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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】無停電電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
H02J9/06 120
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023563190
(86)(22)【出願日】2023-04-04
(86)【国際出願番号】 JP2023013913
【審査請求日】2023-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加納 真理
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/190696(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/044599(WO,A1)
【文献】特開2018-182872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無停電電源装置であって、
複数のモジュールと、
前記複数のモジュールを制御するメインコントローラと、
各々がプログラマブルデバイスを含み、前記メインコントローラとの通信により前記複数のモジュールをそれぞれ駆動する複数のコントローラと、
前記メインコントローラと前記複数のコントローラとを通信接続するシリアル通信線とを備え、
前記プログラマブルデバイスは、
実行用プログラムとアップデート用プログラムとを記憶するメモリと、
前記実行用プログラムを実行することにより、対応するモジュールを駆動するプロセッサとを含み、
前記メインコントローラは、前記シリアル通信線を介して、前記プログラマブルデバイスに、前記実行用プログラムの実行に使用する実行用データと、前記アップデート用プログラムのアップデートに使用するアップデート用データとのいずれかを、前記実行用プログラムの実行中に送信可能であり、
前記プロセッサは、
前記実行用データを受信した場合、前記実行用データに基づき前記実行用プログラムを進行させ、
前記アップデート用データを受信した場合、前記アップデート用データを前記メモリに書き込んで前記アップデート用プログラムのアップデートを進行させ、
前記アップデート用プログラムのアップデートが完了した後に前記プログラマブルデバイスがリセットされた場合、前記実行用プログラムを終了して前記アップデート用プログラムを前記実行用プログラムとして起動する、無停電電源装置。
【請求項2】
前記メインコントローラは、前記シリアル通信線を介して、前記プログラマブルデバイスに、当該プログラマブルデバイスをリセットするためのリセット指令データを送信可能であり、
前記プログラマブルデバイスは、前記リセット指令データを受信した場合に、当該プログラマブルデバイスをリセットする、請求項1に記載の無停電電源装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記アップデート用プログラムのアップデートが完了したときに、プログラムの切り替えを指示する指示情報を前記メモリに記憶させ、
前記プログラマブルデバイスがリセットされ、かつ、前記指示情報が前記メモリに記憶されている場合に、前記実行用プログラムを終了して前記アップデート用プログラムを前記実行用プログラムとして起動する、請求項1に記載の無停電電源装置。
【請求項4】
前記メモリは、前記実行用プログラムを記憶する第1の記憶領域と、前記アップデート用プログラムを記憶する第2の記憶領域とを含み、
前記プロセッサは、前記プログラマブルデバイスがリセットされた場合、前記第1の記憶領域に記憶された前記実行用プログラムを、前記アップデート用プログラムとして前記第2の記憶領域に記憶させる一方、前記第2の記憶領域に記憶された前記アップデート用プログラムを、前記実行用プログラムとして前記第1の記憶領域に記憶させる、請求項1に記載の無停電電源装置。
【請求項5】
前記複数のモジュールは、負荷に対して並列に接続される複数の電力変換モジュールを含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の無停電電源装置。
【請求項6】
前記メインコントローラおよび前記複数のコントローラは、前記シリアル通信線によりデイジーチェーン接続を形成する、請求項5に記載の無停電電源装置。
【請求項7】
前記複数のモジュールは、
交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換するコンバータと、
前記コンバータまたは電力貯蔵装置から供給される直流電力を交流電力に変換して負荷に供給するインバータと、
前記コンバータによって生成される直流電力の一部を前記電力貯蔵装置に蓄える充電動作と、前記電力貯蔵装置の直流電力を前記インバータに供給する放電動作とを選択的に実行する双方向チョッパとを含み、
前記複数のコントローラは、前記コンバータ、前記インバータおよび前記双方向チョッパをそれぞれ駆動する複数のゲートドライバを含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の無停電電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無停電電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2018-182872号公報(特許文献1)には、スレーブ制御装置を有する複数の電源装置と、複数の電源装置の各々のスレーブ制御回路に指令を与えるマスタ制御装置とを備える電源システムが開示されている。当該電源システムにおいて、各スレーブ制御装置は、プログラマブルデバイスによって構成されており、マスタ制御装置に接続される高速シリアル通信部を含んでいる。各スレーブ制御装置は、高速シリアル通信部を介して、マスタ制御装置から指令値などを受信するとともに、電源装置の運転状態をマスタ制御装置に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-182872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記電源システムでは、マスタ制御装置および複数のスレーブ制御装置の間のデータの遣り取りにシリアル通信を採用することにより、マスタ制御装置および複数のスレーブ制御装置の間に接続される配線の数を少なくすることができる。
【0005】
しかしながら、各スレーブ制御装置のプログラマブルデバイスにインストールされたソフトウェア(プログラム)をアップデートする場合には、各スレーブ制御装置にプログラミング用のケーブルを介してコンピュータを接続し、当該コンピュータからプログラマブルデバイスにアップデート用データをダウンロードすることが必要となる。
【0006】
そのため、大規模かつ複雑化した構造を有する電源装置においては、アップデート処理の実行しやすさを考慮して、プログラマブルデバイスが搭載される制御基板の配置を設計する必要が生じる。また、無停電電源装置に搭載される電源装置の数が増えるに従って、アップデート処理に多大な時間および手間がかかることが懸念される。そして、アップデート処理は、電源装置を動作させる通常の通信を切断した状態で行う必要があるため、アップデート処理中は継続的に電源装置を停止させる必要がある。
【0007】
加えて、アップデートの際にリセット操作を必要とするプログラマブルデバイスを使用している場合、各プログラマブルデバイスを人の手で個別にリセット操作する、あるいは、各プログラマブルデバイスに対してリセット信号を送信する送信線を別途設置する必要がある。
【0008】
