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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/00 20060101AFI20240910BHJP
   A63H 33/26 20060101ALI20240910BHJP
   A63H 31/08 20060101ALI20240910BHJP
   A63H 29/22 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
A63H33/00 303A
A63H33/26 A
A63H31/08 A
A63H29/22 A
A63H33/00 P
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2024023286
(22)【出願日】2024-02-19
【審査請求日】2024-02-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】椎名 恵
【審査官】宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-285266(JP,A)
【文献】特開2006-239011(JP,A)
【文献】実開昭62-183896(JP,U)
【文献】特開2003-251080(JP,A)
【文献】特開2021-069706(JP,A)
【文献】ちずる,“sweet candy 魔女っ子おもちゃ ブログ クルールポロン”,Hatena Blog,日本,株式会社はてな,2018年08月19日,pp.1-7,インターネット<URL: https://sc-toy.hatenablog.com/entry/2018/08/19/221408>,[2024年5月14日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾部材が取り付けられた第1端部とその反対側の第2端部とを有する第1部材と、
前記第2端部が保持され、第1位置を中心として当該第2端部を第1経路で移動させるように動作する第2部材と、を備え、
前記第1端部は、前記第2部材の動作によって前記第2端部が前記第1経路で移動するときに、第2位置を中心として前記第1経路と略合同な第2経路で移動する、玩具。
【請求項2】
請求項1に記載の玩具であって、
前記第2部材の動作によって前記第2端部が前記第1経路で移動するときに、前記第1端部を、前記第2経路で移動させる第3部材を備える、玩具。
【請求項3】
請求項2に記載の玩具であって、
前記第2端部が前記第2部材の移動により前記第経路に沿って移動するときに、前記装飾部材の向きは特定の方向に向いている、玩具。
【請求項4】
請求項3に記載の玩具であって、
前記第1部材は、複数個設けられている、玩具。
【請求項5】
請求項4に記載の玩具であって、
前記複数の第1部材は、所定の間隔をあけて互いに接触しないように配置される、
玩具。
【請求項6】
請求項5に記載の玩具であって、
前記複数の第1部材は、等間隔で設けられている、玩具。
【請求項7】
請求項4に記載の玩具であって、
前記第2端部の前記第1経路での移動は、第1平面上の移動であり、
前記第1端部の前記第2経路での移動は、前記第1平面と略平行な第2平面上の移動であり、
前記第2位置は、前記第1位置とは異なる位置であり、
前記第1平面と前記第2平面は平面的に重なる、玩具。
【請求項8】
請求項2~7の何れか一項に記載の玩具であって、
前記第1部材は、前記第2部材と前記第3部材との間に配置され、
前記第1端部は、前記第3部材によって形成された前記第2位置を中心とする環状の貫通溝に案内される、玩具。
【請求項9】
請求項8に記載の玩具であって、
前記第2端部は、前記第2部材に回転可能に軸支されている、玩具。
【請求項10】
請求項9に記載の玩具であって、
前記第2部材は、前記第1位置を回転中心とする歯車にて構成され、且つ玩具外表面に設けられた被回転部材に連動する駆動歯車によって回転駆動される、玩具。
【請求項11】
請求項10に記載の玩具であって、
前記第1部材は、前記第3部材に移動を案内される被案内部を有し、
前記第3部材は、前記被案内部を案内する案内部を有する、玩具。
【請求項12】
請求項11に記載の玩具であって、
前記被案内部は、前記第3部材に向かって突出する突出部で構成され、
前記案内部は、前記第1部材に向かって突出し、前記第2経路の少なくとも一部を挟むように延在する一対の突出延在部で構成される、玩具。
