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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】遮光装置および測定装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/04 20060101AFI20240910BHJP
   A61B 5/0285 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G02B26/04
A61B5/0285 H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023564369
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 JP2021044283
(87)【国際公開番号】W WO2023100322
(87)【国際公開日】2023-06-08
【審査請求日】2024-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000116633
【氏名又は名称】愛知時計電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関谷 涼花
(72)【発明者】
【氏名】平 英路
(72)【発明者】
【氏名】五明 智夫
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-338137(JP,A)
【文献】特開2010-097003(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0225462(US,A1)
【文献】特開2002-065645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/04
A61B 5/0285
G01N 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並行して進行する第1レーザー光と第2レーザー光とを遮光する遮光装置であって、
前記第1レーザー光と前記第2レーザー光との間に回転軸が配置され、前記第1レーザー光と前記第2レーザー光とを横切るように配置された回転体を備え、
前記回転体は、
前記回転体が回転しているときに前記第1レーザー光を遮光する一方で前記第2レーザー光を遮光しない第1部分と、
前記回転体が回転しているときに前記第2レーザー光を遮光する一方で前記第1レーザー光を遮光しない第2部分と、
前記回転体が回転しているときに前記第1レーザー光と前記第2レーザー光との両方を遮光しない第3部分と、を備え、
前記回転体の回転により前記第1部分が前記第1レーザー光と前記第2レーザー光とを通過した後に前記第2部分または前記第3部分が前記第1レーザー光と前記第2レーザー光とを通過し、
前記回転体の回転により前記第2部分が前記第1レーザー光と前記第2レーザー光とを通過した後に前記第1部分または前記第3部分が前記第1レーザー光と前記第2レーザー光とを通過し、
前記回転体の回転により前記第3部分が前記第1レーザー光と前記第2レーザー光とを通過した後に前記第1部分または前記第2部分が前記第1レーザー光と前記第2レーザー光とを通過するように構成されている、遮光装置。
【請求項2】
前記回転体は、前記回転体の回転方向に間隔をあけて配置されている複数の遮光部を備え、
前記遮光部は、前記回転体が回転しているときに前記第1レーザー光または前記第2レーザー光を遮光し、
複数の前記遮光部のうち、前記回転方向に第1の間隔をあけて配置されている2個の前記遮光部の重量の合計が、前記回転方向に前記第1の間隔よりも広い第2の間隔をあけて配置されている2個の前記遮光部の重量の合計よりも軽い、請求項1に記載の遮光装置。
【請求項3】
前記第1の間隔をあけて配置されている2個の前記遮光部の重心位置は、前記回転方向に60°離間しており、
前記第2の間隔をあけて配置されている2個の前記遮光部の重心位置は、前記回転方向に120°離間している、請求項2に記載の遮光装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の遮光装置と、
前記第1レーザー光および/または前記第2レーザー光が体内を流れる血液に当たることによって生じる散乱光を受光し、受光した前記散乱光に応じた信号を出力する受光装置と、
前記受光装置が出力した信号に基づいて前記第1レーザー光および/または前記第2レーザー光が当たっている前記血液の流速を特定する処理装置と、を備える測定装置。
【請求項5】
前記処理装置は、前記回転体の前記第1部分が前記第1レーザー光を遮光する一方で前記第2レーザー光を遮光しないときに前記受光装置が出力する第1信号と、前記回転体の前記第2部分が前記第2レーザー光を遮光する一方で前記第1レーザー光を遮光しないときに前記受光装置が出力する第2信号と、前記回転体の前記第3部分が前記第1レーザー光と前記第2レーザー光との両方を遮光しないときに前記受光装置が出力する第3信号と、に基づいて前記血液の流速を特定する、請求項4に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、遮光装置および測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1遮光装置と第2遮光装置が開示されている。第1遮光装置は、血液に向けて進行する第1レーザー光を遮光する。