それゆえ、本開示の主たる目的は、簡素化された構成で、プログラムのアップデートを効率良く実行することが可能な無停電電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係る無停電電源装置は、複数のモジュールと、メインコントローラと、複数のコントローラと、シリアル通信線とを備える。メインコントローラは、複数のモジュールを制御する。複数のコントローラは、各々がプログラマブルデバイスを含み、メインコントローラとの通信により複数のモジュールをそれぞれ駆動する。シリアル通信線は、メインコントローラと複数のコントローラとを通信接続する。プログラマブルデバイスは、メモリと、プロセッサとを含む。メモリは、実行用プログラムとアップデート用プログラムとを記憶する。プロセッサは、実行用プログラムを実行することにより、対応するモジュールを駆動する。メインコントローラは、シリアル通信線を介して、プログラマブルデバイスに、実行用データとアップデート用データとのいずれかを、実行用プログラムの実行中に送信可能である。実行用データは、実行用プログラムの実行に使用するデータである。アップデート用データは、アップデート用プログラムのアップデートに使用するデータである。プロセッサは、実行用データを受信した場合、実行用データに基づき実行用プログラムを進行させる。プロセッサは、アップデート用データを受信した場合、アップデート用データをメモリに書き込んでアップデート用プログラムのアップデートを進行させる。プロセッサは、アップデート用プログラムのアップデートが完了した後にプログラマブルデバイスがリセットされた場合、実行用プログラムを終了してアップデート用プログラムを実行用プログラムとして起動する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、簡素化された構成で、プログラムのアップデートを効率良く実行することが可能な無停電電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る無停電電源装置の構成を示す回路ブロック図である。
図2】メインコントローラおよびゲートドライバの構成を示すブロック図である。
図3】リセット時の実行用プログラムの入れ替えを説明する図である。
図4】ゲートドライバが実行する処理の手順を説明するフローチャートである。
図5】実施の形態2に係る無停電電源装置の構成を示す回路ブロック図である。
図6図5に示したバイパスモジュールおよびパワーモジュールの構成を示す回路ブロック図である。
図7】メインコントローラおよびコントローラの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
【0013】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る無停電電源装置100の構成を示す回路ブロック図である。実施の形態1に係る無停電電源装置100は、商用交流電源30から供給される三相交流電力を直流電力に一旦変換し、その直流電力を三相交流電力に変換して負荷31に供給するものである。図1では、図面および説明の簡単化のため、三相(U相、V相、W相)のうちの一相(たとえばU相)に対応する部分の回路のみが示されている。
【0014】
図1を参照して、無停電電源装置100は、交流入力端子T11、バッテリ端子T12、交流出力端子T13、およびバイパス入力端子T14を備える。交流入力端子T11は、商用交流電源30から商用周波数の交流電力を受ける。バイパス入力端子T14は、バイパス交流電源33から商用周波数の交流電力を受ける。バイパス交流電源33は、商用交流電源であってもよいし、発電機であっても構わない。
【0015】
バッテリ端子T12は、バッテリ32に接続される。バッテリ32は、直流電力を蓄える。バッテリ32は「電力貯蔵装置」の一実施例に対応する。バッテリ32の代わりにコンデンサが接続されていても構わない。交流出力端子T13は、負荷31に接続される。負荷31は、交流電力によって駆動される。
【0016】
無停電電源装置100は、さらに、電磁接触器S1,S2,S3,S4、電流検出器12,13、コンデンサ1,5,10、リアクトル2,9、コンバータ4、双方向チョッパ7、インバータ8、半導体スイッチ20、検出器60,62,64、ゲートドライバ66,68,70、スイッチインターフェイス(I/F)72、操作部24、およびメインコントローラ22を備える。
【0017】
電磁接触器S1,S2,S3,S4、電流検出器12,13、コンデンサ1,5,10、リアクトル2,9、コンバータ4、双方向チョッパ7、インバータ8、および半導体スイッチ20の各々は「モジュール」の一実施例に対応する。検出器60,62,64、ゲートドライバ66,68,70、およびスイッチI/F72の各々は「コントローラ」の一実施例に対応する。
【0018】
電磁接触器S1の第1端子は交流入力端子T11に接続され、電磁接触器S1の第2端子(ノードN1)はリアクトル2の第1端子に接続される。リアクトル2の第2端子はコンバータ4の交流端子4aに接続される。コンデンサ1は、ノードN1と中性点NPとの間に接続される。中性点NPは、たとえば接地電圧を受ける。電磁接触器S1は、無停電電源装置100の使用時にオンされ、例えば無停電電源装置100のメンテナンス時にオフされる。
【0019】
ノードN1に現れる交流入力電圧Viの瞬時値は、検出器60によって検出される。電流検出器12は、ノードN1に流れる交流入力電流Iiを検出し、その検出値を示す信号Iifを検出器60に出力する。検出器60は、通信線15を介してメインコントローラ22に接続される。通信線15は、シリアル通信にて双方向にデータを伝送するように構成されている。通信線15は「シリアル通信線」の一実施例に対応する。検出器60は、交流入力電圧Viの瞬時値の検出値を示す信号および交流入力電流Iiの検出値を示す信号Iifを、通信線15を介してメインコントローラ22に与える。
【0020】
コンデンサ1およびリアクトル2は、交流フィルタ3を構成し、商用周波数の交流電力を通過させるとともに、コンバータ4で発生するスイッチング周波数の電流が商用交流電源30に通過することを防止する。
【0021】
コンバータ4は、メインコントローラ22によって制御され、商用交流電源30から交流電力が供給されている通常時には、交流電力を直流電力に変換して直流ライン6に出力する。商用交流電源30から交流電力が正常に供給されなくなった場合(商用交流電源30の停電時)には、コンバータ4の運転は停止される。コンバータ4の出力電圧は、所望の値に制御可能になっている。
【0022】
具体的には、コンバータ4は、図示しない複数のスイッチング素子を有している。複数のスイッチング素子にはゲートドライバ(GD)66が接続される。ゲートドライバ66は、通信線15を介してメインコントローラ22に接続されており、メインコントローラ22から与えられるゲート信号に従って複数のスイッチング素子を駆動する。
【0023】
コンデンサ5は、直流ライン6に接続され、直流ライン6の電圧を平滑化させる。直流ライン6に現れる直流電圧VDの瞬時値は、検出器62によって検出される。直流ライン6は双方向チョッパ7の高電圧側ノードに接続され、双方向チョッパ7の低電圧側ノードは電磁接触器S2を介してバッテリ端子T12に接続される。
【0024】
電磁接触器S2は、無停電電源装置100の使用時はオンされ、例えば無停電電源装置100およびバッテリ32のメンテナンス時にオフされる。バッテリ端子T12に現れるバッテリ32の端子間電圧VBの瞬時値は、検出器62によって検出される。検出器62は、通信線15を介してメインコントローラ22に接続される。検出器62は、直流電圧VDの瞬時値の検出値およびバッテリ32の端子間電圧VBの瞬時値の検出値を示す信号を、通信線15を介してメインコントローラ22に与える。
【0025】
双方向チョッパ7は、メインコントローラ22によって制御され、通常時には、コンバータ4によって生成された直流電力をバッテリ32に蓄え、商用交流電源30の停電時には、バッテリ32の直流電力を直流ライン6を介してインバータ8に供給する。
【0026】
双方向チョッパ7は、直流電力をバッテリ32に蓄える場合には、直流ライン6の直流電圧VDを降圧してバッテリ32に与える。また、双方向チョッパ7は、バッテリ32の直流電力をインバータ8に供給する場合には、バッテリ32の端子間電圧VBを昇圧して直流ライン6に出力する。直流ライン6は、インバータ8の入力ノードに接続されている。
【0027】
具体的には、双方向チョッパ7は、図示しない複数のスイッチング素子を有している。複数のスイッチング素子にはゲートドライバ(GD)68が接続される。ゲートドライバ68は、通信線15を介してメインコントローラ22に接続されており、メインコントローラ22から与えられるゲート信号に従って複数のスイッチング素子を駆動する。
【0028】
インバータ8は、メインコントローラ22によって制御され、コンバータ4または双方向チョッパ7から直流ライン6を介して供給される直流電力を商用周波数の交流電力に変換して出力する。すなわち、インバータ8は、通常時には、コンバータ4から直流ライン6を介して供給される直流電力を交流電力に変換し、商用交流電源30の停電時には、バッテリ32から双方向チョッパ7を介して供給される直流電力を交流電力に変換する。インバータ8の出力電圧は、所望の値に制御可能になっている。
【0029】
