(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-09
(45)【発行日】2024-09-18
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240910BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2024070425
(22)【出願日】2024-04-24
(62)【分割の表示】P 2023168855の分割
【原出願日】2023-09-28
【審査請求日】2024-04-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳 良樹
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-128863(JP,A)
【文献】特開2020-113145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロックチェーンを構成する各情報処理装置において実行されるプログラムであって、
前記ブロックチェーンは、第1サービスに加入しているユーザに対して発行され、当該ユーザが前記第1サービスに加入していることを示すトークンである第1トークンと、前記ユーザに対して発行され、前記ユーザが第2サービスに加入していることを示すトークンである第2トークンと、を記録しており、
前記プログラムは、前記情報処理装置に、
ブロックチェーンを参照して前記ユーザに対して発行されているトークンを特定する機能と、
前記第1トークンと前記第2トークンとの発行状況が、前記第1サービスと前記第2サービスとに関する条件を満たすか否かを判定する機能と、を実現させる、
プログラム。
【請求項2】
前記第1トークンは第1事業者が提供するサービスである第1サービスに加入しているユーザに対して発行されるトークンであり、前記第2トークンは前記ユーザが第2事業者が提供するサービスである第2サービスに加入していることを示すトークンである、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記情報処理装置に、前記第1トークンが発行されたユーザから、前記第1サービスを提供する事業者及び前記ユーザと異なる者が前記第1トークンを閲覧することを許可する閲覧許可指示を受け付ける機能をさらに実現させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記判定する機能は、前記第1トークンと前記第2トークンとが前記ユーザに対して発行されており、かつ前記閲覧許可指示を受け付けているという条件を満たすか否かを判定する、
請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記第1トークンは、当該トークンが発行されたユーザ以外の他のユーザに前記ブロックチェーン上で操作することが禁止されたトークンである、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記プログラムは、前記情報処理装置に、
前記条件を満たしていると判定された場合、前記第1サービスと前記第2サービスとの少なくとも一方に関連する情報を、前記ユーザのユーザ端末に表示させる機能をさらに実現させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
前記プログラムは、前記情報処理装置に、
前記閲覧許可指示を受け付けていない場合に、前記条件が満たされる場合に前記ユーザが受けることができる便益の内容を前記第1トークンが発行されたユーザのユーザ端末に表示させる機能をさらに実現させる、
請求項3又は4に記載のプログラム。
【請求項8】
ブロックチェーンを構成する情報処理装置であって、
前記ブロックチェーンは、第1サービスに加入しているユーザに対して発行され、当該ユーザが前記第1サービスに加入していることを示すトークンである第1トークンと、前記ユーザに対して発行され、前記ユーザが第2サービスに加入していることを示すトークンである第2トークンと、を記録しており、
前記情報処理装置は、
前記ブロックチェーンを参照して前記ユーザに対して発行されているトークンを特定する特定部と、
前記第1トークンと前記第2トークンとの発行状況が、前記第1サービスと前記第2サービスとに関する条件を満たすか否かを判定する判定部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項9】
ブロックチェーンを構成する各情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記ブロックチェーンは、第1サービスに加入しているユーザに対して発行され、当該ユーザが前記第1サービスに加入していることを示すトークンである第1トークンと、前記ユーザに対して発行され、前記ユーザが第2サービスに加入していることを示すトークンである第2トークンと、を記録しており、