【請求項13】
請求項12に記載の玩具であって、
前記案内部は、前記第1位置に最も近い位置、および、前記第1位置に最も遠い位置の少なくとも何れか一方の位置に設けられる、玩具。
【請求項14】
請求項1~7の何れか1項に記載の玩具であって、
前記第1端部が前記第2経路で移動するときの当該第1端部の位置を規制する第4部材を備える、玩具。
【請求項15】
請求項2~7の何れか1項に記載の玩具であって、
前記装飾部材は、前記第2部材とは前記第3部材を挟んで反対側に設けられている、玩具。
【請求項16】
請求項15に記載の玩具であって、
前記装飾部材は、外部から視認可能に設けられる、玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、装飾部材を動かして楽しむ玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基台上の回転テーブルおよび回転カップを、遊星歯車機構を用いて一体に回転させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】登録実用新案第3003440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、遊星歯車機構を用いた技術が開示されているが、遊星歯車を用いる場合、遊星歯車を設けるための一定のスペースが必要であることや所望の動きをさせるための歯車の調整などが複雑になるなどの問題があるため、遊星歯車機構を用いない簡易な構成で所定の部材に所望の動きをさせることが可能な興趣性の高い玩具を提供することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の技術に係る玩具の一態様は以下の通りである。
【0006】
(1)
装飾部材が取り付けられた第1端部とその反対側の第2端部とを有する第1部材と、
上記第2端部が保持され、第1位置を中心としてその第2端部を第1経路で移動させるように動作する第2部材と、を備え、
上記第1端部は、上記第2部材の動作によって上記第2端部が上記第1経路で移動するときに、第2位置を中心として上記第1経路と略合同な第2経路で移動する、玩具。
【0007】
(2)
(1)に記載の玩具であって、
上記第2部材の動作によって上記第2端部が上記第1経路で移動するときに、上記第1端部を、上記第2経路で移動させる第3部材を備える、玩具。
【0008】
(3)
(2)に記載の玩具であって、
上記第2端部が上記第2部材の移動により上記第2経路に沿って移動するときに、上記装飾部材の向きは特定の方向に向いている、玩具。
【0009】
(4)
(3)に記載の玩具であって、
上記第1部材は、複数個設けられている、玩具。
【0010】
(5)
(4)に記載の玩具であって、
上記複数の第1部材は、所定の間隔をあけて互いに接触しないように配置される、
玩具。
【0011】
(6)
(4)又は(5)に記載の玩具であって、
上記複数の第1部材は、等間隔で設けられている、玩具。
【0012】
(7)
(4)から(6)の何れか1つに記載の玩具であって、
上記第2端部の上記第1経路での移動は、第1平面上の移動であり、
上記第1端部の上記第2経路での移動は、上記第1平面と略平行な第2平面上の移動であり、
上記第2位置は、上記第1位置とは異なる位置であり、
上記第1平面と上記第2平面は平面的に重なる、玩具。
【0013】
(8)
(2)~(7)の何れか1つに記載の玩具であって、
上記第1部材は、上記第2部材と上記第3部材との間に配置され、
上記第1端部は、上記第3部材によって形成された上記第2位置を中心とする環状の貫通溝に案内される、玩具。
【0014】
(9)
(8)に記載の玩具であって、
上記第2端部は、上記第2部材に回転可能に軸支されている、玩具。
【0015】
(10)
(9)に記載の玩具であって、
上記第2部材は、上記第1位置を回転中心とする歯車にて構成され、且つ玩具外表面に設けられた被回転部材に連動する駆動歯車によって回転駆動される、玩具。
【0016】
(11)
(10)に記載の玩具であって、
上記第1部材は、上記第3部材に移動を案内される被案内部を有し、
上記第3部材は、上記被案内部を案内する案内部を有する、玩具。
【0017】
(12)
(11)に記載の玩具であって、
上記被案内部は、上記第3部材に向かって突出する突出部で構成され、
上記案内部は、上記第1部材に向かって突出し、上記第2経路の少なくとも一部を挟むように延在する一対の突出延在部で構成される、玩具。