第2遮光装置は、第1レーザー光と並行して血液に向けて進行する第2レーザー光を遮光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-188916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、2つの遮光装置が用いられるので、それらを同期させることが難しい。本明細書では、第1レーザー光と、第2レーザー光と、その両方とを照射対象に順序良く照射することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示する遮光装置は、並行して進行する第1レーザー光と第2レーザー光とを遮光する。遮光装置は、前記第1レーザー光と前記第2レーザー光との間に回転軸が配置され、前記第1レーザー光と前記第2レーザー光とを横切るように配置された回転体を備えている。前記回転体は、前記回転体が回転しているときに前記第1レーザー光を遮光する一方で前記第2レーザー光を遮光しない第1部分と、前記回転体が回転しているときに前記第2レーザー光を遮光する一方で前記第1レーザー光を遮光しない第2部分と、前記回転体が回転しているときに前記第1レーザー光と前記第2レーザー光との両方を遮光しない第3部分と、を備え、前記回転体の回転により前記第1部分が前記第1レーザー光と前記第2レーザー光とを通過した後に前記第2部分または前記第3部分が前記第1レーザー光と前記第2レーザー光とを通過し、前記回転体の回転により前記第2部分が前記第1レーザー光と前記第2レーザー光とを通過した後に前記第1部分または前記第3部分が前記第1レーザー光と前記第2レーザー光とを通過し、前記回転体の回転により前記第3部分が前記第1レーザー光と前記第2レーザー光とを通過した後に前記第1部分または前記第2部分が前記第1レーザー光と前記第2レーザー光とを通過するように構成されている。
【0006】
この構成によれば、第1レーザー光と第2レーザー光のうち、第1レーザー光のみが遮光される状態(第2レーザー光が遮光装置を通過する状態)と、第2レーザー光のみが遮光される状態(第1レーザー光が遮光装置を通過する状態)と、第1レーザー光と第2レーザー光との両方が遮光されない状態(両方が遮光装置を通過する状態)と、を順序良く切り替えることができる。これにより、第1レーザー光と、第2レーザー光と、その両方とを照射対象に順序良く照射することができる。
【0007】
前記回転体は、前記回転体の回転方向に間隔をあけて配置されている複数の遮光部を備えていてもよい。前記遮光部は、前記回転体が回転しているときに前記第1レーザー光または前記第2レーザー光を遮光してもよい。複数の前記遮光部のうち、前記回転方向に第1の間隔をあけて配置されている2個の前記遮光部の重量の合計が、前記回転方向に前記第1の間隔よりも広い第2の間隔をあけて配置されている2個の前記遮光部の重量の合計よりも軽くてもよい。
【0008】
この構成によれば、回転体の重量のバランスが良くなり、回転体がバランス良く回転する。
【0009】
前記第1の間隔をあけて配置されている2個の前記遮光部の重心位置は、前記回転方向に60°離間していてもよい。前記第2の間隔をあけて配置されている2個の前記遮光部の重心位置は、前記回転方向に120°離間していてもよい。
【0010】
この構成によれば、回転体の回転方向における重量のバランスが更に良くなる。
【0011】
本明細書に開示する測定装置は、上記のいずれか一項に記載の遮光装置と、前記第1レーザー光および/または前記第2レーザー光が体内を流れる血液に当たることによって生じる散乱光を受光し、受光した前記散乱光に応じた信号を出力する受光装置と、前記受光装置が出力した信号に基づいて前記第1レーザー光および/または前記第2レーザー光が当たっている前記血液の流速を特定する処理装置と、を備えていてもよい。
【0012】
この構成によれば、血液の流速を精度良く測定することができる。
【0013】
前記処理装置は、前記回転体の前記第1部分が前記第1レーザー光を遮光する一方で前記第2レーザー光を遮光しないときに前記受光装置が出力する第1信号と、前記回転体の前記第2部分が前記第2レーザー光を遮光する一方で前記第1レーザー光を遮光しないときに前記受光装置が出力する第2信号と、前記回転体の前記第3部分が前記第1レーザー光と前記第2レーザー光との両方を遮光しないときに前記受光装置が出力する第3信号と、に基づいて前記血液の流速を特定してもよい。
【0014】
この構成によれば、第1信号と第2信号と第3信号を用いることにより、血液の流速を更に精度良く測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例の測定装置を模式的に示す図。
図2】実施例の回転体を回転軸方向に視た断面図(1)。
図3】実施例の回転体を回転軸方向に視た断面図(2)。
図4】実施例の回転体を回転軸方向に視た断面図(3)。
図5】実施例の回転体の回転角度と、レーザー光の遮光状態との関係を示す表。
図6】実施例の測定装置のブロック図。
図7】周波数スペクトルの一例を示す図。
図8】変形例1の測定装置を模式的に示す図。
図9】変形例2の回転体を回転軸方向に視た断面図。
図10】変形例3の回転体を回転軸方向に視た断面図。
