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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】管路トンネルの変位監視システム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/16 20060101AFI20240910BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G01B11/16 H
G01C15/00 104A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024058193
(22)【出願日】2024-03-29
【審査請求日】2024-03-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390027177
【氏名又は名称】坂田電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】506385667
【氏名又は名称】通信土木コンサルタント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180817
【弁理士】
【氏名又は名称】平瀬 実
(72)【発明者】
【氏名】遠目塚 良一
(72)【発明者】
【氏名】谷口 優介
(72)【発明者】
【氏名】水野 英利
(72)【発明者】
【氏名】桑原 直登
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-329554(JP,A)
【文献】特開2011-069747(JP,A)
【文献】中国実用新案第213579362(CN,U)
【文献】中国実用新案第209764097(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01C 1/00-1/14
5/00-15/14
E21D 1/00-9/14
G02B 5/00-5/136
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路トンネルの内壁に対して固定される複数の反射部材と、
前記管路トンネル内の固定位置に設置され、前記複数の反射部材を撮影する撮影装置とを備え
前記反射部材の各々は、
反射部と、
前記反射部を内部に収容する収容器と、
前記収容器に固定され、前記反射部に入出射する光が透過する透光部と、
前記収容器に取り付けられたヒータとを含む
管路トンネルの変位監視システム。
【請求項2】
前記管路トンネルの内部空間は、断面積が2m2以上である
請求項1に記載の変位監視システム。
【請求項3】
前記複数の反射部材は、1つ又は複数の反射部材群を構成し、
前記1つ又は複数の反射部材群は、前記管路トンネルに関して定められた1つ又は複数の共通断面のそれぞれに配置される複数の反射部材から構成され、
前記1つ又は複数の反射部材群の各々を構成する前記反射部材の数は、4個以上である
請求項1又は2に記載の変位監視システム。
【請求項4】
前記1つ又は複数の反射部材群は、前記管路トンネルが延在方向に沿って湾曲する部分に配置される少なくとも1つの反射部材群を含む
請求項3に記載の変位監視システム。
【請求項5】
前記1つ又は複数の反射部材群の少なくとも1つでは、当該少なくとも1つの反射部材群の各々を構成する複数の反射部材が、前記共通断面に等間隔で配置される
請求項3に記載の変位監視システム。
【請求項6】
前記反射部材群は、複数であり、
前記複数の反射部材群は、前記管路トンネルの延在方向に沿って等しい距離間隔で定められた複数の共通断面のそれぞれに配置される
請求項3に記載の変位監視システム。
【請求項7】
前記複数の反射部材群の各々は、
前記管路トンネルの延在方向に沿って予め定められた間隔で配置される少なくとも1つの基準反射部材と、
当該少なくとも1つの基準反射部材と同じ前記共通断面に配置される副反射部材とを含む
請求項3に記載の変位監視システム。
【請求項8】
前記反射部材群は、複数であり、
前記複数の反射部材群のうちの少なくとも1つの反射部材群は、前記副反射部材の数が他の反射部材群と異なる
請求項7に記載の変位監視システム。
【請求項9】
前記撮影装置が撮影した画像に含まれる前記複数の反射部材の、当該画像における各位置を含む解析データを生成する撮影制御装置と、
前記生成された解析データに基づいて、前記管路トンネルの変位を管理する管理装置とをさらに備え、
前記管理装置は、さらに、前記管路トンネルの前記変位が予め定められた報知条件を満たす場合に、所定の端末へ報知し、
前記撮影制御装置と前記ヒータの各々とには、共通の電源から電力が供給される
請求項1又は2に記載の変位監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管路トンネルの変位監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、トンネルの変位を計測するための技術が開示されている。特許文献1に記載の技術では、レーザスキャナ装置を有する形状計測装置が、トンネルの延伸方向であるトンネル軸方向に沿って間隔を空けた複数の位置の各々に配置される。そして、点検員が、トンネルの内壁における周方向の形状を当該形状計測装置の各々に計測させる。
【0003】
特許文献1に記載のトンネル変位計測装置は、形状計測装置から送信される複数の周回形状データを通信部から取得する。周回形状データは、トンネルの周方向の形状を複数の3次元点で示す3次元点群データであり、複数の3次元点のデータを含む。各3次元点のデータには、3次元点の3次元における位置を示すデータが含まれる。
【0004】