具体的には、インバータ8は、図示しない複数のスイッチング素子を有している。複数のスイッチング素子にはゲートドライバ(GD)70が接続される。ゲートドライバ70は、通信線15を介してメインコントローラ22に接続されており、メインコントローラ22から与えられるゲート信号に従って複数のスイッチング素子を駆動する。
【0030】
インバータ8の交流端子8aはリアクトル9の第1端子に接続され、リアクトル9の第2端子(ノードN2)は電磁接触器S3の第1端子に接続され、電磁接触器S3の第2端子(ノードN3)は交流出力端子T13に接続される。コンデンサ10は、ノードN2と中性点NPとの間に接続される。中性点NPは、たとえば接地電圧を受ける。
【0031】
電流検出器13は、インバータ8の出力電流Ioの瞬時値を検出し、その検出値を示す信号Iofを検出器64に与える。ノードN2に現れる交流出力電圧Voの瞬時値は、検出器64によって検出される。
【0032】
検出器64は、通信線15を介してメインコントローラ22に接続される。検出器64は、交流出力電圧Voの瞬時値の検出値を示す信号および出力電流Ioの検出値を示す信号Iofを、通信線15を介してメインコントローラ22に与える。
【0033】
リアクトル9およびコンデンサ10は、交流フィルタ11を構成し、インバータ8で生成される商用周波数の交流電力を交流出力端子T13に通過させ、インバータ8で発生するスイッチング周波数の電流が交流出力端子T13に通過することを防止する。
【0034】
電磁接触器S3は、メインコントローラ22によって制御され、インバータ8によって生成された交流電力を負荷31に供給するインバータ給電モード時にはオンされ、バイパス交流電源33からの交流電力を負荷31に供給するバイパス給電モード時にはオフされる。
【0035】
半導体スイッチ20は、互いに逆並列に接続された一対のサイリスタを含み、バイパス入力端子T14とノードN3との間に接続される。電磁接触器S4は、半導体スイッチ20に並列接続される。半導体スイッチ20は、メインコントローラ22によって制御され、通常はオフされ、インバータ8が故障した場合には瞬時にオンし、バイパス交流電源33からの交流電力を負荷31に供給する。半導体スイッチ20は、オンしてから所定時間経過後にオフする。
【0036】
電磁接触器S4は、インバータ8によって生成された交流電力を負荷31に供給するインバータ給電モード時にはオフされ、バイパス交流電源33からの交流電力を負荷31に供給するバイパス給電モード時にはオンされる。
【0037】
また、電磁接触器S4は、インバータ8が故障した場合にオンし、バイパス交流電源33からの交流電力を負荷31に供給する。つまり、インバータ8が故障した場合には、半導体スイッチ20が瞬時に所定時間だけオンするとともに電磁接触器S4がオンする。これは、半導体スイッチ20が過熱されて破損するのを防止するためである。
【0038】
具体的には、電磁接触器S3,S4および半導体スイッチ20にはスイッチI/F72が接続される。スイッチI/F72は、通信線15を介してメインコントローラ22に接続されている。スイッチI/F72は、メインコントローラ22から与えられるオン指令またはオフ指令に従って、電磁接触器S3,S4および半導体スイッチ20をオンまたはオフする。
【0039】
操作部24は、無停電電源装置100のユーザによって操作される複数のボタン、種々の情報を表示するディスプレイなどを含む。ユーザが操作部24を操作することにより、無停電電源装置100の電源をオンおよびオフしたり、バイパス給電モードおよびインバータ給電モードのうちの何れか一方のモードを選択したりすることが可能となっている。
【0040】
また操作部24は、通信ネットワークNWに接続されており、通信ネットワークNWを介して無停電電源装置100の外部機器35との間でデータを遣り取りすることが可能となっている(図2参照)。外部機器35は、例えば、PC(Personal Computer)またはサーバなどを含む。操作部24は、USBコネクタをさらに有していてもよい。この場合、操作部24は、USBコネクタを介して外部機器35との間でデータを遣り取りする。
【0041】
ユーザが操作部24を直接操作することにより、または、ユーザが外部機器35を用いて操作部24を遠隔操作することにより、メインコントローラ22、および検出器60,62,64、ゲートドライバ66,68,70およびスイッチI/F72の各々にインストールされたプログラムのアップデートの開始指令およびアップデート完了後の各デバイスのリセット指令を実行することが可能となっている。プログラムのアップデート処理の詳細については後述する。
【0042】
メインコントローラ22は、操作部24からの信号、および、検出器60,62,64からの信号などに基づいて無停電電源装置100全体を制御する。すなわち、メインコントローラ22は、交流入力電圧Viの検出値に基づいて停電が発生したか否かを検出し、交流入力電圧Viの位相に同期してコンバータ4およびインバータ8を制御する。
【0043】
またメインコントローラ22は、交流入力電圧Vi、交流入力電流Ii、および直流電圧VDに基づいてコンバータ4を制御する。メインコントローラ22は、通常時には、直流電圧VDが所望の目標電圧VDTになるようにコンバータ4を制御し、商用交流電源30の停電時には、コンバータ4の運転を停止させる。
【0044】
またメインコントローラ22は、直流電圧VDおよびバッテリ電圧VBに基づいて双方向チョッパ7を制御する。メインコントローラ22は、通常時には、バッテリ電圧VBが所望の目標バッテリ電圧VBTになるように双方向チョッパ7を制御し、商用交流電源30の停電時には、直流電圧VDが所望の目標電圧VDTになるように双方向チョッパ7を制御する。
【0045】
またメインコントローラ22は、交流出力電流Ioおよび交流出力電圧Voに基づいて、交流出力電圧Voが所望の目標電圧VoTになるようにインバータ8を制御する。
【0046】
上述したコンバータ4、双方向チョッパ7およびインバータ8の制御は、メインコントローラ22ならびに、検出器60,62,64、ゲートドライバ66,68,70およびスイッチI/F72の各々が、予めインストールされたプログラムを実行し、通信線15を介してデータを互いに遣り取りすることによって実現される。
【0047】
すなわち、検出器60,62,64、ゲートドライバ66,68,70およびスイッチI/F72の各々は、無停電電源装置100全体を制御するメインコントローラ22による制御の下、無停電電源装置100の各モジュールの動作を制御する「コントローラ」の一実施例に対応する。本実施の形態では、シリアル通信によって、メインコントローラと各コントローラとの間でデータを遣り取りすることが可能となっている。これにより、モジュールの数が増えてもメインコントローラ22に接続される配線の数の増加を抑制することができる。
【0048】
次に、メインコントローラ22、および、検出器60,62,64、ゲートドライバ66,68,70およびスイッチI/F72の各々の構成について説明する。検出器60,62,64、ゲートドライバ66,68,70およびスイッチI/F72は基本的な構成が同じであるため、以下の説明では、ゲートドライバ66の構成を代表的に示す。
【0049】
図2は、メインコントローラ22およびゲートドライバ66の構成を示すブロック図である。図2を参照して、メインコントローラ22およびゲートドライバ66は、通信線15によって双方向に通信可能に接続されている。通信線15は、シリアル通信にて双方向にデータを転送するように構成される。通信線15は、メインコントローラ22からゲートドライバ66へデータを転送するための通信線15Aと、ゲートドライバ66からメインコントローラ22へデータを転送するための通信線15Bとを含む。
【0050】
メインコントローラ22およびゲートドライバ66は、予めメモリに記憶されたプログラムを実行することによって、互いに協働してコンバータ4を制御する。
【0051】
メインコントローラ22は、プログラマブルデバイス40と、シリアル通信I/F46とを含む。
【0052】
プログラマブルデバイス40は、プロセッサ400と、メモリ402と、入出力(I/O)回路404と、通信I/F406とを含む。プロセッサ400、メモリ402、I/O回路404および通信I/F406は、図示しないバスを経由して相互に信号の授受が可能である。プログラマブルデバイス40は、プロセッサ400を含む制御基板として実現されてもよい。
【0053】
