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特許7553724電力変換装置、平滑コンデンサの劣化判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】電力変換装置、平滑コンデンサの劣化判定方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20240910BHJP
【FI】
H02M7/48 M
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023552450
(86)(22)【出願日】2021-10-05
(86)【国際出願番号】 JP2021036867
(87)【国際公開番号】W WO2023058127
(87)【国際公開日】2023-04-13
【審査請求日】2023-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トボン メンデス マウリシオ
(72)【発明者】
【氏名】大矢 将登
(72)【発明者】
【氏名】堀田 和茂
(72)【発明者】
【氏名】小沼 雄作
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-333661(JP,A)
【文献】特開2007-060866(JP,A)
【文献】特開2020-141465(JP,A)
【文献】国際公開第2017/085825(WO,A1)
【文献】特開2016-208773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力を交流電力に変換して出力する電力変換部と、
前記直流電力を平滑化する平滑コンデンサと、
前記平滑コンデンサの容量値を取得する容量取得部と、
前記平滑コンデンサの劣化状態を判定する劣化判定部と、を備え、
前記容量取得部は、前記平滑コンデンサの初期状態での容量値を表す初期容量値を、前記電力変換部の動作状態の変化に応じて複数取得するとともに、前記平滑コンデンサの運用状態での容量値を表す運用容量値を複数取得し、
前記劣化判定部は、
前記容量取得部により取得された複数の前記初期容量値の統計量に基づいて、前記交流電力と前記平滑コンデンサの初期状態での容量値との関係性を表す特性情報を取得し、
前記容量取得部により取得された複数の前記運用容量値の統計量と、前記特性情報とに基づいて、前記平滑コンデンサの劣化状態を判定する、電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置において、
前記劣化判定部は、前記運用容量値の統計量と前記特性情報とに基づいて前記平滑コンデンサの劣化量を算出し、算出した前記劣化量と所定の閾値との比較結果に基づいて前記平滑コンデンサの劣化状態を判定する、電力変換装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電力変換装置において、
前記劣化判定部は、前記交流電力の値を所定範囲ごとに区切って設定された各動作点における前記初期容量値の平均値、中央値、標準偏差、上側フェンスおよび下側フェンスの少なくともいずれか一つを含む統計量を算出し、算出した前記動作点ごとの統計量に基づいて前記特性情報を取得する、電力変換装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電力変換装置において、
前記直流電力による直流電圧を検出する直流電圧検出器と、
前記電力変換部の出力電流を検出する出力電流検出器と、
前記電力変換部の出力電圧を検出する出力電圧検出器と、を備え、
前記容量取得部は、
所定の初期動作期間中に前記直流電圧検出器、前記出力電流検出器および前記出力電圧検出器によりそれぞれ検出された前記直流電圧、前記出力電流および前記出力電圧に基づいて、前記初期容量値を算出し、
前記初期動作期間の経過後に前記直流電圧検出器、前記出力電流検出器および前記出力電圧検出器によりそれぞれ検出された前記直流電圧、前記出力電流および前記出力電圧に基づいて、前記運用容量値を算出する、電力変換装置。
【請求項5】
請求項1に記載の電力変換装置において、
前記直流電力による直流電圧を検出する直流電圧検出器と、
前記電力変換部の出力電流を検出する出力電流検出器と、
外部より入力される出力指令に基づいて前記電力変換部を制御する電力変換制御部と、
前記出力指令に基づいて前記電力変換部の出力電圧を算出する出力電圧算出部と、を備え、
前記容量取得部は、
所定の初期動作期間中に前記直流電圧検出器および前記出力電流検出器によりそれぞれ検出された前記直流電圧および前記出力電流と、前記初期動作期間中に入力された前記出力指令に基づき前記出力電圧算出部により算出された前記出力電圧と、に基づいて、前記初期容量値を算出し、
前記初期動作期間の経過後に前記直流電圧検出器および前記出力電流検出器によりそれぞれ検出された前記直流電圧および前記出力電流と、前記初期動作期間の経過後に入力された前記出力指令に基づき前記出力電圧算出部により算出された前記出力電圧と、に基づいて、前記運用容量値を算出する、電力変換装置。
【請求項6】
請求項1に記載の電力変換装置において、
前記直流電力による直流電圧を検出する直流電圧検出器と、
前記平滑コンデンサに流れるコンデンサ電流を検出するコンデンサ電流検出器と、を備え、
前記容量取得部は、
所定の初期動作期間中に前記直流電圧検出器および前記コンデンサ電流検出器によりそれぞれ検出された前記直流電圧および前記コンデンサ電流に基づいて、前記初期容量値を算出し、
前記初期動作期間の経過後に前記直流電圧検出器および前記コンデンサ電流検出器によりそれぞれ検出された前記直流電圧および前記コンデンサ電流に基づいて、前記運用容量値を算出する、電力変換装置。
【請求項7】
請求項1に記載の電力変換装置において、
前記直流電力による直流電圧を検出する直流電圧検出器と、
前記電力変換部の出力電流を検出する出力電流検出器と、を備え、
前記容量取得部は、
所定の初期動作期間中に前記直流電圧検出器および前記出力電流検出器によりそれぞれ検出された前記直流電圧および前記出力電流に基づいて、前記初期容量値を算出し、
前記初期動作期間の経過後に前記直流電圧検出器および前記出力電流検出器によりそれぞれ検出された前記直流電圧および前記出力電流に基づいて、前記運用容量値を算出する、電力変換装置。
【請求項8】
請求項1に記載の電力変換装置において、
前記容量取得部は、前記交流電力の値ごとに取得した前記容量値に関するデータの数と、前記電力変換部の運転時間と、の少なくともいずれか一方に基づいて、所定の初期動作期間が経過したか否かの判定を行い、前記判定の結果に基づいて、前記初期容量値または前記運用容量値のいずれを取得するかを決定する、電力変換装置。
【請求項9】
請求項8に記載の電力変換装置において、
前記容量取得部は、前記特性情報を取得済みの前記電力変換部の動作点の数に基づいて、前記特性情報の取得を継続するか終了するかを判断し、継続すると判断した場合には、前記初期動作期間の経過後であっても前記初期容量値を取得する、電力変換装置。
【請求項10】
直流電力を交流電力に変換して出力する電力変換部と接続されて前記直流電力を平滑化する平滑コンデンサの劣化状態を判定する方法であって、
前記平滑コンデンサの初期状態での容量値を表す初期容量値を、前記電力変換部の動作状態の変化に応じて複数取得し、
取得した複数の前記初期容量値の統計量に基づいて、前記交流電力と前記平滑コンデンサの初期状態での容量値との関係性を表す特性情報を取得し、