前記情報処理装置が、
前記ブロックチェーンを参照して前記ユーザに対して発行されているトークンを特定するステップと、
前記第1トークンと前記第2トークンとの発行状況が、前記第1サービスと前記第2サービスとに関する条件を満たすか否かを判定するステップと、を実行する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理装置、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザにポイント等の便益を提供する技術は種々提案されている。例えば、特許文献1には、ユーザが利用する複数のサービスにおいて発行されるポイントを合算して利用するための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザが複数のサービスに加入することを条件としてユーザに対して便益等を提供することも知られている。この場合、サービスの提供者が異なると、ユーザに対して便益等を提供する者がユーザのサービス加入状況を把握することが手間である。ユーザとしても、便益等を提供する者にサービスの加入状況を伝えるのは煩雑となり得る。
【0005】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、複数のサービスへの加入状況を容易に把握するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、ブロックチェーンを構成する各情報処理装置において実行されるプログラムである。前記ブロックチェーンは、第1サービスに加入しているユーザに対して発行され、当該ユーザが前記第1サービスに加入していることを示すトークンである第1トークンと、前記ユーザに対して発行され、前記ユーザが第2サービスに加入していることを示すトークンである第2トークンと、を記録している。前記プログラムは、前記情報処理装置に、ブロックチェーンを参照して前記ユーザに対して発行されているトークンを特定する機能と、前記第1トークンと前記第2トークンとの発行状況が、前記第1サービスと前記第2サービスとに関する条件を満たすか否かを判定する機能と、を実現させる。
【0007】
前記第1トークンは第1事業者が提供するサービスである第1サービスに加入しているユーザに対して発行されるトークンであり、前記第2トークンは前記ユーザが第2事業者が提供するサービスである第2サービスに加入していることを示すトークンであってもよい。
【0008】
前記プログラムは、前記情報処理装置に、前記第1トークンが発行されたユーザから、前記第1サービスを提供する事業者及び前記ユーザと異なる者が前記第1トークンを閲覧することを許可する閲覧許可指示を受け付ける機能をさらに実現させてもよい。
【0009】
前記判定する機能は、前記第1トークンと前記第2トークンとが前記ユーザに対して発行されており、かつ前記閲覧許可指示を受け付けているという条件を満たすか否かを判定してもよい。
【0010】
前記第1トークンは、当該トークンが発行されたユーザ以外の他のユーザに前記ブロックチェーン上で操作することが禁止されたトークンであってもよい。
【0011】
前記プログラムは、前記情報処理装置に、前記条件を満たしていると判定された場合、前記第1サービスと前記第2サービスとの少なくとも一方に関連する情報を、前記ユーザのユーザ端末に表示させる機能をさらに実現させてもよい。
【0012】
前記プログラムは、前記情報処理装置に、前記閲覧許可指示を受け付けていない場合に、前記条件が満たされる場合に前記ユーザが受けることができる便益の内容を前記第1トークンが発行されたユーザのユーザ端末に表示させる機能をさらに実現させてもよい。
【0013】
本発明の第2の態様は、ブロックチェーンを構成する情報処理装置である。前記ブロックチェーンは、第1サービスに加入しているユーザに対して発行され、当該ユーザが前記第1サービスに加入していることを示すトークンである第1トークンと、前記ユーザに対して発行され、前記ユーザが第2サービスに加入していることを示すトークンである第2トークンと、を記録している。前記情報処理装置は、前記ブロックチェーンを参照して前記ユーザに対して発行されているトークンを特定する特定部と、前記第1トークンと前記第2トークンとの発行状況が、前記第1サービスと前記第2サービスとに関する条件を満たすか否かを判定する判定部と、を備える。
【0014】