【0018】
(13)
(12)に記載の玩具であって、
上記案内部は、上記第1位置に最も近い位置、および、上記第1位置に最も遠い位置の少なくとも何れか一方の位置に設けられる、玩具。
【0019】
(14)
(1)~(13)の何れか1つに記載の玩具であって、
上記第1端部が上記第2経路で移動するときのその第1端部の位置を規制する第4部材を備える、玩具。
【0020】
(15)
(2)~(13)の何れか1つに記載の玩具であって、
上記装飾部材は、上記第2部材とは上記第3部材を挟んで反対側に設けられている、玩具。
【0021】
(16)
(15)に記載の玩具であって、
上記装飾部材は、外部から視認可能に設けられる、玩具。
【発明の効果】
【0022】
本開示の技術によれば、簡易な構成で興趣性の高い玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】玩具の一態様を示す斜視図である。
図2図1に示す玩具の演出の主要部分の分解斜視図である。
図3図1に示す玩具の主要部分の縦断面図である。
図4図1に示す装飾部材の保持構造の拡大分解斜視図である。
図5図1に示す装飾部材の駆動機構の要部斜視図である。
図6】装飾部材の回転移動を示す要部斜視図である。
図7】第3部材の裏面側の構造を示す拡大斜視図である。
図8】第3部材をその面方向に沿って切断したときの概略断面図である。
図9図8のX-X線に沿った部分の要部断面図である。
図10】装飾部材の動き方を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の技術の一態様である玩具について、図を参照して説明する。
図1は、玩具1の一態様を示す斜視図である。
図1に示す玩具1は、先端部分に略球形の演出部分を有する棒状の玩具であり、棒状の本体把持部2を手で持って遊ぶものである。玩具1は、電源スイッチ(不図示)を入れた後に、例えば操作ボタン3の押圧によって演出モードを切り替えたりする。また、玩具1の先端側の球形の演出動作部5は、最上端に光透過性の半球形のキャップ部8が設けられ、その内側に音符型の複数の装飾部材10が設けられており、キャップ部8の直ぐ下側に回転操作可能な被回転部材20が設けられている。
【0025】
装飾部材10は、被回転部材20を回転操作することにより、後述するように回転移動することができる。また、装飾部材10の回転移動と共に各種のキャラクターの演出楽曲を発音、発色光が変化するなどの光演出が行われる。なお、装飾部材10は、その詳細については後述するが、被回転部材20を回転させたときには、当該被回転部材20の回転面と平行な回転面で回転する。
【0026】
図2は、玩具1の演出の主要部分の分解斜視図である。
演出動作部5の部品構成は、キャップ部8が最上端に配置され、その下側に、本開示で云うところの装飾部材10、第4部材14、第3部材13、第1部材11、第2部材12、の順で配置され組み立てられている。そして、後述する駆動歯車30を介して駆動される歯車からなる第2部材12によってリンク形状の第1部材11が駆動され、更に、第1部材11の一部が第3部材13及び第4部材14を貫通した状態で装飾部材10を回転させる構成となっている。
【0027】
図3は、演出動作部5の縦断面図である。
図3に示すように、演出動作部5は、被回転部材20が玩具1の軸線に沿った回転軸芯部20aを中心にして回転可能に設けられている。被回転部材20は、その中央側に第2部材12に連結された駆動用の後述する第1ギア31が配置されている。また、被回転部材20は、第1ギア31の周りには、外周縁寄りの位置に、複数の装飾部品6を設けることができるスペースが設けられている。すなわち、被回転部材20は、その外周面に収容された装飾部品6が外側から見えるような光透過性の部材にて形成されており、発光演出のときに、被回転部材20からも光が出るような構成となっている。
【0028】
図4は、装飾部材10の保持構造の拡大分解斜視図である。
装飾部材10の保持並びに駆動は、前述ごとく第1部材11にて保持され第2部材12にて回転駆動される。ここで、装飾部材10の移動する軌道は、その詳細については順位説明するが、第2部材12の回転軌道の第1経路R1とは異なった回転軌道の第2経路R2に沿って移動する。
【0029】