当該トンネル変位計測装置は、周回形状データと、トンネル全体の形状を3次元点群で表す基準形状データとを比較し、比較結果に基づいてトンネルの変位を計測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-197459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、通信ケーブル、電力ケーブル、ガス管、上下水道管等が内部に配置される管路トンネルでは、亀裂の発生を早期に検知したり、その発生を防いだりするために、その変位を監視する必要がある。
【0007】
特許文献1に記載の技術では、トンネル変位計測装置では、複数の周回形状データ(3次元点のデータ)を処理するため、その処理量や処理負荷が大きくなる可能性がある。
【0008】
本開示の課題の1つは、管路トンネルの変位を容易に監視することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る変位監視システムは、
管路トンネルの内壁に対して固定される複数の反射部材と、
前記管路トンネル内の固定位置に設置され、前記複数の反射部材を撮影する撮影装置とを備え
前記反射部材の各々は、
反射部と、
前記反射部を内部に収容する収容器と、
前記収容器に固定され、前記反射部に入出射する光が透過する透光部と、
前記収容器に取り付けられたヒータとを含む
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、管路トンネルの変位を容易に監視することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施形態に係る変位監視システムの構成例を示す図である。
図2】本開示の一実施形態に係る管路トンネルにおける複数の反射部材の配置例を示す図である。
図3】本開示の一実施形態に係る複数の反射部材を管路トンネルに配置する方法の流れの一例を示す図である。
図4】本開示の一実施形態に係る反射部材110の一例を側方から見た図である。
図5】本開示の一実施形態に係る撮影制御装置の動作例を示すフローチャートである。
図6】本開示の一実施形態に係る管理装置の動作例を示すフローチャートである。
図7】本開示の一実施形態に係る撮影制御装置の物理的な構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。全図を通じて同一の要素には同一の符号を付す。また、前後上下左右の方向を示す用語は、説明のために用いるのであって、本発明を限定する趣旨ではない。
【0013】
また、全体を通じて、「等しい」とは、実質的に等しいことを意味する。すなわち、例えばAとBとが「等しい」ことは、AとBとに厳密には違いがある場合であっても、当該違いが所定の範囲内であることを意味する。このような所定の範囲は、例えば、施工、製造、計測等において通常生じ得る誤差の範囲であるが、適宜定められてもよい。
【0014】
(変位監視システム100の全体的な構成)
本開示の一実施形態に係る変位監視システム100は、管路トンネルTの変位を監視するためのシステムである。変位監視システム100は、その構成例を図1に示すように、複数の反射部材110と、撮影装置120と、撮影制御装置130と、管理装置140とを備える。
【0015】
撮影装置120、撮影制御装置130及び管理装置140とは、通信ネットワークNTを介して互いに接続される。これにより、撮影装置120、撮影制御装置130及び管理装置140とは、通信ネットワークNTを介して互いに情報を送受信する。通信ネットワークNTは、例えば、有線、無線、又はこれらを組み合わせて構成されてよい。
【0016】
なお、少なくとも、撮影装置120と撮影制御装置130の間と、撮影制御装置130と管理装置140の間とが互いに情報を送受信できるように、通信ネットワークで接続されればよい。また、これらの異なる装置の組み合わせを接続する通信ネットワークは、例えば通信方式等が異なる通信ネットワークであってもよい。
【0017】
(管路トンネルTについて)
「管路トンネル」Tは、ライフラインを構成する設備を地下に埋設するためのトンネルである。管路トンネルTの内部には、ライフラインを構成する設備として、通信ケーブル、電力ケーブル、ガス管、上下水道管等が配置される。
【0018】
管路トンネルTの内部空間のサイズは、例えば、断面積2m(平方メートル)以上であってもよい。管路トンネルTの内部空間のサイズは、例えば、幅が1.65m~5.0m程度、高さが2.1m~5.0m程度であってもよい。詳細には、管路トンネルTの内部空間の形状の典型例として、概ね、矩形、円形、楕円形等がある。内部空間の形状が矩形の管路トンネルである場合、その内部空間のサイズは、例えば、幅が1.65m、高さが2.1m程度から、幅が4.7m、高さが3.65m程度であってもよい。内部空間の形状が円形の管路トンネルTの場合、その内部空間のサイズは、例えば、内径が2.2m~5.0m程度であってもよい。
【0019】
なお、ここで挙げた管路トンネルTの内部空間の形状及びサイズは、その例であって、管路トンネルTをこれらに限定する趣旨ではない。
【0020】
(反射部材110について)
複数の反射部材110の各々は、管路トンネルTの内壁に対して固定される。複数の反射部材110の各々は、例えば撮影装置120に向けて、光を反射する。反射部材110が受ける光は、後述する照明122が発する光であるが、これに限られない。例えば、反射部材110が受ける光は、管路トンネルTに設けられる照明等から発せられる光であってもよい。
【0021】
以下、管路トンネルTにおける複数の反射部材110の配置例、反射部材110の各々の構成例について説明する。
【0022】
(管路トンネルTにおける複数の反射部材110の配置例)
【0023】
図2は、管路トンネルTにおける複数の反射部材110の配置例を示す図である。図2(a)は、上方から見た管路トンネルTの例を示す図である。図2(a)は、管路トンネルTの延在方向に沿って定められた共通断面CS1~CSNの例を示す図である。図2(b)は、共通断面CSiにおける反射部材110Gia~110Gidの配置例を示す図である。