本発明の第3の態様は、ブロックチェーンを構成する各情報処理装置が実行する情報処理方法である。前記ブロックチェーンは、第1サービスに加入しているユーザに対して発行され、当該ユーザが前記第1サービスに加入していることを示すトークンである第1トークンと、前記ユーザに対して発行され、前記ユーザが第2サービスに加入していることを示すトークンである第2トークンと、を記録している。前記情報処理装置が、前記ブロックチェーンを参照して前記ユーザに対して発行されているトークンを特定するステップと、前記第1トークンと前記第2トークンとの発行状況が、前記第1サービスと前記第2サービスとに関する条件を満たすか否かを判定するステップと、を実行する。
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、データ構造、記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複数のサービスへの加入状況を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施の形態に係る情報処理装置において実行される処理の概要を説明するための図である。
【
図2】実施の形態に係る情報処理装置の機能構成を模式的に示す図である。
【
図3】実施の形態に係る判定部による判定処理を説明するための図である。
【
図4】実施の形態に係る指示受付部がユーザ端末に表示させる閲覧許可の受付画面の一例を模式的に示す図である。
【
図5】実施の形態に係る通知部がユーザ端末の表示部に表示させる画面の一例を模式的に示す図である。
【
図6】実施の形態に係る情報処理装置が実行する情報処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施の形態の概要>
実施の形態に係る情報処理装置は、ブロックチェーンを構成する複数のノードのうちの1つの装置である。実施の形態に係るブロックチェーンは、スマートコントラクト機能を有するトークンを管理している。実施の形態に係るブロックチェーンが管理するトークンは、ユーザが加入しているサービスに関する情報を格納している。実施の形態に係る情報処理装置は、トークンに実装されているスマートコントラクトを実行することで、ユーザのサービスの加入に関する状況を把握する。また、実施の形態に係る情報処理装置は、ユーザのサービスの加入に関する状況に応じて、ユーザ又はサービス提供者に対して便益を提供する。
【0023】
図1は、実施の形態に係る情報処理装置1において実行される処理の概要を説明するための図である。
図1に示す例では、第1情報処理装置1a、第2情報処理装置1b、第3情報処理装置1c、第4情報処理装置1d、及び第5情報処理装置1eの5つの情報処理装置1からブロックチェーンBが構成されている。なお、ブロックチェーンBを構成する情報処理装置1の数は5つに限らない。ブロックチェーンBを構成する情報処理装置1の数は3以上であればよく、奇数であると好ましい。また、ブロックチェーンBはパブリックブロックチェーンでなくてもよく、プライベートブロックチェーン又はコンソーシアムブロックチェーンであってもよい。
【0024】
実施の形態に係るブロックチェーンBは、上述した複数の情報処理装置1によって自律分散的にトークンが管理され、共有されている。ブロックチェーンBにおいてこれらのトークンの生成、修正、消去等はトランザックションに記録され、いくつかのトランザクションがまとめられたブロックを直列的に、いわばチェーン状に連結した形で保持されている。ブロックチェーンBにおいてこのブロックの連結は、例えばPoW(Proof of Work)等の既知のコンセンサスアルゴリズムによって管理されており、一般にブロックチェーンBに保持されたデータを改ざんすることは困難とされている。これは、ブロックチェーンBで実行されるプログムであるスマートコントラクトも同様であり、ひとたびブロックチェーンBに記録された後は改ざんすることが困難とされている。
【0025】
実施の形態に係るブロックチェーンBは、ユーザUに対してサービスを提供する事業者Cに対してもアクセスを許可しており、事業者CはブロックチェーンBが管理しているトークンにアクセスすることができる。事業者Cは、ユーザUとの間でサービス提供の契約を締結すると、ブロックチェーンBに対してトークンの発行を指示する。このトークンには、ユーザUを特定するための情報、事業者Cを特定するための情報、サービスの内容、サービスの開始日、終了日、サービスに係る費用等のサービスに関する情報がトランザクションとして記録される。これらのトークンはユーザUのサービス加入に関するトークンであるため、以下本明細書において「サービス管理トークン」と記載することがある。ユーザUは、スマートフォン等のユーザ端末Tを用いてブロックチェーンBにアクセスし、サービス管理トークンの内容を確認することができる。
【0026】