プロセッサ400は、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、例えば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのMPU(Micro Processing Unit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0054】
メモリ402は、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含む。プロセッサ400は、各種プログラムを実行することによって無停電電源装置100の動作を制御する。プロセッサ400は、ROMからRAMにプログラムを読み出す。RAMは、ワーキングメモリとして機能し、プログラムの実行に必要な各種データを一時的に格納する。I/O回路404は、操作部24に接続され、操作部24との間で信号の授受が可能である。
【0055】
通信I/F406は、ゲートドライバ66との間でデータを遣り取りするためのインターフェイスである。
【0056】
プログラマブルデバイス40は、送信信号(送信データ)T1を生成し、生成した送信信号T1をシリアル通信I/F46内のドライバ460に出力する。プログラマブルデバイス40は、パラレルデータである送信信号T1をシリアルデータに変換するパラレル/シリアル変換器を有している。
【0057】
プログラマブルデバイス40は、プログラマブルデバイス50がコンバータ4を駆動するためのデータ(後述する実行用データ)、または、プログラマブルデバイス50をアップデートするためのデータ(後述するアップデート用データ)をプログラマブルデバイス50に送信する。これらのデータは、操作部24からプログラマブルデバイス40に送信される。なお、プログラマブルデバイス40とは別に、アップデート用データを送信するための専用のプログラマブルデバイスを設けるようにしてもよい。
【0058】
シリアル通信I/F46は、通信線15を用いたシリアル通信により、メインコントローラ22とゲートドライバ66との間で各種データを遣り取りするための通信インターフェイスである。シリアル通信I/F46は、ドライバ460と、レシーバ462とを有する。
【0059】
ドライバ460には、プログラマブルデバイス40から出力される送信信号が与えられる。ドライバ460は、送信信号に応じたデータを、通信線15Aを介してゲートドライバ66に送信する。
【0060】
レシーバ462は、通信線15Bを介してゲートドライバ66から送信されたデータを受信し、受信信号としてプログラマブルデバイス40へ出力する。レシーバ462は、ゲートドライバ66からのデータを、受信信号R1としてプログラマブルデバイス40へ出力する。
【0061】
プログラマブルデバイス40は、レシーバ462から出力される受信信号R1を受け、その入力した受信信号R1に基づいて所定の処理を実行する。プログラマブルデバイス40は、シリアルデータである受信信号R1をパラレルデータに変換するシリアル/パラレル変換器を有している。
【0062】
ゲートドライバ66は、プログラマブルデバイス50と、シリアル通信I/F56とを含む。プログラマブルデバイス50は、プロセッサ500と、メモリ502とを含む。メモリ502は、実行用プログラム記憶領域522と、アップデート用プログラム記憶領域521と、指示情報記憶領域524とを含む。アップデート用プログラム記憶領域521は、「第2の記憶領域」の一実施例に対応する。実行用プログラム記憶領域522は、「第1の記憶領域」の一実施例に対応する。
【0063】
実行用プログラム記憶領域522は、実行用プログラム(後述する)を記憶する。アップデート用プログラム記憶領域521は、アップデート用プログラム(後述する)を記憶する。指示情報記憶領域524は、指示情報(後述する)を記憶する。
【0064】
プロセッサ500とメモリ502とは、図示しないバスを経由して相互に信号の授受が可能である。プログラマブルデバイス50は、プロセッサ500とメモリ502とを含む制御基板として実現されてもよい。
【0065】
プロセッサ500は、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、例えば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのMPU、少なくとも1つのFPGAまたはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0066】
プロセッサ500は、各種プログラムを実行することによって、コンバータ4を構成するスイッチング素子を駆動する。プロセッサ500は、ROMに格納されるプログラム(実行用プログラム等)をRAMに展開して実行する。ROMに格納されるプログラムには、プロセッサ500により実行される各種処理が記述されている。RAMは、ワーキングメモリとして機能し、プログラムの実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0067】
プログラマブルデバイス50は、パラレルデータである送信信号T2をシリアルデータに変換するパラレル/シリアル変換器を有している。
【0068】
プロセッサ500からの送信信号T2は、シリアル通信I/F56内のドライバ562に出力される。シリアル通信I/F56は、通信線15を用いたシリアル通信により、ゲートドライバ66とメインコントローラ22との間で各種データを遣り取りするための通信インターフェイスである。シリアル通信I/F56は、レシーバ560と、ドライバ562とを有する。
【0069】
レシーバ560は、通信線15Aを介してメインコントローラ22から送信されたデータを受信し、受信信号としてプロセッサ500へ出力する。レシーバ560は、メインコントローラ22からのデータを、受信信号(受信データ)R2としてプロセッサ500へ出力する。
【0070】
プロセッサ500は、レシーバ560から出力される受信信号R2を受け、その入力した受信信号R2に基づいて所定の処理を実行する。プロセッサ500は、シリアルデータである受信信号R2をパラレルデータに変換するシリアル/パラレル変換器を有している。
【0071】
ドライバ562には、プログラマブルデバイス50から出力される送信信号(送信データ)T2が与えられる。ドライバ562は、送信信号に応じたデータを、通信線15Bを介してメインコントローラ22に送信する。
【0072】
上述のように、メモリ502は、実行用プログラム記憶領域522において実行用プログラムと、アップデート用プログラム記憶領域521においてアップデート用プログラムとを記憶している。プロセッサ500は、実行用プログラムを実行することにより、コンバータ4を駆動する。
【0073】
メインコントローラ22のプログラマブルデバイス40は、通信線15を介して、プログラマブルデバイス50に、受信信号R2として実行用データとアップデート用データとのいずれかを、実行用プログラムの実行中に送信可能である。実行用データは、実行用プログラムの実行に使用するデータである。プロセッサ500は、実行用データを受信した場合、実行用データに基づき実行用プログラムを進行させて、コンバータ4を駆動する。実行用データは、実行用プログラムを動作させるための命令、値等を含む。
【0074】
アップデート用データは、アップデート用プログラムのアップデートに使用するデータである。プロセッサ500は、アップデート用データを受信した場合、アップデート用データをメモリ502に書き込んでアップデート用プログラムのアップデートを進行させる。アップデート用データの送信は、ユーザによる操作部24の操作(アップデートの開始指令)により開始される。
【0075】
たとえば、プログラマブルデバイス40からプログラマブルデバイス50へは、所定の周期(たとえば、10msecごと)で実行用データが送信されるとする。プログラマブルデバイス40からプログラマブルデバイス50へのアップデート用データの送信は、実行用データが送信されていないタイミングで送信するようにすればよい。たとえば、10msecのうち、前半5msecが実行用データの送信に使用され、後半5msecがアップデート用データの送信に使用されるようにしてもよい。このようにすれば、コンバータ4を駆動させつつプログラムのアップデートも進行する。
【0076】
実行用データおよびアップデート用データは、いずれも通信線15を用いて送信される。したがって、通信線の数を増やすことなく、メインコントローラ22によってゲートドライバ66のプログラマブルデバイス50をアップデートすることができる。図1に示したように、メインコントローラ22は、複数のコントローラ(検出器60,62,64、ゲートドライバ66,68,70、およびスイッチI/F72)と通信線15によって接続されている。
【0077】
