記処置具によって前記生体組織を把持する把持力を増加させる第2の制御、または、前記処置具によって前記生体組織を把持する把持力を所定時間減少させる第3の制御のいずれかを実行する処置具用ジェネレータ。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記第1の制御において、前記電力を所定時間一時的に下げるかまたは停止した後、前記電力を増加させる請求項1に記載の処置具用ジェネレータ。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記第3の制御において、前記把持力を所定時間一時的に減少させた後、前記把持力を増加させる請求項1に記載の処置具用ジェネレータ。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記厚さ指標値における変化量と所定時間との積が特定の第1の閾値をまたぐ時点を前記変更タイミングと判定する請求項1に記載の処置具用ジェネレータ。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記厚さ指標値における変化速度が特定の第2の閾値を下回った時点を前記変更タイミングと判定する請求項1に記載の処置具用ジェネレータ。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記処置具によって前記生体組織を把持している状態を撮像した内視鏡画像を生成する内視鏡装置から前記内視鏡画像を取得し、前記内視鏡画像に基づいて、前記厚さ指標値を算出する請求項1に記載の処置具用ジェネレータ。
【請求項7】
前記厚さ指標値は、
前記電力として印加される電流、電圧、前記電流の位相情報または前記電圧の位相情報の少なくとも1つより算出される値である請求項1に記載の処置具用ジェネレータ。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記第1の制御において、前記厚さ指標値に基づいて、前記電力を下げる量を変更する請求項1に記載の処置具用ジェネレータ。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記変更タイミングを時系列に沿って複数回判定した場合に、前記第1の制御では、前記複数回の前記変更タイミングにおいて、時系列的に後の前記変更タイミングで前記電力を下げる量を少なくする請求項1に記載の処置具用ジェネレータ。
【請求項10】
処置具に対して電力を供給する電源と、
前記電源の動作を制御するプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、
前記電源から前記処置具に対して前記電力を供給させることによって前記処置具から生体組織に対して処置エネルギを付与させ、
前記処置具によって把持されている前記生体組織の厚さ寸法の指標となる厚さ指標値を算出し、
前記厚さ指標値に基づいて、前記処置具による前記生体組織の把持状態を変更する変更タイミングであるか否かを判定し、
前記変更タイミングであると判定した後、報知部から前記生体組織の把持状態の変更を促す情報を報知させる処置具用ジェネレータ。
【請求項11】
処置具と、
前記処置具の動作を制御する処置具用ジェネレータと、を備え、
前記処置具用ジェネレータは、
前記処置具に対して電力を供給する電源と、
前記電源及び前記処置具の動作を制御するプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、
前記電源から前記処置具に対して前記電力を供給させることによって前記処置具から生体組織に対して処置エネルギを付与させ、
前記処置具によって把持されている前記生体組織の厚さ寸法の指標となる厚さ指標値を算出し、
前記厚さ指標値に基づいて、前記電源及び前記処置具の少なくとも一方の制御状態を変更する変更タイミングであるか否かを判定し、
前記変更タイミングであると判定した後、前記電源から前記処置具に対して供給させている前記電力を所定時間下げるかまたは停止する第1の制御、前記処置具によって前記生体組織を把持する把持力を増加させる第2の制御、または、前記処置具によって前記生体組織を把持する把持力を所定時間減少させる第3の制御のいずれかを実行する処置システム。
【請求項12】
処置具と、
前記処置具の動作を制御する処置具用ジェネレータと、を備え、
前記処置具用ジェネレータは、
前記処置具に対して電力を供給する電源と、
前記電源の動作を制御するプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、
前記電源から前記処置具に対して前記電力を供給させることによって前記処置具から生体組織に対して処置エネルギを付与させ、
前記処置具によって把持されている前記生体組織の厚さ寸法の指標となる厚さ指標値を算出し、
前記厚さ指標値に基づいて、前記処置具による前記生体組織の把持状態を変更する変更タイミングであるか否かを判定し、
前記変更タイミングであると判定した後、報知部から前記生体組織の把持状態の変更を促す情報を報知させる処置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処置具用ジェネレータ及び処置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、供給された電力に応じて生体組織に対して処置エネルギを付与することによって当該生体組織を処置する処置具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の処置具では、生体組織に対して付与する処置エネルギとして、高周波エネルギを採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5198800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図18及び図19は、従来の課題を説明する図である。
ここで、図18及び図19に示すように、処置の対象となる生体組織として、血管100を想定する。また、当該血管100の処置として、当該血管100の封止を想定する。
処置具によって血管100を把持しつつ、当該血管100に対して処置エネルギを付与することによって当該血管100を封止する際、図19に示すように、中膜101と外膜102とが剥離しなければ、封止耐圧が安定する。すなわち、当該血管100を適切に封止することができる。一方、図18に示すように、中膜101と外膜102とが剥離してしまうと、封止耐圧が安定しないため、血管100を適切に封止することができない。
特許文献1に記載の処置具では、血管100を封止する際、図18に示すように、中膜101と外膜102とが剥離してしまい、当該血管100を適切に封止することができない場合がある。
そこで、生体組織を適切に処置することができる技術が要望されている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、生体組織を適切に処置することができる処置具用ジェネレータ及び処置システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る処置具用ジェネレータは、処置具に対して電力を供給する電源と、前記電源及び前記処置具の動作を制御するプロセッサと、を備え、前記プロセッサは、前記電源から前記処置具に対して前記電力を供給させることによって前記処置具から生体組織に対して処置エネルギを付与させ、前記処置具によって把持されている前記生体組織の厚さ寸法の指標となる厚さ指標値を算出し、前記厚さ指標値に基づいて、前記電源及び前記処置具の少なくとも一方の制御状態を変更する変更タイミングであるか否かを判定し、前記変更タイミングであると判定した後、前記電源から前記処置具に対して供給させている前記電力を所定時間下げるかまたは停止する第1の制御、前記処置具によって前記生体組織を把持する把持力を増加させる第2の制御、または、前記処置具によって前記生体組織を把持する把持力を所定時間減少させる第3の制御のいずれかを実行する。