図11】変形例4の回転体を回転軸方向に視た断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施例の測定装置1と遮光装置5について図面を参照して説明する。図1に示すように、実施例の測定装置1は、例えば、ユーザー(例えば、医師)の操作により人体Bの一部(例えば、患者の腕、脚、胴等)に適用される。測定装置1が適用される人の体内101には複数の血管103(例えば、動脈、静脈、毛細血管等)が存在しており、複数の血管103に血液が流れている。例えば、体内101の動脈には人の心臓から送り出された血液が流れており、静脈には心臓に送り戻される血液が流れている。また、毛細血管には、動脈から流れ出した血液、または、静脈に流れ込む血液が流れている。測定装置1は、体内101の血管103を流れる血液の流速や流量を測定することができる。なお、測定装置1は、人以外の動物に適用されてもよい。
【0017】
実施例の測定装置1は、筐体8と、照射装置2と、受光装置3と、処理装置9と、表示装置4とを備えている。照射装置2は、筐体8の内部に配置されている。受光装置3と処理装置9と表示装置4は、筐体8の外部に配置されている。他の実施例では、受光装置3と処理装置9と表示装置4が筐体8の内部に配置されていてもよい。
【0018】
筐体8は、本体部材80と先端部材81を備えている。本体部材80は、測定装置1のユーザー(例えば、医師)が把持する部分である。先端部材81は、測定装置1が人体Bに適用される際に、人体Bの表面102(皮膚)に押し当てられる部分である。先端部材81の端面が人体Bの表面102に密着する。先端部材81は、例えば、薄い板状の部材で構成されている。先端部材81には開口部82が形成されている。
【0019】
筐体8の内部に配置されている照射装置2は、人の体内101に向けて第1レーザー光L1と第2レーザー光L2とを照射する装置である。第1レーザー光L1と第2レーザー光L2とは、互いに交差する方向に進行する。第1レーザー光L1と第2レーザー光L2とが交差する点を交差点10と呼ぶ。第1レーザー光L1と第2レーザー光L2とは、互いに並行(平行ではない)して進行し、筐体8の開口部82を通過する。
【0020】
照射装置2は、発光素子21と、コリメーターレンズ22と、回折格子23と、移動装置25と、第1ミラー41と、第2ミラー42と、遮光装置5とを備えている。発光素子21は、例えば、レーザーダイオード(LD)である。発光素子21は、コリメーターレンズ22と対向するように配置されている。発光素子21は、コリメーターレンズ22に向けてレーザー光Lを発光する。発光素子21が発光したレーザー光Lがコリメーターレンズ22に入射する。発光素子21は、回折格子23と第1ミラー41および第2ミラー42との間に配置されている。発光素子21は、第1ミラー41および第2ミラー42が配置されている方向とは反対側にレーザー光Lを発光する。レーザー光Lは、例えば、波長が850nm-1300nm程度の近赤外線光である。
【0021】
コリメーターレンズ22は、発光素子21と回折格子23の間に配置されている。コリメーターレンズ22は、発光素子21が発光したレーザー光Lを平行光にして出射する。コリメーターレンズ22から出射したレーザー光L(平行光)は、回折格子23に入射する。
【0022】
回折格子23は、光の回折を利用して回折格子23に入射したレーザー光Lを第1レーザー光L1と第2レーザー光L2とに分光する装置である。回折格子23は、反射型の回折格子である。回折格子23に入射したレーザー光Lが回折格子23で反射するときに第1レーザー光L1と第2レーザー光L2とに分かれる。回折格子23によって生じた第1レーザー光L1と第2レーザー光L2とは、互いに異なる方向に進行する。第1レーザー光L1と第2レーザー光L2とは、発光素子21とコリメーターレンズ22とを結ぶ線に関して線対称になるように進行する。図1に示す例では、第1レーザー光L1が右斜め上方に向かって進行し、第2レーザー光L2が左斜め上方に向かって進行する。第1レーザー光L1が第1ミラー41に向かって進行し、第2レーザー光L2が第2ミラー42に向かって進行する。第1レーザー光L1の波長と第2レーザー光L2の波長とは同じ波長である。また、第1レーザー光L1の周波数と第2レーザー光L2の周波数とは同じ周波数である。
【0023】
移動装置25は、回折格子23を移動させる装置である。回折格子23は可動式である。移動装置25は、例えば、機械式の装置であり、測定装置1のユーザー(例えば医師)がボルト251を回すことによって回折格子23を図1の上下方向に移動させることができる。移動装置25は手動式でも自動式でもよい。移動装置25が回折格子23を移動させることによって、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2の照射位置を移動させることができる。移動装置25は、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2の照射位置を移動させることによって、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2との交差点10の位置を移動させることができる。また、移動装置25は、リニアエンコーダ252を備えている。リニアエンコーダ252は、移動距離を測定する装置である。移動装置25は、リニアエンコーダ252によって交差点10を移動させた距離を特定することができる。移動装置25は、交差点10を移動させた距離の情報を処理装置9へ送信する。
【0024】
第1ミラー41と第2ミラー42とは、回折格子23と遮光装置5との間に配置されている。第1ミラー41と第2ミラー42とは、互いに向かい合っている。回折格子23によって生じた第1レーザー光L1は、第1ミラー41に入射してそこで反射する。また、回折格子23によって生じた第2レーザー光L2は、第2ミラー42に入射してそこで反射する。