前記平滑コンデンサの運用状態での容量値を表す運用容量値を複数取得し、
取得した複数の前記運用容量値の統計量と、前記特性情報とに基づいて、前記平滑コンデンサの劣化状態を判定する、平滑コンデンサの劣化判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置と、電力変換装置における平滑コンデンサの劣化判定方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、モータ駆動用の電力変換装置は、直流電力を平滑化するために平滑コンデンサを有している。この平滑コンデンサは、充放電が繰り返されることで徐々に劣化が進み、劣化度合いが大きくなると、電力変換装置において出力電圧の制御不良や、直流電力から交流電力への変換に用いられるスイッチング素子の劣化につながる。そのため、平滑コンデンサの劣化度合いを適切に評価することが求められている。
【0003】
平滑コンデンサの劣化度合いの評価に関して、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、主回路コンデンサの電圧変化率が負であり、かつ一定値である期間において、主回路コンデンサの容量を計算して劣化の有無を判断する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特開2010-160001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電力変換装置に搭載される平滑コンデンサは、一般的に大容量が必要であることから、電解コンデンサが採用される。しかしながら、電界コンデンサは製造による初期容量のばらつきが大きいため、特許文献1に記載の技術では、劣化状態を適切に評価することができない場合がある。
【0006】
上記の課題を踏まえて、本発明の主目的は、電力変換装置の動作を停止することなく、電力変換装置における平滑コンデンサの劣化状態を適切に評価することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による電力変換装置は、直流電力を交流電力に変換して出力する電力変換部と、前記直流電力を平滑化する平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサの容量値を取得する容量取得部と、前記平滑コンデンサの劣化状態を判定する劣化判定部と、を備え、前記容量取得部は、前記平滑コンデンサの初期状態での容量値を表す初期容量値を、前記電力変換部の動作状態の変化に応じて複数取得するとともに、前記平滑コンデンサの運用状態での容量値を表す運用容量値を複数取得し、前記劣化判定部は、前記容量取得部により取得された複数の前記初期容量値の統計量に基づいて、前記交流電力と前記平滑コンデンサの初期状態での容量値との関係性を表す特性情報を取得し、前記容量取得部により取得された複数の前記運用容量値の統計量と、前記特性情報とに基づいて、前記平滑コンデンサの劣化状態を判定する。
本発明による平滑コンデンサの劣化判定方法は、直流電力を交流電力に変換して出力する電力変換部と接続されて前記直流電力を平滑化する平滑コンデンサの劣化状態を判定する方法であって、前記平滑コンデンサの初期状態での容量値を表す初期容量値を、前記電力変換部の動作状態の変化に応じて複数取得し、取得した複数の前記初期容量値の統計量に基づいて、前記交流電力と前記平滑コンデンサの初期状態での容量値との関係性を表す特性情報を取得し、前記平滑コンデンサの運用状態での容量値を表す運用容量値を複数取得し、取得した複数の前記運用容量値の統計量と、前記特性情報とに基づいて、前記平滑コンデンサの劣化状態を判定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電力変換装置の動作を停止することなく、電力変換装置における平滑コンデンサの劣化状態を適切に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置を用いたモータ駆動システムの概略構成図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る平滑コンデンサ劣化判定処理のフローチャートである。
図3】動作点ごとの容量値の統計量の例を示す図である。
図4】統計量と特性情報との比較例を示す図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る電力変換装置を用いたモータ駆動システムの概略構成図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る平滑コンデンサ劣化判定処理のフローチャートである。
図7】本発明の第3の実施形態に係る電力変換装置を用いたモータ駆動システムの概略構成図である。
図8】本発明の第3の実施形態に係る平滑コンデンサ劣化判定処理のフローチャートである。
図9】本発明の第4の実施形態に係る電力変換装置を用いたモータ駆動システムの概略構成図である。
図10】本発明の第4の実施形態に係る平滑コンデンサ劣化判定処理のフローチャートである。
図11】本発明の第5の実施形態に係る平滑コンデンサ劣化判定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、本発明の実施形態について説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置10を用いたモータ駆動システムの概略構成図である。本モータ駆動システムは、制御対象に電力を供給する電力変換装置10と、電力変換装置10に電力を供給する三相交流電源20と、制御対象である交流電動機30とを備えている。
【0012】
三相交流電源20は、電力変換装置10に対して電力を供給するものである。具体的には、電力会社から供給される三相交流電力または発電機から供給される交流電力を供給する。なお、三相交流電源20に替えて、直流電力を供給する直流電源を電力変換装置10に接続してもよい。
【0013】
電力変換装置10は、制御部100、平滑コンデンサ101、直流電圧検出器102、第1電力変換部103、第2電力変換部104、出力電流検出器105、出力電圧検出器106を備えている。
【0014】
第1電力変換部103は、三相交流電源20から入力された交流電力を、直流電力に変換し、平滑コンデンサ101に出力する。第1電力変換部103は、例えばダイオードで構成された直流変換回路や、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)とフライホイールダイオードを用いた直流変換回路で構成される。図1では、一例としてダイオードで構成された直流変換回路を示している。なお、前述のように三相交流電源20に替えて直流電源を電力変換装置10に接続する場合には、第1電力変換部103は不要である。
【0015】
平滑コンデンサ101は、第1電力変換部103から入力された直流電力を平滑化し、第2電力変換部104に出力する。平滑コンデンサ101は、例えば電解コンデンサを用いて構成される。
【0016】
第2電力変換部104は、第1電力変換部103から平滑コンデンサ101を介して入力された直流電力を交流電力に変換し、交流電動機30に出力する。第2電力変換部104は、制御部100から入力される駆動信号に応じてその動作が制御されることで、出力する交流電力の電圧や周波数が制御される。図1に示すように、第2電力変換部104は、例えばIGBTとフライホイールダイオードを用いた交流変換回路で構成される。