第1部材11は、図4に示すように、その一端側(第1端部111)で装飾部材10を保持する一方、他端側(第2端部112)が第2部材12に係合可能なリンク部材として構成されている。より詳細には、第1部材11は、回転面に平行なリンク胴部11aの一端側において、リンク胴部11aから直角に図中上方に突出する円柱状の第1端部111が設けられ、リンク胴部11aの他端側において、リンク胴部11aから直角に下方に突出する円柱状の第2端部112が設けられている。そして、第1端部111は、装飾部材10の下端に設けられた取付孔10hに嵌着・固定され装飾部材10を保持する。一方、第2端部112は、第2部材12の上面12aに開口した係合孔121に回転可能に挿入される。なお、第1端部111は、第3部材13の環状の貫通溝13gを貫通すると共に第4部材14の切欠部142を貫通した状態で装飾部材10を保持している。
【0030】
第2部材12は、その外周に歯が形成された環状の歯車にて構成されており、歯車の中心である第1位置C1を中心にして回転するように適宜保持(保持構造については省略する)されている。また、第2部材12の上面12aの係合孔121は、平面視で正三角形となる等間隔に設けられており、この係合孔121に第1部材11の第2端部112が挿入される。したがって、第2部材12は、第2端部112を、等間隔に保った状態で第1位置C1を中心とする第1経路R1で円移動させる。
【0031】
第3部材13は、環状の貫通溝13gを形成するべく外周側の外周部131と、内周側の内周部132と、を備えている。この貫通溝13gは、その環状中心である第2位置C2を中心そして第1端部111が第1経路R1と略合同な円軌道の第2経路R2を構成している。
【0032】
また、外周部131及び内周部132は、共に下側の底部材133に連結・固定される。例えば、外周部131は、その外周縁部において締結部材81により底部材133に固定され、内周部132は、一対の締結部材82(図2参照)によりネジ穴132hを貫通するようにして底部材133に固定される。また、外周部131、内周部132、及び底部材133は、図3に示すように内部空間を形成しており、第1部材11の一部、第2部材12、及び第3ギア33等を収容可能な構成となっている。
【0033】
第4部材14は、略円形の板状の部材であり、中央には円形の開口141が設けられており、外周縁部には外周方向に等間隔に3つの切欠部142が設けられている。中央の開口141は、内周部132の中央突起132aが嵌り込むように設けられている。また、切欠部142は、第1部材11の第1端部111が貫通する部分である。この第4部材14は、中央突起132aに嵌った状態で第1端部111と共に回転する。
【0034】
図5は、装飾部材10を回転させる駆動機構を示す要部斜視図である。
第2部材12を回転駆動する駆動歯車30は、図5に示すように、被回転部材20と一体的に回転する第1ギア31、第1ギア31に噛合う第2ギア32、及び第2ギア32と同軸で一体回転し且つ第2部材12に噛合う第3ギア33のギア列により構成されている。したがって、被回転部材20を所定方向に回転させると、第2部材12は、被回転部材20と同じ方向に回転する。これにより、装飾部材10は、第2部材12に連結された第1部材11によって同じ方向に回転する。
【0035】
以下、第1部材11及び装飾部材10の回転時の回転の仕方について、図6図10を参照して説明する。
図6は、回転駆動時の装飾部材10の回転移動を示す要部斜視図である。
【0036】
第2部材12が回転駆動されたときには、第1部材11は、その第2端部112が第1経路R1の円軌道に沿って回転する。一方、第端部11も第端部11の移動に伴って回転するが、このときの回転軌道は、第1経路R1の中心である第1位置C1とは平面視で所定距離(D)だけ離れた第2位置C2を中心として回転する。この第2経路R2は、第1経路R1と平面視で部分的に重なっている。また、第1経路R1と第2経路R2の回転軌道面においては、第1経路R1を含む仮想平面を第1平面P1とし、第2経路R2を含む仮想平面を第2平面P2とした場合、両平面は、平行な面で高さ方向において所定の距離(H)だけオフセットされている。
【0037】
図7は、第3部材13の裏面側の構造を示す斜視図である。また、図8は、第3部材13をその面方向に沿って切断したときの概略断面図である。