【0024】
ここで、Nは、1以上の整数であり、以下においても同様である。iは、1以上N以下の整数であり、以下においても同様である。
【0025】
図2を適宜参照して、管路トンネルTにおける複数の反射部材110の配置例について説明する。
【0026】
複数の反射部材110は、1つ又は複数の反射部材群G1~GNを構成する。1つ又は複数の反射部材群G1~GNの各々は、複数の反射部材110から構成される。
【0027】
例えば、1つ又は複数の反射部材群G1~GNは、それぞれ、1つ又は複数の共通断面CS1~CSNに対応付けられてもよい。この場合、1つ又は複数の反射部材群G1~GNは、例えば、管路トンネルTに関して予め定められた1つ又は複数の共通断面CS1~CSNのそれぞれに配置される複数の反射部材110から構成される。
【0028】
1つ又は複数の反射部材群G1~GNの各々を構成する反射部材110の数は、管路トンネルTの変位を精度良く監視するために4個以上であることが望ましいが、1個~3個であってもよい。複数の反射部材群G1~GNの各々を構成する反射部材110の数は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0029】
図2(b)では、反射部材群Giが、管路トンネルTの共通断面CSiに配置される複数の反射部材110Gia~110Gidから構成される例を示している。詳細には例えば、共通断面CSiに対応する複数の反射部材110Gia~110Gidは、管路トンネルTの共通断面CSiに位置する内壁に対して固定されてもよい。共通断面CSiに対応する複数の反射部材110Gia~110Gidは、管路トンネルTの共通断面CSiに位置するように、管路トンネルTの内壁に対して固定されてもよい。
【0030】
(1つ又は複数の共通断面CS1~CSNについて)
1つ又は複数の共通断面CS1~CSNの各々は、適宜定められる管路トンネルTの断面である。
【0031】
1つ又は複数の共通断面CS1~CSNの各々は、例えば、管路トンネルTの延在方向と交差する面である。1つ又は複数の共通断面CS1~CSNの各々が管路トンネルTの延在方向と交差する角度は、予め定められた角度であればよい。詳細には例えば、1つ又は複数の共通断面CS1~CSNの各々が管路トンネルTの延在方向と交差する角度は、90度であってもよい。この場合、1つ又は複数の共通断面CS1~CSNの各々は、管路トンネルTの延在方向と直交する断面である。
【0032】
1つ又は複数の共通断面CS1~CSNの少なくとも1つは、管路トンネルTが延在方向に沿って湾曲する部分に定められてもよい。この場合、1つ又は複数の反射部材群は、管路トンネルTが延在方向に沿って湾曲する部分に配置される少なくとも1つの反射部材群を含む。図2(b)において、反射部材群Giは、管路トンネルTの管路トンネルが延在方向に沿って湾曲する部分に配置された反射部材群の例である。
【0033】
(共通断面CS1~CSNが複数である場合について)
複数の共通断面CS1~CSNは、例えば、管路トンネルTの延在方向に沿った複数の断面であってもよい。
【0034】
例えば、複数の共通断面CS1~CSNは、管路トンネルTの延在方向に沿って等しい距離間隔で定められてもよい。この場合、複数の反射部材群G1~GNは、管路トンネルTの延在方向に沿って等しい距離間隔で定められた複数の共通断面CS1~CSNのそれぞれに配置される。この距離間隔は、適宜、予め定められてよい。
【0035】
複数の共通断面CS1~CSNの各々が管路トンネルTの延在方向と交差する角度は、等しくてもよく、異なっていてもよい。
【0036】
複数の共通断面CS1~CSNが定められる場合、共通断面CS1~CSNのそれぞれに複数の反射部材群G1~GNが配置される。複数の反射部材群G1~GNは、それぞれを構成する反射部材110の数が異なっていてもよい。
【0037】
(共通断面CSiに対応する反射部材群Giの配置例)
【0038】
1つ又は複数の反射部材群G1~GNの各々を構成する複数の反射部材110は、適宜の態様或いは方法で、対応する共通断面CSiに配置されてよい。
【0039】
例えば、反射部材群G1~GNの少なくとも一部では、当該少なくとも一部の反射部材群の各々を構成する複数の反射部材110が、共通断面に等間隔で配置されてもよい。等間隔とは、等角度間隔、等距離等のいずれであってもよい。
【0040】
等角度間隔とは、反射部材群Giにおいて、共通断面CSiの中心(重心)と互いに隣接する反射部材110とを結ぶ線分のなす角θが等しいことを意味する。また、等距離とは、反射部材群Giにおいて互いに隣接する反射部材110間の距離が等しいことを意味する。反射部材110間の距離は、例えば、反射部材110間の直線距離、反射部材110間の共通断面CSiに沿った距離等でよい。
【0041】
図2(b)において、反射部材群Giを構成する複数の反射部材110Gia~110Gidは、当該なす角θが90度の当角度間隔で配置された反射部材110の例である。また同図の例では、共通断面CSiが円形であるため、反射部材群Giを構成する複数の反射部材110Gia~110Gidが、等距離で配置された反射部材110の例でもある。また、同図では、水平方向に反射部材110Gia及び110Gicが配置され、鉛直方向に反射部材110Gib及び110Gidが配置される例を示している。なお、反射部材群Giを構成する複数の反射部材110Gia~110Gidは、鉛直方向に沿って配置されなくてもよく、水平方向に沿って配置されなくてもよい。
【0042】
(基準反射部材,副反射部材について)
複数の反射部材群G1~GNの各々は、例えば、少なくとも1つの基準反射部材を含む。基準反射部材は、各反射部材群G1~GNを構成する複数の反射部材110のうち、管路トンネルTの延在方向に沿って予め定められた間隔で配置される反射部材110である。