【0007】
本発明に係る処置具用ジェネレータは、処置具に対して電力を供給する電源と、前記電源の動作を制御するプロセッサと、を備え、前記プロセッサは、前記電源から前記処置具に対して前記電力を供給させることによって前記処置具から生体組織に対して処置エネルギを付与させ、前記処置具によって把持されている前記生体組織の厚さ寸法の指標となる厚さ指標値を算出し、前記厚さ指標値に基づいて、前記処置具による前記生体組織の把持状態を変更する変更タイミングであるか否かを判定し、前記変更タイミングであると判定した後、報知部から前記生体組織の把持状態の変更を促す情報を報知させる。
【0008】
本発明に係る処置システムは、処置具と、前記処置具の動作を制御する処置具用ジェネレータと、を備え、前記処置具用ジェネレータは、前記処置具に対して電力を供給する電源と、前記電源及び前記処置具の動作を制御するプロセッサと、を備え、前記プロセッサは、前記電源から前記処置具に対して前記電力を供給させることによって前記処置具から生体組織に対して処置エネルギを付与させ、前記処置具によって把持されている前記生体組織の厚さ寸法の指標となる厚さ指標値を算出し、前記厚さ指標値に基づいて、前記電源及び前記処置具の少なくとも一方の制御状態を変更する変更タイミングであるか否かを判定し、前記変更タイミングであると判定した後、前記電源から前記処置具に対して供給させている前記電力を所定時間下げるかまたは停止する第1の制御、前記処置具によって前記生体組織を把持する把持力を増加させる第2の制御、または、前記処置具によって前記生体組織を把持する把持力を所定時間減少させる第3の制御のいずれかを実行する。
【0009】
本発明に係る処置システムは、処置具と、前記処置具の動作を制御する処置具用ジェネレータと、を備え、前記処置具用ジェネレータは、前記処置具に対して電力を供給する電源と、前記電源の動作を制御するプロセッサと、を備え、前記プロセッサは、前記電源から前記処置具に対して前記電力を供給させることによって前記処置具から生体組織に対して処置エネルギを付与させ、前記処置具によって把持されている前記生体組織の厚さ寸法の指標となる厚さ指標値を算出し、前記厚さ指標値に基づいて、前記処置具による前記生体組織の把持状態を変更する変更タイミングであるか否かを判定し、前記変更タイミングであると判定した後、報知部から前記生体組織の把持状態の変更を促す情報を報知させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る処置具用ジェネレータ、処置システム、制御方法、及び処置方法によれば、生体組織を適切に処置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施の形態1に係る処置システムを示す図である。
図2図2は、把持部の構成を示す断面図である。
図3図3は、第2のプロセッサが実行する制御方法を示すフローチャートである。
図4図4は、制御方法を説明する図である。
図5図5は、制御方法を説明する図である。
図6図6は、ステップS4を説明する図である。
図7図7は、実施の形態2に係る処置具の構成を説明する図である。
図8図8は、第2のプロセッサが実行する制御方法を示すフローチャートである。
図9図9は、制御方法を説明する図である。
図10図10は、ステップS6を説明する図である。
図11図11は、実施の形態3に係る第2のプロセッサが実行する制御方法を示すフローチャートである。
図12図12は、制御方法を説明する図である。
図13図13は、実施の形態1~3の変形例1を説明する図である。
図14図14は、実施の形態1~3の変形例2を説明する図である。
図15図15は、実施の形態1~3の変形例3を説明する図である。
図16図16は、実施の形態1~3の変形例3を説明する図である。
図17図17は、実施の形態1~3の変形例3を説明する図である。
図18図18は、従来の課題を説明する図である。
図19図19は、従来の課題を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0015】
(実施の形態1)
〔処置システムの概略構成〕
図1は、本実施の形態1に係る処置システム1を示す図である。
処置システム1は、生体内を観察しながら当該生体内における処置の対象となる血管等の生体組織(以下、対象部位と記載)を処置するシステムである。この処置システム1は、図1に示すように、内視鏡装置2と、表示装置3と、処置装置4とを備える。
以下、内視鏡装置2及び処置装置4の構成について順に説明する。
【0016】
〔内視鏡装置の構成〕
内視鏡装置2は、生体内を観察する装置である。この内視鏡装置2は、図1に示すように、スコープ21と、制御装置22とを備える。
スコープ21は、生体内に挿入され、当該生体内を撮像する。本実施の形態1では、スコープ21は、柔軟で細長形状を有し、生体内に挿入される所謂、軟性内視鏡によって構成されているが、これに限定されず所謂硬性鏡であってもよい。そして、スコープ21は、コネクタ(図示略)によって、制御装置22に対して着脱自在に接続される。このスコープ21には、図1に示すように、照明レンズ211と、対物レンズ212と、撮像部213と、操作部214とを備える。
【0017】
照明レンズ211は、ライトガイド23(図1)の出射端に対向した状態で、スコープ21の先端に設けられている。そして、ライトガイド23から出射された光は、照明レンズ211を通った後、生体内に照射される。
対物レンズ212は、スコープ21の先端に設けられている。そして、対物レンズ212は、照明レンズ211から生体内に照射され、当該生体内で反射された光(被写体像)を取り込んで撮像部213の受光面に結像する。
【0018】
撮像部213は、制御装置22による制御の下、対物レンズ212が結像した被写体像を撮像することによって内視鏡画像を生成する。そして、撮像部213は、生成した内視鏡画像を制御装置22に対して出力する。
操作部214は、医師等のユーザによるユーザ操作を受け付ける各種のスイッチ(図示略)が設けられている。そして、操作部214は、当該操作に応じた操作信号を制御装置22に対して出力する。
【0019】
制御装置22は、CPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等を含んで構成され、スコープ21及び表示装置3の動作を統括的に制御する。この制御装置22は、図1に示すように、アナログ処理部221と、A/D変換部222と、画像処理部223と、映像出力I/F部224と、第1のプロセッサ225と、メモリ226と、光源装置227とを備える。
【0020】
アナログ処理部221は、スコープ21からの内視鏡画像(アナログ信号)を入力し、当該内視鏡画像に対して、クランプ処理及びノイズ除去処理(CDS(相関二重サンプリング))等のアナログ処理を実行する。
A/D変換部222は、アナログ処理が施された内視鏡画像(アナログ信号)をA/D変換し、当該変換した内視鏡画像(デジタル信号)を出力する。
【0021】
画像処理部223は、第1のプロセッサ225による制御の下、メモリ226に記憶された画像処理用の各種パラメータを用いながら、入力した内視鏡画像に対して各種の画像処理を実行する。当該各種の画像処理としては、オプティカルブラック減算処理、ホワイトバランス(WB)調整処理、デモザイク処理、カラーマトリクス演算処理、ガンマ補正処理、色再現処理、及びエッジ強調処理等を例示することができる。