【0017】
出力電流検出器105および出力電圧検出器106は、第2電力変換部104から交流電動機30への出力電流と出力電圧をそれぞれ検出し、その検出結果に応じた検出信号を制御部100に出力する。出力電流検出器105は、例えばホール素子を検出素子に用いたホールCT(Current Transformer)やシャント抵抗で構成され、出力電圧検出器106は、例えば抵抗と電圧センサの組み合わせにより構成される。なお、出力電流検出器105や出力電圧検出器106の位置は、図1の位置に限定されることはなく、交流電動機30への出力電流や出力電圧の測定が可能な場所、例えば第2電力変換部104の内部などであってもよい。
【0018】
また、図1では第2電力変換部104と交流電動機30の間に接続された三相の出力線のうち、二相の出力線にのみ出力電流検出器105と出力電圧検出器106がそれぞれ設けられている。この場合、これら二相の出力電流と出力電圧の検出結果から、残り一相の出力電流と出力電圧を求めることができる。あるいは、残り一相の出力線にも出力電流検出器105と出力電圧検出器106を設け、その出力電流と出力電圧を検出するようにしてもよい。
【0019】
直流電圧検出器102は、第1電力変換部103から平滑コンデンサ101を介して第2電力変換部104に入力される直流電力による直流電圧を検出し、その検出結果に応じた検出信号を制御部100に出力する。直流電圧検出器102は、例えば抵抗と電圧センサの組み合わせにより構成される。なお、直流電圧検出器102の位置は、図1の位置に限定されることはなく、第2電力変換部104に入力される直流電力の電圧、すなわち平滑コンデンサ101の電圧を検出できる場所であれば、いずれもよい。
【0020】
次に、制御部100について説明する。制御部100は、CPU110、直流電圧検出部114、出力電流検出部115、出力電圧検出部116、PWM出力部117、外部通信部118、情報蓄積部119を備えている。
【0021】
直流電圧検出部114は、直流電圧検出器102が出力した検出信号を入力とし、演算用データの直流電圧Vdcに変換して、CPU110に出力する。直流電圧検出部114は、例えばAD変換器などで構成される。
【0022】
出力電流検出部115は、出力電流検出器105が出力した検出信号を入力とし、演算用データの出力電流Ioutに変換して、CPU110に出力する。出力電流検出部115は、例えばAD変換器などで構成される。
【0023】
出力電圧検出部116は、出力電圧検出器106が出力した検出信号を入力とし、演算用データの出力電圧Voutに変換して、CPU110に出力する。出力電圧検出部116は、例えばAD変換器などで構成される。
【0024】
CPU110は、MCU(Micro Controller Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの演算器を用いて構成され、ソフトウェアあるいはハードウェアの演算回路により、電力変換装置10の制御に関する様々な演算処理を実行する。CPU110は、その機能として、電力変換制御部111、容量取得部112、劣化判定部113の各機能ブロックを有する。
【0025】
電力変換制御部111は、電力変換装置10の外部より入力される出力指令に基づいて第2電力変換部104を制御する。電力変換制御部111は、例えば、直流電圧検出部114と出力電流検出部115からそれぞれ入力された直流電圧Vdc、出力電流Ioutに基づいて所定のPWM制御を行うことにより、出力指令に応じたPWM信号Pを生成してPWM出力部117へ出力する。このPWM信号Pに応じて、PWM出力部117が第2電力変換部104に駆動信号を出力することで、第2電力変換部104を制御することができる。
【0026】
容量取得部112は、平滑コンデンサ101の容量値を取得する。本実施形態では、容量取得部112は、例えば直流電圧検出器102、出力電流検出器105および出力電圧検出器106によりそれぞれ検出され、直流電圧検出部114、出力電流検出部115、出力電圧検出部116からそれぞれ入力された演算用データが表す直流電圧Vdc、出力電流Ioutおよび出力電圧Voutに基づいて、平滑コンデンサ101の容量値を算出する。なお、容量取得部112による平滑コンデンサ101の容量値の具体的な算出方法については後述する。
【0027】
劣化判定部113は、容量取得部112により取得された容量値に基づいて、平滑コンデンサ101の劣化状態を判定する。本実施形態では、劣化判定部113は、容量取得部112により取得された複数の容量値の統計量を算出し、その統計量に基づいて、平滑コンデンサ101の劣化状態の判定を行う。なお、劣化判定部113による平滑コンデンサ101の劣化状態の具体的な判定方法については後述する。
【0028】
外部通信部118は、電力変換装置10の外部とCPU110との間で入出力される通信信号のインタフェース処理を行う。外部通信部118は、例えばLANコントローラなどで構成される。電力変換装置10の外部より送信された出力指令は、この外部通信部118により受信されてCPU110に出力され、電力変換制御部111による第2電力変換部104の制御などに利用される。
【0029】
情報蓄積部119は、CPU110から出力される情報を蓄積するとともに、CPU110からの要求に応じて、蓄積されている情報をCPU110に出力する。情報蓄積部119は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の不揮発性の記録媒体などで構成される。
【0030】
次に、本実施形態の電力変換装置10における平滑コンデンサ101の劣化状態の判定について説明する。
【0031】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る平滑コンデンサ劣化判定処理のフローチャートである。本実施形態の電力変換装置10では、制御部100のCPU110において、図2のフローチャートに示す処理が所定の演算周期ごとに実行されることにより、平滑コンデンサ101の劣化状態の判定が行われる。
【0032】
ステップS210において、CPU110は、直流電圧検出部114、出力電流検出部115、出力電圧検出部116から直流電圧Vdc、出力電流Iout、出力電圧Voutのデータをそれぞれ取得し、情報蓄積部119に蓄積する。
【0033】
ステップS220において、CPU110は、ステップS210でデータの蓄積を開始してから所定のデータ蓄積時間が経過したか否かを判定する。データ蓄積時間をまだ経過していない場合は、ステップS210へ戻って直流電圧Vdc、出力電流Iout、出力電圧Voutのデータ蓄積を継続し、データ蓄積時間を経過した場合は、図2の処理を次のステップS230へ進める。なお、ステップS220の判定で用いられるデータ蓄積時間とは、後述のステップS240で容量値の統計量を算出するために十分なデータ数が得られる時間であり、CPU110において予め設定されている。
【0034】
ステップS230において、CPU110は、容量取得部112により、ステップS210の処理によってデータ蓄積時間の間に情報蓄積部119に蓄積されたデータを用いて、平滑コンデンサ101の容量値Cを求める。ここでは、例えば以下のようにして、容量値Cを複数算出することができる。
【0035】