したがって、通信線15を用いてメインコントローラ22と各コントローラとの間にアップデート用の通信経路を形成することにより、メインコントローラ22は、すべてのモジュール(電磁接触器S1,S2,S3,S4、電流検出器12,13、コンデンサ1,5,10、リアクトル2,9、コンバータ4、双方向チョッパ7、インバータ8、および半導体スイッチ20)を動作させつつも、いずれのコントローラのアップデート処理も進行させることが可能となる。
【0078】
プロセッサ500は、アップデート用プログラムのアップデートが完了(アップデート用プログラムの書き換えが完了)したときに、プログラムの切り替えを指示する指示情報(フラグ等)をメモリ502の指示情報記憶領域524に記憶させる。
【0079】
プロセッサ500は、アップデート用プログラムのアップデートが完了した後にプログラマブルデバイス50がリセットされた場合、実行用プログラムを終了してアップデート用プログラムを実行用プログラムとして起動する。アップデートが完了したか否かは、操作部24においてユーザが確認可能である。
【0080】
プログラマブルデバイス40は、通信線15を介して、プログラマブルデバイス50に、プログラマブルデバイス50をリセットするためのリセット指令データを送信可能である。
【0081】
本実施の形態においては、プログラマブルデバイス50に設置されたリセットスイッチの操作によりプログラマブルデバイス50がリセットされる。あるいは、プログラマブルデバイス50は、リセット指令データを受信した場合にプログラマブルデバイス50自身をリセットする。リセット指令データは、ユーザによる操作部24の操作により送信される。
【0082】
図3は、リセット時の実行用プログラムの入れ替えを説明する図である。プロセッサ500は、プログラマブルデバイス50がリセットされ、かつ、指示情報がメモリ502に記憶されている場合に、実行用プログラムを終了してアップデート用プログラムを実行用プログラムとして起動する。具体的には、図3に示すように、実行用プログラム記憶領域522に記憶された実行用プログラムを、アップデート用プログラムとしてアップデート用プログラム記憶領域521に記憶させる一方、アップデート用プログラム記憶領域521に記憶されたアップデート用プログラムを、実行用プログラムとして実行用プログラム記憶領域522に記憶させる。
【0083】
なお、プロセッサ500は、プログラマブルデバイス50がリセットされ、かつ、指示情報がメモリ502に記憶されている場合に、上記のようにプログラムを互いに入れ替える(書き換える)ことなく、アップデート用プログラム記憶領域521に記憶されたプログラムを実行用プログラムとして使用し、実行用プログラム記憶領域522に記憶されたプログラムをアップデート用プログラムとして使用する(アップデート対象とする)ようにしてもよい。
【0084】
以下、フローチャートを用いて説明する。図4は、ゲートドライバ66が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。本処理は、電力が供給されることによりゲートドライバ66のプログラマブルデバイス50が起動するとき、あるいは、リセットによりプログラマブルデバイス50が再起動するときに開始する。
【0085】
プログラマブルデバイス50のプロセッサ500は、ステップ(以下、単にステップをSと表記する)101において、指示情報がメモリ502の指示情報記憶領域524に記憶されているか否かを判定する。
【0086】
プロセッサ500は、指示情報がメモリ502の指示情報記憶領域524に記憶されている場合(S101でYES)、図3において説明した方法により、実行用プログラム記憶領域522に記憶された実行用プログラムと、アップデート用プログラム記憶領域521に記憶されたアップデート用プログラムとを入れ替える(S102)。
【0087】
一方、プロセッサ500は、指示情報がメモリ502の指示情報記憶領域524に記憶されていない場合(S101でNO)、実行用プログラムおよびアップデート用プログラムの入れ替えは行わない。
【0088】
以降、プログラマブルデバイス50のリセットあるいはプログラマブルデバイス50に対する電力供給が遮断されるまで、S103~S111により実行用プログラムが実行される。指示情報が記憶されている場合(アップデートが完了してリセットされた場合)、アップデート後のプログラムが実行されることになる。プロセッサ500は、S103において、プログラマブルデバイス50を初期化する処理を実行する。
【0089】
プロセッサ500は、実行用データを受信した場合(S104でYES)、実行用データに基づき実行用プログラムを進行させ(S105)、S110に処理を進める。これにより、コンバータ4を駆動する処理が進行する。
【0090】
プロセッサ500は、実行用データを受信せず(S104でNO)、アップデート用データを受信した場合(S106でYES)、アップデート用データの書き込みにより、アップデート用プログラム記憶領域521に記憶されたアップデート用プログラムのアップデートを進行させる(S107)。上述のとおり、ユーザによる操作部24の操作(アップデートの開始指令)により、アップデート用データの送信が開始される。
【0091】
プロセッサ500は、アップデート用プログラムのアップデートが完了した場合(S108でYES)、メモリ502の指示情報記憶領域524に指示情報を記憶させて(S109)、S110に処理を進める。
【0092】
プロセッサ500は、リセット指令データを受信していない場合(S110でNO)、処理をS104に戻す。これにより、リセット指令データを受信するまでS104~S110の処理を繰り返すことになる。S104~S110において、実行用データを受信した場合は実行用ブログラムを進行させ、アップデート用データを受信した場合はアップデートを進行させる。
【0093】
アップデートが完了した後、ユーザによる操作部24の操作に基づき、プログラマブルデバイス50はリセット指令を受信する。たとえば、プログラマブルデバイス40は、アップデート完了タイミングで、プログラマブルデバイス50に対してアップデート完了フラグを送信する。ユーザは、操作部24においてアップデートの完了(アップデート完了フラグ)を確認することができる。そして、ユーザは、プログラマブルデバイス40に対して、操作部24の操作によりリセット指令データを送信する。
【0094】
プロセッサ500は、リセット指令を受信した場合(S110でYES)、プログラマブルデバイス50のリセットを行い(S111)、本処理が終了する(実行用プログラムが終了する)。そして、プログラマブルデバイス50のリセットにより、プログラマブルデバイス50が再起動して、本処理が再実行される。アップデート完了によりリセットされた場合は、アップデートされた実行用プログラムが起動することになる。
【0095】
このように、実施の形態1に係る無停電電源装置100によれば、複数のモジュール(コンバータ4等)は、商用交流電源30から供給される交流電力を直流電力に変換するコンバータ4と、コンバータ4またはバッテリ32から供給される直流電力を交流電力に変換して負荷に供給するインバータ8と、コンバータ4によって生成される直流電力の一部をバッテリ32に蓄える充電動作と、バッテリ32の直流電力をインバータ8に供給する放電動作とを選択的に実行する双方向チョッパ7とを含む。複数のコントローラ(ゲートドライバ66等)は、コンバータ4、インバータ8および双方向チョッパ7をそれぞれ駆動する複数のゲートドライバ(ゲートドライバ66,68,70)を含む。
【0096】
上記構成において、無停電電源装置100は、複数のモジュール(コンバータ4等)と、メインコントローラ22と、複数のコントローラ(ゲートドライバ66等)と、通信線15とを備える。メインコントローラ22は、複数のモジュール(コンバータ4等)を制御する。複数のコントローラ(ゲートドライバ66等)は、各々がプログラマブルデバイス50を含み、メインコントローラ22との通信により複数のモジュール(コンバータ4等)をそれぞれ駆動する。通信線15は、メインコントローラ22と複数のコントローラ(ゲートドライバ66等)とを通信接続する。プログラマブルデバイス50は、メモリ502と、プロセッサ500とを含む。メモリ502は、実行用プログラムとアップデート用プログラムとを記憶する。プロセッサ500は、実行用プログラムを実行することにより、対応するモジュールを駆動する。メインコントローラ22は、通信線15を介して、プログラマブルデバイス50に、実行用データとアップデート用データとのいずれかを、実行用プログラムの実行中に送信可能である。実行用データは、実行用プログラムの実行に使用するデータである。アップデート用データは、アップデート用プログラムのアップデートに使用するデータである。プロセッサ500は、実行用データを受信した場合、実行用データに基づき実行用プログラムを進行させる。プロセッサ500は、アップデート用データを受信した場合、アップデート用データをメモリ502に書き込んでアップデート用プログラムのアップデートを進行させる。プロセッサ500は、アップデート用プログラムのアップデートが完了した後にプログラマブルデバイス50がリセットされた場合、実行用プログラムを終了してアップデート用プログラムを実行用プログラムとして起動する。