【0043】
複数の反射部材群G1~GNの各々は、副反射部材を含んでもよい。副反射部材は、反射部材群G1~GNの各々を構成する複数の反射部材110のうち、基準反射部材以外の反射部材110である。すなわち、反射部材群Giについての副反射部材は、当該反射部材群Giと同じ共通断面CSiに配置される反射部材110である。副反射部材は、1つであってもよく、複数であってもよい。
【0044】
上述のように、複数の反射部材群G1~GNは、それぞれを構成する反射部材110の数が異なっていてもよい。この場合、複数の反射部材群G1~GNのうちの少なくとも1つの反射部材群は、副反射部材の数が他の反射部材群と異なる。
【0045】
(複数の反射部材110の配置方法の例)
図3は、複数の反射部材110を管路トンネルTに配置する方法の流れの一例を示す図である。
【0046】
複数の反射部材群G1~GNの各々に含まれる基準反射部材が、管路トンネルTの延在方向に沿って予め定められた間隔で配置される(工程1)。
【0047】
複数の反射部材群G1~GNの各々について、副反射部材が、工程1で配置された基準反射部材を基準として、当該基準反射部材と同じ共通断面に配置される(工程2)。このとき、副反射部材は、当該副反射部材と同じ共通断面に配置される複数の反射部材110が予め定められた間隔となるように、配置されるとよい。予め定められた間隔は、例えば等間隔であるが、これに限られない。
【0048】
詳細には例えば、図2に示すように、反射部材群Giが複数の反射部材110Gia~110Gidで構成されるとする。また、反射部材110Giaが基準反射部材であるとする。この場合の副反射部材は、反射部材110Gib~110Gidである。
【0049】
工程1では、例えば、ある反射部材群Giに含まれる基準反射部材110Giaが管路トンネルTの予め定められた位置に配置される。そして、他の反射部材群Gjに含まれる基準反射部材110Giaが、既に配置された反射部材群Giの基準反射部材110Giaを基準として、管路トンネルTの延在方向に沿って予め定められた間隔で配置される。ここで、jは、iを除く、1~Nの整数である。
【0050】
より詳細には例えば、複数の反射部材群G1~GNのうち、管路トンネルTの延在方向に沿って最も端に配置される反射部材群G1に含まれる基準反射部材110G1aが管路トンネルTの予め定められた位置に配置されてもよい。そして、反射部材群G2~GNに含まれる基準反射部材110G2a~GNaが、基準反射部材110G1aを基準として、管路トンネルTの延在方向に沿って順に配置されてもよい。
【0051】
工程1により、複数の反射部材群G1~GNに含まれる基準反射部材110GNa~110GNaが、管路トンネルTの延在方向に沿って配置される。
【0052】
工程2では例えば、複数の反射部材群G1~GNの各々について、工程1で配置された基準反射部材110Giaを基準として、対応する共通断面CSiに、副反射部材110Gib~110Gidが配置される。
【0053】
工程2により、複数の反射部材群G1~GNに含まれる副反射部材110Gib~110Gidが、管路トンネルTの延在方向に沿って配置され、複数の反射部材110の配置が終了する。
【0054】
なお、複数の反射部材110を管路トンネルTに配置する方法は、ここで説明したものに限られない。
【0055】
例えば、複数の反射部材群G1~GNの各々が、同じ数の反射部材110から構成され、共通断面CS1~CSNの各々の各々に各反射部材110が等間隔で配置される場合、ある反射部材群Giが、予め定められた共通断面CSiに配置されてもよい。そして、共通断面CSiに配置された反射部材群Giを構成する複数の反射部材110Gia~110Gidのそれぞれを基準として、他の反射部材群Gjを構成する複数の反射部材110Gia~110Gidが、管路トンネルTの延在方向に沿って予め定められた間隔で配置されてもよい。
【0056】
例えば、反射部材群が1つである場合、当該反射部材群を構成する反射部材110の1つが、管路トンネルTにおける予め定められた位置に配置されてよい。そして、他の反射部材110は、例えば、既に配置された1つの反射部材110を基準として、予め定められた共通断面に、複数の反射部材110が予め定められた間隔(例えば、等間隔)となるように配置されるとよい。
【0057】
(反射部材110の構成)
図4は、反射部材110の一例を側方から見た図である。
【0058】
複数の反射部材110の各々は、例えば同図に示すように、反射部111と、収容器112と、透光部113と、ヒータ114と、固定部材115とを含む。
【0059】
反射部111は、光を反射する部材である。反射部111は、例えば撮影装置120に向けて、光を反射する。反射部111には、リトロリフレクタが好適である。リトロリフレクタは、入射光をその光軸方向と平行にかつ入射光の反対方向に反射させる光学部材である。リトロリフレクタは、例えば、光が入出射する領域が35mm(ミリメートル)~40mm程度のコーナーキューブプリズムであるが、これに限られない。反射部111は、リトロリフレクタに限られず、例えば鏡等であってもよい。反射部111のサイズは、適宜変更されてもよい。
【0060】
収容器112は、反射部111を内部に収容する部材である。収容器112は、例えば、反射部111の入出光が通過するように、少なくとも一部が開放した形状であるとよい。収容器112は、一端が開放した有底の筒状であって、典型的には、その軸方向に沿った断面が円形の円筒形である。なお、収容器112は、その軸方向に沿った断面が四角である矩形筒状である等、その断面形状が適宜の形状の筒状であってもよい。
【0061】
収容器112は、例えば、1辺が10cm(センチメートル)程度の立方体であるが、大きさや形状は、これに限られない。収容器112は、例えば、金属製、樹脂製であるが、その材料はこれに限られない。収容器112は、異なる材料で作られた複数の部品から構成されてもよい。
【0062】