また、実施の形態に係るブロックチェーンBは、ユーザUがブロックチェーンBに登録すると、ユーザUが契約して加入しているサービスを管理するためのトークンを各ユーザUに対して発行する。ブロックチェーンBがユーザUに対して発行するトークンもスマートコントラクトが実装されている。このスマートコントラクトは、ブロックチェーンBで発行されたユーザUに関するサービス管理トークンを収集し、ユーザUのサービス加入状況を特定する。続いて、スマートコントラクトは、ユーザUのサービス加入状況が所定の条件を満たすか否かを判定する。このため、ブロックチェーンBがユーザUに対して発行するトークンを、以下本明細書において「加入状況管理トークン」と記載することがある。なお、スマートコントラクトは、所定の条件を満たすと判定した場合、その条件に関連付けられた便益を提供する処理を実行する。
【0027】
ここで、サービス加入状況に関する所定の条件とは、一例としては、同一のユーザUがあらかじめ定められた2以上のサービスに同時に加入していることである。例えば、
図1において、第1事業者C1はユーザUに対して動画配信サービスを提供する動画配信事業者であり、第2事業者C2はユーザUに対して通信サービスを提供する通信事業者であるとする。このとき、サービス加入状況に関する所定の条件の一例として、ユーザUが第1事業者C1の動画配信サービスに加入し、かつ、第2事業者C2の通信サービスに加入することである。また、条件に関連付けられた便益とは、例えば、ユーザUが第1事業者C1の動画配信サービスを利用するために係る費用の割引であったり、便益を受けるためにユーザUが取るべき行動を通知したりすることである。
【0028】
このように、実施の形態に係るブロックチェーンBにおいては、ユーザUに対して発行された加入状況管理トークンに実装されているスマートコントラクトを情報処理装置1が実行することで、ブロックチェーンBに発行されているサービス管理トークンのトランザクションを読み取り、ユーザUのサービス加入に関する条件を満たしているか否かの判定を自動で実行する。これにより、実施の形態に係る情報処理装置1は、ユーザUに関する複数のサービスへの加入状況を容易に把握することができる。また、情報処理装置1は、ユーザUのサービス加入に関する条件が所定の条件を満たしている場合にはその条件に関連付けられた便益の提供をすることができる。
【0029】
<実施の形態に係る情報処理装置1の機能構成>
図2は、実施の形態に係る情報処理装置1の機能構成を模式的に示す図である。情報処理装置1は、少なくとも第1事業者C1と第2事業者C2とがアクセス可能なブロックチェーンBを構成する1つのノードであり、各情報処理装置1はいずれも同様の機能構成を有している。情報処理装置1は、記憶部10と通信部11と制御部12とを備える。
【0030】
図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2に示していないデータの流れがあってもよい。
図2において、各機能ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図2に示す機能ブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。機能ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0031】
記憶部10は、情報処理装置1を実現するコンピュータのBIOS(Basic Input Output System)等を格納するROM(Read Only Memory)や情報処理装置1の作業領域となるRAM(Random Access Memory)、OS(Operating System)や、スマートコントラクトを実現するプログラム、当該プログラムの実行時に参照される各種トークンやデータ等の種々の情報を格納するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置である。
【0032】
通信部11は、情報処理装置1が外部の装置と通信するための通信インターフェースであり、LAN(Local Area Network)モジュールやWi-Fi(登録商標)モジュール等の既知の通信モジュールで実現されている。以下、本明細書において、情報処理装置1が外部の装置と通信するときは通信部11を介することを前提として通信部11の記載を省略することがある。
【0033】
制御部12は、情報処理装置1のCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部10に記憶された加入状況管理トークンのスマートコントラクトに係るプログラムを実行することによって特定部120、判定部121、実行部122、発行部123、指示受付部124、及び通知部125として機能する。
【0034】
なお、
図2は、情報処理装置1が単一の装置で構成されている場合の例を示している。しかしながら、情報処理装置1は、例えばクラウドコンピューティングシステムのように複数のプロセッサやメモリ等の計算リソースによって実現されてもよい。この場合、制御部12を構成する各部は、複数の異なるプロセッサの中の少なくともいずれかのプロセッサがプログラムを実行することによって実現される。