【0025】
第1ミラー41で反射した第1レーザー光L1は、第1方向D1に進行する。第2ミラー42で反射した第2レーザー光L2は、第2方向D2に進行する。第1方向D1と第2方向D2は、互いに交差する方向である。第1レーザー光L1と第2レーザー光L2は、筐体8の先端部材81の開口部82を通過して筐体8から出射する。筐体8から出射した第1レーザー光L1と第2レーザー光L2は、それぞれ、人の体内101に入射する。第1方向D1に進行する第1レーザー光L1と第2方向D2に進行する第2レーザー光L2とは、交差点10で交差する。第1レーザー光L1と第2レーザー光L2は、互いに重なり合って干渉する。
【0026】
遮光装置5は、第1ミラー41および第2ミラー42と、筐体8の先端部材81との間に配置されている。遮光装置5は、交差点10に向けて進行する第1レーザー光L1と第2レーザー光L2を遮光する。遮光装置5は、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2の進路上に配置されている回転体50を備えている。回転体50は、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2を横切るように配置されている。回転体50は、モーター駆動により時計回りまたは反時計回りに所定の回転速度で回転する。
【0027】
図2から図4に示すように、回転体50の回転軸52は、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2の間に配置されている。回転軸52は、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2を結んだ線の略中点に位置している。第1レーザー光L1と第2レーザー光L2は、回転軸52に関して対称の位置で進行する。
【0028】
回転体50は、レーザー光を遮光する複数(本実施例では4個)の遮光部60と、レーザー光を遮光しない複数(本実施例では8個)の非遮光部62とを備えている。複数の遮光部60は、回転体50の回転方向に間隔をあけて並んで配置されている。複数の遮光部60は、回転体50の回転方向に分散して配置されている。複数の遮光部60は、回転体50の回転軸52に固定されており、放射状に延びている。各遮光部60は、扇状の羽根で構成されており、回転体50の径方向外側に向かうに従って拡開している。各遮光部60は、回転体50の回転方向において略30°にわたり延びている。回転体50を回転軸方向に視たときに、複数の遮光部60の形状、大きさ、および長さは、略同じである。各遮光部60は、回転体50が回転しているときに、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2を横切るように通過することにより、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2を遮光する。
【0029】
複数の遮光部60のうち、第1の遮光部601と第2の遮光部602は、回転軸52を中心にして、回転体50の回転方向に30°の間隔(第1の間隔の一例)をあけて配置されている。第1の遮光部601の重心位置G1と第2の遮光部602の重心位置G2とは、回転体50の回転方向に60°離間している。第2の遮光部602と第3の遮光部603は、回転軸52を中心にして、回転体50の回転方向に60°の間隔をあけて配置されている。第2の遮光部602の重心位置G2と第3の遮光部603の重心位置G4とは、回転体50の回転方向に90°離間している。第3の遮光部603と第4の遮光部604は、回転軸52を中心にして、回転体50の回転方向に90°の間隔(第2の間隔の一例)をあけて配置されている。第3の遮光部603の重心位置G3と第4の遮光部604の重心位置G4とは、回転体50の回転方向に120°離間している。第4の遮光部604と第1の遮光部601は、回転軸52を中心にして、回転体50の回転方向に60°の間隔をあけて配置されている。第4の遮光部604の重心位置G4と第1の遮光部601の重心位置G1とは、回転体50の回転方向に90°離間している。
【0030】
また、第1の遮光部601の重量をM1、第2の遮光部602の重量をM2、第3の遮光部603の重量をM3、第4の遮光部604の重量をM4とすると、M1=M2であり、M3=M4である。また、M3=M4=1.73M1=1.73M2である。第1の遮光部601の重量と第2の遮光部602の重量との合計(M1+M2)は、第3の遮光部603の重量と第4の遮光部604の重量との合計(M3+M4)よりも軽い。これにより、図4に示すx軸とy軸を仮定した場合に、x軸を中心としたモーメント、および、y軸を中心としたモーメントのバランスが良くなる。
【0031】
また、回転軸52の軸方向における第1の遮光部601の厚さをT1、第2の遮光部602の厚さをT2、第3の遮光部603の厚さをT3、第4の遮光部604の厚さをT4とすると、T1=T2であり、T3=T4である。また、T3=T4=1.73T1=1.73T2である。なお、複数の遮光部60の重量と厚さは、特に限定されるものではない。また、複数の遮光部60の配置位置も限定されない。
【0032】