平滑コンデンサ101に入出力される電力は、第2電力変換部104により生成されて電力変換装置10から出力される交流電力に等しいと仮定することができる。この関係は、直流電圧Vdc、出力電流Iout、出力電圧Voutを用いて、以下の式(1)で表される。
Vdc×Ic=√3×Vout×Iout×cosθ ・・・(1)
【0036】
式(1)において、Icは平滑コンデンサ101に流れるコンデンサ電流を表す。また、cosθは電力変換装置10から出力される交流電力の力率を表しており、これは出力電流Ioutと出力電圧Voutの位相差θより求めることができる。
【0037】
また、コンデンサ電流Icは、以下の式(2)で表されるように、平滑コンデンサ101の容量値Cと直流電圧Vdcの時間微分値との積により求められる。式(2)において、tは時間を表す。
Ic=C×d(Vdc)/d(t) ・・・(2)
【0038】
ここで、CPU110での演算処理を単純化するために、式(2)の直流電圧Vdcの時間微分値d(Vdc)/d(t)を、演算周期ごとに蓄積された直流電圧Vdcの変化率に置き換えると、式(2)は以下の式(3)のように変形できる。式(3)において、Δtは演算周期を表し、ΔVdcは時系列で連続する2つのデータ間での直流電圧Vdcの差分を表している。
Ic=C×ΔVdc/Δt ・・・(3)
【0039】
式(3)を式(1)に代入して得られた数式を容量値Cについて解くと、以下の式(4)のようになる。
C=√3×Vout×Iout×cosθ/(Vdc×ΔVdc/Δt) ・・・(4)
【0040】
ステップS230では、情報蓄積部119に蓄積されている直流電圧Vdc、出力電流Iout、出力電圧Voutの各データに基づき、式(4)により、データを取得した各時点での平滑コンデンサ101の容量値Cを求めることができる。
【0041】
なお、ステップS230で求めた各容量値Cは、後述のステップS250で初期動作期間が未経過と判定された場合、または、ステップS260で平滑コンデンサ101の特性情報の取得を継続すると判定された場合には、続くステップS270の処理において、平滑コンデンサ101の初期状態での容量値を表す初期容量値として扱われる。一方、ステップS250で初期動作期間が経過したと判定され、かつ、ステップS260で平滑コンデンサ101の特性情報の取得を終了すると判定された場合には、続くステップS300の処理において、平滑コンデンサ101の運用状態での容量値を表す運用容量値として扱われる。すなわち本実施形態において、容量取得部112は、平滑コンデンサ101が初期状態のときに直流電圧検出器102、出力電流検出器105および出力電圧検出器106によりそれぞれ検出された直流電圧Vdc、出力電流Ioutおよび出力電圧Voutに基づいて、初期容量値を算出する。また、平滑コンデンサ101が初期状態後の運用状態のときに直流電圧検出器102、出力電流検出器105および出力電圧検出器106によりそれぞれ検出された直流電圧Vdc、出力電流Ioutおよび出力電圧Voutに基づいて、運用容量値を算出する。これにより、初期状態では初期容量値を複数取得し、運用状態では運用容量値を複数取得することができる。
【0042】
ステップS240において、CPU110は、劣化判定部113により、ステップS230で求められた各時点での平滑コンデンサ101の容量値Cから、初期状態または運用状態における各動作点の容量値Cの統計量を求める。ここでは、電力変換装置10から出力される交流電力の値を所定範囲ごとに区切って設定された各動作点ごとに、容量値Cの統計量として、例えば平均値、中央値、標準偏差、上側フェンス、下側フェンス等の統計量を算出する。
【0043】
なお、上側フェンスUIFと下側フェンスLIFは、例えば以下の式(5)、(6)でそれぞれ表される。式(5)、(6)において、Q1、Q3は、当該動作点における全ての容量値Cに対する第1四分位数(25パーセンタイル)と第3四分位数(75パーセンタイル)をそれぞれ表し、IQRは四分位範囲(Q3とQ1の差)を表している。
UIF=Q3+1.5×IQR ・・・(5)
LIF=Q1-1.5×IQR ・・・(6)
【0044】
情報蓄積部119に蓄積されている直流電圧Vdc、出力電流Iout、出力電圧Voutの各データには、周囲環境の変動やノイズ等の原因による誤差が含まれている。この誤差は、電力変換装置10から出力される電力が低いときのデータほど大きくなる。そのため、ステップS230で算出された容量値Cには、これらのデータの誤差に応じて、実際の平滑コンデンサ101の容量値に対する誤差が生じる。そこで、本実施形態の電力変換装置10では、ステップS240の処理を行って容量値Cを統計的に取り扱うことにより、容量値Cに含まれる誤差を取り除くようにしている。
【0045】
図3は、ステップS240で算出された動作点ごとの容量値Cの統計量の例を示す図である。図3において、横軸は電力変換装置10から出力される交流電力Poutを表し、縦軸は容量値Cを表している。図3では、交流電力Poutを所定範囲、例えば1Wごとに区切ることで複数の動作点を設定し、その動作点ごとに算出した容量値Cの平均、標準偏差、上側フェンス、下側フェンスの各統計量をグラフ化した例を示している。なお、図3に示した容量値Cの統計量は一例であり、例えば平均値の代わりに中央値を算出するなど、他の統計量を算出するようにしてもよい。
【0046】
図2の説明に戻ると、ステップS250において、CPU110は、電力変換装置10の運用を開始してから所定の初期動作期間が経過したか否かを判定する。ここでは、前述のステップS210でこれまでに情報蓄積部119に蓄積されたデータの数や、運用開始時点からの第2電力変換部104の運転時間の累計値などに基づき、例えば次のようにして初期動作期間が経過したか否かを判定する。
【0047】
電力変換装置10の運用を開始すると、CPU110は、前述のステップS210において、平滑コンデンサ101の容量値Cに関するデータとして、直流電圧Vdc、出力電流Iout、出力電圧Voutの各データを所定の演算周期ごとに取得し、情報蓄積部119に蓄積する。ステップS250では、これまでに取得して情報蓄積部119に蓄積されたこれらのデータの数が予め設定された基準数未満であれば、まだ初期動作期間が経過していないと判定する。一方、情報蓄積部119に蓄積されたデータの数が予め設定された基準数以上であれば、初期動作期間が経過したと判定する。なお、上記の基準数は、後述のステップS270で作成される平滑コンデンサ101の特性情報の信頼度が十分に高くなるようなデータ数として、電力変換装置10の設計開発時などに予め設定することができる。例えばこのようにして、初期動作期間が経過したか否かを判定することができる。
【0048】
あるいは、CPU110において、平滑コンデンサ101の運用期間として、電力変換装置10の運用開始時点から現在までの第2電力変換部104の運転時間の累計値を計測する。ステップS250では、この運転時間の累計値が予め設定された基準時間未満であれば、まだ初期動作期間が経過していないと判定する。一方、第2電力変換部104の運転時間の累計値が予め設定された基準時間以上であれば、初期動作期間が経過したと判定する。なお、上記の基準時間は、後述のステップS270で作成される平滑コンデンサ101の特性情報の信頼度が十分に高くなるような時間として、電力変換装置10の設計開発時などに予め設定することができる。例えばこのようにして、初期動作期間が経過したか否かを判定することもできる。
【0049】