透光部113は、収容器112に固定され、リフレクタに入出射する光が透過する部材である。透光部113は、例えば透光性を有する部材である。透光部113は、例えば、樹脂、ガラス等を材料として作られてよい。透光部113は、例えば円形、矩形等の適宜の形状の平板状であるが、その形状はこれらに限られない。
【0063】
透光部113は、例えば、収容器112の開放した部分を塞ぐように収容器112に固定される。透光部113は、反射部111が配置された収容器112の内部を密閉するように固定されてもよい。透光部113が収容器112の内部を密閉する程度は、例えば、液密や、気密であるが、これらに限られない。
【0064】
ここで、液密とは、例えば水等の液体が収容器112の内部に浸入し難い程度の密閉度を意味する。透光部113が反射部111に液密に固定されることで、例えば透光部113(特に、透光部113の内面)や、反射部111(特に、入射光や反射光が通過する部分)が濡れること等によって、反射部111が十分な光を反射できなくなる可能性を低減することができる。
【0065】
ここで、「十分な光」とは、撮影装置120で撮影した画像から、管路トンネルTの変位を観測するために十分な精度でその位置を特定し得る程度の光であり、以下においても同様である。
【0066】
また、気密とは、例えば気体が収容器112の内部に浸入し難い程度の密閉度を意味する。透光部113が反射部111に気密に固定されることで、例えば透光部113(特に、透光部113の内面)や、反射部111(特に、入射光や反射光が通過する部分)が結露すること等によって、反射部111が十分な光を反射できなくなる可能性を低減することができる。
【0067】
ヒータ114は、収容器112を加熱するための加熱部材であって、収容器112に取り付けられる。
【0068】
例えば、ヒータ114は、電熱線を含み、管路トンネルTにおける適宜の電源から供給される電力を用いて反射部111を加熱する。
【0069】
例えば収容器112が筒状である場合、ヒータ114は、その外周面の一部又は全部を囲むように外周面に巻き付けることで、収容器112に取り付けられてもよい。好ましくは、ヒータ114は、例えばその外周面に密着するように取り付けられるとよい。
【0070】
一般的に管路トンネルT内の環境は、高湿度で低温になることがある。また、反射部材110は、詳細後述するように撮影装置120で撮影された画像から、その位置を特定することで、管路トンネルTの変位を観測するために用いられる。そのため、反射部材110は、管路トンネルT内の環境に長期間にわたって置かれたままとなる。
【0071】
収容器112の開放した部分を上述のように透光部113を塞いで収容器112の内部を密閉したとしても、収容器112の内部に湿気が入り込み、結露による曇りによって反射部111が十分な光を反射できなくなるおそれがある。
【0072】
ヒータ114が収容器112を加熱することで、その内部に設けられた反射部111が結露によって曇ることを防ぐことができる。
【0073】
固定部材115は、反射部111、透光部113及びヒータ114が取り付けられた収容器112を、管路トンネルTの内壁に固定するための部材である。固定部材115は、直線状、L字状等の適宜の形状でよい。固定部材115は、例えば、一端部が収容器112に固定されており、他端部が管路トンネルTの内壁に固定されてもよい。
【0074】
固定部材115と収容器112とは、一体的に構成されてもよく、ネジ等の締結具を用いて固定されてもよい。固定部材115と管路トンネルTの内壁とは、ボルト等の締結具を用いて固定されてもよい。反射部111、透光部113及びヒータ114が取り付けられた収容器112が管路トンネルTの内壁に固定することで、反射部材110は管路トンネルTに配置される。
【0075】
なお、固定部材115は、例えば、管路トンネルTの内壁に固定された部材(例えば、共通断面CSiが円形である場合に、その弦となる位置に固定された部材)と、一端が当該部材に固定されるとともに他端が収容器112に固定される部材等の複数の部品から構成されてもよい。また、反射部材110が固定部材115を含まず、収容器112がボルト等の締結具を用いて管路トンネルTの内壁に直接的に固定されてもよい。
【0076】
(撮影装置120、撮影制御装置130及び管理装置140について)
撮影装置120は、管路トンネルTに配置された複数の反射部材110を撮影する。
【0077】
撮影制御装置130は、撮影装置120が撮影した画像に含まれる複数の反射部材110の、当該画像における各位置を含む解析データを生成する。
【0078】
管理装置140は、生成された解析データに基づいて、管路トンネルTの変位を管理する。
【0079】
例えば、撮影装置120及び撮影制御装置130は、管路トンネルTに設置され、管理装置140は、例えば管路トンネルTを管理する管理センター等に設置される。撮影装置120及び撮影制御装置130は、管路トンネルTにおける適宜の電源から供給される電力を用いて動作すればよい。この電源は、例えば、ヒータ114と共通の電源であってもよい。すなわち、撮影制御装置130とヒータ114の各々とには、共通の電源から電力が供給されてもよい。
【0080】
以下、撮影装置120、撮影制御装置130及び管理装置140の詳細例について説明する。
【0081】
(撮影装置120について)
撮影装置120は、例えば図1に示すように、撮影部121と、照明122とを含む。
【0082】
撮影部121は、例えば、赤外カメラ、可視光カメラ等のカメラである。撮影部121は、複数の反射部材110を撮影できるように、管路トンネルT内の予め定められた固定位置に設置されるとよい。撮影部121は、ボルト等の締結具を用いて、管路トンネルTの内壁に対して固定されてもよい。撮影部121は、管路トンネルTの内壁に固定された補助部材に固定されることで、管路トンネルTの内壁に対して固定されてもよい。補助部材は、例えば、金属製のラック、直線状の棒材、L字状の棒材、或いはこれらを組み合わせた部材である。なお、補助部材は、撮影部121を固定できる剛性を有する部材であれば、適宜の材質や形状が採用されてもよい。