図6に示すように平面視で離れた2つの軌道に沿って移動する第1部材11は、第2端部112については、その位置が確定された状態で第1経路R1上を移動するが、第1端部111については、貫通溝13gの円周方向(第2経路R2)において第1端部111が位置規制されていないことで、その方向に移動可能な状態が発生する。すなわち、リンク胴部11aは、第2端部112を中心として揺動可能な状態が生じてしまう。これによって、第1部材11の円滑な移動が阻害されることとなる。そこで、図7及び図8に示すように、第3部材13の裏面において、第1部材11のリンク胴部11aに向かって突出して当該リンク胴部11aに突設された突出部113を案内可能な突出延在部134,135,136,137が設けられている。この突出延在部134,135,136,137は、突出部113の方向に突出していることで、突出部113を案内する機能を有している。すなわち、突出部113を案内することで、リンク胴部11aの向き(姿勢)を安定させることができる。
【0038】
突出延在部135は、第3部材13の外周部131の内側縁に設けられており、第1位置C1と第2位置C2の平面視で離れた方向に沿って当該第2位置C2から最も遠い位置をカバーする範囲で設けられている。この突出延在部135に対面する突出延在部134は、第1位置C1を中心とする円弧に近い形状で略半円形に設けられており、更に、第2位置C2を中心とする円弧形の突出延在部138に連続している。
【0039】
突出延在部136,137は、第3部材13の内周部132において、突出延在部135とは平面視で反対側に設けられている。この突出延在部136,137は、第2位置C2から近い位置をカバーする範囲で突出部113を案内できるように延在されている。
【0040】
図9は、図8のX-X線に沿った部分に断面図である。
突出延在部134,135,136,137による突出部113の案内は、図9に示すように、第3部材13に向かって突出した突出部113が、例えば突出延在部136,137によって挟み込まれるように位置規制された状態で案内される。これにより、第1部材11は、第2端部112を回動支点として貫通溝13gの円周方向の動きが制限される。もって、第1端部111の貫通溝13g内における挙動の安定化が図られる。また、第1端部111は、第4部材14の切欠部142によっても位置が規制されている。また、装飾部材10は、図10に示すように、第2部材12とは第3部材13を挟んで反対側に設けられており、第1部材11及び第2部材12等の駆動構造を隠すことができる。
【0041】
図10は、装飾部材10の動き方を示す拡大斜視図である。
第1部材11に取り付けられた装飾部材10は、被回転部材20を手90にて回転操作することで、第2経路R2に沿って回転移動をする。このとき、装飾部材10は、その向きが一定の方向に向いたまま回転する。これは、第1経路R1と第2経路R2とが平面視で所定距離(D)だけ離れ、その距離が第1端部111と第2端部112の間隔と略同等な距離となっていることで、第1部材11は、そのリンク胴部11aの向きが常に同じ方向(第1位置C1と第2位置C2の並んだ方向)に向いたまま回転することができる。この結果、キャップ部8内の装飾部材10は、図10に示すように、回転したときに、3つのものが所定の間隔をあけた状態で常に同じ方向を向いたまま回転し、そのギミック性を演出する。
【0042】
以上述べたように、本態様の玩具1は、装飾部材10が取り付けられた第1端部111と、第1端部111の反対側の第2端部112とを有する第1部材11と、第2端部112が保持され、第1位置C1を中心として当該第2端部112を第1経路R1で移動させるように動作する第2部材12と、を備え、第1端部111は、第2部材12の動作によって第2端部112が第1経路R1で移動するときに、第2位置C2を中心として第1経路R1と略合同な第2経路R2で移動するため、簡易な構成で興趣性の高い装飾部材10の動きを実現可能な玩具を提供することができる。すなわち、本態様の玩具1においては、第2部材12の動作によって第1部材11の第2端部112が第1経路R1で移動される一方、第1部材11は、第2端部112とは反対側の第1端部111が第1経路R1とは平面視で位置ずれした第2経路R2で移動するように構成されていることで、第1部材11の第1端部111の動きを第2端部112の動きで制限を加えることができる。特に、第1経路R1と第2経路R2とが略合同の無限軌道の経路であることで、第1部材11に取付けられた装飾部材10が、例えば特定方向に向けたままの回転移動を可能とする。
【0043】
本態様の玩具1においては、第2経路R2が第3部材13の環状の貫通溝13gにより構成されていることで、第1部材11の第1端部111が貫通溝13gを貫通して第3部材13の内側から外に向かって突出することができる。これにより、第3部材13の内側に配置された第1部材11のリンク胴部11aを見えないようにすることができる。
【0044】