【0097】
このように、共通化された通信線15を用いて、実行用データによりコンバータ4(モジュール)の制御(実行用プログラムの実行)を継続しつつも、並行して、アップデート用プログラムによりアップデート用プログラムのアップデートを実行することができる。アップデートの完了後のプログラマブルデバイス50のリセットによりこれらのプログラムを入れ替えて起動する。アップデート中は無停電電源装置100の動作を停止させる(バイパス給電モードに切り替える)必要がないため、無停電電源装置100の動作を停止させる期間を短縮することができる。
【0098】
特に、通信線15を介して、すべてのプログラマブルデバイス50のプログラムを書き換えた後、ユーザ操作によりすべてのプログラマブルデバイス50を同時にリセットすれば、無停電電源装置100の動作を停止させる期間をさらに短縮することができる。従来、プログラムのアップデートおよびリセットのために無停電電源装置100の動作を長時間(たとえば、数十分)停止していたような場合であっても、リセットのために無停電電源装置100の動作を短時間(たとえば、数十秒)停止させればよくなる。これにより、簡素化された構成で、すべてのコントローラを効率的にアップデートすることが可能となる。
【0099】
また、メインコントローラ22は、通信線15を介して、プログラマブルデバイス50に、プログラマブルデバイス50をリセットするためのリセット指令データを送信可能である。プログラマブルデバイス50は、リセット指令データを受信した場合に、プログラマブルデバイス50をリセットする。
【0100】
プログラマブルデバイス50のアップデートの際にリセット操作が必要となる構成であっても、通信線15を介したリセット指令データの送信によりリセットを可能にすることで、人の手によるリセット操作あるいはリセット信号を送信するための送信線を別途設置する必要がない。これにより、簡素化された構成で、すべてのコントローラを効率的にアップデートすることが可能となる。
【0101】
また、プロセッサ500は、アップデート用プログラムのアップデートが完了したときに、プログラムの切り替えを指示する指示情報をメモリ502に記憶させる。プロセッサ500は、プログラマブルデバイス50がリセットされ、かつ、指示情報がメモリ502に記憶されている場合に、実行用プログラムを終了してアップデート用プログラムを実行用プログラムとして起動する。これにより、アップデート完了後のリセットにより、アップデートされたプログラムに切り替えることができる。
【0102】
また、メモリ502は、実行用プログラム記憶領域522とアップデート用プログラム記憶領域521とを含む。実行用プログラム記憶領域522は、実行用プログラムを記憶する。アップデート用プログラム記憶領域521は、アップデート用プログラムを記憶する。プロセッサ500は、プログラマブルデバイス50がリセットされた場合、実行用プログラム記憶領域522に記憶された実行用プログラムを、アップデート用プログラムとしてアップデート用プログラム記憶領域521に記憶させる一方、アップデート用プログラム記憶領域521に記憶されたアップデート用プログラムを、実行用プログラムとして実行用プログラム記憶領域522に記憶させる。モジュールを動作させるためのプログラム専用の記憶領域と、アップデート用のプログラム専用の記憶領域とを別々に設けることで、ソフトウェアの管理を容易にしつつ、簡素化された構成で、すべてのコントローラを効率的にアップデートすることが可能となる。
【0103】
[実施の形態2]
図5は、実施の形態2に係る無停電電源装置110の構成を示す回路ブロック図である。図5を参照して、実施の形態2に係る無停電電源装置110は、バイパスモジュールB0と、複数のパワーモジュールP1~Pn(nは2以上の整数)と、バッテリ32と、通信線15とを備える。バイパスモジュールB0およびパワーモジュールP1~Pnは、通信線15によって互いに接続されている。通信線15は、シリアル通信にて双方向にデータを伝送するように構成されている。
【0104】
バイパスモジュールB0は、交流入力端子T21と、交流出力端子T22と、交流入力端子T21および交流出力端子T22の間に接続されるスイッチ(図示せず)とを有する。
【0105】
パワーモジュールP1~Pnの各々は、コンバータおよびインバータを有する電力変換モジュールである。以下の説明では、パワーモジュールP1~Pnを包括的に「パワーモジュールP」と称する場合がある。パワーモジュールPは、交流入力端子T11と、バッテリ端子T12と、交流出力端子T13とを有する。
【0106】
バイパスモジュールB0の交流入力端子T21および各パワーモジュールPの交流入力端子T11はともに商用交流電源30に接続される。交流入力端子T21および各交流入力端子T11は、商用交流電源30から供給される商用周波数の交流電圧Viを受ける。
【0107】
各パワーモジュールPのバッテリ端子T12はともにバッテリ32に接続される。バッテリ32は直流電力を蓄える。バッテリ32の代わりにコンデンサが接続されていてもよい。
【0108】
バイパスモジュールB0の交流出力端子T22および各パワーモジュールPの交流出力端子T13はともに負荷31に接続される。すなわち、バイパスモジュールB0およびパワーモジュールP1~Pnは、商用交流電源30と負荷31との間に互いに並列に接続されている。負荷31は、バイパスモジュールB0またはパワーモジュールPから供給される交流電力によって駆動される。
【0109】
このような無停電電源装置は「モジュール型無停電電源装置」と称される。モジュール型無停電電源装置は、無停電電源装置の容量に応じた台数のパワーモジュールの並列回路を内部に構築している。本実施の形態では、たとえば、無停電電源装置による電源供給に(N-1)台のパワーモジュールが必要な場合に、N台のパワーモジュールを実装して冗長化を図っている。これにより、電源品質を向上させることができる。このように単一の無停電電源装置においてモジュール単位で冗長化を図る方式は「ホットスワップ方式」とも称される。ホットスワップ方式とは、無停電電源装置の運用中にパワーモジュールを停止し、当該パワーモジュールを引出および挿入可能な構造を意味する。これによると、パワーモジュールの故障や点検時に無停電電源装置による給電を継続した状態でパワーモジュールPを交換することができる。さらに、後述するように、パワーモジュールPを1つずつリセットすることで、無停電電源装置による給電を停止させることなくソフトウェアのアップデートを完了させることができる。
【0110】
無停電電源装置110は、インバータ給電モードと、バイパス給電モードとを有する。インバータ給電モードは、パワーモジュールPから負荷31に交流電力が供給されるモードである。インバータ給電モードでは、商用交流電源30から供給される交流電力がパワーモジュールPのコンバータによって直流電力に変換され、その直流電力がインバータによって交流電力に変換されて負荷31に供給される。バイパス給電モードは、商用交流電源30からバイパスモジュールB0を介して負荷31に交流電力が供給されるモードである。バイパス給電モードでは、商用交流電源30から供給される交流電力が、パワーモジュールPを通さずに負荷31に供給される。
【0111】
図6は、図5に示したバイパスモジュールB0およびパワーモジュールPの構成を示す回路ブロック図である。無停電電源装置110は、商用交流電源30からの三相交流電力を直流電力に変換し、その直流電力を三相交流電力に変換して負荷31に供給する。図7では、図面および説明の簡単化のため、三相(U相、V相、W相)のうちの一相に対応する部分の回路のみが示されている。
【0112】
図6に示すように、バイパスモジュールB0は、半導体スイッチ20と、メインコントローラ80と、操作部24とを含む。半導体スイッチ20は、交流入力端子T21と交流出力端子T22との間に接続される。半導体スイッチ20は、例えば、逆並列に接続された一対のサイリスタを有するサイリスタスイッチである。半導体スイッチ20は、メインコントローラ80によって制御される。半導体スイッチ20は、インバータ給電モード時にオフされ、バイパス給電モード時にオンされる。