回転体50の複数の非遮光部62は、回転体50の回転方向に並んでいる。回転体50の遮光部60と遮光部60の間に1または複数の非遮光部62が配置されている。各非遮光部62は、扇状に構成されており、回転体50の径方向外側に向かうに従って拡開している。各非遮光部62は、回転体50の回転方向において略30°にわたり延びている。回転体50を回転軸方向に視たときに、複数の非遮光部62の形状、大きさ、および長さは、略同じである。各非遮光部62は、回転体50が回転しているときに、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2を横切るように通過する。非遮光部62は、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2を遮光しない。すなわち、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2は、非遮光部62を通過する。
【0033】
回転体50は、複数の第1部分54と、複数の第2部分56と、複数の第3部分58とを備えている。図2に示すように、第1部分54は、第1レーザー光L1を遮光する遮光部60と、第2レーザー光L2を遮光しない非遮光部62とを備えている。図2は、回転体50の回転中に、第1レーザー光L1が遮光され、第2レーザー光L2が遮光されないときの図である。第1部分54の遮光部60と非遮光部62は、回転軸52に関して対称の位置に配置されている。回転軸52を挟んで回転軸52の両側に遮光部60と非遮光部62が配置されている。第1部分54は、回転体50が回転しているときに、第1レーザー光L1を遮光する一方で第2レーザー光L2を遮光しない。回転体50が回転することにより、第1部分54が第1レーザー光L1と第2レーザー光L2を横切るように通過する。これにより、第1部分54の遮光部60が第1レーザー光L1を遮光する。第1部分54の非遮光部62は第2レーザー光L2を遮光しない。第2レーザー光L2は第1部分54の非遮光部62を通過する。
【0034】
図3に示すように、第2部分56は、第2レーザー光L2を遮光する遮光部60と、第1レーザー光L1を遮光しない非遮光部62とを備えている。図3は、回転体50の回転中に、第2レーザー光L2が遮光され、第1レーザー光L1が遮光されないときの図である。第2部分56の遮光部60と非遮光部62は、回転軸52に関して対称の位置に配置されている。回転軸52を挟んで回転軸52の両側に遮光部60と非遮光部62が配置されている。第2部分56は、回転体50が回転しているときに、第2レーザー光L2を遮光する一方で第1レーザー光L1を遮光しない。回転体50が回転することにより、第2部分56が第1レーザー光L1と第2レーザー光L2を横切るように通過する。これにより、第2部分56の遮光部60が第2レーザー光L2を遮光する。第2部分56の非遮光部62は第1レーザー光L1を遮光しない。第1レーザー光L1は第2部分56の非遮光部62を通過する。
【0035】
図4に示すように、第3部分58は、一対の非遮光部62を備えている。図4は、回転体50の回転中に、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2との両方が遮光されないときの図である。第3部分58の一対の非遮光部62は、回転軸52に関して対称の位置に配置されている。回転軸52を挟んで回転軸52の両側に一対の非遮光部62が配置されている。第3部分58は、回転体50が回転しているときに、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2の両方を遮光しない。回転体50が回転することにより、第3部分58が第1レーザー光L1と第2レーザー光L2を横切るように通過する。このとき、第3部分58の一対の非遮光部62は、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2の両方を遮光しない。第1レーザー光L1と第2レーザー光L2は、第3部分58の一対の非遮光部62を通過する。
【0036】
回転体50の第1部分54は、回転体50の回転方向において第3部分58と隣接し、回転方向と反対方向において第2部分56と隣接している。第1部分54は、第3部分58と第2部分56の間に配置されている。回転体50の回転方向と反対方向に順に第3部分58と第1部分54と第2部分56が並んでいる。回転体50が時計回りに回転すると、第3部分が第1レーザー光L1と第2レーザー光L2を通過した後に、第1部分が第1レーザー光L1と第2レーザー光L2を通過し、その後に第2部分が第1レーザー光L1と第2レーザー光L2を通過する。変形例では、第1部分54は、回転体50の回転方向において第2部分56と隣接し、回転方向と反対方向において第3部分58と隣接していてもよい。変形例では、第2部分が第1レーザー光L1と第2レーザー光L2を通過した後に、第1部分が第1レーザー光L1と第2レーザー光L2を通過し、その後に第3部分が第1レーザー光L1と第2レーザー光L2を通過する。
【0037】
第2部分56は、回転体50の回転方向において第1部分54と隣接し、回転方向と反対方向において第3部分58と隣接している。第2部分56は、第1部分54と第3部分58の間に配置されている。回転体50の回転方向と反対方向に順に第1部分54と第2部分56と第3部分58が並んでいる。回転体50が時計回りに回転すると、第1部分が第1レーザー光L1と第2レーザー光L2を通過した後に、第2部分が第1レーザー光L1と第2レーザー光L2を通過し、その後に第3部分が第1レーザー光L1と第2レーザー光L2を通過する。変形例では、第2部分56は、回転体50の回転方向において第3部分58と隣接し、回転方向と反対方向において第1部分54と隣接していてもよい。変形例では、第3部分が第1レーザー光L1と第2レーザー光L2を通過した後に、第2部分が第1レーザー光L1と第2レーザー光L2を通過し、その後に第1部分が第1レーザー光L1と第2レーザー光L2を通過する。