映像出力I/F部224は、DAC(Digital Analog Converter)やエンコーダ等によって構成され、画像処理部223によって各種の画像処理が施された内視鏡画像(デジタル信号)に基づいて、表示用の映像信号を生成する。そして、映像出力I/F部224は、当該表示用の映像信号を表示装置3に対して出力する。
【0022】
表示装置3は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)等を用いた表示ディスプレイによって構成されている。そして、表示装置3は、映像出力I/F部224からの表示用の映像信号を入力し、当該表示用の映像信号に基づく内視鏡画像等を表示する。
【0023】
光源装置227は、図1に示すように、光源228と、光源ドライバ229とを備える。なお、本実施の形態1では、光源装置227は、制御装置22に内蔵された構成としているが、これに限らず、制御装置22とは独立した構成としても構わない。
光源228は、例えば、白色LED(Light Emitting Diode)等によって構成され、供給された電力に応じて光を出射する。そして、光源228から出射された光は、ライトガイド23及び照明レンズ211を通った後、生体内に照射される。
光源ドライバ229は、第1のプロセッサ225による制御の下、光源228に対して電力を供給する。
【0024】
第1のプロセッサ225は、例えば、CPUやFPGA等によって構成され、スコープ21の動作と、表示装置3の動作と、制御装置22全体の動作とを制御する。また、制御装置22と処置装置4を構成する処置具用ジェネレータ6(図1)とは、第1の電気ケーブルC1(図1)によって着脱自在に互いに接続される。そして、第1のプロセッサ225は、第1の電気ケーブルC1を経由することによって、処置具用ジェネレータ6に対して内視鏡画像を出力する。
メモリ226は、第1のプロセッサ225が実行するプログラム、当該第1のプロセッサ225の処理に必要な情報、及び上述した画像処理用の各種パラメータ等を記憶する。
【0025】
〔処置装置の構成〕
処置装置4は、対象部位に対して処置エネルギを付与することによって、当該対象部位を処置する。なお、本実施の形態1に係る処置装置4において実行可能とする処置は、対象部位の凝固(封止)及び切開である。また、当該処置エネルギは、高周波エネルギである。なお、対象部位に対して高周波エネルギを付与するとは、当該対象部位に高周波電流を流すことを意味する。この処置装置4は、図1に示すように、処置具5と、処置具用ジェネレータ6とを備える。
【0026】
処置具5は、対象部位を把持し、当該対象部位に対して処置エネルギを付与することによって当該対象部位を処置するクランプ型の処置具である。この処置具5は、図1に示すように、保持ケース51と、可動ハンドル52と、スイッチ53と、シャフト54と、把持部55とを備える。
保持ケース51は、処置具5全体を支持する。この保持ケース51は、図1に示すように、保持ケース本体511と、固定ハンドル512とを備える。
保持ケース本体511は、シャフト54の中心軸Ax(図1)上に位置し、当該中心軸Axに沿って延在する略筒形状を有する。
固定ハンドル512は、保持ケース本体511から図1中、下方側に延在し、術者によって把持される部分である。
【0027】
可動ハンドル52は、保持ケース51に対して回転可能に軸支され、術者による閉操作及び開操作をそれぞれ受け付ける。そして、可動ハンドル52は、術者による閉操作に応じて、図1中、反時計回りに回転し、固定ハンドル512に対して近接する。また、可動ハンドル52は、術者による開操作に応じて、図1中、時計回りに回転し、固定ハンドル512に対して離間する。
【0028】
スイッチ53は、保持ケース51から外部に露出した状態で設けられ、術者による押下(以下、処置開始操作と記載)を受け付ける。そして、スイッチ53は、第2の電気ケーブルC2(図1)を経由することによって、当該処置開始操作に応じた操作信号を処置具用ジェネレータ6に対して出力する。
なお、処置開始操作を受け付けるスイッチとしては、手で押下するスイッチに限らず、足で押下するフットスイッチを採用しても構わない。
【0029】
シャフト54は、円筒形状を有し、基端側(図1中、右側)の端部が保持ケース本体511に対して接続されている。また、シャフト54における先端側(図1中、左側)の端部には、把持部55が取り付けられている。そして、シャフト54の内部には、術者による可動ハンドル52への閉操作及び開操作に応じて、中心軸Axに沿って進退し、把持部55を構成する第1,第2の把持部材56,57(図1)を開閉させる開閉部材50(図4参照)が設けられている。使用する処置エネルギによっては第2の把持部材57が略直線的である必要はないため、図1には片開きの開閉構造を例示したが、勿論両開きの開閉構造であっても構わない。
【0030】
図2は、把持部55の構成を示す断面図である。具体的に、図2は、把持部55を中心軸Axに直交する平面によって切断した断面図である。
以下では、説明の便宜上、中心軸Axに沿う一方側を先端側Ar1(図1)と記載し、他方側を基端側Ar2(図1)と記載する。
把持部55は、対象部位を把持し、当該対象部位に対して処置エネルギを付与することによって当該対象部位を処置する部分である。この把持部55は、図1または図2に示すように、第1,第2の把持部材56,57を備える。
【0031】
第1の把持部材56は、図2に示すように、第1のジョー561と、第1の支持部材562と、第1の電極563と、当接部564とを備える。
第1のジョー561は、中心軸Axに沿って延在する長尺状に形成されている。そして、第1のジョー561における基端側Ar2の端部は、シャフト54における先端側Ar1の端部に対して、図1の紙面に直交する方向に延在する回転軸を中心として回転可能に軸支されている。この第1のジョー561は、所定の剛性を持たせるために、その一部が、例えば、ステンレスやチタン等の金属材料によって構成されている。そして、第1のジョー561(第1の把持部材56)は、可動ハンドル52への閉操作及び開操作に応じて、開閉部材50がシャフト54内を中心軸Axに沿って進退することによって、第2の把持部材57に対して開閉する。
この第1のジョー561において、第2の把持部材57側の面には、図2に示すように、幅方向(図2中、左右方向)の中央に位置し、中心軸Axに沿って延在する凹部5611が設けられている。
【0032】
第1の支持部材562は、中心軸Axに沿って延在する長尺状の平板であり、凹部5611の内形形状と略同一の外形形状を有する。そして、第1の支持部材562は、凹部5611に嵌合している。この第1の支持部材562は、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等の低い熱伝導率を有する絶縁材料によって構成されている。そして、第1の支持部材562は、第1の電極563と第1のジョー561との間に配設される。すなわち、当該第1の支持部材562を設けることによって、第1のジョー561と第1の電極563との間を電気的に絶縁している。
この第1の支持部材562において、第2の把持部材57側の面の幅方向(図2中、左右方向)略中央部分には、図2に示すように、中心軸Axに沿って当該第1の支持部材562の基端から先端側Ar1に向けて延在するカッタ用溝部5621が設けられている。ただし、ジョーがシャフト延伸方向とは異なる方向に湾曲した所謂メリーランド様構造を取っている場合には、その位置は中心軸Axを常に存在するとは限らない。少なくとも凹部5611の幅方向両側に後述する電極が存在する。