なお、ステップS250の処理において初期動作期間の判定条件に用いられる基準数や基準時間は、電力変換装置10の使用環境(温度等)に応じて変更または調節してもよいし、電力変換装置10を利用するユーザごとに変えてもよい。例えば、使用環境の厳しい特定のユーザについては、他のユーザとは異なる基準数や基準時間を設定することができる。
【0050】
また、以上説明した2つの判定方法を組み合わせて、ステップS250の判定処理を行ってもよい。その場合、いずれか一方の条件を満たした場合に初期動作期間が経過したと判定してもよいし、両方の条件を満たした場合に初期動作期間が経過したと判定してもよい。
【0051】
さらに、ステップS250の判定処理を上記以外の方法で行ってもよい。初期動作期間が経過したか否かを適切に判定することができれば、任意の判定条件を用いてステップS250の判定処理を行うことが可能である。
【0052】
ステップS250の判定処理により、初期動作期間がまだ経過していないと判定された場合は、図2の処理をステップS270へ進める。一方、初期動作期間が経過したと判定された場合は、図2の処理をステップS260へ進める。
【0053】
ステップS260において、CPU110は、平滑コンデンサ101の特性情報の取得を終了するか否かを判定する。ここでは、前述のステップS240において容量値Cの統計量を算出済みの動作点の分布状況に基づき、例えば次のようにして、平滑コンデンサ101の特性情報の取得を終了するか、それとも終了せずに継続するかを判定する。
【0054】
例えば、電力変換装置10において第2電力変換部104が出力可能な交流電力の範囲のうち、平滑コンデンサ101の特性情報の取得対象範囲として予め設定された所定の電力範囲について、当該電力範囲内の各動作点に対して容量値Cの統計量を算出済みであるか否かを判定する。その結果、当該電力範囲内で容量値Cの統計量を算出済みの動作点が所定数以上存在する場合は、平滑コンデンサ101の特性情報として十分な量の統計量を取得済みであると判断し、特性情報の取得を終了すると判定する。一方、容量値Cの統計量を算出済みの動作点の数が所定数未満であれば、平滑コンデンサ101の特性情報として十分な量の統計量を未取得であると判断し、特性情報の取得を終了せずに継続すると判定する。この場合には、初期動作期間の経過後であっても、その後に実行されるステップS230で取得される容量値Cは、平滑コンデンサ101の初期容量値として扱われることになる。このようにして、容量値Cの統計量を算出済みの動作点の分布状況に基づき、特性情報の取得を継続するか終了するかをステップS260において判定することができる。
【0055】
なお、ステップS260の判定条件に用いられる特性情報の取得対象範囲や動作点の数は、電力変換装置10の設計開発時などに予め定められてもよいし、電力変換装置10の使用環境(温度等)に応じて変更または調節してもよい。あるいは、電力変換装置10を利用するユーザごとに変えてもよい。例えば、使用環境の厳しい特定のユーザについては、他のユーザとは異なる判定条件を設定することができる。
【0056】
また、ステップS260で特性情報の取得を終了しないと判定された場合、その後の処理では、容量値Cの統計量を未算出の動作点において電力変換装置10を動作させるように、電力変換制御部111による第2電力変換部104の制御を行うようにしてもよい。
【0057】
ステップS260において、平滑コンデンサ101の特性情報として十分な量の統計量を未取得であり、そのため特性情報の取得を終了せずに継続すると判定した場合は、図2の処理をステップS270へ進める。一方、平滑コンデンサ101の特性情報として十分な量の統計量を取得済みであり、そのため特性情報の取得を終了すると判定した場合は、図2の処理をステップS300へ進める。
【0058】
ステップS250またはS260からステップS270へ進んだ場合、ステップS270において、CPU110は、劣化判定部113により、ステップS240で求められた容量値Cの統計量、すなわち初期状態の平滑コンデンサ101に対して得られた複数の初期容量値の統計量に基づき、平滑コンデンサ101の特性情報を作成する。ここでは例えば、ステップS240で動作点ごとに求められた容量値Cの平均値、中央値、標準偏差、上側フェンス、下側フェンス等の各統計量に基づき、交流電力Poutと各統計量との関係を前述の図3のようにグラフ化し、これを平滑コンデンサ101の特性情報とする。これにより、電力変換装置10から出力される交流電力Poutと平滑コンデンサ101の初期状態での容量値Cとの関係性を表す特性情報を、ステップS270において作成することができる。なお、交流電力Poutと容量値Cとの関係性を適切に表すことができれば、これ以外の方法で特性情報を作成してもよい。
【0059】
ステップS280において、CPU110は、ステップS270で作成した特性情報を情報蓄積部119に蓄積して保存する。
【0060】
ステップS260からステップS300へ進んだ場合、ステップS300において、CPU110は、劣化判定部113により、ステップS240で求められた容量値Cの統計量、すなわち初期状態後の運用状態の平滑コンデンサ101に対して得られた複数の運用容量値の統計量を、保存済みの平滑コンデンサ101の特性情報と比較する。ここでは、例えば次のようにして、運用容量値の統計量と特性情報との比較を行う。
【0061】
前述のようにステップS240では、ステップS210で蓄積されたデータに基づき算出された複数の容量値Cに対して、平均値、中央値、標準偏差、上側フェンス、下側フェンス等の統計量が動作点ごとに算出される。この動作点ごとの統計量を保存済みの特性情報と比較することで、ステップS300の処理が行われる。
【0062】
図4は、ステップS300で行われる統計量と特性情報との比較例を示す図である。図4において、実線や破線の各曲線で示したグラフは、特性情報として保存された図3の各統計量を表している。また、図中に示した平均、標準偏差、上側フェンス、下側フェンスは、ある動作点に対してステップS240で算出された各統計量を表している。ステップS300では、これらの統計量と、特性情報の各グラフで当該動作点に対応する値とがそれぞれ比較される。
【0063】
図2の説明に戻ると、ステップS310において、CPU110は、劣化判定部113により、ステップS300の比較結果に基づいて平滑コンデンサ101の劣化量を算出する。ここでは、例えば以下の式(7)により、平滑コンデンサ101の劣化量Dcを算出する。式(7)において、CsはステップS240で算出された統計量を表し、C0は特性情報を表している。
Dc=(Cs/C0)×100[%] ・・・(7)
【0064】
式(7)により劣化量Dcを算出する場合、統計量Csと特性情報C0には同じ種類のものを用いる必要がある。例えば、統計量Csに運用容量値の平均を採用する場合、特性情報C0には初期容量値の平均を採用して、劣化量Dcが算出される。これにより、ステップS300で統計量と特性情報の平均をそれぞれ比較した結果に基づき、ステップS310において劣化量Dcを算出することができる。なお、平均以外の統計量、例えば標準偏差、上側フェンス、下側フェンス等についても、同様の方法で劣化量Dcを算出することが可能である。
【0065】
ステップS320において、CPU110は、劣化判定部113により、ステップS310で算出した劣化量に基づいて平滑コンデンサ101の劣化状態を判定する。ここでは、例えば前述の式(7)により算出された劣化量Dcを所定の閾値(例えば80%)と比較し、劣化量Dcが閾値以上であれば、平滑コンデンサ101は劣化していないと判定する。一方、劣化量Dcが閾値未満であれば、平滑コンデンサ101は劣化状態にあると判定する。ステップS320では、例えばこのようにして、劣化量と閾値との比較結果に基づいて平滑コンデンサ101の劣化状態を判定することができる。なお、平滑コンデンサ101の劣化状態を適切に判定できれば、これ以外の方法を用いてステップS320の判定処理を行ってもよい。