【0038】
第3部分58は、回転体50の回転方向において第1部分54または第2部分56と隣接し、回転方向と反対方向において第1部分54または第2部分56と隣接している。回転体50が時計回りに回転すると、第1部分または第2部分56が第1レーザー光L1と第2レーザー光L2を通過した後に、第3部分が第1レーザー光L1と第2レーザー光L2を通過する。また、回転体50が時計回りに回転すると、第3部分が第1レーザー光L1と第2レーザー光L2を通過した後に、第1部分54または第2部分が第1レーザー光L1と第2レーザー光L2を通過する。
【0039】
上記のように、回転体50が回転すると、第1部分54と第2部分56と第3部分58が、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2を順序良く通過する。これにより、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2が順序良く遮光される。
【0040】
図5は、回転体50の回転角度と、第1レーザー光L1および第2レーザー光L2の遮光状態との関係を示す表である。回転体50の回転角度は、図2に示す状態が0°であり、図3に示す状態が30°であり、図4に示す状態が60°であると仮定する。図5では、レーザー光が遮光されている状態が「×」で示され、レーザー光が遮光されていない状態が「〇」で示されている。すなわち、レーザー光が回転体50を通過しない状態が「×」で示され、レーザー光が回転体50を通過する状態が「〇」で示されている。図5に示すように、回転体50が回転すると、第1レーザー光L1および第2レーザー光L2の遮光状態/非遮光状態が順序良く切り替わる。すなわち、第1レーザー光L1が遮光される状態(第2レーザー光L2が遮光されない状態)と、第2レーザー光L2が遮光される状態(第1レーザー光L1が遮光されない状態)と、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2の両方が遮光されない状態とが順序良く切り替わる。
【0041】
測定装置1(図1参照)において、第1レーザー光L1が遮光される状態(第2レーザー光L2が遮光されない状態)では、第2レーザー光L2が人の体内101に入射する。また、第2レーザー光L2が遮光される状態(第1レーザー光L1が遮光されない状態)では、第1レーザー光L1が人の体内101に入射する。第1レーザー光L1と第2レーザー光L2の両方が遮光されない状態では、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2の両方が人の体内101に入射する。
【0042】
人の体内101に入射した第1レーザー光L1と第2レーザー光L2が体内101を流れる血液に当たると、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2とが散乱する。より詳細には、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2とが血液に含まれている粒子(例えば赤血球)に当たることによって散乱する。第1レーザー光L1と第2レーザー光L2とは、互いに異なる方向から血液に当たる。第1レーザー光L1は、第1方向D1に進行して血液に当たる。第2レーザー光L2は、第2方向D2に進行して血液に当たる。第1レーザー光L1と第2レーザー光L2とが体内101を流れる血液に当たることによって、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2とが散乱して散乱光が生じる。第1レーザー光L1と第2レーザー光L2とが血液に当たって散乱するときに、ドップラーシフトによって各レーザー光L1、L2の周波数が変化する。各レーザー光L1、L2の散乱によって生じる散乱光の周波数は、各レーザー光L1、L2の各周波数とは異なる周波数である。各レーザー光L1、L2の散乱によって生じる散乱光は様々な方向に進行する。各レーザー光L1、L2の散乱によって生じた散乱光のうち、受光装置3に向かって進行する散乱光Pを受光装置3が受光する。
【0043】
受光装置3は、人体Bと対向するように配置されている。受光装置3は、遮光性の箱体38と、箱体38の内部に配置されている受光素子31とを備えている。受光装置3は、箱体38に固定されている筒体34を備えている。受光素子31は、例えばフォトダイオード(PD)である。箱体38には、散乱光Pが通過する光通過孔35が形成されている。各レーザー光L1、L2の散乱によって生じた散乱光のうち、受光装置3に向かって進行する散乱光Pが筒体34の内部と光通過孔35を通過する。光通過孔35を通過した散乱光Pが受光素子31に入射する。受光素子31は、散乱光Pを受光すると、その散乱光Pの強さに応じた電圧信号を出力する。散乱光Pの強さに応じた電圧信号が受光素子31から処理装置9に送信される。変形例では、受光素子31は、電圧信号に代えて電流信号を出力してもよい。
【0044】
図6に示すように、処理装置9は、照射装置2の発光素子21と、受光装置3の受光素子31とに電気的に接続されている。処理装置9は、発光素子21が発光するレーザー光Lと、受光素子31が受光する散乱光Pに基づいて、人の体内101を流れる血液の流速を演算する。処理装置9は、ドップラーシフトに基づく演算方法によって血液の流速を演算する。より詳細には、処理装置9は、血液に含まれている粒子(例えば赤血球)の速度を演算する。血液の流速の演算方法については後述する。