【0033】
第1の電極563は、処置具用ジェネレータ6から第2の把持部材57を構成する第2の電極573(図2)との間に高周波電力が供給される部分である。この第1の電極563は、銅等の導電性材料によって構成され、カッタ用溝部5621を平面的に囲むU字形状を有する平板である。そして、第1の電極563は、U字形状の両端が基端側Ar2に向く姿勢で、第1の支持部材562における第2の把持部材57側の面に固定されている。なお、図2では、第1の電極563において、中心軸Axに沿ってそれぞれ延在する一対の延在部5631のみが図示されている。
また、第1の電極563において、第2の把持部材57側の面5632(図2)には、生体への非粘着性を有するコーティング材(図示略)が付されている。
【0034】
当接部564は、絶縁材料によって構成された半球形状を有し、第1の電極563における面5632に設けられている。そして、当接部564は、第2の把持部材57に対して第1の把持部材56が閉じた際に、第2の電極573に当接する。すなわち、当接部564は、第1,第2の電極563,573同士が短絡することを防止する。
【0035】
第2の把持部材57は、図2に示すように、第2のジョー571と、第2の支持部材572と、第2の電極573とを備える。
第2のジョー571は、シャフト54の一部を先端側Ar1に延在させた部分であり、中心軸Axに沿って延在する長尺状に形成されている。
この第2のジョー571において、第1の把持部材56側の面には、図2に示すように、幅方向(図2中、左右方向)の中央に位置し、中心軸Axに沿って延在する凹部5711が設けられている。
【0036】
第2の支持部材572は、中心軸Axに沿って延在する長尺状の平板であり、凹部5711の内形形状と略同一の外形形状を有する。そして、第2の支持部材572は、凹部5711に嵌合している。この第2の支持部材572は、例えば、PEEK等の低い熱伝導率を有する絶縁材料によって構成されている。そして、第2の支持部材572は、第2の電極573と第2のジョー571との間に配設される。すなわち、当該第2の支持部材572を設けることによって、第2のジョー571と第2の電極573との間を電気的に絶縁している。
この第2の支持部材572において、第1の把持部材56側の面の幅方向(図2中、左右方向)略中央部分には、図2に示すように、中心軸Axに沿って基端から先端側Ar1に向けて延在するカッタ用溝部5721が設けられている。このカッタ用溝部5721は、第2の把持部材57に対して第1の把持部材56が閉じた際にカッタ用溝部5621に対向する。
【0037】
第2の電極573は、処置具用ジェネレータ6から第1の電極563との間に高周波電力が供給される部分である。この第2の電極573は、銅等の導電性材料によって構成され、カッタ用溝部5721を平面的に囲むU字形状を有する平板である。そして、第2の電極573は、U字形状の両端が基端側Ar2に向く姿勢で、第2の支持部材572における第1の把持部材56側の面に固定されている。なお、図2では、第2の電極573において、中心軸Axに沿ってそれぞれ延在する一対の延在部5731のみが図示されている。
また、第2の電極573において、第1の把持部材56側の面5732(図2)には、生体への非粘着性を有するコーティング材(図示略)が付されている。
【0038】
また、把持部55には、図2に示すように、カッタ用溝部5621,5721内に位置し、術者による操作レバー(図示略)への操作に応じて、中心軸Axに沿って進退移動するカッタCTが設けられている。すなわち、第1,第2の把持部材56,57間に把持された対象部位は、カッタCTの進退移動によって切開される。
【0039】
処置具用ジェネレータ6は、CPUやFPGA等を含んで構成され、第2の電気ケーブルC2によって接続された処置具5の動作を統括的に制御する。この処置具用ジェネレータ6は、図1に示すように、電源61と、第2のプロセッサ62とを備える。
電源61は、第2のプロセッサ62による制御の下、第2の電気ケーブルC2によって接続された処置具5に対して、対象部位に対する処置エネルギの付与に必要な電力(本実施の形態1では高周波電力)を供給する。具体的に、電源61は、第2の電気ケーブルC2を経由することによって、第1,第2の電極563,573間に高周波電力を供給する。これによって、第1,第2の電極563,573間に把持された対象部位には、高周波電流が流れる。言い換えれば、当該対象部位には、高周波エネルギが付与される。
【0040】
第2のプロセッサ62は、本発明に係るプロセッサに相当する。この第2のプロセッサ62は、CPUやFPGA等によって構成され、メモリ(図示略)に記憶されたプログラムにしたがって、処置装置4全体の動作を制御する。
なお、第2のプロセッサ62の詳細な機能については、後述する「第2のプロセッサが実行する制御方法」において説明する。
【0041】
〔第2のプロセッサが実行する制御方法〕
次に、第2のプロセッサ62が実行する制御方法について説明する。
図3は、第2のプロセッサ62が実行する制御方法を示すフローチャートである。図4及び図5は、制御方法を説明する図である。具体的に、図4は、制御装置22から処置具用ジェネレータ6に対して出力された内視鏡画像F1を示す図である。図5は、第1,第2の把持部材56,57間に把持されている対象部位の厚さ寸法(以下、組織厚と記載)の挙動、第1,第2の把持部材56,57によって対象部位を把持する把持力の挙動、及び電源61から第1,第2の電極563,573に対して供給されている高周波電力の挙動をそれぞれ示す図である。なお、図5では、組織厚の挙動を線L1によって示し、把持力の挙動を線L2によって示し、高周波電力の挙動を線L3によって示している。
【0042】
先ず、術者は、処置具5を手で持ち、可動ハンドル52に対して閉操作を行うことによって、第1,第2の把持部材56,57間で対象部位を把持する。例えば、可動ハンドル52は、術者による閉操作に応じて、固定ハンドル512に対して近接し、当該固定ハンドル512に対して特定の距離だけ離間した時点で、ラチェット機構等により当該特定の距離だけ離間した状態が保持される。これによって、対象部位の把持が完了する。なお、図5において、対象部位の把持が完了したタイミングは、タイミングT1である。すなわち、タイミングT1に至るまでに、把持力は、図5に線L2によって示したように、徐々に増加する。そして、把持力は、タイミングT1以降、把持力FO1で略一定の状態となる。また、タイミングT1に至るまでに、組織厚は、図5に線L1によって示したように、徐々に減少する。そして、組織厚は、タイミングT1以降、組織厚D1で略一定の状態となる。把持された対象部位は粘弾性体であるため、同一荷重であってもクリープによって徐々に薄くなっていくが、ここではそれを略一定の状態と記載する。
【0043】
次に、術者は、スイッチ53に対して処置開始操作を行う。なお、図5において、処置開始操作が行われたタイミングは、タイミングT2である。これによって、第2のプロセッサ62は、以下の制御を実行する。
第2のプロセッサ62は、対象部位の処置を開始する(ステップS1)。
具体的に、第2のプロセッサ62は、電源61の動作を制御し、第2の電気ケーブルC2を経由することによって、当該電源61から第1,第2の電極563,573に対して高周波電力を供給させる。すなわち、高周波電力は、図5に線L3によって示したように、タイミングT2以降、高周波電力EP1となるまで増加し、当該高周波電力EP1で略一定の状態となる。
【0044】