【0083】
撮影部121は、予め定められた撮影間隔で撮影するとよい。これにより、撮影間隔で撮影された複数の反射部材110を含む画像が生成される。この撮影間隔は、予め定められた適宜の時間間隔でよく、例えば、1/60秒、1/40秒、1/30秒等であってもよく、1~数分等であってもよい。
【0084】
なお、撮影装置120は、複数の反射部材110の一部を撮影してもよく、複数の反射部材110のすべてを撮影してもよい。撮影装置120は、複数であってもよい。この場合、複数の撮影装置120は、それぞれに含まれる複数の撮影部121の全体によって複数の反射部材110の一部又はすべてを撮影できるように、管路トンネルTに設置されるとよい。撮影装置120が撮影した画像は、複数の反射部材110の少なくとも一部を含む。撮影装置120が可視光カメラであれば、撮影装置120が撮影した画像を用いて、反射部材110以外の管路トンネルT内の状況も確認することができる。
【0085】
照明122は、管路トンネルTに配置された反射部材110に光を照射する。照明122は、撮影部121に応じた光、すなわち撮影部121が赤外カメラである場合には赤外光を、可視光カメラである場合には可視光を照射するとよい。照明122は、少なくとも撮影部121が撮影する際に点灯していればよく、例えば常時点灯していてもよい。
【0086】
なお、図示しないが、反射部材110から十分な光が反射されるように、管路トンネルTに適宜の照明が設けられてもよい。また、一般的に管路トンネルTにおける作業等のために照明が設けられることがある。このような照明を常時点灯させることで、反射部材110に照射される光になり得ることはもちろんである。照明122が無くても十分な光が得られる場合等には、撮影装置120は、照明122を含まなくてもよい。
【0087】
(撮影制御装置130について)
撮影制御装置130は、撮影装置120と通信することで、撮影装置120が撮影した画像を取得し、当該取得した画像を解析する。なお、撮影制御装置130は、撮影装置120の内部に組み込まれてもよく、撮影装置120と通信することで撮影装置120を制御してもよい。
【0088】
図5は、撮影制御装置130の動作例を示すフローチャートである。撮影制御装置130は例えば、稼働中に、同図に示す解析処理を繰り返し実行してもよい。
【0089】
撮影制御装置130は、撮影装置120が撮影した画像を撮影装置120から取得する(ステップS131)。
【0090】
例えば、撮影制御装置130は、撮影装置120が撮影した画像を、リアルタイムで撮影装置120から取得する。撮影装置120が複数である場合、撮影制御装置130は、複数の撮影装置120が撮影した画像を、当該複数の撮影装置120から取得するとよい。撮影制御装置130は、取得した画像を記憶してもよい。
【0091】
撮影制御装置130は、ステップS131で取得した画像を解析する(ステップS132)。
【0092】
例えば、撮影制御装置130は、撮影装置120が撮影した画像の解析を行うことで、解析データを生成する。解析データは、撮影装置120が撮影した画像に含まれる複数の反射部材110の、当該画像における各位置を含む。解析データは、さらに、解析に用いられた画像、当該画像の撮影時期等の少なくとも1つを含んでもよい。
【0093】
なお、解析データは、複数の反射部材110の当該画像における各位置の代わりに、或いは各位置とともに、複数の反射部材110の当該画像における相互の相対的な位置関係を含んでもよい。相対的な位置関係は、例えば、ベクトルで表されてもよく、距離で表されてもよい。また例えば、解析データにおける位置や位置関係は、画像における位置や位置関係に限らず、例えばグローバル座標系等の所定の座標系における位置や位置関係に変換されていてもよい。
【0094】
撮影時期は、画像を撮影した時期を示す情報であって、例えば、画像を撮影した年月日及び時刻で表される。なお、撮影時期を表す方法は、ここで例示した方法に限られない。
【0095】
画像では、複数の反射部材110が他の領域よりも高輝度で含まれる。そのため、解析では、例えばコントラスト等に基づいて高輝度な領域を検出するための一般的な技術が用いられてよい。また、反射部材110の位置は、高輝度な領域の中心(或いは、重心)の位置であるが、これに限られない。
【0096】
解析の対象となる画像は、ステップS131で取得した画像のすべてであってもよいが、その一部であってもよい。解析の対象となる画像は、例えば、ステップS131で取得した画像のうち、撮影間隔よりも長い予め定められた時間間隔に対応する画像であってもよい。
【0097】
撮影制御装置130は、ステップS132で生成した解析データを管理装置140へ送信する(ステップS133)。
【0098】
撮影制御装置130が解析データを送信するタイミングは、適宜定められてよい。解析データは、例えば、解析の都度リアルタイムで送信されてもよく、1時間~数時間間隔、1日間隔等の予め定められた時間間隔で送信されてもよい。
【0099】
解析データは、上述の通り、解析に用いられた画像を含まなくてもよい。この場合、管理装置140へ送信するデータ量を減らし、通信負荷を低減させることが可能になる。
【0100】
(管理装置140について)
管理装置140は、例えば、解析データを撮影制御装置130から取得し、解析データの履歴を保持する。管理装置140は、例えば解析データの履歴を用いて、管路トンネルTの変位を管理する。
【0101】
図6は、管理装置140の動作例を示すフローチャートである。管理装置140は例えば、稼働中に、同図に示す管理処理を繰り返し実行してもよい。
【0102】
管理装置140は、例えば、撮影制御装置130から送信された解析データを取得する(ステップS141)。
【0103】