【0113】
操作部24は、無停電電源装置110のユーザによって操作される複数のボタン、種々の情報を表示するディスプレイなどを含む。ユーザが操作部24を操作することにより、無停電電源装置110の電源をオンおよびオフしたり、バイパス給電モードおよびインバータ給電モードのうちの何れか一方のモードを選択したりすることが可能となっている。
【0114】
また操作部24は、通信ネットワークNWに接続されており、通信ネットワークNWを介して無停電電源装置110の外部機器35との間でデータを遣り取りすることが可能となっている(図7参照)。外部機器35は、例えば、PCまたはサーバなどを含む。操作部24は、USBコネクタをさらに有していてもよい。この場合、操作部24は、USBコネクタを介して外部機器35との間でデータを遣り取りする。
【0115】
実施の形態1に係る無停電電源装置100(図1参照)と同様に、無停電電源装置110においても、ユーザが操作部24を直接操作することにより、または、ユーザが外部機器35を用いて操作部24を遠隔操作することにより、パワーモジュールPのコントローラ82の各々にインストールされたプログラムのアップデートの開始指令およびアップデート完了後のコントローラ82のリセット指令を実行することが可能となっている。
【0116】
パワーモジュールPは、電磁接触器S1~S3、コンデンサ1,5,10、リアクトル2,9、コンバータ4、直流ライン6、双方向チョッパ7、インバータ8、電流検出器13、およびコントローラ82を備える。
【0117】
電磁接触器S1およびリアクトル2は、交流入力端子T11とコンバータ4の入力ノードとの間に直列接続される。コンデンサ1は、電磁接触器S1とリアクトル2との間のノードN1に接続される。電磁接触器S1は、対応するパワーモジュールPが運転状態にされた場合にオンされ、対応するパワーモジュールPが停止状態にされた場合にオフされる。ノードN1に現れる交流入力電圧Viの瞬時値は、コントローラ82によって検出される。交流入力電圧Viの瞬時値に基づいて、停電の発生の有無などが判別される。
【0118】
コンデンサ1およびリアクトル2は、交流フィルタ3を構成する。交流フィルタ3は、低域通過フィルタであり、商用交流電源30からコンバータ4に商用周波数の交流電力を通過させ、コンバータ4で発生するスイッチング周波数の信号が商用交流電源30に通過することを防止する。
【0119】
コンバータ4は、コントローラ82によって制御され、商用交流電源30から交流電力が供給されている通常時は、交流電力を直流電力に変換して直流ライン6に出力する。商用交流電源30の停電時には、コンバータ4の運転は停止される。
【0120】
コンデンサ5は、直流ライン6に接続され、直流ライン6の電圧を平滑化させる。直流ライン6に現れる直流電圧VDの瞬時値は、コントローラ82によって検出される。直流ライン6は双方向チョッパ7の高電圧側ノードに接続され、双方向チョッパ7の低電圧側ノードは電磁接触器S2を介してバッテリ端子T12に接続される。
【0121】
電磁接触器S2は、対応するパワーモジュールPの使用時はオンされ、対応するパワーモジュールPおよび対応するバッテリ32のメンテナンス時にオフされる。バッテリ端子T12に現れるバッテリ32の端子間電圧VBの瞬時値は、コントローラ82によって検出される。
【0122】
双方向チョッパ7は、コントローラ82によって制御され、通常時は、コンバータ4によって生成された直流電力をバッテリ32に蓄え、商用交流電源30の停電時は、バッテリ32の直流電力を、直流ライン6を介してインバータ8に供給する。
【0123】
双方向チョッパ7は、直流電力をバッテリ32に蓄える場合は、直流ライン6の直流電圧VDを降圧してバッテリ32に与える。また、双方向チョッパ7は、バッテリ32の直流電力をインバータ8に供給する場合は、バッテリ32の端子間電圧VBを昇圧して直流ライン6に出力する。直流ライン6は、インバータ8の入力ノードに接続されている。
【0124】
インバータ8の出力ノードはリアクトル9の第1の端子に接続され、リアクトル9の第2の端子(ノードN2)は電磁接触器S3を介して交流出力端子T13に接続される。コンデンサ10は、ノードN2に接続される。ノードN2に現れる交流出力電圧Voの瞬時値は、コントローラ82によって検出される。電流検出器13は、ノードN2から電磁接触器S3を介して交流出力端子T13(すなわち負荷31)に流れる電流Ioの瞬時値を検出し、その検出値を示す信号Iofをコントローラ82に与える。
【0125】
リアクトル9およびコンデンサ10は、交流フィルタ11を構成する。交流フィルタ11は、低域通過フィルタであり、インバータ8で生成された商用周波数の交流電力を交流出力端子T13に通過させ、インバータ8で発生するスイッチング周波数の信号が交流出力端子T13に通過することを防止する。電磁接触器S3は、コントローラ82によって制御され、対応するパワーモジュールPが運転状態にされた場合にオンされ、対応するパワーモジュールPが停止状態にされた場合にオフされる。
【0126】
コントローラ82は、交流入力電圧Vi、直流電圧VD、バッテリ32の端子間電圧VB、交流出力電流Io、および交流出力電圧Voなどに基づいて、対応するパワーモジュールP全体を制御する。すなわち、コントローラ82は、交流入力電圧Viの検出値に基づいて停電が発生したか否かを検出し、交流入力電圧Viの位相に同期してコンバータ4およびインバータ8を制御する。
【0127】
また、コントローラ82は、通常時は、直流電圧VDが所望の目標電圧VDTになるようにコンバータ4を制御し、商用交流電源30の停電時は、コンバータ4の運転を停止させる。
【0128】
さらに、コントローラ82は、通常時は、バッテリ32の端子間電圧VBが所望の目標バッテリ電圧VBTになるように双方向チョッパ7を制御し、商用交流電源30の停電時は、直流電圧VDが所望の目標電圧VDTになるように双方向チョッパ7を制御する。
【0129】
また、コントローラ82は、メインコントローラ80および他のパワーモジュールPのコントローラ82と通信線15によって互いに接続され、通信線15を介してメインコントローラ80および他のコントローラ82と情報の授受を行う。メインコントローラ80および各コントローラ82間の通信方式として、シリアル通信方式が適用される。コントローラ82は、複数のパワーモジュールPの分担電流が等しくなるように、コンバータ4およびインバータ8を制御する。
【0130】
メインコントローラ80は、複数のパワーモジュールPからの信号などに基づいて、無停電電源装置110全体を制御する。各コントローラ82は、メインコントローラ80から与えられる制御指令に従って、対応するパワーモジュールPを制御する。
【0131】
具体的には、メインコントローラ80は、複数の電流検出器13の出力信号Iofに基づいて、複数のパワーモジュールPの出力電流Ioの和の電流すなわち負荷電流ILを求め、その負荷電流ILを供給するために必要なパワーモジュールPの適正運転台数を求める。さらに、メインコントローラ80は、求めた適正運転台数と現在の運転台数とを比較し、その比較結果に基づいて、各パワーモジュールPを運転状態にさせるか停止状態にさせるかを判別する。メインコントローラ80は、判別結果を示す信号を、通信線15を介して各コントローラ82に対して送信する。
【0132】
コントローラ82は、対応するパワーモジュールPを停止状態にさせる場合には、対応する電磁接触器S1,S3をオフさせるとともに、対応するコンバータ4、双方向チョッパ7およびインバータ8の運転を停止させる。またコントローラ82は、対応するパワーモジュールPを運転状態にさせる場合には、対応する電磁接触器S1,S3をオン状態に維持させるとともに、対応するコンバータ4、双方向チョッパ7およびインバータ8の運転を継続させる。
【0133】
図7は、メインコントローラ80およびコントローラ82の構成を示すブロック図である。図7を参照して、メインコントローラ80および複数のコントローラ82は、通信線15によって双方向に通信可能に接続されている。通信線15は、シリアル通信にて双方向にデータを転送するように構成される。図7の例では、メインコントローラ80および複数のコントローラ82は、デイジーチェーンで接続されている。なお、メインコントローラ80および複数のコントローラ82の接続態様はデイジーチェーンに限定されない。
【0134】
メインコントローラ80は、図2に示したメインコントローラ22と基本的構成が同じである。すなわち、メインコントローラ80は、プログラマブルデバイス40および通信I/F46を含む。