ステップS1の後、第2のプロセッサ62は、組織厚の指標となる厚さ指標値の算出を開始する(ステップS2)。
具体的に、第2のプロセッサ62は、第1の電気ケーブルC1を経由することによって制御装置22から出力された内視鏡画像F1に基づいて、厚さ指標値を算出する。当該内視鏡画像F1は、図4に示すように、第1,第2の把持部材56,57によって対象部位LTを把持している状態を撮像した画像である。
【0045】
ここで、シャフト54における先端側Ar1の端部には、図4に示すように、当該シャフト54の内外を連通し、中心軸Axに沿って直線状に延在する貫通孔541が設けられている。すなわち、シャフト54の内部に設けられた開閉部材50は、貫通孔541を通して視認可能な状態となる。また、開閉部材50と、貫通孔541の周縁部分とには、シャフト54内における当該開閉部材50の進退移動量を認識するための目盛りSC1,SC2が設けられている。当該開閉部材50の進退移動によって第1,第2の把持部材56,57が開閉するため、当該進退移動量は、第1,第2の把持部材56,57間の離間距離、言い換えれば、組織厚と相関がある。そして、第2のプロセッサ62は、内視鏡画像F1に写り込んだ目盛りSC1,SC2から開閉部材50の進退移動量を認識し、当該進退移動量に基づいて組織厚の指標となる厚さ指標値を算出する。
【0046】
ステップS2の後、第2のプロセッサ62は、厚さ指標値に基づいて、電源61の制御状態を変更する変更タイミングである否かを判定する(ステップS3)。図5において、当該変更タイミングは、タイミングT3である。
具体的に、ステップS3における判定方法としては、以下に示す第1,第2の判定方法の少なくとも一方の判定方法を用いることが考えられる。
【0047】
第1の判定方法は、厚さ指標値における変化量と所定時間との積が特定の第1の閾値をまたぐ時点を変更タイミングと判定する方法である。より具体的には、第1の判定方法は、厚さ指標値における変化量の移動平均が特定の第1の閾値をまたぐ時点を変更タイミングを判定する方法である。
具体的に、厚さ指標値Gapにおける微小変化量をdGapとした場合、上述した移動平均は、以下の式(1)によって表される。そして、第2のプロセッサ62は、式(1)によって、例えば、過去20msの移動平均を順次、算出し、当該移動平均が第1の閾値を下回った時点を変更タイミングと判定する。当該第1の閾値としては、例えば、-2μm~-5μm等を例示することができる。
【0048】
【数1】
【0049】
上述の方法は、厚さ指標値における変化量と所定時間との積として単純移動平均を用いているが本発明はこれに限定されず、例えば、線形加重移動平均を用いてもよい。
具体的には、制御周期1msで過去20msの線形加重移動平均を用いる場合、以下の式(2)によって表される。
【0050】
【数2】
【0051】
第2の判定方法は、厚さ指標値Gapにおける変化速度dGap/dtが特定の第2の閾値を下回った時点を変更タイミングと判定する方法である。当該第2の閾値としては、例えば、-0.3mm/s等を例示することができる。
【0052】
変更タイミングでないと判定した場合(ステップS3:No)には、第2のプロセッサ62は、変更タイミングであると判定するまで、ステップS3を継続する。
【0053】
ここで、変更タイミングT3までの組織厚の挙動は、図5に線L1によって示したように、組織厚D1の状態から、高周波エネルギの付与によって膨張した後、減少し始める。例えば、当該組織厚の挙動は、対象部位LTが血管100(図18図19参照)である場合には、中膜101と外膜102との間で蒸気が増加し始めている状態を意味している。そして、この状態でも従前と同様に高周波エネルギを付与すると、当該蒸気が爆発的に増加し、図18に示すように、中膜101と外膜102とが剥離してしまう虞がある。そこで、変更タイミングであると判定した場合(ステップS3:Yes)には、第2のプロセッサ62は、第1の制御を実行する(ステップS4)。この後、第2のプロセッサ62は、ステップS3に戻る。
【0054】
図6は、ステップS4を説明する図である。具体的に、図6は、図5における変更タイミングT3の前後の一部を拡大した図である。
具体的に、第2のプロセッサ62は、ステップS4において、第1の制御として、電源61の動作を制御し、当該電源61から第1,第2の電極563,573に対して供給させている高周波電力を高周波電力EP1から所定時間一時的に下げるか停止した後、当該高周波電力を増加させる。
例えば、第2のプロセッサ62は、図6に示すように、変更タイミングT3直後の特定の時間Δt(例えば0.15s)の高周波電力の電力量EN1(図6において斜線で表現)を変更タイミングT3直前の特定の時間Δt(例えば0.15s)の高周波電力の電力量EN2(図6において斜線で表現)の1/2~1/3以下となる状態に設定する。所定時間としては特に限定されるものではなく処置部位の状態により適宜決定することができるが、例えば5~50msが挙げられる。
ただし、前記変更タイミングT3,T4近傍の上記高周波電力の印加パターンは、前記記載に限定されない。すなわち、上記にはタイミングT3以前には高周波電力EP1で略一定とあるが、漸増するような時系列的変化をさせてもよい。本願の主眼は、前記タイミング前後における不連続な電力量変化であって、電力量EN1と電力量EN2との差が上記範囲内にあれば、前後の電力印加パターンは任意である。
【0055】
ここで、第1の制御において、高周波電力を一時的に下げた後、当該高周波電力を増加させる電力量としては、一時的に下げることによって減少した高周波電力の電力量を補う電力量とすることを例示することができる。
ステップS4において第1の制御を実施する例を挙げたが、図3におけるステップS4として後述の第2の制御または第3の制御を行ってもよいし、第1の制御と第3の制御の両方を行ってもよい。
【0056】
なお、図5の例では、ステップS3,S4を繰り返し実行することによって、当該ステップS3において変更タイミングを2回、判定した場合を示している。図5において、2回目の変更タイミングは、タイミングT4である。
ここで、第2のプロセッサ62は、ステップS4において第1の制御を実行する際、図5に示すように、2回目の変更タイミングT4で高周波電力を下げる量を1回目の変更タイミングT3で高周波電力を下げる量よりも少なくしている。言い換えれば、第2のプロセッサ62は、ステップS4において第1の制御を実行する際、厚さ指標値に基づいて、当該厚さ指標値が小さいほど、高周波電力を下げる量を少なくしている。
【0057】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果を奏する。
本実施の形態1に係る処置具用ジェネレータ6では、第2のプロセッサ62は、第1,第2の把持部材56,57間に把持されている対象部位LTの組織厚の指標となる厚さ指標値を算出する。また、第2のプロセッサ62は、当該厚さ指標値に基づいて、電源61の制御状態を変更する変更タイミングであるか否かを判定する。そして、第2のプロセッサ62は、変更タイミングであると判定した後、第1の制御を実行する。
このため、例えば、対象部位LTが血管100(図18図19参照)である場合には、変更タイミングの後、高周波電力を下げることによって、中膜101と外膜102との間に発生した蒸気が爆発的に増加することを回避することができる。すなわち、中膜101と外膜102とが剥離してしまうことを回避することができる。
したがって、本実施の形態1に係る処置具用ジェネレータ6によれば、生体組織を適切に処置することができる。
【0058】