また、本態様の玩具1によれば、第2端部112が第2部材12に対して回転可能に軸支されていることで、第1部材11は、その向きが第2部材12とは連動しない向き(特定の向き)のまま当該第2部材12の回転移動に追従できる。また、第1部材11は、回転駆動される第2部材12に所定の間隔を開けて複数設けられていることで、複数の装飾部材10が所定間隔を保ったままで同じように特定の方向を向いた状態で移動させることができる。
【0045】
本態様の玩具1においては、玩具外表面に設けられた被回転部材20に連動して第2部材12が回転することで、装飾部材10を操作者が制御する楽しみを提供できる。また、第2部材12が歯車に構成され且つ被回転部材との駆動力伝達に駆動歯車30が用いられていることで、駆動力の伝達が確実にできると共に、被回転部材と第2部材12との回転比の設定が容易であり、被回転部材20の回転数と装飾部材10の回転数のズレを楽しむことができる。
【0046】
本態様の玩具1においては、第1部材11のリンク胴部11aには第3部材13に向かって突出する突出部113が設けられ、第3部材13には突出部113の移動経路を挟むよう位置して当該突出部113を案内する突出延在部134,135,136,137が設けられているので、突出部113の経路を正確に案内できる。これにより、リンク胴部11aの向きを安定させると共にリンク胴部11aの移動をスムースにできる。特に、突出延在部134,135,136,137による位置規制領域は、第1端部111が第2端部112に対して位置ずれし易い第1位置C1に最も近い位置、第1位置C1に最も遠い位置の少なくとも一方に設けられていることで、第1部材11の安定した動きを保証することができる。
【0047】
また、本態様の玩具1によれば、第1端部111は、第2経路R2で移動するときに板状の第4部材により位置規制された状態で回転移動するので、複数の装飾部材10の位置が正確に規制される。また、第4部材によって貫通溝13gを覆うことができるので、第1端部111の移動経路が隠され、装飾部材10の動きにギミック性を持たせることができる。
【0048】
本態様の玩具1においては、装飾部材10を覆うキャップ部8が光透過性の部材で形成されているので、外部から装飾部材10を見ることができ、この装飾部材10に光を当てるようにした光演出を効果的に行うことができる。また、装飾部材10は、第2部材12とは第3部材13を挟んで反対側に設けられているので、装飾部材10を駆動する駆動機構を第3部材13によって隠すことができる。
【0049】
本態様の玩具1は、特許文献に記載されているような遊星歯車機構と比べると、装飾部材10の回動を実現させるために必要な全パーツを組み合わせたときの面積が削減できる。また、玩具1の構造の方が、他の玩具に流用し易い(遊星歯車にすると、歯車の中心距離の調整が大変だったり、ギア比の計算が複雑だったりする)。
【0050】
以上、本発明の一態様について説明したが、本発明はその技術思想の範囲で適宜変更することができる。上記態様においては、装飾部材10を3つ設けた構成とした、その数はこれに限るものではない。また、装飾部材10は音符を模しものではなく他のものであってもよい。例えば、形状としての装飾性を有する部材以外にも、光などにより装飾性を有するもので合ってもよい。
【0051】
また、上記態様における駆動力の伝達手段は、歯車を用いた構成としたが、この構成に限るものではなく、例えば、摩擦車やベルトなどを用いた構成であってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 玩具
10 装飾部材
11 第1部材
12 第2部材
13 第3部材
13g 貫通溝
14 第4部材
20 被回転部材
30 駆動歯車
111 第1端部
112 第2端部
113 突出部(被案内部)
134,135,136,137,138 突出延在部(案内部)
C1 第1位置
C2 第2位置
R1 第1経路
R2 第2経路
【要約】
【課題】簡易な構成で興趣性の高い玩具を提供する。
【解決手段】装飾部材10が取り付けられた第1端部111とその反対側の第2端部112とを有する第1部材11と、第2端部112が保持され、第1位置C1を中心として当該第2端部112を第1経路R1で移動させるように動作する第2部材12と、を備え、第1端部111は、第2部材12の動作によって第2端部112が第1経路R1で移動するときに、第2位置C2を中心として第1経路R1と略合同な第2経路R2で移動する、玩具1である。
【選択図】図4

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