【0135】
複数のコントローラ82の各々は、図2に示したゲートドライバ66と基本的構成が同じである。すなわち、コントローラ82は、プログラマブルデバイス50および通信I/F56を含む。
【0136】
メインコントローラ80および各コントローラ82は、予めメモリに記憶されたプログラム(実行用プログラム)を実行することによって、互いに協働して対応するパワーモジュールPを制御する。
【0137】
メインコントローラ80は、送信信号T1を通信線15を介して各コントローラ82へ送信する。各コントローラ82は、送信信号T2を通信線15を介してメインコントローラ80へ送信する。無停電電源装置110の運用中、当該通信経路を用いてプログラマブルデバイス40とプログラマブルデバイス50との間で互いに実行用データを遣り取りすることにより、各パワーモジュールPを制御することができる。同様に、メインコントローラ80とプログラマブルデバイス50とは、通信線15を介して、プログラマブルデバイス50のアップデートのためのアップデート用データを遣り取りする。たとえば、パワーモジュールP1のプログラマブルデバイス50がアップデートされる場合は、パワーモジュールP1に対してアップデート用データが送信され、パワーモジュールP2のプログラマブルデバイス50がアップデートされる場合は、パワーモジュールP2に対してアップデート用データが送信される。
【0138】
図2図3を用いて説明したように、メモリ502は、実行用プログラム記憶領域522において実行用プログラムと、アップデート用プログラム記憶領域521においてアップデート用プログラムとを記憶している。プロセッサ500は、通信線15を介して実行用データを受信した場合、実行用データに基づき実行用プログラムを進行させる。プロセッサ500は、通信線15を介してアップデート用データを受信した場合、アップデート用データをメモリ502に書き込んでアップデート用プログラムのアップデートを進行させる。プロセッサ500は、アップデート用データのアップデートが完了した(指示情報が記憶された)後にプログラマブルデバイス50がリセットされた場合、実行用プログラムとアップデート用プログラムとを入れ替えて起動する。
【0139】
このように、実施の形態2に係るモジュール型無停電電源装置110において、無停電電源装置110は、複数のモジュール(パワーモジュールP)と、メインコントローラ80と、複数のコントローラ82と、通信線15とを備える。複数のモジュールは、負荷31に対して並列に接続される複数の電力変換モジュール(パワーモジュールP)を含む。メインコントローラ80および複数のコントローラ82は、通信線15によりデイジーチェーン接続を形成する。
【0140】
上記構成において、メインコントローラ80は、複数のパワーモジュールPを制御する。複数のコントローラ82は、各々がプログラマブルデバイス50を含み、メインコントローラ80との通信により複数のパワーモジュールPをそれぞれ駆動する。通信線15は、メインコントローラ80と複数のコントローラ82とを通信接続する。プログラマブルデバイス50は、メモリ502と、プロセッサ500とを含む。メモリ502は、実行用プログラムとアップデート用プログラムとを記憶する。プロセッサ500は、実行用プログラムを実行することにより、対応するパワーモジュールPを駆動する。メインコントローラ80は、通信線15を介して、プログラマブルデバイス50に、実行用データとアップデート用データとのいずれかを、実行用プログラムの実行中に送信可能である。実行用データは、実行用プログラムの実行に使用するデータである。アップデート用データは、アップデート用プログラムのアップデートに使用するデータである。プロセッサ500は、実行用データを受信した場合、実行用データに基づき実行用プログラムを進行させる。プロセッサ500は、アップデート用データを受信した場合、アップデート用データをメモリ502に書き込んでアップデート用プログラムのアップデートを進行させる。プロセッサ500は、アップデート用プログラムのアップデートが完了した後にプログラマブルデバイス50がリセットされた場合、実行用プログラムを終了してアップデート用プログラムを実行用プログラムとして起動する。
【0141】
実施の形態2に係るモジュール型の無停電電源装置110においても、上述した実施の形態1に係る無停電電源装置100と同様の効果を得ることができる。すなわち、共通化された通信線15を用いて、実行用データによりパワーモジュールPの制御(実行用プログラムの実行)を継続しつつも、並行して、アップデート用プログラムによりアップデート用プログラムのアップデートを実行することができる。アップデートの完了後にこれらのプログラムを入れ替えて起動する。これにより、無停電電源装置110の動作を停止させる期間を短縮することができる。特に、通信線15を介してすべてのプログラマブルデバイス50のプログラムを書き換えた後、ユーザ操作によりすべてのプログラマブルデバイス50を同時にリセットすれば、無停電電源装置100の動作を停止させる期間をさらに短縮することができる。これにより、簡素化された構成で、すべてのコントローラを効率的にアップデートすることが可能となる。
【0142】
加えて、モジュール型の無停電電源装置110による電源供給に(n-1)台のパワーモジュールが必要である場合に、n台のパワーモジュール(パワーモジュールP1~Pn)を実装するなどして、冗長化を図っている場合、無停電電源装置110の動作を停止させることなく、すべてのアップデートおよびリセットを完了させることができる。たとえば、通信線15を介してすべてのプログラマブルデバイス50を書き換えた後、まず、パワーモジュールP1以外のパワーモジュールP2~Pnにより電源供給を行いながら、パワーモジュールP1のプログラマブルデバイス50をリセットする。次に、パワーモジュールP2以外のパワーモジュールP1,P3~Pnによる電源供給に切り替えて、パワーモジュールP2のプログラマブルデバイス50をリセットする。同様にして、以降、パワーモジュールP3~Pnのプログラマブルデバイス50を順次リセットしていく。このようにすれば、無停電電源装置110の動作を停止させる必要がなくなる。
【0143】
また、プログラマブルデバイス50のアップデートの際にリセット操作が必要となる場合であっても、通信線15を介してリセット指令データを送信することでプログラマブルデバイス50をリセット可能に構成することで、人の手によるリセット操作あるいはリセット信号を送信するための送信線を別途設置する必要がない。これにより、簡素化された構成で、すべてのコントローラを効率的にアップデートすることが可能となる。
【0144】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0145】
1,5,10 コンデンサ、2,9 リアクトル、3,11 交流フィルタ、4 コンバータ、6 直流ライン、7 双方向チョッパ、8 インバータ、12,13 電流検出器、82 コントローラ、22,80 メインコントローラ、15 通信線、20 半導体スイッチ、24 操作部、30 商用交流電源、31 負荷、32 バッテリ、33 バイパス交流電源、35 外部機器、40,50 プログラマブルデバイス、46,56 シリアル通信I/F、60,62,64 検出器、66,68,70 ゲートドライバ、72 スイッチI/F、100,110 無停電電源装置、400,500 プロセッサ、402 メモリ、460,562 ドライバ、406 通信I/F、404 I/O回路、462,560 レシーバ、502 メモリ、520 プログラム記憶領域、521 アップデート用プログラム記憶領域、522 実行用プログラム記憶領域、524 指示情報記憶領域、B0 バイパスモジュール、P1~Pn パワーモジュール、S1~S4 電磁接触器、Fu アップデートモード移行フラグ、T11,T21 交流入力端子、T12 バッテリ端子、T13,T22 交流出力端子、NW 通信ネットワーク。
【要約】
プロセッサ(500)は、実行用データを受信した場合、実行用データに基づき実行用プログラムを進行させる。プロセッサ(500)は、アップデート用データを受信した場合、アップデート用データをメモリ(502)に書き込んでアップデート用プログラムのアップデートを進行させる。プロセッサ(500)は、アップデート用プログラムのアップデートが完了した後にプログラマブルデバイス(50)がリセットされた場合、実行用プログラムを終了してアップデート用プログラムを実行用プログラムとして起動する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7