また、本実施の形態1に係る処置具用ジェネレータ6では、第2のプロセッサ62は、上述した第1,第2の判定方法の少なくとも一方の判定方法を用いることによって、変更タイミングであるか否かを判定する。
このため、上述した蒸気が爆発的に増加する前の適切なタイミングを変更タイミングとして判定することができる。
特に、上述した第1の判定方法では、移動平均を用いている。このため、厚さ指標値を誤って算出してしまった場合であっても、即座に変更タイミングであると誤って判定することがなく、当該変更タイミングを適切に判定することができる。なお、厚さ指標値の算出方向のS/N比改善方法や確度の向上方法は記載の単純移動平均の方法に限定されない。別の線形加重移動平均等の各種方法や、機械学習で用いられるk近傍法等外れ値検知、正常変化を学習させた異常部位検出、予測モデルからの偏差から異常検出する変化点検知等の異常検知手法を応用することも可能である。
【0059】
また、本実施の形態1に係る処置具用ジェネレータ6では、第2のプロセッサ62は、内視鏡画像F1に基づいて、厚さ指標値を算出する。
このため、簡単な構成で容易に厚さ指標値を算出することができる。
【0060】
また、本実施の形態1に係る処置具用ジェネレータ6では、第2のプロセッサ62は、変更タイミングを時系列に沿って複数回、判定した場合に、第1の制御では、当該複数の変更タイミングにおいて、時系列的に後の変更タイミングで高周波電力を下げる量を少なくする。言い換えれば、第2のプロセッサ62は、第1の制御では、厚さ指標値に基づいて、当該厚さ指標値が小さいほど、高周波電力を下げる量を少なくしている。
このため、複数の変更タイミングにおいて、高周波電力を下げる量を一定量とした場合と比較して、対象部位LTの処置時間を短縮することができる。
【0061】
(実施の形態2)
次に、本実施の形態2について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
本実施の形態2では、上述した実施の形態1に対して、処置具5の構成、及び第2のプロセッサ62の機能が異なる。
【0062】
図7は、実施の形態2に係る処置具5の構成を説明する図である。
本実施の形態2に係る処置具5では、モータ58が追加されている。
ここで、可動ハンドル52は、第1,第2の把持部材56,57が最も離間した状態(図7の(a))から、術者によって閉操作が行われると、固定ハンドル512に対して近接し、当該固定ハンドル512に対して特定の距離だけ離間する(図7の(b))。そして、可動ハンドル52は、固定ハンドル512に対して当該特定の距離だけ離間した時点で、ラチェット機構等により当該固定ハンドル512から離間する方向の移動が規制される。なお、図7の(b)の状態(以下、第1の状態と記載)では、第1,第2の把持部材56,57が閉じた状態であり、対象部位LTを把持可能とする。第1の状態において、対象部位LTを把持している場合には、把持力は、把持力FO1(図9参照)となる。
【0063】
そして、モータ58は、第2のプロセッサ62による制御の下、シャフト54内で開閉部材50を進退移動させ、可動ハンドル52を図7の(b)に示した第1の状態から固定ハンドル512に対してさらに近接させる(図7の(c))。すなわち、モータ58は、第1,第2の把持部材56,57によって対象部位LTを把持する把持力を増加させる。
【0064】
図8は、第2のプロセッサ62が実行する制御方法を示すフローチャートである。図9は、制御方法を説明する図である。具体的に、図9は、図5に対応した図である。
次に、本実施の形態2に係る第2のプロセッサ62の機能について、図8及び図9を参照しつつ説明する。
本実施の形態2に係る第2のプロセッサ62が実行する制御方法では、図8に示すように、上述した実施の形態1において説明した制御方法に対して、ステップS5,S6が追加されている。このため、以下では、ステップS5,S6について主に説明する。
なお、術者は、スイッチ53に対して処置開始操作を行うことによってステップS1を実行させる前に、可動ハンドル52に対して閉操作を行うことによって、図7の(a)に示す状態から図7の(b)に示す第1の状態に設定しながら、第1,第2の把持部材56,57間で対象部位LTを把持する。これによって、対象部位LTの把持が完了したタイミングT1以降、把持力は、図9に示すように、把持力FO1で略一定の状態となる。
【0065】
ステップS5は、ステップS3において変更タイミングであると判定された場合(ステップS3:Yes)に実行される。
具体的に、第2のプロセッサ62は、ステップS5において、変更タイミングの判定を初めて行ったか否かを判定する。
【0066】
変更タイミングの判定を初めて行ったと判定した場合(ステップS5:Yes)には、第2のプロセッサ62は、第2の制御を実行する(ステップS6)。この後、第2のプロセッサ62は、ステップS3に戻る。
【0067】
図10は、ステップS6を説明する図である。具体的に、図10は、図9における変更タイミングT3の前後の一部を拡大した図である。
具体的に、第2のプロセッサ62は、ステップS6において、第2の電気ケーブルC2を経由することによってモータ58の動作を制御し、シャフト54内で開閉部材50を進退移動させ、可動ハンドル52を固定ハンドル512に対してさらに近接させる(図7の(c))。そして、第2のプロセッサ62は、図9または図10に示すように、把持力を把持力FO1から把持力FO2に増加させる。
例えば、第2のプロセッサ62は、図10に示すように、変更タイミングT3直後の特定の時間Δt(例えば0.15s)の把持力積IM1(把持力×時間、図10において斜線で表現)を変更タイミングT3直前の特定の時間Δt(例えば0.15s)の把持力積IM2(図10において斜線で表現)の1.3倍以上となる状態に設定する。
【0068】
一方、変更タイミングの判定を初めてではなく、2回目以降に行ったと判定した場合(ステップS5:No)には、第2のプロセッサ62は、ステップS4を実行する。この後、第2のプロセッサ62は、ステップS3に戻る。
なお、図9の例では、ステップS3~S6を繰り返し実行することによって、当該ステップS3において変更タイミングを3回、判定した場合を示している。図9において、2回目の変更タイミングは、タイミングT4である。また、3回目の変更タイミングは、タイミングT5である。
ここで、第2のプロセッサ62は、ステップS4において第1の制御を実行する際、図9に示すように、3回目の変更タイミングT5で高周波電力を下げる量を2回目の変更タイミングT4で高周波電力を下げる量よりも少なくしている。言い換えれば、第2のプロセッサ62は、ステップS4において第1の制御を実行する際、厚さ指標値に基づいて、当該厚さ指標値が小さいほど、高周波電力を下げる量を少なくしている。
なお、ステップS4,S6が初めの1回に、変更タイミングT3で、同時に行われてもよい。
【0069】
以上説明した本実施の形態2に係る処置具用ジェネレータ6では、変更タイミングの後、把持力を把持力FO1から把持力FO2に増加させることによって、対象部位LTの沸点を上げることができる。その結果、例えば、対象部位LTが血管100(図18図19参照)である場合には、中膜101と外膜102との間に発生した蒸気が爆発的に増加することを回避することができる。
したがって、本実施の形態2に係る処置具用ジェネレータ6を採用した場合であっても、上述した実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0070】
(実施の形態3)
次に、本実施の形態3について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態2と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