【0035】
まず前提として、情報処理装置1によって構成されているブロックチェーンBは、複数のユーザUそれぞれに対して発行された第1サービス管理トークンと第2サービス管理トークンと、加入状況管理トークンとを記録している。ここで、第1サービス管理トークンは、第1事業者C1が提供するサービスである第1サービスに加入しているユーザUに対して発行され、そのユーザUが第1サービスに加入していることを示すトークンである。また、第2サービス管理トークンは、第2事業者C2が提供するサービスである第2サービスに加入しているユーザUに対して発行され、そのユーザUが第2サービスに加入していることを示すトークンである。
【0036】
特定部120は、ブロックチェーンBを参照してユーザUに対して発行されているサービス管理トークンを特定する。判定部121は、ユーザUに対して発行されているサービス管理トークンの発行状況が、第1サービスと第2サービスとに関する条件を満たすか否かを判定する。第1サービスと第2サービスとに関するとは、例えば、ユーザUに対して発行されているサービス管理トークンのうちの少なくとも一つのサービス管理トークンに関連付けられている条件であってもよい。
【0037】
図3(a)-(b)は、実施の形態に係る判定部121による判定処理を説明するための図である。具体的には、
図3(a)はサービス管理トークンに格納されているデータを説明するための模式図であり、
図3(b)は判定部121が参照する条件の一例を示す模式図である。
【0038】
図3(a)に示すように、サービス管理トークンは、ブロックチェーンBにおいてトークンを一意に特定するためのトークン識別子と、サービスに加入しているユーザUを特定するためのユーザ識別子と、ユーザUが加入しているサービスを特定するためのサービス識別子と、ユーザUが加入しているサービスの内容と、サービスの開始日と、ユーザUがサービスを利用するために係る費用と、サービス管理トークンをユーザU及びサービスを提供する事業者C以外の者が閲覧可能か否かを示す情報を含んでいる。
図3(a)は、トークン識別子がTID0001、ユーザ識別子がUID0001、サービス識別子がSID0001、サービスの内容は同時に5台まで接続できるフルハイビジョンの動画配信、月額はXXXX円である例が示されている。
【0039】
なお、
図3(a)に示すサービス管理トークンは一例であり、ブロックチェーンBは複数のユーザUそれぞれが加入している1又は複数のサービスそれぞれについてサービス管理トークンを生成し、記録している。また、ユーザUがサービスの契約を終了することなくその内容を変更した場合には、変更前後の記録がトークンのトランザクションに記録される。
【0040】
図3(b)は、便益提供の条件として、2つのサービスの組み合わせが例示されている。具体的には、同一のユーザUが、サービス識別子がSID0001で示される第1サービスと、SID0018で示される第2サービスとに同時に加入している場合に、そのユーザUに関する第2サービスの月額利用料の割引が便益として提供されることを示している。この場合、判定部121は、サービス識別子がSID0001である第1サービス管理トークンと、サービス識別子がSID0018である第2サービス管理トークンとがユーザUに対して発行されている場合に条件を満たすと判定する。なお、
図3(b)に示す便益提供の条件は一例であり、この他にも便益提供の条件(すなわち、ユーザUが同時に加入した場合に便益が提供されるサービスの組み合わせ)は存在する。
【0041】
図2の説明に戻り、実行部122は、判定部121によって条件を満たしていると判定された場合、その条件に関連付けられサービスに関連する便益を提供するための処理を実行する。例えば、判定部121によって条件を満たしていると判定された便益が、ユーザUが加入しているサービスの割引である場合、実行部122は、割引対象となるサービスを提供している事業者Cに通知し、割引を適用させるための手続を実行する。
【0042】
このように、実施の形態に係る情報処理装置1は、スマートコントラクトを使って便益提供の条件を自動で判定することにより、ユーザUの複数のサービスへの加入状況の把握を容易化することができる。また、ユーザUの複数のサービスへ加入に関する条件を満たす場合の便益の提供を容易化することができる。
【0043】
このように、サービス管理トークンは便益の提供の条件となり得るものであり、サービスを提供する事業者Cの立場から見ると、ユーザUによってむやみに発行されるべきものではない。そのため、発行部123は、第1事業者C1からの指示に基づいて第1サービスに新たに加入するユーザUに対してブロックチェーンB上に第1サービス管理トークンを発行する。同様に、発行部123は、第2事業者C2からの指示に基づいて第2サービスに新たに加入するユーザUに対して第2サービス管理トークンを発行する。これにより、情報処理装置1は、サービス管理トークンを発行できる主体をサービスを提供する事業者Cに制限することができる。