【0066】
ステップS280またはステップS320の処理を実施したら、CPU110はステップS210へ戻り、直流電圧Vdc、出力電流Iout、出力電圧Voutのデータ蓄積を継続する。なお、ステップS320において平滑コンデンサ101は劣化状態にあると判定した場合には、所定の警告音や警告表示を出力することで、平滑コンデンサ101が劣化していることをユーザへ通知するようにしてもよい。
【0067】
以上説明した本発明の第1の実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
【0068】
(1)電力変換装置10は、直流電力を交流電力に変換して出力する第2電力変換部104と、直流電力を平滑化する平滑コンデンサ101と、平滑コンデンサ101の容量値を取得する容量取得部112と、平滑コンデンサ101の劣化状態を判定する劣化判定部113とを備える。容量取得部112は、平滑コンデンサ101の初期状態での容量値を表す初期容量値を、第2電力変換部104の動作状態の変化に応じて複数取得するとともに、平滑コンデンサ101の運用状態での容量値を表す運用容量値を複数取得する(ステップS230)。劣化判定部113は、容量取得部112により取得された複数の初期容量値の統計量に基づいて、交流電力と平滑コンデンサ101の初期状態での容量値との関係性を表す特性情報を取得し(ステップS270)、容量取得部112により取得された複数の運用容量値の統計量と、特性情報とに基づいて、平滑コンデンサ101の劣化状態を判定する(ステップS300~S320)。このようにしたので、電力変換装置10の動作を停止することなく、電力変換装置10における平滑コンデンサ101の劣化状態を適切に評価することができる。
【0069】
(2)劣化判定部113は、運用容量値の統計量と特性情報とに基づいて平滑コンデンサ101の劣化量Dcを算出し(ステップS300,S310)、算出した劣化量Dcと所定の閾値との比較結果に基づいて平滑コンデンサ101の劣化状態を判定する(ステップS320)。このようにしたので、平滑コンデンサ101の劣化状態を正確に判定することができる。
【0070】
(3)劣化判定部113は、交流電力の値を所定範囲ごとに区切って設定された各動作点における初期容量値の平均値、中央値、標準偏差、上側フェンスおよび下側フェンスの少なくともいずれか一つを含む統計量を算出し(ステップS240)、算出した動作点ごとの統計量に基づいて特性情報を取得する(ステップS270)。このようにしたので、周囲環境の変動やノイズ等の原因による誤差が含まれている初期容量値から、初期状態における平滑コンデンサ101の特性を表す特性情報を正確に取得することができる。
【0071】
(4)電力変換装置10は、直流電力による直流電圧Vdcを検出する直流電圧検出器102と、第2電力変換部104の出力電流Ioutを検出する出力電流検出器105と、第2電力変換部104の出力電圧Voutを検出する出力電圧検出器106とを備える。ステップS230において、容量取得部112は、所定の初期動作期間中に直流電圧検出器102、出力電流検出器105および出力電圧検出器106によりそれぞれ検出された直流電圧Vdc、出力電流Ioutおよび出力電圧Voutに基づいて、初期容量値を算出する。また、初期動作期間の経過後に直流電圧検出器102、出力電流検出器105および出力電圧検出器106によりそれぞれ検出された直流電圧Vdc、出力電流Ioutおよび出力電圧Voutに基づいて、運用容量値を算出する。このようにしたので、平滑コンデンサ101の初期容量値と運用容量値をそれぞれ正確に算出することができる。
【0072】
(5)容量取得部112は、交流電力の値ごとに取得した容量値に関するデータの数と、第2電力変換部104の運転時間と、の少なくともいずれか一方に基づいて、所定の初期動作期間が経過したか否かの判定を行い(ステップS250)、その判定の結果に基づいて、初期容量値または運用容量値のいずれを取得するかを決定する。このようにしたので、適切なタイミングで運用容量値の取得を開始し、これを用いた平滑コンデンサ101の劣化状態の判定を行うことができる。
【0073】
(6)容量取得部112は、特性情報を取得済みの第2電力変換部104の動作点の数に基づいて、特性情報の取得を継続するか終了するかを判断し(ステップS260)、継続すると判断した場合(ステップS260:No)には、初期動作期間の経過後(ステップS250:Yes)であっても、ステップS230において初期容量値を取得する。このようにしたので、特性情報を取得済みの動作点の数が不足している場合には、初期動作期間の経過後であっても、運用容量値の取得を開始せずに初期容量値の取得を継続することができる。
【0074】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係る電力変換装置10Aを用いたモータ駆動システムの概略構成図である。本モータ駆動システムは、制御対象に電力を供給する電力変換装置10Aと、電力変換装置10Aに電力を供給する三相交流電源20と、制御対象である交流電動機30とを備えている。
【0075】
本実施形態の電力変換装置10Aにおいて、図1に示した第1の実施形態に係る電力変換装置10との違いは、出力電圧検出器106を有していない点と、制御部100に替えて制御部100Aを有している点である。以下では、第1の実施形態と共通する部分については説明を省略する。
【0076】
制御部100Aは、CPU110A、直流電圧検出部114、出力電流検出部115、PWM出力部117、外部通信部118、情報蓄積部119を備えている。なお、第1の実施形態で説明した制御部100とは異なり、出力電圧検出部116は有していない。
【0077】
CPU110Aは、その機能として、第1の実施形態で説明した電力変換制御部111、容量取得部112、劣化判定部113に加えて、さらに出力電圧算出部120の各機能ブロックを有する。
【0078】
出力電圧算出部120は、電力変換装置10Aの外部より入力される出力指令に基づいて第2電力変換部104の出力電圧Voutを算出する。出力電圧算出部120は、例えば、電力変換制御部111がPWM信号Pを生成する際に外部より入力された出力指令に基づいて算出した電圧指令値から、第2電力変換部104の出力電圧Voutを算出することができる。
【0079】
次に、本実施形態の電力変換装置10Aにおける平滑コンデンサ101の劣化状態の判定について説明する。
【0080】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る平滑コンデンサ劣化判定処理のフローチャートである。本実施形態の電力変換装置10Aでは、制御部100AのCPU110Aにおいて、図6のフローチャートに示す処理が所定の演算周期ごとに実行されることにより、平滑コンデンサ101の劣化状態の判定が行われる。
【0081】
なお、図6のフローチャートにおいて、第1の実施形態で説明した図2のフローチャートと共通の処理を行う部分は、同一ステップ番号としている。以下では、この図2と同一ステップ番号の部分を省略して、図6のフローチャートの説明を行う。
【0082】
ステップS200Aにおいて、CPU110Aは、出力電圧算出部120により出力電圧Voutを算出する。