本実施の形態3では、上述した実施の形態2に対して、第2のプロセッサ62の機能が異なる。
【0071】
図11は、実施の形態3に係る第2のプロセッサ62が実行する制御方法を示すフローチャートである。図12は、制御方法を説明する図である。具体的に、図12は、図9に対応した図である。
本実施の形態3に係る第2のプロセッサ62の機能について、図11及び図12を参照しつつ説明する。
本実施の形態3に係る第2のプロセッサ62が実行する制御方法では、図11に示すように、上述した実施の形態2において説明した制御方法に対して、ステップS6の代わりにステップS7が追加されている。このため、以下では、ステップS7について主に説明する。
【0072】
ステップS7は、ステップS5において変更タイミングの判定を初めて行ったと判定した場合(ステップS5:Yes)に実行される。
具体的に、第2のプロセッサ62は、ステップS7において、ラチェット機構等による可動ハンドル52における固定ハンドル512から離間する方向の移動の規制を解除する。そして、第2のプロセッサ62は、モータ58の動作を制御し、シャフト54内で開閉部材50を進退移動させ、可動ハンドル52を固定ハンドル512に対して離間させ、把持力を把持力FO1から一時的に下げる第3の制御の後、当該把持力を増加させる。なお、図12の例では、把持力を把持力FO1から一時的に下げた後、元の把持力FO1まで増加させている。
なお、ステップS4,S7が初めの1回に、変更タイミングT3で、同時に行われてもよい。
【0073】
以上説明した本実施の形態3に係る処置具用ジェネレータ6では、変更タイミングの後、把持力を把持力FO1から下げる。その結果、例えば、対象部位LTが血管100(図18図19参照)である場合には、中膜101と外膜102との間に発生した蒸気によって当該中膜101と当該外膜102とが剥離してしまうことを回避することができる。
したがって、本実施の形態3に係る処置具用ジェネレータ6を採用した場合であっても、上述した実施の形態2と同様の効果を奏する。
【0074】
(その他の実施形態)
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態1~3によってのみ限定されるべきものではない。
上述した実施の形態1~3では、スコープ21は、軟性内視鏡によって構成されていたが、これに限らない。当該スコープ21の代わりに、硬性ビデオスコープや、硬性内視鏡とカメラヘッドとを組み合わせた構成を採用しても構わない。
【0075】
上述した実施の形態1~3では、対象部位LTに付与する処置エネルギとして、高周波エネルギを採用していたが、これに限らない。当該処置エネルギとしては、高周波エネルギ、超音波エネルギ、及び熱エネルギの少なくともいずれかを採用することができる。なお、対象部位LTに対して超音波エネルギを付与するとは、当該対象部位LTに対して超音波振動を付与することを意味する。また、対象部位LTに対して熱エネルギを付与するとは、当該対象部位LTに対してヒータ等に発生した熱を伝達することを意味する。
【0076】
(変形例1)
図13は、実施の形態1~3の変形例1を説明する図である。具体的に、図13は、図4に対応した図であって、制御装置22から処置具用ジェネレータ6に対して出力された内視鏡画像F1を示す図である。
上述した実施の形態1~3では、第2のプロセッサ62は、内視鏡画像F1に写り込んだメモリSC1,SC2から開閉部材50の進退移動量を認識し、当該進退移動量に基づいて組織厚の指標となる厚さ指標値を算出していたが、これに限らない。
本変形例1では、シャフト54における先端側Ar1の端部には、図13に示すように、貫通孔541が設けられていない。その代わりに、当該先端側Ar1の端部には、内視鏡画像F1から第1,第2の把持部材56,57間の離間距離に応じて数が変更される干渉縞を認識するためのマークM1が設けられている。そして、第2のプロセッサ62は、内視鏡画像F1に写り込んだマークM1における干渉縞の数から、当該第1,第2の把持部材56,57間の離間距離、すなわち、組織厚の指標となる厚さ指標値を算出する。
【0077】
また、第2のプロセッサ62は、上述した実施の形態1において説明した開閉部材50の進退移動量、または、本変形例1において説明した干渉縞の数に限らず、内視鏡画像F1に写り込んだ情報に基づいて、組織厚の指標となる厚さ指標値を算出しても構わない。例えば、第2のプロセッサ62は、内視鏡画像F1に写り込んだ第1,第2の把持部材56,57の位置関係に基づいて、当該第1,第2の把持部材56,57間の離間距離、すなわち、組織厚の指標となる厚さ指標値を算出しても構わない。
さらに、組織厚を実際に測定するセンサを処置具5に設け、当該センサにて測定された組織厚自体を厚さ指標値として採用しても構わない。
【0078】
(変形例2)
図14は、実施の形態1~3の変形例2を説明する図である。具体的に、図14は、本変形例2に係る処置具用ジェネレータ6の構成を示すブロック図である。
上述した実施の形態1~3では、第2のプロセッサ62は、内視鏡画像F1に基づいて、組織厚の指標となる厚さ指標値を算出していたが、これに限らない。例えば、対象部位LTのインピーダンス値を当該厚さ指標値としても構わない。
【0079】
具体的に、本変形例2に係る処置具用ジェネレータ6では、図14に示すように、上述した実施の形態1~3において説明した処置具用ジェネレータ6に対して、検出回路63と、ADC(Analog-to-Digital Converter)64とが追加されている。
【0080】
検出回路63は、電圧値を検出する電圧検出回路631と、電流値を検出する電流検出回路632とを有し、電源61から第1,第2の電極563,573に対して供給されている高周波電力に応じたHF信号を経時的に検出する。
具体的に、HF信号としては、電源61から第1,第2の電極563,573に対して供給されている高周波電流(以下、HF電流と記載)及び高周波電圧(以下、HF電圧と記載)、当該HF電流及び当該HF電圧から算出された高周波電力(以下、HF電力と記載)、当該HF電流と当該HF電圧とから算出されるインピーダンス値(以下、HFインピーダンス値と記載)等を例示することができる。
【0081】
ADC64は、検出回路63から出力されたHF信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換する。そして、ADC64は、変換したHF信号(デジタル信号)を第2のプロセッサ62に対して出力する。
【0082】
第2のプロセッサ62は、ADC64から出力されるHF信号(HFインピーダンス値)を組織厚の指標となる厚さ指標値として取得する。そして、第2のプロセッサ62は、HFインピーダンス値に基づいて、変更タイミングであるか否かを判定する。
例えば、第2のプロセッサ62は、HFインピーダンス値の変化速度の絶対値が特定の閾値(例えば100Ω/s)を超えた時点を変更タイミングとして判定する。
また、例えば、第2のプロセッサ62は、現在のHFインピーダンス値と直前に取得したHFインピーダンス値との差を順次、算出していき、当該差が急激に大きくなった時点を変更タイミングとして判定する。
これらの際、特に詳説しないが、前記移動平均や各種異常検知手法を用いて判定を行ってもよい。
【0083】
なお、当該厚さ指標値としては、HFインピーダンス値に限らず、HF電流またはHF電圧を採用しても構わない。また、当該厚さ指標値としては、処置が開始された後の対象部位LTの温度、あるいは、当該対象部位LTの粘性を採用しても構わない。温度を用いた場合に比熱相当量やその時間変化を、粘性を用いた場合に粘性の時間変化等が、判定のための中間パラメータとして考えられ得る。