【0044】
上述したように、特定部120は、ブロックチェーンBを参照してユーザUに対して発行されているサービス管理トークンを特定する。サービス管理トークンはユーザUが契約しているサービスの内容が格納されており、個人情報の一種である。したがって、ユーザUの立場から見ると、サービス提供者以外の事業者Cにサービス管理トークンの内容を知られることは好まない場合もあると考えられる。
【0045】
そこで、第1サービス管理トークンと第2サービス管理トークンとを含むサービス管理トークンは、そのサービス管理トークンが発行されたユーザU以外の他のユーザ(例えば、事業者C)にブロックチェーンB上で操作することが禁止されたトークンである。このような性質を持ったサービス管理トークンは、例えば既知のソウルバウンドトークン(Soul Bound Token;SBT)を利用することで実現できる。
【0046】
指示受付部124は、第1サービス管理トークンが発行されたユーザUから、第1事業者C1及びユーザUと異なる者が第1サービス管理トークンを閲覧することを許可する閲覧許可指示を受け付ける。指示受付部124は、ユーザUから受け付けた閲覧許可指示に含まれるトークン識別子を参照してサービス管理トークンを特定し、サービス管理トークンに閲覧許可を登録する。これらの変更はサービス管理トークンのトランザクションに登録される。
【0047】
図4は、実施の形態に係る指示受付部124がユーザ端末Tに表示させる閲覧許可の受付画面の一例を模式的に示す図である。指示受付部124は、ブロックチェーンB上でユーザUに対して発行されているサービス管理トークンに関する情報をユーザ端末Tの表示部に一覧表示させる。
図4は、ユーザUが動画配信サービスと、携帯電話サービスと、カーシャアサービスと、家事代行サービスとに少なくとも加入している場合の画面例を示している。ユーザUがユーザ端末Tの表示部に一覧表示されたサービス管理トークンに関する情報をタップして選択し、閲覧を許可するためのアイコンを押下することで、指示受付部124は、選択されたサービス管理トークンに関するユーザUの閲覧許可を受け付けることができる。
【0048】
判定部121は、第1サービス管理トークンと第2サービス管理トークンとがユーザUに対して発行されていることに加えて、さらに閲覧許可指示を受け付けている場合に条件を満たすと判定する。これにより、判定部121は、ユーザUから明示的に閲覧許可を受けたサービス管理トークンのみを参照して便益を提供するための条件を判定することができる。
【0049】
判定部121がユーザUから明示的に閲覧許可を受けたサービス管理トークンのみを参照して便益を提供するための条件を判定する場合、当然ながら、判定部121は、ユーザUが閲覧許可をしていないサービス管理トークンを参照することができない。このため、ユーザUは、便益の提供を受ける機会を見逃してしまうことも起こりうる。
【0050】
そこで、通知部125は、サービス管理トークンが閲覧許可指示を受け付けていない場合に、便益の提供を受けるための条件が満たされる場合にユーザUが受けることができる便益の内容を第1サービス管理トークンが発行されたユーザUのユーザ端末Tに表示させる。
【0051】
図5は、実施の形態に係る通知部125がユーザ端末Tの表示部に表示させる画面の一例を模式的に示す図である。具体的には、
図5は、XXXXの動画配信サービスとYYYYの携帯電話サービスとを同時に契約していることを伝えることで、XXXXの動画配信サービスの利用料が割り引かれることを示すメッセージの表示画面例である。このように、通知部125が便益に関する情報をユーザ端末Tに表示させることにより、ユーザUによるサービス管理トークンの閲覧許可を促すことができる。
【0052】
以上、便益の提供を受けるためにサービス管理トークンが満たすべき条件が満たされる場合に、ユーザUに対して便益が提供される場合について主に説明した。しかしながら、便益の受益者はユーザUに限られず、条件に関連するサービス管理トークンの生成者(すなわち、サービスの提供者である事業者C)であってもよい。
【0053】
例えば、第1サービスの加入者の方が第2サービスの加入者よりもずっと少ないと仮定する。この場合において、第1サービスと第2サービスとに同時に契約していることが便益提供の条件であると、第1サービスに加入しているが第2サービスに未加入であるユーザUが第2サービスに加入するケースと、第2サービスに加入しているが第1サービスに未加入であるユーザUが第1サービスに加入するケースとを比較すると、後者のケースの方が多くなると考えられる。つまり、第2サービスのユーザUが第1サービスの新たな契約者になる可能性の方が高いと考えられる。
【0054】