【0083】
ステップS210Aにおいて、CPU110Aは、直流電圧検出部114、出力電流検出部115から直流電圧Vdc、出力電流Ioutのデータをそれぞれ取得するとともに、ステップS200Aで算出した出力電圧Voutのデータを取得し、これらのデータを情報蓄積部119に蓄積する。
【0084】
ステップS220以降では、図2と同様の処理をそれぞれ実行する。
【0085】
以上説明した本発明の第2の実施形態によれば、電力変換装置10Aは、直流電力による直流電圧Vdcを検出する直流電圧検出器102と、第2電力変換部104の出力電流Ioutを検出する出力電流検出器105と、外部より入力される出力指令に基づいて第2電力変換部104を制御する電力変換制御部111と、出力指令に基づいて第2電力変換部104の出力電圧Voutを算出する出力電圧算出部120とを備える。ステップS230において、容量取得部112は、所定の初期動作期間中に直流電圧検出器102および出力電流検出器105によりそれぞれ検出された直流電圧Vdcおよび出力電流Ioutと、初期動作期間中に入力された出力指令に基づき出力電圧算出部120により算出された出力電圧Voutとに基づいて、初期容量値を算出する。また、初期動作期間の経過後に直流電圧検出器102および出力電流検出器105によりそれぞれ検出された直流電圧Vdcおよび出力電流Ioutと、初期動作期間の経過後に入力された出力指令に基づき出力電圧算出部120により算出された出力電圧Voutとに基づいて、運用容量値を算出する。このようにしたので、電力変換装置10Aに出力電圧検出器106を設けなくても、第1の実施形態と同様に、平滑コンデンサ101の初期容量値と運用容量値をそれぞれ正確に算出することができる。
【0086】
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態に係る電力変換装置10Bを用いたモータ駆動システムの概略構成図である。本モータ駆動システムは、制御対象に電力を供給する電力変換装置10Bと、電力変換装置10Bに電力を供給する三相交流電源20と、制御対象である交流電動機30とを備えている。
【0087】
本実施形態の電力変換装置10Bにおいて、図1に示した第1の実施形態に係る電力変換装置10との違いは、出力電圧検出器106に替えてコンデンサ電流検出器107を有している点と、制御部100に替えて制御部100Bを有している点である。以下では、第1の実施形態と共通する部分については説明を省略する。
【0088】
コンデンサ電流検出器107は、平滑コンデンサ101に流れる電流を検出し、その検出結果に応じた検出信号を制御部100Bに出力する。
【0089】
制御部100Bは、CPU110、直流電圧検出部114、出力電流検出部115、PWM出力部117、外部通信部118、情報蓄積部119、コンデンサ電流検出部121を備えている。なお、第1の実施形態で説明した制御部100とは異なり、出力電圧検出部116は有していない。
【0090】
コンデンサ電流検出部121は、コンデンサ電流検出器107が出力した検出信号を入力とし、演算用データのコンデンサ電流Icに変換して、CPU110に出力する。コンデンサ電流検出部121は、例えばAD変換器などで構成される。
【0091】
次に、本実施形態の電力変換装置10Bにおける平滑コンデンサ101の劣化状態の判定について説明する。
【0092】
図8は、本発明の第3の実施形態に係る平滑コンデンサ劣化判定処理のフローチャートである。本実施形態の電力変換装置10Bでは、制御部100BのCPU110において、図8のフローチャートに示す処理が所定の演算周期ごとに実行されることにより、平滑コンデンサ101の劣化状態の判定が行われる。
【0093】
なお、図8のフローチャートにおいて、第1の実施形態で説明した図2のフローチャートと共通の処理を行う部分は、同一ステップ番号としている。以下では、この図2と同一ステップ番号の部分を省略して、図8のフローチャートの説明を行う。
【0094】
ステップS210Bにおいて、CPU110は、直流電圧検出部114、コンデンサ電流検出部121から直流電圧Vdc、コンデンサ電流Icのデータをそれぞれ取得し、情報蓄積部119に蓄積する。
【0095】
ステップS230Bにおいて、CPU110は、容量取得部112により、ステップS210Bの処理によってこれまでに情報蓄積部119に蓄積されたデータを用いて、平滑コンデンサ101の容量値Cを求める。ここでは、例えば以下のようにして、容量値Cを複数算出することができる。
【0096】
前述の式(3)を変形すると、以下の式(8)が得られる。
C=Ic/(ΔVdc/Δt) ・・・(8)
【0097】
ステップS230Bでは、情報蓄積部119に蓄積されている直流電圧Vdc、コンデンサ電流Icの各データに基づき、式(8)により、データを取得した各時点での平滑コンデンサ101の容量値Cを求めることができる。
【0098】
ステップS240以降では、図2と同様の処理をそれぞれ実行する。
【0099】
以上説明した本発明の第3の実施形態によれば、電力変換装置10Bは、直流電力による直流電圧Vdcを検出する直流電圧検出器102と、平滑コンデンサ101に流れるコンデンサ電流Icを検出するコンデンサ電流検出器107とを備える。ステップS230Bにおいて、容量取得部112は、所定の初期動作期間中に直流電圧検出器102およびコンデンサ電流検出器107によりそれぞれ検出された直流電圧Vdcおよびコンデンサ電流Icに基づいて、初期容量値を算出する。また、初期動作期間の経過後に直流電圧検出器102およびコンデンサ電流検出器107によりそれぞれ検出された直流電圧Vdcおよびコンデンサ電流Icに基づいて、運用容量値を算出する。このようにしたので、第1の実施形態と同様に、平滑コンデンサ101の初期容量値と運用容量値をそれぞれ正確に算出することができる。
【0100】
(第4の実施形態)
図9は、本発明の第4の実施形態に係る電力変換装置10Cを用いたモータ駆動システムの概略構成図である。本モータ駆動システムは、制御対象に電力を供給する電力変換装置10Cと、電力変換装置10Cに電力を供給する三相交流電源20と、制御対象である交流電動機30とを備えている。
【0101】
本実施形態の電力変換装置10Cにおいて、図1に示した第1の実施形態に係る電力変換装置10との違いは、出力電圧検出器106を有していない点と、制御部100に替えて制御部100Cを有している点である。以下では、第1の実施形態と共通する部分については説明を省略する。
【0102】
制御部100Cは、CPU110、直流電圧検出部114、出力電流検出部115、PWM出力部117、外部通信部118、情報蓄積部119を備えている。なお、第1の実施形態で説明した制御部100とは異なり、出力電圧検出部116は有していない。
【0103】
次に、本実施形態の電力変換装置10Cにおける平滑コンデンサ101の劣化状態の判定について説明する。
【0104】
図10は、本発明の第4の実施形態に係る平滑コンデンサ劣化判定処理のフローチャートである。本実施形態の電力変換装置10Cでは、制御部100CのCPU110において、図10のフローチャートに示す処理が所定の演算周期ごとに実行されることにより、平滑コンデンサ101の劣化状態の判定が行われる。
【0105】
なお、図10のフローチャートにおいて、第1の実施形態で説明した図2のフローチャートと共通の処理を行う部分は、同一ステップ番号としている。以下では、この図2と同一ステップ番号の部分を省略して、図10のフローチャートの説明を行う。