管理装置140は、例えば、ステップS141にて取得された解析データを記憶する(ステップS142)。これにより、ステップS141にて取得された解析データが、解析データの履歴に追加される。
【0104】
管理装置140は、例えば、解析データの履歴を用いて、管路トンネルTの変位を算出する(ステップS143)。
【0105】
詳細には例えば、管理装置140は、最新の解析データ(例えば、ステップS141で取得した解析データ)と、過去の解析データとを比較する。過去の解析データは、最新の解析データよりも、解析に用いられた画像の撮影時期が古い解析データである。比較に用いられる過去の解析データは、複数であってもよい。
【0106】
解析データの比較では、管理装置140は、最新の解析データと過去の解析データとに含まれる、対応する反射部材110の位置の差異を算出する。過去の解析データが複数である場合、管理装置140は、最新の解析データと過去の解析データとに含まれる、対応する反射部材110の位置の差異を算出する。対応する反射部材110は、例えば、最新の解析データと過去の解析データとで最も近くに位置する反射部材110である。なお、変位を算出する方法は、種々変更されてもよい。
【0107】
管理装置140は、例えば、ステップS143で算出した変位に応じた報知を行う(ステップS144)。
【0108】
報知は、予め定められた端末(図示せず)等へ行われるとよい。報知は、例えば、ステップS143で算出した変位、トンネルTに異常があるか否かを示す情報等の少なくとも1つを含んでもよい。トンネルTTの異常とは、ステップS143で算出した変位が予め定められた異常条件を満たすことである。
【0109】
異常条件は、トンネルTの変位に関する異常を規定する条件である。異常条件は、例えば、ステップS143で算出した変位の一部又は全部が予め定められた許容範囲を超えていることである。なお、異常条件は、これに限られず、適宜定められてよい。
【0110】
報知を行うための条件(報知条件)が適宜定められてもよい。この場合、管理装置140は、ステップS143で算出した変位が報知条件を満たす場合に、所定の端末へ報知してもよい。この報知条件は、適宜定められてよく、例えば上述の異常条件と同じであってもよい。
【0111】
この場合、管理装置140は、異常条件を満たす場合に、トンネルTに異常があることを所定の端末へ報知してもよい。また、管理装置140は、異常条件を満たさない場合(すなわち、トンネルTが正常である場合)に、報知を行わなくてもよい。なお、管理装置140は、トンネルTが正常である場合に、トンネルTに異常がない(すなわち、正常である)ことを所定の端末へ報知してもよい。
【0112】
図7は、撮影制御装置130の物理的な構成例を示す図である。撮影制御装置130は、物理的には例えば、バス1010等のデータ伝送路で接続されたプロセッサ1020、メモリ1030、ストレージデバイス1040、ネットワークインタフェース1050、入力インタフェース1060、出力インタフェース1070等から構成される。
【0113】
プロセッサ1020は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等で実現される。メモリ1030は、例えば、RAM(Random Access Memory)等で実現される主記憶装置である。
【0114】
ストレージデバイス1040は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、ROM(Read Only Memory)等で実現される補助記憶装置である。
【0115】
ネットワークインタフェース1050は、これを備える装置を通信ネットワークNTに接続するためのインタフェースである。入力インタフェース1060は、ユーザが情報を入力するためのインタフェースである。入力インタフェース1060は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス等から構成される。出力インタフェース1070は、ユーザに情報を提示するためのインタフェースである。出力インタフェース1070は、例えば、液晶パネル、有機EL(Electro-Luminescence)パネル等から構成される。
【0116】
ストレージデバイス1040には、これを備える装置の機能を実現するためのプログラムが記憶されてよい。当該装置の機能は例えば、プロセッサ1020がストレージデバイス1040に記憶されたプログラムをメモリ1030に読み込んで実行することで実現される。
【0117】
管理装置140も、物理的には撮影制御装置130と同様に構成されてよい。
【0118】
以上、本開示の一実施形態について説明した。
【0119】
本実施形態によれば、変位監視システム100は、複数の反射部材110と、撮影装置120と、を備える。複数の反射部材110は、管路トンネルTの内壁に対して固定される。撮影装置120は、管路トンネルT内の固定位置に設置され、複数の反射部材110を撮影する。
【0120】
これにより、撮影装置120が撮影した画像に含まれる撮影装置120の位置を用いて、管路トンネルTの変位を監視することができる。従って、管路トンネルTの変位を容易に監視することが可能になる。
【0121】
また例えば、特許文献1に記載の技術では、レーザスキャナ装置を有する形状計測装置が複数配置されるので、複数の形状計測装置及びトンネル変位計測装置を含むシステム全体の構成が、大規模かつ複雑になる可能性がある。管路トンネルTでは、一般的な自動車や鉄道が走行するためのトンネルよりも内部の空間が狭いことがあるため、大規模かつ複雑なシステムを配置するスペースの確保が難しいおそれがある。仮に複数の形状計測装置を設置できたとしても、管路トンネルTに配置される通信ケーブル、ガス管、送電線等の点検等のために作業員の通行する際の障害になる可能性もある。
【0122】