【0084】
(変形例3)
図15ないし図17は、実施の形態2の変形例3を説明する図である。具体的に、図15は、本変形例3に係る処置具5の構成を示す図である。図16は、本変形例3に係る処置方法を示すフローチャートである。図17は、図9に対応した図である。
上述した実施の形態2では、変更タイミングT3であると判定した後、把持力を把持力FO1から把持力FO2へと増加させる際、モータ58を用いていたが、これに限らない。本変形例3のように、把持力を把持力FO1から把持力FO2への増加させる際、術者の手動によって行っても構わない。
【0085】
ただし、この場合、自動で把持力変更が行われないため、報知から把持力変化が生じるまで時間不定の遅延時間が生じる。そのため、高周波電力を低下させた状態を所定の時間、維持する。図17にその例を示した。タイミングT3で報知を行い、その後手動の把持力変更のための猶予をもって、続きのエネルギ処置を実行する。
具体的に、所定の時間、例えば100~500msの時間一定の遅延時間を設けて高周波電力が低下した状態を維持する。その低下させる高周波電力は、組織温度が低下し過ぎることを避けるために漸増させてもよく、一定である必要はない。また、内視鏡画像あるいは電気的情報により手動の把持力変更の完了を検知し、その情報をトリガとして高周波電力の低下した状態を解除してもよい。
【0086】
そして、本変形例3に係る処置具5では、上述した実施の形態2に係る処置具5に対して、モータ58が省略され、報知部59(図15)が追加されている。
報知部59は、第2のプロセッサ62による制御の下、対象部位LTの把持状態の変更を促す情報を報知する。この報知部59としては、例えば、点灯や点滅、あるいは、点灯した際の色により上述した情報を報知するLED(Light Emitting Diode)、上述した情報を表示する表示装置、上述した情報を単純音または音声で出力するスピーカ等を例示することができる。なお、報知部59については、図15に示すように、処置具5に設けてもよく、あるいは、処置具用ジェネレータ6に設けても構わない。
【0087】
ここで、本変形例3に係る可動ハンドル52は、上述した実施の形態2と同様に、第1,第2の把持部材56,57が最も離間した状態(図15の(a))から、術者によって閉操作が行われると、固定ハンドル512に対して近接し、当該固定ハンドル512に対して第1の距離だけ離間する(図15の(b))。そして、可動ハンドル52は、固定ハンドル512に対して当該第1の距離だけ離間した時点で、ラチェット機構等により当該固定ハンドル512から離間する方向の移動が規制される。なお、図15の(b)の状態(以下、第1の状態と記載)では、第1,第2の把持部材56,57が閉じた状態であり、対象部位LTを把持可能とする。第1の状態において、対象部位LTを把持している場合には、把持力は、把持力FO1となる。
【0088】
また、可動ハンドル52は、第1の状態から、術者によってさらに閉操作が行われると、固定ハンドル512に対してさらに近接し、当該固定ハンドル512に対して第1の距離よりも短い第2の距離だけ離間する(図15の(c))。そして、可動ハンドル52は、固定ハンドル512に対して当該第2の距離だけ離間した時点で、ラチェット機構等により当該固定ハンドル512から離間する方向の移動が規制される。なお、図15の(c)に状態(以下、第2の状態と記載)において、対象部位LTを把持している場合には、把持力は、把持力FO1よりも大きい把持力FO2となる。
【0089】
そして、本変形例3に係る処置方法では、図16に示すように、上述した実施の形態2において説明した制御方法に対して、ステップS8~S11が追加されている。このため、以下では、ステップS8~S11について主に説明する。
ステップS8,S9は、ステップS1の前に行われる。
具体的に、術者は、ステップS8において、可動ハンドル52に対して閉操作を行うことによって、図15の(a)に示す状態から図15の(b)に示す第1の状態に設定しながら、第1,第2の把持部材56,57間で対象部位LTを把持する。これによって、対象部位LTの把持が完了したタイミング以降、把持力は、把持力FO1で略一定の状態となる。
【0090】
ステップS8の後、術者は、スイッチ53に対して処置開始操作を行う(ステップS9)。これによって、第2のプロセッサ62は、ステップS1以降の処理を実行する。
【0091】
ステップS10は、ステップS3において変更タイミングであると判定された場合(ステップS3:Yes)に実行される。
具体的に、第2のプロセッサ62は、ステップS10において、第2の電気ケーブルC2を経由することによって報知部59の動作を制御し、当該報知部59から対象部位LTの把持状態の変更を促す情報を報知させる。
【0092】
ステップS10の後、術者は、報知部59からの報知により、対象部位LTの把持状態を変更する変更タイミングを認識する。そして、術者は、可動ハンドル52に対して閉操作を行うことによって、第1の状態から図15の(c)に示す第2の状態に設定する(ステップS11)。これによって、把持力は、把持力FO1よりも大きい把持力FO2に増加する。
【0093】
なお、上述した実施の形態3において、本変形例3と同様に、変更タイミングT3での報知部59からの報知に応じて術者が報知部59手動によって把持力を把持力FO1から下げても構わない。
【0094】
なお、上記の実施の形態及びその変形例は全て少なくとも手動により処置具の開閉を行う部分の含まれる処置具を想定して記載されているが、本願の実施はそれに限られない。例えば、固定ハンドル512と可動ハンドル52の区別がなく、全てモータ58によって把持動作が行われるようなロボット処置具においても適用可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0095】
1 処置システム
2 内視鏡装置
3 表示装置
4 処置装置
5 処置具
6 処置具用ジェネレータ
21 スコープ
22 制御装置
23 ライトガイド
50 開閉部材
51 保持ケース
52 可動ハンドル
53 スイッチ
54 シャフト
55 把持部
56 第1の把持部材
57 第2の把持部材
58 モータ
59 報知部
61 電源
62 第2のプロセッサ
63 検出回路
64 ADC
100 血管
101 中膜
102 外膜
211 照明レンズ
212 対物レンズ
213 撮像部
214 操作部
221 アナログ処理部
222 A/D変換部
223 画像処理部
224 映像出力I/F部
225 第1のプロセッサ
226 メモリ
227 光源装置
228 光源
229 光源ドライバ
511 保持ケース本体
512 固定ハンドル
541 貫通孔
561 第1のジョー
562 第1の支持部材
563 第1の電極
564 当接部
571 第2のジョー
572 第2の支持部材
573 第2の電極
631 電圧検出回路
632 電流検出回路
5611,5711 凹部
5621,5721 カッタ用溝部
5631,5731 延在部
5632,5732 面
Ax 中心軸
Ar1 先端側
Ar2 基端側
C1 第1の電気ケーブル
C2 第2の電気ケーブル
CT カッタ
D1 組織厚
EN1,EN2 電力量
EP1 高周波電力
F1 内視鏡画像
FO1,FO2 把持力
IM1,IM2 把持力積
L1~L3 線
LT 対象部位
M1 マーク
SC1,SC2 目盛り
T1,T2 タイミング
T3~T5 変更タイミング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19