【0106】
ステップS210Cにおいて、CPU110は、直流電圧検出部114、出力電流検出部115から直流電圧Vdc、出力電流Ioutのデータをそれぞれ取得し、情報蓄積部119に蓄積する。
【0107】
ステップS230Cにおいて、CPU110は、容量取得部112により、ステップS210Cの処理によってこれまでに情報蓄積部119に蓄積されたデータを用いて、平滑コンデンサ101の容量値Cを求める。ここでは、例えば以下のようにして、容量値Cを複数算出することができる。
【0108】
平滑コンデンサ101から第2電力変換部104へ電流が流れるタイミングにおいて、第2電力変換部104の出力電流Ioutが小さい場合、コンデンサ電流Icと出力電流Ioutの間には以下の式(9)の関係が成り立つ。なお、式(9)においてkは所定の変換係数であり、電力変換装置10Cの各種パラメータや事前の実験結果等に基づいて予め決定される。
Ic=Iout×(1-k×Iout) ・・・(9)
【0109】
前述の式(8)に式(9)を代入すると、以下の式(10)が得られる。
C=Iout×(1-k×Iout)/(ΔVdc/Δt) ・・・(10)
【0110】
ステップS230Cでは、情報蓄積部119に蓄積されている直流電圧Vdc、出力電流Ioutの各データに基づき、式(10)により、データを取得した各時点での平滑コンデンサ101の容量値Cを求めることができる。
【0111】
ステップS240以降では、図2と同様の処理をそれぞれ実行する。
【0112】
以上説明した本発明の第4の実施形態によれば、電力変換装置10Cは、直流電力による直流電圧Vdcを検出する直流電圧検出器102と、第2電力変換部104の出力電流Ioutを検出する出力電流検出器105とを備える。ステップS230Cにおいて、容量取得部112は、所定の初期動作期間中に直流電圧検出器102および出力電流検出器105によりそれぞれ検出された直流電圧Vdcおよび出力電流Ioutに基づいて、初期容量値を算出する。また、初期動作期間の経過後に直流電圧検出器102および出力電流検出器105によりそれぞれ検出された直流電圧Vdcおよび出力電流Ioutに基づいて、運用容量値を算出する。このようにしたので、電力変換装置10Cに出力電圧検出器106を設けなくても、第1の実施形態と同様に、平滑コンデンサ101の初期容量値と運用容量値をそれぞれ正確に算出することができる。
【0113】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。なお、本実施形態の電力変換装置は、第1~第4の実施形態でそれぞれ説明した電力変換装置10,10A,10B,10Cのいずれかと同様の構成を有している。以下では、第1の実施形態で説明した図1の電力変換装置10の構成を例として、本実施形態の電力変換装置における平滑コンデンサ101の劣化状態の判定について説明する。
【0114】
図11は、本発明の第5の実施形態に係る平滑コンデンサ劣化判定処理のフローチャートである。本実施形態の電力変換装置10では、制御部100のCPU110において、図11のフローチャートに示す処理が所定の演算周期ごとに実行されることにより、平滑コンデンサ101の劣化状態の判定が行われる。
【0115】
なお、図11のフローチャートにおいて、第1の実施形態で説明した図2のフローチャートと共通の処理を行う部分は、同一ステップ番号としている。以下では、この図2と同一ステップ番号の部分を省略して、図11のフローチャートの説明を行う。
【0116】
ステップS250Dにおいて、CPU110は、電力変換装置10の運用を開始してから所定の第1フェーズ期間が経過したか否かを判定する。第1フェーズ期間とは、平滑コンデンサ101の初期容量値を取得してその特性情報を算出するための期間として予め定められた期間であり、前述の初期動作期間に相当する。ここでは、例えば前述のステップS250と同様の方法により、第1フェーズ期間が経過したか否かを判定することができる。
【0117】
ステップS250Dの判定処理により、第1フェーズ期間がまだ経過していないと判定された場合は、図11の処理をステップS270へ進める。一方、第1フェーズ期間が経過したと判定された場合は、図11の処理をステップS251Dへ進める。
【0118】
ステップS251Dにおいて、CPU110は、電力変換装置10の運用を開始してから所定の第2フェーズ期間が経過したか否かを判定する。第2フェーズ期間とは、前述のステップS260の判定条件を満たさなくても、平滑コンデンサ101の特性情報の算出を終了して劣化状態の判定を開始するための期間として予め定められた期間であり、前述の第1フェーズ期間よりも長い期間、例えば2倍の期間が設定される。ここでは、ステップS250Dと同様の方法により、第2フェーズ期間が経過したか否かを判定することができる。
【0119】
ステップS251Dの判定処理により、第2フェーズ期間がまだ経過していないと判定された場合は、図11の処理をステップS260へ進める。一方、第2フェーズ期間が経過したと判定された場合は、図11の処理をステップS300へ進める。
【0120】
ステップS260以降では、図2と同様の処理をそれぞれ実行する。
【0121】
以上説明した本発明の第5の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0122】
なお、上記では本実施形態の適用例として、第1の実施形態で説明した図1の電力変換装置10の構成において図11のフローチャートに示す処理を実施する例を説明したが、第2~第4の各実施形態で説明した電力変換装置10A,10B,10Cの構成において本実施形態を適用してもよい。具体的には、図6図8図10の各フローチャートのうち、ステップS250の処理を図11のステップS250D,S251Dに置き換えることにより、本実施形態を適用することができる。
【0123】
なお、上記の各実施形態では、平滑コンデンサ101の容量演算、統計量演算や平滑コンデンサ101の劣化診断等の各処理を、制御部100,100A,100B,100Cがそれぞれ備えるCPU110,110Aで行う態様について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、これらの処理に必要なデータを外部通信部118から外部の機器へ送信し、外部の機器で処理を行ってもよい。
【0124】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態は本発明を分かりやすく説明するためのものであり、必ずしも全ての構成要素を含む必要はない。本発明を逸脱しない範囲で、任意の構成要素の追加、削除、置換が可能である。
【符号の説明】
【0125】
10,10A,10B,10C:電力変換装置、20:三相交流電源、30:交流電動機、100,100A,100B,100C:制御部、101:平滑コンデンサ、102:直流電圧検出器、103:第1電力変換部、104:第2電力変換部、105:出力電流検出器、106:出力電圧検出器、107:コンデンサ電流検出器、110,110A:CPU、111:電力変換制御部、112:容量取得部、113:劣化判定部、114:直流電圧検出部、115:出力電流検出部、116:出力電圧検出部、117:PWM出力部、118:外部通信部、119:情報蓄積部、120:出力電圧算出部、121:コンデンサ電流検出部
図1
図2
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図10
図11