変位監視システム100によれば、例えば特許文献1に記載の技術よりもコンパクトな構成のシステムで管路トンネルTの変位を監視することができる。また、変位監視システム100を管路トンネルTに常時配置して、監視することもできる。従って、管路トンネルTの変位の監視における利便性を向上させることが可能になる。
【0123】
本実施形態によれば、管路トンネルTの内部空間は、断面積が2m以上である。
【0124】
変位監視システム100によれば、このような一般的な管路トンネルTの変位を常時監視できる。従って、管路トンネルTの変位の監視における利便性を向上させることが可能になる。
【0125】
本実施形態によれば、複数の反射部材110は、1つ又は複数の反射部材群G1~GNを構成する。1つ又は複数の反射部材群G1~GNは、管路トンネルTに関して定められた1つ又は複数の共通断面CS1~CSNのそれぞれに配置される複数の反射部材110から構成される。1つ又は複数の反射部材群G1~GNの各々を構成する反射部材110の数は、4個以上である。
【0126】
これにより、1つ又は複数の共通断面CS1~CSNのそれぞれに4個以上の反射部材110が配置されるので、1つ又は複数の共通断面CS1~CSNのそれぞれにおける複数方向の変位を監視することができる。従って、管路トンネルTの変位を精度良く容易に監視することが可能になる。
【0127】
本実施形態によれば、複数の反射部材群G1~GNは、管路トンネルTが延在方向に沿って湾曲する部分に配置される少なくとも1つの反射部材群を含む。
【0128】
これにより、撮影装置120が撮影した画像に含まれる撮影装置120の位置を用いて、管路トンネルTで変位が発生し易い湾曲部分の変位を監視することができる。従って、管路トンネルTが延在方向に沿って湾曲する部分の変位を容易に監視することが可能になる。
【0129】
本実施形態によれば、1つ又は複数の反射部材群G1~GNの少なくとも1つでは、当該少なくとも1つの反射部材群の各々を構成する複数の反射部材110が、共通断面に等間隔で配置される。
【0130】
これにより、当該少なくとも1つの反射部材群に対応する共通断面CS1~CSNのそれぞれにおける複数方向の変位を監視することができる。従って、管路トンネルTの変位を精度良く容易に監視することが可能になる。
【0131】
本実施形態によれば、反射部材群G1~GNは、複数である。複数の反射部材群G1~GNは、管路トンネルTの延在方向に沿って等しい距離間隔で定められた複数の共通断面のそれぞれに配置される。
【0132】
これにより、管路トンネルTの延在方向の変位と、当該延在方向に沿った複数の共通断面CS1~CSNのそれぞれにおける複数方向の変位とを監視することができる。従って、管路トンネルTの変位を精度良く容易に監視することが可能になる。
【0133】
本実施形態によれば、複数の反射部材群G1~GNの各々は、管路トンネルTの延在方向に沿って予め定められた間隔で配置される少なくとも1つの基準反射部材と、当該少なくとも1つの基準反射部材と同じ共通断面に配置される副反射部材とを含む。
【0134】
これにより、複数の反射部材群G1~GNを管路トンネルTに容易に設置することができる。また、基準反射部材により管路トンネルTの延在方向の変位を監視することができる。各共通断面に配置された基準反射部材及び副反射部材により、各共通断面における複数方向の変位を監視することができる。従って、管路トンネルTの変位を精度良く容易に監視することが可能になる。
【0135】
本実施形態によれば、反射部材群G1~GNは、複数である。複数の反射部材群G1~GNのうちの少なくとも1つの反射部材群は、副反射部材の数が他の反射部材群と異なる。
【0136】
これにより、例えば共通断面CS1~CSNごとに、基準反射部材及び副反射部材を用いて所望の方向の変位を容易に監視することができる。従って、管路トンネルTの変位を精度良く容易に監視することが可能になる。
【0137】
本実施形態によれば、反射部材110の各々は、反射部111と、収容器112と、透光部113と、ヒータ114とを含む。収容器112は、反射部111を内部に収容する。透光部113は、収容器112に固定され、反射部111に入出射する光が透過する。ヒータ114は、収容器112に取り付けられる。
【0138】
これにより、反射部材110をヒータ114で加熱して、反射部111が十分な光を反射できなくなる可能性を低減することができる。従って、管路トンネルTの変位を精度良く容易に監視することが可能になる。
【0139】
本実施形態によれば、変位監視システム100は、撮影制御装置130と、管理装置140とを備える。撮影制御装置130は、撮影装置120が撮影した画像に含まれる複数の反射部材の、当該画像における各位置を含む解析データを生成する。管理装置140は、生成された解析データに基づいて、管路トンネルTの変位を管理する。管理装置140は、さらに、管路トンネルTの変位が予め定められた報知条件を満たす場合に、所定の端末へ報知する。撮影制御装置130とヒータ114の各々とには、共通の電源から電力が供給される。
【0140】
以上、本発明の実施の形態及び変形例について説明したが、本発明は、これらに限られるものではない。本発明は、これまで説明した実施の形態及び変形例の一部又は全部を適宜組み合わせた形態、その形態に適宜変更を加えた形態をも含む。
【符号の説明】
【0141】
100 変位監視システム
110,Gia~Gid 反射部材
111 反射部
112 収容器
113 透光部
114 ヒータ
115 固定部材
120 撮影装置
130 撮影制御装置
140 管理装置
CS1~CSN,CSi 共通断面
G1~GN,Gi 反射部材群
【要約】
【課題】管路トンネルの変位を容易に監視する。
【解決手段】変位監視システムは、管路トンネルの内壁に対して固定される複数の反射部材と、管路トンネルの内壁に対して固定され、複数の反射部材を撮影する撮影装置とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7