【0045】
また、処理装置9は、移動装置25と表示装置4に電気的に接続されている。処理装置9は、移動装置25から受信する情報に基づいて、移動装置25が回折格子23を移動させた距離を特定する。すなわち、処理装置9は、移動装置25が第1レーザー光L1と第2レーザー光L2との交差点10を移動させた距離を特定する。表示装置4は、例えば液晶モニタである。表示装置4には、例えば、人の体内101を流れる血液の流速や交差点10が移動した距離等が表示される。また、処理装置9は、遮光装置5に接続されている。処理装置9は、遮光装置5の動作を制御する。例えば、処理装置9は、遮光装置5の回転体50の回転速度を制御する。
【0046】
次に、血液の流速の演算方法について説明する。上記の測定装置1では、処理装置9が、受光素子31から電圧信号を受信する。処理装置9は、遮光装置5の第1部分54が第1レーザー光L1を遮光する一方で第2レーザー光L2を遮光しないときに受光素子31が出力する第1電圧信号S1と、遮光装置5の第2部分56が第2レーザー光L2を遮光する一方で第1レーザー光L1を遮光しないときに受光素子31が出力する第2電圧信号S2と、遮光装置5の第3部分58が第1レーザー光L1と第2レーザー光L2との両方を遮光しないときに受光素子31が出力する第3電圧信号S3と、を受信する。第1電圧信号S1は、第2レーザー光L2が血液に照射されている一方で第1レーザー光L1が血液に照射されていないときの信号である。また、第2電圧信号S2は、第1レーザー光L1が血液に照射されている一方で第2レーザー光L2が血液に照射されていないときの信号である。第3電圧信号S3は、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2との両方が血液に照射されているときの信号である。
【0047】
処理装置9は、受光素子31から第1電圧信号S1、第2電圧信号S2、および、第3電圧信号S3を受信すると、それらを、それぞれ、例えば0.06秒の間隔でサンプリングする。続いて、処理装置9は、サンプリングした第1電圧信号S1、第2電圧信号S2、および、第3電圧信号S3のそれぞれをフーリエ変換する。処理装置9は、例えばFFT(高速フーリエ変換)アナライザーによってフーリエ変換を実行することができる。フーリエ変換は、時間の関数を周波数の関数に変換することができる手法である。フーリエ変換については、よく知られているので詳細な説明を省略する。処理装置9は、フーリエ変換を実行することにより周波数スペクトルを生成する。また、処理装置9は、生成した周波数スペクトルをデシベル換算する。デシベル換算された周波数スペクトルは、例えば図7に示すように、周波数と電圧レベルの関係で示される。
【0048】
続いて、処理装置9は、第1電圧信号S1、第2電圧信号S2、および、第3電圧信号S3のそれぞれについて、周波数スペクトルにおけるピーク周波数fp(第1ピーク周波数fp1、第2ピーク周波数fp2、および、第3ピーク周波数fp3)を検出する。ピーク周波数fpは、周波数スペクトルにおいて最も突出している電圧レベルに対応する周波数である。また、その近傍の周波数をピーク周波数fpとしてもよい。
【0049】
続いて、処理装置9は、第1ピーク周波数fp1、第2ピーク周波数fp2、および、第3ピーク周波数fp3に基づいて、合成ピーク周波数fpxを演算する。処理装置9は、例えば、下記の式(1)によって合成ピーク周波数fpxを演算する。なお、合成ピーク周波数fpxの演算方法については特に限定されない。
【0050】
【数1】
【0051】
続いて、処理装置9は、合成ピーク周波数fpxに基づいて血液の流速を特定する。処理装置9は、例えば、下記の式(2)によって血液の流速を演算する。下記の式(2)において、vは、血液の流速である。また、λは、第1レーザー光L1および第2レーザー光L2の波長である。また、θは、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2との交差角度の1/2の角度である(図1参照)。処理装置9は、下記の式(2)によって、第1レーザー光L1および/または第2レーザー光L2が照射される血液の流速を特定することができる。なお、処理装置9は、他の演算方法によって血液の流速を特定してもよい。演算方法は特に限定されない。
【0052】
【数2】
【0053】
以上、実施例の測定装置1および遮光装置5について説明した。上記の説明から明らかなように、遮光装置5は、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2とを横切るように配置された回転体50を備えている。回転体50の回転軸52は、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2の間に配置されている。回転体50は、回転しているときに、第1レーザー光L1を遮光する一方で第2レーザー光L2を遮光しない第1部分54と、第2レーザー光L2を遮光する一方で第1レーザー光L1を遮光しない第2部分56と、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2との両方を遮光しない第3部分58とを備えている。回転体50は、時計回りに回転しているときに、第1部分54が第1レーザー光L1と第2レーザー光L2とを通過した後に第2部分56が第1レーザー光L1と第2レーザー光L2とを通過し、第2部分56が第1レーザー光L1と第2レーザー光L2とを通過した後に第3部分58が第1レーザー光L1と第2レーザー光L2とを通過し、第3部分58が第1レーザー光L1と第2レーザー光L2とを通過した後に第1部分54または第2部分56が第1レーザー光L1と第2レーザー光L2とを通過するように構成されている。