したがって、第1サービスの加入者の方が第2サービスの加入者よりもずっと少ない場合には、ユーザUをサービス加入に誘導してもらう対価として、第1事業者C1が第2事業者C2に対して対価を提供してもよい。これを実現するため、実行部122は、便益提供のための条件を満たしていると判定された場合、第1事業者C1から第2事業者C2に対して対価を支払わせるための処理を自動で実行する。具体的には、実行部122は、第1事業者C1の口座から、第2事業者C2の口座に、対価に相当する資金を移動させる。これにより、実施の形態に係る実行部122は、事業者C間の便益の提供を容易化することができる。
【0055】
<情報処理装置1が実行する情報処理方法の処理フロー>
図6は、実施の形態に係る情報処理装置1が実行する情報処理の流れを説明するためのフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、例えば情報処理装置1が起動したときに開始する。
【0056】
特定部120は、ブロックチェーンBを参照してユーザUに対して発行されているサービス管理トークンを特定する(S2)。判定部121は、ユーザUに対して発行されているサービス管理トークンの発行状況が、ユーザが加入しているサービスに関する条件を満たすか否かを判定する(S4)。
【0057】
条件を満たしている場合(S6のYes)、実行部122は、その条件に関連付けられサービスに関連する便益を提供するための処理を実行する(S8)。実行部122が便益を提供するための処理を実行するか、あるいは条件を満たしていない場合(S6のNo)、本フローチャートにおける処理は終了する。
【0058】
<実施の形態に係る情報処理装置1が奏する効果>
以上説明したように、実施の形態に係る情報処理装置1によれば、複数のサービスへの加入状況を容易に把握することができる。
【0059】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0060】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果をあわせ持つ。
【0061】
<変形例>
上記では、ユーザUのサービスの加入に関する状況が所定の条件を満たす場合に、情報処理装置1がユーザU又はサービスを提供する事業者Cに便益を提供するための処理を実行する場合について主に説明した。しかしながら、ユーザUのサービスの加入に関する状況が所定の条件を満たす場合に情報処理装置1が実行する処理は便益を提供するための処理に限られない。これに替えて、あるいはこれに加えて、ユーザUのサービスの加入に関する状況が所定の条件を満たす場合に、情報処理装置1は、他の処理を実行してもよい。
【0062】
例えば、あるユーザUが第1サービスと第2サービスに共に加入できる期間が定められている場合、具体的には、サービス管理トークンにサービスを継続できる期間が条件として定められている場合、判定部121は、サービス管理トークン中の期間条件に基づいて、期間が終了しているか否かを判定する。判定部121によって期間が徒過していると判定された場合、実行部122は、そのユーザUに関するサービスの解約をするための処理を実行してもよい。
【0063】
別の例としては、あるユーザUが第1サービスと第2サービスとに加入していると判定部121が判定した場合に、実行部122は、例えばそれらのサービスと関連する第3サービスや関連商品をユーザUに推奨案内する処理を実行してもよい。換言すると、ユーザUのサービスの加入に関する状況が所定の条件を満たす場合に、実行部122は、第1サービスと第2サービスとの少なくとも一方に関連する情報をユーザUに提供するための処理を実行してもよい。具体的には、実行部122は通知部125を介して、第1サービスと第2サービスとの少なくとも一方に関連する情報を、サービス管理トークンが発行されたユーザUのユーザ端末Tに表示させてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 情報処理装置
10 記憶部
11 通信部
12 制御部
120 特定部
121 判定部
122 実行部
123 発行部
124 指示受付部
125 通知部
B ブロックチェーン
【要約】
【課題】複数のサービスへの加入状況の把握を容易化する。
【解決手段】ブロックチェーンを構成する情報処理装置1において、ブロックチェーンは、第1サービスに加入しているユーザに対して発行され、当該ユーザが第1サービスに加入していることを示すトークンである第1トークンと、ユーザに対して発行され、ユーザが第2サービスに加入していることを示すトークンである第2トークンと、を記録しており、情報処理装置1は、ブロックチェーンを参照してユーザに対して発行されているトークンを特定する特定部120と、ユーザに対して発行されているトークンの発行状況が、第1サービスと第2サービスとに関する条件を満たすか否かを判定する判定部121と、を備える。
【選択図】
図2