【0054】
この構成によれば、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2のうち、第1レーザー光L1のみが遮光される状態(第2レーザー光L2が遮光装置を通過する状態)と、第2レーザー光L2のみが遮光される状態(第1レーザー光L1が遮光装置を通過する状態)と、第1レーザー光L1と第2レーザー光L2との両方が遮光されない状態(両方が遮光装置を通過する状態)と、を順序良く切り替えることができる。これにより、第1レーザー光L1と、第2レーザー光L2と、その両方とを照射対象に順序良く照射することができる。
【0055】
上記の実施例では、回転体50が、回転体50の回転方向に間隔をあけて配置されている複数の遮光部60を備えている。遮光部60は、回転体50が回転しているときに第1レーザー光L1または第2レーザー光L2を遮光する。複数の遮光部60のうち、回転体50の回転方向に30°の間隔をあけて配置されている2個の遮光部601、602の重量の合計(M1+M2)が、回転体50の回転方向に30°よりも広い90°の間隔をあけて配置されている2個の遮光部603、604の重量の合計(M3+M4)よりも軽い。この構成によれば、回転体50の重量のバランスが良くなり、回転体50がバランス良く回転する。
【0056】
また、回転体50の回転方向に30°の間隔をあけて配置されている2個の遮光部601、602の重心位置G1、G2は、回転体50の回転方向に60°離間している。回転体50の回転方向に90°の間隔をあけて配置されている2個の遮光部603、604の重心位置G3、G4は、回転体50の回転方向に120°離間している。この構成によれば、回転体50の回転方向における重量のバランスが更に良くなる。
【0057】
実施例の測定装置1は、第1レーザー光L1および/または第2レーザー光L2が体内101を流れる血液に当たることによって生じる散乱光Pを受光し、受光した散乱光Pに応じた電圧信号を出力する受光装置3を備えている。また、測定装置1は、受光装置3が出力した電圧信号に基づいて第1レーザー光L1および/または第2レーザー光L2が当たっている血液の流速を特定する処理装置9を備えている。この構成によれば、血液の流速を精度良く測定することができる。
【0058】
処理装置9は、回転体50の第1部分54が第1レーザー光L1を遮光する一方で第2レーザー光L2を遮光しないときに受光装置3が出力する第1電圧信号S1と、回転体50の第2部分56が第2レーザー光L2を遮光する一方で第1レーザー光L1を遮光しないときに受光装置3が出力する第2電圧信号S2と、回転体50の第3部分58が第1レーザー光L1と第2レーザー光L2との両方を遮光しないときに受光装置3が出力する第3電圧信号S3と、に基づいて血液の流速を特定する。この構成によれば、第1電圧信号S1と第2電圧信号S2と第3電圧信号S3を用いることにより、血液の流速を更に精度良く測定することができる。
【0059】
以上、一実施例について説明したが、具体的な態様は上記実施例に限定されない。以下の説明において、上記の説明における構成と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0060】
(変形例)
(1)図8に示すように、遮光装置5は、回折格子23と、第1ミラー41および第2ミラー42との間に配置されていてもよい。遮光装置5は、回折格子23から第1ミラー41に向けて進行する第1レーザー光L1と、回折格子23から第2ミラー42に向けて進行する第2レーザー光L2とを遮光する。
【0061】
(2)図9に示すように、回転体50は、複数の遮光部60を連結する連結部64を備えていてもよい。連結部64は、複数の遮光部60のそれぞれの先端部に固定されている。連結部64は、回転体50の回転方向に延びて1周している。
【0062】
(3)図10に示すように、非遮光部62は、回転体50に設けられた開口部によって構成されていてもよい。
【0063】
(4)図11に示すように、複数の非遮光部62(開口部)が一体にされていてもよい。例えば、回転体50の第2部分56の非遮光部62と、第3部分58の非遮光部62とが、回転体50に設けられた開口部によって一体にされていてもよい。
【0064】
(5)測定装置1は、人体Bの血管103を流れる血液以外に、流路を流れる流体に適用されてもよい。測定装置1は、流路を流れる流体の流速を測定する構成であってもよい。
【0065】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独で、あるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0066】
1:測定装置、2:照射装置、3:受光装置、4:表示装置、5:遮光装置、8:筐体、9:処理装置、10:交差点、21:発光素子、22:コリメーターレンズ、23:回折格子、25:移動装置、31:受光素子、41:第1ミラー、42:第2ミラー、50:回転体、52:回転軸、54:第1部分、56:第2部分、58:第3部分、60:遮光部、62:非遮光部、64:連結部、L:レーザー光、L1:第1レーザー光、L2:第2レーザー光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11